以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置を搭載した車両を模式的に示した斜視図である。図2は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。図1に示すように、車両101は、電動パワーステアリング装置80を搭載している。図2に示すように、電動パワーステアリング装置80は、操作者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、操舵力アシスト機構83と、ユニバーサルジョイント84と、ロアシャフト85と、ユニバーサルジョイント86と、を備え、ピニオンシャフト87に接合されている。また、電動パワーステアリング装置80は、モータ制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)90と、トルクセンサ94と、を備える。車速センサ95は、車体に備えられ、CAN(Controller Area Network)通信により信号として車速SVをECU90に出力する。
図2に示すように、ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bと、を備える。入力軸82aの一方の端部がステアリングホイール81に連結され、入力軸82aの他方の端部が出力軸82bに連結される。また、出力軸82bの一方の端部が入力軸82aに連結され、出力軸82bの他方の端部がユニバーサルジョイント84に連結される。本実施形態では、入力軸82a及び出力軸82bは、機械構造用炭素鋼(SC材(Carbon Steel for Machine Structural Use))又は機械構造用炭素鋼鋼管(いわゆるSTKM材(Carbon Steel Tubes for Machine Structural Purposes))等の一般的な鋼材等から形成される。
図2に示すように、ロアシャフト85は、ユニバーサルジョイント84を介して出力軸82bに連結される部材である。ロアシャフト85の一方の端部がユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部がユニバーサルジョイント86に連結される。また、ピニオンシャフト87の一方の端部がユニバーサルジョイント86に連結され、ピニオンシャフト87の他方の端部がステアリングギヤ88に連結される。
図2に示すように、ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bと、を備える。ピニオン88aは、ピニオンシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に連結される。
図2に示すように、操舵力アシスト機構83は、減速装置92と、モータ93と、を備える。モータ93は、例えばブラシレスモータである。減速装置92は、例えばウォーム減速装置である。モータ93で生じたトルクは、減速装置92の内部のウォームを介してウォームホイールに伝達され、ウォームホイールを回転させる。減速装置92は、ウォーム及びウォームホイール(ウォームギヤ)によって、モータ93で生じたトルクを増加させる。そして、減速装置92は、出力軸82bに補助操舵トルクを与える。電動パワーステアリング装置80は、コラムアシスト方式である。
ECU90は、モータ93の動作を制御する装置である。イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)からECU90に電力が供給される。ECU90は、トルクセンサ94、車速センサ95及び回転検出部23から信号を取得する。具体的には、ECU90は、トルクセンサ94から操舵トルクTを取得する。ECU90は、車速センサ95から車体の車速SVを取得する。ECU90は、回転検出部23から出力される情報を動作情報SYとして取得する。ECU90は、操舵トルクTと車速SVと動作情報SYとに基づいて補助操舵指令値を算出する。そして、ECU90は、その算出された補助操舵指令値に基づいてモータ93へ供給する電力値SXを調節する。
ステアリングホイール81に入力された操作者(運転者)の操舵力は、入力軸82aを介して操舵力アシスト機構83の減速装置92に伝わる。この時、ECU90は、入力軸82aに入力された操舵トルクTをトルクセンサ94から取得し、且つ車速SVを車速センサ95から取得する。そして、ECU90は、モータ93の動作を制御する。モータ93が作り出した補助操舵トルクは、減速装置92に伝えられる。
出力軸82bを介して出力された操舵トルク(補助操舵トルクを含む)は、ユニバーサルジョイント84を介してロアシャフト85に伝達され、さらにユニバーサルジョイント86を介してピニオンシャフト87に伝達される。ピニオンシャフト87に伝達された操舵力は、ステアリングギヤ88を介してタイロッド89に伝達され、車輪を変位させる。
図3は、実施形態1に係るトルクセンサを模式的に示す斜視図である。図4は、実施形態1に係る入力軸の回転角度を出力する回転角度センサを模式的に示す平面図である。図5は、実施形態1に係るトルクセンサの機能ブロックを示す模式図である。トルクセンサ94は、入力軸82aに伝達された操舵トルクTを検出する。図3に示すように、トルクセンサ94は、相対角度検出部100と、トルク演算部25と、を備える。
図3及び図5に示すように、相対角度検出部100は、第1角度検出部300Aと、第2角度検出部300Bと、差分演算部222と、記憶部24とを備える。あるいは、相対角度検出部100は、回転角度センサ12と、回転角度センサ13と、記憶部24と、センサ演算部200と、を備えるともいえる。相対角度検出部100は、回転角度センサ12と回転角度センサ13とが出力する信号に基づいて、入力軸82aと出力軸82bとの相対的な角度である相対角度Δθioを算出する相対角度検出装置である。相対角度検出部100は、相対角度Δθioをトルク演算部25に出力する。図3に示すように、入力軸82aと出力軸82bは、トーションバー82cによって連結されている。トーションバー82cは、例えば、鋼材で形成された弾性部材である。
トルク演算部25は、差分演算部222から入力された相対角度Δθioに基づき、操舵トルクTを算出する。例えば、トルク演算部25は、トーションバー82cの特性によって決まる、相対角度Δθioと操舵トルクTとの関係を記憶している。トルク演算部25は、差分演算部222から入力された相対角度Δθioと、記憶された相対角度Δθioと操舵トルクTとの関係と、に基づいて操舵トルクTを算出する。トルク演算部25は、算出した操舵トルクTをECU90に出力する。
図3及び図4に示すように、回転角度センサ12は、第1多極磁石10と、基板14と、第1磁気センサ15と、第2磁気センサ16と、第3磁気センサ17と、を備える。なお、図4に示す第1多極磁石10の回転位置は、基準位置における位置を示している。基準位置において、入力軸82aの回転軸又は第1多極磁石10の回転中心が基準回転軸Ax0にあって、第1多極磁石10、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17が予め定められた位置にある。同様に、基準位置において、出力軸82bの回転軸又は第2多極磁石11の回転中心が基準回転軸Ax0にあって、第2多極磁石11、第4磁気センサ19、第5磁気センサ20、及び第6磁気センサ21が予め定められた位置にある。例えば、基準位置とは、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17が第1多極磁石10のN極とS極との境に対向した位置を示す。
