本発明は胎盤由来マトリックス及び胎盤由来マトリックスを調製する又は使用するための方法に関する。
本発明の第1の態様に従えば、胎盤由来マトリックスを調製する方法が提供される。方法は、(a)胎盤組織の少なくとも一片を脱細胞化する又は失活させて脱細胞化又は失活胎盤組織を製造するステップ、及び(b)消化液で脱細胞化又は失活胎盤組織を消化し胎盤由来マトリックスを製造するステップを含む。
胎盤由来マトリックスは、例えば、約8.0又はそれよりも高い塩基性pHを有することができる。調製法は、胎盤由来マトリックスのpHを8.0又はそれよりも高く調整するステップをさらに含むことができる。胎盤由来マトリックスはコラゲナーゼが実質的になくてもよい(例えば、約10、0.1、0.01又は0.001重量%未満)。胎盤由来マトリックスは、脱細胞化又は失活胎盤組織及び消化液から実質的になることができる。胎盤組織は哺乳動物、例えば、ヒト、ウシ、ブタ、マウス、ヒツジ、ウマ、イヌ及びネコ、好ましくはヒト由来であってもよい。
脱細胞化又は失活ステップは非変性洗浄剤で胎盤組織を処理するステップを含むことができる。非変性洗浄剤は、N−ラウロイルサルコシネート(N−lauroylsarcosinate)、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレンイソアルコール、ポリオキシエチレンp−t−オクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノール(nonyphenol)、脂肪酸のポリオキシエチレンエステル、及びポリオキシエチレンソルビトールエステルからなる群から選択することができる。
調製法は、消化と同時に、前に又は後で脱細胞化又は失活胎盤組織をホモジナイズするステップをさらに含むことができる。消化は脱細胞化又は失活胎盤組織を消化液中でホモジナイズするステップを含むことができる。脱細胞化又は失活胎盤組織は10秒〜72時間ホモジナイズすることができる。脱細胞化又は失活胎盤組織は4℃でホモジナイズすることができる。調製法はホモジナイジングに先立って胎盤組織を切り取るステップをさらに含むことができ、胎盤組織の一部のみがホモジナイズされる。
調製法では、胎盤由来マトリックスはハイドロゲル、例えば、熱可逆性ハイドロゲルでもよい。胎盤由来マトリックスは熱可逆性ハイドロゲルでもよく、熱可逆性ハイドロゲルの溶液からゲル及び/又はゲルから溶液転移温度は4℃〜40℃までの温度でもよい。胎盤由来マトリックスは熱可逆性ハイドロゲルでもよく、熱可逆性ハイドロゲルは約37℃の温度でゲル化することができる。
一実施形態では、調製法は胎盤組織由来の天然の架橋に加えて追加の架橋を加えるステップを含まない。別の実施形態では、調製法は胎盤組織由来の天然のキャリアーに加えて追加のキャリアーを加えるステップを含まない。さらに別の実施形態では、調製法は光活性剤を添加するステップを含まない。さらなる実施形態では、調製法は、天然に存在しない結合により脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスを架橋するステップを含まない。
調製法は上記胎盤由来マトリックスを凍結する又は凍結乾燥して凍結又は凍結乾燥胎盤由来マトリックスを製造するステップをさらに含むことができる。
調製法は、胎盤由来マトリックスを所定の形状を有する型に入れ、胎盤由来マトリックスをその型の中で凍結する又は凍結乾燥するステップをさらに含むことができる。
調製法は上記胎盤由来マトリックスを凍結する又は凍結乾燥して海綿構造体を製造するステップと、任意選択で、海綿構造体を水置換剤(water replacing agent)で処理するステップであって、凍結又は凍結乾燥胎盤由来マトリックスが湿潤状態で保存されるステップとをさらに含むことができる。水置換剤は、グリセロール(グリセリンUSP)、アドニトール、ソルビトール、リビトール、ガラクチトール、Dガラクトース、1,3−ジヒドロキシプロパノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルコース、スクロース、マンニトール、キシリトール、メソエリスリトール、アジピン酸、プロリン、ヒドロキシプロリン、ポリエチレングリコール、アルコール、及び脂質からなる群から選択される1つ又は複数を含むことができる。海綿構造体は1μm〜4000μmの平均径を有する細孔を含むことができる。海綿構造体の平均ボイド容量は10%〜95%であってもよい。
調製法は上記胎盤由来マトリックスを凍結する又は凍結乾燥して海綿構造体を製造するステップと;海綿構造体を溶媒に溶解して胎盤由来溶液を製造するステップと;胎盤由来溶液を電界紡糸して(electrospin)ナノファイバーを製造するステップとをさらに含むことができる。
調製法は胎盤由来マトリックスの海綿構造体をネガティブ静水圧下で処理して空隙率を増加するステップをさらに含むことができる。
調製法は胎盤由来マトリックスを電界紡糸してナノファイバーを製造するステップをさらに含むことができる。
調製法では、脱細胞化又は失活胎盤組織は37℃で消化することができる。消化液はペプシン、酸又はその組合せを含むことができる。酸は塩酸(HCl)などの強酸でもよい。一実施形態では、消化液はペプシン及びHClを含み、消化液のペプシンの濃度は400〜700ユニット/mlであり;消化液のHClの濃度は0.01M〜1.0Mである。消化液の脱細胞化又は失活胎盤組織の濃度は0.1〜40mg/mLであってもよい。胎盤由来マトリックスでのペプシン活性は、酸性pH(例えば、約1.5〜2.0)下で、好ましくはpH2.0で試験された場合、消化液中のペプシン活性の約10、5、1又は0.1%未満であってもよい。
調製法では、脱細胞化又は失活胎盤組織での胎盤組織の重量パーセントは乾燥状態で50%〜100%であってよい。胎盤由来マトリックスでの胎盤組織の重量パーセントは乾燥状態で50%〜100%であってよい。
調製法では、脱細胞化又は失活胎盤組織でのDNA量は脱細胞化又は失活ステップ前の胎盤組織でのDNA量と比べて少なくとも90%減少させることができる。胎盤由来マトリックスは胎盤由来マトリックスの1mg乾燥重量当たり10μg、1μg、500ng、200ng又は100ng以下のDNAを含んでいてもよい。
調製法は移植に先立って胎盤由来マトリックスを保存するステップをさらに含むことができる。胎盤由来マトリックスは乾燥状態で保存してもよい。胎盤由来マトリックスは凍結保存により保存してもよい。
調製法は1つ又は複数の処理溶液で上記胎盤由来マトリックスを処理するステップをさらに含むことができる。処理溶液はイオン、酵素、若しくは化学架橋剤、光活性剤、又はポリマーを含んでいてもよい。イオン架橋剤は、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ストロンチウム、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、コバルト、及び鉄からなる群から選択される1つ又は複数を含んでいてもよい。酵素架橋剤は、トランスグルタミナーゼ、エチレンジアミン、リシルオキシダーゼファミリー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDIC)、ジメチルスベリイミデート(DMS)、及びジメチル−3−3’−ジチオビスプロピオンイミデート(DTBP)からなる群から選択される1つ又は複数を含んでいてもよい。化学架橋剤は、グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、ゲニピン、グルコース又はリボース、ポリ(エチレングリコール)ジエポキシドクロスリンカー、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、EDC及びNHS、並びにアクリルアジドからなる群から選択される1つ又は複数を含んでいてもよい。ポリマーは、天然若しくは修飾コラーゲン、ゼラチン、アガロース、修飾ヒアルロン酸、フィブリン、キチン、ビオチン、アビジン、ミネラル除去骨マトリックス、MATRIGEL(登録商標)、プロテオグリカン、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン、ヘパリン、グリセロール、スクロースオクタ硫酸、ポリエチレングリコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、アクリロイルモルホリン(acryloilmorpholine)、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン及びメタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ヒドロキシアパタイト、ポリウレタン、並びにポリ乳酸からなる群から選択される1つ又は複数を含んでいてもよい。
調製法は、1つ又は複数の生理活性サプリメント(複数可)を脱細胞化若しくは失活胎盤組織又は胎盤由来マトリックスに添加するステップをさらに含むことができる。1つ又は複数の生理活性サプリメント(複数可)は、FGFファミリー、TGFファミリーの成長又は分化因子、IGF−1、PDGF、EGF、VEGF、HGF、PTHrP、Ihh、デキサメタゾン、インスリン、トランスフェリン、セレニウム、ITS、及びアスコルビン酸からなる群から選択してもよい。
調製法は、生理活性サプリメント結合部位(複数可)を有する1つ又は複数の薬剤(複数可)を脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスに添加するステップをさらに含むことができる。生理活性サプリメント結合部位(複数可)は上記胎盤由来マトリックスに対する増殖因子、分化因子、サイトカイン、抗菌薬又は抗炎症薬の親和性を増加させることができる。
調製法は胎盤組織を浄化し消毒するステップをさらに含むことができる。
調製法は胎盤組織及び/又は脱細胞化若しくは失活胎盤組織を減菌するステップをさらに含むことができる。
調製法は、胎盤組織の少なくとも一片を脱細胞化して脱細胞化胎盤組織を製造するステップをさらに含むことができる。
調製法は、1つ又は複数の骨片物質(複数可)を胎盤由来マトリックスに添加するステップをさらに含むことができる。骨片物質(複数可)は、非ミネラル除去骨、部分的にミネラル除去された骨、ミネラル除去された骨、セラミックス、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、及び炭酸カルシウムからなる群から選択される1つ又は複数を含んでいてもよい。
本発明の調製法ごとに、上記方法により調製される胎盤由来マトリックスが提供される。
細胞培養の方法が提供される。方法は本発明の調製法により調製される胎盤由来マトリックス上又は内部で細胞を培養するステップを含む。細胞は、幹細胞、脂肪由来幹細胞、後根神経節細胞、膵島細胞、心筋細胞、肝細胞、iPSC、がん細胞、及び臍帯静脈内皮細胞からなる群から選択することができる。方法は胎盤由来マトリックス上又は内部に細胞を保存するステップをさらに含むことができる。胎盤由来マトリックス上又は内部の細胞は凍結保存により保存してもよい。
凍結又は凍結乾燥に起因するタンパク質の生物活性の消失を阻害する及び/又は減少する方法が提供される。方法は、凍結又は凍結乾燥に起因するタンパク質の生物活性の消失を阻害する又は減少するのに十分な有効量で、本発明の方法により調製される胎盤由来マトリックスにタンパク質を曝露するステップを含む。
細胞送達の方法が提供される。方法は、本発明の方法により調製される胎盤由来マトリックスに細胞を混合させて、細胞と胎盤由来マトリックスの混合物を製造するステップと、混合物を目的の部位に注入するステップとを含む。
細胞送達の方法が提供される。方法は、本発明の方法により調製される胎盤由来マトリックス上又は内部で細胞を培養して、細胞と胎盤由来マトリックスの培養物を製造するステップと、培養物を目的の部位に注入するステップとを含む。目的の部位は細胞送達を必要とする対象にあってもよい。
多能性幹細胞又は組織特異的前駆細胞の分化を促進する方法が提供される。方法は、多能性幹細胞又は組織特異的前駆細胞を本発明の方法により調製される胎盤由来マトリックス上又は内部で培養するステップを含む。多能性幹細胞は、多能性幹細胞の分化を誘導する増殖因子又は別の二次因子を添加せずに胎盤由来マトリックス上又は内部で培養してもよく、多能性幹細胞の分化が増加される。多能性幹細胞又は組織特異的前駆細胞は、細胞の維持又は分化を誘導する1つ又は複数の増殖因子又は他の二次因子を添加して培養してもよい。多能性幹細胞又は組織特異的前駆細胞は、骨芽細胞、軟骨細胞、心筋細胞、膵細胞、神経細胞、靭帯又は腱に分化することができる。多能性幹細胞は成体幹細胞であってもよい。多能性幹細胞又は組織特異的前駆細胞は、胚、胎盤、骨髄、脂肪組織、血管、羊水、滑液、滑膜、心膜、骨膜、硬膜、末梢血、臍帯血、胎盤膜、月経血、歯、髄核、脳、新生児包皮、皮膚、毛包、腸陰窩、神経組織、肝臓、膵臓、又は筋肉由来でもよい。多能性幹細胞は多能性幹細胞でもiPSCでもよい。多能性幹細胞は、脂肪由来幹細胞及び歯髄幹細胞からなる群から選択することができる。
多能性幹細胞又は組織特異的前駆細胞の血管、筋、又は神経分化を促進する方法が提供される。方法は、多能性幹細胞又は組織特異的前駆細胞を本発明の方法により調製される胎盤由来マトリックス上又は内部で培養するステップを含む。多能性幹細胞は成体幹細胞であってもよい。多能性幹細胞又は組織特異的前駆細胞は、胚、胎盤、骨髄、脂肪組織、血管、羊水、滑液、滑膜、心膜、骨膜、硬膜、末梢血、臍帯血、胎盤膜、月経血、歯、髄核、脳、新生児包皮、皮膚、毛包、腸陰窩、神経組織、又は筋肉由来でもよい。多能性幹細胞又は組織特異的前駆細胞は多能性幹細胞でもiPSCでもよい。
組織特異的前駆細胞の自己再生能力の維持を増加する方法が提供される。方法は、組織特異的前駆細胞を本発明の方法により調製される胎盤由来マトリックス上又は内部で培養するステップを含む。一実施形態では、組織特異的前駆細胞の維持を誘導する増殖因子又は別の二次因子は添加されない。
組織の欠損を減少させる又は修復する方法が提供される。方法は本発明の方法により調製される胎盤由来マトリックスを欠損の部位に移植するステップを含む。移植は胎盤由来マトリックスを欠損の部位に塗布する、エアブラシで吹き付ける、滴下する、又は注入することにより実施することができる。組織は心臓、肝臓、膵臓、骨、軟骨、又は軟組織でもよい。方法は、上記胎盤由来マトリックス上又は内部に生活細胞(vital cell)を播種して上記胎盤由来マトリックスに活力を与えるステップをさらに含むことができる。方法は、上記胎盤由来マトリックス上又は内部に生活細胞を播種して上記胎盤由来マトリックスに活力を与えるステップと、上記細胞播種胎盤由来マトリックスを移植前に培養するステップとをさらに含むことができる。方法は、移植に先立って胎盤由来マトリックスの水和を排除して、上記胎盤由来マトリックスに血液、体液、及び/又は自己細胞をin situで吸収させることができる。上記方法は、胎盤由来マトリックスを水和溶液で水和させ、任意選択で上記胎盤由来マトリックス上又は内部に生活細胞を播種して上記胎盤由来マトリックスに活力を与えるステップと、任意選択で上記細胞播種胎盤由来マトリックスを移植前に培養するステップとをさらに含むことができる。水和溶液は、血液又は骨髄吸引液、多血小板血漿、滑液、酵素、生理活性サプリメント、天然ポリマー、合成ポリマー、光活性剤、抗酸化剤、架橋剤、抗菌薬、生活細胞、及び生理活性サプリメント結合部位(複数可)を有する1つ又は複数の薬剤からなる群から選択される1つ又は複数を含んでいてもよい。生活細胞は、自己又は同種移植骨髄吸引液由来の細胞;骨髄由来の間質細胞;脂肪、滑膜、骨膜、軟骨膜、筋肉、真皮、臍帯血、及びホウォートンゼリー由来の間質細胞;並びに周皮細胞からなる群から選択される1つ又は複数を含んでいてもよい。
目的の組織部分を標識する方法が提供される。方法は、本発明の方法により調製される胎盤由来マトリックスを目的の組織部分のすぐ下に移植するステップを含む。
組織を切除する方法が提供される。方法は、本発明の方法により調製される胎盤由来マトリックスを目的の組織部分のすぐ下に移植するステップと、胎盤由来マトリックスの上の組織部分を切除するステップとを含む。移植は上記胎盤由来マトリックスを欠損の部位に塗布する、エアブラシで吹き付ける、滴下する、又は注入することにより実施することができる。組織は胃腸管の固着でも扁平新生物でもよい。方法は、胎盤由来マトリックスを移植後粘膜を切り取るステップと、組織を切断するステップと、残りの胃腸管から組織を持ち上げて離すステップとをさらに含むことができる。
本発明の第2の態様に従えば、胎盤由来マトリックスは脱細胞化又は失活胎盤組織を含み、胎盤由来マトリックスは、例えば、8.0又はそれよりも高い塩基性pHを有する。胎盤由来マトリックスはコラゲナーゼが実質的になくてもよい(例えば、約10、0.1、0.01又は0.001重量%未満)。胎盤由来マトリックスは脱細胞化又は失活胎盤組織から本質的になっていてもよい。
胎盤由来マトリックスはハイドロゲル、例えば、熱可逆性ハイドロゲルであってもよい。一実施形態では、胎盤由来マトリックスは熱可逆性ハイドロゲルであり、熱可逆性ハイドロゲルの溶液からゲル転移温度は4℃〜40℃の温度である。別の実施形態では、胎盤由来マトリックスは熱可逆性ハイドロゲルであり、熱可逆性ハイドロゲルは約37℃の温度でゲル化する。
胎盤由来マトリックスは海綿構造体を含むことができる。胎盤由来マトリックスはナノファイバーを含むことができる。胎盤由来マトリックスでの胎盤組織の重量パーセントは乾燥状態で50%〜100%でもよい。脱細胞化又は失活胎盤組織は、哺乳動物、例えば、ヒト、ウシ、ブタ、マウス、ヒツジ、ウマ、イヌ及びネコ、好ましくはヒトに由来していてもよい。胎盤由来マトリックスは、胎盤由来マトリックスの1mg乾燥重量当たり10μg、1μg、500ng、200ng又は100ng以下のDNAを含むことができる。胎盤由来マトリックスは、I型コラーゲン、IV型コラーゲン、ラミニンガンマ−1、フィブロネクチン、絨毛性乳腺刺激ホルモン(chroionic sommatomammotropin)、FGF−12、FGF−13、IGF−2、EGFL−7、及びbFGFを含むことができ、胎盤由来マトリックスでのI型コラーゲンの濃度は35%を超えている。
細胞培養の方法が提供される。方法は本発明の胎盤由来マトリックス上又は内部で細胞を培養するステップを含む。
凍結又は凍結乾燥に起因するタンパク質の生物活性の消失を阻害する及び/又は減少する方法が提供される。方法は、凍結又は凍結乾燥に起因するタンパク質の生物活性の消失を阻害する又は減少するのに十分な有効量で、本発明の胎盤由来マトリックスにタンパク質を曝露するステップを含む。
細胞送達の方法が提供される。方法は、本発明の胎盤由来マトリックスに細胞を混合させて、細胞と胎盤由来マトリックスの混合物を製造するステップと、混合物を目的の部位に注入するステップとを含む。
細胞送達の方法が提供される。方法は、本発明の胎盤由来マトリックス上又は内部で細胞を培養して、細胞と胎盤由来マトリックスの培養物を製造するステップと、培養物を目的の部位に注入するステップとを含む。
多能性幹細胞又は組織特異的前駆細胞の分化を促進する方法が提供される。方法は、本発明の胎盤由来マトリックス上又は内部で多能性幹細胞又は組織特異的前駆細胞を培養するステップを含む。
多能性幹細胞又は組織特異的前駆細胞の血管、筋、又は神経分化を促進する方法が提供される。方法は、本発明の胎盤由来マトリックス上又は内部で多能性幹細胞又は組織特異的前駆細胞を培養するステップを含む。
組織特異的前駆細胞の自己再生能力の維持を増加する方法が提供される。方法は、組織特異的前駆細胞を本発明の胎盤由来マトリックス上又は内部で培養するステップを含む。
組織の欠損を減少させる又は修復する方法が提供される。上記方法は本発明の胎盤由来マトリックスを欠損の部位に移植するステップを含む。
目的の組織部分を標識する方法が提供される。方法は、本発明の胎盤由来マトリックスを目的の組織部分のすぐ下に移植するステップを含む。
組織を切除する方法が提供される。方法は、本発明の胎盤由来マトリックスを目的の組織部分のすぐ下に移植するステップと、胎盤由来マトリックスの上の組織部分を切除するステップとを含む。
本発明の第3の態様に従えば、胎盤由来マトリックスを基質の表面に被覆する方法が提供される。方法は、(a)胎盤組織の少なくとも一片を脱細胞化又は失活させて、脱細胞化又は失活胎盤組織を製造するステップと、(b)脱細胞化又は失活胎盤組織を消化液で消化して胎盤由来マトリックスを製造するステップと、(c)基質の表面の少なくとも一部を胎盤由来マトリックスで被覆するステップとを含む。胎盤由来マトリックスは、被覆前は塩基性のpHを有していてもよい。被覆法は、被覆前に、胎盤由来マトリックスのpHを塩基性に、例えば、8.0又はそれよりも高いpHに調整するステップをさらに含むことができる。胎盤由来マトリックスはコラゲナーゼが実質的になくてもよい(例えば、約10、0.1、0.01又は0.001重量%未満)。胎盤由来マトリックスは、脱細胞化又は失活胎盤組織及び上記消化液から本質的になっていてもよい。胎盤組織は、哺乳動物、例えば、ヒト、ウシ、ブタ、マウス、ヒツジ、ウマ、イヌ及びネコ、好ましくはヒト由来であってもよい。
被覆法は、表面で胎盤由来マトリックスを電界紡糸するステップをさらに含むことができる。
被覆法は、消化と同時に又はこれに先立って胎盤組織をホモジナイズするステップをさらに含むことができる。消化は、脱細胞化又は失活胎盤組織を消化液中でホモジナイズするステップを含むことができる。ホモジナイジングは10秒〜72時間実施してもよい。ホモジナイジングは4℃で実施してもよい。
被覆法はホモジナイジングに先立って胎盤組織を切り取るステップをさらに含むことができ、胎盤組織の一部分のみがホモジナイズされる。
胎盤由来マトリックスがハイドロゲルである場合、被覆法は胎盤由来マトリックスを表面でゲル化するステップをさらに含むことができる。一実施形態では、胎盤由来マトリックスは熱可逆性ハイドロゲルであり、熱可逆性ハイドロゲルの溶液からゲル転移温度は4℃〜40℃の温度である。別の実施形態では、胎盤由来マトリックスは熱可逆性ハイドロゲルであり、熱可逆性ハイドロゲルは約37℃の温度でゲル化する。
一実施形態では、被覆法は、胎盤組織由来の天然のクロスリンカーに加えて追加のクロスリンカーを加えるステップを含まない。別の実施形態では、被覆法は、胎盤組織由来の天然のキャリアーに加えて追加のキャリアーを加えるステップを含まない。さらに別の実施形態では、被覆法は光活性剤を加えるステップを含まない。さらなる実施形態では、被覆法は、天然には存在しない結合により胎盤組織又は脱細胞化若しくは失活胎盤組織を架橋するステップを含まない。
被覆法では、消化液はペプシン、HCl又はその組合せを含むことができる。一実施形態では、消化液はペプシン及びHClを含み、ペプシンの濃度は400〜700ユニット/mlであり、HClの濃度は0.01M〜1.0Mである。
被覆法では、消化液での脱細胞化又は失活胎盤組織の濃度は5〜50mg/mLでもよい。脱細胞化又は失活胎盤組織での胎盤組織の重量パーセントは乾燥状態で50%〜100%でもよい。胎盤由来マトリックスでの胎盤組織の重量パーセントは乾燥状態で50%〜100%でもよい。
被覆法では、脱細胞化又は失活胎盤組織でのDNA量は、脱細胞化ステップ前の胎盤組織でのDNA量と比べて少なくとも90%減少していてもよい。胎盤由来マトリックスは、1mgの胎盤由来マトリックス当たり10μg、1μg、500ng、200ng又は100ng以下のDNAを含んでいてもよい。
被覆法は移植に先立って基質を保存するステップをさらに含むことができる。基質は乾燥状態で保存してもよい。基質は凍結保存により保存してもよい。
被覆法は、上記胎盤由来マトリックスを被覆前に又は後で1つ又は複数の処理溶液で処理するステップをさらに含むことができる。上記1つ又は複数の処理溶液のうちの少なくとも1つは、イオン、酵素、若しくは化学架橋剤、光活性剤、又はポリマーを含むことができる。イオン架橋剤は、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ストロンチウム、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、コバルト、及び鉄からなる群から選択される1つ又は複数を含んでいてもよい。酵素架橋剤は、トランスグルタミナーゼ、エチレンジアミン、リシルオキシダーゼファミリー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDIC)、ジメチルスベリイミデート(DMS)、及びジメチル−3−3’−ジチオビスプロピオンイミデート(DTBP)からなる群から選択される1つ又は複数を含んでいてもよい。化学架橋剤は、グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、ゲニピン、グルコース又はリボース、ポリ(エチレングリコール)ジエポキシドクロスリンカー、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、EDC及びNHS、並びにアクリルアジドからなる群から選択される1つ又は複数を含んでいてもよい。ポリマーは、天然若しくは修飾コラーゲン、ゼラチン、アガロース、修飾ヒアルロン酸、フィブリン、キチン、ビオチン、アビジン、ミネラル除去骨マトリックス、MATRIGEL(登録商標)、プロテオグリカン、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン、ヘパリン、グリセロール、スクロースオクタ硫酸、ポリエチレングリコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン及びメタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ヒドロキシアパタイト、ポリウレタン、並びにポリ乳酸からなる群から選択される1つ又は複数を含んでいてもよい。
被覆法は、被覆の前又は後で、1つ又は複数の生理活性サプリメント(複数可)を脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスに添加するステップをさらに含むことができる。1つ又は複数の生理活性サプリメント(複数可)は、FGFファミリー、TGFファミリーの成長又は分化因子、IGF−1、PDGF、EGF、VEGF、HGF、PTHrP、Ihh、デキサメタゾン、インスリン、トランスフェリン、セレニウム、ITS、及びアスコルビン酸からなる群から選択することができる。
被覆法は、生理活性サプリメント結合部位(複数可)を有する1つ又は複数の薬剤(複数可)を脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスに添加するステップをさらに含むことができる。生理活性サプリメント結合部位(複数可)は上記胎盤由来マトリックスに対する増殖因子、分化因子、サイトカイン、抗菌薬又は抗炎症薬の親和性を増加させることができる。
被覆法は胎盤組織を浄化し消毒するステップをさらに含むことができる。被覆法は胎盤組織及び/又は脱細胞化若しくは失活胎盤組織を減菌するステップをさらに含むことができる。被覆法は胎盤組織を脱細胞化するステップをさらに含むことができる。被覆法は胎盤由来マトリックスをネガティブ静水圧下で加工して空隙率を増加するステップをさらに含むことができる。
