JP2018199967A - 梁部材のむくりによるスラスト力が導入された柱梁接合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】柱梁接合部に二次ケーブルを無くしてもプレストレスを与えることを可能にし、現場作業を減らしコストダウンを図れるプレキャストコンクリート柱とプレストレスプレキャストコンクリート梁の接続構造を提供する。【解決手段】プレキャストコンクリート柱1の梁受け顎2に、緊張用一次ケーブル4でプレストレスが付与されたプレキャストコンクリート梁3の端部が設置され、梁端部の柱梁接合部13に現場打ちコンクリート17が打設された柱梁接合構造であって、スパンの中央において、プレキャストコンクリート梁3に所定のむくりを形成して梁3全体がアーチ状に形成され、柱梁接合部13の現場打ちコンクリート17が硬化した後に形成されたスラブや仕上げ等による固定荷重および建物供用時の積載荷重が梁に作用し、梁が水平状態に弾性変形することによって梁端部に生じさせられたスラスト力がプレストレス力として柱梁接合部に導入される。【選択図】図4

Description

本発明は、建築構造物のプレキャストコンクリート柱と梁の接合部において、梁部材のむくりによるスラスト力が導入された柱梁接合構造に関するものである。
一般にこの種のプレキャストコンクリート柱と梁の接合構造については、従来技術として複数のものが公知になっている。その公知に係る第1の従来技術として、プレキャストコンクリート柱の頭部にプレキャストコンクリート梁の端部が載置され、該柱梁接合部に現場打ちコンクリートが打設されたプレキャストコンクリ−ト柱と梁の接合部において、前記プレキャストコンクリート梁はPC鋼線でプレストレスが付与されてプレキャストコンクリート柱に接合され、このプレストレスによりプレキャストコンクリート梁の端部下端筋を短くして水平方向の配筋のみで定着することを特徴とするプレキャストコンクリート柱と梁の接合構造である(特許文献1)。
上記第1の従来技術において、プレキャストコンクリート梁は、緊張材(二次ケーブル)によってプレストレスが付与されてプレキャストコンクリート柱に接合され、プレキャストコンクリート梁の端部下端筋が折り曲げられずに柱梁接合部に水平配筋されたことにより、柱梁接合部における配筋の混雑さが解消されるので、現場打ちコンクリートの充填性が良くなって、密実コンクリートの品質が確保される。またプレキャストコンクリート梁の端部下端筋が折り曲げられずに水平になるので、プレキャストコンクリート梁が単純化および簡素化されて、コストが削減される。また基礎と杭との間に免震装置を設けたことにより、地震時における建物へ入力される水平震度が小さくなり、プレキャストコンクリート梁の端部下端筋を柱梁接合部において水平配筋できる長さにすることができる、というものである。
また、第1の従来技術において公知例として引用した同文献中の図3に示されているように、プレキャストコンクリート柱の頭部にプレキャストコンクリート梁の端部を載置し、梁端から下端筋及び上端筋を鉄筋径(d)の35dの定着長で柱梁接合部(パネルゾーン)内に出して、この柱梁接合部(パネルゾーン)内に、現場打ちコンクリートが打設されて構成されたものである。ようするに、RC造とするものもある。
公知に係る第2の従来技術は、基礎コンクリート上に適宜間隔をもって立設されたプレキャストコンクリート柱の梁受用顎に、接合端部が載置されて緊張用一次ケーブルでプレストレスが付与されたプレキャストコンクリート梁がプレキャストコンクリート柱間に架設され、該プレキャストコンクリート柱を貫通して対向するプレキャストコンクリート梁に縦方向の中央部より下側に長さ方向に沿って配設された緊張用二次ケーブルでプレキャストコンクリート梁がプレキャストコンクリート柱に接合され、該プレキャストコンクリート柱の梁受用顎に対向載置された接合端部同士が、一方の接合端部からプレキャストコンクリート柱を貫通して他方の接合端部にわたって設けられた接合用ケーブルで接合され、該接合用ケーブルが湾曲状で、かつ緊張されずに配線されたことを特徴とする柱と梁の接合構造である(特許文献2)。
