JP2018203924A - 含フッ素弾性共重合体の製造方法 - Google Patents

含フッ素弾性共重合体の製造方法 Download PDF

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裕紀子 服部
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Abstract

【課題】他の樹脂が含フッ素弾性共重合体に混入しにくく、かつ金属元素の含有量が少ない含フッ素弾性共重合体を得ることができる含フッ素弾性共重合体の製造方法の提供。【解決手段】容器内にて含フッ素弾性共重合体を含むラテックスと酸を含む酸水溶液とを混合することによって、含フッ素弾性共重合体を凝集させて回収する含フッ素弾性共重合体の製造方法であり、容器として少なくとも酸と接する部分が下記溶出試験による金属溶出量が10質量ppm以下となる金属からなるものを用い、酸として金属元素を有しない酸を用いる。溶出試験:100mm×10mm×1mmの金属片をガラス製容器中の50℃の前記酸水溶液の50mLに6日間浸漬した後、酸水溶液における金属元素の含有量を測定した値から、50℃の酸水溶液の50mLをガラス製容器中に6日間入れた後、酸水溶液における金属元素の含有量を測定した値を引いた値を計算し、金属溶出量とする。【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素弾性共重合体の製造方法に関する。
含フッ素弾性共重合体を架橋した架橋ゴム物品は、耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性等に優れることから、過酷な環境で用いられる半導体製造装置用シール材として好適である。半導体製造装置用シール材には、半導体製品に影響を与える金属成分をできるだけ放出しないことが求められる。よって、半導体製造装置用シール材には、金属元素の含有量が少ないものを用いる必要がある。
金属元素の含有量が少ない含フッ素弾性共重合体を製造する方法としては、下記の方法が提案されている。
・金属化合物を用いない乳化重合法によって含フッ素弾性共重合体を含むラテックスを得て、樹脂製容器または樹脂ライニング容器内にてラテックス中の含フッ素弾性共重合体を、金属元素を含まない酸を用いて凝集させる方法(特許文献1)。
国際公開第99/50319号
しかし、特許文献1に記載された方法においては、酸による凝集処理に用いる容器として、樹脂製容器または樹脂ライニング容器を用いているため、凝集処理の際の撹拌によって容器の内壁から樹脂が脱落し、含フッ素弾性共重合体に混入することがある。
本発明は、他の樹脂が含フッ素弾性共重合体に混入しにくく、かつ金属元素の含有量が少ない含フッ素弾性共重合体を得ることができる含フッ素弾性共重合体の製造方法を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>容器内にて、含フッ素弾性共重合体を含むラテックスと、酸を含む酸水溶液とを混合することによって、含フッ素弾性共重合体を凝集させて回収する含フッ素弾性共重合体の製造方法であり;前記容器として、少なくとも前記酸と接する部分が、下記溶出試験による金属溶出量が10質量ppm以下となる金属からなるものを用い;前記酸として、金属元素を有しない酸を用いる、含フッ素弾性共重合体の製造方法。
溶出試験:100mm×10mm×1mmの金属片を、ガラス製容器中の50℃の前記酸水溶液の50mLに6日間浸漬した後、前記酸水溶液における金属元素の含有量を測定した値から、50℃の前記酸水溶液の50mLをガラス製容器中に6日間入れた後、前記酸水溶液における金属元素の含有量を測定した値を、引いた値を計算し、これを金属溶出量とする。
<2>前記酸が、硝酸である、前記<1>の含フッ素弾性共重合体の製造方法。
<3>前記容器における少なくとも前記酸と接する部分の前記金属が、JISで定められたSUS304、SUS316またはSUS316Lである、前記<2>の含フッ素弾性共重合体の製造方法。
<4>凝集し、回収した前記含フッ素弾性共重合体において、金属元素の含有量が20質量ppm以下である、前記<1>〜<3>のいずれかの含フッ素弾性共重合体の製造方法。
<5>前記含フッ素弾性共重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位(a)と、下式(1)で表される化合物に基づく単位(b)とを有する、前記<1>〜<4>のいずれかの含フッ素弾性共重合体の製造方法。
CF=CFORf1 (1)
ただし、Rf1は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基である。
本発明の含フッ素弾性共重合体の製造方法によれば、他の樹脂が含フッ素弾性共重合体に混入しにくく、かつ金属元素の含有量が少ない含フッ素弾性共重合体を得ることができる。
以下、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
本明細書における以下の用語の意味は、以下の通りである。
「単位」とは、単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する単位をいう。単位は、単量体の重合反応によって直接形成された単位であってもよく、重合体を処理することによって該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
「ペルフルオロアルキル基」とは、アルキル基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換された基をいう。
「ペルフルオロアルキレン基」とは、アルキレン基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換された基を意味する。
「ポリフルオロアルキレン基」とは、アルキレン基の水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換された基を意味する。
「エーテル性酸素原子」とは、炭素原子−炭素原子間においてエーテル結合(−O−)を形成する酸素原子をいう。
「金属元素を有しない酸」とは、酸としての性質を有する化合物を構成する元素として金属元素が存在しない化合物をいう。
