JP2018534258A - 潜伏ウイルスの転写制御のための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ウイルス転写の制御に使用することができる組成物および方法を提供する。非活性化Cas9またはdCas9等、触媒的に不活性なヌクレアーゼを使用して、ウイルス核酸内の制御エレメントを認識するガイドRNAを設計することができる。dCas9は、ウイルスプロモーターに結合し転写を上方制御または下方制御する、RNA依存性DNA結合タンパク質として機能することができる。例えば、ウイルスプロモーター特異的gRNAを有するdCas9は、宿主細胞内のウイルスゲノム内のプロモーターにハイブリダイズし、例えば、転写機構のリクルートメントを立体的に遮断することにより、転写を阻害することができる。
Description
関連出願
本願は、参照によって組み込まれる、2015年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/234,345号の利益を主張する。
本願は、参照によって組み込まれる、2015年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/234,345号の利益を主張する。
技術分野
本発明は、ヌクレアーゼの非切断型(non-cutting)バリアントを含む組成物を使用したウイルス感染の処置に関する。
本発明は、ヌクレアーゼの非切断型(non-cutting)バリアントを含む組成物を使用したウイルス感染の処置に関する。
ウイルス感染症は、深刻な医学的問題である。例えば、ヘルペスは、広範なヒト病原体であり、90%超の成人が感染している。ひとたび感染すると、潜伏により、症状を発現しない場合であっても、宿主はヘルペスウイルスを無期限に保有する。同様に、ヒトパピローマウイルスまたはHPVは、ヒト集団における一般的なウイルスであり、75%超の人々が感染する。特に大きい問題は、ウイルス感染症ががんを引き起こす場合があることである。例えば、宿主DNAへのHPVの組み込みは、がん、具体的には、子宮頸がんをもたらすことが公知である。エプスタイン・バーウイルス(EBV)は、伝染性単核球症(腺熱(glandular fever))の原因となるのみならず、ホジキンリンパ腫およびバーキットリンパ腫等、がんとも関連する。
ウイルスタンパク質を標的とする薬物を開発する試みがなされているが、このような試みは全面的に成功したとは言えない。例えば、ウイルスが、そのタンパク質を活発に発現しない潜伏状態にある場合、標的とするものが存在しない。その上、ウイルス感染が宿主細胞機能に干渉する場合、ウイルス感染を根絶するいかなる試みも最善ではない。例えば、ウイルス複製が宿主全身の細胞におけるゲノム複製に干渉する場合、ウイルス複製を防止する酵素は役に立たない。
本発明は、ウイルス感染症を処置するための組成物および方法を提供する。本発明は、ウイルス核酸に結合し、ウイルス制御機能に干渉する非切断型エンドヌクレアーゼを提供する。本発明の好ましい組成物は、Cas9等、プログラム可能なヌクレアーゼの非切断型バリアントを含む。Cas9は、触媒的に非活性化されたCas9またはdCas9と呼ばれることもあり、ウイルスプロモーターまたは転写もしくは翻訳に関与する他の制御エレメントを特異的に標的とする。標的化は、ガイドRNA(gRNA)等、標的化オリゴヌクレオチドの使用により達成される。標的化オリゴヌクレオチドは、ウイルス核酸内の制御エレメントを認識し、標的化されたウイルスエレメントへとdCas9をガイドするように設計することができる。
gRNAにより、プログラム可能なヌクレアーゼは、配列特異的様式で標的に結合し、転写を上方制御または下方制御する。例えば、ウイルスプロモーター特異的gRNAを有するdCas9は、宿主細胞におけるウイルスゲノム内のプロモーターにハイブリダイズし、例えば、転写機構のリクルートメントを立体的に遮断することにより、転写を阻害することができる。その上またはそれに代えて、dCas9は、別の転写的抑制(transcriptionally-repressive)タンパク質またはドメインに連結されてよい。ウイルスゲノム内において、複数の標的がそれぞれ独立して、転写抑制のために標的とされてよい。
本発明の組成物の好ましい使用は、転写を阻害し、これにより、ウイルスタンパク質の発現を防止することである。これは、感染の拡散を防止することができる、または拡散を遅くすることができる一方、他のウイルス処置は、ウイルスを根絶するように働く。本発明の組成物は、触媒的に不活性化され、ウイルス標的を特異的に標的とする、プログラム可能なヌクレアーゼを含む。プログラム可能なヌクレアーゼは、RNA誘導型ヌクレアーゼ(例えば、Cas9もしくは修飾されたCas9またはCpf1もしくは修飾されたCpf1、Cas9ホモログまたはhi−fi Cas9等、CRISPR関連ヌクレアーゼ)であってよい。プログラム可能なヌクレアーゼは、TALENまたは修飾されたTALENであってよい。ある特定の実施形態では、プログラム可能なヌクレアーゼは、DNA誘導型ヌクレアーゼ(例えば、Pyrococcus furiosusアルゴノート(PfAgo)またはNatronobacterium gregoryiアルゴノート(NgAgo))であってよい。
特異的gRNAの提供により、dCas9を使用して、独立してまたは同時に種々の標的の転写を抑制することができる。よって、本発明の組成物は、dCas9(またはdCas9をコードする核酸)と共に、それぞれウイルスゲノム内の特異的プロモーターを標的とする1つまたは複数種のgRNAを含むことができる。
その上またはそれに代えて、本発明の組成物を使用して、転写を上方制御することができる。例えば、dCas9は、転写の上方制御に役立つ転写活性化ドメイン(例えば、転写因子をリクルートする)に連結されてよい。本発明の組成物は、抗ウイルス剤の発現に寄与し得るため、転写の上方制御は、抗ウイルス剤がプラスミド内にコードされて提供される場合に有用となり得る。プラスミドにおける遺伝子が、処置されているウイルスのプロモーターの制御下にある場合、本発明に係るタンパク質を含むことにより、ウイルス活性が抗ウイルス治療薬の発現を刺激する傾向がある、正のフィードバックサイクルを増大し得る。ウイルス遺伝子の転写を抑制することにより、または抗ウイルス治療薬の転写を上方制御することにより、本発明の組成物は、ウイルス感染症を処置するための価値があり有効な方法を提供することができる。
ある特定の態様では、本発明は、ウイルス感染を処置するための組成物を提供する。組成物は、Cas9酵素の非切断型バリアント(dCas9)と、ウイルスゲノムにおける標的に相補的な標的化配列とをコードする核酸を含むベクターを含む。2。ある特定の実施形態では、核酸は、DNAを含むことができる。dCas9は、標的化配列を介してウイルスゲノムにおける標的に結合し、ウイルスゲノムの少なくとも一部分の転写に影響を与える。一部の実施形態では、複合体は、ウイルスゲノムの少なくとも一部分の転写を阻害する。
所定の判定基準に従って標的にマッチし、所定の判定基準に従って宿主ゲノムのいかなる部分にもマッチしない標的化配列を使用することができる。所定の判定基準は、20ヌクレオチドストレッチ内で少なくとも60%相補的であることと、20ヌクレオチドストレッチに隣接した(adjacent)プロトスペーサー隣接モチーフの存在とを含むことができる。一部の実施形態では、宿主ゲノムは、ヒトゲノムであり、標的化配列は、所定の判定基準に従ってヒトゲノムのいかなる部分にもマッチしない。
好ましい実施形態では、ウイルスは、ヒト宿主に潜伏感染することができる。適した標的は、次のものを含む:B型肝炎ウイルス(HBV)ゲノムにおけるpreCプロモーター;HBVゲノムにおけるS1プロモーター;HBVゲノムにおけるS2プロモーター;およびHBVゲノムにおけるXプロモーター;エプスタイン・バーウイルスゲノムにおけるウイルスCp(Cプロモーター);カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)ゲノムにおけるマイナー転写物プロモーター領域;KSHVゲノムにおけるメジャー転写物プロモーター;単純ヘルペスウイルス(HSV)由来のEgr−1プロモーター;HSV−1由来のICP4プロモーター;HSV−2由来のICP10プロモーター;サイトメガロウイルス(CMV)初期エンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス最初期プロモーター;HPV初期プロモーター;およびHPV後期プロモーター。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、転写的抑制ドメインをさらに含む。転写的抑制ドメインは、例えば、次のうち1つまたは複数を含むことができる:Kox1のクルッペル関連ボックスドメイン;HP1αのクロモシャドウドメイン;およびHes1のWRPWドメイン。
組成物は、ヒト皮膚への局所適用に適するように、キャリア内に提供されてよい。一部の実施形態では、核酸は、キャリアによってヒト皮膚へと運搬および送達されるプラスミド内に存在する。
例えば、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、ヒトパピローマウイルス、BKウイルス、JCウイルス、天然痘、B型肝炎ウイルス、ヒトボカウイルス、パルボウイルス、B19、ヒトアストロウイルス、ノーウォークウイルス、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、重症(sever)急性呼吸器症候群ウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、風疹ウイルス、E型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス、グアナリト(guanarito)ウイルス、フニンウイルス、ラッサウイルス、マチュポウイルス、サビアウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタニューモ(metapnemo)ウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、狂犬病ウイルス、D型肝炎ウイルス、ロタウイルス、オルビウイルス、コルティウイルスまたはバンナ(banna)ウイルス等、任意の適したウイルスが標的とされてよい。
