JP2018204762A - ダンパ装置及びダンパスプリング - Google Patents
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Abstract
【課題】一例として、エンジンの回転変動による騒音及び振動の発生をより低減可能なダンパ装置及びダンパスプリングを得る。
【解決手段】実施形態に係るダンパ装置(1)は、回転中心(Ax)まわりに回転可能な第1の回転体(2)と、回転中心(Ax)まわりに回転可能な第2の回転体(3)と、第1のコイル部(52)と、第1のコイル部(52)よりも単位長さ当たりの巻き数が少ない第2のコイル部(51)と、を有し、第1の回転体(2)と第2の回転体(3)との間に位置し、第2の回転体(3)に対して第1の回転体(2)が回転中心(Ax)まわりに回転することにより弾性的に圧縮され、第1のコイル部(52)のコイル径(D2)と第2のコイル部(51)のコイル径(D1)とが互いに異なる、第1のコイルスプリング(5)と、を備える。
【選択図】図3
【解決手段】実施形態に係るダンパ装置(1)は、回転中心(Ax)まわりに回転可能な第1の回転体(2)と、回転中心(Ax)まわりに回転可能な第2の回転体(3)と、第1のコイル部(52)と、第1のコイル部(52)よりも単位長さ当たりの巻き数が少ない第2のコイル部(51)と、を有し、第1の回転体(2)と第2の回転体(3)との間に位置し、第2の回転体(3)に対して第1の回転体(2)が回転中心(Ax)まわりに回転することにより弾性的に圧縮され、第1のコイル部(52)のコイル径(D2)と第2のコイル部(51)のコイル径(D1)とが互いに異なる、第1のコイルスプリング(5)と、を備える。
【選択図】図3
Description
本発明の実施形態は、ダンパ装置及びダンパスプリングに関する。
従来、エンジンの出力軸と、トランスミッションの入力軸との間に設けられるダンパ装置が知られる。ダンパ装置は、例えば、出力軸と入力軸とにそれぞれ接続された二つの回転体と、これらの回転体の間に介在するコイルスプリングを有する。このようなダンパ装置は、エンジンから入力される回転変動をコイルスプリングによって減衰させる。
ダンパ装置に設けられるコイルスプリングとして、ピッチが不均等な二つの部分を有するコイルスプリングが知られる。ピッチが不均等な二つの部分を有することで、コイルスプリングは、荷重の増加によってバネ定数が段階的に変化する荷重特性を得る(特許文献1)。
例えば、段階的変化の前におけるバネ定数を低く設定するとともに、段階的変化の後のバネ定数が高く設定される。これにより、ダンパ装置の捩れ始めにおける回転変動をより減衰することができるとともに、ダンパ装置が回転変動を減衰可能な最大荷重をより大きくすることができる。従って、ダンパ装置がエンジンの回転変動を減衰することによる、騒音及び振動の低減性能が向上する。
しかしながら、従来の構成では、二つの部分においてピッチ以外の特性が略同一であるため、段階的変化の前後におけるそれぞれのバネ定数を大きく異ならせることが難しい。このため、騒音及び振動の低減性能の向上が制限されてしまう。
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、エンジンの回転変動による騒音及び振動の発生をより低減可能なダンパ装置及びダンパスプリングを提供する。
本発明の実施形態に係るダンパ装置は、一例として、回転中心まわりに回転可能な第1の回転体と、前記回転中心まわりに回転可能な第2の回転体と、第1のコイル部と、前記第1のコイル部よりも単位長さ当たりの巻き数が少ない第2のコイル部と、を有し、前記第1の回転体と前記第2の回転体との間に位置し、前記第2の回転体に対して前記第1の回転体が前記回転中心まわりに回転することにより弾性的に圧縮され、前記第1のコイル部のコイル径と前記第2のコイル部のコイル径とが互いに異なる、第1のコイルスプリングと、を備える。よって、一例としては、単位長さ当たりの巻き数が多い第1のコイル部が第2のコイル部よりも先に素線同士の密着を生じるため、第1のコイルスプリングのバネ定数は、荷重の増加によって略段階的に変化できる。また、第1のコイル部のコイル径と、第2のコイル部のコイル径とは互いに異なる。コイル径を異ならせることで、第1のコイル部のバネ定数と第2のコイル部のバネ定数とを大きく異ならせることが可能となる。これにより、段階的変化の前後における第1のコイルスプリングのバネ定数を大きく異ならせることが可能となる。言い換えると、第1のコイルスプリングの荷重特性の自由度が向上する。従って、ダンパ装置は、エンジンの回転変動による騒音及び振動の発生をより低減することができる。
上記ダンパ装置では、一例として、前記第1のコイル部のコイル径は、前記第2のコイル部のコイル径よりも大きい。よって、一例としては、第1のコイル部よりも単位長さ当たりの巻き数が少ない第2のコイル部のバネ定数を、第1のコイル部のバネ定数よりも高くすることができる。第1のコイル部は第2のコイル部よりも先に密着を生じる。このため、第2のコイル部のバネ定数を高くすることで、第1のコイル部に密着が生じた後の第1のコイルスプリングのバネ定数を大きくし、ダンパ装置が回転変動を減衰可能な最大荷重をより大きくすることができる。
上記ダンパ装置では、一例として、前記第1のコイルスプリングは、前記第1のコイル部と前記第2のコイル部とを接続する第3のコイル部を有し、前記第3のコイル部のコイル径は、前記第1のコイル部のコイル径及び前記第2のコイル部のコイル径のうち大きい方よりも小さく、且つ前記第1のコイル部のコイル径及び前記第2のコイル部のコイル径のうち小さい方よりも大きい。よって、一例としては、第1のコイルスプリングのバネ定数の段階的変化がより多く且つよりなだらかとなり、バネ定数の変化による騒音及び振動の発生をより低減することができる。
上記ダンパ装置では、一例として、前記第3のコイル部のコイル径は、前記第1のコイル部及び前記第2のコイル部のうちコイル径が大きい方から前記第1のコイル部及び前記第2のコイル部のうちコイル径が小さい方に近づくに従って小さくなる。よって、一例としては、第1のコイルスプリングのバネ定数が急変せずになだらかに変化するため、バネ定数の変化による騒音及び振動の発生をより低減することができる。
上記ダンパ装置は、一例として、前記第1のコイルスプリングの内部に配置され又は前記第1のコイルスプリングを内部に収容し、前記第1の回転体と前記第2の回転体との間に位置し、前記第2の回転体に対して前記第1の回転体が前記回転中心まわりに回転することにより弾性的に圧縮され、第4のコイル部と、第5のコイル部と、を有する第2のコイルスプリング、をさらに備え、前記第1のコイルスプリング及び前記第2のコイルスプリングのうち他方のコイルスプリングの内部に位置する一方のコイルスプリングは、前記他方のコイルスプリングが弾性的に圧縮された状態で前記第2の回転体に対して前記第1の回転体が前記回転中心まわりに回転することにより弾性的に圧縮され、前記第4のコイル部のコイル径は、前記第5のコイル部のコイル径よりも大きく、前記第4のコイル部は、前記第5のコイル部に対し、周方向における一方向側に位置し、前記第1のコイル部と前記第2のコイル部とのうちコイル径が大きい方は、前記第1のコイル部と前記第2のコイル部とのうちコイル径が小さい方に対し、前記周方向における前記一方向側に位置する。よって、一例としては、第1のコイルスプリングが弾性的に圧縮された後、第2のコイルスプリングが弾性的に圧縮されるため、第1及び第2のコイルスプリングのバネ定数は、荷重の増加によってさらに段階的に変化できる。さらに、コイル径が大きい第4のコイル部と、第1及び第2のコイル部のうちコイル径が大きい方は、第5のコイル部及び第1及び第2のコイル部のうちコイル径が小さい方に対し、周方向における同一方向側に位置する。これにより、一方のコイルスプリングが他方のコイルスプリングの内部に安定して配置されることができる。
上記ダンパ装置では、一例として、前記第1のコイルスプリングは、第6のコイル部をさらに有し、前記第6のコイル部の単位長さ当たりの巻き数及びコイル径は、前記第1のコイル部の単位長さ当たりの巻き数及びコイル径と等しく、前記第2のコイル部は、前記第1のコイル部と前記第6のコイル部との間に位置する。よって、一例としては、第1のコイルスプリングの形状を対称形状とすることができ、当該第1のコイルスプリングを支持するシートを共通化及び簡素化してダンパ装置のコストを低減することができる。
上記ダンパ装置では、一例として、前記第1のコイルスプリングは、第7のコイル部をさらに有し、前記第7のコイル部の単位長さ当たりの巻き数及びコイル径は、前記第2のコイル部の単位長さ当たりの巻き数及びコイル径と等しく、前記第1のコイル部は、前記第2のコイル部と前記第7のコイル部との間に位置する。よって、一例としては、第1のコイルスプリングの形状を対称形状とすることができ、当該第1のコイルスプリングを支持するシートを共通化及び簡素化してダンパ装置のコストを低減することができる。
上記ダンパ装置では、一例として、前記他方のコイル部のコイル径は、前記一方のコイル部のコイル径よりも大きく、前記第1のコイルスプリングは、径方向内側よりも径方向外側に凸に形成される。よって、一例としては、例えば、ダンパ装置がアークスプリングダンパである場合、第1のコイルスプリングの外周部分と当該外周部分に接触するガイドとの曲率半径を近づけることで、第1のコイルスプリングがガイドに接触した状態でよりスムーズに伸縮することができる。
本発明の実施形態に係るダンパスプリングは、一例として、第1のコイル部と、前記第1のコイル部よりも単位長さ当たりの巻き数が少ない第2のコイル部と、を備え、前記第1のコイル部のコイル径と前記第2のコイル部のコイル径とが互いに異なる。よって、一例としては、単位長さ当たりの巻き数が多い第1のコイル部が第2のコイル部よりも先に素線同士の密着を生じるため、ダンパスプリングのバネ定数は、荷重の増加によって略段階的に変化できる。また、第1のコイル部のコイル径と、第2のコイル部のコイル径とは互いに異なる。コイル径を異ならせることで、第1のコイル部のバネ定数と第2のコイル部のバネ定数とを大きく異ならせることが可能となる。これにより、段階的変化の前後におけるダンパスプリングのバネ定数を大きく異ならせることが可能となる。言い換えると、ダンパスプリングの荷重特性の自由度が向上する。従って、ダンパスプリングは、エンジンの回転変動による騒音及び振動の発生をより低減することができる。
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
図1は、第1の実施形態に係るダンパ装置1の一例を示す断面図である。図1に示すように、ダンパ装置1は、外側にあるサイドプレート2と、内側にあるクラッチハブ3と、複数のダンパスプリング5と、複数のシート6とを有する。