図3及び図4に示すように、第1多極磁石10は、例えば、ラジアル方向に着磁されたリング形状の磁石である。第1多極磁石10は、交互に配置されたS極及びN極を平面視で円形の外周面に有する。図3及び図4に示す基準回転軸Ax0は、入力軸82a又は出力軸82bの回転軸が誤差なく回転している場合の回転軸を示す。基準回転軸Ax0は、第1シャフトである入力軸82a、第2シャフトである出力軸82b、第1多極磁石10又は第2多極磁石11の回転中心の基準であって、後述する第1変位Xiがなかったとした場合の回転軸である。図4に示すギャップ方向46は、基準回転軸Ax0のラジアル方向である。第1多極磁石10は、例えば、入力軸82aの回転軸と同軸となるように、入力軸82aの出力軸82b側の端部に取り付けられている。図4に示すように、第1多極磁石10の磁極数mは、例えば、20であるがこれに限定されない。第1多極磁石10には、必要な磁束密度に応じて、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石等が用いられる。
図4に示すように、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17は、基準回転軸Ax0を中心とする半径Rの第1円C1上に配置され、且つ、第1多極磁石10の外周面に対向するように、基板14に配置される。より詳細には、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17が第1円C1上に配置されるとは、それぞれのセンサの検出基準位置(磁気検出素子の位置)15P、16P、17Pが第1円C1上に位置することである。これにより、第1多極磁石10と第1磁気センサ15との間のギャップ、第1多極磁石10と第2磁気センサ16との間のギャップ、及び第1多極磁石10と第3磁気センサ17と間のギャップの差が小さくなる。その結果、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17がそれぞれ同程度の感応度の領域で磁束を検知できるようになり、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17の検出値の信頼性が向上する。
図4に示す基板14は、例えば、車体に固定されている。図4に示す直線L0は、基準回転軸Ax0から第1多極磁石10の現在の回転位置を示す方向へ引いた直線である。なお、現在の回転位置を示す方向は、第1多極磁石10の回転位置を定めるために便宜上設定されており、任意に設定してよい。図4に示す直線L1は、基準回転軸Ax0と検出基準位置15Pとを結ぶ線分である。図4に示す直線L2は、基準回転軸Ax0と検出基準位置16Pとを結ぶ線分である。図4に示す直線L3は、基準回転軸Ax0と検出基準位置17Pとを結ぶ線分である。図4に示す第1基準角度θ1は、基準位置における直線L0と直線L1とが成す角度である。図4に示す第2基準角度θ2は、基準位置における直線L0と直線L2とが成す角度である。図4に示す第3基準角度θ3は、基準位置における直線L0と直線L3とが成す角度である。
第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17は、例えば、AMR(Anisotropic Magneto Resistance)素子で、磁束の向きの変化を検出できるAMRセンサであるがこれに限定されない。第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17は、磁束の向きの変化を検出できるセンサであればよい。第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17は、例えば、スピンバルブセンサでもよい。スピンバルブセンサは、反強磁性層等で磁化の向きが固定された強磁性体のピン層と、強磁性体のフリー層とで非磁性層を挟んだ素子で、磁束の向きの変化を検出できるセンサである。スピンバルブセンサには、GMR(Giant Magneto Resistance)センサ、TMR(Tunnel Magneto Resistance)センサがある。
また、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17は、例えば、円形垂直ホールセンサでもよい。円形垂直ホールセンサは、円周上に配置された複数のホール素子を内部に備え、磁束の向きの変化を検出できるセンサである。円形垂直ホールセンサは、円形垂直ホールセンサの検出基準位置を貫通する磁束密度を検出することで、該磁束密度の貫通方向に対応する角度信号を出力可能である。また、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17は、磁束の向きを検出可能なリニアホールICでもよい。磁束の向きを検出可能なリニアホールICとは、例えば、リニアホールICの実装面に垂直な第1方向の磁束を検出可能な第1ホール素子及び第2ホール素子と、軟磁性体と、を備える。そして、軟磁性体は、リニアホールICが配置された位置を貫通する磁束を曲げる。具体的には、軟磁性体は、該磁束のうち、第1方向と直交する第2方向の磁束が第1ホール素子を貫通するように、該第2方向の磁束を第1方向に収束させる。これによれば、第1ホール素子のホール電圧は、第2方向の磁束の磁束密度に比例する。さらに、軟磁性体は、第1方向及び第2方向と直交する第3方向の磁束が第2ホール素子を貫通するように、該第3方向の磁束を第1方向に収束させる。これにより、第2ホール素子のホール電圧は、第3方向の磁束の磁束密度に比例する。このような構成により、該リニアホールICは、第1ホール素子及び第2ホール素子がそれぞれ出力するホール電圧の比に基づいて、リニアホールICが配置された位置を貫通する磁束の向きを検出することができる。
第1磁気センサ15と第2磁気センサ16とは、第1多極磁石10の外周面の周方向に1磁極対分の機械角だけ離れた位置に配置されているがこれに限定されない。第1磁気センサ15と第2磁気センサ16との配置は、直線L1と、直線L2とが成す角度φ1が第1多極磁石10の1磁極分の機械角を整数倍した角度であればよい。これにより、第1磁気センサ15及び第2磁気センサ16を貫通する磁束の向きを揃えることができる。その結果、第1磁気センサ15が出力する角度信号の位相と第2磁気センサ16が出力する角度信号の位相とを一致させることができる。
第1磁気センサ15と第3磁気センサ17とは、第1多極磁石10の外周面の周方向に1磁極対分の機械角だけ離れた位置に配置されているがこれに限定されない。第1磁気センサ15と第3磁気センサ17との配置は、直線L1と、直線L3とが成す角度φ2が第1多極磁石10の1磁極分の機械角を整数倍した角度であればよい。これにより、第1磁気センサ15及び第3磁気センサ17を貫通する磁束の向きを揃えることができる。その結果、第1磁気センサ15が出力する角度信号の位相と第3磁気センサ17が出力する角度信号の位相とを一致させることができる。
図6は、実施形態1に係る第1磁気センサが出力する波形と磁極との関係を示す説明図である。図6に示す説明図は、第1磁気センサ15と対向する第1多極磁石10の磁極と、第1磁気センサ15が出力する信号の波形の関係を示している。図6の横軸に示す入力軸機械角は、入力軸82aの機械角(回転角度)を示している。
図5及び図6に示すように、第1磁気センサ15は、第1多極磁石10が1磁極分回転するごとに、1周期の正弦波信号sinθi1及び1周期の余弦波信号cosθi1をセンサ演算部200に出力する。図6に示すように、第1多極磁石10が1磁極分回転するとは、入力軸82aの機械角で18度分回転することに相当する。図5に示すように、第2磁気センサ16は、第1多極磁石10が1磁極分回転するごとに、1周期の正弦波信号sinθi2及び1周期の余弦波信号cosθi2をセンサ演算部200に出力する。第3磁気センサ17は、第1多極磁石10が1磁極分回転するごとに、1周期の正弦波信号sinθi3及び1周期の余弦波信号cosθi3をセンサ演算部200に出力する。
