JP2018521967A - クロストリジウム・ディフィシルに対する免疫方法 - Google Patents
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Abstract
本開示は、概して、クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)に対する治療的及び/又は予防的ワクチン接種の分野に関する。より詳細には、本開示は、C.ディフィシル二元毒素(CDT)を発現するC.ディフィシル株及びCDTを発現しない株に対して宿主を免疫する方法に関する。これらの方法は、宿主に対する、不活化された精製C.ディフィシルトキシンA及び精製トキシンBを含む免疫原性組成物の投与を包含する。精製されたC.ディフィシルトキシンは、CDTを発現しないC.ディフィシル株から誘導することができる。
Description
本出願は、2015年5月15日出願の米国仮特許出願第62/162,357号に対する優先権を主張する。
本開示は、概して、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile;C.difficile)に対する治療的接種及び/又は予防接種の分野に関する。
C.ディフィシルは、複数の株の毒素遺伝子変異型(toxinotypes)/PCR−リボタイプ(RT)を有する、広く分布する病原菌である。数か国にわたって行われた多くの分子疫学研究が、過去5年間にわたり公開されている。結果は、幾つかのトキシン変異体をコードする流行株が、ヒトの症候性C.ディフィシル感染症(CDI)の原因として一般的であることを実証している。5つの最も一般的なものとして、毒素遺伝子変異型0、III、IV、V及びVIIIが挙げられる。複数のC.ディフィシル株/毒素遺伝子変異型、とりわけC.ディフィシル二元毒素(「CDT」;例えば、CDTa及び/又はCDTbサブユニットに由来)を発現するもの及び発現しないものの両方に対する治療的及び/又は予防的免疫原性組成物(例えば、ワクチン)として使用するためのC.ディフィシル抗原を含む組成物は、とりわけ、ワクチンがCDTを発現しない株から調製され、免疫付与が所望される株がCDTを発現する場合に、当技術分野で必要とされている。二元毒素がワクチンに含まれない限り、例えば、組み換えトキシンA及びトキシンBは、CDTを発現する株に対する防御をもたらさないであろうことは、当技術分野で認識されている(特許文献1)。特許文献1の明細書の実施例11には、「組み換えTcdA+TcdBワクチンは、強毒性のNAP1/027/BI17株(CDTを発現する)から誘導される…胞子…を用いてチャレンジしたハムスターの生存率を実質的に増加させることができなかった」が、「ワクチンへの二元毒素(CDTa及びCDTb)の添加は…このワクチンの防御効果を一貫して増加させた」と説明されている。また、実際に、「TcdA及びTcdBを有する二元毒素タンパク質(CDTa及びCDTb)の両方」の包含によってのみ、「…防御が完全に回復した」。これらの教示とは対照的に、これらの観点から驚くべきことに、このような問題が、本開示に記載される試薬及び方法を使用して克服された。
本開示は、複数のC.ディフィシル株/毒素遺伝子変異型に対する、とりわけC.ディフィシル二元毒素(「CDT」;例えば、そのサブユニットCDTa及び/又はCDTbに由来)を発現するもの及び発現しないものの両方に対する、治療的及び/又は予防的免疫原性組成物(例えば、ワクチン)として使用するためのC.ディフィシル抗原を含む組成物を提供する。好ましい実施形態では、組成物は、CDT又はそれらのサブユニット(又はそれらの免疫原)を含まない。当業者にとって明白なように、他の実施形態もまた本開示において提供される。
本開示は、複数のC.ディフィシル株及び/又は「毒素遺伝子変異型」(すなわち、トキシンAを発現する(例えば、TcdA遺伝子から発現)、トキシンBを発現する(例えば、TcdB遺伝子から発現)、及び/又は、C.ディフィシル二元毒素を発現する(「CDT」/「二元毒素」、CDTa及び/又はCDTb遺伝子から発現)、若しくはそれらのタンパク質のいずれか1つ以上を発現しない)に対し、宿主を免疫する方法を提供する。トキシンAを発現する株及び/又は毒素遺伝子変異型は、本明細書では「A+」と特定される;トキシンAを発現しない株は、本明細書では「A−」と特定される。トキシンBを発現する株及び/又は毒素遺伝子変異型は、本明細書では「B+」と特定される;トキシンBを発現しない株は、本明細書では「B−」と特定される。CDTを発現する株及び/又は毒素遺伝子変異型は、本明細書では「CDT+」と特定される;CDTを発現しない株は、本明細書では「CDT−」と特定される。株及び/又は毒素遺伝子変異型は、これらのマーカーのいずれか1つ以上の任意の組合せにおける発現によって特徴付けられうる(例えば、A+B+CDT+、A+B+CDT−、A+B−CDT+、A+B−CDT−、A−B+CDT−、A−B−CDT+など)。例えば、毒素遺伝子変異型0はA+B+CDT−であり、毒素遺伝子変異型IIIはA+B+CDT+であり、毒素遺伝子変異型IVはA+B+CDT+であり、毒素遺伝子変異型VはA+B+CDT+であり、毒素遺伝子変異型VIIIはA−B+CDT−である。
さまざまな種類のC.ディフィシル毒素遺伝子変異型は、トキシン遺伝子tcdAのA3断片及びトキシン遺伝子tcdBのB1断片を特定するためにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、例えば、PaLoc領域(トキシン発現遺伝子座)の制限酵素断片長多型(RFLP)をベースとしたものなど、毒素遺伝子変異型の決定のための方法を使用して、特定されうる。幾つかの株は、例えば参考株VPI10463(ワクチン株ATCC43255)と比較して、TcdA及び/又はTcdB遺伝子に僅かな変化を示しうる。PCRリボタイプは、16S及び23SリボソームDNA(rDNA)間の遺伝子間スペーサ領域(ISR)の変動性を利用することによっても決定されうる。変動性は、ゲノム中に存在するrDNAの複数の複製と組み合わせて、異なる株でのPCR増幅後に、さまざまなアンプリコンの増幅を生じる。今日までに、PCRリボタイピングは、400超の異なるPCRリボタイプを特定することが可能である。およそ300〜500bpの範囲にあり、かつ、7つのハウスキーピング遺伝子(MLST 7HG)を表すDNA断片が配列される、多遺伝子座配列タイピング方法も用いられうる。この方法は、クローン複合体の同定を可能にする;少なくとも5つの系統が、この方法によって特定されている。本明細書に記載される組成物は、これらの技法のいずれか1つ以上、又は当業者に利用可能でありうるその他の方法によって特定された、いずれか1つ以上の株及び/又は毒素遺伝子変異型に対し、治療的又は防御的にワクチン接種するために用いられうる。
クロストリジウムトキソイドの調製方法、これらの方法によって調製されたクロストリジウムトキソイド、及びこれらのトキソイドを含む組成物もまた提供される。本明細書における特定の対象は、C.ディフィシルトキシンA及び/又はB及び/又はそれらの誘導体(例えば遺伝的に無毒化された変型、切断型など)である。本開示の目的では、トキシンA及び/又はトキシンBは、当技術分野における標準的な技法を使用してトキシンA及び/又はトキシンBと特定されうる任意のC.ディフィシルトキシンを含みうる。例となる技法としては、例えば、ELISA、ドットブロット又はインビボアッセイなどの免疫アッセイが挙げられうる。このような特定を行うのに有用な試薬としては、例えば、抗トキシンAウサギポリクローナル抗血清(例えば、Abcam(登録商標)製品番号ab35021又は「Abcam」製品番号ab93318)、又は抗トキシンAマウスモノクローナル抗体(例えば、「Abcam」製品番号ab19953(mAb PCG4)又はab82285(mAb B618M)のいずれか)、抗トキシンBウサギポリクローナル抗血清(例えば、「Abcam」製品番号ab83066)、又は抗トキシンBマウスモノクローナル抗体(例えば、「Abcam」製品番号ab77583(mAb B428M)、ab130855(mAb B423M)、又はab130858(mAb B424M)のいずれか)が挙げられうる(すべて、「Abcam」社(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ所在)から市販される)。以下の工程の1つ以上によって、高温(例えば、37℃)で安定であり、かつ、少量のホルムアルデヒドを含む、C.ディフィシル・トキソイド組成物を生成する方法が本明細書に提供される:1)トキシンA及びトキシンBを含むC.ディフィシル培養物を提供する工程;2)培養物からトキシンA及びトキシンBを精製して、各トキソイドの分離組成物を提供する工程;3)トキソイドAについては約0.15%〜約0.5%のいずれか(例えば、約0.2%(例えば、約0.21%)のホルムアルデヒド(w/v)など、約0.2%〜0.8%のいずれか、及び/又は、トキソイドBについては約0.4%(例えば、約0.42%))で、適温(例えば、約17〜32℃のいずれか(例えば、約25℃))で、適当な時間量で(例えば、約2〜約21日間)、インキュベーションすることによって(例えば、それぞれのトキシンが対応するトキソイドへと不活化されるように)、精製されたトキシンA及び精製されたトキシンBを不活化して、それぞれ、トキソイドA及びトキソイドB組成物を生成する工程;及び、4)トキソイドを合わせて、「残存量」のホルムアルデヒド(例えば、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.01%、0.016%、0.02%又は0.025%(w/v)のいずれか(好ましくは約0.004%又は0.008%のいずれか)など、約0.0001%〜0.025%のいずれか)のみを含む、トキソイド免疫学的組成物及び/又はワクチンを生成する工程。組成物に含まれるホルムアルデヒドの量は、典型的には、組成物のパーセンテージ(質量/体積(「w/v」))を単位として記載されるが、タンパク質濃度などのある特定の因子に基づいて化学量論を調整することが重要でありうる。例えば、本明細書で予定されているホルムアルデヒドの適切な濃度は、ポリペプチドを互いに実質的に架橋させることなく(例えば、分子間架橋を生成せずに)、個々のトキシンA及び/又はトキシンBポリペプチド内に分子間架橋をもたらす濃度である。実施例に示されるように、0.5mg/mlのトキシンAを含む組成物は、0.21%(w/v)のホルムアルデヒドのみを必要としうる。しかしながら、より高濃度のトキシンAを含む組成物は、かなりの量の分子間架橋を生成することもなしに、必要とされる分子内架橋を生成するために(例えば、トキソイド化)、より高濃度又はより低濃度のホルムアルデヒドを必要としうる。同じ原理がトキシンBのトキソイド化についても適用されうる。特定の組成物について適切な条件は、本明細書に記載される又は当技術分野で利用可能でありうる技法を使用して、当業者によって決定されうる。例えば、特定の量のホルムアルデヒドが組成物中の特定のトキシンのトキソイド化に有効かどうかは、実施例のセクションに記載される細胞毒性アッセイ、アニオン交換クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、アミン含量分析、抗原性及び免疫原性アッセイのうちのいずれか1つ以上を使用して決定されうる。
本明細書ではホルムアルデヒドが用いられているが、当業者によって決定されうる他の同様の薬剤がそれらの代わりに使用されうることも理解されるべきである。例えば、幾つかの実施形態では、ホルムアルデヒドに代えてグルタルアルデヒドが用いられうる。このような代用を行うには、異なる濃度が必要とされうるが、このような代用にとって適切な条件は、本明細書に記載される技法(例えば、実施例のセクションに記載される細胞毒性アッセイ、アニオン交換クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、アミン含量分析、抗原性及び免疫原性アッセイのうちのいずれか1つ以上)を用いて決定することができる。
ある特定の実施形態では、トキシンAは、適当な時間量(例えば、10分間など、約1〜60分間のいずれか)、適量のホルムアルデヒド(例えば、約0.2%ホルムアルデヒド)と混合されて、トキソイドAを生成し、次に、適温(例えば、約25℃)で、適当な時間量(例えば、約6〜12日間のいずれか(例えば約6日間)など、約2〜21日間)、インキュベートされうる。幾つかの好ましい実施形態では、本明細書の実施例に示されるように、トキシンAを、約0.21%(w/v)のホルムアルデヒドを含む調合物中、約25℃で約6〜約12日間、インキュベートすることによって、トキシンAはトキソイドAに変換されうる。ある特定の実施形態では、トキシンBは、適当な時間量(例えば、10分間など、約1〜60分間のいずれか)の間、適量のホルムアルデヒド(例えば、約0.42%)と混合され、次に、適温(例えば、約25℃)で適当な時間量(例えば、約13〜21日間のいずれか(例えば、約21日間)など、約2〜30日間)、インキュベートされて、トキソイドBを生成しうる。幾つかの好ましい実施形態では、本明細書の実施例に示されるように、トキシンBを約0.42%(w/v)のホルムアルデヒドを含む調合物中、約25℃で約13〜約20日間、インキュベートすることによって、トキシンBはトキソイドBに変換されうる。ホルムアルデヒドは、37%のホルムアルデヒド原液からトキシンA又はトキシンBを含む溶液中へと、所望の量まで導入されてよく(例えば、無菌的に)、続いて、ある期間(例えば、5〜10分間)インキュベーションされ、適切な温度及び時間(例えば、2〜8℃で複数日間)、保管されてもよい。ある特定の実施形態では、精製されたトキシンA及び精製されたトキシンBは、合わされ、次に、適当な時間量(例えば、10分間など、約1〜60分間のいずれか)、適量のホルムアルデヒド(例えば、約0.42%)と混合され、次に、適温(例えば、約25℃)で適当な時間量(例えば、約13〜21日間のいずれか(例えば、約21日間)など、約2〜30日間)、インキュベートされて、トキソイドA及びBを生成しうる。トキソイドは、適切なバッファ(例えば、約20〜150mMのいずれかのリン酸(例えば、100mM)、pH7.0)中に含まれうる。トキソイドA及びトキソイドB組成物は、次に、適切なバッファ中で合わされて(例えば、20mMクエン酸、pH7.5、5%〜8%スクロース(例えば、8%)などの適切なバッファ中への透析濾過によって)、トキソイドA/Bの免疫学的組成物及び/又はワクチンを生成しうる(例えば、本明細書中では集合的に「組成物」と称される場合がある)。このような組成物はまた、標準的な技法を使用して、凍結乾燥形態で調製されてもよい。よって、幾つかの実施形態では、トキソイド免疫学的組成物は、例えば、その形態から再構成された組成物(例えば製剤)より高濃度でホルムアルデヒドを含みうる、凍結乾燥された形態であってもよい。例えば、凍結乾燥された組成物は、約0.016%のホルムアルデヒド(w/v)を含みうるが、宿主に投与するために再構成された後は、組成物(例えば、製剤)は、0.016%未満のホルムアルデヒド(w/v)(例えば、約0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.01(w/v)のいずれか)を含みうる。幾つかの実施形態では、次に、トキソイドA/B免疫学的組成物及び/又はワクチン(例えば、「製剤」)は、約0.0001%〜0.025%のいずれかのホルムアルデヒド(w/v)(例えば、約0.001%、0.002%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.01%、0.016%、0.02%又は0.025%(w/v)のいずれか)を含みうる(例えば、「残存ホルムアルデヒド」)。製剤中に残存ホルムアルデヒドを包含することにより、組成物が、より高い温度(例として4℃超、例えば、室温又は37℃など)で、ある期間(例えば、約6週間)、維持された場合に、残存ホルムアルデヒドが、トキソイドA及び/又はトキソイドBのトキシンA又はトキシンBへのそれぞれの復帰を低減及び/又は防止しうるという点で、とりわけ有益であることが見出された。幾つかの事例では、トキシンの不活化時間を低下させるために、ホルムアルデヒドの量を増加させてよいことに留意されたい。最終的な組成物(例えば、免疫学的組成物、ワクチン)は、残存量のホルムアルデヒドしか含まない。実施例に示されるように、これらのプロセスは、驚くべきことに、好ましい生化学的及び機能的特性を有する免疫学的トキソイドA/B含有組成物をもたらす。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法におけるいずれの時点でも、それに含まれるホルムアルデヒドの官能性に干渉しうる特定のバッファ成分の量を調整することは、有益であろう。例えば、トリスは、ホルムアルデヒド媒介修飾についてタンパク質と事実上競合可能なアミン基を有しており、それによって、反応混合物中のホルムアルデヒドの有効濃度を低下させる。したがって、トキシン及び/又はトキソイドが生成される組成物中のトリスの量を低レベルに維持することは有益であろう。例えば、トキシン調製物中の残存トリス値は、より適切なレベル(例えば、約1〜約5μg/ml未満(例えば、1μg/ml(例えば、検出限界未満)又は5μg/ml))まで低下させることができる。実施例に示されるように、トキシン調製物中の残存トリス値は、驚くべきことに、精製されたトキシンA及び/又は精製されたトキシンBを、25mMのトリス(例えば、MgCl2を除去するため)中に透析濾過し、次に、例えば、タンジェンシャルフロー濾過を使用(例えば、フラットストックMillipore PES50Kを使用)してリン酸バッファ(例えば、100mMのPO4、pH7)中に透析濾過することによって、より適切なレベル(例えば、1μg/ml未満)に低下させることができる(例えば、中空繊維又は他の種類の膜とは対照的に)。結果として得られた、より低濃度のトリスは、幾つかの実施形態では、トキソイド化プロセスの実施に必要とされるホルムアルデヒドの量をより効果的に調整可能にしうる。他の実施形態は、例えば、アミン基を含まないバッファ(例えば、MEM、酢酸塩、クエン酸塩)及び/又はpH調整された水溶液(例えば、酸又は塩基が添加されてもよい、生理食塩水又は水)を使用することを包含しうる。
