JP2018531146A6 - 硫化水素の選択的除去のための吸収剤及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】硫化水素の選択的除去のための吸収剤及び方法を提供する。
【解決手段】
二酸化炭素及び硫化水素を含む流体ストリームからの硫化水素の選択的除去のための吸収剤であって、
a)10質量%〜70質量%の、分子中に少なくとも1個のエーテル基及び/又は少なくとも1個のヒドロキシル基を有する少なくとも1つの立体障害のある第二級アミンと、
b)分子内にエーテル基及びヒドロキシル基から選択される少なくとも2個の官能基を有する少なくとも1種の非水溶媒と、及び
c)任意に共溶媒と、
を含み、
その吸収剤のヒドロキシル基密度ρabsが8.5〜35mol(OH)/kgの範囲である、吸収剤について記述する。また、二酸化炭素及び硫化水素を含む流体ストリームからの硫化水素の選択的除去のための方法であって、その方法において流体ストリームを吸収剤と接触させる方法についても記述する。その吸収剤は、良好な再生能及び高い循環酸性ガス容量を有することを特徴とする。

Description

本発明は、流体ストリームからの硫化水素の選択的除去のための、特に二酸化炭素に対してより優先される硫化水素の選択的除去のための、吸収剤及び方法に関する。
天然ガス、製油所ガス又は合成ガス等の流体ストリームからの酸性ガス、例えばCO、HS、SO、CS、HCN、COS又はメルカプタンの除去は、様々な理由により重要である。硫黄化合物が、天然ガス中に高頻度で同伴している水の中に腐食作用を有する酸を形成するため、天然ガス中の硫黄化合物の含量は、適切な処理手段を用いて天然ガス供給源において直接低減しなければならない。従って、パイプライン内での天然ガスの輸送又は天然ガス液化プラント内での天然ガスのさらなる処理(LNG=液化天然ガス)のためには、硫黄含有不純物に関する所与の限度を観測しなければならない。さらに、数多くの硫黄化合物は、低濃度においてさえ悪臭を放ち、有毒である。
二酸化炭素は、他の物質の中でもとりわけ天然ガスから除去しなければならない。それは、パイプラインガス又は販売ガス(sales gas)として使用する場合に高濃度のCOが気体の発熱量を低減するからである。さらに、COは、流体ストリーム中に高頻度で同伴している水分と一緒になって、パイプ及び弁の中に腐食を起こし得る。その一方、低すぎる濃度のCOも同様に、この結果として気体の発熱量が高くなり過ぎる可能性があるため、望ましくない。一般的に、パイプラインガス又は販売ガスのCO濃度は、1.5体積%と3.5体積%の間である。
酸性ガスは、無機塩基又は有機塩基の水溶液によるスクラビング操作を用いて除去される。酸性ガスが吸収剤に溶解すると、塩基と一緒になってイオンを形成する。吸収媒体は、より低い圧力への減圧及び/又はストリッピングによって再生することができる、この場合、上記イオン種は、逆反応して、酸性ガスを形成し、及び/又は水蒸気によってストリッピングされる。再生工程後、吸収剤は、再使用することができる。
すべての酸性ガス、特にCO及びHSを真に実質的に除去する方法は、「全吸収」と呼ばれる。特定の場合においては対照的に、例えば下流側のクラウスプラント用として発熱量に関して最適化されたCO/HS比を得るために、COよりHSを優先的に吸収することが望ましいこともある。この場合は、「選択的スクラビング」について言及している。好ましくないCO/HS比は、COS/CSが形成され、クラウス触媒がコーキングすること、又は発熱量が小さくなりすぎることにより、クラウスプラントの性能及び効率を損なう可能性がある。
2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エタノール等の大きな立体障害のある第二級アミン及びメチルジエタノールアミン(MDEA)等の大きな立体障害のある第三級アミンは、COに対してより優先されるHSへの速度論的な選択性を示す。上記大きな立体障害のあるアミンは、COと直接反応せず、代わりにCOが、ゆっくりした反応でアミン及び水と反応して、重炭酸塩を生成する。対照的に、HSは、アミン水溶液中で直ちに反応する。従って、このような大きな立体障害のあるアミンは、CO及びHSを含む気体混合物からのHSの選択的除去に特に適している。
硫化水素の選択的除去は、低い酸性ガス分圧を有する流体ストリームの場合に、例えばテールガス中に利用されることが多く、又は酸性ガス富化(AGE)の場合に、例えばクラウス法前のHSの富化のために利用されることが多い。
パイプラインガス用の天然ガス処理の場合においてもまた、COに対してより優先されるHSの選択的除去が望ましいこともある。大抵の場合、天然ガス処理の目的は、HSとCOとを同時に除去することであり、このとき、所与のHS限度を観測しなければならないが、COの完全な除去は不要である。パイプラインガスに一般的な仕様は、約1.5体積%から約3.5体積%のCO及び4ppmv未満のHSとなるような酸性ガス除去を要求する。この場合、最大のHS選択性は、望ましくない。
DE3117556A1は、第三級アミン及び/又は立体障害のある第一級又は第二級アミンをジアミノエーテル又はアミノアルコールの形態で含む水性スクラビング溶液によって、CO含有気体から硫黄化合物を選択的に除去する方法を記載している。
US2015/0027055A1は、立体障害のある末端エーテル化アルカノールアミンを含む吸収剤によって、CO含有気体混合物からHSを選択的に除去する方法を記載している。アルカノールアミンの末端エーテル化と水の排除で、より高いHS選択性が可能となることが見出された。
