[0007] 本発明の第1の態様により、第1の波長を有する第1のレーザビーム及び第2の波長を有する第2のレーザビームを放出するように構成されたレーザモジュールと、第1及び第2のレーザビームの光路を分離し、第1及び第2のレーザビームの光路を実質的に再結合するように構成されたビーム分離デバイスと、燃料ターゲットに入射するように第1及び第2のレーザビームを誘導するように構成されたビームデリバリシステムと、燃料ターゲットからの第1のレーザビームの反射が第1の偏光状態を有するように第1のレーザビームの偏光状態を調整し、燃料ターゲットからの第2のレーザビームの反射が第2の偏光状態を有するように第2のレーザビームの偏光状態を調整し、第1のレーザビームの反射及び第2のレーザビームの反射がレーザモジュールに向かって伝搬するのを実質的に阻止するように第1及び第2の偏光状態を有する放射を阻止する、ように構成された光学隔離装置と、を含む、リソグラフィツール用のレーザ放射源が提供される。
[0008] ビーム分離デバイスは有利なことに第1及び第2のレーザビームの分離光路を提供し、それにより第1及び第2のレーザビームを別々に処理することができる。例えば、第1及び/又は第2のレーザビームの偏光状態は第1及び/又は第2のレーザビームのもう一方とは無関係に調整することができる。追加的に又は代替的に、第1及び/又は第2のレーザビームの反射は第1及び/又は第2のレーザビームのもう一方とは無関係に阻止することができる。第1及び第2のレーザビームの独立処理を可能にすることは、有利なことに、第1及び第2のレーザビームの両方の反射がレーザモジュールに到達するのを実質的に防止するためにその反射を実質的に阻止することができる。第1及び第2のレーザビームの反射がレーザモジュールに到達するのを実質的に防止することは、有利なことに、反射レーザビームによってレーザモジュールに対して引き起こされる損傷を低減する。第1及び第2のレーザビームの反射がレーザモジュールに到達するのを防止することは、更に有利なことに、レーザ放射源が不安定な動作モードに入る可能性を低減する。
[0009] 光学隔離装置は第1のレーザビームの分離光路内に配置された第1の偏光アジャスタを含むことができ、第1の偏光アジャスタは第2のレーザビームとは無関係に第1のレーザビームの偏光状態を調整するように構成される。
[00010] 第1のレーザビームの偏光状態の独立調整は、有利なことに、その偏光状態が第1及び第2のレーザビームの光路の少なくとも一部分について第2のレーザビームの偏光状態と実質的に同じになるように第1のレーザビームの偏光状態を調整することができる。これにより第1及び第2のレーザビームの共通光路内に単一のポラライザを配置することができ、それにより第1及び第2のレーザビームの反射を実質的に阻止する。
[00011] 光学隔離装置は第2のレーザビームの光路内に配置された第2の偏光アジャスタを更に含むことができ、第2の偏光アジャスタは第2のレーザビームの偏光状態を調整するように構成される。
[00012] 第2の偏光アジャスタは、第2のレーザビームの分離光路内に配置することができ、第1のレーザビームとは無関係に第2のレーザビームの偏光状態を調整するように構成することができる。
[00013] 第1の偏光状態は第2の偏光状態と同じにすることができ、光学隔離装置は第1のレーザビームと第2のレーザビームの両方の光路内に位置決めされたポラライザを含むことができ、ポラライザは第1及び第2の偏光状態を有する放射を阻止するように構成される。
[00014] 光学隔離装置は、第1のレーザビームの光路内に位置決めされた第1のポラライザであって、第1の偏光状態を有する放射を阻止するように構成された第1のポラライザと、第2のレーザビームの光路内に位置決めされた第2のポラライザであって、第2の偏光状態を有する放射を阻止するように構成された第2のポラライザとを含むことができる。
[00015] 第1及び第2の偏光状態は互いに異なるものにすることができる。
[00016] 第1のポラライザは、第1のレーザビームの分離光路内に位置決めすることができ、第2のレーザビームの光路内に位置決めすることはできない。
[00017] 光学隔離装置は、第1及び/又は第2のレーザビーム内に位相差を引き起こすように構成された少なくとも1つの位相リターダを含むことができる。
[00018] 少なくとも1つの位相リターダは、実質的に直線の偏光状態を実質的に円形の偏光状態に変換し、実質的に円形の偏光状態を実質的に直線の偏光状態に変換するように構成することができる。
[00019] 位相リターダは反射型位相リターダを含むことができる。
[00020] 反射型位相リターダによって引き起こされる位相差は、反射型位相リターダに対する第1及び/又は第2のレーザビームの入射角の関数にすることができ、位相リターダは、反射型位相リターダに対する第1及び/又は第2のレーザビームの入射角を変更するために反射型位相リターダの向きを変更するように構成されたアクチュエータを更に含むことができる。
[00021] 本発明の第2の態様により、第1の波長を有する第1のレーザビームを放出するように構成された第1のシードレーザと、第1のレーザビームを増幅するように構成された第1のアンプと、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2のレーザビームを放出するように構成された第2のシードレーザと、第2のレーザビームを増幅するように構成された第2のアンプと、第1の増幅レーザビームと第2の増幅レーザビームの光路を実質的に結合するように構成されたビーム結合装置と、燃料ターゲットに入射するように第1及び第2の増幅レーザビームを誘導するように構成されたビームデリバリシステムと、を含む、リソグラフィツール用のレーザ放射源が提供される。
[00022] レーザ放射源は、第1のアンプとビーム結合装置との間の第1のレーザビームの光路内に配置された第1の光アイソレータを更に含むことができ、第1の光アイソレータは燃料ターゲットからの第1のレーザビームの反射が第1のアンプに向かって伝搬するのを実質的に阻止するように構成される。
[00023] レーザ放射源は、第2のアンプとビーム結合装置との間の第2のレーザビームの光路内に配置された第2の光アイソレータを更に含むことができ、第2の光アイソレータは燃料ターゲットからの第2のレーザビームの反射が第2のアンプに向かって伝搬するのを実質的に阻止するように構成される。
[00024] 本発明の第3の態様により、燃料ターゲットを提供するために燃料を放出し、燃料を誘導するように構成された燃料放出器と、第1及び第2のレーザビームで燃料ターゲットを照射するように構成された第1又は第2の態様によるレーザ放射源と、を含む放射源が提供される。
[00025] 燃料はスズを含むことができる。
[00026] 第1のレーザビームは、燃料ターゲットの形状を変更するように構成することができる。
[00027] 第2のレーザビームは、燃料ターゲットを励起して、EUV放射を放出するプラズマを形成するように構成することができる。
[00028] 本発明の第4の態様により、第3の態様による放射源と、放射源から放射ビームを受け取るように配置されたリソグラフィ装置と、を含むリソグラフィシステムであって、リソグラフィ装置が、放射源から受け取った放射ビームを調節するように構成された照明システムと、パターニングデバイスを支持するように構築された支持構造であって、パターニングデバイスが放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成できる、支持構造と、基板を保持するように構築された基板テーブルと、基板上にパターン付き放射ビームを投影するように構成された投影システムと、を含むリソグラフィシステムが提供される。
[00029] 本発明の第5の態様により、第1及び第2のレーザビームを提供する方法であって、第1の波長を有する第1のレーザビーム及び第2の波長を有する第2のレーザビームをレーザモジュールから放出することと、第1及び第2のレーザビームの光路を分離し、第1及び第2のレーザビームの光路を実質的に再結合することと、燃料ターゲットに入射するように第1及び第2のレーザビームを誘導することと、燃料ターゲットからの第1のレーザビームの反射が第1の偏光状態を有するように第1のレーザビームの偏光状態を調整することと、燃料ターゲットからの第2のレーザビームの反射が第2の偏光状態を有するように第2のレーザビームの偏光状態を調整することと、第1のレーザビームの反射及び第2のレーザビームの反射がレーザモジュールに向かって伝搬するのを実質的に阻止されるように第1及び第2の偏光状態を有する放射を阻止することと、を含む方法が提供される。
[00030] 第1のレーザビームの偏光状態を調整することは、第2のレーザビームとは無関係に第1のレーザビームの偏光状態を調整することを含むことができる。
[00031] 第2のレーザビームの偏光状態を調整することは、第1のレーザビームとは無関係に第2のレーザビームの偏光状態を調整することを含むことができる。
[00032] 第1の偏光状態は第2の偏光状態と同じにすることができる。
[00033] 第1のレーザビームの偏光状態を調整すること及び/又は第2のレーザビームの偏光状態を調整することは、第1及び/又は第2のレーザビーム内に位相差を引き起こすことを含むことができる。
[00034] 第1のレーザビームの偏光状態を調整すること及び/又は第2のレーザビームの偏光状態を調整することは、実質的に直線の偏光状態を実質的に円形の偏光状態に変換すること及び/又は実質的に円形の偏光状態を実質的に直線の偏光状態に変換することを含むことができる。
[00035] 上記又は以下の説明に記載されている1つ以上の態様又は特徴が1つ以上のその他の態様又は特徴と組み合わせることができることは認識されるであろう。
[00036] 他の態様により、レーザビームを放出するように構成されたレーザ装置と、燃料ターゲットに入射するようにレーザビームを誘導するように構成されたビームデリバリシステムと、を含み、レーザビームが燃料ターゲットに向かって伝搬する時にレーザビームの横位相を修正し、燃料ターゲットから反射して戻るレーザビームの一部分の横位相を更に修正するように構成された光学隔離装置を更に含み、横位相の修正及び更なる修正が相まって、反射レーザビーム部分がレーザ装置に再び入らないように反射レーザビーム部分をそらす反射レーザビーム部分の累積的横位相修正を提供する、リソグラフィツール用のレーザ放射源が提供される。
