JP2018506993A - フザリウム毒素切断ポリペプチド変異体、これを含有する添加物、およびこの使用、ならびにフザリウム毒素の切断方法 - Google Patents

フザリウム毒素切断ポリペプチド変異体、これを含有する添加物、およびこの使用、ならびにフザリウム毒素の切断方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、配列番号46を有するフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼのフザリウム毒素切断ポリペプチド変異体に関する。ポリペプチド変異体はそれぞれ、N末端において47アミノ酸短縮されたアミノ酸配列を有し、該アミノ酸配列は、配列番号46のアミノ酸配列部分48から540と少なくとも70%、好ましくは80%、特に100%の配列同一性、即ち配列番号1を有する。本発明はまた、該ポリペプチド変異体をコードする単離ポリヌクレオチド、少なくとも1種のポリペプチド変異体および任意選択により少なくとも1種の補助剤を含むフザリウム毒素切断添加物、該ポリペプチド変異体または該添加物の使用、ならびに少なくとも1種のフザリウム毒素を加水分解的に切断する方法に関する。

Description

本発明は、フザリウム毒素切断ポリペプチド変異体、これを含有する添加物、および前記ポリペプチド変異体および/または前記添加物の使用、ならびに前記ポリペプチド変異体および/または前記ポリペプチド変異体を含有する前記添加物によるフザリウム毒素の切断方法に関する。
マイコトキシンは、植物系農産物に非常に頻繁に発生し、マイコトキシンの種類および濃度に応じて、特に農産物から生産された食品および飼料ならびにこのような食品および飼料で栄養を与えられたヒトおよび動物に重大な経済的損失をもたらし、このような被害は極めて多様である。動物およびヒトの栄養、動物育種、飼料および食品生産物の加工などの分野においてマイコトキシンによって引き起こされるいかなる損失をも大きく防ぐために、マイコトキシンの無害化、即ち解毒または分解を試みる多くの方法が既に開発されている。
マイコトキシンの顕著な群としては、フザリウム毒素が挙げられ、「フザリウム毒素」または「フザリウム毒素類」という用語は同等であり、それぞれが、カビ菌フザリウム(Fusarium)属によって産生されるフモニシンならびにこれらの誘導体および分解産物の少なくとも1種もしくは数種、または全体、特に、フモニシンA1−2(FA1−2)、フモニシンB1−4(FB1−4)、フモニシンC1、2、4(FC1、FC2、FC4)およびHFC1ならびに部分的に加水分解されたフモニシンFA1−2、FB1−4、FC1−2、FC4およびHFC1を指す。部分的に加水分解されたフモニシンは、ただ1つのトリカルバリル酸残基を含み、FA1−2、FB1−4、FC1−2、FC4およびHFC1は、2つのトリカルバリル酸残基を含む。さらに、構造的に類似したトマトアルターナリア茎枯病菌(Alternaria alternata lycopersici)(AAL)毒素もフザリウム毒素の群に包含され、AAL毒素は、AAL−TA1(CAS番号79367−52−5)、AAL−TA2(CAS番号79367−51−4)、AAL−TB1(CAS番号176590−32−2)およびAAL−TB2(CAS番号176705−51−4)にさらに細分化される。FA1−2、FB1−4、FC1−2、FC4、HFC1は以下の構造式を有する:
Figure 2018506993
Figure 2018506993
FB1は、フザリウム毒素の群のうち最も頻繁に出現する毒素であるが、ヒトおよび動物において同様に毒性作用を有する多くの誘導体および関連分子が知られている。ヒトまたは動物においてマイコトキシンの摂取によって引き起こされる疾患は、マイコトキシン症(mycotoxicoses)と呼ばれ、さらにフザリウム毒素の場合にはフザリウム毒素マイコトキシン症(fusarium toxin mycotoxicoses)と呼ばれる。従って、フザリウム毒素は、酵素セラミドシンターゼと相互作用することによってスフィンゴ脂質代謝を損なうことが知られている。スフィンゴ脂質は、細胞膜の構成要素であるだけでなく、炎症過程または細胞内輸送過程において、細胞成長、細胞遊走および細胞結合などの多くの基本的細胞過程においてシグナル分子およびメッセンジャー分子として重要な役割を果たす。スフィンゴ脂質代謝の障害のために、フザリウム毒素は、さまざまな動物種およびさらにヒトに対する毒性作用の原因となっている。従って、フザリウム毒素が、げっ歯類において発癌性に作用する免疫抑制効果を有し、疫学的データによりヒトの食道癌および神経管欠損に関連していることが実証され得る。フザリウム毒素は、さまざまな動物種、例えばブタの肺水腫によって引き起こされる典型的な中毒症の原因となっている。フザリウム毒素マイコトキシン症の例には、フモニシン中毒によって引き起こされるウマの白質脳軟化症またはブタの肺水腫などの神経毒性疾患が含まれる。フザリウム毒素による汚染は、さまざまな穀物、特にトウモロコシ、ナッツおよび野菜にほとんど偏在しているため、ヒトおよび動物の健康に対するこれらの強い悪影響は無視してはならない。
フモニシンの微生物分解は、EP−A1 860 954に既に記載されており、これによれば、フモニシンの解毒のために精密に規定された菌株から選択された解毒性細菌または酵母を飼料に添加することによって、フモニシンおよびフモニシン誘導体を解毒するために微生物が使用される。
フモニシンおよびこれを担う遺伝子および酵素の生物学的分解のための異化代謝経路も既に記載されている。従って、例えば、EP0 988 383は、フモニシン解毒組成物および方法を記載しており、使用されるフモニシン分解酵素は、酵素活性に分子状酸素を必要とするアミンオキシダーゼを使用してフモニシンの解毒がもたらされるトランスジェニック植物においてとりわけ産生される。
さらに、WO2004/085624には、トランスアミナーゼ、デアミナーゼおよびアミノムターゼ、ならびにアミノ化毒素、例えばフモニシンの酵素による解毒方法が記載されている。これに関連して、デアミナーゼ活性を有するポリペプチドが解毒に使用される。
上記の生成物または方法は、マイコトキシンの解毒のために分子状酸素および必要に応じて補因子を必要とし、特に、引用されたアミノオキシダーゼは、酸素が存在しない反応条件下では全く効果を示さないという欠点を伴う。
EP−A2 326 713は、酸素非依存性で補因子が存在しない酵素反応においてフモニシンを分解できる添加物およびこの調製方法に関する。しかし、主に解毒を担う該明細書に記載の酵素、即ちカルボキシルエステラーゼの温度安定性は低く、従って、添加物、つまり配列番号46のカルボキシルエステラーゼは、昇温における適用に適していない。
食品産業および飼料産業では、衛生製品の生産および微生物負荷の低減のための熱処理が極めて重要である。この点に関して、流動性を高め、粉塵形成を減少させ、微生物負荷、特にサルモネラ菌を低下させるなどの複数の理由のために、飼料のペレット化は特に広範に広がり、既に標準化された工程を構成している。ペレット化工程の間、商品は通常熱蒸気処理により湿らせられ、加熱され、続いて加圧下で型によりプレスされる。食品または飼料をペレット化するための添加物としてのポリペプチドまたは酵素の使用は、通例酵素またはポリペプチドが昇温に感受性であるため、技術的課題となる。酵素またはポリペプチドの熱処理は、これらの比活性の低下および/または不可逆的変性をもたらし得る。これに対抗する方法は、例えばWO92/12645に記載のようなタンパク質のカプセル化またはコーティングである。これによって、熱の影響からタンパク質を保護することが可能であるが、このアプローチは、タンパク質が口腔胃腸系において十分迅速に放出されず、従って、緩慢すぎるか、または全く効果を発揮しないというリスクを伴う。温度安定性の低さのために、フザリウム毒素を解毒するためのこれまで知られているポリペプチドは、事前カプセル化または事前コーティングしなければペレット化される飼料または食品に混合することができない。
昇温におけるフザリウム毒素の解毒が必須である技術的工程としては、パスタおよびポレンタ、ポップコーン、コーンフレーク、トウモロコシパンまたはトルティーヤなどの他のトウモロコシ製品の製造、デンプン液化工程、糖化工程または発酵工程、特にバイオエタノールの生産におけるマッシングまたは発酵工程などが挙げられる。この点に関して、このような工程によって製造される食品または飼料が、有害な量のフザリウム毒素を含まないことを確実にすることが重要である。現在知られているポリペプチドは、問題の工程温度においてこれらの活性が最小限であるかまたは存在しないために、このような工程で使用することができない。
欧州特許第1860954号明細書 欧州特許第0988383号明細書 国際公開第2004/085624号 欧州特許第2326713号明細書 国際公開第92/12645号
従って、酵素反応が酸素も補因子も必要とせず、さらに酵素またはポリペプチドが、昇温において技術的工程に使用可能な十分な温度安定性および十分な温度活性を示す、フザリウム毒素の特異的で安全で信頼性のある切断、特に解毒のための酵素および/またはポリペプチドの必要性が存在する。
従って、本発明は、酸素非依存性および補因子が存在しない様式で少なくとも1種のフザリウム毒素を非毒性または低毒性産物に切断でき、配列番号46のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して、温度安定性の増加および温度活性の増加を有する、配列番号46のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼのフザリウム毒素切断ポリペプチド変異体を提供することを目的とする。
この目的を解決するために、本発明は、ポリペプチド変異体の各々がN末端において47アミノ酸切断されたアミノ酸配列を有し、該アミノ酸配列が、配列番号46のアミノ酸配列セクション48から540と少なくとも70%、好ましくは80%、特に好ましくは100%の配列同一性、即ち配列番号1を共有することを特徴とする、配列番号46のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼのフザリウム毒素切断ポリペプチド変異体によって本質的に特徴付けられる。驚くべきことに、配列番号46に対して47アミノ酸切断されたアミノ酸配列は、前記配列よりも有意に活性が高く、前記配列と比較して温度安定性の増加を有することが判明した。
配列番号1のポリペプチド変異体、特に配列番号1と少なくとも70%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を有し、10、33、66、107、140、144、149、151、157、199、266、267、270、272、275、280、284、286、293、302、312、329、332、360、363、364、365、367、371、372、377、389、391、394、418、419、424、427、429、430、436、440、443、447、453、455、456、457、462、463、464、465、469、473、478、487および490からなる群から選択される少なくとも1つの位置においてアミノ酸置換を含むポリペプチド変異体を形成することにより、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼの温度安定性と比較して少なくとも4%の温度安定性の増加が達成される。フザリウム毒素切断特性を有するこのようなポリペプチド変異体の使用は、例えば技術的工程の間に昇温においてフザリウム毒素の解毒を可能にした。これは、特に、温度安定性に加えて温度活性も強化されることによって可能になる。特に、この結果として、例えばコンテナ内での輸送中にも起こり得るような昇温ストレスにおいても、ポリペプチド変異体の酵素活性の維持が守られる。
用語「カルボキシルエステラーゼ」は、水を用いてカルボン酸エステル化合物をそれぞれのアルコール化合物およびカルボン酸化合物に切断することができる任意の酵素、ポリペプチドまたはポリペプチド変異体を指す。用語「フザリウム毒素カルボキシルエステラーゼ」は、少なくとも1つのトリカルバリル酸(プロパン−1,2,3−トリカルボン酸)を加水分解的に切断することによって、少なくとも1つのフザリウム毒素を加水分解できる任意の酵素、ポリペプチドまたはポリペプチド変異体を指す。本明細書に記載の「フザリウム毒素切断特性」は、少なくとも1つのフザリウム毒素から、特にFA1−2、FB1−4、FC1−2、FC4、HFC1、AAL−TA1−2およびAAL−TB1−2またはこれらの誘導体または分解生成物から、少なくとも1つのトリカルバリル酸残基を加水分解的に切断する能力を指す。
以下に使用する用語は、技術用語から引用したものであり、特に明記しない限り、それぞれ従来の意味で使用される。従って、用語「ポリヌクレオチド」は、調節エレメント、構造エレメント、遺伝子、プラスミド、全ゲノムの群およびこれらの断片を含む一本鎖および二本鎖のDNAおよびRNA分子などの任意の長さおよび配列の任意の種類の遺伝物質を指す。用語「ポリペプチド」は、ペプチドインヒビター、タンパク質ドメインなどの500個までのアミノ酸を有する酵素、抗体およびポリペプチドなどのタンパク質、さらには受容体、リガンド、ペプチドホルモン、タグなどの配列長が短い、例えば、アミノ酸10個未満の短鎖ポリペプチドを含む。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドにおける用語「位置」は、前記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列中の単一の特定の塩基またはアミノ酸をそれぞれ指す。アミノ酸の名称は、当業者によく知られている1文字または3文字のコードで略記される。
「単位」または「U」という用語は、酵素、ポリペプチドまたはポリペプチド変異体の触媒活性の尺度を指し、規定された条件下で1分間に反応または切断される基質、即ちこの場合フモニシンB1のマイクロモル(μmol)の数として定義される。従って、少なくとも1つのトリカルバリル酸残基が15分以内に60μmolのFB1から切断される場合、これは4単位の触媒活性に相当する。FB1切断のために、反応条件を以下のように定義する:反応は、0.1mg/mlのウシ血清アルブミンを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)中で30℃の温度において30分間実施する。反応中の基質濃度は100μMのFB1である。
酵素またはポリペプチド溶液またはポリペプチド変異体の溶液の「触媒活性」、「触媒酵素活性」または「活性」により、酵素またはポリペプチド溶液またはポリペプチド変異体の溶液の酵素濃度が定義され、単位/溶液1ミリリットルが示される。
用語「比活性」は、酵素、ポリペプチドまたはポリペプチド変異体1ミリグラム当たりの触媒活性として定義され、酵素溶液の触媒活性と前記溶液中の酵素の質量濃度(質量/単位体積)との比から計算される。例えば酵素溶液の触媒活性が50U/mlおよび質量濃度が1mg/mlの場合、この比活性は50U/mgである。
用語「温度安定性」は、酵素、ポリペプチドまたはポリペプチド変異体が一時的に昇温に曝された(プレインキュベーション)後の触媒活性を維持する特性を指す。温度安定性は、酵素またはポリペプチド溶液またはポリペプチド変異体の溶液の活性を、同一の定義された条件で5分間の熱処理後と非熱処理とで測定し、比較することによって決定される。従って、温度安定性は、一時的な熱曝露に対する酵素の耐性の尺度である。非熱処理の100%対照と比較して、熱処理酵素の残留活性が50%である温度が温度安定性の尺度であり、T(50%)と略記される。例えば、酵素溶液の活性がプレインキュベーションなしで50U/mlであり、50℃において5分間のプレインキュベーション後に25U/mlである場合、該酵素の温度安定性は50℃であるか、または該酵素は50℃まで温度安定である。配列番号1の親ポリペプチドに対するポリペプチド変異体のT(50%)の増加は、温度安定性の増加の尺度として定義され、パーセンテージ値として相対的に、または摂氏で絶対的に示すことができる。
用語「温度活性」は、酵素、ポリペプチドまたはポリペプチド変異体が最も高い活性を示す温度として定義され、触媒活性は30分間にわたって測定される。
用語「ポリペプチド変異体」または「変異体」は、特に、配列番号46と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を有し、酵素機能、即ちフザリウム毒素切断特性が維持されたままであるポリペプチド配列を指す。さらに、「ポリペプチド変異体」は、配列番号46のポリペプチド配列と比較して、アミノ酸の挿入または欠失、特にCまたはN末端が伸長または切断された配列をさらに含み得る。酵素反応の機序が不変のままである場合、即ちフザリウム毒素が同じ部位において加水分解され、変異体の比活性が、元の配列番号46の親ポリペプチドに基づいて、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも90%、特に>100%である場合、酵素機能は実質的に維持される。
