JP5092881B2 - 流路構造及びマイクロチップ - Google Patents

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本発明は、流路構造及びこの流路構造を配設したマイクロチップに関する。より詳しくは、化学的及び生物学的分析が行われるマイクロチップ流路の構造であって、流路内においてサンプル液層流の周囲をシース液層流で取り囲んだ状態で送液することが可能な流路構造等に関する。
近年、半導体産業における微細加工技術を応用し、シリコンやガラス製の基板上に化学的及び生物学的分析を行うための領域や流路を設けたマイクロチップが開発されてきている。これらのマイクロチップは、例えば、液体クロマトグラフィーの電気化学検出器や医療現場における小型の電気化学センサーなどに利用され始めている。
このようなマイクロチップを用いた分析システムは、μ−TAS(micro-Total-Analysis System)やラボ・オン・チップ、バイオチップ等と称され、化学的及び生物学的分析の高速化や高効率化、集積化あるいは分析装置の小型化を可能にする技術として注目されている。
μ−TASは、少量の試料で分析が可能なことや、マイクロチップのディスポーザブルユーズ(使い捨て)が可能なことから、特に貴重な微量試料や多数の検体を扱う生物学的分析への応用が期待されている。
μ−TASの応用例として、マイクロチップ上に配設された流路内で細胞やマイクロビーズ等の微小粒子の特性を光学的、電気的あるいは磁気的に分析する微小粒子分析技術がある。この微小粒子分析技術では、分析の結果、所定の条件を満たすポピュレーション(群)を微小粒子中から分別回収することも行われている。
例えば、特許文献1には、「微粒子含有溶液導入流路と、当該流路の少なくとも一方の側部に配置されたシース流形成流路と、を有する微粒子分別マイクロチップ」が開示されている。この微粒子分別マイクロチップは、さらに「導入された微粒子を計測するための微粒子計測部位と、該微粒子計測部位の下流に設置された微粒子を分別回収するための2以上の微粒子分別流路」等を有するものである。
特許文献1に開示される微粒子分別マイクロチップは、典型的には、微粒子含有溶液導入流路と2つのシース流形成流路とからなる「三叉流路」を有するものである(当該文献「図1」参照)。
図8に、一般的な三叉流路の流路構造(A)と、これにより形成される流体層流(B)を示す。この三叉流路では、図8(A)中、実線矢印方向に流路101を通流するサンプル液層流を、流路102,102に点線矢印方向から導入されるシース液層流で左右から挟み込むことによって、図8(B)に示すように、サンプル液層流を流路中央に送液することが可能となる。なお、図8 (B)中、サンプル液層流は実線で、流路構造は点線で示した。
特許文献1の微粒子分別マイクロチップでは、この三叉流路によって微粒子含有溶液をシース液で左右から挟み込んで、微粒子計測部位の流路中央に微粒子を送流している。そして、これによって、例えば光学的に微粒子の計測を行う場合に、測定光を微粒子に対して精度良く照射することが可能とされている。
特開2003−107099号公報
図8に示した三叉流路によれば、サンプル液層流をシース液層流で左右から挟み込むことにより、挟み込む方向(図8中Y軸正負方向)に関しては、流路内の任意の位置にサンプル液層流を偏向させて送液することができる。しかし、それ以外の方向、例えば流路の上下方向(図8中Z軸正負方向)に関しては、サンプル液の送液位置を制御することはできなかった。すなわち、図8に示した三叉流路では、Z軸方向に縦長のサンプル液層流しか形成することができない。
従って、例えば、サンプル液として微小粒子を含む溶液を流路内に通流させ、光学分析を行う場合、従来の三叉流路を備えるマイクロチップでは、流路の上下方向(深さ方向)における微小粒子の送流位置にばらつきが生じていた。このため、微粒子に対して精度良く測定光を照射することができないという問題があった。
特に、微小粒子として血球細胞の光学分析を行う場合には、細胞が流路の底面を転がるようして送流される場合があり、このような場合には、流路の上下方向(深さ方向)における測定光の焦点位置と細胞の送流位置とに大きなずれが生じ、分析精度が低下する要因となっていた。
そこで、本発明は、サンプル液層流を流路の上下方向(深さ方向)にもシース液層流で挟み込むことができ、高い分析精度を実現し得る流路構造を提供することを主な目的とする。
