ニューロトロフィンは、末梢および中枢の神経系および他の組織を調節し、神経生存およびシナプス可塑性の調節などの機能を促進する、二量体ポリペプチド増殖因子である。幾つかの事例では、ニューロトロフィンのファミリーは、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3(NT−3)、およびニューロトロフィン−4(NT−4)を含む。幾つかの事例では、ニューロトロフィンは、腫瘍壊死因子受容体のスーパーファミリーに属する受容体のTrkファミリーまたはp75ニューロトロフィン受容体いずれかとの相互作用によってその効果を媒介する。幾つかの場合では、受容体のTrkファミリーとの相互作用は、ニューロトロフィンの成長および生存の反応を媒介する、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ、ホスホリパーゼC、SN T、およびRas/マイトジェン活性化プロテインキナーゼの経路などの、幾つかのシグナル伝達カスケードを活性化する。
受容体のTrkファミリーは、3つの相同体、TrkA(NTRK1)、TrkB(NTRK2)、およびTrkC(NTRK3)を含む。NT−3成長因子受容体、神経栄養チロシンキナーゼ受容体タイプ3、またはTrkCチロシンキナーゼとしても知られている、トロポミオシン受容体キナーゼC(TrkC)は、ニューロトロフィン−3(NT−3)のための受容体である。チロシン受容体キナーゼB、BDNF/NT−3成長因子受容体、または神経栄養チロシンキナーゼ受容体タイプ2としても知られている、トロポミオシン受容体キナーゼB(TrkB)は、BDNF、NT−4、および幾つかの事例では、親和性が低下しているがNT−3のための受容体である。
幾つかの実施形態では、TrkCおよびTrkBは、全長および切断型両方のアイソフォームを含む。幾つかの事例では、TrkCおよびTrkBの切断型のアイソフォームは、それらの全長対応物のドミナントネガティブ型のレギュレーターとして働く。幾つかの実施形態では、全長TrkCおよび全長TrkBは、神経保護に関連付けられる。しかしながら、幾つかの場合では、切断型のTrkCおよびTrkBのアイソフォームは、神経変性に関連付けられる。そのため、幾つかの実施形態では、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの発現のレベルまたは活性の上昇は、耳の疾患または疾病に関連付けられる。
特定の実施形態において、本明細書には、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBのアンタゴニストを含む、方法、医薬組成物、ベクター、およびキットが記載される。幾つかの実施形態において、本明細書には、耳の疾患または疾病を処置する方法が記載され、該方法は、治療量の医薬組成物をそれを必要としている患者に投与する工程を含み、該医薬組成物は、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBのアンタゴニストを含み、ここでアンタゴニストは、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの発現のレベルまたは活性の低下を誘発するか、あるいは切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの結合パートナーとの切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの相互作用を妨害する。幾つかの実施形態において、本明細書には、耳の疾患または疾病を予防する、あるいは耳の疾患または疾病の進行を低減する方法が記載され、該方法は、治療量の医薬組成物をそれを必要としている患者に投与する工程を含み、該医薬組成物は、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBのアンタゴニストを含み、ここでアンタゴニストは、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの発現のレベルまたは活性の低下を誘発するか、あるいは切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの結合パートナーとの切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの相互作用を妨害する。
<切断型のTrkCおよび切断型のTrkBのアイソフォーム>
幾つかの実施形態では、TrkCは、約20のエクソンを含む。幾つかの事例では、切断型のTrkCアイソフォームは、20のエクソンの1つ以上を欠くか、または1つ以上の変更されたエクソンを含む。幾つかの実施形態では、切断型のTrkCは、非触媒性の切断型のTrkCである。幾つかの実施形態では、切断型のTrkCタンパク質は、SEQ ID NO:10または113のアミノ酸配列に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、切断型のTrkCタンパク質は、SEQ ID NO:10または113のアミノ酸配列から成る。幾つかの場合では、切断型のTrkCは、TrkC.T1である。幾つかの事例では、切断型のTrkCは、図1のAに例証されるような切断型のTrkCである。幾つかの事例では、全長TrkCは、SEQ ID NO:9および110−112のアミノ酸配列に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、99%または100%の配列同一性を含むTrkCである。
幾つかの事例では、TrkB、は約24のエクソンを含む。幾つかの事例では、切断型のTrkBアイソフォームは、24のエクソンの1つ以上を欠くか、または1つ以上の変更されたエクソンを含む。幾つかの事例では、切断型のTrkBは、TrkB−T−TK、TrkB−T Shc、TrkB.T1(またはTrkB−T1)、TrkB.T2(またはTrkB−T2)、TrkB−N、TrkB−N−T−TK、TrkB−N−T−Shc、またはTrkB−N−T1を含む。幾つかの実施形態では、切断型のTrkBは、図1のBに例証されるような切断型のTrkBである。
幾つかの実施形態では、切断型のTrkBは、非触媒性の切断型のTrkBである。幾つかの事例では、切断型のTrkBタンパク質は、SEQ ID NO:11−12および121−123から選択されるアミノ酸配列に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を含む。幾つかの場合では、切断型のTrkBタンパク質は、SEQ ID NO:11−12および121−123から選択されるアミノ酸配列から成る。幾つかの場合では、切断型のTrkBは、TrkB.T1(またはTrkB−T1)である。幾つかの場合では、全長TrkBは、SEQ ID NO:120のアミノ酸配列に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、99%または100%の配列同一性を含むTrkBである。
<核酸ポリマーアンタゴニスト>
特定の実施形態において、本明細書には、耳の疾患または疾病を処置する、耳の疾患または疾病を予防する、あるいは耳の疾患または疾病の進行を低減する方法が開示され、該方法は、治療量の医薬組成物をそれを必要としている患者に投与する工程を含み、該医薬組成物は核酸ポリマーを含む。幾つかの実施形態では、医薬組成物は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも80%の配列同一性を含む核酸ポリマーであって、長さが最長で100のヌクレオチドである、核酸ポリマー;および薬学的に許容可能な賦形剤及び/又は送達ビヒクルを含む。幾つかの事例では、核酸ポリマーは、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、核酸ポリマーは、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する100%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、核酸ポリマーは、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列から成る。
幾つかの場合では、核酸ポリマーは、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBのmRNAの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、核酸ポリマーは、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの発現レベルの低下を誘発する。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも81%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも82%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも83%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも84%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも85%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも86%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも87%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも88%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも89%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも90%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも91%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも92%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも93%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも94%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも95%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも96%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも97%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも98%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する少なくとも99%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列に対する100%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:1−5から選択される核酸配列から成る核酸ポリマーは、切断型のTrkCの標的配列にハイブリダイズする。
幾つかの事例では、核酸配列に対する少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの事例では、核酸配列に対する100%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、核酸配列から成る核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。
幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも81%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも82%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも83%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも84%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも85%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも86%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも87%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも88%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも89%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも90%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも91%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも92%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも93%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも94%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも95%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも96%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも97%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも98%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも99%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列に対する100%の配列同一性を含む核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、SEQ ID NO:114−119から選択される核酸配列から成る核酸ポリマーは、切断型のTrkBの標的配列にハイブリダイズする。
幾つかの事例において、本明細書にはまた、CCAAUC、CUCCAA、またはACUGUGから選択される結合モチーフを含む標的配列にハイブリダイズする核酸ポリマーを含む医薬組成物を含み、ここで結合モチーフは、切断型のTrkCをコードする配列に位置する。幾つかの事例では、核酸ポリマーは、切断型のTrkC mRNAの3’UTR領域に位置する標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、核酸ポリマーは、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)分子、マイクロRNA(miRNA)分子、siRNA分子、または二本鎖RNA分子を含む。幾つかの場合では、核酸ポリマーはshRNA分子である。
幾つかの実施形態において、本明細書にはさらに、マイクロRNA(miRNA)によって認識される切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの上の標的配列にハイブリダイズする核酸ポリマーを含む医薬組成物が記載される。幾つかの事例では、miRNAは、let−7b−3p(SEQ ID NO:13)、let−7b−5p(SEQ ID NO:14)、miR−1−3p(SEQ ID NO:15)、miR−1−5p(SEQ ID NO:16)、miR−9−3p(SEQ ID NO:17)、miR−9−5p(SEQ ID NO:18)、miR−10a−3p(SEQ ID NO:19)、miR−10a−5p(SEQ ID NO:20)、miR−15a−3p(SEQ ID NO:21)、miR−15a−5p(SEQ ID NO:22)、miR−16−1−3p(SEQ ID NO:23)、miR−16−2−3p(SEQ ID NO:24)、miR−16−5p(SEQ ID NO:25)、miR−17−3p(SEQ ID NO:26)、miR−17−5p(SEQ ID NO:27)、miR−18a−3p(SEQ ID NO:28)、miR−18a−5p(SEQ ID NO:29)、miR−20a−3p(SEQ ID NO:30)、miR−20a−5p(SEQ ID NO:31)、miR−24−3p(SEQ ID NO:32)、miR−24−1−5p(SEQ ID NO:33)、miR−24−2−5p(SEQ ID NO:34)、miR−30e−3p(SEQ ID NO:35)、miR−30e−5p(SEQ ID NO:36)、miR−93−3p(SEQ ID NO:37)、miR−93−5p(SEQ ID NO:38)、miR−103a−3p(SEQ ID NO:39)、miR−103a−2−5p(SEQ ID NO:40)、miR−103b(SEQ ID NO:41)、miR−106a−3p(SEQ ID NO:42)、miR−106a−5p(SEQ ID NO:43)、miR−106b−3p(SEQ ID NO:44)、miR−106b−5p(SEQ ID NO:45)、miR−107(SEQ ID NO:46)、miR−125a−3p(SEQ ID 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NO:86)、miR−374a−3p(SEQ ID NO:87)、miR−374a−5p(SEQ ID NO:88)、miR−374b−3p(SEQ ID NO:89)、miR−374b−5p(SEQ ID NO:90)、miR−374c−3p(SEQ ID NO:91)、miR−374c−5p(SEQ ID NO:92)、miR−384(SEQ ID NO:93)、miR−412−3p(SEQ ID NO:94)、miR−412−5p(SEQ ID NO:95)、miR−422a(SEQ ID NO:96)、miR−449a(SEQ ID NO:97)、miR−449b−3p(SEQ ID NO:98)、miR−449b−5p(SEQ ID NO:99)、miR−449c−3p(SEQ ID NO:100)、miR−449c−5p(SEQ ID NO:101)、miR−485−3p(SEQ ID NO:102)、miR−509−3p(SEQ ID NO:103)、miR−509−5p(SEQ ID NO:104)、miR−509−3−5p(SEQ ID NO:105)、miR−617(SEQ ID NO:106)、miR−625−3p(SEQ ID NO:107)、miR−625−5p(SEQ ID NO:108)、miR−765(SEQ ID NO:109)、miR−768−5p、Hsa−miR−185*またはHsa−miR−491−3pを含む。幾つかの場合では、核酸ポリマーは、let−7b−3p(SEQ ID NO:13)、let−7b−5p(SEQ ID NO:14)、miR−1−3p(SEQ ID NO:15)、miR−1−5p(SEQ ID NO:16)、miR−9−3p(SEQ ID NO:17)、miR−9−5p(SEQ ID NO:18)、miR−10a−3p(SEQ ID NO:19)、miR−10a−5p(SEQ ID NO:20)、miR−15a−3p(SEQ ID NO:21)、miR−15a−5p(SEQ ID NO:22)、miR−16−1−3p(SEQ ID NO:23)、miR−16−2−3p(SEQ ID NO:24)、miR−16−5p(SEQ ID NO:25)、miR−17−3p(SEQ ID NO:26)、miR−17−5p(SEQ ID NO:27)、miR−18a−3p(SEQ ID NO:28)、miR−18a−5p(SEQ ID NO:29)、miR−20a−3p(SEQ ID NO:30)、miR−20a−5p(SEQ ID NO:31)、miR−24−3p(SEQ ID NO:32)、miR−24−1−5p(SEQ ID NO:33)、miR−24−2−5p(SEQ ID NO:34)、miR−30e−3p(SEQ ID NO:35)、miR−30e−5p(SEQ ID NO:36)、miR−93−3p(SEQ ID NO:37)、miR−93−5p(SEQ ID NO:38)、miR−103a−3p(SEQ ID NO:39)、miR−103a−2−5p(SEQ ID NO:40)、miR−103b(SEQ ID NO:41)、miR−106a−3p(SEQ ID NO:42)、miR−106a−5p(SEQ ID NO:43)、miR−106b−3p(SEQ ID NO:44)、miR−106b−5p(SEQ ID NO:45)、miR−107(SEQ ID NO:46)、miR−125a−3p(SEQ ID NO:47)、miR−125a−5p(SEQ ID NO:48)、miR−125b−1−3p(SEQ ID NO:49)、miR−125b−2−3p(SEQ ID NO:50)、miR−125b−5p(SEQ ID NO:51)、miR−128−3p(SEQ ID NO:52)、miR−128−1−5p(SEQ ID NO:53)、miR−128−2−5p(SEQ ID NO:54)、miR−133a−3p(SEQ ID NO:55)、miR−133a−5p(SEQ ID NO:56)、miR−133b(SEQ ID NO:57)、miR−141−3p(SEQ ID NO:58)、miR−141−5p(SEQ ID NO:59)、miR−149−3p(SEQ ID NO:60)、miR−149−5p(SEQ ID NO:61)、miR−182−3p(SEQ ID NO:62)、miR−182−5p(SEQ ID NO:63)、miR−188−3p(SEQ ID NO:64)、miR−188−5p(SEQ ID NO:65)、miR−198(SEQ ID NO:66)、miR−200a−3p(SEQ ID NO:67)、miR−200a−5p(SEQ ID NO:68)、miR−200b−3p(SEQ ID NO:69)、miR−200b−5p(SEQ ID NO:70)、miR−204−3p(SEQ ID NO:71)、miR−204−5p(SEQ ID NO:72)、miR−206(SEQ ID NO:73)、miR−221−3p(SEQ ID NO:74)、miR−221−5p(SEQ ID NO:75)、miR−296−3p(SEQ ID NO:76)、miR−296−5p(SEQ ID NO:77)、miR−324−5p(SEQ ID NO:78)、miR−326(SEQ ID NO:79)、miR−330−3p(SEQ ID NO:80)、miR−331−3p(SEQ ID NO:81)、miR−331−5p(SEQ ID NO:82)、miR−340−3p(SEQ ID NO:83)、miR−340−5p(SEQ ID NO:84)、miR−345−3p(SEQ ID NO:85)、miR−345−5p(SEQ ID NO:86)、miR−374a−3p(SEQ ID NO:87)、miR−374a−5p(SEQ ID NO:88)、miR−374b−3p(SEQ ID NO:89)、miR−374b−5p(SEQ ID NO:90)、miR−374c−3p(SEQ ID NO:91)、miR−374c−5p(SEQ ID NO:92)、miR−384(SEQ ID NO:93)、miR−412−3p(SEQ ID NO:94)、miR−412−5p(SEQ ID NO:95)、miR−422a(SEQ ID NO:96)、miR−449a(SEQ ID NO:97)、miR−449b−3p(SEQ ID NO:98)、miR−449b−5p(SEQ ID NO:99)、miR−449c−3p(SEQ ID NO:100)、miR−449c−5p(SEQ ID NO:101)、miR−485−3p(SEQ ID NO:102)、miR−509−3p(SEQ ID NO:103)、miR−509−5p(SEQ ID NO:104)、miR−509−3−5p(SEQ ID NO:105)、miR−617(SEQ ID NO:106)、miR−625−3p(SEQ ID NO:107)、miR−625−5p(SEQ ID NO:108)、miR−765(SEQ ID NO:109)、miR−768−5p、Hsa−miR−185*またはHsa−miR−491−3pによって認識される切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの上の標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、核酸ポリマーは、miR−128−3p(SEQ ID NO:52)、miR−128−1−5p(SEQ ID NO:53)、miR−128−2−5p(SEQ ID NO:54)、miR−509−3p(SEQ ID NO:103)、miR−509−5p(SEQ ID NO:104)、miR−509−3−5p(SEQ ID NO:105)、m
iR−768−5p、Hsa−miR−185*またはHsa−miR−491−3pによって認識される切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの上の標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、核酸ポリマーは、miR−128−3p(SEQ ID NO:52)、miR−128−1−5p(SEQ ID NO:53)、miR−128−2−5p(SEQ ID NO:54)によって認識される切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの上の標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、核酸ポリマーは、miR−509−3p(SEQ ID NO:103)、miR−509−5p(SEQ ID NO:104)、miR−509−3−5p(SEQ ID NO:105)によって認識される切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの上の標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、核酸ポリマーは、miR−768−5pによって認識される切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの上の標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、核酸ポリマーは、Hsa−miR−185*によって認識される切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの上の標的配列にハイブリダイズする。幾つかの場合では、核酸ポリマーは、Hsa−miR−491−3pによって認識される切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの上の標的配列にハイブリダイズする。幾つかの事例では、Hsa−miR−185*およびHsa−miR−491−3pは、Maussion, et al.,“Regulation of a truncated form of tropomyosin−related kinase B (TrkB) by Hsa−miR−185* in frontal cortex of suicide completers,”PLoS One 7(6): e39301 (2012)に記載される通りである。
幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが最長で100のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが最長で5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、40、50、55、60、70、80、90、または100のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約10のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約11のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約12のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約13のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約14のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約15のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約16のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約17のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約18のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約19のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約20のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約21のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約22のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約23のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約24のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約25のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約26のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約27のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約28のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約29のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約30のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約31のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約32のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約33のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約34のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約35のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約36のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約37のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約38のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約39のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約40のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約45のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約50のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約55のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約60のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約70のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約80のヌクレオチドである。
幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約10から約80の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約10から約70の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約10から約60の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約10から約55の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約10から約50の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約10から約45の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約10から約40の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約10から約35の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約10から約30の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約10から約25の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、長さが約10から約20の間のヌクレオチドである。
幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)分子、マイクロRNA(miRNA)分子、またはsiRNA分子を含む。幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、二本鎖RNA分子を形成するために補体核酸ポリマーをさらに含む。
幾つかの実施形態では、核酸ポリマーはshRNA分子である。幾つかの実施形態では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも80%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも85%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも90%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも91%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも92%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも93%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも94%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも95%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも96%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも97%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも98%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも99%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する100%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、shRNA分子は、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列から成る。
幾つかの実施形態では、shRNA分子は、CCAAUC、CUCCAA、またはACUGUGから選択される結合モチーフを含む標的配列にハイブリダイズし、ここで結合モチーフは、切断型のTrkCをコードする配列に位置する。幾つかの事例では、標的配列は、切断型のTrkC mRNAの3’UTR領域に位置する。
幾つかの事例では、shRNA分子は、長さが最長で100のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、shRNA分子は、長さが最長で5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、40、50、55、60、70、80 90、または100のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、shRNA分子は、長さが約10から約80の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、shRNA分子は、長さが約10から約70の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、shRNA分子は、長さが約10から約60の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、shRNA分子は、長さが約10から約55の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、shRNA分子は、長さが約10から約50の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、shRNA分子は、長さが約10から約45の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、shRNA分子は、長さが約10から約40の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、shRNA分子は、長さが約10から約35の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、shRNA分子は、長さが約10から約30の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、shRNA分子は、長さが約10から約25の間のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、shRNA分子は、長さが約10から約20の間のヌクレオチドである。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される核酸ポリマーは、RNA、DNAまたはその組み合わせを含む。幾つかの事例では、核酸ポリマーはRNAポリマーである。幾つかの事例では、核酸ポリマーは、ヌクレオシド部分で、リン酸塩部分で、またはその組み合わせでさらに修飾される。幾つかの場合では、核酸ポリマーは、1つ以上の人工ヌクレオチド塩基をさらに含む。
幾つかの事例では、1つ以上の人工ヌクレオチド塩基は、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル(2’−O−MOE)、2’−O−アミノプロピル、2’−デオキシ、T−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−アミノプロピル(2’−O−AP)、2’−O−ジメチルアミノエチル(2’−O−DMAOE)、2’−O−ジメチルアミノプロピル(2’−O−DMAP)、T−O−ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’−O−DMAEOE)、または修飾される2’−O−N−メチルアセトアミド(2’−O−NMA)、ロックド核酸(LNA)、エチレン核酸(ENA)、ペプチド核酸(PNA)、1’,5’−アンヒドロヘキシトール核酸(HNA)、モルフォリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、または2’−フルオロN3−P5’−ホスホラミダイトを含む。
幾つかの実施形態では、核酸ポリマーは、ヌクレオシド部分で修正を含む。幾つかの事例では、修飾は、リボース部分の2’ヒドロキシル基で行われる。幾つかの事例では、修飾は、2’−O−メチル修飾または2’−O−メトキシエチル(2’−O−MOE)修飾である。幾つかの事例では、2’−O−メチル修飾は、メチル基をリボース部分の2’ヒドロキシル基に加え、一方で2’O−メトキシエチル修飾は、メトキシエチル基をリボース部分の2’ヒドロキシル基に加える。アデノシン分子の2’−O−メチル修飾およびウリジンの2’O−メトキシエチル修飾の典型的な化学構造が、以下に例証される。
幾つかの実施形態では、2’ヒドロキシル基での追加の修飾は、アミン基を2’酸素に結合するプロピルリンカーを含む伸長したアミン基を伴う2’−O−アミノプロピルの糖構造(sugar conformation)を含む。幾つかの事例では、この修飾は、1糖当たりアミン基から1つの正電荷を導入することによってオリゴヌクレオチド分子のリン酸塩由来の全体的な負電荷を中和し、それによって、その双性イオン特性が要因で細胞取り込み特性が改善される。2’−O−アミノプロピル・ヌクレオシド・ホスホラミダイトの典型的な化学構造が、以下に例証される。
幾つかの実施形態では、2’ヒドロキシル基での修飾は、ロックまたは架橋されたリボース構造(例えば、ロックド核酸またはLNA)を含み、ここで4’リボース位置も関係する。幾つかの実施形態では、2’炭素で結合された酸素分子は、メチレン基によって4’炭素に結合され、それ故、2’−C,4’−C−オキシ−メチレン結合した二環式リボヌクレオチド単量体が形成される。LNAの化学構造の代表例が以下に例証される。左に示される代表例は、LNA単量体の化学結合性を強調している。右に示される代表例は、LNA単量体のフラノース環のロックされた3’−endo(3E)構造を強調している。
幾つかの実施形態では、2’ヒドロキシル基でのさらなる修飾は、糖構造をC3’−endo糖のパッカリング構造(sugar puckering conformation)へとロックする、例えば2’−4’−エチレン架橋した核酸などの、エチレン核酸(ENA)を含む。幾つかの事例では、ENAは、LNAも含む修飾された核酸の架橋された核酸クラスの一部である。ENAおよび架橋された核酸の典型的な化学構造は、以下に例証される。
幾つかの実施形態では、2’ヒドロキシル基でのさらに他の修飾は、2’−デオキシ、T−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−アミノプロピル(2’−O−AP)、2’−O−ジメチルアミノエチル(2’−O−DMAOE)、2’−O−ジメチルアミノプロピル(2’−O−DMAP)、T−O−ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’−O−DMAEOE)、または2’−O−N−メチルアセトアミド(2’−O−NMA)を含む。
幾つかの実施形態では、ヌクレオチドアナログは、モルフォリノ、ペプチド核酸(PNA)、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、2’−フルオロN3−P5’−ホスホラミダイト、1’,5’−アンヒドロヘキシトール核酸(HNA)、またはそれらの組み合わせをさらに含む。幾つかの事例では、モルフォリノまたはホスホロジアミデートモルフォリノオリゴ(PMO)は、合成分子を含み、その構造は、正常な糖およびリン酸塩構造からの偏差(deviates)によって天然の核酸構造を模倣している。代わりに、幾つかの事例における5員のリボース環は、4つの炭素、1つの窒素および1つの酸素を含有している6員のモルフォリノ環で置換される。幾つかの場合では、リボース単量体は、リン酸基の代わりにホスホロジアミデート基によって結合される。幾つかの場合では、これらの骨格変更は、荷電したオリゴヌクレオチドによって使用されるものなどの細胞送達剤(cellular delivery agents)の助けなしで細胞性膜と交差するモルフォリノ中性分子を作るすべての正および負の電荷を除去する。
幾つかの実施形態では、ペプチド核酸(PNA)は、糖環またはリン酸塩結合を含有していない。代わりに、幾つかの事例における塩基が結合され、オリゴグリシン様分子によって適切に間隔を置かれ、それ故、骨格電荷(backbone charge)を除去する。
幾つかの実施形態では、リン酸骨格の修飾はまた、チオールホスホナートおよびメチルホスホナートのヌクレオチドなどの、メチルまたはチオールの修飾を含む。典型的なチオールホスホネートヌクレオチド(左)およびメチルホスホナートヌクレオチド(右)が、以下に例証される。
さらに、典型的な2’−フルオロN3−P5’−ホスホラミダイトが、以下の通りに例証される:
典型的なヘキシトール核酸(または1’,5’−アンヒドロヘキシトール核酸(HNA))が、以下の通りに例証される:
幾つかの実施形態において、本明細書にはまた、本明細書に記載される核酸ポリマーを含むベクター、および処置の方法が開示される。幾つかの実施形態では、ベクターは、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を含む核酸ポリマーを含む。幾つかの事例では、ベクターは、SEQ ID NO:1−5および114−119から選択される核酸配列から成る核酸ポリマーを含む。
幾つかの事例では、ベクターはウイルスベクターである。幾つかの事例では、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。幾つかの事例では、ウイルスベクターはアデノウイルスベクターである。幾つかの場合では、ベクターは、ウイルス送達方法によって送達される。
幾つかの場合では、ベクターは、エレクトロポレーション、化学的手法、マイクロインジェクション、遺伝子銃、インペールフェクション、ハイドロダイナミクスベースの送達、持続注入、または超音波処理によって送達される。幾つかの場合では、化学的手法はリポフェクションである。幾つかの場合では、方法は、感染、または吸着、またはトランスサイトーシスである。
<小分子アンタゴニスト>
特定の実施形態において、本明細書には、耳の疾患または疾病を処置する、耳の疾患または疾病を予防する、あるいは耳の疾患または疾病の進行を低減する方法が開示され、該方法は、治療量の医薬組成物をそれを必要としている患者に投与する工程を含み、該医薬組成物は、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの小分子アンタゴニスト;および薬学的に許容可能な賦形剤及び/又は送達ビヒクルを含む。幾つかの実施形態では、小分子アンタゴニストは、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの結合パートナーとの切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの相互作用を妨害する。
幾つかの事例では、小分子はペプチド模倣薬である。幾つかの場合では、小分子は、図2に例証されるような小分子である。幾つかの実施形態では、小分子は、Brahimi et al.,“A peptidomimetic of NT−3 acts as a TrkC antagonist,”Peptides 30(10):1833−1839 (2009); Liu et al.,“Bivalent diketopiperazine−based tropomysin receptor kinase C (TrkC) antagonists,”J. Med. Chem. 53(13): 5044−5048 (2010); Bai et al.,“In glaucoma the upregulated truncated TrkC.T1 receptor isoform in Glia causes increased TNF−α production, leading to retinal ganglion cell death,”Inv. Ophthalm. & Visual Sci. 51(12): 6639−6651 (2010);またはBrahimi et al.,”Combinatorial assembly of small molecules into bivalent antagonists of TrkC or TrkA receptors,”PLOS One 9(3): e89617 (2014)に記載される小分子アンタゴニストである。
幾つかの実施形態では、小分子アンタゴニストは、切断型のTrkCアンタゴニストである。幾つかの実施形態では、切断型のTrkCアンタゴニストは、図2に例証されるような小分子である。幾つかの実施形態では、切断型のTrkCアンタゴニストは、Brahimi et al.,“A peptidomimetic of NT−3 acts as a TrkC antagonist,”Peptides 30(10):1833−1839 (2009); Liu et al.,“Bivalent diketopiperazine−based tropomysin receptor kinase C (TrkC) antagonists,”J. Med. Chem. 53(13): 5044−5048 (2010); Bai et al.,“In glaucoma the upregulated truncated TrkC.T1 receptor isoform in Glia causes increased TNF−α production, leading to retinal ganglion cell death,”Inv. Ophthalm. & Visual Sci. 51(12): 6639−6651 (2010);または Brahimi et al.,“Combinatorial assembly of small molecules into bivalent antagonists of TrkC or TrkA receptors,”PLOS One 9(3): e89617 (2014)に記載されるような小分子である。
幾つかの事例では、切断型のTrkCは、非触媒性の切断型のTrkCである。本明細書に別記されるように、非触媒性の切断型のTrkCタンパク質は、SEQ ID NO:10または113のアミノ酸配列に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、切断型のTrkCタンパク質は、SEQ ID NO:10または113のアミノ酸配列から成る。幾つかの事例では、切断型のTrkCはTrkC.T1である。
幾つかの実施形態では、切断型のTrkBは、非触媒性の切断型のTrkBである。本明細書に別記されるように、非触媒性の切断型のTrkBタンパク質は、SEQ ID NO:11−12および121−123から選択されるアミノ酸配列に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を含む。幾つかの事例では、切断型のTrkBタンパク質は、SEQ ID NO:11−12および121−123から選択されるアミノ酸配列から成る。幾つかの事例では、切断型のTrkBはTrkB.T1である。
幾つかの実施形態では、切断型のTrkC結合パートナーは、神経栄養因子またはマイクロRNA分子を含む。幾つかの実施形態では、神経栄養因子は、ニューロトロフィン−3(NT−3)である。幾つかの実施形態では、マイクロRNA分子は、miR−128、miR−509、またはmiR−768−5pを含む。幾つかの実施形態では、切断型のTrkB結合パートナーは、神経栄養因子を含む。幾つかの実施形態では、神経栄養因子は、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3(NT−3)、またはニューロトロフィン−4(NT−4)である。
<ポリペプチドアンタゴニスト>
特定の実施形態において、本明細書には、耳の疾患または疾病を処置する、耳の疾患または疾病を予防する、あるいは耳の疾患または疾病の進行を低減する方法がさらに開示され、該方法は、治療量の医薬組成物をそれを必要としている患者に投与する工程を含み、該医薬組成物は、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBのポリペプチドアンタゴニスト;および薬学の許容可能な賦形剤及び/又は送達ビヒクルを含む。
幾つかの実施形態では、ポリペプチドアンタゴニストは、抗体またはその結合フラグメントである。幾つかの事例では、抗体またはその結合フラグメントは、ヒト化抗体またはその結合フラグメント、キメラ抗体またはその結合フラグメント、モノクローナル抗体またはその結合フラグメント、直鎖抗体(linear antibody)、一本鎖抗体、二特異性抗体、抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体、タンデム抗体、ベニヤ抗体(veneered antibody)、一価Fab’、二価Fab2、一本鎖可変フラグメント(scFv)、二重特異性抗体、ミニボディ(minibody)、単一ドメイン抗体(sdAb)、rIgGフラグメント、またはラクダ抗体またはその結合フラグメントを含む。
幾つかの実施形態では、抗体またはその結合フラグメントは、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBのエピトープの1つ以上を認識する。幾つかの実施形態では、切断型のTrkC上のエピトープは、切断型のTrkCの外部ドメイン内の領域を含む。幾つかの事例では、切断型のTrkCの外部ドメインは、ロイシンリッチリピート領域およびリガンド相互作用に関係するIg様ドメインを含む。幾つかの事例では、切断型のTrkCの外部ドメイン内のエピトープ領域は、1つ以上のシステイン残基を含む。幾つかの事例では、切断型のTrkCの外部ドメイン内のエピトープ領域は、ジスルフィド結合を形成することができる1つ以上のシステイン残基を含む。幾つかの実施形態では、抗体またはその結合フラグメントは、システイン残基の1つ以上を含むエピトープの1つ以上を認識する。
