JP2018203185A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】新品タイヤの使用開始時におけるタイヤの氷上性能を向上できる空気入りタイヤを提供すること。【解決手段】この空気入りタイヤ1では、ブロック4が、複数の凹凸部6を踏面に備える。また、凹凸部6の凹凸量Hcが、0.1[mm]≦Hc≦1.0[mm]の範囲にある。また、凹凸部6の幅Wcが、0.1[mm]≦Wc≦0.8[mm]の範囲にある。隣り合う凹凸部6の配置間隔DcがDc≦1.2[mm]の範囲にある領域を、凹凸領域A1として定義し、凹凸領域A1以外の領域であって、ブロック4の踏面の算術平均粗さRaがRa≦50[μm]の範囲にある領域を、平滑領域A2として定義し、タイヤ周方向に対して45[deg]で傾斜する断面Xを定義し、断面Xに対して直交する方向におけるブロック4の踏面の傾斜方向長さLbを定義する。このとき、ブロック4が、ブロック4の踏面の傾斜方向長さLbの40[%]以上の傾斜方向範囲における任意の断面Xにて、凹凸領域A1および平滑領域A2をそれぞれ有する。【選択図】図3
Description
この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、新品タイヤの使用開始時におけるタイヤの氷上性能を向上できる空気入りタイヤに関する。
一般に、新品タイヤの使用開始時には、トレッドゴムの本来の機能が適正に発揮されないため、氷上性能が適正に得られないという課題がある。このため、近年のスタッドレスタイヤでは、新品タイヤの使用開始時における氷上性能を適正に確保するために、複数の細浅溝がブロック踏面に配置されている。かかる細浅溝は、サイプよりも非常に浅く、タイヤの摩耗初期に消滅する程度の溝深さを有する。かかる構成を採用する従来の空気入りタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
この発明は、新品タイヤの使用開始時におけるタイヤの氷上性能を向上できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、複数のブロックをトレッド面に備える空気入りタイヤであって、前記ブロックが、複数の凹凸部を踏面に備え、前記凹凸部の凹凸量Hcが、0.1[mm]≦Hc≦1.0[mm]の範囲にあり、前記凹凸部の幅Wcが、0.1[mm]≦Wc≦0.8[mm]の範囲にあり、隣り合う前記凹凸部の配置間隔DcがDc≦1.2[mm]の範囲にある領域を、凹凸領域として定義し、前記凹凸領域以外の領域であって、前記ブロックの踏面の算術平均粗さRaがRa≦50[μm]の範囲にある領域を、平滑領域として定義し、タイヤ周方向に対して45[deg]で傾斜する断面Xを定義し、断面Xに対して直交する方向における前記ブロックの踏面の傾斜方向長さLbを定義し、且つ、前記ブロックが、前記ブロックの踏面の傾斜方向長さLbの40[%]以上の傾斜方向範囲における任意の断面Xにて、前記凹凸領域および前記平滑領域をそれぞれ有することを特徴とする。
この発明にかかる空気入りタイヤでは、ブロックの踏面が密集して配置された微細な凹凸部から成る凹凸領域A1を備えるので、凹凸領域が氷路面の水膜を吸収して除去する。また、ブロックの踏面がフラットな平滑領域を備えるので、氷路面に対するブロックの接触面積が確保される。そして、凹凸領域および平滑領域が混在して配置されるので、氷路面に対する平滑領域の凝着摩擦力が向上する。これにより、氷路面に対するブロック4の接地特性が向上して、タイヤの氷上性能が相乗的に向上する利点がある。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。
同図において、タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。
この空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17とを備える(図1参照)。
一対のビードコア11、11は、複数のビードワイヤを束ねて成る環状部材であり、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を構成する。
カーカス層13は、1枚のカーカスプライから成る単層構造あるいは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13のカーカスプライは、スチールあるいは有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で80[deg]以上95[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの繊維方向の傾斜角)を有する。
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142と、ベルトカバー143とを積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で20[deg]以上55[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角)を有し、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される(クロスプライ構造)。ベルトカバー143は、コートゴムで被覆されたスチールあるいは有機繊維材から成る複数のコードを圧延加工して構成され、絶対値で0[deg]以上10[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー143は、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側にそれぞれ配置されて、リムフランジに対する左右のビード部の接触面を構成する。
[トレッドパターン]
図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。同図は、一例として、溝が格子状に配列されたシンプルなトレッドパターンを示している。同図において、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸周りの方向をいう。また、符号Tは、タイヤ接地端である。
図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。同図は、一例として、溝が格子状に配列されたシンプルなトレッドパターンを示している。同図において、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸周りの方向をいう。また、符号Tは、タイヤ接地端である。
図2に示すように、空気入りタイヤ1は、複数の溝2a、2bと、これらの溝2a、2bに区画されたブロック4とをトレッド部に備える。
溝2a、2bは、ブロック4を定義する溝であり、2.0[mm]以上の溝幅および3.0[mm]以上の溝深さを有する。
溝幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、溝開口部における左右の溝壁の距離の最大値として測定される。陸部が切欠部や面取部をエッジ部に有する構成では、溝長さ方向を法線方向とする断面視にて、トレッド踏面と溝壁の延長線との交点を測定点として、溝幅が測定される。また、溝がタイヤ周方向にジグザグ状あるいは波状に延在する構成では、溝壁の振幅の中心線を測定点として、溝幅が測定される。
溝深さは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、トレッド踏面から溝底までの距離の最大値として測定される。また、溝が部分的な凹凸部やサイプを溝底に有する構成では、これらを除外して溝深さが測定される。
規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
ブロック4は、上記した所定の溝幅および溝深さを有する溝2a、2bに区画された陸部であり、タイヤの接地領域に踏面を有する。また、ブロック4は、サイプ5(後述する図3参照)を踏面に有しても良いし面取部や切欠部(図示省略)をエッジ部に有しても良い。また、ブロック4は、上記した溝2a、2bに含まれない細溝および浅溝(図示省略)を踏面に有しても良い。
ブロックの踏面は、左右のタイヤ接地端T、Tの間の領域(すなわちタイヤの接地領域)にあるブロックの外表面として定義される。
