本発明は、ウェアラブル空気浄化装置又はフィルタ装置に関し、特に、ユーザがフィルタを通して大きく呼吸する必要性を回避する動力付き装置に関する。
粒子状物質(PM10及びPM2.5)並びに(SO2、NOx、CO、及びO3のような)有害ガスは、周囲の都市環境における主要な汚染物質として世界的に特定されている。近年、これらの汚染物質の濃度は、多くの大都市で非常に危険なレベルに達しており、住民への深刻な健康リスクを引き起こし、毎日の屋外活動をしている人々に対する呼吸保護の非常に緊急な必要性をもたらしている。
マスクベースの技術は、しばしば、受動的な呼吸保護(passive breathing protection)のための第1の選択である。フィルタマスクは非常に軽量であり、この点に関してウェアラブルな解決法として好ましいが、それらは、同時に、ユーザによって経験される高い呼吸抵抗のために、着用するのが不快である。
呼吸抵抗の問題を回避するために、ウェアラブルな空気浄化の他の解決法は、パワーアシスト式首着用装置を含み、これは、ファン要素の使用により、ユーザの頭の下に位置する清浄機ユニットから、口および鼻に向かって上向きに、濾過された空気を推進する。この方法では、清浄な空気が吸入のためにユーザに能動的に供給されるが、マスクを通して呼吸しなければならない不快感はない。
このような解決法は呼吸抵抗の問題をうまく取り除くが、それらは効率の点において決して満足できない。特に、このような「オンザゴー(on-the-go)」の首着用装置は、多くの通常の屋外状況で利用されるときに、著しく低下した性能を示す。例えば、1m/s(約3.6km/h)より上の風速で使用される場合、装置は、ユーザの顔に清浄な空気流を送ることができない。この装置はまた、屋外の温度のわずかな変動に対してさえも非常に敏感である。
風の干渉に対するより大きい回復力(resilience)は、より強力なファン要素を実装することによって可能になるかもしれないが、これは、装置のサイズ、重量、及び電力消費の大幅な増加を必要とする。しかし、ウェアラブル装置では、これらの容易の最小化が明らかに最大の優先事項である。
したがって、ユーザによる直接吸入のために浄化された空気を供給することができ、それによって如何なる呼吸抵抗問題も回避するが、供給のための機構は、風による干渉に実質的に耐性があるとともに、広範囲の周囲温度にわたって動作的に安定である、ウェアラブル空気浄化装置が望まれる。
本発明は請求項によって規定される。
本発明の態様によれば、直接吸入のためにユーザの口及び/又は鼻に近接した領域に浄化された空気を供給するためのウェアラブル空気浄化装置が提供され、同装置は:
空気チャンバであって、前記空気チャンバは、開口部を有するとともに、第1の位置と第2の位置との間でたわみ、それによって空気チャンバ内で容積を変化させるように適合される可撓性ダイアフラムをさらに有し、前記容積の変化は、ダイアフラムが前記第1の位置に向かってたわむとき、開口部を経由する空気チャンバへの第1の方向の空気の移動(displacement)、及びダイアフラムが前記第2の位置に向かってたわむとき、開口部を経由する空気チャンバの外への第2の方向の空気の移動を誘起する、空気チャンバと;
前記空気チャンバ内に配置される濾過エレメントであって、濾過エレメントは、空気が通過して空気チャンバの中に入るとき及び空気チャンバの外へ出るときの両方で空気が清浄化されるように、前記開口部を通って前記第1の方向に空気チャンバの中に移動される空気と流体連通するように並びに前記開口部を通って前記第2の方向に空気チャンバの外に移動される空気と流体連通するように、配置される、濾過エレメントと;
を有する。
ダイアフラムが少なくとも第1の位置と第2の位置との間で動くとき、空気は、空気チャンバの中へ及びチャンバの外へ交互に吸われ且つ吐かれる。例えば、粒子フィルタ又はガスフィルタのような、濾過要素は、入ってくる及び/又は出ていく空気が前記フィルタの活性表面(active surfaces)と接触するように、チャンバの開口部に対して配置され、空気がそれを行うとき汚染物質が除去される。
ダイアフラムが2つの位置の間で高い周波数で振動するように適合される場合、出ていく空気は、それがチャンバから排出されるときジェットを形成することができる。これは、シンセティックジェット生成(synthetic jet generation)として知られ、コンパクト、軽量、且つエネルギ効率のよい装置を使用する拘束空気流の形成を可能にする。
本発明は、日常的な活動中にユーザが着用するのに十分小さく且つ軽量であるが、風が強い状況においてさえ完全な機能を提供するのに十分強力である空気浄化装置を提供するように、このシンセティックジェット技術を空気濾過機能と組み合わせることに基づいている。
シンセティックジェットアプローチの使用は、空気がフィルタ内に存在する時間が増加し得ることを意味する。
幾つかの実施形態では、可撓性ダイアフラムは、少なくとも部分的に、前記チャンバの境界を画定し得る。
この場合、チャンバ内部の容積の変化は、ダイアフラムの偏心(eccentricity)を単に変えることを通じて達成され得る。例えば、ダイアフラムを、チャンバのバルク容積(bulk volume)に「凹状に」湾曲するように適合させることによって、チャンバの容積が減少する。他方、チャンバのバルクから「凸状に」湾曲するようにダイアフラムを動かすことによって、チャンバの容積はその結果として増大する。したがって、シンセティックジェット作用が、ダイアフラムを外向きの「凸」位置から内向きの「凹状」位置に単に「裏返す」ことによって、この実施形態内で達成され得る。
装置は、2以上の位置の間で振動するようにダイアフラムを駆動するための駆動機構をさらに有し得る。
シンセティックジェット作用が達成される場合、装置はダイアフラムの運動を制御するための駆動機構を含み得る。例えば、ドライバユニットは、例えば、従来のラウドスピーカ装置内で利用されるような、ダイアフラムの電気力学的変位を誘発するための要素を含んでよい。しかし、代替例では、ドライバは、印加された電流又は電圧に比例する周波数で振動を誘発するために、1又は複数の圧電素子を備えてよい。さらなる例では、ドライバは、ダイアフラムの機械的操作のために、1又は複数のモータ要素を備えてよい。
ダイアフラムの表面積は、1又は複数の開口部/通路のいずれか1つの断面積より大きくてよい。
このような実施形態では、ダイアフラムの位置の「反転」によるチャンバの外へのガスの変位は、ダイアフラムの運動によって発生する圧力波が出口開口部の断面積より大きい面積の波面を有するので、自然にジェット形成の生成につながり得る。これは、当然、過剰な空気が狭い開口部を通って押し出されるので、渦の発生につながり得る。
装置は、少なくとも部分的に共有される境界によって互いに隔てられる、2以上の空気チャンバを有し、前記境界は、少なくとも1つの可撓性ダイアフラムによって少なくとも部分的に画定される。
この実施形態によれば、2つの境界を共有するチャンバは互いに対して相互に反対に働く:第1のチャンバが吸引段階にあるとき、第2のチャンバはその吹き出し段階にあり、その逆も同様である。2つのチャンバを部分的に分離するダイアフラムは、両者の間で効果的に共有され、第1のチャンバのバルク容積への「左方向」の侵入と第2のチャンバのバルク容積への「右方向」の侵入との間で振動し得る。この方法では、2つのチャンバの容積は、ダイアフラムが往復して動くとき、互いに呼応して交互に増減する。
この実施形態は、単一のダイアフラムが2つのジェットを同時に発生させるために使用され得るので、エネルギ消費を低減するという利点をもたらす。
少なくとも1つの開口部のうちの1又は複数は、開口部を通る空気流を制御するためのバルブを有し得る。
この実施形態では、バルブ又はスイッチが、入口又は出口で、ジェット流を制御するために使用され得る。バルブは、例えば、印加される圧力差だけで容易に開閉されることができる非常に薄い金属箔又は金属板を含んでよい。
このような実施形態は、個々の開口部が異なる段階(phases)の間に開閉されることができ、例えば1つの開口部が純粋に入口として機能するとともに第2の開口部が純粋に出口として機能することを可能にするので、単一のチャンバ内の複数の開口部の使用を可能にする。これは、例えば空気取り入れ口が周囲の環境内の異なる相対的なソースから出て行く空気の目的ゾーンに引き出されることが有利である又は必要である用途において有益であり得る。例えば、装置が口のすぐ近くに着用されることになる場合、ユーザの呼吸ゾーンに直接にはないソースから空気を吸引することが望ましい場合がある。
この実施形態によれば、空気清浄は吸引段階の間及びジェット吹出段階の間の両方で起こり、それによって浄化プロセスの効率を高める。チャンバ内に移動される空気は、吸引段階の間にチャンバに入るとき、濾過エレメントと連通する。段階が切り替わり且つ空気の方向が逆転すると、フィルタ表面を既に通過した/通り過ぎた濾過された空気部分は、チャンバから戻って通過するとき、再びフィルタの活性表面と接触する。切り替えの瞬間に、側方拡散フィルタ(lateral diffusion filter)と接触している−又は側方拡散フィルタの内部チャネル内に存在している−如何なる空気も、その拡散プロセスを継続するが反対方向に進む。したがって、この実施形態は、濾過エレメントの活性表面と汚染物質の接触時間を延ばす「双方向の」洗浄を可能にする。
1又は複数の濾過エレメントは、少なくとも1つの空気チャンバの外側に配置され得るとともに、チャンバの外へ移動される空気が、それが出るとき、濾過エレメントと流体連通するように、少なくとも1つの開口部と位置合わせされ得る。
本発明の他の態様によれば、直接吸入のためにユーザの口及び/又は鼻に近接した領域に浄化された空気を供給するためのウェアラブル空気浄化装置が提供され、同装置は:
空気チャンバであって、前記空気チャンバは、開口部を有するとともに、2以上の位置の間でたわみ、それによって空気チャンバ内で容積を変化させるように適合される可撓性ダイアフラムをさらに有し、前記容積の変化は、開口部を経由するチャンバの中への及びチャンバの外への空気の移動を誘起する、空気チャンバと;
