以下、発明を実施する形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。本実施形態では、本発明の液位検知装置を図1に示す燃料電池システム1の気液分離器40に適用した例について説明する。
燃料電池システム1は、電気自動車の一種である、いわゆる燃料電池車両に適用され、図示しないDC−DCコンバータ等を介して車両走行用の電動モータ等の電気負荷に電力を供給するシステムである。燃料電池システム1は、燃料ガスである水素と酸化剤ガスである空気中の酸素との化学反応によって電気エネルギを出力する燃料電池10を備えている。
燃料電池10は、固体高分子型燃料電池で構成されている。燃料電池10は、空気および水素が供給されることで発電する複数の単セル10aを積層したスタック構造により構成されている。図示しないが、単セル10aは、電解質膜の両側を一対の触媒層で挟んで構成される膜電極接合体(MEA)、膜電極接合体の両側に配置された一対の拡散層、これらを挟持するセパレータで構成されている。セパレータには、拡散層および触媒層に対向する部位に反応ガス(水素または空気)のガス流通路が形成されている。
単セル10aは、ガス流通路に反応ガスが供給されると、以下の式F1、F2に示す電気化学反応により電気エネルギを出力する。
(燃料極) H2→2H++2e−
(酸素極) 2H++1/2O2+2e−→H2O
燃料電池10には、単セル10aの積層方向の端部に、空気を導入する空気導入部10b、空気を導出する空気導出部10c、水素を導入する水素導入部10d、および水素を導出する水素導出部10eが設けられている。
空気導入部10bには、燃料電池10に対して空気を供給するための空気供給配管20が接続されている。空気供給配管20には、大気中から空気を吸入し、吸入した空気を燃料電池10に圧送する空気ポンプ21が設けられている。この空気ポンプ21は、電動モータを含む電動ポンプで構成されている。
空気供給配管20には、空気ポンプ21と空気導入部10bとの間に、燃料電池10に供給する空気の圧力を調整する空気調圧弁22が設けられている。この空気調圧弁22は、空気供給配管20内部の空気通路の通路開度を調整する弁体、弁体を駆動する電動アクチュエータを含んで構成されている。
空気導出部10cには、燃料電池10から排出された空気を外部に排出するための空気排出配管23が接続されている。空気排出配管23には、燃料電池10内部に存する生成水や不純物等を空気と共に外部に排出するための電磁弁24が設けられている。電磁弁24は、空気排出配管23内部の空気通路を開閉する弁体、弁体を駆動する電動アクチュエータを含んで構成されている。
水素導入部10dには、燃料電池10に対して水素を供給するための水素供給配管30が接続されている。水素供給配管30には、高圧水素が充填された水素タンク31が設けられている。
水素供給配管30には、水素タンク31と水素導入部10dとの間に、燃料電池10に対して水素を間欠的に噴射供給する水素インジェクタ32が設けられている。水素インジェクタ32は、燃料電池10内部の圧力が所定圧力以下となった際に燃料電池10に対して水素を噴射供給するように、後述の制御装置100によって制御される。水素インジェクタ32は、水素を噴射するノズル、ノズル内部の水素通路の通路開度を調整する弁体、弁体を駆動する電動アクチュエータを含んで構成されている。
水素導出部10eには、燃料電池10から未反応水素を含む燃料オフガスを外部に排出するための水素排出配管33が接続されている。水素排出配管33には、気液分離器40が設けられている。
気液分離器40は、燃料オフガスに混在する水を分離する機器である。本実施形態の気液分離器40は、重力分離方式の気液分離器が採用されている。なお、気液分離器40は、遠心分離方式の気液分離器等で構成されていてもよい。
気液分離器40は、燃料オフガスから分離した水を貯留する貯留部41を有している。図1、図2に示すように、貯留部41には、その側面部42における上面部43側の部位に、水が分離された燃料オフガスを水素供給配管30に戻す還流配管34が接続されている。還流配管34は、一端側が気液分離器40に接続され、他端側が水素供給配管30における水素インジェクタ32と水素導入部10dとの間に接続されている。この還流配管34には、気液分離器40で水が分離された後の燃料オフガスを水素供給配管30に圧送する還流ポンプ35が設けられている。還流ポンプ35は、電動モータを含む電動ポンプで構成されている。
気液分離器40で水が分離された燃料オフガスは、還流ポンプ35によって、再び水素供給配管30に圧送される。これにより、本実施形態の燃料電池システム1では、燃料電池10の運転時に、水素(未反応水素を含む)が水素供給配管30と還流配管34を通って循環する。
図1、図2に示すように、貯留部41の底面部44には、貯留部41内部に貯留された水等を外部に排出する外部排出配管36が接続されている。本実施形態では、水素排出配管33および外部排出配管36が、燃料側排出通路部を構成している。また、本実施形態では、水素排出配管33および外部排出配管36が、熱を有する流体が流れる流通路を構成する。
外部排出配管36には、気液分離器40の貯留部41に溜まった水を外部に排出する排出弁37が設けられている。排出弁37は、外部排出配管36内部の通路を開閉する弁体、弁体を駆動する電動アクチュエータを含んで構成されている。
燃料電池10では、燃料電池10の運転中に、酸素極側の空気中に含まれる窒素が電解質膜を介して水素極側に透過する。このため、燃料電池システム1では、窒素が水素の循環系(水素供給配管30および還流配管34)内に蓄積される。水素の循環系内における窒素濃度が上昇すると、燃料電池10の発電性能が低下するので、水素の循環系内から窒素を排出する必要がある。
本実施形態の燃料電池システム1では、排出弁37を開放すると、水素の循環系から窒素が排出される。このため、本実施形態の排出弁37は、貯留部41に溜まった水を排出する排水手段として機能すると共に、循環系から窒素を排出する排気手段としても機能する。
ここで、貯留部41に溜まった水の排出等を行うために、排出弁37を定期的に開閉することが考えられるが、この場合、必要以上に水素が外部に排気されて、燃費が悪化してしまうことが懸念される。
そこで、本実施形態の燃料電池システム1は、気液分離器40の貯留部41における水面の位置(水位)に応じて、排出弁37を開閉する構成となっている。以下、貯留部41における水位を検出する構成について説明する。
本実施形態の燃料電池システム1では、気液分離器40の貯留部41における水位を検知する水位検知装置50を備えている。水位検知装置50は、熱流センサ51、および後述する制御装置100の一部(水位状態検知部100a)によって構成されている。
図2、図3、図4に示すように、熱流センサ51は、両板面の一方を表面521、他方を裏面522とする薄板状のセンサ基板52を有する。センサ基板52は、その裏面522が貯留部41の側面部42の内壁面421に固定されることで、貯留部41の側面部42の内壁面421に設置されている。センサ基板52は、貯留部41にて許容される許容貯液水位付近に設置されている。そして、熱流センサ51は、センサ基板52の表面521上を、熱(冷熱を含む)を有する燃料オフガスが流れるようになっている。
