JP2018513785A - バイオマス処理のモニタリング方法及びシステム - Google Patents

バイオマス処理のモニタリング方法及びシステム Download PDF

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Abstract

電離放射線を用いた処理中にバイオマス材料が受けた放射線の線量を決定、及びバイオマスから得られる糖の最大収率の最適な線量を決定することを含むバイオマス処理のモニタリング及び改善に関したシステム及び方法が記載される。複数のバイオマス部分がある線量で照射され、応答対線量の多項式曲線を作成するためにESR応答が測定される。【選択図】図1

Description

関連出願
本出願は2015年4月7日に出願の米国仮出願第62/143,850号の優先権を主張する。この出願の内容はその全体が本明細書に参照により組み込まれる。
今日、数例挙げると、農業残渣、木材バイオマス、都市廃棄物、油糧種子/油粕及び海藻を含む、多くの潜在的なリグノセルロース原材料が、入手可能である。現在、これら材料は、例えば、動物飼料、バイオコンポスト材料として用いられるか、コジェネレーション設備で焼却されるか、又は埋め立てられることもあり、多くの場合、十分に活用されていない。
リグノセルロースバイオマスは、ヘミセルロースのマトリックス内に埋め込まれ、リグニンによって取り囲まれた結晶性セルロースの微細繊維を含む。これは、酵素及びその他の化学的、生化学的及び/又は生物学的方法によるアクセスが困難な緻密なマトリックスを生じる。セルロースバイオマス材料(例えば、このリグニンを除去したバイオマス材料)は、酵素及びその他の変換処理に対して、より利用しやすいが、それでも、天然に生じるセルロース材料は、多くの場合、加水分解酵素と接触させたときの収率が(理論上の収率と比較して)低い。リグノセルロースバイオマスは、更により酵素の攻撃を受けにくい。
更に、各種リグノセルロースバイオマスは、それぞれ独自のセルロース、ヘミセルロース及びリグニンの特異的な組成物を有する。
一般的に、電離放射線を用いた処理中にバイオマス材料が受けた放射線の線量を決定、及びバイオマスから得られる糖の最大収率の最適な線量を決定するための方法、装置及びシステムが、本明細書にて開示されている。
本発明の少なくとも一態様は方法に関し、この方法が、複数のバイオマス部分に照射すること、各部分をある線量で照射し、各部分に由来するESR応答を測定し、応答対線量の曲線を作成することを含む。
一実施形態によれば、この測定された応答は、全積分応答である。
別の実施形態によれば、この曲線は多項式である。更なる実施形態によれば、この多項式は、三次多項式である。更なる実施形態によれば、この多項式は、少なくとも0.9の値の相関係数を有する。別の実施形態によれば、この相関係数は、少なくとも0.92の値を有する。別の実施形態によれば、この相関係数は、少なくとも0.93の値を有する。一実施形態において、この相関係数は、少なくとも0.94の値を有する。別の実施形態において、この相関係数は、少なくとも0.95の値を有する。別の実施形態において、この相関係数は、少なくとも0.96の値を有する。別の実施形態において、この相関係数は、少なくとも0.97の値を有する。別の実施形態において、この相関係数は、少なくとも0.98の値を有する。別の実施形態において、この相関係数は、少なくとも0.99の値を有する。
別の実施形態によれば、この方法は、バイオマス試料に照射し、応答対線量の曲線を比較して、このバイオマス試料が受けた線量を決定することを更に含む。一実施形態において、この照射は、電子ビームを用いて実施される。
一実施形態によれば、この方法は、この測定の前に、照射された少なくとも1つのバイオマス部分を−50℃未満の温度で所定の時間、保管することを更に含む。更なる実施形態によれば、この温度は−60℃未満である。一実施形態において、この温度は−70℃未満である。別の実施形態において、この温度は−80℃未満である。
別の実施形態によれば、この測定は照射後12か月未満、実施される。一実施形態において、この測定は照射後11か月未満、実施される。一実施形態によれば、この測定は照射後10か月未満、実施される。いくつかの実施形態によれば、この測定は照射後9か月未満、実施される。別の実施形態において、この測定は照射後8か月未満、実施される。いくつかの実施形態において、この測定は照射後7か月未満、実施される。一実施形態によれば、この測定は照射後6か月未満、実施される。ある実施形態によれば、この測定は照射後5か月未満、実施される。他の実施形態によれば、この測定は照射後4か月未満、実施される。いくつかの実施形態によれば、この測定は照射後3か月未満、実施される。種々の実施形態によれば、この測定は照射後2か月未満、実施される。少なくとも1つの実施形態によれば、この測定は照射後1か月未満、実施される。一実施形態において、この測定は照射後4週未満、実施される。別の実施形態において、この測定は照射後3週未満、実施される。いくつかの実施形態において、この測定は照射後2週未満、実施される。一実施形態において、この測定は照射後1週未満、実施される。
別の実施形態によれば、この方法は、照射された少なくとも1つのバイオマス部分を50℃超の温度で所定の時間、加熱することを、更に含む。一実施形態によれば、この温度は60℃超である。一実施形態によれば、この温度は70℃超である。別の実施形態によれば、この温度は80℃超である。いくつかの実施形態において、この温度は85℃超である。各種実施形態において、この温度は90℃超である。少なくとも1つの実施形態において、この温度は95℃超である。いくつかの実施形態において、この温度は100℃超である。少なくとも1つの実施形態によれば、この温度は105℃超である。
一実施形態によれば、各バイオマス部分は、約0.1Mradから約100Mradの範囲の線量で照射される。一実施形態において、この線量は、約1Mradから約60Mradの範囲である。別の実施形態において、この線量は、約1Mradから約50Mradの範囲である。いくつかの実施形態において、この線量は、約2Mradから約40Mradの範囲である。別の実施形態によれば、各バイオマス部分は、約1Mradと最大線量の間の線量で照射され、この最大線量は、この応答について線量の増大に対してそれ以上増大しない場合の線量に由来する。
一実施形態によれば、このバイオマスは、リグノセルロース材料を含む。いくつかの実施形態によれば、このリグノセルロース材料は、コーンストーバー又はトウモロコシ穂軸などの農業廃棄物を含む。
別の実施形態によれば、この測定は、ESRチューブ内で行われる。いくつかの実施形態によれば、このESRは、約5GHzから約100GHzの範囲の周波数で作動する。いくつかの実施形態において、この周波数は、約5GHzから約50GHzの範囲である。他の実施形態において、この周波数は、約6GHzから約11GHzの範囲である。
少なくとも1つの実施形態において、この測定は、複数回のスキャンの実施を含み、この複数回のスキャンによって、シグナル対雑音比を増大させる。一実施形態において、このスキャンの数は、2から256回のスキャンの範囲である。更なる実施形態によれば、このスキャンの数は、2から128回のスキャンの範囲である。更なる別の実施形態によれば、このスキャンの数は、4から64回のスキャンの範囲である。
本発明の少なくとも他の一態様は、複数のバイオマス部分に照射すること、各部分をある線量で照射し、各部分に由来するESR応答を測定し、応答対線量の曲線を作成すること、この曲線から決定されたおよその飽和線量でバルク試料を照射することを含む方法に関する。いくつかの実施形態によれば、このバルク試料は、この飽和線量の50パーセント以内で照射される。一実施形態において、このバルク試料は、この飽和線量の25パーセント以内で照射される。別の実施形態において、このバルク試料は、この飽和線量の10パーセント以内で照射される。
一実施形態によれば、この方法は、このバルク試料の糖化を更に含む。
本発明の少なくとも他の一態様は、方法に関し、飽和線量でバルクバイオマスを糖化すること、この飽和線量は、複数のバイオマス部分に照射することによって決定され、各部分をある線量で照射し、各部分に由来するESR応答を測定し、応答対線量の曲線を作成することを含む。
別の実施形態によれば、このバルクバイオマスは、この飽和線量の50パーセント以内で照射される。一実施形態によれば、このバルクバイオマスは、この飽和線量の25パーセント以内で照射される。更なる実施形態によれば、このバルクバイオマスは、この飽和線量の10パーセント以内で照射される。
更なる実施形態によれば、本明細書で記載されるシステム及び方法の利点は、バイオマス材料が処理中に受けた線量を素早くかつ正確に決定することが可能であることを含む。また、この方法及びシステムは、バイオマスに照射する処理をモニター、制御及び最適化することも可能である。
本発明の他の特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態、及び特許請求の範囲から明らかとなろう。
上記は、添付図面に図示されているように、以下の本発明における例示的な実施形態のより詳細な説明から明らかとなろう。図面は必ずしも縮尺とおりではなく、代わりに本発明の実施形態を示す際に強調されている。
は、それに由来する糖溶液及び糖生成物の製造処理を示すフローチャートである。 は、このバイオマスの難分解性の低下について、モニタリング及び調整方法を示すフローチャートである。 は、セロビオースのラジカルカチオンの形成、その中性分子、励起された分子の形成及びそのラジカルの形成を示す。 は、セロビオース上に生じると考えられる鎖切断反応を示す。 は、ラジカルの形成及びクエンチ並びにこれらの検出に関する略図である。 は、このラジカルの形成及びクエンチ並びにこの最終的にクエンチされた材料の検出に関する別の略図である。 は、照射されたリグニンのEPRスペクトルのプロットを示す。 は、照射されたグルコースのEPRスペクトルのプロットを示す。 は、照射されたキシランのEPRスペクトルのプロットを示す。 は、照射されたセルロースのEPRスペクトルのプロットを示す。 は、照射された微結晶セルロースのEPRスペクトルのプロットを示す。 は、照射されたセロビオースのEPRスペクトルのプロットを示す。 は、照射されたデンプンのEPRスペクトルのプロットを示す。 は、照射され、加熱処理されたトウモロコシ穂軸材料のEPRスペクトルのプロットを示し、この積分ピークを示す。 は、非加熱処理試料に対する、EPRによって測定したときの照射されたバイオマス上におけるラジカルの積分した応答対放射線量のプロットを示す。 は、加熱処理試料に対する、EPRによって測定したときの照射されたバイオマス上におけるラジカルの積分した応答対放射線量のプロットを示す。 は、さまざまな線量で照射されたトウモロコシ穂軸のEPRスペクトルのプロットを示す。 は、EPRによって測定したときの照射されたバイオマス上のラジカルの全積分応答対放射線量のプロットを示す。 は、非照射のトウモロコシ穂軸のEPRスペクトルのプロットを示す。 は、試料の加熱処理を伴わずに異なる電子エネルギー及び線量で照射されたトウモロコシ穂軸の6つのEPRスペクトルのプロットを示す。 は、試料の加熱処理後、異なる電子エネルギー及び線量で照射されたトウモロコシ穂軸の6つのEPRスペクトルのプロットを示す。 は、この処理が、異なるエネルギーの電子を伴い、異なる線量に対して行われるときのバイオマス材料に対するEPRの全積分応答のプロットを示す。 は、糖収率の総重量%対照射されたリグノセルロース材料についてEPRの全積分応答のプロットを示す。
本明細書で記載される装置、方法及びシステムを用いて、例えば、バイオマス(例えば、植物バイオマス、動物バイオマス、紙、及び都市廃棄物バイオマス)から供給することができるデンプン材料並びに/又はセルロース及びリグノセルロース原材料などの材料は、材料、糖及びその他の生成物(例えば、発酵生成物)などの有用な生成物及び中間体になることができる。これら原材料における難分解性の低下をモニター、制御及び最適化し、電子ビーム照射などの電離放射線を伴う処理中にバイオマス材料が受けた線量を素早くかつ正確に決定する装置、方法及びシステムが含まれる。
図1を参照すると、それに由来する糖溶液及び生成物の製造処理は、例えば、所望により、セルロース及び/又はリグノセルロース原材料の機械的な処理(110)を含む。
機械的な処理は、例えば、このバイオマスのサイズを減少させ、及び/又はこのバイオマスの難分解性を低下させることができる。この処理の前及び/又は後で、この原材料をその他の物理的、機械的及び/又は化学的処理によって処理することができ、例えば照射で難分解性を低下、若しくは更に低下させ(112)、又はこの材料のその他の化学的又は物理的特性を変化させる。このような処理の後、この材料は、例えば、空気若しくは水又はその他の液体中で、約90℃超などの目的の温度(例えば、約90と約200℃の間、92と130℃の間、又は94℃と115℃の間)まで、例えば、十分な時間、例えば1時間と72時間の間、3時間と48時間の間、又は4時間と36時間の間、加熱することができ(114)、更にこの材料の難分解性を低下させ、又はこの材料が水中又はその他の液体中で加熱された場合、この材料を膨潤させる。工程(110)、(112)及び(114)は、例えば、リグニン量などの組成に基づいて、モニター及び/又は調整することができる。例えば、難分解性の低下及び調整は、2010年2月11日に出願のPCT/US10/23957に記載されており、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。加えて、この難分解性の低下は、この材料内の処理によって生じた変化に敏感な検出法によってモニターできる(116)。例えば、この材料に対する電子ビーム照射などの処理は、ラジカル又はそれに関してラジカルカチオンなどの荷電ラジカルを生成することができ、これらは、例えば、電子常磁性共鳴(EPR、また電子スピン共鳴又はESRとしても知られている)によって検出することができる。処理工程(例えば、任意の順番で所望により1回以上繰り返される、より多くの工程(110)、(112)及び(114)の任意の1つ)の後、例えば、1つ以上の酵素及び/又は酸の添加によるこの原材料の糖化によって糖溶液又はスラリーが形成され得る(118)。生成物は、例えば、発酵によって、アルコール又は乳酸(立体異性体の形態のいずれかで)などの酸に、この糖溶液から誘導することができる。更に、処理は、例えば、ろ過及び蒸留によるこの溶液の精製を含むことができる。
図2は、この処理の度合い、例えば、バイオマス内の難分解性の低下について可能なモニタリング及び調整方法を示すフローチャートであり、この難分解性は処理によって低下し、この処理量は、このバイオマス内の処理によって生じた変化に敏感な検出法によって、測定される。一般に、この方法は、この処理について、応答を測定することによって示されるときに、例えば、この処理及び対応する応答が飽和して、それ以上の変化を引き起こすことができないところまでバイオマスの処理を伴うことができる。この方法において、バイオマス(210)は部分A(212)及び部分B(214)の2つの部分に分けられる。最初の工程(220)において、部分Aは、いずれの処理も行われずに測定され、この応答の測定値、Rとして示され、式中、「カウンタ」iは、工程(220)内において整数であり、ゼロになる(例えばi=0を伴うR)。工程(230)において、このカウンタiは、1増加し、バイオマスの部分Aは、次に、測定可能な処理量D(例えば、この最初の処理に対してi=1を伴うD)で処理される。工程(240)において、この「カウンタ」iは、1増加し、このD処理後の応答R(例えば、この最初の処理後に測定される最初の応答に対してi=1を伴うR)が決定される。工程(250)は、応答Ri−1が、応答Rと比較される比較工程である。Rが、Ri−1以上であるとき、処理(230)、測定(240)、及び比較(250)の処理は、繰り返される。Rが、Ri−1以下のとき、次に、この処理は工程(260)において示されるように設定することができる。工程(260)において設定される処理は、このバイオマスの部分Bに適用される処理であり、次式によって示されるように処理の和である。
Figure 2018513785
この処理された材料は、その後に更に工程(270)において処理することができる。
例えば、この材料は、上述のごとく加熱などによる任意に追加される難分解性の低下方法を用いて処理することができる。あるいは、又は更に、本明細書に記載のごとく、この材料を、糖化及び/又は(例えば、アルコール及び/又はその他の生成物への発酵によって)生成物に変換することができる。
i−1及びRなどの値を比較する場合、有意差について、例えば、演算子又は比較論理回路による決定によって、確定されると理解されている。例えば、応答にノイズが多い場合、いくつかの測定の平均値を求めることができ、この測定の数は、このシグナル内のノイズの数及び量について所望の信頼性によって決定される。T検定などの統計方法が、これらの差の決定に有用になり得る。
一例として、この処理は、線量が制御される電子ビームを用いた照射であり得、Dと指定される。この応答は、EPR応答(例えば、ピーク幅、ピーク高さ又はピークの積分)など、このバイオマス上及び/又はバイオマス内で形成されるラジカルに敏感な応答であり得、Rと指定される。それ以上の照射によって、形成されるラジカルの量が増加しないであろう線量にて、式1に示すように増分線量の和として、この総線量を設定することができる。場合によって、この総線量は、このバイオマスが、最も低い費用にて、最もよい糖収率で処理されるべき最適な線量を表す。
この比較工程(250)は、また、この処理の性質に応じて逆であってもよいということもまた留意されたい。すなわち、この比較は、Ri−1が、R以上である場合、この処理及び「カウンタ」の増加(230)、測定(240)及び比較(250)の処理は、繰り返され、Ri+1が、R以下である場合、次に、この処理は、工程260で示されたように設定することができる。例えば、この処理は、バイオマスを粉砕するなどの機械的処理であり得、粒径がRとして測定され、Dは粉砕時間である。このバイオマス材料の大きさRを更に減少させるための粉砕時間の追加がないとき(例えば、Rが、Ri+1以上であるとき)、この粉砕時間は、工程260の目標時間(例えば、式1によって示されるDiの和)として設定することができる。代替例において、この処理はラジカルを生じる照射後のクエンチ反応であり得る。以下、詳細に記載のようにクエンチ反応は、このラジカルの量を減少させることができ、この応答Rがラジカルの量に敏感である場合、次に、このシグナルはクエンチするとすぐに減少するであろう。
図2を再度参照すると、部分Aは更に、サブ部分、例えば、2から1000の部分(例えば、2から100の部分、2から50の部分)に分割することができる。このような実施形態において、それぞれのサブ部分はいったん処理され、応答は各サブ部分に対して決定される。例えば、各サブ部分は、処理量の増加を伴って、連続して処理される。各サブ部分が、SPと表される場合、この処理は、Dであり、この応答は、Rであり、ここでD>…D>D>Dである。例えば、表1は、カウンタ、SP、R及びDに対していくつかの可能な値を示す。
Figure 2018513785
処理は、本明細書で記載される任意の処理、例えば、難分解性低下処理を含むことができる。例えば、照射処理、超音波処理、加熱処理、機械的処理、蒸気爆発処理、熱分解処理、化学的処理、及びこれらの任意の組合せである。多くのこれら方法が、以下に詳細に記載される。
この応答は、この処理及び材料に依存することができる。例えば、測定されるこの応答は、pH、温度変化、含水量、疎水性、親水性、伝導度、多孔度、密度、UV−Vis吸光度、NMRシグナル、EPRシグナル、FTIRシグナル、熱伝導率、圧縮率、又はこれらの組合せであり得る。例えば、このシグナルは、クロマトグラフィー(例えば、液体、ガスクロマトグラフィー)、分光光度計、NMRスペクトロメーター、EPRスペクトロメーター、イオン選択性メーター、pH計、粘度計、パワーメーター、導電率計、ポテンショメーター、電圧計又はこれらの方法の任意の組合せなどからの測定機器によるものであり得る。