酸水溶液および液状媒体における金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて、絶対検量線法によって測定した29種類の金属元素(Fe、Na、K、Li、Be、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Cs、Ba、Pb、Bi)の含有量の合計値である。
含フッ素弾性共重合体における金属元素の含有量は、含フッ素弾性共重合体を白金ルツボに入れて高温電気加熱炉で灰化した後、硫酸白煙処理を行い、希硝酸に溶解した液について、誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて、絶対検量線法によって測定した29種類の金属元素(Fe、Na、K、Li、Be、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Cs、Ba、Pb、Bi)の含有量の合計値である。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
<含フッ素弾性共重合体>
本発明の製造方法によって得られる含フッ素弾性共重合体としては、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体(FKM)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン系共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体(FEPM)、テトラフルオロエチレン/プロピレン/フッ化ビニリデン系共重合体、ヘキサフルオロプロピレン/エチレン系共重合体、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体(FFKM)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体等が挙げられる。
含フッ素弾性共重合体としては、耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐候性等の点から、FEPMまたはFFKMが好ましく、耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性等に優れ、半導体製造装置用シール材として好適である点から、FFKM、すなわち下記含フッ素弾性共重合体(X)が特に好ましい。
含フッ素弾性共重合体(X)は、テトラフルオロエチレン(以下、TFEとも記す。)に基づく単位(a)と、後述する化合物(1)に基づく単位(b)とを有する。
含フッ素弾性共重合体(X)は、架橋ゴム物品としたときの低温特性に優れる点から、後述する化合物(2)に基づく単位(c)をさらに有いていてもよい。
含フッ素弾性共重合体(X)は、架橋ゴム物品としたときのゴム物性がさらに優れる点から、重合性不飽和結合を2個以上有する含フッ素単量体に基づく単位(d)をさらに有いていてもよい。
含フッ素弾性共重合体(X)は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の単量体に基づく単位(e)をさらに有していてもよい。
(単位(a))
単位(a)は、TFEに基づく単位である。
(単位(b))
単位(b)は、化合物(1)に基づく単位である。
CF=CFORf1 (1)
ただし、Rf1は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基である。
f1において、ペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。Rf1の炭素数は、含フッ素弾性共重合体(X)の生産性が向上する点から、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
化合物(1)の具体例としては、下記のものが挙げられる。
CF=CFOCF(PMVE)、
CF=CFOCFCF(PEVE)、
CF=CFOCFCFCF(PPVE)、
CF=CFOCFCFCFCF等。
化合物(1)としては、含フッ素弾性共重合体(X)の生産性が向上する点から、PMVE、PEVE、PPVEが好ましい。
(単位(c))
単位(c)は、化合物(2)に基づく単位である。
CF=CF(OCFCF−(OCF−ORf2 (2)
ただし、Rf2は、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、nは、0〜3の整数であり、mは、0〜4の整数であり、n+mは、1〜7の整数である。
f2において、ペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。Rf2の炭素数は、1〜3が好ましい。
nが0のとき、mは3または4が好ましい。
nが1のとき、mは2〜4の整数が好ましい。
nが2または3のとき、mは0が好ましい。
nは、1〜3の整数が好ましい。
f2の炭素数、nおよびmが前記範囲内であれば、含フッ素弾性共重合体(X)を架橋ゴム物品としたときの低温特性がさらに優れ、また、含フッ素弾性共重合体(X)の生産性が向上する。
化合物(2)の具体例としては、下記のものが挙げられる。
CF=CF−OCFCF−OCF−OCF−OCF−OCF−OCF(C9PEVE)、
CF=CF−OCFCF−OCF−OCF−OCF(C7PEVE)、
CF=CF−OCFCF−OCFCF−OCFCF(EEAVE)、
CF=CF−OCF−OCF
CF=CF−OCF−OCFCF
CF=CF−OCF−OCF−OCF
CF=CF−O(CFCF(CF)O)CFCFCF等。
化合物(2)としては、含フッ素弾性共重合体(X)を架橋ゴム物品としたときの低温特性がさらに優れ、また、含フッ素弾性共重合体(X)の生産性が向上する点から、C9PEVE、C7PEVE、EEAVEが好ましい。
(単位(d))
単位(d)は、重合性不飽和結合を2個以上有する含フッ素単量体に基づく単位である。
重合性不飽和結合としては、炭素原子−炭素原子間の二重結合(C=C)、三重結合(C≡C)等が挙げられ、二重結合が好ましい。重合性不飽和結合の数は、2〜6個が好ましく、2または3個がより好ましく、2個が特に好ましい。
重合性不飽和結合を2個以上有する含フッ素単量体は、ぺルフルオロ化合物であることが好ましい。
重合性不飽和結合を2個以上有する含フッ素単量体としては、含フッ素弾性共重合体(X)を架橋ゴム物品としたときのゴム物性を維持しつつ低温特性がさらに優れる点から、化合物(3)が好ましい。