上記課題解決のため、本発明は、少なくとも一側方からシース液導入流路が合流する第一のサンプル液流路と、第一のサンプル液流路のシース液導入流路の合流部の下流において、略90度折れ曲がって接続する第二のサンプル液流路と、を備え、第一のサンプル液流路と第二のサンプル液流路の接続部において、第一のサンプル液流路と第二のサンプル液流路の送液方向に対する垂直断面の面積が等しく形成され、かつ、第一のサンプル液流路に比して第二のサンプル液流路の送液方向に対する垂直方向の高さが小さく形成された流路構造を提供する。
この流路構造によれば、第一のサンプル液流路でシース液層流により左右両側を挟み込んだサンプル液層流を、接続部において、上下方向にシース液層流で挟み込まれた層流とし、第二のサンプル液流路へ送液することができる。
この流路構造において、前記第二のサンプル液流路は、少なくとも一側方から合流するシース液導入流路を備え、第二のサンプル液流路へのシース液導入流路の合流部は、前記接続部の下流に設けられる。これにより、第二のサンプル液流路において、さらにサンプル液層流をシース液層流で左右両側から挟み込んで、流路中心部に集束された層流とすることができる。
この流路構造は、第一のサンプル液流路の流路上面と第二のサンプル液流路の流路上面、又は、第一のサンプル液流路の流路底面と第二のサンプル液流路の流路底面、とが同一平面上に位置して形成されていることが好適となる。
また、本発明は、上記流路構造を配設したマイクロチップを提供する。
このマイクロチップは、第一のサンプル液流路及び第二のサンプル液流路が同一基板層内に一体に形成されていることが好適となる。
本発明により、サンプル液層流を流路の上下方向(深さ方向)にもシース液層流で挟み込むことができ、高い分析精度を実現し得る流路構造が提供される。
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
(1)流路構造
図1は、本発明に係る流路構造の構成を示す簡略斜視図である。また、図2は、この流路構造を通流する流体の状態を示す簡略斜視図である。
(1-1)縦長層流の形成
図1中符号1で示す流路構造は、サンプル液を通流可能な第一流路11と、この第一流路11に対して略90度折れ曲がって接続された第二流路12と、を備えている。図1中符号13は、第一流路11と第二流路12との接続部を示している。ここでは、接続部13を、図1中X軸正方向からY軸正方向へ略90度曲折させて形成した場合を示したが、接続部13は、Y軸負方向へ略90度曲折させて形成してもよい。
第一流路11の接続部13上流には、シース液を通流可能なシース液導入流路111, 112が、第一流路11の左右(図1中Y軸正負方向)両側から合流されている。第一流路11及びシース液導入流路111, 112からなるこの三叉流路において、実線矢印方向から第一流路11内に導入されたサンプル液は、点線矢印方向からシース液導入流路111, 112内に導入されるシース液によって左右から挟み込まれる(図2中矢印参照)。
これにより、第一流路11内を通流するサンプル液は、図2に示すように、左右両側をシース液層流で挟み込まれた縦方向(図中Z軸方向)に長い層流として接続部13に送液される。以下、この縦方向に長い層流を「縦長層流」というものとする。なお、図2では、サンプル液層流を実線で、流路構造及びシース液層流は点線で示した。
(1-2)横長層流の形成
第一流路11と第二流路12は、接続部13において、送液方向に対する垂直断面(図1中YZ平面及びZX平面)の面積が互いに等しく、かつ、送液方向に対する垂直方向(図1中Z軸方向)の高さが、第一流路11に比べて、第二流路12で小さくなるように形成されている。すなわち、図1拡大図中、第一流路11の断面積S1と第二流路12の断面積S2は等しく、かつ、第一流路11の高さH1に比べて、第二流路12の高さH2は小さくなるように形成されている。
より具体的には、第一流路11の高さH1が200μm、流路幅が100μm(断面積S2=100×200μm2)である場合、第二流路12は、例えば、高さH2が100μm、流路幅が200μm(断面積S1=200×100μm2)となるように形成される。
接続部13の第一流路11と第二流路12の断面積S1, S2と高さH1, H2をこのように形成することで、第一流路11から接続部13に縦長層流として送液されるサンプル液層流を、図2に示すように、上下両側をシース液層流で挟み込まれた横方向(図中X軸方向)に長い層流として第二流路12に送液することができる。以下、この横方向に長い層流を「横長層流」というものとする。