この柱と梁の接合構造では、プレキャストコンクリート梁に縦方向の中央部より下側に長さ方向に沿って配設された緊張用二次ケーブルでプレキャストコンクリート梁がプレキャストコンクリート柱に接合されたことにより、大地震に緊張用二次ケーブルがヒンジの働きをして、これを中心にプレキャストコンクリート梁が回転変形して地震エネルギーを減少させる、というものである。
特許第3873064号の特許公報 特許第4041828号の特許公報
前記第1および第2のいずれの従来のプレキャストコンクリート柱と梁の接合構造としては、緊張用二次ケーブルを現場で配設して緊張工事を行うことは、現場作業が煩雑であるばかりでなく、緊張後のグラウト工事を行う必要があり、グラウトの充填、養生等によって現場作業工程が長くなり、現場作業員の熟練を要すること等も含めて、コストがかかるという問題点を有する。
また、冬期にグラウトが凍結する恐れがあるため、外気温が5℃以下の場合にはグラウトの施工が禁止されているから、工事完成するまでの工程が更に長くなってしまう。そこで、加熱装置(ジェットヒータ等)を設置して加温するという方法が採られているが、大規模な装置構成が必要となることから、施工作業そのものが大掛かりになり製作に伴うコストが増大してしまう要因ともなる。
また、特許文献1の図3に示されているようなRC造とする柱梁接合部において、配筋の混雑さという問題だけではなく、柱梁接合部の水平方向にプレストレスが付与されていないため、地震時に斜めひび割れの発生やせん断破壊が生じ、建物構造全体が崩壊に至る恐れがある。
ようするに、柱梁接合部(パネルゾーン)が現場打ちコンクリートで構築される場合には、縦横3次元的にプレストレスを付与してPC構造とすることが構造性能上では好ましいが、二次ケーブルの緊張工事とグラウト工事で現場手間とコストがかかるという問題がある。一方で、二次ケーブルを無くして梁端から鉄筋を出して、現場打ちコンクリートで柱と梁を一体化接合する方法があるが、形成された柱梁接合部がRC造となり、構造性能、特に耐震性能が劣るため、構造全体(柱、梁)がPC構造とする場合には採用できない。
本発明は、工場においてプレキャストコンクリート梁に予め緊張用一次ケーブルを配設し緊張定着して、偏心プレストレスを導入することによって梁の中央部に所定のむくりを形成し、そのむくりを利用して柱梁接合部にスラスト力を導入して、柱梁接合部に二次ケーブルを無くしてもプレストレスを与えることが可能にし、現場作業を減らしコストダウンを図ることを目的とする。
本発明は、前述の従来例の課題を解決する具体的手段として、基礎コンクリート上に所要間隔(スパン)をもって複数立設されたプレキャストコンクリート柱の梁受け顎に、緊張用一次ケーブルでプレストレスが付与されたプレキャストコンクリート梁の端部が設置され、該梁端部の柱梁接合部に現場打ちコンクリートが打設された柱梁接合構造であって、前記スパンの中央において、前記プレキャストコンクリート梁に所定のむくりを形成して梁全体がアーチ状に形成され、前記柱梁接合部の現場打ちコンクリートが硬化した後に形成されたスラブや仕上げ等による固定荷重および建物供用時の積載荷重が該梁に作用し、該梁が水平状態に弾性変形することによって梁端部に生じさせられたスラスト力がプレストレス力として前記柱梁接合部に導入されることを提供するものである。
前記発明において、前記柱の所要間隔(スパン)をLとし、前記梁のむくりをδとして、次式
δ/L=5/10000〜20/10000
の範囲を満足させる構造にすること、を付加的要件として含むものである。