CF=CFORf3OCF=CF (3)
ただし、Rf3は、炭素数1〜25のペルフルオロアルキレン基、または炭素数2〜25のペルフルオロアルキレン基の炭素原子−炭素原子間に1個以上のエーテル性酸素原子を有する基である。
f3において、ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。Rf3の炭素数は、含フッ素弾性共重合体(X)を架橋ゴム物品としたときのゴム物性を維持しつつ低温特性がさらに優れる点から、3または4が好ましい。
化合物(3)の具体例としては、下記のものが挙げられる。
CF=CFO(CFOCF=CF
CF=CFO(CFOCF=CF(C3DVE)、
CF=CFO(CFOCF=CF(C4DVE)、
CF=CFO(CFOCF=CF
CF=CFO(CFOCF=CF
CF=CFO(CFOCF(CF)CFOCF=CF
CF=CFO(CFO(CF(CF)CFO)CF=CF
CF=CFOCFO(CFCFO)CF=CF
CF=CFO(CFO)O(CF(CF)CFO)CF=CF
CF=CFOCFCF(CF)O(CFOCF(CF)CFOCF=CF
CF=CFOCFCFO(CFO)CFCFOCF=CF等。
化合物(3)としては、含フッ素弾性共重合体(X)を架橋ゴム物品としたときのゴム物性を維持しつつ低温特性がさらに優れる点から、C3DVE、C4DVEが特に好ましい。
(単位(e))
単位(e)は、他の単量体に基づく単位である。
他の単量体としては、フッ素原子およびフッ素原子以外のハロゲン原子を有する単量体(ブロモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレン等)、フッ素原子およびニトリル基を有する単量体(CF=CFO(CFCN、ペルフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)等)が挙げられる。
(各単位の割合)
単位(a)の割合は、含フッ素弾性共重合体(X)を構成するすべての単位(100モル%)のうち、35〜75モル%が好ましく、40〜75モル%がより好ましく、50〜75モル%がさらに好ましい。
単位(b)の割合は、含フッ素弾性共重合体(X)を構成するすべての単位(100モル%)のうち、3〜57モル%が好ましく、5〜50モル%がより好ましく、10〜40モル%がさらに好ましい。
単位(c)の割合は、含フッ素弾性共重合体(X)を構成するすべての単位(100モル%)のうち、3〜57モル%が好ましく、5〜40モル%がより好ましく、8〜30モル%がさらに好ましい。
単位(d)の割合は、含フッ素弾性共重合体(X)を構成するすべての単位(100モル%)のうち、0.01〜1モル%が好ましく、0.05〜0.5モル%がより好ましく、0.05〜0.3モル%がさらに好ましい。
単位(e)の割合は、含フッ素弾性共重合体(X)を構成するすべての単位(100モル%)のうち、0〜5モル%が好ましく、0〜3モル%がより好ましく、0〜2モル%がさらに好ましい。
(ヨウ素原子)
含フッ素弾性共重合体は、含フッ素弾性共重合体の架橋性に優れ、また、架橋ゴム物品のゴム物性がさらに優れる点から、ヨウ素原子をさらに有することが好ましい。ヨウ素原子は、含フッ素弾性共重合体の高分子鎖の末端に結合していることが好ましい。高分子鎖の末端とは、主鎖の末端および分岐鎖の末端の両方を含む概念とする。
ヨウ素原子の含有量は、含フッ素弾性共重合体(100質量%)のうち、0.01〜1.5質量%が好ましく、0.01〜1.0質量%がより好ましい。ヨウ素原子の含有量が前記範囲内であれば、含フッ素弾性共重合体の架橋性がさらに優れ、また、架橋ゴム物品のゴム物性がさらに優れる。
<含フッ素弾性共重合体の製造方法>
本発明の含フッ素弾性共重合体の製造方法は、容器内にて、含フッ素弾性共重合体を含むラテックスと、酸を含む酸水溶液とを混合することによって、含フッ素弾性共重合体を凝集させて回収する方法である。
(ラテックスの製造)
含フッ素弾性共重合体を含むラテックスは、乳化重合法によって得られる。
乳化重合法においては、たとえば、ラジカル重合開始剤および乳化剤を含む水性媒体中で、TFEと化合物(1)とを含む単量体成分を重合させる。
ラジカル重合開始剤としては、公知のものを用いればよい。
乳化重合に用いるラジカル重合開始剤としては、水溶性開始剤が好ましい。水溶性開始剤としては、過硫酸類(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等)、過酸化水素、水溶性有機過酸化物(ジコハク酸ペルオキシド、ジグルタル酸ペルオキシド、tert−ブチルヒドロキシペルオキシド等)、有機系開始剤(アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩等)、過硫酸類または過酸化水素と、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤との組合せからなるレドックス系開始剤、レドックス系開始剤に少量の鉄、第一鉄塩、硫酸銀等をさらに共存させた系の無機系開始剤等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の量は、単量体成分の100質量部に対して、0.0001〜5質量部が好ましく、0.001〜2質量部がより好ましい。
ラジカル重合開始剤を用いる場合、連鎖移動剤の存在下に単量体成分を重合させることが好ましい。
連鎖移動剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール等)、クロロフルオロハイドロカーボン(1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン等)、ハイドロカーボン(ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等)、化合物(4)、化合物(5)、メルカプタン類(tert−ドデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン等)等が挙げられる。
f4 (4)
f4IBr (5)
ただし、Rf4は、炭素数1〜16のポリフルオロアルキレン基である。
f4において、ポリフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。Rf4としては、ペルフルオロアルキレン基が好ましい。
連鎖移動剤としては、含フッ素弾性共重合体の架橋性に優れ、架橋ゴム物品のゴム物性がさらに優れる点から、化合物(4)が好ましい。