US2015/0147254A1は、アミン、水及び少なくとも1種のC〜C−チオアルカノール化合物を含む吸収剤によって気体混合物から二酸化炭素よりも硫化水素を選択的に除去する方法を記載している。チオアルカノール化合物を使用すると、HS選択性が高くなることが見出されている。
WO2013/181242は、水、有機溶媒及び、特定のモル質量範囲内のtert−ブチルアミンとポリエチレングリコールとの反応生成物を含む吸収剤によって、気体混合物から二酸化炭素よりもHSを選択的に除去するための吸収剤を記載している。
DE3117556A1 US2015/0027055A1 US2015/0147254A1 WO2013/181242
本発明の目的は、二酸化炭素及び硫化水素を含む流体ストリームからの硫化水素の選択的除去のための吸収剤及び方法を特定することであり、その吸収剤は良好な再生能及び高い循環酸性ガス容量を有する。
この目的は、二酸化炭素及び硫化水素を含む流体ストリームからの硫化水素の選択的除去のための吸収剤であって、
a)10質量%〜70質量%の、分子中に少なくとも1個のエーテル基及び/又は少なくとも1個のヒドロキシル基を有する少なくとも1つの立体障害のある第二級アミンと、
b)分子内にエーテル基及びヒドロキシル基から選択される少なくとも2個の官能基を有する少なくとも1種の非水溶媒と、及び
c)任意に共溶媒と、
を含み、
その吸収剤のヒドロキシル基密度ρabsが8.5〜35mol(OH)/kgの範囲である、
吸収剤によって達成される。
本発明はまた、二酸化炭素及び硫化水素を含む流体ストリームから硫化水素を選択的に除去する方法であって、その方法において流体ストリームを吸収剤と接触させ、取り込み済み吸収剤及び処理済み流体ストリームを得る方法に関する。
立体障害のあるアミンは、COに対してより優先されるHSへの速度論的な選択性を示す。これらのアミンは、COと直接反応せず、代わりにCOが、ゆっくりした反応でアミンと及び水などのプロトン供与体と反応して、イオン性生成物をもたらす。
立体障害のあるアミン及び/又は溶媒を介して吸収剤内に導入されるヒドロキシル基は、プロトン供与体である。吸収剤のヒドロキシル基密度を制御することで、吸収剤のHS選択性及び再生能及び循環酸性ガス容量の制御ができることが今回見出された。吸収剤中のヒドロキシル基の供給量が低いと、CO吸収はより困難になると考えられる。従って、低いヒドロキシル基密度はHS選択性の増加をもたらす。ヒドロキシル基密度を介して、COに対してより優先されるHSの吸収剤の所望の選択性を確立することが可能である。
化合物のヒドロキシル基密度ρcompoundは、化合物1kg当たりのヒドロキシル基のモル数であり、以下のように計算される。
Figure 2018531146
上記式中、モル質量はg/molで計算され、「OH基の数」は当該化合物の1分子中のOH基の数である。水の1分子中のヒドロキシル基の数は、1つの水分子が1つの酸素原子に結合した2つの水素原子を有するので、2に設定される。
吸収剤のヒドロキシル基密度ρabsを計算するために、吸収剤中に存在する化合物の、すなわち存在するアミン及び溶媒の寄与を合計する。吸収剤のヒドロキシル基密度ρabsに対するあらゆる化合物の寄与は、化合物のヒドロキシル基密度ρcompoundと、吸収剤の総質量を基準としたその化合物の質量パーセンテージとの積である。40質量%の化合物a)、35質量%の化合物b)及び25質量%の化合物c)からなる吸収剤の場合、吸収剤のヒドロキシル基密度ρabsは、例えば、
ρabs=(ρ×0.4)+(ρ×0.35)+(ρ×0.25)
のように計算される。
本発明によれば、吸収剤のヒドロキシル基密度は、8.5〜35mol(OH)/kgの範囲、好ましくは9.0〜32mol(OH)/kgの範囲、より好ましくは9.5〜30mol(OH)/kgの範囲である。ρabsの値が相対的に高いと、HS選択性が低すぎる結果となる可能性があり、このことにより分離の目的が達成されないことがある。ρabsの値が相対的に低い場合、HS選択性はさらに増加するが、吸収剤のHS取り込み容量は低いレベルに低下して好ましくない。
立体障害のある第二級アミンa)のρabsへの寄与は、好ましくは0〜6mol(OH)/kgの範囲、より好ましくは1〜5mol(OH)/kgの範囲、及び最も好ましくは2〜4mol(OH)/kgの範囲である。
非水溶媒b)のρabsへの寄与は、好ましくは2.5〜35mol(OH)/kgの範囲、より好ましくは3.5〜30mol(OH)/kgの範囲、及び最も好ましくは4.5〜25mol(OH)/kgの範囲である。
好ましくは、立体障害のある第二級アミンa)のρabsへの寄与は0〜6mol(OH)/kgの範囲であり、非水溶媒b)のρabsへの寄与は2.5〜35mol(OH)/kgの範囲である。より好ましくは、立体障害のある第二級アミンa)のρabsへの寄与は1〜5mol(OH)/kgの範囲であり、非水溶媒b)のρabsへの寄与は3.5〜30mol(OH)/kgの範囲である。最も好ましくは、立体障害のある第二級アミンa)のρabsへの寄与は2〜4mol(OH)/kgの範囲であり、非水溶媒b)のρabsへの寄与は4.5〜25mol(OH)/kgの範囲である。
吸収剤は、10質量%〜70質量%の、好ましくは15質量%〜65質量%の、より好ましくは20質量%〜60質量%の、分子中に少なくとも1個のエーテル基及び/又は少なくとも1個のヒドロキシル基を有する立体障害のある第二級アミンa)を含む。