規定された位置におけるアミノ酸置換は、以下の命名法によって表される:元のアミノ酸;位置;新しいアミノ酸。例えば、グリシンが134位のプロリンを置換する場合、これはPro134GlyまたはP134Gによって示される。複数の変異は、プラス記号またはスラッシュで区切られる。例えば、プロリンが134位においてグリシンにより置換され、アルギニンが136位においてリジンにより置換されている場合、これはそれぞれPro134Gly+Arg136LysもしくはPro134Gly/Arg136LysまたはP134G+R136KもしくはP134G/R136Kによって示される。アミノ酸が1つの位置で2または数種の代替アミノ酸によって置換される場合、代替アミノ酸はコンマまたはスラッシュで区切られる。例えば、プロリンが134位においてグリシンだけでなくセリン、バリンおよびメチオニンによっても置換される場合、これはPro134Gly,Ser,Val,MetもしくはPro134Gly/Ser/Val/MetまたはP134G,S,V,MもしくはP134G/S/V/Mによって示される。例えば、規定された位置におけるアミノ酸の置換または交換が詳細に定義されていない場合、これは前記アミノ酸が任意の他のアミノ酸によって置換され得ると解釈すべきである。例えば、134位のプロリンの変異が詳細に定義されていない場合、プロリンは以下のアミノ酸:A、R、N、D、C、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、S、T、W、YまたはVのうちの1つによって置換され得る。
用語「配列同一性」は、パーセント配列同一性を指す。アミノ酸配列およびヌクレオチド配列に関しては、配列同一性は視覚的に決定することができ、さらに好ましくはコンピュータプログラムによって計算することができる。配列番号1の配列を有するアミノ酸配列は、参照配列として定義される。配列比較はまた、配列セクション内で行われ、セクションは参照配列の連続配列を意味する。通常、ヌクレオチド配列の配列セクションの長さは、18から600、好ましくは45から200、より好ましくは100から150ヌクレオチドである。通常、ペプチド配列の配列セクションの長さは、3から200、より好ましくは15から65、最も好ましくは30から50アミノ酸である。相同性の決定に使用することができ、常に更新される購入可能または費用をかけずに利用可能な複数のバイオインフォマティクスプログラムが存在する。例としては、GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(Devereuxら、1984年)、BLAST(Altschulら、1990年)またはBLAST 2(Tatusova und Madden 1999年)が挙げられる。これらのアルゴリズムの調整オプションの違いにより、同じ入力配列で異なる結果が出力されることが起こり得る。従って、検索アルゴリズムとそれぞれの設定を定義する必要がある。本件の場合、配列同一性は、NCBI BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)、特にポリペプチドにはBLASTPおよびポリヌクレオチドにはBLASTNプログラムを用いて評価し、これらは、米国立バイオテクノロジー情報センター(National Center of Biotechnology Information)のウェブサイト(NCBI;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)で利用可能である。これにより、Altschulら、1997(Nucleic Acids Res.,25:3389−3402)のアルゴリズムに従って、2つまたは数個の配列を互いに比較することが可能である。本件の場合、2014年8月12日のプログラムバージョンを使用した。プログラム設定として基本設定を、詳細にはアミノ酸比較のためには:「max target sequence」=100;「expected threshold」=10;「word size」=3;「matrix」=BLOSOM62;「gap costs」=「Existence:11;Extension:1」;「computational adjustment」=「Conditional compositional score matrix adjustment」;ならびにヌクレオチド配列比較のためには:Word Size:11;Expect value:10;Gap costs:Existence=5、Extension=2;Filter=low complexity activated;Match/Mismatch Scores:2,−3;Filter String:L;mを適用した。
本発明によれば、10および456位におけるアミノ酸置換がQ、E、N、H、KおよびRから選択され、33、107、293および332位におけるアミノ酸置換がE、Q、D、K、RおよびNから選択され、66、463および478位におけるアミノ酸置換がD、E、K、N、QおよびRから選択され、140および490位におけるアミノ酸置換がP、A、SおよびNから選択され、144および367位におけるアミノ酸置換がI、L、MおよびVから選択され、149、270、312、329および372位におけるアミノ酸置換がF、Y、WおよびHから選択され、151および453位におけるアミノ酸置換がD、E、KおよびRから選択され、157および462位におけるアミノ酸置換がF、H、WおよびYから選択され、199、302、365および464位におけるアミノ酸置換がI、L、MおよびVから、266および455位においてA、SおよびTから、267、394および429位においてA、N、PおよびSから、272位においてH、N、QおよびSから、275位においてA、D、E、G、K、N、Q、RおよびSから、280位においてA、D、E、K、N、P、Q、RおよびSから、284位においてA、N、P、S、TおよびVから、286位においてA、D、E、K、N、P、RおよびSから、360、377、391、419および427位においてA、I、L S、TおよびVから、363、443および457位においてA、S、TおよびVから、364位においてH、I、L、M、N、Q、SおよびVから、371位においてA、I、L、M、S、TおよびVから、389位においてI、L、MおよびVから、418、430、447および473位においてA、GおよびSから、424位においてA、D、E、G、K、RおよびSから、436位においてA、G、SおよびTから、440位においてA、G、SおよびTから、465位においてA、G、H、N、Q、SおよびTから、469位においてD、E、KおよびRから、および/または487位においてN、D、Q、HおよびSから選択されると特に強力な温度安定性の増加が達成され、ここで引用された位置に元から存在するアミノ酸はいずれの場合も置換されている。
本発明の好ましいさらなる発展形態によれば、アミノ酸置換は、10Q、33E、66D、107E、140P、144M、149F、151R、157Y、199I、266S、267P、270F、272H、275E、275A、280D、280P、284T、284P、286P、286R、293E、302I、312F、329F、332E、360V、363T、364H、364L、365I、367H、371V、371M、372F、377V、389L、391V、394P、418A、419V、424A、424K、427V、429P、430A、436A、436S、440G、440S、443T、447A、453R、455S、456Q、457T、462Y、463D、464I、465H、465S、465G、469K、473A、478D、487Nおよび490Pからなる群から選択される。ポリペプチド変異体が少なくとも1つのこのような置換を含むと、温度安定性および温度活性をさらにより選択的に増強することができ、比活性、pH安定性またはpH活性などの他の酵素パラメータも同様に改善することができ、少なくとも配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼの値を示す。
本発明のさらなる発展形態によれば、ポリペプチド変異体は、66、199、302、377、394、424、430および463からなる群から選択される少なくとも1つの位置にそれぞれアミノ酸置換を含み、温度安定性は、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して少なくとも6%増加される。このようなポリペプチド変異体は、昇温における技術的工程の間、例えば、パスタおよびポレンタ、ポップコーン、コーンフレーク、トウモロコシパンまたはトルティーヤなどの他のトウモロコシ製品の製造、デンプン液化工程、糖化工程または発酵工程、特にバイオエタノールの生産におけるマッシングまたは発酵工程などの間に、フザリウム毒素の切断が可能である。
本発明の好ましいさらなる発展形態によれば、アミノ酸置換は、66D、199I、302I、377V、394P、424A、430Aおよび463Dからなる群から選択される。このような置換は、ポリペプチド変異体の温度安定性および温度活性を、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して少なくとも3℃増加させることが可能である。
本発明のさらなる発展形態によれば、ポリペプチド変異体は、10、33、66、107、140、144、149、151、157、199、266、267、270、272、275、280、284、286、293、302、312、329、332、360、363、364、365、367、371、372、377、389、391、394、418、419、424、427、429、430、436、440、443、447、453、455、456、457、462、463、464、465、469、473、478、487および490からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも2つ、特に3つの位置においてそれぞれアミノ酸置換を含み、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して少なくとも15%温度安定性を増加させる。
本発明のさらなる発展形態によれば、アミノ酸置換は、10、33、66、107、140、144、149、151、157、199、266、267、270、272、275、280、284、286、293、302、312、329、332、360、363、364、365、367、371、372、377、389、391、394、418、419、424、427、429、430、436、440、443、447、453、455、456、457、462、463、464、465、469、473、478、487および490からなる群から選択される。驚くべきことに、幾つかのアミノ酸を置換することにより、温度安定性へのこれらのポジティブな効果はほぼ付加的であり、温度安定性は、配列中に元から存在するアミノ酸とは異なる少なくとも3つのアミノ酸を挿入することによって7℃超増加されることが分かった。このような増加は、例えばバイオエタノールの製造において55℃でのマッシュ休止、または約65から70℃の中程度の温度での飼料ペレット化のための酵素の使用に十分である。
本発明のさらなる発展形態によれば、ポリペプチド変異体のアミノ酸配列は幾つかのアミノ酸置換の組み合わせを含み、この位置の組み合わせは、
66/199/302/394/424/430、
66/199/302/377/394/424/430、
66/199/302/377/394/424/430/463、
66/144/199/302/360/372/377/394/424/430/443/463、
199/302/377/394/424/430/463、
66/199/302/377/394、
66/199/302/364/377/394/424/430/463、
66/199/302/377/394/424/430/463/465、
66/199/302/377/394/424/430/440/463、
66/199/302/377/394/424/430/447/463、
66/199/302/377/394/418/424/430/463、
66/199/302/377/394/424/436/430/463、
66/199/302/364/377/394/424/430/463、
66/199/302/377/394/424/430/463/490、
66/199/302/377/394/424/430/463/469、
66/199/302/377/389/394/424/430/463、
66/199/302/377/394/424/430/463/465、
66/199/302/377/394/424/430/463/464、
66/199/302/377/394/424/430/463/465、
66/199/302/377/394/424/430/440/463、
66/199/302/377/394/424/430/457/463、
66/199/302/377/394/424/430/436/463、
66/199/302/363/371/377/394/424/430/463、
66/199/302/377/394/424/430/447/453/463、
66/199/302/377/394/424/430/456/462/463、
66/199/302/377/394/419/424/427/430/463、
66/199/302/365/377/394/424/430/463/487、および
66/199/302/371/377/394/424/430/463/487
からなる群から選択される。このように置換されたポリペプチド変異体は、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して少なくとも25%の温度安定性の増加を示す。このような置換の組み合わせは、ポリペプチド変異体の温度安定性だけでなく、温度活性のさらなる増加を可能にする。
本発明の好ましいさらなる発展形態によれば、ポリペプチド変異体のアミノ酸配列は、配列番号2から29からなる群から選択される。このようなポリペプチド変異体は、配列番号1の酵素と比較して、少なくとも11℃、好ましくは少なくとも13℃、さらにより好ましくは少なくとも15℃の温度安定性の増加を有し、個々のポリペプチドの活性および、従って、昇温負荷での技術的工程、例えば、バイオエタノールの生産における65℃でのマッシュ休止または約75から80℃の温度でのペレット化の間またはその後のフザリウム毒素の解毒を保証する。
本発明のさらなる発展形態によれば、ポリペプチド変異体のアミノ酸配列はそれぞれ幾つかのアミノ酸置換の組み合わせを含み、この位置の組み合わせは、
66/99/302/364/377/389/394/419/424/427/430/447/463/465/469、
66/199/302/377/389/394/419/424/427/430/447/463/465/469、
66/199/302/363/364/371/377/389/394/419/424/427/430/447/463/464/465/469、
66/199/302/363/371/377/389/394/419/424/427/430/447/463/464/465/469、
66/199/302/364/367/371/377/389/394/418/419/424/427/430/436/440/447/463/464/465/469/490、
66/199/302/367/371/377/389/394/418/419/424/427/430/436/440/447/463/464/465/469/490、
66/199/302/363/367/371/377/394/424/430/463/490、
66/199/302/377/394/418/419/424/427/430/436/440/447/463、
66/199/302/377/389/394/424/430/457/463/464/465/469、
66/199/302/363/371/377/389/394/419/424/427/430/440/447/457/463/464/469/490、
66/199/302/377/394/424/430/463/447/490/469/465、
66/199/302/377/394/424/430/463/490/469/465/419/427/371/487、
66/199/302/371/377/394/419/424/427/430/447/453/463/465/469/487/490、
66/199/302/367/371/377/389/394/418/419/424/427/429/430/436/440/447/457/463/464/465/469/490、
66/199/302/371/377/389/394/419/424/427/430/436/447/453/456/462/463/465/469/490/487、および
66/199/302/367/371/377/389/394/418/419/424/427/429/430/436/440/447/453/456/457/462/463/464/465/469/487/490
からなる群から選択される。これらのポリペプチド変異体は、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して、少なくとも40%の温度安定性の増加、および温度活性の増加を示し、昇温を必要とする複数の方法に使用可能である。
本発明の好ましいさらなる発展形態によれば、ポリペプチド変異体のアミノ酸配列は、配列番号30から45からなる群から選択される。このようなポリペプチド変異体は、配列番号1の酵素と比較して、少なくとも18%、好ましくは少なくとも22℃、より好ましくは少なくとも27℃の温度安定性の増加を示し、ポリペプチドの活性および、従って、高温負荷での技術的工程、例えば、80℃超、特に85から90℃超の温度でのペレット化の間またはその後のフザリウム毒素の解毒を確実にする。約90℃の高温でのペレット化は、特に飼料のサルモネラ負荷の満足できる低減を確実にするために、養鶏産業において非常に重要である。