一部の態様では、本発明は、ウイルス感染を処置するための方法を提供する。本方法は、Cas9酵素の非切断型バリアントを含むポリペプチドと、ウイルスゲノムにおける標的に相補的な部分を含むRNAとをコードする核酸を含む組成物を宿主細胞に導入するステップを含む。ある特定の実施形態では、核酸は、DNAを含むことができる。ポリペプチドは、RNAに結合して複合体を形成し、複合体は、RNA内の標的化配列を介してウイルスゲノムにおける標的にハイブリダイズする。複合体は、ウイルスゲノムの少なくとも一部分の転写を阻害する。好ましくは、ウイルス感染は、潜伏感染である。宿主細胞への組成物の導入は、ヒト患者内の潜伏感染の局部リザーバーへの組成物の送達を含むことができる。ウイルスゲノムにおける標的は、次のいずれかを含むことができる:B型肝炎ウイルス(HBV)ゲノムにおけるpreCプロモーター;HBVゲノムにおけるS1プロモーター;HBVゲノムにおけるS2プロモーター;およびHBVゲノムにおけるXプロモーター;エプスタイン・バーウイルスゲノムにおけるウイルスCp(Cプロモーター);カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)ゲノムにおけるマイナー転写物プロモーター領域;KSHVゲノムにおけるメジャー転写物プロモーター;単純ヘルペスウイルス(HSV)由来のEgr−1プロモーター;HSV−1由来のICP4プロモーター;HSV−2由来のICP10プロモーター;サイトメガロウイルス(CMV)初期エンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス最初期プロモーター;HPV初期プロモーター;またはHPV後期プロモーター。ポリペプチドは、Kox1のクルッペル関連ボックスドメイン;HP1αのクロモシャドウドメイン;またはHes1のWRPWドメイン等、転写的抑制ドメインをさらに含むことができる。
一部の実施形態では、本方法は、宿主細胞内で転写の上方制御を引き起こすための複合体を使用するステップを含む。例えば、ポリペプチド/gRNA複合体は、これらの構成成分のいずれか一方または両方をコードする核酸のコピーに結合し、それら自身のさらなる発現を上方制御することができる。よって、核酸がプラスミドの一部であり、ポリペプチドがRNAに結合して複合体を形成する一部の実施形態では、複合体は、プラスミドにハイブリダイズして、プラスミドの少なくとも一部分の上方制御された転写を引き起こす。ある特定の実施形態では、宿主細胞内のプラスミドの初期転写は、上方制御された転写が続いて上方制御された転写を増加させる、正のフィードバックサイクルをもたらす。
一部の実施形態では、宿主細胞は、宿主内のin situにあり、宿主は、ウイルス感染を有するヒト患者等、哺乳動物である。好ましくは、組成物は、宿主における組織への送達によってin situで細胞に導入される。宿主細胞へ組成物を導入することは、宿主におけるウイルス感染の局部リザーバーへ非全身的に組成物を送達することを含むことができる。
アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、ヒトパピローマウイルス、BKウイルス、JCウイルス、天然痘、B型肝炎ウイルス、ヒトボカウイルス、パルボウイルス、B19、ヒトアストロウイルス、ノーウォークウイルス、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、重症(sever)急性呼吸器症候群ウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、風疹ウイルス、E型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラッサウイルス、マチュポウイルス、サビアウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタニューモ(metapnemo)ウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、狂犬病ウイルス、D型肝炎ウイルス、ロタウイルス、オルビウイルス、コルティウイルスまたはバンナウイルスのゲノム等、任意のウイルスゲノムが標的とされてもよい。
他の態様では、本発明は、ウイルスによる感染を処置するための組成物を提供する。組成物は、次のものをコードする核酸を含む:Cas9酵素の非切断型バリアントを含むポリペプチド;および核酸の一部分に相補的な標的化配列を含むRNA。核酸は、5’キャップを含むmRNAを含むことができる。ある特定の実施形態では、核酸は、DNAを含むことができる。組成物が、ウイルスに感染した細胞に導入されると:ポリペプチドおよびRNAが発現され;ポリペプチドが、RNAに結合して複合体を形成し;複合体が、核酸における標的にハイブリダイズし、核酸の転写に影響を与える。核酸は、プラスミドの一部となることができ、プラスミドへの複合体のハイブリダイゼーションは、プラスミドの少なくとも一部分の上方制御された転写を引き起こす。感染細胞内の核酸の初期転写は、上方制御された転写が続いて上方制御された転写を増加させる、正のフィードバックサイクルをもたらすことができる。好ましくは、標的化配列は、所定の判定基準に従って標的にマッチし、所定の判定基準に従って宿主ゲノムのいかなる部分にもマッチしない。核酸は、ウイルスのゲノム由来のプロモーターをさらにコードすることができる。一部の実施形態では、複合体は、ウイルスに感染した宿主細胞内の転写を上方制御する。
ある特定の態様では、本発明は、Cas9酵素の非切断型バリアントを含むポリペプチドと、ウイルスゲノムにおける標的に相補的な標的化オリゴヌクレオチドとを含む、ウイルス感染を処置するための組成物を提供する。ウイルスに感染した細胞に導入されると、ポリペプチドは、標的化オリゴヌクレオチドと複合体を形成し、複合体は、標的化オリゴヌクレオチドを介してウイルスゲノムにおける標的にハイブリダイズし、ウイルスゲノムの少なくとも一部分の転写に影響を与える。ある特定の実施形態では、標的化オリゴヌクレオチドは、RNAを含み、リボ核タンパク質(RNP)におけるポリペプチドと複合体化する。好ましくは、複合体は、ウイルスゲノムの少なくとも一部分の転写を阻害する。一部の実施形態では、標的化オリゴヌクレオチドは、所定の判定基準に従って標的にマッチし、所定の判定基準に従って宿主ゲノムのいかなる部分にもマッチしない部分を有するRNAを含む(例えば、所定の判定基準は、20ヌクレオチドストレッチ内で少なくとも60%相補的であることと、20ヌクレオチドストレッチに隣接したプロトスペーサー隣接モチーフの存在とを含むことができる)。ウイルスゲノムにおける適した標的は、次のうち1つまたは複数を含むことができる:B型肝炎ウイルス(HBV)ゲノムにおけるpreCプロモーター;HBVゲノムにおけるS1プロモーター;HBVゲノムにおけるS2プロモーター;およびHBVゲノムにおけるXプロモーター;エプスタイン・バーウイルスゲノムにおけるウイルスCp(Cプロモーター);カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)ゲノムにおけるマイナー転写物プロモーター領域;KSHVゲノムにおけるメジャー転写物プロモーター;単純ヘルペスウイルス(HSV)由来のEgr−1プロモーター;HSV−1由来のICP4プロモーター;HSV−2由来のICP10プロモーター;サイトメガロウイルス(CMV)初期エンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス最初期プロモーター;HPV初期プロモーター;およびHPV後期プロモーター。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、例えば、Kox1のクルッペル関連ボックスドメイン、HP1αのクロモシャドウドメインまたはHes1のWRPWドメイン等、転写的抑制ドメインをさらに含む。組成物は、ヒト皮膚への局所適用に適するように、キャリア内に提供されてよい。
ある特定の態様では、本発明は、ウイルス感染を処置するための組成物を提供する。組成物は、Cas9酵素の非切断型バリアント(dCas9)を含むポリペプチドをコードする5’キャップを含むmRNAと、ウイルスゲノムにおける標的に相補的な標的化配列を含むRNAとを含む。ある特定の実施形態では、組成物が、ウイルスに感染した細胞に導入されると、ポリペプチドが発現され;ポリペプチドが、RNAに結合して複合体を形成し;複合体が、標的化配列を介してウイルスゲノムにおける標的にハイブリダイズする。
dCas9は、標的化配列を介してウイルスゲノムにおける標的に結合し、ウイルスゲノムの少なくとも一部分の転写に影響を与えることができる。一部の実施形態では、複合体は、ウイルスゲノムの少なくとも一部分の転写を阻害する。
所定の判定基準に従って標的にマッチし、所定の判定基準に従って宿主ゲノムのいかなる部分にもマッチしない標的化配列を使用することができる。所定の判定基準は、20ヌクレオチドストレッチ内で少なくとも60%相補的であることと、20ヌクレオチドストレッチに隣接したプロトスペーサー隣接モチーフの存在とを含むことができる。一部の実施形態では、宿主ゲノムは、ヒトゲノムであり、標的化配列は、所定の判定基準に従ってヒトゲノムのいかなる部分にもマッチしない。
好ましい実施形態では、ウイルスは、ヒト宿主に潜伏感染することができる。適した標的は、次のものを含む:B型肝炎ウイルス(HBV)ゲノムにおけるpreCプロモーター;HBVゲノムにおけるS1プロモーター;HBVゲノムにおけるS2プロモーター;およびHBVゲノムにおけるXプロモーター;エプスタイン・バーウイルスゲノムにおけるウイルスCp(Cプロモーター);カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)ゲノムにおけるマイナー転写物プロモーター領域;KSHVゲノムにおけるメジャー転写物プロモーター;単純ヘルペスウイルス(HSV)由来のEgr−1プロモーター;HSV−1由来のICP4プロモーター;HSV−2由来のICP10プロモーター;サイトメガロウイルス(CMV)初期エンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス最初期プロモーター;HPV初期プロモーター;およびHPV後期プロモーター。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、転写的抑制ドメインをさらに含む。転写的抑制ドメインは、例えば、次のうち1つまたは複数を含むことができる:Kox1のクルッペル関連ボックスドメイン;HP1αのクロモシャドウドメイン;およびHes1のWRPWドメイン。