幾つかの実施形態では、切断型のTrkB上のエピトープは、切断型のTrkBの外部ドメイン内の領域を含む。幾つかの事例では、切断型のTrkBの外部ドメインは、ロイシンリッチリピート領域およびリガンド相互作用に関係するIg様ドメインを含む。幾つかの事例では、切断型のTrkBの外部ドメイン内のエピトープ領域は、1つ以上のシステイン残基を含む。幾つかの事例では、切断型のTrkBの外部ドメイン内のエピトープ領域は、ジスルフィド結合を形成することができる1つ以上のシステイン残基を含む。幾つかの実施形態では、抗体またはその結合フラグメントは、システイン残基の1つ以上を含むエピトープの1つ以上を認識する。
幾つかの実施形態では、ポリペプチドアンタゴニストは、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBのエピトープの1つ以上を認識する抗体またはその結合フラグメントを含む。幾つかの事例では、ポリペプチドアンタゴニストは、システイン残基の1つ以上を含む切断型のTrkCまたは切断型のTrkBのいずれかの外部ドメインからのエピトープの1つ以上を認識する抗体または結合フラグメントを含む。
幾つかの実施形態では、ポリペプチドアンタゴニストは、全長TrkCまたは全長TrkBのエピトープの1つ以上ではなく切断型のTrkCまたは切断型のTrkBのエピトープの1つ以上を認識する抗体または結合フラグメントを含む。幾つかの実施形態では、ポリペプチドアンタゴニストは、全長TrkCまたは全長TrkBの外部ドメインからのエピトープの1つ以上ではなく切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの外部ドメインからのエピトープの1つ以上を認識する抗体または結合フラグメントを含む。
幾つかの例において、切断型のTrkCは、非触媒性の切断型のTrkCである。本明細書の他の場所に記載されるように、非触媒性の切断型のTrkCタンパク質は、SEQ ID NO:10又は113のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、又は99%の配列同一性を含む。幾つかの例において、切断型のTrkCタンパク質は、SEQ ID NO:10又は113のアミノ酸配列から成る。幾つかの例において、切断型のTrkCはTrkC.T1である。
幾つかの実施形態において、切断型のTrkBは、非触媒性の切断型のTrkBである。本明細書の他の場所に記載されるように、非触媒性の切断型のTrkBタンパク質は、SEQ ID NO:11−12及び121−123から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、又は99%の配列同一性を含む。幾つかの例において、切断型のTrkBタンパク質は、SEQ ID NO:11−12及び121−123から選択されるアミノ酸配列から成る。幾つかの例において、切断型のTrkBはTrkB.T1である。
本明細書で使用されるように、用語「抗体」は、最も広範囲の意味で使用されており、完全に構築された抗体、抗原に結合する抗体フラグメント(例えばFab、F(ab’)2、Fv、一本鎖抗体、例えば一本鎖可変フラグメント(scFv)、二重特異性抗体(diabodies)、ミニボディ(minibodies)、単一ドメイン抗体(sdAbs)、又はナノボディ(nanobodies)、抗体キメラ、ハイブリッド抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体)、及び前述のものを含む組換え型ペプチドを包含する。
本明細書で使用されるように、用語「モノクローナル抗体」及び「mAb」は、抗体の実質的に均質な集団から得られる抗体を指し、即ち、集団を含む個々の抗体は、少量で存在する可能な自然発生の変異体を除いては、同一である。
「天然の(Native)抗体」及び「天然の免疫グロブリン」は通常、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖で構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は1つの共有結合のジスルフィド結合により重鎖に結合する一方で、ジスフィルド結合の数は、異なる免疫グロブリンのアイソタイプの重鎖の中で変動する。重鎖と軽鎖は各々、規則的に間隔を空けた鎖内のジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一端に可変ドメイン(VH)、続いて多くの不変ドメインを有している。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を、他端に不変ドメインを有しており;軽鎖の不変ドメインは重鎖の第1の不変ドメインと位置合わせされ、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと位置合わせされる。特定のアミノ酸残基は、軽鎖及び重鎖の可変ドメインの間に界面を形成すると考えられる。
本明細書で使用されるように、用語「可変」は、可変ドメインの特定部分が抗体の中の配列において大いに異なるという事実を指す。可変領域は抗原結合特異性を付与する。しかし、可変性は、抗体の可変ドメインの至る所で均一に分布されない。可変性は、軽鎖及び重鎖の可変性ドメインの両方において、相補性決定領域(CDR)又は超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中される。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)領域と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、4つのFR領域を含み、その大部分が13−プリーツシート構成を採用し、ループ接続を形成する3つのCDRによって接続され、且つ場合によってはf3−プリーツシート構成の一部を形成する。各鎖におけるCDRは、FR領域によって近接して共に保持され、他の鎖のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al. (1991) NIH PubL. No. 91−3242, Vol. I, pages 647−669を参照)。不変ドメインは、抗体を抗原に結合することに直接関与しないが、Fc受容体(FcR)結合、抗体依存性の細胞毒性における抗体の関与、補体依存性細胞傷害の開始、及び肥胖細胞脱顆粒などの様々なエフェクター機能を示す。
本明細書で使用されるように、用語「超可変領域」は、本明細書で使用される時、抗原結合に起因する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基(即ち、軽鎖可変ドメインにおける残基24−34(L1)、50−56(L2)、及び89−97(L3)、並びに重鎖可変ドメインにおける31−35(H1)、50−65(H2)、及び95−102(H3);Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed.Public Health Service, National Institute of Health, Bethesda, Md.)、及び/又は「超可変ループ」からのアミノ酸残基(即ち、軽鎖可変ドメインにおける残基26−32(L1)、50−52(L2)、及び91−96(L3)、並びに重鎖可変ドメインにおける(H1)、53−55(H2)、及び96−101(13);Clothia and Lesk, (1987) J. Mol. Biol., 196:901−917)を含む。「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書で考慮されるように、超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
「抗体フラグメント」は、無傷の抗体の一部を含む。幾つかの実施形態において、無傷の抗体の一部は、無傷の抗体の抗原結合領域又は可変領域である。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab、F(ab’)2、及びFvフラグメント;二重特異性抗体;線形の抗体(Zapata et al. (1995) Protein Eng. 10:1057−1062);一本鎖抗体分子;及び抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体を含む。抗体のパパイン分解は、各々が単一の抗原結合部位を備える「Fab」フラグメント、及び、その名称が容易に結晶化を行う能力を反映する残基「Fc」フラグメントと称される、2つの同じ抗原結合フラグメントを生成する。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有し、且つさらに抗原を架橋結合することが可能な、F(ab’)2フラグメントをもたらす。
「Fv」は、完全な抗原認識部位及び抗原結合部位を含む小さな抗体フラグメントである。この領域は、堅固な非共有結合の会合における、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインの二量体から成る。この構成において、個々の可変ドメインの3つのCDRは、VH−VL二量体の表面上の抗原結合部位を定義するよう相互に作用する。総じて、6つのCDRは、抗体に抗原結合特異性を与える。しかし、単一の可変ドメインでさえ(又は、抗原に特異的な3つのCDRしか含まないFvの半分)、抗原を認識して結合する能力を有するが、親和性は全体の結合部位よりも低い。
Fabフラグメントは、軽鎖の不変ドメイン及び重鎖の第1の不変ドメイン(CH1)も含む。Fabフラグメントは、抗体ヒンジ領域から1以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端における少数の残基の添加により、Fab’フラグメントとは異なる。Fab’−SHは、不変ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有しているFab’に関する本明細書における指摘(designation)である。Fab’フラグメントは、F(ab’)2フラグメントの重鎖ジスルフィド架橋の還元により生成される。抗体フラグメントの他の化学結合も知られている。
任意の脊椎動物種の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、不変ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(x)及びラムダ(X)と呼ばれる2つの明らかに異なるタイプのうち1つに割り当てられる。
重鎖の不変ドメインのアミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは異なるクラスに割り当てられる。5つの主要なクラスのヒト免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらの幾つかは更に、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2に分けられる。異なるクラスの免疫グロブリンに相当する重鎖不変ドメインは、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューと称される。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユット構造及び三次元配置は、周知である。異なるアイソタイプは異なるエフェクター機能を有している。例えば、ヒトIgG1とIgG3のアイソタイプは、ADCC(抗体依存性細胞媒介細胞障害)活性を有している。
アンタゴニスト送達の方法
幾つかの実施形態において、医薬組成物はベクターを含み、ベクターは、本明細書に記載される核酸ポリマーの1以上を含み、或いは、本明細書に記載されるポリペプチドをコードする核酸配列を含む。幾つかの実施形態において、核酸ポリマーは、SEQ ID NO:1−5及び114−119から選択された核酸配列に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、又は99%の配列同一性を含む。幾つかの実施形態において、ポリペプチドは、抗体、又はその結合フラグメントである。幾つかの実施形態において、抗体又はその結合フラグメントは、ヒト化抗体又はその結合フラグメント、キメラ抗体又はその結合フラグメント、モノクローナル抗体又はその結合フラグメント、一価Fab’、二価Fab2、一本鎖可変フラグメント(scFv)、二重特異性抗体、ミニボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、或いはラクダ(camelid)抗体又はその結合フラグメントを含む。幾つかの実施形態において、ベクターはウイルスベクターである。
幾つかの実施形態において、ウイルスベクターは、DNA又はRNAウイルスなどのウイルスから得られる。幾つかの実施形態において、DNAウイルスは、一本鎖(ss)DNAウイルス、二本鎖(ds)DNAウイルス、又は、ssとdsのDNA領域の両方を含有するDNAウイルスである。幾つかの実施形態において、RNAウイルスは、一本鎖(ss)RNAウイルス又は二本鎖(ds)RNAウイルスである。幾つかの実施形態において、ssRNAウイルスは更に、プラスセンスRNAウイルス又はマイナスセンスRNAウイルスに分類される。
幾つかの例において、ウイルスベクターは、以下のファミリーのdsDNAウイルスから得られる:ミオウイルス科、ポドウイルス科、サイフォウイルス科、Alloherpesviridae、ヘルペスウイルス科、Malacoherpesviridae、リポスリクスウイルス科、ルディウイルス科、アデノウイルス科、Ampullaviridae、アスコウイルス科、アスファウイルス科、バキュロウイルス科、Bicaudaviridae、Clavaviridae、コルチコウイルス科、フセロウイルス科、Globuloviridae、グッタウイルス科、Hytrosaviridae、イリドウイルス科、Marseilleviridae、ミミウイルス科、ニマウイルス科、パンドラウイルス科、パピローマウイルス科、フィコドナウイルス科、プラズマウイルス科、ポリドナウイルス科、ポックスウイルス科、Sphaerolipoviridae、及びテクティウイルス科。
場合によっては、ウイルスベクターは以下のファミリーのssDNAウイルスから得られる:Anelloviridae、Bacillariodnaviridae、Bidnaviridae、サーコウイルス科、ジェミニウイルス科、イノウイルス科、ミクロウイルス科、ナノウイルス科、パルボウイルス科、及びSpiraviridae。
幾つかの実施形態において、ウイルスベクターは、ss及びds両方のDNA領域を包含するDNAウイルスから得られる。場合によっては、DNAウイルスは、群pleolipoviruses由来である。場合によっては、pleolipovirusesは、Haloarcula hispanica多形性ウイルス1、Halogeometricum多形性ウイルス1、Halorubrum多形性ウイルス1、Halorubrum多形性ウイルス2、Halorubrum多形性ウイルス3、及びHalorubrum多形性ウイルス6を含む。
場合によっては、ウイルスベクターは以下のファミリーのdsRNAウイルスから得られる:ビルナウイルス科、Chrysoviridae、シストウイルス科、Endornaviridae、Hypoviridae、Megavirnaviridae、パルティティウイルス科、Picobirnaviridae、レオウイルス科、ロタウイルス、及びトティウイルス科。
幾つかの例において、ウイルスベクターは、以下のファミリーのプラスセンスssRNAウイルスから得られる:アルファフレキシウイルス科、Alphatetraviridae、Alvernaviridae、アルテリウイルス科、アストロウイルス科、バルナウイルス科、ベータフレキシウイルス科、ブロモウイルス科、カリシウイルス科、Carmotetraviridae、クロステロウイルス科、コロナウイルス科、ジシストロウイルス科、フラビウイルス科、ガンマフレキシウイルス科、Iflaviridae、レヴィウイルス科、ルテオウイルス科、Marnaviridae、メゾニウイルス科、ナルナウイルス科、ノダウイルス科、Permutotetraviridae、ピコルナウイルス科、ポティウイルス科、ロニウイルス科、Secoviridae、トガウイルス科、トンブスウイルス科、ティモウイルス科、及びVirgaviridae。
場合によっては、ウイルスベクターは、以下のファミリーのマイナスセンスssRNAウイルスから得られる:ボルナウイルス科、フィロウイルス科、パラミクソウイルス科、ラブドウイルス科、Nyamiviridae、アレナウイルス科、ブンヤウイルス科、Ophioviridae、及びオルソミクソウイルス科。
幾つかの例において、ウイルスベクターは、正二十面体(isocahedral)又は複合体であるカプシド対称性を含む、腫瘍溶解性DNAウイルスから得られる。場合によっては、正二十面体の腫瘍溶解性DNAウイルスは裸である、又はエンベロープを含む。腫瘍溶解性DNAウイルスの典型的なファミリーは、アデノウイルス科(例えば、36−38kbのゲノムサイズを有するアデノウイルス)、ヘルペスウイルス科(例えば、120−200kbのゲノムサイズを有するHSV1)、及びポックスウイルス科(例えば、130−280kbのゲノムサイズを有するワクシニアウイルス及びミキソーマウイルス)を含む。
場合によっては、ウイルスベクターは、正二十面体又は螺旋状のカプシド対称性を持つものを含む、腫瘍溶解性RNAウイルスから得られる。場合によっては、正二十面体の腫瘍溶解性ウイルスは、エンベロープの無い裸であり、レオウイルス科(例えば、22−27kbのゲノムを有するレオウイルス)及びピコルナウイルス科(例えば、7.2−8.4kbのゲノムサイズを有するポリオウイルス)を含む。他の場合、螺旋状の腫瘍溶解性RNAウイルスは包まれており、ラブドウイルス科(例えば、13−16kbのゲノムサイズを有するVSV)及びパラミクソウイルス科(例えば、16−20kbのゲノムサイズを有するMVとNDV)を含む。
典型的なウイルスベクターは、限定されないが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、アルファウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、又はキメラウイルスベクターを含む。幾つかの実施形態において、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。幾つかの実施形態において、レンチウイルスベクターはpLKO.1ベクターである。
幾つかの例において、本明細書に記載される核酸ポリマー又はポリペプチドの1以上を含むウイルスは、当該技術分野で周知の方法を用いて生成される。幾つかの例において、前記方法は、1以上のトランスフェクション工程、及び1以上の感染工程を含む。幾つかの例において、哺乳動物細胞株、昆虫細胞株、又は植物細胞株などの細胞株は、1以上のウイルスを生成するためにウイルスに感染する。典型的な哺乳動物細胞株は、次を含む:293A細胞株、293FT細胞株、293F細胞、293H細胞、CHO DG44細胞、CHO−S細胞、CHO−K1細胞、Expi293F(商標)細胞、Flp−In(商標)T−REx(商標)293細胞株、Flp−In(商標)−293細胞株、Flp−In(商標)−3T3株細胞株、Flp−In(商標)−BHK細胞株、Flp−In(商標)−CHO細胞株、Flp−In(商標)−CV−1細胞株、Flp−In(商標)−ジャーカット細胞株、FreeStyle(商標)293F細胞、FreeStyle(商標)CHO−S細胞、GripTite(商標)293 MSR細胞株、GS−CHO細胞株、HepaRG(商標)細胞、T−REx(商標)ジャーカット細胞株、Per.C6細胞、T−REx(商標)−293細胞株、T−REx(商標)−CHO細胞株、T−REx(商標)−HeLa細胞株、3T6、A549、A9、AtT−20、BALB/3T3、BHL−100、BHK−21、BT、Caco−2、Chang、Clone M−3、COS−1、COS−3、COS−7、CRFK、CV−1、D−17、Daudi、GH1、GH3、H9、HaK、HCT−15、HEp−2、HL−60、HT−1080、HT−29、HUVEC、I−10、IM−9、JEG−2、Jensen、K−562、KB、KG−1、L2、LLC−WRC 256、McCoy、MCF7、VERO、WI−38、WISH、XC、又はY−1。典型的な昆虫細胞株は、Drosophila S2細胞、Sf9細胞、Sf21細胞、High Five(商標)細胞、又はexpresSF+(登録商標)細胞を含む。典型的な植物細胞株は、例えばPhaeocystis pouchetiiなどの藻類細胞を含む。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される核酸ポリマー又はポリペプチドの1以上を含むベクターは、エレクトロポレーション、化学的方法、微量注入、遺伝子銃、インペールフェクション、流体力学に基づく送達、持続注入、又は超音波処理を介して送達される。幾つかの実施形態において、化学的方法はリポフェクションである。場合によっては、前記方法は感染、吸収、又はトランスサイトーシスである。
幾つかの実施形態において、エレクトロポレーションは、細胞膜の透過性を増大させて、化学物質、薬物、又はDNAの細胞への導入を可能にするために細胞に電場が適用される技術である。
幾つかの実施形態において、化学的方法は、細胞膜バリアを克服するために担体分子を使用するトランスフェクションの方法である。幾つかの例において、化学的方法はリポフェクションであり、それにより遺伝物質がリポソームを使用して細胞に注入される。
幾つかの実施形態において、微量注入は、針を介した動物の細胞、組織、又は胚への遺伝物質の注入である。
幾つかの実施形態において、遺伝子銃は、プラスミドDNAで覆われた重金属の素粒子で細胞を撃つことにより遺伝子情報を細胞に注入する装置である。
幾つかの実施形態において、インペールフェクションは、ナノ物質を使用した遺伝子送達の方法である。
幾つかの実施形態において、流体力学に基づく送達は、細胞への実質の送達を可能にするように透過性を向上させるための、血管への比較的大量の溶液の迅速な注入である。幾つかの例において、溶液は、タンパク質、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、又は小分子を含んでいる。
幾つかの実施形態において、持続注入は、血管へ薬物、流体、又は栄養素の連続した投与である。
いくつかの実施形態において、超音波処理は、限定されないが生体物質を妨害又は不活性化、或いはDNAの分子を断片化するために、サンプルにおいて粒子を撹拌するための音響エネルギーを適用している。
幾つかの実施形態において、核酸ポリマーは、エレクトロポレーション、化学的方法、微量注入、遺伝子銃、インペールフェクション、流体力学に基づく送達、持続注入、又は超音波処理などのウイルス送達方法又は非ウイルス送達方法を必要とすることなく、筋肉内、鼓室内、蝸牛内、静脈内、又は皮下の注入などの注入として、送達される。幾つかの例において、上述のようなベクターは、エレクトロポレーション、化学的方法、微量注入、遺伝子銃、インペールフェクション、流体力学に基づく送達、持続注入、又は超音波処理などのウイルス送達方法又は非ウイルス送達方法を必要とすることなく、筋肉内、鼓室内、蝸牛内、静脈内、又は皮下の注入などの注入として、送達される。
幾つかの実施形態において、上述の核酸ポリマー及び/又はベクターは更に、送達ビヒクルを含む。幾つかの例において、送達ビヒクルは、脂質ベースのナノ粒子;陽イオン細胞透過性ペプチド(CPP);又は直鎖或いは分枝鎖の陽イオンポリマー;又は、細胞内送達のための本明細書に記載される核酸ポリマー又はポリペプチドへと共役される、コレステロール、胆汁酸、脂質、ペプチド、ポリマー、タンパク質、又はアプタマーなどの生体共役反応により形成された物質を含む。幾つかの例において、付加的な送達ビヒクルは、グリコポリマー、炭水化物ポリマー、又は、陽イオン性脂質或いは陽イオン性脂質ポリマーなどの脂質ポリマーを含む。
疾患
本明細書には、特定の実施形態において、切断型のTrkC又は切断型のTrkBの高度発現レベルに関連した耳の疾患又は疾病を処置する方法が開示される。幾つかの例において、前記方法は、治療量の本明細書に記載される医薬組成物を、耳の疾患又は疾病を患う患者に投与する工程を含む。幾つかの例において、本明細書にはまた、切断型のTrkC又は切断型のTrkBの高度発現レベルに関連した耳の疾患又は疾病を予防する、又は耳の疾患又は疾病の進行を低減する方法も記載される。幾つかの例において、前記方法は、治療量の本明細書に記載される医薬組成物を、耳の疾患又は疾病を患う患者に投与する工程を含む。
幾つかの実施形態において、耳の疾患又は疾病は、難聴に関連した疾患又は疾病を含む。幾つかの例において、耳の疾患又は疾病は、眼振、回転性めまい、耳鳴、炎症、感染、及び/又はうっ血を含む。場合によっては、耳の疾患又は疾病は、聴器毒性、化学療法により誘発された難聴、興奮毒性、感音性難聴、騒音性難聴、老人性難聴、メニエール病/症候群、内リンパ水腫、迷路炎、ラムゼイ・ハント症候群、前庭神経炎、耳鳴、又は微小血管圧迫症候群を含む。
興奮毒性
興奮毒性は、グルタミン酸塩及び/又は同様の物質による、神経及び/又は有毛細胞の死滅又は損傷を指す。
グルタミン酸塩は、中枢神経系において最も大量にある興奮性の神経伝達物質である。シナプス前細胞は、刺激後にグルタミン酸塩を放出する。グルタミン酸塩は、シナプスをわたって流れ、シナプス後細胞に位置する受容体に結合し、これらの神経を活性化させる。グルタミン酸塩受容体は、NMDA、AMPA、及びカイニン酸塩受容体を含んでいる。グルタミン酸塩輸送体は、シナプスから細胞外のグルタミン酸塩を除去する役目を課されている。幾つかの例において、特定の事象(例えば、虚血又は卒中)は前記輸送体を損傷させる。これは、シナプス内に蓄積する過剰なグルタミン酸塩を結果としてもたらす。シナプス内の過剰なグルタミン酸塩は、グルタミン酸塩受容体の過剰な活性化を結果としてもたらす。
AMPA受容体は、グルタミン酸塩とAMPAの両方の結合により活性化される。AMPA受容体の特定のアイソフォームの活性化は、神経の原形質膜に位置するイオンチャネルの開放を結果としてもたらす。チャネルが開くと、Na+とCa2+イオンは神経へと流れ、K+イオンは神経から流れる。
NMDA受容体は、グルタミン酸塩とNMDAとの両方が結合することにより活性化される。NMDA受容体の活性化は、神経の原形質膜に位置するイオンチャネルの開放を結果としてもたらす。しかし、これらチャネルはMg2+イオンにより遮断される。AMPA受容体の活性化は、イオンチャネルからシナプスへのMg2+イオンの排出を結果としてもたらす。イオンチャネルが開き、イオンチャネルがMg2+イオンを排出すると、Na+とCa2+イオンは神経へと流れ、K+イオンは神経から流れる。
興奮毒性は、NMDA受容体及びAMPA受容体が、過剰な量のリガンド、例えば、異常な量のグルタミン酸塩の結合により過剰に活性化されると生じる。これら受容体の過剰な活性化は、それらの制御下でイオンチャネルの過剰な開放を引き起こす。これは、異常に高いレベルのCa2+とNa+が神経に侵入することを可能にする。このようなレベルのCa2+とNa+の神経への流入は、より頻繁に神経を興奮させ、結果として細胞内に遊離基と炎症性化合物の急速な構築をもたらす。遊離基は最終的にミトコンドリアを損傷し、細胞内の貯蔵エネルギーを消耗させる。更に、過剰レベルのCa2+とNa+イオンは、過剰レベルの酵素(ホスホリパーゼ、エンドヌクレアーゼ、プロテアーゼを含むが、これに限定されない)を活性化する。これら酵素の過剰な活性化は、細胞骨格、原形質膜、ミトコンドリア、及び感覚神経のDNAへの損傷を結果としてもたらす。幾つかの実施形態において、耳の感覚細胞の調節剤は、過剰な神経発火及び/又は神経細胞死を減少又は阻害する、グルタミン酸塩受容体アンタゴニストである。本明細書には、特定の実施形態において、NMDA受容体の機能障害を特徴とする耳の疾患の処置に使用される医薬組成物が開示される。
