JP2018506291A - 細胞外マトリクスとして使用するための合成ペプチドヒドロゲル製剤 - Google Patents

細胞外マトリクスとして使用するための合成ペプチドヒドロゲル製剤 Download PDF

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Abstract

細胞培養実験における使用のための約3.5以下のpHレベルおよび等張性重量オスモル濃度範囲内の張度を有する、合成ペプチドヒドロゲル溶液。関連キットおよび細胞培養法もまた、開示される。本発明は、細胞培養キットであって、合成ペプチドヒドロゲル溶液;希釈溶液;および以下を行う説明書:該合成ペプチドヒドロゲル溶液の濃度を該希釈溶液で調節すると同時に、その張度を血漿重量オスモル濃度レベルにおいて、およびそのpHを約3.5以下のレベルにおいて維持する、ならびに細胞培養実験を該希釈した合成ペプチドヒドロゲル溶液で行う、を含む、キットを提供する。

Description

(関連出願への相互参照)
本出願は、2015年2月25日に出願され、「SYNTHETIC PEPTIDE HYDROGEL FORMULATIONS FOR USE ASEXTRA CELLULAR MATRIX」と表題を付された米国仮特許出願第62/120,783号に対する優先権の利益を主張し、その全体の開示を全ての目的のためにその全体において本明細書に参考として援用される。
(技術分野)
1もしくはこれより多くの局面は、種々の医療、研究、および産業適用において使用され得る自己組織化(self−assembling)ペプチドヒドロゲルに、およびより具体的には、細胞培養実験において使用され得る製剤化ヒドロゲルに関する。
(背景)
細胞培養実験は、一般に、制御された条件下で、ウェルプレートのウェルの中で、基材上で細胞を増殖させることを包含する。上記基材またはマトリクスは、一般に、支持体を提供し、細胞付着および増殖を促進する。培地は、定期的に交換されて、新鮮な栄養素を提供する。三次元(3D)細胞培養は、増大した細胞増殖、分化、および機能を可能にする新興のプラットフォーム技術である。
(要旨)
1もしくはこれより多くの局面によれば、細胞培養キットは、合成ペプチドヒドロゲル溶液、希釈溶液、および以下を行うための説明書を含み得る:上記合成ペプチドヒドロゲル溶液の濃度を上記希釈溶液で調節すると同時に、血漿重量オスモル濃度レベルでその張度をおよび約3.5以下のレベルでそのpHを維持する、ならびに上記希釈した合成ペプチドヒドロゲル溶液で細胞培養実験を行う。
いくつかの局面において、上記合成ペプチドヒドロゲルは、RADARADARADARADA(RADA16)を含む。上記合成ペプチドヒドロゲル溶液は、希釈前に上記合成ペプチドヒドロゲル溶液のpHレベルが約3.5以下であり、上記合成ペプチドヒドロゲル溶液の張度が血漿重量オスモル濃度レベルにあるように、製剤化され得る。上記キットは、希釈前に上記合成ペプチドヒドロゲル溶液のpHレベルを約3.5以下に、および上記合成ペプチドヒドロゲル溶液の張度を血漿重量オスモル濃度レベルに調節するように製剤化されたカクテル溶液をさらに含み得る。上記カクテル溶液および上記希釈溶液のうちの少なくとも一方は、張度を制御するために1種もしくはこれより多くの等張剤を含み得る。上記1種もしくはこれより多くの等張剤は、塩、糖、およびこれらの混合物を含み得る。上記カクテル溶液および上記希釈溶液のうちの少なくとも一方は、pHを制御するために、1種もしくはこれより多くのアルカリ塩または酸性塩を含み得る。いくつかの局面において、上記カクテル溶液は、高張性であり得、約1〜約14の間のpHレベルを有し得る。
いくつかの局面において、上記キットは、培養される予定の細胞供給源、細胞培養培地、および等張性緩衝溶液のうちの少なくとも1つをさらに含み得る。上記等張性緩衝溶液は、PBS、生理食塩水、スクロースが挙げられるがこれに限定されない糖ベースの等張剤、またはDMEMが挙げられるがこれに限定されない細胞培養培地を含み得る。上記キットは、洗浄溶液をさらに含み得る。上記説明書は、培養された細胞を上記洗浄溶液で単離する、および上記単離された細胞を細胞特徴付けまたは分子特徴付けに供する指示をさらに提供し得る。いくつかの局面において、上記説明書は、複数の細胞が緩衝溶液中に懸濁される3−D細胞培養プロトコルに関し得る。他の局面において、上記説明書は、2−D細胞培養プロトコルに関し得る。上記説明書は、標的細胞タイプに基づいて上記血漿重量オスモル濃度レベルを選択する、および上記カクテル溶液を使用して、上記合成ペプチドヒドロゲル溶液中で上記血漿重量オスモル濃度レベルを達成するさらなる指示を提供し得る。
1もしくはこれより多くの局面によれば、細胞培養法は、合成ペプチドヒドロゲル溶液のpHレベルを約3.5以下で維持する工程、上記合成ペプチドヒドロゲル溶液の張度を血漿重量オスモル濃度レベルで維持する工程、上記ペプチドヒドロゲル溶液を所定の濃度に希釈する工程、細胞を上記ペプチドヒドロゲル溶液中で所定の期間にわたって培養する工程、および上記培養された細胞を単離する工程を包含し得る。
いくつかの局面において、上記方法は、上記単離された細胞を、フローサイトメトリー分析および画像観察、細胞ブロッティング、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験を含む分子特徴付けに供する工程をさらに包含し得る。上記合成ペプチドヒドロゲル溶液は、RADARADARADARADA(RADA16)を含み得る。上記培養工程は、3−D細胞培養実験に関し得る。他の局面において、上記培養工程は、2−D細胞培養実験に関し得る。上記培養工程は、細胞を、上記ヒドロゲルへと周囲の細胞からインビトロまたはインビボで動員することに関し得る。上記培養工程は、インビトロでの細胞培養実験、エキソビボでの細胞培養実験、あるいはインビボでの動物またはヒトの実験に関し得る。いくつかの局面において、上記培養工程は、薬物、サイトカイン、増殖因子、ペプチド、および/またはタンパク質と組み合わせて、細胞培養を改善ならびに細胞増殖および分化を起こすことを含み得る。上記方法は、細胞培養実験の標的種または標的細胞タイプに基づいて、上記血漿重量オスモル濃度レベルを選択する工程をさらに包含し得る。いくつかの局面において、上記張度は、約260〜約360mOsm/Lの範囲にあり得る。
1もしくはこれより多くの局面によれば、合成ペプチドヒドロゲル溶液は、約1.5〜約3.5のpHレベル、ならびに標的種および標的細胞タイプに関して約260〜約360mOsm/Lの範囲の血漿重量オスモル濃度での張度を有し得る。
いくつかの局面において、上記標的種は、マウス、ラット、ブタ、ウサギ、ウシ、ヒト、昆虫、細菌、および植物からなるが、これらに限定されない群より選択され得る。上記標的細胞タイプは、線維芽細胞、幹細胞、上皮細胞、内皮細胞、神経系細胞、心臓細胞、腎臓細胞、血球、筋細胞、膵臓細胞、免疫細胞、樹状細胞、表皮細胞、がん細胞、星状細胞、脂肪細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞からなるが、これらに限定されない群より選択され得る。上記合成ペプチドヒドロゲル溶液は、RADARADARADARADA(RADA16)を含み得る。上記合成ペプチドヒドロゲル溶液は、1rad/秒および1Paの応力で測定される場合、0.5%濃度で少なくとも5Paの貯蔵弾性率を特徴とし得る。上記合成ペプチドヒドロゲル溶液は、張度を制御するための塩、糖、およびこれらの混合物を含む1種もしくはこれより多くの等張剤、ならびにpHレベルを制御するための1種もしくはこれより多くのアルカリ塩または酸性塩を含み得る。