サイドプレート2は、第1の回転体の一例であり、例えば、ドライブプレートとも称され得る。クラッチハブ3は、第2の回転体の一例であり、例えば、ドリブンプレートとも称され得る。ダンパスプリング5は、第1のコイルスプリング及びダンパスプリングの一例である。
サイドプレート2と、クラッチハブ3とは、それぞれ、図1に示す中心軸Axまわりに回転可能である。中心軸Axは、回転中心の一例である。以下、中心軸Axに直交する方向を径方向、中心軸Axに沿う方向を軸方向、中心軸Axまわりに回転する方向を周方向又は回転方向とそれぞれ称する。サイドプレート2は、クラッチハブ3に対して独立して回転可能である。言い換えると、サイドプレート2とクラッチハブ3とは互いに相対的に回転可能である。
サイドプレート2は、例えば、フライホイールを介して、エンジンのクランクシャフトに接続される。エンジンは、駆動源とも称され得る。なお、サイドプレート2はエンジンに限らず、モータのような他の駆動源、又は他の装置に接続されても良い。
クランクシャフトは、中心軸Axに沿って延びる。フライホイールは、例えば、径方向に広がる円盤状に形成される。エンジンがクランクシャフトを介してフライホイールを回転させることで、サイドプレート2がフライホイールとともに回転させられる。すなわち、エンジンが生じさせる回転が、フライホイールを介してサイドプレート2に伝達される。
サイドプレート2は、中心軸Axに近い方から順に、ブッシュ21と、第1のディスクプレート22及び第2のディスクプレート23と、支持プレート24と、二つのライニング部25とを有する。支持プレート24は、例えば、クッションスプリングとも称され得る。ライニング部25は、例えば、摩擦材とも称され得る。
ブッシュ21は、二つのボス部21aと、複数の係止部21bとを有する。ボス部21aは、中心軸Axに沿って延びる略円筒状に形成される。二つのボス部21aは、隙間を介して軸方向に並べられる。係止部21bは、二つのボス部21aの外周面から、径方向外側にそれぞれ突出する。
図2は、第1の実施形態の第1のディスクプレート22の一部を切り欠いてダンパ装置1の一例を示す正面図である。図1及び図2に示すように、第1及び第2のディスクプレート22,23は、径方向に広がる円盤状に形成される。第1及び第2のディスクプレート22,23はそれぞれ、内枠部22a,23aと、外枠部22b,23bと、複数のフレーム部22c,23cとを有する。
内枠部22a,23aは、径方向に広がる円環状に形成される。内枠部22a,23aに、スプライン部22d,23dが設けられる。スプライン部22d,23dは、円環状の内枠部22a,23aの内周から径方向に延びる複数の溝によって形成される。
図1に示すように、内枠部22a,23aの内側に、ブッシュ21のボス部21aが嵌まる。ボス部21aから突出する係止部21bが、第1及び第2のディスクプレート22,23のスプライン部22d,23dに嵌められる。これにより、第1及び第2のディスクプレート22,23とブッシュ21とが中心軸Axまわりに一体的に回転可能となる。
図2に示すように、外枠部22b,23bは、間隔を介して内枠部22a,23aを囲む円環状に形成される。フレーム部22c,23cが、内枠部22a,23aの外周側と外枠部22b,23bの内周側とを接続する。
フレーム部22c,23cは、内枠部22a,23aから径方向外側に延びる。本実施形態において、例えば四つのフレーム部22c,23cが周方向に90°間隔で配置される。フレーム部22c,23cの配置はこれに限られない。
内枠部22a,23a、外枠部22b,23b、及びフレーム部22c,23cは、複数の開口部22e,23eを形成する。開口部22e,23eは、第1及び第2のディスクプレート22,23に覆われたダンパ装置1の内部を露出させる。
図1に示すように、第1のディスクプレート22及び第2のディスクプレート23は、軸方向に隙間を介して並んで配置される。言い換えると、第2のディスクプレート23は、第1のディスクプレート22から軸方向に離間して配置される。第1のディスクプレート22と第2のディスクプレート23とは、複数の連結部材26によって互いに連結される。
連結部材26は、第1のディスクプレート22及び第2のディスクプレート23が相対的に回転することを制限する。これにより、第2のディスクプレート23は、第1のディスクプレート22と一体に中心軸Axまわりに回転可能である。
第1のディスクプレート22と第2のディスクプレート23とは、略同一形状を有するが、異なる形状を有しても良い。第1及び第2のディスクプレート22,23の内枠部22a,23a、外枠部22b,23b、フレーム部22c,23cは、軸方向に並んで配置される。このため、第1のディスクプレート22の開口部22eと、第2のディスクプレート23の開口部23eとは、軸方向に互いに重なる位置に設けられる。
支持プレート24は、第1及び第2のディスクプレート22,23の外枠部22b,23bより大きい円環状に形成される。支持プレート24の内周部分は、例えばネジや連結部材26によって、第1のディスクプレート22の外枠部22bに取り付けられる。支持プレート24は、第1のディスクプレート22の外枠部22bから、径方向外側に張り出す。なお、支持プレート24は他の部分に取り付けられても良い。
ライニング部25は、例えば、間隔を介して第1及び第2のディスクプレート22,23を囲む円環状に形成される。二つのライニング部25は、支持プレート24の外周部分において、軸方向における支持プレート24の両側に取り付けられる。二つのライニング部25は、フライホイールに接触する。フライホイールが回転すると、フライホイールとライニング部25との間の摩擦力により、サイドプレート2が回転させられる。
クラッチハブ3は、例えば、入力軸を介して、トランスミッションに接続される。なお、クラッチハブ3はトランスミッションに限らず、モータのような他の装置に接続されても良い。クラッチハブ3は、内側ハブ31と、外側ハブ32とを有する。
内側ハブ31は、ボス部31aと、複数の係止部31bとを有する。ボス部31aは、中心軸Axに沿って延びる略円筒状に形成される。入力軸が、回転を伝達可能にボス部31aの内側に嵌められる。
内側ハブ31のボス部31aは、ブッシュ21のボス部21aの内側に嵌められる。内側ハブ31のボス部31aと、ブッシュ21のボス部21aとは、中心軸Axまわりに相対的に回転可能である。
複数の係止部31bは、ボス部31aの外周面から、径方向にそれぞれ突出する。係止部31bは、軸方向において、サイドプレート2のブッシュ21の二つのボス部21aの間に配置される。
外側ハブ32は、軸方向において、第1のディスクプレート22と第2のディスクプレート23との間に配置される。なお、外側ハブ32はこれに限らず、第1及び第2のディスクプレート22,23の外側に配置されても良い。図2に示すように、外側ハブ32は、中間部32aと、複数のアーム32bとを有する。
中間部32aは、径方向に広がる円環状に形成される。中間部32aに、スプライン部32cが設けられる。スプライン部32cは、円環状の中間部32aの内周から径方向に延びる複数の溝によって形成される。
図1に示すように、内側ハブ31のボス部31aは、外側ハブ32の内側に嵌められる。内側ハブ31のボス部31aと、外側ハブ32とは、中心軸Axまわりに相対的に回転可能である。
外側ハブ32のスプライン部32cに、内側ハブ31の係止部31bが嵌められる。周方向において、外側ハブ32のスプライン部32cの端部と、内側ハブ31の係止部31bの端部との間に隙間が形成される。これにより、内側ハブ31と外側ハブ32とは、所定の角度に亘って中心軸Axまわりに相対的に回転可能である。
外側ハブ32の複数のアーム32bは、中間部32aから径方向に延びる。本実施形態において、例えば四つのアーム32bが周方向に90°間隔で配置される。径方向において、中心軸Axからアーム32bの外周面までの長さは、中心軸Axから第1及び第2のディスクプレート22,23の外枠部22b,23bの外周面までの長さよりも短い。
図2に示すように、サイドプレート2及びクラッチハブ3に外力が作用しない場合、外側ハブ32のアーム32bは、軸方向において、第1及び第2のディスクプレート22,23のフレーム部22c,23cに重ねられる。なお、外側ハブ32のアーム32bと、第1及び第2のディスクプレート22,23のフレーム部22c,23cとの位置はこれに限られない。
アーム32bの先端部に、二つの張出部32dが設けられる。張出部32dは、アーム32bの先端部から、周方向の両側に突出した部分である。言い換えると、二つの張出部32dは、アーム32bの先端部から、周方向において互いに反対方向に突出する。
複数のダンパスプリング5は、四つの第1のダンパスプリング5Aと、二つのプリダンパスプリング5Bとを含む。なお、第1のダンパスプリング5Aと、プリダンパスプリング5Bとの数はこれに限らない。
第1のダンパスプリング5Aは、コイル状の圧縮バネ(コイルスプリング)である。第1のダンパスプリング5Aは、周方向において、外側ハブ32のアーム32bと、第1及び第2のディスクプレート22,23のフレーム部22c,23cとの間に位置する。
第1のダンパスプリング5Aは、開口部22e,23eの内部に配置されたシート6に支持される。例えば、一つの開口部22e,23eの内部において、二つのシート6は、向かい合うように配置され、一つの第1のダンパスプリング5Aを支持する。
シート6は、支持部61と、凸部62とを有する。支持部61は、第1及び第2のディスクプレート22,23のフレーム部22c,23cと、外側ハブ32の張出部32dと、の少なくとも一方に揺動可能に支持される。支持部61は、第1のダンパスプリング5Aの端部を支持する。凸部62は、支持部61から突出し、第1のダンパスプリング5Aの内部に挿入される。凸部62は、第1のダンパスプリング5Aが軸方向及び径方向に移動することを制限する。
図2に示すように、プリダンパスプリング5Bは、コイル状の圧縮バネである。プリダンパスプリング5Bは、周方向における、外側ハブ32のスプライン部32cの端部と、内側ハブ31の係止部31bの端部との間の隙間に配置される。言い換えると、プリダンパスプリング5Bは、周方向において、内側ハブ31と外側ハブ32との間に位置する。
図1に示すように、ダンパ装置1は、複数の摩擦部材11と、板バネ12とをさらに有する。摩擦部材11は、例えば、スラスト部材とも称され得る。摩擦部材11及び板バネ12は、ダンパ装置1にヒステリシスを生じさせる。
摩擦部材11は、軸方向において、サイドプレート2とクラッチハブ3との間に介在する。複数の摩擦部材11は、第1及び第2のディスクプレート22,23にそれぞれ取り付けられ、クラッチハブ3に接触して摩擦力を生じさせる。