図3に示すように、回転角度センサ13は、第2多極磁石11と、基板18と、第4磁気センサ19と、第5磁気センサ20と、第6磁気センサ21と、を備える。
第2多極磁石11は、出力軸82bの入力軸82a側の端部に取り付けられ、出力軸82bと同期して回転すること以外は、第1多極磁石10と同様である。すなわち、第2多極磁石11は、磁極数及び磁極のピッチが第1多極磁石10と同じである。なお、第2多極磁石11は、磁極数及び磁極のピッチが第1多極磁石10と異なってもよい。
図3に示すように、第4磁気センサ19、第5磁気センサ20、及び第6磁気センサ21は、検出基準位置19P、20P、21Pが基準回転軸Ax0を中心とする半径Rの第2円C2上に配置され、且つ、第2多極磁石11の外周面に対向するように基板18に配置される。これにより、第2多極磁石11と第4磁気センサ19との間のギャップ、第2多極磁石11と第5磁気センサ20との間のギャップ、及び第2多極磁石11と第6磁気センサ21との間のギャップの差が小さくなる。その結果、第4磁気センサ19、第5磁気センサ20、及び第6磁気センサ21がそれぞれ同程度の感応度の領域で磁束を検知できるようになり、第4磁気センサ19、第5磁気センサ20、及び第6磁気センサ21の検出値の信頼性が向上する。
図3に示す基板18は、例えば、車体に固定されている。第4磁気センサ19と第5磁気センサ20とは、第2多極磁石11の外周面の周方向に1磁極対分の機械角だけ離れた位置に配置される。第4磁気センサ19と第6磁気センサ21とは、第2多極磁石11の外周面の周方向に1磁極対分の機械角だけ離れた位置に配置される。なお、第1円C1の半径と第2円C2の半径とは、異なる長さでもよい。
図5に示すように、第4磁気センサ19は、第2多極磁石11が1磁極分の機械角回転するごとに、1周期の正弦波信号sinθo1及び1周期の余弦波信号cosθo1をセンサ演算部200に出力する。第5磁気センサ20は、第2多極磁石11が1磁極分回転するごとに、1周期の正弦波信号sinθo2及び1周期の余弦波信号cosθo2をセンサ演算部200に出力する。第6磁気センサ21は、第2多極磁石11が1磁極分回転するごとに、1周期の正弦波信号sinθo3及び1周期の余弦波信号cosθo3をセンサ演算部200に出力する。
記憶部24は、センサ演算部200から出力される情報を記憶する。記憶部24は、後述する式(7)から式(31)等の情報を少なくとも記憶する。記憶部24は、メモリである。メモリとは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、及びEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった揮発性又は不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、及びDVD(Digital Versatile Disc)が該当する。なお、記憶部24は、センサ演算部200に含まれる構成としてもよい。
図5に示すように、センサ演算部200は、角度演算部202と、角度演算部204と、角度演算部206と、異常検出部208と、角度補正部210と、角度演算部212と、角度演算部214と、角度演算部216と、異常検出部218と、角度補正部220と、差分演算部222と、を備える。角度演算部202、角度演算部204、及び角度演算部206は、角度補正部210に接続されている。角度演算部212、角度演算部214、及び角度演算部216は、角度補正部220に接続されている。
第1角度検出部300Aは、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、第3磁気センサ17と、角度演算部202と、角度演算部204と、角度演算部206と、角度補正部210とを少なくとも含む。第1角度検出部300Aは、さらに、異常検出部208を備えてもよい。ここで、角度演算部202と、角度演算部204と、角度演算部206とは、それぞれ第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17のいずれかの角度信号に基づいて、角度信号を算出する。角度演算部202と、角度演算部204と、角度演算部206とがなく、角度演算部202が角度演算部204及び角度演算部206の処理をしてもよい。つまり、角度演算部202と、角度演算部204と、角度演算部206とが1つにまとめられて全体として角度演算部として構成してもよく、角度演算部として構成する数は任意である。
第2角度検出部300Bは、第4磁気センサ19と、第5磁気センサ20と、第6磁気センサ21と、角度演算部212と、角度演算部214と、角度演算部216と、角度補正部220とを少なくとも含む。第2角度検出部300Bは、さらに、異常検出部218を備えてもよい。ここで、角度演算部212と、角度演算部214と、角度演算部216とは、それぞれ第4磁気センサ19、第5磁気センサ20、及び第6磁気センサ21のいずれかの角度信号に基づいて、角度信号を算出する。角度演算部212と、角度演算部214と、角度演算部216とが1つにまとめられて全体として角度演算部として構成してもよく、角度演算部として構成する数は任意である。
本実施形態において、角度補正部210とは別に、角度補正部220を備え、角度補正部210及び角度補正部220が、それぞれ第1角度検出部300A又は第2角度検出部300Bの角度補正部として機能する。上述した角度補正部220がなく、角度補正部210が角度補正部220の処理をしてもよい。あるいは、上述した角度補正部210がなく、角度補正部220が角度補正部210の処理をしてもよい。
角度演算部202は、第1磁気センサ15が直線L0上に位置する場合の第1磁気センサ15と対向位置にある磁極を記憶部24に記憶させる。具体的には、角度演算部202は、第1磁気センサ15が直線L0上に位置する場合に、記憶部24が記憶する磁極判定数nに0を代入する。
角度演算部202は、余弦波信号cosθi1が正から負に変化し、且つ、正弦波信号sinθi1が正である場合に、磁極判定数nに1を加算する。角度演算部202は、余弦波信号cosθi1が負から正に変化し、且つ、正弦波信号sinθi1が負である場合に、磁極判定数nに1を加算する。角度演算部202は、余弦波信号cosθi1が負から正に変化し、且つ、正弦波信号sinθi1が正である場合に、磁極判定数nから1を減算する。角度演算部202は、余弦波信号cosθi1が正から負に変化し、且つ、正弦波信号sinθi1が負である場合に、磁極判定数nから1を減算する。これによれば、角度演算部202は、第1多極磁石10の回転方向に応じて、第1磁気センサ15と対向する磁極が変わった回数をカウントすることができる。
角度演算部202は、第1磁気センサ15が直線L0上に位置する場合の第1磁気センサ基準角度θi1bを記憶部24に記憶された式(7)によって算出する。ここで、式(7)に示した正弦波信号sinθi1及び余弦波信号cosθi1は、第1磁気センサ15が直線L0上に位置する場合の値とする。角度演算部202は、第1磁気センサ基準角度θi1bを記憶部24に記憶する。
θi1b=arctan(sinθi1/cosθi1)…(7)
角度演算部202は、第1角度θi1を、記憶部24に記憶された式(8)によって算出する。図5に示すように、角度演算部202は、算出した第1角度θi1を角度補正部210及び異常検出部208に出力する。
θi1={arctan(sinθi1/cosθi1)+n×180−θi1b}/m…(8)