タイヤ接地端Tは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を加えたときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大幅位置として定義される。
また、ブロック4の幅方向長さWbが、タイヤ接地幅TWに対して、0.10≦Wb/TWの範囲にあることが好ましい。これにより、ブロック4の接地幅(図中の寸法記号省略)が適正に確保される。
ブロックの幅方向長さWbは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態としたときのタイヤ幅方向におけるブロックの踏面の最大幅として測定される。
タイヤ接地幅TWは、左右のタイヤ接地端のタイヤ軸方向の最大距離として測定される。
例えば、図2の構成では、溝2aが、周方向主溝であり、タイヤ全周に渡って連続して延在している。また、ストレート形状を有する4本の周方向主溝2aがタイヤ赤道面CLを中心として左右対称に配置されている。また、溝2bが、貫通ラグ溝であり、トレッド面をタイヤ幅方向に貫通して左右のタイヤ接地端Tに開口している。また、複数の溝2a、2bが格子状に配列されて相互に連通することにより、タイヤ幅方向に5列のブロック列が区画されている。
主溝とは、JATMAに規定されるウェアインジケータの表示義務を有する溝であり、4.0[mm]以上の溝幅および6.5[mm]以上の溝深さを有する。
なお、図2の構成では、上記のように、溝2aがストレート形状を有するが、これに限らず、溝2aが、タイヤ周方向に屈曲あるいは湾曲しつつ延在するジグザグ形状あるいは波状形状を有しても良い(図示省略)。
[ブロックのサイプ]
図3は、図2に記載したブロックの踏面を示す平面図である。同図は、溝2a、2b(図2参照)に区画された単体のブロック4を示している。
図3は、図2に記載したブロックの踏面を示す平面図である。同図は、溝2a、2b(図2参照)に区画された単体のブロック4を示している。
図3に示すように、この空気入りタイヤ1では、ブロック4が複数のサイプ5をそれぞれ有する。これらのサイプ5により、ブロック4のエッジ成分が増加して、タイヤの氷上性能および雪上性能が向上する。
サイプは、陸部に形成された切り込みであり、1.0[mm]未満のサイプ幅および2.0[mm]以上のサイプ深さを有することにより、タイヤ接地時に閉塞する。なお、サイプ深さの上限は、特に限定がないが、一般に主溝の溝深さよりも浅い。
サイプ幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、陸部の踏面におけるサイプの開口幅の最大値として測定される。
サイプ深さは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、トレッド踏面からサイプ底までの距離の最大値として測定される。また、サイプが部分的な凹凸部を溝底に有する構成では、これらを除外してサイプ深さが測定される。
また、サイプ5は、両端部にてブロック4の内部で終端するクローズド構造(図3参照)、一方の端部にてブロック4のエッジ部に開口して他方の端部にてブロック4の内部で終端するセミクローズド構造(図示省略)、および、両端部にてブロック4のエッジ部に開口するオープン構造(図示省略)のいずれを有しても良い。また、ブロック4におけるサイプ5の長さ、枚数および配置構造は、当業者自明の範囲内にて適宜選択できる。また、サイプ5は、タイヤ幅方向、タイヤ周方向、およびこれらに傾斜する方向の任意の方向に延在できる。
例えば、図3の構成では、1つのブロック4が複数のサイプ5を備えている。また、これらのサイプ5が、両端部にてブロック4の内部で終端するクローズド構造を有し、また、タイヤ幅方向に延在するジグザグ形状を有している。また、サイプ5が、タイヤ周方向に所定間隔をあけて並列に配置され、また、ブロック4の中央部を境界とする左右の領域に、2列のサイプ5群が配置されている。
[ブロックの凹凸部]
図4は、図3に記載したブロックの踏面を示す拡大図である。図5は、図4に記載したブロックの踏面を示すX視断面図である。図6および図7は、図4に記載した凹凸部のP−P視断面図(図6)およびQ視断面図(図7)である。これらの図において、図4および図5は、ブロック4の踏面における凹凸部6の配置構造を示し、図6および図7は、凹凸部6の深さ方向の断面形状を示している。
図4は、図3に記載したブロックの踏面を示す拡大図である。図5は、図4に記載したブロックの踏面を示すX視断面図である。図6および図7は、図4に記載した凹凸部のP−P視断面図(図6)およびQ視断面図(図7)である。これらの図において、図4および図5は、ブロック4の踏面における凹凸部6の配置構造を示し、図6および図7は、凹凸部6の深さ方向の断面形状を示している。
図3に示すように、ブロック4は、複数かつ微細な凹凸部6を踏面に備える。
凹凸部6は、ブロック4の踏面に形成された微細な表面加工部である。具体的には、凹凸部6は、細浅溝、微細なディンプルなどの微細な凹部、ならびに、微細な細リブ、微細な突起部などの微細な凸部を含む。一方で、凹凸部6は、例えば、深い細溝、タイヤ接地時に閉塞するサイプ、深いディンプル、切欠部などを含まない。なお、概念的には、長尺構造を有するディンプルは溝に該当し、長尺構造を有する突起部はリブに該当する。
上記の構成では、ブロック4の踏面が密集して配置された微細な凹凸部6を備えるので、氷路面に対するブロック4の接地特性が向上して、タイヤの氷上性能が向上する。具体的には、(1)凹凸部6が微細な凹部である場合には、氷路面の走行時にて、凹凸部6が氷路面の水膜を吸収して除去する。これにより、氷路面に対するブロック4の踏面の密着性(いわゆる凝着摩擦力)が向上して、新品タイヤの使用開始時におけるタイヤの氷上性能が向上する。また、(2)凹凸部6が微細な凸部である場合には、凹凸部6が早期に摩滅して、ブロック4の踏面の初期摩耗が促進される。これにより、トレッドゴムの接地特性が適正に発揮されて、新品タイヤの使用開始時におけるタイヤの氷上性能が向上する。
また、凹凸部6の凹凸量Hc(図6および図7参照)が、0.1[mm]≦Hc≦1.0[mm]の範囲にあることが好ましく、0.3[mm]≦Hc≦0.6[mm]の範囲にあることがより好ましい。上記下限および上限により、微細な凹凸部6の作用が適正に確保される。
凹凸部の凹凸量Hcは、ブロック踏面の平面から凹凸部の外表面の最大深さ位置あるいは最大高さ位置までの距離として測定される。具体的には、凹凸部が微細な凹部である場合には、凹凸部の最大深さ位置が凹凸量Hcの測定点となる(図6参照)。また、凹凸部が微細な凸部である場合には、凹凸部の最大高さ位置が凹凸量Hcの測定点となる(図示省略)。
また、凹凸部の幅Wc(図4および図6参照)が、0.1[mm]≦Wc≦0.8[mm]の範囲にあることが好ましく、0.2[mm]≦Wc≦0.5[mm]の範囲にあることがより好ましい。上記下限および上限により、微細な凹凸部6の作用が適正に確保される。
凹凸部の幅Wcは、ブロック踏面の平面と凹凸部の外表面との交点を測定点として測定される。具体的には、凹凸部が微細な凹部である場合には、幅Wcがブロック踏面の平面に対する凹凸部の開口縁部を測定点として測定される(図6参照)。また、凹凸部が微細な凸部である場合には、幅Wcがブロック踏面の平面における凹凸部の側壁の立ち上がり部を測定点として測定される。また、ブロック踏面における凹凸部のアスペクト比が1.50以上である場合、すなわち凹凸部が長尺構造を有する場合には、凹凸部の幅Wcが、凹凸部の長手方向に直交する方向における凹凸部の最大幅として測定される(図4参照)。また、凹凸部のアスペクト比が1.50未満である場合には、凹凸部の幅Wcが、凹凸部の最大外径として測定される。
例えば、図3の構成では、ブロック4の凹凸部6が、細浅溝により構成されている。また、複数の細浅溝が密集して配置されて、一群の細浅溝から成る帯状の領域A1が形成されている。また、複数の領域A1が、長手方向をタイヤ周方向に向けつつ、タイヤ幅方向に並列に配置されている。また、細浅溝を有さない領域A2が、隣り合う領域A1、A1の間に配置されている。また、一群の細浅溝から成る領域A1と細浅溝を有さない領域A2とが所定方向に交互に配置されている。これにより、一群の細浅溝が、ブロック4の踏面にて縞状に配置されている。なお、これらの領域A1、A2については、後述する。