本発明の被覆法ごとに、方法により製造されるスキャフォールドが提供される。
本発明の被覆法ごとに、方法により製造される胎盤由来マトリックスで被覆された表面が提供される。
本発明の被覆法ごとに、細胞培養の方法が提供される。細胞培養の方法は、被覆法により製造される胎盤由来マトリックスで被覆された細胞培養表面で細胞を培養するステップを含む。
[発明の詳細な説明]
細胞外マトリックス(ECM)の臨床応用を治療目的に前進させることに向けて、胎盤由来マトリックスは調製されており、そのECMは、例えば、新規のin vivo送達について並びに異種成分不含有、無血清体細胞及び幹細胞培養物を支援することについてプロテオミクス的に評価されてきた。塩基性pHを有する胎盤由来マトリックスは中性pHを有する胎盤由来マトリックスを上回る改善効果を提供することが発見されていた。例えば、塩基性pHはペプシンなどの消化酵素を不可逆的に不活化し、組織の消化の正確な制御を行ってECMを作る。さらに、塩基性pHはECMにより優れたゲル化特性、例えば、より均質なECMをもたらす。さらに、塩基性pHを有するECMはより優れた細胞機能、例えば、より優れた細胞接着を示す。胎盤組織を1つ又は複数の非変性洗浄剤で処理することを伴う脱細胞化又は失活化工程により調製される、抽出液、ハイドロゲル又は他の再構成されたスキャフォールドの形態の胎盤由来マトリックスは、胎盤組織の生物学的機能を実質的に維持できることも発見されている。
本発明は胎盤由来マトリックス、それを調製する方法、及び使用方法を提供する。本発明は、胎盤由来マトリックスを使用して、細胞を培養する、細胞を送達する、幹細胞又は組織特異的前駆細胞の分化を促進する、及び欠損の瘢痕を修復する、置き換える、再生する、充填する、減らす又は阻害する方法も提供する。本発明は、表面を胎盤由来マトリックスで覆う又は胎盤由来マトリックスを目的の部位に注入する方法をさらに提供する。
一態様では、本発明は胎盤由来マトリックスを調製する方法に関する。方法は胎盤組織を脱細胞化又は失活させて脱細胞化又は失活胎盤組織を製造するステップと、脱細胞化又は失活胎盤組織を消化液で消化して胎盤由来マトリックスを製造するステップとを含む。
本明細書で使用される用語「胎盤由来マトリックス」とは、胎盤組織から調製される細胞外マトリックスのことである。胎盤由来マトリックスは、胎盤組織中の細胞外分子(例えば、タンパク質、多糖及びプロテオグリカン)のうちのかなりの量(例えば、少なくとも約70、80、90、95、99%、99.9%又は99.999%)を保持することができる。胎盤由来マトリックスは生活細胞を含まないことが好ましい。胎盤由来マトリックスは胎盤組織中の1つ又は複数の分子(例えば、コラゲナーゼ及び内毒素)が実質的になくてもよい(例えば、約10、0.1、0.01又は0.001重量パーセント未満)。
胎盤由来マトリックスは塩基性pHを有することができる。調製法は、脱細胞化又は失活胎盤組織の消化により製造される胎盤由来マトリックスのpHを塩基性、例えば、約8.0又はそれよりも高く、好ましくは、約8.2に調整するステップをさらに含むことができる。
本明細書で使用される用語「塩基性pH」とは、約7.8よりも上のpHのことである。塩基性pHは、約8.0〜11.0、好ましくは、約8.0〜9.0、さらに好ましくは約8.0〜8.2の範囲であってもよい。例えば、塩基性pHは、約7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9又は9.0であってもよい。塩基性pHは約8.2であることが好ましい。
本明細書で使用される用語「中性pH」とは、約6.0〜7.8、好ましくは約6.5〜7.5、さらに好ましくは約6.8〜7.2のpHのことである。例えば、中性pHは約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7又は7.8であってもよい。中性pHは約7.4であることが好ましい。
本明細書で使用される用語「酸性pH」とは約5.0より低いpHのことである。酸性pHは約1.0〜5.0、好ましくは約1.0〜4.0、さらに好ましくは約1.5〜2.0の範囲であってもよい。例えば、酸性pHは約1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5又は4.0であってもよい。酸性pHは約2.0であることが好ましい。
本明細書で使用される用語「脱細胞化」とは、組織、例えば、胎盤組織中の無傷の細胞のうちの相当量を、例えば、少なくとも約70、80、90、95、99,99.9又は99.999%減らすための工程のことである。
本明細書で使用される用語「失活させる」とは、組織、例えば、胎盤組織中の生細胞のうちの相当量を、例えば、少なくとも約70、80、90、95、99,99.9又は99.999%減らすための工程のことである。胎盤由来マトリックスは生細胞を含まないことが好ましい。
胎盤組織は哺乳動物由来であってよい。哺乳動物は、ヒト、ウシ、ブタ、マウス、ヒツジ、ウマ、イヌ又はネコであってよい。胎盤組織はヒト胎盤組織であることが好ましい。一実施形態では、胎盤由来マトリックスは、胎盤由来マトリックスが、例えば、移植によりヒトに導入される場合、対象において免疫応答を誘導しない。
本明細書に記載される脱細胞化又は失活化工程は、胎盤組織の一片から細胞成分を取り除く。本明細書に記載される脱細胞化又は失活化工程は、米国特許第6,734,018号、米国特許第7,338,757号、米国特許第8,574,826号、米国特許第6,743,574号、及び米国特許第8,563,232号、並びに米国特許出願公開第2014/0065238号及び米国特許出願公開第2014/0154663号に記載される方法に従って実施することができ、上記特許文献はそれぞれ参照によりその全体を本明細書に組み込まれる。脱細胞化又は失活化工程は、洗浄剤、エンドヌクレアーゼ、又はプロテアーゼを使用するステップを含まないでもよい。脱細胞化又は失活化工程は、胎盤組織のマトリックス及び/又は組織構造を損傷せずに実施することができ、洗浄剤、サルコシネート(sarcosinates)、エンドヌクレアーゼ、及び汚染除去剤(decontaminating agents)を用いてもよい。洗浄剤は、組織、好ましくは胎盤組織、さらに好ましくはヒト胎盤組織を脱細胞化する又は失活させるのに適したいかなる洗浄剤でもよい。いくつかの実施形態では、失活胎盤組織は、洗浄剤、好ましくは非変性洗浄剤を使用して胎盤組織を失活させることにより製造される。非変性洗浄剤は、N−ラウロイルサルコシネート、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレンイソアルコール、ポリオキシエチレンp−t−オクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノール、脂肪酸のポリオキシエチレンエステル、及びポリオキシエチレンソルビトールエステルからなる群から選択することができる。洗浄剤は、好ましくは、陰イオン洗浄剤でも変性洗浄剤、例えば、SDSでもない。
マトリックス構造は、いくつかある成分の中で特にコラーゲン、ヒアルロニン(hyaluronins)、エラスチン、ムコ多糖及びプロテオグリカンを含むことができる。いくつかの実施形態では、胎盤由来マトリックスは、1つよりも多いタイプのコラーゲン並びに/又はコラーゲン、コラーゲンI型、及び/若しくはコラーゲンIV型以外の1つよりも多いタンパク質を含んでいてもよい。脱細胞化又は失活化工程に先立つ胎盤組織でのEMCタンパク質(例えば、コラーゲンI、コラーゲンIV、フィブロネクチン、ラミニン、及び胎盤性ラクトゲン)のうちの少なくとも約50、60、70、80、90、95又は99重量パーセントは、得られる胎盤由来マトリックスに残ってもよい。
いくつかの実施形態では、脱細胞化又は失活胎盤組織でのDNA量は、脱細胞化又は失活化工程前の胎盤組織でのDNA量と比べて、60、70、80、85、90、95、99%若しくはそれよりも多く;60、70、80、85、90、95、99、100%若しくはそれよりも少なく;及び/又は50〜100%、70〜100%、90〜100%、90〜95%減少する。他の実施形態では、胎盤由来マトリックスは、胎盤由来マトリックスの1mg乾燥重量当たり10μg、1μg、500ng、200ng又は100ng以下のDNAを含む。
追加の実施形態では、本明細書に記載される胎盤組織は自家移植片、同種移植片、又は異種移植片である。追加の実施形態では、本明細書の胎盤組織は、とりわけ、ヒト、非ヒト動物、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、又は魚起源を有していてもよい。さらなる実施形態では、本明細書に記載される胎盤組織は、(i)プレート、羊膜及び絨毛膜を有する全完全胎盤、又は(ii)羊膜及び/又は絨毛膜を除外する胎盤組織の一部でもよい。胎盤組織はバイオテクノロジー的方法の産物、例えば、細胞培養法を使用して製造される組織操作された胎盤組織でもよく、そのようなバイオテクノロジー的方法の産物は本明細書に記載される胎盤組織として含まれてもよい。
本発明のいくつかの実施形態に従って胎盤由来マトリックスを調製する方法は、脱細胞化又は失活胎盤組織を消化液で消化して胎盤由来マトリックスを製造するステップを含む。本明細書に記載される消化液は、胎盤組織中のタンパク質の少なくとも一部を消化する酵素を含むことができる。例えば、消化液は、酸、強又は弱酸、並びに、パパイン、ペプシン、ペプシノーゲン、トリプシン、コラゲナーゼ、及び/又はディスパーゼを含むがこれらに限定されないプロテアーゼを含んでいてもよい。酸は、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、酢酸(HC2H3O2)、クエン酸(H3C6H5O7)、硫酸(H2SO4)及びトリフルオロ酢酸(CF3CO2H)からなる群から選択することができる。酸はHClが好ましい。本明細書で使用されるとき、用語「及び/又は」は関連する挙げられた項目のうちの1つ又は複数のありとあらゆる組合せを含む。
いくつかの実施形態では、消化液中のペプシンの濃度は約300、400、500、600、700、800、1000、5000又は8000ユニット/ml若しくはそれよりも少ない;約100、200、300、400、500、600、700、800、1000、5000又は6000ユニット/ml若しくはそれよりも多い:及び/又は約100〜8000、200〜1000、400〜700、100〜600、400〜1000、300〜600、若しくは500〜600ユニット/mlでもよい。胎盤由来マトリックス中のペプシン活性は、適切な酸性pH、例えば、約2.0で試験した場合、消化液中のペプシン活性の約10、5、1又は0.1%未満でもよい。
追加の実施形態では、消化液中の酸(例えば、HCl)の濃度は、約0.005、0.002、0.005、0.02、0.2、0.3、0.4、0.6、0.8、1.0M若しくはそれよりも少ない;約0.0001、0.0005、0.001、0.005、0.01、0.15、0.2、0.3、0.5、0.7M若しくはそれよりも多い;及び/又は約0.0005〜1.0M、0.01〜0.2M、0.001〜0.5M、0.02〜0.2、0.02〜0.1、0.01〜0.1、若しくは0.0001〜0.5Mでもよい。さらなる実施形態では、消化液中の脱細胞化又は失活胎盤組織の濃度は、約0.01、0.1、0.5、1、5、10、20、30、40、50mg/mL若しくはそれよりも少ない;約0.01、0.1、0.5、1、5、10、20、30、40、50mg/mL若しくはそれよりも多い;及び/又は約0.1〜40、1〜50、10〜40、0.01〜100、若しくは10〜100mg/mLでもよい。追加の実施形態では、胎盤組織及び/又は脱細胞化若しくは失活胎盤組織は約5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、40秒、50秒、60秒、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、60分、2時間、5時間、10時間、24時間、48時間又は72時間又はそれよりも多い時間消化される。追加の実施形態では、胎盤組織及び/又は脱細胞化若しくは失活胎盤組織は約20秒、30秒、60秒、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、60分、2時間、5時間、10時間、24時間、48時間又は72時間又はそれよりも少ない時間消化される。さらなる実施形態では、胎盤組織及び/又は脱細胞化若しくは失活胎盤組織は約20秒〜72時間、約1分〜20分、約1分〜10分、又は約1分〜6分間消化される。
本発明のいくつかの実施形態に従って胎盤由来マトリックスを調製する方法は、
脱細胞化又は失活胎盤組織を消化と同時に、前に又は後でホモジナイズして、ホモジナイズされた胎盤組織又は胎盤組織ホモジネートを含む胎盤由来マトリックスを製造するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、消化は脱細胞化又は失活胎盤組織を消化液中でホモジナイズするステップを含む。ホモジナイズされた胎盤組織又は胎盤組織ホモジネートは、ホモジナイジング前の組織又は組織断片と比べて小さい及び/又は均等に分配された粒子にまで減少された脱細胞化又は失活胎盤組織の少なくとも一片を含有する。ホモジナイズされた胎盤組織は、粒子に加えて、任意選択で、水、水溶液、又は水混和性極性有機溶媒のうちの少なくとも1つを含でいてもよい。本発明の方法で使用されるホモジナイズされた胎盤組織は、約100ミクロン未満の平均径を有する粒子を含む。いくつかの実施形態では、ホモジナイズされた胎盤組織は、胎盤組織、並びに任意選択で、水、水溶液、及び水混和性極性有機溶媒のうちの少なくとも1つを含む組成物の剪断誘発破砕により調製することができる。ある特定の実施形態では、従来のブレンダーをホモジナイズされた胎盤組織を調製するのに使用することができる。いくつかの実施形態では、胎盤組織は、(例えば、ブレンダー、打解機、及びミキサーにより)軟組織を切り刻む、薄く裂く、粉砕する(凍結粉砕を含む)、磨り潰す、薄切りにする及び/又は打ち砕くことにより機械的にホモジナイズしてもよい。例えば、本明細書に記載される胎盤組織は、ブレンダーにより、約1、3、又は5分間、約1000、5000、10000、又は15000rpm及び市販のブレンダーの最大剪断速度で機械的に改変することができる。追加の実施形態では、胎盤組織及び/又は脱細胞化若しくは失活胎盤組織は、約5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、40秒、50秒、60秒、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、60分、2時間、5時間、10時間、24時間、48時間又は72時間又はそれよりも長い時間ホモジナイズされる。追加の実施形態では、胎盤組織及び/又は脱細胞化若しくは失活胎盤組織は、約20秒、30秒、60秒、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、60分、2時間、5時間、10時間、24時間、48時間又は72時間又はそれよりも短い時間ホモジナイズされる。さらなる実施形態では、胎盤組織及び/又は脱細胞化若しくは失活胎盤組織は、約20秒〜72時間、約1分〜20分、約1分〜10分、又は約1分〜6分間ホモジナイズされる。
いくつかの実施形態では、消化及び/又はホモジナイズは、約−200、−100、−80、−70、−60、−50、−40、−30、−20、−10、−5、0、5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36若しくは37℃で;約−70、−60、−50、−40、−30、−20、−10、−5、0、5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38若しくは39℃より下で;約−80、−70、−60、−50、−40、−30、−20、−10、−5、0、5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36若しくは37℃より上で;及び/又は約−80〜約37℃、−80〜約25℃、−80〜約38℃、−70〜約38℃、約−50〜約38℃、約−30〜約38℃、約−10〜約38℃、約0〜約38℃、約5〜約38℃、約10〜約38℃、約15〜約38℃、約−5〜約10℃、約−5〜約5℃、若しくは約0〜約10℃で実施することができる。追加の実施形態では、本明細書に記載される方法は、胎盤組織又は脱細胞化及び/若しくは失活胎盤組織を、消化及び/又はホモジナイジングに先立って、その間、及び/又はその後に約24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、35、36、37、38、40、45、50、60、70、80、90、100、150、又は200℃よりも高い熱で処理するステップを排除してもよい。いくつかの実施形態では、方法は胎盤組織又は脱細胞化及び/若しくは失活胎盤組織を、消化及び/又はホモジナイジングに先立って、その間、及び/又はその後に約50、70、90、110、200、又は300℃よりも低い熱で処理するステップを排除する。他の実施形態では、方法は胎盤組織又は脱細胞化及び/若しくは失活胎盤組織を、消化及び/又はホモジナイジングに先立って、その間、及び/又はその後に、約26〜約200℃、約30〜約150℃、約39〜約300℃、約40〜約120℃、約50〜約110℃、及び約50〜約100℃、約50〜約300℃の熱で処理するステップを排除する。別の態様では、方法は、当技術分野でいくつかある方法の中で特に、超音波処理、マイクロ波照射、又は発熱部品からの従来の熱伝達を排除してもよい。
別の態様では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスはハイドロゲルの形態でもよい。本明細書で使用されるとき、用語ハイドロゲルはその技術分野で理解されている意味を有しており、水を吸収して様々な弾性のゲルを形成することができる水膨潤性ポリマーマトリックスのことである。用語「マトリックス」とは、共有及び/又は非共有架橋により一つに保持されている三次元網目の巨大分子のことである。水性環境に置かれると、乾燥ハイドロゲルは架橋の度合いにより許容される程度にまで膨潤することができる。吸収される水の量は使用される巨大分子成分により制御可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスは熱可逆性ハイドロゲルの形態である。本明細書に記載される熱可逆性ハイドロゲルとは、温度に応じてその秩序を変化させる温度感受性ゲルのことである。追加の実施形態では、熱可逆性ハイドロゲルの溶液からゲル転移温度は、約4℃〜約40℃、約10℃〜約40℃、約20℃〜約40℃、約30℃〜約40℃、約35℃〜約40℃、約36℃〜約38℃、又は約20℃〜約38℃の温度である。熱可逆性ハイドロゲルの溶液からゲル転移温度は、約5、10、20、25、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、50、60℃又はそれよりも低い温度でもよい。熱可逆性ハイドロゲルの溶液からゲル転移温度は、約3、5、10、20、25、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、50、60℃又はそれよりも高い温度でもよい。さらなる実施形態では、熱可逆性ハイドロゲルのゲルから溶液転移温度は、約−1℃〜約4℃、約0℃〜約10℃、約5℃〜約15℃、約4℃〜約40℃、約10℃〜約40℃、約20℃〜約40℃、約30℃〜約40℃、又は約35℃〜約40℃の温度である。熱可逆性ハイドロゲルのゲルから溶液転移温度は、約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45℃又はそれよりも低い温度でもよい。熱可逆性ハイドロゲルのゲルから溶液転移温度は、約−1、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、20、25、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40℃又はそれよりも高い温度でもよい。
別の態様では、本明細書に記載される方法は、脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスに(i)胎盤組織由来の天然の架橋に加えて追加の架橋、(ii)胎盤組織由来の天然のキャリアーに加えて追加のキャリアー、及び/又は(iii)光活性剤を添加するステップを含まない。別の態様では、脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスは、1つ又は複数の胎盤組織(複数可)由来の天然のクロスリンカー(複数可)及び天然のキャリアー(複数可)に加えて追加のクロスリンカー又はキャリアーを含んでもよいし含まなくてもよい。しかし、上記方法は、胎盤組織を消化する及び/又はホモジナイズした後で、1つ又は複数の胎盤組織(複数可)由来の天然のクロスリンカー(複数可)及び天然のキャリアー(複数可)に加えて追加のクロスリンカー又はキャリアーを添加してもよく、胎盤由来マトリックスは、胎盤組織(複数可)由来の天然のクロスリンカー(複数可)及び天然のキャリアー(複数可)に加えて、下に記載される追加のクロスリンカー又はキャリアーを含むことができる。
本明細書に記載される胎盤組織は、胎盤組織を消化する、ホモジナイズする、収穫する、分散させる、凍結させる、及び/又は凍結乾燥させる前に又は後で、少なくとも胎盤組織の2つの部分間で物理及び/又は化学結合を生み出すように構成されている天然に存在するクロスリンカーを含むことができる。化学結合は、イオン、共有、及び/又は金属結合を含むことができる。例えば、胎盤組織の天然のクロスリンカーは、胎盤組織を消化する及び/又はホモジナイズした後で化学的、物理的、及び/又は温度処理により架橋されて物理及び/又は化学結合を形成してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、天然には存在しないクロスリンカーを使用して、天然には存在しない結合により脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスを架橋するステップを含まない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスは、本明細書では架橋剤とも呼ばれる、天然には存在しないクロスリンカーを排除することができる。追加の実施形態では、本明細書に記載される消化された胎盤組織は天然には存在しないクロスリンカーを含まない。例えば、本明細書に記載される脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスは、アルギン酸プロピレングリコール、グリセロール、スクロースオクタ硫酸、ポリエチレングリコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、アクリロイルモルホリン、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン及びメタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ヒドロキシアパタイト、ポリウレタン、及びポリ乳酸、グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、ポリ(エチレングリコール)ジエポキシドクロスリンカー、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、EDC及びNHS、トランスグルタミナーゼ、エチレンジアミン、リシルオキシダーゼファミリー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDIC)、ジメチルスベリイミデート(DMS)、ジメチル−3−3’−ジチオビスプロピオンイミデート(DTBP)、アクリルアジド、並びにその組合せからなる群から選択される天然には存在しないクロスリンカーを排除してもよい。追加の実施形態では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスは、キサンテン色素、ナフタルイミド化合物、リボフラビン−5−ホスフェート、N−ヒドロキシピリジン−2−(1H)−チオン、N−(20−エチルアミノエチル)−4−アミノ−1,8−ナフタルイミド、ビス−ジアゾピルバミド(diazopyruvamide)−N,N9−ビス(3−ジアゾピルボイル(diazopyruvoyl)−2,29−(エチレンジオキシ)ビス−(エチルアミン)(DPD)、ジアゾピルボイル(DAP)、メチレンブルー、エリスロシン、フロキシム(phloxime)、チオニン、メチレングリーン、ローズベンガル、アクリジンオレンジ、キサンチン色素、チオキサンチン色素、エチルエオジン、エオジンY、及びその組合せからなる群から選択される光活性剤を排除してもよい。
別の態様では、本明細書に記載される胎盤組織は天然のキャリアーも含むこともできる。本明細書に記載されるキャリアーは三次元フレームワークを形成するように構成されて、創傷、欠損、及び/又は手術部位に注入又は移植される。いくつかの実施形態では、創傷は開放創でもトンネル傷でもよい。天然のキャリアーは胎盤組織に天然に存在するキャリアーであり、例えば、コラーゲン及びヒューロン酸(hyuronic acid)又はエラスチンなどの細胞外マトリックスを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるホモジナイズされた及び/若しくは消化された胎盤組織並びに/又は生物学的に機能的なスキャフォールドは、ゼラチン、アガロース、修飾ヒアルロン酸、アルギン酸プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン及びメタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ヒドロキシアパタイト、架橋された又は機能化されたヒアルロナンベースのコラーゲン及びアルギン酸、ポリウレタン、ポリ乳酸、又は前述のポリマーのうちの少なくとも1つを含む組合せからなる群から選択される天然には存在しないキャリアーを排除してもよい。追加の実施形態では、本明細書に記載される消化された胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスは、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ストロンチウム、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、コバルト、又は鉄の塩、グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、ポリ(エチレングリコール)ジエポキシドクロスリンカー、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、EDC及びNHS、トランスグルタミナーゼ、エチレンジアミン、リシルオキシダーゼファミリー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDIC);ジメチルスベリイミデート(DMS)、ジメチル−3−3’−ジチオビスプロピオンイミデート(DTBP)、アクリルアジド、並びにその組合せを排除してもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスは、胎盤組織由来の天然のキャリアー(複数可)に加えて追加のクロスリンカーを含まない。追加の実施形態では、本明細書に記載される脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスは、胎盤組織由来の天然のキャリアー(複数可)に加えて追加のキャリアーを含まない。例えば、本明細書に記載される脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスは、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコール、天然の又は架橋されたキトサン、デンプン、ポリエチレングリコール、セルロース及びその誘導体(酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、及びメチルセルロースなどの)、キサンタンガム、デキストラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ローカストビーンガム、ガムトラガカンス(gum tragacanth)、アラビアゴム、カードラン、プルラン、スクレログルカン、低メトキシルペクチン、又はカラゲナンを含まなくてもよい。
脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスは、キャリアー溶液を含んでも含まなくてもよい。キャリアー溶液は、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ストロンチウム、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、コバルト、又は鉄の塩;グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、ゲニピン、グルコース又はリボース、ポリ(エチレングリコール)ジエポキシドクロスリンカー、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、EDC及びNHS、トランスグルタミナーゼ、エチレンジアミン、リシルオキシダーゼファミリー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDIC);ジメチルスベリイミデート(DMS)、ジメチル−3−3’−ジチオビスプロピオンイミデート(DTBP)、又はアクリルアジドを含んでいてもよい。キャリアー溶液は、天然若しくは修飾コラーゲン、ゼラチン、アガロース、修飾ヒアルロン酸、フィブリン、キチン、ビオチン、アビジン、MATRIGEL(登録商標)、プロテオグリカン、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン、ヘパリン、グリセロール、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン及びメタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ヒドロキシアパタイト、ヒアルロナンベースコラーゲン及びアルギン酸の架橋若しくは機能付与、ポリウレタン、ポリ乳酸、又は胎盤組織由来の天然のキャリアー(複数可)に加えて前述のポリマーのうちの少なくとも1つを含む組合せを含む群から選択される天然及び/又は合成ポリマーを含んでいてもよい。追加の実施形態では、例えば、本明細書に記載される脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスは、胎盤組織由来の天然のキャリアー(複数可)に加えて、キャリアーを含んでも含まなくてもよく、キャリアーは天然のコラーゲン、ヒアルロン酸、フィブリン、キチン、ビオチン、アビジン、MATRIGEL(登録商標)、プロテオグリカン、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン、ヘパリン、アルギン酸、ゲニピン、キトサン、デンプン、グルコース又はリボース、セルロース及びその誘導体(酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、及びメチルセルロースなどの)、キサンタンガム、デキストラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ローカストビーンガム、ガムトラガカンス、アラビアゴム、カードラン、プルラン、スクレログルカン、低メトキシルペクチン、カラゲナン、並びにその組合せからなる群から選択される。さらに、さらなる実施形態では、本明細書に記載される脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び/又は胎盤由来マトリックスは、胎盤組織由来の天然のクロスリンカー(複数可)に加えてクロスリンカーを含んでも含まなくてもよく、クロスリンカーは、アルギン酸、デンプン、セルロース及びその誘導体(酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、及びメチルセルロースなどの)、キサンタンガム、デキストラン、カラゲナン、ゲニピン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ローカストビーンガム、ガムトラガカンス、アラビアゴム、カードラン、プルラン、スクレログルカン、及び低メトキシルペクチン、グルコース又はリボース、天然のコラーゲン、ヒアルロン酸、フィブリン、キチン、ビオチン、アビジン、MATRIGEL(登録商標)、プロテオグリカン、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン、ヘパリン、キトサン、並びにその組合せからなる群から選択される。
別の態様では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスは、脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び消化液から本質的になる並びに/又はからなる。用語「から本質的になる」は、最初の要素からなるマトリックスのタンパク質組成及び/又はゲル化に実質的に影響を与えない追加の要素を含むようにマトリックスの範囲を定義している。例えば、脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び消化液から本質的になる胎盤由来マトリックスは、脱細胞化若しくは失活胎盤組織及び消化液からなる胎盤由来マトリックスのタンパク質組成及び/又はゲル化に実質的に影響を与えない脱細胞化又は失活胎盤組織及び消化液に加えて要素を含んでいてもよい。本明細書でタンパク質組成に実質的に影響を与えるとは、タンパク質組成を少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、7、9、10、12、15、20、25、30、又は40%変化させることを意味する。本明細書でマトリックスのゲル化に実質的に影響を与えるとは、マトリックスの粘度を少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、7、9、10、12、15、20、25、30、又は40%変化させることを意味する。
別の態様では、本明細書に記載される方法は、上記胎盤由来マトリックスを凍結する又は凍結乾燥して、凍結又は凍結乾燥した胎盤由来マトリックスを製造するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、胎盤由来マトリックスは、凍結乾燥断片が約10、5、4、3、2、1、0.5、又は0.1重量%未満の平均残留湿気を有するような点まで凍結乾燥させてもよい。
別の態様では、本明細書に記載される方法は、胎盤由来マトリックスを所定の形状を有する型に入れるステップをさらに含むことができ、胎盤由来マトリックスは型の中で凍結又は凍結乾燥される。別の態様では、本明細書に記載される方法は、移植に先立って胎盤由来マトリックスを保存するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、胎盤由来マトリックスは、乾燥状態で、凍結状態で、凍結保存で、又は湿潤状態で保存される。追加の実施形態では、本明細書に記載される方法は、例えば、胎盤由来マトリックスの海綿構造体及びナノからマイクロファイバーを含む胎盤由来マトリックスを水置換剤(water−replacing agent)で処理するステップをさらに含むことができる。さらなる実施形態では、胎盤由来マトリックスは湿潤状態で保存してもよい。
別の態様では、本明細書に記載される上記胎盤由来マトリックスを凍結する又は凍結乾燥するステップを含む方法は海綿構造体を製造する。いくつかの実施形態では、凍結及び/又は凍結乾燥された胎盤由来マトリックスは、平均で約1、5、10、100、200、300、400、500、700、1000、1500、2000、3000、若しくは4000μm又はそれよりも大きい平均径を有する細孔を含む。追加の実施形態では、凍結及び/又は凍結乾燥された胎盤由来マトリックスは、平均で約2、6、20、100、200、300、400、500、700、900、1000、1300、1500、2000、3000、若しくは4000μm又はそれよりも小さい平均径を有する細孔を含む。さらなる実施形態では、凍結及び/又は凍結乾燥された胎盤由来マトリックスは、平均で約1μm〜4000μm、100μm〜1000μm、約50μm〜2000μm、100μm〜500μmの平均径を有する細孔を含む。
別の態様では、本明細書に記載される方法は、例えば、米国特許第6,293,970号、米国特許第6,569,200号、米国特許第6,544,289号、米国特許第7,063,726号、又は米国特許出願公開第2010/0030340号、米国特許出願公開第2014/0180437号、米国特許出願公開第2011/0015757号、及び米国特許出願公開第2013/0218294号に記載されるように、胎盤由来マトリックスの海綿構造体及びナノからマイクロファイバーを含む胎盤由来マトリックスを可塑化するステップをさらに含むことができ、上記特許文献はそれぞれ参照によりその全体を本明細書に組み込まれる。追加の実施形態では、方法は凍結又は凍結乾燥された胎盤由来マトリックスを水置換剤で処理するステップを含むことができる。水置換剤で処理された凍結又は凍結乾燥された胎盤由来マトリックスは湿潤状態で保存してもよい。さらなる実施形態では、水置換剤は、グリセロール(グリセリン USP)、アドニトール、ソルビトール、リビトール、ガラクチトール、D−ガラクトース、1,3−ジヒドロキシプロパノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルコース、スクロース、マンニトール、キシリトール、メソ−エリスリトール、アジピン酸、プロリン、ヒドロキシプロリン、ポリエチレングリコール、アルコール、及び脂質からなる群から選択される1つ又は複数を含む。
いくつかの実施形態では、凍結及び/又は凍結乾燥された胎盤由来マトリックスの平均ボイド容量は、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、96、97、98、99%又はそれよりも多い。追加の実施形態では、凍結及び/又は凍結乾燥された胎盤由来マトリックスの平均ボイド容量は、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、96、97、98、99%又はそれよりも少ない。さらなる実施形態では、凍結及び/又は凍結乾燥された胎盤由来マトリックスの平均ボイド容量は、約10%〜約95%、約30%〜95%、約40%〜約90%、約50%〜90%、約60%〜約90%、又は約20%〜60%である。
別の態様では、本明細書に記載される方法は、任意選択で、上記胎盤由来マトリックスを凍結する又は凍結乾燥して海綿構造体を製造するステップと;本明細書に記載される胎盤由来マトリックス又は海綿構造体を溶媒に溶解して胎盤由来溶液を製造するステップと;胎盤由来溶液を電界紡糸してナノからマイクロファイバーを製造するステップとを含むことができる。例えば、米国特許出願公開第2010/0120115号及び米国特許出願公開第2015/0010607号、並びに国際公開第2014/160002号に記載されるように、胎盤由来溶液は、電界紡糸してナノファイバーを製造することができ、上記特許文献はそれぞれ参照によりその全体を本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックス由来のナノからマイクロファイバーは、例えば、電界紡糸によるだけではなく、メルトブローイング(meltblowing)、二成分紡糸(bicomponent spinning)、フォース紡糸(forcespinning)、フラッシュ紡糸(flash−spinning)、押出し成形、共重合体と一緒の若しくはなしのコアシース電界紡糸、又は自己組織化によっても調製することができる。
胎盤由来マトリックススキャフォールドでのナノからマイクロファイバーの整列は、高速フーリエ変換(FFT)解析により測定することができる。例えば、FFT解析は、Measuring fiber alignment in electrospun scaffolds: a user’s guide to the 2D fast Fourier transform approach、Ayres CE、Jha BS、Meredith H、Bowman JR、Bowlin GL、Henderson SC、Simpson DG.J Biomater Sci Polym Ed.2008年;19巻(5号):603〜21ページに記載される方法により実施することができ、上記文献は参照によりその全体を組み込まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックス由来のナノからマイクロファイバーのFFT結果は隣接する主ピークを有し、約180°互いに離れている。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるナノファイバーは、約1000nm若しくはそれよりも少ない、900nm若しくはそれよりも少ない、800nm若しくはそれよりも少ない、700nm若しくはそれよりも少ない、600nm若しくはそれよりも少ない、500nm若しくはそれよりも少ない、400nm若しくはそれよりも少ない、300nm若しくはそれよりも少ない、200nm若しくはそれよりも少ない、100nm若しくはそれよりも少ない、50nm若しくはそれよりも少ない、20nm若しくはそれよりも少ない、又は10nm若しくはそれよりも少ない平均径を有していてもよい。追加の実施形態では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックススキャフォールドでの全ナノファイバーは、約1000nm若しくはそれよりも少ない、900nm若しくはそれよりも少ない、800nm若しくはそれよりも少ない、700nm若しくはそれよりも少ない、600nm若しくはそれよりも少ない、500nm若しくはそれよりも少ない、400nm若しくはそれよりも少ない、300nm若しくはそれよりも少ない、200nm若しくはそれよりも少ない、100nm若しくはそれよりも少ない、50nm若しくはそれよりも少ない、20nm若しくはそれよりも少ない、又は10nm若しくはそれよりも少ない平均径を有していてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるマイクロファイバーは、約100ミクロン若しくはそれよりも少ない、90ミクロン若しくはそれよりも少ない、80ミクロン若しくはそれよりも少ない、70ミクロン若しくはそれよりも少ない、60ミクロン若しくはそれよりも少ない、50ミクロン若しくはそれよりも少ない、40ミクロン若しくはそれよりも少ない、30ミクロン若しくはそれよりも少ない、20ミクロン若しくはそれよりも少ない、10ミクロン若しくはそれよりも少ない、5ミクロン若しくはそれよりも少ない、2ミクロン若しくはそれよりも少ない、又は1ミクロン若しくはそれよりも少ない平均径を有していてもよい。追加の実施形態では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックススキャフォールドでの全マイクロファイバーは、約100ミクロン若しくはそれよりも少ない、90ミクロン若しくはそれよりも少ない、80ミクロン若しくはそれよりも少ない、70ミクロン若しくはそれよりも少ない、60ミクロン若しくはそれよりも少ない、50ミクロン若しくはそれよりも少ない、40ミクロン若しくはそれよりも少ない、30ミクロン若しくはそれよりも少ない、20ミクロン若しくはそれよりも少ない、10ミクロン若しくはそれよりも少ない、5ミクロン若しくはそれよりも少ない、2ミクロン若しくはそれよりも少ない、又は1ミクロン若しくはそれよりも少ない平均径を有していてもよい。さらなる実施形態では、本明細書に記載されるナノからマイクロファイバーは、約5nm、10nm、25nm、50nm、100nm、250nm、500nm、1ミクロン、5ミクロン、20ミクロン、50ミクロン、75ミクロン又はそれよりも多い平均径を有していてもよい。
一態様では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスナノファイバーは、約0.1cm〜約10cm、約1cm〜約10cm、約0.1cm〜約20cm、約1cm〜約20cm、約10cm〜約20cm、約0.1cm〜約30cm、約1cm〜約30cm、約10cm〜約30cm、約20cm〜約30cm、約0.1cm〜約40cm、約1cm〜約40cm、約10cm〜約40cm、約20cm〜約40cm、約30cm〜約40cm、約0.1cm〜約50cm、約1cm〜約50cm、約10cm〜約50cm、約20cm〜約50cm、約30cm〜約50cm、約40cm〜約50cm、0.1cm〜約60cm、約1cm〜約60cm、約10cm〜約60cm、約20cm〜約60cm、約30cm〜約60cm、又は約40cm〜約60cmの平均長さを有していてもよい。別の態様では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックススキャフォールドでの全ナノファイバーは、約0.1cm〜約10cm、約1cm〜約10cm、約0.1cm〜約20cm、約1cm〜約20cm、約10cm〜約20cm、約0.1cm〜約30cm、約1cm〜約30cm、約10cm〜約30cm、約20cm〜約30cm、約0.1cm〜約40cm、約1cm〜約40cm、約10cm〜約40cm、約20cm〜約40cm、約30cm〜約40cm、約0.1cm〜約50cm、約1cm〜約50cm、約10cm〜約50cm、約20cm〜約50cm、約30cm〜約50cm、約40cm〜約50cm、0.1cm〜約60cm、約1cm〜約60cm、約10cm〜約60cm、約20cm〜約60cm、約30cm〜約60cm、又は約40cm〜約60cmの長さを有していてもよい。
いくつかの実施形態では、上記脱細胞化又は失活胎盤組織での上記胎盤組織の重量パーセントは乾燥状態で、約2、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、92、94、96、98、100%又はそれよりも多い。追加の実施形態では、上記脱細胞化又は失活胎盤組織での上記胎盤組織の重量パーセントは乾燥状態で、約3、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、91、93、95、97、99、100%又はそれよりも少ない。さらなる実施形態では、上記脱細胞化又は失活胎盤組織での上記胎盤組織の重量パーセントは乾燥状態で、約2%〜約100%、約50%〜約90%、約50%〜約80%、60%〜100%、80%〜約100%、又は約90%〜約100%である。
いくつかの実施形態では、胎盤由来マトリックスでの上記脱細胞化又は失活胎盤組織の重量パーセントは乾燥状態で、約50、60、70、80、90、5、98、99%又はそれよりも多い。追加の実施形態では、胎盤由来マトリックスでの上記脱細胞化又は失活胎盤組織の重量パーセントは乾燥状態で、約50、60、70、80、90、100%又はそれよりも少ない。さらなる実施形態では、胎盤由来マトリックスでの上記脱細胞化又は失活胎盤組織の重量パーセントは乾燥状態で、約50%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、又は約90%〜約100%である。胎盤由来マトリックスでの上記脱細胞化又は失活胎盤組織の量は、胎盤由来マトリックスの密度、濃度、空隙率、及び/又は粘度特徴並びに多孔質構造の再水和特徴を調整するように変化させてもよい。
別の態様では、本明細書に記載される方法は、胎盤組織、脱細胞化及び/若しくは失活胎盤組織、並びに/又は胎盤由来マトリックスを1つ又は複数の処理溶液で処理するステップを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、凍結及び/又は凍結乾燥後で移植前に、脱細胞化及び/若しくは失活胎盤組織、並びに/又は胎盤由来マトリックスを1つ又は複数の処理溶液で処理するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、処理溶液は、イオン、酵素、若しくは化学架橋剤、光活性剤、又はポリマーを含む。イオン架橋剤は、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ストロンチウム、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、コバルト、及び鉄からなる群から選択される1つ又は複数を含んでいてもよい。酵素架橋剤は、トランスグルタミナーゼ、エチレンジアミン、リシルオキシダーゼファミリー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDIC)、ジメチルスベリイミデート(DMS)、及びジメチル−3−3’−ジチオビスプロピオンイミデート(DTBP)からなる群から選択される1つ又は複数を含んでいてもよい。化学架橋剤は、グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、ゲニピン、グルコース又はリボース、ポリ(エチレングリコール)ジエポキシドクロスリンカー、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、EDC及びNHS、並びにアクリルアジドからなる群から選択される1つ又は複数を含む。ポリマーは、天然若しくは修飾コラーゲン、ゼラチン、アガロース、修飾ヒアルロン酸、フィブリン、キチン、ビオチン、アビジン、ミネラル除去骨マトリックス、MATRIGEL(登録商標)、プロテオグリカン、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン、ヘパリン、グリセロール、スクロースオクタ硫酸、ポリエチレングリコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン及びメタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ヒドロキシアパタイト、ポリウレタン、並びにポリ乳酸からなる群から選択される1つ又は複数を含んでいてもよい。
別の態様では、本明細書に記載される方法は、1つ又は複数の生理活性サプリメント(複数可)を胎盤組織、脱細胞化及び/若しくは失活胎盤組織並びに/又は胎盤由来マトリックスに添加するステップをさらに含むこともできる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の生理活性サプリメント(複数可)は、FGFファミリー、TGFファミリーの成長又は分化因子、IGF−1、PDGF、EGF、VEGF、HGF、PTHrP、Ihh、デキサメタゾン、インスリン、トランスフェリン、セレニウム、ITS、及びアスコルビン酸からなる群から選択される。生理活性サプリメントは増殖因子、分化因子、サイトカイン、抗菌薬又は抗炎症薬でもよい。成長又は分化因子は、例えば、FGFファミリー若しくはTGFファミリーの増殖因子、IGF−1、PDGF、EGF、VEGF、HGF、PTHrP、Ihh(インディアンヘッジホッグ相同体)、デキサメタゾン、インスリン、トランスフェリン、セレニウム、ITSサプリメント、アスコルビン酸、又はその組合せでもよい。サイトカインは、GM−CSF、G−CSF、TNF−α、IL−1β、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、SLP1、MCP1、MIP−1α、MIP−2、IL−18、アンジオポエチン、KGF、エンドセリン、IFN−α、又はIFN−βを含んでいてもよい。抗炎症薬の例は、IL−1βR抗体、TNF−α受容体アンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ−2特異的阻害剤、MAPキナーゼ阻害剤、NOシンターゼ阻害剤、NF−κB阻害剤、又はMMPの阻害剤を含んでいてもよい。種々の線維芽細胞増殖因子が存在する。例として、ヒトFGFファミリーは、FGF−1からFGF−23まで22のメンバーを含む(FGF−15はヒトFGF−19のマウスオルソログなのでヒトFGF−15は存在しない)。TGFファミリーのメンバーの例は、TGF−α及びTGF−βスーパーファミリーを含んでいてもよい。TGF−βスーパーファミリーは、TGF−β(TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3などの)、アクチビン、インヒビン、骨形成因子(BMP)、改変BMP、抗ミュラー管ホルモン(AMH)、ミオスタチン、などを含む。BMPには20のアイソタイプが存在する。BMPのアイソタイプは4つのサブファミリー、例えば、(1)BMP2及びBMP4;(2)BMP3及びBMP3B(成長/分化因子10(GDF10)としても知られる);(3)BMP5、6、7及び8;並びに(4)GDF5、6、及び7に分離することができる。追加の態様では、本明細書に記載される方法は、ミネラル除去骨マトリックス、基底膜、又は粘膜下マトリックスを含む組織から抽出した1つ又は複数の生理活性サプリメント(複数可)を添加するステップも含むことができる。さらなる実施形態では、本明細書に記載される方法は、例えば、ニトロプルシドナトリウム、軟骨マトリックス糖タンパク質(CMGP)、ビタミンC、ビタミンE、セレニウム、N−アセチルシステイン(NAC)エストラジオール、グルタチオン、メラトニン、レスベラトロール、フラボノイド、カロテン、アミノグアニジン、又は生理活性成分を酸素ラジカル誘導損傷抗酸化剤から保護するリコピンを含む、1つ又は複数の抗酸化剤を添加するステップも含むことができる。