化合物(4)としては、1,4−ジヨードペルフルオロブタン、1,6−ジヨードペルフルオロヘキサン、1,8−ジヨードペルフルオロオクタン等が挙げられ、重合反応性に優れる点から、1,4−ジヨードペルフルオロブタンが好ましい。
連鎖移動剤の量は、連鎖移動剤の連鎖移動定数に基づき適宜設定される。化合物(4)を用いる場合は、単量体成分の100質量部に対して、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましい。
水性媒体としては、水、水と水溶性有機溶媒との混合物等が挙げられる。
水溶性有機溶媒としては、tert−ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール等が挙げられ、単量体の重合速度が低下しない点から、tert−ブタノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
水性媒体が水溶性有機溶媒を含むと、単量体の分散性および含フッ素弾性共重合体の分散性に優れ、また、含フッ素弾性共重合体の生産性に優れる。
水溶性有機溶媒の含有量は、水の100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましい。
乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤等が挙げられ、ラテックスの機械的および化学的安定性がさらに優れる点から、アニオン性乳化剤が好ましい。
アニオン性乳化剤としては、炭化水素系乳化剤(ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、含フッ素系乳化剤(ペルフルオロオクタン酸アンモニウム、ペルフルオロオクタン酸ナトリウム、ペルフルオロヘキサン酸アンモニウム、化合物(6)等)等が挙げられる。
F(CFO(CF(X)CFO)CF(Y)COOA (6)
ただし、XおよびYは、それぞれフッ素原子または炭素数1〜3の直鎖状または分岐状のペルフルオロアルキル基であり、Aは、水素原子、アルカリ金属またはNHであり、pは、2〜10の整数であり、qは、0〜3の整数である。
化合物(6)としては、下記のものが挙げられる。
OCFCFOCFCOONH
F(CFO(CF(CF)CFO)CF(CF)COONH
F(CFOCFCFOCFCOONH
F(CFO(CFCFO)CFCOONH
F(CFOCFCFOCFCOONH
F(CFO(CFCFO)CFCOONH
F(CFOCFCFOCFCOONa、
F(CFO(CFCFO)CFCOONa、
F(CFOCFCFOCFCOONa、
F(CFO(CFCFO)CFCOONa、
F(CFOCFCFOCFCOONH
F(CFO(CFCFO)CFCOONH
F(CFOCFCFOCFCOONa、
F(CFO(CFCFO)CFCOONa等。
アニオン性乳化剤としては、ペルフルオロオクタン酸アンモニウム、COCFCFOCFCOONH、F(CFOCFCFOCFCOONH、F(CFOCFCFOCFCOONHが好ましい。
乳化剤の量は、水性媒体の100質量部に対して、0.01〜15質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
ラジカル重合の重合条件は、単量体組成、ラジカル重合開始剤の分解温度によって適宜選択される。
重合圧力は、0.1〜20MPa[gauge]が好ましく、0.3〜10MPa[gauge]がより好ましく、0.3〜5MPa[gauge]がさらに好ましい。
重合温度は、0〜100℃が好ましく、10〜90℃がより好ましく、20〜80℃がさらに好ましい。
重合時間は、1〜72時間が好ましく、1〜24時間がより好ましく、1〜12時間がさらに好ましい。
乳化重合に用いられる化合物(単量体成分、重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤、pH調整剤等。ただし、水性媒体を除く。)としては、金属元素の含有量が少ない含フッ素弾性共重合体を得やすい点から、金属元素を有する化合物を用いないことが好ましい。
乳化重合に用いられる水性媒体は、金属元素の含有量が少ない含フッ素弾性共重合体を得やすい点から、金属元素の含有量が2質量ppm以下が好ましく、1質量ppm以下がより好ましく、0.5質量ppm以下がさらに好ましい。金属元素の含有量の下限値は0質量ppbである。水性媒体としては、超純水が特に好ましい。
(凝集)
含フッ素弾性共重合体は、酸による凝集によってラテックスから分離される。
酸による凝集処理は、容器内にて、含フッ素弾性共重合体を含むラテックスと酸を含む酸水溶液とを混合することによって行われる。
容器としては、少なくとも酸と接する部分が金属からなるものを用いる。容器における酸と接する部分に金属を用いる、すなわち樹脂を用いないことによって、他の樹脂が含フッ素弾性共重合体に混入しにくい。
容器に用いる金属としては、酸によって腐食しにくい点から、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼、銅、銅合金、アルミニウム合金、工業用純チタン、ニッケル合金が好ましく、ステンレス鋼が特に好ましい。
ステンレス鋼としては、JIS G 4304:2012「熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯」(対応国際規格ISO 16143−1:2004、ISO 9444−1:2009、ISO 9444−2:2009、ISO 18286:2008)、JIS G 4305:2012「冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯」(対応国際規格ISO 16143−1:2004、ISO 9445−1:2009、ISO 9445−2:2009)等の様々な日本工業規格に記載のステンレス鋼(SUS)が挙げられる。日本工業規格に定められたステンレス鋼の種類としては、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト系、フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系が挙げられる。
JISに定められたステンレス鋼としては、具体的には下記のものが挙げられる。