組成物は、ヒト皮膚への局所適用に適するように、キャリア内に提供されてよい。一部の実施形態では、核酸は、キャリアによってヒト皮膚へと運搬および送達されるプラスミド内に存在する。
例えば、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、ヒトパピローマウイルス、BKウイルス、JCウイルス、天然痘、B型肝炎ウイルス、ヒトボカウイルス、パルボウイルス、B19、ヒトアストロウイルス、ノーウォークウイルス、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、重症(sever)急性呼吸器症候群ウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、風疹ウイルス、E型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラッサウイルス、マチュポウイルス、サビアウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタニューモ(metapnemo)ウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、狂犬病ウイルス、D型肝炎ウイルス、ロタウイルス、オルビウイルス、コルティウイルスまたはバンナウイルス等、任意の適したウイルスが標的とされてもよい。
本発明は、ウイルス遺伝子の転写を制御するための組成物および方法を提供し、このシステムおよび方法は、例えば、ウイルス感染の処置として、宿主細胞内で適用可能であり得る。本発明は、ウイルス核酸に特異的に結合し、ウイルス核酸の転写を制御し、宿主核酸の転写に影響を与えない部分を使用する。本発明の実施形態は、Cas9等、触媒的に不活性なヌクレアーゼまたは触媒的に不活性なヌクレアーゼをコードする核酸を含む組成物を使用する。
Cas9ヌクレアーゼは、例えば、Cas9をコードする遺伝子の触媒残基に点変異を導入することにより(D10AおよびH840A)、触媒的に不活性になるように操作することができる。このような変異は、Cas9が、dsDNAを切断することができないようにするが、DNAを標的とする能力を保持する。この形態のタンパク質は、非活性化Cas9の代わりに、dCas9と称されることがある。dCas9は、ウイルスゲノム内の標的に特異的なガイドRNAと共に提供することができる。dCas9およびウイルスgRNAを含むシステムは、宿主内でのウイルス転写の制御をもたらす。触媒的に不活性なdCas9の考察は、参照により組み込まれる、Gilbertら、2013年、CRISPR-mediated modular RNA-guided regulation of transcription in eukaryotes、Cell 154巻(2号):442〜51頁に見出すことができる。本発明のシステムは、ウイルス遺伝物質の転写の抑制または活性化に使用することができる。
いずれか適した触媒的に不活性なヌクレアーゼを使用することができる。本発明の組成物および方法は、触媒的に不活性なCas9ホモログまたは触媒的に不活性化された別のCRISPR関連ヌクレアーゼ、ngAgo、Cpf1もしくはhi−fi Cas9を使用することができる。ヌクレアーゼは、例えば、触媒的に不活性なバージョンのCas9、ZFN、TALEN、Cpf1、NgAgo、または無修飾バージョンに実質的に類似したアミノ酸配列を有する修飾されたプログラム可能なヌクレアーゼ、例えば、Cas9、ZFN、TALEN、Cpf1もしくはNgAgoの1つに少なくとも90%類似したアミノ酸配列を有するプログラム可能なヌクレアーゼ、または他のいずれかのプログラム可能なヌクレアーゼであってよい。プログラム可能なヌクレアーゼは、細菌性の規則的な間隔でクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)−Cas(CRISPR関連)ヌクレアーゼまたはCpf1等、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)およびRNA誘導型ヌクレアーゼを含む。プログラム可能なヌクレアーゼは、PfAgoおよびNgAgoも含む。プログラム可能なヌクレアーゼは一般に、酵素が、配列特異的様式で核酸を標的とするまたは核酸を切断するように、ヒトの寄与によって設計または操作され得るまたは設計または操作された核酸を切断する酵素を指す。
本発明のシステムを使用して、転写開始または伸長の遮断等の方法によりウイルス転写を抑制することができる。これは、それぞれプロモーター配列またはエクソン配列に相補的なsgRNAを設計することにより達成される。エクソン配列についての転写抑制のレベルは、鎖特異的である。非鋳型鎖に相補的なsgRNAは、鋳型鎖に相補的なsgRNAと比較して転写をより強く抑制する。この効果を説明する仮説の1つは、sgRNAが、鋳型鎖のエクソンに相補的である場合に、RNA pol IIの前にRNA:DNAヘテロ二重鎖を巻き戻すヘリカーゼの活性に由来する。本発明のシステムは、エフェクタードメインを介して転写を抑制することもできる。dCas9へのリプレッサードメインの融合は、クロマチン凝縮を誘導することにより、転写がさらに抑制されることを可能にする。例えば、クルッペル関連ボックス(KRAB)ドメインをdCas9に融合して、標的遺伝子の転写を抑制することができる。
本発明のシステムは、例えば、転写活性化因子をdCas9に融合することにより、ウイルス転写またはベクター転写の活性化に使用することができる。例えば、転写活性化因子VP16は、遺伝子発現を有意に増加させることができる。
本発明の組成物および方法を使用して、最大99.99%または100%抑制によって標的遺伝子をサイレンシングすることが可能となる場合がある。制御は、sgRNA−DNAおよびNGG PAMモチーフのワトソンクリック塩基対形成に基づくため、ゲノム内の標的化可能部位の選択は、簡単かつ柔軟である。ガイドRNAのための慎重に定義されたプロトコールは、本明細書に提示されている。複数のガイドRNAは、同時に複数の異なる遺伝子の調節に使用されてよいだけでなく(遺伝子標的化のマルチプレックス化)、同じ遺伝子標的の制御の効率の増強に使用されてもよい。外因的システムとして、CRISPRiは、マイクロRNA発現または機能等の内因的機構と競合しない。さらに、CRISPRiは、DNAレベルで作用するため、非コードRNA、マイクロRNA、アンチセンス転写物、核局在化RNAおよびポリメラーゼIII転写物等、転写物を標的とすることができる。最後に、CRISPRiは、はるかに大きい標的化可能配列スペースを保有する;プロモーターおよび理論上はイントロンが標的とされ得る。背景については、参照により組み込まれる、Larsonら、2013年、CRISPR interference (CRISPRi) for sequence-specific control of gene expression、Nature Protocols 8巻(11号):2180〜96頁を参照されたい。本明細書において使用する場合、ガイドRNAまたはgRNAは、トランス活性化RNA(tracrRNA)を有するgRNAおよびシングルガイドRNA(sgRNA)の使用を含む。tracrRNAとの使用のための単離されたgRNAが、ガイドRNAの1種であるのと同様に、tracrRNAを有するgRNAや、sgRNAもそうである。標的にハイブリダイズするガイドRNAの部分は、ガイドRNAの標的化配列の一部である。
図1は、ウイルス感染を処置するための組成物101を例示する図である。組成物101は、Cas9酵素の非切断型バリアントを含むポリペプチドと、ウイルスゲノムにおける標的に相補的な標的化配列を含むRNAとをコードする核酸105を含む。
図2は、ここでは標的221とともに描写される、ウイルスによる感染を処置するための組成物201を示す。組成物201は、Cas9酵素の非切断型バリアントを含むポリペプチド225と、核酸221の一部分に相補的な標的化配列209を含むRNA205とを含む。組成物201が、ウイルスに感染した細胞に導入されると、ポリペプチド225は最終的に、RNA205に結合され、核酸における標的にハイブリダイズし、核酸221の転写に影響を与える。
図2は、組成物101がウイルスに感染した細胞に導入されたときの、組成物101の作用を例示する図である。細胞内で、ポリペプチド225およびRNA205が発現される。ポリペプチド225は、RNA205に結合して複合体201を形成し、複合体201は、標的化配列209を介してウイルスゲノム221における標的にハイブリダイズする。複合体201は、ウイルスゲノム221の少なくとも一部分の転写に影響を与える。一部の実施形態では、複合体201は、ウイルスゲノム221の少なくとも一部分の転写を阻害する。
本明細書に記載されている方法および組成物を使用して、いずれか適したウイルス核酸の転写を制御することが可能となり得る。本発明の組成物は、好ましくは、潜伏ウイルス感染症の処置に用いられる。潜伏ウイルス感染症は、抗ウイルス薬によって標的化され得るタンパク質を発現しない傾向があるため、一部の抗ウイルス薬は、有効でない場合がある。しかし、本発明の組成物および方法を使用すると、標的は実際に核酸配列であり、よって、潜伏ウイルス感染が標的とされ得る。例えば、ウイルス複製起点(original)に結合するgRNAを設計し、dCas9(またはdCas9の遺伝子)を細胞に配置することができる。gRNAによって、dCas9は、ウイルス起点(origin)に結合し、いかなる転写または複製も阻害する。よって、潜伏感染は、再活性化する機会がない。dCas9による転写抑止は、ウイルス遺伝物質の消化に使用されるCas9等、他の抗ウイルス処置と組み合わせると非常に有効となり得る。dCas9は、ウイルスが転写されることを防止することができ、Cas9に、ウイルスゲノムを完全に消化するための時間および機会を与える。