図3に示すように、センサ基板52においては、表面521上に燃料オフガスが流れることで、基板厚さ方向に熱流束が発生し、この熱流束により生ずる表面521と裏面522との間の温度差に起因して、ゼーベック効果による起電力が発生する。
センサ基板52は、絶縁性材料よりなる基板であり、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、液晶ポリマー(LCP)等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等で構成される。
本実施形態のセンサ基板52は、中央部とその周辺部とで基板厚さが異なっており、その中央部が厚く、それに比して周辺部が薄いものとされている。そして、センサ基板52の中央部が、ゼーベック効果による起電力を熱流束の検出信号として検出する検出部53を構成している。
図示しないが、検出部53においては、センサ基板52に設けた貫通孔に、異なる2種の金属や半導体が埋め込まれて、これらが直列的に接続されることで、熱電対が構成されている。なお、2種の金属としては、固相焼結されたP型を構成するBi−Sb−Te合金と、N型を構成するBi−Teとの組み合わせや、Cuとコンスタンタンとの組み合わせ等が挙げれられる。
また、図示しないが、検出部53は、上記熱電対に接続されたCuからなる端子部を有しており、この端子部によって上記起電力を熱流束の検出信号として取り出すようになっている。
ここで、図示しないが、熱流センサ51には、水素に晒される部位が保護膜で被覆されている。保護膜は、水素の透過を防止して、熱流センサ51を水素から保護するものであり、DLC(Diamond Like Carbonの略)薄膜、セラミック薄膜、高分子樹脂膜等で構成される。なお、保護膜は、撥水性を有する膜で構成されていることが望ましい。
このように構成される熱流センサ51は、制御装置100の入力側に接続されている。制御装置100は、熱流センサ51の検出部53で検出された検出信号に基づいて、貯留部41における水位状態を検知する。
次に、燃料電池システム1の電子制御部である制御装置100について説明する。制御装置100は、プロセッサ、メモリ等を有する周知のマイクロコンピュータ、およびその周辺回路で構成されている。
制御装置100の入力側には、上述の熱流センサ51、および水素供給配管30における水素の圧力を検出する水素圧力センサ54等の各種センサが接続されている。水素圧力センサ54は、水素供給配管30における水素インジェクタ32と還流配管34の接続部301との間に設けられている。
また、制御装置100の出力側には、制御対象機器として、空気ポンプ21、空気調圧弁22、電磁弁24、水素インジェクタ32、還流ポンプ35、排出弁37等が接続されている。
このように構成される制御装置100は、入力側から入力された各種信号等を、予めメモリに記憶されたプログラムに従って演算処理し、当該演算処理の結果等に基づいて、出力側に接続された各種制御対象機器を制御する。
燃料電池10の運転中は、燃料電池10にて水素が消費されることで、燃料電池10内部の圧力が徐々に低下する。このため、制御装置100は、燃料電池10の運転中において、水素圧力センサ54で検出された圧力が所定の基準圧力よりも低下した際に燃料電池10に水素が供給されるように、水素インジェクタ32を制御する。これにより、燃料電池10には、間欠的に水素が噴射供給される。
また、制御装置100は、熱流センサ51の検出部53で検出された検出信号に基づいて、貯留部41における水位状態を検知する。本実施形態では、制御装置100における貯留部41における水位状態を検知する構成が、水位状態検知部(液位状態検知部)100aを構成している。
ここで、貯留部41に貯留された水は、貯留部41に存する気体に比べて、燃料オフガスの流通による圧力変動や流量変動の影響を受け難い。そして、貯留部41の各内壁面421〜441と燃料オフガスとの間に生ずる熱流束は、圧力変動や流量変動に応じて変化する。このため、貯留部41の各内壁面421〜441と燃料オフガスとの間に生ずる熱流束の変化は、各内壁面421〜441に水が有る場合に比べて水が無い場合の方が大きくなる。
例えば、図5に示すように、貯留部41における水位が、熱流センサ51の検出部53に達してない場合、熱流センサ51は、燃料オフガスに晒される。この場合、図6に示すように、水素インジェクタ32による燃料電池10への水素の供給によって貯留部41内部のガス圧力が変動すると、熱流センサ51のセンサ出力が、貯留部41内部のガス圧力の変動と同期するように変動する。
一方、例えば、図7に示すように、貯留部41における水位が、熱流センサ51の検出部53に達している場合(検出部53が水没している場合)、熱流センサ51には、ガスの圧力変動や流量変動の影響を殆ど受けない。この場合、図8に示すように、水素インジェクタ32による燃料電池10への水素の供給によって貯留部41内部のガス圧力が変動しても、熱流センサ51のセンサ出力が殆ど変動しない。
本実施形態の制御装置100では、上記の事象を利用して、貯留部41における水位状態を検知する。具体的には、制御装置100は、燃料電池10の運転中における熱流センサ51の検出信号の変化量が大きい場合、貯留部41における水位が、熱流センサ51の検出部53に達していない低水位状態とする。
また、制御装置100は、燃料電池10の運転中における熱流センサ51の検出信号の変化量が小さい状態が所定期間継続した場合、貯留部41における水位が、熱流センサ51の検出部53に達している高水位状態とする。
ここで、車両の走行時の振動等によって気液分離器40が一時的に傾くことがあるが、この際、貯留部41における水位が検出部53付近まで到達していると、熱流センサ51が被水して一時的にセンサ出力が殆ど変動しなくなることがある。
このことを鑑み、制御装置100は、燃料電池10の運転中における熱流センサ51の検出信号の変化量が小さい状態が一時的に生ずる場合、貯留部41における水位が、低水位状態における水位と高水位状態における水位との中間となる中間水位状態とする。
さらに、本実施形態の制御装置100は、貯留部41における水位状態の検知結果に基づいて、排出弁37を開閉制御する。以下、本実施形態の制御装置100が実行する排出弁37の開閉制御処理について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。制御装置100は、燃料電池10の運転中において、図9に示す制御処理を所定のタイミングで実行する。
図9に示すように、制御装置100は、まず、ステップS10にて、気液分離器40の貯留部41にける水位を検知する水位検知処理を実行する。この水位検知処理については、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
図10に示すように、制御装置100は、ステップS200にて、熱流センサ51のセンサ出力の変化量ΔVが予め定めた水位判定基準値ΔVth以下であるか否かを判定する。なお、水位判定基準値ΔVthとしては、例えば、熱流センサ51が被水していない場合におけるセンサ出力の変化量の最小値や平均値等を採用することができる。
また、センサ出力の変化量ΔVとしては、例えば、水素インジェクタ32による水素の供給タイミングにおけるセンサ出力と、水素インジェクタ32による水素の供給停止タイミングにおけるセンサ出力との差分を採用することができる。なお、センサ出力の変化量ΔVとしては、例えば、センサ出力の瞬時値と直近数回分のセンサ出力の平均値との差分を採用することもできる。