1.梁端にスラスト力を生じさせることによって、従来の二次ケーブルをと同様にプレストレスを柱梁接合部(パネルゾーン)に与える効果を得ることが可能であり、二次ケーブルを無くすことができ、現場作業の軽減とコストダウンを図ることができる。
2.緊張用二次ケーブルを無くして、換わりに柱梁接合部にスラスト力を導入したことによって、従来のRC造よりも構造性能が大幅に改善され、パネルゾーンに斜めひび割れの発生やせん断破壊等を防ぐことができる。
3、また、二次ケーブルを無くすことによって、冬期グラウト工事を行うことなく、冬期施工の工期が大幅に短縮することができる。
本発明に係る柱梁接合部にスラスト力が導入される基本的な原理を示した説明図である。 同基本的な原理に使用されるPC梁を示すもので、(a)は略示的に示した側面図、(b)は略示的に示した中央断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る柱梁接合部の構築途上においてPC柱間にPC梁を架設する状態を略示的に示した側面図である。 同実施の形態に係るPC柱間にPC梁を架設した柱頭部の柱梁接合部に現場打ちコンクリートを打設した状態を示した側面図である。 同実施の形態において架設されたPC梁及び柱梁接合部の上面に床スラブとなるトップコンの打設と上層PC柱の構築状態を示した側面図である。 同実施の形態においてPC柱間に架設したPC梁3に固定荷重及び積載荷重が掛かると共に、柱のPC鋼棒によるプレストレス力、反らせた梁の弾性変形によるスラスト力が生ずる状況を示す説明図である。 図(a)は同実施の形態に係る外周PC柱の柱梁接合部の略示的横断面図、図(b)は同実施の形態に係る内側PC柱の柱梁接合部の略示的横断面図、図(c)はPC梁の中央部の略示的縦断面図である。 同実施の形態に係るPC柱間にPC梁を架設し外周PC柱の柱梁接合部において、二次ケーブルを配置した他の実施例を示した側面図である。 同実施の形態における他の実施例に係る外周PC柱の柱梁接合部の略示的横断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るPC柱間に架設されたPC梁及び柱梁接合部の上面に床スラブとなるトップコンの打設と上層PC柱の構築状態を示した免震建造物の側面図である。 同実施の形態に係るPC柱間にPC梁を架設し外周PC柱の柱梁接合部において、二次ケーブルを配置した他の実施例を示した免震建造物の側面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る柱梁接合部の具体的構成を示した要部の側面図である。 本発明に係る柱梁接合部が適用できるその他の建造物における具体的構成を示した要部の側面図である。
本発明を図示の実施の形態に基づいて詳しく説明する。まず、耐震建造物におけるPC柱1とPC梁3との柱梁接合部(パネルゾーン)にスラスト力の導入が採用される基本的な原理について、図1と図2(a)(b)を用いてその要点を説明する。
図1に示したように、梁の中央部にむくり(上向きの変形量)を形成して全体的にアーチ状になる梁が両端にピン支点で支持される状態とする。梁の上に荷重aが作用すると、梁が下向きのたわむ方向に弾性変形をしようとするが、両端にピン支点でその弾性変形が拘束されているため、梁の両端に支点鉛直反力bが発生すると共に、水平方向にも支点水平反力cが発生する。それらの反作用力として等しい力がピン支点に作用する。本願では、その中の支点水平反力cの反作用力dを着目して生かすこととし、それをスラスト力dと呼ぶ。
後述する実施の形態において示されるように、PC柱1としては顎2付き柱を使用し、該PC柱1の顎2に端部を載置して柱梁接合部(パネルゾーン)13で接合されるPC梁3とする。この場合には、スラスト力dが柱梁接合部に作用することになる。