第二級アミノ基の場合の立体障害とは、アミノ基の窒素原子の直接隣の少なくとも1個の第二級又は第三級炭素原子の存在を意味すると理解される。立体障害のある第二級アミンだけでなく、アミンa)は、また、先行技術において大きな立体障害のある第二級アミンと呼ばれる1.75を超える立体パラメータ(タフト定数)Eを有する化合物を含む。
第二級炭素原子は、立体障害のある位置への結合とは別に、2つの炭素−炭素結合を有する炭素原子を意味すると理解される。第三級炭素原子は、立体障害のある位置への結合とは別に、3つの炭素−炭素結合を有する炭素原子を意味すると理解される。第二級アミンは、水素以外の2個の有機ラジカルで置換された窒素原子を有する化合物を意味すると理解される。
好ましくは、立体障害のある第二級アミンa)は、イソプロピルアミノ基、tert−ブチルアミノ基又は2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基を含む。
より好ましくは、立体障害のある第二級アミンa)は、2−(tert−ブチルアミノ)エタノール、2−(イソプロピルアミノ)−1−エタノール、2−(イソプロピルアミノ)−1−プロパノール、2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エタノール、2−(2−イソプロピルアミノエトキシ)エタノール、2−(2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エトキシ)エタノール、2−(2−(2−イソプロピルアミノエトキシ)エトキシ)エタノール、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(3’−ヒドロキシプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(4’−ヒドロキシブトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2−(tert−ブチルアミノ)エチル)エーテル、ビス(2−(イソプロピルアミノ)エチル)エーテル、2−(2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エトキシ)エチル−tert−ブチルアミン、2−(2−(2−イソプロピルアミノエトキシ)エトキシ)エチルイソプロピルアミン、2−(2−(2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル−tert−ブチルアミン、2−(2−(2−(2−イソプロピルアミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルイソプロピルアミン及び4−(ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンから選択される。
最も好ましくは、立体障害のある第二級アミンa)は、2−(2−イソプロピルアミノエトキシ)エタノール(IPAEE)、2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エタノール(TBAEE)、2−(2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エトキシ)エチル−tert−ブチルアミン、2−(2−(2−イソプロピルアミノエトキシ)エトキシ)エチルイソプロピルアミン、2−(2−(2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル−tert−ブチルアミン、及び2−(2−(2−(2−イソプロピルアミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルイソプロピルアミンから選択される。
好ましくは、吸収剤は、立体障害のない第一級アミン又は立体障害のない第二級アミンを全く含まない。立体障害のない第一級アミンは、水素原子又は第一級若しくは第二級炭素原子のみが結合している第一級アミノ基を有する化合物を意味すると理解される。立体障害のない第二級アミンは、水素原子又は第一級炭素原子のみが結合している第二級アミノ基を有する化合物を意味すると理解される。立体障害のない第一級アミン又は立体障害のない第二級アミンは、CO吸収の強力な活性剤として作用する。吸収剤中にそれらが存在すると、吸収剤のHS選択性が失われる可能性がある。
吸収剤はまた、分子内にエーテル基及びヒドロキシル基から選択される少なくとも2個の官能基を有する非水溶媒b)を含む。非水溶媒b)は、好ましくは、チオエーテル基又はチオール基を有さない。非水溶媒b)は、好ましくはC〜Cジオール、ポリ(C〜C−アルキレングリコール)、ポリ(C〜C−アルキレングリコール)モノアルキルエーテル及びポリ(C〜C−アルキレングリコール)ジアルキルエーテルから選択される。
より好ましくは、非水溶媒b)は、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル及び、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルから選択される。
最も好ましくは、非水溶媒b)は、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール及びジエチレングリコール及びトリエチレングリコール、特にトリエチレングリコールから選択される。