耳鳴
本明細書で使用されるように、「耳鳴」は、何の外部刺激も無い状態での音の知覚を特徴とする障害を指す。特定の例において、耳鳴は、継続的又は散発的に片方又は両方の耳に生じ、大抵の場合は響き渡る音として記載される。耳鳴は大抵の場合、他の疾患の診断症状として用いられる。他覚的耳鳴と自覚的耳鳴といった、2つのタイプの耳鳴が存在する。前者は、誰にでも聞こえる、身体において作成された音である。後者は、病気に冒された個体にのみ聞こえるものである。研究により、5000万以上のアメリカ人が耳鳴の幾つかの形態を経験していると、推定されている。これら5000万人のうち、約1200万人が激しい耳鳴を経験している。
耳鳴の様々な処置が存在する。IVにより投与されるリドカインは、病人の約60%−80%の耳鳴に関連した騒音を減少又は排除する。ノルトリプチリン、セルトラリン、及びパロキセチンなどの選択的な神経伝達物質再取摂取阻害剤も、耳鳴に対する効果を実証してきた。ベンゾジアゼピンは、耳鳴を処置するためにも処方される。幾つかの実施形態において、耳の感覚細胞の調節剤は、耳鳴に関連付けられた耳の感覚細胞の損傷及び/又は死滅を減少又は阻害する。
感音性難聴
感音性難聴は、内耳の内耳神経(第VIII脳神経としても知られる)又は感覚細胞における異状(先天性、後天性)から結果として生じるタイプの難聴である。内耳の主な異常は、耳の有毛細胞及び感覚神経の異常である。
蝸牛の形成不全、染色体異常、及び先天性真珠腫は、幾つかの例において感音性難聴を結果としてもたらす、先天性異常の例である。非限定的な例として、炎症性疾患(例えば、化膿性迷路炎、鼓膜炎、流行性耳下腺炎、麻疹、ウイルス性梅毒、自己免疫障害)、メニエール病、聴器毒性薬物(例えば、アミノグリコシド、ループ利尿薬、抗代謝物、サリチル酸塩、及びシスプラチンなど)への曝露、身体外傷、老人性難聴、及び音響性外傷(90dBを超える音への長時間曝露)も、後天性の感音性難聴を結果としてもたらす。
感音性難聴を結果としてもたらす異常が聴覚路における異常の場合、感音性難聴は中枢性難聴と呼ばれる。感音性難聴を結果としてもたらす異常が聴覚路における異常の場合、感音性難聴は皮膚性難聴と呼ばれる。幾つかの実施形態において、耳の感覚細胞の調節剤は、耳の感覚細胞の成長、及びそのプロセスと結合を促進し、且つ感音性難聴を減少又は逆転させる栄養剤(例えば、BDNF、GDNF)である。
騒音性難聴
騒音性難聴(NIHL)は、長時間持続する、大きすぎる音又は大きな音への曝露後に引き起こされる。場合によっては85デシベル以上の音への、長時間、繰り返し、又は突発的な(impulse)曝露により、難聴が引き起こされる。難聴は、大きな騒音、例えば、騒がしい音楽、重機又は機械類、飛行機、銃声、或いは他のヒトによる騒音への長時間の曝露からも生じる。NIHLは有毛細胞及び/又は聴神経への損傷を引き起こす。有毛細胞は、音響エネルギーを電気信号に変換する小感覚細胞である。幾つかの例において、突発的な音は、結果として恒久的な即時の難聴をもたらす。この種の難聴は、場合によっては、経時的に鎮静する、耳又は頭部の鳴り響く音、飛び回る音(buzzing)、又は轟音といった耳鳴を伴う。難聴と耳鳴とは、幾つかの例において、片方又は両方の耳に生じ、耳鳴は、生涯を通じて継続的に又は時々継続する。騒音への継続的な曝露は有毛細胞の構造にも損傷を与え、永続的な難聴及び耳鳴を結果としてもたらすが、このプロセスは、突発性の騒音よりも徐々に生じる。
幾つかの実施形態において、耳を保護する薬剤は、NIHLを逆転、低減、又は改善する。NIHLを処置又は予防する耳を保護する薬剤の例は、限定されないが、本明細書に記載されている耳を保護する薬剤を含んでいる。
中毒性難聴
中毒性難聴は毒素によって引き起こされる難聴を指す。幾つかの例において、難聴は、耳の有毛細胞、蝸牛、及び/又は脳神経VIIへの外傷を原因とする。多剤は聴器毒性であると知られている。多くの場合、聴器毒性は用量依存性である。聴器毒性は、薬の中止後に恒久的又は可逆的となる。
既知の聴器毒性薬物は、限定されないが、抗生物質のアミノグリコシドクラス(例えば、ゲンタマイシン及びアミカシン)、抗生物質のマクロライドクラスの一部のメンバー(例えば、エリスロマイシン)、抗生物質の糖タンパク質クラスの一部のメンバー(例えば、バンコマイシン)、サリチル酸、ニコチン、一部の化学療法剤(例えばアクチノマイシン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、及びビンクリスチン)、及び薬物のループ利尿薬ファミリー薬物の一部のメンバー(例えばフロセミド)、6−ヒドロキシドーパミン(6−OH DPAT)、6,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオン(DNQX)などを含む。
化学療法剤、及び抗生物質のアミノグリコシドクラスは、活性酸素種(ROS)の産生を誘導する。幾つかの実施形態において、ROSは、DNA、ポリペプチド、及び/又は脂質に損傷を与えることにより、細胞に直接損傷を与える。酸化防止剤は、細胞に損傷を与える前に、ROSの形成を妨げる又は遊離基を除去する(scavenging)ことにより、ROSの損傷を妨げる。化学療法剤、及び抗生物質のアミノグリコシドクラスの両方は、内耳の血管線条においてメラニンを結合することによって耳に損傷を与えるとも考えられる。幾つかの例において、シスプラチン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、カルボプラチン、オキサリプラチン、及びビンクリスチンなどの化学療法剤により誘導される難聴は、化学療法誘導性難聴と称される。
サリチル酸は、ポリペプチドプレスチン(prestin)の機能を阻害するので、聴器毒性と分類される。プレスチンは、外耳の有毛細胞の原形質膜にわたり塩化物と炭酸塩の交換を制御することにより、外耳の有毛細胞の運動性を媒介する。これは外耳の有毛細胞でのみ確認され、内耳の有毛細胞では確認されない。従って、本明細書には、耳を保護する薬剤(例えば酸化防止剤)を含む制御放出型の耳用組成物の使用が開示され、これにより、限定されないがシスプラチン処置、アミノグリコシド又はサリチル酸の投与、或いは他の聴器毒性薬剤を含む、化学療法の聴器毒性効果を予防、改善、又は緩和する。
内リンパ水腫
内リンパ腫は、内耳の内リンパ系内の水圧の増加を指す。内リンパと外リンパとは、複数の神経を含む薄い膜によって分離されている。圧力変動は、それらが収容する膜と神経にストレスを与える。圧力が十分に大きい場合、これらの膜に破壊が生じる。この結果、脱分極の遮断及び機能の一時的損失を引き起こす、流体の混合がもたらされる。前庭神経発火の速度の変化は大抵、回転性めまいに繋がる。更に、コルチ器官も影響を受ける。基底膜、及び内側と外側の有毛細胞の歪みは、難聴及び/又は耳鳴を引き起こす。
原因は、代謝性障害、ホルモンの不均衡、自己免疫性疾患、及び、ウイルス感染、細菌感染、又は真菌感染を含む。症状は、難聴、回転性めまい、耳鳴、耳の閉塞感を含む。幾つかの例においては眼振も存在する。処置は、ベンゾジアゼピン、利尿剤(流体の圧力を下げるもの)、コルチコステロイド、及び/又は、抗菌薬、抗ウイルス剤、又は、抗真菌剤を含む。
迷路炎
迷路炎は、内耳の前庭系を含む耳の迷路の炎症である。原因は、細菌感染、ウイルス感染、及び真菌感染を含む。場合によっては、迷路炎は、頭部損傷又はアレルギーにより引き起こされる。迷路炎の症状は、バランス維持の困難、めまい、回転性めまい、耳鳴、及び難聴を含む。回復には1〜6週間かかる。しかし、場合により慢性症状が数年存在する。
迷路炎の様々な処置が存在する。プロクラルペラジンは大抵、制吐剤として処方される。セロトニン再摂取阻害剤は、内耳内の新たな神経発達を刺激することが示された。加えて、原因が細菌感染である場合に抗生物質を用いた処置が処方され、疾病がウイルス感染によって引き起こされる場合にはコルチコイドと抗ウイルス剤を用いた処置が推奨される。
メニエール病
メニエール病は、幾つかの例においては3〜24時間にわたり持続し、徐々に弱まる回転性めまい、吐き気、嘔吐に突然襲われることを特徴とする、特発性の疾病である。時間を経るにつれて、上述の疾患に、進行性の難聴、耳鳴、及び耳の圧迫感を伴う。メニエール病の原因は、内耳液の生成の増大又は再吸収の減少を含む、内耳液のホメオスタシスの不均衡におそらく関係する。
内耳におけるバソプレシン(VP)媒介性アクアポリン2(AQP2)系の研究は、内リンパ生成物を誘導する際にVPの役割を示唆しており、これにより、前庭と蝸牛の構造の圧力を増大させる。VPのレベルは内リンパ水腫(メニエール病)の場合にアップレギュレートされることが見出され、モルモットにおけるVPの長期投与は内リンパ水腫を誘導することが見出された。鼓室階へのOPC−31260(V2−Rの競合アンタゴニスト)の注入を含む、VPアンタゴニストによる処置は、メニエール病の症状の顕著な軽減を結果としてもたらした。他のVPのアンタゴニストは、WAY−140288、CL−385004、トルバプタン、コニバプタン、SR121463A、及びVPA985を含む。(Sanghi et al. Eur. Heart J. (2005) 26:538−543; Palm et al. Nephrol. Dial Transplant (1999) 14:2559−2562)。
他の研究は、内リンパ生成物、及びそれ故前庭/蝸牛器の圧力を制御する際のエストロゲン関連受容体β/NR3B2(ERR/Nr3b2)の役割を示唆している。マウスへのノックアウト研究は、内リンパ流体の生成を調節する際のNr3b2遺伝子のポリペプチド生成物の役割を示す。Nr3b2発現は、内リンパ分泌線状辺緑細胞(strial marginal cell)、及び、蝸牛及び前庭器の前庭暗細胞それぞれに局在化される。更に、Nr3b2遺伝子のコンディショナルノックアウトは、聴覚消失、及び内リンパ流体量の減少を結果としてもたらす。場合によっては、ERR/Nr3b2へのアンタゴニストによる処置は、内リンパ量の減少を補助し、故に、内耳構造内の圧力を変更する。
他の処置は、即時の症状への対処及び再発の予防を目標とする。低ナトリウム食、カフェイン、アルコール、及びタバコの回避が推奨された。一時的に回転性めまいの発作を緩和する薬物は、抗ヒスタミン(メクリジン及び他の抗ヒスタミンを含む)、及び、ロラゼパム又はジアゼパムを含む、バルビツール酸塩及び/又はベンゾジアゼピンを含む中枢神経系剤を含む。症状を和らげるのに役立つ薬物の他の例は、スコポラミンを含むムスカリン性アンタゴニストを含んでいる。吐き気と嘔吐は、フェノチアジン剤プロクロルベラジンを含む、抗精神病剤を含有する座薬によって和らげられる。
症状を緩和するために使用される外科的処置は、回転性めまいの症状を緩和するための前庭機能及び/又は蝸牛機能の破壊を含む。これらの手順は、内耳の液圧を下げること、及び/又は内耳の平衡機能を破壊することの何れかを目的とする。液圧を和らげる内リンパのシャント手術は、前庭機能不全の症状を和らげるために内耳に施される。他の処置は、鼓膜への注入時に有毛細胞の感覚機能を破壊し、それにより内耳の平衡機能を完全に失くす、ゲンタマイシンの適用を含む。前庭神経の切断も利用され、これにより聴覚を保持しつつ、回転性めまいを制御する。幾つかの実施形態において、耳の感覚細胞のモジュレータは、有毛細胞の成長を促進し、被験体が内耳の平衡機能を回復することを可能にする。
メニエール症候群
メニエール病と似た症状を示すメニエール症候群は、別の疾患プロセスへの二次的な苦痛(例えば、梅毒感染による甲状腺疾患又は内耳炎症)であると考えられる。故に、メニエール症候群は、内分泌異常、電解質不均衡、自己免疫機能不全、機能障害、薬物療法、感染(例えば、寄生虫感染)、又は脂質異状症を含む、内リンパの正常な産生又は再吸収を妨害する様々なプロセスへの二次的な影響である。メニエール症候群を患う患者の処置は、メニエール病と同様である。ラムゼイ・ハント症候群(帯状疱疹の感染)
ラムゼイ・ハント症候群は、聴神経の帯状疱疹の感染によって引き起こされる。この感染は、激しい耳痛、難聴、回転性めまいの他に、神経によりもたらされる、外耳上、外耳道中、同様に顔又は首の皮膚上の水膨れを引き起こす。顔面神経が腫れにより圧迫される場合、顔面筋も麻痺する。難聴は一時的又は恒久的なものであり、回転性めまいの症状は通常は数日から数週まで持続する。
ラムゼイ・ハント症候群の処置は、アシクロビルを含む抗ウイルス剤の投与を含む。他の抗ウイルス剤は、ファムシクロビルとバラシクロビルを含む。抗ウイルス剤とコルチコステロイドの治療の組み合わせも、帯状疱疹の感染を改善するために使用される。鎮痛剤又は麻薬も、疼痛を和らげるために投与され、ジアゼパム又は他の中枢神経系剤が、回転性めまいを抑えるために投与される。カプサイシン、リドカインパッチ、及び神経ブロックが随意に使用される。顔面神経麻痺を和らげるために、圧迫された顔面神経に手術も行なわれる。
微小血管圧迫症候群
「血管圧迫」又は「神経血管圧迫」とも称される微小血管圧迫症候群(MCS)は、回転性めまい及び耳鳴を特徴とする障害である。微小血管圧迫症候群は、血管による脳神経VIIの刺激作用によって引き起こされる。MCSを有する被験体に見出される他の症状は、限定されないが、重度の動作の不耐性、及び「クイックスピン」のような神経痛を含む。MCSは、カルバマゼピン、TRILEPTAL(登録商標)、及びバクロフェンで処置される。場合によっては、MCSは外科的にも処置される。
前庭神経炎
前庭神経炎、又は前庭神経病は、末梢性前庭系の急性の持続的な機能障害である。前庭神経炎は、片方又は両方の前庭器からの求心性神経入力の破壊によって引き起こされると、理論付けられている。この破壊の源は、前庭神経及び/又は迷路のウイルス感染及び急性の局所的虚血を含む。
前庭神経炎を診断する時の最も重要な所見は、自発性、一方向性、水平性の眼振である。これには大抵、吐き気、嘔吐、及び回転性めまいが付随する。しかし、難聴又は他の聴覚症状は通常付随しない。
前庭神経炎の様々な処置が存在する。ジメンヒドリネート、ジフェンヒドラミン、メクリジン、及びプロメタジンのようなH1−受容体アンタゴニストは、抗コリン作用によって前庭刺激を減少させて、迷路機能を低下させる。ジアゼパム及びロラゼパムなどのベンゾジアゼピンは、GABAA受容体に対するベンゾジアゼピンの効果による前庭反応を阻害するためにも使用される。抗コリン薬、例えばスコポラミンも処方される。これらは、前庭の小脳の経路における伝導を抑えることにより機能する。最後に、コルチコイド(即ちプレドニゾン)が、前庭神経及び関連する器官の炎症を改善するために処方される。
老人性難聴
加齢性難聴(老人性難聴)は、加齢と共に徐々に生じる聴力の損失である。幾つかの例において、老人性難聴は、年配者及び高齢者に影響を及ぼす最も一般的な疾病の1つである。場合によっては、65歳〜74歳の間でアメリカ合衆国において3人におよそ1人が難聴を有しており、75歳より上の人々のほぼ半分が難聴(difficulty hearing)を有している。場合によっては、聴力に問題があると、医師の助言を理解し且つそれに従い、警告に反応し、及び、電話、ドアベル、及び煙探知器を聞くことが困難になる。更に、場合によっては、難聴により、家族や友人との会話を楽しむことが困難になり、孤立感に繋がってしまう。幾つかの例において、加齢性難聴は片耳又は両耳に生じ、時には両耳に等しく影響を及ぼす。
幾つかの実施形態において、加齢性難聴の多くの原因が存在する。最も一般的に、難聴は、人が加齢するにつれて内耳の変化から生じるが、幾つかの例において、難聴はまた、中耳の変化、又は耳から脳までの神経経路に沿った複雑な変化から結果として生じる。追加の例において、特定の医学的状態と薬物療法は同様の役割を果たす。幾つかの実施形態において、老人性難聴は、らせん神経節ニューロンの求心性線維及び有毛細胞を持つそれらのシナプス(リボンシナプス)の緩やかな損失から結果として生じ、音を検出する感覚細胞と、聴性脳にこの情報を伝達する聴神経との間に、離断を引き起こす。らせん神経節ニューロンと有毛細胞の損失も生じる。大きな雑音への事前暴露又は場合によっては他の耳の傷害は、この加齢のプロセスを悪化させ、聴力の損失の加速を引き起こす。老人性難聴は「隠れた難聴」にも関係し、これは、聴力閾値の著しい変化の欠如にもかかわらず背景雑音(「雑音中の音声」)に対する音を検出することができないものである。場合によっては、聴力におけるこのようなより繊細な減衰は、らせん神経節ニューロンの求心性線維及び有毛細胞を持つそれらのシナプス結合(リボンシナプス)の損失に関連している。
耳の解剖学
図3に示されるように、外耳は、器官の外側部分であり、耳介(心耳)、耳道(外耳道)、及び鼓膜(ear drumとしても知られている)の外側に面する部分から成る。頭部の側部で目に見える外耳の肉質部分である耳介は、音波を集め、音波を耳道に向ける。従って、外耳の機能は、部分的に、音波を集め、鼓膜及び中耳に向けることである。
中耳は、鼓膜の背後にある、鼓室と呼ばれる空気で満たされた空洞である。鼓膜(ear drumとしても知られている)は、外耳と中耳を分ける薄い膜である。中耳は側頭骨内にあり、この空間内に、ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨といった3つの耳骨(耳小骨)を含む。耳小骨は、小さな靱帯を介して共に結合されており、鼓室の空間にわたって架橋を形成している。ツチ骨は、一端で鼓膜に結合しており、その前端にてキヌタ骨に結合しており、次いで、アブミ骨に結合している。アブミ骨は、卵円窓に結合しており、2つの卵円窓のうち1つは鼓室内に位置している。輪状靱帯として知られる線維組織層は、アブミ骨を卵円窓に結合している。外耳からの音波は最初に鼓膜を振動させる。この振動は、耳小骨及び卵円窓を通って蝸牛に伝わり、内耳中の液体にこの動きが伝わる。従って、耳小骨は、鼓膜と、流体で満ちた内耳の卵円窓との間に、機械的な結合をもたらすように配置されており、そこでは更なる処理のために音が変換され、内耳に伝達される。耳小骨、鼓膜、又は卵円窓の硬化、硬直、又はそれらの動作の損失により、難聴、例えば、耳硬化症、又はアブミ骨の硬直が引き起こされる。
鼓室は耳管を介して咽喉にも結合されている。耳管は、外気と中耳の空洞との間の圧力を等しくする能力をもたらす。正円窓は、内耳の構成要素であるが鼓室内にもアクセス可能であり、内耳の蝸牛に向かって開口している。正円窓は正円窓膜によって覆われ、正円窓膜は、外層又は粘液層、中間層又は線維層、及び内膜といった3つの層から成り、蝸牛の流体と直接繋がっている。従って、正円窓は、内膜を介して内耳に直接連絡している。
卵円窓と正円窓における動作は、相互連絡されており、即ち、アブミ骨が鼓膜から卵円窓へとこの動作を伝えることで、内耳流体に対して内側に移動すると、正円窓(正円窓膜)は対応するように押し出され、蝸牛の流体から離れる。正円窓のこの動作により、蝸牛内の流体の動作が可能となり、次いで、蝸牛内部の有毛細胞の動作が生じ、聴覚信号の伝達が可能となる。正円窓膜における硬化と硬直は、蝸牛の流体における動作の能力が欠如するため、難聴を引き起こす。近年の研究は、卵円窓を通る正常な伝導経路を迂回させ、且つ増幅された入力を蝸牛室にもたらす、正円窓への医療用トランスデューサの移植に焦点を当てている。
聴覚信号の変換は内耳で行われる。流体で満ちた内耳(又はinner ear)は、蝸牛器及び前庭器といった2つの主要な構成要素から成る。内耳は、部分的に、頭蓋骨の側頭骨中の入り組んだ一連の経路である骨又は骨迷路内に位置している。前庭器は平衡感覚の器官であり、3つの半円状の管及び前庭から成る。この3つの半円状の管は互いに対して配置されており、それにより、空間中の3つの直交面に沿った頭部の動作は、流体の動作により、及び、膨大部稜と呼ばれる半円状の管の感覚器官による後の信号処理により検出される。膨大部稜は、有毛細胞及び支持細胞を備えており、クプラと呼ばれる半円型のゼラチン状の塊によって覆われている。有毛細胞の毛は、クプラに包埋されている。半円状の管は、動的平衡、回転又は角度移動の平衡状態を検出する。
頭部を迅速に回転させると、半円状の管は、頭部と共に動くが、膜状の半円状の管に位置する内リンパ液は、動かない状態を維持する傾向がある。内リンパ液は、クプラに逆らって押し出され、片側に傾く。クプラは、傾くと、膨大部稜の有毛細胞の毛の一部を曲げ、知覚刺激を引き起こす。半円状の管はそれぞれ異なる面に位置しているため、半円状の管それぞれに対応する膨大部稜は、頭部の同じ動きに対して異なる反応を行う。これにより、刺激の組み合わせ(mosaic)が作られ、内耳神経の前庭枝上の中枢神経系に伝達される。中枢神経系は、この情報を解釈し、平衡を維持するのに適切な反応を開始する。中枢神経系の中で重要なものは小脳であり、これは平衡と均衡の感覚を媒介する。
前庭は内耳の中心部分であり、静的平衡又は重力に対する頭部の位置を確認する有毛細胞を有する、機械受容器を備えている。静的平衡は、頭部に動きがない、又は直線状に動いている時に役割を果たす。前庭中の膜状迷路は、卵形嚢と球形嚢といった2つの嚢状の構造体に分けられる。各構造体は順番に嚢斑と呼ばれる小さな構造体を含み、これは、静的平衡の維持に寄与している。嚢斑は感覚有毛細胞から成り、感覚有毛細胞は、嚢斑を覆うゼラチン状の塊(クプラと似たもの)に包埋されている。耳石と呼ばれる炭酸カルシウムの粒は、ゼラチン状の層の表面に包埋されている。
頭部が直立位置にある時、毛は斑に沿って真っ直ぐになっている。頭部が傾くと、ゼラチン状の塊及び耳石は対応して傾き、斑の有毛細胞上の毛の一部が曲がる。この曲げ作用により、中枢神経系に対して信号刺激が開始され、刺激は内耳神経の前庭枝を介して伝わり、次に適切な筋肉に運動刺激を中継して、平衡を維持する。
蝸牛は、聴覚に関連する内耳の部分である。蝸牛は、先が細くなった管状の構造であり、カタツムリに似た形状で巻かれている。蝸牛の内側は、3つの領域に分かれており、前庭膜及び基底板の位置により更に画定されている。前庭膜より上の位置は前庭階であり、これは卵円窓から蝸牛の頂部まで延びており、カリウム濃度が低く且つナトリウム濃度が高い水溶液である外リンパ液を含有している。基底膜は鼓室階の領域を画定しており、これは蝸牛の頂部から正円窓まで延びており、同様に外リンパを含有している。基底膜は、数千もの硬い繊維を含有しており、該繊維は、正円窓から蝸牛頂部までに向かって、徐々に長くなっている。基底膜の線維は、音で活性化されると振動する。前庭階と鼓室階との間には蝸牛管があり、これは蝸牛の頂部にある閉じられた嚢として終わる(ends)。蝸牛管は内リンパ液を含有しており、これは脳脊髄液と同様のものであり、カリウムが豊富である。
聴覚の感覚器官であるコルチ器官は、基底板上に位置し、蝸牛管に向かって上方に延びている。コルチ器官は有毛細胞を含有しており、該有毛細胞は、自由表面から延びる毛状突起を有し、且つ蓋膜と呼ばれるゼラチン状表面と接触している。有毛細胞は、軸索を有していないが、内耳神経の蝸牛枝を形成する感覚神経線維に囲まれている(第VIII脳神経)。
上記のように、楕円形の窓としても知られる卵円窓は、アブミ骨と連絡しており、鼓膜から振動する音波を中継する。卵円窓に伝わった振動は、外リンパ及び前庭階/鼓室階を介して流体で満ちた蝸牛の内圧を増大させ、次いで、それに応じて正円窓膜を膨らませる。卵円窓の内側への加圧/正円窓の外側への膨張の協調により、蝸牛の内圧が変わることなく、蝸牛内の流体の移動が可能となる。しかし、振動は、前庭階において外リンパを介して伝わると、前庭膜に対応する発振をもたらす。このような対応する発振は、蝸牛管の内リンパを介して伝わり、基底板へと伝わる。基底板が振幅する、又は上下に動くと、それに伴ってコルチ器官が動く。次いで、コルチ器官の有毛細胞受容体は、蓋膜に逆らって動き、蓋膜に機械的な変形が生じる。この機械的な変形により、神経刺激が開始され、該刺激は内耳神経を経て中枢神経系に伝わり、受け取られた音波を、後に中枢神経系により処理される信号へと機械的に変換する。
併用療法
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、付加的な治療剤と組み合わせて投与される。幾つかの例において、付加的な治療剤は、限定されないが、制吐薬、抗菌薬、抗酸化剤、消毒薬などを含む。
制吐剤
制吐剤は、本明細書に開示される医薬組成物又は製剤と組み合わせて随意に使用される。制吐剤は、プロメタジン、プロクロルペラジン、トリメトベンズアミド、及びトリエチルペラジン(triethylperazine)を含む。他の制吐剤は、ドラセトロン、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピセトロン、及びパロノセトロンなどの5HT3アンタゴニスト;及びドロペリドールなどの神経弛緩薬を含む。更に制吐剤は、メクリジンなどの抗ヒスタミン剤;パーフェナジンなどのフェノチアジン及びチエチルペラジン;ドンペリドン、プロペリドール(properidol)、ハロペリドール、クロルプロマジン、プロメタジン、プロクロルペラジン、メトクロプラミド、及びそれらの組み合わせを含むドーパミンアンタゴニスト;ドロナビノール、ナビロン、サティベックス、及びそれらの組み合わせを含むカンナビノイド;スコポラミンを含む抗コリン薬;及びデキサメタゾンを含むステロイド;トリメトベンズアミン(trimethobenzamine)、エメトロール(emetrol)、プロポフォール、ムシモール、及びそれらの組み合わせを含む。
抗菌薬
抗菌薬も、本明細書に開示される医薬組成物又は製剤と共に有用なものとして考慮される。抗菌薬は、バクテリア、真菌、又は寄生生物を含む微生物を阻害又は根絶するように作用する薬剤を含む。場合によっては、特定の抗菌薬は特定の微生物と闘うために使用される。従って、当業者は、どの抗菌薬が、特定された微生物、又は表示された兆候に依存して関連性がある又は有用であるのかを分かっている。抗菌薬は、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、及び駆虫薬を含む。
典型的な抗生物質は、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、ゲルダナマイシン(geldanmycin)、ハービマイシン、ロラカルベフ、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム、シラスタチン、メロペネム、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファレキシン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル(defprozil)、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフェピム、セフトビプロール、テイコプラニン、バンコマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシン、アズトレオナム、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、ピペラシリン、チカルシラン(ticarcillan)、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン(trovfloxacin)、マフェニド、プロントジル、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルアミド(sulfanimilimde)、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジンアミド、キヌプリスチン(quinuspristin)/ダルホプリスチン、リファンピン、チニダゾール、及びそれらの組み合わせを含む。
