以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置を搭載した車両を模式的に示した斜視図である。図2は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。図1に示すように、車両101は、電動パワーステアリング装置80を搭載している。図2に示すように、電動パワーステアリング装置80は、操作者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、操舵力アシスト機構83と、ユニバーサルジョイント84と、ロアシャフト85と、ユニバーサルジョイント86と、を備え、ピニオンシャフト87に接合されている。
図2に示すように、ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bと、を備える。入力軸82aの一方の端部がステアリングホイール81に連結され、入力軸82aの他方の端部が出力軸82bに連結される。また、出力軸82bの一方の端部が入力軸82aに連結され、出力軸82bの他方の端部がユニバーサルジョイント84に連結される。本実施形態では、入力軸82a及び出力軸82bは、機械構造用炭素鋼(SC材(Carbon Steel for Machine Structural Use))又は機械構造用炭素鋼鋼管(いわゆるSTKM材(Carbon Steel Tubes for Machine Structural Purposes))等の一般的な鋼材等から形成される。
図2に示すように、ロアシャフト85は、ユニバーサルジョイント84を介して出力軸82bに連結される部材である。ロアシャフト85の一方の端部がユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部がユニバーサルジョイント86に連結される。また、ピニオンシャフト87の一方の端部がユニバーサルジョイント86に連結され、ピニオンシャフト87の他方の端部がステアリングギヤ88に連結される。
図2に示すように、ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bと、を備える。ピニオン88aは、ピニオンシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に連結される。
図2に示すように、操舵力アシスト機構83は、減速装置92と、モータ93と、を備える。モータ93は、例えばブラシレスモータである。減速装置92は、例えばウォーム減速装置である。モータ93で生じたトルクは、減速装置92の内部のウォームを介してウォームホイールに伝達され、ウォームホイールを回転させる。減速装置92は、ウォーム及びウォームホイール(ウォームギヤ)によって、モータ93で生じたトルクを増加させる。そして、減速装置92は、出力軸82bに補助操舵トルクを与える。電動パワーステアリング装置80は、コラムアシスト方式である。
電動パワーステアリング装置80は、モータ制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)90と、入力軸82aの回転角度を出力する回転角度センサ10と、出力軸82bの回転角度を出力する回転角度センサ20と、車速センサ95と、を備える。車速センサ95は、車体に備えられ、CAN(Controller Area Network)通信により信号として車速SVをECU90に出力する。ECU90には、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)から電力が供給される。ECU90は、回転角度センサ10が出力する入力軸82aの回転角度信号、及び回転角度センサ20が出力する出力軸82bの回転角度信号を取得する。ECU90は、車速センサ95から車体の車速SVを取得する。ECU90は、回転検出部23から出力される情報を動作情報SYとして取得する。ECU90は、モータ93の取得した回転角度信号に基づく操舵トルクの情報と車速SVと動作情報SYとに基づいて補助操舵指令値を算出する。そして、ECU90は、その算出された補助操舵指令値に基づいてモータ93へ供給する電力値SXを調節する。
ステアリングホイール81に入力された操作者(運転者)の操舵力は、入力軸82aを介して操舵力アシスト機構83の減速装置92に伝わる。この時、ECU90は、入力軸82a及び出力軸82bの回転角度信号と、車速SVと、動作情報SYと、を取得する。そして、ECU90は、モータ93の動作を制御する。モータ93が作り出した補助操舵トルクは、減速装置92に伝えられる。
出力軸82bを介して出力された操舵トルク(補助操舵トルクを含む)は、ユニバーサルジョイント84を介してロアシャフト85に伝達され、さらにユニバーサルジョイント86を介してピニオンシャフト87に伝達される。ピニオンシャフト87に伝達された操舵力は、ステアリングギヤ88を介してタイロッド89に伝達され、車輪を変位させる。
(トルクセンサ)
次に、図3から図5を参照して実施形態1に係るトルクセンサ400について説明する。図3は、実施形態1に係るトルクセンサの機能ブロックを示す模式図である。図4は、実施形態1に係るトルクセンサを模式的に示す斜視図である。図5は、実施形態1に係る入力軸の回転角度を出力する回転角度センサを模式的に示す平面図である。
図3に示すように、トルクセンサ400は、相対角度検出部300と、トルク演算部402と、を備える。相対角度検出部300は、入力軸82aと出力軸82bとの相対的な回転角度である相対角度Δθioを検出する相対角度検出装置ともいえる。相対角度検出部300は、相対角度Δθioをトルク演算部402に出力する。図4に示すように、入力軸82aと出力軸82bは、トーションバー82cによって連結されている。トーションバー82cは、例えば、鋼材で形成された弾性部材である。