本明細書で指定されたこの処理量Dは、処理の種類に依存する。例えば、電離放射線に関して、この処理は、線量、電子エネルギー及び/又は放射線の透過深度であり得る。あるいは、例えば、湿式粉砕難分解性低下処理に関して、この処理量を、この湿式粉砕装置を駆動させるモーターのkWhの出力によってモニターしてよい。過酸化物及びフェントン試薬の添加などの化学的処理の場合において、この過酸化物及びフェントン試薬の量、これらの比、及びこれらと処理される材料の量の比をそれぞれ指定されたDとすることができる。酸素などの気体を伴うクエンチなどのクエンチ反応において、この気体濃度、この材料を通る気体の流量、及びこの材料に適用される気体の圧力をそれぞれ指定されたDとすることができる。
電子常磁性共鳴(EPR)は、バイオマス内でラジカル又は荷電ラジカル、例えばラジカルカチオンを測定するための1つの方法である。より具体的には、このEPR実験について、バイオマス上、例えば、セルロース又はリグノセルロース材料のラジカルの、量、種類、及び反応速度(例えば、形成速度、クエンチ速度、転換速度)を測定するために使用することができる。EPR分光法は、電磁放射線に依存するその他の技術と類似し、非破壊の方法である。分離した電子は、スピン
Figure 2018513785
と呼ばれる固有の角運動を有する。
電子は電荷を帯びるので、この角運動は磁場を発生し、磁気モーメント
Figure 2018513785
を伴う磁気双極子のようにふるまう。
磁場内に不対電子を置くとこの磁気双極子が磁場にそって整列し、このスピンの上向きと下向きの状態間にエネルギーの分裂が生じる。これは、ゼーマン効果として知られ、EPRによって応答するエネルギー差である。
自由電子に対するエネルギー差は、以下に示すように式2によって決定される。
Figure 2018513785
式中、gは、分光法の自由電子のg因子で、2.0023(〜2)であり、βはボーア磁子で、Bはこの磁場である。したがって、自由電子に関して、唯一の変数は磁場である。
スピン−軌道カップリングによって、このエネルギー差が修正され、このエネルギーは以下の式3によって表される。
Figure 2018513785
式3において、gはこのスピン−軌道カップリングによる寄与を含み、分子の電子構造についての化学情報を含む。式3において、プランク定数h、及び周波数νとの関連もまた、示される。このg値は、この不対電子を含有する核の大きさに強く依存する。したがって、金属などのより大きな元素のg因子が、gと著しく異なる値を有し得る一方で通常、H、O、及びN原子のみを伴う有機フリーラジカルは、スピン−軌道カップリングによる寄与は小さく、gに近いg因子を生じる。
βは定数であり、Bの大きさは測定することができるので、このg値はΔEを決定することで計算することができる。これは、このサンプルに一定の周波数でマイクロ波を照射し、磁場を掃引することによって達成することができる。通常、マイクロ波のエネルギーは、この一定の周波数として、例えば、約9.75GHzのエネルギーを伴う、クライストロンのX−バンドである。この式3の条件が満たされたときエネルギーの吸収が生じる。これは、EPR実験の形態の1つである。
この不対電子の周囲の状況との相互作用は、ピークの位置を更に変調させ得る。核磁気モーメントとの相互作用は、「核超微細相互作用」と称される。この相互作用は、時に、この不対電子が発生する核からもたらされる場合は「超微細相互作用」と称され、隣接した核からもたらされる場合は「超超微細」と称される。その他の種類の相互作用は、通常、1つの分子内の異なる原子上の2つの不対電子間の相互作用であり、スピン−スピン相互作用として知られる。これらの相互作用は、精査される分子の構造に関して、分子又は錯体を形成する原子の識別及び数、並びにそれらの不対電子からの距離などの豊富な情報を提供する。例えば、プロトンへの近接は、プロトン核のスピンによるバンドの分裂を引き起こすことがある。追加のプロトンは、このバンドの更なる分裂を引き起こすことがある。錯体分子内でこの微細相互作用及びスピン−スピン相互作用が、特定の構造のはっきりとした特徴として機能することができる。
上述のように、この吸着バンドの位置によって、特定の分子又は官能基を決定又はそのはっきりとした特徴となり得る。加えて、このEPRシグナルの大きさを、EPR活性種の濃度を測定するために用いることができる。このEPRシグナルの積分強度は、試料内に存在するラジカルの濃度に比例することがある。
バイオマス上に形成されるフリーラジカルは、バイオマスのこの大きく複雑な構造によって、多くの異なる場所に属することができ、時に、場所から場所へ移動することができる。これらラジカルの異なる環境は、シグナルの重なりを引き起こすことがあり、有用なシグナル情報の抽出を課題とする動的な状態になることがある。本明細書の方法は、有用なシグナル情報を抽出するために有用となり得る。以下は、本明細書に記載される方法において利用可能ないくつかの種類のバイオマス、並びにそこで形成されるラジカル、それらの検出及びどのようにこのラジカルが形成され得るかを記載する。
バイオマスは多数の多様な材料群である。例えば、バイオマスは、デンプン材料、セルロース又はリグノセルロース材料などの、多くの異なる材料を含むことができる。非限定的な例として、紙、紙製品、紙くず、紙パルプ、着色紙、塗被紙、コート紙、充填紙、雑誌、印刷物(例えば、本、カタログ、取扱説明書、ラベル、カレンダー、グリーティングカード、パンフレット、便覧、新聞紙)、印刷用紙、ポリコート紙、カードストック、厚紙、板紙、α−セルロース高含有材料、例えば綿、木材、パーティクルボード、林業廃棄物(例えば、おがくず、アスペン材、木材チップ)、草(例えば、スイッチグラス、ススキ、コードグラス、クサヨシ)、穀物残渣(例えば、もみ殻、オート麦の殻、小麦のもみ殻、大麦の殻)、農業廃棄物(例えば、サイレージ、キャノーラ藁、小麦藁、大麦藁、オート麦藁、米藁、ジュート、大麻、亜麻、竹、サイザル麻、マニラ麻、トウモロコシ穂軸、コーンストーバー、大豆のストーバー、トウモロコシ繊維、アルファルファ、干し草、ココナッツの毛)、糖処理の残渣(例えば、バガス、ビートパルプ、リュウゼツランバガス)、藻類、海藻、肥料、下水及びこれらの任意の混合物が挙げられる。
更に、バイオマスの部分集合として、リグノセルロース材料は、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンの異なる組合せを含む。セルロースは、直線的配置をとるグルコースの多糖である。この直線的配置は大きくらせん状に巻くことなく硬い構造体を形成する。この構造及び水素結合を形成し得るヒドロキシル基の配置によって、セルロースは、結晶及び非結晶部分を含有する。この結晶部分は、例えば、ストランド間の水素結合の位置に依存し、I(α)及びI(β)として言及されている、異なる種類にもなり得る。このポリマーの長さそのものは、多様であり得、セルロースの形態のより多くの多様性に寄与する。ヘミセルロースもまた多糖であり、キシラン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、及びキシログルカンなど、いくつかの任意のヘテロポリマーである。マンノース、ガラクトース、ラムノース、アラビノース、及びグルコースなどのその他のモノマーが存在するものの、存在する主要な糖のモノマーは、キシロースである。通常、ヘミセルロースは、セルロースより低分子量の分枝構造を形成する。ヘミセルロースは、したがって、例えば、一般に、酵素の加水分解に対して敏感な非晶質物質である。リグニンは、一般に複雑な高分子量ヘテロポリマーである。すべてのリグニンはその組成について多様性を示すものの、それらは、フェニルプロペンユニットによる非晶質で樹状のネットワークポリマーとして記載されている。特定の生体材料内のセルロース、ヘミセルロース及びリグニンの量は、この生体材料の原料に依存する。例えば、木材由来の生体材料は、その種類に応じて約38から49%のセルロース、7から26%のヘミセルロース及び23から34%のリグニンであり得る。草は、通常、33から38%セルロース、24から32%ヘミセルロース及び17から22%リグニンである。
バイオマスのその他の構成成分は、タンパク性物質が挙げられ得る。これらが、リポタンパク質として脂肪と、及び糖タンパク質として多糖と結合してもよいが、この主要な構造成分は、ポリペプチド鎖である。タンパク質は、それらのアミノ酸組成物、三次元構造体(へリックス、ベータシート)及びサブユニットが互いに結合している状態に基づく複雑な構造を有する。分子量は、数千から数百万ダルトンにわたる。この分子は、1つの単鎖又はジスルフィド結合によって結合した2つ以上の鎖から構成されていてよい。球状タンパク質は、きつく絡み合った鎖からなり、ほぼ球状の形状を形成する。いくつかのより複雑なタンパク質内では、これら球状ユニットそのものが、かなり正確な様式でより大きな構造体へと非共有結合力によって、互いに結合し得る。
タンパク質は、いくつかの農業材料、植物及び動物において見出すことができる。タンパク質は、動物及びヒト並びに微生物などのその他生命体の食物として重要な役割を担う。元来、食用消費穀物(例えば、小麦、大麦及びサトウモロコシ)、豆果(グリーンピース、レンズ豆、豆及びひよこ豆)並びにナッツが栽培される。動物性原料として、肉、皮及び骨が挙げられる。多数のタンパク質が、長い間、商業的に製造されてきている。大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、トウモロコシタンパク質、乳タンパク質及び小麦タンパク質などのこれらタンパク質は、食品及び非食品分野の双方で用いられてきた。より新しいタンパク質原料として、前述したこのセルロース及びリグノセルロース材料が挙げられる。いくつかの高タンパク原料として、ヒマワリ若しくは菜種を処理、又は蒸留した穀物からのプレスケーキなどからのバイオマス材料を処理したバイオ製品が挙げられる。蒸留した乾燥穀物は、2012年4月5日に出願の米国出願シリアル番号第13/440,107号に記載され、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。タンパク性物質内で見出すことのできるタンパク質のいくつかの例として、アルブミン、グロブリン(例えば、レグミン、バシリン(vacilin)、グリシニン及びコングリシニン)、グルテン(例えば、グリアジン及びグルテニン)、カゼイン、ホエイ、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテリン、ケラチン、レクチン、パタチン、ヘモグロビン、クルシフェリン及びナピン(napin)が挙げられる。バイオマス内の上記のタンパク質原料に加えて、微細藻類、昆虫、微生物、動物の骨、動物の皮、草、ムラサキウマゴヤシ、アルファルファ、植物の葉、ホウレンソウの葉、ビートの葉及びジャスロパ(jathropa)の葉からの原料でもあり得る。
フリーラジカルは、例えば、難分解性を低下させるための処理によってバイオマス材料上で生成され得る。例えば、粉砕、切断、押出、圧搾、せん断、及び摩砕などの機械的方法は、結合破壊(例えば、糖、リグニン及びタンパク質などポリマー内で)によって、ラジカルを生成することができる。例えば、2009年12月16日に出願の米国特許出願シリアル番号第12/639,289号で記載のごとく、過酸化物及び金属などの化学薬剤による処理によってバイオマス上でラジカルを生成することができ、その開示全部は参照により本明細書に組み込まれる。その他の例として、熱分解によって、バイオマス成分上でラジカルを生成することができる。バイオマスの熱分解、ガス化及び燃焼中に多環芳香族炭化水素(PAH)が生成される。これらは、一般的に汚染物質及びすす前駆体と考えられ、この生成を制御、好ましくは最小限に抑えなければならない。PAHは、熱合成によって形成されると考えられており、ラジカルは、アルケン、アルキレン及び芳香族化合物と一連の二分子反応を生じ、より大きな環状構造を形成する。超音波処理もまた、バイオマス成分上でラジカルを生成することができる。バイオマスを含有する水溶液に強い音場を導入し、キャビテーション微細気泡を発生させる。これら微細気泡の成長及び崩壊は、エネルギーをこのマクロスケール(音波)からマイクロスケール(この気泡内の蒸気)に集中して転換し、非常に高く局所集中した圧力及び温度を生成する。処理に集中するこの特有のエネルギーによって、ヒドロキシルラジカル、ヒドロペルオキシドラジカル、水素化物、及び酸化二水素ラジカルなどの高い反応性のフリーラジカルが発生する。これらラジカル種は、次に、例えば、バイオマス上でラジカルを生成する水素抽出によって、バイオマス成分と反応し得る。いくつかの好ましい実施形態において、難分解性の方法は、またバイオマス上でフリーラジカルを生成する電離放射線による処理を含む。例えば、好ましい方法は、本明細書に記載のごとく電子ビーム照射を含む。
固体状態における多糖の照射による放射線の直接的な作用の結果として、分子鎖内のラジカルの形成を誘導することができる。固体状態、特に結晶性ドメイン内で、ラジカル及びラジカルカチオン(並びにその他の類似の種)は、非常に反応性が高いものの、このような種は、長寿命を有し得る。図3Aは、セロビオースが、ガンマ線又は加速電子などの電離放射線によって照射されるとき、二次電子とともにセロビオースのラジカルカチオンが発生することを示す。セロビオースのラジカルカチオンは電子と結合し、エネルギー的に励起状態の中性非ラジカル種を生成する。この励起された分子は崩壊し、セロビオースラジカル及び水素原子を形成する。図3Bで、セロビオース、グルコースの二量体及びグリコシド結合を有する最小単位のモデル化合物を用いて、多糖上での考えられる鎖切断反応を単純化し、強調した。図3Bにて示すように、このグリコシド結合の切断は、セルロース又はリグノセルロース材料に照射したときの分子量の低下をもたらし得る主要なプロセスと考えられる。この分子量の低下は、セルロース若しくはリグノセルロース材料の難分解性の低下、又はデンプン材料の溶解性の上昇に寄与することができる。加水分解反応は存在する水分によって生じる場合があり、少なくともこのために、この放射線生成物は、水分の存在によって強く影響を受ける場合がある。加水分解に加えて、水分は、水分の放射性分解の寄与によってこの反応経路及び生成物に影響を与える場合があり、このラジカルの収率は、乾燥した多糖よりも著しく高く、間接的に放射線の影響(例えば、この多糖のヒドロキシルラジカルとの反応)に寄与し得る。水分は、またこの乾燥マトリックス構造及びポリマー鎖の運動性に影響し得る。この主要な事象が水分の放射性分解となり、生じたラジカルは、次に、セルロース材料と反応し得るので、溶液中の多糖に対するこの放射線の影響は、主に二次的となるであろう。これは、この分子量を低下させるためにはより効率の低い方法となり得る。このような理由によって、数ある中でセルロース材料内の含水量の制御は、分子量の低下/難分解性の低下を制御するために重要になり得る。
この図はモノマー種の照射を示すので、図3A及び図3Bに言及されているように単純化した多糖の照射について示す。いかなる特定の理論に束縛されるものではないが、この多糖の照射中に観察される最初の事象は、多くの場合、分子間並びに分子内水素結合について整然とした系の分解であることを留意されたい。この結果は、分子内水素結合及び材料の結晶化度(例えば、セルロース、リグノセルロース)によって強く影響を受ける鎖の剛性が低下するということである。加えて、結晶性ドメインを有し得るセルロースなどの部分的に結晶化した多糖は、この固体状態(又はこの部分的結晶化した構造が維持されている任意のその他の状態)内で照射される場合、いくつかの最初に形成されたラジカルが、照射後、結晶性領域に取り込まれ、そこに長い間(数時間から数か月間又は更により長時間)、残る場合がある。これら「停止した(frozen)」ラジカルは、結晶性領域の境界にゆっくりと移動することができ、それらは、照射後、直接的にこれらが反応した場合と類似のメカニズムで、反応し得る。この非常に遅い移動の他に、その他のプロセス(外部の条件、微量水分の移動による結晶構造の変化)によって、これら休止状態のラジカルが反応に利用できるようになり得る。酸素の存在及び非存在化の双方のもと、照射後の影響が、照射され保存される試料に生じる場合がある。
多すぎる照射は、この炭水化物の分解を引き起こす恐れがある。いくつかの実施形態において、このラジカルの飽和点よりも過度な照射は、有害である、又は糖の収率の観点から、付加的な利益を与えない恐れがあると見出された。この一部は、本明細書に記載したように、加熱劣化によるものであり得る。その他の可能性は、過剰な放射線がこの多糖の分解を誘導し、グルコースが最終的に小さな揮発分子、例えば、二酸化炭素、水、ホルムアルデヒド及び/又はより高密度な生成物、例えば、芳香族化合物及び木炭へ分解することである。好ましい実施形態において、バイオマス内で、例えば照射を通して生成されたラジカルの量は制御される。いくつかの実施形態において、100Mrad超及びより好ましくは約50Mrad超の照射は回避される。
いくつかの実施形態において、例えば、最も低コストの最適な糖の収率は、このバイオマスが、この飽和点(未満又は超)の50%以内、例えば、40、30、25、20、10、5以内又は実質的にこの飽和点で照射される。
照射は、またリグニンに基づいたラジカルも引き起こす。この大量の芳香族官能基(例えば、フェノール基、アリールエーテル、アルキル芳香族化合物)によって、リグニンは、安定なラジカルを形成することができ、抗酸化剤/ラジカルスカベンジャーであると考えられてきた。逆に、紫外線によって照射され、ラジカル伝搬メカニズムを通して分解する場合、リグニン型の化合物は酸化分解することが、知られている。特定のメカニズムに束縛されるものではないが、リグニン含有バイオマスの照射は、直接反応又はヒドロキシルラジカル仲介反応のどちらかを通したラジカル仲介メカニズムによってリグニンを劣化させ得ると考えられている。この分解は、例えば、リグノセルロース材料含有バイオマス内で難分解性の低下に寄与し得る。好ましくは、リグニン含有バイオマス内で生成するラジカルの量は、適切な難分解性の低下度合いを得るために制御される。例えば、このラジカルの生成は、約10Mradと200Mradの間の電子ビーム照射によって管理及び制御できる。
タンパク質、アミノ酸、脂肪、ビタミン及びDNAなどの生体分子の照射は、これら分子に対して、有害になり得る。実際に5Mrad未満(例えば、4Mrad未満、3Mrad未満、2Mrad未満、1Mrad未満、0.1Mrad未満)の照射は、混入生物(例えば、細菌、酵母菌又は昆虫)を死滅又はそれらの繁殖能力を減少させることによる、有機材料の滅菌に使用可能である。滅菌は、主にDNAの破壊によるものであり得るが、その他の生体分子の影響もまた明らかである。例えば、タンパク質の照射は、栄養素としてのタンパク質の生物学的有用性を低下させる場合があり、例えば、約10Mrad超(例えば、20Mrad超、約50Mrad超)の照射は、生命体によるタンパク質の生物学的有用性と基本的な利用に著しく影響を与えるであろう。ビタミン(例えば、ビタミンC、ビタミンE及びチアミン)は、照射による破壊に対して特に影響を受けやすい場合がある。多価不飽和脂肪酸は、照射に対して、二次的な(例えば、照射された水から発生した)ヒドロキシルラジカルによる付加などのイオン化プロセスを通して、特にこの不飽和結合への攻撃を通した影響を受けやすい。したがって、これら生体分子含有バイオマスの照射は、このバイオマスの栄養上の有用性を減少し得る。これら栄養素は、このバイオマスの後続処理(例えば、酵素、アルコール、酸又は発酵を通したその他の製品の製造のため)に利用され得る有機体に有用であり得るので、照射を通したラジカルの生成(以下に記載)を制御することが、好ましい。例えば、この放射線量は、このバイオマスの難分解性を低下させるために十分であるべきであるが、しかしまた、このバイオマスにおける栄養素の有用性の破壊を最小限に抑えることを目標とするべきである(例えば、約10Mradと約100Mradの間、約10と50Mradの間、約20と40Mradの間)。好ましくは、この照射量は、栄養素の破壊をいずれも避けるために最小限に抑えられる。別の方法としては、あるいは、又は更に、例えば、2011年7月15日に出願の米国特許出願シリアル番号第13/184,138号で記載のごとく、照射後このバイオマスに栄養素を添加することもでき、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