板バネ12は、摩擦部材11と第1及び第2のディスクプレート22,23との間に介在する。板バネ12は、摩擦部材11をクラッチハブ3に向かって押す。板バネ12は、摩擦部材11とクラッチハブ3との間に生じる摩擦力を大きくする。
以上述べたダンパ装置1にトルクが作用すると、サイドプレート2とクラッチハブ3とが中心軸Axまわりに相対的に回転する。すなわち、ダンパ装置1にトルクが作用することによって、サイドプレート2とクラッチハブ3との間の捩れ角が生じる。
捩れ角が生じると、シート6は、サイドプレート2のフレーム部22c,23cと、クラッチハブ3のアーム32bとのうち一方に支持され、他方から離間する。捩れ角に応じて向かい合うシート6同士が近づくことで、シート6が第1のダンパスプリング5Aを圧縮する。
上記のように、第1のダンパスプリング5Aは、サイドプレート2に対してクラッチハブ3が中心軸Axまわりに回転することにより弾性的に圧縮される。第1のダンパスプリング5Aは、圧縮されることで、エンジンの回転変動を減衰させる。
さらに、ダンパ装置1にトルクが作用すると、クラッチハブ3の内側ハブ31と外側ハブ32とが中心軸Axまわりに相対的に回転する。プリダンパスプリング5Bは、内側ハブ31と外側ハブ32とが中心軸Axまわりに相対的に回転することにより、外側ハブ32と内側ハブ31とによって弾性的に圧縮される。プリダンパスプリング5Bは、圧縮されることで、エンジンの回転変動を減衰させる。
図3は、第1の実施形態のダンパスプリング5及びシート6の一例を示す断面図である。以下、ダンパスプリング5の一例として、第1のダンパスプリング5Aについて代表的に説明する。しかし、以下の説明は、ダンパスプリング5に含まれるプリダンパスプリング5Bにも適用され得る。
図3に示すように、第1のダンパスプリング5Aは、二つの疎部51と、密部52と、二つの中間部53とを有する。二つの疎部51は、第2のコイル部及び第6のコイル部の一例である。密部52は、第1のコイル部の一例である。中間部53は、第3のコイル部の一例である。
疎部51、密部52、及び中間部53はそれぞれ、コイルスプリングである第1のダンパスプリング5Aの一部であり、コイル状に形成される。疎部51、密部52、及び中間部53は、直列に接続される。
以下の説明において、二つの疎部51を、疎部51A及び疎部51Bと個別に称することがある。疎部51Aは、第2のコイル部の一例である。疎部51Bは、第6のコイル部の一例である。疎部51A,51Bに共通する説明は、疎部51の説明として記載される。さらに、二つの中間部53を、中間部53A及び中間部53Bと個別に称することがある。中間部53A,53Bに共通する説明は、中間部53の説明として記載される。
疎部51Aと疎部51Bの間に、密部52及び二つの中間部53が位置する。本実施形態において、疎部51Aが一方のコイル部の一例であり、密部52が他方のコイル部の一例である。さらに、中間部53Aと中間部53Bとの間に、密部52が位置する。中間部53Aは、疎部51Aと密部52とを接続する。中間部53Bは、疎部51Bと密部52とを接続する。
二つの疎部51は、第1のダンパスプリング5Aの両端部を形成する。このため、疎部51は、周方向において、密部52よりもサイドプレート2のフレーム部22c,23c及びクラッチハブ3のアーム32bに近い位置に配置される。
疎部51の素線の間の距離(ピッチ)は、密部52のピッチよりも長い。言い換えると、疎部51は、密部52よりも単位長さ当たりの巻き数(有効巻き数)が少ない。さらに、中間部53のピッチは、密部52のピッチよりも長く、且つ疎部51のピッチよりも短い。言い換えると、中間部53は、密部52よりも単位長さ当たりの巻き数が少なく、且つ疎部51よりも単位長さ当たりの巻き数が多い。なお、中間部53の単位長さ当たりの巻き数は、この例に限られない。単位長さ当たりの巻き数は、例えば、疎部51、密部52、及び中間部53のそれぞれにおける素線の角度から求められ得る。
疎部51のコイル径D1は、密部52のコイル径D2よりも大きい。すなわち、疎部51のコイル径D1と、密部52のコイル径D2とは互いに異なる。さらに、中間部53のコイル径D3は、疎部51のコイル径D1よりも小さく、且つ密部52のコイル径D2よりも大きい。
コイル径D1は、疎部51の内径と外径との平均値(平均コイル径)である。コイル径D2,D3も同じく、密部52及び中間部53の、内径と外径との平均値である。なお、コイル径D1,D2,D3は、疎部51、密部52、及び中間部53の内径又は外径であっても良い。
中間部53のコイル径D3は、疎部51から密部52に近づくに従って小さくなる。コイル径D3は、例えば、おおよそ一定の変化率で小さくなる。コイル径D3は、この例に限らず、例えば一定であっても良い。
疎部51のコイル径D1は、例えば、密部52のコイル径D2よりも5%以上大きい。なお、コイル径D1はこの例に限られない。密部52の外径は、疎部51の内径よりも大きく、且つ中間部53の内径よりも大きい。さらに、中間部53の外径は、疎部51の内径よりも大きい。
二つの疎部51の長さの合計は、第1のダンパスプリング5Aの長さの45〜75%である。二つの疎部51の長さの合計は、例えば、第1のダンパスプリング5Aの長さの50〜65%に設定される。なお、疎部51の長さは、この例に限られない。疎部51及び第1のダンパスプリング5Aの長さは、第1のダンパスプリング5Aが延びる方向における長さである。
疎部51Aの単位長さ当たりの巻き数及びコイル径D1は、疎部51Bの単位長さ当たりの巻き数及びコイル径D1と等しい。なお、疎部51Aの単位長さ当たりの巻き数及びコイル径D1は、疎部51Bの単位長さ当たりの巻き数及びコイル径D1と異なっても良い。
中間部53Aの単位長さ当たりの巻き数及びコイル径D3は、中間部53Bの単位長さ当たりの巻き数及びコイル径D3と等しい。なお、中間部53Aの単位長さ当たりの巻き数及びコイル径D3は、中間部53Bの単位長さ当たりの巻き数及びコイル径D3と異なっても良い。
図4は、第1のダンパスプリング5Aの荷重特性の一例を概略的に示すグラフである。図4の縦軸は、第1のダンパスプリング5Aに作用する荷重Pを示す。図4の横軸は、第1のダンパスプリング5Aのたわみδを示す。たわみδは、ダンパ装置1にトルクが作用しない状態からの第1のダンパスプリング5Aの長さの変化量である。なお、荷重Pはダンパ装置1に作用するトルクに比例し、たわみδはサイドプレート2とクラッチハブ3との間の捩れ角に比例する。このため、図4のグラフは、ダンパ装置1の特性も実質的に示す。
図4のグラフの傾きは、第1のダンパスプリング5Aのバネ定数を示す。すなわち、グラフの傾きが小さいほど、第1のダンパスプリング5Aのバネ定数は低い。第1のダンパスプリング5Aのバネ定数が低いほど、クラッチハブ3に対してサイドプレート2が相対的に回転しやすい。
図4に示すように、第1のダンパスプリング5Aの荷重特性は、たわみδに応じて第1の領域F1と、第2の領域F2との二つの領域を有する。第1の領域F1及び第2の領域F2における、第1のダンパスプリング5Aのバネ定数はそれぞれ異なる。
第1の領域F1における第1のダンパスプリング5Aが、図3に示される。第1の領域F1は、直列に接続された疎部51、密部52、及び中間部53がエンジンの回転変動を減衰させる領域である。すなわち、第1の領域F1において、疎部51、密部52、及び中間部53は、素線が離間した状態にあり、ともに伸縮可能である。
第1の領域F1において、ダンパ装置1にトルクが作用すると、サイドプレート2及びクラッチハブ3が中心軸Axまわりに相対的に回転する。これにより、フレーム部22c,23c及びアーム32bに支持された二つのシート6が第1のダンパスプリング5Aに荷重Pを作用させ、第1のダンパスプリング5Aが圧縮される。第1のダンパスプリング5Aにおいて、直列に接続された疎部51、密部52、及び中間部53はともに圧縮される。
圧縮された第1のダンパスプリング5Aの長さは縮小し、第1のダンパスプリング5Aにたわみδが生じる。ダンパ装置1に作用するトルクが大きくなるに従って、サイドプレート2のフレーム部22c,23cと、クラッチハブ3のアーム32bとの間の角度が小さくなる。すなわち、荷重Pが増大するに従って、第1のダンパスプリング5Aのたわみδが増大する。
図5は、第1の実施形態の第2の領域F2における第1のダンパスプリング5A及びシート6の一例を示す断面図である。たわみδが図4の第1の当接たわみδt1に到達すると、第1のダンパスプリング5Aの荷重特性は、第1の領域F1から第2の領域F2に変移する。
第2の領域F2における荷重特性のグラフの傾きは、第1の領域F1おける荷重特性のグラフの傾きよりも大きい。すなわち、第2の領域F2における第1のダンパスプリング5Aのバネ定数は、第1の領域F1における第1のダンパスプリング5Aのバネ定数よりも高い。
図5に示すように、たわみδが第1の当接たわみδt1に到達すると、密部52の素線に密着が生じる。なお、図5に示すように、中間部53の素線にも密着が生じて良い。これにより、密部52及び中間部53はさらに圧縮されることを制限される。
一方、疎部51の素線は離間している。このため、疎部51は伸縮可能である。すなわち、第2の領域F2は、疎部51がエンジンの回転変動を減衰させる領域である。なお、第2の領域F2において、中間部53の素線が離間し、中間部53も伸縮可能であっても良い。
密部52の単位長さ当たりの巻き数は、疎部51の単位長さ当たりの巻き数よりも多い。このため、上述のように、密部52は疎部51よりも先に素線の密着を生じ、第1のダンパスプリング5Aのバネ定数が第1の領域F1から第2の領域F2に段階的に変化可能となっている。
図4において、第1のダンパスプリング5Aの荷重特性(バネ定数)は、変化点P1で変化するように概略的に示される。しかし、中間部53が設けられることで、実際の第1のダンパスプリング5Aのバネ定数は急変せず、なだらかに変化する。
第1の領域F1における第1のダンパスプリング5Aのバネ定数は、疎部51、密部52、及び中間部53のバネ定数によって定まる。また、第2の領域F2における第1のダンパスプリング5Aのバネ定数は、疎部51のバネ定数によって定まる。バネ定数kは、例えば、下記の(数1)式によって求められる。
(数1)式において、Pは荷重、δはたわみ、Gは横弾性係数、dは素線の直径(線径)、Naは有効巻き数、Dはコイル径(平均コイル径)をそれぞれ示す。
(数1)式より、コイル径Dがバネ定数kに与える影響は、有効巻き数Naがバネ定数kに与える影響よりも大きい。従って、疎部51、密部52、及び中間部53のそれぞれのバネ定数は、単位長さ当たりの巻き数よりも、コイル径D1,D2,D3により大きく影響される。言い換えると、疎部51、密部52、及び中間部53は、有効巻き数Naのみを異ならされるよりも、コイル径Dを異ならされることで、互いのバネ定数を大きく異ならせる。