また、図4の構成では、ブロック4の踏面の平面視にて、細浅溝が、ストレート形状を有している。しかし、これに限らず、細浅溝が、円弧状、波状、その他の湾曲形状を有しても良いし、V字状、ジグザグ状、ステップ状、その他の屈曲形状を有しても良い(図示省略)。
また、図4の構成では、細浅溝が全体として一定の幅Wcおよび深さHc(図6参照)を有している。しかし、これに限らず、凹凸部6の幅Wcおよび深さHcが変化しても良い。
また、細浅溝の溝幅Wcが、0.1[mm]以上0.8[mm]以下の範囲にあることが好ましく、0.3[mm]以上0.6[mm]以下の範囲にあることがより好ましい。上記下限により、細浅溝の水膜除去作用が確保される。また、上記上限により、隣り合う細浅溝の間の接地領域の剛性が確保される。
また、細浅溝の溝深さHcが、0.1[mm]以上1.0[mm]以下の範囲にあることが好ましく、0.2[mm]以上0.5[mm]以下の範囲にあることがより好ましい。上記下限により、細浅溝の水膜除去作用が確保される。上記上限により、隣り合う細浅溝の間の接地領域の剛性が確保される。特に、細浅溝は、サイプ5よりも浅い溝深さHcを有することにより、ブロック4の接地時に閉塞せずに開口したままの状態となる。これにより、ブロック4の接地時における細浅溝の水膜除去作用が確保される。
また、図4の構成では、細浅溝の長手方向が、タイヤ周方向に対して所定の傾斜角(図中の寸法記号省略)で傾斜している。この細浅溝の傾斜角は、20[deg]以上70[deg]以下の範囲にあることが好ましく、30[deg]以上60[deg]以下の範囲にあることがより好ましい。これにより、細浅溝による氷路面の水膜除去作用が適正に確保される。なお、細浅溝の傾斜角は、1本の連続する細浅溝の左右の端部を結ぶ直線とタイヤ周方向のなす角として測定される。
また、図4の構成では、領域A1を構成する一群の細浅溝が、一定のピッチ(図中の寸法記号省略)で配列されている。しかし、これに限らず、細浅溝のピッチが変化しても良い(図示省略)。また、細浅溝のピッチが、0.5[mm]以上2.0[mm]以下の範囲にあることが好ましく、0.7[mm]以上1.4[mm]以下の範囲にあることがより好ましい。上記下限により、ブロック4の剛性が確保される。上記上限により、細浅溝の配置密度が確保されて、細浅溝の水膜除去作用が確保される。なお、細浅溝のピッチは、後述する細浅溝の幅Wcと隣り合う細浅溝の配置間隔Dcとの和として算出できる。
また、図5および図6に示すように、細浅溝が、溝幅方向の断面視にて、円弧状の断面形状を有している。しかし、これに限らず、細浅溝が矩形状の断面形状を有しても良い(図示省略)。また、細浅溝の溝深さが、細浅溝の終端部にて緩やかに減少しても良いし(図7参照)、ステップ状に減少しても良い(図示省略)。
[凹凸領域および平滑領域]
ここで、隣り合う凹凸部6、6の配置間隔Dc(図6参照)がDc≦1.2[mm]の範囲にある領域を、凹凸領域A1として定義する。すなわち、凹凸領域A1が、狭い配置間隔で密集して配置された一群の凹凸部6の配置領域として定義される。これにより、凹凸領域A1における凹凸部6の水膜除去作用が適正に確保される。
ここで、隣り合う凹凸部6、6の配置間隔Dc(図6参照)がDc≦1.2[mm]の範囲にある領域を、凹凸領域A1として定義する。すなわち、凹凸領域A1が、狭い配置間隔で密集して配置された一群の凹凸部6の配置領域として定義される。これにより、凹凸領域A1における凹凸部6の水膜除去作用が適正に確保される。
凹凸部の配置間隔Dcは、隣り合う凹凸部間の距離であり、相互に隣り合う任意の組の凹凸部でそれぞれ測定される。また、配置間隔Dcは、ブロック踏面の平面と凹凸部の外表面との交点を測定点として測定される(図6参照)。
また、凹凸領域A1では、凹凸部6の配置間隔Dcと凹凸部6の幅Wcとが、0.80≦Dc/Wcの関係を有することが好ましく、1.50≦Dc/Wcの関係を有することがより好ましい。すなわち、隣り合う凹凸部6、6が連続せずに、隣り合う凹凸部6、6の間にフラットな平面が形成されることが好ましい。これにより、凹凸領域A1の内部の接地面積が確保されて、凹凸領域A1自体の接地特性が向上する。なお、比Dc/Wcの上限は、上記配置間隔Dcの上限Dc≦1.2[mm]により制約を受ける。
また、凹凸領域A1における凹凸部6の面積比が、20[%]以上45[%]以下の範囲内にあることが好ましく、25[%]以上40[%]以下の範囲内にあることがより好ましい。これにより、凹凸領域A1における凹凸部6の水膜除去作用がより適正に確保される。
凹凸部の面積比は、ブロック4の踏面の平面視にて凹凸部が占める面積の総和と凹凸領域A1全体の面積との比として算出される。例えば、凹凸部6が凹部である場合には、その開口面積の総和と凹凸領域A1全体の面積との比が凹凸部の面積比として算出される。
また、上記した凹凸領域A1以外の領域であって、ブロック4の踏面の算術平均粗さRaがRa≦50[μm]の範囲にある領域を、平滑領域A2として定義する。すなわち、平滑領域A2が、溝、サイプおよび微細な凹凸部を有さないフラットな領域として定義される。かかる平滑領域A2は、タイヤ接地時にて、ブロック4の踏面と路面との接触面積を適正に確保するために配置される。
算術平均粗さRaは、JIS B0601に準拠して測定される。
平滑領域A2は、表面加工が施されていないプレーンな踏面を有しても良いし、半球状を有する多数の微少突起を点在させた表面加工をもつ踏面を有しても良い。かかる表面加工では、微少突起の最大高さが、1[μm]以上50[μm]以下の範囲にあり、また、微少突起の最大外径が、1[μm]以上50[μm]以下の範囲にある。また、隣り合う微少突起の頂部の平均間隔が、5[μm]以上100[μm]以下の範囲にあることが好ましい。また、かかる微少突起の最大高さおよび最大外径は、微少突起とブロック踏面の平面部との交点を測定点として、例えばマイクロスコープを用いて測定される。
また、ブロック4の踏面は、上記した凹凸領域A1および平滑領域A2のいずれにも該当しない中間領域を含み得る。したがって、凹凸領域A1と平滑領域A2とは、相互に隣接しても良いし(図3参照)、間に中間領域A3を有しても良い(図示省略)。
具体的には、0.1[mm]未満かつ50[μm]を越える凹凸量Hcをもつ凹凸部6の配置位置(すなわち局所的な配置領域)は、上記した凹凸領域A1および平滑領域A2のいずれにも含まれない(図示省略)。かかる凹凸部6の配置位置では、上記した凹凸領域A1における凹凸部6の水膜除去作用が適正に得られず、また、上記した平滑領域A2におけるブロック4の踏面と路面との接触面積を適正に確保する作用が得られない。
同様に、1.0[mm]を越える凹凸量Hcあるいは0.8[mm]を越える幅Wcをもつ凹凸部6(例えば、深い細溝、切欠部、サイプなど)の配置位置は、上記した凹凸領域A1および平滑領域A2を構成しない。かかる凹凸部6の配置位置では、タイヤの摩耗初期における凹凸部6の本来の機能が得られず、また、凹凸部6が摩耗中期まで残存する。
また、凹凸部6が上記した所定の凹凸量Hcおよび幅Wcを有する場合であっても、凹凸部6の配置間隔Dcが1.2[mm]を越える場合、すなわち凹凸部6が分散して疎に配置されている場合には、凹凸部6が上記した凹凸領域A1を構成しない。分散して配置された単独の凹凸部6は、上記した凹凸領域A1における水膜除去作用が適正に得られない。
凹凸領域A1の境界線は、次のように作図される(図4参照)。まず、ブロック踏面の平面視にて、1.2[mm]を越える幅をもつフラットな面が選択される。そして、このフラットな面に対して上記した所定の凹凸量Hcおよび幅Wcを有する凹凸部6が抽出され、さらに、上記した所定の配置間隔Dcで密集して配置された一群の凹凸部6が選択される。そして、選択された一群の凹凸部6の最外側の端部および縁部が直線状の線分で接続され、これらの線分の集合が滑らかな直線あるいは曲線により近似されて、凹凸領域A1の境界線が作図される。また、領域内にある他の凹凸部(例えば、深い細溝、切欠部、サイプなど)の輪郭線が作図されて、凹凸領域A1から除外される。
平滑領域A2の境界線は、次のように作図される(図4参照)。まず、ブロック踏面から凹凸領域A1を除外した領域が抽出され、さらに、ブロック踏面の算術平均粗さRaがRa≦50[μm]の範囲にある領域が選択される。そして、選択された領域の外縁が直線状の線分で接続され、これらの線分の集合が滑らかな直線あるいは曲線により近似されて、平滑領域A2の境界線が作図される。また、領域内にある他の凹凸部(例えば、深い細溝、切欠部、サイプなど)の輪郭線が作図されて、平滑領域A2から除外される。