(例えば、バイオマス上で形成される)ラジカルは、さまざまなメカニズムによってクエンチすることができる。例えば、このバイオマスをこのラジカルと反応するであろう分子若しくは原子含有流体又は分子若しくは原子含有気体と接触させることができる。例えば、イオン化されたラジカル含有バイオマスを大気下で維持する場合、大気の酸素の反応を通して酸化が生じ得、このバイオマス上(例えば糖単位上で)で側鎖カルボン酸基が形成され得る。いくつかの材料を用いた場合において、このような酸化が、炭水化物含有バイオマスの分子量の更なる低下について役立ち、カルボン酸基などの酸化基は、溶解性及び微生物の利用に役立つ可能性があるので、このような酸化が所望される。更に、ラジカルのクエンチは、酸素以外の気体若しくは液体を用いて、又は酸素を添加して、ラジカル含有バイオマスをクエンチした場合、カルボン酸以外の官能基、例えば、バイオマス上でエノール基、アルデヒド基、ケトン基、ニトリル基、ニトロ基、又はニトロソ基などの官能基を形成する場合がある。官能化されたバイオマスの形成は、2010年5月18日に出願の2013年2月10日に発行された米国特許第8,377,668号及び2009年4月28日に出願のPCT出願PCT/US09/42000に記載され、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。このような基の形成は、応答シグナルRを生じる本明細書に記載される方法、例えば、UV−vis分光法、核磁気共鳴分光法(例えば、H NMR、13C NMR又は14N若しくは15N NMR)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)分光法、及び/又は質量分析(例えば、MALDI TOF又はESI)による方法に利用することができる。図4では絵を用いて、どのように巨大分子(例えば多糖)が、それらに関するラジカルを生成するために処理され得るかを示している。この処理されたバイオマスは、サンプリングすることができ、応答RiはEPRによって測定することができる。所望により又は更に、この処理されたバイオマスは、流体(例えば、液体又は気体)を用いてクエンチすることができ、このバイオマスの巨大分子上に側鎖として官能基「Q」を生じる。この官能化されたバイオマスを、次に、応答Rを生じる適切な方法、例えば、分光法(例えばNMR、FTIR、MALDI TOF、ESI又はUV−Vis)を利用することによって、精査することができる。
官能基は、本明細書にて開示された分子鎖上で配列した複数の糖単位を含む材料上で形成されることができ、ここで各2個の糖単位のうち約1個、から各250個の糖単位のうち約1個が、官能基を含む。別の態様において、材料は、複数のこのような分子鎖を含む。例えば、各鎖の各8個の糖単位のうち約1個、各10個のうち1個、各50個のうち1個、又は各100個のうち1個が、官能基を含むことができる。いくつかの実施形態において、この糖単位は、5又は6個の炭糖単位を含むことができる。各鎖は、約10個と約200個の間(例えば、約10個と約100個の間又は約10個と約50個の間)の糖単位を有することができる。例えば、各鎖は、ヘミセルロース又はセルロースを含むことができる。
バイオマスに基づいたラジカルは、また、照射後、ある程度の時間、例えば、1日間超、5日間超、30日間超、3か月間超、6か月間超、又は更に1年間超、「存在する(live)」こともできる。特に、いくつかのラジカルは、その他のものよりより長い寿命を有することができ、したがって、このバイオマスの材料特性として、いくつかのラジカルがゆっくりとクエンチされるにつれ、時間の経過とともに変化し続けることができる。特に、このバイオマスと接触させる効果的なクエンチ剤がない状態で、例えば、2つのラジカルのカップリング又はベータ水素脱離及び不飽和結合の形成による自己クエンチが、ゆっくりと進む。加えて、このラジカルの第一級炭素などのより高い反応性の部位から、芳香族系の第二級炭素、第三級炭素の移動もまた生じ得る。加えて、電子求引基又は電子が安定することができる芳香族系を伴う炭素中心もまた系の天然のエネルギーシンクを形成することができる。この電子の移動及び自己クエンチ反応は、このラジカル(例えば、多糖)の運動性を増大させることができるので、このフリーラジカルを伴う試料の加熱によって促進させることができる。逆に、この試料の冷却は、これらプロセスを遅くする、又は更に止めることができる。
いくつかの好ましい実施形態において、電子を有する材料(例えば、バイオマス)について、それに関する任意のラジカルを安定又は「動きを止める(freeze)」ために、冷却することができる。例えば、このバイオマスは、室温未満、例えば、約25℃未満、約0℃未満、約−10℃未満、約−20℃未満、約−30℃未満、約−40℃未満、約−50℃未満、約−60℃未満、約−70℃未満に冷却することができる。
いくつかの好ましい実施形態において、ラジカルを有する試料は、約室温(例えば、約25℃)、約40℃超、約60℃超、約80℃超、約100℃超まで加熱することができる。逆に、この温度はこの材料を破壊するような高い温度にすることはできない。例えば、この材料(例えば、バイオマス)は、約200℃未満の温度(例えば、約180℃未満、約160℃未満、約140℃未満、約120℃未満)まで加熱することができる。この熱処理は、(例えば、水素引抜又はカップリング反応によって)いくつかのラジカルのクエンチ及びその他の熱的な安定性(例えば、このラジカルがその他の部位に移動するための十分な活性化エネルギーを提供)に役立ち得る。
いくつかの実施形態において、この材料は、任意の順番及び繰り返して、加熱又は冷却される。例えば、このラジカルが発生した材料は、室温未満に冷却し、ある時間(例えば、1時間超、1日超、1か月超又は更に1年超)、冷却された温度で保存し、解凍し、次に、室温超の温度まで加熱することができる。
図5に関して、好ましい実施形態が示されている。この照射されたバイオマスは、処理され、バイオマス上で電子を生じる。このバイオマス(例えば、このバイオマスの試料)は、次に、図5内のQ*として示されているこのいくつかのラジカルをクエンチし、及び/又はその他のラジカルがこの曲線状の矢印によって示されているより安定な部位へ移動できるために、十分な時間、加熱される。この試料について、次に、例えば、室温まで冷却して、所定位置でこのラジカルの動きを止める。この試料は、次に、例えば、ESRによって測定、又は後で処理するために保存することができる。この加熱後の冷却は可能であるものの室温未満にする必要はないという点に留意されたい。例えば、この試料は、約室温まで冷却することができ、次にこのESRスペクトルを測定することができる。あるいは、このESR測定を、低温(例えば、約0℃未満、約−10℃未満、−20℃未満、約−30℃未満、約−40℃未満、約−50℃未満、約−60℃未満、約−70℃未満、約−80℃未満、約−90℃未満、約−100℃未満、−120℃未満、−140℃未満、−160℃未満、−180℃未満、又は更に200℃未満)で行うことができる。この試料の測定前若しくは後、又はこの試料の加熱前若しくは後、好ましくは、例えば、先に記載のごとく、このラジカルの動きを止めるために低温で保存される。試料がESRによって測定されない場合、試料が処理された際、素早く(例えば、1日以内)、低温で保存されることが最も好ましい。
実施例
いくつかの代表的な化合物のESRスペクトル
商業的原料から得られた試料は、20Mradの電子ビーム照射で照射した。これらを、次に、EPRによって測定した。この実験にBruker e−scan EPRスペクトロメーターを使用した。この種類の機器は、所定のXバンドEPR測定を実施するように設計されている。この最大磁場掃引は3000ガウスであり、ほぼg=2の共鳴位置を中心とする。照射されたリグニンのEPRスペクトルを図6に示す。照射されたグルコースを図7に示す。照射されたキシランを図8に示す。照射されたセルロースを図9に示す。照射された微結晶セルロースを図10に示す。照射されたセロビオースを図11に示す。照射されたデンプンを図12に示す。
選択したEPRの応答方法
この方法におけるEPRシグナルを、積分前に解析した。特に、トウモロコシ穂軸材料の照射によって、異なる構成成分間(例えば、炭水化物、リグニン、タンパク質)の化学種に帰属することができるいくつかのラジカルが生じる。3つのシグナル又はピークについて、上記の加熱処理を用いた加熱後、容易に解決することができる。ラジカル1を指定するシグナル(3478G、2.0048)は、主として、あるいは少なくとも、リグニンに基づいたラジカルからのシグナルとその他の常磁性体の種、例えばMnイオンからのシグナルと混じり合う。リグニンのラジカルは加熱処理に対して比較的、安定である。ラジカル2及び3は、主としてセルロースに基づき、これらもまたこの加熱処理に対して比較的、安定である。ラジカル2は、3470G、g=2.0088で生じ、一方、ラジカル3は、3452及びg=2.0186で生じる。デンプンは、基本的に、有意なシグナルを発生しない。キシログルカン、グルコマンナン、キシラン及びデキストランなどの炭水化物は、加熱処理に対して比較的、不安定である。図13は、照射され、加熱処理されたトウモロコシ穂軸材料のEPRスペクトルであり、積分ピークを示す。
5、10、15、20、25、30、35及び40Mradの電子ビーム照射を用いて粒子状のトウモロコシ穂軸バイオマスに照射した。この試料を照射後−80℃で3か月間、保存した。次に、試料の解凍後、このEPR応答を測定した。EPRチューブ内で材料の約0.5mL/250mg用いた、慎重で均一なサンプリング技術を利用した。この試料は、次に80℃まで30分間加熱し、このEPR応答を第2回目で測定した。ラジカル2の積分応答対非加熱処理の試料に対する照射量のプロットを図14Aに示し、一方、対応する加熱された試料を図14Bに示した。多項式曲線が、このプロットに対して適合する。R=0.88である非加熱処理試料の相関は、R=0.991を有する加熱処理された試料に対する多項式の適合よりも低い。
すべてのEPR応答の方法
5、10、15、20、25、30、35及び40Mradの電子ビーム照射によって、粒子状のトウモロコシ穂軸バイオマスを処理した。この試料を−80℃で3か月間、保存し、その後解凍し、80℃で30分間、加熱処理した。試料をEPR試料チューブ内に詰め、ボルテックスミキサーを使用した。次に、先に記載のごとく、各試料に対するEPR応答を測定した。各試料は、試料につき4回のスキャンを伴う3回の試験を行った。
いくつかの試料のEPRスペクトルを、図15に重ねて示す。最も低い線量から最も高い線量へのシグナルの増加は、このバイオマス上のラジカルのより高い濃度と一致する。ラジカル1、2及び3に相当する全積分応答を計算し、図16に示すようにこの線量に対してプロットした。このプロットは飽和応答を示し、約20Mrad超の線量で最大量のラジカルを形成することを示す。
加熱したバイオマス材料のESRスペクトル
粒子状トウモロコシ穂軸バイオマスを電子ビーム照射によって処理した。この粒子状バイオマスをポリエチレンの袋の中に入れた。3/4インチの厚みがあるトウモロコシ穂軸材料の層を形成する表面にこの袋を置いた。この材料を片面に照射し、次に反転し、反対の面に照射した。この照射の条件を表2に示す。試料をEPR試料チューブ内に詰め、ボルテックスミキサーを使用した。次に、先に記載のごとく、各試料に対するEPR応答を測定した。各試料は、試料につき4回のスキャンを伴う3回の試験を行った。
Figure 2018513785
非照射のトウモロコシ穂軸バイオマスのEPRスペクトルのプロットを図17に示す。図18は、非加熱処理の試料1から6のEPRスペクトルのプロットである。図19は、80℃で30分間、加熱処理後の試料1から6のEPRスペクトルを示す。加熱処理は、約80から90%の全応答の減少、並びにこの応答について形状の変化を示す。これら2つの影響は、異なる種類のラジカルを異なる状態へクエンチすることと一致し、おそらく、高エネルギーのラジカルが、リグニンなどのより高い安定性を有する部位へ移動することと一致する。
加熱処理後の試料1から7の全積分EPR応答のプロットが、図20に示される。3MeVの電子による処理は、より低いEPR応答を生じると考えられることを留意されたい。この結果は、より高エネルギーの電子は、このバイオマス材料内で安定なラジカルを生じるには、効果的ではないことに一致すると考えられる。1つの考えられる理由として、この電子が、より高エネルギーで試料から、例えば、支持表面へと侵入するということがある。バイオマス内でラジカルを生じないということに加えて、この表面の加熱が、このラジカルのクエンチ、及び/又はこのバイオマス材料の分解を引き起こす恐れがある。
EPRの検証及び測定法
照射された材料の解析は、この照射の暴露レベル(すなわち、EPR線量)を検証する目的及び測定データを得るために実施してよい。EPRを用いた暴露レベル(線量)の相関は、参照により本明細書に組み込まれるPolovka,Brezova,Simko(2007)J.Food Nut.Res.46:75−83に記載されているように、食品中の電離放射線のレベルをモニタリングする目的で、既に実施されてきた。
検証するために使用される校正用標準材料の異なる4つの例が、以下の表3に示される。
Figure 2018513785
照射トウモロコシ穂軸材料の標準物質を5、10、15、20、25、30、35及び40Mradの電子ビーム照射を用いて粒子状のトウモロコシ穂軸バイオマスを処理することによって得た。次に、これらの結果を用いた検量線(放射線量対応答のプロット)を作図した。例えば、図16を参照のこと。更に、得られた測定データに関連する詳細を、以下に記載する。
各校正用標準から試料サイズとして2mLを清浄な乾燥した15mLのチューブに移し、スクリューキャップを用いて密閉した。次にこれらチューブをオートクレーブの容器内に設置し、85±5℃に設定して予備加熱したオーブン内で30分間、平らな状態で置いた。容器をオーブンから取り出し、このサンプルを室温まで冷却した。加熱処理された各チューブの内容物について、次に、このチューブを振盪することによって混合した。試験用試料もまた、本手順にしたがって調製した。
上述のごとく、この測定結果を得るためにBruker e−scanEPRスペクトロメーターを用いた。少なくとも30分間このEPRスペクトロメーターの電源を入れ、以下の表4に示したパラメーターをセットした。
Figure 2018513785
バンド最大値3496.8±2Gを伴う強く狭いシグナルを確実に得るためにこのBDPA標準について、3回の試験を行った。このシグナルが得られない場合、次に、機器の平衡化及び/又は校正について再び確認し、必要であれば、再校正を実施した。試料Strong Pitch(3491.8+/−2G)について同一手順を実施した。
最初に、EPRの試験管に少なくともあらかじめ印をつけた2インチの線に対応する高さまで充填することによって、このEPRスペクトロメーターに対して試料を調製した。次に、試料の試験管を拭いて汚れを最小限にし、この機器内に置き、測定した。データ収集としては、更に、ごくわずかなシグナルについて確認する目的で何もない空のチューブに対して測定の実施も含む。このトウモロコシ穂軸の校正標準は、線量濃度について最も低いものから最も高いものまで実施した。
このEPRスペクトロメーターからの測定データを取得し、処理するためにWinEPR(Bruker)などのソフトウエアを使用してよい。上記の表3に記載した校正標準から得られる結果をマイクロソフトエクセル(Microsoft Excel)などの適切なグラフィカルソフトウェアを使用してプロットした(照射線量対応答又は全積分面積)。この測定曲線は、三次多項式と適合し、その結果、例えば、図16に示した測定データによって表される式及び相関係数(R)が得られた。少なくとも0.95のR値を伴うプロットの結果は、条件を満たすと決定した。
バイオマスの糖化について加熱処理の影響
5、20、35及び40Mradの電子ビーム照射によって、粒子状のトウモロコシ穂軸バイオマスを処理した。各放射線レベルの試料を2つの部分に分けた。1つの部分を直接、糖化し、一方、もう1つの部分を糖化の前に80℃で30分間加熱した。セルラーゼ酵素を利用した糖化を実施し、類似の条件を用いてすべての糖化を行った。この糖化試料内の糖グルコース、フルクトース及びキシロースの濃度(g/L)についてHPLCを利用して決定した。重量%としてこの全糖の%収率もまた計算した。この熱処理は、全体の糖化収率又は任意の個々の単糖量にまったく影響を与えないと考えられる。この照射の結果を表5に示す。加えて、熱処理された材料に対する全積分EPR応答を表5に示す。
Figure 2018513785
全糖収率の重量%対全積分応答を図21に示す。このプロットは全積分応答及び全糖の間の高い相関(R=0.9744)を示す。
放射線処理
上述のように、リグノセルロース又はセルロース材料などの原材料は、その難分解性を低下させるために放射線によって処理し構造を改変することができる。このような処理によって、例えば、この原材料の平均分子量が小さくなり、この原材料の結晶構造が変化し、並びに/又は原材料の表面積及び/若しくは多孔度を増大することができる。放射線は、例えば、電子ビーム、イオンビーム、100nmから28nmの紫外(UV)光、ガンマ線又はX線の照射によって実施することができる。放射線処理及び処理システムが、米国特許第8,142,620号及び米国特許出願シリアル番号第12/417,731号に記載されており、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれている。
各形態の照射は、この放射線のエネルギーによって決まる特定の相互作用を介してバイオマスをイオン化するものである。重荷電粒子は主としてクーロン散乱を介して物質をイオン化し、更にこの相互作用によって、物質を更にイオン化し得るエネルギー電子が生じる。アルファ粒子はヘリウム原子の核と同じものであり、ビスマス、ポロニウム、アスタチン、ラドン、フランシウム、ラジウム、数種類のアクチニド、例えばアクチニウム、トリウム、ウラン、ネプツニウム、キュリウム、カリホルニウム、アメリシウム及びプルトニウムなどの同位体のようなさまざまな放射性核種のアルファ崩壊によって生じる。電子は、クーロン散乱及び電子の速度の変化によって生じる制動放射を介して相互作用する。
粒子を用いる場合、それらは中性(非荷電)、正荷電又は負荷電であり得る。荷電している場合、この荷電粒子は、単一の正電荷若しくは負電荷、又は、例えば1つ、2つ、3つ又は更に4つ以上の複数の電荷を帯びることができる。炭水化物含有材料の分子構造を変化させるために鎖の切断が望まれる場合、正荷電粒子が、一部には、それらの酸性の性質によって望ましい場合がある。粒子を用いる場合、粒子は静止電子以上の質量、例えば、静止電子の500倍、1000倍、1500倍又は2000倍以上の質量を有し得る。例えば、粒子は約1原子単位から約150原子単位、例えば、約1原子単位から約50原子単位又は約1から約25、例えば1、2、3、4、5、10、12又は15原子単位の質量を有し得る。
ガンマ線には、試料中のさまざまな物質への透過深度が極めて大きいという利点がある。
電磁放射線を用いて照射を実施する実施形態では、電磁放射線は、例えば、1光子当たりのエネルギー(電子ボルトで表される)が10eV超、例えば、10eV超、10eV超、10eV超、10eV超又は更に10eV超であり得る。いくつかの実施形態において、電磁放射線は、1光子当たりのエネルギーが10と10の間、例えば、10と10eVの間である。電磁放射線は、周波数が、例えば、1016Hz超、1017Hz超、1018、1019、1020、又は更に1021Hz超であり得る。いくつかの実施形態において、電磁放射線は、周波数が1018と1022Hzの間、例えば、1019と1021Hzの間である。
電子衝撃は、10MeV未満、例えば、7MeV未満、5MeV未満、又は2MeV未満、例えば約0.5から1.5MeV、約0.8から1.8MeV、又は約0.7から1MeVの公称エネルギーを有する電子ビーム装置を用いて実施してよい。いくつかの実施において、この公称エネルギーは約500から800keVである。
電子線は、相対的に高い総ビーム出力(全加速ヘッドの併合ビーム出力、又は多重加速器が用いられる場合、全加速器及び全ヘッドの併合ビーム出力)、例えば、少なくとも25kW、例えば、少なくとも30、40、50、60、65、70、80、100、125又は150kWを有してもよい。場合によっては、この出力は500kW、750kW又は更に1000kW以上の高さでさえある。場合によっては、この電子線は、1200kW以上、例えば、1400、1600、1800、又は更に3000kWのビーム出力を有する。
この高い総ビーム出力は、通常は、多重加速ヘッドを利用することにより達成される。例えば、電子線装置は、2、4又はそれより多い加速ヘッドを備えてよい。それぞれが比較的低いビーム出力を有する多重ヘッドの使用によってこの材料中の過剰な温度上昇を防止し、それによりこの材料の燃焼を防止し、この材料の層の厚みを通る線量の均一性をも増大させる。