例えば、最も大きいコイル径D1を有する疎部51のバネ定数は、密部52及び中間部53のそれぞれのバネ定数よりも低い。また、最も小さいコイル径D2を有する密部52のバネ定数は、疎部51及び中間部53のそれぞれのバネ定数よりも大きい。なお、疎部51、密部52、及び中間部53のバネ定数の大小はこの例に限らず、有効巻き数Naによって変わり得る。
本実施形態において、疎部51、密部52、及び中間部53の横弾性係数G及び素線の直径dは実質的に同一である。しかし、疎部51、密部52、及び中間部53の横弾性係数G及び素線の直径dが互いに異なっても良い。
第1の当接たわみδt1は、第1のダンパスプリング5Aの長さに対する疎部51の長さの割合によって変わる。例えば、第1のダンパスプリング5Aの長さにおける疎部51の長さの割合が大きくされると、第1の当接たわみδt1が小さくなる。
図2のプリダンパスプリング5Bも、疎部51、密部52、及び中間部53を有する。本実施形態において、第1のダンパスプリング5Aと、プリダンパスプリング5Bとは、大きさを除いて略同一の形状を有する。第1のダンパスプリング5Aは、プリダンパスプリング5Bよりも大きい。なお、第1のダンパスプリング5Aの形状と、プリダンパスプリング5Bの形状とは、互いに異なっても良い。
以上説明された第1の実施形態に係るダンパ装置1において、第1のダンパスプリング5Aは、密部52と、密部52よりも単位長さ当たりの巻き数が少ない疎部51と、を有する。これにより、単位長さ当たりの巻き数が多い密部52が疎部51よりも先に素線の密着を生じるため、第1のダンパスプリング5Aのバネ定数は、荷重の増加によって略段階的に変化できる。また、密部52のコイル径D2と、疎部51のコイル径D1とは互いに異なる。コイルスプリングのバネ定数は、上述の(数1)式によって求められる。コイル径Dの三乗がバネ定数に影響するため、コイル径Dを異ならせることで、密部52のバネ定数と疎部51のバネ定数とを大きく異ならせることが可能となる。これにより、段階的変化の前後における第1のダンパスプリング5Aのバネ定数を大きく異ならせることが可能となる。従って、第1のダンパスプリング5Aの荷重特性の自由度が向上する。この第1のダンパスプリング5Aによれば、例えば、ダンパ装置1の捩り始めにおける回転変動をより減衰することができるとともに、ダンパ装置1が回転変動を減衰可能な最大荷重をより大きくすることができる。従って、ダンパ装置1は、例えばギアの歯打ち音のような、エンジンの回転変動による騒音及び振動の発生をより低減することができる。
密部52と疎部51とを接続する中間部53のコイル径D3は、疎部51のコイル径D1よりも小さく、且つ密部52のコイル径D2よりも大きい。これにより、第1のダンパスプリング5Aのバネ定数の段階的変化がより多く且つよりなだらかとなり、バネ定数の変化による騒音及び振動の発生をより低減することができる。
中間部53のコイル径D3は、疎部51及び密部52のうちコイル径D1,D2の大きい方から小さい方に近づくに従って小さくなる。これにより、第1のダンパスプリング5Aのバネ定数が急変せずになだらかに変化し、バネ定数の変化による騒音及び振動の発生をより低減することができる。
単位長さ当たりの巻き数及びコイル径D1が等しい疎部51Aと疎部51Bとの間に、密部52が位置する。これにより、例えば、第1のダンパスプリング5Aの形状を対称形状とすることができ、当該第1のダンパスプリング5Aを支持するシート6を共通化及び簡素化してダンパ装置1のコストを低減することができる。
疎部51Aと疎部51Bとは、周方向において、密部52よりもトルクが入力されるサイドプレート2のフレーム部22c,23c及びクラッチハブ3のアーム32bに近く、且つ単位長さ当たりの巻き数が密部52よりも少ない。すなわち、素線の密着が生じにくい疎部51に、密部52よりも先に荷重が入力される。このため、単位長さ当たりの巻き数が多い密部52に密着が繰り返し生じて密部52の強度が低下すること、が抑制される。
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
以下に、第2の実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
図6は、第2の実施形態に係る第1のダンパスプリング5Aと、シート6と、第2のダンパスプリング7との一例を示す断面図である。図6に示すように、第2の実施形態のダンパ装置1は、複数の第2のダンパスプリング7を有する。第2のダンパスプリング7は、第2のコイルスプリングの一例である。なお、第1のダンパスプリング5Aが第2のコイルスプリングの一例であり、第2のダンパスプリング7が第1のコイルスプリングの一例であっても良い。
第2のダンパスプリング7は、コイル状の圧縮バネ(コイルスプリング)である。第2のダンパスプリング7は、第1のダンパスプリング5Aよりも小さく、且つ第1のダンパスプリング5Aよりも短い。
第2のダンパスプリング7は、第1のダンパスプリング5Aの内部に配置される。言い換えると、第1のダンパスプリング5Aは、第2のダンパスプリング7を内部に収容する。このため、第2のダンパスプリング7は、周方向において、外側ハブ32のアーム32bと、第1及び第2のディスクプレート22,23のフレーム部22c,23cとの間に位置する。
第1のダンパスプリング5Aの内部に、二つの第2のダンパスプリング7が収容される。なお、第1のダンパスプリング5Aの内部に位置する第2のダンパスプリング7の数は、この例に限らない。
第2のダンパスプリング7の一方の端部75は、シート6に固定される。第2のダンパスプリング7の他方の端部76は、他の第2のダンパスプリング7の端部76と向かい合う。
複数の第2のダンパスプリング7はそれぞれ、疎部71と、密部72とを有する。疎部71は、第4のコイル部の一例である。密部72は、第5のコイル部の一例である。疎部71及び密部72はそれぞれ、コイルスプリングである第2のダンパスプリング7の一部であり、コイル状に形成される。疎部71及び密部72は、直列に接続される。本実施形態において、疎部71は、第2のダンパスプリング7の一方の端部75を形成する。密部72は、第2のダンパスプリング7の他方の端部76を形成する。
疎部71のコイル径D4は、密部72のコイル径D5よりも大きい。すなわち、疎部71のコイル径D4と、密部72のコイル径D5とは互いに異なる。コイル径D4,D5は、疎部71及び密部72の内径と外径との平均値(平均コイル径)である。なお、コイル径D4,D5は、疎部71及び密部72の内径又は外径であっても良い。
以下の説明において、一つの第1のダンパスプリング5Aに収容される二つの第2のダンパスプリング7を、第2のダンパスプリング7A及び第2のダンパスプリング7Bと個別に称することがある。さらに、第2のダンパスプリング7Aの疎部71及び密部72は、疎部71A及び密部72Aと称される。また、第2のダンパスプリング7Bの疎部71及び密部72は、疎部71B及び密部72Bと称される。
疎部71Aは、密部72Aに対し、周方向における一方向側(図6における左側)に位置する。一方、第1のダンパスプリング5Aの疎部51Aも、疎部71Aと同じく、密部52に対し、周方向における一方向側に位置する。疎部51Aは、密部52よりもコイル径が大きい。すなわち、疎部51A,71Aと密部52,72Aとのうち、コイル径が大きい方のコイル径が小さい方に対する位置は、第1のダンパスプリング5Aと第2のダンパスプリング7とで揃えられる。
疎部71Bは、密部72Bに対し、周方向における他方向側(図6における右側)に位置する。一方、第1のダンパスプリング5Aの疎部51Bも、疎部71Bと同じく、密部52に対し、周方向における他方向側に位置する。疎部51Bは、密部52よりもコイル径が大きい。すなわち、疎部51B,71Bと密部52,72Bとのうち、コイル径が大きい方のコイル径が小さい方に対する位置は、第1のダンパスプリング5Aと第2のダンパスプリング7とで揃えられる。
図7は、第2の実施形態の第1のダンパスプリング5A及び第2のダンパスプリング7の荷重特性の一例を概略的に示すグラフである。図7は、第1のダンパスプリング5Aの荷重特性を実線で示し、第2のダンパスプリング7の荷重特性を一点鎖線で示す。
図7の縦軸は、第1のダンパスプリング5A及び第2のダンパスプリング7に作用する荷重Pを示す。図7の横軸は、第1のダンパスプリング5A及び第2のダンパスプリング7のたわみδを示す。また、図7のグラフは、ダンパ装置1の特性も実質的に示す。
図7のグラフの傾きは、第1のダンパスプリング5A及び第2のダンパスプリング7のバネ定数を示す。すなわち、グラフの傾きが小さいほど、第1のダンパスプリング5A及び第2のダンパスプリング7のバネ定数は低い。第1のダンパスプリング5A及び第2のダンパスプリング7のバネ定数が低いほど、クラッチハブ3に対してサイドプレート2が相対的に回転しやすい。
図7に示すように、第2のダンパスプリング7の荷重特性は、たわみδに応じて第3の領域F3と、第4の領域F4と、第5の領域F5と、第6の領域F6との四つの領域を有する。第3乃至第6の領域F3〜F6における、第2のダンパスプリング7のバネ定数はそれぞれ異なる。
第3の領域F3における第2のダンパスプリング7が、図6に示される。第3の領域F3は、二つの第2のダンパスプリング7が離間する領域である。すなわち、第3の領域F3において、二つの第2のダンパスプリング7のバネ定数は実質的に零である。
第3の領域F3において、ダンパ装置1にトルクが作用すると、サイドプレート2及びクラッチハブ3が中心軸Axまわりに相対的に回転する。これにより、第1のダンパスプリング5Aが圧縮され、第1のダンパスプリング5Aにたわみδが生じる。たわみδが増大することで、二つのシート6に固定された二つの第2のダンパスプリング7が互いに近づく。
図8は、第2の実施形態の第4の領域F4における第2のダンパスプリング7と、第1のダンパスプリング5A及びシート6との一例を示す断面図である。サイドプレート2及びクラッチハブ3が中心軸Axまわりにさらに相対的に回転し、第1のダンパスプリング5Aのたわみδが図7の第2の当接たわみδt2に到達すると、二つの第2のダンパスプリング7が互いに接触する。これにより、第2のダンパスプリング7の荷重特性が第3の領域F3から第4の領域F4に変移する。
第4の領域F4は、直列に接続された疎部71及び密部72がエンジンの回転変動を減衰させる領域である。すなわち、第4の領域F4において、疎部71及び密部72は、素線が離間した状態にあり、ともに伸縮可能である。