別の態様では、本明細書に記載される方法は、生理活性サプリメント結合部位(複数可)を有する1つ又は複数の薬剤を胎盤組織、脱細胞化及び/若しくは失活胎盤組織、並びに/又は胎盤由来マトリックスに添加するステップも含むことができる。いくつかの実施形態では、生理活性サプリメント結合部位(複数可)を有する薬剤は、ヒアルロナン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ケラチン硫酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ベータグリカン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、シンデカン、バイグリカン、又はデコリンを含んでいてもよい。追加の実施形態では、生理活性サプリメント結合部位(複数可)を有する薬剤(複数可)は、胎盤組織、脱細胞化及び/若しくは失活胎盤組織、並びに/又は胎盤由来マトリックスに対する増殖因子、分化因子、サイトカイン、抗菌薬、又は抗炎症薬の親和性を増加させる。
別の態様では、本明細書に記載される方法は、平均で約0.5、1、5、10、20、50、100、200、500mm又はそれよりも多い寸法を有するように、消化及び/又はホモジナイジングに先立って胎盤組織、並びに/又は脱細胞化及び/若しくは失活胎盤組織を切り取るステップも含むことができる。追加の実施形態では、本明細書に記載される方法は、平均で約1、5、10、20、50、100、200、550mm又はそれよりも少ない寸法を有するように、胎盤組織、並びに/又は脱細胞化及び/若しくは失活胎盤組織を切り取るステップも含むことができる。さらなる実施形態では、本明細書に記載される方法は、平均で約1mm〜約60cm、約1mm〜約50cm、約1cm〜約60cm、約1cm〜約50cm、又は約1cm〜約10cmの寸法を有するように、胎盤組織、並びに/又は脱細胞化及び/若しくは失活胎盤組織を切り取るステップも含むことができる。
別の態様では、本明細書に記載される方法は、胎盤組織、脱細胞化及び/又は失活胎盤組織を浄化し消毒するステップを含むことができる。別の態様では、本明細書に記載される方法は、胎盤組織、脱細胞化及び/又は失活胎盤組織を浄化し消毒し、胎盤組織に関連する外来性組織を取り除くステップも含むことができる。胎盤組織は、例えば、小片に切り取って粗く断片化された胎盤組織を製造し、任意選択で、粉砕し、とりわけ、等張食塩水などの蒸留/脱イオン内毒素のない水及び/又は水溶液で洗浄してもよい。加工中、いくつかの実施形態では、加工されている組織のおおよその容積の2、5、又は10倍の容積の水溶液を使用して複数の「洗浄」又は「浄化」に影響を与えることができる。3つのそのような加工ステップを使用すれば、おおよそ1対100、1対500又は1対1000希釈度の関連する可溶化型要素に影響を及ぼして、組織をそのような可溶化型要素が実質的にない(例えば、約10、0.1、0.01又は0.001重量%未満)ようにすることができる。脱細胞化又は失活される胎盤組織片は、ある特定の実施形態では、約30、20、15、10、8、5、3、2、1、0.5、0.1、0.05mm又はそれよりも少ない厚さを有していてよい。脱細胞化又は失活される胎盤組織片は、約30、20、10、8、5、3、2、1、0.5、0.1、0.05mm又はそれよりも多い厚さを有していてもよい。別の態様では、本明細書に記載される方法は、胎盤組織、脱細胞化及び/若しくは失活胎盤組織、並びに/又は胎盤由来マトリックスを減菌するステップも含むことができる。減菌は、いくつかの実施形態では、電離放射線の使用を伴ってもよい。他の実施形態では、電離放射線の吸収線量は約1.0KGy〜約50KGy、約8.0KGy〜約50KGy、約8.0KGy〜約25KGy、又は約8.0KGy〜約18KGyでもよい。いくつかの実施形態では、減菌ステップは、胎盤由来マトリックスを含むパッケージ化された組織修復移植片をドライアイス上に置き、パッケージ化された組成物を照射するステップを含むことができる。ある特定の実施形態では、減菌は約−20℃〜−50℃の温度で実施してよい。本発明の移植片は、ガンマ照射、超臨界二酸化炭素、エチレンオキシド、又は電子ビームを使用して減菌してもよい。
別の態様では、本明細書に記載される方法は、1つ又は複数の骨片物質(複数可)を胎盤由来マトリックスに添加するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、骨片物質(複数可)は、骨、皮質骨、海綿骨、皮質海綿骨、セラミックス、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、及び炭酸カルシウムからなる群から選択される1つ又は複数を含む。骨は、ミネラル除去骨でも非ミネラル除去骨でもよい。本明細書で使用される「ミネラル除去骨マトリックス(DBM)」とは、約8重量%未満の残留カルシウムを有する骨のことである。ミネラル除去は、骨組織を処理してその無機ミネラルヒドロキシアパタイト物質を取り除くステップを伴う。骨組織のミネラル除去のレベルは、ミネラル除去骨に見出される残留カルシウムの量(重量%)により定義される。いくつかの実施形態では、ミネラル除去骨は、ミネラル除去処理後でさえ最初の骨から残っている生理的活性レベルの成長及び分化因子(例えば、骨形成タンパク質(BMP)などの骨形成増殖因子)をそれでも含有することがある。さらなる実施形態では、ミネラル除去骨は、コラーゲン、グリコサミノグリカン、オステオカルシン、オステオネクチン、骨シアロタンパク質、オステオポンチン、及びその混合物を含有してもよい。本出願で使用される「非ミネラル除去骨」とは、例えば、ヒドロキシアパタイトなどの存在するミネラルを取り除くために処理されたことがない骨のことである。本発明のある特定の生物学的に機能的なスキャフォールド及び/又は移植片は、ミネラル除去された骨粒子又は線維を含んでいてもよい。ミネラル除去された骨マトリックスは、凍結乾燥された又は凍結乾燥されておらず、粉砕されて/破砕されて/粉にされて骨粒子又は線維になった浄化され消毒された骨から調製することができる。骨粒子は、例えば、所望のサイズ範囲内の粒子を入手するための市販の篩い分け装置(すなわち、メッシュ篩い)を使用して選択することができる。そのようなミネラル除去された骨粒子は、約125ミクロン〜約4mm;約710ミクロン〜約2mm;約125ミクロン〜約500ミクロン;約125ミクロン〜約850ミクロン;約125ミクロン〜約710ミクロン;約250〜1000ミクロン;又は約250ミクロン〜約710ミクロンの平均径を有してもよい。本発明のある特定の実施形態は、市販のミネラル除去された骨粒子を含んでいてもよい。例えば、広く確実に入手可能である適切なミネラル除去された骨粒子は、LifeNet Health、Virginia Beach、Virginiaにより製造されている。本発明の一部の生物学的に機能的なスキャフォールド及び/又は移植片はミネラル除去された骨線維を含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、ミネラル除去された骨線維は、約0.1mm〜約0.3mmの平均厚み及び約0.3mm〜約1.0mmの平均幅を有することができる。線維の長さは変動してもよい。いくつかの実施形態では、ミネラル除去工程は、約1mm〜約2mmの平均径サイズ範囲を有する骨粒子又は0.1mm〜0.3mm厚みの平均寸法及び約0.3mm〜約1mmの平均幅を有する骨線維を製造することで始まる。断片は洗浄液で処理することができる。断片に加工される骨が以前浄化された及び/又は消毒されたことがなければ、洗剤、過酸化水素、抗生物質、及び/又はアルコールの使用により浄化する及び/又は消毒して、骨髄及び細胞要素などの関連する組織の除去に影響を与えてもよい。洗浄及び消毒に続いて、これらの断片(すなわち、粒子及び線維)は希塩酸に曝露することによりミネラル除去され、骨片(すなわち、粒子及び線維)のミネラル成分の除去/減少に影響を与えてもよい。そのような追加の加工は、いくつかの例では、潜在的なウイルス汚染(すなわち、とりわけ、HIV及び肝炎ウイルス)を不活化することができる。
別の態様では、本明細書に記載される方法は、胎盤由来マトリックス及び/又は胎盤由来マトリックスを含むスキャフォールドを凍結する又は凍結乾燥する前にネガティブ静水圧下で加工して、空隙率を増加させるステップを含んでも含まなくてもよい。本発明の三次元(3−D)マクロ多孔質構造は、細胞が機能する組織に組織化されるまで細胞を支持するように設計される。移植後、マクロ多孔質構造の建築は血管新生及び組織内殖の程度を制御することができる。ポアサイズ及び容積は、胎盤由来マトリックスを凍結乾燥する前に又は後で、ポロゲンを添加する、不活性ガスを適用する、又はネガティブ静水圧を適用することにより調整することができる。
別の態様では、本発明は脱細胞化又は失活胎盤組織を含む胎盤由来マトリックスに関する。胎盤由来マトリックスのpHは、約8.0又はそれよりも高い、例えば、8.0〜9.0、好ましくは、8.0〜8.5、さらに好ましくは、8.0〜8.2の範囲でもよい。例えば、マトリックスのpHは、少なくとも約8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9又は9.0、好ましくは、少なくとも約8.0である。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される方法により調製される胎盤由来マトリックスにも関する。別の態様では、本発明は、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスを含むスキャフォールドに関する。スキャフォールドは、in vivoで移植されるように構成されたスキャフォールドである移植片を含んでいてもよい。本明細書に記載されるスキャフォールドは、多孔質海綿様構造を含む多孔質構造を有することができる。用語「多孔質海綿様構造」とは、多孔質で、凝集性で、弾性で、柔軟性で、線維性で、弾力的な三次元構造のことである。乾燥状態では、本発明の多孔質海綿様スキャフォールドは、液体を急速に吸収することができる。湿潤状態では、本発明の多孔質海綿様スキャフォールドは、多孔性、凝集性、及び/又は統合性を維持することができる。湿潤多孔質海綿様構造は、ある特定の引張応力に抵抗し、圧迫から解放された後は跳ね返り液体を再吸収することができる。多孔質海綿様スキャフォールド及び/又は生物学的に機能的なスキャフォールドは、欠損、皮膚病変、局所傷、潰瘍、乳腺腫瘍摘出若しくは腫瘤切除後の乳房、トンネル傷(例えば、瘻孔)の内部に若しくは表面でねじる、折り畳む、丸める、ぴったり合わせる、置く及び/若しくは挿入する、又は骨、軟骨若しくは軟組織の欠損の周囲を包むことができる。
別の態様では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスは、I型コラーゲン、IV型コラーゲン、ラミニンガンマ−1、フィブロネクチン、絨毛性乳腺刺激ホルモン、FGF−12、FGF−13、IGF−2、EGFL−7、及びbFGFを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、胎盤由来マトリックスでのI型コラーゲンの濃度は、約20、25、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45%若しくはそれよりも多い;約20、25、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45%若しくはそれよりも少ない;及び/又は約20〜50%、25〜45%、30〜40%、若しくは33〜38%である。
本明細書に記載される胎盤由来マトリックスは、細胞遊走、接着、分化、増殖、及び生存などの重要な細胞事象を駆動するのに極めて重要な役割を果たしている、身体全体に見出されるECMタンパク質及び糖タンパク質が豊富にあってもよい。ヒト基底膜に見出される最も一般的な型のコラーゲンであるIV型コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、及びプロテオグリカン(例えば、ヘパラン硫酸)などの、胎盤由来マトリックスに存在するタンパク質は、細胞を支持し、細胞を土台となるコラーゲンマトリックスに結合させ、上皮を間充織/土台となる結合組織から分離することができる引張強さを基底膜に与えることができる。
別の態様では、本明細書に記載されるホモジナイズされた胎盤組織は、薄片にする、挽く、切り分ける、細かく砕く、切り刻む、細かく刻む、切り取る、切り裂く、引き千切る、引き裂く、切断する、剪み切る、さいの目に切る、薄く削り取る、砕いて粉にする、又は刈り込んで断片にされた結合組織のことである、「粗く断片化された胎盤組織」を含んでも含まなくてもよい。そのような断片化された胎盤組織は、約50ミクロンよりも大きく約0.5cmよりも小さな平均径を有し、例えば、おおよそ0.5×0.5cmのカット寸法、及び粗く断片化される組織に適した厚みを有してもよい。いくつかの実施形態では、粗い断片は均一なサイズでなくてもよい。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される方法により二次元又は三次元スキャフォールドとして調製される胎盤由来マトリックス上又は内部で細胞を培養するステップを含む細胞培養の方法に関する。本明細書で使用されるとき、細胞培養とは、一般にin vitro環境と呼ばれる人工的環境において細胞を維持することである。用語、細胞培養は総称であり、個々の細胞の培養だけではなく、組織、器官、器官系又は生物全体の培養も包含するのに使用してもよい。本明細書で開示される培養法で使用される細胞はいかなる原核細胞でも真核細胞でも可能である。本明細書で開示される培養法で使用される細胞型は、細胞支持組成物の由来と同じ種由来である必要はない。さらに、細胞は樹立細胞株由来でもよく、又は細胞は初代細胞でも遺伝的に操作された細胞でもよい。例えば、細胞は、幹細胞、脂肪由来幹細胞、後根神経節細胞、膵島ベータ細胞、心筋細胞、肝細胞、iPSC、がん細胞、及び臍帯静脈内皮細胞からなる群から選択することができる。
例えば、本発明は、本明細書に記載される胎盤由来マトリックス上又は内部で細胞を生育する及び/又は培養するステップを提供する。「本明細書に記載される胎盤由来マトリックス上又は内部で細胞を生育する及び/又は培養する」は、伝統的細胞培養法並びに、天然又は合成の生体適合性マトリックス又は組織においてなどの任意の設定で本明細書に記載される胎盤由来マトリックスの表面に置くステップを含む。細胞は、ヒト、ウシ、ブタ、マウス、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコなどしかしこれらに限定されない哺乳類でもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックス上又は内部で培養される細胞は幹細胞である。本明細書で使用されるとき、幹細胞は当技術分野で使用されている通りに使用され、分裂し、少なくとも部分的に分化されることがある1つの娘細胞及び母細胞の発生潜在力を保持している別の娘細胞を生じる能力を有する細胞を意味する。本明細書で使用されるとき、幹細胞は、脂肪由来幹細胞、歯髄幹細胞、成体幹細胞(ASC)、胚幹細胞(ESC)、組織特異的前駆細胞、及び/又は誘導多能性幹細胞(iPSC)でも可能である。ASCは、造血幹細胞、乳房幹細胞、腸管幹細胞、間葉幹細胞、内皮幹細胞、神経幹細胞、嗅覚成体幹細胞、神経堤幹細胞、及び精巣細胞を含んでいてもよいがこれらに限定されない。さらなる実施形態では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスは、細胞成長及び増殖を支援するための並びに本明細書に記載される胎盤由来マトリックス上又は内部で培養される幹細胞において、維持を増加させる又は骨形成、軟骨形成、若しくは靭帯/腱発生などの分化を促進するためのin vitro法において使用することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックス上又は内部で培養される細胞は、心筋細胞、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、肝細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、後根神経節(DRG)細胞、間葉幹細胞、脂肪由来幹細胞、胚幹細胞、前駆細胞、分化細胞、未分化細胞、及び/又は多能性幹細胞でもよい。適切な細胞は、外胚葉分化系列の細胞、中胚葉分化系列の細胞、及び内胚葉分化系列の細胞も含んでいてもよいがこれらに限定されない。外胚葉分化系列の細胞の例は、ケラチノサイト、神経細胞を含むがこれらに限定されない。中胚葉分化系列の細胞の例は、筋芽細胞、脂肪細胞、線維芽細胞、内皮細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、又は間質細胞を含むがこれらに限定されない。内胚葉分化系列の細胞の例は、耳管、気管、気管支、及び肺の肺胞などの気道、消化管、膀胱の上皮細胞、並びにあらゆる腺を裏打ちする上皮細胞を含むがこれらに限定されない。細胞は組織又は器官由来の初代細胞でもよい。本発明で使用される適切な細胞株は、間葉細胞株、前造骨性細胞株、骨芽細胞株、及び軟骨芽細胞株を含んでいてもよいがこれらに限定されない。
いくつかの実施形態では、細胞は自家供給源由来でも同種供給源由来でもよい。
細胞は、軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、内皮細胞、上皮細胞、線維芽細胞、及び骨膜細胞を含む分化細胞でもよい。さらに、細胞は、全能性、多能性、多分化能、前駆細胞、組織特異的前駆細胞、又は成体体性幹細胞でもよい。幹細胞は、胚、胎盤、骨髄、脂肪組織、血管、羊水、滑液、滑膜、心膜、骨膜、硬膜、末梢血、臍帯血、胎盤膜、月経血、歯、髄核、脳、新生児包皮、皮膚、毛包、腸陰窩、神経組織、肝臓、膵臓、又は筋肉由来でもよい。細胞は、骨格筋、平滑筋、及び心筋由来でもよい。幹細胞は、誘導多能性幹細胞(iPSC)などの成熟細胞の遺伝的再プログラミング由来でもよい。あらゆる細胞は、さらに生存又は最近死亡したドナー由来でもよい。
これと共に記載されるいかなる細胞も、ある特定の実施形態では、約15分〜約1年、約15分〜約6カ月、約15分〜約3カ月、約15分〜約4週間、約2時間〜約2週間、約2時間〜約1週間、約2時間〜約72時間、約24時間〜約72時間、又は約24時間〜約96時間、約20℃〜約40℃又は約30℃〜約37℃で、約1%CO2〜約10%CO2又は約4%CO2〜約6%CO2を含有する雰囲気において、本明細書に記載される胎盤由来マトリックス上又は内部で培養することができる。本発明のいくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載される1つ又は複数の増殖因子の非存在下で又は存在下で、及び(1)組織若しくは器官、(2)マトリックス、又は(3)その組合せにおいて培養することができる。ある特定の実施形態では、細胞培養培地において、本明細書に記載される1つ又は複数の増殖因子の非存在下で又は存在下で培養された細胞は、引き続いて、マトリックス、組織、器官又はその組合せに適用してもよい。
細胞培養の方法は、胎盤由来マトリックス上又は内部で細胞を保存するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、胎盤由来マトリックス上又は内部の細胞は、室温(すなわち、約24℃)で、約4℃で、約−20℃で、又は凍結保存で保存される。他の実施形態では、胎盤由来マトリックス上又は内部の細胞は、約−200、−180、−100、−50、−45、−40、−35、−30、−25、−20、−10、−5、0、1、2、3、4、5、10、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、36、37、38、又は39℃〜約−150、−140、−130、−90、−40、−35、−30、−25、−20、−15、−10、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、25、30、35、36、37、38又は40℃の温度で保存される。他の実施形態では、胎盤由来マトリックス上又は内部の細胞は、約−200〜50℃、約−160〜36℃、約−160〜25℃、約−160〜5℃、約−5〜23℃、約0〜30℃、又は約15〜40℃の温度で保存される。
別の態様では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスは凍結保護物質として使用してもよい。本明細書に記載される凍結保存とは、−150℃(すなわち、123K)よりも低い温度での保存のことである。しかし、本明細書に記載される凍結保護物質とは、凍結保存後だけではなく、凍結又は凍結乾燥後でもタンパク質の生物活性を保つ保護剤のことである。いくつかの実施形態では、本発明は、凍結又は凍結乾燥に起因するタンパク質の生物活性の消失を阻害する及び/又は減少する方法であって、タンパク質を胎盤由来マトリックスに、凍結又は凍結乾燥に起因するタンパク質の生物活性の消失を阻害する又は減少するのに十分な有効量で曝露するステップを含む方法に関する。さらなる実施形態では、タンパク質は、本明細書に記載されるタンパク質などの、細胞のいずれかにおけるいかなるタンパク質でもよい。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスに細胞を混合させて細胞と胎盤由来マトリックスの混合物を製造するステップと、混合物を目的の部位上又は内部に塗布する、エアブラシで吹き付ける、滴下する又は注入するステップとを含む、細胞送達の方法に関する。別の態様では、本発明は、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスで細胞を培養して細胞と胎盤由来マトリックスの培養物を製造するステップと、培養物を目的の部位上又は内部に塗布する、エアブラシで吹き付ける、滴下する又は注入するステップとを含む、細胞送達の方法にも関する。いくつかの実施形態では、目的の部位は、ヒト、非ヒト動物、ウシ及びブタを含むがこれらに限定されない対象中にある。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される幹細胞又は組織特異的前駆細胞の分化を促進する方法であって、本明細書に記載される方法により調製される胎盤由来マトリックス上又は内部で幹細胞又は組織特異的前駆細胞を培養するステップを含む方法に関する。例えば、幹細胞又は組織特異的前駆細胞は骨芽細胞、軟骨細胞、心筋細胞、膵細胞、神経細胞、靭帯又は腱に分化する。いくつかの実施形態では、組織特異的前駆細胞は、増殖因子を添加せずに目的の組織に分化する。別の態様では、本発明は、幹細胞又は組織特異的前駆細胞の血管、筋、又は神経分化を促進する方法であって、本明細書に記載される胎盤由来マトリックス上又は内部で幹細胞又は組織特異的前駆細胞を培養するステップを含む方法にも関する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスは、組織特異的前駆細胞の幹細胞性(すなわち、延長された培養を通じて特定の組織に増殖する及び/又は分化する能力)及び/又は組織特異的前駆細胞の自己再生能力の維持を延ばすためのin vitro方法であって、任意選択で、増殖因子又は別の二次因子を添加することなく、胎盤由来マトリックス上又は内部で組織特異的前駆細胞を培養して細胞の維持を誘導するステップを含む方法において使用してもよい。さらなる実施形態では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスは、追加の増殖因子又は別の二次因子を添加することなく、多能性幹細胞の分化を促進して細胞の分化の誘導するためのin vitro又はin vivo方法において使用することもできる。他の実施形態では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスは、1つ又は複数の増殖因子若しくは他の二次因子を添加し、多能性幹細胞及び/又は組織特異的前駆細胞の分化を促進して細胞の維持又は分化を誘導するためのin vitro又はin vivo方法において使用することもできる。追加の実施形態では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスは、多能性幹細胞及び/又は組織特異的前駆細胞の分化を促進する際に、細胞の維持又は分化を誘導する1つ又は複数の増殖因子若しくは他の二次因子の効果を増強するためのin vitro又はin vivo方法において使用することもできる。
別の態様では、本発明は、瘢痕化又は欠損の部位に本明細書に記載される胎盤由来マトリックスを移植するステップを含む、欠損(複数可)を修復する、置き換える、充填する、再生する、又は組織での欠損(複数可)の瘢痕化を減らす若しくは阻害する方法にも関する。いくつかの実施形態では、移植は、欠損の部位に胎盤由来マトリックスを塗布する、エアブラシで吹き付ける、滴下する、若しくは注入する、胎盤由来マトリックスを組織若しくは器官の間、例えば、細胞又は筋肉若しくは神経束などの細胞構造体の周辺の間質腔に挿入する、又は胎盤由来マトリックスを欠損の上に置くことにより実施される。欠損のある組織は心臓、肝臓、膵臓、骨組織、軟骨、又は軟組織でもよい。欠損のある軟組織の例は、腱、靭帯、真皮、皮膚、声帯、神経、膀胱、膣、尿道、心臓、皮下組織、筋膜、乳房、筋肉、胎盤膜、胎盤、及び回旋筋腱板を含んでいてもよい。別の態様では、欠損のある組織は、筋骨格系、消化系、心血管系、呼吸器系、泌尿器系、生殖器系、神経系、及び/又は免疫系にあってもよい。いくつかの実施形態では、方法は移植に先立つ胎盤由来マトリックスの再水和を排除して、上記胎盤由来マトリックスに血液、体液、及び/又は自家細胞をin situで吸収させる。代わりに、胎盤由来マトリックスを含む組織修復移植片のヒト又は動物への移植は、組織修復移植片を再水和液で再水和させ;任意選択で、生活細胞を胎盤由来マトリックス及び/又は組織修復移植片上又は内部に播種して組織修復移植片に活力を与え;任意選択で、移植前に細胞播種組織修復移植片を培養し;組織修復移植片を欠損中に移植することにより実行することができる。別の態様では、方法は、胎盤由来マトリックスを含む組織修復移植片を再水和液で再水和させるステップと;任意選択で、生活細胞を上記胎盤由来マトリックス及び/又は組織修復移植片上又は内部に播種して上記組織修復移植片に活力を与えるステップと;任意選択で、移植前に上記細胞播種組織修復移植片を培養するステップとをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、再水和液は、血液又は骨髄吸引液、多血小板血漿、脳脊髄液、滑液、酵素、生理活性サプリメント、天然ポリマー、合成ポリマー、光活性剤、抗酸化剤、架橋剤、抗菌薬、生活細胞、及び生理活性サプリメント結合部位(複数可)を有する1つ又は複数の薬剤からなる群から選択される1つ又は複数を含む。追加の実施形態では、生活細胞は、自家又は同種移植骨髄吸引液由来の細胞;骨髄由来の間質細胞;脂肪、滑膜、骨膜、軟骨膜、筋肉、真皮、臍帯血、胎盤、胎盤膜、及びホウォートンゼリー由来の間質細胞;並びに周皮細胞からなる群から選択される1つ又は複数を含む。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスを組織嵩高剤(bulking agent)、又は開放創若しくはトンネル傷のための創傷処置マトリックスとして使用する方法に関する。別の態様では、本発明は、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスを目的の組織部分に隣接して移植するステップを含む、目的の組織部分を標識する方法にも関する。別の態様では、本発明は、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスを目的の組織部分のすぐ下に移植するステップと、胎盤由来マトリックスの上の組織部分を切除するステップとを含む、組織を切除する方法にも関する。これらの実施形態では、胎盤由来マトリックスの移植は、切除される目的の組織部分を標識して、それ以上はいかなる標識もしないでよい。いくつかの実施形態では、組織を切除する方法は、例えば、目的の組織部分を組織又は器官の残りの部分から切断せずに目的の組織部分の縁(複数可)を切り取る又は引っ掻くことにより、胎盤由来マトリックスの移植に先立って目的の組織部分を追加で標識するステップをさらに含む。さらなる実施形態では、移植は胎盤由来マトリックスを組織部分に隣接して注入するステップを含むことができる。追加の実施形態では、組織は胃腸管の表層(粘膜及び粘膜下層)に限局される固着又は扁平新生物でもよく、組織を切除する方法は、内視鏡的粘膜切除及び内視鏡的粘膜下層剥離のために使用してもよい。例えば、胎盤由来マトリックスは、Kantesevoyら、vol.68、No.1、Gastrointestinal Endoscopy(2008年)に記載される、グリセロール及びヒアルロン酸などの粘膜下層注入用の溶液に取って代わる又はこれで補完してもよく、上記文献は参照によりその全体を本明細書に組み込まれる。組織を切除する方法は、胎盤由来マトリックスを移植後に粘膜を切り取るステップと、組織を切断するステップと、組織を残りの胃腸管から持ち上げて離すステップとを含むこともできる。見本となる計画はwjgnet.com/1948−5190/full/v4/i10/WJGE−4−438−g001.jpgに説明されている。
