海洋エネルギー(潮力エネルギー、潮流エネルギー、波エネルギーおよび海流エネルギーを含む)は、海水の流れによって生成されたエネルギーを意味する。海洋エネルギーは、再生可能なエネルギーの一種として、蓄積量が豊富で、広く分布されており、極めて良好な開発の将来性と価値を有する。海洋エネルギーの主な用途は、発電である。海洋エネルギー発電の動作原理は、風力発電と似ており、すなわち、海水の流れによって生成された機械的エネルギーは、エネルギー変換装置によって電気的エネルギーに変換される。具体的には、まず、海水が水力タービンに衝撃を与え、水力タービンは、水流エネルギーを機械的回転エネルギーへ変換し、その後、水力タービンは、機械的な駆動システムを介して電力を発生する発電装置を駆動し、それにより、最終的に機械的エネルギーを電気的エネルギーへ変換する。
近年、エネルギーがますます不足しており、温室効果もより厳しくなっているため、エネルギーの低炭素化が求められている。したがって、風力エネルギーや海洋エネルギーなどのクリーンエネルギーが、エネルギー開発の今後の方向性となっている。しかしながら、比較的成熟した風力エネルギーの利用を除いて、クリーンエネルギーのための発電装置は、依然として開発段階であり、海洋エネルギーの利用は、未だ初期段階に留まり、汎用的かつ成熟した装置がない。従来の数少ない装置にも効率が悪く、大規模化できない問題が存在している。
海洋の環境が複雑であり、水中の抵抗が大きいため、従来の海洋エネルギー発電装置の取り付けは必ず海で行わなければならず、難易度が高く、費用が膨大である。また、発電装置が長期的に海水と接触するため、海水の長期的侵食および巨大な衝撃力の作用により、海洋エネルギー発電装置はある程度使用した後、定期的に修理しまたは交換しなければならない。しかしながら、従来の海洋エネルギー発電装置の修理と交換は全て海で行うため、難易度が高く、費用が巨大である。ひいては、一部の部品が破損されても、海洋エネルギー発電装置全体を廃棄処分しなければならないが、これは海洋エネルギー発電装置のコストが高くなる重要な原因の1つであり、従来の海洋エネルギー発電装置の大規模化、商業化運営が不可能な直接原因でもある。
特に、水平軸水車発電機の場合、全ての装置(羽根車と発電機を含む)がいずれも水中にあるため、水平軸水車発電機の修理はさらに難しくなり、コストがより高い。そのため、水平軸水車発電機の発電効率が垂直軸水車発電機より高くても、水平軸水車発電機を商業化することができない。しかしながら、現在の海洋エネルギー発電分野の技術者は取り付けと修理方式に対する改良をし損ねている。
また、潮流エネルギーは海洋の潮流を用いて発電するため、上げ潮と引き潮に伴って、潮流の方向は変更される。従来の大半の水平軸水車発電機はいずれも回転できないため、潮流エネルギー発電装置は上げ潮または引き潮を利用して発電することしかできず、発電効率が極めて低い。従来の技術者は上げ潮と引き潮により生成されたエネルギーを十分に利用するために、2組の発電システムを取り付けることを選択している。1組の発電システムの羽根車は上げ潮方向に向き、もう1組の発電システムの羽根車は引き潮方向に向く。上げ潮と引き潮により生成されたエネルギーが十分に利用されたように見えるが、上げ潮または引き潮の場合、1組の発電システムは常に動いていない。1組の発電システムを増やすことによりコストが倍に増加するが、生成された電気エネルギー効率の向上はコストの増加に遠く及ばず、これは潮流エネルギー発電装置の普及と運用を大きく制限している。
注目すべきことは、上げ潮と引き潮の潮流速度が一定でないことである。発電装置を取り付ける際、発電装置が選定されると、その荷重は定められる。しかしながら、潮流の速度が一定でないため、発電量も一定でない。従来の潮流エネルギー発電装置はコストの節約および技術上の制限を受け、水平軸水車発電機または垂直軸水車発電機のどちらでも一定の水流速度以下の発電負荷しかかけられない。水流速度が増加すると、発電量が負荷を超え、発電機は過負荷運転により破損しやすくなる。そのため、発電機の動作寿命を延長するために、従来の潮流エネルギー発電装置は潮流が一定の速度を超えると水流を徹底的に遮断し、発電機の動作を停止させ、発電効率を大幅に低減させる。
