次に図面をより詳細に考慮すると、図1および2は、本発明による例示的な多層フロー集束デバイス1を示す。本デバイスは、その使用目的およびその構築のために選択される材料に依存して、例えば、フォトリソグラフィ、ラミネート加工、3D印刷、マイクロ成形、射出成形またはキャピラリーチューブのアセンブリのような任意の便利な技術によって製造できる。
図1および2に示されるような、デバイス1の一実施形態では、以下により詳細に記載されるように、チャンネル構造を支持するために顕微鏡スライドのような平面基板2を用いることができ、好都合には、かかるデバイスを製造するためにフォトリソグラフィを採用した方法を用いることができる。
デバイス1は、3つの個別的で平行な直線状フローチャンネルが垂直方向に(すなわち、基板2の面に垂直なz方向に)積層された配置を含み、基板2に近位の下部チャンネル3、中間チャンネル4、および基板2に遠位の上部チャンネル5を備えることに留意すべきである。下部および上部フローチャンネル3、5は、シース流体のそれぞれの下部および上部ストリームを、中間チャンネル4を通して導かれることになるサンプル流体のより遅く流れるストリームと接触させるために設けられる。下部チャンネル3は、従って下部シースフロー入口チャンネルを表し、中間チャンネル4は、従ってサンプルフロー入口チャンネルを表し、上部チャンネル5は、従って上部シースフロー入口チャンネルを表す。すべての入口チャンネル3、4、5は、基板2の面に平行であるように配置される。
いくつかの実施形態において想定されるのは、下部および上部シース入口フローチャンネル3、5がおよそ15μmの高さを有してもよく、一方でサンプルフロー入口チャンネル4がおよそ10μmの高さを有してもよいことである。
図1に示される実施形態では、下部シースフロー入口チャンネル3は、完全に直線状であり、基板2の一端における入口6から基板2に対して概して中央にある検出ゾーン8に隣接して位置する出口7へ延びる。しかしながら、中間サンプルフロー入口チャンネル4は、図1および2の実施形態ではクランクしており、その結果、入口9からチャンネル4の主要な縦方向直線状領域へ横方向に延びる領域を有することが示される。サンプルフロー入口チャンネル4は、その主要な直線状領域の反対端に出口10を有し、出口10は、下部シースフロー入口チャンネル3の出口7から少し間隔をあけて配置される。同様に、上部シースフロー入口チャンネル5もクランクしており、入口11からチャンネル5の主要な直線状領域へ横方向に延びる領域を有する。上部シースフロー入口チャンネル5もその主要な直線状領域の反対端に出口12を有し、上部出口12は、サンプルフロー出口10から少し間隔をあけて配置される。しかし、当然のことながら、3つのチャンネルがそれらのそれぞれの入口を他のところに有するように構成することができ、本発明の実装にとって第一義的に重要なのは、それらの主要な直線状領域の方位が平行なことである。
図2に最も明らかに示されるように、出口10のすぐ上流側に(すなわち、図2に示される方位では左に)位置するサンプルフロー入口チャンネル4の領域は、チャンネルが出口10に向かって細くなるようにテーパが付けられる。いくつかの実施形態では、サンプルフロー入口チャンネルの出口10は、その寸法が15μm×15μmであるように、およそ15μmの幅であってもよいことが提案される。
検出ゾーン8を挟んで積層されたシースフロー入口チャンネル3、5および中間サンプルフロー入口チャンネル4から間隔をあけて配置された、3つの対応する個別的な出口収集チャンネル13、14、15が設けられる。積層された出口収集チャンネルは、下部シース出口収集チャンネル13、中間サンプル出口収集チャンネル14、および上部シース出口収集チャンネル15を備え、そして各々が前述のフロー入口チャンネル3、4、5のうちのそれぞれ1つに対応する。そのうえ、これは本質的な特徴ではないが、示される配置における出口収集チャンネル13、14、15は、各々がそれらのそれぞれのフロー入口チャンネル3、4、5の(検出ゾーン8を通過する検出横方向検出面16についての)鏡像として構成されることに気づくであろう。
下部シース出口収集チャンネル13は、従って、検出ゾーン8を挟んで下部シースフロー入口チャンネル3の出口7から離隔した入口17を有し、入口17は、従って、入口17に向かって下部シースフロー入口チャンネル3から検出ゾーン8の向こう側へ導かれたシースストリームを受け取るように構成される。同様に、中間出口収集チャンネル14は、検出ゾーン8を挟んでサンプルフロー入口チャンネル4の出口10に対して離隔した関係に配置された入口18を有し、従って、入口18は、入口18に向かってサンプルフロー入口チャンネル4から導かれたサンプルストリームを受け取るように構成される。同様に、上部出口収集チャンネル15は、検出ゾーン8を挟んで上部シースフロー入口チャンネル5の出口12に対して離隔した関係に配置された入口19を有し、入口19は、従って、入口19に向かって上部シースフロー入口チャンネル5から導かれたシースストリームを受け取るように構成される。