オーステナイト系:SUS201、SUS202、SUS301、SUS301L、SUS301J1、SUS302、SUS302B、SUS303、SUS303Se、SUS303Cu、SUS304、SUS304Cu、SUS304H、SUS304L、SUS304N、SUS304N1、SUS304N2、SUS304LN、SUS304J1、SUS304J2、SUS304J3、SUS305、SUS305J1、SUS308、SUS308L、SUS309、SUS309L、SUS309Mo、SUS309S、SUS310、SUS310S、SUS312、SUS312L、SUS315J1、SUS315J2、SUS316、SUS316H、SUS316L、SUS316LN、SUS316N、SUS316Ti、SUS316J1、SUS316J1L、SUS316F、SUS317、SUS317L、SUS317LN、SUS317J1、SUS317J2、SUS317J3L、SUS836L、SUS890L、SUS321、SUS321H、SUS347、SUS347H、SUS347L、SUS384、SUSXM7、SUSXM15J1。
オーステナイト・フェライト系:SUS329J1、SUS329J3L、SUS329J4L。
フェライト系:SUS405、SUS409、SUS409L、SUS410L、SUS410Ti、SUS429、SUS430、SUS430F、SUS430LX、SUS430J1L、SUS434、SUS436L、SUS436J1L、SUS444、SUS445J1、SUS445J2、SUS447J1、SUSXM8、SUSXM27。
マルテンサイト系:SUS403、SUS410、SUS410J1、SUS410F2、SUS410S、SUS416、SUS420J1、SUS420J2、SUS420F、SUS420F2、SUS431、SUS440A、SUS440B、SUS440C、SUS440F。
析出硬化系:SUS630、SUS631、SUS631J1。
本発明においては、容器として、少なくとも酸と接する部分が、下記溶出試験による金属溶出量が10質量ppm以下となる金属からなるものを用いる。
溶出試験:100mm×10mm×1mmの金属片を、ガラス製容器中の50℃の前記酸水溶液の50mLに6日間浸漬した後、前記酸水溶液における金属元素の含有量を測定した値から、50℃の前記酸水溶液の50mLをガラス製容器中に6日間入れた後、前記酸水溶液における金属元素の含有量を測定した値を、引いた値を計算し、これを金属溶出量とする。
溶出試験による金属溶出量は、10質量ppm以下であり、6質量ppm以下が好ましく、5質量ppm以下がより好ましい。溶出試験による金属溶出量が前記範囲の上限値以下であれば、この条件を満たす金属を容器における酸と接する部分に用いることによって、容器からの金属元素の溶出が抑えられ、金属元素の含有量が少ない含フッ素弾性共重合体を得ることができる。
酸が硝酸である場合、溶出試験による金属溶出量が10質量ppm以下となる金属としては、SUS304、SUS316、SUS316Lが挙げられ、金属溶出量がより少ない点から、SUS304が特に好ましい。
凝集処理に用いる酸としては、金属元素の含有量が少ない含フッ素弾性共重合体を得る点から、金属元素を有しない酸を用いる。
金属元素を有しない酸としては、硝酸、硫酸、シュウ酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸等が挙げられる。金属元素を有しない酸としては、金属に対する腐食性が低い点から、塩化物イオンを有しない酸が好ましく、硝酸または硫酸がより好ましく、最終的に得られる含フッ素弾性共重合体に残留する、酸に由来する陰イオンの量が少なく、架橋ゴム物品のゴム物性を低下させにくい点から、硝酸が特に好ましい。
酸水溶液中の酸の濃度は、0.1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。酸の濃度が前記範囲の下限値以上であれば、含フッ素弾性共重合体が凝集しやすい。酸の濃度が前記範囲の上限値以下であれば、含フッ素弾性共重合体の製造に用いる金属製機器(凝集槽、洗浄槽、乾燥機等)の腐食が抑えられ、また、最終的に得られる含フッ素弾性共重合体に残留する、酸に由来する陰イオンの量が少なく、架橋ゴム物品のゴム物性を低下させにくい。
酸水溶液の調製に用いる水は、金属元素の含有量が少ない含フッ素弾性共重合体を得やすい点から、金属元素の含有量が2質量ppm以下であることが好ましい。金属元素の含有量は、1質量ppm以下がより好ましく、0.5質量ppm以下がさらに好ましい。金属元素の含有量の下限値は0質量ppbである。水としては、超純水が特に好ましい。
酸水溶液の量は、含フッ素弾性共重合体の100質量部に対して10質量部以上が好ましく、50〜1000質量がより好ましく、100〜500質量がさらに好ましい。酸水溶液の量が前記範囲の下限値以上であれば、含フッ素弾性共重合体が凝集しやすい。酸水溶液の量が前記範囲の上限値以下であれば、凝集処理によって発生する排水の量が抑えられる。
凝集し、回収した含フッ素弾性共重合体における金属元素の含有量は、20質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下がより好ましく、5質量ppm以下がさらに好ましい。金属元素の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、含フッ素弾性共重合体からなる架橋ゴム物品を半導体製造装置用シール材としたときに、半導体製品に影響を与える金属成分の放出を充分に抑制できる。金属元素の含有量の下限値は0質量ppbである。
(洗浄)
凝集した含フッ素弾性共重合体は、ろ過等によって回収された後、液状媒体で洗浄されることが好ましい。
洗浄に用いる液状媒体としては、金属元素の含有量が少ない含フッ素弾性共重合体を得る点から、金属元素の含有量が2質量ppm以下であるものが好ましい。金属元素の含有量は、1質量ppm以下がより好ましく、0.5質量ppm以下がさらに好ましい。金属元素の含有量の下限値は0質量ppbである。
洗浄に用いる液状媒体としては、含フッ素弾性共重合体から金属元素および塩化物イオンを除去しやすい点から、水が好ましく、超純水が特に好ましい。
洗浄された含フッ素弾性共重合体は、ろ過等によって回収される。洗浄の回数は、1回であってもよく、2回以上であってもよい。