[00037] 累積的横位相修正によって引き起こされる反射レーザビーム部分は、アパーチャボディに入射するようにそらすことができる。累積的横位相修正によって引き起こされる反射レーザビーム部分は、レーザ装置の開口数の外側にそらすことができる。光学隔離装置は、2πラジアンに非ゼロの整数を掛けた横位相修正を適用するように構成可能な横位相を適用するように構成することができる螺旋位相板を含むことができる。
[00038] 次に、添付概略図面に関連して、例としてのみ、本発明の諸実施形態について説明する。
[00039] 図1は、本発明の一実施形態による放射源SOを含むリソグラフィシステムを示している。このリソグラフィシステムはリソグラフィ装置LAを更に含む。放射源SOは、極端紫外線(EUV)放射ビームBを発生するように構成され、従って、EUV放射源と呼ぶことができる。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTと、を含む。照明システムILは、パターニングデバイスMAに入射する前に放射ビームBを調節するように構成される。投影システムは、放射ビームB(ここではマスクMAによってパターン付与されている)を基板W上に投影するように構成される。基板Wは前に形成されたパターンを含むことができる。該当する場合、リソグラフィ装置はパターン付き放射ビームBを基板W上に前に形成されたパターンと位置合わせする。
[00040] EUV放射源SO、照明システムIL、及び投影システムPSはいずれも、外部環境から隔離できるように構築し配置することができる。大気圧より低い圧力のガス(例えば水素)をEUV放射源SO内に提供してもよい。照明システムIL及び/又は投影システムPS内には真空を提供してもよい。大気圧よりかなり低い圧力の少量のガス(例えば水素)を照明システムIL及び/又は投影システムPS内に提供してもよい。
[00041] 図1に示されているEUV放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)放射源と呼ぶことができるタイプのものである。レーザ放射源1は、燃料放出器3から提供される燃料内にレーザビーム2を介してエネルギーを堆積するように配置される。レーザビーム2は開始放射ビームと呼ぶことができる。燃料は例えば液体形式にすることができ、例えばスズ(Sn)などの金属又は合金にすることができる。以下の説明ではスズについて言及するが、任意の適切な燃料を使用することができる。燃料放出器3は、プラズマ形成領域4において燃料ターゲットを提供するために、燃料を放出し、その燃料をプラズマ形成領域4に誘導するように構成される。燃料放出器3は、プラズマ形成領域4に向かって軌道に沿って、例えば小滴の形でスズを誘導するように構成されたノズルを含むことができる。レーザビーム2はプラズマ形成領域4でスズに入射する。スズ内へのレーザエネルギーの堆積は、プラズマ形成領域4においてプラズマ7を形成するようにスズを励起する。EUV放射を含む放射は、プラズマのイオンの脱励起及び再結合中にプラズマ7から放出される。レーザ放射源1は、レーザビーム2がレーザパルスになるようにパルス構成で使用することができる。燃料が小滴として提供される場合、それぞれのレーザパルスはそれぞれの燃料小滴に誘導される可能性がある。
[00042] EUV放射は近法線入射放射コレクタ5(時にはより一般的に法線入射放射コレクタという)によって収集し合焦される。コレクタ5は、EUV放射(例えば13.5nmなどの所望の波長を有するEUV放射)を反射するように配置された多層構造を有することができる。コレクタ5は、2つの楕円焦点を有する楕円構成を有することができる。以下に述べるように、第1の焦点はプラズマ形成領域4にあり、第2の焦点は中間焦点6にある可能性がある。
[00043] レーザ放射源1は放射源SOから分離することができる。該当する場合、レーザビーム2は、ビームデリバリシステムの助けによりレーザ放射源1から放射源SOに移行することができる。レーザ放射源1とEUV放射源SOはまとめて放射システムと見なすことができる。
[00044] コレクタ5によって反射された放射は放射ビームBを形成する。放射ビームBはポイント6で合焦されてプラズマ形成領域4の像を形成し、これが照明システムIL用の仮想放射源として作用する。放射ビームBが合焦されたポイント6は中間焦点と呼ぶことができる。EUV放射源SOは、中間焦点6がEUV放射源SOの閉鎖構造9の開口部8又はその付近に位置するように配置される。
[00045] 放射ビームBは、EUV放射源SOから、放射ビームBを調節するように構成された照明システムIL内に移行する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を含むことができる。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は、所望の断面形状及び所望の角分布を有する放射ビームBを一緒に提供する。放射ビームBは照明システムILから出て、支持構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスMAは放射ビームを反射し、それにパターン付与する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又はそれらの代わりに、その他のミラー又はデバイスを含んでもよい。
[00046] パターニングデバイスMAから反射した後、パターン付き放射ビームBは投影システムPSに入る。投影システムは、基板テーブルWTによって保持された基板Wに放射ビームBを投影するように構成された複数のミラー13、14を含む。投影システムPSは、放射ビームに縮小係数を適用し、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャより小さいフィーチャを有する像を形成することができる。例えば4という縮小係数を適用することができる。投影システムPSは図1では2つのミラー13、14を有するが、投影システムは任意の数のミラーを含んでもよい。
[00047] 図2は、図1に示されている放射源に対する代替構成を有するレーザ生成プラズマ(LPP)EUV放射源SOを示している。EUV放射源SOは、プラズマ形成領域4に燃料を送り出すように構成された燃料放出器3を含む。燃料は例えばスズにすることができるが、任意の適切な燃料を使用してもよい。レーザ源1はレーザビーム2を放出する。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4において燃料に入射するように誘導される。ミラー30はレーザビーム2をプラズマ形成領域4に誘導するために使用される。レーザビーム2は燃料にエネルギーを送り出し、それにより燃料をEUV放射放出プラズマ7に変換する。
[00048] 放射コレクタ21は、いわゆる斜入射型コレクタにすることができ、EUV放射を収集し、中間焦点と呼ぶことができるポイント6でEUV放射を合焦させるように構成される。従って、放射放出プラズマ7の像は中間焦点6に形成される。放射源SOの閉鎖構造22は、中間焦点6又はその付近にある開口部23を含む。EUV放射は開口部23を通って(例えば、図1に概略的に示されている形式の)リソグラフィ装置の照明システムに移行する。
[00049] 放射コレクタ21は、複数の斜入射型リフレクタ24、25、及び26(例えば、概略的に描写されているもの)を有する入れ子型コレクタにすることができる。斜入射型リフレクタ24、25、及び26は光軸Oの周りに軸方向に対称的に配置することができる。例示されている放射コレクタ21は単に一例として示されており、その他の放射コレクタを使用してもよい。
[00050] 図1及び図2に示されているEUV放射源SOは、例示されていないコンポーネントを含むことができる。例えば、図1及び図2に示されているEUV放射源SO内に1つ以上の汚染物質トラップを含めることができる。汚染物質トラップは、プラズマ形成領域4から放出される可能性のあるデブリが放射コレクタ5、21を汚染するのを防止するように構成することができる。追加的に又は代替的に、放射源内にスペクトルフィルタを設けてもよい。スペクトルフィルタは、EUV放射については実質的に透過的である可能性があるが、赤外放射などのその他の波長の放射については実質的に阻止する可能性がある。
[00051] レーザビーム2からのエネルギーがEUV放射に変換される際の変換効率(CE)を改善するために、燃料は、主パルスレーザビームによって照射される前に、最初に前パルスレーザビームで照射することができる。例えば、主パルスプラズマ発生レーザビームが燃料に誘導される前に、そのサイズ及び/又は形状などの燃料の特性を変更するために、前パルスレーザビームを発生し、燃料に誘導することができる。主パルスは、例えば前パルスが燃料に入射してから約2μs後に燃料に入射することができる。前パルスレーザビーム及び主パルスレーザビームは、例えば約50kHzの繰り返し率を有することができる。前パルスレーザビーム及び主パルスレーザビームはどちらも同じレーザ放射源1から放出することができる。
[00052] 図3は、本発明の一実施形態によるレーザ放射源101を概略的に示している。レーザ放射源101はレーザモジュール103を含む。レーザモジュール103は、前パルスレーザビーム109を放出するように構成された前パルスシードレーザ105と、主パルスレーザビーム111を放出するように構成された主パルスシードレーザ107と、を含む。前パルスレーザビーム109及び主パルスレーザビーム111は異なる波長を有する。
[00053] 以下に更に説明するように、前パルスレーザビーム109及び主パルスレーザビーム111は、前パルス及び主パルスレーザビームの増幅を引き起こす1つ以上の利得媒体を通って伝搬することができる。前パルス及び主パルスレーザビームの波長は、例えば、前パルス及び主パルスレーザビームを増幅するために使用可能な利得媒体における異なる回転及び/又は振動エネルギー遷移に対応する可能性がある。例えば、一実施形態では、前パルス及び主パルスレーザビームは、CO2を含む利得媒体で増幅することができる。このような一実施形態では、前パルスレーザビームは約10.26μmの波長を有することができ、主パルスレーザビームは約10.59μmの波長を有することができる。
[00054] 前パルス及び主パルスレーザビームを共通の利得媒体で増幅し、同じ燃料ターゲットに入射するように前パルス及び主パルスレーザビームを誘導するために、ビームコンバイナ113を使用して前パルス及び主パルスレーザビームの光路が結合される。図3に示されている実施形態では、ミラー115はビームコンバイナ113に入射するように前パルスレーザビーム109を誘導するように配置される。ビームコンバイナ113は、主パルスレーザビーム111の波長を有する放射を実質的に透過し、前パルスレーザビーム109の波長を有する放射を実質的に反射するように構成されたダイクロイックミラーを含む。前パルスシードレーザ105、主パルスシードレーザ107、ミラー115、及びビームコンバイナ113の相対的な向きは、前パルス及び主パルスレーザビームが共通光路117に沿ってレーザモジュール103から伝搬するようになっている。