よって、幾つかの好ましい実施形態では、トリスに代えて、リン酸バッファなどの別のバッファを用いてもよい。例えば、実施例に記載されるように、清澄化されたC.ディフィシル培養濾液は、トリスバッファ(例えば、50mMのトリス/NaCl/0.2mMのEDTA/1mMのDTT、pH7.5)中に処理(例えば、タンジェンシャルフロー濾過などによって濃縮かつ透析濾過)されうる。結果として得られる溶液は、次に、濾過されてよく(例えば、メンブレンフィルタを使用)、硫酸アンモニウム濃度は、ほぼ適量(例えば、約0.4M)に調整され、次いで、さらなる濾過が行われうる(例えば、メンブレンフィルタを使用)。C.ディフィシルトキシンA及びトキシンBを含むこの水溶液は、次に、疎水性相互作用クロマトグラフィに供されて、トキシンが、トリスバッファで洗浄可能なサイズ排除(例えば、セファロース)カラムに結合されうる。C.ディフィシルトキシンは、次に、DTT及びIPAを含むトリスバッファによって溶出し、プールされ、WFIを使用して約9mS以下の伝導度に調整されうる。これらのC.ディフィシルトキシン(プールされた溶出液中)は、次に、トリスバッファでの平衡化を包含する、アニオン交換クロマトグラフィなどの別の方法によってさらに精製されうる。次に、トキシンAは低塩トリスバッファによって溶出し、トキシンBは高塩トリスバッファによって溶出しうる。精製されたトキシンA又は精製されたトキシンBを含む溶液は、各々、次に、濃縮され、100mMのPO4、pH7などのリン酸バッファ中に透析濾過されうる(ここで、残存トリス値は、好ましくは約1〜約5μg/ml未満である)。より低濃度のリン酸塩(例えば、20mM)は適当でない場合があり、多量体化の増加を引き起こしうることが分かった(可能な場合には最小限に抑えるべきである)。よって、好ましい適切なリン酸バッファは、例えば、約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195又は200mMのいずれかなど、約20mM超から最高で約200mMのリン酸濃度を含みうる。本明細書の実施例に示されるように、次に、トキシンAは、該トキシンAを、pH7の100mM PO4中、約0.21%(w/v)のホルムアルデヒドを含む調合物と、約25℃で約6日間、混合することによって、トキソイドAに変換されうる。また、幾つかの好ましい実施形態では、本明細書の実施例に示されるように、トキシンBは、該トキシンBを、pH7の100mM PO4中、約0.41%(w/v)のホルムアルデヒドを含む調合物と、約25℃で約13日間、混合することによって、トキソイドBに変換されうる。当業者に理解されるように、他の適切なバッファもまた、予定されている。
当業者は、トキソイドA及び/又はトキソイドB組成物を分析して組成物の特性が許容可能かどうかを決定することにより、特定の条件(例えば、バッファ(又はその成分)、時間、温度)がトキソイドA及び/又はトキソイドB組成物の調製及び/又は維持に適しているかどうかを決定することができる。例えば、組成物は、細胞毒性アッセイ(例えば、IMR−90細胞株(例えば、実施例を参照)又はベロ細胞を使用)、陰イオン交換高速液体クロマトグラフィ(AEX−HPLC)、サイズ排除高速液体クロマトグラフィ(SEC−HPLC)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、280nmにおける吸光度を使用して測定される濃度、復帰分析(例えば、実施例を参照)、及び/又はインビボ力価アッセイ(例えば、実施例に記載されるハムスター力価アッセイ)を使用して試験されうる。好ましい条件下で調製された組成物は、典型的には、次のうちの1つ以上を示しうる:細胞毒性アッセイでモニタリングされた細胞には、ほとんどあるいは全く細胞毒性がない;AEX−HPLC及び/又はSEC−HPLCクロマトグラムは、トキソイドの多量体化がほとんどあるいは全くないことを示す(又は、別の条件に対し、ある条件下では、少なくともより少なくなり、これは好ましいことである);1により近いELISA/A280値(例えば、典型的には1に程遠いELISA/A280値を示す、好ましくない条件下で調製された組成物と比較して);試験期間中に、トキソイドからトキシンへの復帰がほとんどあるいは全くない;及び/又は、インビボアッセイ中の免疫原性(例えば、ハムスター力価アッセイにおける4.8以上のLog10力価)。当業者によって決定されうる他の方法もまた、これらの決定に用いられうる。
本明細書に記載される方法は、事実上C.ディフィシルのあらゆる株から誘導されるトキシンに適用可能である。C.ディフィシルの好ましい株は、トキシンA及び/又はBを産生する株であり、例えば、毒素遺伝子変異型0(A+B+CDT−;例えば、なかでもとりわけ、VPI10463/ATCC43255(PCRリボタイプ087)、630;PCRリボタイプ001、002、012、014/020)、III(A+B+CDT+;例えば、027/NAP/B1、NAP1/027/BI17、IPP4038(PCRリボタイプ027)、CDC13695#7(PCRリボタイプ027)、SP041(PCRリボタイプ027))、IV(A+B+CDT+;例えば、NK91(PCRリボタイプ023))、V(A+B+CDT+;例えば、BAA−1875(PCRリボタイプ078/126))及び/又はVIII(A−B+CDT−;例えば、ATCC43598(PCRリボタイプ017))の株が挙げられるが、それらに限定されない。幾つかの実施形態では、本方法は、毒素遺伝子変異型0、III、IV、V及びVIIIのすべてに対し、免疫付与(例えば、治療的に又は防御的に)をもたらす。幾つかの実施形態では、本方法は、CDT+及びCDT−株/毒素遺伝子変異型の両方に対し、免疫付与をもたらす。本方法はまた、組み換えトキシンから調製されたトキソイドが、CDTサブユニットがワクチンに含まれない限り、CDT+のC.ディフィシル株に対して免疫をもたらさない場合があることが当技術分野で認識されていることを除き、組み換え方法を使用して産生されたC.ディフィシルトキシンにも適用することができる(例えば、国際公開第2013/112867号参照)。トキシン(例えば、トキシンA及び/又はトキシンB)は、当技術分野で知られた方法を使用して、C.ディフィシルの培養濾液から精製されうる(例えば、米国特許第6,669,520号明細書)。C.ディフィシルの培養濾液からトキシンを精製する例となる方法は、本明細書の実施例に記載されている。好ましくは、トキシンは、約75%、80%、85%、90%、95%、99%又はそれ以上のいずれかの純度を有する。トキシンは、一緒に不活化されても、別々に不活化されてもよい。例えば、精製されたトキシンは、所望されるトキシンA:トキシンBの比(例えば、3:1、3:2、5:1、1:5)で混合され、次に不活化されてよく、あるいは、個別に不活化されてもよい。好ましくは、トキシンは、個別に不活化されて、トキソイドを生成する。用語「トキソイド」は、本明細書では、化学処理によって部分的に又は完全に不活化されたトキシンを説明するために用いられる。トキシンは、例えば、インビトロでの細胞毒性アッセイ又はインビボアッセイで測定して、未処理のトキシンよりも少ない毒性(例えば、100%、99%、95%、90%、80%、75%、60%、55%、50%、25%又は10%、若しくはそれ以下の毒性)を有する場合に、不活化されているとされる。本明細書に開示されるように、トキシンは、ホルムアルデヒド処理を使用して不活化される。他の可能な化学的手段としては、例えば、グルタルアルデヒド、過酸化物、β−プロピオラクトン又は酸素処理が挙げられる。
不活化は、トキソイドがトキシンへと復帰するのを防止する、ある量のホルムアルデヒドで、トキシンをインキュベートすることにより、行われうる。復帰は、精製されたトキシンA又はトキシンBを含むバッファ中に適量のホルムアルデヒドを含むことによって防止されうる。バッファ中のホルムアルデヒドの量は、ホルムアルデヒドを適切な濃度に維持して復帰を防止するように調整されうる。この目的のため、残存濃度のホルムアルデヒドがバッファ(及び/又は医薬組成物)中に含まれうる。ホルムアルデヒドの残存濃度は、復帰を防止する濃度、及び/又は、本明細書に記載される組成物が投与される対象に対して危険性の低い副作用を示す濃度である。例えば、残存ホルムアルデヒド濃度は、それらの範囲の中でもとりわけ、約0.0001%〜0.025%のホルムアルデヒド(w/v)のいずれか(例えば、約0.004%、0.008%、0.016%、又は約0.01%のいずれか)、約0.001%〜約0.020%(w/v)、約0.004%〜約0.020%(w/v)(例えば、約0.016%±0.04%)、又は約0.004%〜0.010%(w/v)(例えば、約0.008%)の範囲でありうる。復帰の防止は、典型的には、37℃での保管後に、本明細書に記載されるインビトロアッセイによって、検出可能な細胞毒性が観察されない場合に見られる(例えば、実施例の細胞毒性アッセイを参照)。復帰の「実質的な」防止は、典型的には、37℃での保管後に、実施例に記載されるインビトロアッセイによって、トキソイドの10%以下がトキシンに復帰することを意味する。適切なインビトロ細胞毒性アッセイは、例えばベロ細胞を使用する、細胞ベースの蛍光アッセイでありうる。別の適切なインビトロ細胞毒性アッセイは、IMR90細胞(例えば、ATCC(登録商標)寄託番号CCL−186)を使用して実施されうる。試験物質(例えば、トキソイド)の毒性は、50%の細胞がその正常な線状形態と比較して丸くなる最小濃度(例えば、MC−50)として決定されうる。本明細書の実施例に記載されるように、本明細書に記載される方法で製造されたトキソイドと0.008%以下のホルムアルデヒドとを含むワクチン組成物は、37℃での保管後に、インビトロアッセイで、検出可能な細胞毒性を示さなかった。物理化学的分析(例えば、アニオン交換クロマトグラフィ)を使用して復帰を確認することもできるが、インビトロ細胞毒性アッセイの方が有益であろう。トキソイドの力価を、抗トキシンA又は抗トキシンBのlog10IgG力価の平均を測定する、ハムスターインビボ力価アッセイによって測定することもできる。
幾つかの実施形態では、37%のホルムアルデヒド溶液から適量のホルムアルデヒドをトキシンに加えてもよい。トキシンは、ホルムアルデヒドの添加前には、好ましくは、適切なバッファ溶液(例えば、100mMのリン酸ナトリウムバッファ、pH7.0)中にある。その中のトキシン濃度は、例えば、約0.1〜約5mg/mL(例えば、0.5mg/mL)でありうる。不活化プロセスを開始するために、トキシンは、最初に、適切な時間(例えば、10分間)、適切な濃度のホルムアルデヒド(例えば、約0.1%〜約0.6%)と混合されうる。例えば、精製されたトキシンA(pH7.0の100mMリン酸ナトリウム中、0.5mg/mlの精製トキシンA)は、約0.2%ホルムアルデヒド中で約10分間、混合されうる。また、精製されたトキシンB(例えば、pH7.0の100mMリン酸ナトリウム中、0.5mg/mlの精製トキシンB)は、約0.4%ホルムアルデヒド中で約10分間、混合されうる。このような混合物は、次に、濾過(例えば、0.2μmのメンブレンフィルタを使用)されて、280nmにおける吸光度によってタンパク質濃度に影響を与えうる小さいタンパク質凝集物が除去されうる(例えば、意図されたトキソイドA:トキソイドB比の医薬組成物の正確な調合を可能にする)。不活化は、次に、混合物を約1〜約21日間(例えば、約2日間、約6日間、又は約13日間)、インキュベートすることによって継続されうる。例えば、トキシンA混合物は、適温(例えば、約25℃)で13日間以下(例えば、約2日間又は約6日間)の期間、インキュベートされうる。また、トキシンB混合物は、適温(例えば、約25℃)で21日間以下の期間(例えば、約2日間、約6日間、又は約13日間)、インキュベートされうる。このようにして、トキソイドA及びトキソイドBの調製物がもたらされうる。このような調製物は、典型的には、少なくとも約90%、95%、99%又は100%のいずれかのトキソイド(例えば、不活化されたトキシン)を含む。
これらのトキソイド調製物は、バッファと直接混合されうるが、好ましくは、調製物は、濃縮され、適切なバッファ溶液中に透析濾過される。好ましくは、濃度及び透析濾過は、ホルムアルデヒドの除去及びバッファ中への交換を確実にしつつ、タンパク質の剪断を最小限に抑えるために、タンジェンシャルフロー濾過を使用して行われる。バッファは、好ましくは、トキソイドの安定性を増大する、及び/又は、トキソイドの凝集を遅延若しくは低減する、少なくとも1種類以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。使用に適した賦形剤としては、例えば、糖(例えば、スクロース、トレハロース)又は糖アルコール(例えば、ソルビトール)、及び塩(塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム)、若しくはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限られない。加えて、適切な賦形剤は、例えば、米国特許出願公開第2011/045025号(米国特許出願第12/667,864号)明細書に記載されるもののいずれかでありうる。不活化後、不活化されたトキシン(すなわち、トキソイド)の溶液は、濃縮、及び/又は限外濾過、及び/又は、透析濾過されてよく、かつ、トキソイドが細胞毒性形態へ(例えば、トキシンへ)と復帰するのを防止又は実質的に防止する、適切なバッファ中で保管されうる(例えば、限定はしないが、約5〜約100mM(例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100mMのいずれかのクエン酸、リン酸、グリシン、炭酸、重炭酸などのバッファ)、pH8.0以下(例えば、6.5〜7.7、例として、約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9又は8.0など)、(例えば、20mMクエン酸、pH7.5)など)。例示的なバッファは、適量のホルムアルデヒド(例えば、0.016%(w/v))を含む、例えば、20mMクエン酸、pH7.5、5%〜8%スクロースでありうる。当業者に理解されるように、他のバッファなども好適でありうる。
トキソイドは、医薬組成物(例えば、免疫原性及び/又はワクチン組成物)として使用するために配合されうる。例えば、C.ディフィシル・トキソイドを含む組成物は、薬学的に許容される希釈剤(例えば生理食塩水)中、トキソイドの懸濁液によって、又はトキソイドと薬学的に許容される担体との会合によって、投与用に調製されうる。このような医薬製剤は、当技術分野で知られた1つ以上の賦形剤(例えば、希釈剤、増粘剤、バッファ、保存料、アジュバント、洗浄剤及び/又は免疫賦活剤)を含みうる。適切な賦形剤は、トキソイドと、並びにアジュバント(アジュバント化された組成物中の)と相容性であり、それらの例は当業者に知られており、入手可能である。組成物は、液体形態であっても、又は凍結乾燥(標準的な方法通りに)されていても、あるいは泡沫乾燥(例えば、米国特許出願公開第2009/110699号明細書に記載されるように)されていてもよい。例示的な凍結乾燥されたワクチン組成物は、例えば、トキソイドA及びB、20mMクエン酸、8%スクロース、0.016%ホルムアルデヒド、pH7.5を含みうる。
投与用ワクチンを調製するために、乾燥組成物は、例えば、注射用水、若しくは、適切な希釈剤又はバッファ溶液などの水溶液で再構成されうる。ある特定の実施例では、希釈剤は本明細書に記載されるホルムアルデヒドを含む。希釈剤は、ホルムアルデヒドとともに、又はホルムアルデヒドなしに、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)を含みうる。例示的な希釈剤は、NaCl及び水酸化アルミニウムの水溶液でありうる。このような希釈剤を使用して、乾燥組成物を再構成してもよい。医薬組成物は、約10〜150μg/mL(例えば、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140又は150μg/mLのいずれか)の用量のトキソイドを含みうる。典型的には、注入用量の体積は、約0.5mL又は1.0mLである。投与量は、対象に誘発される免疫反応を調節するために増減させることができる。トキソイドは、アジュバントの存在下又は不存在下において、当業者によって決定される量で投与されうる。使用されるアジュバントには、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム及びヒドロキシリン酸アルミニウムなどのアルミニウム化合物が含まれる。例えば、実施例に記載される動物実険において、組成物は、5μgのトキソイドA及びトキソイドB(二価のトキソイド)並びに20μg又は160μgのアジュバント(免疫用量あたり、ヒト投与量の1/20に対応する)を含む。当業者に理解されるように、トキソイド及びアジュバントの他の組合せもまた、適切でありうる。
免疫学的組成物及び/又はワクチン組成物は、症候性のC.ディフィシル感染症を有する、又はそれを発症する危険性がある対象に対し、当業者によって適切に決定された量及び投与計画で、経皮(percutaneous)(例えば、筋肉内、静脈内、腹腔内又は皮下)、経皮(transdermal)、粘膜経路で、投与されうる。ワクチンは、1回、2回、3回、4回又はそれ以上の回数で、投与されうる。複数回用量が投与される場合、投与は、互いに、例えば、1週間、1ヵ月又は数ヵ月、間隔が空けられうる。よって、本開示はまた、医薬組成物を宿主に投与することによって、トキシン、トキソイド、及び/又は、それらを含む感染性微生物に対し、免疫反応を誘発する方法も提供する。これは、本明細書に記載される医薬組成物(例えば、免疫原性組成物及び/又はワクチン)を対象に投与して、対象の免疫系にトキソイドを曝露させることによって達成されうる。よって、免疫原性組成物及び/又はワクチンは、症候性のC.ディフィシル感染症の予防及び/又は治療に用いられうる。
組成物をキット(例えば、ワクチンキット)に含めてもよい。例えば、キットは、本明細書に記載される組成物を乾燥形態で含む第1の容器、及び、組成物を再構成するための水溶液を含む第2の容器を含みうる。キットは、必要に応じて、再構成された液体形態の組成物を投与するためのデバイス(例えば、皮下注射器、マイクロニードル・アレイ)、及び/又は使用説明書を含みうる。本明細書に記載される組成物は良好な安定性を有し、中程度の温度(例えば、約2〜8℃)及びより高い温度(例えば、約15℃、25℃、37℃又はそれ以上)での保管期間後に非細胞毒性のまま維持されうることが分かったことから、このようなキットが可能である。ある特定の例では、以下にさらに記載されるように、組成物は、37℃での保管後に非細胞毒性のままであった(例えば、復帰の形跡を示さない)。