ステップS200の判定処理の結果、熱流センサ51のセンサ出力の変化量ΔVが水位判定基準値ΔVthを超える場合、制御装置100は、ステップS210にて、貯留部41における水位が熱流センサ51に到達していない低水位状態とする。なお、図11に示すように、低水位状態では、水素インジェクタ32による水素の供給に対応して熱流センサ51のセンサ出力が大きく変動する。
一方、ステップS200の判定処理の結果、熱流センサ51のセンサ出力の変化量ΔVが水位判定基準値ΔVth以下である場合、制御装置100は、ステップS220に移行する。
続いて、制御装置100は、ステップS220にて、熱流センサ51のセンサ出力の変化量ΔVが水位判定基準値ΔVth以下となる状態が所定期間継続されているか否かを判定する。
この結果、熱流センサ51のセンサ出力の変化量ΔVが水位判定基準値ΔVth以下となる状態が所定期間継続されている場合、制御装置100は、ステップS230にて、貯留部41における水位が熱流センサ51に到達している高水位状態とする。なお、図12に示すように、高水位状態では、水素インジェクタ32による水素の供給の有無によらず、熱流センサ51のセンサ出力が殆ど変動しない。
一方、熱流センサ51のセンサ出力の変化量ΔVが水位判定基準値ΔVth以下となる状態が所定期間継続されていない場合、制御装置100は、ステップS240にて、中間水位状態とする。なお、中間水位状態は、貯留部41における水位が低水位状態における水位と高水位状態における水位の中間となる状態である。
ここで、熱流センサ51に一時的に水滴が付着している場合、水素インジェクタ32による水素の噴射が繰り返されると、圧力変動によって水滴が熱流センサ51から脱落し易くなる。このため、所定期間としては、例えば、水素インジェクタ32によって水素の噴射を連続して複数回実施するのに要する時間を採用することができる。
上述の如く、本実施形態の制御装置100は、熱流センサ51のセンサ出力の変化量ΔVに基づいて、貯留部41における水位状態を特定する。なお、制御装置100は、上述のステップS210、ステップS230、S240で特定された貯留部41における水位状態について、フラグ等によってメモリに記憶する。
図9に戻り、制御装置100は、ステップS20にて、貯留部41における水位が高水位状態であるか否かを判定する。この結果、高水位状態でない場合、排出弁37を開閉することなく処理を抜ける。
一方、ステップS20の判定処理の結果、高水位状態である場合、制御装置100は、ステップS30にて、排出弁37を開放する。これにより、貯留部41に溜まった水が、外部排出配管36を介して外部に排出される。
続いて、制御装置100は、ステップS40にて、再び水位検知処理を実行する。ステップS40における水位検知処理の内容は、ステップS10と同様であるため、その説明を省略する。
続いて、制御装置100は、ステップS50にて、貯留部41における水位が低水位状態であるか否かを判定する。この結果、低水位状態でない場合、貯留部41における水位が依然として高い状態であると考えられるので、制御装置100は、排出弁37の開放を継続する。
一方、ステップS50の判定処理の結果、低水位状態である場合、制御装置100は、ステップS60にて排出弁37を閉鎖する。これにより、貯留部41に溜まった水の排出が停止される。
以上説明した本実施形態の燃料電池システム1は、貯留部41における水位を検知する水位検知装置50を備えている。この水位検知装置50では、表面に熱流束の変化を検出する検出部53が設けられた薄板状のセンサ基板52を貯留部41の内壁面421に設置することで貯留部41の水位を検知可能となっている。
このように、薄板状のセンサ基板52で水位を検知する構成では、貯留部41におけるセンサが占める領域を抑えられるので、貯留部41における貯液容積の減少を抑えることができる。
加えて、薄板状のセンサ基板52を燃料オフガスの流れ等に影響が少ない貯留部41の壁部近傍に設置しているので、センサ自体が燃料オフガスの流通抵抗となってしまうことも抑制することができる。
したがって、本実施形態の水位検知装置50によれば、貯液機能や水位検知精度に影響する貯留部41における貯液容積の減少、および燃料オフガスの流通抵抗の両方を抑えることができる。そして、本実施形態の燃料電池システム1では、水位検知装置50の検知結果に基づく排出弁37の開閉制御によって、貯留部41に貯留された水を適切に排出することができる。
特に、本実施形態の燃料電池システム1では、水位検知装置50の検知結果が、高水位状態となる場合に排出弁37を開放し、その後、低水位状態となった際に排出弁37を閉鎖する構成となっている。これによると、貯留部41の貯留された水を適切なタイミングで排出することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図13〜図15を参照して説明する。本実施形態では、気液分離器40の貯留部41に2つの熱流センサ51、55が設置されている点等が第1実施形態と相違している。
図13に示すように、気液分離器40の貯留部41には、主熱流センサ51および補助熱流センサ55が設置されている。主熱流センサ51および補助熱流センサ55は、それぞれ第1実施形態で説明した熱流センサ51と同様に構成される。
主熱流センサ51は、第1実施形態で説明した熱流センサ51と同様に、貯留部41における水位を検知するために設けられている。主熱流センサ51は、第1実施形態で説明した熱流センサ51と同様の位置に設置されている。すなわち、主熱流センサ51は、貯留部41の側面部42の内壁面421のうち、許容貯液水位付近に設置されている。
一方、補助熱流センサ55は、貯留部41の内部において実質的に被水することがない位置に設置されている。これにより、補助熱流センサ55のセンサ出力は、燃料オフガスの圧力変動や流量変動に応じて変動することになる。
具体的には、補助熱流センサ55は、上面部43の内壁面431に設置されている。なお、補助熱流センサ55は、貯留部41の側面部42の内壁面421のうち、主熱流センサ51よりも上方に位置する部位に設置されていてもよい。
主熱流センサ51および補助熱流センサ55は、それぞれ制御装置100の入力側に接続されている。本実施形態の制御装置100は、主熱流センサ51および補助熱流センサ55それぞれの検出信号(センサ出力)に基づいて、貯留部41における水位状態を検知する。
以下、本実施形態の制御装置100が実行する水位検知処理について図14に示すフローチャートを参照して説明する。図14に示すように、制御装置100は、ステップS300にて、主熱流センサ51の検出信号V1と補助熱流センサ55の検出信号V2との差分(センサ出力の差分)Vdを算出する。
主熱流センサ51の検出信号は、高水位状態となる際に殆ど変動せず、低水位状態となる際に大きく変動する。一方、補助熱流千ンさ54の検出信号は、高水位状態および低水位状態の双方において大きく変動する。このため、センサ出力の差分Vdは、図15に示すように、低水位状態となる際に殆ど変動せず、高水位状態となる際に大きく変動する。なお、センサ出力の差分Vdには、水滴等によるノイズが含まれてしまうことがある。このため、センサ出力の差分Vdは、ローパスフィルタによる演算処理値や、移動平均値とすることが望ましい。
