JP2018203817A - 筆記板用油性マーキングペンインキ組成物及びそれを内蔵したマーキングペン - Google Patents
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Abstract
Description
前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体と脂肪酸エステルを併用した場合、安定した筆記性能と消去性能が発現できるため有用なインキとなるが、筆跡の速乾性を向上するべく揮発性の高い溶剤を適用した場合、高湿度環境下において溶剤の揮発に伴って筆跡が白化してしまうことがあった。また、筆記板やイレーザーの材質によっては筆跡が消去され難く、強い力での擦過が必要となる等の不具合を生じるものであった。この点を解消するべく、無機塩類やパーフルオロ基含有界面活性剤を添加する技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
更に、前記共重合体がインキ組成物全量中0.5〜3質量%の範囲で添加されること、前記有機溶剤がメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピル、酢酸ブチルから選ばれる一種又は二種以上であること、前記一塩基酸エステル及び/又は二塩基酸エステルがインキ組成物全量中3〜20質量%の範囲で添加されることを要件とする。
更には、前記いずれかに記載の筆記板用油性マーキングペンインキ組成物を内蔵してなるマーキングペンを要件とし、前記インキ組成物が充填されたインキ吸蔵体を軸筒内に収容してなることを要件とする。
これらのうちで特に、脂肪族系のものは効果が高いため、より有用である。
具体的には、一塩基酸エステルとして、CIO(イソオクタン酸セチル)、ICM−R(ミリスチン酸イソセチル)、ICIS(イソステアリン酸イソセチル)、ISP(パルミチン酸イソステアリル)、STO(ステアリン酸イソオクチル)、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸ブトキシエチル等が挙げられ、二塩基酸エステルとして、DINA(アジピン酸ジイソノニル)、DOA(アジピン酸ジ−2エチルヘキシル)、DTDA(アジピン酸ジトリデシル)、DOS(セバシン酸ジ2−エチルヘキシル)、DOZ(アゼライン酸2−エチルヘキシル)、DODN(デカン酸ジ2−エチルヘキシル)等が挙げられる。これらは単独又は二種以上を合して使用することができる。
更に必要により、汎用の剥離剤であるシリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等を併用することもできる。例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル又はこれらの塩、ポリアルキレングリコールエステル等の化合物が例示できる。
具体的には、カーボンブラック、群青、二酸化チタン顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料等の有機顔料、アルミニウム粉やアルミニウム粉表面を着色樹脂で処理した金属顔料、透明又は着色透明フィルムにアルミニウム等の金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、フィルム等の基材に形成したアルミニウム等の金属蒸着膜を剥離して得られる厚みが0.01〜0.1μmの金属顔料、金、銀、白金、銅から選ばれる平均粒子径が5〜30nmのコロイド粒子、蛍光顔料、蓄光性顔料、熱変色性顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料等が挙げられる。
前記顔料は一種又は二種以上を併用してもよく、インキ組成物中3〜40質量%の範囲で用いられる。
また、前記顔料と共に汎用の染料、例えば、カラーインデックスにおいてソルベント染料として分類される有機溶剤可溶性染料等を併用することができる。
前記共重合体中にビニルアルコールの重合単位を含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を必要な量のビニルアルコール重合単位を含むよう部分鹸化することで容易に得ることができるし、共重合体中に(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエスエルの重合単位を含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、塩化ビニル、酢酸ビニルに加えて必要な量のヒドロキシエチル(メタ)アクリレートやヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの様な(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエスエルを共単量体として用い共重合させることで容易に得ることができる。
前記樹脂は、一塩基酸エステルや二塩基酸エステルとともに用いることで、筆記板に形成した筆跡が経時後においても固化、固着することなく、柔軟な状態で適度な定着強度を保ち続けるため、筆記板の材質を問わず、筆跡形成後に長期間放置された場合であっても、残像を生じることなく筆跡を完全に消去することができる。更に、従来のフェルト型イレーザーはもちろん、近年用いられている消去性は低いが洗濯による再利用性を備えた、毛足の長い消去面を有するイレーザーであっても、軽い力で容易に消去することができる。
ソルバインAL〔塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=93/2/5(wt%)、重合度300、数平均分子量=22,000、K値41、ガラス転移温度Tg:76℃〕、
ソルバインTA5R〔塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=88/1/11(wt%)、重合度300、数平均分子量=28,000、K値41、ガラス転移温度Tg:78℃]、
ソルバインTAO(塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=91/2/7)、ソルバインTA2、ソルバインTA3(以上、日信化学工業社製)等が挙げられる。
更に、ビンノールE15/48A(重量平均分子量Mw:22,000、ポリビニルアルコール含量:16.5質量%、K値48、ガラス転移温度Tg:69℃)、
ビンノールE22/48A(重量平均分子量Mw:15,000、ポリビニルアルコール含量:25質量%、K値48、ガラス転移温度Tg:61℃)(以上、巴工業社製)等が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、エチルセルロースやアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂等が挙げられる。