これら例示的局面および実施形態のさらに他の局面、実施形態、および利点は、以下で詳細に考察される。さらに、前述の情報と以下の詳細な説明との両方が、種々の局面および実施形態の例証的な例に過ぎず、特許請求された局面および実施形態の性質および特徴を理解するための全体像または構成を提供することが意図されることは、理解されるべきである。添付の図面は、種々の局面および実施形態の例証およびさらなる理解を提供するために含められ、本明細書の中に組み込まれかつ本明細書の一部を構成する。図面は、本明細書の残りとともに、記載されかつ特許請求される局面および実施形態の原理および操作を説明するのに役立つ。
(図面の簡単な説明)
添付の図面は、スケールどおりに書かれていることは意図されない。明瞭さを目的として、全ての構成要素が表示されていなくてもよい。図面において:
図1〜12は、添付の実施例で考察される実施形態に関する。 図1〜12は、添付の実施例で考察される実施形態に関する。 図1〜12は、添付の実施例で考察される実施形態に関する。 図1〜12は、添付の実施例で考察される実施形態に関する。 図1〜12は、添付の実施例で考察される実施形態に関する。 図1〜12は、添付の実施例で考察される実施形態に関する。 図1〜12は、添付の実施例で考察される実施形態に関する。 図1〜12は、添付の実施例で考察される実施形態に関する。 図1〜12は、添付の実施例で考察される実施形態に関する。 図1〜12は、添付の実施例で考察される実施形態に関する。 図1〜12は、添付の実施例で考察される実施形態に関する。 図1〜12は、添付の実施例で考察される実施形態に関する。
(詳細な説明)
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、自己組織化ペプチドヒドロゲルは、種々の適用において細胞培養のための足場として使用され得る。PuraMatrix(登録商標)ペプチドヒドロゲル(本明細書中以降、「PuraMatrix(登録商標)」)、例えば、3−D Matrix Co., Ltd.から市販される)は、アルギニン、アラニンおよびアスパラギン酸の反復配列、すなわちRADARADARADARADA(RADA16)を有する合成の16アミノ酸ポリペプチドである。PuraMatrix(登録商標)は、生理学的条件下でヒドロゲルを形成するように自己組織化することが公知であり、インビトロでの細胞培養研究およびインビボでの種々の生物医学的適用の両方のために利用され得る。他の関連する非限定的な合成ペプチド配列は、リジン、ロイシン、およびアスパラギン酸(Lys−Leu−Asp(KLD))の反復配列を有する自己組織化ペプチドによって表され得、そしてこのようなペプチド配列は、(KLD)p(ここでp=2〜50)によって表される。さらに他の関連する非限定的合成ペプチド配列は、イソロイシン、グルタミン酸、イソロイシンおよびリジン(Ile−Glu−Ile−Lys(IEIK))の反復配列を有する自己組織化ペプチドによって表され得、そしてこのようなペプチド配列は、(IEIK)p(ここでp=2〜50)によって表される。いくつかの非限定的実施形態において、「SELF−ASSEMBLING PEPTIDE COMPOSITIONS」と表題を付され、3−D Matrix, Ltd.に譲渡された国際公開第2015/138514号、(これは、全ての目的のためにその全体において本明細書に参考として援用される)に開示されるもののようなペプチドヒドロゲルは、製剤化され得る。少なくともいくつかの実施形態において、製剤化前のペプチドヒドロゲル溶液(例えば、RADA16)の標準的張度は、低張性である。
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、自己組織化ペプチドヒドロゲル溶液の製剤化は、ペプチド溶液の硬さおよび/またはゲル化速度(gelation kinetics)を増大させて、ペプチドヒドロゲルの脆弱性を有益に克服すると同時に、上記ペプチド溶液の上で細胞培養培地を添加および交換し得る。さらに、製剤は、実験の間の細胞および組織について比較的より穏やかなpH環境を提供し得る。
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、目標pHレベルおよび/または張度レベルは、細胞培養実験に使用される予定の細胞または組織のタイプに少なくとも部分的に基づいて選択され得る。例えば、上記ペプチドヒドロゲルのpHレベルは、より穏やかな、より刺激の少ない環境を提供することによる改善された細胞生存性のために、約3.5までのレベルへと、例えば、約3.4のレベルまで調節され得る。
張度に関して、ペプチドヒドロゲル溶液の張度は、標的細胞タイプおよび/または標的種の血漿重量オスモル濃度にしっかりと合うように調節され得る。例えば、上記ペプチドヒドロゲル溶液の張度は、任意の所定の細胞タイプの血漿重量オスモル濃度に基づいて調節され得る。張度レベルは、細胞培養実験に使用される予定の種のタイプおよび/または細胞もしくは組織のタイプに依存して変動し得る。いくつかの非限定的実施形態において、目標張度は、約260〜約360mOsm/Lで変動し得る。少なくともいくつかの非限定的実施形態において、目標張度は、約290〜約320mOsm/Lで変動し得る。いくつかの具体的な非限定的実施形態において、上記目標張度は、一般に、約300mOsm/Lであり得る。細胞もしくは組織の血漿重量オスモル濃度および/またはペプチドヒドロゲル溶液の張度を決定または測定するための種々の技術および計算は、当業者に容易に明らかである。重量オスモル濃度は、1もしくはこれより多くの分子特徴に基づいて計算され得る。いくつかの実施形態において、重量オスモル濃度は、凝固点降下浸透圧計または蒸気圧降下浸透圧計のような浸透圧計を使用して測定され得る。少なくともいくつかの実施形態において、標的細胞または組織タイプの血漿重量オスモル濃度は、まず決定され得、次いで、合成ペプチドヒドロゲル溶液の張度は、目標張度レベルとしてその血漿重量オスモル濃度に合うように調節され得る。
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、細胞培養適用のための種々の合成ペプチドヒドロゲル溶液(PuraMatrix(登録商標)が挙げられるが、これに限定されない)の使用は、都合の良い張度および/またはpHレベルを提供するために製剤化を介して改善され得る。例えば、等張性かつpH調節したペプチド溶液は、細胞培養実験に使用され得る。1もしくはこれより多くの実施形態によれば、カクテル溶液または別の仲介溶液は、上記ペプチド溶液のpHおよび等張性を調節するために使用され得る。等張性かつpH調節されたペプチド溶液はその後、例えば、3.5以下に近いそれらのpHレベルおよび血漿重量オスモル濃度でのそれらの張度を維持するために、細胞と混合され得るか、または細胞ありもしくはなしの等張性緩衝溶液(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、生理食塩水、スクロース溶液、およびダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)が挙げられるが、これらに限定されない)と混合され得る。1もしくはこれより多くの実施形態によれば、希釈溶液は、上記ペプチド溶液の濃度を調節すると同時に、上記等張性かつpH調節されたペプチド溶液の張度およびpHレベルを維持するために使用され得る。