図14に戻り、制御装置100は、ステップS310にて、各熱流センサ51、54のセンサ出力の差分Vdが予め定めた判定基準値ΔVdth以下であるか否かを判定する。なお、判定基準値ΔVdthとしては、例えば、主熱流センサ51が被水していない場合のセンサ出力と主熱流センサ51が被水している場合のセンサ出力との差分の最小値や平均値等を採用することができる。
ステップS310の判定処理の結果、センサ出力の差分ΔVdが判定基準値ΔVdth以下となる場合、制御装置100は、ステップS320にて、貯留部41における水位が熱流センサ51に到達していない低水位状態とする。
一方、ステップS310の判定処理の結果、センサ出力の差分ΔVdが判定基準値ΔVdthを超える場合、制御装置100は、ステップS330にて、貯留部41における水位が熱流センサ51に到達している高水位状態とする。
その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。本実施形態の水位検知装置50は、貯留部41における水位を検知することができる。したがって、本実施形態の水位検知装置50および燃料電池システム1によっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、水位検知処理において、低水位状態および高水位状態という2つの水位状態を検知する例について説明したが、これに限定されない。水位検知処理は、例えば、第1実施形態と同様に、低水位状態、高水位状態、中間水位状態という3つの水位状態を検知する処理となっていてもよい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図16を参照して説明する。本実施形態の燃料電池システム1は、制御装置100が実行する開閉制御処理における排出弁37の閉鎖条件が第1実施形態と相違している。
本実施形態の制御装置100は、図9に示した処理に代えて、図16に示す処理を実行する。図16は、本実施形態の制御装置100が実行する排出弁37の開閉制御処理の流れを示すフローチャートである。図16に示すステップS10A〜S40A、S60Aは、図9に示すステップS10〜S40、S60の内容と同様であるため、その説明を省略する。
本実施形態の制御装置100は、ステップS40Aにて水位検知処理を実行した後、ステップS50Aにて、貯留部41における水位が高水位状態であるか否かを判定する。この結果、高水位状態である場合、貯留部41における水位が依然として高い状態であると考えられるので、制御装置100は、排出弁37の開放を継続する。
一方、ステップS50Aの判定処理の結果、高水位状態でない場合、制御装置100は、ステップS60Aにて、排出弁37を閉鎖する。これにより、貯留部41に溜まった水の排出が停止される。
その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。本実施形態では、高水位状態となって排出弁37を開放した後、高水位状態でなくなった際に排出弁37を閉鎖する構成となっているので、第1実施形態と同様に、貯留部41の貯留された水を適切なタイミングで排出することができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図17を参照して説明する。本実施形態の燃料電池システム1は、制御装置100が実行する開閉制御処理における排出弁37の閉鎖条件が第1実施形態と相違している。
本実施形態の制御装置100は、図9に示した処理に代えて、図17に示す処理を実行する。図17は、本実施形態の制御装置100が実行する排出弁37の開閉制御処理の流れを示すフローチャートである。図17に示すステップS10B〜S30B、S60Bは、図9に示すステップS10〜S30、S60の内容と同様であるため、その説明を省略する。
ここで、排出弁37が開放されてる状態において、貯留部41に水が存在している場合、水によって貯留部41内部と外部との連通が遮断される。一方、排出弁37が開放されてる状態において、貯留部41に水が存在していない場合、貯留部41内部と外部とが連通することで、貯留部41の内部を含む循環系(水素供給配管30および還流配管34)の圧力が低下する。
この事象を鑑みて、本実施形態の制御装置100は、ステップS30Bにて排出弁37を開放した後、ステップS40Bにて、水素圧力センサ54により循環系(水素供給配管30および還流配管34)内の圧力を検出する。
続いて、制御装置100は、ステップS50Bにて、水素圧力センサ54の検出圧力が予め定めた基準圧力以下となっているか否かを判定する。なお、基準圧力としては、例えば、排出弁37が開放されている状態において、貯留部41に水が存在していない場合の水素圧力センサ54の検出値の平均値等を採用することができる。
この結果、水素圧力センサ54の検出圧力が基準圧力を超えている場合、貯留部41における水位が依然として存在している状態であると考えられるので、制御装置100は、排出弁37の開放を継続する。
一方、ステップS50Bの判定処理の結果、水素圧力センサ54の検出圧力が基準圧力以下である場合、制御装置100は、ステップS60Bにて、排出弁37を閉鎖する。これにより、貯留部41に溜まった水の排出が停止される。
その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。本実施形態では、高水位状態となって排出弁37を開放した後、貯留部41における圧力が基準圧力以下となった際に排出弁37を閉鎖する構成となっているので、第1実施形態と同様に、貯留部41の貯留された水を適切なタイミングで排出することができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、図18を参照して説明する。本実施形態の燃料電池システム1は、制御装置100が実行する開閉制御処理における排出弁37の閉鎖条件が第1実施形態と相違している。
本実施形態の制御装置100は、図9に示した処理に代えて、図18に示す処理を実行する。図18は、本実施形態の制御装置100が実行する排出弁37の開閉制御処理の流れを示すフローチャートである。図18に示すステップS10C〜S30C、S60Cは、図9に示すステップS10〜S30、S60の内容と同様であるため、その説明を省略する。
本実施形態の制御装置100は、ステップS30Cにて排出弁37を開放した後、ステップS50Cにて、排出弁37を開放してから所定時間が経過したか否かを判定する。なお、所定時間としては、貯留部41に許容貯液水位付近まで水を貯留させた後、当該水を全て排出するのに要する時間等を採用することができる。
この結果、排出弁37を開放してから所定時間経過してない場合、貯留部41に依然として水が存在すると考えられるので、制御装置100は、排出弁37の開放を継続する。
一方、ステップS50Cの判定処理の結果、排出弁37を開放してから所定時間経過している場合、制御装置100は、ステップS60Cにて、排出弁37を閉鎖する。これにより、貯留部41に溜まった水の排出が停止される。
