JP2018204139A - ポリオキシメチレン樹脂とポリ乳酸樹脂とのアロイを基材とする結節強度の改善された繊維及び当該繊維を原料とする釣り糸 - Google Patents
ポリオキシメチレン樹脂とポリ乳酸樹脂とのアロイを基材とする結節強度の改善された繊維及び当該繊維を原料とする釣り糸 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018204139A JP2018204139A JP2017109870A JP2017109870A JP2018204139A JP 2018204139 A JP2018204139 A JP 2018204139A JP 2017109870 A JP2017109870 A JP 2017109870A JP 2017109870 A JP2017109870 A JP 2017109870A JP 2018204139 A JP2018204139 A JP 2018204139A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fiber
- monofilament
- knot strength
- resin
- polylactic acid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Biological Depolymerization Polymers (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
- Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
Abstract
【課題】ポリオキシメチレン樹脂とポリ乳酸樹脂とからのアロイを原料として、結節強度の改善されたモノフィラメント繊維、マルチフィラメント繊維及び当該両繊維を原料とする釣り糸を製造する。【解決手段】ポリオキシメチレン樹脂とポリ乳酸樹脂及び内部滑剤、更に必要に応じてその他の添加剤を溶融混練して得られるポリマーアロイを溶融紡糸して繊維とした後、当該繊維を8〜20倍に延伸して目的のモノフィラメント繊維とする。マルチフィラメント繊維のためには複数本の当該モノフィラメント繊維を撚糸する。【選択図】なし
Description
POMとPLAとのアロイを基材とする結節強度の改善されたモノフィラメント繊維或いは当該モノフィラメント繊維に基づくマルチフィラメント繊維及び前記両繊維から製造される釣り糸に関する。
釣り糸、漁網、船舶用ロープなどが自然界中に廃棄された場合、これらは一般的には自然界中では分解しにくいので、長時間にわたり、自然界にそのまま残存する。結果、廃棄された量によっては、自然界に重大な環境汚染をもたらす。特に、海洋生物への著しい被害が発生する。従って、自然界に放置された場合でも、できるだけ短時間で無害な成分に分解する釣り糸、漁網、船舶用ロープ等であれば、上記環境汚染は緩和されるので、短時間で無害な物質に分解する環境にやさしく、かつ安価な素材の開発が望まれている。
POMとPLAとを含有する樹脂組成物は、PLAが生分解性樹脂であるので、PLAの含有量によっては、当該樹脂組成物が生分解性を有することは公知である。また、当該樹脂組成物からモノフィラメント繊維或いはマルチフィラメント繊維の製造が可能であることも公知である。
しかし、当該樹脂組成物から得られるモノフィラメント繊維及びマルチフィラメント繊維を結んだ場合、その結び目の強度(結節強度)は低いことが知られており、従って、これらの繊維から釣り糸、漁網、船舶用ロープを製造した場合、他の材料、例えばポリアミド繊維から製造されたものと比較して、結節強度が劣ることは当該モノフィラメント繊維及びマルチフィラメント繊維の製品化にとって大きな障害となる。
POM繊維の結節強度の改善例の一つは特許文献1に開示されているが、これはPOMを製造するに際し、コモノマー含量を比較的多く使用することで結晶融解温度が低くなったPOMを鞘とし、コモノマー含量を比較的少なく使用することで結晶融解温度が高くなったPOMを芯とする芯鞘構造の繊維とするものであるが、モノフィラメント繊維の繊維系が10ミクロン以下であるマルチフィラメントの場合には製造が難しい。
また、特許文献2にはPOMからなる繊維を延伸処理したあと、POMの結晶融解温度マイナス10℃以上の温度で0.1~30秒間当該繊維をアニールする方法が開示されているが、この方法では紡糸とアニールとが別々の工程となるため、極めて非効率な製造法である。
日本特許第4468086号公報
日本特許第4874530号公報
POMとPLAとのアロイを基材とする結節強度の改善されたモノフィラメント繊維或いは当該モノフィラメントを複数本撚糸して製造されるマルチフィラメント繊維を簡便な方法で開発することであり、更には、これら両繊維を釣り糸、漁網、船舶用ロープに適用することである。