ガイドRNA205は、所定の判定基準に従って標的にマッチし、好ましくは、所定の判定基準に従って宿主ゲノムのいかなる部分にもマッチしない、標的化配列209を含む。よって、標的化配列209は、その設計により、ウイルス核酸の一部分に特異的である。この同じ配列は、好ましくは、宿主ゲノムに出現しない。したがって、宿主遺伝物質に干渉することなく、ウイルス核酸転写を制御することができる。本発明に従った他のシステムが使用される場合、システムが、宿主ゲノムに干渉することなく、ウイルス配列における指定のフィーチャ(feature)または標的に結合し、その転写を制御するように、配列を選ぶことが好ましい。好ましくは、標的化ポリペプチドは、ウイルス配列におけるプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)(例えば、NGG(式中、Nはいずれかのヌクレオチドである))の隣のヌクレオチドストリングに対応する。好ましくは、宿主ゲノムは、(1)所定の類似性判定基準に従ってヌクレオチドストリングにマッチし、(2)また、PAMに隣接する、いかなる領域も欠く。所定の類似性判定基準は、例えば、PAMに対し5’の20ヌクレオチド内の少なくとも12個のマッチするヌクレオチドの要件を含むことができ、PAMに対し5’の10ヌクレオチド内の少なくとも7個のマッチするヌクレオチドの要件を含むこともできる。アノテートされたウイルスゲノム(例えば、GenBank由来)を使用して、ウイルス配列のフィーチャを同定し、ウイルス配列の選択されたフィーチャ(例えば、ウイルス複製起点、末端反復配列、複製因子結合部位、プロモーター、コード配列または反復性領域)内で、ウイルス配列におけるプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の隣にヌクレオチドストリングを見出すことができる。ウイルス配列およびアノテーションは、ゲノムデータベースから得ることができる。
複数の候補標的が、ウイルスゲノムに見出される場合、標的化ポリペプチドの鋳型となるべき配列の選択は、ガイド配列として標的化されるフィーチャに最も近いまたはその5’最末端における候補標的を好む場合がある。選択は、中間(例えば、40%〜60%)GC含量を有する配列を優先的に好む場合がある。エンドヌクレアーゼによるRNA指向性標的化に関する追加的な背景は、これらそれぞれの内容をあらゆる目的のため参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2015/0050699号;米国特許出願公開第20140356958号;米国特許出願公開第2014/0349400号;米国特許出願公開第2014/0342457号;米国特許出願公開第2014/0295556号;および米国特許出願公開第2014/0273037号に考察されている。好ましい実施形態では、所定の類似性判定基準は、20ヌクレオチドストレッチ内で少なくとも60%相補的であることと、20ヌクレオチドストレッチに隣接したプロトスペーサー隣接モチーフの存在とを含む。また、好ましくは、標的化配列209は、所定の判定基準に従ってヒトゲノムのいかなる部分にもマッチしない。標的化配列209を介して標的に適することができるウイルス配列221内の標的は、例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)ゲノムにおけるpreCプロモーター;HBVゲノムにおけるS1プロモーター;HBVゲノムにおけるS2プロモーター;およびHBVゲノムにおけるXプロモーター;エプスタイン・バーウイルスゲノムにおけるウイルスCp(Cプロモーター);カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)ゲノムにおけるマイナー転写物プロモーター領域;KSHVゲノムにおけるメジャー転写物プロモーター;単純ヘルペスウイルス(HSV)由来のEgr−1プロモーター;HSV−1由来のICP4プロモーター;HSV−2由来のICP10プロモーター;サイトメガロウイルス(CMV)初期エンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス最初期プロモーター;HPV初期プロモーター;およびHPV後期プロモーターを含む。
組成物および方法を使用して、いずれか所望の様式で転写を制御することができる。例えば、第1の実施形態では、dCas9は、標的化配列209によってウイルス核酸を認識しこれに結合し、立体障害により転写を下方制御する。すなわち、dCas9ポリペプチド225は、転写機構のアセンブリーまたは操作の成功の防止に十分なほど大型でかさ高い。さらに、ポリペプチド225は、転写抑制に寄与する1つまたは複数の追加的なドメインまたは部分を含むことができる。
ある特定の実施形態では、ポリペプチド225は、転写的抑制ドメインを含むまたはこれに連結される。例えば、転写的抑制ドメインは、Kox1のクルッペル関連ボックスドメイン、HP1αのクロモシャドウドメインまたはHes1のWRPWドメインのうち1つまたは複数を含むことができる。
Kox1のクルッペル関連ボックスドメイン(KRAB)は、およそ400種のヒトジンクフィンガータンパク質に基づく転写因子(KRABジンクフィンガータンパク質)に存在する転写抑制ドメインのカテゴリーである。KRABドメインは典型的に、約75アミノ酸残基からなる一方、最小抑制モジュールは、およそ45アミノ酸残基である。参照により組み込まれる、Margolinら、1994年、Kruppel-associated boxes are potent transcriptional repression domains、PNAS 91巻(10号):4509〜13頁を参照されたい。これは、2個の両親媒性ヘリックスを介したタンパク質−タンパク質相互作用により機能することが予測される。最も顕著な相互作用タンパク質は、TRIM28と呼ばれており、SMP1として初期に可視化され、KAP1およびTIF1−ベータとしてクローニングされている。10種を超える独立してコードされたKRABドメインが、転写の有効なリプレッサーであると示され、この活性が、ドメインの共通の特性であることを示唆する。KRABドメインは、KOX1/ZNF10のジンクフィンガー領域に対し5’の6アミノ酸によって分けられたロイシン残基の周期的配置、ロイシンのコインドヘプタッド反復(coined heptad repeat)(ロイシンジッパーとしても公知)として初期に同定された。その後、このドメインは、C2H2−ジンクフィンガータンパク質クルッペル関連ボックス(KRAB)に関連して命名された。KRABドメインは、四足類生物由来のゲノムに限局される。KRABを含有するC2H2−ZNF遺伝子は、ジンクフィンガー遺伝子の最大サブファミリーを構成する。C2H2−ZNF遺伝子の半分超は、ヒトゲノムにおけるKRABドメインに関連する。これらは、クラスター形成する傾向が高く、ヒトゲノムにおける大型のクラスターに見出される。KRABドメインは、ヒトゲノムにおける最も強いリプレッサーの1種を示す。KRABドメインが、テトラサイクリンリプレッサー(TetR)に融合されると、TetR−KRAB融合タンパク質は、哺乳動物細胞において働く最初の操作された薬物誘導性リプレッサーとなった。KRAB−ZFPをコードするヒト遺伝子は、KOX1/ZNF10、KOX8/ZNF708、ZNF43、ZNF184、ZNF91、HPF4、HTF10およびHTF34を含む。
クロモシャドウドメインは、自己凝集するタンパク質ドメインであり、転写を抑制するクロマチン凝縮を引き起こす。宿主ゲノムに組み込まれたレトロウイルスを処置するときに、ポリペプチド225にクロモシャドウドメインを含むことが特に有益であり得る。よって、一部の実施形態では、本発明の組成物は、レトロウイルスゲノム(HIV等)内の標的にマッチする標的化配列209と、dCas9および1つまたは複数のクロモシャドウドメインの配列を含むポリペプチド225とを含む。標的化配列209およびポリペプチド225は、宿主内で複合体201を形成し、標的化配列209を介して、組み込まれたレトロウイルス配列に結合する。クロモシャドウドメイン(複数可)は、凝集し、クロマチンを凝縮し、レトロウイルスの転写を抑制する。本実施形態のため、好ましくは、ポリペプチド225は、核局在化配列(NLS)を含むことが好ましい場合がある。よって、一部の実施形態では、本発明は、いずれか適した順序で、少なくとも1つのdCas9、少なくとも1つのクロモシャドウドメインおよび少なくとも1つのNLSを含むポリペプチドをコードするプラスミド等のベクターを提供する。gRNAは、このベクターまたは別のベクターによってコードされてよい。
Hes1のWRPWドメインは、Drosophilaヘアリーおよびエンハンサーオブスプリット(Hairy and Enhancer of Split)タンパク質ならびに哺乳動物Hesタンパク質を含む、ヘアリー(hairy)関連タンパク質のTrp−Arg−Pro−Trpモチーフを指す。これらのタンパク質は、Drosophila melanogasterおよび哺乳動物の両方における細胞運命決定を調節する塩基性ヘリックス−ループ−ヘリックス(bHLH)転写リプレッサーである。ヘアリー関連タンパク質は、リプレッサー特異的bHLH DNA結合ドメインおよびカルボキシル末端WRPW(Trp−Arg−Pro−Trp)モチーフの両方の存在によって定義される部位特異的DNA結合タンパク質である。このようなタンパク質は、標的遺伝子プロモーターにおけるDNA部位に結合することにより、また、活性化因子タンパク質に干渉しないことにより、リプレッサーとして作用し、このようなタンパク質が、したがって特異的抑制ドメインを有するべき活性リプレッサーであることを示す。参照により組み込まれる、Fisherら、1996年、Mol Cell Biol.16巻:2670頁を参照されたい。