[00055] その他の実施形態では、図3に示されているものとは異なる光学コンポーネントの配置を使用して、前パルス及び主パルスレーザビームの光路を結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ビームコンバイナ113は、主パルスレーザビーム111の波長を有する放射を実質的に反射し、前パルスレーザビーム109の波長を有する放射を実質的に透過するように構成されたダイクロイックミラーを含むことができる。
[00056] 前パルス及び主パルスレーザビームの共通光路117は、プリアンプ119、光アイソレータ121、増幅ステージ123、ビーム分離装置125、及びビームデリバリシステム127を通過する。ビームデリバリシステム127は、燃料ターゲット129に入射するように前パルス及び主パルスレーザビームを誘導するように構成される。ビームデリバリシステム127は、例えば、前パルス及び主パルスレーザビームを燃料ターゲット129上に誘導して合焦させるように構成された1つ以上の光学コンポーネント(例えばミラー及び/又はレンズ)を含むことができる。燃料ターゲット129は、例えば、プラズマ形成領域7(例えば、図1及び図2に示されているプラズマ形成領域4)において燃料(例えばスズ)の小滴を含むことができる。
[00057] プリアンプ119及び増幅ステージ123はそれぞれ少なくとも1つの利得媒体を含む。プリアンプ119及び増幅ステージ123の利得媒体はそれぞれ、前パルス及び主パルスレーザビームが利得を経験するように利得媒体内に反転分布の状態を引き起こすために汲み上げられる。プリアンプ119及び/又は増幅ステージ123を形成する利得媒体は例えばガスを含むことができる。一実施形態では、このガスはCO2を含むことができる。いくつかの実施形態では、利得媒体を形成するガスは、例えばヘリウム及び/又は窒素を含んでもよい。利得媒体は放電によって汲み上げることができる。例えば、ガスを含む利得媒体は無線周波(RF)電源によって汲み上げることができる。
[00058] いくつかの実施形態では、増幅ステージは、それぞれが汲み上げられた利得媒体を含む、複数の増幅チャンバを含む。増幅チャンバ内の使用可能利得は異なる増幅チャンバでは異なる可能性がある。例えば、増幅チャンバを通って伝搬するレーザビームによってそれぞれの増幅チャンバ内で経験する利得は、レーザビームがレーザモジュール103から燃料ターゲット129に向かって伝搬するにつれて増加する可能性がある。
[00059] 上記のように、レーザモジュール103は、燃料ターゲット129に入射するように増幅され誘導された前パルスレーザビーム109及び主パルスレーザビーム111のパルスを放出するように構成される。典型的に、前パルスレーザビーム109のパルスは、主パルスレーザビーム111の対応するパルスの放出前に放出される。例えば、前パルスレーザビーム109のパルスは、主パルスレーザビーム111のパルスの放出の約2μs前に放出することができる。前パルス及び主パルスレーザビームのパルスは、例えば、レーザビームが入射する燃料ターゲット129を提供するためにプラズマ形成位置4におけるパルスの到着がプラズマ形成位置7における燃料小滴の到着と一致するような周波数及び位相で放出することができる。
[00060] 前パルスレーザビーム109のパルスは、主パルスレーザビーム111のパルスによる照射のために燃料ターゲット129を用意するために、そのサイズ及び/又は形状などの燃料ターゲット129の特性を変更することができる。燃料ターゲット129に入射する主パルスレーザビーム111は、燃料ターゲット129に入射する前パルスレーザビーム109より高いパワーを有することができる。例えば、前パルスレーザビーム109は約3〜5kWのパワーで燃料ターゲット129に入射するのに対し、主パルスレーザビーム111は約25kWのパワーで燃料ターゲット129に入射することができる。前パルスレーザビームと主パルスレーザビームとのパワーの差は、前パルスシードレーザ105及び主パルスシードレーザ107が異なるパワーを有するビームを放出した結果による可能性がある。追加的に、前パルス及び主パルスレーザビームの波長が異なることにより、ビームがプリアンプ119及び/又は増幅ステージ123において異なる利得を経験し、それにより前パルス及び主パルスレーザビームの異なる増幅が得られる可能性がある。燃料ターゲット129に入射する主パルスレーザビーム111のパワーは、燃料ターゲット129を励起してEUV放射放出プラズマを形成するのに十分なものである。
[00061] 燃料ターゲット129は、前パルスレーザビーム109の一部分及び主パルスレーザビーム111の一部分を反射することができる。例えば、燃料ターゲット129は約0.1%〜1%の反射率を有することができる。燃料ターゲット129からの前パルス及び主パルスレーザビームの反射は、レーザ放射源101を通り、前パルス及び主パルスレーザビームが前パルスシードレーザ105及び主パルスシードレーザ107から燃料ターゲット129に伝搬する際と同じ光路に沿って伝搬して戻る。従って、燃料ターゲット129からの反射は、前パルスシードレーザ105又は主パルスシードレーザ107に再び入る前に増幅ステージ及び/又はプリアンプ119において増幅することができる。レーザモジュール103に向かって伝搬して戻る燃料ターゲット129からの反射により、レーザ放射源103において1つ以上の望ましくない効果が発生する可能性がある。
[00062] 例えば、前パルスシードレーザ105又は主パルスシードレーザ107に再び入ることが可能な反射パルスは、前パルスシードレーザ105又は主パルスシードレーザ107に対する損傷を引き起こす可能性があるか及び/又は前パルスシードレーザ105又は主パルスシードレーザ107の不安定な動作をもたらす可能性がある。
[00063] 追加的に又は代替的に、プリアンプ119による前パルスレーザビーム109又は主パルスレーザビーム111の反射の伝搬は、利得の剥奪と呼ぶことができる効果によりプリアンプ119において使用可能利得を一時的に低減する可能性がある。レーザ放射パルスが利得媒体を通って伝搬する場合、利得媒体からのエネルギーはレーザ放射パルスを増幅するために使用される。従って、利得媒体によって蓄えられるエネルギーは利得媒体を通って伝搬するレーザパルスによって低減される。利得媒体の使用可能利得は利得媒体によって蓄えられるエネルギーに関連するものであり、従って、利得媒体を通って伝搬するレーザ放射パルスは利得媒体の使用可能利得を一時的に低減する働きをする。レーザ放射パルスが利得媒体を通過した後、使用可能利得は(例えば放電による)利得媒体の汲み上げによりもう一度増加する。しかしながら、利得の増加は瞬間的なものではなく、従って、その間に使用可能利得が低減される利得媒体を通るレーザ放射パルスの伝搬後に一定の期間が存在する。
[00064] プリアンプ119における利得の剥奪は、例えば、主パルスレーザビーム111及び/又は前パルスレーザビーム109のその後のパルスにとって使用可能な利得を低減する可能性がある。例えば、前パルスレーザビーム109のパルスの反射は、主パルスレーザビーム111の対応するパルスの放出前にプリアンプ119を通って戻る可能性があり、主パルスレーザビーム111の対応するパルスにとって使用可能な利得を低減するプリアンプ119における利得の剥奪を引き起こす可能性がある。従って、プリアンプ119における主パルスレーザビーム111の増幅は、燃料ターゲット129に入射する主パルスレーザビーム111のパワーが低減されるように低減される可能性がある。燃料ターゲットに入射する主パルスレーザビーム111のパワーの低減は不利なことに、燃料ターゲット内に堆積されるエネルギーの量を低減し、それにより燃料から放出されるEUV放射の量を低減することになる。従って、燃料ターゲット129に入射する主パルスレーザビーム111のパワーを増加するために、前パルスレーザビーム109の反射がプリアンプ119を通って伝搬するのを実質的に防止することが望ましい。
[00065] 燃料ターゲット129内に堆積されるエネルギーの量の低減は、放射源SOの不安定な動作ももたらす可能性がある。例えば、燃料ターゲット129内に堆積されるエネルギーの量の低減は、燃料によって生成されるデブリの量を増加する可能性がある(放射放出プラズマに変換される燃料がより少なくなるため)。燃料によって生成されるデブリの量の増加は、プラズマ形成領域4に誘導されるその後の燃料小滴の軌道に影響を及ぼす可能性がある(デブリと燃料小滴との衝突による)。その後の燃料小滴の軌道の変化は、前パルスレーザビーム109のパルスが燃料小滴に入射する時にその後の燃料小滴の位置及び/又は向きに影響を及ぼす可能性がある。次に、これは、燃料小滴から反射される前パルスレーザビーム109の一部分に影響を及ぼす可能性があり、その結果、プリアンプ119を通って伝搬する前パルスレーザビーム109の反射のパワーに影響を及ぼす可能性がある。プリアンプ119を通って伝搬する反射した前パルスレーザビーム109のパワーは、プリアンプ内の使用可能利得が利得の剥奪により低減される量に影響を及ぼし、次にこれが、主パルスレーザビーム111のその後のパルスがプリアンプ119において増幅される量に影響を及ぼす。
[00066] 従って、プリアンプ119を通る前パルスレーザビーム109の反射の伝搬によりプリアンプ119において発生する可能性のある利得の剥奪は、レーザ放射源101の不安定な動作をもたらす可能性のあるレーザ放射源101のいくつかの特性に影響を及ぼす可能性がある。即ち、燃料ターゲット129に入射する主パルスレーザビーム111のパルスのパワーは、異なるパルスでは異なる可能性がある。レーザ放射源101の不安定な動作は不利なことに、レーザ放射源101によって駆動されるEUV放射源SOの不安定な動作をもたらす可能性がある。従って、レーザ放射源101の不安定な動作を防止するために、前パルスレーザビーム109の反射がプリアンプ119を通って伝搬するのを実質的に防止することが望ましい。
[00067] 前パルスレーザビーム109の反射及び/又は主パルスレーザビーム111の反射がプリアンプ119を通って伝搬するのを実質的に防止するために、前パルス及び主パルスレーザビームの共通光路117内に光アイソレータ121が位置決めされる。光アイソレータ121は、前パルス及び主パルスレーザビームが燃料ターゲット129に向かって伝搬するのを可能にしながら、前パルスレーザビーム109及び/又は主パルスレーザビーム111の反射がプリアンプ119及びレーザモジュール103に向かって伝搬するのを実質的に阻止するように構成される。
