JP2018204955A - 膜厚測定装置及び膜厚測定方法 - Google Patents

膜厚測定装置及び膜厚測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】測定面が曲面形状をしている場合でも、薄膜の膜厚を高精度で測定する。【解決手段】本発明に係る膜厚測定装置1は、照明光を生成する光源部10と、試料40により照明光が反射した反射光を検出して、試料40の測定面42における画像を取得する光検出器19と、所定の開口数を有する対物レンズ17を含み、光源部10からの照明光を試料40まで導くとともに、試料40からの反射光を光検出器19まで導く共焦点光学系20と、画像に基づいて実測反射率を求める処理部30と、を備え、処理部30は、測定面42における照明光の光軸C方向の高さを測定し、高さから、測定面42上の測定点に接した接平面の法線と、光軸Cと、のなす傾斜角αを求め、処理部30は、傾斜角α及び所定の開口数を用いて、実測反射率を補正し、補正した補正反射率から薄膜41の膜厚を算出する。【選択図】図1

Description

本発明は、膜厚測定装置及び膜厚測定方法に関し、特に、反射光を用いて薄膜の膜厚を測定する膜厚測定装置及び膜厚測定方法に関する。
複雑な立体曲面形状をした樹脂成型品の表面コート、非球面レンズ等の反射防止膜、並びに、ベアリング及びSiウェハ端等の表面膜のように、湾曲した曲面上に形成された薄膜には、全域及び局所的に膜厚分布が発生しやすい。膜厚の均一性を向上させるためには、曲面上に形成された薄膜の膜厚を精度よく測定する技術が必要である。
特開2009−204313号公報 特開平07−091926号公報 特開2005−266084号公報 特開2009−053157号公報 特開2009−020448号公報 特開2009−115474号公報 特開2010−237219号公報 特開2015−087197号公報 特開昭62−204104号公報 特開昭63−044106号公報 特開平02−024502号公報 特開平02−179402号公報 特開平07−071924号公報
薄膜の膜厚を評価する技術において、非破壊で行う一般的な方法としては、従来から用いられてきた光学式膜厚測定法(白色干渉法、反射分光法、偏光解析法等)があげられる。しかしながら、これらの測定法を用いて、薄膜の膜厚を測定するためには、測定対象の測定面に照明光が入射する入射角を一定とする必要がある。このため、測定面が光軸に対して傾斜した傾斜面である場合には、測定対象または光学系の角度調整が不可欠である。
例えば、図20に示すように、試料140(測定対象を試料という。)の測定面142が対物レンズ117及び照明光の光軸Cに対して傾斜した傾斜面である場合には、図21に示すように、試料140における測定面142が光軸Cに対して直交するように、試料140の角度調整が必要である。
また、図22に示すように、試料140の測定面142が連続的に湾曲した曲面形状の場合には、測定面142の傾斜角は連続的に変化する。よって、測定面142上の測定点143に接する接平面144が、光軸Cに対して直交するように、試料140の角度を測定点毎に調整する必要がある。そして、測定面142における顕微鏡視野の中心に測定点143が位置するように試料140を配置する。このような試料140の配置により、視野の中心における薄膜の膜厚を測定することができる。しかしながら、視野内全域の薄膜について、膜厚分布を測定するためには、視野内の多数の測定点において、角度調整をする必要がある。
また、図23に示すように、試料140の形状により、試料140と対物レンズ117とが衝突して(図中の点線の領域)、試料140の測定面142を、対物レンズ117及び照明光の光軸Cに直交させることができず、測定面142の角度調整が困難となる場合もある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、測定面が曲面形状をしている場合でも、薄膜の膜厚分布を高精度で測定することができる膜厚測定装置及び膜厚測定方法を提供することを目的とする。
本発明に係る膜厚測定装置は、試料上に設けられた薄膜の膜厚を測定する膜厚測定装置であって、前記試料を照明する照明光を生成する光源部と、前記照明光が前記試料により反射した反射光を検出して、前記試料の測定面における画像を取得する光検出器と、所定の開口数を有する対物レンズを含み、前記光源部からの前記照明光を前記試料まで導くとともに、前記試料からの前記反射光を前記光検出器まで導く共焦点光学系と、前記画像に基づいて実測反射率を求める処理部と、を備え、前記処理部は、前記測定面における前記照明光の光軸方向の高さを測定し、前記高さから、前記測定面に接した接平面の法線と、前記光軸と、のなす傾斜角を求め、前記処理部は、前記傾斜角及び前記所定の開口数を用いて、前記実測反射率を補正した補正反射率から前記薄膜の膜厚を算出する。このような構成により、測定面が曲面形状をしている場合でも、薄膜の膜厚分布を高精度で測定することができる。
本発明に係る膜厚測定方法は、試料上に設けられた薄膜の膜厚を測定する膜厚測定方法であって、前記試料を照明する照明光を生成し、所定の開口数を有する対物レンズを含んだ共焦点光学系を介して、前記照明光を前記試料まで導くとともに、前記試料からの前記反射光を、前記共焦点光学系を介して光検出器まで導き、前記光検出器により、前記反射光を検出して、前記試料の測定面における画像を取得するステップと、前記測定面における前記照明光の光軸方向の高さを測定し、前記高さから、前記測定面に接した接平面の法線と、前記光軸と、のなす傾斜角を求めるステップと、前記画像に基づいて、実測反射率を求めるステップと、前記傾斜角及び前記所定の開口数を用いて、前記実測反射率を補正するステップと、前記実測反射率を補正した補正反射率から前記薄膜の膜厚を算出するステップと、をさらに備える。このような構成とすることにより、測定面が曲面形状をしている場合でも、薄膜の膜厚分布を高精度で測定することができる。
本発明によれば、測定面が曲面形状をしている場合でも、薄膜の膜厚を高精度で測定することができる膜厚測定装置及び膜厚測定方法を提供することができる。