用語「保存的変異」は、当業者によって保存されているとみなされる、即ち同様の特異的性質を有するとみなされる、またはアミノ酸の特性が維持される、即ち保存される、他のアミノ酸によるアミノ酸の置換のことを指す。アミノ酸の特異的性質は、例えば、これらのサイズ、極性、疎水性、電荷またはpKa値である。アミノ酸は、これらの特性に基づいてグループに分類することができ、グループは、ベン図で例示することができる。同じグループ由来のアミノ酸、好ましくは同じサブグループ由来のアミノ酸は、互いに置換されてもよい。グループおよびサブグループの特性:疎水性、極性およびサイズによるアミノ酸の分類は、Taylor W.R.(1986)から得ることができる。保存的または保存された変異により、例えば、酸性アミノ酸と別の酸性アミノ酸との置換、塩基性アミノ酸と別の塩基性アミノ酸との置換、極性アミノ酸と別の極性アミノ酸との置換などが考えられる。ポリペプチド変異体は、特に、少なくとも1つの位置に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換をさらに含んでよく、前記保存的アミノ酸置換は、GとAとの、AとG/Sとの、VとI/L/A/T/Sとの、IとV/L/Mとの、LとI/M/Vとの、MとL/I/Vとの、PとA/S/Nとの、FとY/W/Hとの、YとF/W/Hとの、WとY/F/Hとの、RとK/E/Dとの、KとR/E/Dとの、HとQ/N/Sの、DとN/E/K/R/Qとの、EとQ/D/K/R/Nとの、SとT/Aとの、TとS/V/Aとの、CとS/T/Aとの、NとD/Q/H/Sとの、およびQとE/N/H/K/Rとの置換からなる群から選択される。
規定された位置における本発明によるポリペプチド変異体中の置換が、例えば、Aspのような極性アミノ酸がAlaのような疎水性アミノ酸によって置換されているという結果になる場合、保存された変異には、この位置における別の疎水性アミノ酸(例えば、グリシン、ロイシン、フェニルアラニン、バリン)をもたらす任意の変異も含まれる。別の保存された変異を含むこのようなさらなるポリペプチド変異体も同様に包含される。
さらに本発明は、酸素非依存性および補因子が存在しない様式で少なくとも1種のフザリウム毒素を非毒性または低毒性生成物に切断でき、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して、温度安定性の増加を示す、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼのフザリウム毒素切断ポリペプチド変異体をコードするポリヌクレオチドを提供することを目的とする。
この目的を解決するために、本発明は、ポリヌクレオチドが、配列番号1のアミノ酸配列を有するフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼのフザリウム毒素切断ポリペプチド変異体をコードするヌクレオチド配列を含み、該ポリペプチド変異体が、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を含み、該ポリペプチド変異体が、10、33、66、107、140、144、149、151、157、199、266、267、270、272、275、280、284、286、293、302、312、329、332、360、363、364、365、367、371、372、377、389、391、394、418、419、424、427、429、430、436、440、443、447、453、455、456、457、462、463、464、465、469、473、478、487からなる群から選択される少なくとも1つの位置においてアミノ酸置換、特に、10Q、33E、66D、107E、140P、144M、149F、151R、157Y、199I、266S、267P、270F、272H、275E、275A、280D、280P、284T、284P、286P、286R、293E、302I、312F、329F、332E、360V、363T、364H、364L、365I、367H、371V、371M、372F、377V、389L、391V、394P、418A、419V、424A、424K、427V、429P、430A、436A、436S、440G、440S、443T、447A、453R、455S、456Q、457T、462Y、463D、464I、465H、465S、465G、469K、473A、478D、487Nおよび490Pまたはこれらの組み合わせの置換を含むことを特徴とする。このような単離されたポリヌクレオチドは、発現ベクターを使用することにより、本発明によるポリペプチド変異体の産生のためのトランスジェニック宿主細胞の生成を可能にする。
用語「発現ベクター」は、インビボまたはインビトロで遺伝子を発現できるDNA構築体を指す。特に、発現ベクターは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、ゲノムに組み込まれるか、または染色体外空間に自由に位置するように、ならびにポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を細胞内に発現し、任意選択により該ポリペプチドを細胞外に輸送するように、宿主細胞内に移入するために適したDNA構築体を包含する。
用語「宿主細胞」は、発現されるヌクレオチド配列または発現ベクターのいずれかを含み、本発明による酵素またはポリペプチドを産生することができる任意の細胞を指す。特に、これは原核細胞および/または真核細胞、好ましくはP.パストリス(P.pastoris)、大腸菌(E.coli)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、ハンセズラ属(Hansenula)、トリコデルマ属(Trichoderma)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、アスペルギルス属(Aspergillus)、植物細胞および/またはバチルス属、トリコデルマ属もしくはアスペルギルス属の胞子を意味する。本明細書で使用するピキア・パストリス(Pichia・pastoris)という名称は、コマガタエラ・パストリス(Komagataella pastoris)という名称と同義語であり、ピキア・パストリスは古いものであり、コマガタエラ・パストリスは体系的に新しい名称である(Yamadaら、1995)。
さらに本発明は、個々のポリペプチド変異体が、酸素非依存性および補因子が存在しない様式で少なくとも1種のフザリウム毒素を非毒性または低毒性生成物に切断して、配列番号46のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して、温度安定性の増加を有する、配列番号46のアミノ酸配列を有するフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼの少なくとも1種のフザリウム毒素切断ポリペプチド変異体を含むフザリウム毒素切断添加物を提供することを目的とする。
この目的を解決するために、本発明は、該フザリウム毒素切断添加物が、本発明によるフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼの少なくとも1種のポリペプチド変異体、および任意選択により少なくとも1種の補充物質を含むことを特徴とする。このような添加物をフザリウム毒素汚染飼料に添加することにより、フザリウム毒素の解毒が可能になり、解毒は、該添加物を与えられた対象の血漿および/または腎臓および/または肺および/または肝臓においてスフィンガニン対スフィンゴシン比の減少によって明確に測定することが可能である。
動物のさまざまな臓器および血漿中のスフィンガニン対スフィンゴシン比は、フザリウム毒素、特にFB1の毒性作用のための一般的に承認され、感度の高いバイオマーカーである。フザリウム毒素によって引き起こされるスフィンゴ脂質代謝の障害は、とりわけ、ウマの脳疾患またはブタの肺水腫に関連する。バイオマーカーとしてのスフィンガニン対スフィンゴシン比の関連性およびこの分析測定は、Grenierら(Biochem.Pharmaceuticals Vol.83(2012)p.1465−1473)およびEFSA Journal(2014;12(5):3667)に記載されている。
本発明のさらなる発展形態によれば、添加物は、補助物質が、不活性担体、ビタミン、ミネラル、植物性物質、マイコトキシンを解毒するための酵素および他の成分、例えばマイコトキシン分解酵素、特に、アフラトキシンオキシダーゼ、エルゴタミンヒドラーゼ、エルゴタミンアミダーゼ、ゼアラレノンエステラーゼ、ゼアラレノンラクトナーゼ、ゼアラレノンヒドラーゼ、オクラトキシンアミダーゼ、フモニシンアミノトランスフェラーゼ、アミノ−ポリオールアミノオキシダーゼ、デオキシニバレノールエポキシドヒドロラーゼ、デオキシニバレノールデヒドロゲナーゼ、デオキシニバレノールオキシダーゼ、トリコテセンデヒドロゲナーゼ、トリコテセンオキシダーゼ;マイコトキシン分解性微生物;ならびにマイコトキシン結合物質、例えば微生物細胞壁または無機物質、例えばベントナイトからなる群から選択されるように形成される。このような添加物の、例えば飼料または食品製品における使用により、含有され得る量のフザリウム毒素が、このような飼料または食品製品を摂取する対象生物へのいかなる有害作用も防止する程度に、確実に切断、特に解毒される。
本発明のさらなる適用分野としては、本発明による少なくとも1種のポリペプチド変異体に加えて、少なくとも1種の酵素、例えばタンパク質の分解に関与するプロテアーゼなどの酵素、またはデンプンもしくは繊維もしくは脂肪もしくはグリコーゲンの代謝に関与するアミラーゼ、セルロースもしくはグルカナーゼなどの酵素、ならびに例えば、ヒドラーゼ、脂肪分解酵素、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、フィターゼもしくはキシラナーゼを含む添加物が挙げられる。
さらに、本発明は、食品または飼料製品の製造または加工のために、工程中、特に少なくとも50℃の温度で少なくとも1種のフザリウム毒素を切断するための本発明による添加物の使用を目的とする。このような添加物の使用は、昇温における処理が重要な食品の技術的工程、例えば、トウモロコシまたは穀物の加工、デンプン液化工程、糖化工程、または発酵工程、例えば、特にバイオエタノール生産におけるマッシングまたは発酵工程の間のフザリウム毒素の解毒を確実にする。これによって、このような工程による任意の製品、例えば、飼料ペレット、パスタ、ポレンタ、ポップコーン、コーンフレーク、トウモロコシパン、トルティーヤ、DDGSまたはデンプン中に、フザリウム毒素の関連する量、特に健康を害する量はそのまま残らないことが保証される。
本発明はさらに、フザリウム毒素マイコトキシン症の予防および/または治療のための調製物に使用するためのポリペプチド変異体を提供することを目的とする。予防の場合、このようなポリペプチド変異体または添加物の使用により、フザリウム毒素を摂取したとしても、ヒトおよび動物の健康状態をフザリウム毒素を経口摂取しない、または経口摂取が少なかった健康状態に対応するレベルに実質的に維持することができるようになった。フザリウム毒素マイコトキシン症の治療に関しては、このような疾患の症状を緩和することが可能となり、特に臓器および/または血漿中のスフィンガニン対スフィンゴシン比を有意に改善できるようになった。さらに、このような使用により、家畜の能力、特に飼料変換率および体重増加、ならびに死亡率の低下を促進することができるであろう。
さらに、本発明は、少なくとも1種のフザリウム毒素を、ポリペプチドによって酸素非依存的、特異的、安全で信頼できる様式で、温度処理の間またはその後のいずれかで、非毒性または低毒性生成物に加水分解的に切断する、少なくとも1種のフザリウム毒素を酵素的に切断する方法を提供することを目的とする。
この目的を解決するために、本方法は、本発明によるポリペプチド変異体または本発明による添加物によって、少なくとも1種のトリカルバリル酸がフザリウム毒素から加水分解的に切断されるように実施される。この際、少なくとも1種のフザリウム毒素は、本発明による少なくとも1種のポリペプチド変異体または本発明による少なくとも1種の添加物と混合され、少なくとも1種のポリペプチド変異体は、少なくとも1種のトリカルバリル酸を少なくとも1種のフザリウム毒素から加水分解的に切断し、従ってフザリウム毒素を解毒し、個々のポリペプチド変異体とフザリウム毒素との混合物は少なくとも50℃、好ましくは少なくとも70℃の温度処理に供され、加水分解切断は、温度処理の間またはその後に実施される。
本発明の好ましいさらなる発展形態において、本方法は、ポリペプチド変異体または添加物が少なくとも1種のフザリウム毒素で汚染された飼料または食品製品と混合され、温度処理が任意選択によりペレット化工程によって行われるように実施される。これにより、汚染され、任意選択によりペレット化された飼料または食品製品中に含まれるフザリウム毒素は、ポリペプチド変異体とフザリウム毒素との混合物が水分と接触するとすぐに切断されることが確実である。マッシュまたはパルプのような湿った飼料または食品では、フザリウム毒素の加水分解は、経口摂取前の湿った飼料または食品中で起こる。これにより、ヒトおよび動物に対するフザリウム毒素の有害作用が、大幅に排除されるか、少なくとも低減されることが確実である。水分としては、水または水含有液体の存在が考えられるが、これには唾液または消化管に存在する他の液体も含まれる。消化管は、口腔、咽頭(咽喉)、食道および胃腸管またはこれらの同等物を含むと定義され、異なる名称が動物で見出されることもあり、または個々の成分が動物の消化管に存在しないこともある。
本発明の好ましいさらなる発展形態において、本方法は、ポリペプチド変異体が、飼料または食品1キログラム当たり5Uから500U、好ましくは10Uから300U、より好ましくは15Uから100Uの濃度範囲で使用されるように実施される。このような量のポリペプチド変異体を添加することにより、フザリウム毒素の濃度に応じて、食物または飼料製品、特にDDGS中のフザリウム毒素を切断し、これにより、少なくとも1種のフザリウム毒素の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に少なくとも90%が切断される程度にフザリウム毒素を解毒することが可能になった。
他に特定されない限り、「a」または「the」のような単数の表記は、例として理解されるべきであり、複数の選択肢を含むものとする。例えば、「遺伝子(a gene)」、「酵素(an enzyme)」または「細胞(a cell)」と呼ばれる場合、これは常に複数形を包含する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
ポリペプチド変異体
[実施例1]
フザリウム毒素切断ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの改変、クローニングおよび発現
QuikChange部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を使用したPCRを用いたヌクレオチド配列の変異によって、指示書に従ってアミノ酸置換、挿入または欠失を行った。または、完全なヌクレオチド配列も合成した(GeneArt)。PCR突然変異誘発により生成されたヌクレオチド配列およびGeneArtから得られたヌクレオチド配列を、大腸菌またはP.パストリスにおける発現のための発現ベクターに標準的方法により組み込み、大腸菌またはP.パストリスにおいて形質転換し、それぞれ、大腸菌またはP.パストリスにおいて発現させた(J.M.Cregg,Pichia Protocols,second Edition,ISBN−10:1588294293,2007;J.Sambrook et al.2012,Molecular Cloning,A Laboratory Manual 4th Edition,Cold Spring Harbor)が、他の任意の適切な宿主細胞もまた、この作業のために使用可能である。
用語「発現ベクター」は、インビボまたはインビトロで遺伝子を発現することができるDNA構築体を指す。特に、発現ベクターは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、ゲノムに組み込まれるか、または染色体外空間に自由に位置するように、ならびにポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を細胞内に発現し、任意選択により該ポリペプチドを細胞外に輸送するように、宿主細胞内に移入するために適したDNA構築体を包含する。用語「宿主細胞」は、発現されるヌクレオチド配列または発現ベクターのいずれかを含み、本発明による酵素またはポリペプチドを産生することができる任意の細胞を指す。特に、これは原核細胞および/または真核細胞、好ましくはP.パストリス(P.pastoris)、大腸菌(E.coli)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、ハンセズラ属(Hansenula)、トリコデルマ属(Trichoderma)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、アスペルギルス属(Aspergillus)、植物細胞および/またはバチルス属、トリコデルマ属またはアスペルギルス属の胞子を意味する。大腸菌の場合は可溶性細胞溶解物およびP.パストリスの場合は培養上清を用いて、それぞれポリペプチド変異体の触媒特性を決定した。
[実施例2]
フザリウム毒素分解ポリペプチドの触媒活性および比活性の決定
フザリウム毒素分解ポリペプチドをコードする対応する遺伝子を、標準的な方法を用いて大腸菌にクローン化し、細胞内で発現させ、続いて超音波処理によって溶解し、遠心分離した。透明な上清を0.1mg/lのウシ血清アルブミン(約10−3から10−5)を含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で希釈し、分解混合物中に含まれるFB1の量の10%から90%がポリペプチドにより分解されるようにFB1分解混合液に使用した。