よって、本開示は、例えば、約0.15%〜0.5%のホルムアルデヒド(w/v)とともに、約17〜32℃で約2〜約21日間インキュベーションすることによって、精製されたC.ディフィシルトキシンA及び/又は精製されたC.ディフィシルトキシンBを不活化することによる、C.ディフィシル・トキソイドを生成する方法を提供する。幾つかの実施形態では、トキシンAは、約0.2%のホルムアルデヒドとともに約25℃で約2日間インキュベートされて、トキソイドAを生成することができ、及び/又は、トキシンBは、約0.4%のホルムアルデヒドとともに、約25℃で約13日間インキュベートされてトキソイドBを生成する。このような方法によって調製されたトキソイドA及び/又はトキソイドBを含む組成物もまた提供される。精製されたC.ディフィシル・トキソイドA及び精製されたC.ディフィシル・トキソイドBを、ある残存量(例えば、約0.004%、0.008%、又は0.016%(w/v))のホルムアルデヒドを含む組成物と組み合わせることによる、精製されたC.ディフィシル・トキソイドA及び精製されたC.ディフィシル・トキソイドBを含む免疫原性組成物を調製する方法も提供される。幾つかの実施形態では、本方法は、37℃において最長で約6週間安定な、C.ディフィシル・トキソイドA及び/又は精製されたC.ディフィシル・トキソイドBの組成物をもたらしうる。よって、幾つかの実施形態では、本明細書に記載される方法はまた、約0.15%〜0.5%のホルムアルデヒド(w/v)とともに約17〜32℃で約2〜約21日間インキュベーションすることによって、精製されたC.ディフィシルトキシンA又は精製されたC.ディフィシルトキシンBを不活化する工程;及び、C.ディフィシル・トキソイドA及び精製されたC.ディフィシル・トキソイドBを、ある残存量のホルムアルデヒドを含む組成物と合わせる工程も含みうる。このような方法によって調製されたC.ディフィシル・トキソイドA及びB組成物は、37℃において最長で約6週間安定でありうる。このような組成物中のホルムアルデヒドの残存量は、約0.004%、0.008%、又は0.016%(w/v)のいずれかでありうる。組成物はまた、約20mMクエン酸、pH7.5、4%〜8%スクロース、及び0.016%ホルムアルデヒドも含みうる。幾つかの実施形態では、組成物は凍結乾燥されうる。これらの方法はまた、トキシンA及びトキシンBを含むC.ディフィシル培養物を提供する工程、及び培養物からトキシンA及びトキシンBを精製する工程も含みうる。これらの方法に従って生成されたC.ディフィシル・トキソイドA又はBもまた提供される。幾つかの実施形態では、このような組成物は、ワクチン(例えば、症候性のC.ディフィシル感染症に対する防御、予防、及び/又は治療反応をもたらす)である。組成物(例えば、ワクチン組成物)は、トキソイドA及びトキソイドBを、3:1又は3:2など、5:1〜1:5のA:B比で含みうる。幾つかの実施形態では、組成物は、凍結乾燥、フリーズドライ、噴霧乾燥、又は泡沫乾燥されてよく、あるいは液体形態であってもよい。このような組成物は、1種類以上の薬学的に許容される賦形剤、例えばクエン酸、リン酸、グリシン、炭酸、又は重炭酸バッファなどのバッファ、若しくはpH調整された水溶液、及び/又は1つ以上の糖(例えば、スクロース、トレハロース)及び/又は糖アルコール(ソルビトール)を含みうる。他の実施形態は当業者にとって明白であろう。
幾つかの実施形態では、本開示は、C.ディフィシル二元毒素(CDT)を発現するC.ディフィシル株及びCDTを発現しないC.ディフィシル株に対して宿主を免疫する方法を提供し、該方法は、ホルムアルデヒド(w/v)とともに約17〜32℃で約2〜約21日間インキュベーションすることによって不活化された、精製されたC.ディフィシルトキシンA及び精製されたC.ディフィシルトキシンBを含む免疫原性組成物を宿主に投与することを含み、ここで、トキシンAは0.15%〜0.5%のホルムアルデヒド(w/v)で不活化され、トキシンBは0.15%〜0.8%のホルムアルデヒド(w/v)で不活化される。株は、毒素遺伝子変異型及びリボタイプのものでありうる。株は、毒素遺伝子変異型0、III、IV、V及び/又はVIIIのものであってよく、好ましくは毒素遺伝子変異型0、III、IV、V及びVIIIのすべてでありうる。好ましい実施形態では、精製されたトキシンA及び精製されたC.ディフィシルトキシンBは、C.ディフィシル株VPI10463/ATCC43255など、C.ディフィシル二元毒素(CDT)を発現しないC.ディフィシル株に由来する。
本開示はまた、CDTを発現しないC.ディフィシル株(例えば、C.ディフィシル株VPI10463/ATCC43255)に由来する、不活化された精製C.ディフィシルトキシンA及び不活化された精製C.ディフィシルトキシンBを含む組成物を宿主に投与することによって、C.ディフィシル二元毒素(CDT)を発現する1種類以上のC.ディフィシル株に対する特異性を有する抗体を宿主において誘導する方法も提供する。幾つかの実施形態では、組成物の投与後に産生される抗体は、毒素中和アッセイ(例えば、実施例を参照)によって決定して、抗体を中和しうる。幾つかの実施形態では、抗体は、このようなアッセイを使用して決定して、少なくとも5.4の相対効果(RE)を示しうる。幾つかの実施形態では、本方法は、0、I、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、及びXIIからなる群より選択される毒素遺伝子変異型を有するC.ディフィシル株によって産生されたトキシンA及び/又はトキシンBを中和する抗体の産生を誘発しうる。幾つかの実施形態では、毒素遺伝子変異型0株は、001、002、012、014、020、014/020、014/020/077、106、018、及び053からなる群より選択されるPCR−リボタイプを有しうる;毒素遺伝子変異型III株は、PCR−リボタイプ027又は075を有しうる;毒素遺伝子変異型IV株は、PCR−リボタイプ023を有しうる;毒素遺伝子変異型V株は、078、079、122、126、及び078/126からなる群より選択されるPCR−リボタイプを有しうる;毒素遺伝子変異型VI株は、PCR−リボタイプ127又は66−2を有しうる;毒素遺伝子変異型VII株はPCR−リボタイプ66−2を有する;毒素遺伝子変異型VIII株は、PCR−リボタイプ017を有しうる;毒素遺伝子変異型IX株はPCR−リボタイプ019を有する;毒素遺伝子変異型XII株は、PCR−リボタイプ056を有しうる;及び/又は、C.ディフィシル株は、PCR−リボタイプ046又は369を有しうる。幾つかの実施形態では、抗体は、0、III、IV、V、及びVIIIからなる群より選択される毒素遺伝子変異型を有するC.ディフィシル株、例えば、これらの毒素遺伝子変異型の各々の株などによって産生されたトキシンA及び/又はトキシンBを中和しうる(すなわち、C.ディフィシル株の毒素遺伝子変異型0、III、IV、V、及びVIIIによって産生されたトキシンA及び/又はトキシンBを中和する抗体)。幾つかのこのような実施形態では、毒素遺伝子変異型0株はPCR−リボタイプ012を有してよく、毒素遺伝子変異型III株はPCR−リボタイプ027を有してよく、毒素遺伝子変異型IV株はPCR−リボタイプ023を有してよく、毒素遺伝子変異型V株はPCR−リボタイプ078を有してよく、毒素遺伝子変異型VIII株はPCR−リボタイプ017を有しうる。幾つかの実施形態では、抗体は、毒素遺伝子変異型III、IV及びVのC.ディフィシル株によって産生されたトキシンA及び/又はトキシンBを中和しうる。幾つかのこのような実施形態では、毒素遺伝子変異型III株はPCR−リボタイプ027を有してよく、毒素遺伝子変異型IV株はPCR−リボタイプ023を有してよく、及び/又は、毒素遺伝子変異型V株はPCR−リボタイプ078を有しうる。当業者が理解するように、他の実施形態もまた本開示において予定されている。
本開示はまた、CDTを発現しないC.ディフィシル株(例えば、C.ディフィシル株VPI10463/ATCC43255)に由来する、不活化された精製C.ディフィシルトキシンA及び不活化された精製C.ディフィシルトキシンBを含む組成物を宿主に投与することによる、C.ディフィシル二元毒素(CDT)を発現する1種類以上のC.ディフィシル株に対し、宿主に免疫及び/又はワクチン接種する方法も提供する。幾つかのこのような実施形態では、宿主は、0、III、IV、V及び/又はVIIIからなる群より選択される毒素遺伝子変異型を有する1種類以上のC.ディフィシル株に対して、それぞれ、免疫及び/又はワクチン接種されうる。幾つかのこのような実施形態では、宿主は、III、IV及びVからなる群より選択される毒素遺伝子変異型を有する1種類以上のC.ディフィシル株、例えばこのような毒素遺伝子変異型の各々の株などに対して、免疫及び/又はワクチン接種されうる(すなわち、宿主は、それぞれ、毒素遺伝子変異型III、IV及びVを有するC.ディフィシル株に対して、免疫及び/又はワクチン接種される)。幾つかの実施形態では、毒素遺伝子変異型III株はPCR−リボタイプ027を有してよく、毒素遺伝子変異型IV株はPCR−リボタイプ023を有してよく、毒素遺伝子変異型V株はPCR−リボタイプ078を有しうる。幾つかの実施形態では、このような方法から生じる、C.ディフィシルによって引き起こされる疾患及び死亡に対する有意な防御が、宿主にもたらされうる。幾つかの実施形態では、防御(例えば、免疫付与及び/又はワクチン接種)は、ゴールデンシリアンハムスターモデルを使用して決定されうる。幾つかの実施形態では、組成物を、少なくとも3回、宿主に投与することができ、その間隔は、7日間、10日間、又は14日間(2週間)のいずれかなどの十分な期間とすることができ、投与間隔は同一であっても異なっていてもよい。投与は、いずれかの投与経路で行うことができるが、幾つかの実施形態では、組成物は、筋肉内経路によって投与されうる。幾つかの実施形態では、C.ディフィシルのCDT+株を用いたチャレンジ後のハムスターの群についての生存率は、約58%〜約100%である。幾つかの実施形態では、防御は、統計学的に有意でありうる。幾つかの実施形態では、統計学的有意性は、ログ・ランク検定を用いたカプラン・マイヤーの方法、及び/又は、フィッシャーの正確両側確率検定によって決定されうる(例えば、ハムスターの群についてなど:カプラン・マイヤーログ・ランク検定でp=0.0001及びフィッシャーの正確両側確率検定でp=0.0004;カプラン・マイヤーログ・ランク検定でp<0.001及びフィッシャーの正確両側確率検定でp値=0.005;カプラン・マイヤーログ・ランク検定及びフィッシャーの正確両側確率検定の両方でp値≦0.0001;及び/又は、カプラン・マイヤーログ・ランク検定でp=0.0046及びフィッシャーの正確両側確率検定でp値=0.0020)。当業者に理解されるように、他の実施形態もまた本開示において予定されている。
よって、幾つかの実施形態では、CDTを発現しないC.ディフィシル株に由来する、不活化された精製C.ディフィシルトキシンA及び不活化された精製C.ディフィシルトキシンBを含む組成物は、CDT又はそれらのサブユニットを含まない。幾つかの実施形態では、C.ディフィシルトキシンA及びトキシンBは、C.ディフィシル毒素遺伝子変異型0に由来しうる。幾つかの実施形態では、精製されたC.ディフィシルトキシンA及び精製されたC.ディフィシルトキシンBは、C.ディフィシル株VPI10463/ATCC43255に由来しうる。幾つかの実施形態では、トキシンA及びトキシンBは、ホルムアルデヒドとともに約15〜32℃で約2〜約21日間インキュベーションすることによって、不活化することができ、ここで、トキシンAは、0.15%〜0.5%のホルムアルデヒド(w/v)で不活化され、トキシンBは、0.15%〜0.8%のホルムアルデヒド(w/v)で不活化されうる。幾つかの実施形態では、組成物は、約0.001%〜0.020%のホルムアルデヒド(例えば、約0.004%、約0.008%、又は約0.016%のホルムアルデヒド)を含みうる。幾つかの実施形態では、トキソイドA及びトキソイドBは、5:1〜1:5のA:B比(例えば、約3:1又は3:2)で組成物中に存在しうる。幾つかの実施形態では、組成物は、フリーズドライ、噴霧乾燥、又は泡沫乾燥されうる。幾つかの実施形態では、組成物は液体形態でありうる。幾つかの実施形態では、組成物は、1種類以上の薬学的に許容される賦形剤を含みうる。幾つかの実施形態では、組成物は、クエン酸、リン酸、グリシン、炭酸、又は重炭酸のバッファ、あるいは、pH調整された水溶液及び/又は1つ以上の糖及び/又は糖アルコールを含みうる。幾つかの実施形態では、組成物は、スクロース及び/又はクエン酸を含みうる。幾つかの実施形態では、組成物は、アルミニウム(例えば、リン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウム)を含むものなど、アジュバントをさらに含みうる。幾つかの実施形態では、組成物は、約20μg〜約160μgの水酸化アルミニウムを含みうる。当業者に理解されるように、他の実施形態もまた本開示において予定されている。
「精製された」トキシンとは、典型的には、トキシンが、当技術分野で知られた方法を使用して、例えば培養濾液から、単離され、かつ、少なくともある程度、精製されていることを意味する。トキシンを精製する例となる方法は、例えば本明細書に記載される。幾つかの実施形態では、精製されたトキシンは、約75%、80%、85%、90%、95%、99%又はそれ以上のいずれかの純度を有しうる。同様に、「精製された」トキソイドは、約75%、80%、85%、90%、95%、99%又はそれ以上のいずれかの純度を有するトキソイドでありうる。
「約」、「およそ」、及び同様の用語は、数値のリスト又は範囲に先行する場合、リスト又は範囲内の各個別の値があたかもその用語の直後にあったかのように、独立して、リスト又は範囲内の各個別の値を指す。用語は、その値が、正確にその値である、その値に近い、またはその値と類似していることを指すことを意味する。例えば、用語「約」又は「およそ」は、指示値の±10%の値を含みうる(例えば、「約30℃」は、30℃を含むがそれに限られない、27℃〜33℃のいずれかの値を意味しうる)。
用語「対象」及び「宿主」は、本明細書では互換的に用いられうる。
用語「インキュベート」、「混合」、及び「保管」(若しくはそれらの同義語及び/又は派生語)は、互換的に用いられうる。例えば、トキシンは、ホルムアルデヒドを含む溶液とともにインキュベートされうる。このようなインキュベーションは、必要に応じて、例えば、組成物、が運動によって(例えば、ミキシングバーなどを使用して)積極的に混合されていること、あるいは、本質的に定常状態で維持されていることを意味しうる。
随意的な又は必要に応じてとは、その後に記載される事象又は状況が生じても生じなくてもよいこと、及び、その説明が、その事象又は状況が生じる場合と生じない場合とを含むことを意味する。例えば、組成物が必要に応じてある組合せを含みうるという表現は、組成物が異なる分子の組合せを含んでも含まなくてもよいことを意味し、したがって、その説明は、組合せ及び組合せの欠如の両方(すなわち、組合せの個別の成員)を含む。
範囲は、本明細書では、約1つの特定の値から、及び/又は、約別の特定の値までとして表される。このような範囲が表される場合、別の態様は、その1つの特定の値から、及び/又は、他の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞約又はおよそを使用して近似値で表される場合、その特定の値は別の態様を形成することが理解されよう。範囲の各々の端点は、他の端点に関連して、及び他の端点とは独立してのいずれにおいても重要であることもさらに理解されよう。範囲(例えば、90〜100%)は、その範囲自体、並びに、あたかも各値が個別に列挙されているかのように、該範囲内の各個別の値を含むことが意図されている。
用語予防する(prevent、preventing)、及び予防(prevention)という用語が、所与の疾患のための所与の処置(例えば、症候性感染症の予防)に関して本明細書中で用いられる場合、臨床的に観察可能なレベルの疾患を全く発症させないか、あるいは、彼/彼女が、処置がない場合に有するであろうよりもゆっくりと及び/又は低い度合いで発症することを意味することが意図される。これらの用語は、対象がそうした状態の態様を全く経験しない状況だけに限られない。例えば、処置は、そうでない場合に予想される疾患の症状よりも少ない及び/又は軽い症状を対象が経験する結果をもたらす場合に、症候性感染症を予防したとされる。処置は、感染症の軽度の顕性症状のみを示す対象をもたらすことによって、症候性感染症を「予防」できるのであり、感染微生物による細胞への浸透がなかったに違いないということを含意するものではない。
同様に、所与の処置とともに症候性感染症の危険性に関連して本明細書で用いられる、低減する(reduce、reducing)、及び低減(reduction)(例えば、症候性のC.ディフィシル感染症の危険性の低減)とは、典型的には、対象が、処置(例えば、開示されるトキソイドを用いる投与又はワクチン接種)をされない場合に感染症を発症する対照又は基礎レベルと比較して、よりゆっくりと又は低い度合いで感染症を発症することを指す。症候性感染症の危険性の低減によって、感染症の軽度の顕性症状又は感染症の遅延症状しか示さない対象をもたらしうるが、これは、感染微生物による細胞への浸透がなかったに違いないということを含意するものではない。
本開示内で引用される参考文献はすべて、その全体が参照することにより本明細書に取り込まれる。ある特定の実施形態が以下の実施例にさらに記載される。これらの実施形態は、単なる例として提供されるのであって、多少なりとも特許請求の範囲を限定することは意図されていない。
以下の実施例は、単に説明の目的で提供されるのであって、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。形態の変更及び等価物の置換は、状況が示唆しうる、又は適切な方法を与えうる場合には、企図されている。本明細書において特定の用語が用いられてきたが、このような用語は説明的な意味において企図されるものであって、限定の目的ではない。本開示及びこれらの実施例において使用されるが明示的に説明されていない、分子遺伝学、タンパク質生化学、及び免疫学の方法は、科学文献に詳細に報告されており、当業者の能力の範囲に十分に入る。
実施例1
C.ディフィシル・ワーキングシード(株VPI10463/ATCC43255)を使用して、大豆ペプトン、酵母抽出物、リン酸バッファ及び重炭酸ナトリウムを含む、pH6.35〜7.45の事前調整された培地(SYS培地)に植菌し、4mLのワーキングセルバンク(WCB)バイアルから160Lの培養へとスケールアップした。所望の密度及び10〜12時間のインキュベーション期間に達した後、160Lの培養物全体を、清澄化及び0.2μm濾過の目的で処理した。もう1つの生産発酵槽から培養物を採取し、膜濾過(例えば、メンブレンフィルタを使用)に供して、C.ディフィシル細胞及び細胞破片不純物を除去した。結果として得られた清澄化された培養濾液を濃縮し、タンジェンシャルフロー濾過によって、pH7.5の50mMトリス/NaCl/0.2mM EDTA/1mM DTT中に透析濾過した。結果として得られた溶液を、メンブレンフィルタを使用して濾過し、硫酸アンモニウムの濃度を上昇させ(例えば約0.4Mまで)、次に、さらなる濾過を行った(例えば、メンブレンフィルタを使用)。この水溶液は、C.ディフィシルトキシンA及びトキシンBを含んでいた。該水溶液を疎水性相互作用クロマトグラフィに供した。C.ディフィシルトキシンをセファロースカラムに結合させた。該カラムをトリスバッファで洗浄し、C.ディフィシルトキシンの2つの画分を、DTT及びIPAを含むトリスバッファを用いて溶出させた。HICから溶出させた2つのトキシン画分をプールし、WFIを使用して伝導度を9mS以下に調整した。C.ディフィシルトキシン(プールされた溶出液中)を、アニオン交換クロマトグラフィによってさらに精製した。溶出した水溶液をアニオン交換カラムに通し、トキシンをカラムに結合させた。該カラムをトリスバッファで平衡化し、トキシンAを低塩トリスバッファで溶出し、トキシンBを高塩トリスバッファで溶出した。精製されたトキシンA及び精製されたトキシンBを各々濃縮し、pH7の100mM PO4中に透析濾過した。タンパク質濃度は約0.5mg/mLであり、各トキシンの純度は90%以上であった。