その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。本実施形態では、高水位状態となって排出弁37を開放した後、所定時間経過後に排出弁37を閉鎖する構成となっているので、第1実施形態と同様に、貯留部41の貯留された水を適切なタイミングで排出することができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について、図19〜図22を参照して説明する。本実施形態では、熱流センサ51のセンサ出力を利用して、排出弁37の故障を検知する例について説明する。
燃料電池システム1では、排出弁37を開閉すると、図19に示すように、貯留部41内部のガス圧力が変化する。この際、熱流センサ51のセンサ出力は、貯留部41内部のガス圧力の変化によって大きく変化する。
詳しくいうと、排出弁37が正常に機能する場合、排出弁37を開放状態から閉鎖状態に制御すると、例えば、図19に示すように、貯留部41における圧力およびセンサ出力が燃料電池10への燃料の供給パターンに応じて変動する。
これに対して、排出弁37を開放状態から閉鎖状態に制御しても、センサ出力が燃料電池10への燃料の供給パターンに応じて変動しない場合、排出弁37が開放状態に維持されていると考えられる。すなわち、この場合、排出弁37が開放状態に維持される閉弁故障(閉じることができない故障)が生じていると考えられる。
また、排出弁37が正常に機能する場合、排出弁37を閉鎖状態から開放状態に制御すると、貯留部41から水や燃料オフガスが排気されることで、貯留部41における圧力が低下する。
これに対して、排出弁37を閉鎖状態から開放状態に制御しても、センサ出力が変動しない場合、排出弁37が閉鎖状態に維持されていると考えられる。すなわち、この場合、排出弁37が閉鎖状態に維持される開弁故障(開くことができない故障)が生じていると考えられる。
これらの事象を考慮して、本実施形態の制御装置100は、故障検知処理として、図21に示す閉弁故障検知処理および図22に示す開弁故障検知処理を実行する。制御装置100は、燃料電池10の運転中に各故障検知処理を実行する。
まず、閉弁故障検知処理について説明すると、図21に示すように、制御装置100は、ステップS400にて、排出弁37の閉鎖を指示する閉鎖信号を検知したか否かを判定する。この結果、排出弁37の閉鎖信号を検知した場合、制御装置100は、ステップS410にて、熱流センサ51のセンサ出力が、燃料供給パターンに対応して変動しているか否かを判定する。
具体的には、制御装置100は、センサ出力の変化量ΔVが、水素インジェクタ32によって水素が噴射された際に、所定値よりも大きくなっているか否かを判定する。なお、燃料供給パターンは、水素インジェクタ32に対する水素の噴射を指示する制御信号によって把握することができる。
この結果、熱流センサ51のセンサ出力が、燃料供給パターンに対応して変動している場合、排出弁37が閉鎖状態となっていると考えられる。このため、制御装置100は、ステップS420にて閉弁故障なしとする。
一方、熱流センサ51のセンサ出力が、燃料供給パターンに対応して変動していない場合、排出弁37が開放状態となっていると考えられる。このため、制御装置100は、ステップS430にて閉弁故障ありとする。なお、閉弁故障ありの場合、常に燃料オフガスが外部に排出されてしまう。このため、閉弁故障ありの場合、制御装置100によって、燃料電池10の運転を停止することが望ましい。
続いて、開弁故障検知処理について説明すると、図22に示すように、制御装置100は、ステップS500にて、排出弁37の開放を指示する開放信号を検知したか否かを判定する。この結果、排出弁37の開放信号を検知した場合、制御装置100は、ステップS510にて、熱流センサ51のセンサ出力が、貯留部41における圧力変動に対応して変動しているか否かを判定する。
具体的には、制御装置100は、センサ出力の変化量ΔVが、貯留部41における圧力低下に応じて変化しているか否かを判定する。なお、貯留部41における圧力は、水素圧力センサ54によって検出可能である。
この結果、熱流センサ51のセンサ出力が、貯留部41における圧力変動に対応して変動している場合、排出弁37が開放状態となっていると考えられる。このため、制御装置100は、ステップS520にて開弁故障なしとする。
一方、熱流センサ51のセンサ出力が、貯留部41における圧力変動に対応して変動していない場合、排出弁37が閉鎖状態となっていると考えられる。このため、制御装置100は、ステップS530にて開弁故障ありとする。なお、開弁故障ありの場合、貯留部41の水を外部に排出できなくなる。このため、開弁故障ありの場合、制御装置100によって燃料電池10の運転を停止することが望ましい。
その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。本実施形態の燃料電池システム1では、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の燃料電池システム1は、排出弁37を開閉制御した際の熱流センサ51の検出信号の変動状態に基づいて、排出弁37の故障の有無を判定する構成となっている。これによると、部品点数を増加させることなく、排出弁37の故障の有無を判定することができる。
(第6実施形態の変形例)
上述の第6実施形態では、開弁故障検知処理において、熱流センサ51のセンサ出力が貯留部41における圧力変動に対応して変動しているか否かを判定する例について説明したが、これに限定されない。
排出弁37が正常に機能する場合、排出弁37を開放状態にすると、貯留部41に貯留された水が排出される。そして、排出弁37の開放状態が所定時間継続されると、例えば、図19に示すように、貯留部41における圧力が殆ど変化しなくなる。このことは、燃料電池10に対して燃料が供給されていても同様である。
この事象を考慮して、本変形例の制御装置100では、図22に示した処理に代えて、図23に示す処理を実行する。図23は、本変形例の制御装置100が実行する排出弁37の開弁故障検知処理の流れを示すフローチャートである。
図23に示すように、本変形例の制御装置100は、ステップS600にて、排出弁37の開放を指示する開放信号を検知したか否かを判定する。この結果、排出弁37の開放信号を検知した場合、排出弁37の開放信号を検知してから所定の基準時間経過したか否かを判定する。基準時間としては、例えば、排出弁37を開放してから貯留部41におけるガス圧力が一定の範囲に収束するまでに要する時間を採用することができる。
ステップS610の判定処理の結果、排出弁37の開放信号を検知してから基準時間経過した場合、制御装置100は、ステップS620にて、熱流センサ51のセンサ出力が、燃料供給パターンに対応して変動しているか否かを判定する。
具体的には、制御装置100は、センサ出力の変化量ΔVが、水素インジェクタ32によって水素が噴射された際に、所定値よりも大きくなっているか否かを判定する。なお、燃料供給パターンは、水素インジェクタ32に対する水素の噴射を指示する制御信号によって把握することができる。
この結果、熱流センサ51のセンサ出力が、燃料供給パターンに対応して変動していない場合、排出弁37が開放状態となっていると考えられる。このため、制御装置100は、ステップS630にて開弁故障なしとする。