また、タイヤ周方向に対して45[deg]で傾斜する断面Xを定義する。また、断面Xに対して直交する方向におけるブロック4の踏面の傾斜方向長さLbを定義する。
このとき、ブロック4の踏面の傾斜方向長さLbの40[%]以上(好ましくは、50[%]以上)の傾斜方向範囲における任意の断面Xにて、凹凸領域A1および平滑領域A2が混在して配置される。したがって、ブロック4の踏面の所定の傾斜方向範囲にて、凹凸領域A1および平滑領域A2が混在して配置される。
傾斜方向長さLbは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態としたときのブロック踏面の最大長さとして測定される。
上記傾斜方向範囲は、連続しても良いし、不連続であっても良い。したがって、ブロックの踏面を所定の傾斜方向に走査したときに、傾斜方向長さLbの合計40[%]以上の傾斜方向範囲にて、断面Xが上記の条件を満たせば良い。
また、上記傾斜方向範囲の任意の断面Xにて、凹凸領域A1の幅W1が1.0[mm]≦W1の範囲にあり、平滑領域A2の幅W2が2.0[mm]≦W2の範囲にあることが好ましく、3.0[mm]≦W1≦8.0[mm]および4.0[mm]≦W2≦10.0[mm]の範囲にあることがより好ましい。これにより、凹凸領域A1および平滑領域A2の作用が効果的に発揮される。
領域の幅W1、W2は、断面X上にて測定される。また、凹凸領域A1および平滑領域A2が中間領域A3を含む場合には、中間領域A3の幅を差し引いた幅が領域の幅W1、W2として算出される。
また、上記の構成では、凹凸領域A1の幅W1と、この凹凸領域A1に隣り合う平滑領域A2の幅W2とが、0.50≦W1/W2≦1.50の関係を有することが好ましく、0.70≦W1/W2≦1.20の関係を有することがより好ましい(図3参照)。すなわち、相互に隣り合う凹凸領域A1および平滑領域A2の幅W1、W2が略同一に設定されることが好ましい。これにより、凹凸領域A1および平滑領域A2の混在配置による作用が効果的に得られる。
また、凹凸領域A1における凹凸部6の配置間隔Dcと平滑領域A2の幅W2とが、4.0≦W2/Dcの関係を有することが好ましく、8.0≦W2/Dcの関係を有することがより好ましい(図4参照)。これにより、凹凸領域A1および平滑領域A2の混在配置による作用が適正に得られる。比W2/Dcの上限は、特に限定がないが、他の条件により制約を受ける。
また、凹凸領域A1の幅W1の総和ΣW1と、断面Xにおけるブロック4の踏面の長さWb’とが、0.20≦ΣW1/Wb’の関係を有することが好ましく、0.40≦ΣW1/Wb’の関係を有することがより好ましい。同様に、平滑領域A2の幅W2の総和ΣW2と、平滑領域A2の配置位置におけるブロック4の踏面の長さWb’とが、0.20≦ΣW2/Wb’の関係を有することが好ましく、0.40≦ΣW2/Wb’の関係を有することがより好ましい。これにより、所定の傾斜方向範囲における凹凸領域A1および平滑領域A2の総幅が適正に確保される。比ΣW1/Wb’およびΣW2/Wb’の上限は、特に限定がないが、他の条件により制約を受ける。
上記の構成では、(1)ブロック4の踏面が密集して配置された微細な凹凸部6から成る凹凸領域A1を備えるので、凹凸領域A1が氷路面の水膜を吸収して除去する。また、ブロック4の踏面がフラットな平滑領域A2を備えるので、氷路面に対するブロック4の接触面積が確保される。そして、凹凸領域A1および平滑領域A2が混在して配置されるので、氷路面に対する平滑領域A2の凝着摩擦力が向上する。これにより、氷路面に対するブロック4の接地特性が向上して、タイヤの氷上性能が相乗的に向上する。
特に、(2)車両旋回時には、ブロック4の踏面が傾斜方向にスライドしつつ氷路面に接地する。このとき、凹凸領域A1および平滑領域A2が所定の傾斜方向(すなわち、タイヤ周方向に対して45[deg]で傾斜する断面X上)に混在して配置されるので、凹凸領域A1および平滑領域A2の相乗作用により、ブロック4の接地特性が向上する。これにより、タイヤの氷上旋回性能が効率的に向上する。
例えば、図3の構成では、凹凸領域A1(A1a、A1b)および平滑領域A2が、タイヤ周方向に対して45[deg]の方向に長尺な帯状構造を有している。また、凹凸領域A1および平滑領域A2が、一定の幅W1、W2をもつ矩形状を有している。また、凹凸領域A1および平滑領域A2が、ブロック4の踏面の1つのエッジ部から他のエッジ部まで連続して延在して、ブロック4の踏面を所定の傾斜方向に横断している。
また、図3において、長尺な凹凸領域A1(A1a、A1b)の長手方向の中心線とタイヤ周方向とのなす角度θが、15[deg]≦θ≦75[deg]の範囲にあることが好ましく、30[deg]≦θ≦60[deg]の範囲にあることがより好ましい。これにより、凹凸領域A1の長手方向の角度θが適正化されて、凹凸領域A1の機能が適正に確保される。
また、図3の構成では、複数の凹凸領域A1(A1a、A1b)が、所定の傾斜方向に並列に配置されている。また、隣り合う凹凸領域A1、A1が相互に分離している。また、隣り合う凹凸領域A1、A1の間に、平滑領域A2がそれぞれ配置されている。また、ブロック4の踏面が、4つの凹凸領域A1と5つの平滑領域A2とを備え、これらの凹凸領域A1および平滑領域A2が所定の傾斜方向に交互に配置されている。また、凹凸領域A1が、ブロック4の踏面の所定の傾斜方向の角部にそれぞれ配置されている。また、複数の凹凸領域A1が一定の幅W1を有し、また、隣り合う凹凸領域A1、A1の間に配置された平滑領域A2が一定の幅W2を有している。
上記の構成では、平滑領域A2が隣り合う凹凸領域A1、A1の間に配置されることにより、隣り合う凹凸領域A1、A1が氷路面の水膜を平滑領域A2の前後あるいは左右で吸収する。これにより、氷路面に対する平滑領域A2の凝着摩擦力が向上して、タイヤの氷上性能がさらに向上する。さらに、3つ以上の凹凸領域A1が平滑領域A2をそれぞれの間に挟んで縞状に配列されることにより、氷路面に対する平滑領域A2の凝着摩擦力がさらに向上する。
[変形例]
図8〜図23は、図3に記載したブロックの踏面の変形例を示す説明図である。これらの図において、図3に記載した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8〜図23は、図3に記載したブロックの踏面の変形例を示す説明図である。これらの図において、図3に記載した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
例えば、図3の構成では、上記のように、凹凸領域A1(A1a、A1b)および平滑領域A2が、所定の傾斜方向に長尺な帯状構造を有している。また、凹凸領域A1および平滑領域A2が、ブロック4の踏面の1つのエッジ部から他のエッジ部まで連続して延在して、ブロック4の踏面を所定の傾斜方向に横断している。
これに対して、図8の構成では、凹凸領域A1が、ブロック4の踏面の長さLbよりも短尺であり、ブロック4の踏面の中央部に配置されて所定の傾斜方向に延在している。また、凹凸領域A1の長手方向の両端部が、ブロック4の踏面の内部で終端している。また、平滑領域A2が、ブロック4の踏面の全周のエッジ部に沿って延在している。このように、凹凸領域A1がブロック4の踏面を所定の傾斜方向に横断していなくとも良い。また、隣り合う平滑領域A2、A2が、相互に連続しても良い。
一方、図9の構成では、平滑領域A2が、ブロック4の踏面の長さLbよりも短尺であり、ブロック4の踏面の中央部に配置されて所定の傾斜方向に延在している。また、平滑領域A2の長手方向の両端部が、ブロック4の踏面の内部で終端している。また、凹凸領域A1が、ブロック4の踏面の全周のエッジ部に沿って延在している。このように、平滑領域A2がブロック4の踏面を所定の傾斜方向に横断していなくとも良い。また、隣り合う凹凸領域A1、A1が、相互に連続しても良い。
また、図10の構成では、凹凸領域A1が、ブロック4の踏面の長さLbよりも短尺であり、ブロック4の踏面にて所定の傾斜方向に偏って配置されている。また、凹凸領域A1の長手方向の一方の端部がブロック4の踏面の所定の傾斜方向のエッジ部で終端し、他方の端部がブロック4の踏面の内部で終端している。また、凹凸領域A1が、ブロック4の踏面の4つの角部に配置されている。