C.ディフィシル・ワーキングシード(株VPI10463/ATCC43255)を使用して、大豆ペプトン、酵母抽出物、リン酸バッファ及び重炭酸ナトリウムを含む、pH6.35〜7.45の事前調整された培地(SYS培地)に植菌し、4mLのワーキングセルバンク(WCB)バイアルから160Lの培養へとスケールアップした。所望の密度及び10〜12時間のインキュベーション期間に達した後、160Lの培養物全体を、清澄化及び0.2μm濾過の目的で処理した。もう1つの生産発酵槽から培養物を採取し、膜濾過(例えば、メンブレンフィルタを使用)に供して、C.ディフィシル細胞及び細胞破片不純物を除去した。結果として得られた清澄化された培養濾液を濃縮し、タンジェンシャルフロー濾過によって、pH7.5の50mMトリス/NaCl/0.2mM EDTA/1mM DTT中に透析濾過した。結果として得られた溶液を、メンブレンフィルタを使用して濾過し、硫酸アンモニウムの濃度を上昇させ(例えば約0.4Mまで)、次に、さらなる濾過を行った(例えば、メンブレンフィルタを使用)。この水溶液は、C.ディフィシルトキシンA及びトキシンBを含んでいた。該水溶液を疎水性相互作用クロマトグラフィに供した。C.ディフィシルトキシンをセファロースカラムに結合させた。該カラムをトリスバッファで洗浄し、C.ディフィシルトキシンの2つの画分を、DTT及びIPAを含むトリスバッファを用いて溶出させた。HICから溶出させた2つのトキシン画分をプールし、WFIを使用して伝導度を9mS以下に調整した。C.ディフィシルトキシン(プールされた溶出液中)を、アニオン交換クロマトグラフィによってさらに精製した。溶出した水溶液をアニオン交換カラムに通し、トキシンをカラムに結合させた。該カラムをトリスバッファで平衡化し、トキシンAを低塩トリスバッファで溶出し、トキシンBを高塩トリスバッファで溶出した。精製されたトキシンA及び精製されたトキシンBを各々濃縮し、pH7の100mM PO4中に透析濾過した。タンパク質濃度は約0.5mg/mLであり、各トキシンの純度は90%以上であった。
37%のホルムアルデヒド溶液をトキシンA透析濾過液及びトキシンB透析濾過液の各々に無菌的に加え、0.42%の最終濃度を得た。溶液を混合し、その後2〜8℃で18〜22日間、保管した。不活化後、トキシン透析濾過液を調製用バッファ(20mMクエン酸/5%スクロース、pH7.5)中に透析した。37%のホルムアルデヒド溶液を加えることによって、必要に応じてホルムアルデヒド濃度を調整した。トキソイドA及びBを3:2の重量比(A:B)で合わせ、凍結乾燥した。凍結乾燥された生成物は、トキソイドA(0.24mg/mL)、トキソイドB(0.16mg/mL)、20mMクエン酸ナトリウム、5%(w/v)スクロース、及び指示濃度のホルムアルデヒドを含んでいた。
37℃で6週間にわたり、復帰の可能性を観察するために、復帰分析を行った。トキソイドA及びトキソイドBを含む組成物に、異なる量の残存ホルムアルデヒド(0%、0.008%、及び0.016%(w/v))を調合し、37℃又は4℃のいずれかで保管し、毎週1回、6週間の細胞毒性アッセイによって試験した。これらの試験データを表1に記載する。4℃では、製剤は、残存ホルムアルデヒドを添加しない場合であっても、復帰分析に合格する。しかしながら、37℃では、復帰試験に合格するには0.016%の残存ホルムアルデヒドを必要とする。
実施例2
37℃で安定なトキソイドをもたらすであろうトキソイド化方法を特定するために、本明細書に記載される実験を行った。C.ディフィシル・ワーキングシード(株VPI10463/ATCC43255)を使用して、無菌の使い捨てバッグ内の事前調整された培地(大豆ペプトン、酵母抽出物、リン酸バッファ及びD−ソルビトール含有、pH7.1〜7.3)に植菌し、目標とするODが達成されるまで、培養物を35〜39℃でインキュベートした。30Lのシード1培養物を使用して、250Lの無菌の使い捨ての培養バッグ中の培地に植菌し、目標とするODが達成されるまで、培養物を35〜39℃でインキュベートした。シード2培養物を使用して、1000Lの無菌の使い捨ての培養バッグに植菌し、目標とするODが達成されるまで、培養物を35〜39℃でインキュベートした。もう1つの生産発酵槽から培養物を採取し、深層濾過(例えば、Pall Depth 700p/80p/0.2μm 0.02m2/Lを使用)に供し、C.ディフィシル細胞及び細胞破片不純物を除去し、同時に冷却して(例えば、約37℃〜19℃)、プロテアーゼ活性を制限した。結果として得られた清澄化された培養濾液を濃縮し、フラットストックMilliporeを使用するタンジェンシャルフロー濾過によって、約4℃の温度で(プロテアーゼ活性を低下させるため)、DTTを加えずに、pH7.5〜8.0の25mMトリス/50mM NaCl/0.2mM EDTA中に、透析濾過した。結果として得られた溶液を、メンブレンフィルタを使用して濾過し、硫酸アンモニウム濃度を上昇させ(例えば約0.9Mまで)、その後さらなる濾過を行った(例えば、メンブレンフィルタを使用)。この水溶液は、C.ディフィシルトキシンA及びトキシンBを含んでいた。該水溶液を疎水性相互作用クロマトグラフィに供した。C.ディフィシルトキシンをブチルセファロース樹脂(例えば、GEブチルS FF セファロースなど)に結合させた。カラムを、pH8.0の0.9mM硫酸アンモニウム、25mMトリスで洗浄し、C.ディフィシルトキシンをpH8.0の25mMのトリスで溶出し、WFIを使用して、伝導度を7mS以下に調整した。C.ディフィシルトキシン(溶出液中)を、アニオン交換クロマトグラフィによってさらに精製した。溶出した水溶液をアニオン交換カラム(例えば、Tosoh Q 650 M)に通し、トキシンをカラムに結合させた。該カラムをpH7.5の25mMのトリスで平衡化し、トキシンAをpH8.0の25mMのトリス中、27mMのMgCl2で溶出し、トキシンBをpH8.0の25mMのトリス中、135mMのMgCl2で溶出した。精製されたトキシンA及び精製されたトキシンBを各々濃縮し、最初に、25mMのトリス中に透析濾過し(例えば、MgCl2の除去のため)、その後、pH7の100mM PO4中に透析濾過した。トキシンAの平均収量は、発酵1Lあたり純粋なトキシン約0.021gであり(UV280)、SDS Pageで評価した純度は平均で約97.2%であった。トキシンBの平均収量は、発酵1Lあたり純粋なトキシン約0.011gであり(UV280)、SDS Pageで評価した純度は平均で約93.9%であった。このプロセスから生成されるトキシンは、90%以上の純度を示し、また、以前のプロセス工程で残されたマトリクス残渣(例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス))の低下も示している。実質的に実施例1に記載されるプロセスに起因する、トキシンマトリクス中の残存トリス値は、およそ100〜800μg/ml変動したのに対し、この実施例に記載される精製プロセスに由来するトキシンマトリクス中の残存トリス値は1μg/ml未満(すなわち、検出限界未満)である。ホルムアルデヒドとのトキソイド化反応に関しては、トリスは、ホルムアルデヒド媒介修飾についてタンパク質と効果的に競合可能なアミン基を有し、それによって、反応混合物中の有効ホルムアルデヒド濃度を低下させる。したがって、データは、このプロセスで生成されるトキソイドについてのトキソイド化速度論が、実施例1に記載されるプロセスによって調製されたトキソイドについての速度論と比較して速いことを示唆している。
37℃で安定なトキソイドをもたらすであろうトキソイド化方法を特定するために、本明細書に記載される実験を行った。C.ディフィシル・ワーキングシード(株VPI10463/ATCC43255)を使用して、無菌の使い捨てバッグ内の事前調整された培地(大豆ペプトン、酵母抽出物、リン酸バッファ及びD−ソルビトール含有、pH7.1〜7.3)に植菌し、目標とするODが達成されるまで、培養物を35〜39℃でインキュベートした。30Lのシード1培養物を使用して、250Lの無菌の使い捨ての培養バッグ中の培地に植菌し、目標とするODが達成されるまで、培養物を35〜39℃でインキュベートした。シード2培養物を使用して、1000Lの無菌の使い捨ての培養バッグに植菌し、目標とするODが達成されるまで、培養物を35〜39℃でインキュベートした。もう1つの生産発酵槽から培養物を採取し、深層濾過(例えば、Pall Depth 700p/80p/0.2μm 0.02m2/Lを使用)に供し、C.ディフィシル細胞及び細胞破片不純物を除去し、同時に冷却して(例えば、約37℃〜19℃)、プロテアーゼ活性を制限した。結果として得られた清澄化された培養濾液を濃縮し、フラットストックMilliporeを使用するタンジェンシャルフロー濾過によって、約4℃の温度で(プロテアーゼ活性を低下させるため)、DTTを加えずに、pH7.5〜8.0の25mMトリス/50mM NaCl/0.2mM EDTA中に、透析濾過した。結果として得られた溶液を、メンブレンフィルタを使用して濾過し、硫酸アンモニウム濃度を上昇させ(例えば約0.9Mまで)、その後さらなる濾過を行った(例えば、メンブレンフィルタを使用)。この水溶液は、C.ディフィシルトキシンA及びトキシンBを含んでいた。該水溶液を疎水性相互作用クロマトグラフィに供した。C.ディフィシルトキシンをブチルセファロース樹脂(例えば、GEブチルS FF セファロースなど)に結合させた。カラムを、pH8.0の0.9mM硫酸アンモニウム、25mMトリスで洗浄し、C.ディフィシルトキシンをpH8.0の25mMのトリスで溶出し、WFIを使用して、伝導度を7mS以下に調整した。C.ディフィシルトキシン(溶出液中)を、アニオン交換クロマトグラフィによってさらに精製した。溶出した水溶液をアニオン交換カラム(例えば、Tosoh Q 650 M)に通し、トキシンをカラムに結合させた。該カラムをpH7.5の25mMのトリスで平衡化し、トキシンAをpH8.0の25mMのトリス中、27mMのMgCl2で溶出し、トキシンBをpH8.0の25mMのトリス中、135mMのMgCl2で溶出した。精製されたトキシンA及び精製されたトキシンBを各々濃縮し、最初に、25mMのトリス中に透析濾過し(例えば、MgCl2の除去のため)、その後、pH7の100mM PO4中に透析濾過した。トキシンAの平均収量は、発酵1Lあたり純粋なトキシン約0.021gであり(UV280)、SDS Pageで評価した純度は平均で約97.2%であった。トキシンBの平均収量は、発酵1Lあたり純粋なトキシン約0.011gであり(UV280)、SDS Pageで評価した純度は平均で約93.9%であった。このプロセスから生成されるトキシンは、90%以上の純度を示し、また、以前のプロセス工程で残されたマトリクス残渣(例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス))の低下も示している。実質的に実施例1に記載されるプロセスに起因する、トキシンマトリクス中の残存トリス値は、およそ100〜800μg/ml変動したのに対し、この実施例に記載される精製プロセスに由来するトキシンマトリクス中の残存トリス値は1μg/ml未満(すなわち、検出限界未満)である。ホルムアルデヒドとのトキソイド化反応に関しては、トリスは、ホルムアルデヒド媒介修飾についてタンパク質と効果的に競合可能なアミン基を有し、それによって、反応混合物中の有効ホルムアルデヒド濃度を低下させる。したがって、データは、このプロセスで生成されるトキソイドについてのトキソイド化速度論が、実施例1に記載されるプロセスによって調製されたトキソイドについての速度論と比較して速いことを示唆している。
トキソイド化プロセスにおいて、温度及びホルムアルデヒド濃度に関して実験を行い、トキソイド化インキュベーション期間の関数として解析した。本目的は、先のプロセス(実施例1に記載される)を使用して生成したトキソイドと比べて、同レベルの免疫原性を維持しつつ、より良好な安全性プロファイル及びより良好な復帰特性をもたらす、確固たるトキソイド化プロセスを開発することであった。最小量の残存ホルムアルデヒドしか有さずに、37℃で復帰分析に合格する製剤を生産するであろうトキソイド化条件が所望された。これらの実験では、トキシン濃度を0.5mg/mlに固定し、反応はすべて、pH7.0の100mMリン酸ナトリウムバッファ中で行った。トキソイド化反応の各々について評価した温度は、4℃、15℃及び25℃であった。ホルムアルデヒド濃度は、トキソイドAの反応については0.21%(「0.2%」)〜0.42%(「0.4%」)の間で変動し、トキソイドBの反応については0.42%(「0.4%」)〜0.84%(「0.8%」)の間で変動した。各反応条件について、トキシン濃度を0.5mg/mlに調整し、100mlスケールで行った。次に、個別の反応の各々について目標濃度に達するように、37パーセント(37%)のホルムアルデヒドを加えた。反応を5〜10分間、穏やかに攪拌し、目標温度でインキュベータ内に置いた(インキュベーション1時間以内に目標温度に達した)。個別の反応の各々を毎日、最長21日間にわたり、モニタした。試料を抜き取り、細胞毒性分析、AEX−HPLC、SEC−HPLC、SDS−PAGE及びTNBSアッセイによって分析した。トキソイド化条件に応じたある特定の時間間隔で、試料を抜き取り、調合し、動物実険、復帰分析及びELISA試験を行った。
速度論的細胞毒性分析
トキソイド化反応に続き、細胞毒性分析を行い、したがって、試料を反応混合物から毎日直接抜き取り、同日分析に供した。トキソイド化プロセスに続いて、IMR90細胞において細胞毒性分析を行い、トキソイド化の速度論は単相性であり、トキシンAは細胞毒性の中和に平均5±1日かかり、トキシンBは13±2日近くかかった(反応全体では3倍の安全マージンを満たしていない)。1つのバッチを使用して得られたデータを図1に示す。y軸は、物質の毒性の反映であり、毒性物質の存在下で、50%の細胞が正常な線状形態の代わりに丸くなる、最小濃度を表す、MC50値を含む。2つのトキシンのMC50値は1000倍異なっていた;Bは、低いpg/ml範囲のMC50値を有し、より細胞毒性であった。これらの実験において200μg/mlの最高濃度で試験した場合に細胞毒性がなかったことから、トキソイドについての絶対MC50値は不明あった。不活化プロセスの全期間は18〜21日間であった。
トキソイド化反応に続き、細胞毒性分析を行い、したがって、試料を反応混合物から毎日直接抜き取り、同日分析に供した。トキソイド化プロセスに続いて、IMR90細胞において細胞毒性分析を行い、トキソイド化の速度論は単相性であり、トキシンAは細胞毒性の中和に平均5±1日かかり、トキシンBは13±2日近くかかった(反応全体では3倍の安全マージンを満たしていない)。1つのバッチを使用して得られたデータを図1に示す。y軸は、物質の毒性の反映であり、毒性物質の存在下で、50%の細胞が正常な線状形態の代わりに丸くなる、最小濃度を表す、MC50値を含む。2つのトキシンのMC50値は1000倍異なっていた;Bは、低いpg/ml範囲のMC50値を有し、より細胞毒性であった。これらの実験において200μg/mlの最高濃度で試験した場合に細胞毒性がなかったことから、トキソイドについての絶対MC50値は不明あった。不活化プロセスの全期間は18〜21日間であった。
トキシンA及びトキシンBのトキソイド化反応についての細胞毒性分析データを表2に示す。表2は、ホルムアルデヒドとトキシンとの別々の反応の各々について、細胞毒性の損失を示すのに必要とされる時間量(日数による)を示している。トキシンA及びトキシンBについてのトキソイド化反応のデータから、幾つかの一般的な傾向が明らかになっている。ホルムアルデヒド濃度が上昇するにつれて、トキシンの不活化に必要な時間は減少する。加えて、反応の温度が上昇するにつれて、トキシンの不活化に必要な時間はやはり減少する。データは、温度又はホルムアルデヒド濃度のいずれかの上昇に伴い、トキソイド化の速度が加速されることを示唆している。多くの可能性のある条件が速度論的細胞毒性分析から特定されており、データは、細胞毒性の初期喪失の3倍を外挿することによって、3倍の安全マージンが達成されうることを示唆している。例えば、トキシンAは、0.2%ホルムアルデヒドを用いて25℃で2日間で無毒化され、したがって、適切な安全マージンを適用すると、反応は、最小限で6日間、継続されることになろう。さまざまなトキソイド化反応条件が期待に沿うものである。
DoE反応の速度論的AEX−HPLC分析
AEX−HPLC(拡張勾配方法)を、異なるトキソイド化パラメータをさらに評価するためのツールとして使用することができる。AEXプロファイルは、適切なトキソイド化条件の絞り込みに有益な手段でありうる。トキソイドA及びトキソイドBのいずれについても、AEXクロマトグラムにおいて、いずれもトキシンより長い保持時間を有する、2つの部分母集団が観察される。ピーク母集団は、反応が進行するにつれてシフトし、トキシンに対するさらなる修飾が示唆される。潜在的に、これは、タンパク質の電荷特性を正電荷がより少なくなるように変化させ、それによってカラム樹脂(第四級アンモニウム樹脂)との結合親和力を高める、トキシン上のアミン基と反応するホルムアルデヒドを反映している。温度及びホルムアルデヒド濃度は、より多くのホルムアルデヒドタンパク質修飾を示す、時間の関数としてのピーク母集団プロファイルに影響を及ぼし、「シフト」させうる;トキシンA及びトキシンBのいずれのトキソイド化反応についても、温度及びホルムアルデヒド濃度の上昇とともに、第2のピーク母集団へのより急速なシフトが観察される。評価の見地から、より多くのタンパク質修飾を確実にするために、第2のピーク位置に単分散プロファイルを有することがより望ましいであろう。トキソイドAについては、0.21%ホルムアルデヒド、25℃、>6日間、又は0.42%ホルムアルデヒド、15℃、>6日間の条件で、所望の単分散型の第2のピークプロファイルを得た。トキソイドBについては、0.4%又は0.8%ホルムアルデヒド、15℃、>10日間;又は、0.4%ホルムアルデヒド、25℃、>5日間の条件で、所望の単分散型の第2のピークプロファイルを結果的に生じた。ホルムアルデヒドの最高濃度及び最高温度での反応が、時間の関数として、より多くのトキソイド母集団の生成を開始し、より広範なタンパク質修飾が示唆される(特に、0.4%ホルムアルデヒド、25℃におけるAのトキソイド化の場合)ことに留意することが重要である。