この接続部13における縦長層流(Z軸方向に長い層流)から横長層流(X軸方向に長い層流)への変換は、第二流路12の高さH2を第一流路11の高さH1に比べて小さく形成し、第一流路11から送液される縦長層流を高さ方向(図2中、Z軸方向)に偏向させながら第二流路12へ曲折させることによって実現されると考えられる。
加えて、第一流路11と第二流路12の断面積S1, S2を等しく形成し、第一流路11から接続部13へのサンプル液及びシース液の流量と、接続部13から第二流路12への流量とを同じにすることで、第一流路11から送液される縦長層流を乱すことなく横長層流に変換して、第二流路12に送液できると考えられる。
(1-3)中心集束層流の形成
第二流路12の接続部13下流には、シース液を通流可能なシース液導入流路121, 122が、第二流路12の左右(図1中X軸正負方向)両側から合流されている。第一流路11において縦長層流とされたサンプル液層流は、接続部13において横長層流とされて第二流路12へ送液され、さらに点線矢印方向からシース液導入流路121, 122内に導入されるシース液によって左右から挟み込まれる(図2中矢印参照)。
これにより、第二流路12内を通流するサンプル液は、図2に示すように、周囲をシース液層流で挟み込まれ、流路中心部に集束された層流となる。以下、この流路中心部に集束された層流を「中心集束層流」というものとする。
図3に、流路構造1を通流するサンプル液層流の状態を断面図によって示す。図3(A)は、第一流路11において、シース液導入流路111, 112からのシース液によって挟み込まれ、縦長層流として形成されたサンプル液層流の断面図を示す。図3(B)は、接続部13により横長層流とされて第二流路12へ送液されたサンプル液層流の断面図を示す。図3(C)は、第二流路12において、シース液導入流路121, 122からのシース液よって挟み込まれ、中心集束層流として形成されたサンプル液層流の断面図を示す。なお、図3では、サンプル液層流(符号S)を実線で、シース液層流(符号T)を点線で示した。
図3(C)に示す中心集束層流として形成されたサンプル液層流の第二流路12内における送流位置は、シース液導入流路111, 112, 121, 122から導入されるシース液の流量、送出圧、比重、粘度等の流体条件を調整することにより、任意に制御することができる。
例えば、第一流路11内へのシース液の導入流量を、シース液導入流路111, 112のいずれか一方において他方よりも大きくすることで、形成される縦長層流の送流位置を、図3(A)中Y軸正負方向に制御することができる。これにより、接続部13を通過後の横長層流及び中心集束送流において、図3(B)及び(C)中Z軸正負方向にサンプル液層流の層流位置を制御することが可能となる。
また、例えば、第二流路12内へのシース液の導入流量を、シース液導入流路121, 122のいずれか一方において他方よりも大きくすることで、形成される中心集束層流の送流位置を、図3(C)中X軸正負方向に制御することが可能である。
第二流路12内における中心集束層流の送流位置を制御するためには、第一流路11及び第二流路12に、それぞれ左右両側からシース液導入路111, 112及び121, 122を合流させることが好ましいが、第一流路11及び第二流路12に合流されるシース液導入流路は、1以上であればよく、少なくとも一側方から合流すればよいものとする。
以上のように、流路構造1によれば、シース液層流によるサンプル液層流の挟み込みを流路の上下方向(図2中Z軸方向)にも行って、サンプル液層流を、周囲をシース液層流で取り囲まれた中心集束層流として送液することができる。
従って、この流路構造1によれば、例えば、サンプル液として微小粒子を含む溶液を流路内に通流させて、微小粒子の光学分析を行う場合、流路中心部に集束されたサンプル液層流中の微小粒子に精度良く測定光を照射することが可能となる。
特に、流路構造1によれば、第二流路12の幅方向(図2中X軸方向)のみならず、深さ方向(図2中Z軸方向)にもサンプル液層流の層流幅を絞り込むことができるため、第二流路12の深さ方向における測定光の焦点位置を微小粒子の送流位置と精緻に一致させることできる。このため、微小粒子に精度良く測定光を照射して高い測定感度を得ることが可能となる。