図3に示すように、トルク演算部402は、相対角度Δθioに基づいて、操舵トルクTを算出する。例えば、トルク演算部402は、トーションバー82cの特性によって決まる、相対角度Δθioと操舵トルクTとの関係を記憶している。トルク演算部402は、相対角度検出部300から入力された相対角度Δθioと、記憶された相対角度Δθioと操舵トルクTとの関係と、に基づいて操舵トルクTを算出する。トルク演算部402は、算出した操舵トルクTをモータ制御部91に出力する。モータ制御部91は、上述した電力値SXを調整するECU90の制御部である。
図3に示すように、相対角度検出部300は、誤差が補正された入力軸82aの回転角度である第1補正角度θisを検出する第1角度検出部100と、誤差が補正された出力軸82bの回転角度である第2補正角度θosを検出する第2角度検出部200と、差分演算部302と、を備える。差分演算部302は、第1補正角度θisと第2補正角度θosとの差分を算出することで、相対角度Δθioを算出する。
図3に示すように、第1角度検出部100は、回転角度センサ10と、記憶部102と、入力軸側の角度補正部104と、異常検出部106と、を備える。図4に示すように、回転角度センサ10は、第1多極磁石12と、基板14と、入力軸側の第1磁気センサ16(以下、第1磁気センサ16という。)と、入力軸側の第2磁気センサ18(以下、第2磁気センサ18という。)と、を備える。
図4に示すように、第1多極磁石12は、例えば、ラジアル方向に着磁されたリング形状の磁石である。第1多極磁石12は、交互に配置されたS極及びN極を平面視で円形の外周面に有する。第1多極磁石12の磁極数mは、例えば、20であるがこれに限定されない。
図4及び図5に示す基準回転軸Ax0は、入力軸82a又は出力軸82bの回転軸が誤差なく回転している場合の回転軸を示す。基準回転軸Ax0は、第1シャフトである入力軸82a、第2シャフトである出力軸82b、第1多極磁石12又は第2多極磁石22の回転中心の基準であって、後述する変位Xiがなかったとした場合の回転軸である。
図4に示すように、第1多極磁石12は、例えば、入力軸82aの回転軸と同軸となるように、入力軸82aの出力軸82b側の端部に取り付けられている。第1多極磁石12には、必要な磁束密度に応じて、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石等が用いられる。なお、図5に示す第1多極磁石12の回転位置は、基準位置を示している。基準位置において、入力軸82aの回転軸又は第1多極磁石12の回転中心が基準回転軸Ax0にあって、第1多極磁石12、第1磁気センサ16、及び第2磁気センサ18が予め定められた位置にある。同様に、基準位置において、出力軸82bの回転軸又は第2多極磁石22の回転中心が基準回転軸Ax0にあって、第2多極磁石22、第3磁気センサ26、及び第4磁気センサ28が予め定められた位置にある。例えば、図5において、基準位置は、第1磁気センサ16及び第2磁気センサ18が第1多極磁石12のN極とS極との境に対向した位置を示す。
図3に示すように、第2角度検出部200は、回転角度センサ20と、出力軸側の角度補正部204と、異常検出部206と、を備える。図4に示すように、回転角度センサ20は、第2多極磁石22と、基板24と、出力軸側の第3磁気センサ26(以下、第3磁気センサ26という。)と、出力軸側の第4磁気センサ28(以下、第4磁気センサ28という。)と、を備える。
図4に示すように、第2多極磁石22は、出力軸82bの入力軸82a側の端部に取り付けられ、出力軸82bと同期して回転すること以外は、第1多極磁石12と同様である。すなわち、第2多極磁石22は、磁極数及び磁極のピッチが第1多極磁石12と同じである。なお、第2多極磁石22は、磁極数及び磁極のピッチが第1多極磁石12と異なってもよい。
図5に示すように、第1磁気センサ16、及び第2磁気センサ18は、基準回転軸Ax0を中心とする半径Rの第1円C1上に配置され、かつ第1多極磁石12の外周面に対向するように、基板14に配置される。第1磁気センサ16、及び第2磁気センサ18が第1円C1上に配置されるとは、それぞれのセンサの検出基準位置16P、18Pが第1円C1上に位置することである。基板14は、例えば、車体に固定されている。図5に示す直線L0は、基準回転軸Ax0から第1多極磁石12の回転の基準方向へ引いた直線である。回転の基準方向は、第1多極磁石12の回転の基準方向を定めるために便宜上設定されており、任意に設定してよい。図5に示す直線L1は、基準回転軸Ax0と検出基準位置16Pとを結ぶ線分である。図5に示す直線L2は、基準回転軸Ax0と検出基準位置18Pとを結ぶ線分である。図5に示す方向46は、基準回転軸Ax0のラジアル方向である。すなわち、方向46とは、第1多極磁石12と、第1磁気センサ16及び第2磁気センサ18と、が互いに近づく又は離れる方向である。図5に示す方向48は、方向46と直交する方向である。
図4に示すように、第3磁気センサ26、及び第4磁気センサ28は、検出基準位置26P、28Pが基準回転軸Ax0を中心とする半径Rの第2円C2上に配置され、かつ第2多極磁石22の外周面に対向するように基板24に配置される。基板24は、例えば、車体に固定されている。なお、第1円C1の半径と第2円C2の半径とは、異なる長さでもよい。
図6は、実施形態1に係る第1磁気センサを貫通する磁束の向きを説明するための説明図である。図6に示す磁力線12mは、第1多極磁石12の磁力線を示している。
図6に示すように、第1磁気センサ16の検出基準位置16Pを貫通する磁力線12mの向きは、第1多極磁石12が1磁極対分回転する毎に1回転する。第1多極磁石12が1磁極対分回転するとは、磁極数を20としている本実施形態1において、入力軸82aの機械角で36度分回転することに相当する。つまり、第1磁気センサ16の検出基準位置16Pを貫通する磁束の向きは、第1多極磁石12の回転により周期的に変化する。