例えば、本発明は、骨誘導性を促進する方法であって、本明細書に記載される胎盤由来マトリックス上又は内部で細胞を培養するステップを含む方法にも関する。本明細書で使用されるとき、「骨誘導性」とは、細胞を表現型がもっと骨芽細胞様である細胞に分化させることを指すことができ、又は上記用語は骨芽細胞の増殖を増加させることを指すことができ、又はその両方ができる。胎盤由来マトリックス上又は内部での培養前の細胞は未分化細胞でも部分的な分化細胞でもよい。細胞は培養物に、又は組織、器官、若しくはその一部、又は生物中に存在していてもよい。対照の表面と比べて増強された活性を含むがこれに限定されない、胎盤由来マトリックスの骨誘導性活性は変化させてもさせなくてもよい。
本発明は、軟骨誘導性(chondroinductivity)を促進する方法であって、本明細書に記載される胎盤由来マトリックス上又は内部で細胞を培養するステップを含む方法にも関する。本明細書で使用されるとき、「軟骨誘導性」とは、細胞を表現型がもっと軟骨細胞様である細胞に分化させることを指すことができ、又は上記用語は軟骨細胞の増殖を増加させることを指すことができ、又はその両方ができる。胎盤由来マトリックス上又は内部での培養前の細胞は未分化細胞でも部分的な分化細胞でもよい。細胞は培養物に、又は組織、器官、若しくはその一部、又は生物中に存在していてもよい。対照の表面と比べて増強された活性を含むがこれに限定されない、胎盤由来マトリックスの軟骨誘導性活性は変化させてもさせなくてもよい。
本発明は、靭帯/腱分化を促進する方法であって、本明細書に記載される胎盤由来マトリックス上又は内部で細胞を培養するステップを含む方法にも関する。本明細書で使用されるとき、「靭帯/腱分化」とは、細胞を表現型がもっと靭帯及び/若しくは腱様である細胞に分化させることを指すことができ、又は上記用語は靭帯及び/若しくは腱の増殖を増加させることを指すことができ、又はその両方ができる。胎盤由来マトリックス上又は内部での培養前の細胞は未分化細胞でも部分的な分化細胞でもよい。細胞は培養物に、又は組織、器官、若しくはその一部、又は生物中に存在していてもよい。対照の表面と比べて増強された活性を含むがこれに限定されない、胎盤由来マトリックスの靭帯/腱分化活性は変化させてもさせなくてもよい。
それぞれ骨誘導性、軟骨誘導性、靭帯/腱分化を評価するために測定することができる骨芽細胞、軟骨細胞、靭帯/腱分化マーカーには多様なものがある。例えば、細胞は、骨芽細胞系列に向かう分化の初期段階中アルカリホスファターゼを発現する。したがって、in vitroアルカリホスファターゼアッセイを使用すれば、本明細書に記載される胎盤由来マトリックス上又は内部で培養される細胞で骨誘導性を評価することができる。筋芽細胞(C2C12細胞)などの他の点では非骨形成細胞でアルカリホスファターゼ発現を刺激する又は誘導する胎盤由来マトリックスの能力は、胎盤由来マトリックスが骨誘導性活性を有することを示していると考えられる。これらのアッセイでは、胎盤由来マトリックス上又は内部で及び対照表面で培養される細胞は陰性対照として使用されて、非骨形成細胞上でのベースラインアルカリホスファターゼ発現を示す。陰性対照での骨芽細胞マーカーのベースラインはゼロである必要はなく、陰性対照群の細胞が少なくともある程度のレベルの表現型マーカー(複数可)を有する可能性があることを意味している。したがって、胎盤由来マトリックスの「骨誘導性」表面は実験細胞において骨芽細胞マーカーの増加を引き起こすだけであると考えられる。同様に、2、3例を挙げると、X型コラーゲン、II型コラーゲン、Sox9、アグリカン、マトリリン−1及びCEP−68を含むがこれらに限定されない軟骨細胞マーカーを使えば軟骨誘導性潜在力を評価することができる。さらに、スクレラキシスを含むがこれに限定されない靭帯/腱マーカーを使用すれば、靭帯/腱分化潜在力を評価することができる。
さらに、骨誘導性、軟骨誘導性、及び靭帯/腱分化は、初代細胞、細胞株、又は外植片などの培養細胞において、骨芽細胞表現型、軟骨細胞表現型、靭帯/腱細胞表現型を分化させる又は誘導する胎盤由来マトリックスの能力を調べることにより組織培養で決定することができる。例えば、細胞は、アルカリホスファターゼ、等などの骨芽細胞に特徴的なマーカーの産生の増加を示すことがある。例えば、胎盤由来マトリックスの骨誘導性、軟骨誘導性、靭帯/腱分化潜在力の大きさは対照の0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10倍よりも多くてもよい。別の例では、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスの骨誘導性、軟骨誘導性、靭帯/腱分化潜在力の大きさは対照スキャフォールドの10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500又は1000倍もよりも多くてよい。
筋肉などの位置で胎盤由来マトリックスにより誘導される骨、軟骨、靭帯又は腱形成潜在力を評価するための骨誘導性、軟骨誘導性、靭帯/腱分化は、適切な動物モデルを使用して評価してもよい。例えば、齧歯類への筋肉内移植は、胎盤由来マトリックスの骨誘導性活性を評価するためのモデルとして使用されてきた。
本発明は、骨芽細胞、軟骨細胞、靭帯細胞、腱細胞、線維芽細胞、脂肪細胞、及び/又は本明細書で開示される任意の細胞型の細胞血管形成、止血、生体適合性、感染抵抗性、付着、増殖を促進する又は分化状態を維持する又は脱分化を妨げる方法であって、本明細書に記載される胎盤由来マトリックス上又は内部で細胞を培養するステップを含む方法にも関する。対照の表面と比べて増強された活性を含むがこれに限定されない、胎盤由来マトリックスの増殖活性は変化させてもさせなくてもよい。本発明は、脂肪細胞、線維芽細胞、上皮細胞、及び/又は血管内皮細胞の脂肪組織形成を促進する方法にさらに関する。本発明は、血管形成、止血機能、生体適合性、抗瘢痕化、抗炎症性、及び/又は感染抵抗性を増加する又は促進する方法にも関する。
分裂促進性は、MTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム臭化物アッセイ、アラマーブルー(登録商標)アッセイ、等などの代謝活性を測定する種々のin vitroアッセイを使用して胎盤由来マトリックスにより誘導される細胞増殖を調べることにより評価することができる。アラマーブルー(alamarBlue)(登録商標)アッセイは非細胞障害性還元酸化指示薬を使用して細胞代謝活性を測定し、本明細書に記載される胎盤由来マトリックスの細胞分裂活性を評価するための非破壊アッセイとなっている。増殖は、PicoGreen(商標)DNAアッセイ、[3H]チミジン標識などのDNA合成の放射活性標識又はBrdU取り込みを使用することによりなどの、DNA定量化を測定することにより評価することも可能である。増殖は、細胞をトリパンブルーで染色し血球計数器で計測するなどの、手動細胞計測により評価することも可能である。
本発明は、細胞で骨形成、軟骨形成、又は靭帯/腱形成を増加させる又は促進する方法にも関する。方法は、本明細書に記載される胎盤由来マトリックス上又は内部で細胞を培養するステップを含むことができる。本明細書で使用されるとき、「骨形成」とは、膜内骨形成及び軟骨内骨形成を含むがこれらに限定されない、新しい骨物質の沈着又は新しい骨の形成である。本明細書で使用されるとき、「軟骨形成」とは、新しい軟骨物質の沈着又は新しい軟骨の形成である。本明細書で使用されるとき、「靭帯/腱形成」とは、新しい靭帯及び/若しくは腱物質の沈着又は新しい靭帯及び/若しくは腱の形成である。対照の表面と比べて増強された活性を含むがこれに限定されない、胎盤由来マトリックスの骨形成、軟骨形成、靭帯又は腱誘導活性は変化させてもさせなくてもよい。細胞は、骨、軟骨、靭帯、筋肉、腱、等などのしかしこれらに限定されない、骨、軟骨、靭帯又は腱形成が望ましい任意の組織の細胞を含んでいてよい。
別の態様では、本発明は、基質の表面に胎盤由来マトリックスを被覆する方法に関する。胎盤由来マトリックスは、例えば、約8.0又はそれよりも高い塩基性pHを有することができる。塩基性pHは、8.0〜9.0、好ましくは8.0〜8.5、さらに好ましくは8.0〜8.2の範囲であってもよい。例えば、マトリックスの塩基性pHは、少なくとも約8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9又は9.0、好ましくは少なくとも約8.0である。
いくつかの実施形態では、方法は、胎盤組織の少なくとも一片を脱細胞化又は失活させて、脱細胞化又は失活胎盤組織を製造するステップと;脱細胞化又は失活胎盤組織を消化して胎盤由来マトリックスを製造するステップと;基質の表面の少なくとも一部を胎盤由来マトリックスで被覆するステップとを含む。いくつかの実施形態では、方法は、消化と同時に又はこれに先立って胎盤組織をホモジナイズするステップをさらに含むことができる。追加の実施形態では、胎盤由来マトリックスは、表面に、例えば、ナノファイバーの形態で胎盤由来マトリックスを電界紡糸することにより表面に被覆することができる。本発明は、本明細書に記載される方法に従って胎盤由来マトリックスで被覆されたスキャフォールドにさらに関する。本発明は、本明細書に記載される方法により製造される胎盤由来マトリックスで被覆された合成表面にも関する。本発明は、本明細書に記載される方法により製造される胎盤由来マトリックスで被覆された細胞培養表面で細胞を培養するステップを含む細胞培養の方法にさらに関する。
さらなる実施形態では、本発明はキャリアーとして胎盤由来マトリックスを使用する薬物送達にも関係することができる。例えば、胎盤由来マトリックスは本明細書に記載される生理活性サプリメントをカプセルに包み、そのような生理活性サプリメントを目的の部位に送達することができる。
本発明の方法のいずれも、in vivo、ex vivo、in situ又はin vitro設定などの実質的にいかなる設定においても実施することが可能である。例えば、細胞で骨形成、軟骨形成、又は靭帯/腱誘導活性を促進する方法は、細胞培養で実施することができる、胎盤由来マトリックス表面に播種された細胞で実施することができる、又は無傷の生物で実施することができる。さらに、本明細書に記載される実施形態のいずれかのいかなる2つ又はそれよりも多い組合せが想定されている。
本発明は、種々の特定の材料、手順及び例を参照することにより本明細書に記載され説明されてきたが、本発明はその目的のために選択される材料及び手順の特定の組合せに限定されないことは理解されている。そのような詳細な点の数多くの変動は、当業者であれば認識するように暗示することは可能である。明細書及び実施例は、以下の特許請求の範囲に示されている本発明の本当の範囲及び精神と共に、見本とのみ見なされていることが意図されている。本出願で参照される参考文献、特許及び特許出願はすべて参照によりその全体を本明細書に組み込まれる。
以下の実施例は説明的なものであり、本明細書に記載される本発明の範囲を限定することを意図していない。
実施例1:胎盤由来マトリックス(HuMATRIX)の調製
−80℃で保存された全凍結ヒト胎盤(又は心臓若しくは肝臓)をすぐに加工できるように又は4℃で一晩解凍できるようにのいずれかにした。消毒したデリスライサー(Chefs Choice International Professional Electric Food Slicer Vari Tilt M645)若しくはミートグラインダー又はバンドソーを使用して、胎盤組織を50gの組織(湿重量)まで小さな断片(幅及び直径約0.5cm)に切断した。余分な血液を洗浄及び除去するために、胎盤組織を、1リットルの4℃の冷却水MilliQ水で洗浄し、次いで、容器内で1%のABAMで補った1リットルの4℃の冷却水MilliQ水でオービタルシェーカー上で1200RPMで30分間、激しく洗浄した。余分な血液がかなり減るまでこのプロセスを繰り返した。胎盤を脱細胞化するために、洗浄した組織を、2.5gのNEM、プロテアーゼ阻害剤、20gのNLS、及び1%のABAMで補った1リットルの失活バッファー中で200RPMで室温で一晩振盪させた。
次に、10.2gの湿組織(=約2gの凍結乾燥組織)を、1mg/mlペプシン/0.1M HCI溶液に添加した。3つの濃度(10mg/ml、20mg/ml、及び40mg/ml)の胎盤由来マトリックスを作製した。約40mg/mlで、生成物は、流動不能な高い粘性を有した。組織をポリトロンホモジナイザーで5回の10秒パルスでスラリーが均質に見えるまで混合した。得られた溶液を室温で約24〜60時間撹拌した。約60時間後、水酸化ナトリウム及び塩酸を使用して、ペプシンHClを一時的にpH8.0にし、次いで、pH7.0〜7.2にした。HuMATRIX最終生成物は、見かけは粘性かつ半透明に近いように見えた。ゲル化特性を試験するために、HuMATRIXの試料を37℃で15分間加熱した。HuMATRIX試料を、長期保管のために−80℃で、又は2週間以内の使用のために4℃で保存した。HuMATRIXの最終生成物を約37℃でハイドロゲルに変換した、又は凍結乾燥して海綿質を形成させた。凍結乾燥後、HuMATRIX海綿質を有機溶媒(ヘキサフルオロイソプロパノール等)に溶解し、電界紡糸してナノファイバーシートにした。更に、HuMATRIXの凍結乾燥した海綿質は、驚くべきことに、0.5Mの酢酸中に再溶解し、中和して、再びハイドロゲルとして37℃で注型することができた。
別の例示的な方法では、水の代わりに生理食塩水溶液で胎盤組織を洗浄した。他の例示的な方法では、生理食塩水洗浄に加えて、界面活性剤を使用した、又は胎盤組織の脱細胞化により短い期間を採用した。プロセス後のマトリックス中の不純物の量と共に総タンパク質収量を決定した。プロテオミクスの結果により、水洗浄は、生理食塩水洗浄と比較して、細胞の残存デブリがより少なくなる結果になったが、生理食塩水洗浄は、最終マトリックス中により高濃度かつより多様な増殖因子をもたらしたことが示された。
実施例2:胎盤由来マトリックスのタンパク質プロファイル
HuMATRIXのタンパク質プロファイルを決定するために、SDS−PAGEアッセイを行った。10μlのジチオスレイトール(DTT)をそれぞれの試料に添加し、全ての既存のジスルフィド結合を破壊するために100℃で5分間加熱した。試料を5分間加熱した後に、40μlの抽出物を10μlのNovexシャープマーカーと共に1.5mmの4〜12%Tris−グリシンゲル上にロードした。ゲルを1時間泳動し(200V一定、125mA開始、80mAmp終了)、MilliQ水で洗浄して、クマシーブルーで一晩染色し、次いで、可視化した。多数のバンドが存在した。4名の異なるドナー由来の4つの胎盤由来マトリックス試料は、SDS PAGEゲル上でバッチ間での一貫性を示した。マトリゲル(MATRIGEL)(登録商標)からの主要なタンパク質バンドを対照として使用した。明確に異なるバンドパターン及び主要なタンパク質組成を、尿素での胎盤抽出物又は尿素抽出後の脱細胞化による胎盤抽出物と比較した。重いバンドは、コラーゲン鎖を示す160kDaで観察された。タンパク質組成は、従来のマトリゲル/尿素抽出化学に対して相対的にHuMATRIX化学での群間で一貫していて、かつNLSで脱細胞化し、次いで、尿素で抽出した胎盤マトリックスとは異なるように見えた。
実施例3:胎盤由来マトリックスでの表面コーティング
細胞培養プラスチック製品に対する胎盤由来マトリックスのコーティング又は結合効率を測定するために、0.6〜1.3mg/cm2の多様な濃度のHuMATRIXを24ウェルプレートにアプライし、クマシーブルーで染色して、完全なかつ全ての染色及びしたがって、荷電した組織培養プラスチック製品上にこの濃度範囲においてあり得る細胞外マトリックスタンパク質の均一なコーティングを有する、ウェル上のECM被度を評価した。
実施例4:タンパク質、増殖因子、及びDNAの同定及び定量
キットと共に供給された製造業者の説明書に従い、総タンパク質、コラーゲンI型、コラーゲンIV型、フィブロネクチン、ラミニン、及びヒト胎盤性ラクトゲンの量を定量するためのELISAを、HuMATRIX、僅かな化学バリエーションを有するHuMATRIX、及び対照マトリックスにおいて行い、マトリックスにおける相違を比較及び対比した。
ヒト胎盤ハイドロゲル中のコラーゲンI、IV、フィブロネクチン、ラミニン、及び胎盤性ラクトゲンの含有量を、それぞれ8名の固有のドナーからR&D systems(Minneapolis、MN)、Chondrex(Redmond、WA)及びGenwaybio(San Diego、CA)から市販の定量的サンドイッチ酵素結合免疫吸着アッセイキットを使用して決定した。全てのアッセイは、製造業者の説明書により、各ドナー組織からの3通りずつの試料において行った。
ECMタンパク質を、総タンパク質定量のためのLowry法によって決定されるような総タンパク質含有量を比較することによって重量パーセントとして標準化した。全てにおいて、コラーゲンI型は平均で組成の41%であって、IV型コラーゲンは総マトリックスの約3%を構成しており、かつラミニンガンマ1及びフィブロネクチンは平均で組成の<1%であった。ヒト絨毛性乳腺刺激ホルモン(別名胎盤性ラクトゲン)は、HuMATRIXにおいて平均で約175ng/mLで見出された。胎盤性ラクトゲンは、高い生理活性があること、膵島細胞からのインスリン産生を刺激すること、MCF7腫瘍細胞増殖において4.4倍の増加を引き起こすこと、血管新生を誘導すること、胎児性肝細胞DNA合成を刺激すること、及びHuMATRIX中に存在する平均濃度レベルで又はそれ未満のレベルでの他の機能が文献において報告されている。
ヒト胎盤ハイドロゲル試料を計量して衝撃耐性チューブ内に入れた。DTT適合可能なBCAアッセイ(Thermo Fisher Scientific、San Jose、CA)を使用して上清のタンパク質濃度を決定し、100μgの抽出したタンパク質試料を、NuPAGE還元ゲル(4〜12%Bis−Trisゲル)(Life Technologies、Carlsbad、CA)上でNuPAGE MOPS SDS 1×バッファーで200Vで約10分間泳動した。タンパク質バンドが3〜5mm移動した後に、ゲルをPage Blue(Bio−Rad、Hercules、CA)で染色し、全てのタンパク質バンドを切り出した。ゲルを脱染色し、50mM NH4HCO3;50%アセトニトリル及び80%アセトニトリル中で3回洗浄した。ゲル結合タンパク質を1mlの40mM DTTで56℃で25分間還元した。ゲルを1mlの50mM NH4HCO3バッファーですすぎ、還元タンパク質を1mlの50mMヨードアセトアミドで、暗所で一定に混合しながら25℃で30分間アルキル化した。ヨードアセトアミドを捨て、ゲル結合タンパク質を50mM NH4HCO3バッファー中の0.5mlのトリプシン(20ng/μl;Promega、Madison、WI)で、一定に混合しながら37℃で12時間消化した。消化後、50mMのNH4HCO3でゲルを洗浄することによってトリプシンの画分を収集した。トリプシンペプチドを含む溶離液を、Speed−Vac装置(Thermo Fisher Scientific)を使用して乾燥し、質量分析による分析の前に4℃で保存した。
乾燥した試料を20μlの0.1%ギ酸/水で溶解し、次いで、2μlの各試料をQ−Exactive(Thermo Fisher Scientific)質量分析計上でEasy NanoLC−1000システムを用い、動的排除(DE=1)設定でデータ依存的獲得を使用して、LC/ESI−MS/MSによって解析した。使用したデータ依存的獲得設定は、Q−Exactive MSでは上位12のより高いエネルギー衝突誘起解離であった。Q−Exactiveの解像力は、フルMSスキャンでは70,000に、m/z 200でのMS/MSスキャンでは17,500に設定した。LC/ESI−MS/MS解析は、C18カラム(75μm×150mm)を使用して行った。逆相クロマトグラフィーの移動相は、(A)0.1%ギ酸/水及び(B)アセトニトリル中の0.1%ギ酸であった。4ステップの直線勾配をLC分離に使用した(2%のBで10分間のカラム前平衡化;最初の47分に2%〜30%のB、次いで、次の1分に80%のB、80%のBで12分間保持)。
標識なしの前駆イオン検出法(Proteome Discoverer、バージョン1.3、Thermo Fisher Scientific)を5ppmの質量精度の範囲内で前駆体/断片における特定の滞留時間で使用した。Sequestアルゴリズムを使用し、分類学「ヒト」を使用してSwissprot(バージョン57)から抜き出された組み合わされたヒトタンパク質データベース(合計28,000配列)に対して検索することにより、得られたMS/MSスペクトルからペプチドを同定した。親及び断片イオン耐性の検索パラメーターは、Q−Exactive MS用に15ppm及び60mmuとして設定した。使用した他のパラメーターは、カルバミドメチル化−Cysの一定の修飾、リン酸化(S、T、Y)及び酸化(Met)の可変の修飾であった。トリプシンは、最大2つの切断ミスを有するプロテアーゼとして設定した。>2つのペプチドが同定された(又は>50%のタンパク質が単一ペプチドによってカバーされた)タンパク質のみを比較定量分析ステップに含め、P<0.05の正確なタンパク質同定の確率の結果となった。タンパク質にまだ明確にリンクされていないペプチドは、更なる解析から除外した。
HuMATRIXにおいて同定された総タンパク質の質量分析データから作成されたベン図は、代替の胎盤ECM抽出戦略(T1及びD1として標識された、尿素抽出を用いたマトリゲル(登録商標)化学、対、P1として標識された、改変されたMatrACELL化学を使用したHuMATRIX群)及びマトリゲル(登録商標)と比較して、HuMATRIX調製物間で高い相同性を示した。更に、HuMATRIXにおける機能的タンパク質群を細胞機能に基づいて分類した。一部の例では、構造的分子活性の分子機能に関連した674種のタンパク質を、ラミニン及びフィブロネクチンを含む、3つの抽出戦略から同定した。それらの例では、3つ全ての抽出戦略から同定されるタンパク質を含む90種のグリカンには、プロテオグリカン、糖タンパク質、バイグリカン、及びホスホグリセリン酸キナーゼが含まれていた。