実施形態に係る膜厚測定装置の構成を例示した図である。 実施形態に係る膜厚測定方法を例示したフローチャート図である。 実施形態に係る試料の基準座標系を例示した図である。 実施形態に係る傾斜角の導出方法を例示した図である。 実施形態に係る傾斜角の導出方法を例示した図である。 実施形態に係る試料上に形成された薄膜を例示した断面図である。 表面に薄膜が形成されていないシリコンウェハに各波長の入射光を入射させた場合の空気/シリコンウェハの界面における解析反射率の入射角依存性を例示したグラフであり、横軸は入射角を示し、縦軸は、解析反射率を示す。 窒化シリコンに各波長の入射光を入射させた場合の空気/窒化シリコンの界面における解析反射率の入射角依存性を例示したグラフであり、横軸は入射角を示し、縦軸は、解析反射率を示す。 実施形態に係る反射率補正係数の導出方法を例示した図である。 実施形態に係る反射率補正係数を例示したグラフであり、横軸は、傾斜角を示し、縦軸は、反射率補正係数を示す。 実施形態に係る平均行路差の導出方法を例示した図である。 実施形態に係る薄膜が形成された試料を例示した光学モデルである。 実施形態に係る反射率を例示したグラフであり、横軸は、照明光の波長を示し、縦軸は、反射率を示す。 実施形態に係る反射率の別の例を例示したグラフであり、横軸は、照明光の波長を示し、縦軸は、反射率を示す。 比較例に係る反射率を例示したグラフであり、横軸は、照明光の波長を示し、縦軸は、反射率を示す。 実施形態に係る試料の測定面の高さ及び測定面の傾斜角を例示したグラフであり、横軸は、測定面の位置を示し、縦軸は、測定面の高さ及び測定面の傾斜角を示す。 実施形態に係る反射率補正係数及び薄膜の膜厚を例示したグラフであり、横軸は、測定面の位置を示し、縦軸は、反射率補正係数及び薄膜の膜厚を示す。 実施形態に係る明視野画像、測定面の高さ及び薄膜の膜厚をグラデュエーションで例示した図である。 実施形態に係る試料の測定面の高さ、測定面の傾斜角及び薄膜の膜厚の別の例を例示したグラフであり、横軸は、測定面の位置を示し、縦軸は、測定面の高さ、測定面の傾斜角及び薄膜の膜厚を示す。 試料の測定面が傾斜した傾斜面である場合を例示した図である。 試料の測定面を光軸に直交させた場合を例示した図である。 試料の測定面が湾曲した曲面部である場合を例示した図である。 試料と対物レンズが物理的に衝突して、測定面を光軸に直交させることができない場合を例示した図である。
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
(実施形態)
本実施形態は、試料上に設けられた薄膜の膜厚を、共焦点光学系を用いて測定する。薄膜が形成された試料の表面において、膜厚が測定される領域を測定面とする。本実施形態は、測定面が湾曲した曲面形状を有している場合でも、試料上に設けられた薄膜の膜厚を測定することができる膜厚測定装置及び膜厚測定方法である。まず、膜厚測定装置の構成を説明する。その後、膜厚測定装置を用いた膜厚測定方法を説明する。
(膜厚測定装置の構成)
まず、本実施形態の膜厚測定装置を説明する。図1は、実施形態に係る膜厚測定装置の構成を例示した図である。図1に示すように、本実施の形態に係る膜厚測定装置1は、光源11、干渉フィルター12、レンズ13a、13b、13c、スリット14、ビームスプリッタ15、振動ミラー16、対物レンズ17、ステージ18、光検出器19、処理部30を備えている。光源11及び干渉フィルター12は、光源部10を構成している。光源部10は、試料40を照明する照明光を生成する。レンズ13a、13b、13c、スリット14、ビームスプリッタ15、振動ミラー16、対物レンズ17及び光検出器19は、共焦点光学系20を構成している。ステージ18上には、試料40が載置されている。膜厚測定装置1は、試料40上に設けられた薄膜41の膜厚を測定する。本実施形態では、試料40の測定面42は、湾曲した曲面部を有している。薄膜41は、曲面部上に形成されている。このような場合でも、薄膜41の膜厚を測定することができる。
光源11としては、例えば、紫外から赤外域(185nm〜2000nm)に幅広い連続スペクトルを有するキセノンランプが用いられる。なお、水銀キセノンランプのような連続スペクトルに複数の輝線を含む白色光源を用いてもよい。もちろん、光源11としては、キセノンランプに限らず、白色ダイオード、白色レーザ等を用いてもよい。後述するように、波長が選択できればどのような光源11を用いてもよい。
光源11からの光によって、試料40を観察するための光学系について説明する。光源11から出射した光は、干渉フィルター12を通過し、特定の波長の光に変換される。干渉フィルター12としては、例えば、特定波長の光を選択的に透過させる複数のバンドパスフィルタを用いることができる。これにより、複数の単一波長の照明光を選択的に透過させる。例えば、照明光の波長として、バンドパスフィルタ波長(中心波長)を用いた436nm、488nm、514nm、546nm、578nm、及び633nmを選択することができる。水銀キセノンランプを用いる場合、輝線に対応する波長以外の波長の光をフィルターで選択することも可能である。輝線の波長以外の光は強度が小さいため、干渉フィルターの半値幅を広くすることによりバランスを取ることができる。なお、波長の切替は連続的でもよいし、断続的でもよく、例えば、400nm〜650nmの間で5〜7波長を選択してもよい。このように、光源部10は、少なくとも第1波長の照明光と、第2波長の照明光と、に切替可能となっている。
なお、光源11として単波長のレーザ光を出射するレーザ光源を用い、波長変換素子を設けてもよい。例えば、第二高調波発生により、波長変換素子に入射する単波長の光の波長変換を行うことができる。また、光源11として、可変波長レーザを用いることも可能である。さらに、異なる波長のレーザ光を出射する複数のレーザ光源を設けて、複数のレーザ光源のうちの所望の波長の光を選択するようにしてもよい。
干渉フィルター12を透過した単一波長の照明光はレンズ13aを透過して、スリット14に入射する。照明光は、スリット14を通してライン状に整形される。そして、ライン状の照明光は、ビームスプリッタ15に入射する。ビームスプリッタ15は、偏光状態によらずに、反射光と透過光の光量が略1:1になるように、光を分岐する。従って、照明光の略半分がビームスプリッタ15を透過する。
その後、図1中X軸方向に進む光は、振動ミラー16に入射する。振動ミラー16により、ライン状の照明光を、試料40上でラインに直交する方向に走査する。これにより、試料40の測定面42上を2次元的に走査することができる。振動ミラー16としては、例えばガルバノミラー、ポリゴンミラー等を用いることができる。
振動ミラー16により、−Z軸方向に反射された照明光は、対物レンズ17により集光され、試料40に照射される。対物レンズ17は所定の開口数を有している。対物レンズ17の所定の開口数をNAという。この場合に、対物レンズ17の開口角をθNAという。試料40は、ステージ18上に載置されている。そして、試料40からの反射光は、再度対物レンズ17を通過し、振動ミラー16により再び反射され、ビームスプリッタ15へ入射する。その後、入射した光の略半分がビームスプリッタ15で反射され、レンズ13cに入射する。レンズ13cは、光検出器19の受光面に合成光を結像させる。レンズ13cを透過した光は、光検出器19で受光される。このように、共焦点光学系20は、所定の開口数NAを有する対物レンズ17を含み、光源部10からの照明光を試料40まで導くとともに、試料40からの反射光を光検出器19まで導く。