本発明者等は、鋭意努力した結果、内部滑剤として、ポリオレフィン系ワックスとポリジメチルシロキサン(望ましくは両者ともに高分子量のもの)とを使用すれば、POM-PLAポリマーアロイから製造されるモノフィラメント繊維、マルチフィラメント繊維の結節強度が改善されることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
1)ポリオキシメチレン樹脂(POM)60〜80重量部とポリ乳酸樹脂(PLA)20〜40重量部(両者の合計量は100重量部)及び内部滑剤0.1〜5重量部、更に必要に応じてその他の添加剤を溶融混練して得られるPOM-PLAポリマーアロイを溶融紡糸後、当該繊維を6〜20倍に延伸して得られる結節強度の改善されたモノフィラメント繊維。
2)前記1項記載のモノフィラメント繊維複数本を撚糸して得られるマルチフィラメント繊維。
3)内部滑剤としてポリオレフィン系ワックスとポリジメチルシロキサンとを含有する前記1項記載の結節強度の改善されたモノフィラメント繊維。
4)前記3項記載のモノフィラメント繊維複数本を撚糸して得られるマルチフィラメント繊維。
5)数平均分子量が5,000以上のポリオレフィン系ワックスを含有する前記3項記載の結節強度の改善されたモノフィラメント繊維。
6)前記5項記載のモノフィラメント繊維複数本を撚糸して得られるマルチフィラメント繊維。
7)重合度が4,000以上のポリジメチルシロキサンを含有する前記3項記載の結節強度の改善されたモノフィラメント繊維。
8)前記7項記載のモノフィラメント繊維複数本を撚糸して得られるマルチフィラメント繊維。
9)前記1〜8項記載のモノフィラメント繊維或いはマルチフィラメント繊維から得られる釣り糸。
本発明におけるポリオキシメチレン樹脂としては、ポリオキシメチレン樹脂のホモポリマー又はコポリマーが挙げられ、コポリマーが好ましい。ポリオキシメチレンコポリマーは、単独で又はコモノマーの種類、含有量の異なるポリオキシメチレンコポリマー同士を混合して使用することができる。ポリオキシメチレンコポリマーは、分子中にオキシメチレン単位以外に、下記式(1)で表されるオキシアルキレン単位を有する。
アルキル基は、非置換又は置換された炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐状のアルキル基であり、炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましい。アルキル基として、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシル、ドデシル及びオクタデシル等が挙げられる。
アルキル基の置換基として、ヒドロキシ基、アミノ基、アルコキシ基、アルケニルオキシメチル基及びハロゲンが挙げられる。ここで、アルコキシ基として、メトキシ、エトキシ及びプロポキシ等が挙げられる。また、アルケニルオキシメチル基として、アリルオキシメチル等が挙げられる。
フェニル基は、非置換、又は非置換若しくは置換されたアルキル基、非置換若しくは置換されたアリール基、若しくはハロゲンで置換されているフェニル基である。ここで、アリール基として、フェニル、ナフチル及びアントラシル等が挙げられる。
1以上のエーテル結合で中断されているアルキル基は、下記式(2)で表される基が挙げられる。
−CH2−O−(R1−O)p−R2 (2)
(式中、R1は、アルキレン基であり、pは0〜20の整数を表し、R2は、水素原子、アルキル基、フェニル基又はグリシジル基であり、ここで各(R1−O)単位は、同一であっても、異なっていてもよい)
−CH2−O−(R1−O)p−R2 (2)
(式中、R1は、アルキレン基であり、pは0〜20の整数を表し、R2は、水素原子、アルキル基、フェニル基又はグリシジル基であり、ここで各(R1−O)単位は、同一であっても、異なっていてもよい)
アルキレン基は、直鎖又は分岐状であり、非置換又は置換されている、炭素原子数2〜20のアルキレン基であり、エチレン、プロピレン、ブチレン及び2−エチルへキシレン等が挙げられる。R1としてのアルキレンは、エチレン及びプロピレンが好ましい。
R0及びR0’は、同一であって水素原子であるのが好ましい。
式(1)で表わされるオキシアルキレン単位としては、オキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシブチレン単位、オキシペンチレン単位、及びオキシヘキシレン単位が挙げられ、好ましくはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、及びオキシブチレン単位であり、より好ましくは、オキシジメチレン単位、オキシトリメチレン単位、及びオキシテトラメチレン単位である。