本バイオマス材料のベッドが比較的均一な厚みを有することが一般には好ましい。いくつかの実施形態において、厚みは、約1インチ未満(例えば、約0.75インチ未満、約0.5インチ未満、約0.25インチ未満、約0.1インチ未満、約0.1と1インチの間、約0.2と0.3インチの間)である。
本材料をできるだけ素早く処理することが望ましい。一般的に約0.25Mrad/秒超、例えば約0.5、0.75、1、1.5、2、5、7、10、12、15、又は更に約20Mrad/秒超、例えば約0.25から2Mrad/秒の線量率で処理を実施することが好ましい。より高い線量率によって、目的の(例えば、所望の)線量に対してより高い処理量が得られる。より高い線量率は、一般に、本材料の熱分解を回避するためにより高いライン速度を必要とする。1つの実施において、この加速器は、3MeV、50mAビーム電流に設定され、このライン速度は、厚みが約20mmの試料(例えば、かさ密度0.5g/cmの粉砕されたトウモロコシ穂軸材料)に対して24フィート/分である。
いくつかの実施形態において、この材料が、少なくとも0.1Mrad、0.25Mrad、1Mrad、5Mrad、例えば、少なくとも10、20、30又は少なくとも40Mradの総線量を受けるまで、電子衝撃が実施される。いくつかの実施形態において、この処理は、この材料が、約10Mradから約50Mrad、例えば、約20Mradから約40Mrad、又は約25Mradから約30Mradの線量を受けるまで実施される。いくつかの実施において、25から35Mradの総線量が好ましく、理想的には数回のパス、例えば、約一秒間適用される各パスが5Mrad/パスである。照射前、照射中、照射後及び照射と照射の間に、例えば、冷却スクリューコンベヤー及び/又は冷却された振動コンベヤーを利用する、冷却の方法、システム及び設備を用いることができる。
上述のように複数のヘッドを用いることにより、この材料を複数のパス、例えば、10から20Mrad/パスで2回のパス、例えば、12から18Mrad/パスで、数秒間冷却することで分けられ、又は7から12Mrad/パスで3回のパス、例えば、5から20Mrad/パス、10から40Mrad/パス、9から11Mrad/パスで処理することができる。本明細書にて開示したように、1回の高線量よりも複数回の比較的低い線量で材料を処理することで、この材料の過熱を防ぐ傾向があり、また、この材料の厚みを通る線量の均一性も上昇する。いくつかの実施において、この材料は、各パスの間又は各パス後に攪拌、ないしは混合され、次に、次のパスの前に再度均一な層へと滑らかにされ、更に処理の均一性が高められる。
いくつかの実施形態において、電子は、例えば、光速の75%超の速度、例えば光速の85、90、95、又は99%超で加速される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された任意の処理は、例えば、熱及び/又は減圧を用いて、得られた乾燥を維持、又は乾燥されたリグノセルロース材料上で行われる。例えばいくつかの実施形態において、セルロース材料及び/又はリグノセルロース材料は、25℃及び50%の相対湿度で測定し、約25重量%未満(例えば、約20重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、又は約0.5重量%未満)の水分を保持する。
いくつかの実施形態において、2つ以上の電子源などの2つ以上のイオン源を用いることができる。例えば、試料は、任意の順序で、電子ビームを用いて処理でき、続いてガンマ線及び約100nmから約280nmの波長を有する紫外光で処理することができる。いくつかの実施形態において、試料は、電子ビーム、ガンマ線、及びエネルギー性の紫外線などの3つの電離放射線源で処理される。このバイオマスは、処理ゾーンを通って運搬され、そのゾーンで電子衝撃され得る。
処理を繰り返して、このバイオマスの難分解性をより徹底して低下させること及び/又はバイオマスを更に改良することが、有利となり得る。特にこの処理パラメーターを、この材料の難分解性に応じて、最初のパスの後(例えば、2番目、3番目、4番目又はそれより後)に調整することができる。いくつかの実施形態において、バイオマスが上記のさまざまな処理を通して、複数回、運搬される循環システムを備えるコンベヤーを用いることができる。いくつかの他の実施形態において、多重処理デバイス(例えば、電子ビーム発生機)を用いて、バイオマスを複数回(例えば2、3、4回又はそれを超える回数)処理する。更に別の実施形態において、単一の電子ビーム発生機が、このバイオマスの処理に用いることができる多重ビーム(例えば、2、3、4又はそれを超えるビーム)の供給源であってもよい。
分子/超分子構造を変化、及び/又は炭水化物含有バイオマスの難分解性の低下の有効性は、用いられる電子エネルギー及び適用される線量に依存し、一方、暴露時間は、出力及び線量に依存する。いくつかの実施形態において、この線量率及び総線量は、このバイオマス材料を破壊しない(例えば、焦がさない又は燃やさない)ように調整される。例えば、この炭水化物は、それらが、例えば、単量体の糖として、このバイオマスから無傷で放出され得るように、処理の際に損傷させてはならない。
いくつかの実施形態において、この処理(任意の電子源又は電子源の組合せを用いて)は、この材料が、少なくとも約0.05Mrad、例えば、少なくとも約0.1、0.25、0.5、0.75、1.0、2.5、5.0、7.5、10.0、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175又は200Mradの線量を受けるまで実施される。いくつかの実施形態において、この処理は、この材料が0.1と100Mradの間、1と200の間、5と200の間、10と200の間、5と150の間、50と150Mradの間、5と100の間、5と50の間、5と40の間、10と50の間、10と75の間、15と50の間、20と35Mrad間の線量を受けるまで実施される。
いくつかの実施形態において、比較的低い線量の放射線(本明細書に記載された任意の放射線源又は線源の組合せを用いて)が、例えばセルロース又はリグノセルロース材料の分子量を増加させるために用いられる。例えば、少なくとも約0.05Mrad、例えば、少なくとも約0.1Mrad又は少なくとも約0.25、0.5、0.75、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0又は少なくとも約5.0Mradの線量。いくつかの実施形態において、この照射は、この材料が0.1Mradから2.0Mradの間、例えば0.5radと4.0Mradの間又は1.0Mradと3.0Mradの間の線量を受けるまで実施される。
特定の場合において、この材料へ放射線の所望の透過度を実現するために、複数の方向から同時に、又は連続して照射されることも望ましいことがある。例えば、木材などの材料の密度及び水分量、並びに用いられる放射線源の種類(例えば、ガンマ線又は電子ビーム)に応じて、この材料への放射線の最大透過は、わずか約0.75インチであってもよい。このような場合、最初に片面からこの材料に照射し、次に、この材料を反転し、反対の面から照射することにより、より厚い区分(1.5インチまで)を照射することができる。電子ビーム放射線を用いた複数の方向からの照射は、特に有用となり得、これはガンマ線よりも照射は速いが、通常は大きな透過深度に達しない。
放射線不透過性材料
本発明は、放射線不透過性材料を用いて築かれた保管室及び/又は貯蔵室内で材料(例えば、リグノセルロース又はセルロース原材料)を処理することを含むことができる。いくつかの実施において、この放射線不透過性材料は、多くの材料を透過し得る高エネルギーのX線(短い波長)からの成分を遮蔽できるように選択される。放射線遮蔽筐体を設計する際の1つの重要な因子は、用いられる材料の減衰長であり、それは特定の材料、材料のブレンド、又は層構造に必要とされる厚みを決定する。この減衰長は、放射線を入射放射線のおよそ1/e(e=オイラー数)倍に減少させる透過距離である。十分に厚ければ、事実上すべての材料が放射線不透過であるものの、高いZ値(原子数)を有する元素を高組成率(例えば、密度)で含有する材料は、より短い放射線減衰長を有し、それ故、このような材料を用いれば、より薄くより軽い遮蔽物を提供することができる。放射線遮蔽物について用いられる高Z値の材料の例が、タンタル及び鉛である。放射線遮蔽におけるその他の重要なパラメーターが、半減距離であり、それは、ガンマ線強度を50%低下させる特定材料の厚さである。0.1MeVのエネルギーを有するX線照射の例として、この半減厚みはコンクリートに対して約15.1mm、鉛に対して約2.7mmであり、一方、1MeVのX線エネルギーでは、コンクリートに対するこの半減厚みは、約44.45mm、鉛に対して約7.9mmである。放射線不透過性材料は、別の面に通過する放射線を減少させることができる限り、厚い材料又は薄い材料であってもよい。したがって、特定の筐体が、例えば軽量にするため又はサイズの制約のため、薄い壁厚を有することが望まれる場合、その半減長さが筐体の所望の壁厚以下になるように、選択された材料が、十分なZ値及び/又は減衰長を有さなければならない。
いくつかの例において、この放射線不透過性材料は、良好な遮蔽を提供するために、例えばより高Z値の材料の層を有する層状材料、及び他の特性(例えば、構造的完全性、耐衝撃性など)を提供するためにより低Z値の材料の層を有する層状材料であってもよい。いくつかの例において、この層状材料は、例えば、高いZを経て、続いてより低いZの元素へと層が変化するラミネートを含む「段階的に変化する−Z」の積層体、であってもよい。場合によっては、この放射線不透過性材料は、連結したブロックであり得、例えば、鉛及び/又はコンクリートのブロックは、NELCO Worldwide(マサチューセッツ州バーリントン)によって供給されることができ、再構成可能な保管室を用いることができる。
放射線不透過性材料は、(例えば、壁、ドア、天井、筐体、これらの連続又はこれらの組合せ)の構造を通る放射線を減少させることができ、入射放射線に比較して、少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%、少なくとも約99.999%)減少させることができる材料で形成される。したがって、放射線不透過性材料で作製された筐体は、設備/システム/構成部分の照射線量をその同じ量だけ減少させることができる。放射線不透過性材料として、ステンレス鋼、25超のZ値を有する金属(例えば、鉛、鉄)、コンクリート、泥土、砂及びこれらの組合せを挙げることができる。放射線不透過性材料は、入射放射線の方向に少なくとも約1mm(例えば、5mm、10mm、5cm、10cm、100cm、1m、更には少なくとも約10m)のバリアを含むことができる。
放射線源
原材料(例えば、リグノセルロース又はセルロース材料)を処理するために用いられる放射線の種類によって、用いられる放射線源の種類並びにこの放射線装置及び関連機器が決定される。例えば放射線を用いて材料を処理するための、本明細書に記載された方法、システム及び機器は、本明細書に記載されるような線源並びに任意の他の有用な線源を用いることができる。
ガンマ線源としては、コバルト、カルシウム、テクネチウム、クロム、ガリウム、インジウム、ヨウ素、鉄、クリプトン、サマリウム、セレン、ナトリウム、タリウム、及びキセノンの同位体などの放射線核種が挙げられる。
X線源としては、タングステン若しくはモリブデン又は合金などの金属ターゲットを有する電子ビーム衝突、又はLynceanによって商業的に製造されるものなどのコンパクトな光源が挙げられる。
アルファ粒子はヘリウム原子の核と同じものであり、ビスマス、ポロニウム、アスタチン、ラドン、フランシウム、ラジウム、数種類のアクチニド、例えばアクチニウム、トリウム、ウラン、ネプツニウム、キュリウム、カリホルニウム、アメリシウム及びプルトニウムの同位体などのさまざまな放射性核種のアルファ崩壊によって生じる。
紫外線の供給源として、重水素又はカドミウムランプが挙げられる。
赤外線の供給源として、サファイア、亜鉛、又はセレン化物の窓のセラミックランプが挙げられる。
マイクロ波の供給源として、クライストロン、Slevin型RF源、又は水素、酸素、若しくは窒素ガスを用いた原子ビーム供給源が挙げられる。
粒子を加速するために用いられる加速器は、静電式DC(electrostatic DC)、電気力学的DC(electrodynamic DC)、RFリニア、磁気誘導リニア又は連続波であり得る。例えばサイクロトロン型加速器は、RHODOTRON(商標)システムなど、ベルギーのIBAから入手でき、一方、DC型加速器は、DYNAMITRON(登録商標)などを、RDI、現在のIBA Industrialから入手される。イオン及びイオン加速器は、Introductory Nuclear Physics,Kenneth S.Krane,John Wiley & Sons,Inc.(1988),Krsto Prelec,FIZIKA B 6(1997)4,177−206,Chu,William T.,“Overview of Light−Ion Beam therapy”,Columbus−Ohio,ICRU−IAEA Meeting,18−20 March 2006,Iwata,Y.et al.,“Alternating−Phase−Focused IH−DTL for Heavy−Ion Medical Accelerators”,Proceedings of EPAC 2006,Edinburgh,Scotland,and Leitner,C.M.et al.,“Status of the Superconducting ECR Ion Source Venus”,Proceedings of EPAC 2000,Vienna,Austriaに記載されている。
電子は、β崩壊する放射性核種、例えばヨウ素、セシウム、テクネチウム及びイリジウムの同位体により生成されてもよい。あるいは電子銃を、熱イオン放出を介して電子源として用い、加速電位を通して加速することができる。電子銃は電子を発生し、次に、大きな電位(例えば、約500000ボルト超、約1000000ボルト超、約2000000ボルト超、約5000000ボルト超、約6000000ボルト超、約7000000ボルト超、約8000000ボルト超、約9000000ボルト超、又は更に約10000000ボルト超)を通して加速され、次に、X−Y平面内で磁気的に走査され、そこで最初に電子はZ方向に加速管の下へ加速され、窓箔を通して抽出される。この電子ビームを走査することは、走査ビームを通って運搬される材料、例えばバイオマスを照射するときに、照射表面を増大させるために有用である。この電子ビームを走査することによって、窓上で熱負荷を均一に分布させ、電子ビームによる部分的加熱による窓箔の破裂を低減させることにも役立つ。窓箔の破裂は、その後、必要となる電子銃を修復及び再始動するための著しい中断時間の原因となる。
フィールドイオン化源、静電気イオン分離器、フィールドイオン発生装置、熱イオン放出源、マイクロ波放電式イオン源、再循環又は静電加速器、力学的直線型加速器、ファンデグラフ加速器及び折り返しタンデム型加速器を含むさまざまな他の照射装置を、本明細書に開示された方法で用いてもよい。このような装置は、例えば、米国特許第7,931,784号(Medoff)に開示されており、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
電子ビームを、放射線源として用いることができる。電子ビームは、高線量率(例えば、1、5、又は更に10Mrad/秒)、高処理能力、より少ない閉じ込め、及びより少ない封じ込め機器の利点を有する。電子ビームは、高い電気効率(例えば、80%)も有することができ、他の放射線方法と比較してエネルギー使用をより低くすることが可能で、それは、少量の使用エネルギーと付随してより低い運転コスト及びより低い温室ガス放出に転換することができる。電子ビームは、例えば静電発電機、カスケードジェネレーター、トランスジェネレーター、走査システムを有する低エネルギー加速器、リニアカソードを有する低エネルギー加速器、リニア型加速器、及びパルス加速器により発生させることができる。
電子は、例えば鎖切断メカニズムによって、炭水化物含有材料の分子構造に変化を起こす際にもより効果的になり得る。加えて、0.5から10MeVのエネルギーを有する電子は、本明細書に記載されたバイオマス材料などの低密度材料、例えば、かさ密度0.5g/cm未満、及び深さ0.3から10cmを有する材料を透過することができる。電離放射線源としての電子は、例えば、材料の比較的薄い、例えば約0.5インチ未満、例えば約0.4インチ未満、0.3インチ、0.25インチ、又は約0.1インチ未満の積み重なり、層又はベッドに対して有用となり得る。いくつかの実施形態において、この電子ビームの各電子のエネルギーは、約0.3MeVから約2.0MeV(100万電子ボルト)、例えば約0.5MeVから約1.5MeV、又は約0.7MeVから約1.25MeVである。材料を照射する方法は、2011年10月18日に出願の米国特許出願公開第2012/0100577A1号に記載されており、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
電子ビーム照射装置は、Ion Beam Applications(Louvain−la−Neuve、ベルギー)、NHVコーポレーション(日本)、又はTitan Corporation(カリフォルニア州、サンディエゴ)から商業的に入手してもよい。典型的な電子エネルギーは、0.5MeV、1MeV、2MeV、4.5MeV、7.5MeV、又は10MeVであり得る。典型的な電子ビーム照射装置の電力は、1kW、5kW、10kW、20kW、50kW、60kW、70kW、80kW、90kW、100kW、125kW、150kW、175kW、200kW、250kW、300kW、350kW、400kW、450kW、500kW、600kW、700kW、800kW、900kW又は更に1000kWであり得る。
電子ビーム照射装置の電力仕様を考慮する上でのトレードオフとして、運転コスト、資本コスト、減価償却、及び装置の設置面積が挙げられる。電子ビーム照射の暴露線量レベルを考慮する上でのトレードオフは、エネルギーコスト、並びに環境、安全、及び健康(ESH)の懸念であろう。典型的には発生機は、特にこの処理で発生するX線の生成に対して、例えば鉛又はコンクリートの保管室に収容されている。電子エネルギーを考慮する上でのトレードオフとしては、エネルギーコストが挙げられる。
電子ビーム照射装置は、固定ビーム又は走査ビームのいずれかを生じることができる。走査ビームは、大きな固定ビーム幅を効果的に交換するため、スキャンの長い掃引長さ及び速い走査速度を有し、有利となり得る。更に0.5m、1m、2m又はそれを超える掃幅が利用可能である。この走査ビームは、本明細書に記載される少なくとも1つの実施形態にしたがって用いてよい。走査ビームからもたらされる利点として、より大きな走査幅、及び部分的加熱の低減及び窓の故障減少の可能性が挙げられる。
電子銃−窓
原材料(例えば、リグノセルロース又はセルロース材料)の処理に対して、利用可能な電子加速器の抽出システムとして、2つの窓箔を備えることができる。2つの窓箔抽出システムの冷却ガスは、パージガス又は混合物、例えば空気、又は純粋な気体であり得る。一実施形態において、このガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム及び/又は二酸化炭素などの不活性ガスである。電子ビームへのエネルギー損失が最小限に抑えられることから、液体よりも気体を用いることが好ましい。窓上又は窓の間の空間で衝突する前にラインで予備混合又は混合された純粋な気体の混合物を用いることもできる。例えば熱交換システム(例えば、冷却装置)を使用すること、及び/又は凝縮ガス(例えば、液体窒素、液体ヘリウム)からのボイルオフを用いることにより、冷却ガスを冷却することができる。窓箔は、2013年10月10日に出願のPCT/US第2013/64332号に記載されており、その開示全体は参照により本明細書に組みこまれる。
放射線処理中の加熱及び処理能力