デバイス1は、一対の側面チャンネル20、21をさらに備え、側面チャンネル20、21は、実質的に互いに等しい構成であり、積層されたシースおよびサンプルフロー入口チャンネル3、4、5の両側に位置する。側面チャンネルは、シース流体のそれぞれの流れを側面チャンネル20、21に沿った方向付けのために受け取るように構成されたそれぞれの入口22、23を有する。気付くであろうように、側面チャンネル20、21は、サンプルフロー入口チャンネル4ならびに上部および下部シースフロー入口チャンネル3、5より著しく大きい内部断面高さを有する。実際、側面チャンネル20、21は、好ましくは、積層されたシースおよびサンプルフロー入口チャンネル3、4、5全体を組み合わせた高さにおよそ等しいか、またはそれより少し大きい高さを有する。
図1および2に示される実施形態では、側面チャンネルの入口領域は、各々がそれぞれの側面シースフロー入口チャンネル20a、21aを画定し、それぞれの概念的な出口を経て、検出ゾーン8へ開かれた、それぞれのより大きな中心チャンバ24、25中へ開かれている。検出ゾーン8の下流側では、側面チャンネル20、21は、それらのチャンバ24、25からそれぞれの概念的な入口を経てそれぞれの出口領域26、27に向かって細くなる。出口領域26、27は、それぞれの側面シース出口収集チャンネルを画定し、各々がそれぞれの出口28、29において終結する。側面チャンネルの出口領域26、27は、入口領域20a、21aと同様の構成であり、従って、側面チャンネルの出口領域26、27が積層された出口収集チャンネル13、14、15の両側に位置することに気付くであろう。
以下により詳細に説明されるように、デバイス1のユニークな構成、および特に平行な下部および上部シースフロー入口チャンネル3、5ならびに中間サンプルフロー入口チャンネル4のその積層されたアレイは、すべてが側面シースフローチャンネル20、21の間に位置し、垂直および水平方向における流れの集束を効果的に分離して、サンプルフローストリームの垂直および水平方向の集束ならびに垂直および水平位置の独立制御を許容する。サンプルフロー入口チャンネル4の中心領域に沿って軸方向に見たときに、シースフロー入口チャンネル3、5、20、21の中心領域が中心サンプルフロー入口チャンネル4の周りに概して放射状に実効的に分布することに気付くであろう。
図3に概略的に示されるように、使用中に、適切なシース流体の下部および上部シースフロー30、31が同時にそれぞれ下部および上部シースフロー入口チャンネル3、5に沿って導かれる。同時に、シース流体の側面シースフロー(図3に示されない)が側面シースフローチャンネル20、21を通して同じ方向に(すなわち、図に示される方位では左から右へ)、それらの入口領域20a、20bを通してそれらのそれぞれの中心チャンバ24、25中に導かれ、一方ではサンプルストリーム32が中間フロー入口チャンネル4に沿ってやはり同じ方向に導かれるであろう。これらの同時の多数の流れから生じたサンプルストリーム32が図1および2の影付き領域に概略的に示される。
それゆえに当然のことながら、下部および上部シースフロー30、31は各々、サンプルフロー32がその出口10を経て中間フロー入口チャンネル4を出る方向に実質的に平行な方向に出口7、12を経てそれらのそれぞれのフロー入口チャンネル3、5を出ることになろう。結果として生じる下部および上部シースストリーム30、31は、従って、それらの間のサンプルストリームと平行なように接触し、垂直方向(すなわち、示されるようなz方向)の成分は、ないかまたは無視できるほどである。
側面シースフローはいずれもサンプルストリーム32と概して平行に接触し、サンプルストリーム32は、検出ゾーン8にわたって、下部および上部シースストリーム30、31の間に閉じ込められる。示される側面シースフロー入口チャンネル20、21、および特にそれらの中心チャンバ24、25の構成は、側面シースストリームが横向き(x)方向の小さい成分を伴ってサンプルストリーム32と接触するように導入されるであろう、ということを意味することに気付くであろうが、これが生じるのは、サンプルストリーム32が下部および上部シースストリーム30、31によってすでに垂直方向に閉じ込められた、サンプルストリーム32に沿った箇所においてであろう。そのうえ、これらの小さい横向き成分は、それらが反対向きのために相殺し合うであろう。サンプルストリーム32は、従って、下部および上部シースストリーム30、31の間および側面シースストリームの間を検出ゾーンの向こう側へ、そしてサンプル出口収集チャンネル14の入口18の方へ導かれる。