空気チャンバの中に及び/又は空気チャンバの外に移動される空気と流体連通するように配置される濾過エレメントと;
チャンバの中への空気の流れのための空気流吸引ゾーンを画定する流れ分配プレートであって、前記空気流吸引ゾーンは、入口開口部に通じる入口チャンネルを有し、前記入口チャンネルは、それらが前記入口開口部に向かって狭くなるとともに空気の流れを加速するように構成され、前記流れ分配プレートはまた空気チャンバの外へ空気を向ける空気流ジェットゾーンも画定する、流れ分配プレートと;
インパクタであって、空気流ジェットゾーンはインパクタに向かってチャンバの外へ空気を向けるための出口チャンネルを有する、インパクタと;
を有する。
この実施形態によれば、濾過エレメントは、出ていくジェットがチャンバを出た後に活性フィルタ表面と接触するように配置される。この実施形態は、特に、濾過エレメントの少なくとも1つが衝突プレート(impaction plates)である例に適用可能であってよい。ここでは、出ていくジェットは、衝突プレートに当たる際、突然方向を変え、慣性力によって、そこに運ばれる任意の小さい粒子のジェットからの分離を誘発する。これらは、その後、プレートの表面によって捕捉され得る。
装置は、少なくとも1つのチャンバ内に移動されるガスの仮想衝突のための1又は複数の空気入口チャネルを画定する、1又は複数の流れ分配要素を有する。
チャネルは、チャンバの1又は複数の入口開口部に至るまで画定される。これらのチャネルが十分に狭く画定されている場合、吸引段階中に「仮想衝突」が達成され、入口チャネルを介してチャンバに吸入される空気は、流れの狭窄によって加速されるので、特定の大きい粒子は、空気流から分離されるとともに周囲環境に残されるようになる。
空気チャンバは、外側チャンバ内の内側チャンバを画定することができ、内側チャンバと外側チャンバとの間の空間は、少なくとも1つの開口部への入口通路を画定する。これは、チャンバの内外へのより連続的な流れを伴うエントレインメントポンプ(entrainment pump)を定め得る。
断熱層が、装置と環境との間の熱交換を最小にするために設けられ得る。
吸収/触媒活性炭又は金属有機構造体を含浸させた(impregnated with)ハイブリッドガスフィルタのような特定のタイプの濾過エレメントに関して、浄化効率は周囲環境の温度及び湿度によって厳密に制限される。いくつかの実施形態に関して、濾過構成要素の性能を最大にするために、装置が熱保護要素を有することが望ましい。これらの要素は、絶縁層を含むことができ、いくつかの例では、装置内の特定の範囲の最適温度の維持のための加熱要素を含むことができる。
本発明の他の実施形態によれば、上で定義されたフィルタ装置のアレイを有するフィルタマスク構造が提供され、前記アレイは、空気チャンバの外へ移動されるガスが、移動された空気がユーザによって吸入されるよう、ユーザの顔にごく近接した、共通領域に向かって推進されるように、配置される。
本発明の他の態様によれば、少なくとも1つの空気チャンバを有するウェアラブルフィルタ装置の使用により、直接吸入のために、浄化された空気を発生させるとともにユーザの口及び/又は鼻に近接した領域に供給する方法であって、前記チャンバは、開口部を有するとともにさらに可撓性ダイアフラムを有し、方法は:
空気チャンバ内でそれによって容積を変化させるように第1の位置と第2の位置との間で可撓性ダイアフラムをたわませるステップであって、前記容積の変化は、ダイアフラムが前記第1の位置に向かってたわむとき、開口部を経由する空気チャンバの中への第1の方向の空気の移動を、及びダイアフラムが前記第2の位置に向かってたわむとき、開口部を経由する空気チャンバの外への第2の方向の空気の移動を誘起する、ステップと、
空気が通過して空気チャンバの中に入るとき及び空気チャンバの外に出るときの両方で空気が清浄化されるよう、空気チャンバ内に配置される1又は複数の濾過エレメントが、前記開口部を通って前記第1の方向に空気チャンバの中に移動される空気と流体連通するように並びに前記開口部を通って前記第2の方向に前記空気チャンバの外に移動される空気と流体連通するように、前記1又は複数の濾過エレメントと流体連通するよう前記移動される空気を向けるステップと、
を含む。
さらに、この方法の中で用いられる濾過エレメントは1又は複数の衝突プレート(impaction plates)を有し、方法は、少なくとも1つの空気チャンバの外へ移動される空気を前記衝突プレートに向け、それによって、前記移動される空気から特定の汚染物質を捕えるステップを含む。
ある実施形態では、方法はさらに、1又は複数のチャンネルを経由して少なくとも1つの空気チャンバの中へ移動されるように空気を吸い込み、それによって高い流入速度を誘起し、その結果として慣性力によって特定の汚染物質を濾過するステップをさらに含む。
本発明の例が次に添付図面を参照して詳細に説明される。
既知のシンセティックジェット流体ポンプメカニズムを説明するために使用される。
フィルタ装置の第1の例を示す。
単一のオリフィスを持つ装置がどのように汚染された領域から空気を吸い込み且つ所望の正常な空気のゾーンに新鮮な空気を供給することができるかを示す。
フィルタ装置の第2の例を示す。
フィルタ装置の第3の例を示す。
フィルタ装置の第4の例を示す。
フィルタ装置の第5の例を示す。
フィルタ装置の第1の例を示す。
フィルタ装置の第6の例を示す。
シンセティックジェットを使用する既知のエントレインメントポンプを示す。
図10を参照して説明される方法で動作するエントレインメントポンプを使用するフィルタ装置の第7の例を示す
フェイスマスクに適用されるフィルタ装置のセットを示す。
本発明は、即時吸入のためにユーザの口又は鼻に近接した領域への直接供給のために浄化された空気の推進される流れを能動的に生成するウェアラブル空気浄化装置を提供する。空気チャンバが、2つの最も遠い(extreme)位置の間で変動するように適合され、それによりチャンバ内の容積を変化させ、チャンバの中へ及び外へ空気を交互に吸い込み且つ吐き出す、可撓性ダイアフラムを有する。濾過エレメントが、空気チャンバの中又は空気チャンバの周りに配置され、微粒子の及び/又はガス状の汚染物質の能動的除去のために、チャンバに入る又はチャンバから出るかのいずれかでダイアフラムによって移動される空気と連通するように位置合わせされる。本発明の実施形態は、ユーザの呼吸ゾーンに空気の連続流を共同で供給するように配置される、複数のそのような空気チャンバアセンブリを有し得る。
本発明は、清浄空気の高度に推進された流れをユーザの口及び/又は鼻に供給できるが、同時に日常の活動中にユーザによって快適に着用されるように十分にコンパクト且つ軽量であることができる清浄機を提供するために、ウェアラブル空気浄化装置内にシンセティックジェットジェネレータ(synthetic jet generator)技術を組み込む概念に基づいている。シンセティックジェットジェネレータは、幅広い技術分野、最も顕著にはLEDデバイスの冷却の領域での増大する応用が見出されている。シンセティックジェットの使用は、低騒音、高信頼性、長寿命、高効率、低コスト及びコンパクトで柔軟なフォームファクタを含む、従来のファンベースの技術に対する多くの重要な利点のために有望である。シンセティックジェット技術の−特にLEDデバイスにおける−幅広い応用を考慮すると、大量生産におけるシンセティックジェットジェネレータの実装は既に実現可能であることが留意される。
図1には、当技術分野で知られているシンセティックジェットジェネレータの概念の簡単な例が示されている。シンセティックジェットジェネレータは、キャビティ4を形成する振動膜2(最も一般的には正弦波振動)を有し、このキャビティは、オリフィス又はチューブ6を介して周囲に接続される。任意の手段、例えば、(従来のラウドスピーカでのような)電気力、圧電性、又は機械的に駆動されることができるこの膜の振動は、空気をある周波数で交互にキャビティ内に吸入させ且つキャビティの外に吹き出させる。吸込(inlet)(吸引)段階の間、空気8は全方向からキャビティに引き込まれる。排出(outlet)(吹き出し)段階の間、ジェット形成10が生じることができ、空気が狭い開口部6を強制的に通されるとき渦が発生する。膜振動周波数は、例えば、制御ユニットで調整することができ、高いジェット速度は、一般的に、数m/sから数十m/sの間にわたって達成可能である。
上述のように、最新式の「オンザゴー」の(例えば、首着用)空気清浄製品の性能及び効率は、そのような装置が多くの典型的な屋外環境で使用される場合、著しく損なわれる。シミュレーションは、最新式の装置が−空気ソースが頭の上又は下に置かれているかどうかにかかわらず−1m/sの向かい風(oncoming wind)の中で、清浄な空気を顔に供給できないことが分かった。空気ソースが着用者の鼻/口の近くに再配置されることができたとしても、より高い流速が依然として必要とされ、装置内により高い動力ファンユニットを必要とし、これは結果としてユニット全体に加算される大きさ及び重量をもたらす。
本発明の実施形態は、数十m/sまでの流量、例えば約50m/sの流量で清浄空気を供給する効率な方法を提供するために、シンセティックジェット技術と既存の空気浄化技術及び濾過技術とを、(同等の流量のファンベースのデバイスと比較して)コンパクト且つ軽量であるユニットに組み合わせる。
図2には、単純な第1の例の概略図が示される。空気チャンバ12は、一方の端部に開口部又は通路14を有し、他方の端部に可撓性ダイアフラム16を有し、ダイアフラム16は、2つの最も遠い位置の間でひっくり返る又は反転するように適合され、第1の位置は図2の左端の図に示され、第2の位置は図2の右端の図に示される。ダイアフラムは、チャンバの外側境界を部分的に画定し、空気キャビティ18によって占有されるその内部の下部を外部周囲環境から隔離する。チャンバの上部は、2つの積層された濾過エレメント:粒子フィルタ層24、及びガスフィルタ層26によって占められ、これらのフィルタ層の各々は、チャンバの全幅に広がり、チャンバの上部の入口14と、チャンバの残りの部分を充填する空気キャビティ18との間の境界を一緒に形成する。