[00068] 図3に示されている実施形態では、光アイソレータ121はポラライザ131と位相リターダ133とを含む。ポラライザ131は所与の直線偏光状態を有する放射のみを透過するように構成される。レーザモジュール103から受け取られた前パルス及び主パルスレーザビームは直線偏光され、ポラライザ131によって透過される所与の偏光状態を有することができる。従って、ポラライザ131は、前パルス及び主パルスレーザビームがレーザモジュール103から燃料ターゲット129に向かって伝搬する時にそれらのレーザビームを実質的に透過することができる。
[00069] 位相リターダ133は、前パルス及び主パルスレーザビームの両方の垂直偏光成分同士の間に位相差を引き起こすように構成される。例えば、一実施形態では、位相リターダ133は、この位相リターダが直線偏光放射を円偏光放射に変換し、逆もまた同様に変換するように、前パルス及び主パルスレーザビームの垂直偏光成分同士の間に位相差を引き起こすように構成することができる。
[00070] 一実施形態では、位相リターダ133は、例えば多層ミラーを含む可能性のある反射型位相リターダを含むことができる。反射型位相リターダは、反射型位相リターダの入射面が前パルス及び主パルスレーザビームの偏光面と約45°の角度を形成するように、前パルス及び主パルスレーザビームの共通光路117に対して配向することができる。従って、反射型位相リターダに入射する前パルス及び主パルスレーザビームは、ほぼ等しい大きさのs偏光成分及びp偏光成分を含む。反射型位相リターダは、反射型位相リターダに入射するs偏光成分とp偏光成分との間に約90°の位相差を引き起こすように構成することができる。このような一実施形態では、前パルス及び主パルスレーザビームの直線偏光状態は位相リターダ133によって実質的に円形の偏光状態に変換される。
[00071] 位相リターダ133が反射型位相リターダを含む実施形態では、前パルス及び主パルスレーザビームの伝搬方向は反射型位相リターダからの反射によって変更される。このような実施形態では、位相リターダ133は、前パルス及び主パルスレーザビームが所望の光路に沿って(例えば増幅ステージ123に向かって)伝搬するようにこれらのレーザビームを方向転換するために配置された1つ以上の更なる反射素子を含むことができる。
[00072] その他の実施形態では、位相リターダ133は透過波長板を含んでもよい。例えば、位相リターダ133は4分の1波長板を含むことができる。一実施形態では、4分の1波長板は、この4分の1波長板が前パルス及び主パルスレーザビームの直線偏光状態を実質的に円形の偏光状態に変換するように4分の1波長板の光学軸が前パルス及び主パルスレーザビームの偏光面と約45°の角度を形成するように配置することができる。
[00073] 位相リターダ133のいくつかの実施形態は、前パルス及び主パルスレーザビームの垂直偏光成分同士の間に位相差をもたらすことにより、前パルス及び主パルスレーザビームの偏光状態を調整するように構成された複数の光学素子を含むことができる。一般に、位相リターダは、前パルス及び主パルスレーザビームの垂直偏光成分同士の間に位相差をもたらすように構成された任意の光学素子又は複数光学素子の組み合わせを含むことができる。
[00074] いくつかの実施形態では、位相リターダ133は、位相リターダ133から燃料ターゲット129に向かって伝搬する前パルス及び主パルスレーザビームがそれぞれほぼ円形に偏光されるように前パルス及び主パルスレーザビームの直線偏光状態をほぼ円偏光状態に変換するように構成される。円偏光状態は、電界ベクトルが時間につれて回転する方向を表す左右像を有する。例えば、円偏光レーザビームは、右回りの円偏光状態(レーザビームの伝搬方向に沿って見た時に電界ベクトルの時計回りの回転に対応する)又は左回りの円偏光状態(レーザビームの伝搬方向に沿って見た時に電界ベクトルの反時計回りの回転に対応する)を有することができる。
[00075] レーザビームの円偏光状態の左右像は、レーザビームがほぼ法線入射で入射する表面からのレーザビームの反射によって逆転される可能性がある。即ち、ほぼ法線入射で反射された右回りの円偏光状態を有するレーザビームは左回りの円偏光状態を有する反射レーザビームになり、逆もまた同様になる。
[00076] 上記のように、前パルス及び主パルスレーザビームの両方は法線入射の近くで燃料ターゲット129からの反射を受ける。従って、前パルス及び主パルスレーザビームの偏光状態の左右像は、燃料ターゲットからの反射中に逆転される。従って、燃料ターゲットからの前パルス及び主パルスレーザビームの反射は、燃料ターゲットに入射する前パルス及び主パルスレーザビームの円偏光状態に対して反対の左右像のほぼ円偏光状態を有する。
[00077] 前パルス及び主パルスレーザビームの反射は、それらが光アイソレータ121に入射するように共通光路117の逆に沿って伝搬して戻る。光アイソレータ121の位相リターダ133は、前パルス及び主パルスレーザビームの反射の垂直偏光成分同士の間に位相差をもたらす。位相リターダ133によって前パルス及び主パルスレーザビームの反射にもたらされる位相差は、前パルス及び主パルスレーザビームが燃料ターゲットに向かって伝搬している時にそれらにもたらされた位相差と同じである。
[00078] 上記のように、位相リターダに入射する前パルス及び主パルスレーザビームの反射は、燃料ターゲット129に向かって伝搬する前パルス及び主パルスレーザビームに対して反対の左右像を有し、ほぼ円形に偏光される。反射された前パルス及び主パルスレーザビームのほぼ円偏光状態は位相リターダ133によってほぼ直線偏光状態に変換される。しかしながら、反射された前パルス及び主パルスレーザビームは燃料ターゲット129に向かって伝搬する前パルス及び主パルスレーザビームの円偏光状態に対して反対の左右像のほぼ円偏光状態を有するので、位相リターダ133から出力される反射された前パルス及び主パルスレーザビームの直線偏光状態は、燃料ターゲット129に向かって伝搬する前パルス及び主パルスレーザビームの直線偏光状態に対してほぼ直交する。
[00079] 上記のように、ポラライザ131は、レーザモジュール103から出力された前パルス及び主パルスレーザビームの直線偏光状態を有する放射を透過するように配置される。ポラライザ131に入射する反射された前パルス及び主パルスレーザビームが、燃料ターゲット129に向かってポラライザ131によって透過された前パルス及び主パルスレーザビームの直線偏光状態に対してほぼ直交する直線偏光状態を有する場合、反射された前パルス及び主パルスレーザビームはポラライザ131によって阻止され、それにより前パルス及び主パルスレーザビームの反射がプリアンプ119及びレーザモジュール103に向かって伝搬するのを防止する。
[00080] ポラライザ131に入射する反射された前パルスレーザビーム及び反射された主パルスレーザビームがどちらもポラライザ131によって透過される偏光状態に対して直交する同じ直線偏光状態を有する場合、反射された前パルスレーザビーム及び主パルスレーザビームはどちらもポラライザ131によって阻止されることは上記の説明から認識されるであろう。
[00081] しかしながら、上述のように、前パルス及び主パルスレーザビームは異なる波長を有する。前パルス及び主パルスレーザビームの波長が異なることにより、2つのビームはレーザモジュール103から燃料ターゲット129に移行し、もう一度戻る間に異なる偏光変化を受ける可能性がある。例えば、位相リターダ133によって前パルスレーザビーム109にもたらされる位相差は、主パルスレーザビーム111にもたらされる位相差とはわずかに異なる可能性がある。前パルスレーザビーム109及び主パルスレーザビーム111がレーザ放射システム101全体を通して同じ光路を辿る場合、前パルス及び主パルスレーザビームが経験する偏光変化のこの違いにより、前パルス及び主パルスレーザビームの反射は異なる偏光状態でポラライザ131に入射することになるであろう。ポラライザ131に入射する前パルス及び主パルスレーザビームの反射が異なる偏光状態を有する場合、それらの反射の一方又は両方の少なくとも一部分は望ましくないことにポラライザ131によって透過されることになる。
[00082] ポラライザ131を通る前パルス又は主パルスレーザビームの反射の透過を低減するために、レーザ放射源101にはビーム分離装置125が設けられる。ビーム分離装置125は、前パルス及び主パルスレーザビームの光路を分離し、前パルス及び主パルスレーザビームの光路を再結合するように構成される。従って、ビーム分離装置125は前パルス及び主パルスレーザビームの光路の分離された一部分を提供し、これにより前パルス及び主パルスレーザビームの独立調整を可能にすることができる。
[00083] 図3に描写されている実施形態では、ビーム分離装置125は第1のダイクロイックミラー135aと第2のダイクロイックミラー135bとを含む。ダイクロイックミラー135a、135bはそれぞれ、前パルスレーザビーム109の波長を有する放射を実質的に反射し、主パルスレーザビーム111の波長を有する放射を実質的に透過するように構成される。第1のダイクロイックミラー135aは、前パルス及び主パルスレーザビームの光路を分離するために前パルスレーザビーム109を主パルスレーザビーム111の光路から離して反射するように配置される。第2のダイクロイックミラー135bは、前パルス及び主パルスレーザビームの光路を再結合するように配置される。ビーム分離装置は、第1のダイクロイックミラー135aと第2のダイクロイックミラー135bとの間に前パルスレーザビーム109を誘導するように配置された2つのミラー137a及び137bを更に含む。
[00084] その他の実施形態では、ビーム分離装置は他の形を取ることができる。例えば、代替の一実施形態では、ダイクロイックミラー135a、135bは、前パルスレーザビーム109の波長を有する放射を実質的に透過し、主パルスレーザビーム111の波長を有する放射を実質的に反射するように構成してもよい。一般に、ビーム分離装置は、前パルス及び主パルスレーザビームの光路を分離し、前パルス及び主パルスレーザビームの光路を再結合するように構成された装置を含むことができる。