一方、熱流センサ51のセンサ出力が、燃料供給パターンに対応して変動している場合、排出弁37が閉鎖状態となっていると考えられる。このため、制御装置100は、ステップS640にて開弁故障ありとする。なお、開弁故障ありの場合、貯留部41の水を外部に排出できなくなる。このため、開弁故障ありの場合、制御装置100によって燃料電池10の運転を停止することが望ましい。
本変形例の燃料電池システム1は、排出弁37を開閉制御した際の熱流センサ51の検出信号の変動状態に基づいて、排出弁37の故障の有無を判定する構成となっている。これによっても、部品点数を増加させることなく、排出弁37の故障の有無を判定することができる。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について、図24、図25を参照して説明する。本実施形態では、燃料電池10の停止時に実行される掃気処理について説明する。
図24に示すように、気液分離器40の貯留部41には、高水位用熱流センサ51、および低水位用熱流センサ56が設置されている。高水位用熱流センサ51および低水位用熱流センサ56は、それぞれ第1実施形態で説明した熱流センサ51と同様に構成される。
高水位用熱流センサ51は、第1実施形態で説明した熱流センサ51と同様に、貯留部41における水位を検知するために設けられている。高水位用熱流センサ51は、第1実施形態で説明した熱流センサ51と同様の位置に設置されている。すなわち、高水位用熱流センサ51は、貯留部41の側面部42の内壁面421のうち、許容貯液水位付近に設置されている。
一方、低水位用熱流センサ56は、貯留部41の内部において高水位用熱流センサ51よりも低い位置に設置されている。具体的には、低水位用熱流センサ56は、貯留部41の底面部44の内壁面441に設置されている。このため、低水位用熱流センサ56にて、燃料オフガスの圧力変動が検出される場合、貯留部41内部に殆ど水が存在してない状態になっていると考えられる。
高水位用熱流センサ51および低水位用熱流センサ56は、それぞれ制御装置100の入力側に接続されている。本実施形態の制御装置100は、高水位用熱流センサ51および低水位用熱流センサ56それぞれの検出信号(センサ出力)に基づいて、貯留部41における水位状態を検知する。
ここで、燃料電池10の停止後に燃料電池10内部等に水が残留している場合、当該残留水が氷点下のような低温環境下において凍結することがある。このことは、燃料電池10の始動性が悪化する要因となることから好ましくない。
これに対して、本実施形態の制御装置100は、燃料電池10の停止時に、燃料電池10内部等に残留する水を排出する掃気処理を実行する。以下、本実施形態の制御装置100が燃料電池10の停止時に実行する処理について、図25を参照して説明する。
図25に示すように、制御装置100は、まず、ステップS700にて、燃料電池10内部等に残留する水を排出する掃気処理を実行する。例えば、制御装置100は、電磁弁24を開放状態に制御した状態で空気ポンプ21を駆動させ、燃料電池10内部に残留する水を空気排出配管23から外部に排出する。また、制御装置100は、水素インジェクタ32を停止した状態で、還流ポンプ35を駆動させ、燃料電池10内部に残存するガスをパージガスとして循環させる。これにより、循環系を流れるガスに含まれる水は、気液分離器40にて分離され、貯留部41に貯留される。そして、制御装置100は、所定のタイミングで排出弁37を開放することで、貯留部41に貯留された水を外部に排出する。
続いて、制御装置100は、ステップS710にて、掃気処理の終了タイミングであるか否かを判定する。具体的には、制御装置100は、掃気処理を開始してから所定時間経過したか否かを判定する。
この結果、掃気処理の終了タイミングでない場合、制御装置100は、掃気処理を継続する。一方、掃気処理の終了タイミングである場合、制御装置100は、ステップS720に移行する。
制御装置100は、S720にて、水位検知処理を実行する。このステップS720の処理では、低水位用熱流センサ56のセンサ出力に基づいて、貯留部41における水位を検知する。なお、具体的な処理内容は、図9のステップS10の処理と同様であるため、その説明を省略する。
続いて、制御装置100は、ステップS730にて、貯留部41内部に水分が検知されたか否かを判定する。具体的には、制御装置100は、低水位用熱流センサ56のセンサ出力に基づいて検知した水位状態が、高水位状態または中間水位状態であるか否かを判定する。
この結果、貯留部41内部に水分が検知された場合、制御装置100は、ステップS740にて、掃気処理を継続する。一方、貯留部41内部に水分が検知されていない場合、制御装置100は、ステップS750にて、掃気処理の終了処理を実行する。この終了処理では、例えば、空気ポンプ21および還流ポンプ35等を停止させる。
その他の構成および作動は第1実施形態と同様である。本実施形態の燃料電池システム1では、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の燃料電池システム1は、燃料電池10の停止時に、低水位用熱流センサ56のセンサ出力に基づいて検知した水位が、高水位状態となる場合、低水位状態となる場合に比べて掃気処理の実行時間が長くなっている。このため、燃料電池10内部における水の残留を充分に抑制することができる。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について、図26、図27を参照して説明する。本実施形態では、貯留部41に対して第1〜第4熱流センサ51A〜51Dが設置されている点が第1実施形態と相違している。
図26、図27に示すように、本実施形態の気液分離器40には、貯留部41内部に第1〜第4熱流センサ51A〜51Dが設置されている。各熱流センサ51A〜51Dは、それぞれ第1実施形態で説明した熱流センサ51と同様に構成される。
各熱流センサ51A〜51Dは、第1実施形態で説明した熱流センサ51と同様に、貯留部41における水位を検知するために設けられている。各熱流センサ51A〜51Dは、貯留部41の側面部42の内壁面421のうち、許容貯液水位付近に対して所定の間隔をあけて設置されている。
具体的には、第1熱流センサ51Aおよび第3熱流センサ51Cは、貯留部41の側面部42の内壁面421のうち、互いに対向する部位に設置されている。また、第2熱流センサ51Bおよび第4熱流センサ51Dは、貯留部41の側面部42の内壁面421のうち、互いに対向する部位に設置されている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態では、各熱流センサ51A〜51Dが、貯留部41の側面部42の内壁面421のうち、許容貯液水位付近に対して所定の間隔をあけて設置されている。このため、気液分離器40の貯留部41が何らかの要因によって傾いたとしても、各熱流センサ51A〜51Dのいずれかのセンサ出力に基づいて、貯留部41内部の水位を検知することができる。なお、本実施形態では、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第8実施形態の変形例)
上述の第8実施形態では、第1〜第4熱流センサ51A〜51Dが貯留部41の側面部42の内壁面421のうち、許容貯液水位付近に設置される例について説明したが、これに限定されない。