好ましい実施形態では、吸収剤は、2−(2−イソプロピルアミノエトキシ)エタノール(IPAEE)、2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エタノール(TBAEE)、2−(2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エトキシ)エチル−tert−ブチルアミン、2−(2−(2−イソプロピルアミノエトキシ)エトキシ)エチルイソプロピルアミン、2−(2−(2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル−tert−ブチルアミン、及び2−(2−(2−(2−イソプロピルアミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルイソプロピルアミンから選択される立体障害のある第二級アミンa)、並びに、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール及びジエチレングリコール及びトリエチレングリコールから選択される非水溶媒b)を含む。特に好ましい実施形態において、吸収剤は、TBAEE及びトリエチレングリコールを含む。
アミンa)の非水溶媒b)に対するモル比は、一般に0.1〜1.3の範囲、好ましくは0.15〜1.2の範囲、より好ましくは0.2〜1.1の範囲、及び最も好ましくは0.3〜1.0の範囲である。
吸収剤は任意に共溶媒c)も含む。共溶媒c)は、所望のρabs値を達成するために使用することができる。一実施形態においては、ρabsは、低いρを有する共溶媒c)を添加することによって低下させることができる(この共溶媒はρabs希釈剤として作用する)。この場合、共溶媒c)のρabsへの寄与は、好ましくは0〜4mol(OH)/kgの範囲、より好ましくは0〜2mol(OH)/kgの範囲、及び最も好ましくは0〜1mol(OH)/kgの範囲である。
さらなる実施形態において、ρabsは、高いρを有する共溶媒c)を添加することによって増加させることができる(この共溶媒はρabs促進剤として作用する)。この場合、共溶媒c)のρabsへの寄与は、好ましくは10〜32.5mol(OH)/kgの範囲、より好ましくは10〜30mol(OH)/kgの範囲、及び最も好ましくは10〜25mol(OH)/kgの範囲である。
好ましくは、共溶媒c)は、水、C〜C10アルコール、エステル、ラクトン、アミド、ラクタム、スルホン及び環状尿素から選択される。
より好ましくは、共溶媒c)は、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルプロピレン尿素(DMPU)及びγ−ブチロラクトンから選択される。最も好ましくは、共溶媒c)はスルホランである。
水は、吸収剤のヒドロキシル基密度に大きく寄与する。従って水の割合は、好ましくは30質量%を超えず、より好ましくは20質量%を超えず、さらにより好ましくは15質量%を超えず、及び最も好ましくは10質量%を超えない。
好ましい実施形態においては、吸収剤は、20質量%〜60質量%の立体障害のある第二級アミンa)、20質量%〜80質量%の非水溶媒b)及び10質量%〜60質量%の共溶媒c)を含み、その共溶媒c)は吸収剤の質量を基準として、20質量%を超えない水を含む。
好ましくは、非水溶媒b)は293.15Kの温度及び1.0133・10Paの圧力で、少なくとも7、より好ましくは少なくとも8.5、及び最も好ましくは少なくとも10の比誘電率ε(相対静的誘電率とも呼ばれる)を有する。例えば、非水溶媒b)は293.15Kの温度及び1.0133・10Paの圧力において、7〜70の範囲の比誘電率εを有する。
好ましくは、吸収剤は、非水溶媒b)及び共溶媒c)を、これらの質量割合の比の非水溶媒b)及び共溶媒c)の混合物が、293.15Kの温度及び1.0133・10Paの圧力で比誘電率εが少なくとも7、より好ましくは少なくとも8.5、及び最も好ましくは少なくとも10となるような質量割合で含む。言い換えると、仮に本発明の吸収剤からアミンa)を取り除いたとしたとき、残留する非水溶媒b)と共溶媒c)の混合物が、上述の特定した誘電率εを有することとなる。
例えば、吸収剤は、非水溶媒b)及び共溶媒c)を、これらの質量割合の比の非水溶媒b)及び共溶媒c)の混合物が、293.15Kの温度及び1.0133・10Paの圧力で、比誘電率εが7〜70の範囲となるような質量割合で含む。
吸収剤中に存在する化合物の比誘電率εは、吸収剤の極性に影響を及ぼす。この場合のHSの吸収は、立体障害のある第二級アミンa)とHSとの間のイオン対形成に基づくものであり、ここでアミンa)はプロトン化された形で存在し、HSは脱プロトン化された形で存在する。従って、極性の高い吸収剤がHSの吸収に有利である。
関連する化合物の比誘電率εについての数値を有する適切な情報源の例は、Handbook of Chemistry and Physics、第92版(2010−2011年)、CRC Pressである。その中のデータによると、εは、例えば、n−プロパノール=20.8、エタン−1,2−ジオール=41.4、プロパン−1,3−ジオール=35.1、トリエチレングリコール=23.69、テトラエチレングリコール=20.44、ジエチレングリコールジメチルエーテル=7.23、及びジエチレングリコール=31.82である。
吸収剤は、腐食抑制剤、酵素、消泡剤等の添加剤も含んでよい。一般に、このような添加剤の量は、吸収剤の約0.005質量%〜約3質量%の範囲である。