[00085] ビーム分離装置125は、前パルス及び主パルスレーザビームの光路の分離された一部分を提供する。図3の実施形態では、第1の偏光アジャスタ139は前パルスレーザビーム109の分離光路内に設けられ、第2の偏光アジャスタ141は主パルスレーザビーム111の分離光路内に設けられる。第1及び第2の偏光アジャスタ139、141は、前パルス及び主パルスレーザビームの偏光状態を互いに独立して調整するように構成される。例えば、第1及び第2の偏光アジャスタ139、141は、前パルス及び主パルスレーザビームに対して異なる位相差をもたらすように構成することができる。
[00086] 図3に示されている実施形態では、第1及び第2の偏光アジャスタ139、141は、ポラライザ131に入射する前パルス及び主パルスレーザビームの反射が実質的に同じ直線偏光状態を有するように前パルス及び主パルスレーザビームの偏光状態を独立して調整するように構成することができる。特に、第1及び第2の偏光アジャスタは、ポラライザ131に入射する前パルス及び主パルスレーザビームの反射がポラライザ131によって透過される偏光状態に対して直交する直線偏光状態を有するように前パルス及び主パルスレーザビームの偏光状態を独立して調整するように構成することができる。このような一実施形態では、ポラライザ131は、前パルス及び主パルスレーザビームの両方の反射がプリアンプ119及びレーザモジュール103に向かって伝搬するのを実質的に阻止する。
[00087] 第1及び第2の偏光アジャスタ139、141の一方又は両方は透過波長板を含むことができる。例えば、第1及び/又は第2の偏光アジャスタ139、141は、前パルス又は主パルスレーザビームに位相差をもたらすように構成された2分の1波長板を含むことができる。2分の1波長板によって引き起こされる位相差は2分の1波長板の回転によって調整することができる。2分の1波長板は、前パルス又は主パルスレーザビームにおいて所望の位相差を引き起こすように配向することができる。
[00088] 図3に示されている実施形態では、前パルス及び主パルスレーザビームの両方の偏光状態は第1及び第2の偏光アジャスタ139、141により独立して調整される。しかしながら、いくつかの実施形態では、前パルス又は主パルスレーザビームのうちの一方のみの偏光状態が偏光アジャスタにより独立して調整される場合もある。
[00089] 例えば、一実施形態では、位相リターダ133は、主パルスレーザビームの直線偏光状態を実質的に円形の偏光状態に変換するために主パルスレーザビーム111に90°の位相差をもたらすように構成することができる。上記で説明したように、主パルスレーザビーム111の円偏光状態の左右像は、主パルスレーザビーム111の反射が燃料ターゲット129に向かって伝搬する主パルスレーザビーム111の偏光状態に対して反対の左右像の実質的に円形の偏光状態を有するように燃料ターゲットからの反射によって逆転される。主パルスレーザビーム111の反射は、その反射の円偏光状態をポラライザ131によって透過される主パルスレーザビーム111の直線偏光状態に対して垂直な直線偏光状態に変換する位相リターダ133において位相差を受ける。従って、主パルスレーザビーム111の反射はポラライザ131によってプリアンプ119に向かって伝搬するのを実質的に阻止される。従って、このような一実施形態では、ポラライザ131において主パルスレーザビーム111の反射を阻止するために主パルスレーザビーム111の偏光状態に対して更なる調整を行う必要がないので、第2の偏光アジャスタ141は廃棄することができる。
[00090] しかしながら、前パルスレーザビーム109は主パルスレーザビーム111に対して異なる波長を有するので、位相リターダ133によって前パルスレーザビーム109にもたらされる位相差は90°に対して異なるものになる可能性がある。例えば、位相リターダ133によって前パルスレーザビーム109にもたらされる位相差は、前パルスレーザビーム109の直線偏光状態が楕円偏光状態に変換されるようなものにすることができる。前パルスレーザビーム109が燃料ターゲット129へのその光路上で更なる位相差を受けない場合、前パルスレーザビーム109の反射は燃料ターゲット129に向かって伝搬する前パルスレーザビーム109の楕円偏光状態に対して反対の左右像の楕円偏光状態を有することになるであろう。前パルスレーザビーム109の反射の楕円偏光状態は位相リターダ133において直線偏光状態に変換されるであろう。しかしながら、ポラライザ131に入射する前パルスレーザビーム109の反射の直線偏光状態はポラライザ131によって透過される直線偏光状態に対して垂直にはならないであろう。従って、ポラライザ131に入射する前パルスレーザビーム109の反射は、ポラライザ131によって透過され、従ってプリアンプ119に入り、レーザモジュール103に向かって伝搬する可能性のある成分を含むであろう。
[00091] ポラライザ131における前パルスレーザビーム109の反射の透過を低減するために、(主パルスレーザビーム111とは無関係に)第1の偏光アジャスタ139により前パルスレーザビーム109に更なる位相差をもたらすことができる。第1の偏光アジャスタ139によってもたらされる位相差は、位相リターダ133において主パルス及び前パルスレーザビームにもたらされる位相差の差を補償することができる。例えば、第1の偏光アジャスタ139によって前パルスレーザビーム109にもたらされる位相差は前パルスレーザビーム109の偏光状態を楕円偏光状態から円偏光状態に変換するのに十分である可能性がある。前パルスレーザビーム109の偏光状態を円偏光状態に変換すると、その結果、ポラライザ131によって透過される直線偏光状態に対して直交する直線偏光状態を有するポラライザ131に入射する前パルスレーザビーム109の反射が得られる可能性がある。従って、ポラライザ131は、前パルスレーザビームの反射がプリアンプ119及びレーザモジュール103に向かって伝搬するのを実質的に阻止することができる。
[00092] 代替の一実施形態では、位相リターダ133は、前パルスレーザビーム109の偏光状態を実質的に円形の偏光状態に変換するように構成することができる。従って、このような一実施形態では、ポラライザ131において前パルスレーザビーム109の反射を阻止するために前パルスレーザビーム109の偏光状態に対して更なる調整を行う必要がないので、第1の偏光アジャスタ139は廃棄することができる。このような一実施形態では、位相リターダ133は、主パルスレーザビーム111の偏光状態を楕円偏光状態に変換することができる。ポラライザ131において主パルスレーザビーム111の反射の透過を低減するために、第2の偏光アジャスタ141は、ポラライザ131に入射する主パルスレーザビーム111の反射がポラライザ131によって透過される偏光状態に対して実質的に垂直な偏光状態を有するようにするために主パルスレーザビーム111に追加の位相差をもたらすように構成することができる。
[00093] 前パルスレーザビーム109及び主パルスレーザビーム111のうちの一方の偏光状態のみがもう一方のレーザビームとは無関係に調整される諸実施形態について上記で説明してきたが、その他の実施形態では、図3に示されている第1及び第2の偏光アジャスタ139、141を使用して前パルス及び主パルスレーザビームの両方の偏光状態を独立して調整してもよい。例えば、レーザビームの光路に沿って発生する前パルス及び主パルスレーザビームの偏光状態の変更を補償するために前パルス及び主パルスレーザビームの両方の偏光状態を調整できることは有利である可能性がある。例えば、ビームデリバリシステム127を通る前パルス及び主パルスレーザビームの伝搬中に、前パルス及び主パルスレーザビームは、(例えば、位相差を引き起こすことにより)前パルス及び主パルスレーザビームの偏光状態を変更する1つ以上の反射を受ける可能性がある。前パルス及び主パルスレーザビームの偏光状態のこのような変更は、第1及び第2の偏光アジャスタにより前パルス及び主パルスレーザビームの偏光状態を独立して調整することにより補償することができる。
[00094] 代替の一実施形態では、レーザ放射源101は、前パルス及び主パルスレーザビームの共通光路117内に位置決めされ、前パルス及び主パルスレーザビームの両方の偏光状態を調整するように構成された偏光アジャスタを含むことができる。前パルス及び主パルスレーザビームの共通光路117内に位置決めされた偏光アジャスタは、例えば、前パルス及び主パルスレーザビームの波長が異なるために前パルス及び主パルスレーザビームにおいて異なる偏光調整を引き起こすことができる。前パルス及び主パルスレーザビームの偏光調整の違いを補償するために、前パルスレーザビーム及び/又は主パルスレーザビームの偏光状態をもう一方のレーザビームとは無関係に調整できるように、ビーム分離装置内の前パルス又は主パルスレーザビームの分離光路内に1つ以上の更なる偏光アジャスタを位置決めしてもよい。
[00095] 前パルス及び/又は主パルスレーザビームの偏光状態に対する独立調整を可能にすることに関連してビーム分離デバイス125について上記で説明してきたが、ビーム分離デバイス125はその他の機能を果たしてもよい。例えば、ビーム分離デバイス125は、前パルス及び/又は主パルスレーザビームの位置、伝搬方向、及び/又は分岐を独立して調整できるようにしてもよい。上述のように、前パルス及び主パルスレーザビームのパルスは異なる機能を果たし、異なる時期に燃料ターゲット129に入射する。このため、それぞれの所望の機能を果たすようにレーザビームを調節するために前パルス及び/又は主パルスレーザビームの1つ以上の特性を独立して調整することが望ましい可能性がある。
[00096] 前パルス及び/又は主パルスレーザビームの1つ以上の特性が独立して調整される諸実施形態では、前パルス及び主パルスレーザビームの光路はビーム分離デバイス125によって正確に再結合されない可能性がある。即ち、ビームデリバリ装置127を通って燃料ターゲット129までの前パルス及び主パルスレーザビームの光路は正確に同じではない可能性があり、前パルス及び主パルスレーザビームが燃料ターゲット129に入射する位置は正確に同じではない可能性がある。しかしながら、ビーム分離デバイス125は、共通の光学コンポーネントを使用して前パルス及び主パルスレーザビームの両方を誘導又は調整できるように前パルス及び主パルスレーザビームの光路を実質的に再結合するものと見なすことができる。前パルスレーザビーム109及び/又は主パルスレーザビーム111の偏光状態を調整するように構成された少なくとも1つの偏光アジャスタを含むレーザ放射源の諸実施形態について上記で説明してきた。上記のように、偏光アジャスタは例えば波長板(例えば2分の1波長板)を含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、偏光アジャスタは他の形を取ることができ、前パルスレーザビーム109及び/又は主パルスレーザビーム111の偏光状態を調整するように構成された任意の光学素子又は複数光学素子の組み合わせを含むことができる。