中間サンプルフローチャンネル4を通して導かれるサンプルストリーム32に対して、それらのそれぞれのフロー・チャンネル3、5、24、25を通る下部、上部および側面シースストリームを注意深く制御することによって、以下により詳細に記載されるように、サンプルストリーム32を基板2の面に対して垂直および水平方向の両方に集束されることができて、検出ゾーン内のその垂直および水平位置を独立して制御できる。
先に示されたように、本発明の集束デバイス1は、好都合にはフォトリソグラフィ技術によって製造されてもよい。1つのかかる提案は、SU−8ネガティブフォトレジストとAZ4562ポジティブフォトレジストの犠牲層とを含む。
集束デバイス1、および特に平行なフローチャンネル3、4、5のその積層されたアレイを製造するために提案される基本的なフォトリソグラフィ・スキームは、以下の通りであり、図4および5を顧慮して、i)カバーガラスまたは顕微鏡スライドのような基板2が最初にアセトンおよびメタノールを用いて清浄化され、ii)AZ4562フォトレジストの第1の犠牲層33が次にスピンコーティング技術によって基板2に塗布され、iii)下部シースフロー入口チャンネル3を画定するために犠牲層33が次にマスクを通してUV放射に露光されて、その後にそれ自体は既知のタイプの適切な現像プロセス、および次にUV放射を用いたさらなるフラッド露光ステップが続き、iv)SU−8の層34が次にスピンコーティングによって犠牲層33の上に形成されて、その後にマスクを通してのUV露光および現像ステップが続き、v)図5に概略的に示されるように、ステップii〜ivが次にそれぞれ中間サンプルフロー入口チャンネル4および上部シースフロー入口チャンネル5について2回繰り返されて、vi)AZ4562犠牲層を除去するためにデバイス全体が次にアセトンに浸漬されて、それによって多層デバイス1が作り出される。
マイクロ流体デバイス分野の当業者には当然のことながら、上記の製造プロセスから生じた集束デバイス1をSU−8の最上層に塗布したリッド(図示されない)によって包み込む必要がある。この点に関して分かったことは、ポリジメチルシロキサン(PDMS:Polydimethylsiloxane)から形成したリッドがその高透明性および生産の容易さゆえに理想的なことである。しかしながら、SU−8とPDMSとの間の通常は弱い結合を前提として、デバイス1におけるSU−8の最上層にポリ(ジシラニレンエチニレン)(PDSE:Poly(disilanylenethynylene))の薄層を塗布することが提案され、本発明者らは、この薄層がSU−8とPDMSとの間の結合強度を著しく改善することを見出した。透明なPDMSリッドをSU−8の最上層にこのようにしっかりと接着させてデバイス1を完成させることができる。
図6は、犠牲AZ4562層の除去前の部分的に完了した状態の例示的なプロトタイプ・デバイス1を示す。図7は、全般的に対応するが、犠牲AZ4562の除去後の出来上がったデバイス1を示す。それぞれ下部シースフロー入口チャンネル3、中間サンプルフロー入口チャンネル4、および上部シースフロー入口チャンネル5へのそれぞれの入口6、9、11(図6および7に示される実施形態では対で設けられる)が図6および7に示される方位ではデバイス1の左手側に示され、この点に関して入口6、9、11が図1および2に図示される配置に示された入口とは少し異なる位置にあることを付記する。気付くであろうように、各対の入口6、9、11は、それぞれのフロー入口チャンネル3、4、5のそれぞれの入口領域と直接に流体連結しており、それらの直線状で平行な上記の構成を採用するために、次に、検出ゾーン8の上流側で一緒になる。2つの側面シースフローチャンネル20、21の入口22、23も図7に示されるデバイスの左手側の方に示される。
デバイス1の右手側には、図6および7に示されるように、下部、中間、および上部出口収集チャンネル13、14、15が見られ、これらのチャンネルは、各々が検出ゾーン8のすぐ下流側では直線状であり、互いに積層されるが、次に、それぞれの出口35、36、37に向かって異なる方向に分岐する。加えて、図6および7に示される実施形態では、サンプル出口収集チャンネル14が一対の個別的な選別チャンネル14a、14bに2枝に分かれて、その各々がそれぞれの出口を有する。