吸収剤は、少なくとも1.1、及びより好ましくは少なくとも1.3のHS:CO取り込み容量比を有することが好ましい。HS:CO取り込み容量比は、好ましくは多くて5.0、及びより好ましくは多くて4.5である。好ましくは、吸収剤は、1.1〜5.0の範囲、より好ましくは1.3〜4.5の範囲のHS:CO取り込み容量比を有する。
S:CO取り込み容量比は、40℃及び周囲圧力(約1bar)でCO及びHSを吸収剤に取り込んだ場合に、平衡状態下で最大HS取り込みを最大CO取り込みで割った商を意味すると理解される。適切な試験方法については、実施例1に明記する。HS:CO取り込み容量比は、予測されるHS選択性の指標として役立つ。HS:CO取り込み容量比が高いほど、予測されるHS選択性は高い。
好ましい実施形態では、実施例1で測定した吸収剤の最大HS取り込み容量は、少なくとも0.6mol(HS)/mol(アミン)、より好ましくは少なくとも0.7mol(HS)/mol(アミン)、さらにより好ましくは少なくとも0.75mol(HS)/mol(アミン)、及び最も好ましくは少なくとも0.8mol(HS)/mol(アミン)である。
本発明による方法は、すべての種類の流体の処理に適している。流体は、第一には、天然ガス、合成ガス、コークス炉ガス、クラッキングガス、石炭ガス化ガス、サイクルガス、ランドフィルガス及び燃焼ガス等の気体であり、第二には、LPG(液化石油ガス)又はNGL(天然ガス液体)等の吸収剤と本質的に混和しない流体である。本発明による方法は、炭化水素含有流体ストリームの処理に特に適している。存在する炭化水素は例えば、メタン等のC1〜4炭化水素等の脂肪族炭化水素、エチレン若しくはプロピレン等の不飽和炭化水素、又はベンゼン、トルエン若しくはキシレン等の芳香族炭化水素である。
本発明による吸収剤又は方法は、CO及びHSの除去に適している。二酸化炭素及び硫化水素に加えて、COS及びメルカプタン等の他の酸性気体も流体ストリーム中に存在することができる。さらに、SO、SO、CS及びHCNを除去することもできる。
本発明による方法は、COに対してより優先される硫化水素の選択的除去に適している。本文脈で、「硫化水素への選択性」は、次の商
Figure 2018531146
(式中、y(HS)feedは、最初期の流体中のHSのモル比率(mol/mol)であり、y(HS)treatは、処理済み流体中のモル比率であり、y(COfeedは、最初期の流体中のCOのモル比率であり、y(COtreatは、処理済み流体中のCOのモル比率である。)の値を意味すると理解されている。硫化水素への選択性は、少なくとも4であることが好ましい。
いくつかの場合、例えば、パイプラインガス又は販売ガスとして使用するために天然ガスから酸性ガスを除去する場合、二酸化炭素の全吸収は望ましくない。一実施形態において、処理済み流体ストリーム中の残留二酸化炭素含量は、少なくとも0.5体積%、好ましくは少なくとも1.0体積%、及びより好ましくは少なくとも1.5体積%である。
好ましい複数の実施形態において、流体ストリームは、炭化水素を含む流体ストリーム、特に天然ガスストリームである。より好ましくは、流体ストリームは、1.0体積%を超える炭化水素、さらにより好ましくは5.0体積%を超える炭化水素、最も好ましくは15体積%を超える炭化水素を含む。
流体ストリーム中での硫化水素分圧は一般的に、少なくとも2.5mbarである。好ましい複数の実施形態において、少なくとも0.1bar、特に少なくとも1barの硫化水素分圧と、少なくとも0.2bar、特に少なくとも1barの二酸化炭素分圧が、流体ストリーム中に存在する。より好ましくは、流体ストリーム中に少なくとも0.1barの硫化水素分圧及び少なくとも1barの二酸化炭素分圧が存在する。さらにより好ましくは、流体ストリーム中に少なくとも0.5barの硫化水素分圧及び少なくとも1barの二酸化炭素分圧が存在する。記載した分圧は、吸収工程において吸収剤と最初に接触するときの流体ストリームに基づいている。
好ましい複数の実施形態において、少なくとも3.0bar、より好ましくは少なくとも5.0bar、さらにより好ましくは少なくとも20barの全圧が、流体ストリーム中に存在する。好ましい複数の実施形態において、最大180barの全圧が、流体ストリーム中に存在する。全圧は、吸収工程において吸収剤と最初に接触するときの流体ストリームに基づいている。
本発明による方法において、流体ストリームが、吸収工程において吸収器内で吸収剤と接触し、この結果、二酸化炭素及び硫化水素が、少なくとも部分的にスクラビングされる。これにより、CO及びHSが激減した流体ストリームならびにCO及びHSを取り込んだ吸収剤が得られる。
使用される吸収器は、慣例的なガススクラビング工程において使用されるスクラビング装置である。適切なスクラビング装置は例えば、不規則充填物を有する塔、規則充填物を有する塔並びにトレー、メンブレンコンタクター、半径流スクラバー、ジェットスクラバー、ベンチュリスクラバー及び回転噴霧式スクラバーを有する塔であり、好ましくは、規則充填物を有する塔、不規則充填物を有する塔及びトレーを有する塔であり、より好ましくは、トレーを有する塔及び不規則充填物を有する塔である。流体ストリームは好ましくは、塔内で向流の状態の吸収剤によって処理される。一般に、流体は、塔の下部領域に供給され、吸収剤は、塔の上部領域に供給される。トレー塔内には、液体が流れ伝うことになるシーブトレー、バブルキャップトレー又はバルブトレーが据え付けられている。不規則充填物を有する塔には、相異なる成形品を充填することができる。熱及び物質移動は、通常約25mmから約80mmまでのサイズの成形品に起因する、表面積の増大によって改良される。公知の例は、ラシヒリング(中空シリンダー)、ポールリング、Hiflowリング及びIntaloxサドル等である。不規則充填物は、塔内に(層として)整然とした態様で導入することもできるし、又は不規則的に導入することもできる。可能な材料には、ガラス、セラミック、金属及びプラスチックが挙げられる。規則充填物は、整然とした不規則充填物のさらなる発展形である。規則充填物は、一定の構造を有する。この結果、充填物の場合、気体流中の圧力損失を低減することができる。規則充填物、例えば織物型充填物又はシート金属充填物には、様々な設計が存在する。使用される材料は、金属、プラスチック、ガラス及びセラミックであってよい。