本実施の形態では、光検出器19は、試料40のコンフォーカル画像を撮像するCCDラインセンサである。なお、光検出器19は、CCDラインセンサに限らない。光源11からスリット14を透過した照明光が、試料40で反射して、光検出器19により検出される。振動ミラー16により、試料40上を走査することにより、スリットコンフォーカル画像が撮像される。このようにして、光検出器19は、照明光が試料40により反射した反射光を検出して、試料40の測定面42における画像を取得する。なお、共焦点光学系20の方式が用いられていれば、走査方法等は異なってもよく、スリットや光検出器は方式に適応したものを適宜用いることができる。例えば、X軸方向とY軸方向にスキャンするための振動ミラーを用いてもよく、X軸方向に音響光学素子であるAODを用いることも可能である。
ステージ18は、図示しないZ軸駆動モータを有しており、試料40を図1のZ軸方向に移動させることができる。このステージ18は、Z軸方向に移動することにより、測定面42が焦点位置にくるように制御される。なお、ステージ18がZ軸方向に移動するかわりに、対物レンズ17を移動させて焦点位置の調整を行うこともできる。
また、ステージ18は、例えば、XYステージ等のXY座標調整機能及びゴニオステージ等の回転調整機能を有するステージとなっており、測定面42の法線Lと、照明光の光軸Cとのなす傾斜角α、または、測定面42が湾曲した曲面形状を有する場合には、測定面42上の測定点に接した接平面の法線Lと、照明光の光軸Cとのなす傾斜角αが基準値以下の角度になるまで、試料40の位置を調整する。なお、基準値以下の角度の傾斜角αを残留傾斜角という。また、照明光の光軸Cは、対物レンズ17の光軸と同じ軸となってもよい。
共焦点光学系20において、観察に用いる波長を変えると合焦点位置が変化することが考えられ、これによる輝度の変化が予想される。これは、各波長の合焦点位置のズレ分を予め測定してPCに記憶しておき、波長切り替えの際に、ズレ分だけ自動的に試料40あるいは対物レンズ17のZ軸方向の位置を微調整することでキャンセルすることができる。あるいは、それぞれの波長において、全焦点画像をZ軸スキャンにより作製してもよい。なお、観察光学系自身の波長依存性は、シリコンや石英ガラスなどの、反射スペクトルが既知のサンプルを予め測定しておくことで、計算により補正できる。例えば、反射率既知の基準試料の反射率を基準反射率として、試料の画像(輝度分布)を、実測反射率に変換してもよい。R(試料の実測反射率)={(試料の輝度−暗輝度)/(基準試料の輝度−暗輝度)}xR(基準反射率)。ここで、暗輝度は、光源シャッターを閉じた状態の画像の輝度である。
本発明では、共焦点顕微鏡を用いて、照明光の波長を切り替えながら、反射率を測定する。処理部30は、複数の異なる波長の照明光を照射したときに、光検出器19で得られたそれぞれの画像に基づいて実測反射率を求める。実測反射率は、処理部30によって実際に測定された反射率である。
また、処理部30は、試料40の測定面42における照明光の光軸C方向の高さを測定する。例えば、共焦点光学系20による焦点位置を調整することにより、試料40の測定面42における照明光の光軸C方向の高さを測定する。そして、処理部30は、測定した高さから、測定面42に接した接平面の法線Lと、照明光の光軸Cとのなす傾斜角αを求める。
さらに、処理部30は、傾斜角α及び対物レンズ17の所定の開口数NAを用いて、実測反射率を補正した補正反射率から薄膜の膜厚を算出する。具体的には、処理部30は、薄膜41の膜厚を算出するために、ある波長(第1波長)の照明光による画像(第1画像)と、それと異なる波長(第2波長)の照明光による画像(第2画像)とに基づいて、それぞれの波長に対する実測反射率をそれぞれ求める。また、処理部30は、傾斜角α及び所定の開口数NAを用いて、実測反射率を補正し、補正反射率をそれぞれ求める。そして、処理部30は、波長と薄膜41の膜厚との関係が示された解析反射率を参照して、補正反射率から薄膜41の膜厚を近似して算出する。以下で、実測反射率の補正方法、解析反射率の導出方法を含んだ薄膜41の膜厚測定方法を説明する。
(膜厚測定方法)
上述した膜厚測定装置1を用いた膜厚測定方法について説明する。本実施形態の膜厚測定方法は、共焦点光学系20における照明光の光軸Cに対して、測定面42が傾斜している場合及び測定面42が曲面形状である場合でも、薄膜41の膜厚を測定することができる。
図2は、実施形態に係る膜厚測定方法を例示したフローチャート図である。本実施形態の膜厚測定方法を、傾斜角αの導出(ステップS11〜S14)、実測反射率の測定(ステップS15〜S16)、補正反射率の導出(ステップS17)、解析反射率の導出(ステップS17)、及び、膜厚の算出(ステップS18)の順に説明する。まず、傾斜角αの導出(ステップS11〜S14)を説明する。
(傾斜角αの導出)
図3は、実施形態に係る試料の基準座標系を例示した図である。図4及び図5は、実施形態に係る傾斜角αの導出方法を例示した図である。
図2のステップS11に示すように、まず、試料40の基準座標系を設定する。図3に示すように、試料40の形状が、例えば、上面に凹部が形成された直方体状である場合には、試料40の上面及び下面に平行な面内における一方向を基準座標系のX軸方向とし、試料40の上面及び下面に平行な面内における一方向に直交する他方向を、Y軸方向とする。試料40の上面及び下面に直交する方向を、基準座標系のZ軸方向とする。また、照明光及び対物レンズの光軸をZ軸方向とする。下面から上面へ向かう方向を+Z軸方向とする。なお、試料40の形状は、上面に凹部が形成された直方体状に限らない。
凹部の内面を測定面42とした場合に、測定面42は、照明光及び反射光の光軸Cに対して傾斜している。なお、図では、測定面42は、平面形状の傾斜面としているが、測定面42は、平面に限らず湾曲した曲面形状を有していてもよい。
次に、図2のステップS12に示すように、測定面42の高さ測定より、測定面42の傾斜角αを求める。具体的には、処理部30は、まず、測定面42のZ軸スキャンを行うことにより、測定面42全体にわたって焦点位置を測定する。これにより、処理部30は、測定面42における高さを測定する。測定面42における高さとは、測定面42における光軸C方向(Z軸方向)の高さである。そして、測定した測定面42の高さより、測定面42に接した接平面、例えば、測定面42上の測定点pに接した接平面の法線Lと、照明光の光軸Cとのなす傾斜角αを求める。以下で、傾斜角αの導出方法について、一例を説明する。なお、以下では、解析的手法によって、傾斜角αを導出しているが、この手法に限らず、試料40がステージ18上において、図面上の水平が、水平として設置されているのであれば、設計図面等から直接、傾斜角αを求めてもよい。