電子ビームからの電子が非弾性衝突で物質と相互作用する場合、複数のプロセスが、バイオマス内で起こる場合がある。例えばこの材料のイオン化、この材料中のポリマー鎖切断、この材料中のポリマーの架橋、この材料の酸化、X線(「制動放射」)の発生及び分子の振動励起(例えば、フォノン発生)。特定の機構に束縛されるものではないが、難分解性の低下は、これらの非弾性衝突効果のいくつか、例えばイオン化、ポリマー鎖切断、酸化及びフォノン発生によるものであり得る。その影響のいくつか(例えば、特にX線発生)は、遮蔽及びバリアの設計、例えばコンクリート(又は他の放射線不透過性材料)の保管室に照射処理を格納することを必要とする。照射のその他の影響である振動励起は、試料を温めることと等しい。以下に説明されるとおり、照射による試料の加熱は、難分解性低下に役立たせることができるが、過剰な加熱は、この材料を破壊する恐れがある。
電離放射線の吸着による断熱温度上昇(ΔT)は、式:ΔT=D/Cpにより示され、:式中、Dは、kGyでの平均線量であり、Cpは、J/g℃での熱容量であり、ΔTは、℃での温度変化である。典型的な乾燥バイオマス材料は、2に近い熱容量を有する。水の熱容量は、非常に高い(4.19J/g℃)ため、水の量に応じてウェットバイオマスはより高い熱容量を有する。金属は、かなり低い熱容量を有し、例えば304のステンレス鋼は、0.5J/g℃の熱容量を有する。さまざまな放射線の線量に対するバイオマス内及びステンレス鋼内での瞬間的な放射線吸着による算出された温度変化を表6に示す。場合によっては、この表に記載のごとくこの温度が非常に高いため、この材料は分解する(例えば、揮発、炭素化、及び/又は焦げる)。
Figure 2018513785
高温は、このバイオマス内のバイオポリマーを破壊及び/又は変性する場合があり、このポリマー(例えば、セルロース)は、更なる加工に適さなくなる。高温にさらされたバイオマスは、暗色及び粘着性を帯びる場合があり、臭気を発して、分解を示す場合がある。粘着性により、更に材料の運搬が困難になる場合がある。臭気は、不快に感じる場合があり、安全性の問題を生じ得る。事実、バイオマスを約200℃未満(例えば、約190℃未満、約180℃未満、約170℃未満、約160℃未満、約150℃未満、約140℃未満、約130℃未満、約120℃未満、約110℃未満、約60℃と180℃の間、約60℃と160℃の間、約60℃と150℃の間、約60℃と140℃の間、約60℃と130℃の間、約60℃と120℃の間、約80℃と180℃の間、約100℃と180℃の間、約120℃と180℃の間、約140℃と180℃の間、約160℃と180℃の間、約100℃と140℃の間、約80℃と120℃の間)に保持することが、本明細書に記載された処理において有益であることが見出されている。
約10Mrad超の照射が本明細書に記載された工程に望ましいことが、見出されている(例えば、難分解性の低下)。照射がこのバイオマスを処理する上でのボトルネックにならないために、高い処理能力もまた望ましい。処理は、線量率の式:
Figure 2018513785
に左右され、式中、Mは、照射される材料の質量(kg)であり、Fは、吸着される電力の比率(単位なし)であり、Pは、発せられる電力(kW=MeVでの電圧×mAでの電流)であり、時間は、処理時間(秒)であり、Dは、吸着された線量(kGy)である)である。吸着される電力の比率が定められた代表的処理において、発せられる電力は一定であり、設定された放射線量が望ましく、処理能力(例えば、M、処理されるバイオマス)は照射時間を増加させることにより増加させることができる。しかしこの材料を冷却せずに照射時間を増加させると、上記の計算により例示されるとおり、材料を過度に加熱する可能性がある。バイオマスは、低い熱伝導率(約0.1Wm−1−1未満)を有するため、例えば、エネルギーを伝達するヒートシンクが存在する限りエネルギーを急速に放出し得る金属(約10Wm−1−1超)とは異なり、放熱が緩やかである。
電子銃−ビームストップ
いくつかの実施形態において、このシステム及び方法(例えば、リグノセルロース又はセルロース原材料を照射する電子ビーム照射を用いること)は、ビームストップ(例えば、シャッター)を備える。例えばビームストップを用いて、電子ビーム装置の出力を下げずに、材料の照射を急速に停止又は減少させることができる。あるいは、ビームストップは、電子ビームの出力を上昇させながら用いることができ、例えば、このビームストップは、所望のレベルのビーム電流に達するまで、この電子ビームを停止させることができる。このビームストップは、第一の窓箔と第二の窓箔の間に配置させることができる。例えばビームストップは、可動性であるように、すなわちビームパスの内外へ移動できるように、搭載することができる。例えば照射線量を制御するために、ビームの部分的な被覆を用いることもできる。ビームストップは、床に、このバイオマスのコンベヤーに、壁に、放射線装置に(例えば、スキャンホーンの)、又は任意の構造支持体に搭載することができる。好ましくは、このビームがビームストップにより効果的に制御され得るように、ビームストップがスキャンホーンに対して固定されている。ビームストップは、ヒンジ、レール、ホイール、スロット、又は他の手段を組み込むことができ、ビーム内外へ移動する操作を可能にする。このビームストップは、電子の少なくとも5%、例えばこの電子の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は更に約100%を停止させる任意の材料で作製することができる。
このビームストップは、これらに限定されないが、ステンレス鋼、鉛、鉄、モリブデン、銀、金、チタン、アルミニウム、スズ、若しくはこれらの合金、又はこのような金属(例えば、金属コートセラミック、金属コートポリマー、金属コート複合体、多層金属材料)で作製された積層体(層化材料)を含む金属で作製することができる。
このビームストップは、例えば水溶液又はガスなどの冷却流体で、冷却することができる。このビームストップは、例えば空洞を有し、部分的又は完全に中空であってよい。このビームストップの内部空間は、流体及びガスを冷却するのに用いることができる。このビームストップは、平面、曲線、円形、楕円形、正方形、長方形、面取りのある形状及びくさび形など、任意の形状であってもよい。
このビームストップは、いくつかの電子を通すような穿孔を有することができ、それにより、この窓の全領域、又はこの窓の特定の領域の放射線レベルを制御(例えば、低下)できる。このビームストップは、例えば繊維又はワイヤーから形成された、メッシュであり得る。複数のビームストップを一緒に、又は独立して使用し、この照射を制御することができる。このビームストップは、ビームを場所の内外に移動させるために、例えば、モーターに無線シグナル又は配線で接続することによって、遠隔制御することができる。
ビームダンプ
本明細書にて開示された実施形態(例えば、リグノセルロース又はセルロース原材料を照射するための電離放射線の利用)は、放射線処理を用いるとき、ビームダンプを備えることもできる。ビームダンプの目的は、荷電粒子のビームを安全に吸収することである。ビームダンプは、ビームストップと同様に、荷電粒子のビームを遮断するのに用いることができる。しかし、ビームダンプはビームストップよりもはるかに強固で、この総出力の電子ビームを長期間、遮断することを目的としている。それらは、多くの場合、加速器の出力を増大させながら、このビームを遮断するために用いられる。
ビームダンプは、そのようなビームにより発生した熱に順応するようにも設計されており、通常、銅、アルミニウム、炭素、ベリリウム、タングステン、又は水銀などの材料で作製されている。例えばビームダンプと熱接触し得る冷却流体を用いて、ビームダンプを冷却することができる。
バイオマス材料
リグノセルロース材料(例えば、糖化される原材料)として、これらに限定されないが、木材、パーティクルボード、林業廃棄物(例えば、おがくず、アスペン材、木材チップ)、草(例えば、スイッチグラス、ススキ、コードグラス、クサヨシ)、穀物残渣(例えば、もみ殻、オート麦の殻、小麦のもみ殻、大麦の殻)、農業廃棄物(例えば、サイレージ、キャノーラ藁、小麦藁、大麦藁、オート麦藁、米藁、ジュート、大麻、亜麻、竹、サイザル麻、マニラ麻、トウモロコシ穂軸、コーンストーバー、大豆のストーバー、トウモロコシ繊維、アルファルファ、干し草、ココナッツの毛)、糖処理の残渣(例えば、バガス、ビートパルプ、リュウゼツランバガス)、藻類、海藻、肥料、下水及びこれらの任意の混合物が挙げられる。
場合によっては、このリグノセルロース材料として、トウモロコシ穂軸材料が挙げられる。粉砕又はハンマーミルされたトウモロコシ穂軸は、照射のために比較的均一な厚みの層に広げることができ、照射の後、更なる処理のために媒体中に分散することが容易である。収穫及び回収を容易にするために、場合によっては、トウモロコシの茎、トウモロコシの穀粒を含むトウモロコシの植物全体が用いられ、場合によっては、更にこの植物の根系が用いられる。
トウモロコシ穂軸材料又は大量のトウモロコシ穂軸を含有するセルロース若しくはリグノセルロース材料の発酵中、有利には更なる栄養素(窒素供給源以外、例えば尿素又はアンモニア以外)を必要としない。
破砕の前後のトウモロコシ穂軸は、運搬及び分散も容易であり、干し草及び草などの他のセルロース又はリグノセルロース材料よりも空気中で爆発性混合物を形成する傾向が小さい。
セルロース材料として、例えば、紙、紙製品、紙くず、紙パルプ、着色紙、塗被紙、コート紙、充填紙、雑誌、印刷物(例えば、本、カタログ、取扱説明書、ラベル、カレンダー、グリーティングカード、パンフレット、便覧、新聞紙)、印刷用紙、ポリコート紙、カードストック、厚紙、板紙、例えば綿及びこれらの任意の混合物などのα−セルロース高含有材料が挙げられる。例えば、米国出願第13/396,365号(Medoffらによる2012年2月14日に出願の「Magazine Feedstocks」)で記載のごとく紙製品があり、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
セルロース材料は、部分的又は完全に脱木質化されたリグノセルロース材料も含むことができる。
場合によっては、他のバイオマス材料、例えばデンプン材料を用いることができる。デンプン材料としては、デンプンそのもの、例えばコーンスターチ、小麦デンプン、ジャガイモデンプン若しくは米デンプン、デンプン誘導体、又は食用の食品若しくは作物などのデンプンを含む材料が挙げられる。例えば、デンプン材料は、アラカチャ、ソバ、バナナ、大麦、キャッサバ、クズ、オカ、サゴ、ソルガム、通常の家庭用のジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、ヤム、又は空豆、レンズ豆又はエンドウ豆などの1種以上の豆であり得る。任意の2種以上のデンプン材料のブレンドもまた、デンプン材料である。デンプン材料と、セルロース及び/又はリグノセルロース材料との混合物を用いることもできる。例えば、バイオマスは、植物全体、植物の一部又は植物の異なる部分、例えば小麦植物、綿植物、トウモロコシ植物、米植物又は樹木であってもよい。デンプン材料は、本明細書に記載された任意の方法により処理することができる。
原材料として用いられ得る微生物材料としては、これらに限定されないが、炭水化物源(例えば、セルロース)含有又は提供することができる、任意の天然に生じる微生物若しくは遺伝子組換え微生物又は有機体、例えば、原生生物、例えば、動物性原生生物(例えば、鞭毛虫、アメーバ、繊毛虫、及び胞子虫などの原虫)、及び植物性原生生物(例えば、アルベオラータ、クロララクニオン藻、クリプト藻、ユーグレナ藻、灰色藻、ハプト藻、紅藻、ストラメノパイル、及び緑色植物亜界などの藻類)が挙げられる。他の例としては、海藻、プランクトン(例えば、マクロプランクトン、メソプランクトン、ミクロプランクトン、ナノプランクトン、ピコプランクトン、及びフェムトプランクトン)、植物性プランクトン、細菌(例えば、グラム陽性菌、グラム陰性菌、及び好極限性細菌)、酵母及び/又はこれらの混合物が挙げられる。場合によって、微生物バイオマスは、天然供給源、例えば海洋、湖、水域、例えば塩水若しくは淡水、又は陸上から得ることができる。代わりに又は追加として、微生物バイオマスは、培養系、例えば大規模な乾式及び湿式培養並びに発酵系から得ることができる。
別の実施形態において、このバイオマス材料、例えばセルロース、デンプン及びリグノセルロース原材料は、野生型の変種に関して修飾されたトランスジェニックの微生物及び植物から得ることができる。このような修飾は、例えば、選択及び育種の反復工程を通して植物中の所望の特性を得てもよい。その上、この植物は、野生型の変種に関して除去、修飾、発現抑制及び/又は付加された遺伝物質を有していてもよい。例えば、遺伝子組換え植物は、遺伝子組換えが親種からある種の遺伝子を導入若しくは修飾することを含む組換えDNA法、又は、例えば、異なる種の植物及び/又は細菌からある種の遺伝子(単数又は複数)が、植物に導入される、トランスジェニックによる育種を用いることによって生成することができる。遺伝子変種を作るその他の方法は、新しい対立遺伝子を内在遺伝子から人工的に作る突然変異育種による。この人工遺伝子は、この植物又は種子を処理すること、例えば、化学的突然変異誘発物質(例えば、アルキル化剤、エポキシド、アルカロイド、過酸化物、ホルムアルデヒドの使用)、照射(例えば、X線、ガンマ線、中性子、ベータ粒子、アルファ粒子、陽子、重陽子、紫外線放射)、及び温度ショック又は他の外部ストレス負荷並びにそれに続く選択技術を含むさまざまな方法によって作ることができる。組換え遺伝子を提供するその他の方法は、エラープローンPCR及びDNAシャッフルを通して行われ、続いて、所望の組換えDNAを所望の植物又は種子に挿入することによる。所望の遺伝子変異をこの種子又は植物に導入する方法としては、例えば、細菌キャリア、パーティクルガン法、リン酸カルシウム沈殿法、電気穿孔、遺伝子スプライシング、遺伝子サイレンシング、リポフェクション、マイクロインジェクション及びウイルスキャリアの使用が挙げられる。追加の遺伝子組換え材料は、2012年2月14日に出願の米国出願シリアル第13/396,369内に記載されており、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれている。
本明細書に記載された任意の方法は、本明細書に記載された任意のバイオマス材料の混合物で実践することができる。
その他の材料
他の材料(例えば、天然又は合成材料)、例えばポリマーは、本明細書で記載される方法、機器及びシステムを用いて処理及び/又は製造することができる。例えば、ポリエチレン(例えば、直鎖低密度エチレン及び高密度ポリエチレン)、ポリスチレン、スルホン化ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリエステル(例えば、ナイロン、DACRON(商標)、KODEL(商標))、ポリアルキレンエステル、ポリビニルエステル、ポリアミド(例えば、KEVLAR(商標))、ポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、アセタール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート(例えば、LEXAN(商標))、アクリル[例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリアクリルニトリル]、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリアクリロニトリル、ポリクロロプレン(例えばネオプレン)、ポリ(cis−1,4−イソプレン)[例えば、天然ゴム]、ポリ(trans−1,4−イソプレン)[例えば、ガッタパーチャ]、フェノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、エポキシド、ポリエステル、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ酸無水物、ポリフルオロカーボン(例えば、TEFLON(登録商標))、シリコン(例えば、シリコーンゴム)、ポリシラン、ポリエーテル(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド)、ワックス、油及びこれらの混合物。プラスチック、ゴム、エラストマー、繊維、ワックス、ゲル、油、接着剤、熱可塑性物質、熱硬化性物質、生分解性ポリマー、これらのポリマーから製造された樹脂、その他のポリマー、その他の材料及びこれらの組合せもまた含まれる。このポリマーは、任意の有用な方法により製造することができ、カチオン重合、アニオン重合、ラジカル重合、メタセシス重合、開環重合、グラフト重合、付加重合が挙げられる。場合によっては、本明細書で開示される処理は、例えば、ラジカル開始グラフト重合及び架橋のために使用することができる。ポリマーの、例えば、ガラス、金属、バイオマス(例えば、繊維、粒子)、セラミックとの複合物もまた、処理及び/又は製造することができる。
本明細書で開示される方法、システム及び機器を用いて処理することができるその他の材料はセラミック材料、ミネラル、金属、無機化合物である。例えば、ケイ素及びゲルマニウム結晶、窒化ケイ素、金属酸化物、半導体、絶縁体、セメント及び/又は導体。
加えて、製造されたマルチパート又は成型材料(例えば、成形され、押し出され、溶接され、リベットで留められ、層状、又は任意の様式で組み合わされた)、例えばケーブル、パイプ、ボード、筐体、集積半導体チップ、回路基板、ワイヤー、タイヤ、ウィンドウ、積層体材料、ギア、ベルト、機械、これらの組合せを処理することができる。例えば、本明細書で記載される方法により材料を処理することによって、表面を改変、例えば、さらなる機能化、結合(例えば、溶接)を容易にし、及び/又は処理によって、材料を架橋させることができる。
例えば、このような材料をリグノセルロース又はセルロース材料を用いてその中で混合、及び/又はこのような材量はこのバイオマス原材料を含むことができる。
バイオマス材料の調製−機械的処理
このバイオマスは乾燥形態とすることができ、例えば約35%未満の含水量(例えば、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、又は更に約1%未満)を有する。このバイオマスをまた、湿潤状態で、例えば湿潤固体、少なくとも約10重量%の固体(例えば、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%)を有するスラリー又は懸濁液として供給することもできる。
本明細書に開示された処理は、低かさ密度の材料、例えば、約0.75g/cm未満、例えば、約0.7未満、0.65、0.60、0.50、0.35、0.25、0.20、0.15、0.10、0.05又はそれ未満、例えば、約0.025g/cm未満のかさ密度を有するように物理的に前処理された、セルロース又はリグノセルロース原材料を用いることができる。かさ密度は、ASTM D1895Bを利用して決定する。要約すると、この方法は、公知の体積のメスシリンダーを試料で満たし、この試料の重量を得ることと関連する。このかさ密度は、グラムで表されるこの試料の重量を立方センチメートルで表されるこのシリンダーの既知の体積で割ることによって計算される。所望であれば、低かさ密度材料を、例えば、米国特許第7,971,809号(Medoff)で記載される方法により高密度化することができ、その開示全体は本明細書で参照により組み込まれる。
場合によっては、この前処理のプロセスは、このバイオマス材料のスクリーニングを含む。スクリーニングは所望の開口サイズ、例えば、約6.35mm(1/4インチ、0.25インチ)未満、(例えば、約3.18mm(1/8インチ、0.125インチ)未満、約1.59mm(1/16インチ、0.0625インチ)未満、約0.79mm(1/32インチ、0.03125インチ)未満、例えば、約0.51mm(1/50インチ、0.02000インチ)未満、約0.40mm(1/64インチ、0.015625インチ)未満、約0.23mm(0.009インチ)未満、約0.20mm(1/128インチ、0.0078125インチ)未満、約0.18mm(0.007インチ)未満、約0.13mm(0.005インチ)未満、又は更に約0.10mm(1/256インチ、0.00390625インチ)未満)を有するメッシュ又は多孔板を通すことによって行うことができる。1つの構成において、この所望のバイオマスは、この多くの孔又はスクリーンをとおり抜け、したがってこの多くの孔又はスクリーンよりも大きなバイオマスは、照射されない。これらのより大きな材料は、例えば粉砕により再処理することができ、又はそれらは単純に、処理から除去することができる。別の構成において、この多くの孔より大きな材料が照射され、より小さな材料はスクリーニング処理により除去、又はリサイクルされる。この種の構成において、コンベヤー自体(例えば、コンベヤーの一部)は、多くの孔が開けられ又はメッシュを備えて製造することができる。例えば、1つの特定の実施形態において、このバイオマス材料は湿潤であってもよく、この多くの穴又はメッシュは、照射前に水をこのバイオマスから排出させることができる。