吸収工程における吸収剤の温度は一般に、約30℃から100℃までであり、塔が使用される場合は、例えば、塔の頂部において30℃から70℃までであり、塔の底部において50℃から100℃までである。
本発明による方法は、1つ又は複数の吸収工程、特に連続する2つの吸収工程を含んでもよい。吸収は、連続する複数の構成要素工程において実施してもよく、この場合、酸性気体成分を含む粗製ガスが、構成要素工程のそれぞれにおいて吸収剤の部分ストリームと接触する。粗製ガスが接触する吸収剤は、酸性気体をあらかじめ部分的に取り込んでいてもよく、このことは、粗製ガスが接触する吸収剤が例えば、下流側の吸収工程から第1の吸収工程にリサイクルされた吸収剤であってもよいし、又は部分的に再生済みの吸収剤であってもよいことを意味する。2段階吸収の性能に関しては、公報EP0159495、EP0190434、EP0359991及びWO00100271を参照する。
当業者は、吸収工程における条件、例えば、特に詳細には吸収剤/流体ストリーム比、吸収器の塔の高さ、不規則充填物やトレー若しくは規則充填物のような吸収器内の接触促進用内部部材の種類、及び/又は再生した吸収剤の取り込み残分等の、条件を変化させることにより、定義した選択性で高レベルの硫化水素除去を達成することができる。
吸収剤/流体ストリーム比が小さいと、選択性が高まる。吸収剤/流体ストリーム比がより大きいと、選択的吸収が低下する。COはHSよりも緩慢にしか吸収されないため、滞留時間が短いときよりも長いときに、より多くのCOが吸収される。従って、塔が高いほど、選択的吸収の低下がもたらされる。液ホールドアップが比較的高いトレー又は規則充填物も同様に、選択的吸収を低下させる。再生時に導入した加熱エネルギーを、再生した吸収剤の取り込み残留分を調整するのに使用することができる。再生した吸収剤の取り込み残留分量が低いほど、吸収が改善される。
本方法は、好ましくはCO及びHSを取り込んだ吸収剤を再生する再生工程を含む。再生工程において、CO及びHS及び任意にさらなる酸性気体成分を、CO及びHSを取り込んだ吸収剤から放出して、再生済み吸収剤を得る。再生済み吸収剤は続いて、吸収工程に循環処理されるのが好ましい。一般に、再生工程は、加熱する手段、減圧する手段及び不活性流体によってストリッピングする手段のうちの少なくとも1つを含む。
再生工程は好ましくは、例えばボイラー、自然循環蒸発装置、強制循環蒸発装置又は強制循環フラッシュ蒸発装置による、酸性気体成分を取り込んだ吸収剤の加熱を含む。吸収された酸性ガスは、溶液の加熱によって得られた水蒸気によってストリッピングされる。水蒸気ではなく、窒素等の不活性流体を使用することもできる。脱着装置内の絶対圧力は、通常0.1barから3.5barまでであり、好ましくは1.0barから2.5barまでである。温度は、通常50℃から170℃までであり、好ましくは80℃から130℃までであるが、温度は当然ながら、圧力に依存する。
再生工程は、減圧を代替的に又はさらに含み得る。この減圧は、吸収工程の実施のときに存在する高い圧力から低い方の圧力となるように、取り込み済み吸収剤を少なくとも1回減圧することを含む。減圧は例えば、スロットルバルブ及び/又は減圧タービンによって達成することができる。減圧段階を伴う再生は、例えば公報US4,537,753及びUS4,553,984に記載されている。
酸性気体成分は再生工程において例えば、減圧塔、例えば垂直に若しくは水平に据え付けられたフラッシュ容器の中で放出され得、又はインターナル入りの向流塔の中で放出され得る。
再生塔も同様に、不規則充填物を有する塔、規則充填物を有する塔又はトレーを有する塔であってよい。再生塔は、加熱装置、例えば循環ポンプ付きの強制循環蒸発装置を底部に有する。再生塔は、放出された酸性ガス用の出口を頂部に有する。同伴している吸収媒体蒸気は、凝縮器内で凝縮し、塔に再循環される。
再生が相異なる圧力で実施される複数の減圧塔を、直列に接続することができる。例えば、再生は、吸収工程における酸性気体成分の分圧より約1.5bar高いのが一般的な高圧の予備減圧塔、及び低圧、例えば絶対圧力として1barから2barまでの主減圧塔の中で実施することができる。2つ以上の減圧段階を伴う再生は、公報US4,537、753、US4,553、984、EP0159495、EP0202600、EP0190434及びEP0121109に記載されている。
存在する成分が最適に調和しているため、本発明の吸収剤は、大きな酸性気体の取り込み容量を有するが、容易に再度脱着することもできる。このようにして、本発明による方法におけるエネルギー消費及び溶媒循環を著しく抑制することができる。
本発明を、添付の図面及び下記の例によって詳細に説明する。
本発明による方法の実施に適したプラントの概略図である。