また、従来の潮流エネルギー発電装置は風力エネルギー発電装置の設計を参考にし、可変ピッチの方式によって発電装置の負荷を調整する。水流の速度が大きい場合は、調節装置を介してブレードの迎角を減少させ、水流の速度が小さい場合は、調節装置を介してブレードの迎角を大きくする。しかしながら、このような設計には大きな欠点が存在する。風力エネルギー発電装置の使用環境と違って、水平軸水車発電機は水で使用されるため、受ける抵抗力は風力エネルギー発電装置が受ける抵抗力より遥かに大きい。そして、水平軸水車発電機のブレード角度が調整されるため、回転機構全体は水中に位置し、ブレード角度の回転を実現するにはブレードの各部品の間の取り付け密着程度を正確に設計しなければならない。密着するように接続される場合、摩擦力が大き過ぎるため、ブレードの上流面角度を調節しにくく、調節装置は調節の機能を発揮できなくなる。この場合の発電装置は、水流が小さすぎる際に効率を向上させることができず、水流が大き過ぎる際も発電機を確実に保護することができない。一方で、接続が緩すぎると、摩擦力が小さ過ぎ、容易に調節できるが、気密性を失う深刻な問題が存在する。そうすると、水流は羽根車内部に注入され羽根車全体を破損し、修理頻度が大きく向上され、コストが大きく増加する。また、水力タービンにいくつのブレードがあれば、それに応じていくつの回転機構と制御機構を取り付けなければならず、そのコストと技術難易度も急激に増加する。
図1は、本発明の第一実施形態に係るモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置の組立図である。図2は、本発明の第一実施形態に係るモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置の平面図である。図3は、本発明の第一実施形態に係るモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置の側面図である。図4は、本発明の第一実施形態に係るモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置における水流誘導マスクを示す図である。図5は、図4の側面図である。以下、図1乃至図5を参照しながら説明する。
本実施形態に係るモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置は、外部枠1と、少なくとも2つの内部枠2と、少なくとも4つの水平軸水車発電機3と、少なくとも2本の装着軸4と、少なくとも4つの水流誘導マスク5と、駆動ユニット6と、を有する。
外部枠1は、鋼材料により溶接されてなる。本実施形態において、外部枠1は複数の固定柱11を有することができる。外側スリーブ内にコンクリートを流し込むことにより、固定柱11を形成する。外部枠1は、柱を打ち込む方式によって海底Fに固定される。本実施形態において、外部枠1はさらに複数の水流の抵抗を減少させる構造12を有する。複数の水流の抵抗を減少させる構造12は、外部枠1の上流側(水流の流れに向かっている側)に位置する。水流の抵抗を減少させる構造12を外部枠1の上流側に設けることにより、外部枠1の外側スリーブ(その後ここで固定柱11を形成する)が水の衝撃力を受ける面積を大きく減少させると同時に、後続に形成される固定柱11の安定性を大幅に向上させる。図2に示すように、水流の抵抗を減少させる構造12は、外部枠1の最上辺と最下辺に位置する。本実施形態において、水流の抵抗を減少させる構造12の断面は三角形である。しかしながら、本発明は水流の抵抗を減少させる構造12の具体的な形状と構造に対し如何なる限定もしない。その他の実施形態において、該水流の抵抗を減少させる構造は流線型に製造されてもよい。
少なくとも2つの内部枠2は、外部枠1内に分離可能に設けられている。本実施形態において、内部枠2には係止具(図示せず)が設けられることができ、外部枠1には係止溝(図示せず)が設けられることができ、内部枠2は係止具と係止溝との係合によって外部枠1内に嵌め込まれる。しかしながら、本発明は内部枠2と外部枠1との間の固定方式に対して如何なる限定もしない。本発明は、内部枠2の具体的な数に対しても如何なる限定をしない。実際の応用において、内部枠2の数は多くて12個または14個に達することができる。図1に示すように、複数の内部枠2が水平面Pに平行する方向に沿って配置され、潮流エネルギー発電装置の規模の横方向への拡張を実現し、潮流エネルギーの利用率を大きく向上させ、従来の潮流エネルギー発電装置の規模化が実現できない欠点を克服する。