ポリオキシメチレンコポリマーは、更に、下記式(3)で表される単位を有することができる。
−CH(CH3)−CHR3− (3)
(式中、R3は、下記式(4)で表される基である)
−O−(R1−O)p−R4 (4)
(式中、R4は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基又はフェニルアルキル基であり、R1及びpは、式(2)で定義されたとおりである)
−CH(CH3)−CHR3− (3)
(式中、R3は、下記式(4)で表される基である)
−O−(R1−O)p−R4 (4)
(式中、R4は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基又はフェニルアルキル基であり、R1及びpは、式(2)で定義されたとおりである)
アルケニル基は、直鎖又は分岐状であり、非置換又は置換されている、炭素原子数2〜20のアルケニル基であり、ビニル、アリル及び3−ブテニル等が挙げられる。フェニルアルキル基におけるアルキル部分及びフェニル部分は、上記したアルキル基及びフェニル基の例示が挙げられる。フェニルアルキル基として、ベンジル、フェニルエチル、フェニルブチル、2−メトキシベンジル、4−メトキシベンジル及び4−(アリルオキシメチル)ベンジル等が挙げられる。
本発明において、式(2)で表される基におけるアルケニル基及びグリシジル基、又は式(4)で表される基におけるアルケニル基は、更なる重合反応における架橋点となることができ、これにより架橋構造が形成される。
ポリオキシメチレンコポリマーの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ホルムアルデヒドの3量体であるトリオキサンと、コモノマーとを、必要に応じて三フッ化ホウ素等カチオン重合触媒を用いて塊状重合させる方法が挙げられる。
コモノマーとしては、例えば、エチレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキセパン及び1,3,6−トリキソカン等の炭素原子数2〜8の環状エーテル;グリコールの環状ホルマール及びジグリコールの環状ホルマール等の炭素原子数2〜8の環状ホルマール等が挙げられる。これらのコモノマーにより、R0及びR0’が、同一であって水素原子である式(1)で表されるオキシアルキレン単位が形成される。
本発明において、ポリオキシメチレンコポリマーは、2元共重合体及び多元共重合体も含む。従って、本発明のポリオキシメチレンコポリマーとして、オキシメチレン単位及び上記式(1)で表されるオキシアルキレン単位を有するポリポリオキシメチレンコポリマー、オキシメチレン単位、上記式(1)で表されるオキシアルキレン単位及び式(3)で表わされる単位を含むポリオキシメチレンコポリマー、並びに、更に架橋構造を有する前記コポリマー等を広く用いることができる。本発明において、R0及びR0’が、同時に水素原子ではない式(1)で表わされる単位は、例えば、グリシジルエーテル化合物及び/又はエポキシ化合物を共重合することで形成することができ、式(3)で表される単位は、例えば、アリルエーテル化合物を共重合することで形成することができる。
グリシジルエーテル及びエポキシ化合物は、特に限定されないが、エピクロルヒドリン;メチルグリシジルホルマール、エチルグリシジルホルマール、プロピルグリシジルホルマール及びブチルグリシジルホルマール等のアルキルグリシジルホルマール;エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾンシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリブチレングリコールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル;グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のトリグリシジルエーテル;ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のテトラグリシジルエーテル;が挙げられる。
アリルエーテル化合物として、ポリエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、フェニルエチルアリルエーテル、フェニルブチルアリルエーテル、4−メトキシベンジルアリルエーテル、2−メトキシベンジルアリルエーテル及び1,4−ジアリルオキシメチルベンゼンが挙げられる。
中でも、量産性と熱安定性の観点から、トリオキサン100重量部に対し、トリオキサン以外の1種又は2種以上の環状エーテル及び/又は環状ホルマールからなるコモノマーを0.5〜30重量部、好ましくは1.0〜15重量部を添加して得られるポリポリオキシメチレンコポリマーが好ましい。