PC梁3のむくりを付与する手段として、図2(a)(b)に示したように、PC梁3は、その中央断面において中立軸(重心軸)X−Xよりも下側に偏心させて一次ケーブル4の図心を配設し、緊張定着することによってPC梁3に偏心プレストレスを導入する。
なお、一次ケーブル4は、複数のPCケーブルを合成したものとする。
このようにPC梁3の製造時において、工場内で製造する段階でプレキャストコンクリートのPC梁3に対して、プレテンション方式またはポストテンション方式により一次ケーブル4を緊張定着して偏心プレストレスを導入するのであり、その導入された偏心プレストレスによって、PC梁3に所定のむくり(上向きの弾性変形)を生じさせて全体をアーチ状に形成させるのである。もちろん、PC梁3の形成時には、当然のこととして、所要の強度を付与するために、内部に所要の鉄筋が配筋されることは言うまでもないことである。なお、鉄筋の一部は柱梁接合部において連結するため端部から突出させてある。
このようにアーチ状に形成されたPC梁3をPC柱1の顎2に載せて、柱梁接合部(パネルゾーン)を現場打ちコンクリートを打設して硬化させる。硬化された柱梁接合部(パネルゾーン)13が梁両端の水平拘束となり、その後に、構築された床スラブや仕上げ等による固定荷重および建物供用時の積載荷重が梁に作用することになる。図1に示したように、矢印aで示す固定荷重及び積載荷重の作用によって、PC梁3がむくりと反対向き(下向き)で水平状態に弾性変形することになり、梁の両端支点に、支点鉛直反力bと共に、硬化された柱梁接合部(パネルゾーン)13の水平拘束によって、支点水平反力c(水平変形拘束力)が生じる。この支点水平反力c(水平変形拘束力)の反作用力として、支点水平反力cと等しいスラスト力dが生じて柱梁接合部13(パネルゾーン)に作用することになり、従来の二次ケーブルと同様にプレストレスを与える効果を得ることができるのである。
ようするに、従来の二次ケーブルによるプレストレス力の換わりに、反らせた梁端の水平変形拘束によって生じさせたスラスト力dで柱梁接合部に与えることが可能になる。
また、スラスト力dの大きさは、理論上では前記所定のむくりを生じさせて全体をアーチ状に形成させたPC梁3におけるむくりδと梁の支点間距離lに関連するが、本願では、便宜上で柱間隔(スパン)Lとの関係で検討することとする。むくりδがスパンLに対して小さすぎると、柱梁接合部に導入されるスラスト力dは小さくなり、強度的に不十分である。逆に大きすぎると、梁の中央と端部との段差が大きくなり、梁の上端に同一レベルで床スラブの形成は難しくなる。よって、本願では、δとLとの関係については、概ね5/10000〜20/10000の範囲内が好ましい。
そして、PC梁3について、一次PCケーブル4を設定された緊張力で緊張定着してアーチ状に形成する工程では、工場内で行うので、構築予定の建造物に使用される全てのPC梁3について、工場管理によって均等なむくりを形成して同じアーチ状になるように偏心プレストレスを付与することができるのである。
次に、図3乃至図7に示した第1の実施の形態について説明する。この実施の形態に係る建造物は、基礎コンクリートとして基礎杭5、フーチング6と基礎梁7が形成される。地盤に所要間隔で打ち込まれた基礎杭5の上に、それぞれフーチング6が取り付けられ、各フーチング6間に基礎梁7が取り付けられると共に、フーチング6の上部に台座ブロック8を介してプレキャストコンクリート柱、即ち顎2の付いたPC柱1が立設状態に取り付けられる。この場合に、フーチング6の内部に埋め込まれた定着具9からPC鋼棒10の上端部を所要長さで上部に突出させ、その上端部は台座ブロック8を貫通して上部に突出し、その突出端にPC柱1の内部を挿通するPC鋼棒10の下端がカプラー11を介して連結され、該PC鋼棒10の上端部は、PC柱1の上端部において、例えばナット等の定着具12で締め付けて緊張固定する。