AEX−HPLC(拡張勾配方法)を、異なるトキソイド化パラメータをさらに評価するためのツールとして使用することができる。AEXプロファイルは、適切なトキソイド化条件の絞り込みに有益な手段でありうる。トキソイドA及びトキソイドBのいずれについても、AEXクロマトグラムにおいて、いずれもトキシンより長い保持時間を有する、2つの部分母集団が観察される。ピーク母集団は、反応が進行するにつれてシフトし、トキシンに対するさらなる修飾が示唆される。潜在的に、これは、タンパク質の電荷特性を正電荷がより少なくなるように変化させ、それによってカラム樹脂(第四級アンモニウム樹脂)との結合親和力を高める、トキシン上のアミン基と反応するホルムアルデヒドを反映している。温度及びホルムアルデヒド濃度は、より多くのホルムアルデヒドタンパク質修飾を示す、時間の関数としてのピーク母集団プロファイルに影響を及ぼし、「シフト」させうる;トキシンA及びトキシンBのいずれのトキソイド化反応についても、温度及びホルムアルデヒド濃度の上昇とともに、第2のピーク母集団へのより急速なシフトが観察される。評価の見地から、より多くのタンパク質修飾を確実にするために、第2のピーク位置に単分散プロファイルを有することがより望ましいであろう。トキソイドAについては、0.21%ホルムアルデヒド、25℃、>6日間、又は0.42%ホルムアルデヒド、15℃、>6日間の条件で、所望の単分散型の第2のピークプロファイルを得た。トキソイドBについては、0.4%又は0.8%ホルムアルデヒド、15℃、>10日間;又は、0.4%ホルムアルデヒド、25℃、>5日間の条件で、所望の単分散型の第2のピークプロファイルを結果的に生じた。ホルムアルデヒドの最高濃度及び最高温度での反応が、時間の関数として、より多くのトキソイド母集団の生成を開始し、より広範なタンパク質修飾が示唆される(特に、0.4%ホルムアルデヒド、25℃におけるAのトキソイド化の場合)ことに留意することが重要である。
速度論的SEC−HPLC分析
SECプロファイルは、適切なトキソイド化条件の絞り込みに有益な手段でありうる。クロマトグラムは、ホルムアルデヒド誘導性の分子間架橋の結果として起こりうる多量体化の程度に対する洞察を与えることができる。トキソイドにおける多量体化の量を最小限に抑え、かつ、実施例1で生成された生成物を用いた場合と同様のプロファイルを達成することが所望される。個々の反応をSEC−MALSで毎日モニタリングし、多量体化の発現について定性的に分析した。トキソイドBの反応について分析した条件はすべて、多量体化を示さなかった。トキソイドAについては、主に、ホルムアルデヒドの最高濃度を用いた条件で、過剰の多量体化が観察された。よって、SEC−MALSデータでは、温度、時間又はホルムアルデヒド濃度に関して、トキソイドB条件は識別されない。しかしながら、データは、温度及びホルムアルデヒド濃度がともに高くなると、トキソイドAの多量体化を生じうることを示唆している。
SECプロファイルは、適切なトキソイド化条件の絞り込みに有益な手段でありうる。クロマトグラムは、ホルムアルデヒド誘導性の分子間架橋の結果として起こりうる多量体化の程度に対する洞察を与えることができる。トキソイドにおける多量体化の量を最小限に抑え、かつ、実施例1で生成された生成物を用いた場合と同様のプロファイルを達成することが所望される。個々の反応をSEC−MALSで毎日モニタリングし、多量体化の発現について定性的に分析した。トキソイドBの反応について分析した条件はすべて、多量体化を示さなかった。トキソイドAについては、主に、ホルムアルデヒドの最高濃度を用いた条件で、過剰の多量体化が観察された。よって、SEC−MALSデータでは、温度、時間又はホルムアルデヒド濃度に関して、トキソイドB条件は識別されない。しかしながら、データは、温度及びホルムアルデヒド濃度がともに高くなると、トキソイドAの多量体化を生じうることを示唆している。
速度論的アミン含量(TNBS)分析
ホルマリン介在性のトキソイド化により、反応を通じてタンパク質における遊離アミン含量(例えば、リシンのε−アミノ基)が結果的に低下し、ホルムアルデヒドをベースとした部分が形成される。以前の物質に対し、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)アッセイを使用して修飾の度合いをモニタリングする試みがなされ、反応終了時における修飾の度合いは、トキソイドA及びBについて、それぞれ、およそ35%及び65%であることが分かった(残りの遊離アミン含量から逆算)。この実験では、TNBSアッセイを使用して、遊離アミン含量についてもモニタリングした。条件は、温度及び時間が増加するにつれて、%遊離アミン含量は、漸近線により急速に近づくことを示している。よって、アミン修飾の度合いは、最大でトキシンAについてはおよそ40%、トキシンBについては75%(残りの遊離アミン含量から逆算)と推定されうる。アミン含量は、細胞毒性の損失とほとんど相関関係がないが、ホルムアルデヒドとトキシンとの反応の度合いの追跡に使用することができる。例えば、アミン修飾は、25℃において、Aに関しては6日間及びBに関してはおよそ10日間で完了するように見える。反応がより低温で行われる場合、同程度のアミン修飾の達成に要する時間は増加する。よって、データから、温度が高くなると、より短期間でより完全な反応を生じるであろうことが示唆される。
ホルマリン介在性のトキソイド化により、反応を通じてタンパク質における遊離アミン含量(例えば、リシンのε−アミノ基)が結果的に低下し、ホルムアルデヒドをベースとした部分が形成される。以前の物質に対し、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)アッセイを使用して修飾の度合いをモニタリングする試みがなされ、反応終了時における修飾の度合いは、トキソイドA及びBについて、それぞれ、およそ35%及び65%であることが分かった(残りの遊離アミン含量から逆算)。この実験では、TNBSアッセイを使用して、遊離アミン含量についてもモニタリングした。条件は、温度及び時間が増加するにつれて、%遊離アミン含量は、漸近線により急速に近づくことを示している。よって、アミン修飾の度合いは、最大でトキシンAについてはおよそ40%、トキシンBについては75%(残りの遊離アミン含量から逆算)と推定されうる。アミン含量は、細胞毒性の損失とほとんど相関関係がないが、ホルムアルデヒドとトキシンとの反応の度合いの追跡に使用することができる。例えば、アミン修飾は、25℃において、Aに関しては6日間及びBに関してはおよそ10日間で完了するように見える。反応がより低温で行われる場合、同程度のアミン修飾の達成に要する時間は増加する。よって、データから、温度が高くなると、より短期間でより完全な反応を生じるであろうことが示唆される。
抗原性の解析
酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)は、異なるトキソイド化パラメータをさらに評価するためのツールとしても用いられうる。生成物のELISAプロファイルを使用して、適切なトキソイド化条件を絞り込むことができる。生成されたトキソイドを、以前の物質から生成された抗体に対してELISAによって測定し、トキソイド化時間の関数として解析した。ここでは、ELISAを使用してトキシン量を検出し、280nmにおける吸光度を使用して測定された濃度と比較した。抗原がトキソイド化反応において進行するにつれて、ELISA値は低下する場合があり、実施例1のトキソイドで観察された反応からの変化が示唆される(多量体化を示唆する可能性)。アッセイにおいて変動性が示されたが、データは、より高温及びより高いホルムアルデヒド濃度によって、より低いELISA応答がもたらされることを示唆している。例えば、25℃での0.4%ホルムアルデヒドの使用により、25℃での0.2%ホルムアルデヒドよりも速い、ELISA値の低下が生じる。同じように、0.4%ホルムアルデヒド、25℃の条件では、4℃での0.4%ホルムアルデヒドにおけるものよりも速い、ELISA値の低下が生じる。評価ツールとして、ELISA応答を70%超に保つことが所望され、多くの条件が特定された。
酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)は、異なるトキソイド化パラメータをさらに評価するためのツールとしても用いられうる。生成物のELISAプロファイルを使用して、適切なトキソイド化条件を絞り込むことができる。生成されたトキソイドを、以前の物質から生成された抗体に対してELISAによって測定し、トキソイド化時間の関数として解析した。ここでは、ELISAを使用してトキシン量を検出し、280nmにおける吸光度を使用して測定された濃度と比較した。抗原がトキソイド化反応において進行するにつれて、ELISA値は低下する場合があり、実施例1のトキソイドで観察された反応からの変化が示唆される(多量体化を示唆する可能性)。アッセイにおいて変動性が示されたが、データは、より高温及びより高いホルムアルデヒド濃度によって、より低いELISA応答がもたらされることを示唆している。例えば、25℃での0.4%ホルムアルデヒドの使用により、25℃での0.2%ホルムアルデヒドよりも速い、ELISA値の低下が生じる。同じように、0.4%ホルムアルデヒド、25℃の条件では、4℃での0.4%ホルムアルデヒドにおけるものよりも速い、ELISA値の低下が生じる。評価ツールとして、ELISA応答を70%超に保つことが所望され、多くの条件が特定された。
免疫原性の分析
ハムスター力価アッセイによる免疫原性の測定を用いて、トキソイド化条件を評価することができる。現行仕様書は、トキソイドA及びトキソイドBについて4.8以上の平均Log10IgG力価応答を設定している。これらの実験から生成されたトキソイドを、これらを仕様書に従って評価し、以前の条件から誘導されたトキソイドから有意に低下した応答を有しなかったことから、さらに精査した。加えて、全ての可能性がある広がり(時間、温度及びホルムアルデヒド濃度に関して)について評価できるわけではないため、本明細書に記載される速度論的細胞毒性分析(3×安全マージン)並びに生理化学的特性に基づいて、トキソイドを選択した。トキソイドを、ハムスター力価アッセイ用に二価の物質(非凍結乾燥)として調合し、IgG応答について血清を分析した。すべてのトキソイド化条件が、力価の仕様(4.8Log10の平均IgG力価応答)に合格しただけでなく、以前(実施例1)の物質に対する力価応答と統計学的に同等の力価応答も有していた(有意差は示されなかった)。加えて、すべての血清について試験し(インビトロチャレンジアッセイを使用)、中和抗体活性を有していることが分かった。重要な品質特性として、データは、これらのトキソイド化条件がいずれも許容されうることを示唆している。
ハムスター力価アッセイによる免疫原性の測定を用いて、トキソイド化条件を評価することができる。現行仕様書は、トキソイドA及びトキソイドBについて4.8以上の平均Log10IgG力価応答を設定している。これらの実験から生成されたトキソイドを、これらを仕様書に従って評価し、以前の条件から誘導されたトキソイドから有意に低下した応答を有しなかったことから、さらに精査した。加えて、全ての可能性がある広がり(時間、温度及びホルムアルデヒド濃度に関して)について評価できるわけではないため、本明細書に記載される速度論的細胞毒性分析(3×安全マージン)並びに生理化学的特性に基づいて、トキソイドを選択した。トキソイドを、ハムスター力価アッセイ用に二価の物質(非凍結乾燥)として調合し、IgG応答について血清を分析した。すべてのトキソイド化条件が、力価の仕様(4.8Log10の平均IgG力価応答)に合格しただけでなく、以前(実施例1)の物質に対する力価応答と統計学的に同等の力価応答も有していた(有意差は示されなかった)。加えて、すべての血清について試験し(インビトロチャレンジアッセイを使用)、中和抗体活性を有していることが分かった。重要な品質特性として、データは、これらのトキソイド化条件がいずれも許容されうることを示唆している。
製剤(「DP」)の復帰分析
評価段階にあるトキソイド化条件を使用して調製したトキソイドA及びBを使用して、製剤(トキソイドA及びBを含む組成物)を調合した。調合物は、0%、0.004%のいずれか、及び、幾つかの事例では0.008%(w/v)の残存ホルムアルデヒドを含んでいた。トキソイドA又はB組成物からすべて(又は実質的にすべて)のホルムアルデヒドを除去し、次に、清澄化された組成物に指示量のホルムアルデヒドを混合することによって、調合物を調製した。製剤を37℃で行われる復帰分析に供した。製剤復帰分析のデータを表3に示す。試験において細胞毒性が陰性だった製剤は(−)と記されている。
評価段階にあるトキソイド化条件を使用して調製したトキソイドA及びBを使用して、製剤(トキソイドA及びBを含む組成物)を調合した。調合物は、0%、0.004%のいずれか、及び、幾つかの事例では0.008%(w/v)の残存ホルムアルデヒドを含んでいた。トキソイドA又はB組成物からすべて(又は実質的にすべて)のホルムアルデヒドを除去し、次に、清澄化された組成物に指示量のホルムアルデヒドを混合することによって、調合物を調製した。製剤を37℃で行われる復帰分析に供した。製剤復帰分析のデータを表3に示す。試験において細胞毒性が陰性だった製剤は(−)と記されている。
多くの製剤調合物が復帰分析に合格した(すなわち、37℃での保管後に検出可能な細胞毒性を有しなかった)。2つの製剤(0.004%又は0.008%ホルムアルデヒド(「残存ホルムアルデヒド」)を含む)は、37℃での保管後に、検出可能な細胞毒性を有しなかった:(i)0.2%ホルムアルデヒド、15℃で13日間のインキュベーションによって不活化されたトキソイドAと、0.8%ホルムアルデヒド、15℃で13日間のインキュベーションによって不活化されたトキソイドBとを含む製剤(表3、試験13及び14のパラメータ);及び、(ii)0.2%ホルムアルデヒド、25℃で6日間のインキュベーションによって不活化されたトキソイドAと、0.4%ホルムアルデヒド、25℃で13日間不活化されたトキソイドBとを含む製剤(表3、試験22及び23のパラメータ)。例えば、0.4%ホルムアルデヒド、4℃で13日間のインキュベーションによって不活化されたトキソイドA及び0.8%、4℃で21日間不活化されたトキソイドBを含む製剤と、0.4%ホルムアルデヒド、4℃で13日間不活化されたトキソイドA及び0.8%ホルムアルデヒド、4℃で21日間不活化されたトキソイドBを含む製剤とを含む、0.008%ホルムアルデヒドを含む幾つかの他の製剤もまた、37℃で保管後に、検出可能な細胞毒性を有していなかった。この分析から特定された最適なトキソイド化条件は次の通りであった:トキシンAのトキソイド化:100mM NaPO4中、0.5mg/mlのトキシンA、0.21%ホルムアルデヒド、25℃、pH7で6日間;及び、トキシンBのトキソイド化:100mM NaPO4中、0.5mg/mlのトキシンB、0.42%ホルムアルデヒド、25℃、pH7で13日間(表3、試験22のパラメータ)。これらの条件はまた、他の生理化学的アッセイで測定した場合にも、望ましいプロファイルを有していた。AEXは各トキソイドについて均質なピーク母集団を示し、SEC MALSは最小限の多量体化を示し、TNBSは、各反応が所与の時点で最大のアミン修飾を達成することを示した。加えて、ELISA(A280)応答が維持された。
表1及び3は、パラメータ22が、トキシンA及びBからトキソイドを調製するために最適であることを示している。これらの条件は以下の通りである:
トキソイドAの調製:100mMのNaPO4中、0.5mg/mlのトキシンA、0.21%ホルムアルデヒド、25℃、pH7で6日間;及び、
トキソイドBの調製:100mMのNaPO4中、0.5mg/mlのトキシンB、0.42%ホルムアルデヒド、25℃、pH7で13日間。
トキソイドAの調製:100mMのNaPO4中、0.5mg/mlのトキシンA、0.21%ホルムアルデヒド、25℃、pH7で6日間;及び、
トキソイドBの調製:100mMのNaPO4中、0.5mg/mlのトキシンB、0.42%ホルムアルデヒド、25℃、pH7で13日間。
これらの手順には、6日間(トキソイドA)又は13日間(トキソイドB)のインキュベーションの前に、10分間の混合工程と、それに続く0.2μmの濾過工程が含まれていた。37℃での復帰試験の前に、トキソイドA及びトキソイドBを、20mMクエン酸、pH7.5、0.004%ホルムアルデヒド中に透析濾過した。この手順を図2に示す。0.008%ホルムアルデヒドが、典型的には、37℃において良好な安定性ももたらすことも示されている。
このデータは、インキュベーション時間が長くなると、結果的に、トキソイドAのELISA値がより低くなったことを示す、驚くべき免疫学的データ(ハムスターにおけるIgG応答)によってさらに確認され、ホルムアルデヒド誘導性のトキシン修飾が増加したことが示唆される(6日目におけるELISA/A280=0.94;12日目=0.64)。対照的に、インキュベーション時間が長くなると、トキソイドBのELISA値がより高くなった(13日目におけるELISA/A280=0.53;20日目=0.73)。望ましいELISA/A280値は、1.0により近い値である。当業者は、トキシンAのトキソイド化のための12日のインキュベーション期間は適切でありうること、及び、20日のインキュベーションは、トキシンBのトキソイド化にとって適切でありうることを理解すべきである。しかしながら、このデータを考慮しても、13日のインキュベーション期間が、上述のようにトキシンBのトキソイド化にとって最適であると判断された。
スケール分析
特定された最適なトキソイド化条件を使用して、より大きいスケール(発売スケール(200L発酵)の1/10)でトキソイドを生成した;すなわち、トキシンA及びトキシンBを、以下の条件を使用して不活化した:Aのトキソイド化:100mMのNaPO4中、0.5mg/mLのトキシンA、0.21%(w/v)ホルムアルデヒド、25℃、pH7で6日間;及び、Bのトキソイド化:100mMのNaPO4中、0.5mg/mLのトキシンB、0.42%(w/v)ホルムアルデヒド、25℃、pH7で13日間。反応の間のさまざまな時期に採取したトキソイド試料を使用して、トキソイド化反応の速度論を評価した。小スケールで生産されたトキソイドと比較して、トキソイドは、同一の速度論的細胞毒性プロファイルを有しており、反応の2日目に細胞毒性の損失が確認された。加えて、トキソイドは、小スケールで生産されたトキソイドと同様のAEXプロファイル及び同様のアミン修飾(TNBSアッセイにより測定)を有していた。1/10スケールのトキソイド化反応によって生成されたトキソイドの免疫原性ついても、ハムスター力価アッセイによって評価した。小スケールで生産されたトキソイドと同様に、トキソイドは、4.8Log以上の平均IgG力価応答を与え、実施例1に記載されるプロセスに従って調製されたトキソイドのものと統計学的に同等の力価応答をもたらした。1/10スケールのトキソイドから誘導された製剤について復帰分析を行い、小スケールで同一のトキソイド化条件から誘導された製剤と比較した。1/10スケールでトキソイドから誘導された製剤は、小スケールで誘導されたものと同じ復帰特性を有しており、0.004%ホルムアルデヒドにおいてさえも復帰分析に合格した。より大きいスケール(例えば、1000L及び2000Lの発酵培養物を使用)で生産されたトキソイドでも、同様の結果が得られた。これらの実験データは、トキソイド化方法がスケール変更可能であることを示している。大スケールで生産されたトキソイドは、小スケールで生産されたものと同一の速度論的細胞毒性プロファイル、ハムスター力価及び復帰特性を有する。再現性に関しては、トキシンA及びトキシンBについてのトキソイド化プロセスが7回以上再現され、解析は、類似したロット間特性を示した。