少なくとも2本の装着軸4は、それぞれ各内部枠2に回転可能に設けられている。装着軸4の軸方向Xは水平面Pに垂直であり、2本の装着軸4は互いに平行である。各2つの水平軸水車発電機3は1本の装着軸4に固定され、同じ内部枠2内で水平面Pに対して垂直である方向D1に沿って配列されている。図1に示す方向から見ると、少なくとも2つの水平軸水車発電機3が縦方向に配列されているため、潮流エネルギー発電装置の規模の海洋の深度に沿った縦方向への拡張を実現し、発電効率を大きく向上させ、さらに従来の潮流エネルギー発電装置の規模化が実現できない問題を解決する。
本発明において、1つの内部枠2と、少なくとも2つの水平軸水車発電機3と、少なくとも1本の装着軸4と、1つの駆動ユニット6とが共に1つの内蔵モジュール100を形成する。実際の応用において、先に少なくとも2つの水平軸水車発電機3と、少なくとも1本の装着軸4と、少なくとも1つの駆動ユニット6を1つの内部枠2内に固定し、その後、少なくとも2つのこのように組み立てられた内部枠2を外部枠1内に固定することによって、モジュール化双方向潮流エネルギー発電装置のモジュール化取り付けを実現することができる。具体的には、内蔵モジュール100の取り付けは岸辺で行うことができ、その後、内蔵モジュール100を海における外部枠1内に吊り下げて外部枠1に固定することができ、このように海面における取り付け作業を実現し、取り付け過程を大きく簡単化し、取り付け時間を短縮し、海洋における取り付け難易度を低減させる。
各水平軸水車発電機3は、羽根車31と、発電機32と、を有する。水平軸水車発電機3の羽根車31と発電機32が全て水中にあるため、水平軸水車発電機3に故障が発生する場合、従来の潮流エネルギー発電装置は海中で修理しなければならない。このように、修理が非常に難しく、費用が膨大である。しかしながら、本発明に係るモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置は、内蔵モジュール100を直接海から取り出して修理しまたは交換することができ、モジュール化双方向潮流エネルギー発電装置の海面における迅速な交換と修理を実現し、修理コストを大きく削減し、モジュール化双方向潮流エネルギー発電装置の商業化を実現させる。
本実施形態において、内部枠2の数は装着軸4の数に等しく、水平軸水車発電機3の数は装着軸4の数の2倍である。しかしながら、本発明はこれに対して如何なる限定もしない。その他の実施形態において、1つの内蔵モジュール100は複数本の装着軸4を有することができ、各装着軸4には2つ以上の水平軸水車発電機3が備えることができる。
同じ装着軸4に取り付けられた各2つの水平軸水車発電機3は同期して回転する。駆動ユニット6は装着軸4に接続され装着軸4を回転するように駆動する。上げ潮と引き潮の水流方向が逆であるため、水流の流入方向にかかわらず、装着軸4の回転によって水平軸水車発電機3の羽根車31を常に水流方向に向くように制御し、よって潮流エネルギーの利用率を向上させ、発電効率を向上させる。
本実施形態において、駆動ユニット6の数は装着軸4の数に対応し、少なくとも2つである。しかしながら、本発明はこれに対して如何なる限定もしない。その他の実施形態において、歯車等の駆動機構により、1つの駆動ユニット6が2つの装着軸4を制御することができる。各駆動ユニット6は、モータ61と駆動機構62(図9参照)を含むことができ、駆動機構は装着軸4の一端に接続され、モータは駆動機構を介して装着軸4を回転するように駆動する。しかしながら、本発明はこれに対して如何なる限定もしない。その他の実施形態において、駆動ユニット6はモータと減速機を含むことができる。従来のモータは回転速度が速いため、減速機によって回転速度を大きく落とすことができ、装着軸4の回転速度と回転幅を効果的かつ正確に制御することができる。
実際の応用において、水流が図2に示された水流方向Dに沿ってモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置へ流れる場合、駆動ユニット6は動作しない。この場合、水平軸水車発電機3の羽根車31は水流方向に向く。水流が水流方向Dの逆方向(図2から見ると上から下へ)に沿ってモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置へ流れる場合、駆動ユニット6は装着軸4を回転するように駆動し、よって水平軸水車発電機3を180度回転させ、羽根車31を下向きから上向きに変更させ、水平軸水車発電機3の羽根車31が常に水流方向に向くように保証する。この場合は特に潮力エネルギーを利用した発電に適用し、最大の発電効率を確保する。