転写的抑制ドメインを有するdCas9を増強することにより、本発明の組成物の転写制御を強化することができる。
本方法の組成物は、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターを含む、適したベクターを含むことができる(例えば、その内にパッケージングすることができる)。好ましい実施形態では、本発明の方法および組成物は、プラスミドにおいてコードされたdCas9および/またはgRNAを提供する。
図3は、核酸101を含有するプラスミド301を例示する図である。一部の実施形態では、核酸101は、プラスミド301内に存在し、上に記載または考察されているもののいずれか等、適したキャリアによってヒト皮膚に運搬および送達される。
その上またはそれに代えて、本発明の材料は、ウイルスベクター等のベクターを使用して提供することができる。一部の実施形態では、本発明は、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)の使用を含む。AAVは、その低い免疫原性およびある特定の組織の優先的感染を可能にする範囲の血清型であるため、in vivo遺伝子送達に使用することができる。AAVベクターへのdCas9の遺伝子およびgRNAの一体的なパッケージング(約4.2kb)が、AAVの低いパッケージング容量のため(約4.5kb)困難である可能性がある場合、そのdCas9および1つまたは複数のgRNAは、別々のAAVベクターにパッケージングし、全体的パッケージング容量を増加させることができる。dCas9遺伝子は、Streptococcus thermophilus由来のSt1Cas9に基づく本来のタンパク質の「収縮した」バージョンおよび合理的に設計されたトランケート型Cas9を含むことができる。
本発明の組成物は、皮下、経皮、水力学的遺伝子送達、局所または他のいずれか適した方法を含む、いずれか適した方法によって送達することができる。一部の実施形態では、組成物101は、キャリア内に提供され(is provided a carrier)、ヒト皮膚への局所適用に適する。組成物は、宿主における組織への送達によって、in situで細胞に導入することができる。宿主細胞への組成物の導入は、例えば局所的に、宿主におけるウイルス感染の局部リザーバーへの非全身的な組成物の送達を含むことができる。
本発明の組成物は、医薬の局所、真皮、真皮内または経皮送達のために皮膚表面に適用され得るいずれか許容できる製剤等、許容できる局所キャリア中で、皮膚の患部に送達することができる。許容できる局所キャリアおよび本明細書に記載されている組成物の組合せは、本発明の局所製剤と名付けられる。本発明の局所製剤は、本技術分野の周知方法、例えば、REMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTCE OF PHARMACY 1577〜1591、1672〜1673、866〜885頁(Alfonso R. Gennaro編);Ghosh, T. K.;ら、TRANSDERMAL AND TOPICAL DRUG DELIVERY SYSTEMS(1997年)等の標準的な文献によって提供されている方法に従って、局所キャリアと組成物とを混合することにより調製される。
本明細書に記載されている化合物の局所送達に有用な局所キャリアは、医薬品を局所に投与するための本技術分野で公知のいずれかのキャリアであってよく、例えば、多価アルコールまたは水等、許容できる溶媒;クリームまたはローション等、乳濁液(水中油型または油中水型エマルションのいずれか);マイクロエマルション;ゲル;軟膏;リポソーム;粉末;および標準眼科用調製物等、水溶液または懸濁液が挙げられるがこれらに限定されない。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されている組成物の送達に使用される局所キャリアは、乳濁液、ゲルまたは軟膏である。クリームおよびローション等のエマルションは、本発明に従った使用に適した局所製剤である。エマルションは、少なくとも2つの非混和性相を含む分散系であり、一方の相は、直径0.1μm〜100μmの範囲の液滴として他方の相において分散される。乳化剤が典型的に含まれて、安定性を改善する。
別の実施形態では、局所キャリアは、ゲル、例えば、2相ゲルまたは単相ゲルである。ゲルは、液体によって相互浸透した小型の無機粒子または大型の有機分子の懸濁液からなる半固体の系である。ゲル塊は、小型の別個の無機粒子のネットワークを含む場合、2相ゲルとして分類される。単相ゲルは、分散した高分子および液体の間に明らかな境界が存在しないように、液体全体に均一に分布した有機高分子からなる。本発明における使用に適したゲルは、REMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1517〜1518頁(Alfonso R. Gennaro編、第19版、1995年)に開示されている。本発明における使用に適した他のゲルは、米国特許第6,387,383号(2002年5月14日に発行);同第6,517,847号(2003年2月11日に発行);および同第6,468,989号(2002年10月22日に発行)に開示されている。使用することができるポリマー増粘剤(ゲル化剤)は、化粧品および医薬品産業で頻繁に使用される親水性および水−アルコール性ゲル化剤等、当業者に公知のものを含む。好ましくは、ゲル化剤は、組成物の約0.2重量%〜約4重量%の間を構成する。剤は、カルボマーという採用された一般名を与えられた、架橋アクリル酸ポリマーであってよい。このようなポリマーは、水に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは他のアミン塩基等の苛性材料による中和後に、清澄なまたは僅かに濁ったゲルを形成する。
別の好ましい実施形態では、局所キャリアは、軟膏である。軟膏は、あるとしても殆ど水を含有しない油性半固体である。好ましくは、軟膏は、ワックス、ワセリンまたはゲル化ミネラルオイル等、炭化水素系である。
別の実施形態では、本発明の局所製剤において使用される局所キャリアは、水溶液または懸濁液、好ましくは、水溶液である。周知の眼科用溶液および懸濁液は、本発明における使用に適した局所キャリアである。本発明の水性局所製剤のpHは、好ましくは、約6〜約8の範囲内である。pHを安定化するために、好ましくは、有効量のバッファが含まれる。一実施形態では、緩衝剤は、水性局所製剤中に、製剤の約0.05〜約1重量パーセントの量で存在する。本発明の水性局所製剤に浸透圧調整剤が含まれてよい。適した浸透圧調整剤の例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、デキストロース、グリセリンおよびプロピレングリコールが挙げられるがこれらに限定されない。等張化剤の量は、製剤の所望の特性に応じて広く変動し得る。一実施形態では、浸透圧調整剤は、製剤の約0.5〜約0.9重量パーセントの量で水性局所製剤に存在する。好ましくは、本発明の水性局所製剤は、0.015〜0.025Pa.s(約15cps〜約25cps)の範囲の粘度を有する。本発明の水溶液の粘度は、例えば、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロクサマー、カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースが挙げられるがこれらに限定されない、粘度調整剤を添加することにより調整することができる。
本発明の局所製剤は、保護剤、吸着剤、粘滑剤、軟化剤、保存剤、抗酸化剤、保湿剤、緩衝剤、可溶化剤、皮膚浸透剤および界面活性剤等、許容できる賦形剤を含むことができる。適した保護剤および吸着剤として、散布剤(dusting powder)、ステアリン酸亜鉛(zinc sterate)、コロジオン、ジメチコン、シリコーン、炭酸亜鉛、アロエベラゲルおよび他のアロエ産物、ビタミンE油、アラントイン(allatoin)、グリセリン、ワセリンならびに酸化亜鉛が挙げられるがこれらに限定されない。適した粘滑剤として、ベンゾイン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルアルコールが挙げられるがこれらに限定されない。適した軟化剤として、動物性および植物性脂肪および油、ミリスチルアルコール、ミョウバンならびに酢酸アルミニウムが挙げられるがこれらに限定されない。適した保存剤として、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド、塩化デカリニウムおよび塩化セチルピリジニウム等、四級アンモニウム化合物;硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀およびチメロサール等、水銀剤;アルコール剤、例えば、クロロブタノール、フェニルエチルアルコールおよびベンジルアルコール;抗菌エステル、例えば、パラヒドロキシ安息香酸のエステル;ならびにクロルヘキシジン、クロロクレゾール、安息香酸およびポリミキシン等、他の抗微生物剤が挙げられるがこれらに限定されない。二酸化塩素(ClO2)、好ましくは、安定化された二酸化塩素は、本発明の局所製剤による使用に好ましい保存剤である。適した抗酸化剤として、アスコルビン酸およびそのエステル、亜硫酸水素ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロール、ならびにEDTAおよびクエン酸等のキレート剤が挙げられるがこれらに限定されない。適した保湿剤として、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、尿素およびプロピレングリコールが挙げられるがこれらに限定されない。本発明における使用に適した緩衝剤として、酢酸バッファ、クエン酸バッファ、リン酸バッファ、乳酸バッファおよびホウ酸バッファが挙げられるがこれらに限定されない。適した可溶化剤として、四級塩化アンモニウム、シクロデキストリン、安息香酸ベンジル、レシチンおよびポリソルベートが挙げられるがこれらに限定されない。適した皮膚浸透剤として、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、オクチルフェニルポリエチレングリコール、オレイン酸、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、N−デシルメチルスルホキシド、脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、グリセロールモノオレエートおよびプロピレングリコールモノオレエート);およびN−メチルピロリドンが挙げられるがこれらに限定されない。