図5に示すように、第1磁気センサ16と第2磁気センサ18とは、第1多極磁石12の外周面の周方向に2磁極対分の機械角だけ離れた位置に配置されている。第1磁気センサ16と第2磁気センサ18とが第1多極磁石12を挟んで180°対称の位置とは異なっていればよい。直線L1と、直線L2とがなす角度φ1は、第1磁気センサ16と第2磁気センサ18との相対的な位置関係を示している。角度φ1は、直線L1と、直線L2とが0°又は180°と一致しなければ任意である。その結果、第1磁気センサ16と第2磁気センサ18とは、第1多極磁石12の周囲において異なる位置に配置される。
これにより、直線L0と、直線L1とのなす角度θ1と、直線L0と、直線L2とのなす角度θ2とは、図5に示すように、入力軸82a又は第1多極磁石12が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、既知の角度である。
角度φ1は、0°又は180°を除き、第1多極磁石12の1磁極対分の機械角を整数倍した角度であることが好ましい。これにより、第1磁気センサ16及び第2磁気センサ18を貫通する磁束の向きを揃えることができる。その結果、第1磁気センサ16が出力する角度信号の位相と第2磁気センサ18が出力する角度信号の位相とを一致させることができる。
記憶部102のメモリは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、及びEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった揮発性又は不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、及びDVD(Digital Versatile Disc)が該当する。
また、第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、第3磁気センサ26及び第4磁気センサ28は、例えば、円形垂直ホールセンサである。円形垂直ホールセンサは、円周上に配置された複数のホール素子を内部に備え、磁束の向きの変化を検出できるセンサである。円形垂直ホールセンサは、円形垂直ホールセンサの検出基準位置を貫通する磁束密度を検出することで、該磁束密度の貫通方向に対応する角度信号を出力可能である。
図7及び図8を参照して第1磁気センサ16が第1多極磁石12の回転を検出する原理について説明する。図7は、実施形態1に係る第1磁気センサが回転を検出する原理を説明するための説明図である。図7に示す磁束密度Bは、検出基準位置16Pを貫通する磁束密度を例示したものである。図7に示すセンサ検出基準方向Dは、第1磁気センサ16が検出する磁束密度の向きの基準方向である。図7に示す第1電気角θie1は、センサ検出基準方向Dと磁束密度Bとが成す角度である。
上述したように、第1磁気センサ16は、円形垂直ホールセンサである。図7に示すように、第1磁気センサ16は、例えば、検出基準位置16Pを中心とする円周上に等間隔で配置されたホール素子h1からホール素子h24を内部に備える。ホール素子h1は、検出基準位置16Pからホール素子h1へ向かう方向の磁束密度を検出可能である。ホール素子h2からホール素子h24は、ホール素子h1同様に、検出基準位置16Pから各ホール素子へ向かう方向の磁束密度を検出可能である。
図8は、実施形態1に係る第1磁気センサが検出する磁束密度を示す概念図である。図8に示す磁束密度Bh1から磁束密度Bh24は、図7に示す磁束密度Bが検出基準位置16Pを貫通する場合に、ホール素子h1からホール素子h24がそれぞれ検出する磁束密度の値を示す。すなわち、図8の縦軸は、磁束密度の大きさを示す。図8に示す最大磁束密度Bimは、磁束密度Bh1から磁束密度Bh24の中での最大値である。図8に示す概念図は、横軸を角度θとして、磁束密度Bh1から磁束密度Bh24を15度の間隔でプロットしたものである。
ホール素子h1からホール素子h24は、センサ検出基準方向Dを基準として、検出基準位置16Pを中心とする円上に15度の間隔で配置されている。つまり、角度θは、ホール素子h1からホール素子h24が配置された円周上の位置に対応している。図7及び図8に示すように、磁束密度Bの向きに位置するホール素子h5が出力する磁束密度Bh5は、磁束密度Bh1から磁束密度Bh24の中で最も値が大きい。このように、最大磁束密度Bimを検出するホール素子の位置は磁束密度Bの向きを表している。
第1磁気センサ16は、図8に示す磁束密度Bh1から磁束密度Bh24と角度θとの対応関係を記憶している。図3及び図8に示すように、第1磁気センサ16は、最大磁束密度Bimを検出したホール素子の位置(角度θ)を第1電気角θie1として角度補正部104、及び異常検出部106に出力する。第1磁気センサ16は、最大磁束密度Bimを角度補正部104に出力する。なお、第1磁気センサ16は、最大磁束密度Bimと、最大磁束密度Bimを検出したホール素子に隣接するホール素子の磁束密度と、からホール素子間の角度を算出して第1電気角θie1を補完演算してもよい。
第1磁気センサ16は、ホール素子h1からホール素子h24の磁束密度を走査し、磁束密度Bh1から磁束密度Bh24の中で最も値が大きい値を出力する。このため、第1磁気センサ16の周囲の磁場が変化すると、最も値が大きい磁束密度の値が出力される。第1磁気センサ16は、ホール素子h1からホール素子h24の磁束密度を走査し、出力値を走査毎に更新する。更新された出力値は、第1磁気センサ16が検知する最大磁束密度Bimである。このため、第1磁気センサ16は、磁束の向きとは無関係に、常に、最大磁束密度Bimの出力値を出力することができる。