第4の領域F4において、サイドプレート2とクラッチハブ3との間の捩れ角が増大することで、フレーム部22c,23c及びアーム32bに支持された二つのシート6が二つの第2のダンパスプリング7に荷重Pを作用させる。当該荷重Pにより、第2のダンパスプリング7が圧縮される。第2のダンパスプリング7において、直列に接続された疎部71及び密部72はともに圧縮される。
圧縮された第2のダンパスプリング7の長さは縮小し、第2のダンパスプリング7にたわみδが生じる。ダンパ装置1に作用するトルクが大きくなるに従って、第2のダンパスプリング7のたわみδが増大する。
上述のように、第2のダンパスプリング7は、第1のダンパスプリング5Aが弾性的に圧縮された状態で、サイドプレート2に対してクラッチハブ3が中心軸Axまわりに回転することにより弾性的に圧縮される。言い換えると、第2のダンパスプリング7は、第1のダンパスプリング5Aが弾性的に圧縮され始めた後で、弾性的に圧縮される。
図9は、第2の実施形態の第5の領域F5における第2のダンパスプリング7と、第1のダンパスプリング5A及びシート6との一例を示す断面図である。第2のダンパスプリング7のたわみδが増大することでたわみδが図7の第3の当接たわみδt3に到達すると、第2のダンパスプリング7の荷重特性は、第4の領域F4から第5の領域F5に変移する。
第5の領域F5におけるたわみδに対する荷重Pのグラフの傾きは、第4の領域F4おけるたわみδに対する荷重Pのグラフの傾きよりも大きい。すなわち、第5の領域F5における第2のダンパスプリング7のバネ定数は、第4の領域F4におけるダンパスプリング5のバネ定数よりも高い。
図9に示すように、たわみδが第3の当接たわみδt3に到達すると、密部72の素線に密着が生じる。これにより、密部72はさらに圧縮されることを制限される。一方、疎部71の素線は離間している。このため、疎部71は伸縮可能である。すなわち、第5の領域F5は、疎部71がエンジンの回転変動を減衰させる領域である。
密部72の単位長さ当たりの巻き数は、疎部71の単位長さ当たりの巻き数よりも多い。このため、上述のように、密部72は疎部71よりも先に素線の密着を生じ、第2のダンパスプリング7のバネ定数が第4の領域F4から第5の領域F5に段階的に変化可能となっている。
図10は、第2の実施形態の第6の領域F6における第2のダンパスプリング7と、第1のダンパスプリング5A及びシート6との一例を示す断面図である。第2のダンパスプリング7のたわみδが増大することでたわみδが図7の第4の当接たわみδt4に到達すると、第2のダンパスプリング7の荷重特性は、第5の領域F5から第6の領域F6に変移する。
第6の領域F6における第2のダンパスプリング7のバネ定数は、第3乃至第5の領域F3〜F5における第2のダンパスプリング7のバネ定数よりも著しく大きくなる。このため、第6の領域F6において、たわみδは、荷重Pが増加しても一定となる。
図10に示すように、たわみδが第4の当接たわみδt4に到達すると、疎部71及び密部72の素線に密着が生じる。言い換えると、第4の当接たわみδt4において、第2のダンパスプリング7の全ての素線に密着が生じる。これにより、第2のダンパスプリング7は圧縮されることを制限される。
たわみδが第4の当接たわみδt4に到達したとき、例えば疎部51の素線が離間しているため、第1のダンパスプリング5Aは伸縮可能である。すなわち、第2のダンパスプリング7の素線が密着するサイドプレート2とクラッチハブ3との捩れ角は、第1のダンパスプリング5Aの素線が密着するサイドプレート2とクラッチハブ3との捩れ角よりも小さい。言い換えると、第1のダンパスプリング5Aの密着長さは、当該第1のダンパスプリング5Aの内部に位置する第2のダンパスプリング7の密着長さの合計よりも短い。しかし、第2のダンパスプリング7に密着が生じているため、第1のダンパスプリング5Aは圧縮されることを制限される。このように、第6の領域F6において、第2のダンパスプリング7は、サイドプレート2とクラッチハブ3とのさらなる相対的な回転を制限するストッパとして機能する。
第4の領域F4における第2のダンパスプリング7のバネ定数は、疎部71及び密部72のバネ定数によって定まる。また、第5の領域F5における第2のダンパスプリング7のバネ定数は、疎部71のバネ定数によって定まる。バネ定数kは、第1のダンパスプリング5Aと同じく、上述の(数1)式によって求められる。
より大きいコイル径D4を有する疎部71のバネ定数は、密部72のバネ定数よりも低い。なお、疎部71及び密部72のバネ定数の大小はこの例に限らず、有効巻き数Naによって変わり得る。
本実施形態において、疎部71及び密部72の横弾性係数G及び素線の直径dは実質的に同一である。しかし、疎部71及び密部72の横弾性係数G及び素線の直径dが互いに異なっても良い。
第2の当接たわみδt2は、第1のダンパスプリング5Aの長さに対する第2のダンパスプリング7の長さの割合によって変わる。また、第3の当接たわみδt3は、第2のダンパスプリング7の長さに対する疎部71の長さの割合によって変わる。
上述のように、第1のダンパスプリング5Aの荷重特性は、第1の領域F1と第2の領域F2とで変移する。さらに、第2のダンパスプリング7の荷重特性は、第3の領域F3乃至第6の領域F6で変移する。このため、第1のダンパスプリング5A及び第2のダンパスプリング7は、一体的に、図7に二点鎖線で示す荷重特性を呈する。
第1及び第2のダンパスプリング5A,7の荷重特性は、第1の合成領域Fw1と、第2の合成領域Fw2と、第3の合成領域Fw3と、第4の合成領域Fw4と、第5の合成領域Fw5とで変移する。なお、第1及び第2のダンパスプリング5A,7の荷重特性は、この例に限られない。
第1のダンパスプリング5Aのたわみδが第2の当接たわみδt2に到達するまで、第1及び第2のダンパスプリング5A,7は、第1の合成領域Fw1のバネ定数を有する。第1の合成領域Fw1のバネ定数は、第1の領域F1における第1のダンパスプリング5Aのバネ定数に等しい。
たわみδが第2の当接たわみδt2と第1の当接たわみδt1との間であるとき、第1及び第2のダンパスプリング5A,7は、第2の合成領域Fw2のバネ定数を有する。第2の合成領域Fw2のバネ定数は、第1の領域F1における第1のダンパスプリング5Aのバネ定数と、第4の領域F4における第2のダンパスプリング7のバネ定数との合計である。
たわみδが第1の当接たわみδt1と第3の当接たわみδt3との間であるとき、第1及び第2のダンパスプリング5A,7は、第3の合成領域Fw3のバネ定数を有する。第3の合成領域Fw3のバネ定数は、第2の領域F2における第1のダンパスプリング5Aのバネ定数と、第4の領域F4における第2のダンパスプリング7のバネ定数との合計である。
たわみδが第3の当接たわみδt3と第4の当接たわみδt4との間であるとき、第1及び第2のダンパスプリング5A,7は、第4の合成領域Fw4のバネ定数を有する。第4の合成領域Fw4のバネ定数は、第2の領域F2における第1のダンパスプリング5Aのバネ定数と、第5の領域F5における第2のダンパスプリング7のバネ定数との合計である。
たわみδが第4の当接たわみδt4であるとき、第1及び第2のダンパスプリング5A,7は、第5の合成領域Fw5に変移する。第5の合成領域Fw5のバネ定数は、第2の領域F2における第1のダンパスプリング5Aのバネ定数と、第6の領域F6における第2のダンパスプリング7のバネ定数との合計である。第5の合成領域Fw5において、荷重Pが増加しても、たわみδの増加は制限される。
以上のように、第1及び第2のダンパスプリング5A,7の荷重特性は、第1の合成領域Fw1から第5の合成領域Fw5へ段階的に変移する。第1及び第2のダンパスプリング5A,7のバネ定数は、第1の合成領域Fw1から第5の合成領域Fw5へ変移するに従って増加する。
以上説明された第2の実施形態のダンパ装置1において、第2のダンパスプリング7は、第1のダンパスプリング5Aが弾性的に圧縮された状態でクラッチハブ3に対してサイドプレート2が中心軸Axまわりに回転することにより弾性的に圧縮される。これにより、第1のダンパスプリング5Aが弾性的に圧縮された後、第2のダンパスプリング7が弾性的に圧縮されるため、第1及び第2のダンパスプリング5A,7のバネ定数は、荷重の増加によってさらに段階的に変化できる。さらに、コイル径が大きい疎部71,51は、密部52,72に対し、周方向における同一方向側に位置する。これにより、第2のダンパスプリング7が第1のダンパスプリング5Aの内部に安定して配置されることができ、例えば疎部71と密部52とが嵌まり合ってしまうことが抑制される。
第2のダンパスプリング7の素線が密着するサイドプレート2とクラッチハブ3との捩れ角は、第1のダンパスプリング5Aの素線が密着するサイドプレート2とクラッチハブ3との捩れ角よりも小さい。これにより、素線が密着した第2のダンパスプリング7がストッパとなり、第1のダンパスプリング5Aに密着を生じることが抑制される。
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、図11を参照して説明する。図11は、第3の実施形態に係る第1のダンパスプリング5A及び第2のダンパスプリング7とシート6との一例を示す断面図である。
以下に、第3の実施形態について、図11を参照して説明する。図11は、第3の実施形態に係る第1のダンパスプリング5A及び第2のダンパスプリング7とシート6との一例を示す断面図である。
図11に示すように、第3の実施形態における第1のダンパスプリング5Aは、一つの疎部51と、一つの密部52と、一つの中間部53とを有する。疎部51の長さは、第1のダンパスプリング5Aの長さの45〜75%である。なお、疎部51の長さは、この例に限られない。
第3の実施形態において、密部52のコイル径D2は、疎部51のコイル径D1よりも大きい。さらに、中間部53のコイル径D3は、疎部51のコイル径D1よりも大きく、且つ密部52のコイル径D2よりも小さい。中間部53のコイル径D3は、疎部51から密部52に近づくに従って大きくなる。
密部52のコイル径D2は、例えば、疎部51のコイル径D1よりも5%以上大きい。なお、コイル径D2はこの例に限られない。疎部51の外径は、密部52の内径よりも大きく、且つ中間部53の内径よりも大きい。さらに、中間部53の外径は、密部52の内径よりも大きい。
第3の実施形態における第1のダンパスプリング5Aの内部に、一つの第2のダンパスプリング7が位置する。第2のダンパスプリング7は、第1のダンパスプリング5Aよりも短い。第3の実施形態において、密部72のコイル径D5は、疎部71のコイル径D4よりも大きい。