材料のスクリーニングはまた、例えば、不必要な材料を除去するオペレーター又はメカノイド(例えば、色、反射又は他のセンサが搭載されたロボット)による手作業による方法によって行うこともできる。スクリーニングはまた、磁気が運搬される材料の近傍に配置され磁気材料が磁気的に除去される磁気スクリーニングによって行うことができる。
任意の前処理としてこの材料の加熱を含むことができる。例えば、このバイオマス又はその他の材料を運搬するコンベヤーの一部について加熱ゾーンを通して送ることができる。加熱ゾーンは、例えば、赤外放射、マイクロ波、燃焼(例えば、ガス、石炭、油、バイオマス)、抵抗加熱及び/又は誘導コイルにより作製することができる。この熱は、少なくとも1つの側面又は2つ以上の側面から適用することができ、連続又は周期的とすることができ、この材料の一部のみ、又は材料すべてに対してできる。例えば、運搬トラフの一部は、加熱ジャケットの使用により加熱することができる。加熱は、例えば、この材料を乾燥する目的で行うことができる。この材料を乾燥させる場合、これは、運搬されるときに、バイオマス上及び/又はバイオマスを通るガス(例えば、空気、酸素、窒素、He、CO、アルゴン)の移動によって、加熱又は非加熱で、促進することもできる。
任意で、前処理は、材料を冷却することを含むことができる。材料の冷却は、米国特許第7,900,857号(Medoff)に記載され、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、冷却は、冷却流体、例えば、水(例えば、グリセロールとともに)、又は窒素(例えば、液体窒素)を運搬トラフの底部に供給することによって行うことができる。あるいは、冷却ガス、例えば、冷却窒素は、このバイオマス材料上又は運搬システム下で吹き付けられることができる。
その他の任意の前処理加工プロセスは、材料をこのバイオマス又はその他の原材料に添加することを含むことができる。この追加の材料は、例えば、材料をバイオマス上に、これが運搬される時に浴びせる、まき散らす及び/又は注ぐことにより添加することができる。添加することができる材料としては、例えば、米国特許出願公開第2010/0105119A1号(2009年10月26日に出願)及び米国特許出願公開第2010/0159569A1号(2009年12月16日に出願)に記載のごとく、金属、セラミック及び/又はイオンが挙げられ、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。添加することのできる任意の材料として、酸及び塩基が挙げられる。他の添加することができる材料として、酸化剤(例えば、過酸化物、塩素酸塩)、ポリマー、重合性モノマー(例えば、不飽和結合含有)、水、触媒、酵素及び/又は有機体がある。材料は、例えば、純粋形態で、溶媒(例えば、水又は有機溶媒)中の溶液として及び/又は溶液として添加することができる。場合によっては、この溶媒は揮発性であり、及び、先に記載のごとく、例えば、加熱及び/又はガスを吹き付けることにより蒸発するように製造できる。この添加された材料は、バイオマス上で均一なコーティングを形成してもよく、又は、異なる構成成分の(例えば、バイオマス及び追加の材料)均一な混合物でもよい。この添加された材料は、その後の照射工程を、この照射の影響を増加、この照射を減衰又はこの照射の影響を変化(例えば、電子ビームからX線又は加熱へ)させることによって、調節することができる。この方法は、この照射に影響を与えない場合があるが、更に後続処理に有用となる場合がある。この添加された材料は、例えば、ダストレベルを低下させることによりこの材料の運搬に役立ち得る。
バイオマスはベルトコンベヤー、空気コンベヤー、スクリューコンベヤー、ホッパー、パイプにより、手作業により、又はこれらの組合せにより、コンベヤー(例えば、本明細書で記載された保管室内で使用される振動コンベヤー)に供給することができる。このバイオマスは、これら方法のいずれかによって、このコンベヤー上に、例えば、降下、注入、及び/又は設置することができる。いくつかの実施形態において、この材料は、低酸素雰囲気の維持及び/又はダスト及び微粉の制御を助けるために、封入された材料配分システムを用いてこのコンベヤーに供給される。高く飛ばされた、又は空気中に浮遊するバイオマスの微粉及びダストは、これらが、爆発の危険を生じ、又はこの電子銃の窓箔(このような装置を、この材料を処理するために用いる場合)を損傷する可能性があるので望ましくない。
この材料は、約0.0312と5インチの間(例えば、約0.0625と2.000インチの間、約0.125と1インチの間、約0.125と0.5インチの間、約0.3と0.9インチの間、約0.2と0.5インチの間、約0.25と1.0インチの間、約0.25と0.5インチの間、0.100+/−0.025インチ、0.150+/−0.025インチ、0.200+/−0.025インチ、0.250+/−0.025インチ、0.300+/−0.025インチ、0.350+/−0.025インチ、0.400+/−0.025インチ、0.450+/−0.025インチ、0.500+/−0.025インチ、0.550+/−0.025インチ、0.600+/−0.025インチ、0.700+/−0.025インチ、0.750+/−0.025インチ、0.800+/−0.025インチ、0.850+/−0.025インチ、0.900+/−0.025インチ、0.900+/−0.025インチ)の均一な厚みを形成するように平らにすることができる。
一般に、処理能力を最大にするためにこの電子ビームを通して、できる限り迅速にこの材料を運搬することが好ましい。例えば、この材料は、少なくとも1ft/min、例えば、少なくとも2ft/min、少なくとも3ft/min、少なくとも4ft/min、少なくとも5ft/min、少なくとも10ft/min、少なくとも15ft/min、20、25、30、35、40、45、50ft/minの速度で運搬することができる。運搬速度は、このビーム電流に関連し、例えば、1/4インチの厚みのバイオマス及び100mAに対してこのコンベヤーが約20ft/minで移動して有用な照射線量を提供することができ、50mAでこのコンベヤーが約10ft/minで移動しておよそ同じ照射線量を提供することができる。
このバイオマス材料が放射線ゾーンを通って運搬された後、任意の処理後プロセスを実施することができる。この任意の処理後プロセスは、例えば、この照射前処理に関して記載された処理とすることができる。例えば、このバイオマスはスクリーニングされ、加熱され、冷却され及び/又は添加物と組み合わされ得る。照射後、独自に、例えば、圧力、熱、及び/又はラジカルスカベンジャーの添加を用いて、流体又は気体(例えば、酸素、亜酸化窒素、アンモニア、液体)の添加を介してラジカルをクエンチすることにより、このラジカルのクエンチをおこすことができる。例えば、バイオマスは、格納されたコンベヤーから外に運搬され、ガス(例えば、酸素)に暴露され、ここで、クエンチされ、カルボキシル化された基を形成し得る。一実施形態において、バイオマスは照射中に反応性ガス又は流体に暴露される。照射されたバイオマスのクエンチは、米国特許第8,083,906号(Medoff)に記載され、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
この炭水化物含有材料の難分解性を更に低下するための照射に加えて、所望であれば、1つ以上の機械的処理を用いることができる。これらの処理は、照射前、照射中及び/又は照射後に適用することができる。
場合によっては、この機械的処理は、受け取り時のこの原材料の初期調製、例えば、粉砕、例えば、切断、摩砕、せん断、微粉砕又は細かく刻むことによる材料のサイズ低下などを含むことができる。例えば、場合によっては、粘着性のない原材料(例えば、再生紙、デンプン材料又はスイッチグラス)は、せん断又は細断によって作製される。機械的処理は炭水化物含有材料のかさ密度を減少し、この炭水化物含有材料の表面積を増加し、及び/又はこの炭水化物含有材料の1つ以上の寸法を減少し得る。
あるいは又は加えて、この原材料は、その他の処理、例えば、化学的処理、例えば、酸(HCl、HSO、HPO)、塩基(例えば、KOH及びNaOH)、化学的酸化剤(例えば、過酸化物、塩素酸塩、オゾン)、照射、蒸気爆発、熱分解、超音波処理、酸化、化学処理を用いて処理することができる。この処理は任意の順序並びに任意の配列及び組合せとすることができる。例えば、原材料は最初に、1つ以上の処理方法、例えば、酸加水分解(例えば、HCl、HSO、HPOの使用)を含む、及びこれと組合せた化学処理、放射線、超音波処理、酸化、熱分解又は蒸気爆発によって物理的に処理することができ、その後、機械的に処理することができる。1つ以上のその他の処理、例えば、照射又は熱分解によって処理された材料はより脆性になる傾向があるので、したがって、機械的処理によってこの材料の構造を更に変化することがより容易になる場合があり、この配列は有利である可能性がある。その他の例として、原材料は、本明細書に記載のごとくコンベヤーを使用して電離放射線を通って運搬され、その後、機械的に処理することができる。化学処理は、このリグニンのいくらか又はすべてを除去(例えば、化学的にパルプ化)することができ、この材料を部分的に又は完全に加水分解することができる。この方法は、あらかじめ加水分解された材料とともに使用することもできる。この方法は、あらかじめ加水分解されていない材料とともに使用することもできる。方法は、加水分解及び非加水分解材料の混合物、例えば、約50%以上の非加水分解材料、約60%以上の非加水分解材料、約70%以上の非加水分解材料、約80%以上の非加水分解材料又は更に90%以上の非加水分解材料とともに使用することができる。
また、処理の最初及び/又は後に実施することができるサイズ低下に加えて、この炭水化物含有材料を「開くこと」「圧力を加えること」、破壊すること、又は粉々にすることに対して、機械的処理が有利になる場合もあり、この材料のセルロースの物理処理中の鎖切断及び/又は、結晶構造の破壊をより容易にする。
炭水化物含有材料を機械的処理する方法として、例えば、粉砕又は摩砕がある。粉砕は、例えば、ハンマーミル、ボールミル、コロイドミル、コニカル又はコーンミル、ディスクミル、エッジミル、Wileyミル、グリストミル又はその他のミルを用いて実施し得る。摩砕は、例えば、切断/衝撃型グラインダーを用いて実施することができる。いくつかのグラインダーの非限定的例として、ストーングラインダー、ピングラインダー、コーヒーグラインダー、及びバーグラインダーが挙げられる。摩砕又は粉砕は、例えば、ピンミルの場合と同様に、ピン又はその他の要素を往復運動させることにより提供され得る。その他の機械的処理方法としては、機械的に引き裂くこと又は引きちぎること、圧力を繊維に適用するその他の方法、及び空気の摩擦による粉砕が挙げられる。好適な機械的処理は、前の処理工程により開始された材料の内部構造の破壊を続ける任意のその他の技術を更に含む。
機械的供給調製システムは、例えば、特異的な最大サイズ、特異的な長さ対幅、又は特異的の表面積比などの特異的な特性を有する傾向で製造するように構成され得る。物理的調製によって、反応速度が上昇し、コンベヤー上の材料の動きが改善し、この材料の照射特性が改善し、この材料の放射線の均一性が改善し、又はこの材料を開くことによる必要とされる処理時間が減少し、これらがより処理し易く、及び/又は溶液中の試薬などの試薬をより利用しやすくすることができる。
原材料のかさ密度を制御(例えば、増加)することができる。場合によっては、例えば、この材料を高密度化し(例えば、高密度化は、その他の場所に輸送が容易であり、費用を抑えることができる)、次に、この材料を低かさ密度の状態(例えば、輸送後)に戻すことによって、低かさ密度の材料を作製することが望ましい場合がある。材料は、例えば、約0.2g/cc未満から約0.9g/cc超まで(例えば、約0.3未満から約0.5g/cc超まで、約0.3未満から約0.9g/cc超まで、約0.5未満から約0.9g/cc超まで、約0.3未満から約0.8g/cc超まで、約0.2未満から約0.5g/cc超まで)高密度化させることができる。例えば、米国特許第7,932,065号(Medoff)及び国際公開第WO2008/073186号(2007年10月26日に出願)に開示された方法及び機器によってこの材料を高密度化させることができ、その開示全体は参照により本明細書に組みこまれる。高密度化された材料は、本明細書で記載される任意の方法によって処理することができ、又は本明細書で記載される任意の方法によって処理された材料は、その後高密度化させることができる。
いくつかの実施形態において、処理される材料は、繊維源をせん断することにより提供される繊維を含む繊維性材料の形態である。例えば、このせん断はロータリーナイフカッターを用いて実施することができる。
例えば、難分解性又はその難分解性レベルが低下された繊維源を、例えば、ロータリーナイフカッターにおいてせん断して、例えば、第1の繊維性材料が提供され得る。この第1の繊維性材料は、例えば、1.59mm(1/16インチ、0.0625インチ)以下の平均開口サイズを有する、第1のスクリーンを通過し得る。所望であれば、この繊維源は、せん断前に、例えば、シュレッダーを用いて切断することができる。例えば、紙が繊維源として使用される場合、この紙は、最初にシュレッダー、例えば、Munson(ニューヨーク、ユーティカ)により製造されるものなど、逆回転スクリューシュレッダーを用いて、例えば1/4から1/2インチ幅の細片に切断され得る。細断の代わりとして、この紙は、ギロチンカッターを使用した切断によって所望のサイズにサイズを低下させることができる。例えば、ギロチンカッターは、この紙を例えば、10インチ幅×12インチ長のシートに切断するために使用することができる。
いくつかの実施形態において、この繊維源のせん断及び第一のスクリーンを通って得られる最初の繊維性材料の通過は、同時に実施される。このせん断及び通過はまた、バッチ型処理で実施することができる。
例えば、ロータリーナイフカッターは、同時に、この繊維源をせん断し、第一の繊維性材料をスクリーニングするために使用することができる。ロータリーナイフカッターは、繊維源を細断することによって作製される細断された繊維源を投入することができるホッパーを含む。
いくつかの実施において、この原材料は、糖化及び/又は発酵前に物理的に処理される。物理的処理プロセスは、本明細書で記載される、例えば機械的処理、化学的処理、照射、超音波処理、酸化、熱分解又は蒸気爆発のいずれか1つ以上を含むことができる。処理方法は、これらの技術の2つ、3つ、4つ、又は更にこれらすべての技術の組合せで(任意の順序で)用いることができる。2種以上の処理方法が用いられるとき、この方法は同時に、又は異なる時に適用することができる。バイオマス原材料の分子構造を変化させるその他の処理もまた、単独で、又は本明細書で開示される処理と組み合わせて用いられ得る。
用いられ得る機械的処理及び機械的処理される炭水化物含有材料の特性は、2011年10月18日に出願の米国特許出願公開2012/0100577号に更に詳細に記載されており、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれている。
超音波処理、熱分解、酸化、蒸気爆発
所望であれば、1つ以上の超音波処理、熱分解、酸化、又は蒸気爆発処理を照射及び/又は加熱の代わりに又はそれらに加えて用いて、この炭水化物含有材料の難分解性を低下又は更に低下させることができる。所望により、この酸又は塩基の添加とともに蒸気による加熱を用いることができる。例えば、これらのプロセスは、照射前、照射中及び/又は照射後に適用することができる。これら処理は、米国特許第7,932,065(Medoff)に詳細に記述され、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
中間体及び生成物
本明細書で記載される処理を用いて、このバイオマス材料はエネルギー、燃料、食品及び材料などの1つ以上の生成物に変換することができる。例えば、有機酸、有機酸の塩、無水物、有機酸のエステル及び燃料などの中間体及び生成物、例えば、内燃機関のための燃料又は燃料電池のための原材料。容易に入手できるが、多くの場合、処理が困難であり得るセルロース及び/又はリグノセルロース材料、例えば、都市廃棄物のストリーム及び新聞紙、クラフト紙、段ボール紙又はこれらの混合物を含むストリームなどの紙くずのストリームを原材料として用いることができるシステム及び処理が、本明細書に記載されている。
生成物の具体例として、これらに限定されないが、水素、糖類(例えば、グルコース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、二糖、オリゴ糖及び多糖)、アルコール(例えば、エタノール、n−プロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール又はn−ブタノールなどの一価アルコール又は二価アルコール、)、水和又は含水アルコール(例えば、10%超、20%、30%又は更に40%超の水を含有)、バイオディーゼル、有機酸、炭化水素(例えば、メタン、エタン、プロパン、イソブテン、ペンタン、n−ヘキサン、バイオディーゼル、バイオガソリン及びこれらの混合物)、副産物(例えば、セルロース分解性タンパク質(酵素)又は単細胞タンパク質などのタンパク質)、並びに任意の組合せ又は相対濃度、及び所望により任意の添加物(例えば、燃料添加剤)と組み合わされるこれら任意の混合物が挙げられる。その他の例としては、カルボン酸、カルボン酸の塩、カルボン酸及びカルボン酸の塩の混合物並びにカルボン酸のエステル(例えば、メチル、エチル及びn−プロピルエステル)、ケトン(例えば、アセトン)、アルデヒド(例えば、アセトアルデヒド)、α及びβ不飽和酸(例えば、アクリル酸)及びオレフィン(例えば、エチレン)が挙げられる。その他のアルコール及びアルコール誘導体としては、プロパノール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、糖アルコール(例えば、エリトリトール、グリコール、グリセロール、ソルビトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、マンニトール、ズルシトール、フシトール、イジトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、キシリトール及びその他のポリオール)、及びこれらの任意のアルコールのメチル又はエチルエステルが挙げられる。他の生成物としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、乳酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、カプロン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、オレイン酸、リノール酸、グリコール酸、ガンマ−ヒドロキシ酪酸、並びにこれらの混合物、これらの酸の任意の塩、この酸の任意の混合物及びそれら個々の塩が、挙げられる。
上記生成物のお互いの任意の組合わせ及び/又は上記生成物とその他の生成物(その他の生成物は、本明細書で記載される処理又は別の方法によって製造されてもよい)との任意の組合せは、一緒に梱包され、製品として販売してよい。この生成物は組み合わされ、例えば、混合され、ブレンドされ、又はともに溶解されてもよく、あるいは単純に梱包され、又は一緒に販売されてよい。
本明細書で記載される任意の生成物又は生成物の組合せは、この生成物を販売する前、例えば、精製若しくは分離後又は更に梱包後、この生成物(単数又は複数)中に存在し得る1つ以上の潜在的に望ましくない汚染物質を中和するために消毒又は滅菌することができる。このような消毒は、例えば、約20Mrad未満、例えば、約0.1から15Mrad、約0.5から7Mrad、又は約1から3Mradの線量による電子衝撃を用いて、実施することができる。