[00097] 図4は、偏光アジャスタ150の一実施形態の概略図である。偏光アジャスタ150は、レーザビーム153を反射するように配置された4つのミラー151a〜151dを含む。第1のミラー151aは、入力レーザビーム153’を受け取り、第2のミラー151bに入射するようにレーザビームを反射する。第2のミラー151bは、第3のミラー151cに入射するようにレーザビームを反射する。第3のミラー151cは、第4のミラー151dに入射するようにレーザビームを反射する。第4のミラー151dは、出力レーザビーム153”を提供するようにレーザビームを反射する。図4に示されている実施形態では、ミラー151a〜151dは、出力レーザビーム153”が入力レーザビーム153’とほぼ同一線上になるように配置される。従って、偏光アジャスタ150はレーザビーム153の伝搬方向を実質的に変更しない。
[00098] ミラー151a〜151dのうちの少なくとも1つは反射型位相リターダである。反射型位相リターダは、例えば、レーザビーム153に位相差をもたらすように構成された多層ミラーを含むことができる。一実施形態では、ミラー151a〜151dのうちの1つは反射型位相リターダであり、残りのミラーは非位相リターダミラーである。その他の実施形態では、ミラー151a〜151dのうちの複数が反射型位相リターダであってもよく、残りのミラーは非位相リターダミラーであってもよい。
[00099] 反射型位相リターダによってレーザビーム153にもたらされる位相差は、レーザビームが反射型位相リターダに入射する入射角の関数にすることができる。従って、偏光アジャスタ150によってレーザビームにもたらされる位相差は、レーザビーム153が偏光アジャスタ150の1つ以上の反射型位相リターダに入射する入射角を制御することにより制御することができる。例えば、ミラー151a〜151dは、レーザビーム153がミラー151a〜151dに入射する入射角を変更し、それにより偏光アジャスタ150によってレーザビーム153にもたらされる位相差を偏光するために、図4に両方向の矢印によって示されるように回転可能にすることができる。
[000100] ミラー151a〜151dは、例えば、レーザビーム153がミラーに入射する入射角を変更するためにミラーを回転させるように動作可能な1つ以上のアクチュエータ(図示せず)によって回転させることができる。ミラー151a〜151dは、レーザビーム153の位置及び伝搬方向がミラー151a〜151dの回転によって変更されないようにまとめて回転させることができる。例えば、ミラー151a〜151dは、それぞれのミラーにおける入射角が4つのミラー151a〜151dのすべてについて同じになるようにまとめて回転させることができる。
[000101] 図4に示されている形の偏光アジャスタ150は、例えば、前パルス及び主パルスレーザビームの分離光路内に位置決めされた第1の偏光アジャスタ139及び/又は第2の偏光アジャスタ141として使用することができる。追加的に又は代替的に、図4に示されている形の偏光アジャスタ150は、この偏光アジャスタ150が前パルス及び主パルスレーザビームの両方の偏光状態を調整するように、前パルス及び主パルスレーザビームの共通光路117内に位置決めしてもよい。
[000102] 偏光アジャスタ150のこの実施形態は4つのミラー151a〜151dを含み、そのうちの少なくとも1つは反射型位相リターダである。これにより、偏光アジャスタに入力されるレーザビーム153’は偏光アジャスタから出力されるレーザビーム153”と同一線上のままになる。しかしながら、その他の実施形態では、偏光アジャスタは4つ以外の数のミラーを含んでもよい。例えば、偏光アジャスタは、位相リターダによってレーザビームにもたらされる位相差を制御するためにその向きを制御できる単一の反射型位相リターダを含むことができる。しかしながら、単一のミラーを含む偏光アジャスタはレーザビームの伝搬方向及び位置を変更することになる。2つのミラーを含む偏光アジャスタの一実施形態は、レーザビームの伝搬方向が偏光アジャスタによって変更されないように配置することができる。しかしながら、このような一実施形態はレーザビームの位置の変更を引き起こす可能性がある。
[000103] 図3に示されているレーザ放射源101の実施形態では、前パルス及び主パルスレーザビームの両方の反射が光アイソレータ121の一部を形成する同じポラライザ131によって阻止される。しかしながら、いくつかの実施形態では、前パルスレーザビーム109の反射を阻止するために使用されるポラライザは、主パルスレーザビーム111の反射を阻止するために使用されるポラライザに対して別個のものにすることができる。
[000104] 図5は、主パルスレーザビーム111とは別に前パルスレーザビーム109の反射を阻止するために使用可能な前パルスアイソレータ200の一実施形態の概略図である。前パルスアイソレータ200は、例えば、光アイソレータ121に加えてレーザ放射源内に含めることができる。前パルスアイソレータ200は光アイソレータ121と燃料ターゲット129との間の前パルス及び主パルスレーザビームの共通光路117内に位置決めすることができる。レーザ放射源の一実施形態では、前パルスアイソレータ200は増幅ステージ123と燃料ターゲット129との間の前パルス及び主パルスレーザビームの共通光路117内に位置決めしてもよい。
[000105] 前パルスアイソレータ200は、前パルス及び主パルスレーザビームの光路を分離するように配置された第1のダイクロイックミラー230aと、前パルス及び主パルスレーザビームの光路を再結合するように配置された第2のダイクロイックミラー230bと、を含む。図5に示されている実施形態では、ダイクロイックミラー230a、230bは、前パルスレーザビーム109の波長を有する放射を実質的に透過し、主パルスレーザビーム111の波長を有する放射を実質的に反射するように構成される。しかしながら、代替の実施形態では、ダイクロイックミラー230a、230bは、前パルスレーザビーム109の波長を有する放射を実質的に反射し、主パルスレーザビーム111の波長を有する放射を実質的に透過するように構成してもよい。
[000106] 前パルスアイソレータ200のダイクロイックミラー230a、230bは前パルス及び主パルスレーザビームの分離光路を提供し、それにより前パルス及び主パルスレーザビームを別々に処理することができる。第1の反射型位相リターダ233aは前パルスレーザビーム109の分離光路内に配置される。第1の反射型位相リターダ233aに入射する前パルスレーザビーム109は、光アイソレータ121の位相リターダ133によって調整された偏光状態を有する。例えば、光アイソレータ121の位相リターダ133は、前パルスレーザビーム109に位相差をもたらし、それにより第1の反射型位相リターダ233aに入射する前パルスレーザビーム109に円偏光状態を持たせることができる。第1の反射型位相リターダ233aは、前パルスレーザビームに位相差をもたらし、それにより前パルスレーザビーム109の円偏光状態を実質的に直線の偏光状態に変換するように構成することができる。
[000107] 反射型位相リターダ233aから反射された前パルスレーザビーム109(実質的に直線の偏光状態を有する)は、ポラライザ237を通過するように前パルスレーザビーム109を誘導するように構成された第1のミラー235aに入射する。ポラライザ237は、それが燃料ターゲット129に向かって伝搬する時に前パルスレーザビーム109の直線偏光状態を透過するように構成することができる。前パルスレーザビーム109は、第2の反射型位相リターダ233bに入射するように前パルスレーザビーム109を誘導する第2のミラー235bに更に入射する。
[000108] 第2の反射型位相リターダ233bは、第2の反射型位相リターダ233bから反射された前パルスレーザビーム109が第1の反射型位相リターダに入射する前パルスレーザビーム109と実質的に同じ偏光状態を有するように、第1の反射型位相リターダ233aにおいて引き起こされた前パルスレーザビーム109の偏光状態の変化を逆転させるように構成することができる。例えば、第2の反射型位相リターダ233bから反射された前パルスレーザビーム109は円偏光状態を有することができる。
[000109] 第2の反射型位相リターダ233bから反射された前パルスレーザビーム109は、第2のダイクロイックミラー230bにおいて主パルスレーザビーム111の光路と再結合される。主パルスレーザビーム111は、第3のミラー235c及び第4のミラー235dによって第1のダイクロイックミラー230aから第2のダイクロイックミラー230bに誘導される。
[000110] 上記のように、前パルスアイソレータ200から出力され、燃料ターゲット129に向かって伝搬する前パルスレーザビーム109は、前パルスアイソレータ200に到着する前パルスレーザビーム109と実質的に同じ偏光状態を有することができる。従って、前パルスアイソレータ200は、それが燃料ターゲット129に向かって伝搬する時に前パルスレーザビーム109の偏光状態に対して正味変更を実質的に全く行わない可能性がある。同様に、前パルスアイソレータ200は、主パルスレーザビーム111の偏光状態に対して正味変更を実質的に全く行わない可能性がある。
[000111] 前パルスアイソレータ200に戻る燃料ターゲット129からの前パルスレーザビーム109の反射は第2の反射型位相リターダ233bに入射することになる。第2の反射型位相リターダ233bは前パルスレーザビーム109の反射に位相差をもたらし、それにより前パルスレーザビーム109の反射の円偏光状態を直線偏光状態に変換する。従って、ポラライザ237に入射する前パルスレーザビーム109の反射は実質的に直線的に偏光される。前パルスレーザビームの円偏光状態の左右像は燃料ターゲット129からの前パルスレーザビーム109の反射中に逆転されるので、ポラライザ237に入射する前パルスレーザビームの反射の直線偏光状態は、ポラライザ237によって透過される直線偏光状態に対して実質的に垂直になる可能性がある。従って、ポラライザ237は、前パルスレーザビーム109の反射がレーザモジュール101に向かって伝搬するのを実質的に阻止する働きをする。
[000112] 前パルスアイソレータ200の代替の一実施形態では、ポラライザ237は、第1のミラー235a又は第2のミラー235b上に形成してもよい。例えば、第1のミラー235a又は第2のミラー235bは吸収薄ファイルポラライザでコーティングしてもよい。