水ですすいだ例示的な胎盤由来マトリックス試料は、以下のGenBank受託番号を有する1種又は複数のタンパク質を含んでいてもよい:A1YZL0、Q9UHS6、C9JKW4、Q6LEU9、E5RFD4、Q9UHT9、Q59F88、A0N4V7、Q6PB30、Q9BXY1、E9PSI6、C9JLE0、B4E2W7、D8MJ84、C9J430、Q01629、A6PVK6、B5M0Y2、Q96A10、O19525、Q969R7、B0UZ35、Q92494、Q5TBE3、Q6UWP5、Q9UF73、Q6LEN6、Q71RG2、E1Y3Y3、B3KS68、Q9H3C1、B3KSJ1、C9JB87、E7EU94、Q9P169、Q8WU39、Q6ZP25、A2RUQ5、B7Z515、Q8IZY5、P13645、D6RFZ9、Q71JB4、Q8N8E1、E9PAS6、C6GLW5、A2NZ55、Q8NBC3、E9PJF3、D6RBF7、Q4ZEJ2、Q5NV84、P01761、E9PS84、A1YZH4、Q5TBT3、B4DKX8、C9JF15、Q6YL41、D6RCN1、Q6ZNV4、B4DQC9、Q53GF3、C9J7P8、B7Z3P2、B8A4K4、B7Z5H5、Q5JYG5、Q9UL90、Q7L2U6、B7Z7E1、E5RII8、B4DEE8、B7Z8E6、E7EPH1、B1AMW7、E7ES61、Q8TDA6、Q5T7W9、Q99604、Q6ZP66、A8MQU8、P04264、B4DT64、E0CX09、E5RFW1、B4DZ50、B7Z2Y8、Q5T450、B4E0U2、E5RH38、Q6ZMC9、Q6XYB5、Q6ZNV2、B7WP14、P05413、E5RK96、E5RJS6、B7Z1F8、E9PEP2、Q8N1V5、D6RJG1、E9PRB0、D3DPE6、Q8IYA7、Q8N5M1、Q8NF12、Q96GA9、B4DGM4、B7Z1F7、B3KWM9、Q9H841、A0AVI4、B4E0C8、Q4W5L8、Q6PCB0、Q9H3W0、Q92567、Q5JU04、C3VNC3、E9PNQ0、B2BD34、Q93015、Q8NAT4、Q8IXR4、E7ENW1、B4DET2、B3KUU3、Q6IAN5、Q9BSD0、B8ZZY8、Q5JQQ4、Q8NAP1、Q9H6K5、A8MQ11、Q6ZNW4、O60721、Q6IRZ0、B4DI09、B4E0D3、E9PDA1、Q9UJC5、P30042、B7ZM74、Q96RY6、O15302、Q4VXJ3、B4DWN5、B3KST6、C9J586、Q9NPB6、Q9H6Q4、Q9UF83、B4E2Z1、D3DTX7、Q05CU2、Q8N589、D3YTD6、Q9Y3D8、Q8IZE8、E7ENV3、B7Z4R8、B2R888、Q5SQI7、C5H6K5、Q6ZV01、B3UYF0、Q06945、P08123、B4DLY8、Q9BPU6、B3KP95、Q6ZNC4、Q9H7V2、Q3B7T3、B4DV90、B4DUJ3、B3KSZ4、Q9BWN1、Q9BTQ8、Q9BYE7、Q86Y37、C9JZ88、B4DWU6、Q9Y5T4、Q68CJ6、P11766、Q5JPU0、Q10713、B3KSG5、Q8N254、B3KQS8、Q9NSI3、Q9BTU6、C9J6F7、A8MX39、B3KNL1、C9JF34、Q2UY09、B4DFR7、Q52LB7、Q86U33、A8MY71、Q6FHW5、Q8TBX0、B2RTS9、B4DVD7、B7ZMB3、B2R8U0、Q59H22、Q5SY01、B7Z8D8、B7ZLN9、B3KSU4、B3KWL2、B2RCK1、B4DVR4、Q5T0T5、Q68DS7、B1ATL7、Q59EZ0、B4DU33、P12724、Q8IYK8、B5A948、B2RAP6、A0PJX8、Q5TCZ1、B7Z8K4、Q53TX7、B4DHY8、Q53G16、Q92556、B4DMW0、B3KM38、Q6Y881、Q8NGI8、Q9H748、Q8WVL7、E5RHS6、Q6ZRS5、Q9NWR1、B7ZBI4、Q7L3S4、Q6ZMH4、B3KP66、B0V3L4、A6NNH2、Q9NZV8、E9PKC0、B4DZ79、P34982、B7Z609、A8K979、E9PEI6、Q08999、Q9BZ68、Q8N808、Q502V2、Q4ZHG4、Q9P206、B、7ZKY6、Q5H9Q3、Q9NSM0、Q53G79、D6RCM8、Q8NGI4、E5RG31、Q96LT6、E7EPE7、A8K9P0、B4DR21、Q6ZS11、E9PCP1、Q6P5X8、P02452、Q9H7E9、P78517、B9ZVA0、C9JBF1、B4DUE5、Q9H7S4、Q99419、Q6ZUF6、B5MCV7、Q8IYI6、B4DYB3、Q5TBN9、D9ZGG0、A6NJB7、A8K0M8、B3KSA0、Q6ZWL3、Q96Q06、E5RJA7、Q96ER9、A8K557、C9JGX5、Q9UJX1、B5MCB9、Q9H210、B4E338、Q6ZRP5、Q13596、Q59EW1、E9PBL0、A8MTL3、E7EU41、B3KXM9、Q9H6C4、B4DHA3、Q5FC05、O95484、B2R7K1、O15457、B4E186、Q5TCY1、Q0VAA2、A8MW61、E7EVQ7、E9LT28、Q9N2K0、E5RG82、Q6NTF9、Q4JNY3、E9PAV3、E9PCD7、B4DSN3、Q9UJT0、Q9Y661、Q8N506、B3KSP5、B7Z6J4、Q9NS40、C9JE72、P02461、B4DJN5、Q70Z44、A8MRT1、Q9UNY4、B4DSH1、E7EV41、Q9P2V4、P50553、A8K079、Q9HBH5、A6NCS9、C9JRP7、Q69YU3、Q9Y467、A6NEM2、Q86TV2、B1APR7、C9JT30、Q68E02、P01570、B2RDK3、Q9UHD2、B5A940、Q8IW90、B4DRF4、A8KA64、E9PDC8、Q8NFW5、Q8IYX3、B7ZLF0、Q6ZNE1、B4E076、Q6N089、Q6IPJ9、Q9H422、A8K9L7、B5ME58、A6NDL8、E9PLK8、Q6B0I6、Q92630、B7Z5J4、B4DYV1、Q4EYM8、A6NNA4、Q86TW2、Q8TF74、Q5LJB0、Q8IXZ2、Q7Z3R8、Q5JV47、Q96JB5、Q68DE3、Q2KHM8、Q6ICH7、Q59GL7、B0QYY4、B3KS85、Q9BQF6、A6NCB9、Q9H1Y3、A8K434、Q96I00、B3KNF9、B2RNI9、Q8N2Q7、C9JMK7、B3KX42、Q9GZV1、A8K256、Q6ZP85、C9JYB8、Q14993、B7Z321、B4DQ54、Q7L8K4、P08908、B4DZ97、Q3LFD5、A8MY94、Q60I31、B7Z8X3、O43916、Q8WX69、B4DSQ7、Q8N7U0、B4DE59、Q5JWM1、P60509、B4DXW7、A8MW31、Q59FZ7、Q5H9F3、B4DS14、E3W980、P32971、Q96ML5、E7EUC6、B4E0F4、B4DJA0、E9PEH8、Q6P4R8、B7Z6I9、P30622、A4QPB0、B4DPI0、Q92917、B2R787、Q58F05、B9ZVP8、Q06418、Q14721、A2RRE8、P35527、Q68CX1、B4E3H4、B3KP32、Q8N0V4、B4DIM8、Q8TD49、B4DIX2、A8K8T9、A8K179、Q5JZY3、B4DG74、B7ZMJ7、B4DH30、Q9NRR2、Q9UF12、O94919、O43313、Q2HPN1、Q6P387、A0M8X1、Q6ZRR9、O60240、B4DZ16、A8K9U6、A7LFK7、Q9H7U1、Q8TBN0、Q6ZU65、B4DFK3、Q6NT55、Q8IVJ1、A0PJD3、B3KXW2、C9JVT2、Q9BSU1、B5MC00、Q96AC1、B7Z8M3、A9NIU4、O75131、B4DR01、D7PBN3、D3DXG4、B1ANH6、D3YTI9、B4E053、Q9NXL9、Q8NFU7、Q6ZU52、B4DF15、B1AKG2、Q59EW6、B4DDS3、B3KN02、P05997、P20807、B4DT66、Q59F77、Q92585、B3KX90、A8MUW4、B4E2K4、Q8NEN9、A6NCB3、Q92851、P37059、Q96RG4、C9JC37、A6NDY9、A7E234、D6W646、Q8NCN5、Q86WA9、E7EQF4、B0YIV3、Q6DT37、B4DHJ4、B3KVE5、Q86SE4、E2QRE6、B4E3N7、B4DS43、B4DME3、Q5T5C0、A6PVC2、O00375、Q0VDF9、C9J119、Q6V0I7、Q9P0G3、P30518、B7Z2V3、P25090、B4DU09、Q9H3S7、Q5NKU1、A8KAP0、B0V3L8、B4DRW6、P47989、Q8NCV1、Q13823、Q8NAT2、Q8N883、B4DIM2、Q9NS43、B2R6V9、O15398、Q5VTL7、Q96A33、A1X4P8、Q7Z5P9、Q16206、Q2TB12、Q8N7X0、C9JMG9、Q8N4C9、A6H8X9、Q4G115、B4DUG9、Q6ZT73、B0I1P6、Q15761、D3DTP5、B0I4X4、Q59GD4、A2A2Y4、B2RDY3、B5MCH9、P22736、Q09666、B1AJZ9、Q4VB88、Q14828、A8K8W7、Q96RK0、Q59F03、A8MTC3、B7Z544、B4DLR2、Q8NET4、A2A3C3、B4DTX1、B4DDQ0、Q9P219、Q5VST9、Q16187、A8MVM7、B3KXF6、B9TX55、Q49AJ0、Q8NCD3、Q96FV9、B7Z7L8、A6NCF6、Q9UMU8、Q5T197、B4E3J9、Q96EG1、B3KU60、Q9HCK4、Q15027、Q8N9N0、B2RCC7、Q96IF4、Q5VZL5、A2BF21、Q8IX27、Q12965、E7EPK5、B1AL46、E7EPZ1、Q5VU43、Q8NAT1、Q2UVF1、Q9UKN7、O75197、Q05D32、Q9C0D5、Q07157、B4DWE9、A6P4V4、Q8NGC5、A8K169、Q461N2、Q6ZSJ9、E9PP00、B7Z5S9、B0L3P6、Q03164、Q96AY4、Q8NEY1、Q2M2A3、Q16512、B4DLZ1、Q8IVL1、Q9UHR5、Q86XX4、C9JIP0、Q59G31、B4DM05、Q8NI27、Q2UVF0、Q504X9、E7EVK1、Q96PV4、Q59F90、B4DHQ7、A8K5W7、B7Z2U6、A8KAL5、Q96Q04、Q5VT52、A8K8X0、A8K602、Q8IVE3、P83111、Q7Z7G8、Q6RAQ8、A6NK03、P51843、Q5XG79、A8K5U8、B7Z217、B3KSR7、B4DLA5、B4DS80、Q08AD1、B2RTQ6、E7EMF0、E7EPZ7、B9EGR0、A3KN83、Q13395、Q8WXI7、P20929、Q8TF46、Q6PIA2、B4DHN9、O95396、Q12955、E7ESD2、Q7Z3C9、Q6ZVL6、Q8IZJ3、Q9HB00、B4E0H3、B4DRR2、Q6NV74、C9JXH6、E7EWN3、A6NJ88、B7Z4J0、Q09472、B3V8S3、Q7Z4F1、Q8ND99、B7Z8L0、B4DF48、A、6NIB1、Q13315、Q14517、B4DHD6、B5MDQ0、B4DDR2、D2JYH6、Q9UEF7、O60237、A5D8Z7、B7Z646、Q9BZV3、Q06278、
E9PGY5、A6NES4、Q4LE61、Q96M89、Q59EZ3、B3KV56、C9JAA8、Q5T848、B3KX29、B4DZA3、E9PBB0、A1KZ92、Q68BL7、Q8N1G0、P12821、E7ERE5、Q5JV73、Q68E10、P35240、Q6W4X9、B3KUY5、C9JLV4、B9ZVN9、E7EN67、Q8WZ42、B3KWU8、Q9P273、B4DZI8、B7Z4H4、P54253、C9JP98、Q8NF45、Q6ZND8、E9PEL0、Q99715、Q96QT4、B7Z879、A7E2D7、B4E043、Q8TEK3、O43157、B4E2Q7、E7EVF2、Q6UUV9、O95393、B7Z3S8、D3DUU0、Q9ULM3、D6CHF9、P39880、O60281、E7EUE6、B2RUU2、P12882、Q9P2K6、Q5VUA4、Q5JSL3、C9JMT9、D6W5S0、Q5IBP5、B3KXF7、P63136、O00186、C9JI46、Q6ZN90、Q9Y2Q1、B5BUA4、B4E0H6、A8K4A8、Q5VZ89、A8MVY7、Q9NR09、Q96IC2、B7WPK8、Q7Z479、Q9C0D2、Q96L96、O60287、C9J6W2、B7Z6K4、O60312、Q6ZNA5、C9JL14、Q5TBA9、P10745、B8ZZJ3、Q96KV7、C9JVJ3、Q0VDD8、B4E3F1、C9JBN5、Q6NUN7、Q96RL7、P78357、Q4G0U5、Q9BQS8、E7EN95、A7E2Y5、B4DK63、Q9HCM2、A5YM72、P0C091、P98160、Q6ZNI2、B3KWU3、Q504Q3、A8MQV7、Q9UIG0、Q5HYC2、B3KX52、O15230、B7ZLE6、Q8NA70、Q9Y6R7、Q10571、Q5T4S7、C0JYZ1、B4DSK8、Q8WXH0、D6RGV7、Q9BQG0、Q7LC53、B7Z3E3、A6NKC6、Q9UFD9、B1AMG5、P31629、Q9UDR5、B4DRI7、O75051、D3DSM4、Q19R18、B7Z9C5、Q9Y493、E1A689、O95714、E7EQE3、Q01118、Q13470、Q5YLB2、Q9P2P6、Q59H93、Q69YN4、B9EG70、P98088、Q8NDA2、P49641、Q9NTG1、E9PD66、Q8IVF2、Q9UMZ3、O75592、A4UGR9、P21817、Q5TCQ9、Q9ULL0、B2RU27、O60318、Q9UIW2、P42694、Q9Y6N6、E7EWP2、E9PBT7、Q68DN1、Q9NZR2、Q6IEH8、及びO75445
生理食塩水溶液ですすいだ例示的な胎盤由来マトリックス試料は、以下のGenBank受託番号を有する1種又は複数のタンパク質を含んでいてもよい:B4DUX0、B2RDK3、B4E1U3、Q69YL0、A8MTC3、Q9UL32、Q9UIW0、E5RK96、Q9UNY4、B3KS99、E7EPZ1、Q5T205、B2RCH0、E9PJL5、Q86W28、E7EPC3、E7EVS9、Q9UPX8、Q7Z7G8、O75417、Q7Z5P9、A1L3A3、B7Z387、C9J066、O14910、Q96EN8、Q29988、Q6YHU3、A0N4V7、Q9H2A3、Q02952、A6NHM9、B7ZLM6、B4E015、P58107、Q9HCL0、C9JTI1、C9JZ00、P55198、Q9UBC2、C9JI52、B4DVR2、Q9Y6X7、Q96NG3、Q8NET4、C9JVT2、B4DL55、Q5T9S2、O75962、E7EPD1、Q07343、Q9UP91、E0X084、Q8NFU7、Q96KC8、C9JMM2、Q9NVE4、Q6AW83、B4E0D3、A8K6A6、E9PJT0、Q8NF21、P49792、E9PBT7、Q96P03、Q9UEY4、A7E228、Q308M6、P08123、Q8NB14、Q6ZN14、Q9H4M7、Q9UF83、Q8WXH0、Q8N3S3、Q4LE43、Q8WYP5、E7EUV3、Q8IYB3、O15034、Q0VF99、Q59GG3、P22676、O95396、A6NL46、B4DP13、Q9UQ35、D6RA67、Q5TB93、B4DZ58、O60382、Q12955、Q9ULI3、Q9UHR5、O95393、Q32MM9、Q68DE3、Q6ZQY3、D6RCD0、A8K1T0、Q14DE1、Q5VVP1、Q30KQ9、Q9Y5G7、Q7Z4Y3、Q12845、P05997、Q14839、B1AQK6、Q6P387、Q0VAB1、A8MRT1、B4E2G5、D3DS91、P02461、A8K670、Q6UXY1、B3KV73、P12109、Q8IWX8、D3DUJ0、Q9UKX3、Q5VTR2、A6NNK5、Q15699、Q9H6A9、B7Z4S6、D6R9N8、Q8WXI7、Q2TAI4、B2RTT4、A5PL20、Q9NU22、Q92615、O00444、A4D209、A7E234、Q6PHR2、Q5SXX8、A8K586、B2RBM1、Q13315、Q9ULH0、P35527、B4E0M7、Q6ZSJ9、B9ZVP8、D3DNC2、A8KA05、O14715、B4DTU7、D3DSY9、Q9BZC7、Q8NEQ5、Q14517、E9PFR5、Q96LM6、Q9NR09、Q9BRF8、Q6PGP7、B4DHK0、Q59HB8、Q2TB12、O75592、P25391、C9J5R8、Q71F78、Q71RD0、Q13863、Q14573、C9J1J2、Q9ULG1、E9PDN5、Q9UDY2、E9PB92、Q9NUG4、Q8WUG5、B7ZLE6、B3KMS0、A8K5E6、B3KXM5、Q8IWP4、B4DMA7、A0FGR8、Q9H1H9、Q9C0D5、B4E354、C9J8P9、Q9Y6N6、A8K4A8、B3KSY6、D3DTX7、O60237、Q9NSY1、Q8TDW7、E7EWA1、Q96RK0、Q6Y881、B3KW47、Q86Y91、Q9NT68、E7EQE6、Q6ZNC4、P04275、O60281、O00555、P02452、O00368、Q96A33、Q9UG01、O15516、Q96MY7、A8K8N1、B3KP32、O75054、B4DZL6、P13686、Q4KN04、P0C091、E7ENN3、C9JE65、O94986、O94993、B4E1T5、Q5JSG7、Q8TF09、E7EPJ5、D3DRA2、E7ER60、Q68D67、B7WNR1、B4DX91、Q6AI02、A6NGQ3、E5RJA7、B7Z5I8、Q9ULJ7、B7Z5H7、Q4ZG20、B7Z7Y5、B3KUV3、Q5VVD7、Q13009、B1ARM6、A8MUU9、B4DUC2、Q9UGI6、Q6XYS1、Q9UBF8、Q08AL8、C9JLB7、B2RAH2、B7Z758、A8K337、Q8TBY9、C9WEQ4、Q9ULD2、Q13046、P20930、B0I1S0、C9JP98、O15213、E7ENL6、Q9NR99、A2BDK6、P16662、Q6STE5、Q68D39、Q9UKZ4、A8K8P1、B4E3V7、Q9BTC0、C9JAB1、P78363、O60287、E9PH44、Q6P4G0、Q8WVX5、C9JV64、Q08AE8、Q86XE3、B4DTT9、E9PFQ4、Q59FY1、A8MU01、A8K0B9、Q9NSM0、A6NK24、C9JZB0、B5MDL6、Q5CZC0、Q9NPG4、A0AUH1、O14936、A4D198、O60774、Q9NXC5、D2IYK5、B9EGR5、Q59EZ1、Q9HCU4、Q96JN8、A8MU99、D6RCM8、Q8N1E8、Q9C0G6、A5YKK6、Q96ER9、Q5JVT2、D3DSU3、B4DJ27、Q96BT1、F1B7C4、P20929、P15924、Q96GD7、O15245、A4D1E1、A8K604、Q6ZSZ5、O43157、Q9NQU5、Q9BS92、Q6P0Q8、Q9Y6R3、Q9ULH7、Q8TBW1、B3KW36、B3FL70、B0I1T1、B4E2U2、A2RUU9、E9PNE2、Q9NSI6、Q9C0A1、Q96Q15、B7WNU6、B4DMW6、B7ZM86、A4D212、Q659D1、Q96DC9、Q9Y4B6、A3KN83、B4DF15、E7EPQ3、B7ZLW5、P21817、E7EQE3、Q86V40、Q14139、Q96ME4、P02751、Q6MZM7、Q9P0X4、A4D0Q3、Q9HCJ3、B3KRS1、O14709、Q9H7D0、Q08AM8、B4DJG3、C9J3K0、Q8WVD3、Q9H4E3、B4DQJ6、Q6ZU65、B7ZMJ0、A6PVK7、O14686、B4DNI0、B7WP06、Q8IVL1、B3KPH8、Q53GA0、Q2TAZ0、E9PE71、Q6IPT2、E2QRJ1、B3KUB1、O60447、Q8IWU2、C9JXH6、O60293、Q6YHK3、A6NK89、A6NJB7、Q5TF02、O60671、Q5W026、Q4AC94、Q4G1A2、A8K9I5、Q9Y2F5、P16118、Q9P225、C9J2Y8、Q14865、Q59EE7、D6RFZ9、Q96K30、Q4ZHG4、Q14993、Q5TZA2、Q9UPJ0、O60673、B4DYK2、P54756、E9PAV3、Q9BZ23、Q6ZQQ6、B4DZV0、D2JYH6、O75445、P12755、D3DX70、Q8N8H1、B4DRW8、Q15113、P29322、B4DHJ4、P22792、P52179、Q5W0C6、A6NKC6、Q6UWE0、Q9UQC9、D1CS68、Q5T440、B3KW72、Q9UPA5、P04264、Q8N9B5、B4DND4、B4DNB0、A8KA16、P63136、Q460N5、A8K6V7、Q96T58、B4E0H3、Q92805、B2RNB1、B5MCH9、E9PEB7、P21675、Q9UIG0、Q68DM7、Q9Y4G6、Q5SYB0、P53675、O94927、Q92621、E7EX20、B5MC17、Q9BYW2、C9J6P4、O15061、Q9P2P6、C4B7M2、Q68D69、P23471、Q59GE5、B4DIW8、A8K979、P06727、O14672、Q9BRX5、E7EQ84、Q9BXL7、P46013、P01701、A8K8C2、O75934、P39880、Q14789、B4E2Q6、E7EPY7、P11678、B5MDT7、E9PMZ5、Q96D60、Q9ULB1、Q6WG73、Q59FI2、B4DM17、P35658、P56703、E5RJH9、A8MPY4、B4DYQ3、A8K6X0、A5YM51、B3KTB6、P23284、B3KU97、Q5T1M5、Q6PJ25、Q8IVT4、A8K3I3、P0C7N8、B5M449、B7ZM78、Q8N2C7、Q8TEU7、Q6V0I7、A6NG74、Q96BA7、Q96PK6、Q8NBZ0、Q7Z3D4、C9J6W2、Q13085、Q53EY8、Q96AV8、E9PGN6、Q9NXL9、Q0VG55、Q5RKV4、A6NES4、Q12830、Q6ZTF9、B4E3S8、Q9H930、B2RAI2、Q4FD37、A2VCT8、A6NGG8、Q9NRJ4、Q9Y5J5、Q5T1B0、Q8IV32、Q99968、B3KWH7、P57058、B4DIX5、E7EVV2、B2RDN4、A8K024、Q14315、Q15149、Q5TCU6、D6RGG3、Q6NX55、E9PJP2、Q15751、Q86UB9、Q99419、A6NJ11、O15020、Q8N3K9、Q6X4T0、B4DG72、Q49AJ0、B4DQ39、P0CG42、B4E2D6、Q12768、Q8IZA3、Q6ZNV4、Q9H6R3、Q9BVR0、Q9BXA6、B7ZL07、Q9UMN6、Q8N307、Q8NDU6、Q6ZRT1、C9JWP3、Q9P2S6、B7Z4C4、A6H8W6、Q5SNV9、Q96Q06、B1N949、Q9P096、E9PB70、Q8NHQ9、Q9HBW1、O75095、B4DDX2、P60008、Q68DK7、O95714、B4DZ15、Q69YN4、B3KMB1、Q6ZWG8、B7ZW05、B1ALM3、Q5Y190、A8MUT5、B7Z3V7、O75949、O15294、B4DWD2、P13645、E2QRK8、Q70J99、Q7Z3R0、P47972、A2BDF5、Q0P670、Q9BUM6、B3KVV6、Q96S59、E2QRF0、B7Z5R7、E9PH94、Q9HBA0、Q5VXT8、Q8NEY2、B5A952、B5A968、B3KXD7、Q5T670、Q59GY9、D6RDG0、Q9UGJ1、B4DF35、B7Z1M3、Q9BSD0、A6NLU2、D3DVD8、Q14126、E1P546、Q6PGN9、Q59GS5、Q14690、A6NMZ7、O75376、Q8N808、B4DYH2、Q6UX41、P00748、Q0VDD8、B4DVQ2、Q8IU62、D3DS15、Q99855、E9PAJ9、B4DR56、P47901、Q9H479、A8TX70、B1APS8、P22670、D6RDI8、D6RC61、Q8N5C8、Q53G41、B4DGR3、C9J120、Q9UQC2、B4DZE6、Q9Y6D9、Q5HYL4、C0JYY2、Q12860、E7ESK8、Q8NFY9、B7Z8R9、Q76LX8、Q6T774、A9JR72、Q9P2H5、Q14754、Q711Q0、P12882、Q8NH94、Q15058、P78509、Q9Y2I7、Q569J4、C9K002、Q53SF7、Q8NFZ4、Q5T450、O95602、B4DYV1、Q8TEK3、B4E3E1、B4E386、Q8IYA7、Q99490、Q6N021、P32418、Q9P0K0、C9K0H8、B7ZCA0、Q14118、B4DKP8、P18463、Q8IZ20、P0C629、A1L4K1、Q8NA90、Q9C0F0、Q5THJ4、Q01118、Q8NF82、Q5TCQ3、E5RI61、E9PEA3、D3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N0、Q13946、P16473、O75475、Q92539、Q96NI6、Q9UNX4、A8K8R5、Q8IVF1、Q8TDS7、Q1RMC9、Q9UHG0、Q9BZ68、B7Z611、A8MQ72、Q5T7Q5、B4DI09、B2RDY3、D6RIA3、Q01804、O95817、B7Z1Q8、B5MDD8、Q86TV2、Q6ZRC1、P03999、B4DKH1、C9JCH2、E7ETA2、B3KPW1、Q9UN75、Q6IA17、E9PH21、Q9UGT4、Q86V48、B4DR97、P11021、Q17RP2、Q05CU2、Q6PIA2、E9PPL0、B4DWS6、Q0VF96、Q14008、B3KPF6、E9PHX5、D3YHM4、A8K7Y8、P49736、E9PJ76、B2R8Q2、D6RFK8、Q5IRN2、Q59FP3、Q9UJX1、Q8NEZ4、B4DRF4、O00763、A6NFE0、C9JTA7、Q6NUS1、Q9HCD5、Q5JPT5、Q59GL7、B4DSR9、A8K615、Q8TCJ2、B3KNM6、B4DYB4、Q6ZMN3、B4DWN8、Q9Y576、B4DT65、Q9BQS8、C4WYH4、Q5T5P2、P58304、Q6IFI9、O95789、A0AVI5、Q9NVV9、B4DK02、Q6ZVT6、Q969F2、A5D8W1、Q8NFT6、B7WNL6、Q7Z554、E9PGN2、O60669、Q569I7、Q494V5、Q15142、B0UZ11、Q5JTA5、B4DME9、B7Z6N7、Q9P2K6、Q86V35、Q9HC10、Q8N9N0、B4DEA6、Q86U90、Q3SXY7、Q96G74、B7Z9C5、B3LEU8、P53420、Q9BT57、B4E0V1、Q9NPG3、C9JSC3、E7EVA0、B7ZL69、Q9UFD9、C9JG58、B3KWB5、Q9HCE6、B4E2W6、Q5T8R8、Q8NCU4、Q96JX3、Q9HCU0、Q92911、Q6FGY5、O60478、Q9H6X5、Q6ZMT4、Q96LA9、Q8NHC1、Q6XP50、Q9H7V2、Q5SQI7、B4DUG9、Q96BP3、C9JG87、Q24JR0、Q5VSZ0、P20749、Q6ZP01、Q9H3M0、C9JM76、Q6P0M4、Q08266、Q8TBB7、C9JFW8、E7EPX9、Q96JG9、P05546、B7ZMF2、B0FP48、A8KAL3、Q8TCJ6、A8KAM8、Q6PEW0、B1APH4、B4DHI0、Q8N7H9、Q2HXV3、O95125、Q14330、C9JK83、P54826、Q66GS9、Q96A73、Q49MI3、Q6ZT21、Q96B77、B3KWI6、P83111、B3KQS9、A8K6Q8、Q0P6D9、B4DZR3、Q5JWQ6、Q9Y6K8、Q4VAP1、B3KRK2、Q7RTU8、Q8N4F4、Q3B820、B3KN02、Q9MY63、Q96LX7、Q5SRE5、Q9NPH3、Q9ULR0、Q8IV53、Q9NRU3、Q8N9W8、E9PEF0、Q7Z6A7、P23634、B4DYM6、A5PKW4、A6NIT3、P54257、Q8TD26、O15033、B2R8D7、Q9P291、Q9Y4D8、O95680、E7ETI5、Q8NGR3、B4DU15、Q5T985、Q969F9、Q70Z44、B4DHJ9、P29475、A8MSQ6、Q9NR45、Q6ZMU0、Q14721、B、7ZLP5、B4DPW6、P78367、P50553、B7Z5S9、Q9BXF6、Q17R88、Q14767、B2RCI6、D3DUA9、E9PS97、C9J022、B4DW89、B3KTK9、Q9Y6Y1、Q5VZY9、Q7RTN0、A7BKA4、Q13586、B4E120、Q8WUD6、Q9NWW7、Q14C87、A4D2G3、E7ERT5、B4E2H7、Q8N450、B3KXW2、Q8TF64、Q8N2G6、Q01954、B3KP71、B7Z3V5、Q9Y239、B4DK45、P55895、B4DRB7、Q9H9E3、A8K0P8、Q8TC92、Q8ND23、B3KPQ7、P22314、P27987、O60487、Q9BV10、C9J3V6、Q2QD20、Q5SZL2、Q86WZ0、A8MZF0、A0PJE2、A5YM74、B4DU92、B4DF54、C9J4J4、P01024、B7Z2Y2、Q9H4L7、B4E184、Q6N090、Q8TBF4、Q86XX4、Q9BYI3、O95155、B3KVX6、Q5SYW2、Q9BX66、Q3SY77、Q8TDM6、Q8NHH1、Q8IY92、B7ZLC8、Q5VT97、Q5VYV7、E9PBS6、P41594、Q53FJ3、O14657、B5ME67、B3KNZ1、B4DTD3、P35573、B4DQW4、Q6UUV9、B9A6L3、B3KXX3、Q96MC4、Q2V2M9、Q6ZNJ1、B4DG21、O94988、Q53F65、B4DRW6、B3KS46、Q53RT3、Q8IZM8、Q17RE6、Q53FX3、B7Z4Q9、Q8IV39、B4DT93、Q9