コモノマーが0.5重量部以上であれば、溶融紡糸に必要な耐熱性が十分であり、押出機内部や紡糸ノズル内の滞留部でポリポリオキシメチレンコポリマーの分解、発泡が生じにくく、加工性に優れる。30重量部以下であれば、ポリポリオキシメチレンコポリマーを製造する際の歩留まりが向上する。また、グリシジルエーテル化合物、エポキシ化合物及び/又はアリルエーテル化合物の量は、特に限定されないが、トリオキサン100重量部に対し、グリシジルエーテル化合物、エポキシ化合物及び/又はアリルエーテル化合物を好ましくは0.005〜20重量部添加することができる。
本発明に用いるポリオキシメチレン樹脂は、ISO 1133に則ったMVR(Melt Volume Rate)が100cm3/10分以下であることが好ましい。MVRが大きいほど溶融紡糸で細い糸を得るのに適しているが、100cm3/10分以下であれば、機械物性(特に靭性)に優れるという利点がある。MVRは、重合反応における連鎖移動剤の量を適宜調整することによって調整することができる。
連鎖移動剤としては、カルボン酸、カルボン酸無水物、エステル、アミド、イミド、フェノ−ル類、及びアセタール化合物等が挙げられる。中でも、フェノール、2,6−ジメチルフェノール、メチラール、及びポリアセタールジメトキシドが好ましく、メチラールがより好ましい。溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。連鎖移動剤は、単独又は溶媒に溶解させた溶液の形態で使用することができる。連鎖移動剤がメチラールの場合、その添加量は、通常、トリオキサンに対して、2×10−1wt%未満の範囲とすることができる。
本発明におけるポリ乳酸樹脂とは、L−乳酸のみ、D−乳酸のみ、L−乳酸とD−乳酸の混合物の何れかを主たる構成成分とするポリマー、もしくはその混合物であるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他のモノマー単位としては、ε―カプロラクトンなどの環状ラクトン類、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸などのα−オキシ酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのグリコール化合物、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸を挙げることができる。この中でも、グリコール類および環状ラクトン類が好ましい。
ポリ乳酸樹脂の重合方法としては、公知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などが例示される。開環重合法としては、L−ラクチド、更には共重合成分(コモノマー、またはオリゴマー)を触媒存在下にて開環重合し、必要に応じて再沈殿精製して得ることができる。
ポリ乳酸樹脂の分子量や分子量分布は特に制限されるものではないが、数平均分子量としては1万以上が好ましく、より好ましくは5万以上である。ポリ乳酸樹脂の融点は、特に制限されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、更に150℃以上であることが好ましい。
本発明において、内部滑剤として使用するポリオレフィン系ワックスはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである。当該ポリオレフィン系ワックスの数平均分子量は5,000以上であり、その室温での性状は高粘度液体ないしは粉末状である。添加量はPOM-PLAポリマーアロイに対して0.1重量部から5重量部が好ましい。
本発明において、内部滑剤として使用するポリジメチルシロキサンは広い温度に渡って熱酸化安定性、電気特性、撥水性に優れている。本発明に用いられるポリジメチルシロキサンの数平均分子量は10,000以上で、その添加量はPOM-PLAポリマーアロイに対して0.1重量部から5重量部が好ましい。
<POM-PLAポリマーアロイ延伸繊維の製造方法>
本発明のPOM-PLAポリマーアロイ延伸繊維の製造方法は、工程1:POM-PLAポリマーアロイを溶融紡糸して繊維を得る工程、及び工程2:工程1で得られる繊維を100℃以上POM-PLAポリマーアロイの融点未満で延伸して延伸繊維を得る工程からなる2工程で構成される。
本発明のPOM-PLAポリマーアロイ延伸繊維の製造方法は、工程1:POM-PLAポリマーアロイを溶融紡糸して繊維を得る工程、及び工程2:工程1で得られる繊維を100℃以上POM-PLAポリマーアロイの融点未満で延伸して延伸繊維を得る工程からなる2工程で構成される。