図28に示すように、貯留部41は、例えば、第2熱流センサ51Bおよび第4熱流センサ51Dが、第1熱流センサ51Aおよび第3熱流センサ51Cよりも下方側に設置される構成となっていてもよい。また、貯留部41は、第5熱流センサ51Eが、底面部44の内壁面441に設置される構成となっていてもよい。
これによれば、各熱流センサ51A〜51Eのセンサ出力に基づいて、貯留部41における水位状態を精度よく検知することができる。なお、熱流センサ51の設置箇所、および設置数等は、図28の図示したものに限定されない。熱流センサ51の設置箇所、および設置数等については、貯留部41の大きさや、水位の検知精度に応じて適宜設定すればよい。
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について、図29〜図32を参照して説明する。本実施形態では、熱流センサ51のセンサ出力を利用して、燃料オフガスの水素濃度を検出する例について説明する。
図29に示すように、本実施形態の気液分離器40には、貯留部41内部のガス圧力を検出するガス圧力センサ57が設けられている。ガス圧力センサ57は、被水しないように、熱流センサ51よりも上方側に配置されている。
ここで、水素インジェクタ32によって間欠的に水素が燃料電池10に噴射供給されている場合、燃料オフガスが間欠的に貯留部41に流入する。この際、貯留部41内部のガス圧力は、燃料オフガスの体積流量に比例して増減する。そして、熱流センサ51のセンサ出力および貯留部41内部のガス圧力は、図30に示すように、燃料電池10への燃料の供給パターンに応じて変動する。
また、貯留部41に流入する燃料オフガスには、未反応水素だけでなく、酸素極側から透過した窒素も含まれる。水素は窒素に比べて熱伝導率が高い。このため、燃料オフガスの水素濃度が高い場合には、水素濃度が低い場合に比べて、熱流センサ51のセンサ出力の変動量ΔVが大きくなる傾向がある。熱流センサ51のセンサ出力の変動量ΔVをガス圧力センサ57のセンサ出力の変動量ΔPで除算した値をセンサ出力比(=ΔV/ΔP)としたとき、当該センサ出力比は、例えば、図31に示すように、燃料オフガスの水素濃度が高いほど大きくなる傾向がある。
上記の事項を鑑みて、本実施形態の制御装置100は、熱流センサ51のセンサ出力およびガス圧力センサ57のセンサ出力に基づいて、燃料オフガスの水素濃度を検出するガス濃度検知処理を実行する。以下、本実施形態の制御装置100が実行するガス濃度検知処理について、図32を参照して説明する。制御装置100は、燃料電池10の運転中における所定のタイミングで図32に示す処理を実行する。
図32に示すように、制御装置100は、まず、ステップS800にて、熱流センサ51のセンサ出力およびガス圧力センサ57のセンサ出力を読み込む。そして、制御装置100は、ステップS810にて熱流センサ51のセンサ出力の変動量ΔVをガス圧力センサ57のセンサ出力の変動量ΔPで除算してセンサ出力比を算出する。
続いて、制御装置100は、ステップS820にて、ステップS810で算出したセンサ出力比に基づいて、水素濃度を算出する。具体的には、制御装置100は、予めメモリに記憶されたセンサ出力比と水素濃度との対応関係を規定する制御マップを参照して、ステップS810で算出したセンサ出力比に対応する水素濃度を算出する。
ここで、本実施形態の制御装置100は、貯留部41における水位が高い場合だけでなく、例えば、水素濃度が低い場合(すなわち、窒素の濃度が高い場合)に排出弁37を開放状態に制御する。これによると、水素の循環系(水素供給配管30および還流配管34)に蓄積された窒素を適切に排出することができるので、燃料電池10の発電性能を適切に発揮させることができる。
その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。本実施形態では、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の燃料電池システム1では、貯留部41の水位を検知するために設けた熱流センサ51のセンサ出力を利用して、燃料オフガスの水素濃度を検出することができる。これによると、燃料オフガスの水素濃度を検出する専用のセンサが不要となるので、燃料電池システム1の簡素化を図ることができる。
ここで、本実施形態では、貯留部41内部のガス圧力をガス圧力センサ57で検出する例について説明したが、これに限定されない。燃料電池システム1は、例えば、貯留部41内部のガス圧力を水素圧力センサ54で検出する構成となっていてもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の各実施形態では、本発明の液位検知装置を燃料電池システム1の気液分離器40に適用した例について説明したが、これに限定されない。液位検知装置は、液体(水に限らない)を貯留する貯留部を有する様々な機器(例えば、液体を一時的に貯留する貯留タンク)に適用可能である。
上述の各実施形態では、制御装置100の一部が水位状態検知部100aとして機能する例について説明したが、これに限定されない。水位状態検知部(液位状態検知部)は、制御装置100とは別体で構成されていてもよい。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、液位検知装置は、表面に熱流束の変化を検出する検出部が設けられた薄板状のセンサ基板を貯留部の内壁面に設置することで貯留部の液位を検知可能となっている。
また、第2の観点によれば、液位検知装置の液位状態検知部は、検出信号の変化量が所定の基準値を上回った際に、貯留部における液体の液位が検出部に到達していない低液位状態とする。また、液位状態検知部は、検出信号の変化量が基準値以下となる状態が所定期間継続された際に、貯留部における液体の液位が検出部に到達している高液位状態とする。
貯留部に貯留された液体は、貯留部に存する気体に比べて、流体の流通による圧力変動や流量変動の影響を受け難い。そして、貯留部の壁部と流体との間に生ずる熱流束は、圧力変動や流量変動に応じて変化する。このため、貯留部の壁部と流体との間に生ずる熱流束の変化は、液体が有る場合に比べて液体が無い場合の方が大きくなる。
したがって、上記の液位検知装置によれば、検出部における熱流束の検出信号の変化量が大きい場合に液位が低液位状態であることを検知すると共に、検出部における熱流束の検出信号の変化量が小さい場合に液位が高液位状態であることを検知することができる。
上述の実施形態の一部または全部で示された第3の観点によれば、燃料電池システムは、表面に熱流束の変化を検出する検出部が設けられた薄板状のセンサ基板を貯留部の内壁面に設置することで貯留部の液位を検知可能となっている水位検知装置を備える。そして、燃料電池システムは、水位検知装置の検知結果に基づく排出弁の開閉制御によって、貯留部に貯留された水を適切に排出可能となっている。
また、第4の観点によれば、燃料電池システムの水位状態検知部は、検出信号の変化量が所定の水位判定基準値を上回った際に、貯留部における水位が検出部に到達していない低水位状態とする。また、水位状態検知部は、検出信号の変化量が水位判定基準値以下となる状態が所定期間継続された際に、貯留部における水位が検出部に到達している高水位状態とする。そして、制御装置は、水位検知装置の検知結果が高水位状態となる場合に、排出弁を開放状態に制御し、排出弁を開放状態に制御した後、所定の閉鎖条件が成立した際に排出弁を閉鎖状態に制御する構成となっている。