典型的な抗ウイルス剤は、アシクロビル、ファムシクロビル、及びバラシクロビルを含む。他の抗ウイルス剤は、アバカビル、アシクロビル、アデホビル(adfovir)、アマンタジン、アンプレナビル、アルビドール、アタザナビル、アルチプラ(artipla)、ブリブジン、シドフォビル、コンビビル、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、ホミビルセン(fomvirsen)、ホスアンプレナビル、フォスカルネット、ホスホネット、ガンシクロビル、ガーダシル、イバシタビン、イムノビル(imunovir)、イドクスウリジン、イミキモド、インジナビル、イノシン、インテグラーゼ阻害剤、III型インターフェロン、II型インターフェロン、I型インターフェロンを含むインターフェロン、ラミブジン、ロピナビル、ロビリド(loviride)、MK−0518、マラビロク、モロキシジン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネキサビル(nexavir)、ヌクレオシドアナログ、オセルタミビル、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、プロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害薬、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、サキナビル、スタブジン、テノホビル、テノホビル・ジソプロキシル、チプラナビル、トリフリジン、トリジビル、トロマンタジン、ツルバダ、バルガンシクロビル、ビクリビロク、ビダラビン、ビラミジン(viramidine)、ザルシタビン、ザナミビル、ジドブジン、及びそれらの組み合わせを含む。
典型的な抗真菌剤は、アモロルフィン(amrolfine)、ブテナフィン(utenafine)、ナフチフィン、テルビナフィン、フルシトシン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、ボリコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾール、ニッコーマイシンZ、カスポファンギン、ミカファンギン、アニデュラファンギン、アンフォテリシンB、リポソームニスタチン(nystastin)、ピマリシン、グリセオフルビン、シクロピロクスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、ウンデシレン酸塩、及びそれらの組み合わせを含む。典型的な駆虫薬は、アミトラズ、アモスカネート、アベルメクチン、カルバドックス、ジエチルカルバマジン(diethylcarbamizine)、ジメトリダゾール、ジミナゼン、イベルメクチン、マクロフィラリサイド、マラチオン、ミタバン(mitaban)、オキサムニキン、ペルメトリン、プラジカンテル、パモ酸ピランテル(prantel pamoate)、セラメクチン、スチボグルコン酸ナトリウム、チアベンダゾール及びそれらの組み合わせを含む。
抗酸化剤
抗酸化剤は、本明細書に記載される医薬組成物と組み合わせて随意に使用される。抗酸化剤は、耳の神経及び/又は有毛細胞の変性を調節するものといった薬剤を含む。従って、幾つかの実施形態は抗酸化剤の使用を組み込む。幾つかの実施形態において、抗酸化剤は、ビタミンC、N−アセチルシステイン、ビタミンE、エブセレン(2−フェニル−1、2−ベンジソセレナゾール−3(2H)−オン(PZ 51又はDR3305とも呼ばれる)、L−メチオニン、イデベノン(2−(10−ヒドロキシデシル)−5,6−ジメトキシ−3−メチル−シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン)である。幾つかの実施形態において、抗酸化剤は栄養剤であり、正常細胞の成長を促進する。
消毒薬
消毒薬は、本明細書に開示される組成物と組み合わせて随意に使用される。消毒薬はまた、本明細書に開示される製剤と共に有用なものとしても考慮される。消毒薬は、酢酸、ホウ酸、ゲンチアナバイオレット、過酸化水素、過酸化カルバミド、クロルヘキシジン、食塩水、マーキュロクロム、ポビドンヨード、ポリヒドロキシンヨウ素(polyhyroxine iodine)、クレシル酸塩、及び酢酸アルミニウム、並びにそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
他の薬剤は、本明細書に記載されている任意の組成物又はデバイスにおいて随意に使用される。幾つかの実施形態において、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(例えば、ラサギリン、R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダン)は、本明細書に記載される任意の組成物又はデバイスにおいて使用される。幾つかの実施形態において、アデノシンアンタゴニスト(例えばR−N6−フェニルイソプロピルアデノシン、1−2−オキソチアゾリジン−4−カルボン酸(プロシステイン))が、本明細書に記載される任意の組成物又はデバイスにおいて使用される。活性薬剤及び/又は第2の治療薬の任意の組み合わせは、本明細書に記載される組成物に適合する。
耳の外科的手術及びインプラント
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬製剤及び組成物は、インプラント(例えば蝸牛インプラント)と組み合わせて(例えば、移植、短期の使用、長期使用、又は除去)使用される。本明細書で使用されるように、インプラントは内耳又は中耳の医療機器であり、その例は、蝸牛インプラント、聴力付与デバイス、聴力改善デバイス、短絡電極、マイクロプロテーゼ又はピストン状プロテーゼ;針;幹細胞インプラント;薬物送達デバイス;任意の細胞ベースの治療薬;などを含む。幾つかの例において、インプラントは、難聴を経験する患者と共に使用される。幾つかの例において、難聴は誕生時に存在している。幾つかの例において、難聴は、AIED、細菌性髄膜炎などの疾病に関連付けられ、これらは、蝸牛構造の迅速な閉塞及び広範囲の難聴を伴う骨新生及び/又は神経損傷をもたらす。
幾つかの例において、インプラントは、耳の中の免疫細胞又は幹細胞の移植片である。幾つかの例において、インプラントは小型の電子デバイスであり、該デバイスは、耳の後ろに配される外側部分、及び、ほとんど耳が聞こえない又はひどく聴力が低下した人に音の感覚をもたらす、皮膚の下に外科的に配される第2の部分を有している。ほんの一例として、そのような蝸牛の医療機器は、耳の損傷部分を迂回し、聴神経を直接刺激する。幾つかの例において、蝸牛インプラントは片側の聴覚喪失に使用される。幾つかの例において、蝸牛インプラントは両耳の聴覚喪失に使用される。
幾つかの実施形態において、耳の介入処置(例えば鼓室内注射、アブミ骨切除手術、医療機器インプラント又は細胞ベースの移植片)と組み合わせて本明細書に記載される耳の感覚細胞のモジュレータ組成物又はデバイスの投与により、耳構造に対する付随的損傷、例えば、刺激作用、細胞障害、細胞死、骨新生、及び/又は、外部の耳の介入処置(例えば、耳における外部デバイス及び/又は細胞の設置)により引き起こされる更なる神経悪化が遅延される又は予防される。幾つかの実施形態において、インプラントと組み合わせた本明細書に記載される耳の感覚細胞のモジュレータ組成物又はデバイスの投与は、インプラントのみと比較して、難聴のより有効な回復を可能にする。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される耳の感覚細胞のモジュレータ組成物又はデバイスの投与は、根底にある疾病(例えば、細菌性髄膜炎、自己免疫耳疾患(AIED))により引き起こされた蝸牛構造に対する損傷を減らし、蝸牛デバイスの移植の達成を可能にする。幾つかの実施形態において、耳の外科的手術、医療機器インプラント、及び/又は細胞移植と共に、本明細書に記載される組成物又はデバイスを投与することで、耳の手術、医療機器インプラント、及び/又は細胞移植に関連した細胞障害及び/又は細胞死(例えば、耳感覚毛細胞死の及び/又は損傷)が減少する又は予防される。
幾つかの実施形態において、蝸牛インプラント又は幹細胞移植と共に、本明細書に記載される耳の感覚細胞のモジュレータ組成物又はデバイス(例えば、成長因子を含む組成物又はデバイス)の投与は、栄養効果(例えば、細胞の健全な成長、及び/又は、インプラント又は移植片の領域における組織の治癒を促進する)を有する。幾つかの実施形態において、栄養効果は、耳の手術の間、又は鼓室内の注入手順の間が望ましい。幾つかの実施形態において、栄養効果は、医療機器の設置、又は細胞移植の後が望ましい。そのような実施形態の幾つかにおいて、本明細書に記載される耳の感覚細胞のモジュレータ組成物又はデバイスは、直接的な蝸牛への注射により、鼓室階切開により、又は正円窓膜上への沈着により投与される。
幾つかの実施形態において、抗炎症組成物又は免疫抑制剤組成物(例えばコルチコステロイドなどの免疫抑制剤を含む組成物)の投与は、耳の手術、医療機器の移植、又は細胞移植に関連した炎症及び/又は感染を低減する。幾つかの例において、本明細書に記載される耳の感覚細胞のモジュレータ製剤による外科手術領域の灌流は、手術後及び/又は移植後の合併症(例えば、炎症、有毛細胞の損傷、神経退化、骨新生など)を低減し、又は排除する。幾つかの例において、本明細書に記載される製剤による外科手術領域の灌流は、手術後又は移植後の回復時間を短くする。幾つかの実施形態において、医療機器は、耳での移植前に本明細書に記載される組成物で覆われる。
1つの態様において、本明細書に記載される製剤、及びその投与方法は、内耳の区画の直接的な灌流の方法に適用可能である。故に、本明細書に記載される製剤は、耳の介入処置と組み合わせて有用である。幾つかの実施形態において、耳の介入処置は、移植処置(例えば、蝸牛での聴力デバイスの移植)である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される耳の介入処置は、非限定的な例として、蝸牛形成術(cochleostomy)、内耳手術(labyrinthotomy)、乳突削開術、アブミ骨切除術、アブミ骨手術、内リンパ球形嚢手術(endolymphatic sacculotomy)、鼓膜切開術などを含む手術を含んでいる。幾つかの実施形態において、内耳の区画は、耳の介入処置の前、耳介入処置の間、耳介入処置の後、又はこれらの組み合わせにおいて、本明細書に記載される製剤で灌流される。
幾つかの実施形態において、灌流が耳の介入処置と組み合わせて実行されると、耳の感覚細胞の組成物は即時放出組成物である。そのような実施形態の幾つかにおいて、本明細書に記載される即時放出製剤は、厚みのない(non−thickened)組成物であり、持続放出成分(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を実質的に含まない。そのような実施形態の幾つかにおいて、組成物は、製剤の5重量%未満の持続放出成分(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマーなどのゲル化成分)を含む。そのような実施形態の幾つかにおいて、組成物は、製剤の2重量%未満の持続放出成分(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマーなどのゲル化成分)を含む。そのような実施形態の幾つかにおいて、組成物は、製剤の1重量%未満の持続放出成分(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマーなどのゲル化成分)を含む。そのような実施形態の幾つかにおいて、手術領域の灌流に使用される、本明細書に記載される組成物は、ゲル化成分を実質的に含まず、即時放出組成物である。
医薬組成物/製剤
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬製剤又は製剤は、限定されないが非経口(例えば、鼓室内、蝸牛内、静脈内、皮下、筋肉内)、経口、鼻腔内、頬側、局所、直腸、又は経皮の投与経路を含む適切な投与経路によって、被験体に投与される。幾つかの例において、本明細書に記載される医薬組成物は、非経口(例えば、鼓室内、蝸牛内、静脈内、皮下、筋肉内)投与のために製剤される。他の例において、本明細書に記載される医薬組成物は経口投与のために製剤される。また他の例において、本明細書に記載される医薬組成物は経鼻投与のために製剤される。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物又は製剤は、医薬組成物又は製剤の約0.001重量%−約60重量%の有効成分を含む。幾つかの例においては、本明細書に記載される医薬組成物又は製剤は、医薬組成物又は製剤の約0.01重量%−約20重量%、約0.01重量%−約10重量%、約0.01重量%−約7.5重量%、約0.01重量%−約6重量%、約0.01重量%−約5重量%、約0.1重量%−約10重量%、又は約0.1重量%−約6重量%の有効成分を含む。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物又は製剤は、切断型のTrkC又は切断型のTrkBのアンタゴニストを含む。場合によっては、本明細書に記載される医薬組成物又は製剤は、医薬組成物又は製剤の約0.001重量%−約60重量%の切断型のTrkC又は切断型のTrkBのアンタゴニストを含む。幾つかの例において、本明細書に記載される医薬組成物又は製剤は、医薬組成物又は製剤の約0.01重量%−約20重量%、約0.01重量%−約10重量%、約0.01重量%−約7.5重量%、約0.01重量%−約6重量%、約0.01重量%−約5重量%、約0.1重量%−約10重量%、又は約0.1重量%−約6重量%の切断型のTrkC又は切断型のTrkBのアンタゴニストを含む。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物又は製剤は、水性分散駅、自己乳化分散駅、固溶体、リポソーム分散液、エアロゾル、固形剤形、粉末、即時放出製剤、制御放出製剤、速溶製剤、錠剤、カプセル、丸剤、遅延放出製剤、拡張放出製剤、パルス放出製剤、多重微粒子製剤、及び、即時放出と制御放出の組み合わせの製剤を含むが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物又は製剤は、薬学において一般的に使用される賦形剤を含み、且つ本明細書に開示される組成物との適合性、及び所望の剤形の放出プロファイルの特性に基づいて選択される、担体又は担体材料を含む。典型的な担体材料としては、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤などが挙げられる。薬学的に適合可能な担体材料は、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、コレステロール、コレステロールエステル、カゼイン酸ナトリウム、大豆レシチン、タウロコール酸、ホスファチジルコリン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、セルロース及びセルロース抱合体、糖ステアロイル乳酸ナトリウム(sugars sodium stearoyl lactylate)、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプンなどを含むが、これらに限定されない。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995);Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975;Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)を参照。
幾つかの実施形態において、医薬組成物又は製剤は、分散剤、及び/又は粘度調節剤を含み、これらは、液体培地、造粒方法、或いは混合方法を介して薬物の拡散性及び均質性を制御する材料を含む。幾つかの実施形態において、このような薬剤はまた、コーティングの効果又はマトリックスを腐食する効果を促進する。典型的な拡散促進剤/分散剤は、例えば、親水性ポリマー、電解液、Tween(登録商標)60又は80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP;商業上、Plasdone(登録商標)として知られる)、及び炭水化物系の分散剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばHPC、HPC−SL、及びHPC−L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばHPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15M、及びHPMC K100M)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアラート(HPMCAS)、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、エチレンオキシドとホルムアルデヒドを含む4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー(チロキサポールとしても知られる)、ポロクサマー(例えばPluronics F68(登録商標)、F88(登録商標)、F108(登録商標)、又はF127(登録商標)(ポロクサマー407)であり、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである);及びポロキサミン(例えば、Poloxamine908(登録商標)とも知られるTetronic908(登録商標)であり、それは、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドとエチレンオキシドの連続的な添加から得られる四官能性ブロックコポリマーである(BASF Corporation,Parsippany,N.J.))、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、又はポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S−630)、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは、約300〜約6000、又は約3350〜約4000、又は約7000〜約5400の分子量を有している)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ガム、例えば、トラガカントガム、アラビアガム(gum acacia)、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタン、糖、セルロース化合物、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化モノラウリン酸ソルビタン、ポリエトキシル化モノラウリン酸ソルビタン、ポビドン、カルボマー、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸塩、キトサン、及びそれらの組み合わせを含む。セルロース又はトリエチルセルロースなどの可塑剤も、分散剤として使用される。リポソーム分散剤と自己乳化分散剤に特に有用な分散剤は、ジミリストイルホスファチジルコリン、卵由来の天然ホスファチジルコリン、卵由来の天然ホスファチジルグリセロール、コレステロール、及びミリスチン酸イソプロピルである。
幾つかの実施形態において、医薬組成物又は製剤はポロクサマー(例えば、Pluronics F68(登録商標)、F88(登録商標)、F108(登録商標)、又はF127(登録商標)(ポロクサマー407))を含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は、約14重量%〜約21重量%のポロクサマーを含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は、約15重量%〜約17重量%のポロクサマーを含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約14重量%のポロクサマーを含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約15重量%のポロクサマーを含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約16重量%のポロクサマーを含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約17重量%のポロクサマーを含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約18重量%のポロクサマーを含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約19重量%のポロクサマーを含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約20重量%のポロクサマーを含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約21重量%のポロクサマーを含む。
幾つかの例において、医薬組成物又は製剤はポロクサマー407(F127(登録商標))を含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は、約14重量%〜約21重量%のポロクサマー407(F127(登録商標))を含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は、約15重量%〜約17重量%のポロクサマー407(F127(登録商標))を含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約14重量%のポロクサマー407(F127(登録商標))を含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約15重量%のポロクサマー407(F127(登録商標))を含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約16重量%のポロクサマー407(F127(登録商標))を含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約17重量%のポロクサマー407(F127(登録商標))を含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約18重量%のポロクサマー407(F127(登録商標))を含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約19重量%のポロクサマー407(F127(登録商標))を含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約20重量%のポロクサマー407(F127(登録商標))を含む。幾つかの例において、医薬組成物又は製剤は約21重量%のポロクサマー407(F127(登録商標))を含む。
幾つかの実施形態において、医薬組成物又は製剤は、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、及び塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、及びトリス−ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;及びクエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウム、及び塩化アンモニウムなどの緩衝液を含む、pH調整剤又は緩衝剤を含んでいる。このような酸、塩基、及び緩衝液は、組成物のpHを許容可能な範囲で維持することを必要とする量で含まれる。
幾つかの実施形態において、医薬組成物又は製剤はまた、組成物の重量モル浸透圧濃度を許容可能な範囲にするのに必要な量で1以上の塩も含む。このような塩は、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、又はアンモニウムカチオン、及び塩化物アニオン、クエン酸塩アニオン、アスコルビン酸塩アニオン、ホウ酸塩アニオン、リン酸塩アニオン、重炭酸塩アニオン、硫酸塩アニオン、チオ硫酸塩アニオン、又は亜硫酸水素塩アニオンなどを有するものを含み;適切な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、及び硫酸アンモニウムを含む。
幾つかの実施形態において、医薬組成物又は製剤は更に、より多くの安定した環境を提供することから化合物を安定させるためにも使用される希釈剤を含む。緩衝液(pHの制御又は維持も提供する)の中で溶解された塩は、当技術分野で希釈剤として利用され、限定されないがリン酸緩衝生理食塩溶液を含む。特定の例において、希釈剤は、圧縮を促進するか、又はカプセル充填のための均質混合のために十分な大きさ(bulk)を作成するために、組成物の大きさを増大させる。そのような化合物は、例えばラクトース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、Avicel(登録商標)などの微結晶性セルロース;第二リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物;リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム;無水乳糖、噴霧乾燥したラクトース;α化デンプン、Di−Pac(登録商標)(Amstar)などの圧縮可能な糖;マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアラート、スクロースベースの希釈剤、粉砂糖;一塩基の硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウム二水和物;乳酸カルシウム三水和物、デキストレート(dextrates);加水分解したシリアル固形物、アミロース;粉末セルロース、炭酸カルシウム;グリシン、カオリン;マンニトール、塩化ナトリウム;イノシトール、ベントナイトなどを含む。
幾つかの実施形態において、医薬組成物又は製剤は、物質の分解又は崩壊を促進するための崩壊剤(disintegration agents)又は崩壊剤(disintegrants)を含む。用語「分解する」は、胃腸液と接触した時の剤形の溶解と分散の両方を含む。崩壊剤の例は、デンプン、例えば天然のデンプン、例えばトウモロコシデンプン又はジャガイモデンプン、α化デンプン、例えばNational 1551又はAmijel(登録商標)、又はナトリウムデンプングリコラート、例えばPromogel(登録商標)又はExplotab(登録商標)、セルロース、例えば木製品、メチル結晶セルロース、例えばAvicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Min Tia(登録商標)、及びSolka−Floc(登録商標))、メチルセルロース、クロスカルメロース、又は架橋セルロース、例えば架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac−Di−Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、又は架橋クロスカルメロース、の架橋デンプン、例えばナトリウムデンプングリコラート、クロスポビドンなどの架橋ポリマー、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸塩、例えばアルギン酸又はアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩、Veegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などの粘土、ガム、例えば寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、又はトラガカント、ナトリウムデンプングリコラート、ベントナイト、天然のスポンジ、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、柑橘類のパルプ、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプンを組み合わせたラウリル硫酸ナトリウムなど、を含む。