工程1の溶融紡糸の条件は、POM-PLAポリマーアロイの繊維が得られる条件であれば、特に限定されず、例えば、溶融紡糸装置の吐出ノズルの温度をPOM-PLAポリマーアロイの融点〜250℃に加熱しながら、POM-PLAポリマーアロイの繊維状物を引取る例が挙げられる。溶融紡糸装置として、例えば、一般的な単軸押出機、ギアポンプ、スクリーン、ダイから構成されるモノフィラメント繊維やマルチフィラメント繊維の溶融紡糸装置が挙げられる。
工程2は、工程1で得られる繊維を100℃以上POM-PLAポリマーアロイの融点未満で延伸して延伸繊維を得る工程であるが、120℃から140℃で延伸することが望ましい。延伸する方法としては、延伸繊維に対して、実用上十分な引張強度を与えることができる方法であれば、特に限定されないが、繊維をローラーから巻出し、加熱しながら巻取ローラーに巻取る方法で、その巻出ローラーと巻取ローラーの速度比を適宜設定することが挙げられる。また、溶融紡糸時に、高速で巻き取る工程、及び高温・高速の空気流で溶融樹脂を糸状に吹き出す工程等、繊維状に固化する工程が延伸工程を含んでいてもよい。すなわち、工程1及び工程2を1段階で行うこともできる。
延伸工程における加熱温度は、100℃以上POM-PLAポリマーアロイの融点未満であり、好ましくは120℃以上POM-PLAポリマーアロイの融点未満であり、より好ましくは120℃から140℃である。加熱温度が100℃未満の場合は、POM-PLAポリマーアロイの融点より低すぎるため、繊維切れが多発し、高い延伸倍率を得ることができない。更に、繊維の外観の悪化や繊維内部の構造欠陥が生じてしまい、高い引張強度が得られない。また、加熱温度がPOM-PLAポリマーアロイの融点以上の場合は、加熱時に未延伸繊維が溶融し繊維切れが生じ易く、更には延伸時にポリマー鎖の配向が進まないために繊維にテンションが掛からず、高い引張強度が得られない。なお、本発明のPOM-PLAポリマーアロイの融点は、140〜180℃であり、好ましくは150℃〜170℃である。
繊維の引張強度が低い場合には、2次加工を行う際に繊維の強度が足りずに、途中で繊維が破断、変形することがあり、また、2次加工により得られた繊維集合体の強度が低く、実用に堪えない可能性があるため、フィラメントの引張強度は、1.5g/Dtex以上であることが好ましく、4g/Dtex以上であることがより好ましい。また、繊維の延伸倍率は、6〜20倍、好ましくは8〜15倍であり、延伸倍率は、未延伸繊維の巻出し速度及び延伸繊維の巻取り速度から算出することができる。
本発明では工程-1でノズル穴が1個の場合はモノフィラメント、複数個の場合はマルチフィラメントが製造出来る。マルチフィラメントの場合、1本の繊維の太さが1DTexから100DTexの繊維の集合体であり通常は5Dtexから20DTexの太さの繊維の集合体である。
本発明の内部滑剤を含有するポリオキシメチレン樹脂-ポリ乳酸樹脂組成物では、当該樹脂組成物から製造されるモノフィラメント繊維及びマルチフィラメント繊維の結節強度が改善された。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に示す実施例に制限されるものではない。
<実施例及び比較例>
<実施例及び比較例>
<材料>
・ポリオキシメチレン樹脂,トリオキサンに対して1,3−ジオキソラン(コモノマー)3質量%を共重合してなるポリオキシメチレンコポリマー:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ユピタールF10−02、F20−03とポリオキシメチレンホモポリマーであるデュポン社製デルリン100、500を用いた。
・ポリ乳酸樹脂,ユニチカ製テラマックTP-4000を用いた。
・ポリオレフィン系ワックス 三洋化成工業製、ポリエチレングリコールPEG-20000P(数平均分子量20,000)を用いた。
・ポリジメチルシロキサン 信越化学製シリコンオイルG-501(重合度10,000)を用いた。
・ポリオキシメチレン樹脂,トリオキサンに対して1,3−ジオキソラン(コモノマー)3質量%を共重合してなるポリオキシメチレンコポリマー:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ユピタールF10−02、F20−03とポリオキシメチレンホモポリマーであるデュポン社製デルリン100、500を用いた。
・ポリ乳酸樹脂,ユニチカ製テラマックTP-4000を用いた。
・ポリオレフィン系ワックス 三洋化成工業製、ポリエチレングリコールPEG-20000P(数平均分子量20,000)を用いた。
・ポリジメチルシロキサン 信越化学製シリコンオイルG-501(重合度10,000)を用いた。
<POM-PLAポリマーアロイの準備>