図5に示すように、角度演算部204は、正弦波信号sinθi2と余弦波信号cosθi2とに基づいて第2角度θi2を算出して異常検出部208及び角度補正部210に出力する。角度演算部206は、正弦波信号sinθi3と余弦波信号cosθi3とに基づいて第3角度θi3を算出して異常検出部208及び角度補正部210に出力する。なお、第2角度θi2及び第3角度θi3の算出方法は、第1角度θi1の算出方法と同様であるため、説明を省略する。
異常検出部208は、第1角度θi1と第2角度θi2と第3角度θi3とを比較して、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17の異常を検出する。異常検出部208は、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17のうち少なくとも1つの異常を検出した場合に、いずれのセンサが異常であるかを示す情報を角度補正部210及びECU90に出力する。これによれば、トルクセンサ94は、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17のうち少なくとも1つが故障したことを検出できる。異常検出部208が第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17の異常を検出する方法については、後述する。
角度補正部210は、第1角度θi1、第2角度θi2、及び第3角度θi3に基づいて、入力軸82aの回転角度である第1補正角度θisを算出する。より詳細には、第1補正角度θisとは、基準位置における入力軸82aの回転位置を基準とした入力軸82aの回転角度である。角度補正部210が第1補正角度θisを算出する方法については、後述する。
角度演算部212は、正弦波信号sinθo1と余弦波信号cosθo1とに基づいて、第4磁気センサ19の対向位置に位置する磁極を記憶部24に記憶させること、及び正弦波信号sinθo1と余弦波信号cosθo1とに基づいて第4角度θo1を算出して異常検出部218及び角度補正部220に出力すること以外は角度演算部202と同様である。なお、第4角度θo1の算出方法は、第1角度θi1の算出方法と同様であるため、説明を省略する。
角度演算部214は、正弦波信号sinθo2と余弦波信号cosθo2とに基づいて第5角度θo2を算出して異常検出部218及び角度補正部220に出力する。角度演算部216は、正弦波信号sinθo3と余弦波信号cosθo3とに基づいて第6角度θo3を算出して異常検出部218及び角度補正部220に出力する。なお、第5角度θo2及び第6角度θo3の算出方法は、第4角度θo1の算出方法と同様であるため、説明を省略する。
異常検出部218は、第4角度θo1と第5角度θo2と第6角度θo3とを比較して、第4磁気センサ19、第5磁気センサ20、及び第6磁気センサ21の異常を検出する。異常検出部218は、第4磁気センサ19、第5磁気センサ20、及び第6磁気センサ21のうち少なくとも1つの異常を検出した場合に、いずれのセンサが異常であるかを示す情報を角度補正部220及びECU90に出力する。これによれば、トルクセンサ94は、第4磁気センサ19、第5磁気センサ20、及び第6磁気センサ21のうち少なくとも1つが故障したことを検出できる。
角度補正部220は、第4角度θo1、第5角度θo2、及び第6角度θo3に基づいて、出力軸82bの回転角度である第2補正角度θosを算出する。角度補正部220が第2補正角度θosを算出する方法については、後述する。
差分演算部222は、第1補正角度θisと第2補正角度θosとに基づいて、入力軸82aと出力軸82bとの相対的な角度差である相対角度Δθioを算出する。具体的に、差分演算部222は、記憶部24に記憶された式(9)によって相対角度Δθioを算出する。差分演算部222は、相対角度Δθioをトルク演算部25に出力する。
Δθio=θis−θos…(9)
図7は、実施形態1に係る異常検出部が回転角度センサの異常を検出する手順を示すフローチャートである。図8は、実施形態1に係る異常検出部が第1磁気センサ及び第2磁気センサの異常を検出する方法を説明するための説明図である。図9は、実施形態1に係る異常検出部が第2磁気センサ及び第3磁気センサの異常を検出する方法を説明するための説明図である。図10は、実施形態1に係る異常検出部が第3磁気センサ及び第1磁気センサの異常を検出する方法を説明するための説明図である。図11は、実施形態1に係るトルクセンサの入力軸が変位した場合の回転角度センサを模式的に示す平面図である。図11に示す回転軸Ax1は、例えば、車両101の振動等により、入力軸82a及び出力軸82bの位置が変位した場合の入力軸82a又は第1多極磁石10の回転軸である。
図11に示す直線L4は、基準回転軸Ax0から回転軸Ax1の方向へ引いた直線である。図11に示す角度Yiは、直線L0と直線L4とが成す角度である。図11に示す第1変位Xiは、基準回転軸Ax0と回転軸Ax1との距離である。図12は、実施形態1に係る第1多極磁石の磁束の向きを説明するための説明図である。図12に示す説明図は、回転軸Ax1方向から第1磁気センサ15及び第1多極磁石10を見た平面図の一部である。図12に示すギャップ直交方向48は、ギャップ方向46と直交する方向である。
本実施形態においては、図11に示す第1変位Xiは、基準回転軸Ax0と回転軸Ax1との距離である。図11に示す第1変位Xiは、基準回転軸Ax0と回転軸Ax1とが平行である場合に限られず、回転軸Ax1が基準回転軸Ax0に対して傾いている場合、あるいは、第1多極磁石10の回転軸が基準回転軸Ax0に対して傾いている場合でも生じ得る。これらの場合のいずれでも、第1角度検出部300Aは、第1変位Xiによる誤差が補正された第1補正角度θisを精度良く算出することができる。この作用は、後述する第2角度検出部300Bにおいても同様である。
図7から図12を参照して、異常検出部208が第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17の異常を判定する方法、並びに角度補正部210が第1補正角度θisを算出する方法について説明する。
図7に示すように、まず、異常検出部208は、比較ステップST2を実行する。比較ステップST2において、異常検出部208は、第1角度θi1と第2角度θi2と第3角度θi3とを比較して、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17の異常を検出する。具体的には、図8に示すように、異常検出部208は、第1角度θi1と第2角度θi2との差が予め定められた閾値Thを超えた場合に、第1磁気センサ15及び第2磁気センサ16のうち少なくとも1つが異常であることを検出する。図8に示すt1は、第1角度θi1と第2角度θi2との差が閾値Thを超えた時刻を示す。図9に示すように、異常検出部208は、第2角度θi2と第3角度θi3との差が予め定められた閾値Thを超えた場合に、第2磁気センサ16及び第3磁気センサ17のうち少なくとも一方が異常であることを検出する。図9に示すt2は、第2角度θi2と第3角度θi3との差が閾値Thを超えた時刻を示す。図10に示すように、異常検出部208は、例えば、第3角度θi3と第1角度θi1との差が予め定められた閾値Thを超えない場合に、第3磁気センサ17及び第1磁気センサ15が正常であると判定する。