本明細書で記載される処理は、蒸気を発生させるために有用なさまざまな副産物のストリーム、及びこのプラント(コジェネレーション)の他の一部で用いられ、あるいは公開市場で販売する電気を生じることができる。例えば、副産物のストリームを燃焼させることから生成される蒸気は、蒸留処理において用いることができる。別の例として、副産物のストリームを燃焼させることから生成される電気は、前処理において使用される電子ビーム発生機に電力供給するために用いられ得る。
蒸気及び電気を生成させるために用いられる副産物は、この処理を通して多くの供給源から誘導される。例えば、排水の嫌気性消化は、メタンの含有量が高いバイオガス及び少量の廃棄バイオマス(スラッジ)生じる場合がある。別の例として、糖化後及び/又は蒸留後の固体(例えば、前処理及び一次処理から残った未変換リグニン、セルロース、及びヘミセルロース)を使用することができ、例えば、燃料として燃焼させることができる。
その他の中間体及び生成物として、食品及び医薬製品を含み、2010年5月20日に公開の米国特許出願公開2010/0124583(Medoff)に記載され、その開示全体は本明細書に参照により組み込まれている。
リグニン誘導生成物
本明細書に記載された方法によってリグノセルロースの処理から得られる使用済みのバイオマス(例えば、リグノセルロース材料)は、リグニンの含有量が高く、加えて、コジェネレーションプラントにおける燃焼を通してエネルギーを生成するために有用であることが期待され、その他の有益な生成物としての用途を有し得る。例えば、このリグニンは、プラスチックとして得られて使用することができ、又はこれは、合成によりその他のプラスチックに改良することができる。場合によっては、それはまたリグノスルホネートに変換することもでき、これはバインダー、分散剤、乳化剤又は金属イオン封鎖剤として利用することができる。
バインダーとして使用されるとき、このリグニン又はリグノスルホネートは、例えば、練炭、セラミックにおいて、カーボンブラックを結合させるために、肥料及び除草剤を結合させるために、ダスト抑制剤として、ベニヤ板及びパーティクルボードの製造において、動物飼料を結合させるために、ガラス繊維のためのバインダーとして、リノリウムペーストにおけるバインダーとして、並びに土壌安定剤として用いることができる。
分散剤として使用されるとき、このリグニン又はリグノスルホネートは、例えば、コンクリート混合物、粘土及びセラミック、染料及び顔料、革なめし及び石こうボードにおいて用いることができる。
乳化剤として使用される場合、このリグニン又はリグノスルホネートは、例えば、アスファルト、顔料及び染料、殺虫剤、並びにワックスエマルジョンにおいて用いることができる。
金属イオン封鎖剤として、このリグニン又はリグノスルホネートは、例えば、微量栄養素システム、クリーニング化合物及び水処理システムにおいて、例えば、ボイラー及び冷却システムのために用いることができる。
エネルギー生成に対して、リグニンは、ホモセルロースよりも多くの炭素を含むため、リグニンは一般にホロセルロース(セルロース及びヘミセルロース)よりも高いエネルギー量を有する。例えば、7,000から8,000BTU/ポンドの間のホロセルロースと比較して、乾燥リグニンは、約11,000と12,500BTU/ポンドの間のエネルギー量を有することができる。そのようなものであるから、リグニンは燃焼用ブリケット及びペレットに高密度化及び変換することができる。例えば、このリグニンは、本明細書で記載される任意の方法によりペレットに変換することができる。よりゆっくり燃焼するペレット又はブリケット用に、例えば、約0.5Mradから5Mradの間の放射線量を適用することによって、このリグニンを架橋することができる。架橋はよりゆっくり燃焼する形状因子を作ることができる。このペレット又はブリケットなどの形状因子は、例えば、400と950℃の間で空気なしで熱分解することにより、「合成石炭」又は木炭に変換することができる。熱分解前に、このリグニンを架橋させ構造的完全性を維持することが、望ましい場合がある。
糖化
この原材料を容易に処理することができる形態に変換するために、原材料中のグルカン又はキシラン含有セルロースは、糖化剤、例えば、酵素又は酸、糖化と呼ばれるプロセスによって糖などの、低分子量炭水化物に加水分解させることができる。低分子量炭水化物は、次に、例えば、単細胞タンパク質プラント、酵素製造プラント、又は燃料プラント、例えば、エタノール製造施設などの既存の製造プラントにおいて用いることができる。
酵素を用いて、例えば、材料及び酵素を溶媒中、例えば、水溶液中で組み合わることにより、この原材料を加水分解することができる。
あるいは、この酵素は、バイオマス、例えば、バイオマスのセルロース及び/又はリグニン部分を分解し、さまざまなセルロース分解酵素(セルラーゼ)、リグニナーゼ又はさまざま小分子バイオマス分解代謝産物を含有又は製造する有機体によって供給されることがある。これらの酵素は、相乗的に作用し、バイオマスの結晶セルロース又はリグニン部分を分解する酵素の複合体としてもよい。セルロース分解酵素の例としては、:エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、及びセロビアーゼ(β−グルコシダーゼ)が、挙げられる。
糖化中、セルロース基質は最初に、エンドグルカナーゼによりランダムな位置で加水分解させることができ、オリゴマ中間体が生成される。これらの中間体はその後、セロビオヒドロラーゼなどのエキソ開裂グルカナーゼのための基質となり、このセルロースポリマーの端部からセロビオースが生成される。セロビオースはグルコースの水溶性1,4−結合二量体である。最後に、セロビアーゼは、セロビオースを切断し、グルコースが得られる。このプロセスの効率(例えば、加水分解するための時間、及び/又は加水分解の完全性)は、セルロース材料の難分解性に依存する。
したがって、この処理されたバイオマス材料は、一般に流体媒質、例えば、水溶液中でこの材料及びセルラーゼ酵素を組み合わせることにより、糖化させることができる。場合によっては、この材料は、2012年4月26日に公開の米国特許出願公開第2012/0100577号(Medoffら)で記載のごとく、糖化前に、熱水中で煮沸、浸漬、又は調理され、その開示全部が、本発明において組み込まれる。
この糖化処理は、部分的に又は完全に、製造プラント内の槽中(例えば、少なくとも4000、40,000、又は500,000Lの体積を有する槽)で実施することができ、かつ/又は輸送中、例えば、鉄道車両、タンカートラック、又は超大型タンカー若しくは船倉内で部分的に又は完全に実施することができる。完全な糖化のための所要時間は、用いられる処理条件並びに炭水化物含有材料及び酵素に依存する。糖化が製造プラント内で制御された条件下で実施される場合、このセルロースは糖、例えば、グルコースに約12から96時間で実質的に完全に変換され得る。糖化が部分的に又は完全に輸送中に実施される場合、糖化はより長く時間がかかる可能性がある。
この槽内容物は、WO第2010/135380号として公開され、2010年5月18日に出願の国際出願第PCT/US2010/035331号で記載のごとく、糖化中に混合、例えば、ジェット混合を用いて混合されることが、一般に好ましく、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
界面活性剤の添加は、この糖化速度を向上させることができる。界面活性剤の例としては、Tween(登録商標)20又はTween(登録商標)80ポリエチレングリコール界面活性剤、イオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
この糖化から得られる糖溶液の濃度は比較的高く、例えば、40重量%超、又は50、60、70、80、90又は更に95重量%超であることが一般に好ましい。水は、例えば、この糖溶液の濃度が増加させるために蒸発により除去し得る。これにより輸送される体積が低減し、また、溶液中での微生物増殖が阻止される。
あるいは、より低い濃度の糖溶液を用いてもよく、この場合、抗菌添加物、例えば、広域スペクトル抗生物質を、低濃度、例えば、50から150ppmで添加することが望ましい可能性がある。その他の好適な抗生物質として、アンホテリシンB、アンピシリン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、ゲンタマイシン、ハイグロマイシンB、カナマイシン、ネオマイシン、ペニシリン、ピューロマイシン、ストレプトマイシンが、挙げられる。抗生物質は、輸送及び貯蔵中の微生物の増殖を阻害し、適切な濃度、例えば、重量で15と1000ppmの間、例えば、25と500ppmの間、又は50と150ppmの間で使用することができる。糖濃度が比較的高い場合であっても、所望であれば、抗生物質を含むことができる。あるいは、抗菌又は保存特性を有する他の添加物を使用してもよい。好ましくはこの抗菌添加物(単数又は複数)は食品用である。
比較的高濃度の溶液は、この酵素を有する炭水化物含有材料に添加される水の量を制限することにより入手することができる。この濃度は、例えば、どれくらい糖化が起こるかを制御することにより制御することができる。例えば、この濃度は、より多くの炭水化物含有材料をこの溶液に添加することにより増加させることができる。溶液中で生成された糖を維持するために、界面活性剤、例えば、以上で記載されるものの1つを添加することができる。溶解度はまた、この溶液の温度を上昇させることにより増加させることができる。例えば、溶液は40から50℃、60から80℃、又は更により高い温度で維持することができる。
糖化剤
アミラーゼ及び/又はセルロース分解酵素などの好適な酵素は、バシラス(Bacillus)、コプリヌス(Coprinus)、ミセリオフソラ(Myceliophthora)、セファロスポリウム(Cephalosporium)、スキタリジウム(Scytalidium)、ペニシリウム(Penicillium)、アスペルギルス(Aspergillus)、シュードモナス(Pseudomonas)、ヒュミコラ(Humicola)、フザリウム(Fusarium)、チエラビア(Thielavia)、アクレモニウム(Acremonium)、クリソスポリウム(Chrysosporium)及びトリコデルマ(Trichoderma)属の種由来のセルラーゼ、とりわけ、アスペルギルス(Aspergillus)種(例えば、欧州公開第0 458 162号を参照されたい)、ヒュミコラ・インソレンス(Humicola insolens)(スキタリジウム・サーモフィルム(Scytalidium thermophilum)として再分類され、例えば、米国特許第4,435,307号を参照されたい)、コプリヌス・シネレウス(Coprinus cinereus)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、ミセリオフソラ・サーモヒラ(Myceliophthora thermophila)、メリピルス・ギガンテウス(Meripilus giganteus)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、アクレモニウム(Acremonium)種(これらに限定されないが、A.ペルシシナム(A.persicinum)、A.アクレモニウム(A.acremonium)、A.ブラキペニウム(A.brachypenium)、A.ジクロモスポルム(A.dichromosporum)、A.オブクラバタム(A.obclavatum)、A.ピンケルトニエ(A.pinkertoniae)、A.ロセオグリセウム(A.roseogriseum)、A.インコロラタム(A.incoloratum)、及びA.フラタム(A.furatum)が挙げられる)から選択される株により生成されるものが挙げられる。好ましい株として、ヒュミコラ・インソレンス(Humicola insolens)DSM 1800、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)DSM 2672、ミセリオフソラ・サーモヒラ(Myceliophthora thermophila)CBS 117.65、セファロスポリウム(Cephalosporium)種RYM−202、アクレモニウム(Acremonium)種CBS 478.94、アクレモニウム(Acremonium)種CBS 265.95、アクレモニウム・ペルシシナム(Acremonium persicinum)CBS 169.65、アクレモニウム・アクレモニウム(Acremonium acremonium)AHU 9519、セファロスポリウム(Cephalosporium)種CBS 535.71、アクレモニウム・ブラキペニウム(Acremonium brachypenium)CBS 866.73、アクレモニウム・ジクロモスポルム(Acremonium dichromosporum)CBS 683.73、アクレモニウム・オブクラバタム(Acremonium obclavatum)CBS 311.74、アクレモニウム・ピンケルトニエ(Acremonium pinkertoniae)CBS 157.70、アクレモニウム・ロセオグリセウム(Acremonium roseogriseum)CBS 134.56、アクレモニウム・インコロラタム(Acremonium incoloratum)CBS 146.62、及びアクレモニウム・フラタム(Acremonium furatum)CBS 299.70Hが挙げられる。セルロース分解酵素はまた、クリソスポリウム(Chrysosporium)、好ましくはクリソスポリウム・ラクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)の株から得てもよい。用いることができる追加の株として、これらに限定されないが、トリコデルマ(Trichoderma)(特にT.ビリデ(T.viride)、T.リーセイ(T.reesei)、及びT.コニンギイ(T.koningii))、好アルカリ性バシラス(Bacillus)(例えば、米国特許第3,844,890号及び欧州公開第0 458 162号を参照されたい)及びストレプトマイセス(Streptomyces)(例えば、欧州公開第0 458 162号を参照されたい)を挙げることができる。
酵素に加えて、又はこれと組み合わせて、リグノセルロース及びセルロース材料を糖化するために、酸、塩基及び他の化学物質(例えば、オキシダント)を利用することができる。これらは、任意の組合せ又は順番で使用することができる(例えば、酵素の添加前、添加後及び/又は添加中)。例えば強無機酸(例えばHCl、HSO、HPO)及び強塩基(例えば、NaOH、KOH)を用いることができる。

本明細書で記載される処理において、例えば、糖化後、糖(例えば、グルコース及びキシロース)を単離することができる。例えば、糖は、沈殿、結晶化、クロマトグラフィー(例えば、疑似移動床クロマトグラフィー、高圧クロマトグラフィー)、遠心分離、抽出、当技術分野で知られている任意の他の単離方法、及びそれらの組合せにより、単離することができる。
水素化及びその他の化学的転換
本明細書で記載される処理は水素化を含むことができる。例えば、グルコース及びキシロースはそれぞれ、ソルビトール及びキシリトールに水素化することができる。水素化は、触媒(例えば、Pt/γ−Al、Ru/C、ラネーニッケル、又は当技術分野において知られているその他の触媒)を用い、高圧下(例えば、10から12000psi、100から10000psi)でHと組み合わされることによって達成することができる。本明細書で記載される処理からの生成物の他の種類の化学的転換、例えば、有機糖誘導生成物(例えば、フルフラール及びフルフラール誘導生成物)の生成に用いることができる。糖誘導生成物の化学的転換は、2013年7月3日出願のUSSN13/934,704号に記載され、その開示全体は参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる。
発酵
酵母及びザイモモナス(Zymomonas)細菌は、例えば、糖(単数又は複数)のアルコール(単数又は複数)への発酵又は変換のために用いることができる。その他の微生物を以下に記載する。発酵のための最適pHは約pH4から7である。例えば、酵母のための最適pHは約pH4から5であるが、ザイモモナス(Zymomonas)のための最適pHは約pH5から6である。典型的な発酵時間は、20℃から40℃の範囲の温度(例えば、26℃から40℃)を用いると約24から168時間(例えば、24から96時間)であるが、しかしながら好熱性微生物はより高い温度を好む。
いくつかの実施形態において、例えば嫌気性生物が用いられる場合、発酵の少なくともの一部は、酸素がない状態で、例えば、N、Ar、He、CO又はこれらの混合物などの不活性ガスのブランケット下で実施される。更に、この混合物は、発酵の一部又は全体中に、この槽を通して流れる不活性ガスの一定パージを有し得る。場合によっては、嫌気性条件は発酵中の二酸化炭素生成により達成又は維持することができ、追加の不活性ガスは必要ない。
いくつかの実施形態において、この発酵プロセスのすべて又は一部は、低分子量糖が完全に生成物(例えば、エタノール)に変換される前に中断することができる。この中間発酵生成物は糖及び炭水化物を高濃度で含む。この糖及び炭水化物は当技術分野で知られている任意の手段を介して単離することができる。これらの中間発酵生成物はヒト用又は飼料用の食品の調製において使用することができる。加えて又はその代わりに、この中間発酵生成物は、ステンレス鋼研究室用ミルにおいて微細粒子サイズまで摩砕することができ、小麦粉様物質が製造される。ジェット混合を発酵中に用いることができ、場合によっては糖化及び発酵は同じ槽内で実施される。
微生物のための栄養分、例えば、2011年7月15日出願の米国特許出願公開2012/0052536号に記載される食品に基づく栄養パッケージは、糖化中及び/又は発酵中に添加されてもよく、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
「発酵」として、2013年6月27日公開の出願第PCT/US2012/71093号、2012年6月27日公開のPCT/US2012/71907号、及び2012年6月27日公開のPCT/US2012/71083号内で開示される方法及び生成物が挙げられ、その内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
国際出願第PCT/US2007/074028号(これは、2007年7月20日出願、及びWO2008/011598号として公開)で記載のごとく、可動発酵槽を利用することができ、米国発行特許第8,318,453号を有し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。同様に、この糖化機器は可動性とすることができる。更に、糖化及び/又は発酵は、一部又は完全に輸送中に実施することができる。
発酵剤
この発酵で用いられる微生物(単数又は複数)は、天然微生物及び/又は操作された微生物とすることができる。例えば、この微生物は細菌(限定されないが、例えば、セルロース分解細菌を含む)、真菌(限定はされないが、例えば、酵母を含む)、植物、原生生物、例えば原虫又は真菌様原生生物(限定はされないが、例えば、粘菌を含む)、又は藻類とすることができる。この有機体が適合する場合、有機体の混合物を用いることができる。