触媒酵素活性を決定するために、0.1mg/lのウシ血清アルブミンを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)中で温度30℃において30分間、フモニシンB1(FB1)の加水分解切断試験を行った。さらに、混合物は、基質濃度100μMのFB1(Biopure Referenzsubstanzen GmbH Tulln、Austria、BRM 001007)および被験ポリペプチドの1つを含んだ。30分間のインキュベーションの後、混合物を99℃において5分間熱不活性化し、反応を停止させた。
飼料サンプルの酵素活性を決定するために、試験の前に飼料サンプルからフザリウム毒素形質転換ポリペプチド変異体を抽出しなければならない。この目的のために、10gの飼料を0.1mg/mlのウシ血清アルブミンを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)100mlに溶解し、150rpmにおいて1時間、20℃で振盪した。この後、サンプルを4000gで15分間遠心分離し、透明上清を必要に応じて希釈し(10−2から10−3)、FB1溶液に使用した。
FB1の定量は、Heinlらの方法(J.of Biotechnology,2010,145,pp.120−129,2.6.3.「Liquid chromatography−mass spectrometry」)に従ってLC−MS(液体クロマトグラフィー―質量分析法」)により実施した。この目的のために、完全な13C標識された内部FB1標準(Biopure Referenzsubstanzen GmbH Tulln、Austria)をさらに含むFB1標準による較正を行った。Heinlら(2010年)とは対照的に、FB1の分解のみを測定し、使用したポリペプチド溶液の触媒酵素活性を決定した。使用したポリペプチド溶液の触媒酵素活性は、単位/mlで示し、1「単位」を、試験において上記の反応条件下で1μmolのFB1の減少/分として定義する。
比活性を決定するために、定量的ウェスタンブロットまたはELISAによって酵素濃度を決定した。比酵素活性は、酵素の使用量を基準とした活性(単位)により算出し、単位/mgで示した。
[実施例3]
フザリウム毒素分解ポリペプチドの温度安定性
フザリウム毒素分解ポリペプチドの発現および定量は、実施例1および2に記載のように実施した。活性の決定に先立って、細胞溶解物の量を幾つかの部分(それぞれ60μl)に分けた。市販のPCRサイクラー(例えば、Eppendorf Matercycler Gradient)で、2から10の部分を5分間の熱処理に供し、各部分を異なる温度でインキュベートした。一方、もう1つの細胞溶解物部分、100%対照を氷上でインキュベートした。熱処理後、全てのサンプル/試験混合物を10℃において1分間インキュベートして温度を等しくした。熱処理したサンプルおよび100%対照の両方の酵素活性を、実施例2に記載したように決定した。熱処理後に残った活性を残留活性と称する。非熱処理の100%対照と比較して残留活性が50%である温度をT(50%)と略記し、ポリペプチドの温度安定性の尺度とする。
配列番号46または配列番号1のポリペプチドに対するポリペプチド変異体のT(50%)(摂氏で示される。)の増加は、それぞれ、温度安定性の増加の尺度である。T(50%)値の増加は、親ポリペプチドのT(50%)値と比較して、℃で、さらにはパーセントで示すことができる。以下の例は例示としてのものである:親酵素が、氷上で5分間インキュベートした後に50U/mlの触媒活性を有し、48℃で5分間インキュベートした後に25U/mlの触媒活性を有する場合、T(50%)の値は48℃である。ポリペプチド変異体が51℃のT(50%)値を有する場合、温度安定性(T(50%))の相対的増加は6.25である。これは、2つのT(50%)値の間の3℃の差を、親出発酵素のT(50%)値である48℃で割って100を乗じた値から生じる。
触媒活性の代わりに、比活性を使用して、温度安定性を決定することもできる。
温度安定性の決定は、代替の酵素アッセイによって、FB1反応の触媒活性を決定しなくても実施することができる。これに関して重要なことは、等量の熱処理ポリペプチドおよび100%対照の使用であり、これは、例えば、等体積の細胞溶解物の使用によって確保される。
触媒活性の代わりに、酵素分解アッセイの測定シグナル(例えば、MSシグナル、消光など)もまた、温度安定性を決定するために使用することができる。測定シグナルが酵素活性(例えば、反応したFB1のピーク表面)に直接比例する場合、ポリペプチドのT(50%)値は、熱処理されたポリペプチドの測定シグナルの値が、ポリペプチドの100%対照の測定シグナルの値の50%を含む温度である。
配列番号46のポリペプチドの温度安定性(T(50%))は42℃であり、配列番号1のポリペプチドの温度安定性は45℃であると決定された。従って、N末端配列を切断することによって達成され得る温度安定性の相対的増加は、約7%であった。さらに、配列番号46の親ポリペプチドに対する配列番号1のポリペプチドの酵素活性の増加もまた決定することができた。
配列番号1のポリペプチドの温度安定性は、個々のアミノ酸の選択的置換によってさらに増加させることができた。配列番号1の親ポリペプチドと比較したこれらのポリペプチド変異体の温度安定性の相対的増加を表1に示す。
Figure 2018506993
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[実施例4]
フザリウム毒素分解ポリペプチドの温度依存性活性(温度活性)
温度依存性活性について試験されるべきフザリウム毒素分解ポリペプチド変異体を、試験実施の前に精製した。この目的のために、ポリペプチド変異体を、アニオン交換クロマトグラフィーおよびその後のサイズ排除クロマトグラフィーを使用する2段階工程で発酵上清から精製した。ポリペプチド変異体を1mg/mlの濃度に調整し、反応体積1ml中10−5から10−6の希釈率で反応混合物に使用した。活性の決定を、FB1の加水分解およびその後のLC−MSによるFB1の定量による実施例3に記載の試験を異なる温度で行って、活性の決定を行った。インキュベーションは、2つの加熱ブロック(Eppendorf、ThermoMixer)を使用して、10℃、20℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃および70℃の温度において実施した。熱曝露の開始から30分後、100μlの反応混合物をそれぞれ採取し、99℃で5分間加熱不活性化した。加熱ブロックにおいて30℃で行った試験は、100%対照として機能した。例示的な結果を表2に示す。
Figure 2018506993
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[実施例5]
フザリウム毒素分解ポリペプチドのペレット化安定性の決定
選択されたポリペプチド変異体を、制御された好気性条件下で標準的な方法を用いてバイオリアクター内でピキア・パストリスにクローン化し、細胞外分泌させた。透明上清をバイオマスから分離し、担体物質(マルトデキストリン)を添加し、噴霧乾燥機を用いてペレット化可能な粉末に加工した。パウダー形態で存在するフザリウム毒素分解ポリペプチド変異体をそれぞれ100U/kgの同じ濃度で子豚飼育飼料に混合し、制御された工程で飼料ペレットを加工した。ペレット化工程の間、飼料を熱蒸気処理によって湿らせ、正確に規定された温度(5℃ステップで75から95℃)で個々のバッチにおいて加熱した。この調製段階に続いて、適切なペレット化工程が行われた。ペレットに含まれるフザリウム毒素分解ポリペプチド変異体の残留活性を、個々のフザリウム毒素分解ポリペプチド変異体を含有する非ペレット化飼料を100%対照として機能させ、実施例2に記載のように決定した。従って、ペレット化工程の後に残る酵素活性を残留活性として定義する。値を表3に示す。
Figure 2018506993
本発明は、フザリウム毒素切断ポリペプチド変異体、これを含有する添加物、および前記ポリペプチド変異体および/または前記添加物の使用、ならびに前記ポリペプチド変異体および/または前記ポリペプチド変異体を含有する前記添加物によるフザリウム毒素の切断方法に関する。
マイコトキシンは、植物系農産物に非常に頻繁に発生し、マイコトキシンの種類および濃度に応じて、特に農産物から生産された食品および飼料ならびにこのような食品および飼料で栄養を与えられたヒトおよび動物に重大な経済的損失をもたらし、このような被害は極めて多様である。動物およびヒトの栄養、動物育種、飼料および食品生産物の加工などの分野においてマイコトキシンによって引き起こされるいかなる損失をも大きく防ぐために、マイコトキシンの無害化、即ち解毒または分解を試みる多くの方法が既に開発されている。
マイコトキシンの顕著な群としては、フザリウム毒素が挙げられ、「フザリウム毒素」または「フザリウム毒素類」という用語は同等であり、それぞれが、カビ菌フザリウム(Fusarium)属によって産生されるフモニシンならびにこれらの誘導体および分解産物の少なくとも1種もしくは数種、または全体、特に、フモニシンA1−2(FA1−2)、フモニシンB1−4(FB1−4)、フモニシンC1、2、4(FC1、FC2、FC4)およびHFC1ならびに部分的に加水分解されたフモニシンFA1−2、FB1−4、FC1−2、FC4およびHFC1を指す。部分的に加水分解されたフモニシンは、ただ1つのトリカルバリル酸残基を含み、FA1−2、FB1−4、FC1−2、FC4およびHFC1は、2つのトリカルバリル酸残基を含む。さらに、構造的に類似したトマトアルターナリア茎枯病菌(Alternaria alternata lycopersici)(AAL)毒素もフザリウム毒素の群に包含され、AAL毒素は、AAL−TA1(CAS番号79367−52−5)、AAL−TA2(CAS番号79367−51−4)、AAL−TB1(CAS番号176590−32−2)およびAAL−TB2(CAS番号176705−51−4)にさらに細分化される。FA1−2、FB1−4、FC1−2、FC4、HFC1は以下の構造式を有する:
Figure 2018506993
Figure 2018506993
FB1は、フザリウム毒素の群のうち最も頻繁に出現する毒素であるが、ヒトおよび動物において同様に毒性作用を有する多くの誘導体および関連分子が知られている。ヒトまたは動物においてマイコトキシンの摂取によって引き起こされる疾患は、マイコトキシン症(mycotoxicoses)と呼ばれ、さらにフザリウム毒素の場合にはフザリウム毒素マイコトキシン症(fusarium toxin mycotoxicoses)と呼ばれる。従って、フザリウム毒素は、酵素セラミドシンターゼと相互作用することによってスフィンゴ脂質代謝を損なうことが知られている。スフィンゴ脂質は、細胞膜の構成要素であるだけでなく、炎症過程または細胞内輸送過程において、細胞成長、細胞遊走および細胞結合などの多くの基本的細胞過程においてシグナル分子およびメッセンジャー分子として重要な役割を果たす。スフィンゴ脂質代謝の障害のために、フザリウム毒素は、さまざまな動物種およびさらにヒトに対する毒性作用の原因となっている。従って、フザリウム毒素が、げっ歯類において発癌性に作用する免疫抑制効果を有し、疫学的データによりヒトの食道癌および神経管欠損に関連していることが実証され得る。フザリウム毒素は、さまざまな動物種、例えばブタの肺水腫によって引き起こされる典型的な中毒症の原因となっている。フザリウム毒素マイコトキシン症の例には、フモニシン中毒によって引き起こされるウマの白質脳軟化症またはブタの肺水腫などの神経毒性疾患が含まれる。フザリウム毒素による汚染は、さまざまな穀物、特にトウモロコシ、ナッツおよび野菜にほとんど偏在しているため、ヒトおよび動物の健康に対するこれらの強い悪影響は無視してはならない。
フモニシンの微生物分解は、EP−A1 860 954に既に記載されており、これによれば、フモニシンの解毒のために精密に規定された菌株から選択された解毒性細菌または酵母を飼料に添加することによって、フモニシンおよびフモニシン誘導体を解毒するために微生物が使用される。
フモニシンおよびこれを担う遺伝子および酵素の生物学的分解のための異化代謝経路も既に記載されている。従って、例えば、EP0 988 383は、フモニシン解毒組成物および方法を記載しており、使用されるフモニシン分解酵素は、酵素活性に分子状酸素を必要とするアミンオキシダーゼを使用してフモニシンの解毒がもたらされるトランスジェニック植物においてとりわけ産生される。
さらに、WO2004/085624には、トランスアミナーゼ、デアミナーゼおよびアミノムターゼ、ならびにアミノ化毒素、例えばフモニシンの酵素による解毒方法が記載されている。これに関連して、デアミナーゼ活性を有するポリペプチドが解毒に使用される。
上記の生成物または方法は、マイコトキシンの解毒のために分子状酸素および必要に応じて補因子を必要とし、特に、引用されたアミノオキシダーゼは、酸素が存在しない反応条件下では全く効果を示さないという欠点を伴う。
EP−A2 326 713は、酸素非依存性で補因子が存在しない酵素反応においてフモニシンを分解できる添加物およびこの調製方法に関する。しかし、主に解毒を担う該明細書に記載の酵素、即ちカルボキシルエステラーゼの温度安定性は低く、従って、添加物、つまり配列番号46のカルボキシルエステラーゼは、昇温における適用に適していない。
食品産業および飼料産業では、衛生製品の生産および微生物負荷の低減のための熱処理が極めて重要である。この点に関して、流動性を高め、粉塵形成を減少させ、微生物負荷、特にサルモネラ菌を低下させるなどの複数の理由のために、飼料のペレット化は特に広範に広がり、既に標準化された工程を構成している。ペレット化工程の間、商品は通常熱蒸気処理により湿らせられ、加熱され、続いて加圧下で型によりプレスされる。食品または飼料をペレット化するための添加物としてのポリペプチドまたは酵素の使用は、通例酵素またはポリペプチドが昇温に感受性であるため、技術的課題となる。酵素またはポリペプチドの熱処理は、これらの比活性の低下および/または不可逆的変性をもたらし得る。これに対抗する方法は、例えばWO92/12645に記載のようなタンパク質のカプセル化またはコーティングである。これによって、熱の影響からタンパク質を保護することが可能であるが、このアプローチは、タンパク質が口腔胃腸系において十分迅速に放出されず、従って、緩慢すぎるか、または全く効果を発揮しないというリスクを伴う。温度安定性の低さのために、フザリウム毒素を解毒するためのこれまで知られているポリペプチドは、事前カプセル化または事前コーティングしなければペレット化される飼料または食品に混合することができない。
昇温におけるフザリウム毒素の解毒が必須である技術的工程としては、パスタおよびポレンタ、ポップコーン、コーンフレーク、トウモロコシパンまたはトルティーヤなどの他のトウモロコシ製品の製造、デンプン液化工程、糖化工程または発酵工程、特にバイオエタノールの生産におけるマッシングまたは発酵工程などが挙げられる。この点に関して、このような工程によって製造される食品または飼料が、有害な量のフザリウム毒素を含まないことを確実にすることが重要である。現在知られているポリペプチドは、問題の工程温度においてこれらの活性が最小限であるかまたは存在しないために、このような工程で使用することができない。
欧州特許第1860954号明細書 欧州特許第0988383号明細書 国際公開第2004/085624号 欧州特許第2326713号明細書 国際公開第92/12645号
従って、酵素反応が酸素も補因子も必要とせず、さらに酵素またはポリペプチドが、昇温において技術的工程に使用可能な十分な温度安定性および十分な温度活性を示す、フザリウム毒素の特異的で安全で信頼性のある切断、特に解毒のための酵素および/またはポリペプチドの必要性が存在する。
従って、本発明は、酸素非依存性および補因子が存在しない様式で少なくとも1種のフザリウム毒素を非毒性または低毒性産物に切断でき、配列番号46のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して、温度安定性の増加および温度活性の増加を有する、配列番号46のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼのフザリウム毒素切断ポリペプチド変異体を提供することを目的とする。