なお、異常検出部208が異常を検出する方法は、これに限定されない。異常検出部208は、例えば、正弦波信号sinθi1が予め定められた値を超えた場合に第1磁気センサ15の異常を検出し、正弦波信号sinθi2が予め定められた値を超えた場合に第2磁気センサ16の異常を検出し、さらに、正弦波信号sinθi3が予め定められた値を超えた場合に第3磁気センサ17の異常を検出するとしてもよい。これによれば、第1磁気センサ15の異常と第2磁気センサ16の異常と第3磁気センサ17の異常とを個別に検出することができる。また、異常検出部208は、例えば、正弦波信号sinθi1と正弦波信号sinθi2と正弦波信号sinθi3とを比較して、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17の異常を検出してもよい。
次に、異常検出部208は、回転角度センサ12が異常であるか否かを判定する(ステップST4)。具体的には、異常検出部208は、第1角度θi1と第3角度θi3との差が閾値Th以下であり、且つ、第2角度θi2と第1角度θi1との差が閾値Th以下であり、且つ、第2角度θi2と第3角度θi3との差が閾値Th以下の場合のみ、回転角度センサ12が異常ではないと判定する。
回転角度センサ12が異常ではないと判定された場合(ステップST4、Yes)、角度補正部210は、第1角度θi1、第2角度θi2、及び第3角度θi3に基づいて、第1補正角度θisを算出する。具体的には、角度補正部210は、記憶部24に記憶された式(10)、式(11)、及び式(12)の連立方程式を解くことで第1補正角度θisを算出する。式(10)に示す第1基準角度θ1は、基準位置における第1角度θi1の値でもある。式(11)に示す第2基準角度θ2は、基準位置における第2角度θi2の値でもある。式(12)に示す第3基準角度θ3は、基準位置における第3角度θi3の値でもある。なお、第1基準角度θ1、第2基準角度θ2、及び第3基準角度θ3は、記憶部24に予め記憶されている。
θi1=θ1+Z1+θis…(10)
θi2=θ2+Z2+θis…(11)
θi3=θ3+Z3+θis…(12)
式(10)に示す誤差Z1は、第1磁気センサ15と第1多極磁石10の回転軸とがギャップ直交方向48へ相対的に変位したことによる第1角度θi1の誤差である。誤差Z1は、記憶部24に記憶された式(13)で定義される。式(11)に示す誤差Z2は、第2磁気センサ16と第1多極磁石10の回転軸とがギャップ直交方向48へ相対的に変位したことによる第2角度θi2の誤差である。誤差Z2は、記憶部24に記憶された式(14)で定義される。式(12)に示す誤差Z3は、第3磁気センサ17と第1多極磁石10の回転軸とがギャップ直交方向48へ相対的に変位したことによる第3角度θi3の誤差である。誤差Z3は、記憶部24に記憶された式(15)で定義される。なお、半径Rは、記憶部24に予め設定されている。
Z1=arctan{Xisin(θ1−Yi)/R}…(13)
Z2=arctan{Xisin(θ2−Yi)/R}…(14)
Z3=arctan{Xisin(θ3−Yi)/R}…(15)
図12に示すように、第1磁気センサ15の検出基準位置15Pを貫通する第1多極磁石10の磁束(磁力線)10mの向きは、第1磁気センサ15がギャップ方向46よりもギャップ直交方向48に変位した場合に大きく変化する。一方、第1磁気センサ15は、検出基準位置15Pを貫通する磁束の向きに基づいて角度信号を出力する。したがって、該角度信号は、第1磁気センサ15と第1多極磁石10とがギャップ直交方向48に相対変位した場合に、誤差が大きくなる。また、第2磁気センサ16が出力する角度信号は、第1磁気センサ15と同様の理由により、第2磁気センサ16と第1多極磁石10とがギャップ直交方向48に相対変位した場合に、誤差が大きくなる。また、第3磁気センサ17が出力する角度信号は、第1磁気センサ15と同様の理由により、第3磁気センサ17と第1多極磁石10とがギャップ直交方向48に相対変位した場合に、誤差が大きくなる。
角度補正部210は、第1磁気センサ15と第1多極磁石10の回転軸とがギャップ直交方向48へ相対的に変位したことによる誤差Z1、第2磁気センサ16と第1多極磁石10の回転軸とがギャップ直交方向48へ相対的に変位したことによる誤差Z2、及び第3磁気センサ17と第1多極磁石10の回転軸とがギャップ直交方向48へ相対的に変位したことによる誤差Z3を補正して第1補正角度θisを算出する。これによれば、角度補正部210は、第1多極磁石10の回転軸が基準位置から変位した場合でも、第1補正角度θisを精度良く算出することができる。
以上説明したように、第1角度検出部300Aは、第1シャフトとして入力軸82aと、第1多極磁石10と、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、第3磁気センサ17と、角度演算部202と、角度演算部204と、角度演算部206と、角度補正部210を少なくとも含む。第1多極磁石10は、入力軸82aの回転に連動して回転し、入力軸82aの周方向に沿って異なる磁極が交互に配置されている。第1磁気センサ15と、第2磁気センサ16と、第3磁気センサ17とは、第1多極磁石10の周囲において周方向に異なる位置に配置されている。そして、第1磁気センサ15と、第2磁気センサ16と、第3磁気センサ17とは、第1多極磁石10の回転を検出してそれぞれの角度信号を出力する。角度演算部202は、第1磁気センサ15が出力する角度信号に基づいて第1多極磁石10の回転角度である第1角度θi1を算出し、角度演算部204は、第2磁気センサ16が出力する角度信号に基づいて第1多極磁石10の回転角度である第2角度θi2を算出し、角度演算部206は、第3磁気センサ17が出力する角度信号に基づいて第1多極磁石10の回転角度である第3角度θi3を算出する。
角度補正部210は、第1角度θi1、第2角度θi2、及び第3角度θi3に基づいて、入力軸82a又は第1多極磁石10の基準回転軸Ax0に対して、入力軸82a又は第1多極磁石10の実際の回転軸Ax1がずれている相対的な第1変位Xiによる誤差が補正された第1多極磁石10の回転角度である第1補正角度θisを算出する。これによれば、第1角度検出部300Aは、第1多極磁石10の回転角度の検出精度を高めることができる。
図13は、実施形態1に係る出力軸の回転角度を出力する回転角度センサを模式的に示す平面図である。図14は、実施形態1に係るトルクセンサの出力軸が変位した場合の回転角度センサを模式的に示す平面図である。図13及び図14に示す直線L00は、基準回転軸Ax0から第2多極磁石11の回転の基準方向へ引いた直線である。
図13に示すように、基準回転軸Ax0と検出基準位置19Pとを結ぶ線分L21と、直線L00とが成す角は、第4基準角度θ4となっている。基準回転軸Ax0と検出基準位置20Pとを結ぶ線分L22と、直線L00とが成す角は、第5基準角度θ5となっている。基準回転軸Ax0と検出基準位置21Pとを結ぶ線分L23と、直線L00とが成す角は、第6基準角度θ6となっている。線分L21と、L22とが成す角は、角度φ3となっている。線分L21と、L23とが成す角は、角度φ4となっている。図14に示す回転軸Ax1は、例えば、車両101の振動等により、出力軸82bの位置が変位した場合の出力軸82bの回転軸である。
図14に示す直線L24は、基準回転軸Ax0から回転軸Ax1の方向へ引いた直線である。図14に示すように、基準回転軸Ax0に対しての相対的な第2変位がXoとされ、第2変位Xoの方向と基準回転軸Ax0から第2多極磁石11の回転中心へ引いた直線とが成す角度がYoとされる。
角度補正部220は、記憶部24に記憶された式(16)、式(17)、及び式(18)の連立方程式を解くことで第2補正角度θosを算出する。式(16)に示す第4基準角度θ4は、基準位置における第4角度θo1の値でもある。式(17)に示す第5基準角度θ5は、基準位置における第5角度θo2の値でもある。式(18)に示す第6基準角度θ6は、基準位置における第6角度θo3の値でもある。なお、第4基準角度θ4、第5基準角度θ5、及び第6基準角度θ6は、記憶部24に予め記憶されている。