また、図11の構成では、図3の構成において、凹凸領域A1が、ブロック4の踏面の中央部でタイヤ幅方向に分割されている。また、隣り合う平滑領域A2、A2が、ブロック4の中央部で相互に連続している。なお、図11の構成において、ブロック4の踏面の中央部に、より具体的には、左右の凹凸領域A1の間に、周方向細溝が形成されても良い(図示省略)。かかる周方向細溝により、ブロック4の踏面の接地圧が均一化される。
また、図12の構成では、短尺かつ複数の凹凸領域A1が、所定の傾斜方向に千鳥状に配置されている。また、これらの凹凸領域A1の長手方向の一方の端部が、ブロック4の踏面のエッジ部で終端し、他方の端部がブロック4の踏面の内部で終端している。同様に、短尺かつ複数の平滑領域A2が、所定の傾斜方向に千鳥状に配置されている。また、これらの平滑領域A2の長手方向の一方の端部が、ブロック4の踏面のエッジ部で終端し、他方の端部がブロック4の踏面の内部で終端している。また、図12の構成では、隣り合う凹凸領域A1、A1が、所定の傾斜方向で相互にラップすることなく、角部を相互に突き合わせて、千鳥状に配列されている。しかし、これに限らず、隣り合う凹凸領域A1、A1が、所定の傾斜方向で相互にラップしつつ千鳥状に配列されても良いし、所定の傾斜方向で相互に離間しつつ千鳥状に配列されても良い(図示省略)。
また、図13の構成では、短尺かつ複数の凹凸領域A1が、チェック状に配列されている。また、一部の凹凸領域A1が、ブロック4の踏面のエッジ部まで延在している。同様に、短尺かつ複数の平滑領域A2が、チェック状に配列されている。また、一部の平滑領域A2が、ブロック4の踏面のエッジ部まで延在している。なお、図13の構成において、チェック状の配列の配列数は、特に限定がないが、他の条件により制約を受ける。
また、図3の構成では、相互に異なる長さを有する複数の凹凸領域A1が、所定の傾斜方向に並列に配置されている。同様に、相互に異なる長さを有する複数の平滑領域A2が、所定の傾斜方向に並列に配置されている。また、これらの凹凸領域A1および平滑領域A2がブロック4の踏面を所定の傾斜方向に横断している。
しかし、これに限らず、図14に示すように、短尺かつ同一の長さを有する複数の凹凸領域A1が、所定の傾斜方向の位置を揃えて並列に配置されても良い。同様に、図15に示すように、短尺かつ同一の長さを有する複数の平滑領域A2が、所定の傾斜方向の位置を揃えて並列に配置されても良い。
また、図3および図14の構成では、複数の凹凸領域A1が、長手方向の中心位置を所定の傾斜方向で揃えて配置されている。同様に、図3および図15の構成では、複数の平滑領域A2が、長手方向の中心位置を所定の傾斜方向で揃えて配置されている。
しかし、これに限らず、図16に示すように、複数の凹凸領域A1が、長手方向の中心位置を所定の傾斜方向で相互にオフセットさせて配置されて良い。同様に、図17に示すように、複数の平滑領域A2が、長手方向の中心位置を所定の傾斜方向で相互にオフセットさせて配置されて良い。
また、図3の構成では、相互に同一の幅W1を有する複数の凹凸領域A1が、所定の傾斜方向に並列に配置されている。また、相互に同一の幅W2を有する平滑領域A2が、隣り合う凹凸領域A1、A1の間に配置されている。
しかし、これに限らず、図18および図19に示すように、相互に異なる幅W1を有する複数の凹凸領域A1が、所定の傾斜方向に並列に配置されても良い。また、相互に異なる幅W2を有する平滑領域A2が、隣り合う凹凸領域A1、A1の間に配置されても良い。
例えば、図18の構成では、ブロック4の中央部に、狭い幅W1aをもつ凹凸領域A1aが配置され、所定の傾斜方向の角部に向かうに連れて、より広い幅W1bをもつ凹凸領域A1b、A1cが配置されている。また、隣り合う凹凸領域A1a、A1b;A1b、A1cの間に配置された平滑領域A2bに着目すると、ブロック4の中央部に、狭い幅W2aをもつ平滑領域A2aが配置され、所定の傾斜方向の角部に向かうに連れて、より広い幅W2bをもつ平滑領域A2bが配置されている。しかし、これに限らず、ブロック4の中央部に、幅広な凹凸領域A1が配置され、所定の傾斜方向の角部に向かうに連れて、より幅狭な凹凸領域A1が配置されても良い(図示省略)。また、隣り合う凹凸領域A1、A1の間に配置された平滑領域A2について、ブロック4の中央部に、幅広な平滑領域A2が配置され、所定の傾斜方向の角部に向かうに連れて、より幅狭な平滑領域A2が配置されても良い(図示省略)。
また、図19に示すように、3つ以上の凹凸領域A1a〜A1cがブロック4の踏面に配置され、これらの凹凸領域A1a〜A1cの幅W1a〜W1cが、所定の傾斜方向に向かって漸減あるいは漸増しても良い。また、3つ以上の平滑領域A2a〜A2cが隣り合う凹凸領域A1a〜A1cの間にそれぞれ配置され、これらの平滑領域A2a〜A2cの幅W2a〜W2cが、所定の傾斜方向に向かって漸減あるいは漸増しても良い。
また、図3の構成では、上記のように、凹凸領域A1が、ブロック4の踏面の角部にそれぞれ配置されている。
しかし、これに限らず、図20に示すように、平滑領域A2が、ブロック4の踏面の角部にそれぞれ配置されても良い。また、凹凸領域A1がブロック4の踏面の一方の角部に配置され、平滑領域A2が他方の角部に配置されても良い(図示省略)。
また、図3の構成では、5つの凹凸領域A1が、平滑領域A2を間に挟んで、ブロック4の踏面を所定の傾斜方向に横断している。
しかし、これに限らず、図21〜図23に示すように、平滑領域A2を間に挟んだ少なくとも一対の凹凸領域A1、A1が、ブロック4の踏面に配置されていれば良い。このとき、図21に示すように、一対の凹凸領域A1が、ブロック4の踏面で一方の傾斜方向に偏って配置されても良い。また、図22に示すように、幅広な一対の凹凸領域A1がブロック4の踏面の中央部領域に配置されても良い。さらに、図23に示すように、幅広な一対の凹凸領域A1、A1が、ブロック4の踏面の対向する角部に配置され、単一の平滑領域A2がこれらの凹凸領域A1、A1の間に配置されても良い。
また、図3の構成では、上記のように、ブロック4が複数のサイプ5を有し、これらのサイプ5と凹凸領域A1および平滑領域A2とが相互に交差している。しかし、これに限らず、ブロック4のサイプ5が省略されても良い(図示省略)。また、ブロック4が、サイプ5に代えて、あるいはサイプ5と共に、細溝、切欠き、面取りを踏面に有しても良い(図示省略)。
図24〜図35は、図4に記載した凹凸部の配置構造の変形例を示す拡大図である。これらの図において、図4に記載した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4の構成では、上記のように、凹凸領域A1および平滑領域A2の境界線が直線であり、凹凸領域A1および平滑領域A2が全体として矩形状を有している(図3参照)。
しかし、これに限らず、凹凸領域A1および平滑領域A2が任意の形状を有し得る。すなわち、上記のように、凹凸領域A1の境界線は、所定の凹凸量Hcおよび幅Wcを有すると共に所定の配置間隔Dcで密集して配置された一群の凹凸部6が選択され、これらの一群の凹凸部6の最外側の端部および縁部が直線状の線分で接続され、これらの線分の集合が滑らかな直線あるいは曲線により近似されて、作図される。このため、一群の凹凸部6が相互に端部位置をずらして配列された構成では、凹凸領域A1の境界線が屈曲形状あるいは湾曲形状を有し得る。
例えば、図24に示すように、凹凸領域A1および平滑領域A2が、所定の傾斜方向に振幅をもつジグザグ形状を有しても良いし、あるいは波状形状(図示省略)を有しても良い。また、図25に示すように、凹凸領域A1および平滑領域A2が、所定の傾斜方向に湾曲した円弧形状を有しても良いし、あるいは屈曲形状(図示省略)を有しても良い。
また、図4の構成では、凹凸領域A1および平滑領域A2が長尺な帯状構造を有し、断面Xに対して垂直な方向に延在している(図3参照)。また、凹凸領域A1および平滑領域A2が一定の幅W1、W2を有している。
しかし、これに限らず、図26に示すように、凹凸領域A1および平滑領域A2の長手方向が、断面Xに垂直な方向に対して傾斜しても良い。ただし、上記のように、凹凸領域A1の長手方向の中心線とタイヤ周方向とのなす角度θ(図3参照)が、15[deg]≦θ≦75[deg]の範囲にあることが好ましい。
また、図27に示すように、凹凸領域A1および平滑領域A2の幅W1、W2が、凹凸領域A1および平滑領域A2の長手方向に向かって変化しても良い。例えば、図27の構成では、一方に向かって、凹凸領域A1の幅W1が単調減少し、平滑領域A2の幅W2が単調増加している。しかし、これに限らず、凹凸領域A1の幅W1が、凹凸領域A1の長手方向の中央部から両端部に向かって増大しても良いし、逆に減少しても良い(図示省略)。また、凹凸領域A1および平滑領域A2の幅W1、W2が、凹凸領域A1および平滑領域A2の長手方向に向かって周期的に増減しても良い(図示省略)。