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、調製されたペプチドヒドロゲルは、3D細胞培養に使用され得る。1もしくはこれより多くの実施形態によれば、調製されたペプチドヒドロゲルは、上記ペプチドヒドロゲルの表面上での二次元(2D)細胞培養に使用され得る。具体的な2Dおよび3D細胞培養プロトコルは、ペプチド溶液製剤に依存して使用され得、いくつかの非限定的プロトコルは、添付の実施例に記載される。1もしくはこれより多くの実施形態によれば、上記調製されたペプチドヒドロゲルは、上記ヒドロゲルへと、インビトロで周囲の細胞またはインビボで周囲の組織から細胞を動員するために使用され得る。1もしくはこれより多くの実施形態によれば、上記調製されたペプチドヒドロゲルは、生体物質、細胞送達および組織操作の足場にするために、インビボ、インビトロ、またはエキソビボでの実験に使用され得る。1もしくはこれより多くの実施形態によれば、上記調製された、等張性かつpH調節されたペプチドヒドロゲルは、薬物、サイトカイン、増殖因子、およびタンパク質と混合されて、細胞培養を改善ならびに細胞増殖および分化を起こし得る。
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、本明細書で製剤されるとおりの自己組織化ペプチドヒドロゲル(例えば、PuraMatrix(登録商標)のような)は、ペプチドヒドロゲル洗浄溶液を使用して容易に洗浄され得、その結果、ペプチドヒドロゲルで培養された細胞は、種々の分子レベルの特徴付け(フローサイトメトリー分析および細胞画像観察、細胞ブロッティング、ならびにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験が挙げられるが、これらに限定されない)を行うために有益に単離され得る。
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、ペプチド溶液上に細胞培養培地を添加した場合のペプチドヒドロゲルの構造安定性は、改善され得る。1もしくはこれより多くの実施形態によれば、より穏やかなpHレベルで細胞を培養するためのより低い毒性環境が獲得され得る。
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、ペプチド溶液は、標的細胞タイプを参照して血漿重量オスモル濃度でその張度を、および約1.0〜約3.5のレベルで、例えば、約3.4まででそのpHレベルを維持するために調製され得る。ペプチド溶液の張度は、等張剤(塩化ナトリウムのような塩、スクロースおよびデキストロースのような糖、ならびにPBSのような等張剤の任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない)を使用して制御され得る。ペプチド溶液のpHレベルは、アルカリ塩(水酸化ナトリウムが挙げられるが、これに限定されない)、または酸性塩(塩酸塩が挙げられるが、これに限定されない)を使用して調節され得る。張度および/またはpH調節は、本明細書で記載されるような、カクテル溶液または仲介溶液で達成され得る。
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、等張性かつpH調節されたペプチド溶液は、純粋なペプチド水性溶液とカクテル溶液または仲介溶液とを混合して、約1.5〜約3.5の間のレベルでそのpHレベルをおよび標的細胞タイプを参照して血漿重量オスモル濃度でその張度を維持することによって、細胞培養実験の直前に製剤化され得る。上記カクテル溶液の張度は、高張性であり得、その結果、上記カクテル溶液で製剤化されたペプチド溶液は、特定の混合比で等張性であり得る。上記カクテル溶液の張度は、等張剤(塩化ナトリウムおよび塩化カリウムのような塩、スクロースおよびデキストロースのような糖、ならびにPBSのような等張剤の任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない)を使用して制御され得る。上記カクテル溶液のpHレベルは、約1.0〜約14.0のレベルへと調節され得、その結果、具体的な混合比において上記カクテル溶液で製剤化されたペプチド溶液は、翻って、そのpHレベルを1.5〜約3.5において維持する。上記カクテル溶液のpHレベルは、アルカリ塩(水酸化ナトリウムが挙げられるが、これに限定されない)または酸性塩(塩酸塩が挙げられるが、これに限定されない)を使用して調節され得る。
上記等張性かつpH調節されたペプチド溶液は、細胞、または細胞あり/なしの等張性緩衝溶液(PBS、生理食塩水、等張性スクロース溶液、およびDMEMが挙げられるが、これらに限定されない)とその後混合されて、例えば、3.5以下近くでそのpHレベルを、および血漿重量オスモル濃度でその張度を維持し得る。
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、希釈溶液は、血漿重量オスモル濃度で張度を、および約1.0〜約3.5のレベルでpHレベルを維持するために調製され得る。上記希釈溶液の張度は、等張剤(塩化ナトリウムのような塩、スクロースおよびデキストロースのような糖、ならびにPBSのような等張剤の任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない)を使用して制御され得る。上記希釈溶液のpHレベルは、アルカリ塩(水酸化ナトリウムが挙げられるが、これに限定されない)および酸性塩(塩酸塩が挙げられるが、これらに限定されない)を使用して調節され得る。上記等張性かつpH調節された希釈溶液は、上記ペプチド溶液とその後混合されて、ペプチド溶液濃度を希釈すると同時に、血漿重量オスモル濃度でその張度を、および約1.0〜約3.5でそのpHレベルを維持し得る。
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、ペプチドヒドロゲル洗浄溶液は、血漿重量オスモル濃度で上記ヒドロゲル張度を、および約1.5〜約3.5で上記ヒドロゲルpHレベルを維持するために調製され得る。上記洗浄溶液の張度は、等張剤(塩化ナトリウムのような塩、スクロースおよびデキストロースのような糖、ならびにPBSのような等張剤の任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない)を使用して制御され得る。洗浄溶液のpHレベルは、アルカリ塩(水酸化ナトリウムが挙げられるが、これに限定されない)および酸性塩(塩酸塩が挙げられるが、これらに限定されない)を使用して調節され得る。上記等張性かつpH調節された洗浄溶液は、細胞が培養されるペプチドヒドロゲルと混合されて、ヒドロゲルを完全に溶解し、細胞を純粋に単離し得る。自己組織化ペプチドヒドロゲル(例えば、PuraMatrix(登録商標)のような)は、ペプチドヒドロゲル洗浄溶液を使用して効果的に洗浄され得る。その結果、上記ペプチドヒドロゲルで培養された細胞は、それらの分子レベルの特徴付け(フローサイトメトリー分析および画像観察、細胞ブロッティング、ならびにPCR試験が挙げられるが、これらに限定されない)のために有益に単離され得る。