例として、フィルタは:
(90%を超えるPM2.5を除去し得る)マイクロ波形MERV12(12の最小効率報告値)HEPA(「高効率微粒子吸着」)フィルタ;
ガス汚染物質を除去するための活性炭繊維フィルタ;又は
(特定の物質及び気体の両方のための)ハイブリッド活性炭繊維及びガラス繊維フィルタ;又は
活性炭フォーム;
エレクトレットフォーム;
のうちの1又は複数を含み得る。
ダイアフラムがその第1の位置と第2の位置との間で往復して移動するとき、ダイアフラムは交互にチャンバ内に空気を吸い込み、チャンバの外に空気を吹き出す。吸引段階は、図2の一番左の図に示されている。ダイアフラムが上向き(第2)の位置から下向きの(第1の)位置に移動するとき、空気キャビティ18の容積は、対応して変更され、右側の図に示されるより小さい容積から、左側の図に示されるより大きい容積に増加する。この容積の変化は、バキューム効果(vacuum effect)を誘発し、入口開口部14を通ってチャンバ内に空気20を吸入する。内側に移動した空気は、フィルタ要素24、26を強制的に通過させられ、その間に汚染物質(粒子及び有害ガス)が続いて吸着/吸収される。フィルタ内の汚染物質の輸送は、いくつかの実施形態において、少なくとも部分的に拡散によって達成され、空気浄化/濾過は典型的には不可逆プロセスであることに留意されたい。
図2の図は、一定の縮尺では示されておらず、したがって、典型的には、濾過エレメントは、空気キャビティ18によって占有されている容積のうちのごく少ない割合であるチャンバの容積を占めてもよい。この場合、その第1の位置へのダイアフラムの運動によって誘起される容積の変化は、一般に、組み合わされた2つのフィルタエレメントのものよりも大きくてよく、したがって吸引段階の間に、いくらかの空気は、強制的にフィルタ層を通り且つキャビティ18の中に入れさせられる。しかし、他の例では、ダイアフラムのサイズ及び濾過エレメントの容積は、前者の反転によって誘起される体積の変化が後者のものと実質的に一致するように較正され得るので、チャンバに引き込まれる空気は、フィルタエレメントの内部空間及びキャビティを満たすが、下部キャビティ18の中に入り込まない。
吹き出段階が図2の右端の図によって示されている。ダイアフラムがその第1の位置からその第2の位置に移動するとき、キャビティ容積は減少し、空気が矢印22によって示されるように排出される。
この例では、ダイアフラムは、ダイアフラムの位置及び形状がチャンバの容積を決定するように、チャンバの境界を部分的に画定する。
この例では、ダイアフラムは、少なくとも2つの最も遠い位置の間を移動するように適合される。好適な実施形態では、ダイアフラムは、これらの2つの位置の間で振動する(oscillate)、又は振動する(vibrate)ように適合され、それによってシンセティックジェット作用を促進する。この目的のために、装置は、ダイアフラムの振動(oscillation)又は振動(vibration)を駆動するためのドライバユニットをさらに備える。ドライバユニットは、例えば従来のラウドスピーカ装置内で利用されるような、ダイアフラムの電気力学的変位を誘発するための要素を例えば含むことができる。しかし、代替例では、ドライバは、印加される電流又は電圧に比例する周波数で振動を誘発する1又は複数の圧電素子を備えてよい。さらなる例では、ドライバは、ダイアフラムの機械的操作のための、1又は複数のモータ要素を備えてよい。異なるドライバ機構を含む他の実施形態も考えられる。
図3は、可能なドライバ構成を説明するために使用される。図3の左側の画像では、ユーザの口は位置Uにある。これはシンセティックジェットオリフィスから距離Hにある。しかし、ユーザによる吸入は、深さhの空気の層の吸入をもたらし、この深さhは、はるかに小さい。高速のシンセティックジェットは、空気がキャビティ18内に引き込まれる距離よりもはるかに大きな距離で、ジェットがユーザの口に達することを可能にする。その結果、キャビティに引き込まれた空気と、呼吸のために排出される空気との間の干渉が、シンセティックジェットとユーザの口との間の距離の適切な設計によって、回避されることができる。
図3の右側の画像は、オリフィスプレート23が、空気がプレート23のノズル側から吸い込まれるがプレートの他側からユーザによって呼吸されるように、シンセティックジェット出口の下流に配置され得ることを示している。
この方法では、単一のオリフィスが、入口と出口の両方として機能することができる一方、汚染された空気が1つの場所から空気清浄機に引き込まれるとともに、清浄な空気がユーザによる呼吸のために別の場所に排出されることを可能にする。
異なる実施形態に従って変化し得る、ダイアフラムの構造及び構成に応じて、第1の位置と第2の位置との間のダイアフラムの動きは、滑らかで連続的な移行を含んでよく−ダイアフラムは、それが2つの間で比較的滑らかに動くとき、全ての中間位置を占める、あるいは、交互に、確率的又は不連続な動きを含んでよく、ダイアフラムはある位置から別の位置に突然「ひっくり返る」。
図2の特定の例では、濾過エレメント24、26は、空気チャンバ12の内部に配置され、チャンバ20内に移動される空気は、それが進入するとき、濾過エレメントと流体連通するように、一方の開口部14と整列される。この実施形態では、空気が、移動の両方の段階の間に、同じ単一の開口部14を通過しなければならず、したがって、隣接する濾過エレメントを通過しなければならないため、空気は、そのチャンバ内への通過中だけでなく、その再度の外への通過中にも清浄化される。段階が切り替わり、空気の方向が逆転すると、フィルタ表面を既に通過した/フィルタ表面のそばを通った濾過された空気部分は、チャンバから戻って通過するとき、再びフィルタの活性表面と接触する。切り替えの瞬間に、側方拡散フィルタと接触している−又は側方拡散フィルタの内部チャネルの内部にある−如何なる空気も、その拡散プロセスを継続するが反対方向にある。
したがって、この実施形態は、「双方向」浄化を可能にし、濾過エレメントの活性表面との汚染物質の接触時間を延長する。
振動膜周波数(f)は、制御ユニットによって調整可能である。浄化空気の高い噴出速度(数十m/s)は、f並びにキャビティ及びオリフィスの対応する寸法を選択することによって達成されることができる。
シンセティックジェットジェネレータの周波数は、例えば数十kHz、例えば26kHzである。ノイズを避けるために、一般に、周波数は、超音波のより下方周波数限度(〜20kHz)より上に選択される。
全ての屋内/屋外空気清浄機に関して、ガス及び粒子フィルタはメンテナンスを必要とする。シンセティックジェットキャビティは、これらのフィルタが容易に交換されることができるような方法で設計されるべきである。
図4は第2の例を示す。同じ参照番号が、同じ構成要素に対して図2においてのように使用される。図4はまた、キャビティ18がガスフィルタのみを含んでよいことを示し;粒子フィルタ及びガスフィルタの使用は必須ではない。
装置は、可撓性ダイアフラム16によって画定される共有される境界によって互いに分離される2つの空気チャンバ18を備える。基本的に、図4の装置は、図2の2つの装置12を並んで備え、可撓性ダイアフラム16はそれらの間の接続部を形成している。2つの装置の結合は、ダイアフラム16で部分的に達成されるとともに部分的に剛体壁32で達成される。
2つの境界共有チャンバ18は互いに対して反対に働く:第1のチャンバが吸引段階にあるとき、第2のチャンバはその吹き出し段階にあり、その逆もある。2つのチャンバを部分的に分離するダイアフラムは、両者の間で効果的に共有され、第1のチャンバのバルク容積への「左方向」の侵入と第2のチャンバのバルク容積への「右方向」の侵入との間で振動し得る。この方法では、ダイアフラムが往復して動くとき、2つのチャンバの容積は、互いに共同して交互に増減する。
この設計は、単一のダイアフラムが2つのジェットを同時に発生させるために使用され得るので、エネルギ消費の削減を可能にする。特に、シンセティックジェットの吸引段階(吸入半サイクル)及び吹出段階(ジェット半サイクル)の両方が、空気浄化及び濾過のために用いられる。
上記の例は高周波装置である。低周波装置も可能である。図5は、より低い周波数で動作するための第3の例を示す。再び、同じ参照番号が、同じ構成要素に対して図2でのように使用される。
この例は、別個の空気入口14a及び空気出口14bを有する。空気入口14aは入口バルブ42aを有し、空気出口14bは出口バルブ42bを有する。
バルブ42a、42bは、それらを横切る圧力差に応じて開閉するフラップバルブであってよい。フラップバルブは、薄い金属箔又はプレートであってもよい。他のバルブが使用されてよく、それらはパッシブ(フラップバルブなど)又はアクティブ(すなわち切替(switched)バルブ)であってよい。バルブはジェット流を制御する。
この例では、ガスフィルタ26は入口側にあり、粒子フィルタ24は出口側にある。チャンバ12は、フィルタ24、26の間の空間に画定される。
バルブが使用されるとき、比較的低い周波数が、バルブの所望の機械的応答をシンセティックジェットに合わせて開閉することを可能にすることが望ましい場合がある。例えば、振動膜周波数は10Hz未満、例えば1−5Hzの範囲内であり得る。
図5の左に示されている吸引段階では、入口バルブ42aは開き、出口バルブ42bは閉じる。続いて、空気は入口オリフィス14a内に引き込まれ、粒子フィルタ24を通過し、キャビティ18に入る。図4の右に示されるジェット吹出段階では、入口バルブ42aは閉じ、出口バルブ42bは開く。空気は、それが吹き出される前に、強制的にガスフィルタ26を通過させられる。
図6は第4の例を示す。これは、図5の例とは、両方のフィルタ24。26がチャンバ12の出口側に設けられるという点でのみ異なる。