ダンパ装置1にトルクが作用すると、サイドプレート2とクラッチハブ3とが中心軸Axまわりに相対的に回転し、サイドプレート2のフレーム部22c,23cがクラッチハブ3のアーム32bに近づく。このとき、疎部51は、周方向において、密部52よりもサイドプレート2のフレーム部22c,23cに近い位置に配置される。さらに、疎部71は、周方向において、密部72よりもサイドプレート2のフレーム部22c,23cに近い位置に配置される。すなわち、疎部51,71は、エンジンからトルクが入力される側に位置する。
以上説明された第3の実施形態のダンパ装置1において、密部52のコイル径D2は、疎部51のコイル径D1よりも大きい。このため、密部52よりも単位長さ当たりの巻き数が少ない疎部51のバネ定数を、密部52のバネ定数よりも高くすることができる。密部52は疎部51よりも先に密着を生じる。このため、疎部51のバネ定数を高くすることで、密部52に密着が生じた後の第2の領域F2における第1のダンパスプリング5Aのバネ定数を大きくし、ダンパ装置1が回転変動を減衰可能な最大荷重をより大きくすることができる。
密部52の内径は、疎部51の外径よりも小さい。これにより、第1のダンパスプリング5Aが弾性的に圧縮されたときに、疎部51が密部52の内側に入り込むことが抑制される。
サイドプレート2はエンジンのような駆動源に接続され、疎部51は密部52よりも当該サイドプレート2に近い位置に配置される。疎部51は、密部52よりも単位長さ当たりの巻き数が少なく、素線の密着が生じにくい。このような疎部51に先に、駆動源から回転変動が入力される。従って、単位長さ当たりの巻き数が多い密部52に密着が繰り返し生じ密部52の強度が低下すること、が抑制される。
(第4の実施形態)
以下に、第4の実施形態について、図12を参照して説明する。図12は、第4の実施形態に係る第1のダンパスプリング5A及び第2のダンパスプリング7とシート6との一例を示す断面図である。
以下に、第4の実施形態について、図12を参照して説明する。図12は、第4の実施形態に係る第1のダンパスプリング5A及び第2のダンパスプリング7とシート6との一例を示す断面図である。
図12に示すように、第4の実施形態の第1のダンパスプリング5Aは、一つの疎部51と、二つの密部52と、二つの中間部53とを有する。以下の説明において、二つの密部52を、密部52A及び密部52Bと個別に称することがある。
密部52Aと密部52Bとの間に、疎部51及び二つの中間部53が位置する。本実施形態において、密部52Aが一方のコイル部の一例であり、疎部51が他方のコイル部の一例である。密部52Bは、第7のコイル部の一例である。さらに、中間部53Aと中間部53Bとの間に、疎部51が位置する。中間部53Aは、密部52Aと疎部51とを接続する。中間部53Bは、密部52Bと疎部51とを接続する。
二つの密部52は、第1のダンパスプリング5Aの両端部を形成する。このため、密部52は、周方向において、疎部51よりもサイドプレート2のフレーム部22c,23c及びクラッチハブ3のアーム32bに近い位置に配置される。
第1の実施形態と同じく、密部52のコイル径D2は、疎部51のコイル径D1よりも小さい。さらに、中間部53のコイル径D3は、疎部51のコイル径D1よりも小さく、且つ密部52のコイル径D2よりも大きい。
第1のダンパスプリング5Aは、外周部55と、内周部56とを有する。外周部55は、ダンパ装置1の径方向外側(図12における上方向)に向く、第1のダンパスプリング5Aの一部である。内周部56は、ダンパ装置1の径方向内側(図12における下方向)に向く、第1のダンパスプリング5Aの一部である。
第1のダンパスプリング5Aは、径方向内側よりも径方向外側に凸に形成される。例えば、第1のダンパスプリング5Aの外周部55は、径方向外側に円弧状に凸に形成される。一方、内周部56は、略直線状に形成される。
第1のダンパスプリング5Aの内周部56は、径方向内側又は径方向外側に凸に形成されても良い。この場合、外周部55の両端部をつなぐ仮想直線L1から外周部55が径方向に突出する長さは、内周部56の両端部をつなぐ仮想直線L2から内周部56が径方向に突出する長さよりも長い。
以上説明された第4の実施形態のダンパ装置1において、密部52のコイル径D2は、二つの密部52の間に位置する疎部51のコイル径D1よりも小さい。第1のダンパスプリング5Aが配置される空間は、第1のダンパスプリング5Aを支持する二つのシート6から離間するに従って(空間の中央に近づくに従って)広くなる。第4の実施形態によれば、当該広い空間にコイル径がより大きい疎部51を配置できるため、ダンパ装置1のスペースを有効に活用し、ダンパ装置1を小型化することができる。さらに、コイル径がより小さい密部52は、より高いバネ定数を有し、たわみの変動が少ない。従って、密部52が、シート6のような他の部材と摺動し、摩耗することが抑制される。
第1のダンパスプリング5Aは、径方向内側よりも径方向外側に凸に形成される。これにより、外周部55の曲率半径をより小さくすることができ、例えば、ダンパ装置1を小型化しつつコイル径の大きい疎部51を設けることができる。
(第5の実施形態)
以下に、第5の実施形態について、図13を参照して説明する。図13は、第5の実施形態に係るダンパ装置1の一例を示す正面図である。図13に示すように、第5の実施形態のダンパ装置1は、いわゆるアークスプリングダンパである。
以下に、第5の実施形態について、図13を参照して説明する。図13は、第5の実施形態に係るダンパ装置1の一例を示す正面図である。図13に示すように、第5の実施形態のダンパ装置1は、いわゆるアークスプリングダンパである。
第5の実施形態のダンパ装置1は、サイドプレート2及びクラッチハブ3の代わりに、フライホイール100の第1のエレメント110と第2のエレメント120とを有する。なお、ダンパ装置1はこの例に限られない。
第1のエレメント110は、例えば、エンジンのクランクシャフトに接続される。第1のエレメント110は、二つのプレート111と、複数のストッパ112とを有する。二つのプレート111は、径方向に広がる略円板状に形成され、軸方向に並んで配置される。
二つのプレート111はそれぞれ、軸方向に向かい合う凹面111aを有する。凹面111aは、ガイドと称され得る。凹面111aは、軸方向に凸に窪むとともに、周方向に略円環状に延びる。二つの凹面111aが向かい合うことで、第1のエレメント110の内部に、円環状の収容室113が設けられる。凹面111aは、収容室113を規定する。
ストッパ112は、収容室113の内部に位置する。複数のストッパ112は、周方向に等間隔に配置される。ストッパ112は、例えばリベットによって、二つのプレート111に固定される。
第2のエレメント120は、第1のエレメント110に対して中心軸Axまわりに回転可能である。第2のエレメント120は、例えば、プッシャプレートに押されたクラッチディスクに接触する。このとき、第2のエレメント120は、例えば、入力軸を介して、トランスミッションに接続される。第2のエレメント120は、フランジ121と、複数の突出部122とを有する。
フランジ121は、径方向に広がる略円板状に形成され、軸方向において、二つのプレート111の間に配置される。フランジ121は、プレート111に対して中心軸Axまわりに回転可能である。
突出部122は、フランジ121から径方向外側に突出し、収容室113の内部に位置する。複数の突出部122は、周方向に等間隔に配置される。突出部122の数は、ストッパ112の数に等しい。
第1のダンパスプリング5Aは、収容室113に配置される。第1のダンパスプリング5Aは、周方向において、第1のエレメント110のストッパ112と、第2のエレメント120の突出部122との間に位置し、ストッパ112及び突出部122に支持される。
第5の実施形態の第1のダンパスプリング5Aは、いわゆるアークスプリングである。第1のダンパスプリング5Aは、径方向外側に凸に曲げられる。第1のエレメント110の凹面111aは、第1のダンパスプリング5Aを、径方向外側に凸に曲げられた状態に支持する。
第5の実施形態の第1のダンパスプリング5Aも、外周部55と内周部56とを有する。第1のダンパスプリング5Aは、外力が作用しない自由状態において、外周部55が径方向外側に円弧状に凸に曲げられ、内周部56が径方向外側に略楕円形の円弧状に凸に曲げられるように、形成される。内周部56は、内周部56の両端部をつなぐとともに外周部55と同心円状に延びる仮想曲線L3よりも、径方向外側に位置する。
第1のエレメント110の凹面111aは、第1のダンパスプリング5Aの外周部55に接触する。凹面111aの径方向外側の部分の曲率半径は、外周部55の曲率半径と実質的に等しい。凹面111aは、外周部55を径方向外側に円弧状に凸に曲げられた状態に支持することで、第1のダンパスプリング5Aを径方向外側に凸に曲げられた状態に支持する。
第5の実施形態の第1のダンパスプリング5Aは、複数の疎部51と、複数の密部52とを有する。複数の疎部51は、疎部51A,51B,51C,51Dと個別に称されることがある。複数の密部52は、密部52A,52B,52Cと個別に称されることがある。
密部52Aは、疎部51Aと疎部51Bとの間に位置する。密部52Bは、疎部51Bと疎部51Cとの間に位置する。密部52Cは、疎部51Cと疎部51Dとの間に位置する。
第1のダンパスプリング5Aのコイル径は、端部から中央部に向かうに従って小さくなる。このため、例えば、密部52Aのコイル径は、疎部51Aのコイル径よりも小さく、且つ疎部51Bのコイル径よりも大きい。密部52Bのコイル径は、疎部51Bのコイル径よりも小さく、且つ疎部51Cのコイル径よりも小さい。密部52Cのコイル径は、疎部51Cのコイル径よりも大きく、且つ疎部51Dのコイル径よりも小さい。
ダンパ装置1にトルクが作用すると、第1のエレメント110と第2のエレメント120とが中心軸Axまわりに相対的に回転する。すなわち、ダンパ装置1にトルクが作用することによって、第1のエレメント110と第2のエレメント120との間の捩れ角が生じる。
捩れ角が生じると、ストッパ112と突出部122とが近づき、第1のダンパスプリング5Aを圧縮する。第1のダンパスプリング5Aは、外周部55が凹面111aに接触した状態で弾性的に圧縮される。
第1のダンパスプリング5Aは、第1の実施形態と同じく、疎部51及び密部52を有する。このため、第1のダンパスプリング5Aの荷重特性は、第1の領域F1と第2の領域F2とに段階的に変化する。第1のダンパスプリング5Aの荷重特性は、さらに段階的に変化しても良い。