以上により、第1磁気センサ16は、角度補正部104及び異常検出部106へ、第1角度θie1の信号を出力する。第1角度θie1は、電気角度である。第2磁気センサ18は、角度補正部104及び異常検出部106へ、第2角度θie2の信号を出力する。第2角度θie2は、電気角度である。第3磁気センサ26は、角度補正部204及び異常検出部206へ、第3角度θoe1の信号を出力する。第3角度θoe1は、電気角度である。第4磁気センサ28は、角度補正部204及び異常検出部206へ、第4角度θoe2の信号を出力する。第4角度θoe2は、電気角度である。
図3に示すように、第1磁気センサ16は、角度補正部104へ、検出した最大磁束密度Bimを磁束密度Bim1の信号として出力する。第2磁気センサ18、第3磁気センサ26及び第4磁気センサ28についても、第1磁気センサ16と同様である。
また、第2磁気センサ18は、角度補正部104へ、検出した磁束密度Bim2の信号を出力する。第3磁気センサ26は、角度補正部204へ、検出した磁束密度Bom1の信号を出力する。また、第4磁気センサ28は、角度補正部204へ、検出した磁束密度Bom2の信号を出力する。
次に、図3、図5、図9、及び図12を参照して、角度補正部104が入力軸82aの回転角度である第1補正角度θisを算出する方法について説明する。
入力軸82a又は第1多極磁石12が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第1角度θie1が第1角度θio1に一致し、磁束密度Bie1が磁束密度Bio1に一致する。また、入力軸82a又は第1多極磁石12が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第2角度θie2が第2角度θio2に一致し、及び磁束密度Bie2が磁束密度Bio2に一致する。第1角度θio1の機械角が第1基準角度θ1であり、第2角度θio2の機械角が第2基準角度θ2である。
図9は、実施形態1に係るトルクセンサの入力軸が基準回転軸から変位した場合の回転角度センサを模式的に示す平面図である。図12は、実施形態1に係るトルクセンサが操舵トルクを算出する手順を示すフローチャートである。
図9に示すように、入力軸82aは、車両101が走行した場合の振動、又はロアシャフト85から加わる偶力等の影響を受けて変位する可能性がある。入力軸82a又は第1多極磁石12の回転軸が基準回転軸Ax0から回転軸Ax1に変位した場合、第1磁気センサ16が検出する第1角度θie1が第1角度θio1に一致しない可能性がある。入力軸82a又は第1多極磁石12の回転軸が基準回転軸Ax0から回転軸Ax1に変位した場合、第2磁気センサ18が検出する第2角度θie2が第2角度θio2に一致しない可能性がある。
図9に示す回転軸Ax1は、入力軸82aの回転軸の位置が基準回転軸Ax0から変位した場合の入力軸82aの回転軸である。図9に示す直線L3は、基準回転軸Ax0から回転軸Ax1へ向けて引いた直線である。図9に示す変位Xiは、基準回転軸Ax0と回転軸Ax1との距離である。図9に示す角度Yiは、直線L3と、直線L0とがなす角度である。図9に示す誤差角度Z1は、第1磁気センサ16と第1多極磁石12との距離量gim1に応じて定まる角度である。図9に示す誤差角度Z2は、第2磁気センサ18と第1多極磁石12との距離量gim2に応じて定まる角度である。
ここで、本実施形態において、第1角度θie1が電気角であり、磁極数mと第1角度θie1に基づき、角度補正部104は機械角の第1角度θi1を算出する。なお、第1磁気センサ16において電気角を機械角に変換し、角度補正部104へ機械角の第1角度θi1を出力してもよい。また、第2角度θie2が電気角であり、磁極数mと第2角度θie2に基づき、角度補正部104は機械角の第2角度θi2を算出する。なお、第2磁気センサ18において電気角を機械角に変換し、角度補正部104へ機械角の第2角度θi2を出力してもよい。
入力軸82a又は第1多極磁石12の基準回転軸Ax0に対しての相対的な第1の変位Xiによる誤差が補正された第1多極磁石12の回転角度を第1補正角度θisとした場合、第1角度θi1は、角度θ1と、誤差角度Z1と、第1補正角度θisとの関係で表すことができ、式(9)で求めることができる。同様に、第2角度θi2は、式(10)で求めることができる。
誤差角度Z1は、式(11)で求めることができる。同様に、誤差角度Z2は、式(12)で求めることができる。基準回転軸Ax0から検出基準位置16Pまでの半径は、Ri1である。基準回転軸Ax0から検出基準位置18Pまでの半径は、Ri2である。実施形態1において、半径Ri1と、半径Ri2は、同じ半径Rである。
図5に示すように、入力軸82a又は第1多極磁石12が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第1磁気センサ16と第1多極磁石12との間の距離量gim1が第1基準距離量g1離れている。この場合、第1磁気センサ16は、磁束密度Bio1を検出する。磁束密度Bio1は、第1基準距離量g1の二乗に反比例するので、下記式(13)の関係にある。なお、定数Kiは、0以外の所定の定数である。
図5に示すように、入力軸82a又は第1多極磁石12が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第2磁気センサ18と第1多極磁石12との間の距離量gim2が第2基準距離量g2離れている。この場合、第2磁気センサ18は、磁束密度Bio2を検出する。第2基準距離量g2と、磁束密度Bio2とは、下記式(14)の関係にある。
上記式(13)は、下記式(15)とすることができる。
上記式(14)は、下記式(16)とすることができる。
入力軸82a又は第1多極磁石12の回転軸が基準回転軸Ax0から回転軸Ax1に変位した場合、第1磁気センサ16が検出する磁束密度Bio1が磁束密度Bim1に変化する。このため、距離量gim1は、下記式(17)になる。