特定された最適なトキソイド化条件を使用して、より大きいスケール(発売スケール(200L発酵)の1/10)でトキソイドを生成した;すなわち、トキシンA及びトキシンBを、以下の条件を使用して不活化した:Aのトキソイド化:100mMのNaPO4中、0.5mg/mLのトキシンA、0.21%(w/v)ホルムアルデヒド、25℃、pH7で6日間;及び、Bのトキソイド化:100mMのNaPO4中、0.5mg/mLのトキシンB、0.42%(w/v)ホルムアルデヒド、25℃、pH7で13日間。反応の間のさまざまな時期に採取したトキソイド試料を使用して、トキソイド化反応の速度論を評価した。小スケールで生産されたトキソイドと比較して、トキソイドは、同一の速度論的細胞毒性プロファイルを有しており、反応の2日目に細胞毒性の損失が確認された。加えて、トキソイドは、小スケールで生産されたトキソイドと同様のAEXプロファイル及び同様のアミン修飾(TNBSアッセイにより測定)を有していた。1/10スケールのトキソイド化反応によって生成されたトキソイドの免疫原性ついても、ハムスター力価アッセイによって評価した。小スケールで生産されたトキソイドと同様に、トキソイドは、4.8Log以上の平均IgG力価応答を与え、実施例1に記載されるプロセスに従って調製されたトキソイドのものと統計学的に同等の力価応答をもたらした。1/10スケールのトキソイドから誘導された製剤について復帰分析を行い、小スケールで同一のトキソイド化条件から誘導された製剤と比較した。1/10スケールでトキソイドから誘導された製剤は、小スケールで誘導されたものと同じ復帰特性を有しており、0.004%ホルムアルデヒドにおいてさえも復帰分析に合格した。より大きいスケール(例えば、1000L及び2000Lの発酵培養物を使用)で生産されたトキソイドでも、同様の結果が得られた。これらの実験データは、トキソイド化方法がスケール変更可能であることを示している。大スケールで生産されたトキソイドは、小スケールで生産されたものと同一の速度論的細胞毒性プロファイル、ハムスター力価及び復帰特性を有する。再現性に関しては、トキシンA及びトキシンBについてのトキソイド化プロセスが7回以上再現され、解析は、類似したロット間特性を示した。
免疫付与実験
精製されたC.ディフィシル・トキソイドA及びC.ディフィシル・トキソイドBを、実質的に上述の方法(例えば、表3のパラメータ22)に従って調製し、ワクチン組成物として調合した。トキソイドA及びBを3:2の質量比で合わせ、スクロース(4.0%〜6.0% w/v)及びホルムアルデヒド(0.012%〜0.020% w/v)を含むクエン酸バッファを用いて調合し、凍結乾燥した。ハムスターチャレンジモデルでの評価用のワクチンとして使用する前に、各組成物を、下記の希釈剤を用いて再構成し、水酸化アルミニウムでアジュバント化した。シリアゴールデンハムスターは、C.ディフィシルワクチン開発のためのストリンジェントなモデルを提供する。単一腹腔内(IP)用量のクリンダマイシン抗生物質で前処置した後、及び、毒素原性C.ディフィシル生物の胃内(IG)接種を受けた後に、ハムスターは、劇症下痢及び出血性虫垂炎を急速に発症し、2〜4日以内に死亡する(例えば、ワクチン接種なしで)。希釈剤(0.57%塩化ナトリウム及び800μg/mL水酸化アルミニウムを含む)を用いて、ワクチンを再構成した。再構成されたワクチンの段階希釈物を調製した。ヒト投与量(HD)のワクチンは、100μg/用量のトキソイド及び400μg/用量の水酸化アルミニウムを含んでいるため、最初の希釈物を調製し、1/20HDは、5μg/用量のトキソイド、0.008%ホルムアルデヒド、及び20μg/用量のアルミニウムを含んでいた。ハムスター(9匹のハムスター/群)に、異なる用量のC.ディフィシルワクチン(ヒト投与量(100μg/用量)(HD)の4種類の希釈物)を用いて、3回の筋肉内免疫付与(0日目、14日目、及び28日目)により、ワクチン接種した、あるいは、プラセボ(AlOOH)を注射した。41日目に、IP経路によって10mg/kgのクリンダマイシン−2−リン酸という化学形態の抗生物質を用いて、ハムスターを前処置した。42日目に、抗生物質を用いた前処置の28時間後、致死量のC.ディフィシルATCC43255株に由来した胞子調製物を、IG経路によってハムスターにチャレンジした。C.ディフィシル感染症に関連する症状の出現の速度論及び死亡率を測定することによって、防御効果を評価した。結果(図3に記載)は、ワクチンが、用量依存的な態様でC.ディフィシル毒素産生細菌を用いた致死的チャレンジに対して、ハムスターを防御することを実証したとともに、HD/20の用量(20μgのAlOOHの存在下、5μgのトキソイドA+B)を用いたワクチン接種によって100%の防御が誘導された。免疫された動物は、死亡及び疾患(体重減少及び下痢)に対して防御された。この実験結果は、幾つかのインビボ実験を代表するものである。したがって、本明細書に記載される方法によって調製されたトキソイドは、C.ディフィシル疾患に対する防御免疫を提供する。
精製されたC.ディフィシル・トキソイドA及びC.ディフィシル・トキソイドBを、実質的に上述の方法(例えば、表3のパラメータ22)に従って調製し、ワクチン組成物として調合した。トキソイドA及びBを3:2の質量比で合わせ、スクロース(4.0%〜6.0% w/v)及びホルムアルデヒド(0.012%〜0.020% w/v)を含むクエン酸バッファを用いて調合し、凍結乾燥した。ハムスターチャレンジモデルでの評価用のワクチンとして使用する前に、各組成物を、下記の希釈剤を用いて再構成し、水酸化アルミニウムでアジュバント化した。シリアゴールデンハムスターは、C.ディフィシルワクチン開発のためのストリンジェントなモデルを提供する。単一腹腔内(IP)用量のクリンダマイシン抗生物質で前処置した後、及び、毒素原性C.ディフィシル生物の胃内(IG)接種を受けた後に、ハムスターは、劇症下痢及び出血性虫垂炎を急速に発症し、2〜4日以内に死亡する(例えば、ワクチン接種なしで)。希釈剤(0.57%塩化ナトリウム及び800μg/mL水酸化アルミニウムを含む)を用いて、ワクチンを再構成した。再構成されたワクチンの段階希釈物を調製した。ヒト投与量(HD)のワクチンは、100μg/用量のトキソイド及び400μg/用量の水酸化アルミニウムを含んでいるため、最初の希釈物を調製し、1/20HDは、5μg/用量のトキソイド、0.008%ホルムアルデヒド、及び20μg/用量のアルミニウムを含んでいた。ハムスター(9匹のハムスター/群)に、異なる用量のC.ディフィシルワクチン(ヒト投与量(100μg/用量)(HD)の4種類の希釈物)を用いて、3回の筋肉内免疫付与(0日目、14日目、及び28日目)により、ワクチン接種した、あるいは、プラセボ(AlOOH)を注射した。41日目に、IP経路によって10mg/kgのクリンダマイシン−2−リン酸という化学形態の抗生物質を用いて、ハムスターを前処置した。42日目に、抗生物質を用いた前処置の28時間後、致死量のC.ディフィシルATCC43255株に由来した胞子調製物を、IG経路によってハムスターにチャレンジした。C.ディフィシル感染症に関連する症状の出現の速度論及び死亡率を測定することによって、防御効果を評価した。結果(図3に記載)は、ワクチンが、用量依存的な態様でC.ディフィシル毒素産生細菌を用いた致死的チャレンジに対して、ハムスターを防御することを実証したとともに、HD/20の用量(20μgのAlOOHの存在下、5μgのトキソイドA+B)を用いたワクチン接種によって100%の防御が誘導された。免疫された動物は、死亡及び疾患(体重減少及び下痢)に対して防御された。この実験結果は、幾つかのインビボ実験を代表するものである。したがって、本明細書に記載される方法によって調製されたトキソイドは、C.ディフィシル疾患に対する防御免疫を提供する。
実施例3
インビトロにおける免疫実験
ワクチン調合物中に含まれるトキソイドを毒素遺伝子変異型0から精製した。抗トキシン抗体が他の一般的な変異株由来のトキシン活性を中和できることを実証するため、ワクチン接種されたハムスター由来の血清を使用して、インビトロ交差中和実験を行った。
インビトロにおける免疫実験
ワクチン調合物中に含まれるトキソイドを毒素遺伝子変異型0から精製した。抗トキシン抗体が他の一般的な変異株由来のトキシン活性を中和できることを実証するため、ワクチン接種されたハムスター由来の血清を使用して、インビトロ交差中和実験を行った。
A.材料及び方法
C.ディフィシル・トキソイドワクチンは、C.ディフィシル参考株VPI10463(ATCC43255)由来のトキソイドA及びBのホルマリンで不活化された、高度に精製された調製物であり、フリーズドライ調製物として提示され、これを希釈剤で再構成し、水酸化アルミニウムアジュバントと混合した(上述のように)。プラセボは0.9%生理食塩水であった。087PCR−リボタイプ由来の精製された天然トキシンA及びBを、上述のように内部生産した。001、002、014、106、027、023及び078のPCR−リボタイプ由来の精製された天然トキシンA及びB、並びに、017のPCR−リボタイプ由来の精製された天然トキシンBを、TgcBiomics社(ドイツ国ビンゲン所在)から購入した。
C.ディフィシル・トキソイドワクチンは、C.ディフィシル参考株VPI10463(ATCC43255)由来のトキソイドA及びBのホルマリンで不活化された、高度に精製された調製物であり、フリーズドライ調製物として提示され、これを希釈剤で再構成し、水酸化アルミニウムアジュバントと混合した(上述のように)。プラセボは0.9%生理食塩水であった。087PCR−リボタイプ由来の精製された天然トキシンA及びBを、上述のように内部生産した。001、002、014、106、027、023及び078のPCR−リボタイプ由来の精製された天然トキシンA及びB、並びに、017のPCR−リボタイプ由来の精製された天然トキシンBを、TgcBiomics社(ドイツ国ビンゲン所在)から購入した。
株VPI10463、630、BAA−1875、ATCC43598をATCCから購入した。2007年にフランスで単離された株IPP40348を、M.Popoff(パスツール研究所、フランス国パリ所在)から入手した。2005年にカナダで単離された株CDC13695#7を、疾病管理センター(CDC)から入手した。2011年に米国で単離された株SP041を、D.Gerdingから入手した。C.ディフィシルの臨床分離株を、D.Gerding(米国及びアルゼンチン)、F.Barbut(欧州)、P.Vanhems(フランス)及びT.Riley(アジア太平洋)から入手した。C.ディフィシル株を、大豆酵母抽出物塩(SYS)培地中で16時間、嫌気的に成長させ、次に、ソルビトールを補充したSYS培地上で72時間、増殖させた。次に、細菌の培養上清を採取し、濾過し、抗プロテアーゼ及び30%グリセロールを補充した。
細菌の培養上清中に存在するトキシンA及びBの定量化を、製造業者の指示書に従って、市販のELISA法(tgcBIOMICS GmbH社、ドイツ国マインツ所在)を使用して実施した。簡潔に言うと、トキシンA及びトキシンBの両方に対する捕捉抗体でコーティングされたマイクロタイタープレートを、培養上清又は標準的な対照トキシンとともに、37℃で60分間、インキュベートした。未結合の物質の洗浄後、トキシンA又はトキシンBのいずれかに対する特異的モノクローナル抗体(ホースラディッシュペルオキシダーゼに共役した)をウェルに加えた;マイクロタイタープレートを、37℃で60分間、インキュベートした。2回目の洗浄工程の後、基質を加えて、室温で30分間、発色させた。各ウェルにH2SO4を添加することによって反応を停止し、450及び620nmで分光光度計によってELISAを解析した。
インビトロ交差中和分析のためのバイオアッセイを開発した。良く知られているIMR90毒素中和アッセイを出典とした。バイオアッセイの設計は、ワクチン株由来の精製されたトキシンの細胞毒性活性を中和することが知られているC.ディフィシル・トキソイドワクチンに対するハムスター血清、又は、プラセボ血清のいずれかの所定の希釈物を、臨床的に関連するC.ディフィシル原型株由来の精製された天然トキシンA又はBのいずれかの段階希釈物、若しくは、トキシンA及び/又はBを含む、原型株又は臨床分離株由来の濾過した細菌上清のいずれかとともに、プレインキュベートすることからなる。血清−トキシン混合物をIMR−90細胞に加え、該細胞がコンフルエンスに達し、電極上に付着するように、前日にEプレート上に事前に播種した。次に、プレートを37℃でインキュベートした。Eプレートは、底部に交互嵌合された金微小電極を含む、特別に設計された組織培養マイクロタイタープレートである。それらは、標識を取り込むことなく、読み出しに電気インピーダンスを使用して、リアルタイムで細胞事象を非侵襲的にモニタリングするために、xCELLigenceシステムとともに使用されることが意図されている。トキシンによって誘発されたIMR90細胞の丸まりは、電極インピーダンスの低下につながり、細胞指数(CI)値として表示される。次に、対応するワクチン及びプラセボの細胞指数を、細胞毒性曲線としてプロットし、社内ソフトウェアを使用して、シグモイド応答曲線(4パラメータ・ロジスティック)によってモデル化した。IC50として定義される、50%の細胞毒性を誘発する各臨床分離株の細菌上清希釈物を決定した。50%の細胞毒性における両曲線間のシフトを、相対効果(RE)として計算した。REは、精製されたトキシン又は臨床分離株のいずれかの、トキシン−細胞毒性活性を中和するためのワクチン特異的抗トキシン抗体の能力を表す。REが統計学的に有意であるとみなされた閾値を、特異的抗トキシン抗体及び無関係な抗体の両方をプラセボに対して使用する中間精度の決定によって確立し、それによって5.4と定めた。
B.結果
最初に、一般的な毒素遺伝子変異型由来の精製された天然トキシンA及びBに対するワクチン血清の有効性を試験した。本試験には、参考株VPI10463(ATCC43225 PCR−リボタイプ087)及び、PCR−リボタイプ001、002、014、及び023、017(A−B+CDT−)、並びに、所謂高毒性のPCR−リボタイプ027(A+B+CDT+)及び078(A+B+CDT+)の株由来のトキシンが含まれていた。各精製された天然トキシンについての50%の細胞毒性が達成される濃度を、最初に評価した。IMR−90細胞は、試験される異なるPCR−リボタイプリボタイプに由来する精製されたトキシンA及びBに対して、かなり感受性である。トキシンAについてのIC50濃度は、4.4ng/mL〜15.9ng/mLの範囲の類似した範囲内にあった。対照的に、トキシンBでは、IC50濃度は、選択されるPCR−リボタイプに応じて変動し、0.2ng/mL〜6.2μg/mLの範囲にあり、トキシンBの中で異なる力価が示唆された。次に、各精製されたトキシンのそれぞれの細胞毒性活性を中和するワクチン特異的抗トキシン抗体の相対効果(RE)を、材料及び方法の項に記載されるように評価した。表4に示されるように、REの計算値は9.3〜818.5の範囲にあり、これらはすべて、RE=5.4と定められた正の閾値を上回った。PCR−リボタイプ027、023及び078に由来する精製されたトキシンを中和するワクチン血清の相対効果は、他のPCR−リボタイプと比較して低かったが、それでもなお閾値を上回っていた。この結果は、ワクチン血清が、試験したすべての精製トキシンの細胞毒性を有意に中和することが可能であったことを示唆している。
最初に、一般的な毒素遺伝子変異型由来の精製された天然トキシンA及びBに対するワクチン血清の有効性を試験した。本試験には、参考株VPI10463(ATCC43225 PCR−リボタイプ087)及び、PCR−リボタイプ001、002、014、及び023、017(A−B+CDT−)、並びに、所謂高毒性のPCR−リボタイプ027(A+B+CDT+)及び078(A+B+CDT+)の株由来のトキシンが含まれていた。各精製された天然トキシンについての50%の細胞毒性が達成される濃度を、最初に評価した。IMR−90細胞は、試験される異なるPCR−リボタイプリボタイプに由来する精製されたトキシンA及びBに対して、かなり感受性である。トキシンAについてのIC50濃度は、4.4ng/mL〜15.9ng/mLの範囲の類似した範囲内にあった。対照的に、トキシンBでは、IC50濃度は、選択されるPCR−リボタイプに応じて変動し、0.2ng/mL〜6.2μg/mLの範囲にあり、トキシンBの中で異なる力価が示唆された。次に、各精製されたトキシンのそれぞれの細胞毒性活性を中和するワクチン特異的抗トキシン抗体の相対効果(RE)を、材料及び方法の項に記載されるように評価した。表4に示されるように、REの計算値は9.3〜818.5の範囲にあり、これらはすべて、RE=5.4と定められた正の閾値を上回った。PCR−リボタイプ027、023及び078に由来する精製されたトキシンを中和するワクチン血清の相対効果は、他のPCR−リボタイプと比較して低かったが、それでもなお閾値を上回っていた。この結果は、ワクチン血清が、試験したすべての精製トキシンの細胞毒性を有意に中和することが可能であったことを示唆している。