図4に示すように、測定面42が湾曲した曲面形状の場合には、測定面42上の測定点pに接する接平面を導入する。測定面42が平面で、光軸Cに対して傾斜している場合には、接平面は測定面42と同じ面となる。測定面42が湾曲した曲面形状を有する場合の測定面42の高さの分布は、以下の(1)式となる。
光軸Cに平行な単位ベクトルは、以下の(2)式及び(3)式となる。
測定点pにおけるX軸方向の勾配ベクトルは、以下の(4)式となる。
測定点pにおけるY軸方向の勾配ベクトルは、以下の(5)式となる。
測定点pに接する接平面pqの法線ベクトルは、以下の(6)式となる。
ここで、光軸Cに平行な単位ベクトルと、接平面pqの法線ベクトルの内積は、(7)式となる。
光軸Cに平行な単位ベクトルと、接平面pqの法線ベクトルとのなす角、すなわち、接平面pqの傾斜角αとの関係は、(8)式となる。
したがって、傾斜角αは、(9)式となる。
ここで、X軸方向の勾配ベクトルの成分及びY軸方向の勾配ベクトルは、(10)式及び(11)式の偏微分係数となる。
したがって、式(10)及び式(11)に示した偏微分係数がわかれば、傾斜角αを導出することができる。そこで、差分近似を用いて、高さ画像から偏微分係数の式(10)及び式(11)を計算する。図5に示すように、画素番号(i、j)におけるX軸方向の勾配ベクトルの成分及びY軸方向の勾配ベクトルは、(12)式及び(13)式となる。
そうすると、各偏微分係数は、(14)式及び(15)式となる。
(14)式及び(15)式の導出を説明する。間隔Δだけ離れた画素番号(i、j)、画素番号(i+1、j)及び画素番号(i−1、j)における各高さは、(16)式となる。
ここで、1次のテイラー展開を用いると、式(17)の2つの式を得る。
(17)式の2つの式より(18)式を得る。
よって、(19)式を得る。
したがって、(14)式が得られる。(15)式も同様の差分近似より得ることができる。これにより、傾斜角αを得ることができる。傾斜角αを求める際には、測定面42における視野内の中心だけでなく、視野内の各画素で導出する。これにより、測定面42における視野内全体の傾斜角αを得ることができる。
次に、図2のステップS13に示すように、測定面42における傾斜角αが、所定の基準値以下の角度か判定する。傾斜角αが、所定の基準値よりも大きい角度の(Noの)場合には、図2のステップS14に示すように、ステージ18の位置の調整を行う。具体的には、ゴニオステージ等を含んだステージ18を作動させ、傾斜角αが基準値以下の角度になるまで、試料40の位置を調整する。なお、所定の基準値以下の角度の傾斜角αを、残留傾斜角という。そして、図2のステップS12に戻り、測定面42の高さ測定を行って、傾斜角αを再度求める。そして、ステップS13の判定を再度行う。なお、基準値以下の角度は、試料40の形状、薄膜41の厚さ、試料40による反射率の入射角依存性、薄膜41による反射率の入射角依存性、光学系の条件等により設定される。なお、所定の基準値として、最大角の基準値としてもよい。最大角の基準値とは、対物レンズ17の開口数に固有の限界角である。すなわち、それ以上の傾斜角が算出された場合は、ノイズであるとみなされる。例えば、開口数0.8の対物レンズ17で、傾斜角80°と導出された場合は、傾斜角が80°より小さくなるように調整するのでなく、最大角だけ回転して、傾斜角を再測定する。試料形状によって、最大角が予め制限される場合も考えられる。
一方、図2のステップS13において、導出された傾斜角αが、所定の基準値以下の角度の(Yesの)場合には、図2のステップS15に進む。
(実測反射率の測定)
次に、実測反射率の測定(ステップS15〜S16)を説明する。
図2のステップS15に示すように、試料40の測定面42の画像を取得する。具体的には、光源部10によって試料40を照明する照明光を生成し、所定の開口数NAを有する対物レンズ17を含んだ共焦点光学系20を介して、照明光を試料40まで導く。それとともに、試料40からの反射光を、共焦点光学系20を介して光検出器19まで導く。そして、光検出器19により反射光を検出して、試料40の測定面42における画像を取得する。
このとき、少なくとも、第1波長の照明光と、第2波長の照明光と、に切り替え、第1波長の照明光による第1画像と、第2波長の照明光による第2画像と、を取得する。また、処理部30は、各波長において、試料40の表面に焦点位置が一致するか否かを確認する。
そして、図2のステップS16に示すように、反射率を測定し、実測反射率を求める。具体的には、処理部30は、光検出器19が取得した画像に基づいて、反射率を測定し、実測反射率を求める。このとき、処理部30は、第1画像と、第2画像とに基づいて、第1波長及び第2波長に対する実測反射率をそれぞれ求める。
例えば、照明光の波長として、436nm、488nm、515nm、546nm、577nm、630nmを選択する。干渉フィルター12で、照明光の波長を切替え、それぞれの波長の照明光での同一視野の画像を取得する。そして、各波長での実測反射率を求める。実測反射率は、キャプチャーした画像の輝度値:Isampleから求められる。なお、取得した画像の所定のエリアに関する輝度値の平均値を用いて実測反射率を求めてもよく、1画素のみの輝度値を用いて実測反射率を求めてもよい。
なお、実測反射率を測定する場合は、測定に使用している光学系の特性や光源の特性を補正するために、実測反射率が既知である基準試料の反射率測定を行ってもよい。例えば、Siを基準とする場合は、各波長でSiの反射画像をキャプチャーする(カラーバランス、ゲインコントロール等は一定にする)。このSiの輝度値:ISiに対する相対値として、試料40の実測反射率を計算し、さらに、Siの既知の実測反射率の波長依存性のデータ:RSiで補正してもよい。この場合には、試料40の実測反射率R(λ)は、R(λ)=Isample(λ)・RSi(λ)/ISi(λ)となる。なお、実測反射率は、前述したように、シャッター閉での暗輝度修正を含んでいる。
ここで、本実施形態の薄膜の膜厚測定方法の妥当性を検討するために、一例として、試料40をシリコンウェハとし、薄膜41を窒化シリコン膜とした場合をとりあげて説明する。
図6は、実施形態に係る試料40上に形成された薄膜41を例示した断面図である。例えば、試料40をシリコンウェハとし、薄膜41を窒化シリコン膜としている。図6に示すように、シリコンウェハの上面の中心部分の傾斜角αを0°程度とすると、エッジ近傍までのシリコンウェハの上面は、傾斜角αが0°〜45°程度となる部分を有している。また、シリコンウェハの上面に、100nm程度の膜厚の窒化シリコン膜が形成されている。そして、試料40と、対物レンズ17との間で物理的な衝突が生じていないものとする。さらに、以下で示すように、バルクのシリコン及び窒化シリコンは、入射角0°〜40°に対しては、ほぼ一定の反射率(解析反射率)を有している。よって、このような条件を有する試料40及び薄膜41は、本実施形態の膜厚測定方法の妥当性を検討する上で望ましい。そこで、このような試料40及び薄膜41を用いて、膜厚測定方法を検討する。なお、本実施形態の膜厚測定方法は、試料40をシリコンウェハとし、薄膜41を窒化シリコン膜とした場合に限らない。