次に図8〜10を考慮して、本発明のデバイス1の機能性および関連する方法に係わるさらなる詳細が次に記載される。この点に関して留意すべきは、図8がデバイス1の検出ゾーン8の上図からの拡大明視野画像を表し、積層された下部、中間および上部フロー入口チャンネル3、4、5の出口7、10、12、側面フローチャンネル20、21の入口および出口領域の間のそれらの中心チャンバ24、25、ならびに積層された下部、中間および上部出口収集チャンネル13、14、15の入口17、18、19を示すことである。
先に既に説明されたように、デバイス1は、通常、シース流体の流れを下部フロー入口チャンネル3、上部フロー入口チャンネル5、および2つの側面シースフローチャンネル20、21を通して同時に導くことによって用いられることになり、一方でサンプル流体の流れは、中間サンプルフロー入口チャンネル4を通して導かれる。しかしながら、説明のために、図8と同じ視点からの蛍光画像である図9および10は、サンプル流体が中間サンプル入口チャンネル4を通して導かれ、シース流体が2つの側面シースフローチャンネル20、21、結果としてそれらの中心チャンバ24、25のみを通して導かれるデバイス1を示す。これは、側面フローチャンネル20、21を通るシース流体の流れのみを制御することによって、デバイス1がサンプルフロー入口チャンネル4の出口10から検出ゾーン8の向こう側へ導かれるサンプルストリーム32を集束させる能力を示すためである。この点に関して留意すべきは、側面チャンネル20、21を通して導かれる水のより早く流れるシースフローの作用下でローダミン水溶液のサンプルストリーム32が水平方向(すなわち、基板2の面に平行なx方向)に集束されることを図9および10が示すことである。図9は、側面チャンネル20、21を通る第1のシース流速によってサンプルストリーム32に付与された水平方向の集束の度合いを示し、一方で図10は、側面チャンネル20、21を通る第2のより高いシース流速によってサンプルストリーム32に付与された水平方向の集束の度合いを示す。気付くであろうように、いずれのケースでも、検出ゾーン8の向こう側へより速く流れる側面シースストリーム(蛍光画像では見えない)と、より遅く流れるサンプルストリーム32との間の接触は、サンプル流体を細いシースストリーム32に集束させるために効果的である。図10では側面チャンネル20、21を通るシースフローは、さらにより速く、サンプルストリーム32が水平(x)方向にさらにより強く集束されることに気付くであろう。従って、当然のことながら、サンプルフローに対して側面シースフローの速度を制御することによって、サンプルストリーム32の水平方向の集束の度合いを調整して制御することができる。そのうえ、以下により詳細に説明されるように、2つの側面フローチャンネル20、21を通るシース流体の流速を互いに独立して変化させて制御することによって、それらの間の集束されたサンプルストリーム32の水平位置を調整して制御できる。
同様の仕方で、下部および上部シースフロー入口チャンネル3、5を通るシース流体の流れを独立して変化させて制御することによって、サンプルストリーム32の垂直方向の集束および位置も制御できる。これは、好都合には図11〜17を参照して示される。
図11aは、検出ゾーン8中へ開いた、サンプルフローチャンネル出口10の領域を示す、上図からの、拡大明視野画像である。図11aより下の列に配置された、図12a〜17aは、図11aと同じ視点からの蛍光画像であり、側面シースフローチャンネル20、21ならびに下部および上部シースフロー入口チャンネル3、5を通る側面、下部および上部シース流速の様々に異なる組み合わせから生じたサンプルストリーム32を示す。図12b〜17bは、図12a〜17aに対応するが、図11aにおける検出ゾーン8を通る破線38からのX−Z面で見られるような、結果として生じたサンプルストリーム32を示す。図12c〜17cも図12a〜17aに対応するが、図11aにおいて検出ゾーン8を通る破線39からのY−Z面で見られるような、結果として生じたサンプルストリーム32を示す。
図12a〜cは、下部または上部シースフロー入口チャンネル3、5のいずれかを通るシースフローは何もないが、2つの側面フローチャンネル20、21を通る流速が等しいことから生じた、検出ゾーンを通して垂直(Z)方向に全く集束されない状態のサンプルストリーム32を示す。それゆえに気付くであろうように、サンプルストリーム32は、水平x方向に集束されるが、垂直z方向には全く集束されない。