入力軸82a又は第1多極磁石12の回転軸が基準回転軸Ax0から回転軸Ax1に変位した場合、第2磁気センサ18が検出する磁束密度Bio2が磁束密度Bim2に変化する。このため、距離量gim2は、下記式(18)になる。
第1磁気センサ16と第1多極磁石12との距離変位Δg1は、上記式(15)及び式(17)に基づいて、式(19)で求めることができる。
第2磁気センサ18と第1多極磁石12との距離変位Δg2は、上記式(16)及び式(18)に基づいて、式(20)で求めることができる。
ここで、上述した変位Xiと、角度Yiとで、変数α及び変数βを下記式(21)及び式(22)で定義する。
また、上述したΔg1は、変位Xi、角度Yi、及び角度θ1を用いて、下記式(23)で表すことができる。そして、Δg1は、上記式(21)及び上記式(22)に基づいて、変数α、変数β、及び角度θ1を用いて表すこともできる。
同様に、上述したΔg2は、変位Xi、角度Yi、及び角度θ2を用いて、下記式(24)で表すことができる。そして、Δg2は、上記式(21)及び上記式(22)に基づいて、変数α、変数β、及び角度θ2を用いて表すこともできる。
式(19)及び式(20)より、磁束密度Bim1の情報と、磁束密度Bim2の情報とが取得できれば、上記式(23)にΔg1を与え、上記式(24)にΔg2を与え、変数α及び変数βを求めることができる。変数α及び変数βを下記式(25)に与えると、角度Yiが求まる。
変数α及び変数βを下記式(26)に与えると、変位Xiが求まる。
角度補正部104は、上述した式(9)及び式(11)に基づいた下記式(27)に、上記式(25)及び上記式(26)に基づいた変位Xi及び角度Yiを与え、第1補正角度θisを算出する。あるいは、角度補正部104は、上述した式(10)及び式(12)に基づいた下記式(28)に、上記式(25)及び上記式(26)に基づいた変位Xi及び角度Yiを与え、第1補正角度θisを算出する。その結果、角度補正部104は、入力軸82a又は第1多極磁石12の基準回転軸Ax0に対しての相対的な第1の変位Xiによる誤差が補正された第1多極磁石12の第1補正角度θisを算出することができる。
図12を用いて説明すると、図3に示す角度補正部104は、第1角度θie1、第2角度θie2、磁束密度Bim1、及び磁束密度Bim2を取得する(ステップST11)。
次に、角度補正部104は、第1角度θie1、第2角度θie2、磁束密度Bim1、及び磁束密度Bim2に基づいて、上述したように第1補正角度θisを算出する(ステップST12)。
角度補正部104は、第1磁気センサ16と第1多極磁石12又は回転軸Ax1が方向48へ相対的に変位したことによる誤差角度Z1、及び第2磁気センサ18と第1多極磁石12又は回転軸Ax1が方向48へ相対的に変位したことによる誤差角度Z2の少なくとも1つを補正して第1補正角度θisを算出する。これによれば、第1角度検出部100は、第1多極磁石12の回転軸が基準回転軸Ax0から変位した場合でも、第1多極磁石12の回転角度(第1補正角度θis)を精度良く算出することができる。
以上説明したように、第1角度検出部100は、第1シャフトとしての入力軸82aと、第1多極磁石12と、第1磁気センサ16と、第2磁気センサ18と、角度補正部104とを備える第1角度検出装置である。第1多極磁石12は、入力軸82aの回転に連動して回転する。そうすると、第1多極磁石12の回転により、第1磁気センサ16と第2磁気センサ18とは、第1多極磁石12の周囲において周方向に異なる位置に配置されている。第1磁気センサ16は、検出した第1角度θie1と、磁束密度Bim1である第1磁束密度とを角度補正部104に出力する。第2磁気センサ18は、検出した第2角度θie2と、磁束密度Bim2である第2磁束密度とを角度補正部104に出力する。実施形態1において、磁束密度Bim1は、第1磁気センサ16と第1多極磁石12との間の第1距離に応じた第1距離相関値である。磁束密度Bim2は、第2磁気センサ18と、第1多極磁石12との間の第2距離に応じた第2距離相関値である。
角度補正部104は、第1角度θie1、第2角度θie2、磁束密度Bim1、及び磁束密度Bim2に基づいて、第1補正角度θisを算出する。第1補正角度θisは、上述した誤差角度Z1及び誤差角度Z2の少なくとも1つによる角度誤差が補正された第1多極磁石12又は入力軸82aの回転角度である。より具体的には、第1補正角度θisは、上記式(19)に示す第1磁気センサ16と第1多極磁石12との距離変位Δg1と、上記式(20)に示す第2磁気センサ18と第1多極磁石12との距離変位Δg2とがそれぞれ0となるように算出されている。
これにより、第1角度検出部100は、入力軸82a又は第1多極磁石12の基準回転軸Ax0に対しての相対的な第1の変位Xiによる誤差角度Z1及び誤差角度Z2の少なくとも1つを補正する。その結果、第1角度検出部100は、第1多極12の回転角度の検出精度を高めることができる。
実施形態1によれば、第1磁気センサ16が検出した磁束密度Bim1、及び第2磁気センサ18が検出した磁束密度Bim2に基づいて演算し、第1多極磁石12の回転角度の検出精度を高めることができる。
なお、第1多極磁石12は、入力軸82aの回転に連動して回転するとは、入力軸82aの回転と、第1多極磁石12の回転とは、等速回転でなくてもよく、入力軸82aと第1多極磁石12との間に、所定のギヤ比のギヤ機構があってもよい。
誤差角度Z1及び誤差角度Z2の少なくとも1つとは、図9に示す変位Xiが第1磁気センサ16側又は第2磁気センサ18側のいずれか一方にしか生じない場合も図9に示す変位Xiが第1磁気センサ16側又は第2磁気センサ18側の両方に生じる場合も含む。本実施形態においては、図9に示す変位Xiは、基準回転軸Ax0と回転軸Ax1との距離である。図9に示す変位Xiは、基準回転軸Ax0と回転軸Ax1とが平行である場合に限られず、回転軸Ax1が基準回転軸Ax0に対して傾いていている場合、あるいは、第1多極磁石12の回転軸が基準回転軸Ax0に対して傾いていている場合でも生じ得る。これらの場合のいずれでも、第1角度検出部100は、第1磁気センサ16及び第2磁気センサ18がある平面における、図9に示す変位Xiによる誤差が補正された第1補正角度θisを精度良く算出することができる。