図7は、表面に薄膜が形成されていないシリコンウェハに各波長の入射光を入射させた場合の空気/シリコンウェハの界面における解析反射率の入射角依存性を例示したグラフであり、横軸は入射角を示し、縦軸は、解析反射率を示す。図8は、窒化シリコンに各波長の入射光を入射させた場合の空気/窒化シリコンの界面における解析反射率の入射角依存性を例示したグラフであり、横軸は入射角を示し、縦軸は、解析反射率を示す。
図7及び図8に示すように、バルクのシリコンウェハ及びバルク状の窒化シリコンに対して、複数の波長の照明光を入射させる。各波長は、例えば、400nm、415nm、430nm、445nm、460nm、475nm、490nm、505nm、520nm、535nm、550nm、565nm、580nm、595nm、610nm、625nm、640nm、655nm、670nm、685nm、700nmである。
図7に示すように、シリコンウェハの場合には、入射角0°において、波長が400nmの反射率が50%程度であり、図7で示した波長の中で最も大きい。入射角0°において、波長が大きくなるほど、反射率は小さくなっている。波長が700nmの反射率が35%程度であり、図7で示した波長の中で最も小さい。図8に示すように、窒化シリコンの場合には、入射角0°において、図7で示した波長で差異はほとんどなく反射率は12%程度となっている。
図7及び図8に示すように、無偏光で照明した時の解析反射率は、p偏光及びs偏光の平均反射率として計算できるので、バルクのシリコン及び窒化シリコンの解析反射率は、入射角が0°〜40°程度まで、入射角によらず、略一定となっている。また、シリコンウェハ及び窒化シリコンの反射率は、照明光の波長にもよらず、ほぼ同様の入射角依存性を示している。なお、対物レンズ17の開口数NAを0.8としたときは、対物レンズの開口角は、53°となっている。したがって、例えば、開口数NAが0.8の対物レンズ17で測定する場合は、53°以上の入射角を考慮する必要がない。
このように、試料40をシリコンウェハとし、薄膜41を窒化シリコン膜とした場合には、照明光の入射角が40°程度まで反射率が一定であるので、測定面42が湾曲した曲面形状の場合に、実測反射率を精度よく補正することができる。すなわち、反射率の入射角依存因子のうち材料特性(表面反射)に由来する因子と膜内干渉(行路差)を分けて考えることができる。表面反射の角度依存性がほぼ一定であれば、行路差の角度依存性を検討すれば十分である。表面反射の角度依存性が一定でない場合は、補正係数や行路差平均の計算に表面反射率で重み付けた平均計算をする必要がある。
(補正反射率の導出:反射率補正係数)
次に、補正反射率の導出(ステップS17)を説明する。図2のステップS17に示すように、傾斜角α及び対物レンズの所定の開口数NAを用いて、実測反射率を補正し、補正反射率を導出する。具体的には、処理部30は、傾斜角α及び所定の開口数NAを含んだ反射率補正係数を用いて、実測反射率を補正する。まず、補正反射率を導出する際に用いる反射率補正係数を説明する。
図9は、実施形態に係る反射率補正係数の導出方法を例示した図である。図9に示すように、反射率補正係数の導出方法を、2次元面内の反射モデルで説明する。3次元の場合も同様に導出することができる。
まず、光軸Cに直交する仮想面43に対して照明した照明光が、測定面42で反射する場合を検討する。光軸Cに直交する仮想面43に対して照明した照明光は、入射光円錐を形成している。対物レンズ17の開口数をNA(所定の開口数)とする。入射光円錐を形成する対物レンズ17の開口角をθNAとする。測定面42で反射した反射光は、反射光円錐を形成している。このように、測定面42が傾斜している場合には、入射光円錐と反射光円錐とは一致していない。
実測反射率は、仮想面43に入射した開口角θNAまでの入射光、及び、測定面42で反射した開口角θNAまでの反射光によって決定される。しかしながら、反射光の一部は、測定面42が傾斜しているために、対物レンズ17で受光されない。すなわち、反射光は、測定面42の法線Lに対して、角度θだけ傾いた有効開口角θまでに制限される。このように、傾斜角αだけ法線Lが傾いた測定面42による反射光の一部は、対物レンズ17で捕獲することができない。このため、見かけ上は、実測反射率は減少する。反射捕獲率をWとして、以下の(20)式で定義する。
このように、開口数NAを有する対物レンズ17が受光する反射光円錐は、測定面42が傾斜していることにより、疑似的に、有効開口数eの対物レンズ17が受光する反射光円錐に制限される。これにより、対物レンズ17が受光する反射光の光量は減少する。よって、傾斜面による反射率を求めるために、測定した実測反射率を、反射率補正係数で乗法して補正する。反射捕獲率Wの逆数(1/W)を反射率補正係数という。反射率補正係数を用いて実測反射率を補正した反射率を、補正反射率という。なお、測定面42が、湾曲した曲面形状を有する場合には、測定面42上の各測定点における接平面で、反射率補正係数を定義して実測反射率を補正し、補正反射率を求める。
また、処理部30は、第1波長の照明光による第1画像と、第2波長の照明光による第2画像とに基づいて、第1波長及び第2波長に対する実測反射率をそれぞれ求めた後で、それぞれの実測反射率を補正して、補正反射率をそれぞれ求める。
図10は、実施形態に係る反射率補正係数を例示したグラフであり、横軸は、傾斜角αを示し、縦軸は、反射率補正係数(1/W)の対数表示を示す。図10に示すように、傾斜角αが0°のとき、反射率補正係数は、1.0を示している。これは、(20)式より明らかである。傾斜角αが大きくなるにつれて、反射率補正係数は大きくなり、傾斜角αが40°で、例えば、4.0を示している。反射率補正係数が定義される傾斜角αは、対物レンズ17の開口角θNAより小さい角となっている。
(解析反射率の導出:平均行路差)
次に、解析反射率の導出のために、平均行路差を説明する。例えば、2次元平面モデルから平均行路差を導出するための有効開口数eを定義し、平均行路差を導出する。図11は、実施形態に係る平均行路差の導出方法を例示した図である。図12は、実施形態に係る薄膜が形成された試料を例示した光学モデルである。図11に示すように、有効開口角θは、θ=θNA−αとなっている。したがって、対物レンズ17の開口数は、開口角が有効開口角θとなる有効開口数eに制限されているものとして、平均行路差を導出する
図12に示すように、試料40上に形成された薄膜41の膜厚(t)に対する行路差δ(θ)は、以下の(21)式となる。図12において、行路差δ(θ)は、入射角θの場合を示している。
有効開口数eによる平均した平均行路差は、以下の(22)式より得られる。ここで、0≦θ≦θである。