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、細胞培養キットは、合成ペプチドヒドロゲル溶液を含み得る。上記ペプチドヒドロゲル溶液の張度および/またはpHレベルは、本明細書で記載されるとおり(例えば、標的細胞タイプに基づいて)既に調節されていてもよい。あるいは、カクテル溶液または仲介溶液は、この目的のために提供されていてもよく、その組成は、培養実験の標的細胞タイプに依存して変動し得る。上記キットは、所望のペプチドヒドロゲル濃度を達成するために、希釈溶液を含み得る。上記キットは、等張性緩衝溶液および/または洗浄溶液を含み得る。上記キットは、本明細書で記載されるような3Dまたは2D細胞培養実験を行うための説明書、ならびに細胞培養実験を容易にするための他の材料(例えば、これらに限定されないが細胞または組織源、ウェルプレート、ピペット、および細胞培養培地、)を含み得る。
これらおよび他の実施形態の機能および利点は、以下の非限定的実施例からより十分に理解される。実施例は、本質において例証であることが意図され、本明細書で考察される実施形態の範囲を限定するとはみなされるべきでない。
以下の実施例は、細胞培養のための自己組織化ペプチドヒドロゲルの使用を例証する。この実施例で使用した細胞培養プロトコルおよび関連製剤の6つの例が、以下で詳細にまず記載される。
方法#1: 等張性かつpH調節されたペプチド溶液および希釈溶液を、この方法のために調製し得る。ペプチド溶液を、PBS(pH7.4)中に懸濁した細胞と混合し得る。この方法のための等張性かつpH調節されたペプチド溶液および希釈溶液の製剤化プロトコルを、表1に列挙する。この方法のための3Dおよび2D細胞培養のプロトコルを、表2に示す。
方法#2: 純粋な水性ペプチド溶液、ペプチド溶液のpHおよび張度を調節するためのカクテル溶液、ならびに希釈溶液を、この方法のために調製し得る。等張性かつpH調節されたペプチド溶液を、PBS(pH7.4)中に懸濁した細胞と混合し得る。この方法のための純粋な水性ペプチド溶液、カクテル溶液、および希釈溶液の製剤化プロトコルを、表3に列挙する。この方法のための3Dおよび2D細胞培養のプロトコルを、表4に示す。
方法#3: 等張性かつpH調節されたペプチド溶液および希釈溶液を、この方法のために調製し得る。このペプチド溶液を、等張性スクロース溶液(10%)中に懸濁した細胞と混合し得る。この方法のための等張性かつpH調節されたペプチド溶液および希釈溶液の製剤化プロトコルを、表5に列挙する。この方法のための3Dおよび2D細胞培養のプロトコルを、表6に示す。
方法#4: 純粋な水性ペプチド溶液、ペプチド溶液のpHおよび張度を調節するためのカクテル溶液、ならびに希釈溶液を、この方法のために調製し得る。上記等張性かつpH調節されたペプチド溶液を、10% スクロース溶液中に懸濁した細胞と混合し得る。この方法のための純粋な水性ペプチド溶液、カクテル溶液、および希釈溶液の製剤化プロトコルを、表7に列挙する。この方法のための3Dおよび2D細胞培養のプロトコルを、表8に示す。
方法#5: 等張性かつpH調節されたペプチド溶液および希釈溶液を、この方法のために調製し得る。このペプチド溶液を、DMEM中に懸濁した細胞と混合し得る。この方法のための等張性かつpH調節されたペプチド溶液および希釈溶液の製剤化プロトコルを、表9に列挙する。この方法のための3Dおよび2D細胞培養のプロトコルを、表10に示す。
方法#6: 純粋な水性ペプチド溶液、ペプチド溶液のpHおよび張度を調節するためのカクテル溶液、ならびに希釈溶液を、この方法のために調製し得る。この等張性かつpH調節されたペプチド溶液を、DMEM中に懸濁した細胞と混合し得る。この方法のための純粋な水性ペプチド溶液、カクテル溶液、および希釈溶液の製剤化プロトコルを、表11に列挙する。この方法のための3Dおよび2D細胞培養のプロトコルを、表12に示す。
この実施例中で使用される混合比は、以下の表13に示される。
レオロジー特性:
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、レオロジー特性は、細胞培養のためのペプチドヒドロゲルの調製法によって変動し得る。
ペプチドのレオロジー特性を、レオメーター(DHR−1, TA Instruments)と20mmプレートとを使用して、0.5%の濃度で評価した。ペプチド溶液(200μL)を、レオメータープレートに入れ、25℃において、500μmの測定幾何ギャップで配置したプレートを用いて係数を測定した。25℃において2分の緩和時間後に測定を行った。周波数スイープ試験(Frequency sweep test)を、1Paでの応力に伴う1rad/秒〜10rad/秒の振動応力で行った。
そのレオロジー結果を、3種の異なる等張性緩衝液中に調製したPuraMatrix(登録商標)に関して図1に示す。具体的には、図1は、等張性かつpH調節されたPuraMatrix(登録商標)の貯蔵弾性率データを示す。PuraMatrix(登録商標)溶液(0.5%)を、1)10% スクロース溶液、2)pH3.4の1×PBS、および3)pH4.0の1×PBS中に調製した。ゲル化を、PuraMatrix(登録商標)溶液をDMEMで20分間処理することによって誘導した。
上記ペプチド溶液を、DMEMで20分間処理して、ゲル化を誘導した。3つのサンプルの1rad/秒での貯蔵弾性率を、図1に示した。第1のサンプルとして、等張性PuraMatrix(登録商標)溶液を、コントロールとして10% スクロースで製剤化した。なぜならこの製剤は、PuraMatrix(登録商標)使用ガイドライン(BD/Corningウェブサイト)の中で実証されるとおり、一般的細胞培養法に使用されているからである。第2のサンプルとして、等張性PuraMatrix(登録商標)溶液を、PuraMatrix(登録商標)の等電点(pI)の直ぐ下のpH3.4のPBSで調製した。第3のサンプルとして、等張性PuraMatrix(登録商標)溶液を、PuraMatrix(登録商標)がその等電点(pI)にあるpH4.0のPBSで作製した。
等電点(pI)は、特定の分子が正味の電荷を全く運ばないpHである。PuraMarix(登録商標)は、4個のアルギニンおよび4個のアスパラギン酸を有する。PuraMatrix(登録商標)は、pH3.9あたりからpH11.5あたりまでの等電点(pI)を有し得る。なぜならPuraMatrix(登録商標)中のアスパラギン酸のpKaは、3.9であり、かつPuraMatrix(登録商標)中のアルギニンのpKbは、11.5であるからである。それは、pH3.9あたりとpH11.5あたりとの間では正味の電荷が存在せず、その間ではPuraMatrix(登録商標)の溶解度は低くなることを意味する。通常、水性PuraMatrix(登録商標)溶液は、そのpHレベルが2.0〜2.5にある。この研究では、水性1% PuraMatrix(登録商標)溶液は、そのpHが2.2にあることを示した。10% スクロース溶液中に製剤化した等張性PuraMatrix(登録商標)は、最新版のPuraMatrix(登録商標)細胞培養プロトコルにおいて示されるように、細胞培養実験に使用されているが、10% スクロースを用いたPuraMatrix(登録商標)のpHはまた、2.2であった。pH3.4のPBSを用いた等張性PuraMatrix(登録商標)溶液の貯蔵弾性率は、10% スクロースを用いた等張性PuraMatrix(登録商標)溶液のものより顕著に高かった。等張性PuraMatrix(登録商標)溶液を、DMEMでそれらのゲル化のために処理した後、pH3.4のPBSを用いた等張性PuraMatrix(登録商標)の貯蔵弾性率は、10% スクロースを用いた等張性PuraMatrix(登録商標)のものより僅かに高かった。しかし、pH4.0のPBSを用いた等張性PuraMatrix(登録商標)は、非常に低い貯蔵弾性率を示し、かつDMEM処理でゲルを形成しなかった。