図4は、ウイルス感染を処置するための方法401を図示する。方法401は、Cas9酵素の非切断型バリアントを含むポリペプチド225と、ウイルスゲノム221における標的に相補的な部分209を含むRNA205とをコードする核酸105を含む組成物101を宿主細胞に導入するステップを含む。好ましくは、ポリペプチド225は、RNA205に結合して複合体201を形成し、複合体は、RNA内の標的化配列209を介してウイルスゲノム221における標的にハイブリダイズする。好ましい実施形態では、宿主細胞は、宿主とin situであり、宿主は、哺乳動物である。
好ましくは、標的化配列209は、指定の類似性判定基準に従って標的にマッチし、類似性判定基準に従って宿主ゲノムのいかなる部分にもマッチしない。例えば、類似性判定基準は、標的化配列および標的が、20ヌクレオチドストレッチ内で少なくとも60%相補的であり、ここで、標的は、20ヌクレオチドストレッチに隣接してプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を有すると定めることができる。方法401は、ウイルスゲノムの少なくとも一部分の転写を阻害する複合体201をもたらすことができる。
方法401を使用して、いずれか適したウイルスゲノムが標的とされてよい。例えば、ウイルスゲノムは、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、ヒトパピローマウイルス、BKウイルス、JCウイルス、天然痘、B型肝炎ウイルス、ヒトボカウイルス、パルボウイルス、B19、ヒトアストロウイルス、ノーウォークウイルス、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、重症(sever)急性呼吸器症候群ウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、風疹ウイルス、E型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラッサウイルス、マチュポウイルス、サビアウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタニューモウイルス(human metapnemovirus)、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、狂犬病ウイルス、D型肝炎ウイルス、ロタウイルス、オルビウイルス、コルティウイルスまたはバンナウイルス等のウイルスに由来することができる。好ましい実施形態では、ウイルスゲノム221は、ヒト宿主に潜伏感染することができるウイルスのゲノムである。ある特定の実施形態では、宿主細胞への組成物の導入は、ヒト患者内の潜伏感染の局部リザーバーへの組成物の送達を含む。ウイルスゲノムにおける標的は、B型肝炎ウイルス(HBV)ゲノムにおけるpreCプロモーター;HBVゲノムにおけるS1プロモーター;HBVゲノムにおけるS2プロモーター;またはHBVゲノムにおけるXプロモーターなどの標的を含むことができる。好ましい実施形態では、ウイルスゲノムにおける標的は、エプスタイン・バーウイルス(EBV)ゲノムにおけるウイルスCp(Cプロモーター)を含む。
図5は、EBV参照ゲノムを図示する。EBVゲノムを標的化するガイドRNAを設計するために、図5に描写されているもの等、EBV参照ゲノムを参照することができる。EBNA1等、重要な領域を標的とするガイドRNAを設計することができる。EBNA1は、遺伝子制御および潜伏ゲノム複製を含む多くのEBV機能に決定的である。EBNA1コード領域の両端のいずれか(either of both ends)へのガイドRNAの標的化は、転写に有意に干渉することができる。図5に示す通り、ガイドRNAのsgEBV1、2および6は、反復領域に収まり、複合体201による結合の確率を増加させる。このような「構造的」標的は、ウイルス機能に重要なタンパク質の発現への系統的干渉を可能にする。
ある特定の実施形態では、ウイルスゲノムにおける標的は、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)ゲノムにおけるマイナー転写物プロモーター領域、KSHVゲノムにおけるメジャー転写物プロモーターまたはその両方を含む。一部の実施形態では、ウイルスゲノムにおける標的は、単純ヘルペスウイルス(HSV)由来のEgr−1プロモーター;HSV−1由来のICP4プロモーター;およびHSV−2由来のICP10プロモーターのうち1つまたは複数を含む。他の実施形態では、ウイルスゲノムにおける標的は、次から選択される標的を含む:サイトメガロウイルス(CMV)初期エンハンサーエレメントおよびサイトメガロウイルス最初期プロモーター。実施形態では、ウイルスゲノムにおける標的は、HPV初期プロモーターまたはHPV後期プロモーターを含む。
本発明の一部の実施形態では、本発明の組成物またはこれによって少なくとも一部がコードされる複合体は、例えば、ウイルスに感染した宿主の細胞内における、転写の上方制御に使用される。例えば、図1または図3に示す通り、組成物101は、Cas9酵素の非切断型バリアントを含むポリペプチドと、ウイルスゲノムにおける標的に相補的な標的化配列を含むRNAとをコードする核酸105を含む。核酸105が、プラスミド301の一部である場合、ある特定の実施形態では、複合体201は、プラスミド301にハイブリダイズし、プラスミド301の少なくとも一部分の上方制御された転写を引き起こす。感染細胞内の核酸105の初期転写には、上方制御された転写が続いて上方制御された転写を増加させる、正のフィードバックサイクルに寄与することが有用となり得る。好ましくは、標的化配列209は、所定の判定基準に従って標的にマッチし、所定の判定基準に従って宿主ゲノムのいかなる部分にもマッチしない。一部の実施形態では、核酸105(例えば、プラスミド301内の)は、ウイルスのゲノム由来のプロモーターをさらにコードする。このような手段により、複合体225は、ウイルスに感染した宿主細胞内の転写を上方制御する。
一部の態様および実施形態では、本発明は、複合体を形成するdCas9およびgRNAを提供することにより、dCas9を使用して転写を制御するための組成物および方法を提供し、ここで、複合体は、宿主細胞内の転写を上方制御する。例えば、プラスミド301が提供されてよく、これによると、ポリペプチド225は、RNA205に結合して複合体201を形成し、複合体201は、プラスミド301にハイブリダイズし、プラスミド301の少なくとも一部分の上方制御された転写を引き起こす。プラスミド301は、制御配列、転写因子もしくは他の酵素の遺伝子、他の遺伝子、またはこれらの組合せ等、図3内に描写されていない他のエレメントを含有することができる。一部の実施形態では、宿主細胞内のプラスミドの初期転写は、上方制御された転写が続いて上方制御された転写を増加させる、正のフィードバックサイクルをもたらす。
参照による組み込み
特許、特許出願、特許公開、雑誌、本、論文、ウェブコンテンツ等、他の文書の参照および引用が、本開示を通してなされている。このような文書は全て、あらゆる目的のため、これによりこれらの全体を参照により本明細書に組み込まれる。
特許、特許出願、特許公開、雑誌、本、論文、ウェブコンテンツ等、他の文書の参照および引用が、本開示を通してなされている。このような文書は全て、あらゆる目的のため、これによりこれらの全体を参照により本明細書に組み込まれる。
均等物
本明細書に示され記載されているものに加えて、本発明およびその多くのさらなる実施形態の様々な修飾は、本明細書に引用されている科学および特許文献の参照を含む本文書の全内容から当業者には明らかになる。本明細書における主題は、その様々な実施形態における本発明の実施に適応され得る重要な情報、例証およびガイダンス、ならびにこれらの均等物を含有する。
本明細書に示され記載されているものに加えて、本発明およびその多くのさらなる実施形態の様々な修飾は、本明細書に引用されている科学および特許文献の参照を含む本文書の全内容から当業者には明らかになる。本明細書における主題は、その様々な実施形態における本発明の実施に適応され得る重要な情報、例証およびガイダンス、ならびにこれらの均等物を含有する。
(実施例1)
EBVの標的化
バーキットリンパ腫細胞株Raji、NamalwaおよびDG−75は、ATCCから得て、ATCCの推奨に従って10%FBSおよびPSAを補充したRPMI 1640において培養することができる。ヒト初代肺線維芽細胞IMR−90は、Coriellから得て、10%FBSおよびPSAを補充したAdvanced DMEM/F−12において培養することができる。
EBVの標的化
バーキットリンパ腫細胞株Raji、NamalwaおよびDG−75は、ATCCから得て、ATCCの推奨に従って10%FBSおよびPSAを補充したRPMI 1640において培養することができる。ヒト初代肺線維芽細胞IMR−90は、Coriellから得て、10%FBSおよびPSAを補充したAdvanced DMEM/F−12において培養することができる。
U6プロモーター駆動キメラガイドRNA(sgRNA)および遍在性プロモーター駆動dCas9からなるプラスミドを得ることができる。dCas9タンパク質の後に融合されたEGFPマーカーは、dCas9陽性細胞の選択を可能にする。修飾されたキメラガイドRNA設計は、より効率的なPol−III転写およびより安定的なステム−ループ構造を可能にし得る(Chen Bら(2013年)Dynamic Imaging of Genomic Loci in Living Human Cells by an Optimized CRISPR/Cas System.、Cell 155巻:1479〜1491頁)。