上記平均行路差をフレネルの多重反射の干渉計算式に代入し、解析反射率を導出する。以下で、解析反射率を導出するフレネルの多重反射の干渉計算式を説明する。
(解析反射率の導出)
図12に示すように、光学モデルは、測定対象として考える試料40及び薄膜41の構造の断面を示している。試料40は、例えば、シリコン基板Siであり、薄膜41は、例えば、窒化シリコン膜である。
測定対象の構造は、上から、空気air/窒化シリコン膜SiN/シリコン基板Siとなり、波長λに対するそれぞれの複素屈折率をN、N、N、屈折率をn=1、n、n、消衰係数をk=0、k、kとする。複素屈折率は式(23)〜(25)のように定義する。求めたい窒化シリコン膜の膜厚を膜厚tとする。
まず、膜厚tに対する解析反射率の波長依存性を計算する。すなわち、膜厚tを算出する際に参照される波長と解析反射率との関係がSiNの膜厚毎にそれぞれ示される計算データを求める。
入射した光の一部は、空気/SiN界面J0で反射し、残りの一部は透過し、SiN/Si界面J1で反射する。SiN/Si界面J1からの反射光は、空気/SiN界面J0を透過するが、さらに一部は反射され再びSiN/Si界面J1で反射する。一般的に薄膜41ではこのような多重反射が起こる。これらの反射光が全て干渉し合計されたものから、解析反射率Rが得られる。複素屈折率が既知であるならば、解析反射率Rは、波長λと膜厚tだけで決まる。
界面J0(空気/SiN界面)と界面J1(SiN/Si界面)での振幅反射率は、それぞれ、式(26)及び式(27)で表される。このとき薄膜41を1回透過する光の位相変化と振幅変化をそれぞれ、式(28)及び式(29)のように、δとγとする。ここで、式(28)は、式(22)で導出した平均行路差となっている。
多重反射を考慮した膜構造全体の振幅反射率は式(30)となる。
解析反射率Rは振幅反射率の絶対値の自乗となるので、式(31)となる。
従って、複素屈折率が既知であれば、解析反射率Rは、波長λと膜厚tから計算することができる。このように、処理部30は、傾斜角α及び開口数NAから導出された有効開口角θの範囲で平均した平均行路差を用いて、解析反射率Rを求める。
(膜厚の導出)
次に、膜厚の導出(ステップS18)を説明する。
図2のステップS18に示すように、補正反射率及び解析反射率から薄膜41の膜厚を算出する。具体的には、処理部30は、傾斜角α及び開口数NAを用いて、実測反射率を補正した補正反射率から薄膜41の膜厚を算出する。すなわち、処理部30は、波長と、薄膜の膜厚との関係が示された解析反射率を参照して、補正反射率から薄膜41の膜厚を近似して算出する。
各波長の補正反射率を、式(31)で求められる解析反射率に対して膜厚tをパラメータとして最小二乗法によりフィッティングさせることで、膜厚tを求めることができる。このように、処理部30は、補正反射率及び解析反射率から、最小二乗法により薄膜の膜厚を算出する。なお、処理部30は、各波長において、試料40の表面に焦点位置が一致するか否かを確認し、焦点位置が略一致する場合に、解析反射率を参照して、補正反射率から薄膜41の膜厚を近似して算出する。
図13は、実施形態に係る反射率を例示したグラフであり、横軸は、照明光の波長を示し、縦軸は、反射率を示す。白丸は、実測反射率を示し、黒丸は、補正反射率を示す。点線は、実測反射率に対して、パラメータフィッティングした解析反射率を示し、実線は、補正反射率に対して、パラメータフィッティングした解析反射率を示す。対物レンズ17の開口数NAは、例えば、0.8である。対物レンズ17の倍率は、50倍である。傾斜角αは、例えば、18°である。このときの反射率補正係数(1/W)は、例えば、1.49であり、有効開口数eは、0.58である。
図13に示すように、補正反射率は、反射率補正係数で増幅させることにより、実測反射率よりも大きくなっている。したがって、補正反射率に対してパラメータフィッティングした解析反射率も、実測反射率に対してパラメータフィッティングした解析反射率よりも増幅されて大きくなっている。
図14は、実施形態に係る反射率の別の例を例示したグラフであり、横軸は、照明光の波長を示し、縦軸は、反射率を示す。白丸は、実測反射率を示し、黒丸は、補正反射率を示す。点線は、実測反射率に対して、パラメータフィッティングした解析反射率を示し、実線は、補正反射率に対して、パラメータフィッティングした解析反射率を示す。対物レンズ17の開口数NAは、例えば、0.8である。対物レンズ17の倍率は、50倍である。傾斜角αは、例えば、42°である。このときの反射率補正係数(1/W)は、例えば、4.1であり、有効開口数eは、0.19である。
図14に示すように、補正反射率は、反射率補正係数で増幅させることにより、実測反射率よりも大きくなっている。なお、傾斜角αが40°以上のように、傾斜角αが大きいときは、反射率補正係数にズレが生じる場合がある。この場合には、フィッティングパラメータを最適化して、フィッティングする。導出した反射率補正係数の近傍の値に制限して計算するので、計算付加を低減することができる。
図15は、比較例に係る反射率を例示したグラフであり、横軸は、照明光の波長を示し、縦軸は、反射率を示す。白丸は、実測反射率を示す。点線は、実測反射率に対して、パラメータフィッティングした解析反射率を示す。対物レンズ17の開口数は、例えば、0.8である。対物レンズ17の倍率は、50倍である。傾斜角αは、例えば、0.97°である。このときの反射率補正係数は、ほぼ1.0である。有効開口数は、0.8である。比較例においては、傾斜角αは、例えば、0.97°であって、反射率補正係数が1となる。よって、実際は反射率補正係数で補正していないが、図に示した実測反射率は、反射率補正係数1で補正した補正反射率に相当する。
図15に示すように、実測反射率(傾斜角αが、0.97°の場合には、反射率補正係数が1となって、補正反射率に相当する)に対して、パラメータフィッティングした結果は良好となっている。
図16は、実施形態に係る測定面42の高さ及び測定面42の傾斜角αを例示したグラフであり、横軸は、測定面42の位置を示し、縦軸は、測定面42の高さ及び測定面42の傾斜角αを示す。例えば、対物レンズ17の開口数NAは0.8であり、50倍の対物レンズ17である。測定面42としての視野は、300μm×75μmである。図16に示すように、測定面42の一方向(X軸方向)における位置が、基準位置の0から120μmの位置までの間において、測定面42の高さは、110から100μmまでゆるやかに変化している。そして、測定面42の位置が、120μmから270μmまでの間において、測定面42の高さは、100μmから30μmまで急激に変化している。測定面42の位置が、300μmで、測定面42の高さは0になっている。