以上説明された第5の実施形態のダンパ装置1のように径方向外側に凸に曲げられた第1のダンパスプリング5Aにおいて、内周側におけるピッチは、外周側のピッチより狭くなる。しかし、本実施形態では、コイル径が異なる密部52と疎部51とが設けられることで、密部52の素線と疎部51の素線とが、径方向においてずれて配置されることができる。これにより、密部52の素線と疎部51の素線との間の距離をより長く確保できるため、内周側において素線の密着が生じることが抑制される。従って、素線の密着が生じるまでの捩れ角をより大きく設定することができ、ダンパ装置1の捩り始めにおける回転変動をより減衰することができる。
第1のダンパスプリング5Aは、複数の疎部51と複数の密部52とを有する。これにより、径方向においてずれて配置される部分をより多く設けることができる。これにより、密部52の素線と疎部51の素線との間の距離をより長く確保できるため、内周側において素線の密着が生じることが抑制される。
凹面111aは、外周部55を径方向外側に円弧状に凸に曲げられた状態に支持し、前記外周部55は、自由状態において、径方向外側に円弧状に凸に曲げられる。これにより、外周部55が均一に凹面111aに支持されることができる。
(第6の実施形態)
以下に、第6の実施形態について、図14を参照して説明する。図14は、第6の実施形態に係るダンパ装置1の一例を示す正面図である。図14に示すように、第6の実施形態のダンパ装置1は、第5の実施形態と同じく、フライホイール100を有するアークスプリングダンパである。
以下に、第6の実施形態について、図14を参照して説明する。図14は、第6の実施形態に係るダンパ装置1の一例を示す正面図である。図14に示すように、第6の実施形態のダンパ装置1は、第5の実施形態と同じく、フライホイール100を有するアークスプリングダンパである。
第6の実施形態の第1のダンパスプリング5Aのコイル径は、端部から中央部に向かうに従って大きくなる。このため、例えば、密部52Aのコイル径は、疎部51Aのコイル径よりも大きく、且つ疎部51Bのコイル径よりも小さい。密部52Bのコイル径は、疎部51Bのコイル径よりも大きく、且つ疎部51Cのコイル径よりも大きい。密部52Cのコイル径は、疎部51Cのコイル径よりも小さく、且つ疎部51Dのコイル径よりも大きい。本実施形態において、疎部51Bが一方のコイル部の一例であり、密部52Bは他方のコイル部の一例であり、疎部51Cが第6のコイル部の一例である。
第1のダンパスプリング5Aの外周部55は、第5の実施形態と同じく、径方向外側に円弧状に凸に曲げられる。外周部55の曲率半径は、凹面111aの径方向外側の部分の曲率半径と実質的に等しい。一方、第1のダンパスプリング5Aの内周部56は、径方向外側に略楕円形の円弧状に凸に曲げられる。内周部56は、外周部55よりも直線状に近い形状に延びる。また、内周部56は、内周部56の両端部をつなぐとともに外周部55と同心円状に延びる仮想曲線L3よりも、径方向内側に位置する。すなわち、第1のダンパスプリング5Aは、径方向内側よりも径方向外側に凸に形成される。
以上説明された第6の実施形態のダンパ装置1において、アークスプリングである第1のダンパスプリング5Aの密部52Bのコイル径は、疎部51B及び疎部51Cのそれぞれのコイル径よりも大きい。これにより、第1のダンパスプリング5Aの外周部55が均一に凹面111aに支持されることができる。
第1のダンパスプリング5Aは、径方向内側よりも径方向外側に凸に形成される。アークスプリングである第1のダンパスプリング5Aの外周部55と凹面111aとの曲率半径を互いに近づけることで、第1のダンパスプリング5Aが凹面111aに接触した状態でよりスムーズに伸縮することができる。さらに、第1のダンパスプリング5Aをアークスプリング状に曲げる加工をより少なく、又は省略することができ、ダンパ装置1のコストを低減することができる。加えて、外周部55の曲率半径をより小さくすることができる。
(第7の実施形態)
以下に、第7の実施形態について、図15を参照して説明する。図15は、第7の実施形態に係るダンパスプリング5の一例を示す断面図である。図15に示すように、第7の実施形態の第1のダンパスプリング5Aは、複数の屈曲部130を有する。
以下に、第7の実施形態について、図15を参照して説明する。図15は、第7の実施形態に係るダンパスプリング5の一例を示す断面図である。図15に示すように、第7の実施形態の第1のダンパスプリング5Aは、複数の屈曲部130を有する。
屈曲部130は、第1のダンパスプリング5Aの素線の少なくとも一部が屈曲させられた部分である。複数の屈曲部130は、疎部51、密部52、及び中間部53に設けられる。なお、屈曲部130は、疎部51、密部52、及び中間部53のうち一つ又は二つに設けられても良い。
屈曲部130は、例えば、素線が密着するときに潰される。屈曲部130は、潰されるときに板バネのような弾性的な復元力を生じさせる。すなわち、屈曲部130は、疎部51、密部52、及び中間部53とは別にバネ定数を有する。このため、第1のダンパスプリング5Aのバネ定数はさらに段階的に変化可能となる。
屈曲部130は、例えば、予め素線に形成される。屈曲部130を有する素線が巻回されることで、コイルスプリングである第1のダンパスプリング5Aが形成される。なお、屈曲部130の形成方法はこの例に限られない。
以上説明された第7の実施形態のダンパ装置1において、第1のダンパスプリング5Aは、素線の少なくとも一部が屈曲させられた屈曲部130を有する。これにより、屈曲部130がさらに異なるバネ定数を有するため、第1のダンパスプリング5Aのバネ定数を、荷重の増加によってさらに略段階的に変化できる。
屈曲部130は、密部52に設けられる。密部52は、疎部51よりも先に密着が生じ、作用する応力が低くなる。従って、屈曲部130が設けられても、密部52が損傷することが抑制されるとともに、屈曲部130が損傷することも抑制される。
上記複数の実施形態において、第1のダンパスプリング5Aが第1のコイルスプリングの一例である。しかし、例えば、プリダンパスプリング5Bが、第1のコイルスプリングの一例であっても良い。この場合、内側ハブ31が第1の回転体の一例であり、外側ハブ32が第2の回転体の一例である。
以上説明された複数の実施形態は、以下に説明するダンパ装置を含む。
[1]第1のコイル部のコイル径は、第2のコイル部のコイル径よりも5%以上大きい、ダンパ装置。
[2]第1のコイル部のコイル内径は、第2のコイル部のコイル外径よりも小さい、ダンパ装置。当該構成により、第1のコイルスプリングが弾性的に圧縮されたときに、第2のコイル部が第1のコイル部の内側に入り込むことが抑制される。
[3]第1の回転体は、駆動源に接続され、第2のコイル部は、第1のコイル部よりも第1の回転体に近い位置に配置される、ダンパ装置。第2のコイル部は、第1のコイル部よりも単位長さ当たりの巻き数が少なく、素線の密着が生じにくい。このため、単位長さ当たりの巻き数が多い第1のコイル部に密着が繰り返し生じ、第1のコイル部の強度が低下すること、が抑制される。
[4]第2のコイル部の長さは、第1のコイルスプリングの長さの45〜75%である、ダンパ装置。
[5]一方のコイルスプリングの素線が密着する第1の回転体と第2の回転体との捩れ角は、他方のコイルスプリングの素線が密着する第1の回転体と第2の回転体との捩れ角よりも小さい、ダンパ装置。当該構成により、素線が密着した一方のコイルスプリングがストッパとなり、他方のコイルスプリングに密着を生じることが抑制される。
[6]一方のコイル部のコイル径は、他方のコイル部のコイル径よりも小さい、ダンパ装置。第1のコイルスプリングが配置される空間は、第1及び第2の回転体、又は第1のコイルスプリングを支持する二つのシートから離間するに従って(空間の中央に近づくに従って)広くなる。上記構成によれば、当該広い空間にコイル径がより大きい他方のコイル部を配置できるため、ダンパ装置のスペースを有効に活用し、ダンパ装置を小型化することができる。さらに、コイル径がより小さい一方のコイル部と第6のコイル部は、より高いバネ定数を有し、たわみの変動が少ない。従って、一方のコイル部及び第6のコイル部が、ガイドのような他の部材と摺動し、摩耗することが抑制される。
[7]一方のコイル部は、第2のコイル部である、ダンパ装置。第2のコイル部と第6のコイル部とは、第1のコイル部よりもトルクが入力される第1及び第2の回転体に近く、且つ単位長さ当たりの巻き数が第1のコイル部よりも少ない。このため、単位長さ当たりの巻き数が多い第1のコイル部に密着が繰り返し生じ、第1のコイル部の強度が低下すること、が抑制される。
[8]第1のコイルスプリングを径方向外側に凸に曲げられた状態に支持するガイド、をさらに具備する、ダンパ装置。径方向外側に凸に曲げられた第1のコイルスプリングにおいて、内周側のピッチは、外周側のピッチより狭くなる。しかし、コイル径が異なる第1のコイル部と第2のコイル部とが設けられることで、第1のコイル部の素線と第2のコイル部の素線とが、径方向においてずれて配置されることができる。これにより、第1のコイル部の素線と第2のコイル部の素線との間の距離をより長く確保できるため、内周側において素線の密着が生じることが抑制される。従って、素線の密着が生じるまでの捩れ角をより大きく設定することができ、ダンパ装置の捩り始めにおける回転変動をより減衰することができる。
[9]第1のコイルスプリングは、複数の第1のコイル部と、複数の第2のコイル部と、を有する、[8]のダンパ装置。当該構成により、径方向においてずれて配置される部分をより多く設けることができる。これにより、第1のコイル部の素線と第2のコイル部の素線との間の距離をより長く確保できるため、内周側において素線の密着が生じることが抑制される。
[10]第1のコイルスプリングは、径方向外側に向く外周部を有し、ガイドは、外周部を径方向外側に円弧状に凸に曲げられた状態に支持し、外周部は、自由状態において、径方向外側に円弧状に凸に曲げられた、ダンパ装置。当該構成により、外周部が均一にガイドに支持されることができる。
[11]第1のコイルスプリングを径方向外側に凸に曲げられた状態に支持するガイド、をさらに具備し、他方のコイル部のコイル径は、一方のコイル部のコイル径よりも大きい、ダンパ装置。当該構成により、第1のコイルスプリングの外周部が均一にガイドに支持されることができる。
[12]第1のコイルスプリングは、素線の少なくとも一部が屈曲させられた屈曲部を有する、ダンパ装置。当該構成により、屈曲部がさらに異なるバネ定数を有するため、第1のコイルスプリングのバネ定数を、荷重の増加によってさらに略段階的に変化できる。
[13]屈曲部は、第1のコイル部に設けられる、[12]のダンパ装置。第1のコイル部は、第2のコイル部よりも先に密着が生じ、作用する応力が低くなる。従って、屈曲部が設けられても、第1のコイル部が損傷することが抑制されるとともに、屈曲部が損傷することも抑制される。
[1]第1のコイル部のコイル径は、第2のコイル部のコイル径よりも5%以上大きい、ダンパ装置。