[000113] 前パルスアイソレータ200が増幅ステージ123と燃料ターゲット129との間に位置決めされるレーザ放射源の一実施形態では、前パルスアイソレータ200は有利なことに前パルスレーザビーム109の反射が増幅ステージ123を通って伝搬するのを阻止する。前パルスレーザビーム109の反射が増幅ステージ123を通って伝搬するのを阻止することは、前パルスレーザビーム109の反射が増幅ステージ123で増幅されるのを防止する。従って、前パルスレーザビーム109の反射のパワーは比較的低いままになり、それにより前パルスレーザビーム109の反射がレーザ放射源のコンポーネントに対する損傷を引き起こす可能性を低減することができる。前パルスレーザビーム109の反射が増幅ステージ123を通って伝搬するのを阻止することは更に、前パルスレーザビーム109の反射が増幅ステージで利得の剥奪を引き起こすのを防止する。
[000114] レーザ放射源のいくつかの実施形態は別個の前パルスアイソレータ200と別個のビーム分離デバイス125とを含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、前パルスアイソレータはビーム分離デバイス125内の前パルスレーザビーム109の分離光路内に配置することができる。例えば、1つ以上の位相リターダと1つのポラライザをビーム分離デバイス125内の前パルスレーザビーム109の分離光路内に配置することができ、前パルスレーザビーム109の反射がレーザモジュール103に向かって伝搬するのを阻止するように構成することができる。
[000115] 前パルスアイソレータ200に戻る燃料ターゲット129からの主パルスレーザビーム111の反射はポラライザ237に入射しない。従って、図5に描写されている前パルスアイソレータ200は、主パルスレーザビーム111の反射がレーザモジュール103に向かって伝搬するのを阻止する働きをしない。主パルスレーザビームの反射は前パルスアイソレータ200を通って伝搬し、光アイソレータ121に戻る。前パルスレーザビーム109の反射を阻止するように構成された前パルスアイソレータを含むレーザ放射源の一実施形態では、光アイソレータ121は主パルスレーザビーム111の反射を阻止するように構成することができる。
[000116] 代替の一実施形態では、追加のポラライザを主パルスレーザビーム111の分離光路内に位置決めしてもよい。更に、主パルスレーザビーム111の反射を追加のポラライザによって阻止させる偏光状態をもって、主パルスレーザビーム111の反射が追加のポラライザに入射するように、1つ以上の位相リターダを主パルスレーザビーム111の分離光路内に位置決めしてもよい。一実施形態では、1つの追加のポラライザと1つ以上の位相リターダをビーム分離デバイス125内の主パルスレーザビーム111の分離光路内及び/又は前パルスアイソレータ200内に位置決めしてもよい。
[000117] 1つの追加のポラライザと1つ以上の位相リターダが増幅ステージ123と燃料ターゲットとの間の主パルスレーザビーム111の分離光路内に位置決めされる実施形態では、主パルスレーザビームの反射が増幅ステージ123を通って伝搬するのを阻止することができる。主パルスレーザビーム111の反射が増幅ステージ123を通って伝搬するのを阻止することは、有利なことに、主パルスレーザビーム111の反射の増幅を防止し、主パルスレーザビーム111の反射が増幅ステージ123において利得剥奪を引き起こすのを防止する。しかしながら、増幅ステージと燃料ターゲット129との間の主パルスレーザビーム111の光路内にポラライザを位置決めすることは、ポラライザに入射し、燃料ターゲットに向かって伝搬する主パルスレーザビームが増幅ステージ123で増幅されたことを意味する。増幅ステージ123で主パルスレーザビーム111を増幅した結果、主パルスレーザビーム111は比較的高いパワーを有することができる。増幅された主パルスレーザビーム111のパワーは、例えば、ポラライザに対する損傷を引き起こすのに十分なものである可能性がある。従って、増幅ステージと燃料ターゲット129との間の主パルスレーザビーム111の光路内にポラライザを位置決めした結果、ポラライザに対する損傷が引き起こされる可能性がある。
[000118] 一般に、前パルスレーザビーム109は主パルスレーザビーム111より低いパワーを有する。従って、増幅された前パルスレーザビーム109の分離光路内に位置決めされたポラライザは、増幅された主パルスレーザビーム111の分離光路内に位置決めされたポラライザより、結果的にポラライザに対する損傷が引き起こされる可能性が低くなる。
[000119] 上述のように、いくつかの実施形態では、第1のポラライザは前パルスレーザビーム109の分離光路内に位置決めすることができ、第2のポラライザは主パルスレーザビーム111の分離光路内に位置決めすることができる。第1のポラライザは、前パルスレーザビーム109の反射がレーザモジュール103に向かって伝搬するのを阻止するために前パルスレーザビーム109の反射の偏光状態を有する放射を実質的に阻止するように構成することができる。第2のポラライザは、主パルスレーザビーム111の反射がレーザモジュール103に向かって伝搬するのを阻止するために主パルスレーザビーム111の反射の偏光状態を有する放射を実質的に阻止するように構成することができる。
[000120] 前パルス及び主パルスレーザビームの反射を阻止するために前パルス及び主パルスレーザビームの分離光路内に別個の第1及び第2のポラライザが位置決めされる実施形態では、前パルス及び主パルスレーザビームの共通光路内にポラライザを位置決めする必要がない可能性があることが認識されるであろう。このような実施形態では、前パルス及び主パルスレーザビームの偏光状態は完全に別々に処理することができる。例えば、前パルス及び主パルスレーザビームは異なる直線偏光状態を有するレーザモジュール103から放出することができる。このような実施形態では、前パルス及び主パルスレーザビームの分離光路内に位置決めされた第1及び第2のポラライザは、異なる偏光状態を透過するように構成することができ、異なる偏光状態を阻止するように構成することができる。従って、第1及び第2のポラライザは前パルス及び主パルスレーザビームの反射を別々に阻止するように独立して構成することができるので、これらの反射の偏光状態が同じである必要はない。
[000121] 図6は、レーザ放射源101’の代替の一実施形態の概略図である。図6に示されているレーザ放射源101’は、前パルスレーザビームと主パルスレーザビームが共通光路117で再結合される前に別個のプリアンプ及び別個の光アイソレータを通って伝搬するという点で図3に示されているレーザ放射源101とは異なっている。
[000122] レーザ放射源101’は、前パルスレーザビーム109を放出するように構成された前パルスシードレーザ105と、主パルスレーザビーム111を放出するように構成された主パルスシードレーザ107と、を含む、レーザモジュール103を含む。前パルスレーザビーム109は第1のプリアンプ119aで増幅される。主パルスレーザビーム111は第2のプリアンプ119bで増幅される。第1の光アイソレータ121aは前パルスレーザビーム109の光路内に位置決めされ、第2の光アイソレータ121bは主パルスレーザビーム111の光路内に位置決めされる。第1及び第2の光アイソレータ121a、121bはそれぞれポラライザ131と位相リターダ133とを含む。
[000123] 前パルス及び主パルスレーザビームは、例えばダイクロイックミラーを含むことができるビームコンバイナ113において結合される。ビームコンバイナ113は、前パルス及び主パルスレーザビームが燃料ターゲットに向かって伝搬する時にそれらの光路を結合し、前パルス及び主パルスレーザビームの反射がレーザモジュール103に向かって伝搬する時にそれらの光路を分離する働きをする。従って、ビームコンバイナ113は、前パルスレーザビーム109の反射のみが第1の光アイソレータ121aに到達し、主パルスレーザビーム111の反射のみが第2の光アイソレータ121bに到達することを保証する。従って、第1の光アイソレータ121aは前パルスレーザビーム109の反射がレーザモジュール103に向かって伝搬するのを阻止するように独立して構成することができ、第2の光アイソレータ121bは主パルスレーザビーム111の反射がレーザモジュール103に向かって伝搬するのを阻止するように独立して構成することができる。従って、前パルス及び主パルスレーザビームのために別個の光アイソレータ121a及び121bを設けることにより、前パルス及び主パルスレーザビームの偏光状態を別々に処理することができる。
[000124] 図6に示されているレーザ放射源101’は、それぞれ前パルス及び主パルスレーザビームを増幅するように構成された別個の第1及び第2のプリアンプ119a、119bを含む。主パルスレーザビーム111を増幅するように構成され、主パルスレーザビーム111の分離光路内に位置決めされた別個の第2のプリアンプ119bを設けることにより、前パルスレーザビーム109の反射が主パルスレーザビーム111を増幅するために使用される第2のプリアンプ119bを通過するのを防止する。従って、前パルスレーザビーム109の反射は第2のプリアンプにおいて利得の剥奪を引き起こさず、従って、第2のプリアンプ119bで使用可能な利得は前パルスレーザビーム109の反射によって低減されない。
[000125] 図6に示されているレーザ放射源101’の実施形態では、ビームコンバイナ113は、主パルスレーザビーム111の波長を有する放射を実質的に透過し、前パルスレーザビーム109の波長を有する放射を実質的に反射するように構成される。しかしながら、実際には、ビームコンバイナ113は、前パルスレーザビーム109の反射のわずかな部分を透過する可能性があり、主パルスレーザビーム111の反射のわずかな部分を反射する可能性がある。従って、前パルスレーザビーム109の反射のわずかな部分は第2の光アイソレータ121bに入射する可能性があり、主パルスレーザビーム111の反射のわずかな部分は第1の光アイソレータ121aに入射する可能性がある。第1の光アイソレータ121aは前パルスレーザビーム109の反射を阻止するように明確に構成され、第2の光アイソレータ121bは主パルスレーザビーム111の反射を阻止するように明確に構成されるので、第1の光アイソレータ121aは主パルスレーザビーム111の反射のわずかな部分を透過する可能性があり、第2の光アイソレータ121bは前パルスレーザビーム109の反射のわずかな部分を透過する可能性がある。この結果、前パルスレーザビーム109の反射の一部分が第2のプリアンプ119bを通過し、主パルスレーザビーム111の反射の一部分が第1のプリアンプ119aを通過することになる。