このように立設状態に取り付けられたPC柱1間の顎2に、図3、図4に示したように、前記むくりを生じさせたアーチ状のPC梁3の端部を載せ、PC柱1とPC梁3及び隣接するPC梁3の端部とを連結結合させるために、柱梁接合部(パネルゾーン)13を型枠(図示せず)で囲み、パネルゾーンの中でPC梁3の端部から突出している鉄筋3aに加えて、図7(a)(b)に示したように、複数の鉄筋3b,3cをクロスさせて配設し、さらに梁の上面まで伸びる上端鉄筋14を配設すると共に、上階のPC柱が連結できるように、下階PC柱1の上端に突出するPC鋼棒10にカプラー15を介して連結用鋼棒16を取り付け、パネルゾーン13に現場打ちコンクリート17を打設する。
パネルゾーン13の現場打ちコンクリート17が硬化した後に、図5に示したように、PC梁3の上面に伸ばした上端鉄筋14に連結用の鉄筋14を一面に敷設してから、その階の床スラブとなるトップコン(現場打ちスラブ)18を打設する。そして、トップコンのスラブ18が硬化した後に、前記と同様にカプラー11を介してPC鋼棒10が連結され、前記下階のPC柱1と同様な顎2付きPC柱1を立設すると共に、適宜に仕切り壁や諸設備等の諸々の装備工事が行われるのである。
このようにして順次上層階が構築され、各フロア毎に諸々の装備工事が行われることにより、図6に示したように、前記図1の原理図で説明したと同様に、スラブ18を介してPC梁3に矢印aで示すように固定荷重及び積載荷重が掛かり、PC梁3のむくりが押し下げられて略水平状態になり、PC梁3の端部にスラスト力dが生ずる。この場合に、中柱の柱梁接合部(パネルゾーン)13において、縦方向にはPC柱1に配置されたPC鋼棒10の緊張力によりプレストレス力Pが付与され、水平方向には、スラスト力dが平面2方向とも付与されることによって、結果的に3次元的にプレストレス力と同様な圧縮力が付与されることになる。
外周柱の柱梁接合部(パネルゾーン)13において、縦方向にはPC鋼棒10の緊張力によってプレストレスPが付与される。水平方向には、片側にPC梁3の梁端からスラスト力dが付与されると共に、反対側にはPC柱1の拘束力eが付与され、結果的に中柱と同じように3次元的にプレストレス力と同様な圧縮力が付与されることになる。
なお、PC梁3は、固定荷重及び積載荷重aが掛かっても一次ケーブル4の緊張力で支持されると共に、前述したように、δとLとの関係は、概ね5/10000〜20/10000の範囲内にしておけば、水平状態以上に下がらない(下向きのたわみが生じない)のである。
また、図7(c)に示したように、PC梁3としての鉄筋19、20を配設していることはもちろんであるが、その他に一次ケーブル4については、中立軸(重心軸)X−Xよりも下側に偏心させて、例えば、プレテンション方式として複数(9本)の鋼線4を上下左右に均等間隔をもって配設したものであり、各鋼線4を設定された緊張力で緊張定着することにより、PC梁3がアーチ状(むくり)に形成されるのである。なお、一次ケーブルに係るPC鋼線4の数については、適宜に増減できることは言うまでもない事項である。
上記、第1の実施の形態について、外周のPC柱1のパネルゾーン13について、梁のある側にスラスト力dと、梁のない側に柱の拘束力eが付与されることになる。柱の拘束力eが柱の負担となるから、柱の負担を軽減したい場合には、他の実施例として、図8と図9に示した構成を採用することができる。
即ち、外周のPC柱1の顎2に載置されるPC梁3の端部側には、予め箱抜き凹部21を設けると共に、該凹部21から端部に突出するシース22を内部に設けておき、各階毎に外周のPC柱1のパネルゾーン13に打設した現場打ちコンクリートが硬化した後に、シース22内に二次23を挿通し、定着具24により両端部を緊張定着することにより、図9に示したように、パネルゾーン13の平面においては、Y方向にはPC梁3によるスラスト力dと、X方向には二次ケーブル23によるプレストレスPとがバランスよく付与され、外周のPC柱1に負担をかけずに柱梁の安定した接合ができるのである。なお、他の構成部分は、実質的に図5に示した構成と同一であるので、その詳細についての説明は省略する。