この目的を解決するために、本発明は、ポリペプチド変異体の各々がN末端において47アミノ酸切断されたアミノ酸配列を有し、該アミノ酸配列が、配列番号46のアミノ酸配列セクション48から540と少なくとも70%、好ましくは80%、特に好ましくは100%の配列同一性、即ち配列番号1を共有すること、配列番号46のポリペプチドの温度安定性(T(50%)は、42℃であると決定されること、配列番号1のポリペプチド変異体または配列番号1の親酵素と比較したT(50%)の相対的な増加を有する配列番号1の改変体の温度安定性は、45℃であると決定されること、10、33、66、107、140、144、149、151、157、199、266、267、270、272、275、280、284、286、293、302、312、329、332、360、363、364、365、367、371、372、377、389、391、394、418、419、424、427、429、430、436、440、443、447、453、455、456、457、462、463、464、465、469、473、478、487および490からなる群から選択される少なくとも1つの位置において、アミノ酸置換が、改変として含まれること、位置10および456におけるアミノ酸置換は、Q、E、N、H、KおよびRから選択され、位置33、107、293および332におけるアミノ酸置換は、E、Q、D、K、RおよびNから選択され、位置66、463および478におけるアミノ酸置換は、D、E、K、N、QおよびRから選択され、位置140および490におけるアミノ酸置換は、P、A、SおよびNから選択され、位置144および367におけるアミノ酸置換は、I、L、MおよびVから選択され、位置149、270、312、329および372におけるアミノ酸置換は、F、Y、WおよびHから選択され、位置151および453におけるアミノ酸置換は、D、E、KおよびRから選択され、位置157および462におけるアミノ酸置換は、F、H、WおよびYから選択され、位置199、302、365および464におけるアミノ酸置換は、I、L、MおよびVから選択され、位置266および455におけるアミノ酸置換は、A、SおよびTから選択され、位置267、394および429におけるアミノ酸置換は、A、N、PおよびSから選択され、位置272におけるアミノ酸置換は、H、N、QおよびSから選択され、位置275におけるアミノ酸置換は、A、D、E、G、K、N、Q、RおよびSから選択され、位置280におけるアミノ酸置換は、A、D、E、K、N、P、Q、RおよびSから選択され、位置284におけるアミノ酸置換は、A、N、P、S、TおよびVから選択され、位置286におけるアミノ酸置換は、A、D、E、K、N、P、RおよびSから選択され、位置360、377、391、419および427におけるアミノ酸置換は、A、I、L S、TおよびVから選択され、位置363、443および457におけるアミノ酸置換は、A、S、TおよびVから選択され、位置364におけるアミノ酸置換は、H、I、L、M、N、Q、SおよびVから選択され、位置371におけるアミノ酸置換は、A、I、L、M、S、TおよびVから選択され、位置389におけるアミノ酸置換は、I、L、MおよびVから選択され、位置418、430、447および473におけるアミノ酸置換は、A、GおよびSから選択され、位置424におけるアミノ酸置換は、A、D、E、G、K、RおよびSから選択され、位置436におけるアミノ酸置換は、A、G、SおよびTから選択され、位置440におけるアミノ酸置換は、A、G、SおよびTから選択され、位置465におけるアミノ酸置換は、A、G、H、N、Q、SおよびTから選択され、位置469におけるアミノ酸置換は、D、E、KおよびRから選択され、ならびに/または、位置487におけるアミノ酸置換は、N、D、Q、HおよびSから選択されること、を特徴とする、配列番号46のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼのフザリウム毒素切断ポリペプチド変異体によって本質的に特徴付けられる。驚くべきことに、配列番号46に対して47アミノ酸切断されたアミノ酸配列は、前記配列よりも有意に活性が高く、前記配列と比較して温度安定性の増加を有することが判明した。
配列番号1のポリペプチド変異体、特に配列番号1と少なくとも70%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を有し、10、33、66、107、140、144、149、151、157、199、266、267、270、272、275、280、284、286、293、302、312、329、332、360、363、364、365、367、371、372、377、389、391、394、418、419、424、427、429、430、436、440、443、447、453、455、456、457、462、463、464、465、469、473、478、487および490からなる群から選択される少なくとも1つの位置においてアミノ酸置換を含むポリペプチド変異体を形成することにより、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼの温度安定性と比較して少なくとも4%の温度安定性の増加が達成される。フザリウム毒素切断特性を有するこのようなポリペプチド変異体の使用は、例えば技術的工程の間に昇温においてフザリウム毒素の解毒を可能にした。これは、特に、温度安定性に加えて温度活性も強化されることによって可能になる。特に、この結果として、例えばコンテナ内での輸送中にも起こり得るような昇温ストレスにおいても、ポリペプチド変異体の酵素活性の維持が守られる。
本発明によれば、位置10および456におけるアミノ酸置換が、Q、E、N、H、KおよびRから選択され、位置33、107、293および332におけるアミノ酸置換が、E、Q、D、K、RおよびNから選択され、位置66、463および478におけるアミノ酸置換が、D、E、K、N、QおよびRから選択され、位置140および490におけるアミノ酸置換が、P、A、SおよびNから選択され、位置144および367におけるアミノ酸置換が、I、L、MおよびVから選択され、位置149、270、312、329および372におけるアミノ酸置換が、F、Y、WおよびHから選択され、位置151および453におけるアミノ酸置換が、D、E、KおよびRから選択され、位置157および462におけるアミノ酸置換が、F、H、WおよびYから選択され、位置199、302、365および464におけるアミノ酸置換が、I、L、MおよびVから選択され、位置266および455におけるアミノ酸置換が、A、SおよびTから選択され、位置267、394および429におけるアミノ酸置換が、A、N、PおよびSから選択され、位置272におけるアミノ酸置換が、H、N、QおよびSから選択され、位置275におけるアミノ酸置換が、A、D、E、G、K、N、Q、RおよびSから選択され、位置280におけるアミノ酸置換が、A、D、E、K、N、P、Q、RおよびSから選択され、位置284におけるアミノ酸置換が、A、N、P、S、TおよびVから選択され、位置286におけるアミノ酸置換が、A、D、E、K、N、P、RおよびSから選択され、位置360、377、391、419および427におけるアミノ酸置換が、A、I、L S、TおよびVから選択され、位置363、443および457におけるアミノ酸置換が、A、S、TおよびVから選択され、位置364におけるアミノ酸置換が、H、I、L、M、N、Q、SおよびVから選択され、位置371におけるアミノ酸置換が、A、I、L、M、S、TおよびVから選択され、位置389におけるアミノ酸置換が、I、L、MおよびVから選択され、位置418、430、447および473におけるアミノ酸置換が、A、GおよびSから選択され、位置424におけるアミノ酸置換が、A、D、E、G、K、RおよびSから選択され、位置436におけるアミノ酸置換が、A、G、SおよびTから選択され、位置440におけるアミノ酸置換が、A、G、SおよびTから選択され、位置465におけるアミノ酸置換が、A、G、H、N、Q、SおよびTから選択され、位置469におけるアミノ酸置換が、D、E、KおよびRから選択され、ならびに/または、位置487におけるアミノ酸置換が、N、D、Q、HおよびSから選択されると、特に強力な温度安定性の増加が達成され、ここで、引用された位置に元から存在するアミノ酸はいずれの場合も置換されている。
用語「カルボキシルエステラーゼ」は、水を用いてカルボン酸エステル化合物をそれぞれのアルコール化合物およびカルボン酸化合物に切断することができる任意の酵素、ポリペプチドまたはポリペプチド変異体を指す。用語「フザリウム毒素カルボキシルエステラーゼ」は、少なくとも1つのトリカルバリル酸(プロパン−1,2,3−トリカルボン酸)を加水分解的に切断することによって、少なくとも1つのフザリウム毒素を加水分解できる任意の酵素、ポリペプチドまたはポリペプチド変異体を指す。本明細書に記載の「フザリウム毒素切断特性」は、少なくとも1つのフザリウム毒素から、特にFA1−2、FB1−4、FC1−2、FC4、HFC1、AAL−TA1−2およびAAL−TB1−2またはこれらの誘導体または分解生成物から、少なくとも1つのトリカルバリル酸残基を加水分解的に切断する能力を指す。
以下に使用する用語は、技術用語から引用したものであり、特に明記しない限り、それぞれ従来の意味で使用される。従って、用語「ポリヌクレオチド」は、調節エレメント、構造エレメント、遺伝子、プラスミド、全ゲノムの群およびこれらの断片を含む一本鎖および二本鎖のDNAおよびRNA分子などの任意の長さおよび配列の任意の種類の遺伝物質を指す。用語「ポリペプチド」は、ペプチドインヒビター、タンパク質ドメインなどの500個までのアミノ酸を有する酵素、抗体およびポリペプチドなどのタンパク質、さらには受容体、リガンド、ペプチドホルモン、タグなどの配列長が短い、例えば、アミノ酸10個未満の短鎖ポリペプチドを含む。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドにおける用語「位置」は、前記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列中の単一の特定の塩基またはアミノ酸をそれぞれ指す。アミノ酸の名称は、当業者によく知られている1文字または3文字のコードで略記される。
「単位」または「U」という用語は、酵素、ポリペプチドまたはポリペプチド変異体の触媒活性の尺度を指し、規定された条件下で1分間に反応または切断される基質、即ちこの場合フモニシンB1のマイクロモル(μmol)の数として定義される。従って、少なくとも1つのトリカルバリル酸残基が15分以内に60μmolのFB1から切断される場合、これは4単位の触媒活性に相当する。FB1切断のために、反応条件を以下のように定義する:反応は、0.1mg/mlのウシ血清アルブミンを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)中で30℃の温度において30分間実施する。反応中の基質濃度は100μMのFB1である。
酵素またはポリペプチド溶液またはポリペプチド変異体の溶液の「触媒活性」、「触媒酵素活性」または「活性」により、酵素またはポリペプチド溶液またはポリペプチド変異体の溶液の酵素濃度が定義され、単位/溶液1ミリリットルが示される。
用語「比活性」は、酵素、ポリペプチドまたはポリペプチド変異体1ミリグラム当たりの触媒活性として定義され、酵素溶液の触媒活性と前記溶液中の酵素の質量濃度(質量/単位体積)との比から計算される。例えば酵素溶液の触媒活性が50U/mlおよび質量濃度が1mg/mlの場合、この比活性は50U/mgである。
用語「温度安定性」は、酵素、ポリペプチドまたはポリペプチド変異体が一時的に昇温に曝された(プレインキュベーション)後の触媒活性を維持する特性を指す。温度安定性は、酵素またはポリペプチド溶液またはポリペプチド変異体の溶液の活性を、同一の定義された条件で5分間の熱処理後と非熱処理とで測定し、比較することによって決定される。従って、温度安定性は、一時的な熱曝露に対する酵素の耐性の尺度である。非熱処理の100%対照と比較して、熱処理酵素の残留活性が50%である温度が温度安定性の尺度であり、T(50%)と略記される。例えば、酵素溶液の活性がプレインキュベーションなしで50U/mlであり、50℃において5分間のプレインキュベーション後に25U/mlである場合、該酵素の温度安定性は50℃であるか、または該酵素は50℃まで温度安定である。配列番号1の親ポリペプチドに対するポリペプチド変異体のT(50%)の増加は、温度安定性の増加の尺度として定義され、パーセンテージ値として相対的に、または摂氏で絶対的に示すことができる。
用語「温度活性」は、酵素、ポリペプチドまたはポリペプチド変異体が最も高い活性を示す温度として定義され、触媒活性は30分間にわたって測定される。
用語「ポリペプチド変異体」または「変異体」は、特に、配列番号46と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を有し、酵素機能、即ちフザリウム毒素切断特性が維持されたままであるポリペプチド配列を指す。さらに、「ポリペプチド変異体」は、配列番号46のポリペプチド配列と比較して、アミノ酸の挿入または欠失、特にCまたはN末端が伸長または切断された配列をさらに含み得る。酵素反応の機序が不変のままである場合、即ちフザリウム毒素が同じ部位において加水分解され、変異体の比活性が、元の配列番号46の親ポリペプチドに基づいて、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも90%、特に>100%である場合、酵素機能は実質的に維持される。
規定された位置におけるアミノ酸置換は、以下の命名法によって表される:元のアミノ酸;位置;新しいアミノ酸。例えば、グリシンが134位のプロリンを置換する場合、これはPro134GlyまたはP134Gによって示される。複数の変異は、プラス記号またはスラッシュで区切られる。例えば、プロリンが134位においてグリシンにより置換され、アルギニンが136位においてリジンにより置換されている場合、これはそれぞれPro134Gly+Arg136LysもしくはPro134Gly/Arg136LysまたはP134G+R136KもしくはP134G/R136Kによって示される。アミノ酸が1つの位置で2または数種の代替アミノ酸によって置換される場合、代替アミノ酸はコンマまたはスラッシュで区切られる。例えば、プロリンが134位においてグリシンだけでなくセリン、バリンおよびメチオニンによっても置換される場合、これはPro134Gly,Ser,Val,MetもしくはPro134Gly/Ser/Val/MetまたはP134G,S,V,MもしくはP134G/S/V/Mによって示される。例えば、規定された位置におけるアミノ酸の置換または交換が詳細に定義されていない場合、これは前記アミノ酸が任意の他のアミノ酸によって置換され得ると解釈すべきである。例えば、134位のプロリンの変異が詳細に定義されていない場合、プロリンは以下のアミノ酸:A、R、N、D、C、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、S、T、W、YまたはVのうちの1つによって置換され得る。
用語「配列同一性」は、パーセント配列同一性を指す。アミノ酸配列およびヌクレオチド配列に関しては、配列同一性は視覚的に決定することができ、さらに好ましくはコンピュータプログラムによって計算することができる。配列番号1の配列を有するアミノ酸配列は、参照配列として定義される。配列比較はまた、配列セクション内で行われ、セクションは参照配列の連続配列を意味する。通常、ヌクレオチド配列の配列セクションの長さは、18から600、好ましくは45から200、より好ましくは100から150ヌクレオチドである。通常、ペプチド配列の配列セクションの長さは、3から200、より好ましくは15から65、最も好ましくは30から50アミノ酸である。相同性の決定に使用することができ、常に更新される購入可能または費用をかけずに利用可能な複数のバイオインフォマティクスプログラムが存在する。例としては、GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(Devereuxら、1984年)、BLAST(Altschulら、1990年)またはBLAST 2(Tatusova und Madden 1999年)が挙げられる。これらのアルゴリズムの調整オプションの違いにより、同じ入力配列で異なる結果が出力されることが起こり得る。従って、検索アルゴリズムとそれぞれの設定を定義する必要がある。本件の場合、配列同一性は、NCBI BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)、特にポリペプチドにはBLASTPおよびポリヌクレオチドにはBLASTNプログラムを用いて評価し、これらは、米国立バイオテクノロジー情報センター(National Center of Biotechnology Information)のウェブサイト(NCBI;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)で利用可能である。これにより、Altschulら、1997(Nucleic Acids Res.,25:3389−3402)のアルゴリズムに従って、2つまたは数個の配列を互いに比較することが可能である。本件の場合、2014年8月12日のプログラムバージョンを使用した。プログラム設定として基本設定を、詳細にはアミノ酸比較のためには:「max target sequence」=100;「expected threshold」=10;「word size」=3;「matrix」=BLOSOM62;「gap costs」=「Existence:11;Extension:1」;「computational adjustment」=「Conditional compositional score matrix adjustment」;ならびにヌクレオチド配列比較のためには:Word Size:11;Expect value:10;Gap costs:Existence=5、Extension=2;Filter=low complexity activated;Match/Mismatch Scores:2,−3;Filter String:L;mを適用した。
本発明の好ましいさらなる発展形態によれば、アミノ酸置換は、10Q、33E、66D、107E、140P、144M、149F、151R、157Y、199I、266S、267P、270F、272H、275E、275A、280D、280P、284T、284P、286P、286R、293E、302I、312F、329F、332E、360V、363T、364H、364L、365I、367H、371V、371M、372F、377V、389L、391V、394P、418A、419V、424A、424K、427V、429P、430A、436A、436S、440G、440S、443T、447A、453R、455S、456Q、457T、462Y、463D、464I、465H、465S、465G、469K、473A、478D、487Nおよび490Pからなる群から選択される。ポリペプチド変異体が少なくとも1つのこのような置換を含むと、温度安定性および温度活性をさらにより選択的に増強することができ、比活性、pH安定性またはpH活性などの他の酵素パラメータも同様に改善することができ、少なくとも配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼの値を示す。