また、基準回転軸Ax0と入力軸82aの回転軸との距離が0であっても、入力軸82aの回転軸と第1多極磁石12の回転中心とがずれていれば、基準回転軸Ax0と第1多極磁石12の回転中心を回転軸Ax1とした場合に、図9に示す変位Xiが生じる。この場合でも、第1角度検出部100は、第1磁気センサ16及び第2磁気センサ18がある平面における、図9に示す変位Xiによる誤差が補正された第1補正角度θisを精度良く算出することができる。
なお、第1多極磁石12の回転軸Ax1が回転に伴い、回転軸Ax1の軸方向に変位しても、この変位が第1多極磁石12の軸方向の寸法よりも小さい変位であれば、回転軸Ax1の軸方向に変位の影響は、第1補正角度θisの精度に影響を及ぼしにくい。
図3に示す第3磁気センサ26は、第3角度θoe1及び磁束密度Bom1を角度補正部204及び異常検出部206に出力する。第4磁気センサ28は、第4角度θoe2及び磁束密度Bom2を角度補正部204及び異常検出部206に出力する。
出力軸82b又は第2多極磁石22が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第3角度θoe1が第3角度θoo1に一致し、磁束密度Bie1が磁束密度Bio1に一致する。また、出力軸82b又は第2多極磁石22が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第4角度θoe2が第4角度θoo2に一致し、及び磁束密度Bie2が磁束密度Bio2に一致する。第3角度θoo1の機械角が第3基準角度θ3であり、第4角度θoo2の機械角が第4基準角度θ4である。
図12に示すように、図3に示す角度補正部204は、第3角度θoe1、第4角度θoe2、磁束密度Bom1、及び磁束密度Bom2を取得する(ステップST21)。
次に、角度補正部204は、第3角度θoe1、第4角度θoe2、磁束密度Bom1、及び磁束密度Bom2に基づいて、第2補正角度θosを算出する(ステップST22)。
図10は、実施形態1に係る出力軸の回転角度を出力する回転角度センサを模式的に示す平面図である。図11は、実施形態1に係るトルクセンサの出力軸が基準回転軸から変位した場合の回転角度センサを模式的に示す平面図である。なお、図10に示す直線L21は、基準回転軸Ax0と検出基準位置26Pとを結ぶ線分である。図10に示す直線L22は、基準回転軸Ax0と検出基準位置28Pとを結ぶ線分である。図17に示す直線L00は、基準回転軸Ax0から第2多極磁石22の回転の基準方向へ引いた直線である。
出力軸82a又は第2多極磁石22が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第3角度θoe1が第3角度θoo1に一致し、磁束密度Bom1が磁束密度Bio11に一致する。また、出力軸82a又は第2多極磁石22が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第4角度θoe2が第2角度θoo2に一致し、及び磁束密度Bom2が磁束密度Bio12に一致する。第1角度θoo1の機械角が第3基準角度θ3であり、第2角度θoo2の機械角が第4基準角度θ4である。
図10に示すように、出力軸82b又は第2多極磁石22が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第3磁気センサ26と第2多極磁石22との間の距離量gom11が第1基準距離量g11だけ離れている。この場合、第2磁気センサ26は、磁束密度Bio11を検出する。磁束密度Bio11は、第1基準距離量g11の二乗に反比例するので、下記式(29)の関係にある。なお、定数Kiは、0以外の所定の定数である。
図10に示すように、出力軸82b又は第2多極磁石22が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第4磁気センサ28と第2多極磁石22との間の距離量gom12が第2基準距離量g12だけ離れている。この場合、第4磁気センサ28は、磁束密度Bio12を検出する。第2基準距離量g12と、磁束密度Bio12とは、下記式(30)の関係にある。
図11に示すように、出力軸82bは、車両101が走行した場合の振動、又はロアシャフト85から加わる偶力等の影響を受けて変位する可能性がある。出力軸82b又は第2多極磁石22の回転軸が基準回転軸Ax0から回転軸Ax1に変位した場合、第3磁気センサ26が検出する第3角度θoe1が第3角度θoo1に一致しない可能性がある。出力軸82b又は第2多極磁石22の回転軸が基準回転軸Ax0から回転軸Ax1に変位した場合、第4磁気センサ28が検出する第4角度θoe2が第2角度θoo2に一致しない可能性がある。
図11に示す直線L13は、基準回転軸Ax0から回転軸Ax1へ向けて引いた直線である。図11に示す変位Xoは、基準回転軸Ax0と回転軸Ax1との距離である。図11に示す角度Yoは、直線L13と、直線L00とがなす角度である。図11に示す誤差角度Z3は、第3磁気センサ26と第2多極磁石22との距離量gom1に応じて定まる角度である。図11に示す誤差角度Z4は、第4磁気センサ28と第2多極磁石22との距離量gom2に応じて定まる角度である。