ポリオキシメチレン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリオレフィン系ワックス、ポリジメチルシロキサン及び酸化安定剤等の添加剤を配合し、予め口径30mmの二軸押出機において樹脂温度210℃で溶融混練し、ペレット化した。
ポリオキシメチレン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリオレフィン系ワックス、ポリジメチルシロキサン及び酸化安定剤等の添加剤を配合し、予め口径30mmの二軸押出機において樹脂温度210℃で溶融混練し、ペレット化した。
<溶融紡糸>
溶融紡糸では溶融紡糸機のシリンダー、ノズル部の温度を200℃に加温し、1ホールの直径が0.6mm、48ホールを備えたノズルにて1.2kg/時間でポリオキシメチレン樹脂組成物を吐出し、この時に繊維切れが生じる最大引取り速度をもって紡糸加工性の指標とした。次に引取り速度を100m/分に固定して連続的に未延伸繊維を採取し、これを引き続き加熱延伸の工程へ導き、ロール温度は120〜130℃で8.5〜11倍延伸を行い、モノフィラメント1本あたりの太さで凡そ325〜340dTex、36フィラメントからなる約330〜360dTexのマルチフィラメントを調製した。
溶融紡糸では溶融紡糸機のシリンダー、ノズル部の温度を200℃に加温し、1ホールの直径が0.6mm、48ホールを備えたノズルにて1.2kg/時間でポリオキシメチレン樹脂組成物を吐出し、この時に繊維切れが生じる最大引取り速度をもって紡糸加工性の指標とした。次に引取り速度を100m/分に固定して連続的に未延伸繊維を採取し、これを引き続き加熱延伸の工程へ導き、ロール温度は120〜130℃で8.5〜11倍延伸を行い、モノフィラメント1本あたりの太さで凡そ325〜340dTex、36フィラメントからなる約330〜360dTexのマルチフィラメントを調製した。
結果を表1に示す。表1−1、表1−2の強度比(%)(即ち、(結節強度/直線強度)X100)の結果から明らかなように、強度比は実施例の場合が大きく、実施例の結節強度は比較例の場合に比較して、いずれも改善されている。
本発明に従えば、ポリオキシメチレン樹脂繊維の結節強度が改善されるので、同繊維を釣り糸、漁網等に利用可能となるだけでなく、ポリ乳酸の寄与で、釣り糸、漁網等が自然界に遺棄された場合でも、自然に崩壊し、自然界の汚染を防止できる。
Claims (9)
- ポリオキシメチレン樹脂(POM)60〜80重量部とポリ乳酸樹脂(PLA)20〜40重量部(両者の合計量は100重量部)及び内部滑剤0.1〜5重量部、更に必要に応じてその他の添加剤を溶融混練して得られるポリマーアロイ(POM-PLAポリマーアロイ)を溶融紡糸後、当該繊維を6〜20倍に延伸して得られる結節強度の改善されたモノフィラメント繊維。
- 請求項-1記載のモノフィラメント繊維複数本を撚糸して得られるマルチフィラメント繊維。
- 内部滑剤としてポリオレフィン系ワックスとポリジメチルシロキサンとを含有する請求項1記載の結節強度の改善されたモノフィラメント繊維。
- 請求項3記載のモノフィラメント繊維複数本を撚糸して得られるマルチフィラメント繊維。
- 数平均分子量が5000以上のポリオレフィン系ワックスを含有する請求項-3記載の結節強度の改善されたモノフィラメント繊維。
- 請求項5記載のモノフィラメント繊維複数本を撚糸して得られるマルチフィラメント繊維。
- 重合度が4,000以上のポリジメチルシロキサンを含有する請求項-3記載の結節強度の改善されたモノフィラメント繊維。
- 請求項7記載のモノフィラメント繊維複数本を撚糸して得られるマルチフィラメント繊維。
- 請求項-1〜8記載のモノフィラメント繊維或いはマルチフィラメント繊維から得られる釣り糸。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017109870A JP2018204139A (ja) | 2017-06-02 | 2017-06-02 | ポリオキシメチレン樹脂とポリ乳酸樹脂とのアロイを基材とする結節強度の改善された繊維及び当該繊維を原料とする釣り糸 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017109870A JP2018204139A (ja) | 2017-06-02 | 2017-06-02 | ポリオキシメチレン樹脂とポリ乳酸樹脂とのアロイを基材とする結節強度の改善された繊維及び当該繊維を原料とする釣り糸 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018204139A true JP2018204139A (ja) | 2018-12-27 |