尚、前記樹脂は加工顔料の形態で添加されるものであってもよい。
前記共重合体(樹脂)の含有量は、インキ組成物全量中、1〜10質量%、好ましくは、2〜8質量%の範囲で添加することができる。
具体的には、ケトン系溶剤として、アセトン、ジメチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
脂肪酸エステル系溶剤として、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等が挙げられる。
前記添加剤はいわゆる慣用的添加剤と呼ばれるもので、公知の化合物から適宜必要に応じて使用することができる。
マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップ等のマーキングペン用ペン先を筆記先端部に装着し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させて筆記先端部に所定量のインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容して、弁機構により筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペンが挙げられる。
特に、前述のインキ吸蔵体にインキを含浸させるタイプのものは、長期に亘って繊維間でインキを分散保持させなくてはならないため、インキ凝集等の影響が大きく表れるものである。そのため、必須4成分のみで構成できるインキ安定性の高い本発明の油性インキ組成物は特に有用なものとなる。
尚、前記マーキングペンは、ペン先を覆うキャップを備えたキャップ式のマーキングペンの他、ノック式、回転式、スライド式等の出没機構を有し、軸筒内にペン先を収容可能な出没式のマーキングペンであってもよい。
(1)C.I.ピグメントブラック7:50%、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体:40%、分散剤:10%からなる加工顔料
(2)C.I.ピグメントブルー60:50%、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体:48%、分散剤:2%からなる加工顔料
(3)巴工業(株)製、商品名:ビンノールE15/48A(重量平均分子量Mw:15,000、ポリビニルアルコール含量:25質量%、ガラス転移温度Tg:61℃)
(4)日信化学工業(株)製、商品名:ソルバインAL〔塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=93/2/5(wt%)、重合度300、数平均分子量=22,000、粘度70mPa・s(樹脂20wt%、溶剤MIBK/トルエン=1/1、B型粘度計、25℃)、K値41〕
(5)日信化学工業(株)製、商品名:ソルバインTA5R〔塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=88/1/11(wt%)、重合度300、数平均分子量=28,000、粘度130mPa・s(樹脂20wt%、溶剤MIBK/トルエン=1/1、B型粘度計、25℃)、K値41]
(6)塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、巴工業(株)製、商品名:ビンノールE15/45(重量平均分子量Mw:13,000、ガラス転移温度Tg:75℃)
(7)イソブチルメタクリレート樹脂、ウィルバーエリス社製、商品名:パラロイドB67(重量平均分子量Mw:60,000、ガラス転移温度Tg:50℃)
攪拌用容器中に溶剤とともに剥離剤以外の成分を入れ、2mmのガラスビーズ70gとともに高速羽根型ミキサーにて20℃で2時間攪拌した後、剥離剤を投入し、更に5分間攪拌したものをメッシュにて濾過することでガラスビーズを除くことによりインキ組成物を得た。
前記実施例1〜3及び比較例1〜3のインキ組成物は、市販のマーキングペン(パイロットコーポレーション製;WBMK−M)に各5g充填することで油性マーキングペンを得た。
前記実施例4及び比較例4のインキ組成物は、市販のマーキングペン(パイロットコーポレーション製;CBML−25L)に各7g充填することで油性マーキングペンを得た。尚、筆記時には、往復30回振とうさせた後、チップをポンピングさせたもので筆記した。
前記各マーキングペンを用いて以下の試験を行なった。
各マーキングペンを用いて、各種筆記板に5個連続して螺旋状の丸を書き、20℃で1日放置した筆跡に対して、200gの分銅を載せたティッシュペーパーで筆跡上を2往復移動させた際の消去性と、市販のイレーザー(パイロットコーポレーション製;WBEH−M)を用いて筆跡上を2往復移動させた際の消去性とを目視により観察した。
尚、前記筆記板としては、表面光沢値70°グロスのホーロー板、基板表面にアクリル樹脂を塗装したものを使用した。
試験結果を以下の表に示す。
各マーキングペンを用いて、20℃、65%RH、及び、30℃、90%RHの条件下で筆記板(表面塗装タイプ)に螺旋を筆記し、筆跡が乾燥した際の白化現象の有無を調べた。
試験結果を以下の表に示す。
消去性試験
○:筆跡が消去できる。
△:薄い筆跡(残像)が残る。
×:筆跡の半分以上が消去できず残る。
筆記試験
○:白化は見られず、鮮明な筆跡が得られる。
×:筆跡に白化が見られる。
Claims (6)
- 顔料と、有機溶剤と、塩化ビニルと酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体と、一塩基酸エステル及び/又は二塩基酸エステルとを含有してなる筆記板用油性マーキングペンインキ組成物。
- 前記共重合体がインキ組成物全量中0.5〜3質量%の範囲で添加される請求項1記載の筆記板用油性マーキングペンインキ組成物。
- 前記有機溶剤がメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピル、酢酸ブチルから選ばれる一種又は二種以上である請求項1記載の筆記板用油性マーキングペンインキ組成物。
- 前記一塩基酸エステル及び/又は二塩基酸エステルがインキ組成物全量中3〜20質量%の範囲で添加される請求項1記載の筆記板用油性マーキングペンインキ組成物。
- 前記請求項1乃至4のいずれかに記載の筆記板用油性マーキングペンインキ組成物を内蔵してなるマーキングペン。
- 前記インキ組成物が充填されたインキ吸蔵体を軸筒内に収容してなる請求項5記載のマーキングペン。
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