次に、第2の実施の形態について、図10と図11について説明する。
この実施の形態については、免震装置を取り付けた免震建造物である点で前記第1の実施の形態と相違するのであって、その建造物における主要の構造については、実質的に同一であるので、同一部分については同一符号を付して詳細な説明は省略する。
即ち、免震建造物にするために、基礎コンクリートとしては、下部基礎と上部基礎との間に免震装置を設けて形成することになる。下部基礎としては、杭5の頭部には立ち上がりコンクリート基礎25を形成し、該立ち上がりコンクリート基礎25間を繋ぐためのマットスラブ26が設けられている。そして、上部基礎としては、フーチング6と基礎梁7で形成される。下部基礎の立ち上がりコンクリート基礎25と上部基礎のフーチング6との間に免震装置27が取り付けられている。この場合の上部構造としては、上部基礎とするフーチング6及び基礎梁7を含む顎2の付いたPC柱1と一次PCケーブル4で所要のむくりを生じさせたPC梁3とを使用し、柱梁接合部(パネルゾーン)13に現場打ちコンクリート17を打設する点等においては、前記第1の実施の形態と同じである。
免震建造物の免震装置により、地震時に建造物の上部構造に作用される地震力が耐震構造に比べ大幅に小さくなるから、柱梁接合部に必要なプレストレス導入力も小さくなる。従って、免震構造物の上部構造をPC構造としてPC柱とPC梁を用いて構築する場合には、柱梁接合部に従来の緊張用二次ケーブルを無くしてスラスト力を導入することで所要の構造性能が充分に得られるから、より合理的かつ経済的な構造となり、本願のスラスト力導入法は免震PC構造物に最も適用するものである。
また、上記第2の実施の形態に係る他の実施例として図11示す。
上部構造の外周PC柱1の柱梁接続部(パネルゾーン)13について、外周のPC柱1に負担をかけずに柱梁の安定した接合ができるように、前記第1の実施の形態に係る他の実施例として図示した図8の構成と同じように、凹部21を形成しシース22を配設し、該シース内に2次ケーブル23を挿通し、その端部を定着具24で緊張定着するのであるから、その詳細な説明は省略する。
いずれにしても、第2の実施の形態に係る柱梁接合部(パネルゾーン)13の構成を有する上部構造については、前記第1の実施の形態に係る上部構造と略同一であり、両者間で相違する点は、耐震構造であるか免震構造であるかの点だけである。
さらに、本発明に係る第3の実施の形態について図12を用いて説明する。
この実施の形態については、基礎コンクリートとしては、前記した第1、第1の実施例のいずれとしてよいので、図示は省略する。また、同様な詳細についてその説明は省略する。
この実施の形態において、前記第一、第二の実施例との異なる点としては、柱梁接合部にはスラスト力dと二次ケーブル28によるプレストレスPを併用して導入することとし、従来の二次ケーブルを減らすことができる。
この点については、図13に示したように、柱梁接合部13をプレキャストPC柱1と一体化して形成したものにも適用できる。具体的に説明すると、柱梁接合部(パネルゾーン)13をプレキャストPC柱1と一体化し、前記実施例と同様に、所定のむくりが形成されたアーチ状になるプレキャストPC梁3をPC柱1の顎2に載せて、梁端と柱梁接合部に目地を設けて、目地モルタル29を充填して硬化させる。目地モルタル29が硬化した後に、二次ケーブル28を緊張定着してプレストレスPを与えて梁と柱をPC圧着接合する。その後に、前記実施例と同様に固定荷重及び積載荷重aを梁に作用することによって、梁端部に生じさせられたスラスト力dとプレストレス力Pとの合力P+dが柱梁接合部13に導入され、同じくその合力P+dに対抗する柱の上下方向の緊張定着によるプレストレス力Pによる柱の拘束力eと二次ケーブルのプレストレス力Pによる合力P+eが柱梁接合部13に導入される。こうすることによって、二次ケーブルによるプレストレス力Pと反らせた梁の弾性変形によるスラスト力d及び柱の拘束力eとが併用した形で柱梁接合部に導入されることになり、より強固な耐震接合構造になると共に、従来の二次ケーブルを減らすことができる。