洗浄に用いる液状媒体の合計量は、含フッ素弾性共重合体の100質量部に対して10質量部以上が好ましく、50〜1000質量がより好ましく、100〜500質量がさらに好ましい。液状媒体の合計量が前記範囲の下限値以上であれば、含フッ素弾性共重合体に残留する、酸に由来する陰イオンの量が少なくなり、後段の乾燥機等の腐食が抑えられ、また、架橋ゴム物品のゴム物性を低下させにくい。液状媒体の合計量が前記範囲の上限値以下であれば、洗浄によって発生する排水の量が抑えられる。
(乾燥)
洗浄された含フッ素弾性共重合体は、熱による含フッ素弾性共重合体の劣化を抑え、架橋ゴム物品のゴム物性の低下を抑える点から、100℃未満の温度で減圧乾燥(真空乾燥)することが好ましい。
乾燥温度は、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、60℃以下がさらに好ましい。乾燥温度は、乾燥機内の雰囲気の温度である。
乾燥時の圧力は、50kPa以下が好ましく、30kPa以下がより好ましく、10kPa以下がさらに好ましい。乾燥時の圧力を前記範囲の上限値以下とすることによって、乾燥温度を低くしても含フッ素弾性共重合体を充分に乾燥できる。
乾燥した後の含フッ素弾性共重合体における金属元素の含有量は、20質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下がより好ましく、5質量ppm以下がさらに好ましい。金属元素の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、含フッ素弾性共重合体からなる架橋ゴム物品を半導体製造装置用シール材としたときに、半導体製品に影響を与える金属成分の放出を充分に抑制できる。金属元素の含有量の下限値は0質量ppbである。
(作用機序)
以上説明した本発明の含フッ素弾性共重合体の製造方法にあっては、容器における酸と接する部分に金属を用いる、すなわち樹脂を用いないため、他の樹脂が含フッ素弾性共重合体に混入しにくい。また、容器における酸と接する部分に、上述した溶出試験による金属溶出量が10質量ppm以下となる金属を用い、かつ酸として、金属元素を有しない酸を用いるため、金属元素の含有量が少ない含フッ素弾性共重合体を得ることができる。そのため、本発明の製造方法で得られた含フッ素弾性共重合体からなる架橋ゴム物品は、半導体製造装置用シール材として好適である。
<含フッ素弾性共重合体組成物>
含フッ素弾性共重合体組成物は、本発明の含フッ素弾性共重合体と、架橋剤とを含む。含フッ素弾性共重合体組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内において、必要に応じて架橋助剤、他の添加剤等を含んでいてもよい。
(架橋剤)
架橋剤としては、有機過酸化物、ポリオール、アミン、トリアジン等が挙げられ、架橋ゴム物品の生産性、耐熱性、耐薬品性に優れる点から、有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、ジアルキルペルオキシド類(ジtert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン−3等)、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゼン、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルオキシマレイン酸、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。有機過酸化物としては、ジアルキルペルオキシド類が好ましい。
架橋剤の配合量は、含フッ素弾性共重合体の100質量部に対して、0.3〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部がさらに好ましい。架橋剤の配合量が前記範囲内であれば、架橋ゴム物品の強度と伸びのバランスに優れる。
(架橋助剤)
含フッ素弾性共重合体組成物が架橋助剤をさらに含む場合、架橋効率がより高くなる。
架橋助剤としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリアリルトリメリテート、m−フェニレンジアミンビスマレイミド、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、N,N’,N’’,N’’’−テトラアリルテレフタールアミド、ビニル基含有シロキサンオリゴマー(ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルビニルシロキサン等)等が挙げられる。架橋助剤としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートが好ましく、トリアリルイソシアヌレートが特に好ましい。
架橋助剤の配合量は、含フッ素弾性共重合体の100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。架橋助剤の配合量が前記範囲内であれば、架橋ゴム物品の強度と伸びのバランスに優れる。
(他の添加剤)
他の添加剤としては、金属酸化物、顔料、充填剤、補強材、加工助剤等が挙げられる。
含フッ素弾性共重合体組成物が金属酸化物をさらに含む場合、架橋反応が速やかにかつ確実に進行する。
金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉛等の2価金属の酸化物が挙げられる。
金属酸化物の配合量は、含フッ素弾性共重合体の100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。金属酸化物の配合量が前記範囲内であれば、架橋ゴム物品の強度と伸びのバランスに優れる。
充填剤または補強材としては、カーボンブラック、酸化チタン、二酸化珪素、クレー、タルク、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、TFE/エチレン共重合体、TFE/プロピレン共重合体、TFE/フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。
加工助剤としては、公知のものが挙げられる。滑剤としての機能を発現する加工助剤としては、脂肪酸金属塩(ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム等)、合成ワックス(ポリエチレンワックス等)、脂肪酸エステル(グリセリンモノオレエート等)等が挙げられる。
(含フッ素弾性共重合体組成物の製造方法)