貯留部に貯留された水は、貯留部に存する気体に比べて、貯留部内部の流体の流通による圧力変動や流量変動の影響を受け難い。そして、貯留部の壁部と貯留部内部の流体との間に生ずる熱流量は、圧力変動や流量変動に応じて変化する。このため、貯留部の壁部と貯留部内部の流体との間に生ずる熱流量の変化は、貯留部に水が有る場合に比べて水が無い場合の方が大きくなる。
したがって、上記の水位検知装置によれば、検出部における熱流束の検出信号の変化量が大きい場合に水位が低水位状態であることを検知すると共に、検出部における熱流束の検出信号の変化量が小さい場合に水位が高水位状態であることを検知することができる。
ここで、排出弁を周期的に開放することが考えられるが、この場合、燃料オフガスに含まれる水分量が過剰となると、貯留部から水が溢れてしまう可能性がある。また、燃料オフガスには未反応水素が含まれており、排出弁を周期的に開放すると、水と共に未反応水素が過剰に排出されてしまうことが懸念される。
これに対して、本開示の燃料電池システムは、水位検知装置の検知結果が、高水位状態となる場合に排出弁を開放した後、所定の閉鎖条件が成立した際に排出弁を閉鎖するので、貯留部の貯留された水を適切なタイミングで排出することができる。
また、第5の観点によれば、燃料電池システムにおける上記の所定の閉鎖条件は、水位検知装置の検知結果が低水位状態となる際に成立する条件となっている。これによると、高水位状態となって排出弁を開放した後、低水位状態となった際に排出弁を閉鎖する構成となるので、貯留部の貯留された水を適切なタイミングで排出することができる。
また、第6の観点によれば、燃料電池システムにおける上記の所定の閉鎖条件は、貯留部における圧力が所定の基準圧力以下となった際に成立する条件となっている。
排出弁が開放されている状態において貯留部に水が存在している場合、水によって貯留部内部と外部との連通が遮断される。一方、排出弁が開放されている状態において貯留部に水が存在していない場合、貯留部内部と外部とが連通することで圧力が低下する。
したがって、排出弁を開放した後、貯留部における圧力が所定の基準圧力以下となった際に排出弁を閉鎖することで、貯留部の貯留された水を適切なタイミングで排出することができる。
また、第7の観点によれば、燃料電池システムにおける上記の所定の閉鎖条件は、排出弁を開放状態に制御してから所定の基準時間経過した際に成立する条件となっている。これによると、高水位状態となって場合に排出弁を開放した後、所定の基準時間経過した際に排出弁を閉鎖する構成となるので、貯留部の貯留された水を適切なタイミングで排出することができる。
また、第8の観点によれば、燃料電池システムの制御装置は、燃料電池の停止時に、水位検知装置の検知結果が高水位状態となる場合、低水位状態となる場合に比べて、燃料電池の内部に滞留する水を外部に排出する掃気処理の実行時間を長くする。
燃料電池システムでは、燃料電池内部の水の凍結を抑制するため、燃料電池の停止時等に、排出弁を開放して燃料電池の内部に滞留する水を外部に排出する掃気処理を実行する。そして、掃気処理の実行時間が適切でない場合、燃料電池の内部に水が残留してしまう。
これに対して、上記の燃料電池システムでは、貯留部における水位が高い場合に、貯留部における水位が低い場合に比べて、掃気処理の実行時間を長くしているので、燃料電池の内部における水の残留を充分に抑制することができる。
また、第9の観点によれば、燃料電池システムの制御装置は、排出弁を開閉制御した際の検出部で検出された検出信号の変動状態に基づいて、排出弁の故障の有無を判定する。
排出弁を開閉すると、貯留部内部の圧力が変化するため、排出弁の開閉時における排出弁の前後における圧力変動を圧力センサ等で検出することで、排出弁の故障の有無を判定することが可能となる。
しかしながら、排出弁の故障判定のために、排出弁の前後に圧力センサを配置すると、燃料電池システムの部品点数が増加してしまう。
これに対して、上記の燃料電池システムでは、貯留部における流体の圧力の変化を、貯留部の壁部と貯留部内部の流体との間に生ずる熱流量の変化として検知可能な水位検知装置を採用している。そして、上記の燃料電池システムでは、水位検知装置の検出部で検出された検出信号の変動状態に基づいて、排出弁の故障の有無を判定する構成となっているので、部品点数が増加しない。このように、上記の燃料電池システムによれば、部品点数を増加させることなく、排出弁の故障の有無を判定することができる。
また、第10の観点によれば、燃料電池システムの制御装置は、排出弁を開放状態から閉鎖状態に制御した際に、燃料電池への燃料の供給パターンに対応して検出信号が変動しない場合、排出弁が開弁状態に維持される閉弁故障と判定する。
排出弁が正常に機能する場合、排出弁を開放状態から閉鎖状態に制御すると、貯留部における流体の圧力および検出部の検出信号が燃料電池への燃料の供給パターンに応じて変動する。
これに対して、排出弁を開放状態から閉鎖状態に制御しても、検出部の検出信号が燃料電池への燃料の供給パターンに応じて変動しない場合、排出弁が開弁状態に維持されていると考えられる。
このため、上記の燃料電池システムのように、排出弁を開放状態から閉鎖状態に制御した際に、燃料電池への燃料の供給パターンに応じて検出部の検出信号が変動しない場合、排出弁が開弁状態に維持される閉弁故障と判定することができる。
また、第11の観点によれば、燃料電池システムの制御装置は、排出弁を閉鎖状態から開放状態に制御した際に、貯留部における圧力変動に対応して検出信号が変動しない場合、排出弁が閉弁状態に維持される開弁故障と判定する。
排出弁が正常に機能する場合、排出弁を閉鎖状態から開放状態に制御すると、貯留部から水や燃料オフガスが排気されることで、貯留部における圧力が低下する。これに伴って、検出部の検出信号が低下する。
これに対して、排出弁を閉鎖状態から開放状態に制御しても、貯留部における流体の圧力が変動しない場合、すなわち、検出部の検出信号が変動しない場合、排出弁が閉弁状態に維持されていると考えられる。
このため、上記の燃料電池システムのように、排出弁を閉鎖状態から開放状態に制御した際に、貯留部における圧力変動に対応して検出部の検出信号が変動しない場合、排出弁が閉弁状態に維持される開弁故障と判定することができる。
また、第12の観点によれば、燃料電池システムの制御装置は、排出弁を閉鎖状態から開放状態に制御してから所定の基準時間経過した後に、燃料電池への燃料の供給パターンに対応して検出信号が変動する場合、排出弁が閉弁状態に維持される開弁故障と判定する。
排出弁が正常に機能する場合、排出弁を閉鎖状態から開放状態に制御すると、貯留部に貯留された水が排出される。そして、排出弁の開放状態が所定時間継続されると、燃料電池に対して燃料を供給しても貯留部における圧力が殆ど変化しなくなる。
これに対して、排出弁を閉鎖状態から開放状態に制御してから所定時間経過した後、燃燃料電池への燃料を供給した際に貯留部における圧力が変化する場合、排出弁が閉弁状態に維持されていると考えられる。
このため、上記の燃料電池システムのように、排出弁を閉鎖状態から開放状態に制御してから所定時間経過した後に、燃料電池への燃料の供給パターンに対応して検出部の検出信号が変動する場合、排出弁が閉弁状態に維持される開弁故障と判定することができる。