本発明に係る柱梁接合構造は、基礎コンクリート上に所要間隔(スパン)をもって複数立設されたプレキャストコンクリート柱の梁受け顎に、緊張用一次ケーブルでプレストレスが付与されたプレキャストコンクリート梁の端部が設置され、該梁端部の柱梁接合部に現場打ちコンクリートが打設された柱梁接合構造であって、前記スパンの中央において、前記プレキャストコンクリート梁に所定のむくりが形成され梁の全体がアーチ状に形成され、前記柱梁接合部の現場打ちコンクリートが硬化した後に形成されたスラブや仕上げ等による固定荷重および建物供用時の積載荷重が該梁に作用し、該梁が水平状態に弾性変形することによって梁端部に生じさせられたスラスト力がプレストレス力として前記柱梁接合部に導入されるようにしたことにより、従来の二次ケーブルと同様にプレストレスを柱梁接合部(パネルゾーン)に与えることが可能であり、二次ケーブルを減らすかまたは無くすことができ、しかも、工場管理によってPC梁に一次ケーブルを配設し緊張定着して均等なむくりを形成することができ、工事費も含めてコストダウンを図ることができるし、また、二次ケーブルを無くしても、柱梁接合部にスラスト力を導入したことによって、従来のRC造よりも構造性能が大幅に改善され、パネルゾーンに斜めひび割れの発生やせん断破壊等を防ぐことができるので、建築業界において広い範囲で使用可能である。
1 PC柱
2 顎
3 PC梁
3a、3b,3c、14 鉄筋
4 一次ケーブル
5 基礎杭
6 フーチング
7 基礎梁
8 台座ブロック
9、12、24,30 定着具
10 PC鋼棒
11、15 カプラー
13 柱梁接合部(パネルゾーン)
14 上端鉄筋
16 連結用鋼棒
17 現場打ちコンクリート
18 スラブ
19,20 鉄筋
21 凹部
22 シース
23、28 二次ケーブル
25 立ち上がりコンクリート基礎
26 マットスラブ
27 免震装置
a 荷重(固定荷重及び積載荷重)
b 支点鉛直反力
c 支点水平反力
d スラスト力
e 柱の拘束力
P プレストレス力
L 柱間隔(スパン)
l 梁の支点間距離

Claims (2)

  1. 基礎コンクリート上に所要間隔(スパン)をもって複数立設されたプレキャストコンクリート柱の梁受け顎に、緊張用一次ケーブルでプレストレスが付与されたプレキャストコンクリート梁の端部が設置され、該梁端部の柱梁接合部に現場打ちコンクリートが打設された柱梁接合構造であって、
    前記スパンの中央において、前記プレキャストコンクリート梁に所定のむくりを形成して梁全体がアーチ状に形成され、
    前記柱梁接合部の現場打ちコンクリートが硬化した後に形成されたスラブや仕上げ等による固定荷重および建物供用時の積載荷重が該梁に作用し、
    該梁が水平状態に弾性変形することによって梁端部に生じさせられたスラスト力がプレストレス力として前記柱梁接合部に導入されること
    を特徴とする柱梁接合構造。
  2. 前記柱の所要間隔(スパン)をLとし、前記梁のむくりをδとして、次式
    δ/L=5/10000〜20/10000
    の範囲を満足させる構造にすること
    を特徴とする請求項1に記載の柱梁接合構造。
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