特に、PuraMatrix(登録商標)溶液の硬さは、細胞培養培地がこのペプチド溶液の最上部に添加される場合に、ペプチドヒドロゲルの構造安定性を保持するために非常に重要である。ペプチド溶液の硬さが弱い場合、このペプチド溶液はゲル化または培地での洗浄の間に不安定であり得る。なぜならピペットで操作された培地由来の流動力は、ゲル化する前に、弱いペプチド溶液の構造安定性を破壊し得るからである。
方法#1〜6から調製したペプチドのレオロジー特性を評価し、その結果を図2および3に示した。図2は、方法#1〜6から調製した0.5% PuraMatrix(登録商標)溶液のレオロジー特性を示す。図3は、方法#1〜6から調製した0.5% PuraMatrix(登録商標)ヒドロゲルのレオロジー特性を示す。PuraMatrix(登録商標)(0.5%)を、DMEMで20分間処理して、ヒドロゲルを形成した。方法#1〜6から調製した等張性PuraMatrix(登録商標)溶液の硬さは、コントロール方法から調製したものより遙かに高かった。しかし、これらの等張性PuraMatrix(登録商標)溶液をDMEMで処理してゲルを形成した後、全てのヒドロゲルの貯蔵弾性率は、同様であった。
ゲル化速度:
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、ペプチドのゲル化速度は、ペプチド等張性溶液の調製法によって変動し得る。等張性ペプチド溶液のゲル化速度を、レオメーター(DHR−1, TA Instruments)と25mmプレートとを使用して、0.5%で評価した。ペプチド溶液(200μL)を、レオメータープレートに入れ、25℃において、500μmの測定幾何ギャップで配置したプレートを用いてゲル化速度を測定した。25℃において2分の緩和時間後に測定を行った。時間スイープ試験(time sweep test)を、0.3%の張力に伴う1Hzで行った。時間スイープの間に、10mLのDMEM溶液を、ペプチド溶液のまわりに添加した。液体チャンバをこの試験に使用して、ペプチド溶液をDMEM中に浸漬させた。0時点を、時間スイープ試験の間に、2枚のプレート間に位置させたPuraMatrix(登録商標)サンプルのまわりの液体チャンバへとDMEMを添加した場合の時間として設定した。係数を2.5秒ごとに記録した。
ゲル化速度結果を、2種の異なる等張性緩衝液から調製したPuraMatrix(登録商標)溶液に関して図4に示す。破線および実線は、それぞれ、10% スクロース溶液中に調製した0.5% PuraMatrix(登録商標)およびpH3.4のPBS緩衝液中に調製した0.5% PuraMatrix(登録商標)のゲル化速度を表す。時間スイープの間に0時点で2枚のプレート間に位置させたPuraMatrix(登録商標)サンプルのまわりの液体チャンバに、DMEMを添加した。第1のサンプルとして、等張性PuraMatrix(登録商標)溶液を、コントロールとして10% スクロースで製剤化した。なぜならこの形成は、PuraMatrix(登録商標)使用ガイドライン(BD/Corningウェブサイト)の中で実証されるとおり、一般的細胞培養法に使用されているからである。第2のサンプルとして、等張性PuraMatrix(登録商標)溶液を、PuraMatrix(登録商標)の等電点(pI)の直ぐ下のpH3.4のPBSで調製した。このペプチド溶液をDMEMで処理した場合、pH3.4のPBSを用いた等張性PuraMatrix(登録商標)溶液のゲル化速度は、10% スクロースを用いた等張性PuraMatrix(登録商標)溶液液のゲル化速度より速かった。
等張性PuraMatrix(登録商標)溶液のゲル化速度はまた、細胞培養培地をペプチド溶液上に添加する場合に、ペプチドヒドロゲルの構造安定性を保持するために重要であり得る。ペプチド溶液のゲル化速度が遅い場合、このペプチド溶液は、ゲル化前に、容易に壊れ得るか、または添加された細胞培養培地で洗い流されてしまい得る。
構造安定性:
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、細胞培養の間のペプチドヒドロゲルの構造安定性は、等張性かつpH調節されたペプチド溶液の調製法によって変動し得る。等張性ペプチドヒドロゲルの構造安定性を、PuraMatrix(登録商標)使用ガイドライン(BD/Corningウェブサイト)の中で実証されるとおり、一般的細胞培養法である、コントロールとしての10% スクロースを用いた等張性ペプチドヒドロゲルの構造安定性と比較して、方法#1〜6を使用して視覚的に評価した。ペプチド溶液(200μL)を、48ウェルプレートに入れ、DMEM(500μL)を穏やかに添加した。1時間後、培地を、新しいDMEM(500μL)と交換した。DMEM除去後のヒドロゲルの画像を、翌日に撮った。ペプチドヒドロゲルの見かけ上の構造安定性に関する画像を、異なるペプチド濃度の、方法#1〜6から調製したペプチドヒドロゲルおよびコントロールに関して図5に示し、それらの評価を表14に列挙した。明らかに、方法#1〜6から調製したペプチドヒドロゲルの構造は、コントロール方法から調製したものより安定性が高いようである。全てのペプチドヒドロゲルは、明らかに透明であった。
3D細胞培養:
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、ペプチドヒドロゲルは、3D細胞培養に使用され得る。各ペプチド溶液を、1%の濃度で調製し、次いで、方法#1〜6またはPuraMatrix(登録商標)使用ガイドライン(BD/Corningウェブサイト)に記載されるとおりのコントロール方法に従って、0.50%以下の濃度に希釈した。NIH 3T3マウス胚性線維芽細胞またはC57 BL/6マウス間葉系幹細胞(mMSC)を洗浄し、方法#1および2に関してはPBS(pH7.4)中に、方法#3および4に関しては10% スクロース中に、ならびに方法#5および6に関してはDMEM中に再懸濁した。上記細胞を、最終濃度100万個細胞/mlとなるようにペプチド溶液の濃度の各々の中に再懸濁した。使用される細胞培養培地は、DMEM(高グルコース、L−グルタミン、およびピルビン酸ナトリウムを有する)、1% 抗菌抗真菌溶液、および10% 仔ウシ血清である。100μLのペプチド/細胞混合物を、各48ウェル細胞培養プレートに入れ、300μLのDMEMを、上記ペプチド/細胞混合物の最上部に添加した。次いで、プロトコルは、方法#1〜6の表1〜12、ならびにコントロール方法に関してはPuraMatrix(登録商標)使用ガイドライン(BD/Corningウェブサイト)に記載されるように、細胞培養プレートの中での3D細胞培養に従った。