本発明のさらなる発展形態によれば、ポリペプチド変異体は、66、199、302、377、394、424、430および463からなる群から選択される少なくとも1つの位置にそれぞれアミノ酸置換を含み、温度安定性は、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して少なくとも6%増加される。このようなポリペプチド変異体は、昇温における技術的工程の間、例えば、パスタおよびポレンタ、ポップコーン、コーンフレーク、トウモロコシパンまたはトルティーヤなどの他のトウモロコシ製品の製造、デンプン液化工程、糖化工程または発酵工程、特にバイオエタノールの生産におけるマッシングまたは発酵工程などの間に、フザリウム毒素の切断が可能である。
本発明の好ましいさらなる発展形態によれば、アミノ酸置換は、66D、199I、302I、377V、394P、424A、430Aおよび463Dからなる群から選択される。このような置換は、ポリペプチド変異体の温度安定性および温度活性を、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して少なくとも3℃増加させることが可能である。
本発明のさらなる発展形態によれば、ポリペプチド変異体は、10、33、66、107、140、144、149、151、157、199、266、267、270、272、275、280、284、286、293、302、312、329、332、360、363、364、365、367、371、372、377、389、391、394、418、419、424、427、429、430、436、440、443、447、453、455、456、457、462、463、464、465、469、473、478、487および490からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも2つ、特に3つの位置においてそれぞれアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、10Q、66D、144M、151R、199I、266S、267P、272H、275E、275A、280D、284T、286P、286R、293E、302I、360V、363T、364H、364L、365I、367H、371V、371M、372F、377V、389L、391V、394P、418A、419V、424A、424K、427V、429P、430A、436A、436S、440G、440S、443T、447A、453R、455S、456Q、457T、462Y、463D、464I、465H、465S、465G、469K、473A、478D、487Nおよび490Pからなる群から選択され、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して少なくとも15%温度安定性を増加させる。驚くべきことに、幾つかのアミノ酸を置換することにより、温度安定性へのこれらの有益な効果はほぼ付加的であり、温度安定性は、配列中に元から存在するアミノ酸とは異なる少なくとも3つのアミノ酸を挿入することによって7℃超増加される。このような増加は、例えばバイオエタノールの製造において55℃でのマッシュ休止、または約65から70℃の中程度の温度での飼料ペレット化のための酵素の使用に十分である。
本発明のさらなる発展形態によれば、ポリペプチド変異体のアミノ酸配列は幾つかのアミノ酸置換の組み合わせを含み、この位置の組み合わせは、
66/199/302/394/424/430、
66/199/302/377/394/424/430、
66/199/302/377/394/424/430/463、
66/144/199/302/360/372/377/394/424/430/443/463、
199/302/377/394/424/430/463、
66/199/302/377/394、
66/199/302/364/377/394/424/430/463、
66/199/302/377/394/424/430/463/465、
66/199/302/377/394/424/430/440/463、
66/199/302/377/394/424/430/447/463、
66/199/302/377/394/418/424/430/463、
66/199/302/377/394/424/436/430/463、
66/199/302/364/377/394/424/430/463、
66/199/302/377/394/424/430/463/490、
66/199/302/377/394/424/430/463/469、
66/199/302/377/389/394/424/430/463、
66/199/302/377/394/424/430/463/465、
66/199/302/377/394/424/430/463/464、
66/199/302/377/394/424/430/463/465、
66/199/302/377/394/424/430/440/463、
66/199/302/377/394/424/430/457/463、
66/199/302/377/394/424/430/436/463、
66/199/302/363/371/377/394/424/430/463、
66/199/302/377/394/424/430/447/453/463、
66/199/302/377/394/424/430/456/462/463、
66/199/302/377/394/419/424/427/430/463、
66/199/302/365/377/394/424/430/463/487、および
66/199/302/371/377/394/424/430/463/487
からなる群から選択される。このように置換されたポリペプチド変異体は、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して少なくとも25%の温度安定性の増加を示す。このような置換の組み合わせは、ポリペプチド変異体の温度安定性だけでなく、温度活性のさらなる増加を可能にする。
本発明の好ましいさらなる発展形態によれば、ポリペプチド変異体のアミノ酸配列は、配列番号2から29からなる群から選択される。このようなポリペプチド変異体は、配列番号1の酵素と比較して、少なくとも11℃、好ましくは少なくとも13℃、さらにより好ましくは少なくとも15℃の温度安定性の増加を有し、個々のポリペプチドの活性および、従って、昇温負荷での技術的工程、例えば、バイオエタノールの生産における65℃でのマッシュ休止または約75から80℃の温度でのペレット化の間またはその後のフザリウム毒素の解毒を保証する。
本発明のさらなる発展形態によれば、ポリペプチド変異体のアミノ酸配列はそれぞれ幾つかのアミノ酸置換の組み合わせを含み、この位置の組み合わせは、
66/99/302/364/377/389/394/419/424/427/430/447/463/465/469、
66/199/302/377/389/394/419/424/427/430/447/463/465/469、
66/199/302/363/364/371/377/389/394/419/424/427/430/447/463/464/465/469、
66/199/302/363/371/377/389/394/419/424/427/430/447/463/464/465/469、
66/199/302/364/367/371/377/389/394/418/419/424/427/430/436/440/447/463/464/465/469/490、
66/199/302/367/371/377/389/394/418/419/424/427/430/436/440/447/463/464/465/469/490、
66/199/302/363/367/371/377/394/424/430/463/490、
66/199/302/377/394/418/419/424/427/430/436/440/447/463、
66/199/302/377/389/394/424/430/457/463/464/465/469、
66/199/302/363/371/377/389/394/419/424/427/430/440/447/457/463/464/469/490、
66/199/302/377/394/424/430/463/447/490/469/465、
66/199/302/377/394/424/430/463/490/469/465/419/427/371/487、
66/199/302/371/377/394/419/424/427/430/447/453/463/465/469/487/490、
66/199/302/367/371/377/389/394/418/419/424/427/429/430/436/440/447/457/463/464/465/469/490、
66/199/302/371/377/389/394/419/424/427/430/436/447/453/456/462/463/465/469/490/487、および
66/199/302/367/371/377/389/394/418/419/424/427/429/430/436/440/447/453/456/457/462/463/464/465/469/487/490
からなる群から選択される。これらのポリペプチド変異体は、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して、少なくとも40%の温度安定性の増加、および温度活性の増加を示し、昇温を必要とする複数の方法に使用可能である。
本発明の好ましいさらなる発展形態によれば、ポリペプチド変異体のアミノ酸配列は、配列番号30から45からなる群から選択される。このようなポリペプチド変異体は、配列番号1の酵素と比較して、少なくとも18%、好ましくは少なくとも22℃、より好ましくは少なくとも27℃の温度安定性の増加を示し、ポリペプチドの活性および、従って、高温負荷での技術的工程、例えば、80℃超、特に85から90℃超の温度でのペレット化の間またはその後のフザリウム毒素の解毒を確実にする。約90℃の高温でのペレット化は、特に飼料のサルモネラ負荷の満足できる低減を確実にするために、養鶏産業において非常に重要である。
用語「保存的変異」は、当業者によって保存されているとみなされる、即ち同様の特異的性質を有するとみなされる、またはアミノ酸の特性が維持される、即ち保存される、他のアミノ酸によるアミノ酸の置換のことを指す。アミノ酸の特異的性質は、例えば、これらのサイズ、極性、疎水性、電荷またはpKa値である。アミノ酸は、これらの特性に基づいてグループに分類することができ、グループは、ベン図で例示することができる。同じグループ由来のアミノ酸、好ましくは同じサブグループ由来のアミノ酸は、互いに置換されてもよい。グループおよびサブグループの特性:疎水性、極性およびサイズによるアミノ酸の分類は、Taylor W.R.(1986)から得ることができる。保存的または保存された変異により、例えば、酸性アミノ酸と別の酸性アミノ酸との置換、塩基性アミノ酸と別の塩基性アミノ酸との置換、極性アミノ酸と別の極性アミノ酸との置換などが考えられる。ポリペプチド変異体は、特に、少なくとも1つの位置に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換をさらに含んでよく、前記保存的アミノ酸置換は、GとAとの、AとG/Sとの、VとI/L/A/T/Sとの、IとV/L/Mとの、LとI/M/Vとの、MとL/I/Vとの、PとA/S/Nとの、FとY/W/Hとの、YとF/W/Hとの、WとY/F/Hとの、RとK/E/Dとの、KとR/E/Dとの、HとQ/N/Sの、DとN/E/K/R/Qとの、EとQ/D/K/R/Nとの、SとT/Aとの、TとS/V/Aとの、CとS/T/Aとの、NとD/Q/H/Sとの、およびQとE/N/H/K/Rとの置換からなる群から選択される。
規定された位置における本発明によるポリペプチド変異体中の置換が、例えば、Aspのような極性アミノ酸がAlaのような疎水性アミノ酸によって置換されているという結果になる場合、保存された変異には、この位置における別の疎水性アミノ酸(例えば、グリシン、ロイシン、フェニルアラニン、バリン)をもたらす任意の変異も含まれる。別の保存された変異を含むこのようなさらなるポリペプチド変異体も同様に包含される。
さらに本発明は、酸素非依存性および補因子が存在しない様式で少なくとも1種のフザリウム毒素を非毒性または低毒性生成物に切断でき、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して、温度安定性の増加を示す、配列番号1のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼのフザリウム毒素切断ポリペプチド変異体をコードするポリヌクレオチドを提供することを目的とする。
この目的を解決するために、本発明は、ポリヌクレオチドが、配列番号1のアミノ酸配列を有するフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼのフザリウム毒素切断ポリペプチド変異体をコードするヌクレオチド配列を含み、該ポリペプチド変異体が、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を含み、該ポリペプチド変異体が、10、33、66、107、140、144、149、151、157、199、266、267、270、272、275、280、284、286、293、302、312、329、332、360、363、364、365、367、371、372、377、389、391、394、418、419、424、427、429、430、436、440、443、447、453、455、456、457、462、463、464、465、469、473、478、487からなる群から選択される少なくとも1つの位置においてアミノ酸置換、特に、10Q、33E、66D、107E、140P、144M、149F、151R、157Y、199I、266S、267P、270F、272H、275E、275A、280D、280P、284T、284P、286P、286R、293E、302I、312F、329F、332E、360V、363T、364H、364L、365I、367H、371V、371M、372F、377V、389L、391V、394P、418A、419V、424A、424K、427V、429P、430A、436A、436S、440G、440S、443T、447A、453R、455S、456Q、457T、462Y、463D、464I、465H、465S、465G、469K、473A、478D、487Nおよび490Pまたはこれらの組み合わせの置換を含むことを特徴とする。このような単離されたポリヌクレオチドは、発現ベクターを使用することにより、本発明によるポリペプチド変異体の産生のためのトランスジェニック宿主細胞の生成を可能にする。
用語「発現ベクター」は、インビボまたはインビトロで遺伝子を発現できるDNA構築体を指す。特に、発現ベクターは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、ゲノムに組み込まれるか、または染色体外空間に自由に位置するように、ならびにポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を細胞内に発現し、任意選択により該ポリペプチドを細胞外に輸送するように、宿主細胞内に移入するために適したDNA構築体を包含する。
用語「宿主細胞」は、発現されるヌクレオチド配列または発現ベクターのいずれかを含み、本発明による酵素またはポリペプチドを産生することができる任意の細胞を指す。特に、これは原核細胞および/または真核細胞、好ましくはP.パストリス(P.pastoris)、大腸菌(E.coli)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、ハンセズラ属(Hansenula)、トリコデルマ属(Trichoderma)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、アスペルギルス属(Aspergillus)、植物細胞および/またはバチルス属、トリコデルマ属もしくはアスペルギルス属の胞子を意味する。本明細書で使用するピキア・パストリス(Pichia・pastoris)という名称は、コマガタエラ・パストリス(Komagataella pastoris)という名称と同義語であり、ピキア・パストリスは古いものであり、コマガタエラ・パストリスは体系的に新しい名称である(Yamadaら、1995)。
さらに本発明は、個々のポリペプチド変異体が、酸素非依存性および補因子が存在しない様式で少なくとも1種のフザリウム毒素を非毒性または低毒性生成物に切断して、配列番号46のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼと比較して、温度安定性の増加を有する、配列番号46のアミノ酸配列を有するフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼの少なくとも1種のフザリウム毒素切断ポリペプチド変異体を含むフザリウム毒素切断添加物を提供することを目的とする。