図1によれば、入口Zを経由して、硫化水素及び二酸化炭素を含む適切に前処理された気体が、吸収剤用管路1.01を経由して供給された再生済み吸収剤と吸収器A1内で向流の状態で接触する。吸収剤が、気体から硫化水素及び二酸化炭素を吸収によって除去し、これにより、硫化水素及び二酸化炭素が激減した清浄な気体が、オフガス管路1.02を経由して送り出される。
吸収剤用管路1.03と、CO及びHSを取り込んだ吸収剤が、吸収剤用管路1.05の中を通って誘導された再生済み吸収剤からの熱によって加熱されることになる熱交換器1.04と、吸収剤用管路1.06とを経由して、CO及びHSを取り込んだ吸収剤が、脱着塔Dに供給され、再生される。
吸収器A1と熱交換器1.04との間には、1つ以上のフラッシュ容器が設けられていてもよく(図1には図示せず)、フラッシュ容器において、CO及びHSを取り込んだ吸収剤は、例えば3barから15barまでとなるように減圧される。
脱着塔Dの下側部分からは、吸収剤が、ボイラー1.07内に誘導され、加熱される。生じる水蒸気は、脱着塔Dにリサイクルされるが、再生済み吸収剤は、吸収剤用管路1.05と、再生済み吸収剤がCO及びHSを取り込んだ吸収剤を加熱し、同時に、再生済み吸収剤自体は冷えることになる熱交換器1.04と、吸収剤用管路1.08、冷却装置1.09と、吸収剤用管路1.01とを経由して、吸収器A1に送り戻される。示したボイラーの代わりに、自然循環蒸発装置、強制循環蒸発装置又は強制循環フラッシュ蒸発装置等、エネルギー導入のための他の熱交換器方式を使用することもできる。これらの蒸発装置方式の場合、再生済み吸収剤と蒸気との混相ストリームを、脱着塔Dの底部に帰還させて、水蒸気と吸収剤との相分離を実施する。熱交換器1.04に向かう再生済み吸収剤は、脱着塔Dの底部から蒸発装置への循環ストリームから抜き出され、又は、脱着塔Dの底部から別個の管路を経由して熱交換器1.04に直接至るように誘導される。
脱着塔Dにおいて放出されたCO及びHSを含有する気体は、オフガス管路1.10を経由して脱着塔Dを退出する。CO及びHSを含有する気体は、相分離を統合した凝縮器1.11内に誘導され、同伴している吸収剤蒸気から分離される。このプラント及び本発明による方法の実施に適した他のすべてプラントにおいて、凝縮及び相分離は、互いに対して離れたところに存在してもよい。続いて、凝縮物が、吸収剤用管路1.12の中を通って脱着塔Dの上部領域に誘導され、CO及びHSを含有する気体が、気体用管路1.13を経由して排出される。
以下の表は、選択された化合物のヒドロキシル基密度ρを示す:
Figure 2018531146
実施例1
恒温ジャケット付きのガラスシリンダーに、最初に、表1に従って約250mLの取り込み前の吸収剤を充填した。実験中の吸収剤の損失を防ぐため、5℃で動作するガラス凝縮器をガラスシリンダーの頂部に接続した。吸収容量を測定するために、周囲圧力及び40℃で、8L(STP)/hのHS又はCOを、フリットを介して吸収液に通過させた。実験を4時間行った後、最大取り込みが達成された。これは、1、2及び3時間後にサンプリングすることによって確認した。CO又はHSの取り込み量は、以下のように測定した:
Sの測定は、硝酸銀溶液による滴定によって行った。この目的のために、分析するサンプルを秤量して約2質量%の酢酸ナトリウム及び約3質量%のアンモニアと一緒に水溶液中に入れた。続いて、HS含量を硝酸銀溶液による電位差変曲点滴定によって測定した。変曲点において、HSはAgSとして完全に結合する。CO含量は全無機炭素(TOC−Vシリーズ、島津製作所)として測定した。
COとHSの取り込みは、3時間及び4時間の実験期間後は、測定精度内で同一であった。HS:CO取り込み容量比は、HS取り込み量をCO取り込み量で割った商として計算した。
装置を80℃に加熱し、取り込み済み吸収剤を導入して窒素ストリーム(8L(STP)/h)により周囲圧力でストリッピングすることによって、取り込んだ溶液をストリッピングした。30分後、サンプルを採取し、吸収剤のCO又はHS取り込み量を上記のように測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2018531146


Figure 2018531146
実施例1−1〜1−4及び1−5〜1−8は、ヒドロキシル基密度ρabsの減少に伴い、HS:CO取り込み容量比が増加することを示している。同様に、ヒドロキシル基密度ρabsの減少に伴い、ストリッピング後に残留したHS及びCO取り込み量が少ないことから明らかなように、再生が改善される結果となる。ヒドロキシル基密度ρabsが低すぎると、実施例1−8、1−9、1−10、1−17及び1−18から明らかなように、CO及びHS取り込み容量が減少する結果となる。
実施例1−6及び1−7を比較例1−2及び1−3と比較すると、立体障害のある第二級アミンTBAEEが、第三級アミンMDEAと比較して、CO及びHS取り込み量を高め、併せて、同等のHS:CO取り込み容量比及び同様に良好な再生をもたらすことが明らかである。

Claims (14)

  1. 二酸化炭素及び硫化水素を含む流体ストリームからの硫化水素の選択的除去のための吸収剤であって、
    a)10質量%〜70質量%の、分子中に少なくとも1個のエーテル基及び/又は少なくとも1個のヒドロキシル基を有する少なくとも1つの立体障害のある第二級アミンと、
    b)分子内にエーテル基及びヒドロキシル基から選択される少なくとも2個の官能基を有する少なくとも1種の非水溶媒と、及び
    c)任意に共溶媒と、
    を含み、
    前記吸収剤のヒドロキシル基密度ρabsが8.5〜35mol(OH)/kgの範囲である、吸収剤。