流行する病原性の株の大部分が両トキシンを発現することから、精製された天然トキシンに加えて、最も一般的な株の代表であるC.ディフィシル原型株が産生したトキシンを中和するワクチン特異的抗トキシン抗体の相対効果を評価することもまた重要であった。この目的のため、最も一般的な型をベースとして、幾つかの原型株(表5)を選択した。培養上清中に存在するトキシンA及びトキシンBの濃度をELISAによって定量化し、各原型株について、IMR−90細胞における50%の毒性を誘導する細菌上清の希釈を計算した(IC50)。最適な培養条件において高トキシン産生株であることが知られている株ATCC(登録商標)43255(商標)(VPI10463)は、高レベルのトキシンA(17.04μg/mL)及びトキシンB(7.06μg/mL)を産生し、5.6×107でのプラセボ血清のIC50希釈物を用いた毒性の誘導において非常に強力であった。比較すると、他の株は、トキシンを低レベルからほとんど検出不能なレベルで産生した。株は、4.4×103〜5.2×106の範囲にある、より低い、プラセボ血清のIC50希釈物を用いてさえも、毒性を誘導することが依然として可能であったことから、毒性は、上清中に存在するトキシンの量に対して比例していた。すべてのRE計算値(プラセボ血清からワクチン−血清へのIC50希釈物のシフト)が、有意な閾値をすべて上回ったことから、驚くべきことに、さまざまな範囲の毒性力価(IC50)にもかかわらず、ワクチン−血清は、すべての細菌上清の細胞毒性活性を中和することが可能であった。精製されたトキシンと同様に、観察された最低のRE値は、毒素遺伝子変異型III PCR−リボタイプ027及び毒素遺伝子変異型V、PCR−リボタイプ078の株に対するものであったが、それでもなお有意な閾値を上回っていた。
一般的な流行するC.ディフィシルトキシン変異株の広範囲にわたる代表を確実にするため、インビトロ交差中和実験をC.ディフィシル株の大きいコレクションに拡大し、各毒素遺伝子変異型について、最近流行する臨床分離株及び大パネルの分離株を分析した。世界的なプロスペクティブ臨床研究及び疫学研究に由来する500を超える最近の臨床分離株を収集した(米国及びアルゼンチン内で80を超える臨床分離株を2011年に収集した;欧州全体にわたり350を超える臨床分離株を2005年に収集し、60の分離株をフランスから2010〜2011年に収集した;オーストラリア、シンガポール、日本、韓国、インドネシア及び台湾を含むアジア太平洋諸国において、30を超える臨床分離株を2012〜2013年に収集した)。このコレクションから、インビトロ分析用に、150を超える世界中のC.ディフィシル臨床分離株を選択した。選択は、単離した国、分子タイプ、及び、利用可能な場合には、CDI重症度及びCDIエピソード等の臨床パラメータなど、複数の基準に基づいていた。臨床分離株の地理的分布及び分子分布は表6に記載されている。
5つの最も一般的な毒素遺伝子変異型を含む、10の毒素遺伝子変異型を、異なる地理的地域内の代表とし、これらには、毒素遺伝子変異型0の大多数、次に、毒素遺伝子変異型III、V、VIII及びIV、並びに、毒素遺伝子変異型I、毒素遺伝子変異型IX及びXIIなどの他の型が含まれていた。リボタイプ(RT)分布を考慮して、23を超えるリボタイプを代表とし、毒素遺伝子変異型0の13のリボタイプについては13を超えるRTを有していた。選択は、CDI患者において最も一般的であると特定された5つの系統/毒素遺伝子変異型を反映しており、世界の異なる区域における各毒素遺伝子変異型の特異的分布は以下の通りである:例えば、欧州では大半が毒素遺伝子変異型0株であり、米国では大半が毒素遺伝子変異型0及びIII株であり、アジア太平洋では大半が毒素遺伝子変異型0及びVIII、並びに、その他のRT046である。
トキシンを含む細菌上清を、臨床分離株のインビトロ培養物から生成した。各臨床分離株について、培地中のトキシンA及びトキシンBの濃度を、ELISAによって定量した。各臨床分離株のインビトロ毒性についても、IC50を計算することによって評価した。IC50を各臨床分離株の上清中に存在するトキシンA及びBのレベルに対してプロットした(図4)。細菌上清はすべて、各毒素遺伝子変異型について広範囲にわたる毒性を伴って、アッセイにおいて毒性であった。毒性は、細菌上清中に存在するトキシンのレベルに強く比例し、トキシンA及びトキシンBについてそれぞれ、0.88及び0.93の相関係数を有しており(図4A及び図4B)、各臨床分離株が培養において成長する能力に関連する可能性が大きい(図示せず)。概して、臨床分離株は、トキシンBよりもトキシンAを多く産生する。トキシンAのレベルは、トキシンBのみを産生することが知られている毒素遺伝子変異型VIII臨床分離株では検出不能であった。幾つかの細菌上清については、トキシンBは、これらの培養条件下で検出限界(1.E+04)未満であった。
次に、トキシン変異型のなかでクラスタ化の可能性を評価するため、各臨床分離株のREを計算し、それらのそれぞれの細胞毒性指数に対してプロットした(図5)。REが閾値を上回っていたことから、細菌上清はすべて、ワクチン誘導性の血清によって中和された。相対効果(RE)は、株の毒性(IC50)とは無関係であった。興味深いことに、同一毒素遺伝子変異型間での広範ににわたる細胞毒性にもかかわらず、同じトキシン−変異型由来の臨床分離株では同質的RE挙動が観察された。毒素遺伝子変異型III、V及びVIについてのREは、毒素遺伝子変異型0のREより低かったが、それでもなお閾値を上回っていた。これは、IMR90細胞が二元毒素に対して感受性ではなく(データ示さず)、むしろ、配列比較に基づいてトキシンA及びトキシンBの系統発生と一致したことから、二元毒素活性とは関連していないことが実証された。
このハムスターモデルにおける包括的研究は、世界中に流行する5つの最も一般的な変異株、すなわち、0/012、III/027、IV/023、V/078及びVIII/017の毒素遺伝子変異型/RTに対する、広範囲にわたるカバレッジを実証している。C.ディフィシル・トキソイドワクチンは、キーとなる毒素遺伝子変異型0、III、IV、V、VIII、及びその他(I、VI、XII)に由来するトキシンA及びBをインビトロで中和することが可能な抗トキシン抗体を、ハムスターモデルにおいて生成する。毒素遺伝子変異型III、V及びVIについて観察された、より低い相対効果(RE)は、二元毒素活性には関連しておらず、トキシンA及びトキシンBの系統発生と一致する。二元毒素の存在が疾患重症度及び死亡危険性の著しい増加と関連していたことに着目することが重要である。二元毒素の役割は不明である。
実施例4
交差免疫実験
チャレンジ株としてVPI1064631/ATCC43255株を用いて、ハムスターモデルにおけるC.ディフィシルVPI10463/ATCC43255株に関する上述の免疫実験を、異なるC.ディフィシル株を使用して実施し、それらが複数の株に対して動物をワクチン接種するのに使用可能(すなわち、交差防御をもたらす)かどうかを決定した。毒素遺伝子変異型A+B+CDT−、A+B+CDT+、及びA−B+CDT−を有する株について、以下に記載されるように実験した。
交差免疫実験
チャレンジ株としてVPI1064631/ATCC43255株を用いて、ハムスターモデルにおけるC.ディフィシルVPI10463/ATCC43255株に関する上述の免疫実験を、異なるC.ディフィシル株を使用して実施し、それらが複数の株に対して動物をワクチン接種するのに使用可能(すなわち、交差防御をもたらす)かどうかを決定した。毒素遺伝子変異型A+B+CDT−、A+B+CDT+、及びA−B+CDT−を有する株について、以下に記載されるように実験した。
本実験には、上述の方法(例えば、表3のパラメータ22)に従って実質的に調製された同じC.ディフィシル株に由来する、精製されたC.ディフィシル・トキソイドA及びC.ディフィシル・トキソイドBを使用し、水酸化アルミニウムを含むワクチン組成物(20又は160μgのAlOOHの存在下、5μgのトキソイドA+B(「C.ディフィシル・トキソイドワクチン」))として調合した。
クリンダマイシン誘導性致死的全腸炎ゴールデンシリアンハムスターモデルにおいて、インビボ交差防御実験を行った。このモデルは、実際に、C.ディフィシル感染症の病因及びワクチンが介在する防御の研究に一般に用いられている。C.ディフィシル・トキソイドワクチン又は希釈剤バッファ(プラセボ)のいずれかで免疫されたハムスターをクリンダマイシン−2−リン酸溶液で前処置して、腸内微生物叢を破壊し、異なる原型株から誘導されるC.ディフィシル胞子を豊富に含む調製物を用いたその後の致死的チャレンジの影響を動物が受け易くなるようにした。
下痢を含む臨床兆候の発症、及び生存をモニタリングすることによって、CDIに対する防御を評価した。インビボ交差防御実験用に選択された原型株は、5つの最も一般的なトキシン−変異株の代表である(表4)。
A.材料及び方法
Charles River Laboratories社(ドイツ国所在)から入手した、70〜90gの雌ゴールデンシリアンハムスター(Mesocricetus auratus)を、免疫付与及びチャレンジ実験に使用した。動物を群内に無秩序に分配し、ケージ800cm2(タイプ3、参照番号:LF−3H、Serlab社製)あたり3匹で収容した。C.ディフィシルチャレンジ後、動物をアイソキャップ(isocaps)を有するケージ内に個別に収容した。生物統計学者の分析に基づいて、1群あたり9匹の動物を使用した。ハムスターに、C.ディフィシル・トキソイドワクチン又はアルミニウム希釈剤バッファ(プラセボ対照)のいずれかを、筋肉内(IM)経路で、2週間間隔で3回、注射した。41日目に、10mg/kgのクリンダマイシン−2−リン酸溶液を腹腔内(IP)経路によって投与した。24時間後、各原型株の生存C.ディフィシル胞子を豊富に含む調製物を所定の致死量で用い、給液針を使用して、ハムスターに胃内(IG)経路でチャレンジした。チャレンジ後、罹患率及び死亡率について1日に少なくとも2回、動物を観察した。体重についても、クリンダマイシン注射前、及びその後は臨床モニタリング中、週に1〜3回、正確な時間にモニタリングした。下痢疾患を、個々の疾病スコア(illness scores)の群メジアンスコアとして報告した:0=疾患なし;1=軟便;2=尾及び肛門周囲領域の湿潤;3=肛門周囲領域、腹部及び後ろ足の湿潤;及び4=死亡。SAS v9.2(登録商標)及びExcelソフトウェアを使用して、統計学的分析を行った。生存期間データから累積生存率を評価するために、ログ・ランク検定を用いたカプラン・マイヤーの方法を使用した。フィッシャーの正確両側確率検定を使用して、チャレンジ後17日目における生存動物のパーセンテージを比較した。因子の影響について5%の誤差範囲を使用した。
Charles River Laboratories社(ドイツ国所在)から入手した、70〜90gの雌ゴールデンシリアンハムスター(Mesocricetus auratus)を、免疫付与及びチャレンジ実験に使用した。動物を群内に無秩序に分配し、ケージ800cm2(タイプ3、参照番号:LF−3H、Serlab社製)あたり3匹で収容した。C.ディフィシルチャレンジ後、動物をアイソキャップ(isocaps)を有するケージ内に個別に収容した。生物統計学者の分析に基づいて、1群あたり9匹の動物を使用した。ハムスターに、C.ディフィシル・トキソイドワクチン又はアルミニウム希釈剤バッファ(プラセボ対照)のいずれかを、筋肉内(IM)経路で、2週間間隔で3回、注射した。41日目に、10mg/kgのクリンダマイシン−2−リン酸溶液を腹腔内(IP)経路によって投与した。24時間後、各原型株の生存C.ディフィシル胞子を豊富に含む調製物を所定の致死量で用い、給液針を使用して、ハムスターに胃内(IG)経路でチャレンジした。チャレンジ後、罹患率及び死亡率について1日に少なくとも2回、動物を観察した。体重についても、クリンダマイシン注射前、及びその後は臨床モニタリング中、週に1〜3回、正確な時間にモニタリングした。下痢疾患を、個々の疾病スコア(illness scores)の群メジアンスコアとして報告した:0=疾患なし;1=軟便;2=尾及び肛門周囲領域の湿潤;3=肛門周囲領域、腹部及び後ろ足の湿潤;及び4=死亡。SAS v9.2(登録商標)及びExcelソフトウェアを使用して、統計学的分析を行った。生存期間データから累積生存率を評価するために、ログ・ランク検定を用いたカプラン・マイヤーの方法を使用した。フィッシャーの正確両側確率検定を使用して、チャレンジ後17日目における生存動物のパーセンテージを比較した。因子の影響について5%の誤差範囲を使用した。
チャレンジのため、C.ディフィシル原型株を37℃で24時間、チオグリコレート培地で嫌気的に成長させた。次に、培養物を嫌気的血液寒天プレート(CDC、Becton Dickinson社製)上に植菌し、37℃で7日間インキュベートして、胞子形成を誘導した。次に、胞子をCa又はMgを含まないPBS中に採取し、2回洗浄後、57℃で10分間の熱ショックを与えて栄養細胞を死滅させた。胞子懸濁液を500gで30分間遠心分離にかけ、PBS中20%グリセロールに再懸濁した。胞子調製物を長期保管のために<−70℃で凍結した。胞子ストックを37℃で解凍し、水中で10倍の段階希釈を行うことにより、生存胞子数(CFU/mL)を評価した。希釈物を、0.1%のタウロコラート(Sigma社)の存在下、酵母抽出物寒天プレート(BHISA、Becton Dickinson社製)を用いたBrain Heart Infusion培地上に3連で載せ、胞子の回復を促進した。プレートを、嫌気的条件下、37℃で48時間以上インキュベートした。コロニー数をカウントし、CFU/mLを計算した。
B.結果
相同のC.ディフィシルワクチン株に対する防御が実証された(図6)。プラセボ群では、チャレンジ後1日目に早くも急性下痢の発症が観察され(図6A)、生存率はチャレンジ後3.5日間で早くも11%まで急速に下降した(図6B)。ワクチン群(■)では、1匹のハムスターのみがチャレンジ後2.5日目に始まり9日目に回復した一時的な軽度の下痢(スコア2)を示しただけで、実験全体を通じて非常に限られた糞便の変化しか観察されず、生存率は実験全体を通じて100%に維持されたことから、有意な防御が観察された。
相同のC.ディフィシルワクチン株に対する防御が実証された(図6)。プラセボ群では、チャレンジ後1日目に早くも急性下痢の発症が観察され(図6A)、生存率はチャレンジ後3.5日間で早くも11%まで急速に下降した(図6B)。ワクチン群(■)では、1匹のハムスターのみがチャレンジ後2.5日目に始まり9日目に回復した一時的な軽度の下痢(スコア2)を示しただけで、実験全体を通じて非常に限られた糞便の変化しか観察されず、生存率は実験全体を通じて100%に維持されたことから、有意な防御が観察された。
異なるRTに由来する別の毒素遺伝子変異型0株に対する防御を実証するため、C.ディフィシル630株を使用した(図7)。プラセボ群では、チャレンジ後3日間で早くも下痢の発症が見られ、チャレンジ後6日間で最大に達した(図7A)。ワクチン群では、実験全体を通じて、非常に限られた糞便の変化しか観察されなかった。図7Bの生存曲線は、プラセボ群(○)では、生存率がチャレンジ後2日間で早くも下降し、チャレンジ後13日間で11%に達したことを示している。ワクチン群(■)では、生存率は、実験全体を通じて100%に維持された。C.ディフィシルトキソイドワクチンは、株630を用いたチャレンジ後に、疾患及び死亡に対して有意な防御を誘導した(フィッシャーの直接確率検定でp=0.0004及びカプラン・マイヤーログ・ランク検定でp=0.0001)。
A+B+に加えて二元毒素(CDT+)も発現する高毒性のフルオロキノロン耐性毒素遺伝子変異型III PCR−リボタイプ027株に対する防御についても評価した。この目的のため、3つの株:2007年にフランスから単離された株IPP40348、2005年にカナダから単離された株CDC13695#7、及び2011年に米国で単離された株SP041を分析用に選択した。3つの株を用いたチャレンジ後に、急性CDIが誘発され、チャレンジ後2日間で早くも急性下痢が始まり、チャレンジ後5日未満で100%の致死に達した。
160μgのALOOHと混合した、上述のC.ディフィシル参考株VPI10463(ATCC43255)由来の、ホルマリンで不活化され、高度に精製されたトキソイドA及びBの調製物の投与後、症状及び死亡率はいずれも低かった(図8A〜B)。ワクチン接種されたハムスターのほとんど(10/12)が、疾患症状を示さず、チャレンジを生き抜き、有意な防御をもたらした(フィッシャーの正確確率検定及びカプラン・マイヤーログ・ランク検定の両方でp値<0.001)。2匹のハムスターのみが、チャレンジ後3日以内に中程度の下痢(スコア2、平均/群0.42)を示し、チャレンジ後6日間で死亡した。
株CDC13695#7を用いたチャレンジ後、C.ディフィシル・トキソイドワクチンは、疾患症状(図9A)及び死亡(図9B)に対する有意な交差防御を誘発した(フィッシャーの正確確率検定及びカプラン・マイヤーログ・ランク検定の両方でp値<0.001)。実際、ワクチン接種されたハムスターのいずれも軟便を示さず、生存率はチャレンジ後に100%で維持されたのに対し、対照群では、ハムスターは、チャレンジ後2日以内に肛門周囲領域、腹部及び後ろ足の湿潤(スコア3)とともに強い下痢を示し、生存率はチャレンジ後4日以内に8%に下降した。
最近の米国の臨床分離株である、株SP041については、プラセボ群の全ハムスターに強い急性の下痢(スコア3)が観察され、チャレンジ後2日以内に死亡率は100%に達し(図9C−D)、強毒性の株であることが示唆された。C.ディフィシル・トキソイドワクチンをワクチン接種されたハムスターのなかで、58%(7/12)はいかなる疾患症状もなく、17日間より長く、チャレンジを生き抜いた。残りの42%(5/12)は中程度から急性の下痢を示し、チャレンジ後2〜5日以内に死亡した。それにもかかわらず、防御は有意であった(カプラン・マイヤーログ・ランク検定でp値<0.001、及びフィッシャーの直接確率検定でp値=0.005)。
毒素遺伝子変異型V PCR−リボタイプ078の高毒性株もまた、世界中で一般的であり、A+B+CDT+である。株BAA−1875を原型株として使用し、交差防御を評価した。プラセボ群(○)では、株を用いたチャレンジは、チャレンジ後2日以内に67%のハムスター(群平均1.7)において強い急性の下痢(スコア3)が観察され(図10A)、チャレンジ後3日以内に100%の死亡率に達した(図10B)。C.ディフィシル・トキソイドワクチンは、実験全体を通じて生存率を100%に維持しつつ、有意な交差防御を誘導し(フィッシャーの正確確率検定及びカプラン・マイヤーログ・ランク検定の両方で、すべてのp値≦0.0001)、ワクチン接種されたハムスターにはいかなる疾患症状もなかった。
毒素遺伝子変異型IV PCR−リボタイプ023株は、さまざまな国において新たに出現している。興味深いことに、この株もまたA+B+CDT+である。したがって、1つの原型株に対して交差防御を評価することは重要である。2012年にフランスの病院で新たに単離された株NK91を原型株として使用した(図11)。プラセボ群では、ほとんどのハムスターが、チャレンジ後1日目に早くも軟便(スコア1)を示し、チャレンジ後3日未満に急性下痢(スコア3)に達し(図11A)、チャレンジ後6日以内に100%の死亡率に達した(図11B)。C.ディフィシルトキソイドワクチンは、実験全体を通じて生存率を100%に維持しつつ、有意な交差防御を誘導し(フィッシャーの正確確率検定及びカプラン・マイヤーログ・ランク検定の両方で、p値<0.001)、チャレンジ後13日以内に、中程度かつ一時的な下痢(スコア1、軟便)が消散した。