特に、実際の応用における上げ潮と引き潮の水流方向は完全に平行であるのではなく、必ずしも水平軸水車発電機3の上流面に対して垂直でもない。水流の水平軸水車発電機3へ流れ込む方向にかかわらず、本発明の発電装置は、装着軸4を通じて水平軸水車発電機3の向きを変えるように制御することができ、よって水平軸水車発電機3を常に水流に対向するようにし、よって潮流エネルギーを最大限に利用し、発電効率を向上させる。
また、実際の水流速度が水平軸水車発電機3の耐えられる最大負荷に対応する定格速度より速い場合、装着軸4の回転により水平軸水車発電機3を水流方向から一定の角度離れて回転させるように制御するだけで、水平軸水車発電機3の負荷を効果的に低減することができ、水平軸水車発電機3が過負荷によって破損されることがないように確保すると同時に、水平軸水車発電機3が相変わらず正常に動作し、安定して発電し続けるように確保する。従来の海洋エネルギー発電装置において、水流の速度が大き過ぎる場合、発電機が焼損されると運転を停止する欠点を解決すると同時に、可変ピッチの調節を行う必要なく、発電機の負荷調節をより簡単且つ効果的であるようにする。一方、実際の水流速度が発電装置3の耐えられる最大負荷に対応する定格速度より小さい場合、装着軸4の回転によって水平軸水車発電機3を水流方向(即ち、羽根車の上流面が水流方向に対して垂直である)に対向するように制御するだけで、水流を最大限に利用して発電することができ、発電効率を向上させる。
本発明において、モジュール化双方向潮流エネルギー発電装置は、少なくとも4つの水流誘導マスク5をさらに有し、各水流誘導マスク5は各水平軸水車発電機3に対応するように設置される。本発明に係る水平軸水車発電機3の装着軸4に伴う回転は水流誘導マスク5内で行われる。従来技術において、一部の潮流エネルギー発電装置は水平軸水車発電機3の上流および下流に水流誘導マスクを設置するが、水平軸水車発電機3を水流誘導マスク内に設置していない。言い換えれば、水平軸水車発電機3は水流誘導マスク内ではなく水流誘導マスク外で回転する。水車発電機3が回転する領域が水流誘導マスクにより水流を制限されていないため、水平軸水車発電機3の方向転換および回転は水流を乱し、水流方向に深刻に干渉し水流速度に影響を与える。本発明において、水平軸水車発電機3が回転する場合、水流誘導マスク5は固定されて動かず、水平軸水車発電機3だけが向きを変える。しかしながら、従来技術において、一部の潮流エネルギー発電装置の水流誘導マスク5は水平軸水車発電機3と共に回転するが、これならば水流方向および速度に対する干渉がさらに深刻化する。特に、本発明の潮流エネルギー発電装置が水流速度の速い水域に応用される場合、水流がスムーズであるほど、発電効率が高い。水平軸水車発電機3が水流誘導マスク5外で回転するか、または水流誘導マスク5が水平軸水車発電機3と共に回転する場合、発電効率が著しく低減されてしまう。
本実施形態において、各水流誘導マスク5は2つの水誘導部51と1つの中間部52を有する。中間部52は2つの水誘導部51の間に位置する。各水誘導部51の中間部52を離れる一端の横断面511は矩形である。各水誘導部51の中間部52に接続される一端の横断面512は円形である。中間部52の横断面521は円形である。横断面511、512および521はいずれも水平面Pに対して垂直でありかつ水流方向Dに対して垂直であり、円形横断面512および521の面積は矩形横断面511の面積より小さい。
具体的には、中間部52は円柱形の円筒であり、各水誘導部51は一端が矩形であり他端が円形である立体構造である。水誘導部51の円形横断面512の面積は、中間部52の円形横断面521の面積にほぼ等しい。水誘導部51の円形横断面512の面積は、水誘導部51の矩形横断面511の面積より小さい。実際の応用において、水平軸水車発電機3はちょうど円柱形の中間部52内に位置する。