この目的を解決するために、本発明は、該フザリウム毒素切断添加物が、本発明によるフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼの少なくとも1種のポリペプチド変異体、および任意選択により少なくとも1種の補充物質を含むことを特徴とする。このような添加物をフザリウム毒素汚染飼料に添加することにより、フザリウム毒素の解毒が可能になり、解毒は、該添加物を与えられた対象の血漿および/または腎臓および/または肺および/または肝臓においてスフィンガニン対スフィンゴシン比の減少によって明確に測定することが可能である。
動物のさまざまな臓器および血漿中のスフィンガニン対スフィンゴシン比は、フザリウム毒素、特にFB1の毒性作用のための一般的に承認され、感度の高いバイオマーカーである。フザリウム毒素によって引き起こされるスフィンゴ脂質代謝の障害は、とりわけ、ウマの脳疾患またはブタの肺水腫に関連する。バイオマーカーとしてのスフィンガニン対スフィンゴシン比の関連性およびこの分析測定は、Grenierら(Biochem.Pharmaceuticals Vol.83(2012)p.1465−1473)およびEFSA Journal(2014;12(5):3667)に記載されている。
本発明のさらなる発展形態によれば、添加物は、補助物質が、不活性担体、ビタミン、ミネラル、植物性物質、マイコトキシンを解毒するための酵素および他の成分、例えばマイコトキシン分解酵素、特に、アフラトキシンオキシダーゼ、エルゴタミンヒドラーゼ、エルゴタミンアミダーゼ、ゼアラレノンエステラーゼ、ゼアラレノンラクトナーゼ、ゼアラレノンヒドラーゼ、オクラトキシンアミダーゼ、フモニシンアミノトランスフェラーゼ、アミノ−ポリオールアミノオキシダーゼ、デオキシニバレノールエポキシドヒドロラーゼ、デオキシニバレノールデヒドロゲナーゼ、デオキシニバレノールオキシダーゼ、トリコテセンデヒドロゲナーゼ、トリコテセンオキシダーゼ;マイコトキシン分解性微生物;ならびにマイコトキシン結合物質、例えば微生物細胞壁または無機物質、例えばベントナイトからなる群から選択されるように形成される。このような添加物の、例えば飼料または食品製品における使用により、含有され得る量のフザリウム毒素が、このような飼料または食品製品を摂取する対象生物へのいかなる有害作用も防止する程度に、確実に切断、特に解毒される。
本発明のさらなる適用分野としては、本発明による少なくとも1種のポリペプチド変異体に加えて、少なくとも1種の酵素、例えばタンパク質の分解に関与するプロテアーゼなどの酵素、またはデンプンもしくは繊維もしくは脂肪もしくはグリコーゲンの代謝に関与するアミラーゼ、セルロースもしくはグルカナーゼなどの酵素、ならびに例えば、ヒドラーゼ、脂肪分解酵素、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、フィターゼもしくはキシラナーゼを含む添加物が挙げられる。
さらに、本発明は、食品または飼料製品の製造または加工のために、工程中、特に少なくとも50℃の温度で少なくとも1種のフザリウム毒素を切断するための本発明による添加物の使用を目的とする。このような添加物の使用は、昇温における処理が重要な食品の技術的工程、例えば、トウモロコシまたは穀物の加工、デンプン液化工程、糖化工程、または発酵工程、例えば、特にバイオエタノール生産におけるマッシングまたは発酵工程の間のフザリウム毒素の解毒を確実にする。これによって、このような工程による任意の製品、例えば、飼料ペレット、パスタ、ポレンタ、ポップコーン、コーンフレーク、トウモロコシパン、トルティーヤ、DDGSまたはデンプン中に、フザリウム毒素の関連する量、特に健康を害する量はそのまま残らないことが保証される。
本発明はさらに、フザリウム毒素マイコトキシン症の予防および/または治療のための調製物に使用するためのポリペプチド変異体を提供することを目的とする。予防の場合、このようなポリペプチド変異体または添加物の使用により、フザリウム毒素を摂取したとしても、ヒトおよび動物の健康状態をフザリウム毒素を経口摂取しない、または経口摂取が少なかった健康状態に対応するレベルに実質的に維持することができるようになった。フザリウム毒素マイコトキシン症の治療に関しては、このような疾患の症状を緩和することが可能となり、特に臓器および/または血漿中のスフィンガニン対スフィンゴシン比を有意に改善できるようになった。さらに、このような使用により、家畜の能力、特に飼料変換率および体重増加、ならびに死亡率の低下を促進することができるであろう。
さらに、本発明は、少なくとも1種のフザリウム毒素を、ポリペプチドによって酸素非依存的、特異的、安全で信頼できる様式で、温度処理の間またはその後のいずれかで、非毒性または低毒性生成物に加水分解的に切断する、少なくとも1種のフザリウム毒素を酵素的に切断する方法を提供することを目的とする。
この目的を解決するために、本方法は、本発明によるポリペプチド変異体または本発明による添加物によって、少なくとも1種のトリカルバリル酸がフザリウム毒素から加水分解的に切断されるように実施される。この際、少なくとも1種のフザリウム毒素は、本発明による少なくとも1種のポリペプチド変異体または本発明による少なくとも1種の添加物と混合され、少なくとも1種のポリペプチド変異体は、少なくとも1種のトリカルバリル酸を少なくとも1種のフザリウム毒素から加水分解的に切断し、従ってフザリウム毒素を解毒し、個々のポリペプチド変異体とフザリウム毒素との混合物は少なくとも50℃、好ましくは少なくとも70℃の温度処理に供され、加水分解切断は、温度処理の間またはその後に実施される。
本発明の好ましいさらなる発展形態において、本方法は、ポリペプチド変異体または添加物が少なくとも1種のフザリウム毒素で汚染された飼料または食品製品と混合され、温度処理が任意選択によりペレット化工程によって行われるように実施される。これにより、汚染され、任意選択によりペレット化された飼料または食品製品中に含まれるフザリウム毒素は、ポリペプチド変異体とフザリウム毒素との混合物が水分と接触するとすぐに切断されることが確実である。マッシュまたはパルプのような湿った飼料または食品では、フザリウム毒素の加水分解は、経口摂取前の湿った飼料または食品中で起こる。これにより、ヒトおよび動物に対するフザリウム毒素の有害作用が、大幅に排除されるか、少なくとも低減されることが確実である。水分としては、水または水含有液体の存在が考えられるが、これには唾液または消化管に存在する他の液体も含まれる。消化管は、口腔、咽頭(咽喉)、食道および胃腸管またはこれらの同等物を含むと定義され、異なる名称が動物で見出されることもあり、または個々の成分が動物の消化管に存在しないこともある。
本発明の好ましいさらなる発展形態において、本方法は、ポリペプチド変異体が、飼料または食品1キログラム当たり5Uから500U、好ましくは10Uから300U、より好ましくは15Uから100Uの濃度範囲で使用されるように実施される。このような量のポリペプチド変異体を添加することにより、フザリウム毒素の濃度に応じて、食物または飼料製品、特にDDGS中のフザリウム毒素を切断し、これにより、少なくとも1種のフザリウム毒素の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に少なくとも90%が切断される程度にフザリウム毒素を解毒することが可能になった。
他に特定されない限り、「a」または「the」のような単数の表記は、例として理解されるべきであり、複数の選択肢を含むものとする。例えば、「遺伝子(a gene)」、「酵素(an enzyme)」または「細胞(a cell)」と呼ばれる場合、これは常に複数形を包含する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
ポリペプチド変異体
[実施例1]
フザリウム毒素切断ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの改変、クローニングおよび発現
QuikChange部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を使用したPCRを用いたヌクレオチド配列の変異によって、指示書に従ってアミノ酸置換、挿入または欠失を行った。または、完全なヌクレオチド配列も合成した(GeneArt)。PCR突然変異誘発により生成されたヌクレオチド配列およびGeneArtから得られたヌクレオチド配列を、大腸菌またはP.パストリスにおける発現のための発現ベクターに標準的方法により組み込み、大腸菌またはP.パストリスにおいて形質転換し、それぞれ、大腸菌またはP.パストリスにおいて発現させた(J.M.Cregg,Pichia Protocols,second Edition,ISBN−10:1588294293,2007;J.Sambrook et al.2012,Molecular Cloning,A Laboratory Manual 4th Edition,Cold Spring Harbor)が、他の任意の適切な宿主細胞もまた、この作業のために使用可能である。
用語「発現ベクター」は、インビボまたはインビトロで遺伝子を発現することができるDNA構築体を指す。特に、発現ベクターは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、ゲノムに組み込まれるか、または染色体外空間に自由に位置するように、ならびにポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を細胞内に発現し、任意選択により該ポリペプチドを細胞外に輸送するように、宿主細胞内に移入するために適したDNA構築体を包含する。用語「宿主細胞」は、発現されるヌクレオチド配列または発現ベクターのいずれかを含み、本発明による酵素またはポリペプチドを産生することができる任意の細胞を指す。特に、これは原核細胞および/または真核細胞、好ましくはP.パストリス(P.pastoris)、大腸菌(E.coli)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、ハンセズラ属(Hansenula)、トリコデルマ属(Trichoderma)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、アスペルギルス属(Aspergillus)、植物細胞および/またはバチルス属、トリコデルマ属またはアスペルギルス属の胞子を意味する。大腸菌の場合は可溶性細胞溶解物およびP.パストリスの場合は培養上清を用いて、それぞれポリペプチド変異体の触媒特性を決定した。
[実施例2]
フザリウム毒素分解ポリペプチドの触媒活性および比活性の決定
フザリウム毒素分解ポリペプチドをコードする対応する遺伝子を、標準的な方法を用いて大腸菌にクローン化し、細胞内で発現させ、続いて超音波処理によって溶解し、遠心分離した。透明な上清を0.1mg/lのウシ血清アルブミン(約10−3から10−5)を含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で希釈し、分解混合物中に含まれるFB1の量の10%から90%がポリペプチドにより分解されるようにFB1分解混合液に使用した。
触媒酵素活性を決定するために、0.1mg/lのウシ血清アルブミンを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)中で温度30℃において30分間、フモニシンB1(FB1)の加水分解切断試験を行った。さらに、混合物は、基質濃度100μMのFB1(Biopure Referenzsubstanzen GmbH Tulln、Austria、BRM 001007)および被験ポリペプチドの1つを含んだ。30分間のインキュベーションの後、混合物を99℃において5分間熱不活性化し、反応を停止させた。
飼料サンプルの酵素活性を決定するために、試験の前に飼料サンプルからフザリウム毒素形質転換ポリペプチド変異体を抽出しなければならない。この目的のために、10gの飼料を0.1mg/mlのウシ血清アルブミンを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)100mlに溶解し、150rpmにおいて1時間、20℃で振盪した。この後、サンプルを4000gで15分間遠心分離し、透明上清を必要に応じて希釈し(10−2から10−3)、FB1溶液に使用した。
FB1の定量は、Heinlらの方法(J.of Biotechnology,2010,145,pp.120−129,2.6.3.「Liquid chromatography−mass spectrometry」)に従ってLC−MS(液体クロマトグラフィー―質量分析法」)により実施した。この目的のために、完全な13C標識された内部FB1標準(Biopure Referenzsubstanzen GmbH Tulln、Austria)をさらに含むFB1標準による較正を行った。Heinlら(2010年)とは対照的に、FB1の分解のみを測定し、使用したポリペプチド溶液の触媒酵素活性を決定した。使用したポリペプチド溶液の触媒酵素活性は、単位/mlで示し、1「単位」を、試験において上記の反応条件下で1μmolのFB1の減少/分として定義する。
比活性を決定するために、定量的ウェスタンブロットまたはELISAによって酵素濃度を決定した。比酵素活性は、酵素の使用量を基準とした活性(単位)により算出し、単位/mgで示した。
[実施例3]
フザリウム毒素分解ポリペプチドの温度安定性
フザリウム毒素分解ポリペプチドの発現および定量は、実施例1および2に記載のように実施した。活性の決定に先立って、細胞溶解物の量を幾つかの部分(それぞれ60μl)に分けた。市販のPCRサイクラー(例えば、Eppendorf Matercycler Gradient)で、2から10の部分を5分間の熱処理に供し、各部分を異なる温度でインキュベートした。一方、もう1つの細胞溶解物部分、100%対照を氷上でインキュベートした。熱処理後、全てのサンプル/試験混合物を10℃において1分間インキュベートして温度を等しくした。熱処理したサンプルおよび100%対照の両方の酵素活性を、実施例2に記載したように決定した。熱処理後に残った活性を残留活性と称する。非熱処理の100%対照と比較して残留活性が50%である温度をT(50%)と略記し、ポリペプチドの温度安定性の尺度とする。
配列番号46または配列番号1のポリペプチドに対するポリペプチド変異体のT(50%)(摂氏で示される。)の増加は、それぞれ、温度安定性の増加の尺度である。T(50%)値の増加は、親ポリペプチドのT(50%)値と比較して、℃で、さらにはパーセントで示すことができる。以下の例は例示としてのものである:親酵素が、氷上で5分間インキュベートした後に50U/mlの触媒活性を有し、48℃で5分間インキュベートした後に25U/mlの触媒活性を有する場合、T(50%)の値は48℃である。ポリペプチド変異体が51℃のT(50%)値を有する場合、温度安定性(T(50%))の相対的増加は6.25である。これは、2つのT(50%)値の間の3℃の差を、親出発酵素のT(50%)値である48℃で割って100を乗じた値から生じる。
触媒活性の代わりに、比活性を使用して、温度安定性を決定することもできる。
温度安定性の決定は、代替の酵素アッセイによって、FB1反応の触媒活性を決定しなくても実施することができる。これに関して重要なことは、等量の熱処理ポリペプチドおよび100%対照の使用であり、これは、例えば、等体積の細胞溶解物の使用によって確保される。
触媒活性の代わりに、酵素分解アッセイの測定シグナル(例えば、MSシグナル、消光など)もまた、温度安定性を決定するために使用することができる。測定シグナルが酵素活性(例えば、反応したFB1のピーク表面)に直接比例する場合、ポリペプチドのT(50%)値は、熱処理されたポリペプチドの測定シグナルの値が、ポリペプチドの100%対照の測定シグナルの値の50%を含む温度である。
配列番号46のポリペプチドの温度安定性(T(50%))は42℃であり、配列番号1のポリペプチドの温度安定性は45℃であると決定された。従って、N末端配列を切断することによって達成され得る温度安定性の相対的増加は、約7%であった。さらに、配列番号46の親ポリペプチドに対する配列番号1のポリペプチドの酵素活性の増加もまた決定することができた。
配列番号1のポリペプチドの温度安定性は、個々のアミノ酸の選択的置換によってさらに増加させることができた。配列番号1の親ポリペプチドと比較したこれらのポリペプチド変異体の温度安定性の相対的増加を表1に示す。
Figure 2018506993
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Figure 2018506993
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[実施例4]
フザリウム毒素分解ポリペプチドの温度依存性活性(温度活性)
温度依存性活性について試験されるべきフザリウム毒素分解ポリペプチド変異体を、試験実施の前に精製した。この目的のために、ポリペプチド変異体を、アニオン交換クロマトグラフィーおよびその後のサイズ排除クロマトグラフィーを使用する2段階工程で発酵上清から精製した。ポリペプチド変異体を1mg/mlの濃度に調整し、反応体積1ml中10−5から10−6の希釈率で反応混合物に使用した。活性の決定を、FB1の加水分解およびその後のLC−MSによるFB1の定量による実施例3に記載の試験を異なる温度で行って、活性の決定を行った。インキュベーションは、2つの加熱ブロック(Eppendorf、ThermoMixer)を使用して、10℃、20℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃および70℃の温度において実施した。熱曝露の開始から30分後、100μlの反応混合物をそれぞれ採取し、99℃で5分間加熱不活性化した。加熱ブロックにおいて30℃で行った試験は、100%対照として機能した。例示的な結果を表2に示す。