Family
ID=64956547
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017109870A Pending JP2018204139A (ja) | 2017-06-02 | 2017-06-02 | ポリオキシメチレン樹脂とポリ乳酸樹脂とのアロイを基材とする結節強度の改善された繊維及び当該繊維を原料とする釣り糸 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018204139A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102019134678A1 (de) | 2018-12-27 | 2020-07-02 | Canon Kabushiki Kaisha | Multifunktionsmaschine, bildabtastgerät, steuerungsverfahren für die multifunktionsmaschine und computerlesbares speichermedium |
DE102020000084A1 (de) | 2019-01-17 | 2020-07-23 | Canon Kabushiki Kaisha | Bildlesevorrichtung, verfahren zum steuern einer bildlesevorrichtung und speichermedium |
-
2017
- 2017-06-02 JP JP2017109870A patent/JP2018204139A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102019134678A1 (de) | 2018-12-27 | 2020-07-02 | Canon Kabushiki Kaisha | Multifunktionsmaschine, bildabtastgerät, steuerungsverfahren für die multifunktionsmaschine und computerlesbares speichermedium |
DE102020000084A1 (de) | 2019-01-17 | 2020-07-23 | Canon Kabushiki Kaisha | Bildlesevorrichtung, verfahren zum steuern einer bildlesevorrichtung und speichermedium |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4907023B2 (ja) | ポリオキシメチレン繊維の製造方法 | |
JPWO2009145193A1 (ja) | 多層複合繊維 | |
KR102141799B1 (ko) | 폴리아세탈 연신 섬유 | |
JP2018204139A (ja) | ポリオキシメチレン樹脂とポリ乳酸樹脂とのアロイを基材とする結節強度の改善された繊維及び当該繊維を原料とする釣り糸 | |
JP2006009205A (ja) | ポリオキシメチレン樹脂製複合繊維 | |
JP2021134431A (ja) | 抗菌性樹脂繊維 | |
JP2006009196A (ja) | ポリオキシメチレン樹脂製繊維及びその製造方法 | |
US11761121B2 (en) | Method for producing polyacetal fiber | |
JP2010174236A (ja) | 樹脂組成物及び成形体 | |
JP7310603B2 (ja) | ポリアセタール繊維の製造方法 | |
CN113557327B (zh) | 聚缩醛纤维及其制造方法、以及拉伸用材料 | |
JP2005264355A (ja) | ポリオキシメチレン樹脂製延伸体の製造方法 | |
JP2019148025A (ja) | 多層複合繊維、不織布及び製品 | |
JP2021130880A (ja) | 易染色性ポリアセタール樹脂繊維及びその染色方法 | |
JP2016020551A (ja) | 樹脂成形体の製造方法 | |
JP2020133032A (ja) | ポリアセタール樹脂とポリ乳酸樹脂のアロイを基材とする多層複合繊維、不織布及び製品 | |
JP2020133031A (ja) | ポリアセタール樹脂及びその樹脂組成物からなる芯鞘構造を有する多層複合繊維、これを用いた不織布及び当該不織布を用いた製品 | |
JP2014152217A (ja) | 多孔体 | |
JP2013139503A (ja) | ウェルド部を有する成形品に成形するためのポリアセタール樹脂組成物 |