水誘導部51の一端を矩形に設けることにより、外部枠1または内部枠2との接続端面のシームレスな接続を実現することができる。従来の潮流エネルギー発電装置に使用される水流誘導マスクは、その上流側の横断面が円形である。従来の枠がいずれも矩形であるため、取り付け過程に円形と矩形との間に隙間が発生する。該隙間が何かに遮られていない場合、潮流が水車発電機へ衝撃すると、比較的多い一部の水流が該隙間から水車発電機に流れ込み、ひいては羽根車のブレードの裏面を衝撃し、発電効率を大幅に低減させる。該隙間がプレートに遮られた場合、水流は直接該プレートに衝撃し、巨大な応力を形成し、枠全体の構造を破損させやすい。特に、該プレートによって遮られた後、水流方向が変わり、ひいては水流が乱れ、潮流エネルギーの利用率を深刻に低減し、さらに発電効率を低減させる。
矩形から面積がさらに小さい円形に過渡することにより、水流通路を縮小し、水流を水平軸水車発電機3に集中するように誘導し、水平軸水車発電機3の羽根車31の受ける力をより大きく、回転速度をより速くし、よって発電効率を向上させる。特に、本実施形態における水流誘導マスク5は、一端が矩形であるだけではなく両端がいずれも矩形であるため、上げ潮または引き潮に係わらず、該水流誘導マスク5は水流誘導の役割を実現することができる。
本実施形態において、水流誘導マスク5の両端は外部枠1に固定される。具体的には、水流誘導マスク5の中間部52は内部枠2に固定されてもよく、2つの水誘導部51は外部枠1に固定されてもよい。実際の取り付けにおいて、中間部52は内蔵モジュール100を組み立てる際に水面において固定を済ませることができ、水誘導部51は外部枠1に直接固定を済ませることができ、その後、内蔵モジュールを外部枠1内に移動する時、即ち水誘導マスク8の分離型組立を完成する。
図6は、本発明の第二実施形態に係るモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置の組立図である。図7は、本発明の第二実施形態に係るモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置の平面図である。図8は、本発明の第二実施形態に係るモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置の側面図である。以下、図6乃至図8を参照しながら説明する。
第二実施形態において、外部枠1と、内部枠2と、水平軸水車発電機3と、装着軸4と、駆動ユニット6との構造および役割は、いずれも第一実施形態に記載された通りであり、同じ部品に対しては同じ記号で表示し、ここでその詳細な説明を省略する。以下、相違点のみについて説明する。
第二実施形態において、水流誘導マスク5’の両端は内部枠2に固定される。具体的には、水流誘導マスク5’の水誘導部と中間部はいずれも内部枠2内に位置する。そのため、水流誘導マスク5’と外部枠1、内部枠2、水平軸水車発電機3、装着軸4および駆動ユニット6は、共に内蔵ユニット200を構成することができる。水流誘導マスク5’の取り付けは全て岸辺で行うことができ、水中の取り付け作業を減少させ、組立の利便性を向上し修理コストを削減する。モジュール化双方向潮流エネルギー発電装置が水流速度の速い水域に応用される場合、水流誘導マスク5’に第一実施形態における分離型取り付け方式を採用すると、水流誘導マスク5’の水誘導部と中間部との間に存在する取り付け隙間は水流をここで乱れさせ、水流を高効率に誘導することができず、ひいては水流が水流誘導マスクの内部で間違って方向を変える。しかし、水流誘導マスク5’を直接内部枠2に固定して一体化の組立を実現することにより、この問題を回避することができる。
第二実施形態において、モジュール化双方向潮流エネルギー発電装置は、引張環71と、引き綱72と、をさらに有する。引張環71は外部枠1に設けられ、引き綱72の一端は引張環71に設けられる。具体的には、複数の引張環71が外部枠1に設けられ、複数本の引き綱72の一端は引張環71に貫通するように設けられ、他端は岸辺の柱に固定される。好ましくは、引張環71の数は4つ以上であり、そのうちの4つはそれぞれ外部枠1の4つの頂角に設けられている。引張環71および引き綱72の設置により、モジュール化双方向潮流エネルギー発電装置を水中で固定できるようにし、修理および点検にも便利である。このような取り付け方式は特に深い水域に適用する。