また、図4の構成では、隣り合う凹凸領域A1、A1が相互に離間している。このため、各領域の境界線が、相互に交差せずに独立している。
しかし、これに限らず、図28および図29に示すように、隣り合う凹凸領域A1、A1が相互に連続しても良い。言い換えれば、連続した1つの凹凸領域A1の間に、平滑領域A2が配置されても良い。
例えば、図28の構成では、一部の凹凸部6が延長されて接続部(図中の符号省略)が形成され、隣り合う凹凸領域A1、A1がこの接続部を介して長手方向の中央部で接続されている。また、複数の凹凸部6が接続部にて所定の配置間隔Dcで密集して配置されることにより、接続部自体が凹凸領域A1として機能する。このため、隣り合う凹凸領域A1、A1が、全体としてH形状を有している。上記のように、凹凸領域A1および平滑領域A2の幅W1、W2は、所定の傾斜方向範囲における任意の断面Xにて定義される。このため、隣り合う凹凸領域A1、A1の接続部では、凹凸領域A1の幅W1が増加して、平滑領域A2の幅W2がゼロとなる。
一方、図29の構成では、凹凸領域A1、A1が、複数箇所で単体の凹凸部6により部分的に接続されている。かかる単体の凹凸部6は、凹凸領域A1として十分に機能しないため、凹凸領域A1および平滑領域A2のいずれにも該当しない中間領域A3として定義される。
また、図30に示すように、ブロック4の踏面が、凹凸領域A1を構成する凹凸部6の条件を満たさない他の凹凸部7(例えば、深い細溝、切欠部、サイプなど)を備える場合には、凹凸領域A1および平滑領域A2が、かかる他の凹凸部7を除いた領域として定義される。例えば、図30の構成では、他の凹凸部7が、第一の凹凸領域A1および平滑領域A2を貫通し、第二の凹凸領域A1に交差して終端している。この場合には、他の凹凸部7の外縁に沿った境界線により中間領域A3が定義される。この中間領域A3は、凹凸領域A1および平滑領域A2のいずれにも該当しない。例えば、図30の構成では、第一の凹凸領域A1および平滑領域A2が中間領域A3により分断され、また、第二の凹凸領域A1の一部が中間領域A3により浸食されている。
また、図4の構成では、上記のように、凹凸領域A1を構成する一群の凹凸部6の長手方向が、タイヤ周方向に対して所定の傾斜角(図中の寸法記号省略)で傾斜している。また、各凹凸部6が、凹凸領域A1内で連続している。また、図4の構成では、凹凸部6が、細浅溝である。
しかし、これに限らず、図31に示すように、凹凸領域A1を構成する一群の凹凸部6が、タイヤ周方向に対して実質的に平行に延在しても良い。具体的には、凹凸部6の長手方向とタイヤ周方向とのなす角が、0[deg]以上20[deg]未満の範囲にあることが好ましい。例えば、図31の構成では、すべての凹凸部6がタイヤ周方向に対して平行に延在している。かかる構成では、所定の狭い配置間隔Dcで密集して配置された一群の凹凸部6が選択され、凹凸領域A1の境界線がこれらの凹凸部6のうち最も外側にある凹凸部6の外縁に沿って作図される。また、広い配置間隔Dcで配置された隣り合う凹凸部6、6の間の領域が、所定のフラットな踏面を有することを条件として、平滑領域A2として定義される。
また、図32に示すように、凹凸領域A1を構成する一群の凹凸部6が、タイヤ周方向に対して実質的に垂直に延在しても良い。具体的には、凹凸部6の長手方向とタイヤ周方向とのなす角が、70[deg]を越えて90[deg]以下の範囲にあることが好ましい。例えば、図32の構成では、すべての凹凸部6がタイヤ周方向に対して垂直に延在している。
また、図33に示すように、凹凸部6が、凹凸領域A1内で分断されていても良い。例えば、図33の構成では、凹凸領域A1内の凹凸部6が、短尺な細浅溝であり、凹凸領域A1を横断することなく、少なくとも一方の端部を凹凸領域A1内に有している。
また、図34に示すように、凹凸部6が、ディンプルであっても良い。例えば、図34の構成では、凹凸部6が、浅い深さ(凹凸量Hc。図6参照。)および小さい外径(幅Wc)をもつ球面状あるいは円柱形状のディンプルである。また、一群の凹凸部6が、所定の配置間隔Dcで密集して配列され、また、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向に千鳥状に配列されている。そして、これらの凹凸部6により、帯状の凹凸領域A1が形成されている。また、平滑領域A2が隣り合う凹凸領域A1、A1の間に形成されている。
また、図35に示すように、図34の構成において、凹凸領域A1を構成する一群の凹凸部6から孤立した凹凸部6が、平滑領域A2内に配置されても良い。すなわち、孤立した凹凸部6と一群の凹凸部6との配置間隔Dcが大きい場合には、孤立した凹凸部6が、凹凸領域A1および平滑領域A2のいずれにも含まれず、中間領域A3を構成する。なお、平滑領域A2内にある複数の凹凸部6が狭い配置間隔Dcで密集して配置されている場合(図示省略)には、これらの凹凸部6が1つの凹凸領域A1を形成する。
図36〜図39は、図5および図6に記載した凹凸部の変形例を示す説明図である。
図3の構成では、図5および図6に示すように、凹凸部6が、細浅溝である。
しかし、これに限らず、図36および図37に示すように、凹凸部6が、所定の凹凸量Hcおよび幅Wcをもつ凸部(例えば、細リブあるいは小突起)であっても良い。また、図38および図39に示すように、一群の凹凸部6が、凹部および凸部の双方を含んでも良い。かかる場合にも、一群の凹凸部6が所定の配置間隔Dcで密集して配列されることにより、凹凸領域A1が形成される。なお、図39のように、凹部6aおよび凸部6bが混在する構成では、上記のように、これらの幅Wc(Wc_a、Wc_b)および凹凸量Hc(Hc_a、Hc_b)がブロック4の踏面におけるフラットな領域を基準として測定される。
図40は、図2に記載したトレッド面の変形例を示す平面図である。同図は、ウィンター用のスタッドレスタイヤのトレッド面を示している。また、図41〜図43は、図40に記載したブロックの踏面を示す平面図である。これらの図は、溝2c、2d(図40参照)に区画された単体のブロック4を示している。また、これらの図において、図2に記載した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図2の構成では、溝2aが、周方向主溝であり、タイヤ全周に渡って連続して延在している。また、溝2bが、貫通ラグ溝であり、トレッド面をタイヤ幅方向に貫通して左右のタイヤ接地端Tに開口している。また、複数の溝2a、2bが、所定の溝幅および溝深さを有し、格子状に配列されて相互に連通している。これにより、タイヤ幅方向に5列のブロック列が区画されている。
これに対して、図40の構成では、溝2cが、タイヤ周方向に対して傾斜する傾斜ラグ溝であり、タイヤ赤道面CL付近からタイヤ接地端Tに向かってタイヤ周方向に対する傾斜角を段階的に増加させて延在している。また、溝2cが、主溝であり、JATMAに規定するスリップサインの表示義務を有する。また、複数の溝2cがV字状に連通して、方向性トレッドパターンが形成されている。また、溝2dが、タイヤ周方向に延在する周方向溝であり、トレッド部ショルダー領域に配置されて隣り合う溝2c、2cを接続する。そして、これらの溝2c、2cが所定の溝幅および溝深さを有することにより、複数種類のブロック4A、4B、4Cが区画されている。
図41の構成では、ブロック4Aが、タイヤ接地端T上にあり、一対の傾斜ラグ溝2c、2cと周方向溝2dとに区画されている(図40参照)。また、ブロック4Aが、全体として少し歪んだ矩形状ないしは台形状を有している。また、ブロック4Aの踏面、すなわち接地領域がタイヤ接地端Tにより区画され、また、複数の凹凸部6がブロック4Aの踏面に形成されている。また、一群の凹凸部6が所定の配置間隔Dc(図4参照)で密集して配列されて、所定の傾斜方向に長尺な帯状の凹凸領域A1が形成されている。また、複数の凹凸領域A1が並列に配置されている。また、平滑領域A2が、隣り合う凹凸領域A1、A1の間に配置されている。また、複数のサイプ5が、タイヤ幅方向に延在して凹凸領域A1および平滑領域A2に交差している。なお、図41の構成では、凹凸領域A1がタイヤ接地端Tよりも内側の領域のみに形成されているが、これに限らず、凹凸領域A1が、タイヤ接地端Tよりも外側の領域、すなわち非接地領域に形成されても良い(図示省略)。