上記方法およびPuraMatrix(登録商標)使用ガイドライン(BD/Corningウェブサイト)に従うコントロール方法から調製したペプチドヒドロゲル中で3D培養した細胞の顕微鏡画像を、図6および7に示す。具体的には、図6は、0.5% PuraMatrix(登録商標)中で24時間三次元培養したNIH 3T3マウス胚性線維芽細胞の顕微鏡画像を示す。(A〜C)コントロール: 細胞を、PuraMatrix(登録商標)使用ガイドライン(BD/Corningウェブサイト)に従って、10% スクロース溶液中の0.5% PuraMatrix(登録商標)で培養した。(B)方法#1: 細胞を、pH3.4のPBS中で製剤化した0.5% PuraMatrix(登録商標)で培養した。(E)方法#3: 細胞を、pH3.4の等張性スクロースおよびPBS混合物中で製剤化した0.5% PuraMatrix(登録商標)で培養した。白の矢印は、損傷したヒドロゲル領域を明らかにし、黒の矢印は、ひどいヒドロゲル損傷に起因する空白のプラスチック底を示す。図7は、方法#1を使用して48時間0.5% PuraMatrix(登録商標)中で三次元培養したNIH 3T3マウス胚性線維芽細胞およびC57 BL/6マウス間葉系幹細胞(mMSC)の顕微鏡画像を示す。(A〜B)NIH 3T3マウス胚性線維芽細胞および(C〜D)C57 BL/6 マウス間葉系幹細胞(mMSC)を、pH3.4のPBS中で製剤化した0.5% PuraMatrix(登録商標)で培養した:(A)および(B)または(C)および(D)の2つの画像は、異なる焦点深度を用いて同じ位置で撮影した。白の矢印は、十分に焦点の合った細胞を指し示す一方で、黒の矢印は、焦点の合っていない細胞を指し示す。従って、細胞は、ヒドロゲル中に三次元で埋め込まれている。
ペプチドヒドロゲルは全て透明であったので、ペプチドヒドロゲル中に3−D被包化された細胞は、顕微鏡で観察可能であった。しかし、コントロール方法から細胞とともに調製したペプチドヒドロゲルは、頻繁に壊れた部分を示した一方で、方法#1および3から細胞とともに調製したペプチドヒドロゲルは、図6中に示されるように領域全体にわたって透明でありかつ均質な(consistent)マトリクス視覚化を示した。方法#2、4〜6から調製した他のヒドロゲルは、3D細胞培養に使用され得る。なぜならそれらは全て透明であり、方法#1および#3から調製したヒドロゲルに類似の硬さを有するからである。細胞は、図7に示されるように、2種の異なる細胞タイプを伴うヒドロゲルにおいて十分三次元に分布した。
2D細胞培養:
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、ペプチドヒドロゲルを、2D細胞培養に使用し得る。各ペプチド溶液を1%の濃度で調製し、次いで、方法#1〜6に従って0.50%以下の濃度に希釈した。160μLのペプチド溶液を48ウェル細胞培養プレートに入れ、2〜8℃に12時間保持した。320μLのDMEMを、ウェルの側面からピペットでゆっくりと下に移すことによって、ゲルの最上部に添加し、そのゲルを、細胞培養インキュベーターの中で、20分間37℃でインキュベートし、DMEMを注意深く除去した。細胞を、最終濃度5000個細胞/cmまたは100,000個細胞/cmとなるように、320μLのDMEM中に懸濁し、上記ゲルの最上部に置いた。
方法#1から調製したペプチドヒドロゲルの表面上で2−D培養した細胞の顕微鏡画像を、図8および9に示す。具体的には、図8は、NIH 3T3マウス胚性線維芽細胞(AおよびC)ならびにC57 BL/6マウス間葉系幹細胞(mMSC)(BおよびD)の顕微鏡画像を示す。(A〜B)コントロール: 細胞を、PuraMatrix(登録商標)使用ガイドライン(BD/Corningウェブサイト)に従って10% スクロース溶液中の0.5% PuraMatrix(登録商標)で2日間培養した。(C〜D)方法#1: 細胞を、pH3.4のPBS中に製剤化した0.5% PuraMatrix(登録商標)で2日間培養した。細胞を、5000個細胞/cmで播種した。白い矢印は、損傷したヒドロゲル領域を明らかにし、黒い矢印は、ひどいヒドロゲル損傷に起因する覆われていない(opened)プラスチック底を示す。図9は、方法#1から調製した0.5% PuraMatrix(登録商標)中で8時間(A−B)および4日間(C−D)2−D培養した、NIH 3T3マウス胚性線維芽細胞の顕微鏡画像を示す。細胞を、100,000個細胞/cmで播種した。
方法#1から調製したペプチドヒドロゲルは透明であるので、ペプチドヒドロゲル上で2−D培養した細胞は、図8に示されるように、明確に観察可能であった。細胞は、2種の異なる細胞タイプを伴うヒドロゲルにおいて十分二次元に分布した。しかし、コントロール方法から細胞とともに調製したペプチドヒドロゲルは、頻繁に壊れた部分を示したので、細胞を損傷した領域上には播種しなかったかまたは細胞がプラスチック底上に下りた。細胞は、図9に示されるように、それらを4日間培養した後、欠陥なしのヒドロゲルの最上部でコンフルエントになった。方法#2〜6から調製した他のヒドロゲルは、2D細胞培養に使用され得る。なぜならそれらは全て透明であり、かつ方法#1から調製したヒドロゲルに類似の硬さを有するからである。播種した細胞は、ヒドロゲル表面上に一様に分布し、8時間で表面に付着し始めた。細胞は十分に付着し、4日で、ゲル表面上でコンフルエントであった。しかし、PuraMatrix(登録商標)使用ガイドライン(BD/Corningウェブサイト)に従って10% スクロース溶液から調製した0.5% PuraMatrix(登録商標)は、PuraMatrix(登録商標)の最上部に細胞培養培地を添加する間に、その弱い構造安定性に起因して2D細胞培養のための平らな表面を生成しなかった。
洗浄:
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、ペプチドヒドロゲルは、被包または付着した細胞を上記ペプチドヒドロゲルから単離するために全体的に洗浄され得る。ペプチドヒドロゲル洗浄溶液は、等張性かつpH調節された緩衝液(例えば、10% スクロースおよびPBS)で調製され得、そのpHは、酸性塩(例えば、塩酸塩)を使用して1.5〜3.5で調節され得る。この試験において、ペプチドヒドロゲル洗浄溶液を、PBS(pH7.4)緩衝液中に1N 塩酸塩を添加することによって、pH3.0のPBSで製剤化した。200μLのPuraMatrix(登録商標) 1%溶液を2mL 遠心分離チューブの中に入れ、1mLのDMEMヒドロゲルを穏やかに添加して、ゲル化を誘導した。1時間後、培地を除去し、そのゲルを壊し、1mLの3種の異なる洗浄溶液:(1)10% スクロース溶液、(2)PBS(pH7.4)、および(3)PBS(pH3.0)でピペット操作することによって洗浄した。そのチューブを、1100rpmで5分間遠心分離し、上清を除去した。このヒドロゲルを洗浄し、再び遠心分離し、残ったペレットを、PBS緩衝液(pH7.4)で再懸濁した。