通常、ガス状汚染物質の除去は、標的ガス用の特定の吸収剤を含浸させたフィルタを用いて行われる。活性炭及び金属有機構造体(MOF)のようないくつかの吸収剤/触媒があり、これらは、ハイブリッドガスフィルタに含浸させることができ、したがって、1種類より多いガス状汚染物質を濾過することができる。しかし、これらのフィルタの浄化効率は、空気清浄機が作動している周囲環境の温度及び湿度によって厳密に制限される。「オンザゴー」アプリケーションに関して、清浄性能への温度変動の悪影響が最小限にされなければならない。
屋内空気清浄機に関して、18℃〜30℃の狭い典型的な温度範囲がある。屋外のフェイスマスク用途に関して、空気清浄機は冬と夏の両方で良好に動作する必要があり、それに関して温度範囲は0℃−40℃に拡張されなければならない。
図7は図3の変形を示し、過酷な環境で作動しているときに空気清浄機を保護するための熱的変更(thermal alterations)を示す。冬期には、断熱層44(例えば、プラスチックカバー)が、清浄装置と環境との間の熱交換を最小限にするために追加される。小さな熱源45(例えば、抵抗加熱器)もまた、空気清浄機の内部に設けられてよい。バッテリ電源46のエネルギの一部は、着用者が外出するとき、清浄機を暖かく保つために使用されることができる。
夏期には、断熱材44が除去され、ヒータ45はアイドル状態にある。周囲温度が高すぎる場合は、加熱の代わりに、冷却手段又は換気手段が設けられてもよい。バッテリは、空気清浄機の外側に取り付けられたソーラ(光電池)パネル47を使用して充電されることができる。電池は、膜を駆動するための電力も供給する。
バッテリは、図示されるように装置の一部であってもよいが、電力を受け取るために空気浄化装置が接続される、スマートフォンのような、別の装置の一部であってもよい。
使用され得る別のタイプの濾過アプローチは、インパクタである。これは、あるサイズの粒子をガス流から分離するためのフィルタ技術である。
図8は、上述のシンセティックジェットアプローチを利用するとともに、汚染された空気中浮遊粒子(polluted airborne particles)を除去するために2段階衝突も実装するフィルタ装置の例を示す。
上記の例のように、ダイアフラム16の位置に依存する容積を有するチャンバ12がある。空気は、空気流20によって示されるように、入口/出口14に横方向に引き込まれる。粒子54は、空気流に引き込まれる(entrained)。
プレート56は、単純な流れ分配器として機能し、それは、流れを、チャンバ12内への吸引ゾーンと入口/出口14の真下のジェットゾーンとに分離する。高速空気ジェットが、入口/出口14の外に向けられ、ジェット速度は、振動周波数を変化させることによって制御されることができる。装置はさらに、衝突プレート50を備える。
図8の左に示されている吸引半サイクル中、空気はチャンバ12内に引き込まれる。仮想インパクタが、チャンバ12とプレート56との間に自然に形成され、これは、概略的に示されているように、大きい粒子54が装置の外側に残されることを意味する。小さな粒子のみが、吸引される空気流に追従し、チャンバ12に入る。
図8の右に示されるジェット半サイクル中、キャビティ内に先に吸引された空気は、高速ジェットを形成するように急速に押し出される。衝突プレート50に当たって方向を変えると、ジェット内の小さい粒子は、慣性力によって分離され、衝突プレート50によって捕捉される。ジェットの最高速度は十分高い(数m/sから数十m/s)ので、非常に小さい空気力学的直径の粒子も同様に除去され得る。
従って、装置の各半サイクルは粒子フィルタリング操作を実行する。吸い込み半サイクル中、高い慣性を持つ大きい粒子は、第1の仮想衝突を介して空気流から分離される。ジェット半サイクル中、残りの小さい粒子は、インパクタ上の高速ジェット流の第2の衝突によってさらに除去される。したがって、2段階インパクタフィルタリング機能が実装される。
この例では、フィルタは必要とされず(且つ上記の例と共通してファンもなく)、シンセティックジェットジェネレータは、非常にコンパクトにすることができる。したがって、空気浄化システムは、非常に小さく、軽量で且つエネルギ効率がよい。それはまた洗濯可能であり且つメンテナンスも容易である。粒子を除去するために慣性力を使用することによって、二次汚染がある。
この設計は、シンセティックジェット発生部と、空気浄化システム内に含まれる1又は複数の衝突部とを含む。物理的インパクタ50は、ジェットゾーンにあり、仮想インパクタ(流れ方向に沿う)は吸引ゾーンにある。流れ分配器56は、シンセティックジェットを吸引ゾーン及びジェットゾーンに分離する。それはまた、吸引ゾーンに仮想インパクタを形成する役割も果たす。
上で説明され且つ図3に示されるように、2つの(又はそれより多い)デバイスが、共有膜と一緒に結合されることができる。図9は、図8の設計の2つがどのように、同様の方法で一緒に結合されることができるかを示す。この場合も、これは、シンセティックジェットの吸引段階(吸引半サイクル)及び吹出段階(ジェット半サイクル)の両方が空気浄化のために用いられるので、エネルギ消費を低減することができる。第2の衝突段階における小さい粒子の除去は、衝突プレート50の表面改質によりさらに改善され得る。
シンセティックジェット装置のいくつかの例の実際的な制限は、フィルタ内の空気の利用可能な滞留時間が十分な浄化のためには短すぎることであり得る。滞留時間は、例えば入口及び出口を制御するバルブを使用する例について上で説明したように、シンセティックジェット周波数を低下させることによって増加させることができる。しかし、これは、空気清浄機の流量を犠牲にする可能性がある。
別のアプローチは、図10に示されるようなシンセティックジェット駆動エントレインメントポンプを使用することである。ポンプは、この場合も同様に、可撓性ダイアフラム16によって画定される壁を有するキャビティ18を有する。シンセティックジェットジェネレータのキャビティは、追加のエンクロージャ57によって取り囲まれている。入口14aは、ポンプの一方の側でシンセティックジェットジェネレータとエンクロージャ57との間の空間によって画定され、出口14bは、シンセティックジェット出口と位置合わせされ、かつポンプの反対側にある。シンセティックジェットジェネレータによって発生する流体流の運動量は、空気がポンプエンクロージャの一方の側から連続的に吸入され、エンクロージャの他方の側で連続的に排出されることを引き起こす。そのようなポンプは、例えば、Murataの「マイクロブロワー」として知られている製品として市販されている。
図10は、膜16の振動を提供するための装置としての圧電素子58を示す。
図11は、シンセティックジェットエントレインメントポンプに基づく空気浄化装置を示し、図10と同じ参照符号が同じ構成要素に付されている。入口を通って吸い込まれる空気は、外部エンクロージャ57とシンセティックジェットポンプチャンバ12の外部によって形成される内部エンクロージャとの間を通過する前に、フィルタ24、26を通過する。フィルタ内の空気の滞留時間は、この設計では、増加されることができる一方、滞留時間が周波数と無関係であるため、高いシンセティックジェット周波数を維持する。排出される浄化された空気は、再び遠くに到達するジェットを形成する。
外側エンクロージャは、シンセティックジェットの入口につながるチャネル構成を画定するために使用される。したがって、空気チャンバ12は、外側チャンバ57内の内側チャンバを画定し、内側チャンバ12と外側チャンバ57との間の空間は、開口部14への入口通路を画定する。この入口通路は、空気浄化装置から外への出口空気流によって取られるより直接的な経路より長い。
図12は、シンセティックジェットインパクタ12のアレイが、MEMS技術により薄いシート上にどのように製造され得るかを示す。次いで、このシートは、「呼吸」でき且つ清浄な空気を着用者66に供給することができるマスクとして使用されることができる。アレイは、ストリップ上に製造されることもできる。
この装置は、呼吸されることになる新鮮な空気の連続流を供給するために、ユーザの顔の上に装着されることができる。呼吸の間に、空気流がマスク容積を満たすことができ、前の容積は、それが外部に漏れるように、移動される。したがって、マスクは、ユーザの顔に密封されない。
したがって、本発明のウェアラブル空気浄化装置の好的な実装は、ユーザの口又は鼻及び口の上に装着されるマスクの一部として形成される。シンセティックジェット装置は、マスク内に形成される又はマスクの構造の一部を形成するので、ユーザによって携行されるのではなくユーザによって装着されることができる。上で説明したように、それは、それ自身の電源によって電力供給されてもよく、そうでなければ、別の装置から電力を取り出してよい。それ自身の電源がある場合は、太陽エネルギの統合された収集を用いて再充電可能にされてよい。代わりに、システムを充電するためのエネルギを発生させるためのメカニズムとして、ユーザの動きを使用してもよい。
開示された実施形態に対する他の変更は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求項に記載された発明を実施する上で当業者によって理解されるとともに生み出されることができる。請求項において、「有する」の語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞“a”又は“an”は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
本発明は、ウェアラブル空気浄化装置又はフィルタ装置に関し、特に、ユーザがフィルタを通して大きく呼吸する必要性を回避する動力付き装置に関する。
粒子状物質(PM10及びPM2.5)並びに(SO2、NOx、CO、及びO3のような)有害ガスは、周囲の都市環境における主要な汚染物質として世界的に特定されている。近年、これらの汚染物質の濃度は、多くの大都市で非常に危険なレベルに達しており、住民への深刻な健康リスクを引き起こし、毎日の屋外活動をしている人々に対する呼吸保護の非常に緊急の必要性をもたらしている。