合成イントロンを有する修飾されたCMVプロモーター(pmax)は、Lonza対照プラスミドpmax−GFPからPCR増幅される。修飾されたガイドRNA sgRNA(F+E)は、IDTから注文される。EBV複製起点oriPは、B95−8形質転換リンパ芽球様細胞株GM12891からPCR増幅される。標準クローニングプロトコールを使用して、pX458にpmax、sgRNA(F+E)およびoriPをクローニングして、本来のCAGプロモーター、sgRNAおよびf1起点を置き換えることができる。EBV sgRNAは、図5に示すEBVゲノムに基づいて設計することができる。DNAオリゴは、IDTから注文される。pX458における本来のsgRNAプレイスホルダーは、陰性対照として役立つ。
リンパ球は、リポフェクションに対し抵抗性であることが公知であり、したがって、Raji細胞へのDNA送達にはヌクレオフェクション(nucleofection)を使用することができる。Lonza pmaxプロモーターは、Raji細胞内で強い発現を提供することから、dCas9発現の駆動に選ばれる。Lonza Nucleofector IIは、DNA送達に使用される。各100ul反応において、5百万個のRajiまたはDG−75細胞が、5ugのプラスミドをトランスフェクトされる。細胞株Kit VおよびプログラムM−013が、Lonzaの推奨に従って使用される。IMR−90については、プログラムT−030またはX−005により、100ulの溶液Vにおいて、百万個の細胞が、5ugのプラスミドをトランスフェクトされる。
EBVゲノムを標的化するガイドRNAを設計するために、系統B95−8由来のEBV参照ゲノム(図5を参照)を使用することができる。異なる転写制御目的のための7個のガイドRNA設計による6個の領域を標的とすることができる。EBNA1は、遺伝子制御および潜伏ゲノム複製を含む多くのEBV機能に決定的である。ゲノムのこの全領域の転写に干渉するために、ガイドRNAのsgEBV4およびsgEBV5は、EBNA1コード領域の両端に標的化されてよい。ガイドRNAのsgEBV1、2および6は、反復領域に収まり、dCas9による結合の成功率が増加する。EBNA3CおよびLMP1は、宿主細胞形質転換に必須であり、ガイドRNAのsgEBV3およびsgEBV7は、それぞれこれら2種のタンパク質の5’エクソンを標的とするように設計される。
(実施例2)
B型肝炎ウイルス(HBV)の標的化
本発明の方法および材料を使用して、B型肝炎ウイルス(HBV)のような潜伏ウイルスゲノム等、特異的遺伝物質の転写を制御することができる。本発明は、標的細胞(例えば、肝細胞)への核酸(DNAプラスミド等)の効率的かつ安全な送達をさらに提供する。一実施形態では、本発明の方法は、標的HBVへの水力学的遺伝子送達を使用する。
B型肝炎ウイルス(HBV)の標的化
本発明の方法および材料を使用して、B型肝炎ウイルス(HBV)のような潜伏ウイルスゲノム等、特異的遺伝物質の転写を制御することができる。本発明は、標的細胞(例えば、肝細胞)への核酸(DNAプラスミド等)の効率的かつ安全な送達をさらに提供する。一実施形態では、本発明の方法は、標的HBVへの水力学的遺伝子送達を使用する。
図6は、HBVゲノムを図示する。HBVゲノムのためのアノテーション(すなわち、ゲノムの重要なフィーチャを同定する)を受け、ウイルス複製起点、末端反復配列、複製因子結合部位、プロモーター、コード配列および反復性領域等、このようなフィーチャの1つの内に位置するdCas9による標的化のための候補を選ぶことが好ましい場合がある。
Hepadnaviridae科のプロトタイプメンバーであるHBVは、42nmの部分的二本鎖DNAウイルスであり、27nmヌクレオカプシドコア(HBcAg)で構成され、それは表面抗原(HBsAg)を含有する外側のリポタンパク質コート(エンベロープとも呼ばれる)で囲まれている。ウイルスは、3〜3.3kbのほどけた環状の部分的二重鎖DNAと、ビリオンDNA鋳型におけるギャップを修復することができ、逆転写酵素活性を有する、ビリオン関連DNA依存性ポリメラーゼとを含有する、エンベロープに包まれたビリオンを含む。HBVは、ポリメラーゼ(P)、コアタンパク質(C)、表面タンパク質(S)およびXタンパク質をコードする4個の重複ORFを有するおよそ3200bpの環状の部分的二本鎖DNAウイルスである。感染において、ウイルスヌクレオカプシドは、細胞に進入し、核に達し、そこで、ウイルスゲノムが送達される。核において、第2の鎖のDNA合成が完了され、両方の鎖におけるギャップが修復されて、3.5、2.4、2.1および0.7kb長の4種のウイルスRNAの転写のための鋳型として役立つ、共有結合により閉環した環状DNA分子を生じる。これらの転写物は、ポリアデニル化され、細胞質へと輸送され、そこで、ウイルスヌクレオカプシドおよびプレコア抗原(C、pre−C)、ポリメラーゼ(P)、エンベロープL(大)、M(中)、S(小))ならびに転写トランス活性化タンパク質(X)へと翻訳される。エンベロープタンパク質は、内在性膜タンパク質として小胞体(ER)の脂質膜へと自身を挿入する。ゲノム全体に及び、プレゲノムRNA(pgRNA)と命名された3.5kb種は、HBVポリメラーゼおよびタンパク質キナーゼと一緒にコア粒子へとパッケージングされ、そこで、マイナス鎖DNAの逆転写のための鋳型として役立つ。RNAからDNAへの変換は、粒子の内側で行われる。
HBVゲノムにおける塩基対のナンバリングは、制限酵素EcoR1の切断部位またはEcoR1部位が存在しない場合は相同部位に基づく。しかし、コアタンパク質の開始コドンまたはRNAプレゲノムの最初の塩基に基づく、他のナンバリング方法も使用される。HBVゲノムにおける全塩基対が、HBVタンパク質の少なくとも1種のコードに関与する。しかし、ゲノムは、転写のレベルを制御し、ポリアデニル化の部位を決定し、さらにはヌクレオカプシドへのキャプシド形成のための特異的転写物をマークする遺伝子エレメントも含有する。4種のORFは、様々なインフレームの開始コドンの使用により、7種の異なるHBVタンパク質の転写および翻訳をもたらす。例えば、リボソームが、adwゲノムの位置155のATGから翻訳を始める場合、小型のB型肝炎表面タンパク質が生成される。リボソームが、位置3211の上流ATGから始める場合、中型のB型肝炎表面タンパク質が生成され、タンパク質の5’端における55アミノ酸の付加が生じる。
ORF Pは、ゲノムの大部分を占有し、B型肝炎ポリメラーゼタンパク質をコードする。ORF Sは、3種の表面タンパク質をコードする。ORF Cは、e型肝炎およびコアタンパク質の両方をコードする。ORF Xは、B型肝炎Xタンパク質をコードする。HBVゲノムは、ウイルス複製が起こるために必要な多くの重要なプロモーターおよびシグナル領域を含有する。4種のORFの転写は、4種のプロモーターエレメント(preS1、preS2、コアおよびX)および2種のエンハンサーエレメント(Enh IおよびEnh II)によって制御される。あらゆるHBV転写物は、ゲノムにおける1916〜1921に及ぶ領域に配置された共通アデニル化シグナルを共有する。その結果生じる転写物は、3.5ヌクレオチド〜0.9ヌクレオチドの長さに及ぶ。コア/プレゲノムプロモーターの配置のため、ポリアデニル化部位は、差次的に利用される。カノニカル真核生物ポリアデニル化シグナル配列(AATAAA)とは対照的に、ポリアデニル化部位は、ヘキサヌクレオチド配列(TATAAA)である。TATAAAは、非効率的に働くことが公知であり、HBVによる差次的使用に適する。
C、X、PおよびSと呼ばれる、ゲノムによってコードされる4種の公知遺伝子が存在する。コアタンパク質は、遺伝子C(HBcAg)によってコードされ、その開始コドンは、プレコアタンパク質が産生される上流のインフレームのAUG開始コドンによって先行される。HBeAgは、プレコアタンパク質のタンパク分解性プロセシングによって産生される。DNAポリメラーゼは、遺伝子Pによってコードされる。遺伝子Sは、表面抗原(HBsAg)をコードする遺伝子である。HBsAg遺伝子は、1個の長いオープンリーディングフレームであるが、遺伝子を3つのセクション、pre−S1、pre−S2およびSに分ける3個のインフレームの開始(ATG)コドンを含有する。複数の開始コドンのため、大、中および小(pre−S1+pre−S2+S、pre−S2+SまたはS)と呼ばれる3種の異なるサイズのポリペプチドが産生される。遺伝子Xによってコードされるタンパク質の機能は、十分に理解されてはいないが、肝臓がんの発症に関連する。これは、細胞成長を促進する遺伝子を刺激し、成長制御分子を不活性化する。
図6を参照すると、HBVは、PreS1により宿主細胞に結合することにより、その感染サイクルを開始する。PreS1に対するガイドRNA(「sgHBV−PreS1」)は、コード配列の5’端に配置される。dCas9による結合は、いずれかのポリメラーゼ活性に干渉する。HBVは、同一反復DR1およびDR2を両端に、RNAキャプシド形成シグナルイプシロンを5’端に有する、長いRNAの形態によりそのゲノムを複製する。ポリメラーゼ遺伝子の逆転写酵素ドメイン(RT)は、RNAをDNAに変換する。Hbxタンパク質は、ウイルス複製および宿主細胞機能の重要な制御因子である。RTに対するRNAによってガイドされる転写制御(「sgHBV−RT」)は、RT転写または翻訳に干渉する。ガイドRNAのsgHbxおよびsgCoreは、HbxおよびHBVコアタンパク質ならびにDR2−DR1−イプシロンを含有する全領域の転写に干渉することができる。組み合わせた4種のsgRNAも、HBVゲノムの非転写をもたらすことができる。