さらに、シース液導入流路111, 112, 121, 122から導入されるシース液の流量、送出圧、比重、粘度等を調整することにより、中心集束層流とされたサンプル液層流の第二流路12内における送流位置を任意に制御することができる。このため、測定光の焦点位置と微小粒子の送流位置とをさらに精緻に一致させることが可能とされている。
なお、本発明において、微小粒子には、「微小粒子」には、細胞や微生物、リポソームなどの生体関連微小粒子、あるいはラテックス粒子やゲル粒子、工業用粒子などの合成粒子などが広く含まれるものとする。
生体関連微小粒子には、各種細胞を構成する染色体、リポソーム、ミトコンドリア、オルガネラ(細胞小器官)などが含まれる。対象とする細胞には、動物細胞(血球系細胞など)および植物細胞が含まれる。微生物には、大腸菌などの細菌類、タバコモザイクウイルスなどのウイルス類、イースト菌などの菌類などが含まれる。さらに、生体関連微小粒子には、核酸やタンパク質、これらの複合体などの生体関連高分子も包含され得るものとする。また、工業用粒子は、例えば有機もしくは無機高分子材料、金属などであってもよい。有機高分子材料には、ポリスチレン、スチレン・ジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレートなどが含まれる。無機高分子材料には、ガラス、シリカ、磁性体材料などが含まれる。金属には、金コロイド、アルミなどが含まれる。これら微小粒子の形状は、一般には球形であるのが普通であるが、非球形であってもよく、また大きさや質量なども特に限定されない。
(2)マイクロチップ
図4は、本発明に係るマイクロチップの構成を示す簡略上面図である。
図4中、符号2で示すマイクロチップには、上記流路構造1が配設されている。符号11aは、第一流路11内にサンプル液を導入するためのサンプル液インレットを、符号12bは、第二流路12からサンプル液及びシース液を排出するためのアウトレットを示す。第一流路11のシース液導入流路111, 112には、それぞれシース液インレット111a, 112bからシース液が導入される。また、第二流路12のシース液導入流路121, 122には、それぞれシース液インレット121a, 122bからシース液が導入される。
図4中、符号Dは、第二流路12を通流するサンプル液中の試料を検出するための検出部である。検出部Dは、マイクロチップ2の用途及び検出対象とする試料に応じて、光学的又は電気的、磁気的な手段によって試料の検出を行う。マイクロチップ2は、各種の化学的及び生物学的分析のためのアナライザーやマイクロリアクターとして用いることができるものであるが、ここでは、試料として微小粒子を含むサンプル液を流路に通流させ、検出部Dにおいて微小粒子の光学特性を検出する場合を例に説明する。
微小粒子の光学特性は、検出部Dにおいて、第二流路12を通流する微小粒子に対してレーザー光を照射し、微小粒子から発生する光を検知することで検出することができる。検出部Dを構成する光学検出系は、従来のマイクロチップを用いた微小粒子の分析システムと同様に構成することができる。具体的には、レーザー光源と、微小粒子に対しレーザー光を集光・照射するための集光レンズやダイクロイックミラー、バンドパスフィルター等と、レーザー光の照射によって微小粒子から発生する光を検出する検出器と、によって構成される。検出器には、例えば、PMT(photo multiplier tube)や、CCDやCMOS素子等のエリア撮像素子等が用いられる。
微小粒子の光学特性分析のためのパラメーターは、対象とする微小粒子及び分取目的に応じて、微小粒子の大きさを測定する前方散乱光や、構造を測定する側方散乱光、レイリー散乱やミー散乱等の散乱光や蛍光などとすることができる。検出部Dは、これらのパラメーターによって検知された光を解析し、微小粒子の光学特性を検出する。
マイクロチップ2では、流路構造1によって、シース液層流によるサンプル液層流の挟み込みを流路の上下方向(図2中Z軸方向)にも行って、サンプル液層流を、周囲をシース液層流で取り囲まれた中心集束層流として検出部Dに送液することができる。従って、マイクロチップ2では、流路中心部を送流される微小粒子に対して精度良く測定光を照射して、微小粒子の光学特性を高感度に検出することが可能となる。
特に、マイクロチップ2では、流路構造1によって、第二流路12の幅方向(図2中X軸方向)のみならず、深さ方向(図2中Z軸方向)にもサンプル液層流の層流幅を絞り込むことができるため、第二流路12の深さ方向における測定光の焦点位置を微小粒子の送流位置と精緻に一致させることが可能である。