洗浄緩衝液で2回洗浄した後のペプチドヒドロゲルの顕微鏡画像を、図10に示す:A)10% スクロース溶液で洗浄した、(B)PBS(pH7.4)で洗浄した、および(C)ペプチドヒドロゲル 洗浄溶液(pH3.0のPBS)で洗浄した。上記ペプチドヒドロゲルを、10% スクロース溶液、PBS(pH7.4)およびPBS(pH3.0)で2回洗浄した。10% スクロース溶液およびPBS(pH7.4)は、ペプチドヒドロゲルを成功裡に洗浄せず、サイズがおよそ10〜100μmである壊れたゲル粒子を多く示した。しかし、ペプチドヒドロゲル洗浄溶液は、ペプチドヒドロゲルを全体的に洗浄した。
細胞特徴付け:
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、ペプチドヒドロゲルを全体的に洗浄した後、そのペプチドヒドロゲルから単離された細胞は、分子レベルの特徴付け(フローサイトメトリーが挙げられるが、これらに限定されない)のために有益に利用され得る。上記ペプチド洗浄溶液で洗浄した単離された細胞は、蛍光染料で染色され得、残ったペプチドヒドロゲルの干渉なしに、フローサイトメトリーについて試験され得る。細胞を、方法#1〜6およびPuraMatrix(登録商標)使用ガイドライン(BD/Corningウェブサイト)に従うコントロール方法から調製したヒドロゲル中で三次元培養した。使用した細胞培養培地は、DMEM(高グルコース、L−グルタミン、およびピルビン酸を有する)、1% 抗菌抗真菌溶液、および10% 仔ウシ血清である。培養を、3Dプレートとして行った。培養物を、48ウェル培養プレート中、1,000,000個細胞/mlを有する100μlのヒドロゲルでプレートした。300μLの細胞培養培地を、上記ゲルの最上部に添加し、新しい300μLの細胞培養培地を1時間で交換した。培養物から細胞を採取する前に、細胞を24時間培養した。培養物から細胞を単離するために、0.500mlのPBSをウェルに添加した。このゲルを、ピペットで操作することによって壊し、ミニ遠心分離チューブに添加した。0.500mlのPBSを、2回目の洗浄のためにウェルに添加し、それをまた、遠心分離チューブに添加した。その細胞およびゲルを、1100RPMで5分間遠心分離した。選択肢的プロセスとして、トリプシン−EDTAを添加し得、サンプルを、5分間、37℃においてインキュベートし得る。上清を除去した後、1mlのPuraMatrix(登録商標)洗浄溶液を添加した。サンプルを遠心分離し、1mlの上清を除去した。洗浄溶液を添加し、サンプルを再び遠心分離した。1mlの上清を再び除去し、細胞を0.500mlのPBS(pH7.4)中に再懸濁した。Life technologiesのプロトコルに従って、細胞をヨウ化プロピジウム(Life technologies)で染色した。ヨウ化プロピジウムを使用して、集団中の死細胞を検出し得る。なぜならそれは、生細胞には透過性ではなく、死細胞の核および染色体を染色するのみだからである。
図11は、方法#1〜6およびPuraMatrix(登録商標)使用ガイドライン(BD/Corningウェブサイト)に従うコントロール方法から調製したペプチドヒドロゲル中で3−D培養したNIH 3T3マウス胚性線維芽細胞に対するヨウ化プロピジウム染色後のフローサイトメトリー結果を示す。具体的には、図11は、方法#1〜6から調製した0.5% PuraMatrixヒドロゲル中で培養した線維芽細胞のフローサイトメトリーデータを示す。細胞を、ペプチドヒドロゲル洗浄溶液(pH3.0のPBS)を使用してゲルから単離した。(A):陰性コントロール:細胞培養フラスコから採取した線維芽細胞。(B)陽性コントロール:70% エタノールで1時間処理した線維芽細胞。(C)PuraMatrix(登録商標)使用ガイドライン(BD/Corningウェブサイト)に従って、PuraMatrix(登録商標)中で24時間培養した線維芽細胞。(D−I)方法#1〜6に従って24時間PuraMatrix(登録商標)中でそれぞれ培養した線維芽細胞。陽性コントロールとして、細胞を、試験前に70% エタノールで1時間処理し、陰性コントロールとして、組織培養フラスコから採取した細胞を、直接試験した。結果は、線維芽細胞が全てのヒドロゲルから成功裡に単離され得、フローサイトメトリー分析について試験し得ることを実証する。
細胞生存率:
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、方法#1〜6から調製したペプチドヒドロゲルは、高い細胞生存率と関連付けされた。細胞生存率(細胞傷害性)アッセイを行って、方法#1〜6から調製したヒドロゲルがNIH 3T3マウス胚性線維芽細胞(ヒドロゲル組織培養系において頻繁に使用される細胞株)の生存率を支援する能力を測定した。NIH 3T3マウス胚性線維芽細胞の生存率を、ヨウ化プロピジウム染色でのフローサイトメトリー結果から分析した。方法#1〜6およびPuraMatrix(登録商標)使用ガイドライン(BD/Corningウェブサイト)に従うコントロール方法から調製したペプチドヒドロゲル中で線維芽細胞を3−D培養した後に、細胞生存率分析を図12に示した。細胞を、ペプチド溶液の最上部にDMEMを添加する前に、5分間または15分間、ペプチド溶液とともに保持した。
1もしくはこれより多くの実施形態によれば、ペプチドヒドロゲルは、透明であり得るので、それは、2−Dまたは3−D細胞画像を観察するには容易である。開示された方法で調製したペプチドヒドロゲル溶液は、一般に、より粘性が高いので、3−D播種した細胞は、底へと非常にゆっくりと沈み、三次元で均一な分布を生じた。また、ゲル化時間は、細胞培養培地を添加した後、比較的速いので、懸濁した細胞は、ヒドロゲル中に一様に分布し得る。コントロールPuraMarix(登録商標)は、粘性がより低く、ゆっくりとしたゲル化を有する。通常、コラーゲン溶液は、ゲル化前に粘性ではなく、比較的長いゲル化時間を要するので、細胞は、底へと急激に沈み得るかまたは底の領域中でより定植する。調製された等張性かつpH調節されたペプチドヒドロゲルは、種々の実施形態において薬物、サイトカイン、増殖因子、およびタンパク質と混合されて、細胞培養を改善、ならびに細胞増殖および分化を起こし得る。
本明細書で考察される方法およびデバイスの実施形態は、適用において、この説明の中で示されるかまたは添付の図面の中で図示される構成要素の構築および準備の詳細に限定されないことは、認識されるべきである。その方法およびデバイスは、他の実施形態において実現され得、種々の方法で実施され得るかまたは行われ得る。具体的実現の例は、例証目的のみで本明細書で提供され、限定されることは意図しない。また、本明細書で使用される語法および用語法は、説明目的であり、限定としてみなされないものとする。「含む、包含する、挙げられる(including)、「含む、包含する(comprising)」、「有する(having)」、「含む、含有する(containing)」、「含む(involving)」、およびこれらのバリエーションの本明細書での使用は、その後に列挙される項目およびその均等物、ならびにさらなる項目を包含することが意味される。「もしくは、または、あるいは(or)」への言及は、包括的であると解釈され得るので、「もしくは、または、あるいは」を使用して記載される任意の用語は、記載される用語のうちの単数、1より多い、および全てのうちのいずれかを示し得る。前および後ろ、左および右、最上部および底、上側および下側、ならびに垂直および水平への任意の言及は、説明の便宜のために意図されたものであって、本発明のデバイスおよび方法またはそれらの構成要素をいずれか1つの位置的なまたは空間的な配向に限定することは意図しない。