含フッ素弾性共重合体組成物は、2本ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の公知の混練装置を用いる混練方法によって、含フッ素弾性共重合体、架橋剤、必要に応じて架橋助剤、他の添加剤を混練することによって得られる。
<架橋ゴム物品>
架橋ゴム物品は、本発明の含フッ素弾性共重合体または含フッ素弾性共重合体組成物を架橋したものである。
架橋ゴム物品としては、架橋ゴムシート、Oリング、シートガスケット、オイルシール、ダイヤフラム、V−リング、半導体製造装置用部品、耐薬品性シール材、塗料、電線被覆材等が挙げられる。
架橋ゴム物品は、金属元素の含有量が少ないことから、半導体製造装置用部品として好適に用いることができる。
架橋ゴム物品からなる半導体製造装置用部品としては、シール材(Oリング、角リング、ガスケット、パッキン、オイルシール、ベアリングシール、リップシール等)、チューブ、ホース、各種ゴムロール、ダイアフラム、ライニング等が挙げられる。
半導体製造装置としては、エッチング装置(ドライエッチング装置、プラズマエッチング装置、反応性イオンエッチング装置、反応性イオンビームエッチング装置、スパッタエッチング装置、イオンビームエッチング装置、ウェットエッチング装置、アッシング装置等)、洗浄装置(乾式エッチング洗浄装置、UV/O洗浄装置、イオンビーム洗浄装置、レーザービーム洗浄装置、プラズマ洗浄装置、ガスエッチング洗浄装置、抽出洗浄装置、ソックスレー抽出洗浄装置、高温高圧抽出洗浄装置、マイクロウェーブ抽出洗浄装置、超臨界抽出洗浄装置等)、露光装置(ステッパー、コータ・デベロッパー等)、研磨装置(CMP装置等)、成膜装置(CVD装置、スパッタリング装置等)、拡散・イオン注入装置(酸化拡散装置、イオン注入装置等)等が挙げられる。
(架橋ゴム物品の製造方法)
架橋ゴム物品は、公知の方法により、本発明の含フッ素弾性共重合体または含フッ素弾性共重合体組成物を適宜成形し、架橋することによって得られる。
架橋方法としては、加熱による方法、電離性放射線照射による方法等が挙げられる。
成形方法としては、射出成形法、押出成形法、共押出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、インフレーション成形法、トランスファー成形法、カレンダー成形法等が挙げられる。
含フッ素弾性共重合体組成物が架橋剤として有機過酸化物を含有する場合、加熱による架橋が好ましい。
加熱架橋による架橋ゴム物品の具体的な製造方法としては、例えば、熱プレス成形法が挙げられる。熱プレス成形法では、加熱した金型を用い、目的の形状を有する金型のキャビティに含フッ素弾性共重合体組成物を充填して、加熱することによって成形と同時に架橋(熱プレス架橋)を行うことで架橋ゴム物品が得られる。加熱温度は、130〜220℃が好ましく、140〜200℃がより好ましく、150〜180℃がさらに好ましい。
熱プレス成形法を用いる場合、熱プレス架橋(一次架橋とも記す。)で得られた架橋ゴム物品を、必要により、電気、熱風、蒸気等を熱源とするオーブン等でさらに加熱して、架橋を進行させること(二次架橋とも記す。)も好ましい。二次架橋時の温度は、150〜280℃が好ましく、180〜260℃がより好ましく、200〜250℃がさらに好ましい。二次架橋時間は、1〜48時間が好ましく、4〜24時間がより好ましい。充分に二次架橋することによって、架橋ゴム物品のゴム物性が向上する。また、架橋ゴム物品に含まれる過酸化物の残渣が分解、揮散して、低減される。熱プレス成形法は、シール材等の成形に適用することが好ましい。
電離性放射線照射による方法における電離性放射線としては、電子線、γ線等が挙げられる。電離性放射線照射により架橋する場合には、あらかじめ含フッ素弾性共重合体または含フッ素弾性共重合体組成物を、目的の形状に成形した後、電離性放射線を照射して架橋させる方法が好ましい。成形方法としては、含フッ素弾性共重合体もしくは含フッ素弾性共重合体組成物を適当な溶媒中に溶解分散した懸濁溶液を塗布し、乾燥し塗膜とする方法、または含フッ素弾性共重合体もしくは含フッ素弾性共重合体組成物を押出成形し、ホースや電線の形状に成形する方法等が挙げられる。電離性放射線の照射量は、適宜設定され、1〜300kGyが好ましく、10〜200kGyがより好ましい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
例1〜5は実験例であり、例6〜7は実施例である。
<測定、評価>
(含フッ素弾性共重合体における各単位の割合)
含フッ素弾性共重合体における各単位の割合は、19F−NMR分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトル分析から求めた。
(含フッ素弾性共重合体のヨウ素原子の含有量)
含フッ素弾性共重合体中のヨウ素原子の含有量は、自動試料燃焼装置(イオンクロマトグラフ用前処理装置)(ダイアインスツルメンツ社製、AQF−100)とイオンクロマトグラフとを組み合わせた装置で定量した。
(超純水および酸水溶液における金属元素の含有量)
超純水および酸水溶液における金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ質量分析装置(Agilent Technologies社製、ICP−MS 7500cs)を用いて、絶対検量線法によって測定した29種類の金属元素(Fe、Na、K、Li、Be、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Cs、Ba、Pb、Bi)の含有量を合計して求めた。
(含フッ素弾性共重合体における金属元素の含有量)
含フッ素弾性共重合体における金属元素の含有量は、含フッ素弾性共重合体を白金ルツボに入れて高温電気加熱炉で灰化した後、硫酸白煙処理を行い、希硝酸に溶解した液について、誘導結合プラズマ質量分析装置(Agilent Technologies社製、ICP−MS 7500cs)を用いて、絶対検量線法によって測定した29種類の金属元素(Fe、Na、K、Li、Be、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Cs、Ba、Pb、Bi)の含有量を合計して求めた。
<溶出試験>
(例1)
超純水としては、金属元素の含有量が0.1質量ppmのものを用意した。
硝酸(関東化学株式会社社製、特級グレード)を超純水に溶解して硝酸の3質量%水溶液を調製した。