図13a〜cは、下部および上部シースフロー入口チャンネル3、5を通るシース流体の等しい(0.5μl/min)流れから生じた集束された状態のサンプルストリーム32を示す。
図14a〜14cは、下部および上部シースフロー入口チャンネル3、5を通るシース流体の等しいがより速い(1μl/min)流れから生じたより強く集束された状態のサンプルストリームを示す。このフロー・レジームにおけるサンプルストリーム32のより強い集束は、図14bを図13bと、さらに図14cを図13cと比較することによって明らかにわかる。
図15a〜15cは、下部および上部シースフロー入口チャンネル3、5を通るシース流体の等しいがさらにより速い(2μl/min)流れから生じたさらにより強く集束されたサンプルストリーム32を示す。
図16a〜16cは、下部および上部シースフロー入口チャンネル3、5を通るシース流体の等しくない流れから生じた、異なって集束された状態のサンプルストリームを示す。特に、これらの図は、下部チャンネル3を通るシース流体の流速が上部チャンネル5を通るシース流体の流速より4倍大きいときに生じた状況を示す。示される特定の条件では、下部シース流速が4μl/minであり、一方で上部シース流速が1μl/minである。図17a〜17cは、同様の条件を示し、下部シース流速が4μl/minのままであるが、上部シース流速を2μl/minまで少し増加させた。特に図16cおよび17cから気付くであろうように、より速い下部シースフローは、集束されたサンプルストリーム32が検出ゾーン内で少し上昇することを促す効果を有する。相対的な下部および上部シース流速を独立して制御することによって、集束されたサンプルストリーム32の垂直位置を制御して「操舵する」できる。同様の方法で、側面フローチャンネル20、21を通る相対的な側面シースフローを独立して制御することによって、集束されたサンプルストリーム32の水平位置も制御して「操舵する」できる。
それゆえに当然のことながら、本発明のデバイス1および方法は、サンプルストリーム32の垂直および水平両方向の集束、およびさらに検出ゾーン内のサンプルストリーム32の垂直および水平位置の適応制御を許容する。これは、検出ゾーン8を通るサンプルストリーム32の正確な検出および分析のための非常に正確な方向付けを許容し、かつサンプルストリームがサンプル出口収集チャンネル14の入口18へ正確に向けられることも可能にして、ミスアラインメントならびに出口収集チャンネル14によるシース流体の捕捉から生じるサンプルストリームの結果的な希釈のリスクが低減されるため、先行技術の配置および方法に優る重要な利点を表す。シースフローストリームは、結果として、組み合わされた流れから効果的に取り除かれて、サンプル収集チャンネル14中ではなく、シースフロー収集チャンネル中へ導かれる。そのうえ、想定されるのは、デバイス1の代わりの実施形態が(例えば、垂直および/または水平アレイに配置された)1つより多い個別的なサンプル収集チャンネル14を有してもよいことであり、それらのケースでは、サンプルストリーム32のこの正確な制御がサンプルストリーム32を異なる収集チャンネルへ選択的に導くために用いられてもよい。
図18は、サンプル出口収集チャンネル14の入口18をより詳細に示し、集束されたストリーム32が入口を通して収集チャンネル14中へ正確に導かれることを示す。気付くであろうように、実際の入口18のすぐ下流側の収集チャンネル14の入口領域は、真直ぐであり、サンプルストリーム32が導かれたサンプルフロー入口チャンネル4に実質的に平行である。そのうえ、サンプルストリーム32を先に記載された仕方で正確に集束させて制御することによって、サンプルストリームを高精度で収集チャンネル14の縦軸に平行な方向に入口18を通してサンプル出口収集チャンネル14中へ導くことができる。これは、そうでない場合にはサンプルストリーム32の集束を乱して検出および分析に潜在的に影響を及ぼすであろう、デバイス1の検出ゾーン8における、収集チャンネルのすぐ上流側での集束されたサンプルストリーム32中の擾乱の生成を回避するのに役立つ。
図19および20は、いずれもサンプル出口収集チャンネル14の2枝に分かれた領域を示し、先に簡潔に述べたように、チャンネル14は、検出ゾーン8の下流側のサンプル流体の選択的な選別および収集のために2つの個別的な選別チャンネル14a、14bに分かれる。図19は、サンプルストリームが上側の選別チャンネル14b中へ偏向されることを示し、一方で図20は、サンプルストリームが下側の選別チャンネル14a中へ導かれることを示す。それ自体は既知の仕方でストリームに圧力変化を適用することによって、サンプルストリーム32をこのように制御して、いずれかの選別チャンネル14a、14b中へ選択的に導くことができる。しかしながら、検出ゾーン8と、サンプル出口収集チャンネル14の選別チャンネル14a、14bへの分岐の上流側のその真直ぐな領域とを通る、サンプルストリーム32の高度な集束および位置制御が意味するのは、これらの制御用圧力変化が、検出ゾーン8におけるサンプルストリーム32を乱すことにならず、サンプルストリーム32は、最小限の擾乱を伴って強く正確に集束されたままであろうということである。