幾つかの実施形態において、医薬製剤は、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、α化デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどの充填剤を含む。
幾つかの実施形態において、医薬組成物又は製剤は、香料及び/又は甘味料を含み、例えば、アカシアシロップ、アセスルファムK、アリターム、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロア、ベリー、クロフサスグリ、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、カンファー、カラメル、チェリー、チェリークリーム、チョコレート、シナモン、バブルガム、シトラス、シトラスパンチ、シトラスクリーム、コットンキャンディー、ココア、コーラ、クールチェリー、クールシトラス、シクラメート、シラメート(cylamate)、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツ・パンチ、ショウガ、グリチルレチネート(glycyrrhetinate)、カンゾウ(甘草)シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、ハチミツ、イソマルト、レモン、ライム、レモンクリーム、モノアンモニウム・グリリチネート(glyrrhizinate)(MagnaSweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、カエデ、マシュマロ、メントール、ミントクリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジン(neohesperidine)DC、ネオテーム、オレンジ、西洋ナシ、モモ、ペパーミント、ペパーミントクリーム、Prosweet(登録商標)パウダー、ラズベリー、ルートビア、ラム、サッカリン、サフロール、ソルビトール、スペアミント、スペアミントクリーム、イチゴ、イチゴクリーム、ステビア、スクラロース、スクロース、ナトリウムサッカリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、マンニトール、タリン(talin)、シリトール(sylitol)、スクラロース、ソルビトール、スイスクリーム、タガトース、タンジェリン、ソーマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、アメリカザクラ、ヒメコウジ、キシリトール、又はこれらの香味成分の任意の組み合わせ、例えば、アニス−メントール、チ領域ニス、シナモン−オレンジ、チェリー−シナモン、チョコレート−ミント、ハチミツ−レモン、レモン−ライム、レモン−ミント、メントール−ユーカリ、オレンジ−クリーム、バニラ−ミント、及びそれらの組み合わせを含む。
潤滑剤及び滑剤も、本明細書に記載される医薬組成物又は製剤に含まれており、例えば、物質の付着又は摩擦を予防、低減、又は阻害するものを含む。典型的な潤滑剤は、例えばステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、ナトリウム・ステアリル・フマラート、鉱油などの炭化水素、水素添加大豆油(Sterotex(登録商標))などの硬化植物油、高級脂肪酸、及びアルカリ金属とアルカリ土類金属塩、例えばアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール、タルク、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール(例えばPEG−4000)又はメトキシポリエチレングリコール、例えばCarbowax(商標)、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベへン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸マグネシウム又はラウリル硫酸ナトリウム、Syloid(商標)などのコロイダルシリカ、Cab−O−Sil(登録商標)、トウモロコシデンプンなどのデンプン、シリコーン油、界面活性剤などを含む。
可塑剤は、マイクロカプセル化材料又はフィルムコーティングを軟化することでそれらの脆さを抑えるために使用される化合物を含む。適切な可塑剤は、例えばPEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、及びPEG800などのポリエチレングリコール、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、トリエチルセルロース、及びトリアセチンを含む。可塑剤は分散剤又は湿潤剤としても機能する。
可溶化剤は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、ビタミンE TPGS、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、コレステロール、胆汁塩、ポリエチレングリコール200−600、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビドなどの化合物を含む。
安定剤は、任意の抗酸化剤、緩衝液、酸、防腐剤などの化合物を含む。
懸濁化剤は、ポリビニルピロリドン、例えばポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、又はポリビニルピロリドンK30、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは、約300〜6000、約3350〜約4000、又は約7000〜約5400の分子量を有する)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースアセテートステアレート、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ガム、例えばトラガカントガム、アカシアガム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタン、砂糖、セルロース化合物、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリソルベート−80、アルギン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン硬化ソルビタンモノラウリンレート、ポビドンなどの化合物を含む。
界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、Tween60又は80、トリアセチン、ビタミンE TPGS、ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレン・ソルビタンモノオレート、ポリソルベート、ポロクサマー(polaxomer)、胆汁塩、グリセリルモノステアレート、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、例えば、Pluronic(登録商標)(BASF)などの化合物を含む。付加的な界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及び植物油(例えばポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油);及び、例えばオクトキシノール10、オクトキシノール40などのポリオキシエチレンアルキルエーテルとアルキルフェニルエーテルを含む。時に、界面活性剤は、物理的安定性を高めるために、又は他の目的のために含まれる。
粘度増強剤は、例えば、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサン、及びそれらの組み合わせを含む。
湿潤剤は、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ドクサートナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、トリアセチン、Tween80、ビタミンE TPGS、アンモニウム塩などの化合物を含む。
注入可能な製剤
筋肉内、鼓室内、蝸牛内、皮下、又は静脈内の注入に適切な製剤は、生理学的に許容可能な無菌の水性又は非水性の溶液、分散液、懸濁液又は乳剤、及び無菌の注入可能な溶液又は分散液への再構成のための無菌の粉末剤を含む。適切な水性及び非水性の担体、希釈剤、溶媒、又はビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、クレモフォールなど)、それらの適切な混合物、植物油(オリーブ油など)、及びオレイン酸エチルなどの有機エステルを含む。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散の場合に必要とされた粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって、維持される。皮下注入に適切な製剤は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分配剤(dispensing agent)などの添加剤も含む。微生物の増殖の予防は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの様々な抗菌薬及び抗真菌剤によって確保される。糖や塩化ナトリウムなどの等張性の薬剤を含むことも望ましい。モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの、吸収を遅らせる薬剤の使用によって、注入可能な医薬形態の持続的吸収が引き起こされる。
静脈注入のために、本明細書に記載される化合物は、水溶液中で、好ましくはハンク溶液、リンガー溶液、又は生理的食塩水緩衝液などの、生理学的に適合可能な緩衝液中で製剤される。
口腔粘膜投与のために、浸透される障壁に適切な浸透剤が、製剤に使用される。そのような浸透剤は通常、当該技術分野で既知である。他の非経口注入のために、適切な製剤は、好ましくは生理学的に適合可能な緩衝液又は賦形剤を含む、水性又は非水性の溶液を含んでいる。そのような賦形剤は通常、当該技術分野で既知である。
幾つかの例において、非経口注入は、ボーラス注入又は持続注入を含む。注入用製剤は、単位投薬形態(例えば、アンプル)において、又は、防腐剤が添加された複数回用量容器において提供される。本明細書に記載される医薬組成物は、油性又は水性のビヒクルにおいて無菌の懸濁液、溶液、又はエマルジョンなどの非経口注入に適した形態であり、懸濁化剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの調合剤(formulatory agents)を含む。非経口投与のための医薬製剤は、水溶性の形態で活性化合物の水溶液を含む。更に、活性化合物の懸濁液は、適切な油性の注入懸濁液として調製される。適切な親油性の溶媒又はビヒクルは、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル或いはトリグリセリドなどの合成の脂肪酸エステル、又はリポソームを含む。水性注入懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの懸濁液の粘度を増強させる物質を含む。随意に、懸濁液は、高濃縮溶液の調製を可能にするために、適切な安定剤、又は、化合物の溶解度を増大させる薬剤も含む。代替的に、有効成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌水と共に構成するために、粉末形態である。
経口製剤
経口使用のための医薬調製物は、所望される場合、錠剤又は糖衣錠コアを得るために、適切な助剤を添加した後、1以上の固形賦形剤を本明細書に記載される1以上の化合物と混合し、結果として生じる混合物を随意に粉砕し、及び顆粒の混合物を処理することによって得られる。適切な賦形剤は、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖などの充填材;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物;又は、ポリビニルピロリドン(PVP又はポビドン)或いはリン酸カルシウムなどの他のものを含む。所望の場合、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸、或いはアルギン酸ナトリウムなどのその塩といった崩壊剤が添加される。
糖衣錠コアは適切なコーティングと共に提供される。この目的のため、濃縮した糖液が使用され、これは、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を随意に含む。染料又は色素は、活性化合物の投与量の異なる組み合わせの識別又は特徴化のために、錠剤又は糖衣錠コーティングに添加される。
固形剤形は、錠剤(懸濁液錠剤、速溶錠剤、咬傷分解錠剤、休息崩壊錠剤、発泡錠、又はカプレットを含む)、丸剤、粉末剤(滅菌包装した粉末剤、分配可能な粉末剤、又は発泡粉末を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル剤又はハードカプセル剤、例えば、動物由来のゼラチン又は植物由来のHPMCから作られるカプセル、或いは「スプリンクルカプセル」)、固形分散剤、固溶体、生物分解可能な剤形、制御放出製剤、パルス放出剤形、多重微粒子剤形、ペレット剤、果粒剤、又はエアロゾルの形態である。他の例において、医薬製剤は粉末剤の形態である。また他の例において、医薬製剤は、限定されないが速溶錠剤を含む錠剤の形態である。加えて、本明細書に記載される医薬製剤は、単一のカプセルとして、又は複数のカプセルの剤形として、投与される。
いくつかの実施形態において、製薬の固体剤形は、本明細書に記載される組成物と、適合性の担体、結合剤、充填剤、懸濁化剤、香料、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、湿潤剤、可塑剤、安定化剤、浸透促進剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化剤、防腐剤、あるいはこれらの1以上の組み合わせなどの1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤とを含む。さらなる他の態様において、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)に記載される手順などの標準的なコーティング手順を使用する。
いくつかの実施形態において、固体剤形で使用される適切な担体としては、限定されないが、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼイン酸ナトリウム、ダイズレシチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアラート、スクロース、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトールなどが挙げられる。
いくつかの実施形態において、固体剤形で使用される適切な充填剤としては、限定されないが、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアラート(HPMCAS)、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
結合剤は固体の経口剤形製剤に粘着性を与える:粉末を充填されたカプセル製剤について、ソフトまたはハードシェルのカプセル剤へと充填される結合剤はプラグ形成を助け、および錠剤の製剤について、結合剤は圧縮後に錠剤を無傷のまま保ち、かつ圧縮または充填の工程の前に混合均一性を確保するのを助ける。本明細書に記載される固体剤形において結合剤として使用されるのに適した材料としては、限定されないが、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばHypromellose USP Pharmacoat−603、ヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテート・ステアラート(Aqoate HS−LFとHS)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(例えばEthocel(登録商標))および微結晶性セルロース(例えばAvicel(登録商標))、微結晶性デキストロース、アミロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、 多糖類酸、ベントナイト、ゼラチン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、クロスポビドン、ポビドン、デンプン、α化デンプン、トラガント、デキストリン、砂糖、例えば、スクロース(例えばDipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えばXylitab(登録商標))、ラクトースなど、天然または合成ゴム、例えば、アカシア、トラガント、ガッチガム(ghatti gum)、イサポール皮(isapol husk)の粘液、デンプン、ポリビニルピロリドン(例えば、Povidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL−10およびPovidone(登録商標)K−12、カラマツアラボガラクタン(arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ろう、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
固体剤形で使用するのに適した滑沢剤あるいは滑剤は、限定されないが、ステアリン酸、水酸化カルシウム、滑石、トウモロコシデンプン、フマル酸ステアリルナトリウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ろう、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコール、例えば、Carbowax(商標)、PEG 4000、PEG 5000、PEG 6000、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、安息香酸グリセリル、ラウリル硫酸マグネシウムまたはナトリウムなどを含む。
固体剤形で使用するのに適した希釈剤としては、限定されないが、砂糖(ラクトース、スクロースおよびデキストロースを含む)、多糖類(デキストレートとマルトデキストリンを含む)、ポリオール(マンニトール、キシリトールおよびソルビトールを含む)、シクロデキストリンなどが挙げられる。
固体剤形で使用するのに適した湿潤剤としては、例えば、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、四級アンモニウム化合物(例えば、Polyquat 10(登録商標))、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ドクサートナトリウム、トリアセチン、ビタミンE TPGSなどが挙げられる。
固体剤形で使用するのに適した界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート、ポロクサマー(polaxomers)、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー(例えばPluronic(登録商標))(BASF)などが挙げられる。
固体剤形で使用するのに適した懸濁化剤としては、限定されないが、ポリビニルピロリドン、例えば、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、またはポリビニルピロリドンK30、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは、約300〜約6000、約3350〜約4000、あるいは約5400〜約7000の分子量を有する)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(S630)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゴム、例えば、トラガカントゴムおよびアラビアガム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタン、砂糖、セルロース化合物、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポビドンなどが挙げられる。
固体剤形で使用するのに適した抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、およびトコフェロールが挙げられる。
経口投与用の液体製剤の剤形は、限定されないが、薬学的に許容可能な水性の経口分散液、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ゲル剤、およびシロップ剤を含む群から選択された水性懸濁液を含む。例えば、Singh et al., Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 754−757 (2002)を参照。加えて、液体の剤形は:(a)崩壊剤;(b)分散剤;(c)湿潤剤;(d)少なくとも1つの防腐剤、(e)粘性促進剤、(f)少なくとも1つの甘味剤、および(g)少なくとも1つの香料などの添加剤を含む。いくつかの実施形態において、水性分散液は結晶性の阻害剤をさらに含む。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される水性懸濁液と分散液は、少なくとも4時間、The USP Pharmacists’ Pharmacopeia (2005 edition, chapter 905)に定義されるように、均質の状態で残る。均質性は、全組成物の均質性の決定に関して一貫したサンプリング方法によって決定されなければならない。1つの実施形態では、水性懸濁液は、1分未満続く物理的な撹拌によって均質の懸濁液へと再懸濁される。別の態様では、水性懸濁液は45秒未満続く物理的な撹拌によって均質の懸濁液へ再懸濁される。さらに別の態様では、水性懸濁液は30秒未満続く物理的な撹拌によって均質の懸濁液へ再懸濁される。さらに別の実施形態では、均質の水性分散液を維持するのに撹拌は必要ではない。
別の態様では、剤形はマイクロカプセル化された製剤を含んでいる。いくつかの実施形態において、1つ以上の他の互換性をもつ材料が、マイクロカプセル化材料の中に存在する。典型的な材料は、限定されないが、pH調整剤、侵食促進剤、消泡剤、抗酸化剤、香味料、および、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、および希釈剤などの担体材料を含む。
本明細書に記載される化合物を含む製剤の放出を遅らせるのに役立つ典型的なマイクロカプセル化材料は、限定されないが、Klucel(登録商標)またはNisso HPCなどのヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HPC)、低置換ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(L−HPC)、SeppifilmLC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Methocel(登録商標)−E、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、およびBenecel MP843などのヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)、Methocel(登録商標)−Aなどのメチルセルロースポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアラートAqoat(HF−LS、HF−LG、HF−MS)およびMetolose(登録商標)、エチルセルロース(EC)とその混合物、例えば、E461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)−EC、Surelease(登録商標)、Opadry AMBなどのポリビニルアルコール(PVA)、Natrosol(登録商標)などのヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩、例えばAqualon(登録商標)−CMCなど、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールコポリマー、例えば、Kollicoat IR(登録商標)、モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、修飾された食物デンプン、アクリルポリマー、およびセルロースエーテルとアクリルポリマーの混合物、例えば、Eudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D−55、Eudragit(登録商標)FS 30D Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、Eudragit(登録商標)NE30D、およびEudragit(登録商標)NE 40D、酢酸フタル酸セルロース、HPMCとステアリン酸の混合物のようなsepifilms、シクロデキストリン、およびこれらの材料の混合物を含む。
可塑剤はポリエチレングリコール、例えば、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 1450、PEG 3350、および、PEG 800、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸およびトリアセチンは、マイクロカプセル化材料に組み入れられる。他の実施形態において、医薬組成物の放出を遅らせるのに有用なマイクロカプセル化材料は、USPまたは国民医薬品集(NF)からのものである。また他の実施形態において、マイクロカプセル化材料はKlucelである。また他の実施形態において、マイクロカプセル化材料はmethocelである。
マイクロカプセル化された組成物は、当業者によって知られている方法によって製剤される。そのような既知の方法は、例えば、噴霧乾燥法、回転盤による溶解プロセス、ホットメルトプロセス、噴霧冷却方法、流動床、静電気沈着、遠心排出、回転懸濁液分離、液体−ガスまたは固体−ガスのインターフェースでの重合、圧力による押し出し、またはスプレー溶媒抽出槽を含む。これらに加えて、複数の化学的技術、例えば、複雑なコアセルベーション、溶剤蒸発、ポリマー−ポリマー不適合性、液体培地での界面重合、インサイツ重合、液中乾燥法、および液体培地での脱溶媒和も使用される。さらに、ローラー圧縮、押し出し/球形化、コアセルベーション、あるいはナノ粒子コーティングなどの他の方法も使用される。