H6M6、B4E0F4、Q2M3T9、E7EWK2、B3KSA0、Q59GD4、Q9UH90、Q8IZJ3、B7Z5J4、Q6ZR03、Q4EYM8、Q8IXS2、O43318、P33908、Q6AI59、B4DSN3、B4DEA4、A1KZ92、P22304、B4DL80、A8K6R5、A8K8C1、Q8WYT0、E7EQZ2、B4DF27、Q15650、E9PQN2、B7Z4E2、Q9BZF1、B3KX45、Q0D2N5、Q6ICH7、Q96FN5、Q5H9Q3、B4DS32、P42263、Q53TQ3、Q8N5S1、B3KTC9、Q92953、Q59FP5、Q5T362、Q5W0G0、Q86UW8、Q59G80、Q9HBE4、Q9NXY1、Q6DSU6、P48357、B4DS95、B2RNI9、Q8NGI8、Q9C0D4、D6RJG0、B4DU18、Q15262、Q14028、Q8N7X4、Q6VU67、Q96CH6、A6GV77、A6NCQ9、Q6ZP85、P51508、Q8N7A7、O94805、B3KNF9、P23352、Q8N5U0、Q86VP3、Q5TYJ8、P26006、B5MDT1、Q9Y6R4、E9PIC5、E5RJZ3、B4DFY7、B9EK55、B4DEY3、A8K8Z0、Q9UP52、B9EIL8、Q4W4Y1、Q9ULD9、Q8TCT3、C9JUK7、Q6M1B8、E7ERL4、A8K9S1、A5D8Y4、P28069、B4DH93、O43304、Q17RG1、Q6UVK1、D3DWL9、Q9UBG0、A6NKQ7、B4DGT7、A6ZGF9、B3KRD4、E9PFY8、Q9BX95、Q6A163、O95450、Q96BH1、C9JVN5、Q6UX07、D3DRN4、O43749、P27815、P41250、Q14677、Q96PL2、B3KUX3、B7Z747、B7Z831、Q13474、Q8TD57、C9JJ54、Q53EU2、A8K5B8、A7LFK7、Q9Y250、Q5JWM1、Q6RJV8、B2RB90、O95359、B4DU20、Q9NSB2、B2RAL3、Q5JSM3、B3KMC6、B3KMT1、B2RCL0、P32971、Q9NZ56、Q9BZJ7、B4DR50、Q9H2U9、Q14929、B7Z445、Q56P03、Q9NR48、O14917、B4DSA8、O60309、B4DLR8、Q9Y3A2、Q09472、P16298、Q08945、Q6ZU52、B1ALY6、Q13151、A8K215、E9LCZ2、Q8WXS8、Q5VU97、O14926、B5BUA4、P26232、C0KWF0、A4D1S0、Q8NGC9、Q7Z4N2、Q8N7R7、C9JLV4、B4DZU9、D3DN97、Q9NSE7、Q5JR59、B5FX47、Q7L576、B4E1N9、P03986、B3KU91、Q8WXP9、Q6UXM1、P17026、Q02846、B2R604、Q05C41、B7Z5L6、E9PIC8、B4DI23、B3KUP6、Q96PQ0、O75828、B3KT58、Q7Z3N6、Q12965、Q92502、O75157、B5MDQ0、Q96F46、Q149N8、B4DGW1、B4DLS9、Q96AD5、A8K5G6、E7EWW7、P51692、P01023、B3KTW2、Q8N344、B4DIM8、E7ET19、Q7Z2Y8、C9JU34、E7EUM9、C5MN97、Q6XZB0、Q9NWR8、Q9Y5Q9、Q5VTT5、P11137、B4DJT3、B4DX95、Q9UBH6、Q76G19、Q8NEF9、Q9NY72、P0C7U0、A6NKB5、Q9BYP7、Q8WWJ7、Q8NCN5、P78357、Q8NDH2、B7Z7T2、Q9HBD1、E9PEJ8、E2RYF6、Q3B7A3、Q6IS01、Q7L5N7、Q6TFL3、O43641、P45974、C9JNC2、A6NLE6、Q9C0E4、O75132、Q6VB86、C9JLF8、B4DSM3、Q9HBB2、B5MC00、Q15849、P47736、Q8IWY7、P35398、A7MD48、C9JGI3、A8K2N3、P22736、Q969G3、Q4VC10、Q96JC4、Q6ZRI0、A5YM72、B4DZ19、E7ERH3、D6R905、Q6ZR08、E9PDI6、A6NP61、Q9UHV7、B4DU96、O95067、B3KXA2、O15398、Q14032、Q304Z4、A2VDI6、E7EV52、B4DUV2、Q305M9、B7Z4U6、B3KX90、E9PB08、P78559、Q8NBE8、Q9Y2V3、A8K143、P09327、Q9P2G4、B7ZLW7、E9PGN7、P50748、Q96JP2、B7ZLT7、Q86UE3、Q9Y6X8、B4DPP5、Q59E99、Q8N5C6、P10745、Q96K37、P51825、E7EM83、Q14CN2、Q6P9F7、B7ZL90、Q14781、Q9UHL4、E9PIR9、B4DVG5、Q504Q3、E7EVK0、O60312、A8K5D9、A6NEL2、Q9UMQ4、O75197、Q562E5、Q53EV6、E7EPG6、Q5FWE3、P49815、P18146、Q8N350、B4DSM6、Q5VZB9、Q13576、B5MEA1、A6NLI5、Q16832、C9JS33、Q8TD55、Q2M3R2、B4DG58、A0S244、Q68CR7、Q59H05、Q9Y662、Q9UEF7、A8MUW4、Q86UH7、Q5NKU1、Q59G50、E7ES80、Q659A1、E7ERF5、Q9UN71、B2RB53、B9EGE4、Q13049、Q3LFD5、E3W980、P04198、B4DSH5、C9JTQ0、A8K0Y1、C4P098、D3DQM9、Q2VY69、Q9NYZ6、E9PAU4、Q53ET2、B4DN13、P59044、A8K559、B4DF48、B4DWG1、P54317、Q9BYH2、B4DLX6、C9J6U6、B4E0E9、A8K2N0、B7ZML3、B4DSX8、Q6DN72、E9PBK0、B4DGA3、P30530、O00378、Q9H9L3、B3KSE7、A8K2D2、C9JHD2、Q6MZW2、Q7Z3K9、Q6ZND3、B3KN68、Q8N6Q8、Q9NRK6、Q13972、Q06481、Q5FYA8、Q6ZPD8、B4DR59、B5B2N8、B4E2H9、Q8N6G6、P35568、Q16187、O95876、E9PCA6、Q9NV58、C9J1E9、Q59EX7、Q8TE57、Q6AZW6、Q96Q11、A5YM41、O43854、Q8TEF4、O14529、B8ZZJ3、B3KXR0、Q96EK5、Q59H30、
A6NK97、A8K617、B4DSY1、Q8HWS3、Q13224、D6BZU5、Q5JSL3、Q6UWJ1、Q2VPK5、B5MDV5、O60346、C9JC32、B7Z7E7、A6NLQ9、E7EMW7、Q86X06、Q59EI2、Q69YR0、Q0P6H9、Q7Z350、Q5TCQ9、Q8TDV5、Q6P597、O94885、B3KXK2、Q6RI45、D3DP12、E7EP12、Q4EWT1、C9JCN0、P35579、Q96L50、E7ETY2、C9J1I5、Q5T0U2、Q53TA0、P0C7T5、A8K0E7、Q6ZT16、Q8IUX6、Q16760、Q8NGC5、P51531、Q15147、Q08ER8、C9JCC7、B3KXW8、Q9UKN7、P51828、Q17RV3、Q5T3U5、Q9C093、B8ZZX6、B5MD83、B4DWM4、B4DFU8、O15027、Q8NHP8、Q14678、B3KNV5、Q9Y4D7、B4DGA8、P58397、Q06418、Q96MD2、Q9P2K8、Q6Q759、B3KX86、Q6UB99、B7Z7W1、Q68CP0、Q9P2P5、B7Z7Y3、B2R5U1、O95226、Q53GX1、O75295、Q2VPA4、A8MTP9、B0QY77、Q9H347、Q86UK0、P78362、Q9UF71、Q14DR2、O76081、Q9UKK3、B7Z217、Q96T83、Q9H816、E7EPB6、Q5SXM2、O75366、Q8IW70、A4ZI32、Q53HL0、Q8TDT8、P20061、E5RJQ4、E1P541、B4DKZ7、Q9P2F8、Q96F44、O15047、B4DFU5、E9PFC2、P17032、B2RAN0、Q8NFU0、O15230、Q6ZSR9、Q53SW3、Q9BTG3、D6RTK6、A8K9Z8、B7ZMI0、C9JI12、D3DS86、B4DI49、A6NEM4、P09172、B7WPH3、Q8IVE3、O96028、Q5VWN6、O94910、Q68DS0、A6NDR9、B2R708、Q2NLA0、Q8IYU4、Q96RL7、Q13017、E7EW28、O43520、Q8IVU1、Q8TD84、A6NIR3、P98198、Q6NX52、Q9UBC3、A6NCI8、Q8IZF3、D6RBT4、Q8N9H8、Q92576、D6RDY7、Q59GI4、Q6ZMR1、O94806、P82987、Q16825、B3KS49、Q9NQA5、Q8NFM4、B4DFD6、E7EPU5、Q8IVF6、Q86Y38、Q5TGY3、Q02224、E5RIM3、O14830、Q13634、B3KUX7、Q5HY54、E1P5G4、A6NP11、O15015、E7ENU4、O14981、B7ZLZ2、A8K1Z4、D3DUU2、Q6ZU69、Q7LBC6、Q8TDZ4、Q7Z6G8、Q96JK9、Q9BUD9、P35523、Q8NBH6、B7Z3H9、Q6PKG0、Q6ZMT1、Q2M2A3、D3DSF5、Q5TCS8、Q9H7F0、O60374、E7ENM8、Q7Z6E9、Q9UK61、Q9UPV0、B4DZF0、Q96JQ0、P11047、E9PG22、Q9NZJ4、E7EWM0、Q14CL3、B7Z7X4、B3KW69、Q6ZRR9、B2RNT9、Q8IUA7、Q96PE2、B2RTS2、Q9Y232、Q76NI1、Q6ZUA9、A4PB67、Q15283、Q5C9Z4、Q9NZR2、A8K330、P11215、O43151、O60449、Q8N556、Q8TCN5、P46531、B7Z904、E0CX08、B4DF22、C9JY66、Q7Z401、B3KPN9、B7ZLJ8、B3KWW9、Q6IEH8、Q9NRD8、Q5TBA9、B3KMB8、B4E3N7、A0AVI2、Q7RTY7、及びE7EUN6
Orbitrap質量分析計を更に使用して、マトリゲル(登録商標)に対して相対的に水ですすいだHuMATRIX中に見出される主要なECMタンパク質の相対存在量を定量した(図1)。
他の増殖因子も質量分析によって同定され、細胞内線維芽細胞増殖因子iFGF−12(発達中の心臓心房腔の心筋、及び四肢骨格の軟結合組織の発達、及び肋骨から椎骨の連結に関連する)及びiFGF−13(電位開口型ナトリウム及びカルシウムチャネルの細胞内モジュレーターとして、発達中の心臓心房腔及び心室腔の心筋内に、並びに末梢神経系及び発達中の中枢神経系の全体に見出される)、インスリン様増殖因子−2(IGF−2、胎児膵臓ベータ細胞発生及び幹細胞分化も促進する主要な胎児性増殖因子)、EGFL−7(虚血再灌流障害の修復、in vivoにおける脈管の管形成の調節、ECMに対する内皮細胞接着及び血管形成の促進、HUVEC及び神経幹細胞におけるNotchシグナル伝達の阻害において役割を果たすことが示されており、かつ免疫系逃避を促進しうる)、並びにbFGF(FGF−2、基底膜に見出されて新しい血管の形成と関連付けられており、かつ心発作に関連した損傷から心臓を保護することがin vivoで示されており、更に未分化の状態で細胞を維持するために胚性幹細胞培養に極めて重要な成分として注目される)が含まれていた。
試料中に存在する残存DNAの量を定量的に測定するために、ピコグリーンアッセイを行った。対照として、1片の脱細胞化した組織及び1片の脱細胞化前の組織も消化した。得られた凍結乾燥材料のうちの25mgを1.03mlのプロテイナーゼ/1×TEバッファー中に溶解し、55℃で1200rpmで3時間インキュベートした。インキュベーション後、試料を標準的な添加方法によってアプライした。各消化物の200μlに多様な容積の1×TE及びgDNAスパイクを添加した。次いで、100μlの試料を96ウェルマイクロタイタープレートにアプライし、その後、100μlのPicoGreen色素を96ウェルプレートに添加し、蛍光プレートリーダー上で読み取りした(吸光485nm及び発光538nmの設定)。図2に示しているように、胎盤ECM試料のそれぞれにおいてDNAが約95%減少している。H&Eによって染色したように、脱細胞化した胎盤組織の組織学切片によって除核を確認した(図2)。
実施例5:胎盤由来マトリックスの上又は中での細胞の培養
HuMATRIXに直接接着する接着細胞型の能力を試験するために、標準的な無血清細胞付着アッセイを行った。ヒト脂肪由来間葉系幹細胞(ASC)を37℃インキュベーター内でウシ胎児血清(FBS)、及び抗菌性抗真菌薬(ABAM)で補ったDMEM培地中で約70〜80%コンフルエンスを有するまで培養した。細胞をアッセイ前日にフィードした。48ウェルプレートを、約200μlのセルスタート(CELLSTART)(登録商標)(ヒト血清アルブミンを有するフィブロネクチン)、マトリゲル(登録商標)又はHuMATRIXで各時点(15分、30分、60分、及び120分)について3通りずつでコーティングし、一晩乾燥できるようにした。対照として一群のウェルを未コーティングのまま残した。翌日、コーティングしたウェルに200μlの2%BSAを添加し、室温で30分間インキュベートできるようにした。30分後、ウェルを、(予め室温まで温めた)ハンクス平衡塩類溶液で洗浄し、乾燥させないようにした。準備したDPBS及び0.05%トリプシンを予め室温まで温めた。培地をプレートから除去し、細胞をPBSで2回洗浄した。ASCを、トリプシンで、及びダイズトリプシン阻害因子で阻害したトリプシンで、分離させた。細胞をDMEM(無血清)中に再懸濁し、計数して1.5×103細胞/ウェルにした。細胞をそれぞれのマトリックス上で15分、30分、60分、及び120分間インキュベートし、全ての遊離細胞をPBSで洗浄することによって除去した。プレートを4%パラホルムアルデヒドで10分間固定し、次いで、クリスタルバイオレットで5分間染色した。各ウェルをdH2Oで4回洗浄して全ての残りのクリスタルバイオレットを除去した。顕微鏡検査下での画像捕捉により、かつImageJ64ソフトウェアを使用して、各ウェル内の細胞の数を手動で計数した。
無血清培養培地中での脂肪由来幹細胞(ASC)付着を、細胞付着アッセイにおいてASCを使用して試験した。ASCを、セルスタート(登録商標)(ヒト血清アルブミンを有するフィブロネクチン)、マトリゲル(登録商標)又は胎盤由来マトリックス(HuMATRIX)でコーティングした培養プレート又は培養プラスチック製品上に無血清培地中に配置した。付着動態を15、30、60及び120分において決定した。2つのロットの胎盤由来マトリックス(HuMATRIX)群のそれぞれは、セルスタート(登録商標)(フィブロネクチン)、マトリゲル(登録商標)、又は培養プラスチック製品単独と比較して、全ての時点でより高い付着を示した。無血清培地中で培養した通り、1、3、及び7日目にASCの典型的な形態を観察した。
脂肪幹細胞も無血清/無異物条件で培養して、HuMATRIXと共に6フレンチ心臓カテーテルでカテーテル注射した後の代謝活性について試験し、アロマーブルーを使用して生存率を評価した。100,000、200,000又は400,000個のASCを、ピペットで、培地と共にカテーテルで、又は予め混合し6フレンチ心臓カテーテルを通過させた1mlのHuMATRIXと共にカテーテルでのいずれかで培養プレート上に送達した。送達した細胞の生存率を3日にわたって形態学的にかつアラマーブルーによって評価した。アラマーブルー(ウェル内に培地の1/10の容積)を試料に添加し、4時間インキュベートできるようにした。4時間後、100μlの各試料を96ウェルプレート内にロードし、蛍光を570nm(励起)585nm(発光)で読み取った。HuMATRIXに対してセルスタート上で培養した脂肪幹細胞の細胞生存率において有意な差はなかった。
実施例6:後根神経節(DRG)の培養
後根神経節(DRG)を使用して、HuMATRIX上での外胚葉細胞の付着及び増殖の能力も評価した。HuMATRIX、ラミニン、及び尿素抽出を用いた脱細胞化胎盤上でDRGの100%近い付着が観察されたが、培養プラスチック製品単独に付着したDRGはほとんどなく、細胞形態を評価するためにベータ−III−チューブリン及びDAPIについて細胞を染色した。HuMATRIX上で培養した細胞のみが、より発達した表現型を示して神経節を有することが観察され、光学顕微鏡によっても認められるように、HuMATRIXの8つのバッチを含む多様な基質上のDRGのアラマーブルー代謝活性はECMコーティング間で最小の差を示したが、培養プラスチック製品単独上のDRGはゼロに近い活性を示した。
組織を加工したHuMATRIX上でのDRG培養を更に評価するために、YFPを発現しているDRGを7日齢の子及び成体マウスから単離して、HuMATRIX、コーティング及び電界紡糸した線維の上に播種し、マトリゲル(登録商標)上及びPDLをコーティングしたガラス製のカバーグラス上でのDRGと比較した。神経芽細胞培地、B27、L−Glut、抗菌性抗真菌薬(ABAM)からなるDRG培地を各ウェルに添加し、プレートを37℃でインキュベートした。培地をウェル内で3日毎に交換し、新しい培地を7日毎に作製した。48ウェルプレートを200μlのアミノ酸ポリマーポリ−D−リシン(PDL)で均一にコーティングし、室温で一晩インキュベートした(封じたプレート)。翌日に、残りのポリ−D−リシンをウェルから吸引した。ウェルをすすぎ、蒸発できるようにした。ウェルの蒸発後、ウェルをHuMATRIXのゲル、及びマトリゲル(登録商標)で、均一にコーティングした。PDLのみを含むウェルを対照として使用した。約500μlのDRG培地を各ウェルに添加した。そのプレートを37℃インキュベーター内に一晩置いた。全ての残りの(付着していない)細胞を翌日洗浄して取り除いた。14日間、DRGの伸長を各ウェル内で蛍光顕微鏡下で調査した。ImageJ64を使用して神経突起伸展の長さを測定した。HuMATRIXでコーティングしたウェルにおいて有意な神経突起伸展が観察された。HuMATRIX及びマトリゲル(登録商標)の上で培養した後根神経節は、対照プレート(PDL)よりも有意に多量の神経線維伸展を経験する。平均のDRG神経突起伸展の長さは、マトリゲル(登録商標)のものに匹敵した。
実施例7:ヒト初代心筋細胞及びiPSC由来の心筋細胞の培養
マトリックス依存的な付着を有する第2の中胚葉細胞型として心筋細胞もHuMATRIX上で培養した。ヒト初代心筋細胞を1ウェル当たり20,000細胞でCelprogen細胞外マトリックスコーティングプレート上に無血清/無異物条件で播種した。細胞を1週間培養した後に、それらを、3つの異なるロットからのHuMATRIX、0.1%ゼラチン、組織培養プラスチック製品、及びマトリゲル(登録商標)を含む、多様な基質に移した。1、3、5、及び7日目に、アラマーブルーを使用して細胞生存率を測定した。多様な異種細胞外マトリックスをコーティングしたプレート上で培養した心筋細胞の生存率において、HuMATRIXと比較して有意な差はなかった。
更に、誘導された多能性幹細胞(iPSC)に由来する(から分化した)心筋細胞を4ロットのHuMATRIX上で培養し、ゼラチン、フィブロネクチン、マトリゲル(登録商標)、及び培養プラスチック製品と比較した。iPSC−心筋細胞は、HuMATRIXに迅速に付着したが、他のマトリックスに最初に付着した細胞はほとんどなく、HuMATRIX上の細胞のみが付着後1日目に収縮性であった(他のマトリックスでは2〜3日目)。iPSC−心筋細胞は、HuMATRIX上で、フィブリノーゲンを含む他の基質上での培養に対して相対的に異なる形態も有していた。これらの心筋細胞を大きな3Dハイドロゲルディスク(約200ミクロンの厚さ及び8mmの直径)中に封入し、細胞は生存可能であって内部で収縮した。更に、iPSC−心筋細胞は、HuMATRIX上で、他の基質に対して相対的に1〜2日早く同期し、電気生理学によってカルシウム移行をモニターすることによって電気的に連関することが示された。
心筋細胞の電気的な連関は、HuMATRIX上での培養1日目のiPSC由来心筋細胞培養物の改変されたパッチクランプ電気生理学評価によって確認される。カルシウム移行は、色の移動で表され、個々の細胞数と共に時間に対して追跡され、強度変調表示の記録された動画と共に、340nmで励起及び380nmで発光することが示されるFura−2レシオメトリック色素レポーターを記録する。全ての細胞がカルシウム移行及び/又は収縮を同時に生じることが認められ、したがって、シンシチウムがこの培養系において生成されたことが示される。
実施例8:胎盤由来マトリックス上での肝細胞の培養
肝細胞を、内胚葉細胞としてHuMATRIX上の増殖について試験した。ヒト肝細胞は、HuMATRIX上で、コラーゲンサンドイッチ培養を終えたマトリゲル(登録商標)に類似した、典型的な形態、及びマトリゲル単独に対する優れた付着を示すことが示され、1、3及び6日目にHuMATRIXハイドロゲルの上又は内部のいずれかで培養した細胞で、6日目にアクチン染色によって強調されるように、マトリゲル(登録商標)群について、HuMATRIXに対して相対的に少ない付着が目立った。更に、多様な基質の上で培養した肝細胞についての培地中の尿素濃度は、HuMATRIXにおいて最も低いレベルを示し、より速い同化作用−異化作用の代謝変換を介したより速い肝細胞培養適応が示唆された。
実施例9:胎盤由来マトリックスでのオーバーレイ
肝細胞を採取してディッシュ又はウェル上で培養する。多様な濃度(0.5、1.5、及び3mgのタンパク質/mL)の胎盤由来マトリックスの溶液を調製し、培養培地と混合して、オーバーレイする培地を調製する。調製したオーバーレイする培地を氷上で維持する。それぞれのオーバーレイする培地を、上に肝細胞を接着させて培養するディッシュ又はウェル内に添加する。ディッシュ又はウェルを戻す。
実施例10:胎盤由来マトリックスをコーティングしたプレート上での膵島ベータ細胞株の培養
ラットRin5f膵島細胞(ATCC;CLR2058)のバイアルを、37℃のウォーターバス内での穏やかな撹拌(約2分)によって解凍し、9.0mLの完全RPMI1640培地(ATCC 30−2001)を含む遠心分離チューブに移した。細胞懸濁液を約300gで3分間遠心し、細胞ペレットを5mlの完全RPMI1640培地で再懸濁した。15μlの細胞懸濁液を、15μLの0.4%トリパンブルーと共に、ラベル付けしたエッペンドルフチューブに添加した。約20μLの0.4%トリパンブルー細胞懸濁液をピペットでスライド上へ移し、セロメーターを使用して重複試料/群当たりの総細胞計数を決定した(細胞計数:1.51×10^6細胞)。10mlの完全RPMI1640培地を細胞懸濁液に添加し、5mlの細胞懸濁液を20000細胞/cm2の密度で3つのT25培養フラスコ上に播種した。細胞を37℃かつ5%CO2でインキュベートし、培地を1日おきに交換した。Rin5f細胞を70〜80%コンフルエントに到達するまで(約7日)培養し、培養培地をT25フラスコから取り除いて捨てた。細胞層をDPBS(−/−)で2回すすいで血清の全てのトレースを除去し、4mLのAccutaseをT25フラスコに添加した。細胞を倒立顕微鏡下で細胞層が分散するまで観察した。3mLのベータ細胞完全培地を細胞/Accutaseに添加して非活性化し、穏やかにピペット操作することによって細胞を吸引して、細胞懸濁液を50mlの円錐チューブに移し、フラスコ当たり7mlの追加の完全RPMI1640培地を添加した。細胞懸濁液を約300gで3分間遠心し、細胞ペレットを5mlの完全RPMI1640培地で再懸濁した。15μlの細胞懸濁液を、15μlのトリパンブルーと共に、ラベル付けしたエッペンドルフチューブに添加して、20μLのトリパンブルー細胞懸濁液をピペットでスライド上へ移し、セロメーターを使用して重複試料/群当たりの総細胞計数を決定した(細胞計数:4.5×10^6個の生細胞)。48ウェルプレートを40μlのHuMATRIX(2ロット)又はマトリゲルで6通りずつコーティングした。プレートを37℃かつ5%CO2で2時間インキュベートした。4.8×10^5個の生細胞を再遠心し、25mlの完全RPMI1640中に再懸濁した。48ウェルプレートをインキュベーターから取り出し、500μlの細胞懸濁液を20,000細胞/cm2の密度で各ウェルに添加した。ECMのいかなる更なるコーティングもない組織培養プラスチック製品を対照として使用する。細胞を37℃かつ5%CO2でインキュベートした。完全RPMI1640培地を2日毎に交換した。3及び7日後、細胞形態を顕微鏡下で調査した。
上記のような異なるマトリックス上で培養した膵島ベータ細胞を、以下のプロトコールに従ってグルコースで刺激した:surgery.wisc.edu/system/assets/354/Islet_Glucose_Stimulated_Insulin_Secretion_Assay.pdf?1264176115。次いで、細胞によって分泌されたc−ペプチド(インスリン)を、c−Peptide EIA Kit(Sigma−Aldrich;RAB0326)及びその製造業者のプロトコールを使用して測定した(sigmaaldrich.com/content/dam/sigma−aldrich/docs/Sigma/Bulletin/1/rab0326bul.pdf)。
実施例11:胎盤由来マトリックス中での膵島ベータ細胞の培養
3.6×105個のRin5f膵島細胞を再遠心し、1.5mlの完全RPMI1640中に再懸濁した。0.5mlの細胞懸濁液を0.5mlのHuMATRIX(3つの固有のロット)及びマトリゲルの中に再懸濁した。7.2×105個の生細胞を再遠心し、1.5mlの完全RPMI1640中に再懸濁した。0.5mlの細胞懸濁液を0.5mlのHuMATRIX(3ロット)及びマトリゲルの中に再懸濁した。HuMATRIX又はマトリゲルを有する120μlの細胞懸濁液を48ウェルプレートのウェルに6通りずつ添加した。プレートを37℃かつ5%CO2で2時間インキュベートして、48ウェルプレートをインキュベーターから除去し、及び500uの完全RPMI1640を各ウェルに添加して、細胞を37℃かつ5%CO2でインキュベートし、完全RPMI1640培地を2日毎に交換した。3及び7日後、細胞形態を顕微鏡下で調査し、コロニー形成を観察した。更に、胎盤マトリックスを使用してこれらの膵臓膵島細胞を凍結保存することができ、したがって、他の細胞型もそうである可能性が高い。3×106個のRin5f細胞を、胎盤ECM単独、胎盤ECM+10%DMSO、胎盤ECM+10%DMSO+10%HSA、RPMI単独、DMSO単独、HSA単独、及び図14Dによるこれらの組合せのいずれかの中で凍結させた。細胞を対照速度で液体窒素保管温度まで凍結して1カ月間保存し、解凍してその後の生/死細胞を計数した。ヒト胎盤マトリックス中でDMSOと共に凍結保存した細胞は、10%DMSOを含むRPMIの標準的な凍結培地中での凍結保存と比較して、生存可能な細胞数において2倍の増加を示し、DMSOを含む胎盤ECMを10%HSAで更に補ったとき、生存可能な細胞において4倍の増加を示し、黄金標準的な凍結保存方法と比較して、他の単一成分による凍結保存システムでは、低いRin5f細胞生存率が認められた。