第二実施形態において、モジュール化双方向潮流エネルギー発電装置は、外部枠1に設けられた浮標部8をさらに有する。浮標部8は固体浮力材料により製造されて水平面に平行してもよく、主な作用はモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置全体に浮力を提供することである。しかしながら、本発明はこれに対して如何なる限定もしない。その他の実施形態において、浮標部8は固定浮標と調節可能な浮標を含むことができ、水平面に対して垂直するように設けられている。調節可能な浮標は内部の空気量または水量を制御することによって調節可能な浮標の浮力を制御することができ、よってモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置全体の水中位置の深さを制御する。
第二実施形態において、3つの水平軸水車発電機3は水平面に対して垂直である方向D1に沿って1本の装着軸4に固定される。しかしながら、本発明は、縦方向に配置された水平軸水車発電機3の数に対しては如何なる限定もしない。
図9は、本発明の第三実施形態に係るモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置の内蔵モジュールを示す図である。第三実施形態において、外部枠1、内部枠2、水平軸水車発電機3、装着軸4、水流誘導マスク5および駆動ユニット6の構造および役割は、いずれも第一実施形態に記載の通りであり、同じ部品は同じ記号で表示し、ここでその詳細な説明を省略する。以下、相違点のみについて説明する。
実施形態において、モジュール化双方向潮流エネルギー発電装置は、少なくとも6つの軸受け9をさらに有する(図9において1つの内蔵モジュールしか表されていないため、図において3つの軸受け9のみ表示している)。各3つの軸受け9は1本の装着軸4にスリーブのように取り付けられ、図9に示すように、1本の装着軸4に設けられた2つの軸受け9はそれぞれ2つの水平軸水車発電機3の上下両側に位置し、もう1つの軸受け9は2つの水平軸水車発電機3の間に位置する。
水深方向D1に2つおよび2つ以上の水平軸水車発電機3を設けることにより、モジュール化双方向潮流エネルギー発電装置の水深方向D1における深さをさらに深くすることができ、よって潮流エネルギーをより効果的に利用して発電することができ、発電効率を大幅に向上させる。1本の装着軸4に少なくとも3つの軸受け9を設けることにより、装着軸4に対する「多点拘束」を実現する。装着軸4の長さにかかわらず、海水の巨大な衝撃力で、少なくとも3つの軸受け9がそれぞれ力を分担して受けると同時に、装着軸4を少なくとも3つの点から固定し支え、装着軸4の長さが制限されることがないようにし、水深方向D1にさらに多くの水平軸水車発電機3を取り付けることができ、モジュール化双方向潮流エネルギー発電装置の規模を大幅に拡大し、発電効率を向上させ、従来技術における海洋エネルギー発電装置を海洋中に深く設置できない技術的問題を解決する。
本発明はモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置の発電ニーズに応じて水平軸水車発電機3の横方向(即ち、水平面に対して平行である水平方向)および縦方向(即ち、水平面に対して垂直である水深方向)における数を増加することができ、よって潮流発電装置の大規模化を実現する。現在、世界で最大の海洋潮流エネルギー発電装置の単一ユニットの発電量は1.2メガワットであるが、本発明に係るモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置の単一ユニットの発電量は3.4メガワットであり、従来の潮流エネルギー発電装置の最大発電量より遥かに大きい。
図10は、本発明の第四実施形態に係るモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置における水流誘導マスクを示す図である。本実施形態において、外部枠、内部枠、水平軸水車発電機、装着軸および駆動ユニットの構造および役割は、いずれも第一実施形態に記載の通りであり、ここでその詳細な説明を省略する。以下、相違点のみについて説明する。
図10に示すように、各水流誘導マスクは非対称構造である。具体的には、各水流誘導マスクは同じく2つの水誘導部51’と1つの中間部52’を有する。各水誘導部51’は、一端が矩形であり他端が円形の立体構造である。しかしながら中間部52’は非対称構造であり、一直線状の円筒ではない。そのうち1つの水誘導部51’は第1中心軸X1を有し、他の1つの水誘導部51’は第2中心軸X2を有し、第2中心軸X2と第1中心軸X1とはゼロでない夾角θを形成している。実際の応用において、水誘導部51’と第一実施形態における水誘導部は同じ構造を採用することができ、中間部52’には一定の屈曲角を有するエルボパイプを採用することができる。