[000126] 第2のプリアンプ119bへの前パルスレーザビーム109の反射の透過及び/又は第1のプリアンプ119aへの主パルスレーザビーム111の反射の透過を低減するために、前パルス及び/又は主パルスレーザビームの別個の光路内に更なる波長依存コンポーネントを位置決めしてもよい。例えば、前パルスレーザビーム109の波長を有する放射を実質的に透過し、主パルスレーザビーム111の波長を有する放射を実質的に反射するように構成された1つ以上のダイクロイックミラーを前パルスレーザビーム109の別個の光路内に位置決めしてもよい。追加的に又は代替的に、主パルスレーザビーム111の波長を有する放射を実質的に透過し、前パルスレーザビーム109の波長を有する放射を実質的に反射するように構成された1つ以上のダイクロイックミラーを主パルスレーザビーム111の別個の光路内に位置決めしてもよい。
[000127] 主パルスレーザビームの反射がレーザモジュールに向かって伝搬するのを阻止するように構成された1つ以上のコンポーネントと、前パルスレーザビームの反射がレーザモジュールに向かって伝搬するのを阻止するように構成された1つ以上のコンポーネントとを含む、レーザ放射源の複数の実施形態について上記で説明してきた。前パルスレーザビームの反射を阻止し、主パルスレーザビームの反射を阻止するために使用可能なコンポーネントについていくつかの異なる構成が存在することは上記の実施形態から認識されるであろう。
[000128] 一般に、レーザ放射源は、燃料ターゲットからの前パルスレーザビームの反射が第1の偏光状態を有するように前パルスレーザビームの偏光状態を調整し、燃料ターゲットからの主パルスレーザビームの反射が第2の偏光状態を有するように主パルスレーザビームの偏光状態を調整するように構成された光学隔離装置を含むことができる。光学隔離装置は更に、前パルス及び主パルスレーザビームの反射がレーザ放射源のレーザモジュールに向かって伝搬するのを実質的に阻止されるように第1及び第2の偏光状態を有する放射を阻止するように構成される。
[000129] いくつかの実施形態では、光学隔離装置は、例えば、図3のレーザ放射源101に示されている光アイソレータ121と第1及び第2の偏光アジャスタ139及び141とを含むことができる。いくつかの実施形態では、光学隔離装置は、例えば、図5に示されている前パルスアイソレータ200などの前パルスアイソレータを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2の偏光状態は同じにすることができ、光学隔離装置は、前パルスレーザビームの反射と主パルスレーザビームの反射の両方を阻止するために使用可能な単一のポラライザを含むことができる。その他の実施形態では、第1及び第2の偏光状態は互いに異なるものでもよく、光学隔離装置は、第1及び第2の偏光状態を阻止するように構成された別個のポラライザを含んでもよい。
[000130] いくつかの実施形態では、光学隔離装置は、前パルスレーザビームの分離光路又は主パルスレーザビームの分離光路内に位置決めされた偏光アジャスタを含むことができる。偏光アジャスタは、前パルス及び主パルスレーザビームのもう一方とは無関係に前パルス又は主パルスレーザビームの偏光状態を調整するように構成することができる。
[000131] その他の実施形態では、前パルス及び主パルスレーザビームの偏光状態は、前パルス及び主パルスレーザビームの共通光路内に位置決めされた偏光アジャスタによってまとめて調整するだけでもよい。しかしながら、前パルス及び主パルスレーザビームの波長が異なることにより、レーザビームに適用される偏光調整が前パルス及び主パルスレーザビームについて異なるものになる可能性がある。この結果、前パルス及び主パルスレーザビームの反射の第1及び第2の偏光状態が互いに異なるものになる。このような実施形態では、第1及び第2の偏光状態を阻止するために別個のポラライザを使用することができる。例えば、第1のポラライザは、前パルスレーザビームの別個の光路内に位置決めすることができ、第1の偏光状態を阻止するように構成することができる。第2の偏光状態を阻止するように構成された第2のポラライザは、主パルスレーザビームの分離光路内に位置決めされる場合もあれば、前パルス及び主パルスレーザビームの両方の共通光路内に位置決めされる場合もある。
[000132] いくつかの実施形態では、前パルスレーザビーム及び/又は主パルスレーザビームに適用される偏光調整は制御可能なものにすることができる。例えば、光学隔離装置によって阻止されない前パルスレーザビームの反射及び/又は主パルスレーザビームの反射の測定値を取ることができる。光学隔離装置が前パルスレーザビームの反射及び主パルスレーザビームの反射を実質的に阻止しない場合、反射が実質的に阻止されるまで前パルス及び/又は主パルスレーザビームに適用される偏光調整を変更することができる。
[000133] 一般に、光学隔離装置は、前パルスレーザビームの反射が第1の偏光状態を有し、主パルスレーザビームの反射が第2の偏光状態を有するように前パルス及び主パルスレーザビームの反射を調整し、第1及び第2の偏光状態を有する放射を阻止するように構成されたコンポーネントの任意の組み合わせを含むことができる。上記のもの以外のコンポーネントの配置を使用して光学隔離装置を形成できることは当業者によって認識されるであろう。
[000134] 燃料ターゲットの励起のために前パルスレーザビーム及び主パルスレーザビームを放出するレーザ放射源に関連して本発明の諸実施形態について説明してきたが、本発明はその他の適用例にも使用することができる。例えば、レーザ放射源は、前パルス及び主パルスレーザビームである必要がある任意の第1及び第2のレーザビームを放出するように構成することができる。従って、この説明において前パルス及び主パルスレーザビームについてなされている言及は、一般に、前パルス及び主パルスレーザビームである必要がない第1及び第2のレーザビームに対する言及で置き換えることができる。
[000135] 共通光路を辿るように2つのレーザビームの光路が結合される諸実施形態について上記で説明してきた。いくつかの実施形態では、2つのレーザビームの光路は実質的に分離され再結合される。2つのレーザビームの光路の結合又は再結合について言及されているが、レーザビームの光路は互いに正確に位置合わせする必要がないことは認識されるであろう。一般に、共通光路を辿るような2つのレーザビームの結合に対する言及は、共通の光学コンポーネントを使用して両方のレーザビームを調整又は誘導できる範囲で光路が結合されることを意味するものと解釈しなければならない。しかしながら、結合された光路は正確に同じである必要はない。このため、共通光路を辿るような2つのレーザビームの結合に対する言及は、レーザビームの精密な同時伝搬に限定されるものと解釈してはならず、その代わりにレーザビームの光路が互いにわずかに異なる場合を含まなければならない。
[000136] 一実施形態では、本発明はマスク点検装置の一部を形成することができる。マスク点検装置は、EUV放射を使用してマスクを照射し、イメージングセンサを使用してマスクから反射された放射をモニターすることができる。イメージセンサによって受け取られた像は、マスク内に欠陥が存在するかどうかを判断するために使用される。マスク点検装置は、EUV放射源からEUV放射を受け取り、それをマスクに誘導すべき放射ビームに形成するように構成された光学部品(例えばミラー)を含むことができる。マスク点検装置は、マスクから反射されたEUV放射を収集し、イメージセンサにおいてマスクの像を形成するように構成された光学部品(例えばミラー)を更に含むことができる。マスク点検装置は、イメージセンサにおけるマスクの像を分析し、マスクに欠陥が存在するかどうかをその分析から判断するように構成されたプロセッサを含むことができる。プロセッサは、マスクがリソグラフィ装置によって使用される時に検出されたマスク欠陥が基板上に投影された像内に受け入れられない欠陥を引き起こすかどうかを判断するように更に構成することができる。
[000137] 一実施形態では、本発明はメトロロジ装置の一部を形成することができる。メトロロジ装置は、基板上にすでに存在するパターンに対する基板上のレジストに形成された投影パターンのアライメントを測定するために使用することができる。この相対アライメントの測定はオーバーレイと呼ぶことができる。メトロロジ装置は、例えば、リソグラフィ装置に直接隣接して位置することができ、基板(及びレジスト)が処理される前にオーバーレイを測定するために使用することができる。
[000138] 本明細書ではリソグラフィ装置に関連して本発明の諸実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の諸実施形態はその他の装置に使用することもできる。本発明の諸実施形態は、マスク点検装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(又はその他の基板)或いはマスク(又はその他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成することができる。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ぶことができる。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
[000139] 「EUV放射」という用語は、4〜20nmの範囲内、例えば13〜14nmの範囲内の波長を有する電磁放射を包含するものと見なすことができる。EUV放射は、10nm未満、例えば6.7nm又は6.8nmなどの4〜10nmの範囲内の波長を有することができる。
[000140] 本明細書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書に記載されているリソグラフィ装置はその他の適用例も可能であることを理解されたい。可能なその他の適用例としては、集積光学システム、磁気ドメインメモリのためのガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造を含む。
[000141] 本発明の特定の実施形態について上記で説明してきたが、本発明は上記以外に実践可能であることは認識されるであろう。上記の説明は、限定するものではなく、例示的なものである。従って、以下に明記されている特許請求の範囲の範囲を逸脱せずに上記のように本発明に対して変更を行うことが可能であることは当業者にとって明白になるであろう。