SUS304からなる100mm×10mm×1mm(重さ7.46g)の金属片を、ガラス製容器中の50℃の硝酸水溶液の50mLに6日間浸漬した後、硝酸水溶液における金属元素の含有量を測定した値から、50℃の硝酸水溶液の50mLをガラス製容器中に6日間入れた後、硝酸水溶液における金属元素の含有量を測定した値を、引いた値を計算し、これを金属溶出量とした。結果を表1に示す。
(例2〜5)
金属片の材料を表1に示すものに変更した以外は、例1と同様にして金属溶出量を求めた。結果を表1に示す。表中、HC−22はハステロイ(登録商標)C−22である。
Figure 2018203924
<含フッ素弾性共重合体の製造>
(例6)
超純水としては、金属元素の含有量が0.1質量ppmのものを用意した。
アンカー翼を備えた内容積2100mLのSUS304製耐圧反応器を脱気した後、超純水の804g、COCFCFOCFCOONHの30質量%溶液の80.1g、リン酸水素二ナトリウム・12水和物の5質量%水溶液の1.8g、1,4−ジヨードペルフルオロブタンの0.87gを仕込み、気相を窒素置換した。アンカー翼を用いて600rpmの速度で撹拌しながら、内温が80℃になってからTFEの13g、PMVEの65gを容器内に圧入した。反応器内圧は0.90MPa[gauge]であった。過硫酸アンモニウムの1質量%水溶液の20mLを添加し、重合を開始した。重合開始前に圧入する単量体(以下、初期単量体と記す。)の添加比をモル比で表すと、TFE:PMVE=25:75であった。
重合の進行に伴い、反応器内圧が0.89MPa[gauge]に低下した時点でTFEを圧入し、反応器内圧を0.90MPa[gauge]に昇圧させた。これを繰り返し、TFEの8gを圧入するたびにPMVEの7gも圧入した。
TFEの総添加質量が80gとなった時点で、重合開始後に圧入する単量体(以下、「後添加単量体」と記す。)の添加を停止し、反応器内温を10℃に冷却させ、重合反応を停止させ、含フッ素弾性共重合体を含むラテックスを得た。重合時間は180分間であった。また、後添加単量体の総添加質量は、TFEが80g、PMVEが63gであり、これをモル比に換算すると、TFE:PMVE=65:35であった。
硝酸(関東化学株式会社社製、特級グレード)を超純水に溶解して硝酸の3質量%水溶液を調製した。ラテックスを、SUS304製容器中の硝酸水溶液に添加して、含フッ素弾性共重合体を凝集させた。ラテックス中の含フッ素弾性共重合体100質量部に対して硝酸水溶液の量は150質量部であった。
凝集した含フッ素弾性共重合体をろ過によって回収し、TFE/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)製容器中の超純水に投入し、200rpmで30分間撹拌して洗浄した。含フッ素弾性共重合体100質量部に対して超純水の量は100質量部であった。洗浄した含フッ素弾性共重合体をろ過によって回収し、60℃、10kPaで減圧乾燥させ、白色の含フッ素弾性共重合体を得た。含フッ素弾性共重合体における金属元素の含有量を表2に示す。
(例7)
凝集処理に用いる容器をSUS316製容器に変更した以外は、例6と同様にして凝集処理を行い、含フッ素弾性共重合体を回収した。含フッ素弾性共重合体における金属元素の含有量を表2に示す。
Figure 2018203924
本発明の含フッ素弾性共重合体は、通常のゴム製品に用いることができる。耐蝕性ゴム塗料、耐ウレア系グリース用シール材等、ゴム塗料、接着ゴム、ホース、チューブ、カレンダーシート(ロール)、スポンジ、ゴムロール、石油掘削用部材、放熱シート、溶液架橋体、ゴムスポンジ、ベアリングシール(耐ウレアグリース等)、ライニング(耐薬品)、自動車用絶縁シート、電子機器向け絶縁シート、時計向けゴムバンド、内視鏡用パッキン(耐アミン)、蛇腹ホース(カレンダーシートからの加工)、給湯器パッキン/弁、防舷材(海洋土木、船舶)、繊維・不織布(防護服等)、基盤シール材、ゴム手袋、一軸偏心ねじポンプのステータ、尿素SCRシステム用部品、防振剤、制振剤、シーリング剤、他材料への添加剤、玩具の用途にも適用できる。また、特に、金属元素および塩化物イオンの含有量が少ないことから、半導体製造装置用シール材に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 容器内にて、含フッ素弾性共重合体を含むラテックスと、酸を含む酸水溶液とを混合することによって、含フッ素弾性共重合体を凝集させて回収する含フッ素弾性共重合体の製造方法であり、
    前記容器として、少なくとも前記酸と接する部分が、下記溶出試験による金属溶出量が10質量ppm以下となる金属からなるものを用い、
    前記酸として、金属元素を有しない酸を用いる、含フッ素弾性共重合体の製造方法。
    溶出試験:100mm×10mm×1mmの金属片を、ガラス製容器中の50℃の前記酸水溶液の50mLに6日間浸漬した後、前記酸水溶液における金属元素の含有量を測定した値から、50℃の前記酸水溶液の50mLをガラス製容器中に6日間入れた後、前記酸水溶液における金属元素の含有量を測定した値を、引いた値を計算し、これを金属溶出量とする。
  2. 前記酸が、硝酸である、請求項1に記載の含フッ素弾性共重合体の製造方法。
  3. 前記容器における少なくとも前記酸と接する部分の前記金属が、JISで定められたSUS304、SUS316またはSUS316Lである、請求項2に記載の含フッ素弾性共重合体の製造方法。
  4. 凝集し、回収した前記含フッ素弾性共重合体において、金属元素の含有量が20質量ppm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の含フッ素弾性共重合体の製造方法。
  5. 前記含フッ素弾性共重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位(a)と、下式(1)で表される化合物に基づく単位(b)とを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の含フッ素弾性共重合体の製造方法。
    CF=CFORf1 (1)
    ただし、Rf1は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基である。
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