発酵のために用いられる好適な微生物はグルコース、フルクトース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、オリゴ糖又は多糖などの炭水化物を発酵生成物に変換する能力を有する。発酵微生物として、サッカロマイセス(Saccharomyces)属種(これらに限定はされないが、S.セレビシエ(S.cerevisiae)(パン酵母)、S.ディスタチカス(S.distaticus)、S.ウバラム(S.uvarum)が挙げられる)、クルイウェロマイセス(Kluyveromyces)属(これらに限定はされないが、K.マルキシアヌス(K.marxianus)、K.フラジリス(K.fragilis)が挙げられる)、カンジダ(Candida)属(これらに限定はされないが、C.シュードトロピカリス(C.pseudotropicalis)、及びC.ブラシカ(C.brassicae)が挙げられる)、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)(カンジダ・シハタエ(Candida shehatae)の近縁種)、クラビスポラ(Clavispora)属(これらに限定はされないが、C.ルシタニエ(C.lusitaniae)及びC.オプンティア(C.opuntiae)が挙げられる)、パキソレン(Pachysolen)属(これに限定はされないが、P.タンノフィルス(P.tannophilus)が挙げられる)、ブレタノミセス(Bretannomyces)属(これに限定はされないが、例えば、B.クラウセニイ(B.clausenii)の株が挙げられる(Philippidis,G.P.,1996,Cellulose bioconversion technology,in Handbook on Bioethanol:Production and Utilization,Wyman,C.E.,ed.,Taylor & Francis,Washington,DC,179−212)。その他の好適な微生物として、例えば、ザイモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、クロストリジウム(Clostridium)種(これに限定はされないが、C.サーモセラム(C.thermocellum)(Philippidis、 1996、上記)、C.サッカロブチルアセトニカム(C.saccharobutylacetonicum)、C.チロブチリクム(C.tyrobutyricum)、C.サッカロブチリカム(C.saccharobutylicum)、C.パニセウム(C.Puniceum)、C.ベイジェリンキ(C.beijernckii)、及びC.アセトブチリカム(C.acetobutylicum)が挙げられる)、モニリエラ(Moniliella)種(これらに限定はされないが、M.ポリニス(M.pollinis)、M.トメントサ(M.tomentosa)、M.マジダ(M.madida)、M.ニグレセンス(M.nigrescens)、M.オエドセファリ(M.oedocephali)、M.メガチリエンシス(M.megachiliensis)が挙げられる)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)種、トリコスポロノイデス(Trichosporonoides)種、トリゴノプシス・バリアビリス(Trigonopsis variabilis)、トリコスポロン(Trichosporon)種、モニリエラ・アセトアブタンス(Moniliellaacetoabutans)種、チフラ・バリアビリス(Typhula variabilis)、カンジダ・マグノリアエ(Candida magnoliae)、ウスチラジノマイシーテス(Ustilaginomycetes)種、シュードジーマ・ツクバエンシス(Pseudozyma tsukubaensis)、ザイゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属の酵母種、デバリオマイセス(Debaryomyces)、ハンゼヌラ(Hansenula)及びピキア(Pichia)並びにデマチオイド(dematioid)のトルラ(Torula)属の真菌(例えば、T.コラリナ(T.corallina))が挙げられる。
多くのこのような微生物株が、商業的に又は保管所、例えば、2、3例を挙げると、ATCC(American Type Culture Collection(米国、バージニア州、マナサス))、NRRL(Agricultural Research Service Culture Collection(米国、イリノイ州、ピオリア))、又はDSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(ドイツ、ブラウンシュヴァイク))を介して公的に入手可能である。
市販の酵母として、例えば、RED STAR(登録商標)/Lesaffre Ethanol Red(Red Star/Lesaffre(米国)から入手可能)、FALI(登録商標)(Fleischmann’s Yeast、Burns Philip Food Inc.(米国)の一部門から入手可能)、SUPERSTART(登録商標)(Alltech、現Lalemandから入手可能)、GERT STRAND(登録商標)(Gert Strand AB(スウェーデン)から入手可能)、及びFERMOL(登録商標)(DSM Specialtiesから入手可能)が挙げられる。
蒸留
発酵後、この得られた流体は、例えば、「ビール塔(beer column)」を使用して蒸留して、エタノール及び他のアルコールが大部分の水及び残留固体から分離され得る。この蒸留は、(例えば、糖などの溶液中における生成物の分解を低下させるために)真空下で行うことができる。ビール塔(beer column)を出て行く蒸気は、少なくとも35重量%(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%又は少なくとも90重量%)のエタノールとすることができ、精留塔に送ることができる。この精留塔から、ほぼ共沸の混合物(例えば少なくとも約92.5%のエタノールと水)を気相モレキュラーシーブを用いて純粋な(例えば、少なくとも約99.5%又は更に約100%)エタノールに精製することができる。このビール塔(beer column)底部は、3つのエフェクト蒸発器の第1エフェクトに送ることができる。精留塔還流凝縮器は、この第1のエフェクトのために熱を提供することができる。この第1のエフェクト後、固体は、遠心分離機を用いて分離及び回転乾燥機中で乾燥させることができる。この遠心分離機排出物の一部(25%)は、発酵にリサイクルすることができ、この残りは、第2及び第3の蒸発器エフェクトに送ることができる。蒸発器凝縮物の大部分は、かなりきれいな凝縮物としてこの処理に戻すことができ、ごく一部が分離されて廃水処理に送られ、低沸点化合物の蓄積が防止される。
運搬システム
このバイオマス材料を例えば、保管室及び保管室内の電子ビーム下に運搬するために、さまざまな運搬システムを用いることができる。例示的なコンベヤーはベルトコンベヤー、空気コンベヤー、スクリューコンベヤーであり、カート、列車、レール上の列車若しくはカート、エレベーター、フロントローダー、バックホー、クレーン、さまざまなスクレーパー及びシャベル、トラック、並びに投出装置が使用できる。例えば、本明細書に記載されるさまざまな処理で、振動コンベヤーを使用することができる。振動コンベヤーは、2013年10月10日に出願のPCT/US第2013/64289号に記載され、その開示全体は参照によりその本明細書に組み込まれている。
所望により、1つ以上の運搬システムが格納され得る。筐体を使用するとき、この格納されたコンベヤーを低酸素レベルの雰囲気を維持するために不活性ガスを用いてパージすることもできる。酸素レベルを低く維持することによって、場合によっては、その反応性及び毒性のために望ましくないオゾンの形成が回避される。例えば、この酸素は約20%未満(例えば、約10%未満、約1%未満、約0.1%未満、約0.01%未満、又は更に約0.001%未満の酸素)とすることができる。パージは、これらに限定はされないが、窒素、アルゴン、ヘリウム又は二酸化炭素を含む不活性ガスを用いて行うことができる。これは、例えば、液体源(例えば、液体窒素又はヘリウム)のボイルオフから供給、空気からその場で生成又は分離、又は槽から供給することができる。不活性ガスは再循環させることができ、残存酸素は銅触媒床などの触媒を用いてすべて除去することができる。あるいは、この酸素レベルを低く維持するために、パージ、再循環及び酸素除去の組み合わせて行うことができる。
この格納されたコンベヤーはまた、このバイオマスと反応することができる反応性ガスを用いてパージすることができる。これは、照射処理前、中又は後に行うことができる。この反応性ガスは、これらに限定されないが、亜酸化窒素、アンモニア、酸素、オゾン、炭化水素、芳香族化合物、アミド、過酸化物、アジド、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、リン化物、ホスフィン、アルシン、硫化物、チオール、ボラン及び/又は水素化物とすることができる。反応性ガスは筐体中で、このバイオマスと反応させるため、例えば、照射(例えば、電子ビーム、UV照射、マイクロ波照射、加熱、赤外放射)により活性化することができる。このバイオマス自体を、例えば照射によって活性化することができる。好ましくは、このバイオマスは、電子ビームによって活性化され、ラジカルを生成し、次に、活性化又は非活性化反応性ガスと、例えば、ラジカルカップリングによって反応又はクエンチする。
格納されたコンベヤーに供給されるパージガスはまた、例えば約25℃未満、約0℃未満、約−40℃未満、約−80℃未満、約−120℃未満に冷却することもできる。例えば、このガスは、液体窒素などの圧縮ガスからボイルオフすることができ、又は固体二酸化炭素から昇華させることができる。別の例として、このガスは冷却装置により冷却することができ、あるいはコンベヤーの一部又は全体を冷却することができる。
本明細書における実施例以外、あるいは他に明確に特定されない限り、明細書の下記部分及び添付の特許請求の範囲における、材料の量、元素含有量、反応時間及び温度、量の比、並びにその他に対するものなどの数値範囲、量、値及びパーセンテージのすべては、用語「約」が、値、量又は範囲とともに明示的に表示され得ていなくとも、用語「約」が前置きされているかのように読んでもよい。よって、逆の表示がない限り、以下の詳述及び添付の特許請求の範囲におけるような数値パラメーターは、本発明による実現が求められる所望の特性に応じて変動し得る近似である。最低限でも、そして特許請求の範囲への同等物の原則の適用を限定する試行としてではなく、少なくとも各数値パラメーターは、報告された有効数字の数を考慮して、そして通常のまるめ方を適用することによって解釈されなければならない。
本発明の広範囲で示す数値的範囲及びパラメーターは、近似値であるが、具体例に記載の数値は可能な限り正確に報告する。しかしながら、いずれの数値もその基本的な個々の試験測定値において見られる標準偏差から必然的に生じる誤差を本質的に含む。更に、数値範囲が本明細書で記述される場合、これらの範囲は列挙された範囲終点を含む(例えば、終点を使用してもよい)。重量%が本明細書で用いられる場合、報告された数値は、総重量に対するものである。
また、本明細書に記載される任意の数値範囲は、そこに包含されるすべての部分的な範囲を含むことを意図することが理解されよう。例えば、「1から10」の範囲は、列挙された1の最小値と列挙された10の最大値の間(及びこれらを含む)の、すなわち、1以上の最小値及び10以下の最大値を有する、すべてのサブ範囲を含むことが意図される。「1つ(one、a、an)」という用語は、本明細書では、別記されない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を含むことが意図される。
引用によって全体又は一部が本明細書に組み込まれるとされる任意の特許、公開又は他の開示資料は、組み込まれる資料が、この開示に記載されている既存の定義、記述、又は他の開示資料と矛盾しない程度にのみ、本明細書に組み込まれる。本明細書に明確に説明された開示は、このように及び必要な程度まで、本明細書に参照により組み込まれた任意の対立する資料に優先する。本明細書に参照により組み込むと述べた、ただし、本明細書に記載した既存の定義、記述、又は他の開示資料と矛盾する、あらゆる資料又はその一部は、組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込むものとする。
この発明について、その好ましい実施形態を参照して、具体的に示し、記載してきたが、当業者であれば、形態及び細部におけるさまざまな変更が、その中で、添付の特許請求の範囲により含まれる発明の範囲から逸脱せずに可能であることが理解されるであろう。

Claims (68)

  1. 複数のバイオマス部分に照射し、各部分をある線量で照射すること、及び
    各部分に由来するESR応答を測定し応答対線量の曲線を作成することを含む方法。
  2. 前記測定された応答が、全積分応答である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記曲線が多項式である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記多項式が三次多項式である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記多項式が少なくとも0.9の値の相関係数を有する、請求項3に記載の方法。
  6. 前記相関係数が少なくとも0.92の値を有する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記相関係数が少なくとも0.93の値を有する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記相関係数が少なくとも0.94の値を有する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記相関係数が少なくとも0.95の値を有する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記相関係数が少なくとも0.96の値を有する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記相関係数が少なくとも0.97の値を有する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記相関係数が少なくとも0.98の値を有する、請求項11に記載の方法。
  13. 前記相関係数が少なくとも0.99の値を有する、請求項12に記載の方法。
  14. バイオマス試料に照射し、前記応答対線量の曲線を比較して前記バイオマス試料が受けた線量を決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  15. 前記照射が電子ビームを用いて実施される、請求項1に記載の方法。
  16. 前記測定の前に、照射された少なくとも1つのバイオマス部分を−50℃未満の温度で所定の時間、保管することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  17. 前記温度が−60℃未満である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記温度が−70℃未満である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記温度が−80℃未満である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記測定が照射後12か月未満実施される、請求項1に記載の方法。
  21. 前記測定が照射後11か月未満実施される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記測定が照射後10か月未満実施される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記測定が照射後9か月未満実施される、請求項22に記載の方法。
  24. 前記測定が照射後8か月未満実施される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記測定が照射後7か月未満実施される、請求項24に記載の方法。
  26. 前記測定が照射後6か月未満実施される、請求項25に記載の方法。
  27. 前記測定が照射後5か月未満実施される、請求項26に記載の方法。
  28. 前記測定が照射後4か月未満実施される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記測定が照射後3か月未満実施される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記測定が照射後2か月未満実施される、請求項29に記載の方法。
  31. 前記測定が照射後1か月未満実施される、請求項30に記載の方法。
  32. 前記測定が照射後4週未満実施される、請求項31に記載の方法。
  33. 前記測定が照射後3週未満実施される、請求項32に記載の方法。
  34. 前記測定が照射後2週未満実施される、請求項33に記載の方法。
  35. 前記測定が照射後1週未満実施される、請求項34に記載の方法。
  36. 照射された少なくとも1つのバイオマス部分を50℃超の温度で所定の時間、加熱することを、更に含む、請求項1に記載の方法。
  37. 前記温度が60℃超である、請求項36に記載の方法。
  38. 前記温度が70℃超である、請求項37に記載の方法。
  39. 前記温度が80℃超である、請求項38に記載の方法。
  40. 前記温度が85℃超である、請求項39に記載の方法。
  41. 前記温度が90℃超である、請求項40に記載の方法。
  42. 前記温度95℃超である、請求項41に記載の方法。
  43. 前記温度が100℃超である、請求項42に記載の方法。
  44. 前記温度が105℃超である、請求項43に記載の方法。
  45. 各バイオマス部分が約0.1Mradから約100Mradの範囲の線量で照射される、請求項1に記載の方法。
  46. 前記線量が約1Mradから約60Mradの範囲である、請求項45に記載の方法。
  47. 前記線量が約1Mradから約50Mradの範囲である、請求項46に記載の方法。
  48. 前記線量が約2Mradから約40Mradの範囲である、請求項47に記載の方法。
  49. 各バイオマス部分は、約1Mradと最大線量の間の線量で照射され、前記最大線量が、前記応答について線量の増大に対してそれ以上増大しない場合の線量に由来する、請求項1に記載の方法。
  50. 前記バイオマスがリグノセルロース材料を含む、請求項1に記載の方法。
  51. 前記リグノセルロース材料が、コーンストーバー又はトウモロコシ穂軸などの農業廃棄物を含む、請求項50に記載の方法。
  52. 測定がESRチューブ内で行われる、請求項1に記載の方法。
  53. 前記ESRが、約5GHzから約100GHzの範囲の周波数で作動する、請求項52に記載の方法。
  54. 前記周波数が、約5GHzから約50GHzの範囲である、請求項53に記載の方法。
  55. 前記周波数が、約6GHzから約11GHzの範囲である、請求項54に記載の方法。
  56. 測定は、複数回のスキャンの実施を含み、前記複数回のスキャンによって、シグナル対雑音比を増大させる、請求項1に記載の方法。
  57. 前記スキャンの数が、2から256回のスキャンの範囲である、請求項56に記載の方法。
  58. 前記スキャンの数が、2から128回のスキャンの範囲である、請求項57に記載の方法。
  59. 前記スキャンの数が、4から64回のスキャンの範囲である、請求項58に記載の方法。
  60. 複数のバイオマス部分を照射し、各部分をある線量で照射すること、
    各部分に由来するESR応答を測定し、応答対線量の曲線を作成すること、及び
    前記曲線から決定されたおよその飽和線量でバルク試料を照射することを含む方法。
  61. 前記バルク試料が前記飽和線量の50パーセント以内で照射される、請求項60に記載の方法。
  62. 前記バルク試料が前記飽和線量の25パーセント以内で照射される、請求項60に記載の方法。
  63. 前記バルク試料が前記飽和線量の10パーセント以内で照射される、請求項60に記載の方法。
  64. 前記バルク試料の糖化を更に含む、請求項60に記載の方法。
  65. およその飽和線量でバルクバイオマスを糖化すること、前記飽和線量を複数のバイオマス部分の照射によって決定すること、各部分をある線量で照射すること、及び
    各部分に由来するESR応答を測定し、応答対線量の曲線を作成することを含む方法。
  66. 前記バルクバイオマスが前記飽和線量の50パーセント以内で照射される、請求項65に記載の方法。
  67. 前記バルクバイオマスが前記飽和線量の25パーセント以内で照射される、請求項65に記載の方法。
  68. 前記バルクバイオマスが前記飽和線量の10パーセント以内で照射される、請求項65に記載の方法。
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