マスクベースの技術は、しばしば、受動的な呼吸保護(passive breathing protection)のための第1の選択である。フィルタマスクは非常に軽量であり、この点に関してウェアラブルな解決法として好ましいが、それらは、同時に、ユーザによって経験される高い呼吸抵抗のために、着用するのが不快である。
呼吸抵抗の問題を回避するために、ウェアラブルな空気浄化の他の解決法は、パワーアシスト式首着用装置を含み、これは、ファン要素の使用により、ユーザの頭の下に位置する清浄機ユニットから、口および鼻に向かって上向きに、濾過された空気を推進する。この方法では、清浄な空気が吸入のためにユーザに能動的に供給されるが、マスクを通して呼吸しなければならない不快感はない。
このような解決法は呼吸抵抗の問題をうまく取り除くが、それらは効率の点において決して満足できない。特に、このような「オンザゴー(on-the-go)」の首着用装置は、多くの通常の屋外状況で利用されるときに、著しく低下した性能を示す。例えば、1m/s(約3.6km/h)より上の風速で使用される場合、装置は、ユーザの顔に清浄な空気流を送ることができない。この装置はまた、屋外の温度のわずかな変動に対してさえも非常に敏感である。
風の干渉に対するより大きい回復力(resilience)は、より強力なファン要素を実装することによって可能になるかもしれないが、これは、装置のサイズ、重量、及び電力消費の大幅な増加を必要とする。しかし、ウェアラブル装置では、これらの容易の最小化が明らかに最大の優先事項である。
したがって、ユーザによる直接吸入のために浄化された空気を供給することができ、それによって如何なる呼吸抵抗問題も回避するが、供給のための機構は、風による干渉に実質的に耐性があるとともに、広範囲の周囲温度にわたって動作的に安定である、ウェアラブル空気浄化装置が望まれる。
特許文献1は、加圧された駆動ガスの外部ソースの必要なしに患者への換気補助を提供するための換気システムを開示している。出願は特に可動性の高い機械式換気装置を説明している。
特許文献2は、人が水又は呼吸不能ガス中で働くことを可能にする呼吸装置であって、特に比較的浅い水中でのかなり短い時間の潜水に適した呼吸装置を開示している。
特許文献3は、圧縮空気ポンプを用いる呼吸困難者への換気補助のためのポータブル装置を開示している。
特許文献4は、マイクロポンプで流体を移送するためのポンプユニット、及びポンプユニットを使用する呼吸補助装置を開示している。
US2008/196720A1
US4,938,211
US6,397,844B1
US2012/304993A1
本発明は請求項によって規定される。
本発明の態様によれば、直接吸入のためにユーザの口及び/又は鼻に近接した領域に浄化された空気を供給するためのウェアラブル空気浄化装置が提供され、同装置は:
空気チャンバであって、前記空気チャンバは、開口部を有するとともに、第1の位置と第2の位置との間でたわみ、それによって空気チャンバ内で容積を変化させるように適合される可撓性ダイアフラムをさらに有し、前記容積の変化は、ダイアフラムが前記第1の位置に向かってたわむとき、開口部を経由する空気チャンバへの第1の方向の空気の移動(displacement)、及びダイアフラムが前記第2の位置に向かってたわむとき、開口部を経由する空気チャンバの外への第2の方向の空気の移動を誘起する、空気チャンバと;
前記空気チャンバ内に配置される濾過エレメントであって、濾過エレメントは、空気が通過して空気チャンバの中に入るとき及び空気チャンバの外へ出るときの両方で空気が清浄化されるように、前記開口部を通って前記第1の方向に空気チャンバの中に移動される空気と流体連通するように並びに前記開口部を通って前記第2の方向に空気チャンバの外に移動される空気と流体連通するように、配置される、濾過エレメントと;
を有する。
ダイアフラムが少なくとも第1の位置と第2の位置との間で動くとき、空気は、空気チャンバの中へ及びチャンバの外へ交互に吸われ且つ吐かれる。例えば、粒子フィルタ又はガスフィルタのような、濾過要素は、入ってくる及び/又は出ていく空気が前記フィルタの活性表面(active surfaces)と接触するように、チャンバの開口部に対して配置され、空気がそれを行うとき汚染物質が除去される。
ダイアフラムが2つの位置の間で高い周波数で振動するように適合される場合、出ていく空気は、それがチャンバから排出されるときジェットを形成することができる。これは、シンセティックジェット生成(synthetic jet generation)として知られ、コンパクト、軽量、且つエネルギ効率のよい装置を使用する拘束空気流の形成を可能にする。
本発明は、日常的な活動中にユーザが着用するのに十分小さく且つ軽量であるが、風が強い状況においてさえ完全な機能を提供するのに十分強力である空気浄化装置を提供するように、このシンセティックジェット技術を空気濾過機能と組み合わせることに基づいている。
シンセティックジェットアプローチの使用は、空気がフィルタ内に存在する時間が増加し得ることを意味する。
幾つかの実施形態では、可撓性ダイアフラムは、少なくとも部分的に、前記チャンバの境界を画定し得る。
この場合、チャンバ内部の容積の変化は、ダイアフラムの偏心(eccentricity)を単に変えることを通じて達成され得る。例えば、ダイアフラムを、チャンバのバルク容積(bulk volume)に「凹状に」湾曲するように適合させることによって、チャンバの容積が減少する。他方、チャンバのバルクから「凸状に」湾曲するようにダイアフラムを動かすことによって、チャンバの容積はその結果として増大する。したがって、シンセティックジェット作用が、ダイアフラムを外向きの「凸」位置から内向きの「凹状」位置に単に「裏返す」ことによって、この実施形態内で達成され得る。
装置は、2以上の位置の間で振動するようにダイアフラムを駆動するための駆動機構をさらに有し得る。
シンセティックジェット作用が達成される場合、装置はダイアフラムの運動を制御するための駆動機構を含み得る。例えば、ドライバユニットは、例えば、従来のラウドスピーカ装置内で利用されるような、ダイアフラムの電気力学的変位を誘発するための要素を含んでよい。しかし、代替例では、ドライバは、印加された電流又は電圧に比例する周波数で振動を誘発するために、1又は複数の圧電素子を備えてよい。さらなる例では、ドライバは、ダイアフラムの機械的操作のために、1又は複数のモータ要素を備えてよい。
ダイアフラムの表面積は、1又は複数の開口部/通路のいずれか1つの断面積より大きくてよい。
このような実施形態では、ダイアフラムの位置の「反転」によるチャンバの外へのガスの変位は、ダイアフラムの運動によって発生する圧力波が出口開口部の断面積より大きい面積の波面を有するので、自然にジェット形成の生成につながり得る。これは、当然、過剰な空気が狭い開口部を通って押し出されるので、渦の発生につながり得る。
装置は、少なくとも部分的に共有される境界によって互いに隔てられる、2以上の空気チャンバを有し、前記境界は、少なくとも1つの可撓性ダイアフラムによって少なくとも部分的に画定される。
この実施形態によれば、2つの境界を共有するチャンバは互いに対して相互に反対に働く:第1のチャンバが吸引段階にあるとき、第2のチャンバはその吹き出し段階にあり、その逆も同様である。2つのチャンバを部分的に分離するダイアフラムは、両者の間で効果的に共有され、第1のチャンバのバルク容積への「左方向」の侵入と第2のチャンバのバルク容積への「右方向」の侵入との間で振動し得る。この方法では、2つのチャンバの容積は、ダイアフラムが往復して動くとき、互いに呼応して交互に増減する。
この実施形態は、単一のダイアフラムが2つのジェットを同時に発生させるために使用され得るので、エネルギ消費を低減するという利点をもたらす。
少なくとも1つの開口部のうちの1又は複数は、開口部を通る空気流を制御するためのバルブを有し得る。
この実施形態では、バルブ又はスイッチが、入口又は出口で、ジェット流を制御するために使用され得る。バルブは、例えば、印加される圧力差だけで容易に開閉されることができる非常に薄い金属箔又は金属板を含んでよい。
このような実施形態は、個々の開口部が異なる段階(phases)の間に開閉されることができ、例えば1つの開口部が純粋に入口として機能するとともに第2の開口部が純粋に出口として機能することを可能にするので、単一のチャンバ内の複数の開口部の使用を可能にする。これは、例えば空気取り入れ口が周囲の環境内の異なる相対的なソースから出て行く空気の目的ゾーンに引き出されることが有利である又は必要である用途において有益であり得る。例えば、装置が口のすぐ近くに着用されることになる場合、ユーザの呼吸ゾーンに直接にはないソースから空気を吸引することが望ましい場合がある。
この実施形態によれば、空気清浄は吸引段階の間及びジェット吹出段階の間の両方で起こり、それによって浄化プロセスの効率を高める。チャンバ内に移動される空気は、吸引段階の間にチャンバに入るとき、濾過エレメントと連通する。段階が切り替わり且つ空気の方向が逆転すると、フィルタ表面を既に通過した/通り過ぎた濾過された空気部分は、チャンバから戻って通過するとき、再びフィルタの活性表面と接触する。切り替えの瞬間に、側方拡散フィルタ(lateral diffusion filter)と接触している−又は側方拡散フィルタの内部チャネル内に存在している−如何なる空気も、その拡散プロセスを継続するが反対方向に進む。したがって、この実施形態は、濾過エレメントの活性表面と汚染物質の接触時間を延ばす「双方向の」洗浄を可能にする。
1又は複数の濾過エレメントは、少なくとも1つの空気チャンバの外側に配置され得るとともに、チャンバの外へ移動される空気が、それが出るとき、濾過エレメントと流体連通するように、少なくとも1つの開口部と位置合わせされ得る。