実験によって分かったことは、下部および上部シースフローが中間サンプルフロー入口チャンネル4に沿ったサンプル流体の流速の少なくとも2倍、および最も好ましくはそれよりおよそ5倍大きい流速でそれらのそれぞれの下部および上部フロー入口チャンネル3、5に沿って導かれたときに、サンプルストリーム32の最も正確な集束および制御を上記の仕方で達成できることである。さらに分かったことは、側面フローチャンネル20、21に沿った側面シースフローの流速が下部および上部入口チャンネル3、5における下部および上部シースフローの流速より大きいときに、著しく改善されたサンプルストリーム32の集束および制御を達成できることである。
デバイスの具体的な実施形態を参照し、および特にフォトリソグラフィ技術によって製造されたデバイスを参照して本発明が先に記載されたが、当然のことながら、他の実施形態によるデバイスが少し異なる構成を有してもよく、および/または異なる技術によって製造されてもよい。1つのかかる例が図21〜24を参照して次に記載される。
図21は、5つの平行なガラス・キャピラリーチューブ41〜45を備えるアセンブリ40を示す拡大図である。キャピラリーチューブは、それらの長さに沿って融合されるか、そうでない場合には一緒に接合されてもよく、それらのうちの4つ41〜44は、チューブの整列軸に対して垂直な面内にある概念的な四辺形の隅にあり、5番目のチューブ45は、他のチューブの間の中心に位置するように配置される。
図22は、アセンブリ40が引っ張られ、「隅」のキャピラリーチューブ41〜44の両端が(実質的に真直ぐなままの)中心チューブ45から外向きに離されたように操作されて、次に、結果として生じた配置が「隅」のチューブ41〜44の移動が実質的に何も起こらなかった真ん中で分割された後の図21のキャピラリーチューブ・アセンブリ40を示す。当初のアセンブリ40が分割された箇所における概念的な対称面48について互いに鏡像を表しうるサブアセンブリ46、47がこのように形成される。サブアセンブリ46、47は、図22では互いに少し離隔して示される。示される方位では、左手のサブアセンブリ46が入口部を表し、右手のサブアセンブリ47が出口部を表す。
従って当然のことながら、入口部46は、中心に位置して概して直線状の入口キャピラリーチューブ45a、およびその周りに放射状に分布した4つの集まる入口キャピラリーチューブ41a、42a、43a、44aを備える。すべての入口チューブは、(示される方位では)それらの左手端部にそれぞれの入口開口、およびそれらの右手端部にそれぞれの出口開口を有する。
同様に、出口部47は、中心に位置して概して直線状の出口キャピラリーチューブ45b、およびその周りに放射状に分布した4つの広がる出口キャピラリーチューブ41b、42b、43b、44bのアレイを備える。すべての出口チューブは、(示される方位では)それらの左手端部にそれぞれの入口開口、およびそれらの右手端部にそれぞれの出口開口を有する。
次に図23を考慮すると、2つのサブアセンブリがある長さのガラスチューブ49によって、それらのそれぞれの細い端部で、相互接続されることが示される。ガラスチューブ49は、各サブアセンブリ46、47の細い端部を示されるようなガラスチューブ49のそれぞれの端部中へしっかりと挿入できるように断面が正方形または矩形であってもよい。これらのサブアセンブリは、入口キャピラリーチューブ41a〜45aの出口開口が出口キャピラリーチューブ41b〜45bの入口開口から間隔をあけて配置されるように軸方向に、短い距離、離隔したままである。中心入口および出口キャピラリーチューブ45a、45bは、互いに軸方向に整列され、入口部46の集まる入口キャピラリーチューブ41a〜44aの各々も出口部47のそれぞれの広がる出口キャピラリーチューブ41b〜44bと整列される。提案されるのは、入口および出口部46、47がガラスチューブ49内の所定の位置に固定されてもよいことであり、示される実験配置では、熱収縮チュービング50および接着剤を用いてこれが達成された。