Figure 2018506993
Figure 2018506993
[実施例5]
フザリウム毒素分解ポリペプチドのペレット化安定性の決定
選択されたポリペプチド変異体を、制御された好気性条件下で標準的な方法を用いてバイオリアクター内でピキア・パストリスにクローン化し、細胞外分泌させた。透明上清をバイオマスから分離し、担体物質(マルトデキストリン)を添加し、噴霧乾燥機を用いてペレット化可能な粉末に加工した。パウダー形態で存在するフザリウム毒素分解ポリペプチド変異体をそれぞれ100U/kgの同じ濃度で子豚飼育飼料に混合し、制御された工程で飼料ペレットを加工した。ペレット化工程の間、飼料を熱蒸気処理によって湿らせ、正確に規定された温度(5℃ステップで75から95℃)で個々のバッチにおいて加熱した。この調製段階に続いて、適切なペレット化工程が行われた。ペレットに含まれるフザリウム毒素分解ポリペプチド変異体の残留活性を、個々のフザリウム毒素分解ポリペプチド変異体を含有する非ペレット化飼料を100%対照として機能させ、実施例2に記載のように決定した。従って、ペレット化工程の後に残る酵素活性を残留活性として定義する。値を表3に示す。
Figure 2018506993

Claims (21)

  1. 配列番号46のフザリウム毒素カルボキシルエステラーゼのフザリウム毒素切断ポリペプチド変異体であって、各々がN末端において47アミノ酸切断されたアミノ酸配列を有し、該アミノ酸配列が、配列番号46のアミノ酸配列セクション48から540と少なくとも70%、好ましくは80%、特に好ましくは100%の配列同一性、即ち配列番号1を共有することを特徴とする、ポリペプチド変異体。
  2. 10、33、66、107、140、144、149、151、157、199、266、267、270、272、275、280、284、286、293、302、312、329、332、360、363、364、365、367、371、372、377、389、391、394、418、419、424、427、429、430、436、440、443、447、453、455、456、457、462、463、464、465、469、473、478、487および490からなる群から選択される少なくとも1つの位置にアミノ酸置換を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド変異体。
  3. 10および456位におけるアミノ酸置換がQ、E、N、H、KおよびRから選択され、33、107、293および332位におけるアミノ酸置換がE、Q、D、K、RおよびNから選択され、66、463および478位におけるアミノ酸置換がD、E、K、N、QおよびRから選択され、140および490位におけるアミノ酸置換がP、A、SおよびNから選択され、144および367位におけるアミノ酸置換がI、L、MおよびVから選択され、149、270、312、329および372位におけるアミノ酸置換がF、Y、WおよびHから選択され、151および453位におけるアミノ酸置換がD、E、KおよびRから選択され、157および462位におけるアミノ酸置換がF、H、WおよびYから選択され、199、302、365および464位におけるアミノ酸置換がI、L、MおよびVから選択され、266および455位におけるアミノ酸置換がA、SおよびTから選択され、267、394および429位におけるアミノ酸置換がA、N、PおよびSから選択され、272位におけるアミノ酸置換がH、N、QおよびSから選択され、275位におけるアミノ酸置換がA、D、E、G、K、N、Q、RおよびSから選択され、280位におけるアミノ酸置換がA、D、E、K、N、P、Q、RおよびSから選択され、284位におけるアミノ酸置換がA、N、P、S、TおよびVから選択され、286位におけるアミノ酸置換がA、D、E、K、N、P、RおよびSから選択され、360、377、391、419および427位におけるアミノ酸置換がA、I、L S、TおよびVから選択され、363、443および457位におけるアミノ酸置換がA、S、TおよびVから選択され、364位におけるアミノ酸置換がH、I、L、M、N、Q、SおよびVから選択され、371位におけるアミノ酸置換がA、I、L、M、S、TおよびVから選択され、389位におけるアミノ酸置換がI、L、MおよびVから選択され、418、430、447および473位におけるアミノ酸置換がA、GおよびSから選択され、424位におけるアミノ酸置換がA、D、E、G、K、RおよびSから選択され、436位におけるアミノ酸置換がA、G、SおよびTから選択され、440位におけるアミノ酸置換がA、G、SおよびTから選択され、465位におけるアミノ酸置換がA、G、H、N、Q、SおよびTから選択され、469位におけるアミノ酸置換がD、E、KおよびRから選択され、および/または487位におけるアミノ酸置換がN、D、Q、HおよびSから選択されることを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチド変異体。
  4. アミノ酸置換が、10Q、66D、144M、151R、199I、266S、267P、272H、275E、275A、280D、284T、286P、286R、293E、302I、360V、363T、364H、364L、365I、367H、371V、371M、372F、377V、389L、391V、394P、418A、419V、424A、424K、427V、429P、430A、436A、436S、440G、440S、443T、447A、453R、455S、456Q、457T、462Y、463D、464I、465H、465S、465G、469K、473A、478D、487Nおよび490Pからなる群から選択されることを特徴とする、請求項2または3のいずれかに記載のポリペプチド変異体。
  5. 66、199、302、377、394、424、430および463からなる群から選択される少なくとも1つの位置にアミノ酸置換を含むことを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチド変異体。
  6. アミノ酸置換が、66D、199I、302I、377V、394P、424A、430Aおよび463Dからなる群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載のポリペプチド変異体。
  7. 10、33、66、107、140、144、149、151、157、199、266、267、270、272、275、280、284、286、293、302、312、329、332、360、363、364、365、367、371、372、377、389、391、394、418、419、424、427、429、430、436、440、443、447、453、455、456、457、462、463、464、465、469、473、478、487および490からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも2つ、特に3つの位置にアミノ酸置換を含むことを特徴とする、請求項2から6のいずれか一項に記載のポリペプチド変異体。
  8. アミノ酸置換が、10Q、66D、144M、151R、199I、266S、267P、272H、275E、275A、280D、284T、286P、286R、293E、302I、360V、363T、364H、364L、365I、367H、371V、371M、372F、377V、389L、391V、394P、418A、419V、424A、424K、427V、429P、430A、436A、436S、440G、440S、443T、447A、453R、455S、456Q、457T、462Y、463D、464I、465H、465S、465G、469K、473A、478D、487Nおよび490Pからなる群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載のポリペプチド変異体。
  9. アミノ酸配列が、幾つかのアミノ酸置換の組み合わせを含み、この位置の組み合わせが、
    66/199/302/394/424/430、
    66/199/302/377/394/424/430、
    66/199/302/377/394/424/430/463、
    66/144/199/302/360/372/377/394/424/430/443/463、
    199/302/377/394/424/430/463、
    66/199/302/377/394、
    66/199/302/364/377/394/424/430/463、
    66/199/302/377/394/424/430/463/465、
    66/199/302/377/394/424/430/440/463、
    66/199/302/377/394/424/430/447/463、
    66/199/302/377/394/418/424/430/463、
    66/199/302/377/394/424/436/430/463、
    66/199/302/364/377/394/424/430/463、
    66/199/302/377/394/424/430/463/490、
    66/199/302/377/394/424/430/463/469、
    66/199/302/377/389/394/424/430/463、
    66/199/302/377/394/424/430/463/465、
    66/199/302/377/394/424/430/463/464、
    66/199/302/377/394/424/430/463/465、
    66/199/302/377/394/424/430/440/463、
    66/199/302/377/394/424/430/457/463、
    66/199/302/377/394/424/430/436/463、
    66/199/302/363/371/377/394/424/430/463、
    66/199/302/377/394/424/430/447/453/463、
    66/199/302/377/394/424/430/456/462/463、
    66/199/302/377/394/419/424/427/430/463、
    66/199/302/365/377/394/424/430/463/487、および
    66/199/302/371/377/394/424/430/463/487
    からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2、3または4のいずれか一項に記載のポリペプチド変異体。
  10. アミノ酸配列が、配列番号2から29からなる群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載のポリペプチド変異体。
  11. アミノ酸配列が、幾つかのアミノ酸置換の組み合わせを含み、この位置の組み合わせが、
    66/99/302/364/377/389/394/419/424/427/430/447/463/465/469、
    66/199/302/377/389/394/419/424/427/430/447/463/465/469、
    66/199/302/363/364/371/377/389/394/419/424/427/430/447/463/464/465/469、
    66/199/302/363/371/377/389/394/419/424/427/430/447/463/464/465/469、
    66/199/302/364/367/371/377/389/394/418/419/424/427/430/436/440/447/463/464/465/469/490、
    66/199/302/367/371/377/389/394/418/419/424/427/430/436/440/447/463/464/465/469/490、
    66/199/302/363/367/371/377/394/424/430/463/490、
    66/199/302/377/394/418/419/424/427/430/436/440/447/463、66/199/302/377/389/394/424/430/457/463/464/465/469、
    66/199/302/363/371/377/389/394/419/424/427/430/440/447/457/463/464/469/490、
    66/199/302/377/394/424/430/463/447/490/469/465、
    66/199/302/377/394/424/430/463/490/469/465/419/427/371/487、
    66/199/302/371/377/394/419/424/427/430/447/453/463/465/469/487/490、
    66/199/302/367/371/377/389/394/418/419/424/427/429/430/436/440/447/457/463/464/465/469/490、
    66/199/302/371/377/389/394/419/424/427/430/436/447/453/456/462/463/465/469/490/487、および
    66/199/302/367/371/377/389/394/418/419/424/427/429/430/436/440/447/453/456/457/462/463/464/465/469/487/490
    からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2、3または4のいずれか一項に記載のポリペプチド変異体。
  12. アミノ酸配列が、配列番号30から45からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載のポリペプチド変異体。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載のポリペプチド変異体をコードするヌクレオチド配列を含むことを特徴とする単離ポリヌクレオチド。
  14. 請求項1から12のいずれか一項に記載の少なくとも1種のポリペプチド変異体、および任意選択により少なくとも1種の補助物質を含むことを特徴とする、フザリウム毒素切断添加物。
  15. 補助物質が、不活性担体、ビタミン、ミネラル、植物性物質、マイコトキシンを解毒するための酵素および他の成分、例えばマイコトキシン分解酵素、特に、アフラトキシンオキシダーゼ、エルゴタミンヒドラーゼ、エルゴタミンアミダーゼ、ゼアラレノンエステラーゼ、ゼアラレノンラクトナーゼ、ゼアラレノンヒドラーゼ、オクラトキシンアミダーゼ、フモニシンアミノトランスフェラーゼ、アミノ−ポリオールアミノオキシダーゼ、デオキシニバレノールエポキシドヒドロラーゼ、デオキシニバレノールデヒドロゲナーゼ、デオキシニバレノールオキシダーゼ、トリコテセンデヒドロゲナーゼ、トリコテセンオキシダーゼ;マイコトキシン分解性微生物;ならびにマイコトキシン結合物質、例えば微生物細胞壁または無機物質、例えばベントナイトからなる群から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の添加物。
  16. 特にペレット化された、食品または飼料製品、特にブタ、家禽、ウシ、ウマ、魚または水産養殖品中の少なくとも1種のフザリウム毒素を切断するための、請求項14または15のいずれか一項に記載の添加物の使用。
  17. 少なくとも1種のフザリウム毒素を、食品または飼料製品の製造または加工のために、処理中で、特に少なくとも50℃、好ましくは少なくとも70℃の温度で、切断するための、請求項14または15のいずれか一項に記載の添加物の使用。
  18. フザリウム毒素マイコトキシン症の予防および/または治療のための調製物に使用するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の少なくとも1種のポリペプチド変異体または請求項14または15に記載の少なくとも1種の添加物の使用。
  19. 少なくとも1種のフザリウム毒素を、請求項1から12のいずれか一項に記載の少なくとも1種のポリペプチド変異体、または請求項14または15のいずれか1つに記載の少なくとも1種の添加物と接触させること、前記ポリペプチド変異体とフザリウム毒素との混合物を少なくとも50℃、好ましくは少なくとも70℃の温度に供すること、および前記混合物を、温度処理の間またはその後のいずれかにおいて加水分解切断に十分な量の水分と接触させることを特徴とする、少なくとも1種のフザリウム毒素を加水分解的に切断する方法。
  20. ポリペプチド変異体または添加物が、少なくとも1種のフザリウム毒素で汚染された飼料または食品製品と混合され、温度処理が任意選択によりペレット化工程の間に行われることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  21. 前記ポリペプチド変異体が、飼料または食品製品1キログラム当たり、5Uから500U、好ましくは10Uから300U、およびより好ましくは15Uから100Uの濃度範囲で添加されることを特徴とする、請求項19または20のいずれか一項に記載の方法。
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