本発明の他の態様によれば、直接吸入のためにユーザの口及び/又は鼻に近接した領域に浄化された空気を供給するためのウェアラブル空気浄化装置が提供され、同装置は:
空気チャンバであって、前記空気チャンバは、開口部を有するとともに、2以上の位置の間でたわみ、それによって空気チャンバ内で容積を変化させるように適合される可撓性ダイアフラムをさらに有し、前記容積の変化は、開口部を経由するチャンバの中への及びチャンバの外への空気の移動を誘起する、空気チャンバと;
空気チャンバの中に及び/又は空気チャンバの外に移動される空気と流体連通するように配置される濾過エレメントと;
チャンバの中への空気の流れのための空気流吸引ゾーンを画定する流れ分配プレートであって、前記空気流吸引ゾーンは、入口開口部に通じる入口チャンネルを有し、前記入口チャンネルは、それらが前記入口開口部に向かって狭くなるとともに空気の流れを加速するように構成され、前記流れ分配プレートはまた空気チャンバの外へ空気を向ける空気流ジェットゾーンも画定する、流れ分配プレートと;
インパクタであって、空気流ジェットゾーンはインパクタに向かってチャンバの外へ空気を向けるための出口チャンネルを有する、インパクタと;
を有する。
この実施形態によれば、濾過エレメントは、出ていくジェットがチャンバを出た後に活性フィルタ表面と接触するように配置される。この実施形態は、特に、濾過エレメントの少なくとも1つが衝突プレート(impaction plates)である例に適用可能であってよい。ここでは、出ていくジェットは、衝突プレートに当たる際、突然方向を変え、慣性力によって、そこに運ばれる任意の小さい粒子のジェットからの分離を誘発する。これらは、その後、プレートの表面によって捕捉され得る。
装置は、少なくとも1つのチャンバ内に移動されるガスの仮想衝突のための1又は複数の空気入口チャネルを画定する、1又は複数の流れ分配要素を有する。
チャネルは、チャンバの1又は複数の入口開口部に至るまで画定される。これらのチャネルが十分に狭く画定されている場合、吸引段階中に「仮想衝突」が達成され、入口チャネルを介してチャンバに吸入される空気は、流れの狭窄によって加速されるので、特定の大きい粒子は、空気流から分離されるとともに周囲環境に残されるようになる。
空気チャンバは、外側チャンバ内の内側チャンバを画定することができ、内側チャンバと外側チャンバとの間の空間は、少なくとも1つの開口部への入口通路を画定する。これは、チャンバの内外へのより連続的な流れを伴うエントレインメントポンプ(entrainment pump)を定め得る。
断熱層が、装置と環境との間の熱交換を最小にするために設けられ得る。
吸収/触媒活性炭又は金属有機構造体を含浸させた(impregnated with)ハイブリッドガスフィルタのような特定のタイプの濾過エレメントに関して、浄化効率は周囲環境の温度及び湿度によって厳密に制限される。いくつかの実施形態に関して、濾過構成要素の性能を最大にするために、装置が熱保護要素を有することが望ましい。これらの要素は、絶縁層を含むことができ、いくつかの例では、装置内の特定の範囲の最適温度の維持のための加熱要素を含むことができる。
本発明の他の実施形態によれば、上で定義されたフィルタ装置のアレイを有するフィルタマスク構造が提供され、前記アレイは、空気チャンバの外へ移動されるガスが、移動された空気がユーザによって吸入されるよう、ユーザの顔にごく近接した、共通領域に向かって推進されるように、配置される。
本発明の他の態様によれば、少なくとも1つの空気チャンバを有するウェアラブルフィルタ装置の使用により、直接吸入のために、浄化された空気を発生させるとともにユーザの口及び/又は鼻に近接した領域に供給する方法であって、前記チャンバは、開口部を有するとともにさらに可撓性ダイアフラムを有し、方法は:
空気チャンバ内でそれによって容積を変化させるように第1の位置と第2の位置との間で可撓性ダイアフラムをたわませるステップであって、前記容積の変化は、ダイアフラムが前記第1の位置に向かってたわむとき、開口部を経由する空気チャンバの中への第1の方向の空気の移動を、及びダイアフラムが前記第2の位置に向かってたわむとき、開口部を経由する空気チャンバの外への第2の方向の空気の移動を誘起する、ステップと、
空気が通過して空気チャンバの中に入るとき及び空気チャンバの外に出るときの両方で空気が清浄化されるよう、空気チャンバ内に配置される1又は複数の濾過エレメントが、前記開口部を通って前記第1の方向に空気チャンバの中に移動される空気と流体連通するように並びに前記開口部を通って前記第2の方向に前記空気チャンバの外に移動される空気と流体連通するように、前記1又は複数の濾過エレメントと流体連通するよう前記移動される空気を向けるステップと、
を含む。
さらに、この方法の中で用いられる濾過エレメントは1又は複数の衝突プレート(impaction plates)を有し、方法は、少なくとも1つの空気チャンバの外へ移動される空気を前記衝突プレートに向け、それによって、前記移動される空気から特定の汚染物質を捕えるステップを含む。
ある実施形態では、方法はさらに、1又は複数のチャンネルを経由して少なくとも1つの空気チャンバの中へ移動されるように空気を吸い込み、それによって高い流入速度を誘起し、その結果として慣性力によって特定の汚染物質を濾過するステップをさらに含む。
本発明の例が次に添付図面を参照して詳細に説明される。
既知のシンセティックジェット流体ポンプメカニズムを説明するために使用される。
フィルタ装置の第1の例を示す。
単一のオリフィスを持つ装置がどのように汚染された領域から空気を吸い込み且つ所望の正常な空気のゾーンに新鮮な空気を供給することができるかを示す。
フィルタ装置の第2の例を示す。
フィルタ装置の第3の例を示す。
フィルタ装置の第4の例を示す。
フィルタ装置の第5の例を示す。
フィルタ装置の第1の例を示す。
フィルタ装置の第6の例を示す。
シンセティックジェットを使用する既知のエントレインメントポンプを示す。
図10を参照して説明される方法で動作するエントレインメントポンプを使用するフィルタ装置の第7の例を示す
フェイスマスクに適用されるフィルタ装置のセットを示す。
本発明は、即時吸入のためにユーザの口又は鼻に近接した領域への直接供給のために浄化された空気の推進される流れを能動的に生成するウェアラブル空気浄化装置を提供する。空気チャンバが、2つの最も遠い(extreme)位置の間で変動するように適合され、それによりチャンバ内の容積を変化させ、チャンバの中へ及び外へ空気を交互に吸い込み且つ吐き出す、可撓性ダイアフラムを有する。濾過エレメントが、空気チャンバの中又は空気チャンバの周りに配置され、微粒子の及び/又はガス状の汚染物質の能動的除去のために、チャンバに入る又はチャンバから出るかのいずれかでダイアフラムによって移動される空気と連通するように位置合わせされる。本発明の実施形態は、ユーザの呼吸ゾーンに空気の連続流を共同で供給するように配置される、複数のそのような空気チャンバアセンブリを有し得る。
本発明は、清浄空気の高度に推進された流れをユーザの口及び/又は鼻に供給できるが、同時に日常の活動中にユーザによって快適に着用されるように十分にコンパクト且つ軽量であることができる清浄機を提供するために、ウェアラブル空気浄化装置内にシンセティックジェットジェネレータ(synthetic jet generator)技術を組み込む概念に基づいている。シンセティックジェットジェネレータは、幅広い技術分野、最も顕著にはLEDデバイスの冷却の領域での増大する応用が見出されている。シンセティックジェットの使用は、低騒音、高信頼性、長寿命、高効率、低コスト及びコンパクトで柔軟なフォームファクタを含む、従来のファンベースの技術に対する多くの重要な利点のために有望である。シンセティックジェット技術の−特にLEDデバイスにおける−幅広い応用を考慮すると、大量生産におけるシンセティックジェットジェネレータの実装は既に実現可能であることが留意される。
図1には、当技術分野で知られているシンセティックジェットジェネレータの概念の簡単な例が示されている。シンセティックジェットジェネレータは、キャビティ4を形成する振動膜2(最も一般的には正弦波振動)を有し、このキャビティは、オリフィス又はチューブ6を介して周囲に接続される。任意の手段、例えば、(従来のラウドスピーカでのような)電気力、圧電性、又は機械的に駆動されることができるこの膜の振動は、空気をある周波数で交互にキャビティ内に吸入させ且つキャビティの外に吹き出させる。吸込(inlet)(吸引)段階の間、空気8は全方向からキャビティに引き込まれる。排出(outlet)(吹き出し)段階の間、ジェット形成10が生じることができ、空気が狭い開口部6を強制的に通されるとき渦が発生する。膜振動周波数は、例えば、制御ユニットで調整することができ、高いジェット速度は、一般的に、数m/sから数十m/sの間にわたって達成可能である。
上述のように、最新式の「オンザゴー」の(例えば、首着用)空気清浄製品の性能及び効率は、そのような装置が多くの典型的な屋外環境で使用される場合、著しく損なわれる。シミュレーションは、最新式の装置が−空気ソースが頭の上又は下に置かれているかどうかにかかわらず−1m/sの向かい風(oncoming wind)の中で、清浄な空気を顔に供給できないことが分かった。空気ソースが着用者の鼻/口の近くに再配置されることができたとしても、より高い流速が依然として必要とされ、装置内により高い動力ファンユニットを必要とし、これは結果としてユニット全体に加算される大きさ及び重量をもたらす。
本発明の実施形態は、数十m/sまでの流量、例えば約50m/sの流量で清浄空気を供給する効率な方法を提供するために、シンセティックジェット技術と既存の空気浄化技術及び濾過技術とを、(同等の流量のファンベースのデバイスと比較して)コンパクト且つ軽量であるユニットに組み合わせる。