次に図23ではAと表されるエリアをより詳細に示す拡大図である図24を考慮すると、ガラスチュービング49が検出チャンバ51を実効的に形成し、その中で入口キャピラリーチューブ41a〜45aの出口開口と、出口キャピラリーチューブ41b〜45bの入口開口との間に画定されたスペース52が、図1〜8を参照して先に記載された実施形態の検出ゾーン8と同様の検出ゾーンを画定することが理解されるであろう。そのうえ、中心入口キャピラリーチューブ45aが(前述の実施形態の中間入口チャンネル4に類似した)サンプルフロー入口チャンネルを画定し、中心出口キャピラリーチューブ45bが(前述の実施形態の中間出口収集チャンネル14に類似した)サンプル出口収集チャンネルを画定し、一方では外側入口キャピラリーチューブ41a〜44aがそれぞれのシースフロー入口チャンネルを画定し、そして外側出口キャピラリーチューブ41b〜44bが対応するそれぞれのシースフロー出口収集チャンネルを画定することも理解されるであろう。
提案されるのは、それぞれの流体フローをチューブに沿って検出ゾーン52の向こう側へ導くために、入口キャピラリーチューブ41a〜45aへの入口開口が然るべき上流ポンプ配置に接続されてもよく、一方では出口チューブ41b〜45bの出口開口が図23に示されるデバイスの下流側で然るべき選別配置に接続されてもよいことである。
それゆえに当然のことながら、先に記載され、特に図23および24に示されるデバイスは、前述の実施形態と実質的に同じ仕方で機能するであろう。特に、サンプル流体が入口キャピラリーチューブ41a〜44aを通して導かれるそれぞれのシースストリームの間を中心入口チャンネル45aの出口開口から検出ゾーン52の向こう側へ導かれるときに、サンプル流体を収集のために4つのシースフローストリームの独立制御および調整を通じて集束させて、中心出口キャピラリーチューブ45bの入口開口中へ正確に導くことができる。
分かったことは、本発明のデバイスおよび方法が最低値で10μm/sから10m/sまでの広範囲のサンプル流速にわたって安定なサンプルストリームの達成を許容することであり、これは、本デバイスおよび方法を(例えば、蛍光信号に基づく)迅速な検出を必要とするシステムおよび技術、ならびにより長い信号取得期間を必要とする他のシステムおよび技術(例えば、ラマンまたは他の分光学的検出技術)に用いることを可能にする。それゆえに、広範囲の用途、分析機器または化学処理デバイスに本発明を用いることができる。
その周りに分布した4つのシースフローストリームのアレイの間のサンプルストリームの方向付けを許容し、それを含むデバイスおよび方法を具体的に参照して本発明が先に記載されたが、留意すべきは、他の実施形態ではより多数またはより少数のシースストリームを用いることが可能なことである。しかしながら、サンプルフローストリームの十分に正確な3次元的集束および制御を可能にするために不可欠なのは、中心サンプルフローチャンネルの周りに分布した少なくとも3つのシースフローストリーム(およびもちろんそれらの方向付けに必要なフローチャンネル)を設けることであると考えられる。例えば、図21〜24を参照して先に記載された実施形態は、4つのシースフローストリームの方向付けおよび収集のために、概念的な四辺形の角に配置された、4つの外側入口キャピラリーチューブ41a〜44aおよび4つの外側出口キャピラリーチューブ41b〜44bを有するが、想定されるのは、3つのシースフローストリームの方向付けおよび収集のために、概念的な三角形の角に配置された、3つの外側入口キャピラリーチューブおよび3つの対応する外側出口キャピラリーチューブを用いてかかるデバイスの変形形態を提供できるであろうということである。かかる配置の例が、同一または等価な部分を示すために図21〜24の配置と関連して先に用いられた同じ参照番号を用いて、図25を参照して以下に記載される。
図25は、アセンブリを通して軸方向に延びるスペースを画定するように配置された3つの平行なガラス・キャピラリーチューブを備える当初のアセンブリから製造されるとよい、部分的に構築されたデバイスを示す。キャピラリーチューブは、それらの長さに沿って融合されるか、そうでない場合には一緒に接合されてもよく、チューブの整列軸に対して垂直な面内にある概念的な三角形の角に配置される。チューブ・アセンブリは、中心領域53で細くなるようにその長さに沿って引っ張られる。それゆえに当然のことながら、構成要素であるキャピラリーチューブも、示されるように、中心領域53で細くなるであろう。