一方、測定面42の位置が、基準位置の0から120μmの位置までの間において、測定面42の高さから導出した測定面42の傾斜角αは、0°となっている。そして、測定面42の位置が、120μmから270μmまでの間において、傾斜角αは、0°から40°まで変化している。測定面42の位置が、300μmで、傾斜角αは、バラつきが大きくなっている。
図17は、実施形態に係る反射率補正係数及び薄膜41の膜厚を例示したグラフであり、横軸は、測定面42の位置を示し、縦軸は、反射率補正係数及び膜厚を示す。補正ありの膜厚とは、反射率補正係数及び平均行路差を用いて算出した膜厚である。補正なしの膜厚とは、反射率補正係数及び平均行路差を用いないで算出した膜厚である。
図17に示すように、傾斜角α及び対物レンズ17の開口数NAで導出された反射率補正係数は、測定面42の位置が、基準位置の0から120μmの位置までの間において、1程度の値となっている。そして、測定面42の位置が、120μmから270μmまでの間において、反射率補正係数は、1から3程度まで大きくなっている。測定面42の位置が、300μmで、反射率補正係数は、バラつきが大きくなっている。図16の傾斜角αが0°程度となる基準位置0から120μmの位置までの間において、反射率補正係数は、1程度の値となっている。
補正ありの膜厚は、測定面42の位置が、基準位置の0から120μmの位置までの間において、100nmで一定となっている。そして、測定面42の位置が、120μmから270μmまでの間においても、補正ありの膜厚は、100nm程度で一定となっている。測定面42の位置が、300μmで、補正ありの膜厚は、バラつきが大きくなっている。補正ありの膜厚は、基準位置の0から270μmの位置までの間において、図6で示した窒化シリコン膜の膜厚と一致している。そのときの傾斜角αは、0°〜40°となっている。図6においては、傾斜面での膜厚が100nm程度であることは、ステージ18を実際に回転させて傾斜面を水平に調整してから測定することで確認している。
このように、本実施形態では、傾斜角αが0°〜40°まで膜厚が精度よく補正されている。したがって、傾斜角αが0°〜40°となる測定面42において、精度よく薄膜41の膜厚を測定することができる。また、測定面42の膜厚分布を精度よく測定することができる。本実施形態の膜厚測定方法の結果は、反射率補正係数の妥当性を示しており、反射スペクトルが正しく補正されたことも示している。さらに、反射率補正係数は、傾斜角αから直接導出される。よって、反射率補正係数を導出するための時間を短縮することができる。
一方、補正なしの膜厚は、測定面42の位置が、基準位置の0から120μmの位置までの間において、100nmで一定となっている。しかしながら、測定面42の位置が、120μmから270μmまでの間において、75nmまで減少している。測定面42の位置が300μmで、補正なしの膜厚は、60nmとなっている。このように、補正なしでは、測定面42が傾斜した場合に、薄膜41の膜厚を精度よく測定することができず、視野内の膜厚分布を精度よく測定することができない。
図18は、実施形態に係る明視野観察、測定面42の高さ及び薄膜41の膜厚をグラデュエーションで例示した図である。横軸は、図16及び図17の横軸と対応している。図18に示すように、明視野観察における輝度は、測定面42の位置が、基準位置0から離れるにしたがって小さくなっている。測定面42の高さも、反射光の強度と同様に、測定面42の位置が、基準位置0から離れるにしたがって小さくなっている。膜厚も、反射光の強度と同様に、測定面42の位置が、基準位置0から離れるにしたがって小さくなっている。このように、反射率補正係数及び平均行路差を用いて薄膜41の膜厚を算出しない場合には、薄膜41の膜厚を精度よく測定することができない。
図19は、実施形態に係る試料の測定面42の高さ、測定面42の傾斜角α及び薄膜41の膜厚の別の例を例示したグラフであり、横軸は、測定面42の位置を示し、縦軸は、測定面42の高さ、測定面42の傾斜角α及び薄膜の膜厚を示す。図19に示すように、別の例においても、反射率補正係数及び平均行路差を用いて膜厚を算出しない場合には、薄膜41の膜厚を精度よく測定することができない。しかしながら、反射率補正係数及び平均行路差を用いて膜厚を算出することにより、傾斜角40°程度まで数nmのズレがあるものの、精度よく算出することができる。
次に、図2のステップS19に示すように、他に測定すべき測定面42があるか判定する。他に測定すべき測定面42がある(Yesの)場合には、ステップS12に戻り、高さ測定から繰り返す。
図2のステップS19において、他に測定すべき測定面42がない(Noの)場合には、膜厚測定を終了する。このようにして、薄膜41の膜厚測定をすることができる。
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態によれば、薄膜41が形成された試料40の測定面42が曲面形状をしている場合でも、傾斜角α及び開口数NAを用いて補正することにより、薄膜41の膜厚を高精度で測定することができる。よって、測定面42における薄膜41の膜厚の分布を精度よく解析することができる。
例えば、測定面42の傾斜角αが0°〜40°までにおいて、傾斜角α及び開口数NAを用いることにより、実測反射率を精度よく補正することができる。これにより、測定面42の傾斜角αが0°〜40°までにおいて、薄膜41の膜厚を精度よく測定することができる。
反射率の入射角依存因子のうち材料特性(表面反射)に由来する因子と膜内干渉(行路差)を分けて考えることができる。よって、傾斜角αが0°〜40°までにおいて、表面反射の角度依存性がほぼ一定である場合には、行路差の角度依存性を検討することにより、膜厚を精度よく測定することができる。
反射率補正係数は、傾斜角αから直接導出される。よって、反射率補正係数を導出するための時間を短縮することができる。また、実測反射率の測定と同時に測定面42の傾斜角αを導出することができる。よって、傾斜角αを、膜厚の算出のパラメータとして取り込む場合でも、算出の負荷を大幅に低減することができる。なお、もちろん、傾斜角αは他の装置の測定結果や設計図面から引用してもよい。この場合には、ステージ18上に試料40を基準面が水平になるように配置する必要がある。
傾斜角αを、基準値以下の残留傾斜角に範囲を限定しているので、高角度においてのバラつきを抑制し、精度よく膜厚を算出することができる。傾斜角αが基準値以下の角度の残留傾斜角になるまで、試料の位置を調整するステージを備えているので、残留傾斜角を小さくすることができ、精度よく膜厚を算出することができる。
補正反射率及び解析反射率から、最小二乗法により薄膜の膜厚を算出している。これにより、誤差を最小限にし、精度よく膜厚を算出することができる。
測定面42の高さを、共焦点光学系20を用いて測定することができる。よって、測定面42の高さを精度よく測定することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。