実際の応用において、潮流の上げ潮方向と引き潮方向とは理想的な180°のような完全に反対する2つ方向ではない。いわゆる当業者が実際の水域における上げ潮と引き潮の水流方向の偏差を無視したため、従来の使用されている水流誘導マスクはいずれも対称構造である。異なる水域で潮位が上がる際の水流方向D2と潮位が下がる際の水流方向D3との間に偏差角度αがあり、3°から20°まで等しくない。潮流エネルギー発電装置に対称する水流誘導マスク構造を採用する場合、上げ潮と引き潮の2つの方向の水流において必ず1つが水流誘導マスクにより正確に誘導されることがでいないため、水平軸水車発電機も2つの方向の水流を完全且つ十分に利用して発電することができない。しかしながら、第2中心軸X2と第1中心軸X1との間に形成された夾角θを上げ潮方向と引き潮方向との間の偏差角度αと一致するように設定することにより、上げ潮または引き潮に係わらず、水流誘導マスクにより全ての水流が正確に水車発電機に誘導できるように確保し、よって最大限に水流を利用して発電を行い、発電効率を向上させる。
以上のとおり、本発明に係るモジュール化双方向潮流エネルギー発電装置によれば、分離可能な内部枠と外部枠を設けることにより、発電装置を水面においてモジュール化組立および置き換えることができるようにし、修理費用と取り付け費用を大幅に削減し、従来の潮流エネルギー発電装置の商業化、大規模化できない問題を解決する。そして、水面に対して垂直である方向に少なくとも2つの水平軸水車発電機を配置し、水面に対して平行である方向にも少なくとも2つの水平軸水車発電機を配置することにより、水車発電機のマトリクス化配置を実現させ、海域全体の横方向と縦方向の潮流エネルギーを十分に利用させ、発電効率を大幅に向上させる。水流誘導マスクを設置することにより、水流を水平軸水車発電機に集中するように誘導し、水平軸水車発電機の羽根車の受ける力をより大きく、回転速度をより速くし、よって発電効率を向上させる。装着軸を設けることにより、ブレードの上流面角度のみ変えるのではなく、水平軸発電装置全体の向きを革新的に変える方式によって発電機の負荷を調整し、水流の速度にかかわらず発電機が安全負荷内で常に正常に発電できるように保証することができ、発電効率を大きく向上させる。また、回転可能な装着軸を設けることにより、上げ潮または引き潮に係わらず、水平軸水車発電機の羽根車を常に水流方向に向くことができるようにし、よって最大の発電効率を確保する。さらに重要なのは、本発明に係る水平軸水車発電機の回転は水流誘導マスク外ではなく水流誘導マスク内で行われ、かつ水平軸水車発電機は回転するが水流誘導マスクは固定され動かないため、水流の速度と流れ方向に与える影響を大幅に減少することができ、水流をスムーズに維持して発電効率を向上させる。
また、各装着軸に少なくとも3つの軸受けを設けることにより、装着軸に対して「多点拘束」を実現し、モジュール化双方向潮流エネルギー発電装置の規模を横方向(水平面に対して平行である水平方向)に拡張させるだけでなく、縦方向(水平面に対して垂直である水深方向)にも拡張させることができ、発電効率を大幅に向上させ、従来の海洋エネルギー発電装置を「大きく」、「深く」できなかった問題を解決する。
さらに、本発明の実施形態に係る水流誘導マスクは、両端が矩形で、中間が円形であり、上げ潮または引き潮に係わらず常に水流誘導作用を発揮することができ、該特定の構造を有する水流誘導マスクの水流誘導効果がより良好である。特に、水流誘導マスクを非対称構造に設けることにより、上げ潮または引き潮に係わらず、水流誘導マスクによって全ての水流が正確に水車発電機に誘導できるように確保し、よって最大限に水流を利用して発電を行い、発電効率を向上させる。
本発明は、以上のような比較的良好な実施形態により開示されているが、これらは本発明を限定するものではない。いわゆる当業者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、一部の変動や修飾をすることができる。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲により定められる。