引っ張られたキャピラリーチューブ・アセンブリは、次に、当初のアセンブリが分割された箇所における概念的な対称線48について少なくとも近似的に互いに鏡像を表しうる、2つの概して同一のサブアセンブリ46、47を形成するために細くなった中心領域53で分割される。各サブアセンブリ46、47は、従って、3つのキャピラリーチューブ41a、42a、43aおよび41b、42b、42cのそれぞれの一組を備えるであろう。
それぞれの予め引っ張られた細い内径のキャピラリーチューブ45a、45bは、次に、各サブアセンブリ46、47のキャピラリーチューブ41a、42a、43bおよび41b、42b、43bの間の中心に置かれるように、各サブアセンブリ46、47の軸方向に延びるスペース中へ軸方向に挿入される。中心キャピラリーチューブ45a、45bは、保護ポリアミド・フィルムでコーティングされてもよく、いくつかの実施形態では、およそ90マイクロメートルの外径を有してもよい。デバイスの使用中に各サブアセンブリの3つの融合されたキャピラリーチューブと中心の細い内径のチューブとの間に任意の液体が染み出るのを防ぐために、挿入後に、中心キャピラリーチューブ45a、45bが適切な接着剤(例えば、シアノアクリレート系接着剤(glue))を用いて他のキャピラリーチューブの間の所定の位置に固定されてもよい。
サブアセンブリ46、47は、図25では互いに少し離隔して示される。図21〜24に示された配置を参照して先に記載されたのと同様に、示された方位では、左手のサブアセンブリ46が入口部を表し、右手のサブアセンブリ47が出口部を表す。
従って、当然のことながら、入口部46は、このように中心に位置して概して直線状の細い内径の入口キャピラリーチューブ45aと、その周りに放射状に分布した3つの平行であるが細くなる入口キャピラリーチューブ41、42a、43aのアレイとを備える。すべての入口チューブは、(示される方位では)左手端部にそれぞれの入口開口およびそれらの右手端部にそれぞれの出口開口を有する。
同様に、出口部47は、中心に位置して概して直線状の細い内径の出口キャピラリーチューブ45bと、その周りに分布した3つの平行であるが広がる出口キャピラリーチューブ41b、42b、43bとを備える。すべての出口チューブは、(示される方位では)それらの左手端部にそれぞれの入口開口およびそれらの右手端部にそれぞれの出口開口を有する。
2つのサブアセンブリ46、47は、次に、それらのそれぞれの細い端部で相互接続される。これは、図21〜24の配置に関連して先に提案されたのと同様の仕方で達成されてもよく、従って、当然のことながら、結果として生じるデバイスは、この場合もやはり入口キャピラリーチューブ41a、42a、43a、45aの出口開口と、出口キャピラリーチューブ41b、42b、43b、45bの入口開口との間に検出ゾーンを画定する検出チャンバが設けられるであろう。従って、当然のことながら、図25のデバイスは、それゆえに図21〜24のデバイスと非常によく似た仕方で機能するであろう。
そのうえ、本発明は、等しい数のシースフロー入口チャンネルおよびシースフロー収集チャンネルを有する実施形態を参照して先に記載されたが、これが本発明の本質的な特徴ではないことにも留意すべきである。デバイスが機能するか、または本明細書に記載される方法に用いられるために、シースフロー入口チャンネルの数が実際にシースフロー出口チャンネルの数に等しい必要はない。それにも拘わらず、考えられるのは、シースフロー収集チャンネルの数がシースフロー入口チャンネルの数に等しければ、本発明によるデバイスの構築が簡略化されるであろうということである。
本明細書および特許請求の範囲において用いられるときに、用語「備える(comprise)」および「備えている(comprising)」ならびにそれらの変形は、特定された特徴、特定されたステップまたは特定された完全体が含まれることを意味する。これらの用語が他の特徴、他のステップまたは他の完全体の存在を除外すると解釈されるべきではない。
前述の説明、もしくは添付される特許請求の範囲、または添付図面に開示されて、それらに固有の形態で表現されるか、あるいは開示される機能を実行するための手段、または開示される結果を得るための方法もしくはプロセスの観点から表現された特徴は、本発明をその多様な形態で実現するために、適宜、別々に、またはかかる特徴を任意に組み合わせて利用されてもよい。
本発明が上記の例示的な実施形態に関連して記載されたが、本開示が示されたときに当業者には多くの同等の修正形態または変形形態が明らかであろう。従って、先に提示された本発明の例示的な実施形態は、説明的であり、限定的ではないと見なされる。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に様々な変更がなされてもよい。