1 膜厚測定装置
10 光源部
11 光源
12 干渉フィルター
13a、13b、13c レンズ
14 スリット
15 ビームスプリッタ
16 振動ミラー
17 対物レンズ
18 ステージ
19 光検出器
20 共焦点光学系
30 処理部
40 試料
41 薄膜
42 測定面
43 仮想面
117 対物レンズ
140 試料
142 測定面
143 測定点
144 接平面

Claims (16)

  1. 試料上に設けられた薄膜の膜厚を測定する膜厚測定装置であって、
    前記試料を照明する照明光を生成する光源部と、
    前記照明光が前記試料により反射した反射光を検出して、前記試料の測定面における画像を取得する光検出器と、
    所定の開口数を有する対物レンズを含み、前記光源部からの前記照明光を前記試料まで導くとともに、前記試料からの前記反射光を前記光検出器まで導く共焦点光学系と、
    前記画像に基づいて実測反射率を求める処理部と、
    を備え、
    前記処理部は、前記測定面における前記照明光の光軸方向の高さを測定し、前記高さから、前記測定面に接した接平面の法線と、前記光軸と、のなす傾斜角を求め、
    前記処理部は、前記傾斜角及び前記所定の開口数を用いて、前記実測反射率を補正した補正反射率から前記薄膜の膜厚を算出する、
    膜厚測定装置。
  2. 前記測定面は、湾曲した曲面部を有し、前記薄膜は、前記曲面部上に形成されている、
    請求項1に記載の膜厚測定装置。
  3. 前記処理部は、前記傾斜角及び前記所定の開口数を含んだ反射率補正係数を用いて、前記実測反射率を補正する、
    請求項1または2に記載の膜厚測定装置。
  4. 前記光源部は、少なくとも第1波長の照明光と第2波長の照明光とに切替可能であり、
    前記処理部は、前記薄膜の膜厚を算出するために、前記第1波長の照明光による第1画像と、前記第2波長の照明光による第2画像とに基づいて、前記第1波長及び前記第2波長に対する前記実測反射率をそれぞれ求め、
    前記処理部は、それぞれの前記実測反射率を補正することにより、前記補正反射率をそれぞれ求め、
    前記処理部は、前記波長と前記薄膜の膜厚との関係が示された解析反射率を参照して、前記補正反射率から、前記薄膜の膜厚を近似して算出する、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の膜厚測定装置。
  5. 前記処理部は、前記傾斜角及び前記所定の開口数から導出された有効開口角の範囲で平均した平均行路差を用いて、前記解析反射率を求める、
    請求項4に記載の膜厚測定装置。
  6. 前記処理部は、各前記波長において、前記試料の表面に焦点位置が一致するか否かを確認し、前記焦点位置が略一致する場合に、前記解析反射率を参照して、前記補正反射率から前記薄膜の膜厚を近似して算出する、
    請求項4または5に記載の膜厚測定装置。
  7. 前記処理部は、前記補正反射率及び前記解析反射率から、最小二乗法により前記薄膜の膜厚を算出する、
    請求項4〜6のいずれか一項に記載の膜厚測定装置。
  8. 前記傾斜角が基準値以下の角度になるまで、前記試料の位置を調整するステージをさらに備えた、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の膜厚測定装置。
  9. 試料上に設けられた薄膜の膜厚を測定する膜厚測定方法であって、
    前記試料を照明する照明光を生成し、所定の開口数を有する対物レンズを含んだ共焦点光学系を介して、前記照明光を前記試料まで導くとともに、前記試料からの反射光を、前記共焦点光学系を介して光検出器まで導き、前記光検出器により、前記反射光を検出して、前記試料の測定面における画像を取得するステップと、
    前記測定面における前記照明光の光軸方向の高さを測定し、前記高さから、前記測定面に接した接平面の法線と、前記光軸と、のなす傾斜角を求めるステップと、
    前記画像に基づいて、実測反射率を求めるステップと、
    前記傾斜角及び前記所定の開口数を用いて、前記実測反射率を補正するステップと、
    前記実測反射率を補正した補正反射率から前記薄膜の膜厚を算出するステップと、
    をさらに備えた膜厚測定方法。
  10. 前記測定面は、湾曲した曲面部を有し、前記薄膜は、前記曲面部上に形成されている、
    請求項9に記載の膜厚測定方法。
  11. 前記実測反射率を補正するステップにおいて、
    前記傾斜角及び前記所定の開口数を含んだ反射率補正係数を用いて、前記実測反射率を補正する、
    請求項9または10に記載の膜厚測定方法。
  12. 前記試料の測定面における画像を取得するステップにおいて、
    少なくとも、第1波長の照明光と、第2波長の照明光と、に切り替え、前記第1波長の照明光による第1画像と、前記第2波長の照明光による第2画像と、を取得し、
    前記実測反射率を求めるステップにおいて、
    前記第1画像と、前記第2画像とに基づいて、前記第1波長及び前記第2波長に対する前記実測反射率をそれぞれ求め、
    前記実測反射率を補正するステップにおいて、
    それぞれの前記実測反射率を補正して、前記補正反射率をそれぞれ求め、
    前記薄膜の膜厚を算出するステップにおいて、
    前記波長と前記薄膜の膜厚との関係が示された解析反射率を参照して、前記補正反射率から、前記薄膜の膜厚を近似して算出する、
    請求項9〜11のいずれか一項に記載の膜厚測定方法。
  13. 前記薄膜の膜厚を算出するステップにおいて、
    前記傾斜角及び前記所定の開口数から導出された有効開口角の範囲で平均した平均行路差を用いて、前記解析反射率を求める、
    請求項12に記載の膜厚測定方法。
  14. 前記試料の測定面における画像を取得するステップにおいて、
    各前記波長において、前記試料の表面に焦点位置が一致するか否かを確認し、
    前記薄膜の膜厚を算出するステップにおいて、
    前記焦点位置が略一致する場合に、前記解析反射率を参照して、前記補正反射率から前記薄膜の膜厚を近似して算出する、
    請求項12または13に記載の膜厚測定方法。
  15. 前記薄膜の膜厚を算出するステップにおいて、
    前記補正反射率及び前記解析反射率から、最小二乗法により、前記薄膜の膜厚を算出する、
    請求項12〜14のいずれか一項に記載の膜厚測定方法。
  16. 前記傾斜角が基準値以下の角度か判定するステップと、
    前記傾斜角が基準値以下の角度になるまで、前記試料の位置を調整するステップと、
    をさらに備えた、
    請求項9〜15のいずれか一項に記載の膜厚測定方法。
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