実施例12:iPSCの培養及び分化
多能性を誘導した多能性幹細胞(iPSC)を、HuMATRIX上での増殖及び分化について予備的に試験した。IPSC細胞をmTeSR1若しくはmTeSR2又はStemgent無異物かつ無血清培地中で培養し、マトリゲル(登録商標)上に継代して細胞を無フィーダー培養に適合させ、混入しているフィーダー細胞を除去した。細胞を、HuMATRIX、及びHuMATRIXのナノファイバーでコーティングしたウェル上にディスパーゼ又はTripLEと共に継代し、ここで、培養の7日目に、Tra−1−60染色によって決定されたように、細胞が付着して多能性状態を維持しているのが観察された。クラスター化された細胞の集団が、TRA−1−60陽性で、HuMATRIXナノファイバー中に付着して埋め込まれ、HuMATRIXのゲル上に付着して増殖しているコロニーとして増殖していることが観察された。
内胚葉、中胚葉、及び外胚葉の3つの胚系列への分化を引き起こす能力も試験した。iPSCを胚様体の中にクラスター化させて、HuMATRIX(PlacBMsup)、マトリゲル(登録商標)(MG)、又はゼラチン(Gel)のいずれかに付着させ、iPSC(F13線維芽細胞)及び多能性状態のiPSC(F13 plurip iPSC)細胞を作製するために使用したファウンダー線維芽細胞株の基礎発現レベルと比較した。いかなる更なる処理もないプラスチックプレートも対照として使用した。トリゾールを使用してRNAを抽出し、外胚葉分化における相対遺伝子発現の測定にはsox1及びネスチン、中胚葉分化における同測定にはActina2及びブラキウリ、また内胚葉分化における同測定にはSox17及びFoxA2用のプライマーを使用した。試料の発現レベルを、iPSCを作製するために使用したファウンダー線維芽細胞株(F13線維芽細胞)の基礎発現レベル及びiPSC(F13 plurip iPSC)と比較した。HuMATRIXが各発生系列においてプラスチック製品上又はマトリゲル(登録商標)上での培養によって誘導されるレベルを超えて遺伝子を上方制御するのが観察された。
実施例13:臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の培養
in vitroでの内皮管形成に必要とされる成分をHuMATRIXが含むかどうかを試験するために、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)をT75フラスコ上に500,000細胞で播種し、組織培養プラスチック製品上で、LSGSで補ったMedium 200培地中で6日間培養した。6日後、細胞を、2μg/mlの濃度を有するようにDPBS中に希釈したカルセインAMと共に30分間インキュベートした。30分後、細胞をトリプシン処理し、次いで、多様な基質(HuMATRIX、アルギン酸、ゼラチン、マトリゲル(登録商標)、及びゲルトレックス(Geltrex)(登録商標))で予めコーティングした24ウェルプレートに1ウェル当たり100,000細胞の密度で移した。500μlの培地を各ウェルに添加した。播種の約16時間後、細胞をZeiss顕微鏡下で調査し、GFP下で内皮管形成を探した。4つの固有のロットのHuMATRIXで予めコーティングしたHUVEC細胞において、マトリゲル陽性対照上と同様に、内皮管形成が生じたが、組織培養プラスチック製品単独上での二次元培養では脈管形成はなかった。
実施例14:生体適合性
HuMATRIXのin vivoでの生体適合性を評価するために、マウス皮下注射アッセイを行い、18ga針を通して皮下注射したHuMATRIXのハイドロゲル及び海綿質対マトリゲル(登録商標)を比較した。移植片を所定位置に2週間残して動物の体重及び一般的な健康状態をモニターしところ、有害事象は認められなかった。説明に応じて、注射した材料を留置し、次いで、H&Eによる組織学的解析のために、上層の皮膚及び下層の筋肉と共に摘出した。H&Eにより、マトリゲルは2週目に相対的に不活性であって十分に細胞化されていないことが示されたのに対して、HuMATRIXのゲル及び海綿質は埋め込まれた移植片の全体にわたって細胞を含んでいた。CD68、CD206、及びCD86抗体を使用して、炎症促進性(M1)又はリモデリング(M2)のいずれかとして細胞を同定するためのM1及びM2マクロファージマーカーについて、移植片を更に染色した(2月にデータ検証保留中)。異種のヒト胎盤由来マトリックスをマウス内に埋め込んだにもかかわらず、移植片のH&E染色により、胎盤由来マトリックス群では、目に見える被包形成なく、マトリゲル(登録商標)に対して相対的に多い細胞浸潤が見出されること示された。
実施例15:胎盤由来マトリックスの送達
in vivoでHuMATRIXを送達する能力を更に試験し、生理食塩水注射と比較して、ハイドロゲルを、虚血状態(心筋梗塞)を誘発した後のラット心筋内に注射した。5〜0の縫合糸を使用した心臓の左前下行枝動脈(LAD)の結紮によってラットを心筋梗塞にさせ、心臓の白化及びその後の超音波心臓検査を使用して梗塞の発生を確認した。注射した心臓を8週目に摘出し、光学マッピングにより、リスクのある虚血領域内の細胞の電気生理学活性におけるあらゆる差についてランゲンドルフチャンバーを使用して解析した。心臓を、TTCで染色もし、H&E及びマッソンのトリクローム用の包埋のためにホルマリン中で固定して群間の心筋壁厚み及び瘢痕化を解析した。光学マッピングにより、結紮したLADの下の梗塞領域内に刺激性電極を設置したときに、平均して、生理食塩水処理群は、リスクのある領域の外で電気を伝導する能力を失っており(不整脈)、ここで、与えた5の電気刺激のうちの1又は2のみが遠位のパッチクランプにおいて記録できたのに対して、HuMATRIXを注射した群では典型的に5パルス全てが記録された。全体として、生理食塩水を注射した7匹の動物のうちの5匹は手術後2週間以内に死亡したのに対して、HuMATRIXを注射した5匹の動物のうちの5匹が8週間を通して生存した。手術前の駆出分画における術後8週間までの変化を比較して、この試行試験においてHuMATRIX群で56%改良された駆出分画が示された。これらの結果により、ラット心筋内にヒトHuMATRIXを注射することの安全性が示され、これは、このヒトECMハイドロゲルを、おそらくこのマトリックス内での細胞送達のために、心疾患及び他の疾患における推定の治療薬として使用することの実現可能性を支持する。
HuMatrixは、ビオチン標識キット説明書によればビオチン結合型であった。2匹のラットにおいて上記のように心筋虚血を誘発させた。ビオチンで標識したHuMatrixを左心室心筋の虚血領域内の処置部位内に注射した。ビオチン化HuMatrix注射の30分及び1時間後、ラットを安楽死させ、切片化及び組織学的解析のために心臓を採取した。心臓を、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、最適な切断温度の化合物中で瞬間凍結させ、凍結切片化してスライド上に載置した。隣接した連続切片を、コラーゲンについてはシリウスレッドで又はビオチンについてはFITC結合型ストレプトアビジンのいずれかで染色した。連続切片におけるコラーゲン染色及びビオチン染色の両方の存在に基づいてHuMATRIXゲル化を評価した。
シリウスレッド(ダイレクトレッド80、Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)及びファーストグリーン(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)を1.3%ピクリン酸中に1%wt/vで溶解した。切片をシリウスレッドと共に20分間インキュベートし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄してファーストグリーンと共に10分間インキュベートし、再び洗浄した後に永久的に封入した。ビオチン染色用の切片も心臓トロポニンIについて染色し、DAPIで対比染色した。試料を、0.25%Triton−X100で20分間透過処理して、4%ウシ血清アルブミンで室温で1時間ブロックし、マウス抗ラット心臓トロポニンI抗体(Abcam、Cambridge、MA)と共に4℃で一晩インキュベートして、0.25%Tween20を含むPBS中で洗浄し、ヤギ抗マウスアレクサフルオロ(Alexa Fluor)(登録商標)546抗体(Life Technologies、Grand Island、NY)及びストレプトアビジン−FITC(eBiosciences、San Diego、CA)と共に室温で1時間インキュベートした。カバーグラスをVectashield HardSet封入剤(Vector Laboratories、Burlingame、CA)で装着し、スライドをイメージングまで−20℃で凍結維持した。
手術の8週間後、動物を2%イソフルランで麻酔して5mlのヘパリンを注射し、手術を行って心臓を摘出した。次いで、心臓を、氷冷タイロード(脱イオン水中に128.2mMのNaCl、1.3mMのCaCl2(2H2O)、4.7mMのKCl、1.05mMのMgCl2(6H2O)、1.19mMのNaH2PO4、20mMのNaHCO3、11.1mMのD−グルコース、pH=7.35±0.05)溶液で満たした容器に体外移植し、特別注文のカニューレに連結した。冷却タイロード溶液は、心臓が生命維持システムに連結されるまで心臓の活性を停止させるのを補助しており、悪化を防ぐ。カニューレを挿入した心臓を、新しいタイロード溶液でランゲンドルフ灌流し、次いで、実験体制に移し、そこで、37+/−1℃のタイロード溶液で灌流及び超灌流した。タイロード溶液を、95%O2で通気し、次いで、心臓内で50〜60mmHgの圧力を維持する速度でポンプ注入した。収縮が安定し次第、10mlタイロード溶液中に溶解した約10マイクロリットルの電位感受性色素、Di−4−ANBDQBSをカニューレの近くに注射し、実験の残りの間再循環させた。色素灌流の数分後、30μMの溶液、2,3−ブタンジオンモノキシム(BDM)、興奮収縮デカップラー、いずれかをタイロード溶液に添加していかなる人為的挙動もないようにした。
使用した光学マッピングシステムは、ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3469699にすでに詳細に記載されている。簡単に説明すると、心臓を照らす二色性ミラーによって赤色レーザー(650nm)が指向され、それが電位感受性色素を励起して蛍光が放出された。蛍光ビームを、波長715nmのロングパス放出フィルター(715nm)によってフィルター処理し、最終的に高速CCDカメラによって記録した。このカメラは、80×80ピクセル解像度で1000Hzの捕捉速度を有する。
脱細胞化を通して処理した組織を回収してH&Eによって細胞除去を確認し、10%中性緩衝ホルマリンで固定した切片を、包埋、切片化、及び染色のためにDePaul Medical Center(Norfolk、VA)に送付した。光学マッピングの終わりに、心臓を塩化トリフェニルテトラゾリウム(TTC)で染色した。1%W/VでPBS中に溶解したTTCは、タイロード溶液と置き換わる。心臓をTTCで15分間灌流し、切片化のためにホルマリン中で保存した。次いで、心臓を、頂端から縫合糸の2mm上まで2mm毎に薄切りした。VCU Pathology Services(Richmond、VA)により、連続心臓切片をパラフィン中に包埋し、切片化して、載置し、マッソンのトリクローム及びH&Eで染色した。実施例16:代謝安定性スクリーニング
上記のように調製した胎盤由来マトリックスで96ウェルプレートをコーティングする。肝細胞を96ウェルプレート内に1ウェル当たり50μl中に35,000細胞の濃度で肝細胞代謝培地(HMM)中に播種する。2倍濃度の評価する試験物を含む及び含まない50μlのHMM試料をウェルのそれぞれに添加した。プレートを37℃で複数の時点まで(T1/2の決定には、親試験物の50%の消失に至る時間)又は、スクリーニング目的では、単一の時点まで(例えば、30分間)インキュベートする。アセトニトリルを添加して代謝を終了させる。遠心分離を使用して、残りの試験物を含む上清から肝細胞及び細胞高分子を除去する。以下の式により、インキュベーション後の親試験物濃度のLC/MS/MS定量を測定する:
%残存=[(インキュベーション後の濃度)/(インキュベーション前の濃度)×100%
問題となっている新しい化学実体のヒトのin vivoでの肝クリアランスの速度の最初の評価として、T1/2値からin vivoの内因性肝クリアランスを更に算出する。in vitroのヒト肝細胞及びヒトのin vivoでの結果の間の相関は、代謝の速度だけでなく、タンパク質結合及び細胞内の取り込みも考慮することによって改良される。
実施例17:阻害性の薬物−薬物相互作用を評価するための肝細胞P450阻害アッセイ
本明細書中に記載のように調製した胎盤由来マトリックスで24ウェルプレートをコーティングする。肝細胞を24ウェルプレート内に1ウェル当たり490μl中に250,000細胞の濃度で肝細胞代謝培地(HMM)中に播種する。100倍濃度の評価する試験物を含む及び含まない5μlのHMM試料をウェルのそれぞれに添加した。プレートを予め37℃で15分間インキュベートして試験物が肝細胞と相互作用できるようにする。100倍濃度の評価する試験物を含む及び含まない同じ5μlのHMM試料を同じウェルに添加し、プレートを30分間インキュベートする。アセトニトリルを添加して代謝を終了させ、遠心分離機を使用して細胞高分子を除去する。基質の薬剤代謝酵素代謝についてLC/MS又はHPLC定量を行う。阻害性薬物−薬物相互作用アッセイのために日常的に使用しているP450アイソフォーム特異的基質及びアイソフォーム特異的阻害剤をアッセイの陽性対照として使用することができる。阻害アッセイの結果は、相対活性として示される:
相対活性(%)=[活性(処理)/活性(陰性対照)×100%
相対性に基づき、EC50値及びKi値を算出する。
実施例18:誘導性の薬物−薬物相互作用を評価するための肝細胞P450誘導アッセイ
本明細書中に記載のように調製した胎盤由来マトリックスで24ウェルプレートをコーティングする。平板培養可能な、凍結保存したヒト肝細胞又は新たに単離したヒト肝細胞を24ウェルプレート内に1ウェル当たり500μl中に350,000〜400,000の濃度で肝細胞播種培地(HPM)中に播種する。得られる単層培養物はほぼ100%コンフルエントであり、肝細胞播種の日は0日目である。培養の4時間後、培地を、0.25mg/mLの胎盤由来マトリックスを含むものと交換する。一晩のインキュベーションの後(1日目)、培地を、肝細胞誘導培地(HIM)と交換する。2日目に、培地を、酵素誘導可能性について評価する薬物を望ましい濃度で含むHIMに交換する。3、4及び5日目に、培地を、評価する薬剤を含むHIMに毎日交換し、合計72時間の処理ができるようにする。6日目に、処理培地を除去して特定の薬剤代謝酵素基質を含む0.5mLのHMMと交換し、プレートを更に30分間インキュベートする。アセトニトリルを添加して代謝を終了させ、遠心分離機を使用して細胞高分子を除去する。基質の薬剤代謝酵素代謝についてLC/MS又はHPLC定量を行う。誘導結果は、陰性(溶媒)対照の百分率として表される:
誘導(%)=[活性(処理)/活性(溶媒対照)×100%
結果を、陽性対照、オメプラゾール(10μM;CYP1A2誘導用)及びリファンピン(10μM;CYP3A4誘導用)からのものと比較する。
実施例19:肝毒性
本明細書中に記載のように調製した胎盤由来マトリックスで96ウェルプレートをコーティングする。肝細胞を96ウェルプレート内に1ウェル当たり100μl中に35,000細胞の濃度で肝細胞代謝培地(HMM)中に播種する。プレートを24時間インキュベートして単層培養物が付着及び形成できるようにする。培地を、肝毒性可能性について評価する薬物を望ましい濃度で含む肝細胞インキュベーション培地に交換する。プレートを24時間インキュベートし、望ましい細胞傷害性エンドポイントを使用して細胞傷害性をアッセイする(すなわち、細胞のATP含有量の定量には、50μlの溶解バッファー、次いで、50μlのルシフェリン−ルシフェラーゼ試薬を添加し、その後、マルチウェルプレートリーダーを使用して発光の定量を行う)。タモキシフェンを陽性対照として使用する。
実施例20:ECM−ペプシン抽出物の塩基処理は、残存ペプシンを効果的に不活性化するために必要である
材料。塩酸(BDH、Franklin Lakes NJ)、ウシ血液からのヘモグロビン(H2625)(Sigma Aldrich、St.Louis MO)、トリクロロ酢酸(T0699)(Sigma Aldrich、St.Louis MO)、ペプシン(P7000)(Sigma Aldrich、St.Louis MO)、水酸化ナトリウム(VWR、Radnor PA)、及び胎盤由来ECM(LifeNet Health IRM、Virginia Beach VA)。
ヘモグロビンに基づいたペプシン活性アッセイ。試験試料において異なる濃度のペプシンを用いた段階希釈実験を行い、このアッセイの感受性を決定してこの試験におけるその使用可能性を評価した。簡単に説明すると、10mMの塩酸中の0.1〜1.0mg/mlの範囲に及ぶペプシンの段階希釈物を2.0mg/mlのストック溶液から調製した。0.5mlの各試験溶液をガラスバイアル内で2.5mlの2.0%ヘモグロビン基質溶液と混合して37℃で正確に10分間インキュベートし、その後、5.0mlの5.0%トリクロロ酢酸(TCA)溶液を添加することによって反応を停止させた。試料を1000rpmで15秒間遠心分離し、上清を280nmでのそのスペクトル吸収について試験した。試料の吸収を、TCA溶液の添加後に添加した試験溶液に対して標準化した(内部ブランク)。
ペプシン溶液の残存タンパク質分解活性に対するpHスイープの効果。制御したpHスイープを既知濃度のペプシン溶液に行い、ペプシンのタンパク質分解活性の不活性化に対するpHスイープの効果を決定した。簡単に説明すると、0.75mg/mlのペプシン溶液に、1.0MのNaOHを使用してpH7.4(「中性」)又はpH8.2までpHスイープを行い、このpHで室温で15分間保ち、その後、1.0MのHClを使用してそれをpH2.0に戻した。後者の群においてpHスイープを達成するのに必要なNaOH及びHCl溶液の容積をモニターし、他の2群においてペプシン活性アッセイの完了前に1.0MのNaClを使用して塩分のレベルを調整した。
ペプシン可溶化後のECM及びECM断片の存在下におけるペプシン溶液の残存タンパク質分解活性に対するpHスイープの効果。脱細胞化したヒト胎盤ECMを、0.1MのHCl抽出溶液中に1.0mg/mlのペプシン中に50mg/mlの濃度で室温で撹拌下で5分間、4時間又は24時間可溶化した。全ての残存ECMを遠心分離によって除去し、得られた試験試料に上記のpHスイープを行い、残存ペプシン活性を上記のように決定した。ECMを添加していない対応するペプシン溶液を使用して経時的なペプシン活性における変化をモニターした。
試験試料において異なる既知濃度のペプシンに対する段階希釈を行い、Ansonら(J Gen Physiol、1938.22(1):p.79〜89)によって記載されている従来のアッセイ形式によって定義される操作パラメーターで、ヘモグロビンに基づいたペプシン活性アッセイの感受性を評価した。吸収における変化は、ペプシン濃度の上昇に対して相対的に吸収率が上昇する、直線的挙動に従うことが見出された(図3)。この直線的挙動は、最高0.75mg/mlペプシンまでの試験試料濃度において観察された。より高い濃度では、10分の反応時間を有する現在の形式においてこの反応に利用可能なヘモグロビン基質における限界がおそらく原因で、このパターンに従わなかった。それにもかかわらず、同じ試験群の中の異なる重複試料間の変動性のレベルは、1%未満で驚くほど低く、独立した操作間での再現性が高いことが見出された(図示せず)。その後の全ての実験について、試験溶液における0.1MのHCl中の0.75mg/mlペプシンの有用な濃度を選択して、全てのアッセイを、確実に、この直線領域内に当てはまるペプシン濃度で行うようにした。
第1セットの実験により、ECMの非存在下におけるペプシン溶液の可逆及び不可逆の活性に対するpHスイープの効果を評価した。規定のペプシン溶液に、pH7.4の中性pH又はpH8.2の高い塩基性pHのいずれかまでの制御したpHスイープを行い、その後、それをpH2.0に戻した(図4A及び4B)。いずれのpHスイープも試験試料の残存ペプシン活性における有意な低下をもたらした。しかし、中性pHスイープを行った試験試料はそのペプシン活性の34.5±1.2%を保持しており、これにより、pHスイープが不可逆のペプシン不活性化をもたらさなかったことが示された。反対に、pH8.2の塩基性pHスイープを行った試験試料における残存ペプシン活性は、有意に低く、試料の最初のペプシン活性の5.2±1.0%の残存活性を示した。
試料の残存ペプシン活性に対する、ペプシン可溶化後のECM及びECM分解産物の効果、並びに2種のpHスイープ後のペプシン不活性化に対するECM及びECM分解産物の効果を評価するために、第2セットの実験を完了した。ヒト胎盤ECMをペプシン溶液中に懸濁し、最長24時間インキュベートした。早い時点(5分のインキュベーション)では、認められる全ての効果が、一般的には、固体のECMの存在と関連しうる、限られたECM加水分解を有する条件を表していることが想定された。少量のECM分解産物は、小さな役割しか果たさないことが予想される。反対に、遅い時点(24時間のインキュベーション)では、ECM及びECM分解産物の両方によって引き起こされる効果を評価することが予想される。ECMが存在しないペプシン溶液のインキュベーションでは、活性が経時的に徐々に失われる結果になった(図5)。活性におけるこの低下は、生物学的及び生化学的に活性な化合物において一般的であり、溶液中にあるときに、活性なタンパク質が経時的に徐々に変性することに起因していると考えることができる。ECMを含む試料で同様のパターンが観察された(図6)。興味深いことに、ECMを含む試験試料は、ECMを含まない試験試料よりも高いレベルのタンパク質分解活性を示した。この差は、タンパク質分解活性のある他の酵素の存在によって引き起こされる可能性がある。しかし、タンパク質分解活性が、ECMを含まない試験試料において観察されるレベルと等しくなるインキュベーション24時間後には、これらの2群間のこの差を観察されることはできず、それらのプロテアーゼも酵素変性の事象に感受性でありうることが示唆された。
ECMを含む試験試料に、中性pH(pH7.2)又は塩基性pH(pH8.2)のいずれかまでの2種のpHスイープを行い、ECM及びECM分解産物の存在下におけるペプシン不活性化に対するそれらの効果を評価した。全て時点で、いずれのpHスイープも試験試料の残存ペプシン活性における有意な低下をもたらした。しかし、中性pHスイープ(pH7.2)を行った試験試料は、そのタンパク質分解活性の29.5±5.6%〜35.3±8.2%を保持したのに対して、pH8.2の塩基性pHスイープを行った試験試料は、試料の最初のペプシン活性の11.3±5.4%〜0.6±8.9%で有意に低いレベルの残存タンパク質分解活性を示した。表1に概説しているように、それぞれのpHスイープ中のペプシン阻害のレベルは、ECMの存在(5分)にも、又は潜在的に阻害性のECM分解産物のレベルの上昇(4又は24時間のインキュベーション)にも影響されなかった。
本試験により、以下の発見が強調された:1)中性pH(pH7.4)を乗り越えたpHスイープは、ペプシンの部分的な不活性化及び試料の最初のペプシン活性の約35%の保持をもたらしただけであり、2)塩基性pH(pH8.2)を乗り越えたpHスイープは、ほぼ完全なペプシンの不活性化をもたらし、かつ3)ECM及び/又はECM分解産物の存在は、ペプシン不活性化をもたらさない。
実施例21:ヒト胎盤由来マトリックスの生物学的試験
実施例1に記載の方法によって温度感受性ヒト胎盤由来マトリックスを調製し、多様な型の細胞の培養を補助するための基質として試験した。この試験マトリックスは、温度依存的な様式でゲルに変化した。
取扱い。
希釈。−80℃で保存した試験マトリックスのストック溶液(約5mg/ml)を、試験マトリックスを液体で維持するために氷上でゆっくりと解凍した。次いで、試験マトリックス溶液を氷上で4℃のDPBS又はDMEMのいずれかで1:2(2.5mg/ml)、1:5(1mg/ml)、1:10(0.5mg/ml)、1:15(0.33mg/ml)、1:30(0.16mg/ml)、又は1:50(0.1mg/ml)に希釈した。
コーティング。多様な濃度の試験マトリックスを組織培養プラスチックプレートに直接適用して4℃又は室温で24時間置き(6ウェルプレートには1ml/ウェル;12ウェルプレートには500ul/ウェル)、試験マトリックスによってコーティングされたプレートを得た。pH8.0の試験マトリックス溶液は、組織培養プラスチックプレート上にpH6.0の試験マトリックス溶液よりも均一なタンパク質粒子コーティングを生成した。
試験マトリックス上での細胞培養。
細胞播種。細胞播種の前に、試験マトリックスでコーティングしたプレートに細胞培地を分注した。
ヒトiPSC培養。ヒトiPSCを凝集塊として継代し、単一細胞に分離しなかった。同様の数のiPSC凝集塊を、対照マトリックス、マトリゲル(Corning Incorporated、Tweksbury、MA)によってコーティングしたプレートと比較して、多様な濃度の試験マトリックスでコーティングしたプレート上に播種した。両方のマトリックス上でのiPSC播種の1日後、付着に成功したコロニーの数を計数した。
試験マトリックス上でのヒトiPSCの分化誘導。
iPSCの系列特異的な分化。iPSC分化誘導は、コラゲナーゼIV処理による胚様体の形成によって開始された。特定の分化誘導培地条件下での懸濁培養において分化しているEBを、更なる成熟のために、試験マトリックスでコーティングした組織培養プレート上に播種した。神経の分化及び心筋細胞の分化を試験した。
神経の分化。神経系列への分化を誘導するEBを、N2/B27の存在下で7日間懸濁培養し、次いで、N2/B27及びbFGF処理での7〜10日間の更なる成熟のために、試験マトリックスでコーティングしたプレート上に播種した。
心筋細胞の分化。BMP−4及びアクチビンAを7日間処理することによって最初のEB懸濁培養を行い、次いで、試験マトリックスでコーティングしたプレート上に播種してBMP−4、アクチビン−A、bFGF及びアスコルビン酸の存在下で更に10〜14日間置いた。
マーカー発現による、分化した細胞の特徴付け。iPSC由来の神経細胞又は心筋細胞を、神経(ネスチン、A2B5、Tuj−1)又は心筋細胞に特異的なマーカーで染色することによって同定し、次いで、イメージング又はフローサイトメトリーによって検出した。
試験マトリックス上での細胞付着(pH依存性)。
試験マトリックスでコーティングしたプレート上にヒトiPSCを播種した。ヒトiPSCコロニーは90%を超えてpH8.0の試験マトリックス上に付着するのに成功したのに対して、pH6.0の試験マトリックスは約40%のiPSCコロニーの付着を支持することしかできなかった。
[関連出願の相互参照]
本出願は2015年5月29日提出の米国特許仮出願第62/168397号の利益を主張するものであり、当該出願の内容は参照によりその全体をすべての目的のために本明細書に組み込まれる。