  2. 前記立体障害のある第二級アミンa)のρabsへの寄与ρが0〜6mol(OH)/kgの範囲であり、前記非水溶媒b)のρabsへの寄与ρが2.5〜35mol(OH)/kgの範囲である、請求項1に記載の吸収剤。
  3. 前記立体障害のある第二級アミンa)が、イソプロピルアミノ基、tert−ブチルアミノ基又は2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基を含む、請求項1又は2に記載の吸収剤。
  4. 前記立体障害のある第二級アミンa)が、2−(tert−ブチルアミノ)エタノール、2−(イソプロピルアミノ)−1−エタノール、2−(イソプロピルアミノ)−1−プロパノール、2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エタノール、2−(2−イソプロピルアミノエトキシ)エタノール、2−(2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エトキシ)エタノール、2−(2−(2−イソプロピルアミノエトキシ)エトキシ)エタノール、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(3’−ヒドロキシプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(4’−ヒドロキシブトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2−(tert−ブチルアミノ)エチル)エーテル、ビス(2−(イソプロピルアミノ)エチル)エーテル、2−(2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エトキシ)エチル−tert−ブチルアミン、2−(2−(2−イソプロピルアミノエトキシ)エトキシ)エチルイソプロピルアミン、2−(2−(2−(2−tert−ブチルアミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル−tert−ブチルアミン、2−(2−(2−(2−イソプロピルアミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルイソプロピルアミン及び4−(ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収剤。
  5. 前記非水溶媒b)が、293.15Kの温度及び1.0133・10Paの圧力において、少なくとも7の比誘電率εを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収剤。
  6. 前記吸収剤が、非水溶媒b)及び共溶媒c)を、これらの質量割合の比の前記非水溶媒b)及び共溶媒c)の混合物が、293.15Kの温度及び1.0133・10Paの圧力で、少なくとも7の比誘電率εを有するような質量割合で含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収剤。
  7. 前記吸収剤が、立体障害のない第一級アミン又は立体障害のない第二級アミンを含まない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収剤。
  8. 前記非水溶媒b)が、C〜Cジオール、ポリ(C〜C−アルキレングリコール)、ポリ(C〜C−アルキレングリコール)モノアルキルエーテル及びポリ(C〜C−アルキレングリコール)ジアルキルエーテルから選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収剤。
  9. 前記非水溶媒b)が、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル及び、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルから選択される、請求項8に記載の吸収剤。
  10. 前記共溶媒c)が、水、C〜C10アルコール、エステル、ラクトン、アミド、ラクタム、スルホン及び環状尿素から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収剤。
  11. 前記共溶媒c)が、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルプロピレン尿素及びγ−ブチロラクトンから選択される、請求項10に記載の吸収剤。
  12. 前記吸収剤が、20質量%〜60質量%の前記立体障害のある第二級アミンa)、20質量%〜80質量%の前記非水溶媒b)及び10質量%〜60質量%の前記共溶媒c)を含み、前記共溶媒c)が吸収剤の質量を基準として、20質量%を超えない水を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の吸収剤。
  13. 二酸化炭素及び硫化水素を含む流体ストリームからの硫化水素の選択的除去のための方法であって、前記流体ストリームを請求項1〜12のいずれか一項に記載の吸収剤と接触させ、取り込み済み吸収剤及び処理済み流体ストリームを得る方法。
  14. 前記取り込み済み吸収剤を、加熱、減圧、及び不活性流体によるストリッピングのうち少なくとも1つの手段によって再生する、請求項13に記載の方法。
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