ここで、本実施形態において、第3角度θoe1が電気角であり、磁極数mと第3角度θoe1に基づき、角度補正部204は機械角の第1角度θo1を算出する。なお、第3磁気センサ26において電気角を機械角に変換し、角度補正部204へ機械角の第1角度θo1を出力してもよい。また、第4角度θoe2が電気角であり、磁極数mと第4角度θoe2に基づき、角度補正部204は機械角の第4角度θo2を算出する。なお、第4磁気センサ28において電気角を機械角に変換し、角度補正部204へ機械角の第4角度θo2を出力してもよい。
出力軸82b又は第2多極磁石22の回転軸が基準回転軸Ax0から回転軸Ax1に変位した場合、第3磁気センサ26が検出する磁束密度Bio11が磁束密度Bom1に変化する。このため、距離量gom1は、下記式(31)になる。
出力軸82b又は第2多極磁石22の回転軸が基準回転軸Ax0から回転軸Ax1に変位した場合、第4磁気センサ28が検出する磁束密度Bio12が磁束密度Bom2に変化する。このため、距離量gom2は、下記式(32)になる。
第3磁気センサ26と第2多極磁石22との距離変位Δg11は、上記式(29)及び式(31)に基づいて、式(33)で求めることができる。
第4磁気センサ28と第2多極磁石22との距離変位Δg12は、上記式(30)及び式(32)に基づいて、式(34)で求めることができる。
ここで、変位Xoと、角度Yoとで、変数γ及び変数δを下記式(35)及び式(36)で定義する。
また、上述したΔg11は、変位Xo、角度Yo、及び角度θ3を用いて、下記式(37)で表すことができる。そして、Δg11は、上記式(35)及び上記式(36)に基づいて、変数γ、変数δ、及び角度θ3を用いて表すこともできる。
同様に、上述したΔg12は、変位Xo、角度Yo、及び角度θ4を用いて、下記式(38)で表すことができる。そして、Δg12は、上記式(35)及び上記式(36)に基づいて、変数γ、変数δ、及び角度θ4を用いて表すこともできる。
式(33)及び式(34)より、磁束密度Bom1の情報と、磁束密度Bom2の情報とが取得できれば、上記式(37)にΔg1を与え、上記式(38)にΔg2を与え、変数γ及び変数δを求めることができる。変数γ及び変数δを下記式(39)に与えると、角度Yoが求まる。
変数γ及び変数δを下記式(40)に与えると、変位Xoが求まる。
角度補正部204は、下記式(41)に、上記式(39)及び上記式(40)に基づいた変位Xo及び角度Yoを与え、第2補正角度θosを算出する。あるいは、角度補正部204は、下記式(42)に、上記式(39)及び上記式(40)に基づいた変位Xo及び角度Yoを与え、第2補正角度θosを算出する。
その結果、角度補正部204は、出力軸82b又は第2多極磁石22の基準回転軸Ax0に対しての相対的な第2の変位Xoによる誤差が補正された第2多極磁石22の第2補正角度θosを算出することができる。なお、図10に示すように、基準回転軸Ax0から検出基準位置26Pまでの半径は、Ro1である。基準回転軸Ax0から検出基準位置28Pまでの半径は、Ro2である。実施形態1において、半径Ro1と、半径Ro2は、同じ半径Rである。
以上説明したように、第2角度検出部200は、第2シャフトとしての出力軸82bと、第2多極磁石22と、第3磁気センサ26と、第4磁気センサ28と、角度補正部204とを備える第2角度検出装置である。第2多極磁石22は、出力軸82bの回転に連動して回転する。そうすると、第2多極磁石22の回転により、第3磁気センサ26と第4磁気センサ28とは、第2多極磁石22の周囲において周方向に異なる位置に配置されている。第3磁気センサ26は、検出した第3角度θoe1と、磁束密度Bom1である第3磁束密度とを角度補正部204に出力する。第4磁気センサ28は、検出した第4角度θoe2と、磁束密度Bom2である第4磁束密度とを角度補正部204に出力する。実施形態1において、磁束密度Bom1は、第3磁気センサ26と、第2多極磁石22との間の第3距離に応じた第3距離相関値である。磁束密度Bom2は、第4磁気センサ28と、第2多極磁石22との間の第4距離に応じた第4距離相関値である。
角度補正部204は、第3角度θoe1、第4角度θoe2、磁束密度Bom1、及び磁束密度Bom2に基づいて、第2補正角度θosを算出する。第2補正角度θosは、第3磁気センサ26と第2多極磁石22又は出力軸82bの回転軸が方向48へ相対的に変位したことによる角度誤差及び第4磁気センサ28と第2多極磁石22又は出力軸82bの回転軸が方向48へ相対的に変位したことによる角度誤差の少なくとも1つによる角度誤差が補正された第2多極磁石22又は出力軸82bの回転角度である。これによれば、第2角度検出部200は、第1角度検出部100と同様の作用で第2補正角度θosを算出することができる。
本実施形態において、第1磁気センサ16の検出基準位置16P、及び第2磁気センサ18の検出基準位置18Pは、基準回転軸Ax0を中心とする半径Rの第1円C1上に配置され、第3磁気センサ26の検出基準位置26P、及び第4磁気センサ28の検出基準位置28Pは、基準回転軸Ax0を中心とする半径Rの第2円C2上に配置される。なお、第1多極磁石12の基準回転軸Ax0から第1磁気センサ16、及び第2磁気センサ18が配置される距離は、異なっていてもよい。また、第2多極磁石22の基準回転軸Ax0から第3磁気センサ26、及び第4磁気センサ28が配置される距離は、異なっていてもよい。
図12に示すように、図3に示す相対角度検出部300は、算出された第1補正角度θis及び第2補正角度θosに基づいて相対角度Δθioを算出する(ステップST31)。本実施形態において、相対角度検出部300は、第1シャフトである入力軸82aと、第2シャフトである出力軸82bとの相対角度Δθioを算出する相対角度検出装置である。相対角度Δθioには、上述した誤差角度Z1、誤差角度Z2、第3磁気センサ26と第2多極磁石22又は出力軸82bの回転軸が方向へ相対的に変位したことによる角度誤差及び第4磁気センサ28と第2多極磁石22又は出力軸82bの回転軸が方向へ相対的に変位したことによる角度誤差の少なくとも1つが減少するので、精度が高くなる。