θo1=θ4+Z4+θos…(16)
θo2=θ5+Z5+θos…(17)
θo3=θ6+Z6+θos…(18)
誤差Z4は、第2変位XOに伴って生じた第4角度θO1の誤差成分である。誤差Z5は、第2変位XOに伴って生じた第5角度θO2の誤差成分である。誤差Z6は、第2変位XOに伴って生じた第6角度θO3の誤差成分である。なお、半径Rは、記憶部24に予め記憶されている。
Z4=arctan{Xosin(θ4−YO)/R}…(19)
Z5=arctan{XOsin(θ5−YO)/R}…(20)
Z6=arctan{XOsin(θ6−YO)/R}…(21)
本実施形態においては、出力軸82b又は第2多極磁石11の基準回転軸は、入力軸又は第1多極磁石10の基準回転軸Ax0と同じである。出力軸82b又は第2多極磁石11の基準回転軸は、入力軸82a又は第1多極磁石10の基準回転軸Ax0と異なってもよい。
異常検出部208が回転角度センサ12に異常があると判定した場合(ステップST4、No)、異常検出部208は、第1磁気センサ15のみが異常であるか否かを判定する(ステップST6)。具体的には、異常検出部208は、第1角度θi1と第3角度θi3との差が閾値Thを超え、且つ、第2角度θi2と第1角度θi1との差が閾値Thを超え、且つ、第2角度θi2と第3角度θi3との差が閾値Th以下の場合に、第1磁気センサ15のみが異常であると判定する。
ステップST6で異常検出部208が第1磁気センサ15のみが異常であると判定した場合(ステップST6、Yes)、角度補正部210は、第1磁気センサ15を除外して角度検出を行う(ステップST8)。具体的には、まず、異常検出部208は、第1磁気センサ15のみが異常であることを示す情報を角度補正部210に出力する。次に、角度補正部210は、第2角度θi2と第3角度θi3との平均値から第1補正角度θisを算出する。具体的には、角度補正部210は、記憶部24に記憶された式(22)によって第1補正角度θisを算出する。
θis=(θi2+θi3)/2…(22)
これによれば、第1磁気センサ15が故障した場合でも、第1補正角度θisを算出することができる。これにより、回転角度センサ12を冗長化させることができる。その結果、トルクセンサ94の信頼性を向上させることができる。
ステップST6で異常検出部208が第1磁気センサ15のみが異常ではないと判定した場合(ステップST6、No)、異常検出部208は、第2磁気センサ16のみが異常であるか否かを判定する(ステップST10)。具体的には、異常検出部208は、第1角度θi1と第3角度θi3との差が閾値Th以下であり、且つ、第2角度θi2と第1角度θi1との差が閾値Thを超え、且つ、第2角度θi2と第3角度θi3との差が閾値Thを超えた場合に、第2磁気センサ16のみが異常であると判定する。
ステップST10で異常検出部208が第2磁気センサ16のみが異常であると判定した場合(ステップST10、Yes)、角度補正部210は、第2磁気センサ16を除外して角度検出を行う(ステップST12)。具体的には、まず、異常検出部208は、第2磁気センサ16のみが異常であることを示す情報を角度補正部210に出力する。次に、角度補正部210は、第1角度θi1と第3角度θi3とに基づいて第1補正角度θisを算出する。具体的には、角度補正部210は、記憶部24に記憶された式(23)によって第1補正角度θisを算出する。
θis=(θi1+θi3)/2…(23)
これによれば、第2磁気センサ16が故障した場合でも、第1補正角度θisを算出することができる。これにより、回転角度センサ12を冗長化させることができる。その結果、トルクセンサ94の信頼性を向上させることができる。
ステップST10で異常検出部208が第2磁気センサ16のみが異常ではないと判定した場合(ステップST10、No)、異常検出部208は、第3磁気センサ17のみが異常であるか否かを判定する(ステップST14)。具体的には、異常検出部208は、第1角度θi1と第3角度θi3との差が閾値Thを超え、且つ、第2角度θi2と第1角度θi1との差が閾値Th以下であり、且つ、第2角度θi2と第3角度θi3との差が閾値Thを超えた場合に、第3磁気センサ17のみが異常であると判定する。
ステップST14で異常検出部208が第3磁気センサ17のみが異常であると判定した場合(ステップST14、Yes)、角度補正部210は、第3磁気センサ17を除外して角度検出を行う(ステップST16)。具体的には、まず、異常検出部208は、第3磁気センサ17のみが異常であることを示す情報を角度補正部210に出力する。次に、角度補正部210は、第1角度θi1と第2角度θi2とに基づいて第1補正角度θisを算出する。具体的には、角度補正部210は、記憶部24に記憶された式(24)によって第1補正角度θisを算出する。
θis=(θi1+θi2)/2…(24)
これによれば、第3磁気センサ17が故障した場合でも、第1補正角度θisを算出することができる。これにより、回転角度センサ12を冗長化させることができる。その結果、トルクセンサ94の信頼性を向上させることができる。
ステップST14で異常検出部208が第3磁気センサ17のみが異常ではないと判定した場合(ステップST14、No)、異常検出部208は、運転継続不可判定を行う(ステップST18)。具体的には、異常検出部208は、運転継続不可判定信号を角度補正部210及びECU90に出力する。
角度補正部210は、異常検出部208によって異常が検出されていない磁気センサの出力に基づいて第1補正角度θisを算出する。これによれば、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17のうち、いずれか一つが故障した場合でも、第1補正角度θisを算出することができる。
異常検出部218は、第4角度θo1と、第5角度θo2と、第6角度θo3とを比較して、第4磁気センサ19、第5磁気センサ20、及び第6磁気センサ21の異常を異常検出部208と同様の方法で検出する。また、角度補正部220は、角度補正部210と同様に、異常検出部218によって異常が検出されていない磁気センサの出力に基づいて第2補正角度θosを算出する。これによれば、第4磁気センサ19、第5磁気センサ20、及び第6磁気センサ21のうち、いずれか一つが故障した場合でも、第2補正角度θosを算出することができる。これにより、トルクセンサ94を冗長化させることができる。その結果、トルクセンサ94の信頼性を向上させることができる。
角度補正部220は、角度補正部210と同様の方法で第2補正角度θosを算出する。これによれば、角度補正部220は、第2多極磁石11の回転軸が基準位置から変位した場合でも、第2補正角度θosをより精度良く算出することができる。したがって、相対角度検出部100は、精度が向上した第1補正角度θisと精度が向上した第2補正角度θosとの差分から相対角度Δθioを算出する。このため、相対角度Δθioも精度が向上している。
図5に示すように、図3に示すトルク演算部25は、操舵トルクTの情報を信号としてECU90に出力する。また、トルクセンサ94は、精度が向上した相対角度Δθioに基づいて、操舵トルクTの情報を算出することができる。ECU90は、操舵トルクTの情報と車速SVと動作情報SYとに基づいて補助操舵指令値を算出する。そして、ECU90は、その算出された補助操舵指令値に基づいてモータ93へ供給する電力値SXを調節する。その結果、電動パワーステアリング装置80は、操作者へ与える違和感の少ない補助操舵トルクを出力することができる。