HBVは、RNA中間体の逆転写によってそのゲノムを複製する。RNA鋳型は先ず、一本鎖DNA種(マイナス鎖DNA)に変換され、これはその後、プラス鎖DNA合成のための鋳型として使用される。HBVにおけるDNA合成は、プラス鎖DNA合成のためのRNAプライマーを使用し、これは主に、一本鎖DNAにおける内部配置において開始する。プライマーは、RNA鋳型の5’端からの配列非依存性の大きさ(measurement)である、RNase H切断により生成される。この18ヌクレオチドRNAプライマーは、マイナス鎖DNAの3’端にアニールされ、プライマーの3’端は、12ヌクレオチド直接反復配列、DR1内に配置される。プラス鎖DNA合成の大部分は、プライマー転座(primer translocation)の結果として、マイナス鎖DNAの他端の付近に配置された12ヌクレオチド直接反復配列、DR2から開始する。プラス鎖プライミングの部位は、重要である。in situプライミングは、二重鎖直鎖状(DL)DNAゲノムをもたらす一方、DR2からのプライミングは、環状化と命名される、第2の鋳型スイッチの完了後にほどけた環状(RC)のDNAゲノムの合成をもたらし得る。ヘパドナウイルスが、プラス鎖DNA合成のプライミングのために、この加えられた複雑さを有する理由は依然として不明であるが、プライマー転座の機構は潜在的な治療標的である。ウイルス複製は、ヘパドナウイルス(ヒト病原体、B型肝炎ウイルスを含む)慢性キャリア状態の維持に必要であるため、複製を理解し、治療標的を明らかにすることは、キャリアにおける疾患を制限するために重大な意味を持つ。
一部の実施形態では、本発明のシステムおよび方法は、PreS1等、フィーチャ内のヌクレオチドストリングを見出すことにより、HBVゲノムを標的化する。PreS1に対するガイドRNAは、コード配列の5’端に配置される。よって、これは、コード配列における5’の最大の標的の1種を表し、dCas9が、いかなる転写も防止し得るため、標的化に優れた候補である。
HBVは、同一反復配列DR1およびDR2を両端に、RNAキャプシド形成シグナルイプシロンを5’端に有する、長いRNAの形態によりそのゲノムを複製する。ポリメラーゼ遺伝子の逆転写酵素ドメイン(RT)は、RNAをDNAに変換する。Hbxタンパク質は、ウイルス複製および宿主細胞機能の重要な制御因子である。dCas9が、RTに対するRNAによってガイドされる場合、RT転写/翻訳が干渉され得る。図6は、CRISPRガイドRNAによって標的化される、HBVゲノムにおける重要な部分を示す。細胞における転写制御を達成するため、dCas9およびガイドRNAをコードする発現プラスミドは、目的の細胞(例えば、HBV DNAを保有する細胞)に送達される。
Claims (23)
- ウイルス感染を処置するための組成物であって、
プログラム可能なヌクレアーゼの非切断型バリアントを含むポリペプチドと、
ウイルスゲノムにおける標的に相補的な標的化配列を含む標的化オリゴと
をコードする核酸を含む、組成物。 - 前記プログラム可能なヌクレアーゼが、Cas9であり、前記標的化オリゴが、ガイドRNAである、請求項1に記載の組成物。
- 前記組成物が前記ウイルスに感染した細胞に導入されると、
前記ポリペプチドおよび前記ガイドRNAが発現され、
該ポリペプチドが、該ガイドRNAに結合して複合体を形成し、
該複合体が、前記標的化配列を介して前記ウイルスゲノムにおける前記標的にハイブリダイズする、請求項2に記載の組成物。 - 前記複合体が、前記ウイルスゲノムの少なくとも一部分の転写に影響を与える、請求項3に記載の組成物。
- 前記複合体が、前記ウイルスゲノムの少なくとも一部分の転写を阻害する、請求項4に記載の組成物。
- 前記標的化配列が、所定の判定基準に従って前記標的にマッチし、該所定の判定基準に従って宿主ゲノムのいかなる部分にもマッチしない、請求項5に記載の組成物。
- 前記宿主ゲノムが、ヒトゲノムであり、前記標的化配列が、前記所定の判定基準に従って該ヒトゲノムのいかなる部分にもマッチしない、請求項6に記載の組成物。
- 前記ウイルスゲノムにおける前記標的が、B型肝炎ウイルス(HBV)ゲノムにおけるpreCプロモーター;該HBVゲノムにおけるS1プロモーター;該HBVゲノムにおけるS2プロモーター;および該HBVゲノムにおけるXプロモーター;エプスタイン・バーウイルスゲノムにおけるウイルスCp(Cプロモーター);カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)ゲノムにおけるマイナー転写物プロモーター領域;該KSHVゲノムにおけるメジャー転写物プロモーター;単純ヘルペスウイルス(HSV)由来のEgr−1プロモーター;HSV−1由来のICP4プロモーター;HSV−2由来のICP10プロモーター;サイトメガロウイルス(CMV)初期エンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス最初期プロモーター;HPV初期プロモーター;およびHPV後期プロモーターからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項7に記載の組成物。
- 前記ポリペプチドが、転写的抑制ドメインをさらに含む、請求項5に記載の組成物。
- 前記転写的抑制ドメインが、Kox1のクルッペル関連ボックスドメイン;HP1αのクロモシャドウドメイン;およびHes1のWRPWドメインからなる群から選択される1種を含む、請求項9に記載の組成物。
- 前記複合体が、宿主細胞内の転写を上方制御する、請求項4に記載の組成物。
- 前記ウイルスゲノムが、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、ヒトパピローマウイルス、BKウイルス、JCウイルス、天然痘、B型肝炎ウイルス、ヒトボカウイルス、パルボウイルス、B19、ヒトアストロウイルス、ノーウォークウイルス、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、重症急性呼吸器症候群ウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、風疹ウイルス、E型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラッサウイルス、マチュポウイルス、サビアウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、狂犬病ウイルス、D型肝炎ウイルス、ロタウイルス、オルビウイルス、コルティウイルスおよびバンナウイルスからなる群から選択されるウイルスに由来する、請求項1に記載の組成物。
- ウイルス感染を処置するための組成物であって、
Cas9酵素の非切断型バリアントを含むポリペプチドと、
ウイルスゲノムにおける標的に相補的な標的化オリゴヌクレオチドと
を含む、組成物。 - 前記組成物が前記ウイルスに感染した細胞に導入されると、
前記ポリペプチドが、前記標的化オリゴヌクレオチドと複合体を形成し、
該複合体が、該標的化オリゴヌクレオチドを介して前記ウイルスゲノムにおける前記標的にハイブリダイズする、請求項13に記載の組成物。 - 前記標的化オリゴヌクレオチドが、RNAを含み、リボ核タンパク質における前記ポリペプチドと複合体化される、請求項13に記載の組成物。
- 前記複合体が、前記ウイルスゲノムの少なくとも一部分の転写に影響を与える、請求項14に記載の組成物。
- 前記ウイルスゲノムにおける前記標的が、B型肝炎ウイルス(HBV)ゲノムにおけるpreCプロモーター;該HBVゲノムにおけるS1プロモーター;該HBVゲノムにおけるS2プロモーター;および該HBVゲノムにおけるXプロモーター;エプスタイン・バーウイルスゲノムにおけるウイルスCp(Cプロモーター);カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)ゲノムにおけるマイナー転写物プロモーター領域;該KSHVゲノムにおけるメジャー転写物プロモーター;単純ヘルペスウイルス(HSV)由来のEgr−1プロモーター;HSV−1由来のICP4プロモーター;HSV−2由来のICP10プロモーター;サイトメガロウイルス(CMV)初期エンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス最初期プロモーター;HPV初期プロモーター;およびHPV後期プロモーターからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項16に記載の組成物。
- ウイルス感染を処置するための組成物であって、
プログラム可能なヌクレアーゼの非切断型バリアントを含むポリペプチドをコードする5’キャップを含むmRNAと、
ウイルスゲノムにおける標的に相補的な標的化配列を含む標的化オリゴと
を含む、組成物。 - 前記プログラム可能なヌクレアーゼが、Cas9であり、前記標的化オリゴが、ガイドRNAである、請求項18に記載の組成物。
- 前記プログラム可能なヌクレアーゼが、NgAgo、Cas9、アルゴノート、Cas9ホモログおよびCpf1からなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
- 前記組成物が前記ウイルスに感染した細胞に導入されると、
前記ポリペプチドが発現され、
該ポリペプチドが、前記RNAに結合して複合体を形成し、
該複合体が、前記標的化配列を介して前記ウイルスゲノムにおける前記標的にハイブリダイズする、請求項18に記載の組成物。 - 複合体が、前記ウイルスゲノムの少なくとも一部分の転写に影響を与える、請求項18に記載の組成物。
- 前記ウイルスゲノムにおける前記標的が、B型肝炎ウイルス(HBV)ゲノムにおけるpreCプロモーター;該HBVゲノムにおけるS1プロモーター;該HBVゲノムにおけるS2プロモーター;および該HBVゲノムにおけるXプロモーター;エプスタイン・バーウイルスゲノムにおけるウイルスCp(Cプロモーター);カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)ゲノムにおけるマイナー転写物プロモーター領域;該KSHVゲノムにおけるメジャー転写物プロモーター;単純ヘルペスウイルス(HSV)由来のEgr−1プロモーター;HSV−1由来のICP4プロモーター;HSV−2由来のICP10プロモーター;サイトメガロウイルス(CMV)初期エンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス最初期プロモーター;HPV初期プロモーター;およびHPV後期プロモーターからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項18に記載の組成物。
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