鼻腔内製剤
鼻腔内製剤は当該技術分野で知られており、例えば、U.S.Pat.No.4,476,116およびU.S.Pat.No.6,391,452に記載されている。本明細書に記載される組成物を含む製剤は上記に従って調製され、および当該技術分野で周知の他の技術に従って、ベンジルアルコールあるいは他の適切な防腐剤、フルオロカーボン、および/または、当該技術分野で知られている他の可溶化剤あるいは分散剤を用いて、食塩水中の溶液として調製される。例えば、Ansel, H. C. et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Sixth Ed. (1995)を参照。好ましくは、これらの組成物と製剤は、適切な無毒の薬学的に許容可能な成分で調製される。これらの成分は経鼻用剤形の調製において当業者には知られており、そのいくつかは、この分野の標準的な文献である、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 21st edition, 2005で見られる。適切な担体の選択は、望ましい経鼻用剤形(例えば、溶液、懸濁液、軟膏剤、ゲル剤)の正確な性質に大きく依存する。経鼻用剤形は、一般に活性成分に加えて大量の水を含んでいる。pH調整剤、乳化剤または分散剤、防腐剤、界面活性剤、ゲル化剤、あるいは緩衝剤および他の安定化剤や可溶化剤などの他の成分も少量で存在する。経鼻用剤形は鼻の分泌物と等張でなければならない。
本明細書に記載される吸入による投与のために、エアロゾル、ミストあるいは粉末を含んでいる。本明細書に記載される医薬組成物は、適切な噴霧剤(例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、あるいは他の適切な気体を用いて、加圧されたパックあるいは噴霧器からのエアロゾルスプレー提示という形態で便利よく送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投与量ユニットは、測定された量を送達するためのバルブを提供することにより決定される。ほんの一例として吸入器あるいは注入器で使用されるゼラチンなどのカプセル剤およびカートリッジ、は、本明細書に記載される化合物の粉末ミックスとラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基材とを含んで製剤される。
投薬と処置レジメン
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は治療用途のために投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、例えば、緩解中の患者のために維持療法として投与される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は1日当たり一度、1日当たり2度、1日当たり3度、またはそれ以上投与される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は日々、毎日、一日おきに、1週当たり5日、週に一度、一週おきに、1か月当たり2週、1か月当たり3週、月に一度、月に二度、1か月当たり三度、またはそれ以上投与される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、少なくとも1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、2年、3年、またはそれ以上の間、投与される。
患者の状態が改善する場合、医者の裁量に従って、化合物の投与は継続的に与えられるか、あるいは、投与される薬物の投与量は、特定の期間、一時的に減らされるか、一時的に中止される(すなわち、休薬期間)。休薬日の長さは、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、あるいは365日を含む、2日〜1年の間で変わる。休薬日中の投与量の減少は、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、あるいは100%を含む、10%−100%である。
いったん患者の状態が改善すると、必要に応じて維持量が投与される。その後、投与の用量または頻度、あるいはその両方を、症状に応じて、改善された疾患、障害または疾病が保持されるレベルにまで随意に減少させる。いくつかの例では、しかしながら、患者は、症状の任意の再発で長期間にわたり本明細書に記載される医薬組成物の断続的な治療を要求する。
いくつかの実施形態において、そのような量に相当する与えられた薬剤の量は変わる、などの因子への依存、特別の化合物、その病気の重症度、被験体の同一性(例えば重量)あるいは治療を必要とする、だがしかしながら宿主は、含めて、その場合を取り巻く特別の状況による芸術の中で既知のやり方で慣例的に決定される、例えば投与されている特定の薬剤、投与経路、処置されている被験体または宿主。いくつかの例では、所望の投与量は一回量で、あるいは、例えば、1日当たり2、3、あるいは4以上の下位用量として、同時に(または短時間にわたって)あるいは適切なインターバルを置いて投与された分割量として都合よく提示される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、正確な投与量の単回投与に適した単位剤形である。単位剤形では、製剤は1つ以上の化合物の適切な量を含む単位投与量に分割される。単位用量は、製剤の離散量を含有するパッケージ形状である。非限定的な例は、包装された錠剤またはカプセル剤、および、バイアルまたはアンプル中の粉末である。水性懸濁液組成物は単回量の再密閉できない容器で包まれる。代替的に、いくつかの例の複数回投与用の再密閉可能な容器が使用され、その場合には、組成物中に防腐剤を含めることが一般的である。ほんの一例として、非経口的注入のための製剤は、限定されないがアンプルを含む単位剤形で、あるいは、追加の防腐剤と共に複数回投与量容器で提示される。
個々の処置レジメンに関する変数の数が大きいため、前述の範囲は単なる示唆的なものに過ぎず、これらの推奨値からかなり逸脱することは珍しいことではない。こうした投与量は、多くの変数(限定されないが、使用される化合物の活性、治療される疾患または疾病、投与の形態、個々の被験体の要件、処置されている疾患または疾病のの重症度、および医師の判断)に依存して変更される。
いくつかの実施形態において、こうした治療レジメンの毒性と治療の有効性は、限定されないが、LD50(母集団の50%までの致死投与量)と、ED50(母集団の50%に治療上有効な投与量)の決定を含む、細胞培養または実験動物における標準的な製薬手順によって決定される。毒性と治療効果との間の用量比が治療指数であり、これはLD50とED50との間の比率として表される。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイと動物研究から得られたデータは、ヒトで使用される一連の投与量を製剤するのに使用される。こうした化合物の投与量は好ましくは、最小限の毒性を備えるED50を含む一連の循環濃度内に位置する。投与量は、使用された剤形と利用される投与経路に応じてこの範囲内で変わる。
本発明の別の態様によれば、治療のために被験体を選択する方法が提供され、該方法は、被験体が遺伝子転写物中のイントロン保持によって引き起こされる不完全なタンパク質発現によって誘発された疾患を抱えているかどうかを判定する工程であって、被験体が陽性確認後に治療のために選択される、工程と、随意に被験体を処置する工程とを含む。
診断法
ある実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物を用いる治療のために耳の疾患または疾病を抱える個体を階級化する方法と、耳の疾患または疾病の処置のために本明細書に記載される医薬組成物を受け取る個体の治療を最適化する方法とが含まれる。いくつかの例では、本明細書に記載される医薬組成物を用いる治療のために耳の疾患または疾病を抱える個体を階級化する方法が本明細書で開示され、該方法は、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの発現レベルを判定する工程と、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの高い発現レベルがある場合に、治療上有効な量の医薬組成物を個体に投与する工程とを含む。いくつかの例では、耳の疾患または疾病の処置のために本明細書に記載される医薬組成物を受け取る個体の治療を最適化する方法が本明細書でさらに開示され、該方法は、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの発現レベルを判定する工程と、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの発現レベルに基づいて処置を修正するか、中止するか、あるいは継続する工程を含む。
切断型のTrkCおよび/または切断型のTrkBの発現および/または活性を判定する方法は当該技術分野で周知である。いくつかの実施形態において、発現レベルは、核酸レベルあるいはタンパク質レベルのいずれかで、および、RT−PCR、Qt−PCR、マイクロアレイ、ノーザンブロット、ELISA、放射線免疫検定法(RIA)、電気化学発光(ECL)、ウェスタンブロット、多重化技術、あるいは他の同様の方法などの方法によって測定される。いくつかの実施形態において、切断型のTrkCおよび/または切断型のTrkBの活性は、免疫共沈降、蛍光分光法、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、等温滴定熱量測定(ITC)、動的光散乱(DLS)、表面プラズモン共鳴(SPR)、あるいは他の同様の方法などの方法によって測定される。
いくつかの実施形態において、切断型のTrkBおよび/または切断型のTrkCの発現は核酸レベルで判定される。発現を評価するための核酸ベースの技術は当該技術分野で周知であり、例えば、生体サンプル中のバイオマーカーmRNAのレベルを判定することを含む。多くの発現検出方法は単離されたRNAを使用する。mRNAの単離を選択しない任意のRNA分離技術も、RNAの精製のために利用される(例えば、Ausubel et al., ed. (1987−1999) Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, New Yorkを参照)。さらに、多くの組織サンプルは、例えば、U.S.Pat.No.4,843,155で開示されるシングル・ステップRNA単離プロセスなどの当業者に周知の技術を使用して容易に処理される。
したがって、いくつかの実施形態では、切断型のTrkCあるいは切断型のTrkBなどのバイオマーカーの検出は核酸プローブを使用して核酸レベルで分析される。用語「核酸プローブ」は、とりわけ意図した標的核酸分子(例えばヌクレオチド転写物)と選択的に結合することができるあらゆる分子を指す。プローブは当業者によって合成されるか、あるいは適切な生物学的製剤に由来する。プローブは、放射性標識、蛍光標識、酵素、化学発光タグ、比色定量タグ、あるいは上に議論されるか当該技術分野で知られている他の標識あるいはタグを用いて、標識される。プローブとして利用される分子の例としては、限定されないが、RNAとDNAが挙げられる。
例えば、単離したmRNAは、限定されないが、サザンブロットまたはノーザンブロット解析、ポリメラーゼ連鎖反応分析、およびプローブアレイを含む、ハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイで使用される。mRNAレベルの検出のための1つの方法は、検知されている遺伝子によってコードされたmRNAにハイブリダイズする核酸分子(プローブ)に、単離したmRNAを接触させる工程を含む。核酸プローブは、長さが少なくとも7、15、30、50、100、250、あるいは500のヌクレオチドであって、バイオマーカー、すなわち、本明細書に記載されるバイオマーカーをコードするmRNAまたはゲノムDNAへストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするのに十分な、オリゴヌクレオチドなどの例えば、完全長のcDNAあるいはその一部から構成される。プローブを用いるmRNAのハイブリダイゼーションは、バイオマーカーあるいは他の対象の標的タンパク質が発現されていることを示す。
1つの実施形態では、mRNAは固体表面上で固定され、例えば、アガロースゲル上で単離したmRNAを走らせ、ゲルからニトロセルロースなどの膜までmRNAを導入することによって、プローブと接触する。他の実施形態では、プローブは固体表面上で固定され、mRNAを例えば、遺伝子チップアレイでプローブと接触させる。当業者は、バイオマーカーあるいは他の対象のタンパク質をコードするmRNAのレベルを検知する際に使用される既知のmRNA検出方法を容易に適応させる。
サンプル中の対象のmRNAのレベルを判定するための別の方法は、例えば、RT−PCR(例えば、U.S.Pat.No.4,683,202を参照)、リガーゼ連鎖反応(Barany (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189 193)、自家持続配列複製法(Guatelli et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874−1878)、転写増幅システム(Kwoh et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173−1177)、Qβレプリカーゼ(Lizardi et al. (1988) Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(U.S.Pat.No.5,854,033)あるいは他の核酸増幅方法と、その後の、当業者に周知の技術を用いる増幅された分子の検出による核酸増幅のプロセスを含む。そうした分子の数が非常に少ない場合、こうした検出スキームは核酸分子の検出に特に役立つ。本発明の特定の態様では、バイオマーカー発現は定量的蛍光発生RT−PCR(つまり、TaqMan System)によって評価される。
対象のRNAの発現レベルは、膜ブロット(ノーザンブロットなどのハイブリダイゼーション分析で使用される)あるいはマイクロウェル、サンプル管、ゲル、ビーズあるいはファイバー(あるいは結合した核酸を含む任意の固体の支持体)を使用してモニタリングされる。U.S. Pat. Nos. 5,770,722, 5,874,219, 5,744,305, 5,677,195 および 5,445,934を参照。これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。発現の検出は溶液中で核酸プローブを使用することをさらに含む。
いくつかの実施形態において、マイクロアレイは切断型のTrkCおよび/または切断型のTrkBの1つ以上のバイオマーカーの発現を判定するために使用される。マイクロアレイは、異なる実験間の再現性ゆえにこの目的に非常に良く適している。DNAマイクロアレイは、多くの遺伝子の発現レベルの同時測定のための1つの方法を提供する。アレイはそれぞれ、固体の支持体に付けられた捕捉プローブの再現可能なパターンからなる。標識されたRNAあるいはDNAは、アレイ上の相補的なプローブにハイブリダイズされ、その後、レーザースキャン法によって検知される。アレイ上の各プローブのハイブリダイゼーション強度が判定され、相対的な遺伝子発現レベルを表す定量値に変換される。U.S. Pat. Nos. 6,040,138, 5,800,992, 6,020,135, 6,033,860, 6,344,316, および、U.S. Pat. Application 20120208706を参照。高密度オリゴヌクレオチドアレイは、サンプル中の多くのRNAの遺伝子発現プロファイルを判定するのに特に役立つ。典型的なマイクロアレイチップは、Foundation Medicine, IncのFoundationOneとFoundationOne Heme;AffymetrixのGeneChip(登録商標)Human Genome U133 Plus 2.0 アレイ;および、Myraid RBMのHuman DiscoveryMAP(登録商標)250+ v. 2.0を含む。
機械的な合成方法を使用するこれらのアレイの合成技術は、例えば、U.S. Pat. No. 5,384,261に記載されている。いくつかの実施形態において、アレイは、事実上任意の形の表面、あるいは多様な表面上で作り上げられる。いくつかの実施形態において、アレイは平面アレイ表面である。いくつかの実施形態において、アレイは、ビーズ、ゲル、ポリマー表面、光ファイバーなどのファイバー、ガラス、あるいは他の適切な基質上のペプチドあるいは核酸を含み、U.S. Pat. Nos. 5,770,358, 5,789,162, 5,708,153, 6,040,193 and 5,800,992を参照する。これら文献の各々はあらゆる目的のために全体として本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、アレイは、診断法あるいはすべてを含む装置の他の操作を可能にするようなやり方で包まれる。
例えば、候補被験体の生体サンプル中の切断型のTrkCおよび/または切断型のTrkBなどのバイオマーカーを特異的に定量化するための任意の手段が企図される。したがって、いくつかの実施形態では、生体サンプル中の対象のバイオマーカータンパク質の発現レベルは、そのバイオマーカータンパク質あるいはその生物学的に活性な変異体と特異的に相互に作用することができる結合タンパク質によって検知される。いくつかの実施形態において、標識抗体、素の結合部分、あるいは他の結合パートナーが使用される。単語「標識」は、本明細書で使用されるとき、「標識された」抗体を生成するために抗体に直接あるいは間接に共役する検知可能な化合物または組成物を指す。いくつかの実施形態において、標識はそれ自体で(例えば、放射性同位元素標識または蛍光標識)検知可能であるか、あるいは酵素標識の場合には、検知可能な基質化合物または組成物の化学的変質を触媒する。
バイオマーカータンパク質の検出用の抗体はモノクローナルあるいはポリクローナル起原であるか、あるいは、合成的または組み換え的に産生される。複合型タンパク質の量、例えば、結合タンパク質(例えば、バイオマーカータンパク質に特異的に結合する抗体)に関連したバイオマーカータンパク質の量は、当業者に既知の標準的なタンパク質検出方法を用いて決定される。免疫アッセイの設計、理論およびプロトコルの詳細な再検討は、当該技術分野の多くのテキストで見られる(例えば、Ausubel et al., eds. (1995) Current Protocols in Molecular Biology) (Greene Publishing and Wiley−Interscience, NY)); Coligan et al., eds. (1994) Current Protocols in Immunology (John Wiley & Sons, Inc., New York, N.Y.を参照)。
抗体を標識するために使用されるマーカーの選択は用途次第で変化する。しかしながら、マーカーの選択は、当業者に容易に決定できる。任意の対象のバイオマーカーの存在を検知するために、こうした標識抗体は組織学的用途の場合と同様にイムノアッセイでも使用される。標識抗体はポリクローナルまたはモノクローナルのいずれかである。さらに、対象のタンパク質を検知する際に使用される抗体は、本明細書のどこかに記載されるような放射性原子、酵素、発色団部分または蛍光部分、あるいは比色定量タグで標識される。タグ付け標識の選択はさらに所望の検出限定に依存する。酵素アッセイ(ELISA)は、典型的には酵素基質を用いる酵素でタグ付けされた複合体の相互作用によって形成された有色製品の検出を可能にする。検知可能な標識として役立つ放射性核種は、例えば、1−131、1−123、1−125、Y−90、Re−188、Re−186、At−211、Cu−67、Bi−212、およびPd−109を含んでいる。検知可能な標識として役立つ酵素の例としては、限定されないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼおよびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼが挙げられる。発色団の部分としては、限定されないが、フルオレセインとローダミンが挙げられる。抗体は当該技術分野で知られている方法によってこれらの標識に共役する。例えば、酵素と発色団分子は、ジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミドなどのカップリング剤によって抗体に共役する。あるいは、共役はリガンド受容体対によって生じる。適切なリガンド受容体対の例は、ビオチン−アビジンまたはビオチン−ストレプトアビジン、および抗体−抗原である。
ある実施形態では、生体サンプル(例えば細胞サンプル)内の対象の1つ以上のバイオマーカーの発現は、放射免疫測定法あるいは酵素結合免疫測定法(ELISA)、競合的酵素結合免疫測定法、ドットブロット(例えば、Promega Protocols and Applications Guide, Promega Corporation (1991)を参照)、ウェスタンブロット(例えば、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Vol. 3, Chapter 18 (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, N.Y.を参照)、、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などのクロマトグラフィー、あるいは当該技術分野で知られている他のアッセイによって判定される。したがって、検出分析は限定されないが、免疫ブロット法、免疫拡散法、免疫電気泳動法あるいは免疫沈降などの工程を含む。
いくつかの実施形態において、切断型のTrkCおよび/または切断型のTrkBの活性は、免疫共沈降、蛍光分光法、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、等温滴定熱量測定(ITC)、動的光散乱(DLS)、表面プラズモン共鳴(SPR)、あるいは他の同様の方法などの方法によって測定される。
サンプル
ある実施形態では、本明細書で開示される方法の1つ以上はサンプルを含む。いくつかの実施形態において、サンプルは細胞サンプルまたは組織サンプルである。いくつかの例では、サンプルは細胞サンプルである。追加の例では、サンプルは組織サンプルである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法とともに使用されるサンプルは、動物の細胞または組織から得られる。いくつかの例では、動物はヒト、ヒト以外の霊長類、あるいはげっ歯類である。
いくつかの実施形態において、細胞または組織サンプルは、神経、あるいは、耳の有毛細胞、蓋膜細胞、ヘンゼン細胞&クラウディウス細胞、柱細胞あるいは支持細胞などの耳の細胞を含む。いくつかの例では、神経は感覚性神経、介在神経あるいは運動神経を含む。場合によっては、サンプルが感覚神経、介在神経あるいは運動神経を含む。いくつかの例では、サンプルは感覚神経である。いくつかの実施形態において、サンプルは耳の有毛細胞、蓋膜細胞、ヘンゼン細胞&クラウディウス細胞、柱細胞あるいは支持細胞を含む。いくつかの実施形態において、サンプルは耳の有毛細胞である。
キット/製品
ある実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の方法とともに使用されるキットおよび製品が本明細書で開示される。このようなキットは、バイアル、チューブなどの1以上の容器を収容するために仕切られた運搬装置、包装または容器を含み、各容器は本明細書中に記載されている方法を使用するための分けられた要素の1つを備える。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管を含む。他の実施形態において、容器は、ガラスまたはプラスチックのような様々な材料から形成される。
本明細書に提供される製品は包装材料を含む。製薬用包装材料の例としては、限定されないが、ブリスターパック、瓶、チューブ、バッグ、容器、瓶、および選択された製剤と意図した投与および処置のモードに適する任意の包装材料が挙げられる。
例えば、容器は、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBアイソフォームと、賦形剤および/または送達ビヒクルのアンタゴニストを含む本明細書に記載される医薬組成物の1つ以上を含んでいる。そのようなキットは、識別用の記載またはラベル、あるいは本明細書に記載される方法における使用に関する説明書を随意に含む。
キットは典型的には、使用される内容物および/または説明書を列挙するラベルと、使用される説明書を備えた添付文書とを含んでいる。1セットの説明書も典型的に含まれる。
1つの実施形態では、ラベルが容器上にあるか容器に付随する。1つの実施形態において、ラベルを形成する文字、数字または他の表示が、容器自体に貼り付けられるか、成形されるかまたは刻まれている場合は、ラベルは容器上に取付けられる。ラベルが、例えば添付文書として、それ自身も容器を含む容器または運搬装置の中に存在する場合、ラベルは容器に付随する。の実施形態において、ラベルは、内容物が特定の治療用途に用いられるべきものであるということを示すために用いられる。ラベルは、例えば、本明細書に記載の方法で、内容物を用いる使用するための指示を示すように使用されてもよい。
特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書で提供される化合物を含有している1つ以上の単位剤形を含むパックまたはディスペンサー装置で与えられる。実施形態において、パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属またはプラスチックホイルを含む。さらなる実施形態において、パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付してある。別の実施形態において、パックまたはディスペンサーには、医薬品の製造、使用または販売を制御する政府機関によって規定された形態の容器に付属の通知書が添付してあり、この通知書は、ヒトまたは動物の投与のための薬物の形態についての、政府機関の承認を反映するものである。実施形態において、このような通知書は、例えば、処方薬または承認された生成物の挿入に関して、米国食品医薬品局により承認されたラベルである。1つの実施形態において、適合性の製薬担体で製剤される本明細書で提供される化合物を含む組成物はも調製され、適切な容器に入れられ、示された疾病の処置のためにラベル付けされる。
特定の化学用語
別段の定めのない限り、本明細書で使用される技術用語と科学用語はすべて、主張される主題が属する当業者により一般に理解されるのと同じ意味を持っている。一般的な記載と詳細な記載は典型的かつ説明的なものに過ぎず、主張される主題を制限するものではないことを理解されたい。本出願では、単数の使用は、特別に別記しない限り、複数を含む。明細書および添付の請求項内で用いられる通り、単数形「a」、「an」、および「the」は、その文脈が明確に他のことを定めていない限り、複数の指示対象を含む。本出願において、「または」の使用は特に明記しない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含んでいる(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、限定的なものではない。