図2には、単純な第1の例の概略図が示される。空気チャンバ12は、一方の端部に開口部又は通路14を有し、他方の端部に可撓性ダイアフラム16を有し、ダイアフラム16は、2つの最も遠い位置の間でひっくり返る又は反転するように適合され、第1の位置は図2の左端の図に示され、第2の位置は図2の右端の図に示される。ダイアフラムは、チャンバの外側境界を部分的に画定し、空気キャビティ18によって占有されるその内部の下部を外部周囲環境から隔離する。チャンバの上部は、2つの積層された濾過エレメント:粒子フィルタ層24、及びガスフィルタ層26によって占められ、これらのフィルタ層の各々は、チャンバの全幅に広がり、チャンバの上部の入口14と、チャンバの残りの部分を充填する空気キャビティ18との間の境界を一緒に形成する。
例として、フィルタは:
(90%を超えるPM2.5を除去し得る)マイクロ波形MERV12(12の最小効率報告値)HEPA(「高効率微粒子吸着」)フィルタ;
ガス汚染物質を除去するための活性炭繊維フィルタ;又は
(特定の物質及び気体の両方のための)ハイブリッド活性炭繊維及びガラス繊維フィルタ;又は
活性炭フォーム;
エレクトレットフォーム;
のうちの1又は複数を含み得る。
ダイアフラムがその第1の位置と第2の位置との間で往復して移動するとき、ダイアフラムは交互にチャンバ内に空気を吸い込み、チャンバの外に空気を吹き出す。吸引段階は、図2の一番左の図に示されている。ダイアフラムが上向き(第2)の位置から下向きの(第1の)位置に移動するとき、空気キャビティ18の容積は、対応して変更され、右側の図に示されるより小さい容積から、左側の図に示されるより大きい容積に増加する。この容積の変化は、バキューム効果(vacuum effect)を誘発し、入口開口部14を通ってチャンバ内に空気20を吸入する。内側に移動した空気は、フィルタ要素24、26を強制的に通過させられ、その間に汚染物質(粒子及び有害ガス)が続いて吸着/吸収される。フィルタ内の汚染物質の輸送は、いくつかの実施形態において、少なくとも部分的に拡散によって達成され、空気浄化/濾過は典型的には不可逆プロセスであることに留意されたい。
図2の図は、一定の縮尺では示されておらず、したがって、典型的には、濾過エレメントは、空気キャビティ18によって占有されている容積のうちのごく少ない割合であるチャンバの容積を占めてもよい。この場合、その第1の位置へのダイアフラムの運動によって誘起される容積の変化は、一般に、組み合わされた2つのフィルタエレメントのものよりも大きくてよく、したがって吸引段階の間に、いくらかの空気は、強制的にフィルタ層を通り且つキャビティ18の中に入れさせられる。しかし、他の例では、ダイアフラムのサイズ及び濾過エレメントの容積は、前者の反転によって誘起される体積の変化が後者のものと実質的に一致するように較正され得るので、チャンバに引き込まれる空気は、フィルタエレメントの内部空間及びキャビティを満たすが、下部キャビティ18の中に入り込まない。
吹き出段階が図2の右端の図によって示されている。ダイアフラムがその第1の位置からその第2の位置に移動するとき、キャビティ容積は減少し、空気が矢印22によって示されるように排出される。
この例では、ダイアフラムは、ダイアフラムの位置及び形状がチャンバの容積を決定するように、チャンバの境界を部分的に画定する。
この例では、ダイアフラムは、少なくとも2つの最も遠い位置の間を移動するように適合される。好適な実施形態では、ダイアフラムは、これらの2つの位置の間で振動する(oscillate)、又は振動する(vibrate)ように適合され、それによってシンセティックジェット作用を促進する。この目的のために、装置は、ダイアフラムの振動(oscillation)又は振動(vibration)を駆動するためのドライバユニットをさらに備える。ドライバユニットは、例えば従来のラウドスピーカ装置内で利用されるような、ダイアフラムの電気力学的変位を誘発するための要素を例えば含むことができる。しかし、代替例では、ドライバは、印加される電流又は電圧に比例する周波数で振動を誘発する1又は複数の圧電素子を備えてよい。さらなる例では、ドライバは、ダイアフラムの機械的操作のための、1又は複数のモータ要素を備えてよい。異なるドライバ機構を含む他の実施形態も考えられる。
図3は、可能なドライバ構成を説明するために使用される。図3の左側の画像では、ユーザの口は位置Uにある。これはシンセティックジェットオリフィスから距離Hにある。しかし、ユーザによる吸入は、深さhの空気の層の吸入をもたらし、この深さhは、はるかに小さい。高速のシンセティックジェットは、空気がキャビティ18内に引き込まれる距離よりもはるかに大きな距離で、ジェットがユーザの口に達することを可能にする。その結果、キャビティに引き込まれた空気と、呼吸のために排出される空気との間の干渉が、シンセティックジェットとユーザの口との間の距離の適切な設計によって、回避されることができる。
図3の右側の画像は、オリフィスプレート23が、空気がプレート23のノズル側から吸い込まれるがプレートの他側からユーザによって呼吸されるように、シンセティックジェット出口の下流に配置され得ることを示している。
この方法では、単一のオリフィスが、入口と出口の両方として機能することができる一方、汚染された空気が1つの場所から空気清浄機に引き込まれるとともに、清浄な空気がユーザによる呼吸のために別の場所に排出されることを可能にする。
異なる実施形態に従って変化し得る、ダイアフラムの構造及び構成に応じて、第1の位置と第2の位置との間のダイアフラムの動きは、滑らかで連続的な移行を含んでよく−ダイアフラムは、それが2つの間で比較的滑らかに動くとき、全ての中間位置を占める、あるいは、交互に、確率的又は不連続な動きを含んでよく、ダイアフラムはある位置から別の位置に突然「ひっくり返る」。
図2の特定の例では、濾過エレメント24、26は、空気チャンバ12の内部に配置され、チャンバ20内に移動される空気は、それが進入するとき、濾過エレメントと流体連通するように、一方の開口部14と整列される。この実施形態では、空気が、移動の両方の段階の間に、同じ単一の開口部14を通過しなければならず、したがって、隣接する濾過エレメントを通過しなければならないため、空気は、そのチャンバ内への通過中だけでなく、その再度の外への通過中にも清浄化される。段階が切り替わり、空気の方向が逆転すると、フィルタ表面を既に通過した/フィルタ表面のそばを通った濾過された空気部分は、チャンバから戻って通過するとき、再びフィルタの活性表面と接触する。切り替えの瞬間に、側方拡散フィルタと接触している−又は側方拡散フィルタの内部チャネルの内部にある−如何なる空気も、その拡散プロセスを継続するが反対方向にある。
したがって、この実施形態は、「双方向」浄化を可能にし、濾過エレメントの活性表面との汚染物質の接触時間を延長する。
振動膜周波数(f)は、制御ユニットによって調整可能である。浄化空気の高い噴出速度(数十m/s)は、f並びにキャビティ及びオリフィスの対応する寸法を選択することによって達成されることができる。
シンセティックジェットジェネレータの周波数は、例えば数十kHz、例えば26kHzである。ノイズを避けるために、一般に、周波数は、超音波のより下方周波数限度(〜20kHz)より上に選択される。
全ての屋内/屋外空気清浄機に関して、ガス及び粒子フィルタはメンテナンスを必要とする。シンセティックジェットキャビティは、これらのフィルタが容易に交換されることができるような方法で設計されるべきである。
図4は第2の例を示す。同じ参照番号が、同じ構成要素に対して図2においてのように使用される。図4はまた、キャビティ18がガスフィルタのみを含んでよいことを示し;粒子フィルタ及びガスフィルタの使用は必須ではない。
装置は、可撓性ダイアフラム16によって画定される共有される境界によって互いに分離される2つの空気チャンバ18を備える。基本的に、図4の装置は、図2の2つの装置12を並んで備え、可撓性ダイアフラム16はそれらの間の接続部を形成している。2つの装置の結合は、ダイアフラム16で部分的に達成されるとともに部分的に剛体壁32で達成される。
2つの境界共有チャンバ18は互いに対して反対に働く:第1のチャンバが吸引段階にあるとき、第2のチャンバはその吹き出し段階にあり、その逆もある。2つのチャンバを部分的に分離するダイアフラムは、両者の間で効果的に共有され、第1のチャンバのバルク容積への「左方向」の侵入と第2のチャンバのバルク容積への「右方向」の侵入との間で振動し得る。この方法では、ダイアフラムが往復して動くとき、2つのチャンバの容積は、互いに共同して交互に増減する。
この設計は、単一のダイアフラムが2つのジェットを同時に発生させるために使用され得るので、エネルギ消費の削減を可能にする。特に、シンセティックジェットの吸引段階(吸入半サイクル)及び吹出段階(ジェット半サイクル)の両方が、空気浄化及び濾過のために用いられる。
上記の例は高周波装置である。低周波装置も可能である。図5は、より低い周波数で動作するための第3の例を示す。再び、同じ参照番号が、同じ構成要素に対して図2でのように使用される。
この例は、別個の空気入口14a及び空気出口14bを有する。空気入口14aは入口バルブ42aを有し、空気出口14bは出口バルブ42bを有する。
バルブ42a、42bは、それらを横切る圧力差に応じて開閉するフラップバルブであってよい。フラップバルブは、薄い金属箔又はプレートであってもよい。他のバルブが使用されてよく、それらはパッシブ(フラップバルブなど)又はアクティブ(すなわち切替(switched)バルブ)であってよい。バルブはジェット流を制御する。
この例では、ガスフィルタ26は入口側にあり、粒子フィルタ24は出口側にある。チャンバ12は、フィルタ24、26の間の空間に画定される。
バルブが使用されるとき、比較的低い周波数が、バルブの所望の機械的応答をシンセティックジェットに合わせて開閉することを可能にすることが望ましい場合がある。例えば、振動膜周波数は10Hz未満、例えば1−5Hzの範囲内であり得る。