以上説明したように、第2角度検出部300Bは、第2シャフトとして出力軸82bと、第2多極磁石11と、第4磁気センサ19、第5磁気センサ20、第6磁気センサ21と、角度演算部212と、角度演算部214と、角度演算部216と、角度補正部220を少なくとも含む。第2多極磁石11は、出力軸82bの回転に連動して回転し、出力軸82bの周方向に沿って異なる磁極が交互に配置されている。第4磁気センサ19と、第5磁気センサ20と、第6磁気センサ21とは、第2多極磁石11の周囲において周方向に異なる位置に配置されている。そして、第4磁気センサ19と、第5磁気センサ20と、第6磁気センサ21とは、第2多極磁石11の回転を検出してそれぞれの角度信号を出力する。角度演算部212は、第4磁気センサ19が出力する角度信号に基づいて第2多極磁石11の回転角度である第4角度θo1を算出し、角度演算部214は、第5磁気センサ20が出力する角度信号に基づいて第2多極磁石11の回転角度である第5角度θo2を算出し、角度演算部216は、第6磁気センサ21が出力する角度信号に基づいて第2多極磁石11の回転角度である第6角度θo3を算出する。
角度補正部220は、第4角度θo1、第5角度θo2、及び第6角度θo3に基づいて、出力軸82b又は第2多極磁石11の基準回転軸Ax0に対して、出力軸82b又は第2多極磁石11の実際の回転軸がずれている相対的な第2変位による誤差が補正された第2多極磁石11の回転角度である第2補正角度θosを算出する。これによれば、第2角度検出部300Bは、第2多極磁石11の回転角度の検出精度を高めることができる。
(実施形態2)
図15は、実施形態2に係るトルクセンサを模式的に示す斜視図である。実施形態2に係るトルクセンサ94aは、第1ギヤ26a、第2ギヤ28a、磁石30a、及びアングル磁気センサ32aを備え、相対角度検出部100に代えて相対角度検出部100aを備える点で、上述したトルクセンサ94とは異なる。なお、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図16は、実施形態2に係るアングル磁気センサと磁石との位置関係を説明するための平面図である。図15及び図16に示すように、第1ギヤ26aは、入力軸82aに取り付けられている。第1ギヤ26aは、入力軸82aと同期して回転する。図16に示すように、第2ギヤ28aは、回転軸Ax2を回転軸として回転可能に固定されている。第2ギヤ28aは、例えば、車体に固定されている。第2ギヤ28aは、第1ギヤ26aと噛み合うように配置されている。第2ギヤ28aは、第1ギヤ26aと連動して回転する。第2ギヤ28aに対する第1ギヤ26aのギヤ比は、例えば、3である。つまり、第1ギヤ26aが1回転した場合に、第2ギヤ28aは、3回転する。
図15及び図16に示すように、磁石30aは、円柱形状の永久磁石である。磁石30aは、磁石30aの径方向に着磁されている。磁石30aは、第2ギヤ28aの内側に配置されている。磁石30aは、回転軸Ax2を回転軸として第2ギヤ28aと同期して回転する。磁石30aには、必要な磁束密度に応じて、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石等が用いられる。なお、磁石30aの着磁パターンは、アングル磁気センサ32aが磁石30aの回転を検出できるパターンであればよい。
図17は、実施形態2に係るトルクセンサを機能ブロックを用いて示す模式図である。図17に示すように、相対角度検出部100aは、センサ演算部200に代えてセンサ演算部200aを備える点で、相対角度検出部100と異なる。図15及び図16に示すように、アングル磁気センサ32aは、回転軸Ax2上に配置されている。アングル磁気センサ32aは、磁石30aの上面に対向して配置されている。アングル磁気センサ32aは、例えば、車体に固定されている。図17に示すように、アングル磁気センサ32aは、磁石30aが1回転するごとに、1周期の正弦波信号sinθan及び1周期の余弦波信号cosθanをセンサ演算部200aに出力する。アングル磁気センサ32aは、例えば、スピンバルブセンサであるがこれに限定されない。アングル磁気センサ32aは、例えば、AMRセンサ、円形垂直ホールセンサ、及び磁束の向きを検出可能な上述のリニアホールICでもよい。
図17に示すように、センサ演算部200aは、θan演算部224aを備える点で、センサ演算部200と異なる。θan演算部224aは、アングル磁気センサ検出角度θanを、記憶部24に記憶された式(25)によって算出する。
θan=arctan{sinθan/cosθan}…(25)
図18は、実施形態2に係る第1角度及びアングル磁気センサ検出角度と第1多極磁石の磁極との関係を示す説明図である。図18の横軸に示す入力軸機械角は、入力軸82aの機械角(回転角度)を示す。図18の上段に示す電気角は、第1角度θi1を示す。図18の下段に示す電気角は、アングル磁気センサ32aが検出するアングル磁気センサ検出角度θanの電気角を示す。なお、図18は、便宜上第1多極磁石10の磁極数mを8として記載している。図18を参照して、第1多極磁石10の磁極数mが8である場合に、θan演算部224aが入力軸82aの回転数である回転数Nを算出する方法の一例について説明する。磁石30aは、第2ギヤ28aに対する第1ギヤ26aのギヤ比が3であることから、入力軸82aが360度回転した場合に1080度回転する。アングル磁気センサ32aは、磁石30aが360度回転した場合に1周期の信号を出力する。したがって、図18に示すように、アングル磁気センサ検出角度θanは、入力軸82aの機械角で120度の周期を有する。
第1角度θi1は、第1磁気センサ15の対向位置にある磁極が1磁極対分変化するごとに1周期の信号を出力する。したがって、図18に示すように、第1角度θi1は、入力軸82aの機械角で90度の周期を有する。以上より、アングル磁気センサ検出角度θanと第1角度θi1とは、入力軸82aの機械角で、360度毎に位相(電気角)が一致する。すなわち、アングル磁気センサ検出角度θanと第1角度θi1とは、入力軸82aが1回転する毎に位相が一致する。θan演算部224aは、アングル磁気センサ検出角度θanと第1角度θi1との位相が一致した場合に、第1多極磁石10の回転方向に応じて記憶部24に記憶された回転数Nに1を加算、又は減算する。これによれば、センサ演算部200aは、入力軸82aが1回転を超えて回転した場合でも、θan演算部224aが入力軸82aの回転数をカウント(多回転検知)することができる。
なお、実施形態2に係るトルクセンサ94aは、アングル磁気センサ検出角度θanと第1角度θi1、第2角度θi2、及び第3角度θi3のうちいずれか1つとのバーニア演算により、第1補正角度θisを多回転の絶対角で算出してもよい。第1補正角度θisを多回転の絶対角で算出するとは、入力軸82a(第1多極磁石10)の360度以下の回転角度、又は入力軸82a(第1多極磁石10)の360度を超える回転角度を絶対角で算出することである。この場合、アングル磁気センサ検出角度θanの周期と第1角度θi1の周期、第2角度θi2の周期、及び第3角度θi3の周期とが異なる値となるように、適宜磁極数m及び第1ギヤ26aに対する第2ギヤ28aのギヤ比を選択すればよい。第1ギヤ26aに対する第2ギヤ28aのギヤ比は、例えば、2を磁極数mで除した値と異なっていればよい。これによれば、アングル磁気センサ検出角度θanの周期と第1角度θi1の周期、第2角度θi2の周期、及び第3角度θi3の周期とを異なった値にすることができる。その結果、バーニア演算により、入力軸82aの360度以下の回転角度、又は入力軸82aの360度を超える回転角度を絶対角で算出することができる。
(実施形態3)