A−B+CDT−である、毒素遺伝子変異型VIII PCR−リボタイプ017株は、アジア太平洋地域では非常に一般的である。株ATCC43598を原型株として使用して、交差防御を評価した(図12)。プラセボ群では、チャレンジされたハムスターは、チャレンジ後3〜5日以内に強い下痢を示し(図12A)、チャレンジ後9日以内に35%も減少しうる、大幅な体重減少を示した(図12C)。12匹の病気のハムスターのうちの7匹は、それらの症状のために死亡し、生存率は、チャレンジ後10日以内に42%まで下降した(図12B)。しかしながら、一部のハムスターは、それらの症状を回復することができた。したがって、トキシンAが存在しないにもかかわらず、株ATCC43598は依然として毒性であるが、すでに説明したように、ハムスターにおける疾患の発生率及び重症度は低下した。驚くべきことに、C.ディフィシル・トキソイドワクチンをワクチン接種されたハムスターはすべて、疾患症状(図12A及び12C)及び死亡(図12B)に対し防御されており、生存率は、チャレンジ後に100%を保持した(フィッシャーの正確確率分析でp値=0.0046、カプラン・マイヤー分析でp値=0.0020)。
アッセイ株は、5つの最も一般的な毒素遺伝子変異型:0、III、IV、V、及びVIIIの代表である。驚くべきことに、組成物が、毒素遺伝子変異型0、PCR−リボタイプ012、株630(A+B+CDT−);毒素遺伝子変異型III PCR−リボタイプ027株(A+B+CDT+)(CDC13695#7株、カナダ、2005年;SP041臨床分離株、米国、2011年;IPP40348株、フランス、2007年);毒素遺伝子変異型IV PCR−リボタイプ023(A+B+CDT+)(臨床分離株NK91、フランス、2012年);毒素遺伝子変異型V PCR−リボタイプ078株ATCC BAA−1875(A+B+CDT+)、及び、毒素遺伝子変異型VIII PCR−リボタイプ017株ATCC4539(A−B+CDT−)を用いたチャレンジ後に、症状及び死亡に対し、有意な交差防御をもたらすことが観察された。20μgの水酸化アルミニウム(AlOOH)を含む組成物を使用した、株IPP40348についてのこの実験では、交差防御は有意ではなかったが、160μgのAlOOHを含む場合には有意であったことは、注目に値する。データは表7にまとめられている。
このデータは、C.ディフィシル・トキソイドワクチンが、ハムスターチャレンジモデルにおいて、世界中に流行する5つの最も一般的な変異株を代表する臨床的に関連する株に対し、広範な防御を与えうることを実証している。C.ディフィシル・トキソイドワクチンは、毒素遺伝子変異型/PCR−リボタイプIII/027、IV/023及びV/078などの二元毒素を発現するものを含む、毒素遺伝子変異型/PCR−リボタイプ0/012、III/027、IV/023、V/078及びVIII/017原型株を用いたチャレンジに対して、インビボにおいて広範な防御を誘発する。
ある特定の実施形態を好ましい実施形態に関して説明してきたが、変形及び修正が当業者に想起されることが理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、このような等価のバリエーションのすべてに及び、以下の特許請求の範囲内に入ることが意図されている。
参照文献
1.Khanafer N, Barbut F, Eckert C, Perraud M, Demont C, et al. (2016) Factors predictive of severe Clostridium difficile infection depend on the definition used. Anaerobe 37: 43-48.
2.Buckley AM, Spencer J, Maclellan LM, Candlish D, Irvine JJ, et al. (2013) Susceptibility of hamsters to Clostridium difficile isolates of differing toxinotype. PLoS One 8: e64121.
3.Sambol SP, Tang JK, Merrigan MM, Johnson S, Gerding DN (2001) Infection of hamsters with epidemiologically important strains of Clostridium difficile. J Infect Dis 183: 1760-1766。
1.Khanafer N, Barbut F, Eckert C, Perraud M, Demont C, et al. (2016) Factors predictive of severe Clostridium difficile infection depend on the definition used. Anaerobe 37: 43-48.
2.Buckley AM, Spencer J, Maclellan LM, Candlish D, Irvine JJ, et al. (2013) Susceptibility of hamsters to Clostridium difficile isolates of differing toxinotype. PLoS One 8: e64121.
3.Sambol SP, Tang JK, Merrigan MM, Johnson S, Gerding DN (2001) Infection of hamsters with epidemiologically important strains of Clostridium difficile. J Infect Dis 183: 1760-1766。
Claims (48)
- C.ディフィシル二元毒素(CDT)を発現するC.ディフィシル株及びCDTを発現しないC.ディフィシル株に対し、宿主を免疫する方法であって、該方法が、約15〜32℃で約2〜約21日間、ホルムアルデヒド(w/v)とともにインキュベーションすることによって不活化された、精製されたC.ディフィシルトキシンA及び精製されたC.ディフィシルトキシンBを含む免疫原性組成物を前記宿主に投与することを含み、ここで、前記トキシンAが0.15%〜0.5%のホルムアルデヒド(w/v)で不活化され、前記トキシンBが0.15%〜0.8%のホルムアルデヒド(w/v)で不活化される、方法。
- 前記精製されたC.ディフィシルトキシンA及び前記精製されたC.ディフィシルトキシンBが、C.ディフィシル二元毒素(CDT)を発現しないC.ディフィシル株に由来することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記精製されたC.ディフィシルトキシンA及び前記精製されたC.ディフィシルトキシンBが、C.ディフィシル株VPI10463/ATCC43255に由来することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 宿主において抗体を誘導する方法であって、前記抗体が、C.ディフィシル二元毒素(CDT)を発現する1種類以上のC.ディフィシル株に対して特異性を有し、前記方法が、CDTを発現しないC.ディフィシル株に由来する、不活化された精製C.ディフィシルトキシンA及び不活化された精製C.ディフィシルトキシンBを含む組成物を前記宿主に投与することを含む、方法。
- 毒素中和アッセイによって決定して、前記抗体が中和していることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
- 前記抗体が、少なくとも5.4の相対効果(RE)を示すことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
- 前記抗体が、0、I、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、及びXIIからなる群より選択される毒素遺伝子変異型を有するC.ディフィシル株によって産生されたトキシンA及び/又はトキシンBを中和することを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記毒素遺伝子変異型0株が、001、002、012、014、020、014/020、014/020/077、106、018、及び053からなる群より選択されるPCR−リボタイプを有し、
前記毒素遺伝子変異型III株がPCR−リボタイプ027又は075を有し、
前記毒素遺伝子変異型IV株がPCR−リボタイプ023を有し、
前記毒素遺伝子変異型V株が078、079、122、126、及び078/126からなる群より選択されるPCR−リボタイプを有し、
前記毒素遺伝子変異型VI株がPCR−リボタイプ127又は66−2を有し、
前記毒素遺伝子変異型VII株がPCR−リボタイプ66−2を有し、
前記毒素遺伝子変異型VIII株がPCR−リボタイプ017を有し、
前記毒素遺伝子変異型IX株がPCR−リボタイプ019を有し、
前記毒素遺伝子変異型XIa株がPCR−リボタイプ642を有し、
前記毒素遺伝子変異型XII株がPCR−リボタイプ056を有する
ことを特徴とする、請求項7に記載の方法。 - 前記抗体が、PCR−リボタイプ046又は369を有するC.ディフィシル株によって産生されたトキシンA及び/又はトキシンBを中和することを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、0、III、IV、V、及びVIIIからなる群より選択される毒素遺伝子変異型を有するC.ディフィシル株によって産生されたトキシンA及び/又はトキシンBを中和することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 前記抗体が、C.ディフィシル株の毒素遺伝子変異型0、III、IV、V、及びVIIIによって産生されたトキシンA及び/又はトキシンBを中和することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 前記毒素遺伝子変異型0株がPCR−リボタイプ012を有し、前記毒素遺伝子変異型III株がPCR−リボタイプ027を有し、前記毒素遺伝子変異型IV株がPCR−リボタイプ023を有し、前記毒素遺伝子変異型V株がPCR−リボタイプ078を有し、前記毒素遺伝子変異型VIII株がPCR−リボタイプ017を有することを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
- 前記抗体が、毒素遺伝子変異型III、IV及びVのC.ディフィシル株によって産生されたトキシンA及び/又はトキシンBを中和することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 前記毒素遺伝子変異型III株がPCR−リボタイプ027を有し、前記毒素遺伝子変異型IV株がPCR−リボタイプ023を有し、前記毒素遺伝子変異型V株がPCR−リボタイプ078を有することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
- C.ディフィシル二元毒素(CDT)を発現する1種類以上のC.ディフィシル株に対して宿主に免疫及び/又はワクチン接種する方法であって、該方法が、CDTを発現しないC.ディフィシル株に由来する、不活化された精製C.ディフィシルトキシンA及び不活化された精製C.ディフィシルトキシンBを含む組成物を前記宿主に投与することを含む、方法。
- 前記宿主が、0、III、IV、V及び/又はVIIIからなる群より選択される毒素遺伝子変異型を有する1種類以上のC.ディフィシル株に対して、それぞれ、免疫及び/又はワクチン接種されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
- 前記宿主が、III、IV及びVからなる群より選択される毒素遺伝子変異型を有する1種類以上のC.ディフィシル株に対して、それぞれ、免疫及び/又はワクチン接種されることを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
- 前記宿主が、前記毒素遺伝子変異型III、IV及びVを有する1種類以上のC.ディフィシル株に対して、それぞれ、免疫及び/又はワクチン接種されることを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
- 前記毒素遺伝子変異型III株がPCR−リボタイプ027を有し、前記毒素遺伝子変異型IV株がPCR−リボタイプ023を有し、前記毒素遺伝子変異型V株がPCR−リボタイプ078を有することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
- C.ディフィシルによって引き起こされる疾患及び死亡に対する有意な防御が前記宿主にもたらされることを特徴とする、請求項15〜19のいずれか一項に記載の方法。
- 前記防御が、ゴールデンシリアンハムスターモデルを使用して決定されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
- 前記組成物が、少なくとも3回、前記宿主に投与されることを特徴とする、請求項15〜21のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組成物が、筋肉内経路によって投与されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
- 前記組成物が、2週間の投与間隔で3回投与されることを特徴とする、請求項22又は23に記載の方法。
- ハムスターの群についての生存率が約58%〜約100%であることを特徴とする、請求項21〜24のいずれか一項に記載の方法。
- 前記防御が、ログ・ランク検定を用いたカプラン・マイヤーの方法、及び/又は、フィッシャーの正確両側確率検定によって決定して、統計学的に有意であることを特徴とする、請求項21〜25のいずれか一項に記載の方法。
- ハムスターの群について:
カプラン・マイヤーログ・ランク検定でp=0.0001及びフィッシャーの正確両側確率検定でp=0.0004;
カプラン・マイヤーログ・ランク検定でp<0.001及びフィッシャーの正確両側確率検定でp値=0.005;
カプラン・マイヤーログ・ランク検定及びフィッシャーの正確両側確率検定の両方でp値≦0.0001;及び/又は
カプラン・マイヤーログ・ランク検定でp値=0.0020及びフィッシャーの正確両側確率検定でp=0.0046
であることを特徴とする、請求項26に記載の方法。 - 前記組成物が、CDT又はそれらのサブユニットを含まないことを特徴とする、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
- 前記C.ディフィシルトキシンA及びトキシンBがC.ディフィシル毒素遺伝子変異型0に由来することを特徴とする、請求項3〜28のいずれか一項に記載の方法。
- 前記精製されたC.ディフィシルトキシンA及び前記精製されたC.ディフィシルトキシンBがC.ディフィシル株VPI10463/ATCC43255に由来することを特徴とする、請求項29に記載の方法。
- 前記トキシンA及び前記トキシンBが、約15〜32℃で約2〜約21日間、ホルムアルデヒドとともにインキュベーションすることによって不活化され、ここで、前記トキシンAが0.15%〜0.5%のホルムアルデヒド(w/v)で不活化され、前記トキシンBが0.15%〜0.8%のホルムアルデヒド(w/v)で不活化されることを特徴とする、請求項3〜30のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組成物が約0.001%〜0.020%のホルムアルデヒドを含むことを特徴とする、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組成物が約0.004%のホルムアルデヒドを含むことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
- 前記組成物が0.008%のホルムアルデヒドを含むことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
- 前記組成物が約0.016%のホルムアルデヒドを含むことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
- 前記トキソイドA及び前記トキソイドBが5:1〜1:5のA:B比で前記組成物中に存在することを特徴とする、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
- 前記トキソイドA及び前記トキソイドBが、3:1又は3:2のA:B比で前記組成物中に存在することを特徴とする、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組成物が、フリーズドライ、噴霧乾燥、又は泡沫乾燥されることを特徴とする、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組成物が液体形態であることを特徴とする、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組成物が1種類以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜39のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組成物が、クエン酸、リン酸、グリシン、炭酸、又は重炭酸バッファ、又はpH調整された水溶液を含むことを特徴とする、請求項40に記載の方法。
- 糖、又は糖アルコールをさらに含むことを特徴とする、請求項40又は41に記載の方法。
- 前記組成物がスクロース及びクエン酸を含むことを特徴とする、請求項40〜42のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組成物がアジュバントをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
- 前記アジュバントがアルミニウムを含むことを特徴とする、請求項44に記載の方法。
- 前記アジュバントがリン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項45に記載の方法。
- 前記アジュバントが水酸化アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項46に記載の方法。
- 前記組成物が、約20μg〜約160μgの水酸化アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項47に記載の方法。
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