図5の左に示されている吸引段階では、入口バルブ42aは開き、出口バルブ42bは閉じる。続いて、空気は入口オリフィス14a内に引き込まれ、粒子フィルタ24を通過し、キャビティ18に入る。図4の右に示されるジェット吹出段階では、入口バルブ42aは閉じ、出口バルブ42bは開く。空気は、それが吹き出される前に、強制的にガスフィルタ26を通過させられる。
図6は第4の例を示す。これは、図5の例とは、両方のフィルタ24。26がチャンバ12の出口側に設けられるという点でのみ異なる。
通常、ガス状汚染物質の除去は、標的ガス用の特定の吸収剤を含浸させたフィルタを用いて行われる。活性炭及び金属有機構造体(MOF)のようないくつかの吸収剤/触媒があり、これらは、ハイブリッドガスフィルタに含浸させることができ、したがって、1種類より多いガス状汚染物質を濾過することができる。しかし、これらのフィルタの浄化効率は、空気清浄機が作動している周囲環境の温度及び湿度によって厳密に制限される。「オンザゴー」アプリケーションに関して、清浄性能への温度変動の悪影響が最小限にされなければならない。
屋内空気清浄機に関して、18℃〜30℃の狭い典型的な温度範囲がある。屋外のフェイスマスク用途に関して、空気清浄機は冬と夏の両方で良好に動作する必要があり、それに関して温度範囲は0℃−40℃に拡張されなければならない。
図7は図3の変形を示し、過酷な環境で作動しているときに空気清浄機を保護するための熱的変更(thermal alterations)を示す。冬期には、断熱層44(例えば、プラスチックカバー)が、清浄装置と環境との間の熱交換を最小限にするために追加される。小さな熱源45(例えば、抵抗加熱器)もまた、空気清浄機の内部に設けられてよい。バッテリ電源46のエネルギの一部は、着用者が外出するとき、清浄機を暖かく保つために使用されることができる。
夏期には、断熱材44が除去され、ヒータ45はアイドル状態にある。周囲温度が高すぎる場合は、加熱の代わりに、冷却手段又は換気手段が設けられてもよい。バッテリは、空気清浄機の外側に取り付けられたソーラ(光電池)パネル47を使用して充電されることができる。電池は、膜を駆動するための電力も供給する。
バッテリは、図示されるように装置の一部であってもよいが、電力を受け取るために空気浄化装置が接続される、スマートフォンのような、別の装置の一部であってもよい。
使用され得る別のタイプの濾過アプローチは、インパクタである。これは、あるサイズの粒子をガス流から分離するためのフィルタ技術である。
図8は、上述のシンセティックジェットアプローチを利用するとともに、汚染された空気中浮遊粒子(polluted airborne particles)を除去するために2段階衝突も実装するフィルタ装置の例を示す。
上記の例のように、ダイアフラム16の位置に依存する容積を有するチャンバ12がある。空気は、空気流20によって示されるように、入口/出口14に横方向に引き込まれる。粒子54は、空気流に引き込まれる(entrained)。
プレート56は、単純な流れ分配器として機能し、それは、流れを、チャンバ12内への吸引ゾーンと入口/出口14の真下のジェットゾーンとに分離する。高速空気ジェットが、入口/出口14の外に向けられ、ジェット速度は、振動周波数を変化させることによって制御されることができる。装置はさらに、衝突プレート50を備える。
図8の左に示されている吸引半サイクル中、空気はチャンバ12内に引き込まれる。仮想インパクタが、チャンバ12とプレート56との間に自然に形成され、これは、概略的に示されているように、大きい粒子54が装置の外側に残されることを意味する。小さな粒子のみが、吸引される空気流に追従し、チャンバ12に入る。
図8の右に示されるジェット半サイクル中、キャビティ内に先に吸引された空気は、高速ジェットを形成するように急速に押し出される。衝突プレート50に当たって方向を変えると、ジェット内の小さい粒子は、慣性力によって分離され、衝突プレート50によって捕捉される。ジェットの最高速度は十分高い(数m/sから数十m/s)ので、非常に小さい空気力学的直径の粒子も同様に除去され得る。
従って、装置の各半サイクルは粒子フィルタリング操作を実行する。吸い込み半サイクル中、高い慣性を持つ大きい粒子は、第1の仮想衝突を介して空気流から分離される。ジェット半サイクル中、残りの小さい粒子は、インパクタ上の高速ジェット流の第2の衝突によってさらに除去される。したがって、2段階インパクタフィルタリング機能が実装される。
この例では、フィルタは必要とされず(且つ上記の例と共通してファンもなく)、シンセティックジェットジェネレータは、非常にコンパクトにすることができる。したがって、空気浄化システムは、非常に小さく、軽量で且つエネルギ効率がよい。それはまた洗濯可能であり且つメンテナンスも容易である。粒子を除去するために慣性力を使用することによって、二次汚染がある。
この設計は、シンセティックジェット発生部と、空気浄化システム内に含まれる1又は複数の衝突部とを含む。物理的インパクタ50は、ジェットゾーンにあり、仮想インパクタ(流れ方向に沿う)は吸引ゾーンにある。流れ分配器56は、シンセティックジェットを吸引ゾーン及びジェットゾーンに分離する。それはまた、吸引ゾーンに仮想インパクタを形成する役割も果たす。
上で説明され且つ図3に示されるように、2つの(又はそれより多い)デバイスが、共有膜と一緒に結合されることができる。図9は、図8の設計の2つがどのように、同様の方法で一緒に結合されることができるかを示す。この場合も、これは、シンセティックジェットの吸引段階(吸引半サイクル)及び吹出段階(ジェット半サイクル)の両方が空気浄化のために用いられるので、エネルギ消費を低減することができる。第2の衝突段階における小さい粒子の除去は、衝突プレート50の表面改質によりさらに改善され得る。
シンセティックジェット装置のいくつかの例の実際的な制限は、フィルタ内の空気の利用可能な滞留時間が十分な浄化のためには短すぎることであり得る。滞留時間は、例えば入口及び出口を制御するバルブを使用する例について上で説明したように、シンセティックジェット周波数を低下させることによって増加させることができる。しかし、これは、空気清浄機の流量を犠牲にする可能性がある。
別のアプローチは、図10に示されるようなシンセティックジェット駆動エントレインメントポンプを使用することである。ポンプは、この場合も同様に、可撓性ダイアフラム16によって画定される壁を有するキャビティ18を有する。シンセティックジェットジェネレータのキャビティは、追加のエンクロージャ57によって取り囲まれている。入口14aは、ポンプの一方の側でシンセティックジェットジェネレータとエンクロージャ57との間の空間によって画定され、出口14bは、シンセティックジェット出口と位置合わせされ、かつポンプの反対側にある。シンセティックジェットジェネレータによって発生する流体流の運動量は、空気がポンプエンクロージャの一方の側から連続的に吸入され、エンクロージャの他方の側で連続的に排出されることを引き起こす。そのようなポンプは、例えば、Murataの「マイクロブロワー」として知られている製品として市販されている。
図10は、膜16の振動を提供するための装置としての圧電素子58を示す。
図11は、シンセティックジェットエントレインメントポンプに基づく空気浄化装置を示し、図10と同じ参照符号が同じ構成要素に付されている。入口を通って吸い込まれる空気は、外部エンクロージャ57とシンセティックジェットポンプチャンバ12の外部によって形成される内部エンクロージャとの間を通過する前に、フィルタ24、26を通過する。フィルタ内の空気の滞留時間は、この設計では、増加されることができる一方、滞留時間が周波数と無関係であるため、高いシンセティックジェット周波数を維持する。排出される浄化された空気は、再び遠くに到達するジェットを形成する。
外側エンクロージャは、シンセティックジェットの入口につながるチャネル構成を画定するために使用される。したがって、空気チャンバ12は、外側チャンバ57内の内側チャンバを画定し、内側チャンバ12と外側チャンバ57との間の空間は、開口部14への入口通路を画定する。この入口通路は、空気浄化装置から外への出口空気流によって取られるより直接的な経路より長い。
図12は、シンセティックジェットインパクタ12のアレイが、MEMS技術により薄いシート上にどのように製造され得るかを示す。次いで、このシートは、「呼吸」でき且つ清浄な空気を着用者66に供給することができるマスクとして使用されることができる。アレイは、ストリップ上に製造されることもできる。
この装置は、呼吸されることになる新鮮な空気の連続流を供給するために、ユーザの顔の上に装着されることができる。呼吸の間に、空気流がマスク容積を満たすことができ、前の容積は、それが外部に漏れるように、移動される。したがって、マスクは、ユーザの顔に密封されない。
したがって、本発明のウェアラブル空気浄化装置の好的な実装は、ユーザの口又は鼻及び口の上に装着されるマスクの一部として形成される。シンセティックジェット装置は、マスク内に形成される又はマスクの構造の一部を形成するので、ユーザによって携行されるのではなくユーザによって装着されることができる。上で説明したように、それは、それ自身の電源によって電力供給されてもよく、そうでなければ、別の装置から電力を取り出してよい。それ自身の電源がある場合は、太陽エネルギの統合された収集を用いて再充電可能にされてよい。代わりに、システムを充電するためのエネルギを発生させるためのメカニズムとして、ユーザの動きを使用してもよい。
開示された実施形態に対する他の変更は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求項に記載された発明を実施する上で当業者によって理解されるとともに生み出されることができる。請求項において、「有する」の語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞“a”又は“an”は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。