少なくとも1つの例のいくつかの局面をこのように記載してきたが、種々の変更、改変および改善が当業者に容易に想到されることは、認識されるべきである。例えば、本明細書で開示される例は、他の状況においても使用され得る。このような変更、改変、および改善は、この開示の一部であることが意図され、本明細書で考察される例の範囲内にあることが意図される。よって、前述の説明は、例示に過ぎない。

Claims (33)

  1. 細胞培養キットであって、
    合成ペプチドヒドロゲル溶液;
    希釈溶液;および
    以下を行う説明書:
    該合成ペプチドヒドロゲル溶液の濃度を該希釈溶液で調節すると同時に、その張度を血漿重量オスモル濃度レベルにおいて、およびそのpHを約3.5以下のレベルにおいて維持する、ならびに
    細胞培養実験を該希釈した合成ペプチドヒドロゲル溶液で行う、
    を含む、キット。
  2. 前記合成ペプチドヒドロゲルは、RADARADARADARADA(RADA16)を含む、請求項1に記載のキット。
  3. 前記合成ペプチドヒドロゲル溶液は、希釈前に該合成ペプチドヒドロゲル溶液のpHレベルが約3.5以下にあり、該合成ペプチドヒドロゲル溶液の張度が、血漿重量オスモル濃度レベルにあるように製剤化される、請求項1に記載のキット。
  4. 希釈前に前記合成ペプチドヒドロゲル溶液のpHレベルを約3.5以下に、および該合成ペプチドヒドロゲル溶液の張度を該血漿重量オスモル濃度レベルへと調節するように製剤化されたカクテル溶液をさらに含む、請求項1に記載のキット。
  5. 前記カクテル溶液および前記希釈溶液のうちの少なくとも一方は、張度を制御するために1種もしくはこれより多くの等張剤を含む、請求項4に記載のキット。
  6. 前記1種もしくはこれより多くの等張剤は、塩、糖、およびこれらの混合物を含む、請求項5に記載のキット。
  7. 前記カクテル溶液および前記希釈溶液のうちの少なくとも一方は、pHを制御するために、1種もしくはこれより多くのアルカリ塩または酸性塩を含む、請求項3に記載のキット。
  8. 前記カクテル溶液は、高張性であり、約1〜約14の間のpHレベルを有する、請求項3に記載のキット。
  9. 培養される予定の細胞供給源、細胞培養培地、および等張性緩衝溶液のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のキット。
  10. 前記等張性緩衝溶液は、PBS、生理食塩水、スクロースが挙げられるがこれに限定されない糖ベースの等張剤、またはDMEMが挙げられるがこれに限定されない細胞培養培地を含む、請求項9に記載のキット。
  11. 洗浄溶液をさらに含む、請求項1に記載のキット。
  12. 前記説明書は、培養された細胞を前記洗浄溶液で単離する、および該単離された細胞を細胞特徴付けまたは分子特徴付けに供する指示をさらに提供する、請求項11に記載のキット。
  13. 前記説明書は、複数の細胞が緩衝溶液中に懸濁される3−D細胞培養プロトコルに関する、請求項1に記載のキット。
  14. 前記説明書は、2−D細胞培養プロトコルに関する、請求項1に記載のキット。
  15. 前記説明書は、標的細胞タイプに基づいて前記血漿重量オスモル濃度レベルを選択する、および前記カクテル溶液を使用して、前記合成ペプチドヒドロゲル溶液中で前記血漿重量オスモル濃度レベルを達成するさらなる指示を提供する、請求項3に記載のキット。
  16. 細胞培養法であって、該方法は、
    合成ペプチドヒドロゲル溶液のpHレベルを約3.5以下で維持する工程;
    該合成ペプチドヒドロゲル溶液の張度を血漿重量オスモル濃度レベルで維持する工程;
    該ペプチドヒドロゲル溶液を所定の濃度に希釈する工程;
    細胞を該ペプチドヒドロゲル溶液中で所定の期間にわたって培養する工程;および
    該培養された細胞を単離する工程、
    を包含する細胞培養法。
  17. 前記単離された細胞を、フローサイトメトリー分析および画像観察、細胞ブロッティング、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験を含む分子特徴付けに供する工程をさらに包含する、請求項16に記載の方法。
  18. 前記合成ペプチドヒドロゲル溶液は、RADARADARADARADA(RADA16)を含む、請求項16に記載の方法。
  19. 前記培養工程は、3−D細胞培養実験に関する、請求項16に記載の方法。
  20. 前記培養工程は、2−D細胞培養実験に関する、請求項16に記載の方法。
  21. 前記培養工程は、細胞を、前記ヒドロゲルへと周囲の細胞からインビトロまたはインビボで動員することに関する、請求項16に記載の方法。
  22. 前記培養工程は、インビトロでの細胞培養実験に関する、請求項16に記載の方法。
  23. 前記培養工程は、エキソビボでの細胞培養実験に関する、請求項16に記載の方法。
  24. 前記培養工程は、インビボでの動物またはヒトの実験に関する、請求項16に記載の方法。
  25. 前記培養工程は、薬物、サイトカイン、増殖因子、ペプチド、および/またはタンパク質と組み合わせて、細胞培養を改善ならびに細胞増殖および分化を起こすことを含む、請求項23に記載の方法。
  26. 細胞培養実験の標的種または標的細胞タイプに基づいて、前記血漿重量オスモル濃度レベルを選択する工程をさらに包含する、請求項24に記載の方法。
  27. 前記張度は、約260〜約360mOsm/Lの範囲にある、請求項26に記載の方法。
  28. 約1.5〜約3.5のpHレベル、ならびに標的種および標的細胞タイプに関して約260〜約360mOsm/Lの範囲の血漿重量オスモル濃度での張度を有する、合成ペプチドヒドロゲル溶液。
  29. 前記標的種は、マウス、ラット、ブタ、ウサギ、ウシ、ヒト、昆虫、細菌、および植物からなるが、これらに限定されない群より選択される、請求項28に記載の溶液。
  30. 前記標的細胞タイプは、線維芽細胞、幹細胞、上皮細胞、内皮細胞、神経系細胞、心臓細胞、腎臓細胞、血球、筋細胞、膵臓細胞、免疫細胞、樹状細胞、表皮細胞、がん細胞、星状細胞、脂肪細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞からなるが、これらに限定されない群より選択される、請求項28に記載の方法。
  31. 前記合成ペプチドヒドロゲル溶液は、RADARADARADARADA(RADA16)を含む、請求項28に記載の方法。
  32. 前記合成ペプチドヒドロゲル溶液は、1rad/秒および1Paの応力で測定される場合、0.5%濃度で少なくとも5Paの貯蔵弾性率を特徴とする、請求項28に記載の方法。
  33. 前記合成ペプチドヒドロゲル溶液は、張度を制御するための塩、糖、およびこれらの混合物を含む1種もしくはこれより多くの等張剤、ならびにpHレベルを制御するための1種もしくはこれより多くのアルカリ塩または酸性塩を含む、請求項28に記載の方法。
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