ここでは、検出部Dを光学検出系として構成し、微小粒子の特性を光学的に検出する場合について説明したが、微小粒子の特性検出は電気的又は磁気的に行うこともできる。微小粒子の電気的物性及び磁気特性の検出を行う場合には、検出部Dに微小電極を配し、例えば抵抗値、容量値(キャパシタンス値)、インダクタンス値、インピーダンス、電極間の電界の変化値等、あるいは、例えば微小粒子に関する磁化、磁界変化、磁場変化等を検出する。これらの特性は二以上を同時に検出することもでき、例えば、微小粒子として磁気ビーズ等を蛍光色素で標識したものを分析する場合には、光学特性と磁気特性の検出が同時に行われる。
マイクロチップ2によれば、微小粒子の電気的又は磁気的特性を検出する場合においても、検出部Dに配設された微小電極の検出位置と微小粒子の送流位置とを精緻に一致させ、微小粒子の特性を高感度に検出することが可能である。
(3)マイクロチップの製造方法
マイクロチップ2の材質は、ガラスや各種プラスチック(PP,PC,COP、PDMS)とすることができる。マイクロチップ2を用いた分析を光学的に行う場合には、光透過性を有し、波長分散が少なく光学誤差の少ない材質を選択する。
マイクロチップ2に配設される流路構造1等の成形は、ガラス製基板層のウェットエッチングやドライエッチングによって、またプラスチック製基板層のナノインプリントや射出成型、機器加工によって行うことができる。そして、流路構造1を成形した基板層を、アウトレット12b等を成型した同じ材質又は異なる材質の基板層でカバーシールすることで、マイクロチップ2を形成することができる。
図5は、マイクロチップ2の製造方法の一例を説明する概念図である。図5は、マイクロチップ2の断面模式図であり、第二流路12を含む垂直断面を示す。マイクロチップ2は、金型を用いた射出成形等によって、一枚の基板層を成形するのみで簡便に製造することができる。
まず、基板層2aに対して、第一流路11と第二流路12、シース液導入流路111, 112, 121, 122を有する流路構造1の形状を備える金型を射出成形機にセットし、基板層2aへの形状転写を行う。射出成形された基板層2aには、第一流路11と第二流路12、シース液導入流路111, 112, 121, 122を有する流路構造1の形状が形成されている(図4(A)参照)。
次に、図4(B)に示すように、基板層2aに、アウトレット12b等の形状を転写した基板層2bを貼り合わせる。基板層2aへの基板層2bの貼り合わせは、従来公知の手法を適宜用いることができる。例えば、熱融着、接着剤、陽極接合、粘着シートを用いた接合、プラズマ活性化結合、超音波接合等を適宜用いることができる。
流路構造1は、図1で説明したように、第一流路11の高さH1に比べて、第二流路12の高さH2が小さくなるように形成されている(図5(B)も参照)。さらに、流路構造1は、第一流路11の流路上面と第二流路12の流路上面とが同一平面上に位置するように形成されている。
従って、上記のように、第一流路11と第二流路12、シース液導入流路111, 112, 121, 122を有する流路構造1の形状を基板層2aに対し一体に転写・形成し、基板層2bを貼りあわせれば、第一流路11の流路上面と第二流路12の流路上面を形成することができる。これにより、非常に簡便な工程で、マイクロチップ2上に流路構造1を形成することが可能とされている。
また、一般に、それぞれに流路形状を形成した複数層の基板層を貼りあわせて、連通する流路構造を形成する場合には、貼り合わせ時の基板層の位置決めを極めて高い精度で行う必要がある。これに対して、マイクロチップ2では、基板層2bに対してはアウトレット12bやサンプルインレット11a、シース液インレット111a, 112a, 121a, 122aの形状を転写・穿設するのみでよく、流路形状を形成する必要がない。このため、基板層2bを基板層2aへ貼り合わせる際に、高い位置決め精度が必要とならず、貼り合わせ工程を簡略化することができる。
以上の方法により得られたマイクロチップ2は、その表裏を無関係に使用することができる。従って、図5(B)に示すマイクロチップ2では、基板層2aが上面に、基板層2bが下面となる状態で使用することも当然に可能である。図5(B)の状態では、第一流路11の流路上面と第二流路12の流路上面とが同一平面上に位置するように形成されているが、マイクロチップ2を裏返しにすれば、第一流路11と第二流路12とがこれらの流路底面が同一平面上に位置するように形成されているものとしてみることができる。