図42の構成では、ブロック4Bが、トレッド部センター領域にあり、一対の傾斜ラグ溝2c、2cと周方向溝2dとに区画されている(図40参照)。また、ブロック4Bが、長尺な略平行四辺形状を有し、その長手方向をタイヤ周方向に対して傾斜させている。また、複数の凹凸部6がブロック4Bの踏面に形成されている。また、一群の凹凸部6が所定の配置間隔Dc(図4参照)で密集して配列されて、所定の傾斜方向に長尺な帯状の凹凸領域A1が形成されている。また、複数の凹凸領域A1が並列に配置されている。また、平滑領域A2が、隣り合う凹凸領域A1、A1の間に配置されている。また、複数のサイプ5が、タイヤ幅方向に延在して凹凸領域A1および平滑領域A2に交差している。ブロック4Bが、凹凸部6よりも深い細溝7aおよび切欠部7bを備えている。また、これらの細溝7aおよび切欠部7bが凹凸領域A1および平滑領域A2に交差している。
図43の構成では、ブロック4Cが、タイヤ赤道面CL上にあり、複数の傾斜ラグ溝2’と周方向溝2b’とに区画されている(図40参照)。また、ブロック4Cが、長尺部と短尺部とを接続した略L字形状を有し、その長尺部にてタイヤ周方向に対して傾斜しつつタイヤ幅方向に延在し、その短尺部にてタイヤ赤道面CLに沿ってタイヤ周方向に延在している。また、複数の凹凸部6がブロック4Cの踏面に形成されている。また、一群の凹凸部6が所定の配置間隔Dc(図4参照)で密集して配列されて、所定の傾斜方向に長尺な帯状の凹凸領域A1が形成されている。また、複数の凹凸領域A1がブロック4Cの長手方向に沿って並列に配置されている。また、平滑領域A2が、隣り合う凹凸領域A1、A1の間に配置されている。また、複数のサイプ5が、タイヤ幅方向に延在して凹凸領域A1および平滑領域A2に交差している。ブロック4Cが、凹凸部6よりも深い細溝7aおよび切欠部7bを備えている。また、これらの細溝7aおよび切欠部7bが凹凸領域A1および平滑領域A2に交差している。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、複数のブロック4をトレッド面に備える(図2参照)。また、ブロック4が、複数の凹凸部6を踏面に備える(図3参照)。また、凹凸部6の凹凸量Hc(図6参照)が、0.1[mm]≦Hc≦1.0[mm]の範囲にある。また、凹凸部6の幅Wc(図4参照)が、0.1[mm]≦Wc≦0.8[mm]の範囲にある。隣り合う凹凸部6の配置間隔DcがDc≦1.2[mm]の範囲にある領域を、凹凸領域A1として定義し、凹凸領域A1以外の領域であって、ブロック4の踏面の算術平均粗さRaがRa≦50[μm]の範囲にある領域を、平滑領域A2として定義し、タイヤ周方向に対して45[deg]で傾斜する断面Xを定義し、断面Xに対して直交する方向における前記ブロックの踏面の傾斜方向長さLbを定義する。このとき、ブロック4が、ブロック4の踏面の傾斜方向長さLbの40[%]以上の傾斜方向範囲における任意の断面Xにて、凹凸領域A1および平滑領域A2をそれぞれ有する(図3および図4参照)。
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、複数のブロック4をトレッド面に備える(図2参照)。また、ブロック4が、複数の凹凸部6を踏面に備える(図3参照)。また、凹凸部6の凹凸量Hc(図6参照)が、0.1[mm]≦Hc≦1.0[mm]の範囲にある。また、凹凸部6の幅Wc(図4参照)が、0.1[mm]≦Wc≦0.8[mm]の範囲にある。隣り合う凹凸部6の配置間隔DcがDc≦1.2[mm]の範囲にある領域を、凹凸領域A1として定義し、凹凸領域A1以外の領域であって、ブロック4の踏面の算術平均粗さRaがRa≦50[μm]の範囲にある領域を、平滑領域A2として定義し、タイヤ周方向に対して45[deg]で傾斜する断面Xを定義し、断面Xに対して直交する方向における前記ブロックの踏面の傾斜方向長さLbを定義する。このとき、ブロック4が、ブロック4の踏面の傾斜方向長さLbの40[%]以上の傾斜方向範囲における任意の断面Xにて、凹凸領域A1および平滑領域A2をそれぞれ有する(図3および図4参照)。
かかる構成では、(1)ブロック4の踏面が密集して配置された微細な凹凸部6から成る凹凸領域A1を備えるので、凹凸領域A1が氷路面の水膜を吸収して除去する。また、ブロック4の踏面がフラットな平滑領域A2を備えるので、氷路面に対するブロック4の接触面積が確保される。そして、凹凸領域A1および平滑領域A2が混在して配置されるので、氷路面に対する平滑領域A2の凝着摩擦力が向上する。これにより、氷路面に対するブロック4の接地特性が向上して、タイヤの氷上性能が相乗的に向上する利点がある。
特に、(2)車両旋回時には、ブロック4の踏面が傾斜方向にスライドしつつ氷路面に接地する。このとき、凹凸領域A1および平滑領域A2が所定の傾斜方向(すなわち、タイヤ周方向に対して45[deg]で傾斜する断面X上)に混在して配置されるので、凹凸領域A1および平滑領域A2の相乗作用により、ブロック4の接地特性が向上する。これにより、タイヤの氷上旋回性能が効率的に向上する。
また、(3)凹凸領域A1を構成する凹凸部6の凹凸量Hc、幅Wcおよび配置間隔Dcが上記数値範囲にあることにより、凹凸領域A1の水膜吸収作用が適正に確保される利点がある。これらの数値範囲が大き過ぎても小さ過ぎても、凹凸領域A1の水膜吸収作用が低下する。
また、(4)凹凸領域A1および平滑領域A2の幅W1、W2の下限が上記の範囲にあることにより、凹凸領域A1および平滑領域A2の上記作用が適正に確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、平滑領域A2が、隣り合う凹凸領域A1、A1の間に配置される(図3参照)。かかる構成では、隣り合う凹凸領域A1、A1が、氷路面の水膜を平滑領域A2の両側で吸収する。これにより、氷路面に対する平滑領域A2の凝着摩擦力が向上して、タイヤの氷上性能がさらに向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、平滑領域A2が、3以上の凹凸領域A1の間にそれぞれ配置される(図3参照)。すなわち、所定の傾斜方向範囲にて、3つ以上の凹凸領域A1が平滑領域A2をそれぞれの間に挟んで縞状に配列される。これにより、氷路面に対する平滑領域A2の凝着摩擦力がさらに向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、凹凸領域A1の幅W1が1.0[mm]≦W1の範囲にあり、平滑領域A2の幅W2が2.0[mm]≦W2の範囲にある(図3参照)。これにより、凹凸領域A1および平滑領域A2の幅W1、W2がそれぞれ確保されて、凹凸領域A1および平滑領域A2の機能が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、凹凸領域A1の幅W1と、この凹凸領域A1に隣り合う平滑領域A2の幅W2とが、0.50≦W1/W2≦1.50の関係を有する(図3参照)。かかる構成では、相互に隣り合う凹凸領域A1および平滑領域A2の幅W1、W2が略同一に設定されることにより、凹凸領域A1および平滑領域A2の混在配置による作用が効果的に得られる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、凹凸領域A1の幅W1の総和ΣW1と、断面Xにおけるブロック4の踏面の長さWb’とが、0.20≦ΣW1/Wb’の関係を有する(図3参照)。これにより、所定の傾斜方向範囲における凹凸領域A1の総幅ΣW1が適正に確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、平滑領域A2の幅W2の総和ΣW2と、断面Xにおけるブロック4の踏面の長さWb’とが、0.20≦ΣW2/Wb’の関係を有する(図3参照)。これにより、所定の傾斜方向範囲における平滑領域A2の総幅ΣW2が適正に確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、凹凸領域A1おける凹凸部6の面積比が、20[%]以上45[%]以下の範囲内にある。これにより、凹凸領域A1における凹凸部6の水膜除去作用がより適正に確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、凹凸領域A1における凹凸部6の幅Wcおよび配置間隔Dcが、0.80≦Dc/Wcの関係を有する(図4参照)。