図19は、実施形態3に係る回転角度センサを模式的に示す平面図である。図20は、実施形態3に係るトルクセンサの入力軸が変位した場合の回転角度センサを模式的に示す平面図である。図21は、実施形態3に係る回転角度センサを模式的に示す平面図である。図22は、実施形態3に係るトルクセンサの出力軸が変位した場合の回転角度センサを模式的に示す平面図である。実施形態3に係る回転角度センサ12において、基準回転軸Ax0に対する第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17の位置が、上述した実施形態1とは異なる。なお、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図19に示すように、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17は、検出基準位置15P、検出基準位置16P、検出基準位置17Pが直線PL1上に等間隔に並ぶように、基板14に配置されている。検出基準位置15Pと、検出基準位置16Pとの間は、距離W1であり、検出基準位置16Pと、検出基準位置17Pとの間は、距離W1である。基準回転軸Ax0から検出基準位置15Pまでの半径は、R1である。基準回転軸Ax0から検出基準位置16Pまでの半径は、R2である。基準回転軸Ax0から検出基準位置17Pまでの半径は、R3である。
図19に示す回転角度センサ12において、検出基準位置15Pと検出基準位置17Pとが基準回転軸Ax0と検出基準位置16Pとを結ぶ線に対して、線対称の位置にある。直線PL1と、基準回転軸Ax0と検出基準位置16Pとを結ぶ線とがなす角は直角である。このため、半径R1と半径R3とは大きさが同じであり、半径R2と半径R1とは大きさが異なる。
図20に示す回転軸Ax1は、例えば、車両101の振動等により、入力軸82aの位置が変位した場合の入力軸82aの回転軸である。
図20のように、第1変位Xiが生じていても、角度補正部210(図5参照)は、記憶部24に記憶された式(26)、式(27)、及び式(28)の連立方程式を解くことで第1補正角度θisを算出する。ここで、記憶部24には、第1基準角度θ1、第2基準角度θ2、第3基準角度θ3、半径R1、半径R2、及び半径R3が予め記憶されている。
θi1=θ1+arctan{Xisin(θ1−Yi)/R1}+θis…(26)
θi2=θ2+arctan{Xisin(θ2−Yi)/R2}+θis…(27)
θi3=θ3+arctan{Xisin(θ3−Yi)/R3}+θis…(28)
角度補正部210は、角度演算部202、204、及び206で算出された第1角度θi1、第2角度θi2、及び第3角度θi3を上記式(26)、式(27)、及び式(28)に代入し、式(26)、式(27)、及び式(28)の解を求める。このように、実施形態3の回転角度センサ12の角度補正部210(図5参照)は、角度演算部202、204、及び206で算出された第1角度θi1、第2角度θi2、及び第3角度θi3に基づいて、第1補正角度θisを算出する。
図21に示すように、実施形態3の回転角度センサ13は、第4磁気センサ19、第2第5磁気センサ20、及び第6磁気センサ21を備えている。第4磁気センサ19、第2第5磁気センサ20、及び第6磁気センサ21は、検出基準位置19P、検出基準位置20P、検出基準位置21Pが直線PL2上に等間隔に並ぶように、基板18に配置されている。そして、基準回転軸Ax0から検出基準位置19Pまでの半径は、R4である。基準回転軸Ax0から検出基準位置20Pまでの半径は、R5である。基準回転軸Ax0から検出基準位置21Pまでの半径は、R6である。
図22のように、第2変位Xoが生じていても、角度補正部220(図5)は、記憶部24に記憶された式(29)、式(30)、及び式(31)の連立方程式を解くことで第2補正角度θosを算出する。ここで、記憶部24には、第4基準角度θ4、第5基準角度θ5、第6基準角度θ6、半径R4、半径R5、及び半径R6が予め記憶されている。
θo1=θ4+arctan{Xosin(θ4−Yo)/R4}+θos…(29)
θo2=θ5+arctan{Xosin(θ5−Yo)/R5}+θos…(30)
θo3=θ6+arctan{Xosin(θ6−Yo)/R6}+θos…(31)
角度補正部220は、角度演算部212、214、及び216で算出された第4角度θo1、第5角度θo2、及び第6角度θo3を上記式(29)、式(30)、及び式(31)に代入し、式(29)、式(30)、及び式(31)の解を求める。このように、実施形態3の回転角度センサ13の角度補正部220(図5参照)は、角度演算部212、214、及び216で算出された第4角度θo1、第5角度θio2、及び第6角度θo3に基づいて、第2補正角度θosを算出する。
以上説明したように、半径R1が半径R2と異なるが、実施形態3の回転角度センサ12は、第1補正角度θisを算出することができる。これにより、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17の配置の自由度が向上する。同様に、半径R4が半径R5と異なるが、実施形態3の回転角度センサ13は、第2補正角度θosを算出することができる。これにより、第4磁気センサ19、第4磁気センサ20、及び第磁気センサ21の配置の自由度が向上する。
第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17は、入力軸82aの軸方向に直交する平面上において、直線PL1上に等間隔に並ぶ。これにより、基板14の形状の自由度が向上する。例えば、実施形態1のように、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17は、基準回転軸Ax0から等距離である必要はないので、基板14に曲線状の切り欠きを設ける必要はない。基板14を矩形とすることで、基板14の製造効率が向上する。また、基準回転軸Ax0と第2磁気センサ16の検出基準位置16Pの位置及び直線PL1と、基準回転軸Ax0と検出基準位置16Pとを結ぶ線とがなす角を規定するだけで、第1多極磁石10に対する、回転角度センサ12の組付け精度が向上する。
図23は、実施形態3の変形例1に係る回転角度センサを模式的に示す平面図である。図23に示すように、直線PL1と、基準回転軸Ax0と検出基準位置16Pとを結ぶ線とがなす角は直角でなくてもよい。この構造によれば、半径R1、半径R2及び半径R3が、それぞれ異なる大きさであるが、実施形態3の回転角度センサ12は、第1補正角度θisを算出することができる。実施形態3の回転角度センサ13も同様の構造をとることができ、第2補正角度θosを算出することができる。
図24は、実施形態3の変形例2に係る回転角度センサを模式的に示す平面図である。図24に示すように、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17は、入力軸82aの軸方向に直交する平面上において、直線PL1上に並ぶ。そして、検出基準位置15Pと、検出基準位置16Pとの間は、距離W1であり、検出基準位置16Pと、検出基準位置17Pとの間は、距離W2である。距離W2は、距離W1よりも大きい。このため、第1磁気センサ15と第2磁気センサ16との距離は、第2磁気センサ16と第3磁気センサ17との距離とは異なる。この構造によれば、半径R1、半径R2及び半径R3が、それぞれ異なる大きさであるが、実施形態3の回転角度センサ12は、第1補正角度θisを算出することができる。これにより、第1磁気センサ15、第2磁気センサ16、及び第3磁気センサ17の配置の自由度が向上する。実施形態3の回転角度センサ13も同様の構造をとることができ、第2補正角度θosを算出することができる。これにより、第4磁気センサ19、第4磁気センサ20、及び第磁気センサ21の配置の自由度が向上する。