[2]第1のコイル部のコイル内径は、第2のコイル部のコイル外径よりも小さい、ダンパ装置。当該構成により、第1のコイルスプリングが弾性的に圧縮されたときに、第2のコイル部が第1のコイル部の内側に入り込むことが抑制される。
[3]第1の回転体は、駆動源に接続され、第2のコイル部は、第1のコイル部よりも第1の回転体に近い位置に配置される、ダンパ装置。第2のコイル部は、第1のコイル部よりも単位長さ当たりの巻き数が少なく、素線の密着が生じにくい。このため、単位長さ当たりの巻き数が多い第1のコイル部に密着が繰り返し生じ、第1のコイル部の強度が低下すること、が抑制される。
[4]第2のコイル部の長さは、第1のコイルスプリングの長さの45〜75%である、ダンパ装置。
[5]一方のコイルスプリングの素線が密着する第1の回転体と第2の回転体との捩れ角は、他方のコイルスプリングの素線が密着する第1の回転体と第2の回転体との捩れ角よりも小さい、ダンパ装置。当該構成により、素線が密着した一方のコイルスプリングがストッパとなり、他方のコイルスプリングに密着を生じることが抑制される。
[6]一方のコイル部のコイル径は、他方のコイル部のコイル径よりも小さい、ダンパ装置。第1のコイルスプリングが配置される空間は、第1及び第2の回転体、又は第1のコイルスプリングを支持する二つのシートから離間するに従って(空間の中央に近づくに従って)広くなる。上記構成によれば、当該広い空間にコイル径がより大きい他方のコイル部を配置できるため、ダンパ装置のスペースを有効に活用し、ダンパ装置を小型化することができる。さらに、コイル径がより小さい一方のコイル部と第6のコイル部は、より高いバネ定数を有し、たわみの変動が少ない。従って、一方のコイル部及び第6のコイル部が、ガイドのような他の部材と摺動し、摩耗することが抑制される。
[7]一方のコイル部は、第2のコイル部である、ダンパ装置。第2のコイル部と第6のコイル部とは、第1のコイル部よりもトルクが入力される第1及び第2の回転体に近く、且つ単位長さ当たりの巻き数が第1のコイル部よりも少ない。このため、単位長さ当たりの巻き数が多い第1のコイル部に密着が繰り返し生じ、第1のコイル部の強度が低下すること、が抑制される。
[8]第1のコイルスプリングを径方向外側に凸に曲げられた状態に支持するガイド、をさらに具備する、ダンパ装置。径方向外側に凸に曲げられた第1のコイルスプリングにおいて、内周側のピッチは、外周側のピッチより狭くなる。しかし、コイル径が異なる第1のコイル部と第2のコイル部とが設けられることで、第1のコイル部の素線と第2のコイル部の素線とが、径方向においてずれて配置されることができる。これにより、第1のコイル部の素線と第2のコイル部の素線との間の距離をより長く確保できるため、内周側において素線の密着が生じることが抑制される。従って、素線の密着が生じるまでの捩れ角をより大きく設定することができ、ダンパ装置の捩り始めにおける回転変動をより減衰することができる。
[9]第1のコイルスプリングは、複数の第1のコイル部と、複数の第2のコイル部と、を有する、[8]のダンパ装置。当該構成により、径方向においてずれて配置される部分をより多く設けることができる。これにより、第1のコイル部の素線と第2のコイル部の素線との間の距離をより長く確保できるため、内周側において素線の密着が生じることが抑制される。
[10]第1のコイルスプリングは、径方向外側に向く外周部を有し、ガイドは、外周部を径方向外側に円弧状に凸に曲げられた状態に支持し、外周部は、自由状態において、径方向外側に円弧状に凸に曲げられた、ダンパ装置。当該構成により、外周部が均一にガイドに支持されることができる。
[11]第1のコイルスプリングを径方向外側に凸に曲げられた状態に支持するガイド、をさらに具備し、他方のコイル部のコイル径は、一方のコイル部のコイル径よりも大きい、ダンパ装置。当該構成により、第1のコイルスプリングの外周部が均一にガイドに支持されることができる。
[12]第1のコイルスプリングは、素線の少なくとも一部が屈曲させられた屈曲部を有する、ダンパ装置。当該構成により、屈曲部がさらに異なるバネ定数を有するため、第1のコイルスプリングのバネ定数を、荷重の増加によってさらに略段階的に変化できる。
[13]屈曲部は、第1のコイル部に設けられる、[12]のダンパ装置。第1のコイル部は、第2のコイル部よりも先に密着が生じ、作用する応力が低くなる。従って、屈曲部が設けられても、第1のコイル部が損傷することが抑制されるとともに、屈曲部が損傷することも抑制される。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
1…ダンパ装置、2…サイドプレート(第1の回転体)、3…クラッチハブ(第2の回転体)、5…ダンパスプリング(第1のコイルスプリング)、5A…第1のダンパスプリング(第1のコイルスプリング)、5B…プリダンパスプリング(第1のコイルスプリング)、7…第2のダンパスプリング(第2のコイルスプリング)、31…内側ハブ(第1の回転体)、32…外側ハブ(第2の回転体)、51,51A,51B…疎部(第2のコイル部、第6のコイル部)、52,52A,52B…密部(第1のコイル部、第7のコイル部)、53,53A,53B…中間部(第3のコイル部)、55…外周部、71,71A,71B…疎部(第4のコイル部)、72,72A,72B…密部(第5のコイル部)、110…第1のエレメント(第1の回転体)、120…第2のエレメント(第2の回転体)、Ax…中心軸(回転中心)、D1,D2,D3,D4,D5…コイル径。
Claims (9)
- 回転中心まわりに回転可能な第1の回転体と、
前記回転中心まわりに回転可能な第2の回転体と、
第1のコイル部と、前記第1のコイル部よりも単位長さ当たりの巻き数が少ない第2のコイル部と、を有し、前記第1の回転体と前記第2の回転体との間に位置し、前記第2の回転体に対して前記第1の回転体が前記回転中心まわりに回転することにより弾性的に圧縮され、前記第1のコイル部のコイル径と前記第2のコイル部のコイル径とが互いに異なる、第1のコイルスプリングと、
を具備するダンパ装置。 - 前記第1のコイル部のコイル径は、前記第2のコイル部のコイル径よりも大きい、請求項1のダンパ装置。
- 前記第1のコイルスプリングは、前記第1のコイル部と前記第2のコイル部とを接続する第3のコイル部を有し、
前記第3のコイル部のコイル径は、前記第1のコイル部のコイル径及び前記第2のコイル部のコイル径のうち大きい方よりも小さく、且つ前記第1のコイル部のコイル径及び前記第2のコイル部のコイル径のうち小さい方よりも大きい、
請求項1又は請求項2のダンパ装置。 - 前記第3のコイル部のコイル径は、前記第1のコイル部及び前記第2のコイル部のうちコイル径が大きい方から前記第1のコイル部及び前記第2のコイル部のうちコイル径が小さい方に近づくに従って小さくなる、請求項3のダンパ装置。
- 前記第1のコイルスプリングの内部に配置され又は前記第1のコイルスプリングを内部に収容し、前記第1の回転体と前記第2の回転体との間に位置し、前記第2の回転体に対して前記第1の回転体が前記回転中心まわりに回転することにより弾性的に圧縮され、第4のコイル部と、第5のコイル部と、を有する第2のコイルスプリング、をさらに具備し、
前記第1のコイルスプリング及び前記第2のコイルスプリングのうち他方のコイルスプリングの内部に位置する一方のコイルスプリングは、前記他方のコイルスプリングが弾性的に圧縮された状態で前記第2の回転体に対して前記第1の回転体が前記回転中心まわりに回転することにより弾性的に圧縮され、
前記第4のコイル部のコイル径は、前記第5のコイル部のコイル径よりも大きく、
前記第4のコイル部は、前記第5のコイル部に対し、周方向における一方向側に位置し、
前記第1のコイル部と前記第2のコイル部とのうちコイル径が大きい方は、前記第1のコイル部と前記第2のコイル部とのうちコイル径が小さい方に対し、前記周方向における前記一方向側に位置する、
請求項1乃至請求項4のいずれか一つのダンパ装置。 - 前記第1のコイルスプリングは、第6のコイル部をさらに有し、
前記第6のコイル部の単位長さ当たりの巻き数及びコイル径は、前記第1のコイル部の単位長さ当たりの巻き数及びコイル径と等しく、
前記第2のコイル部は、前記第1のコイル部と前記第6のコイル部との間に位置する、
請求項1のダンパ装置。 - 前記第1のコイルスプリングは、第7のコイル部をさらに有し、
前記第7のコイル部の単位長さ当たりの巻き数及びコイル径は、前記第2のコイル部の単位長さ当たりの巻き数及びコイル径と等しく、
前記第1のコイル部は、前記第2のコイル部と前記第7のコイル部との間に位置する、
請求項1のダンパ装置。 - 前記他方のコイル部のコイル径は、前記一方のコイル部のコイル径よりも大きく、
前記第1のコイルスプリングは、径方向内側よりも径方向外側に凸に形成される、
請求項6のダンパ装置。 - 第1のコイル部と、
前記第1のコイル部よりも単位長さ当たりの巻き数が少ない第2のコイル部と、
を具備し、
前記第1のコイル部のコイル径と前記第2のコイル部のコイル径とが互いに異なる、
ダンパスプリング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017113683A JP2018204762A (ja) | 2017-06-08 | 2017-06-08 | ダンパ装置及びダンパスプリング |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017113683A JP2018204762A (ja) | 2017-06-08 | 2017-06-08 | ダンパ装置及びダンパスプリング |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018204762A true JP2018204762A (ja) | 2018-12-27 |
Family
ID=64955442
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017113683A Pending JP2018204762A (ja) | 2017-06-08 | 2017-06-08 | ダンパ装置及びダンパスプリング |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018204762A (ja) |
-
2017
- 2017-06-08 JP JP2017113683A patent/JP2018204762A/ja active Pending
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