本発明に係る流路構造及びマイクロチップの効果を検証した。住友ベークライト社製のマイクロチップ(Cat.No.BS-X2219)上に流路構造1を形成し、サンプル液及びシース液の層流形成を行った。マイクロチップは、材質がCOC、サイズが70mm×30mm×1.5mm(W×D×H)のものを使用した。
図6に示す条件で、流路内にサンプル液及びシース液を導入した。すなわち、第一流路内へのサンプル液の導入流量を1.0L/hとし、第一流路内及び第二流路内へのシース液の導入流量をそれぞれ2.0, 10L/hとした。
図7に、形成されたサンプル液層流及びシース液層流をマイクロチップ上面から撮影した図面代用写真を示す。図7(B)は、図7(A)中接続部近傍を拡大して示している。図中、赤紫色に着色されて視認される流れがサンプル液層流である。なお、シース液層流は無着色のため視認されない。
第一流路内において、シース液導入流路からのシース液によって挟み込まれ、縦長層流として形成されたサンプル液層流が、接続部13において、横長層流とされて第二流路へ送液されていることが確認できる。さらに、第二流路内において、この横長層流が、シース液導入流路からのシース液によって挟み込まれ、中心集束層流となっていることが確認される。
本発明に係る流路構造1の構成を示す簡略斜視図である。 流路構造1を通流する流体の状態を示す簡略斜視図である。 流路構造1を通流するサンプル液層流の状態を示す断面模式図である。(A)は、第一流路11において形成された縦長層流の断面図を示す。(B)は、接続部13により横長層流とされたサンプル液層流の断面図を示す。(C)は、第二流路12において形成された中心集束層流の断面図を示す。 本発明に係るマイクロチップ2の構成を示す簡略斜視図である。 マイクロチップ2の製造方法の一例を説明する概念図である。 実施例で用いたマイクロチップ流路内へのサンプル液及びシース液の導入条件を説明する簡略斜視図である。 実施例においてマイクロチップ流路内に形成されたサンプル液層流及びシース液層流を撮影した図面代用写真を示す。 一般的な三叉流路の流路構造(A)と、これにより形成される流体層流の状態(B)を示す簡略斜視図である。
符号の説明
1 流路構造
11 第一流路
11a サンプル液インレット
12 第二流路
12b アウトレット
111, 112, 121, 122 シース液導入流路
111a, 112a, 121a, 122a シース液インレット
13 接続部
2 マイクロチップ
2a, 2b 基板層
D 検出部
S サンプル液層流
T シース液層流

Claims (6)

  1. 少なくとも一側方からシース液導入流路が合流する第一のサンプル液流路と、
    前記第一のサンプル液流路の前記シース液導入流路の合流部の下流において、略90度折れ曲がって直接接続する第二のサンプル液流路と、を備え、
    前記第一のサンプル液流路の送液方向をX軸方向、前記第二のサンプル液流路の送液方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向に対する垂直方向をZ軸方向とした場合に、
    前記第一のサンプル液流路と前記第二のサンプル液流路の接続部において、前記第一のサンプル液流路のYZ平面における垂直断面の面積前記第二のサンプル液流路のZX平面における垂直断面の面積が等しく形成され、かつ、前記第一のサンプル液流路のZ軸方向における高さに比して前記第二のサンプル液流路のZ軸方向における高さが小さく形成された流路構造。
  2. 前記第二のサンプル液流路は、少なくとも一側方から合流するシース液導入流路を備え、
    前記第二のサンプル液流路への前記シース液導入流路の合流部は、前記接続部の下流に設けられている請求項1記載の流路構造。
  3. 前記第一のサンプル液流路の流路上面と前記第二のサンプル液流路の流路上面とが同一平面上に位置して形成されている請求項2記載の流路構造。
  4. 前記第一のサンプル液流路の流路底面と前記第二のサンプル液流路の流路底面とが同一平面上に位置して形成されている請求項2記載の流路構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の流路構造が配設されたマイクロチップ。
  6. 前記第一のサンプル液流路及び前記第二のサンプル液流路が同一基板層内に一体に形成された請求項5記載のマイクロチップ。
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