これにより、凹凸領域A1の内部の接地面積が確保されて、凹凸領域A1自体の接地特性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、凹凸領域A1における凹凸部6の配置間隔Dcと平滑領域A2の幅W2とが、4.0≦W2/Dcの関係を有する(図4参照)。これにより、凹凸領域A1および平滑領域A2の混在配置による作用が適正に得られる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、凹凸領域A1が、長尺な形状を有し、且つ、凹凸領域A1の長手方向の中心線とタイヤ周方向とのなす角度θが、15[deg]≦θ≦75[deg]の範囲にある(図3参照)。これにより、凹凸領域A1の長手方向の角度θが適正化されて、凹凸領域A1の機能が適正に確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、凹凸領域A1が、ブロック4の踏面の角部に形成される(図3参照)。これにより、ブロック4の踏面の除水性が向上して、タイヤの氷上制駆動性能および氷上旋回性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、平滑領域A2が、ブロック4の踏面の角部に形成される(図20参照)。これにより、ブロック4の接地面積が増加して、タイヤの氷上制駆動性能および氷上旋回性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、凹凸部6が、細浅溝である(図4〜図7参照)。かかる構成では、凹凸部6が長尺構造を有するので、凹凸部6が短尺なディンプルである構成(図34参照)と比較して、凹凸部6の除水作用が効率的に得られる利点がある。
図44は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
この性能試験では、複数種類の試験タイヤについて、(1)氷上制動性能および(2)氷上旋回性能に関する評価が行われた。また、タイヤサイズ195/65R15 91Qの試験タイヤがリムサイズ15×6Jのリムに組み付けられ、この試験タイヤに210[kPa]の内圧およびJATMAの規定荷重が付与される。また、試験タイヤが、試験車両である排気量1600[cc]かつFF(Front engine Front drive)方式のセダンに装着される。
(1)氷上制動性能に関する評価では、試験車両が所定の氷路面を走行し、走行速度40[km/h]からの制動距離が測定される。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
(2)氷上旋回性能に関する評価は、試験車両が氷路面を半径30[m]の円に沿って旋回走行して、その周回時間の計測およびテストドライバーのフィーリング評価が行われる。そして、これらに基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
実施例1〜9の試験タイヤは、図1〜図7に記載した構造を有する。また、ブロック4の傾斜方向長さLbがLb=64[mm]であり、ブロックの幅方向長さがWb=40[mm]である。また、ブロック4がサイプ5を有し、サイプ5の深さが7.0[mm]であり、幅が0.8[mm]である。また、ブロック4の踏面が凹凸領域A1および平滑領域A2を備え、また、凹凸領域A1の凹凸部6が細浅溝から成る。また、所定の幅W1、W2をもつ複数組の凹凸領域A1および平滑領域A2が、所定の傾斜方向に並列に配置される。また、上記した凹凸部6およびサイプ5以外の表面加工部が、ブロック4の踏面に施されておらず、ブロック4がプレーンな踏面を有する。
従来例の試験タイヤは、実施例1の試験タイヤにおいて、凹凸部6がブロック4の踏面の全域に配列されている。
試験結果が示すように、実施例1〜9の試験タイヤでは、タイヤの氷上制動性能および氷上旋回性能が向上することが分かる。
1:空気入りタイヤ、2a〜2d:溝、4、4A〜4C:ブロック、5:サイプ、6:凹凸部、7:他の凹凸部、11:ビードコア、12:ビードフィラー、13:カーカス層、14:ベルト層、141、142:交差ベルト、143:ベルトカバー、15:トレッドゴム、16:サイドウォールゴム、17:リムクッションゴム、A1:凹凸領域、A2:平滑領域、A3:中間領域
Claims (14)
- 複数のブロックをトレッド面に備える空気入りタイヤであって、
前記ブロックが、複数の凹凸部を踏面に備え、
前記凹凸部の凹凸量Hcが、0.1[mm]≦Hc≦1.0[mm]の範囲にあり、
前記凹凸部の幅Wcが、0.1[mm]≦Wc≦0.8[mm]の範囲にあり、
隣り合う前記凹凸部の配置間隔DcがDc≦1.2[mm]の範囲にある領域を、凹凸領域として定義し、
前記凹凸領域以外の領域であって、前記ブロックの踏面の算術平均粗さRaがRa≦50[μm]の範囲にある領域を、平滑領域として定義し、
タイヤ周方向に対して45[deg]で傾斜する断面Xを定義し、
断面Xに対して直交する方向における前記ブロックの踏面の傾斜方向長さLbを定義し、且つ、
前記ブロックが、前記ブロックの踏面の傾斜方向長さLbの40[%]以上の傾斜方向範囲における任意の断面Xにて、前記凹凸領域および前記平滑領域をそれぞれ有することを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記平滑領域が、隣り合う前記凹凸領域の間に配置される請求項1に記載される空気入りタイヤ。
- 前記平滑領域が、3以上の前記凹凸領域の間にそれぞれ配置される請求項1または2に記載される空気入りタイヤ。
- 前記凹凸領域の幅W1が1.0[mm]≦W1の範囲にあり、前記平滑領域の幅W2が2.0[mm]≦W2の範囲にある請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記凹凸領域の幅W1と、前記凹凸領域に隣り合う前記平滑領域の幅W2とが、0.50≦W1/W2≦1.50の関係を有する請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 断面Xに対して平行な方向における前記ブロックの踏面の長さWb’を定義し、
前記凹凸領域の幅W1の総和ΣW1と、断面Xにおける前記ブロックの踏面の長さWb’とが、0.20≦ΣW1/Wb’の関係を有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。 - 断面Xに対して平行な方向における前記ブロックの踏面の長さWb’を定義し、
前記平滑領域の幅W2の総和ΣW2と、断面Xにおける前記ブロックの踏面の長さWb’とが、0.20≦ΣW2/Wb’の関係を有する請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。 - 前記凹凸領域における前記凹凸部の面積比が、20[%]以上45[%]以下の範囲内にある請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記凹凸領域における前記凹凸部の幅Wcおよび配置間隔Dcが、0.80≦Dc/Wcの関係を有する請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記凹凸領域における前記凹凸部の配置間隔Dcと前記平滑領域の幅W2とが、4.0≦W2/Dcの関係を有する請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記凹凸領域が、長尺な形状を有し、且つ、前記凹凸領域の長手方向の中心線とタイヤ周方向とのなす角度θが、15[deg]≦θ≦75[deg]の範囲にある請求項1〜10のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記凹凸領域が、前記ブロックの踏面の角部に形成される請求項1〜11のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記平滑領域が、前記ブロックの踏面の角部に形成される請求項1〜11のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記凹凸部が、細浅溝である請求項1〜13のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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