本明細書で使用されるように、範囲と量は「約」特定の値または範囲として表現可能である。「約」は正確な量も含んでいる。従って、「約5μL」とは「約5μL」と「5μL」を意味する。一般に、用語「約」は、実験誤差内にあると予想される量を含んでいる。
本明細書で使用される段落の見出しは組織的な目的のために過ぎず、記載される主題を制限するものとして解釈されてはならない。
本明細書で使用されるように、用語「個体」、「被験体」、および「患者」は任意の哺乳動物を意味する。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。いくつかの実施形態では、哺乳動物は非ヒトである。いかなる用語も、保健従事者(例えば、医者、正看護師、臨床看護師、医師助手、看護助手、あるいはホスピスの職員)の監督(例えば、常時または断続的)を特徴とする状況に制限されない。
これらの実施例は説明目的のために提供されるにすぎず、請求項の範囲を制限するものではない。
実施例1 正円窓膜を介するアデノウイルスとレンチウイルスの送達
アデノウイルスとレンチウイルスの構築物と産生
レンチウイルスについては、TrkC T1 mRNAGGACAATAGAGATCATCTAGT; SEQ ID NO: 1) の特有の3’配列を特異的に標的にする低分子ヘアピン型RNA(shRNA)は、Lentiviral piLenti−shRNA−GFP lenti発現ベクターでクローン化された。LentiベクターをHEK293細胞で包み、活性な粒子を集めた。アデノウイルスについては、TrkC T1 mRNAの特有の3’配列を特異的に標的にする同じ低分子ヘアピン型RNA(shRNA)をクローン化してアデノウイルス−タイプ5(dE1/E3)アデノ発現ベクターにした。AdenoベクターをHEK293細胞で包み、活性な粒子をCsClカラムによって2度精製した。
ポロクサマー407中のアデノウイルスとレンチウイルス
32%のポロクサマー407ゲルを冷たい方法を使用して調製した。簡潔にまとめると、ポロクサマー407の32%w/w保存溶液を、冷たい緩衝液(10mM PBS、pH7.4)にそれをゆっくり加えることにより調製した。濾過により滅菌を達成した。5%グリセロールを含むPBS中のアデノウイルス粒子と、10%のウシ胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中のレンチウイルス粒子を、1:1の比率で32%のポロクサマー407と混ぜることで、16%ポロクサマー407中のウイルス粒子の溶液を得た。
薬物動態学
体重200−300gでおよそ12−16週齢の雌のラット(Charles River)を被験体(1グループ当たりN=4)の代わりにした。任意の手順の前に、腹腔内経路を介してキシラジン(10mg/kg)とケタミン(90mg/kg)の組み合わせを最大で1時間使用して動物に麻酔をかけた。必要に応じて、もとの投与量の10分の1を表す手術時の追加免疫を腹腔内投与した。
鼓室内注入−正円窓窩への注入に好都合なように頭がある角度傾くように、各動物を位置付ける。簡潔に言えば、外科用顕微鏡を用いる可視下で、25G(ゲージ)1.5インチの針を使用して、 20μLの製剤を、鼓膜の上後部の四分円(superior posterior quadrant)を通って正円窓(RW)領域へ注入した。製剤を、2μL/秒の速度で電気注入ポンプを使用して送達した。正円窓膜に投与された製剤は、動物を横臥位に置くことにより30分間維持された。手順のあいだ、および回復するまで、動物を意識が回復するまで温度制御した(40°C)温熱パッドに置き、意識を回復すると動物をケージに戻した。
外リンパサンプリング手順−麻酔をかけられたラットの耳の後ろの皮膚を剪毛してポビドン−ヨードで消毒した。その後、耳の後ろを切開し、水疱全体から筋肉を慎重に引っ込ませた。中耳を露出させてアクセスできるように、小さな骨鉗子を用いて水疱に穴を開けた。蝸牛と正円窓膜を外科用顕微鏡下で可視化した。水疱の基底回転を、小片の綿と吸湿紙の先端を使用して浄化した。正円窓に隣接する蝸牛(蝸牛嚢(cochlear capsule)の骨質の殻にハンドドリルで特有の微細な穴を開けた。その後、蝸牛の鼓室階に挿入されたマイクロキャピラリーチューブを用いて、外リンパ(約2μL)を集めた。外リンパサンプルを、18μLの無菌のRNAase/DNAaseを含まない水を含有するDNAaseを含まないマイクロ遠心チューブに加え、分析まで−80°Cで保存した。
蝸牛上皮の収集−外リンパの収集後、動物を、キシラジン(10mg/kg)とケタミン(90mg/kg)からなる0.5mLの麻酔カクテルを用いた心臓内注入によって安楽死させた。その後、動物の首をすぐに切り落とし、中耳を取り除いて開き、蝸牛を完全に露出させた。その後、骨性の蝸牛の組織を5mLの無菌のPBSで2度すすいで、乾燥ブロットした。細い鉗子を使用して、骨性の蝸牛嚢を崩し、蝸牛の上皮、蝸牛神経節神経、および血管条からなる柔らかい蝸牛の組織を取り除き、200μlのRNAlater溶液を含む無菌のDNAaseを含まないマイクロ遠心チューブに入れ、分析まで−80°Cで保存した。
外リンパと蝸牛組織中のアデノウイルスの検出
外リンパと蝸牛の組織サンプル中のアデノウイルスの検出は、アデノウイルスに特有のヘキソンタンパク質用のDNAの定量PCR(qPCR)によって判定された。
外リンパ−2μlの外リンパを18μlのRNase/DNaseを含まない水に加えた。サンプルからのアデノウイルスのDNAを、キット・プロトコル(Clontech Adeno−X qPCR Titration Kit 632252)に従って以下のように調製した:130μl PBSの添加後、5μlのDNアーゼ1を加え、サンプルを30分間37°Cでインキュベートした。600μlの溶解緩衝液RAV1と20μlのプロテイナーゼK中のキャリアRNAを各チューブに加え、その後、完全なボルテックスミキシングを行った。サンプルを5分間70°Cで加熱した。600μlのエタノールを完全なボルテックスによって加え、その後、700μlを収集チューブ中のNucleoSpinウイルスカラムへ移し、1分間8000gで遠心分離にかけた。サンプルの残りの650μlを同じNucleoSpinフィルタに加え、その後、1分間8000gで遠心分離にかけた。フロースルーを捨て、500μlのRAW緩衝液を加え、その後、1分間8000gで遠心分離にかけた。フロースルーを捨て、600μlのRAV3緩衝液を加え、その後、1分間8000gで遠心分離にかけた。フィルタを新しい収集チューブに入れ、200μlのRAV3緩衝液を加え、その後、5分間11000gで遠心分離にかけた。フィルタを新しいチューブに入れ、30μlのRNase/DNaseを含まない水(あらかじめ70°Cに加熱した)を、5分間室温でインキュベーションしながら加えた。11000gで1分間遠心分離にかけた後、DNAサンプルを4°Cまたは−20°Cで保存した。
蝸牛−RNAlater(Sigma−Aldrich)中に保存された個々の蝸牛を、200μlのPBSを含むチューブに入れ、急速冷凍した。サンプルを、30秒間オン、30秒オフのサイクルで合計して4サイクル、5m/秒で均質化した。サンプルからのアデノウイルスのDNAを、キット・プロトコル(Clontech Adeno−X qPCR Titration Kit 632252)に従って以下のように調製した:150μlのホモジネートをチューブに入れ、5μlのDNase 1を加え、サンプルを30分間37°Cでインキュベートした。600μlの溶解緩衝液RAV1と20μlのプロテイナーゼK中のキャリアRNAを各チューブに加え、その後、完全なボルテックスミキシングを行った。サンプルを5分間70°Cで加熱した。600μlのエタノールを完全なボルテックスによって加え、その後、700μlを収集チューブ中のNucleoSpinウイルスカラムへ移し、1分間8000gで遠心分離にかけた。サンプルの残りの650μlを同じNucleoSpinフィルタに加え、その後、1分間8000gで遠心分離にかけた。フロースルーを捨て、500μlのRAW緩衝液を加え、その後、1分間8000gで遠心分離にかけた。フロースルーを捨て、600μlのRAV3緩衝液を加え、その後、1分間8000gで遠心分離にかけた。フィルタを新しい収集チューブに入れ、200μlのRAV3緩衝液を加え、その後、5分間11000gで遠心分離にかけた。フィルタを新しいチューブに入れ、30μlのRNase/DNaseを含まない水(あらかじめ70°Cに加熱した)を、5分間室温でインキュベーションしながら加えた。11000gで1分間遠心分離にかけた後、DNAサンプルを4°Cまたは−20°Cで保存した。
qPCR:外リンパまたは蝸牛組織からのDNAの2μlのサンプルを、キット・プロトコル(Clontech Adeno−X qPCR Titration キット632252)に従って、10μMのアデノ−Xフォワードプライマー、10μMのアデノ−Xリバースプライマー、ROX reference dye LMP、およびSYBRAdvantage qPCR プレミックスを含む18μlのマスターミックスと混合した。キット・プロトコルに従って、ThermoSci QuantiStudio 3 qPCR Machine A28137を使用してqPCRを行った。サンプルを四通り走らせた。
外リンパと蝸牛組織中のレンチウイルスの検出
外リンパと蝸牛の組織サンプル中のレンチウイルスの検出は、パッケージングシグナルに隣接するHIV−1型ゲノムの保存された領域についてDNAの定量PCR(qPCR)によって決定された。
外リンパ−2μlの外リンパを18μlのRNase/DNaseを含まない水に加えた。サンプルからのレンチウイルスDNAは、キット・プロトコル(Clontech Lenti−X qPCR Titration Kit 631235)に従って以下のように調製された:600μlの溶解緩衝液RAV1と20μlのプロテイナーゼK中のキャリアRNAを各チューブに加え、その後、完全なボルテックスミキシングを行った。サンプルを5分間70°Cで加熱した。600μlのエタノールを完全なボルテックスによって加え、その後、700μlを収集チューブ中のNucleoSpinウイルスカラムへ移し、1分間8000gで遠心分離にかけた。サンプルの残りの650μlを同じNucleoSpinフィルタに加え、その後、1分間8000gで遠心分離にかけた。フロースルーを捨て、500μlのRAW緩衝液を加え、その後、1分間8000gで遠心分離にかけた。フロースルーを捨て、600μlのRAV3緩衝液を加え、その後、1分間8000gで遠心分離にかけた。フィルタを新しい収集チューブに入れ、200μlのRAV3緩衝液を加え、その後、5分間11000gで遠心分離にかけた。フィルタを新しいチューブに入れ、30μlのRNase/DNaseを含まない水(あらかじめ70°Cに加熱した)を、5分間室温でインキュベーションしながら加えた。11000gで1分間遠心分離にかけた後、DNAサンプルを4°Cまたは−20°Cで保存した。
蝸牛−RNAlater(Sigma−Aldrich)に保存された個々の蝸牛を、200μlのPBSを含むチューブに入れ、急速冷凍させた。サンプルを、30秒間オン、30秒オフのサイクルで合計して4サイクル、5m/秒で均質化した。サンプルからのレンチウイルスDNAは、キット・プロトコル(Clontech Lenti−X qPCR Titration Kit 631235)に従って以下のように調製された:150μlのホモジネートをチューブに入れた。600μlの溶解緩衝液RAV1と20μlのプロテイナーゼK中のキャリアRNAを各チューブに加え、その後、完全なボルテックスミキシングを行った。サンプルを5分間70°Cで加熱した。600μlのエタノールを完全なボルテックスによって加え、その後、700μlを収集チューブ中のNucleoSpinウイルスカラムへ移し、1分間8000gで遠心分離にかけた。サンプルの残りの650μlを同じNucleoSpinフィルタに加え、その後、1分間8000gで遠心分離にかけた。フロースルーを捨て、500μlのRAW緩衝液を加え、その後、1分間8000gで遠心分離にかけた。フロースルーを捨て、600μlのRAV3緩衝液を加え、その後、1分間8000gで遠心分離にかけた。フィルタを新しい収集チューブに入れ、200μlのRAV3緩衝液を加え、その後、5分間11000gで遠心分離にかけた。フィルタを新しいチューブに入れ、30μlのRNase/DNaseを含まない水(あらかじめ70°Cに加熱した)を、5分間室温でインキュベーションしながら加えた。11000gで1分間遠心分離にかけた後、DNAサンプルを4°Cまたは−20°Cで保存した。
qPCR:外リンパまたは蝸牛組織からのDNAの2μlのサンプルを、キット・プロトコル(Clontech Lenti−X qPCR Titration Kit 631235)に従って、Quant−X緩衝液プレミックス中に10μMのレンチ−Xフォワードプライマー、10μMのレンチ−Xリバースプライマー、ROX reference dye 、およびSYBR Advantage qPCRを含む18μlのマスターミックスと混合した。キット・プロトコルに従って、ThermoSci QuantiStudio 3 qPCR Machine A28137を使用してqPCRを行った。サンプルを四通り走らせた。
ポロクサマー407中で製剤されたTrkC−T1のshRNAを含むアデノウイルスとレンチウイルスの両方の正円窓膜投与後に、ウイルスは、外リンパと蝸牛組織で4時間目に検知された(図4と図5)。両方のウイルスについて、ウイルスの実質的なレベルは、4時間(アデノウイルスは対照の20倍;レンチウイルスは対照の130倍)目に標的組織(蝸牛)で検知された。両方のウイルスについて、ウイルスのレベルはさらに24時間目にも検知されたが、4時間目に観察されたレベルよりもレベルは低かった。
実施例2 shRNAのウイルス送達によるラット蝸牛外植片中のTrkC.T1のノックダウン
アデノウイルスとレンチウイルスの構築物と産生
レンチウイルスについては、TrkC T1 mRNAGGACAATAGAGATCATCTAGT; SEQ ID NO: 1) の特有の3’配列を特異的に標的にする低分子ヘアピン型RNA(shRNA)は、Lentiviral piLenti−shRNA−GFP lenti発現ベクターでクローン化された。LentiベクターをHEK293細胞で包み、活性な粒子を集めた。アデノウイルスについては、TrkC T1 mRNAの特有の3’配列を特異的に標的にする同じ低分子ヘアピン型RNA(shRNA)をクローン化してアデノウイルス−タイプ5(dE1/E3)アデノ発現ベクターにした。AdenoベクターをHEK293細胞で包み、活性な粒子をCsClカラムによって2度精製した。
蝸牛外植片/ウイルス感染
両方の性別の生後のスプラーグドーリーラット(P2−4)をイソフルランで麻酔をかけて、首を切り落とした。側頭骨を取り除き、氷のように冷たいCa2+/Mg2+を含有するリン酸緩衝食塩水(PBS;Invitrogen)を含む細胞培養皿へ移した。顕微鏡的な可視化の下で、鉗子を用いて蝸牛嚢を側頭骨から慎重に取り除き、氷のように冷たいPBSを含む新しい細胞培養皿に移した。その後、細い鉗子を使用して蝸牛を蝸牛嚢から解剖した。血管条を蝸牛組織から取り除き、捨てた。その後、残りの蝸牛を、24−ウェルプレート中の1mLの培地(10%のウシ胎児血清、1%のN2補充、10ユニット/mlのペニシリン、および0.1mg/mlのストレプトマイシンを含む、ダルベッコ改変イーグル培地[高いグルコース、glutamax、25mM HEPES])に置いた。最大で3つの蝸牛を1つのウェルに置いた。その後、アデノウイルスまたはレンチウイルスを同じ日に細胞培養に直接加えた。培養物を、処理する前に、3日間37°Cでインキュベートした。
qPCRを使用する蝸牛外植片中のTrkC−T1 RNAの検出
ウイルスを用いるインキュベーション後、各蝸牛外植片を、DNase I(ife Technologies Gene Expression Cells−to−Ct Kit 4399002)を含む200μlの溶菌液を有する均質化チューブに入れた。サンプルを急速冷凍させ、30秒のオンと30秒のオフのサイクルを合計して4サイクル5m/秒で均質化した。10μlの蝸牛RNAサンプルと、25μlのRT緩衝液、2.5μlのRT酵素ミックス、および12.5μlのPCRグレードの水(Life Technologies Gene Expression Cells−to−Ct Kit 4399002)を含む40μlのマスターミックスとを有するPCRストリップチューブ内で逆転写は達成された。混合の後、サンプルを以下のように熱サイクルに晒してcDNAを生成した:60分間37°C、その後、5分間95°C、そして4°Cで保持する。qPCRのためにサンプルを調製するために、10μlのSYBER Advantage PCRミックス、0.4μlのLMP ROX reference dye、0.4μlの、フォワードラットTrkC−T1プライマー、および0.4μlのリバースラットTrkC−T1プライマー、ならびに6.8μlのPCRグレードの水を、96ウェルのqPCRプレート(Applied Biosystems MicroAmp Optical 96 well Plates 4306737)の各ウェルに加え、2μlのサンプルcDNAを加え、プレートを軽く叩いて内容物を各ウェルの底に移し、接着フィルム(Applied Biosystems MicroAmp Optical Adhesive Film 4311971)で密閉した。同じミックスであるがTrkC−T1プライマーをSYBERアクチンプライマー(Life Technologies #4402982)に取り替えたものを走らせて、各cDNAサンプル中ハウスキーピング遺伝子β−アクチンを決定すした。各サンプルを四通り走らせた。qPCRについては、プレートを以下のプログラムでQuantstudio3(ThermoFisher)で走らせた:2分間50°C、その後10分間95°C、その後150秒間95°C、その後1分間60°C。最後の2工程を40回繰り返した。ddCT方程式は、基準遺伝子としてβ−アクチンを使用して、未処理のサンプルに対する組織からのTrkCT1 RNAの倍変化を判定するために、使用された。TrkC−T1プライマーは以下のとおりであった:ラット TrkC T1 F 5’ GTCCAGAGTGGGGATGTGTC 3’ (SEQ ID NO: 124);ラット TrkC T1 R 5’ CCATGGTTAAGAGGCTTGGA 3’ (SEQ ID NO: 125).
ラットTrkC−T1のためのshRNAを含むレンチウイルスに対してラット蝸牛外植片を曝露することで、使用されたウイルス濃度の範囲と比べて組織中のTrkC−T1 mRNAの60−80%の減少がもたらされた(105−107感染単位;図6)。アデノウイルスの構築物については、組織中のTrkC−T1 mRNAのおよそ30%の減少が、使用されたウイルスの濃度で観察された(109の感染単位;図7)。スクランブルshRNA配列を含むアデノウイルスを対照として使用すると、組織中のTrkC−T1 mRNAの減少は生じなかった(109の感染単位;図7)。
実施例3 マウス中の蝸牛内有毛細胞リボンシナプスに対するTrkC.T1ノックダウンの効果
TrkC.T1ノックアウトマウス:TrkC.T1の欠失を抱えたマウスを、Bai ら(Invest Ophthalmol Vis Sci 51:6639−6651, 2010)によって記載されるように生成した。これらの実験については、ヘテロ接合体(+/−)マウスを使用し、該マウスは、TrkC.T1アンタゴニストがTrkC.T1機能を縮小させることになるが除去することにはならない治療的パラダイムを模倣するために、TrkC.T1を減らしているが完全なノックアウトではない。
分析方法:生後6か月のTrkC.T1ヘテロ接合体(+/−)および野性型C57BL/6マウス中の蝸牛内有毛細胞シナプス点の評価。
組織の収集と調製:およそ生後6か月の野性型TrkC.T1のヘテロ接合体(+/−)マウスに深く麻酔をかけ、その後、心臓に生理食塩水とその後、4%PFAを浸み込ませて、すべての組織を迅速に固定する。その後、固定された動物の首を切り落とし、頭部を少なくとも24時間、4%PFAに入れた。その後、固定された頭部をPBSですすぎ、4°Cで保存するか、あるいはすぐにさらに解剖した。蝸牛殻を単離するために、頭部を正中矢状に二等分し、脳の両半分を取り除いて側頭骨を露出させた。余分な頭蓋の組織を側頭骨から取り除いて中耳の水疱を露出させ、これをその後、開いて蝸牛殻を露わにした。その後、各動物からの1つの単離した蝸牛をその後、室温において48時間10%EDTA中でインキュベートすることで、骨構造を脱灰した。その後、脱灰した蝸牛の骨を剥がして蝸牛管の軟組織を露出させた。
免疫組織化学:脱灰した蝸牛管をおよそ6時間0.5%のPBS−トリトン(PBST)中で透過処理した。その後、透過処理された組織を、マウス抗CtBP2 IgG1(シナプス前マーカー;1:200、BDBiosciences)と、10%の正常なヤギ血清(Sigma)を含むPBST中の以下の抗体:マウス抗GluR2 IgG2a(シナプス後マーカー;1:500、Millipore)、抗βチューブリンIII(神経マーカー;1:1000、Sigma)、あるいはウサギ抗ミオシンVIIa(有毛細胞マーカー;1:1000、Proteus Biosciences)の1つ以上とで、回転させながら4°Cで夜通しインキュベートした。サンプルをPBST中で15分間×3回すすいで、その後、10%の正常なヤギ血清中で以下のアイソタイプと種に特異的な二次抗体(1:1000、Life Technologies):Alexa Fluor−488抗マウスIgG1、Alexa Fluor−546抗マウスIgG2a、Alexa Fluor−633抗ウサギIgG、あるいはAlexa Fluor−546抗ウサギIgGの1つ以上の中で、2時間インキュベートした。その後、蝸牛のサンプルをPBST中で2度すすいで、少なくとも10分間、PBS(1:3000、Thermo Scientific)中において核標識DAPIでインキュベートし、その後、さらに解剖して、スライドグラスの上に平らにおいて、Fluormount−G(SouthernBiotech)封入剤中でカバーグラスをかけた。
定量化:63x対物レンズを備えたZeiss LSM880レーザー走査型共焦点顕微鏡を用いて、ベース領域(それぞれ基底、中間、および頂端の領域)からの蝸牛の全長の25%、50%および75%の位置に対応する領域で各蝸牛を撮像した。Zスタック画像は、0.35μmの工程で基底板から有毛細胞の管腔の表面までで得られた。各画像から、6つの連続する内有毛細胞からなる領域を識別し、そのXYZ面内のシナプス前CtBP2陽性の点の数を数え、その後、この数を6で割ることで1つの領域当たりの1つの内有毛細胞当たりの点の平均の数を得て、こうした数をその後、各遺伝子型(野性型とヘテロ接合体)について平均化した。
C57BL/6マウスは、生後6か月までに明白となる蝸牛の内有毛細胞上のリボンシナプスの数の減少に関与する年齢に関連する難聴を発症すると知られている。ヘテロ接合体(HET)マウス中のTrkC.T1のノックダウンは、野生型の(WT)対照(図8)と比較して、蝸牛のすべてのレベル(基底、中間、および頂端)で多くの内有毛細胞リボンシナプス(点/IHC)をもたらす。こうしたデータは、TrkC.T1ノックダウンが、年齢に関連する減衰にもかかわらず内有毛細胞リボンシナプスの保持に関係しており、聴覚機能の改善の証拠であることを示唆している。
実施例4 TrkC.T1の選択的阻害剤の開発
TrkC.T1 mRNAの特有の3’配列を特異的に標的にする低分子ヘアピン型RNA(shRNA)が設計される。TrkC.T1を標的にするshRNA配列あるいはスクランブル対照を、pLKO.1レンチウイルスshRNA−発現ベクターにクローン化する。pLKO.1scrambledとpLKO.1TrkC−T1のレンチウイルスを精製して、HEK293−TrkC.T1あるいはHEK293−TrkC−FL(TrkC.T1またはTrkC−FL cDNAでトランスフェクトされた細胞)の感染によってテストする。PLKO.1TrkC.T1による感染はTrkC−FL mRNAに影響を与えることなくTrkC.T1 mRNAを減少させるが、対照ウイルスPLKO.1Scrambledによる感染はTrkC.T1あるいはTrkC−FL mRNAのいずれにも効果がない。このデータは同じ細胞の溶解産物中のタンパク質発現の研究により証明されている。複数の実験では、培養物中のTrkC.T1タンパク質発現は〜80%から97%減少する。TrkC.T1の減少が生物学的影響を有しているかどうかを評価するために、TNF−αの産生をTrkC.T1活性の機能的なエンドポイントとして使用する。
実施例5 モルモットにおける本明細書に記載される医薬組成物を用いた耳感覚細胞の鼓室内注入のインビボ実験
21のモルモット(Charles River、体重200−300gの雌)のコホートに、切断型のTrkCまたは切断型のTrkBの0〜50%のアンタゴニストを含む、本明細書に記載される医薬製剤50μLを鼓室内注入する。各製剤の消失時間を決定する。製剤の消失時間が早いことは平均溶解時間(MDT)が短いことを示す。したがって、製剤中のアンタゴニストの注入量と濃度を試験して、前臨床研究と臨床研究のための最適なパラメータを決定する。
実施例6 耳鳴の治療としての切断型のTrkCまたは切断型のTrkBのアンタゴニストの臨床試験
有効成分:切断型のTrkCまたは切断型のTrkBのアンタゴニスト
投与量:10ngを10μLの熱可逆性ゲルで送達した。切断型のTrkCまたは切断型のTrkBのアンタゴニストの放出は制御放出であり、30日間生じる。
投与経路:鼓室内注入
処置持続時間:12週
方法
・単心性
・プロスペクティブ
・無作為化
・二重盲検
・プラセボ対照
・並行群
・適応型
包含基準
・18−64歳の男性と女性
・自覚的耳鳴を経験している被験体
・耳鳴の持続時間が3か月を越えている
・4週以内に耳鳴の処置を受けていない
評価基準
・有効性(一次)
1.耳鳴質問表の合計点数
・有効性(二次)
1.聴力検査測定(モード、頻度、耳鳴の大きさ、純音オージオグラム、スピーチオージオグラム)
2.生活の質の質問表
・安全性
1.処置群を、中途終止、治療中の有害反応、実験室での異常、およびECG異常の発生率に関して比較する。
研究設計
被験体を3つの処置群に分ける。第1の群は安全性サンプルである。第2の群は処置する意図(ITT)のサンプルである。第3の群は有効性(VfE)が確実な群である。
各群について、被験体の2分の1には切断型のTrkCあるいは切断型のTrkBアンタゴニストを与え、残りにはプラセボを与える。
統計的手法
主要有効性分析は、ITTサンプル中の耳鳴の質問表の合計点数に基づく。統計的分析は共変としてのベースラインと、従属変数としての最後の観察で繰り返された値とを含む、共分散分析(ANCOVA)に基づく。因子は「処置」である。退行勾配の均質性が試験される。その分析はVfEサンプルのために繰り返される。
生活の質と同様に、聴力検査の測定値(モード、頻度、耳鳴の大きさ、純音オージオグラム、スピーチオージオグラム)も前述のモデルによって分析される。モデルの適切さは試験されない。P値は予備的なものであり、多重度について調節されない。
実施例7
表1は本明細書に記載される典型的な配列を例証する。表1に開示されたDNA配列は本明細書に記載されるTrkC shRNAsをコードする。
表2は、TrkCとTrkBの完全長のアイソフォームと切断型のアイソフォームの配列を例証する。
表3はmiRNA配列を例証する。
本明細書に記載される実施例と実施形態は説明の目的のためのものに過ぎず、当業者に示唆される様々な修飾や変化は、本明細書の精神と範囲、および添付の請求項の範囲内に含まれるものとする。