本実施形態の相対角度検出部300は、角度補正部104とは別に、角度補正部204を備え、角度補正部104及び角度補正部204が、それぞれ第1角度検出装置又は第2角度検出装置の角度補正部として機能する。上述した角度補正部204がなく、角度補正部104が角度補正部204の処理をしてもよい。あるいは、上述した角度補正部104がなく、角度補正部204が角度補正部104の処理をしてもよい。
図12に示すように、図3に示すトルクセンサ400は、ステップST31において算出された相対角度Δθioに基づいて操舵トルクTを算出する(ステップST41)。これによれば、トルクセンサ400は、操舵トルクTを算出することができる。操舵トルクTは、上述した誤差角度Z1、誤差角度Z2、第3磁気センサ26と第2多極磁石22又は出力軸82bの回転軸が方向へ相対的に変位したことによる角度誤差及び第4磁気センサ28と第2多極磁石22又は出力軸82bの回転軸が方向へ相対的に変位したことによる角度誤差の少なくとも1つが減少するので、精度が高くなる。
図12に示すように、図3に示すトルク演算部402は、操舵トルクTの情報を信号としてモータ制御部91に出力する(ステップST42)。モータ制御部91は、操舵トルクTの情報と車速SVと動作情報SYとに基づいて補助操舵指令値を算出する。そして、モータ制御部91は、その算出された補助操舵指令値に基づいてモータ93へ供給する電力値SXを調節する。その結果、電動パワーステアリング装置80は、操作者へ与える違和感の少ない補助操舵トルクを出力することができる。
次に、図13及び図14を参照して、異常検出部106が第1磁気センサ16、及び第2磁気センサ18の異常を検出する方法について説明する。図13は、実施形態1に係る異常検出部が回転角度センサの異常を検出する手順を示すフローチャートである。図14は、実施形態1に係る異常検出部が第1磁気センサ及び第2磁気センサの異常を検出する方法を説明するための説明図である。
図13に示すように、まず、異常検出部106は、比較ステップST51を実行する。比較ステップST51において、異常検出部106は、第1角度θie1と第2角度θie2とを比較して、第1磁気センサ16、及び第2磁気センサ18の異常を検出する。具体的には、図14に示すように、異常検出部106は、第1角度θie1と第2角度θie2との差が予め定められた閾値Thを超えた場合に、第1磁気センサ16及び第2磁気センサ18のうち少なくとも1つが異常であることを検出する。図14に示すt1は、第1角度θie1と第2角度θie2との差が閾値Thを超えた時刻を示す。
次に、異常検出部106は、回転角度センサ10が異常であるか否かを判定する(ステップST52)。具体的には、異常検出部106は、第1角度θie1と第2角度θie2との差が閾値Th以下である場合(ST52、Yes)に、回転角度センサ10が異常ではないと判定する。
ステップST52で異常検出部106が回転角度センサ10に異常があると判定した場合(ステップST52、No)、異常検出部106は、継続運転不可判定を行う(ステップST53)。具体的には、異常検出部106は、運転継続不可判定信号をモータ制御部91に出力する。モータ制御部91は、運転継続不可判定信号が入力された場合に、運転者へアラートを表示する。これによれば、第1磁気センサ16及び第2磁気センサ18が故障した場合に、運転者に故障を知らせることができる。また、モータ制御部91は、運転継続不可判定信号が入力された場合に、モータ93への電力の供給を停止する。これによれば、第1磁気センサ16及び第2磁気センサ18のうち少なくとも一方が故障した場合に、モータ制御部91が誤った電力値SXを出力することを防ぐことができる。
異常検出部206は、異常検出部106と同様に、第3角度θoe1と第4角度θoe2とを比較して、第3磁気センサ26、及び第4磁気センサ28の異常を検出する。このため、異常検出部206の詳細な説明は、省略する。
なお、角度補正部104、異常検出部106、206、角度補正部204、差分演算部302、及びトルク演算部402は、ECU90に含まれる構成としたが、ECU90の外部に配置される構成としてもよい。
(実施形態2)
図15は、実施形態2に係るトルクセンサの機能ブロックを示す模式図である。図16及び図17は、実施形態2に係る回転角度センサを模式的に示す平面図である。なお、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図15及び図16に示すように、実施形態2の回転角度センサ10は、第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、及び第5磁気センサ17を備えている。基準回転軸Ax0から検出基準位置16Pまでの半径は、Ri1である。基準回転軸Ax0から検出基準位置18Pまでの半径は、Ri2である。基準回転軸Ax0から検出基準位置17Pまでの半径は、Ri3である。図16に示すように、第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、及び第5磁気センサ17は、検出基準位置16P、検出基準位置17P、検出基準位置18Pが第1円C1上に位置する。このため、半径Ri1、半径Ri2及び半径Ri3は、半径Rの大きさである。
第1磁気センサ16と第5磁気センサ17との配置において、基準回転軸Ax0と検出基準位置16Pとを結ぶ線分と、基準回転軸Ax0と検出基準位置17Pとを結ぶ線分とが成す角は、角度φ1’となっている。角度φ1’は、角度φ1とは異なる角度である。
実施形態2において、図15に示す異常検出部106は、第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、及び第5磁気センサ17に接続されている。第5磁気センサ17は、角度補正部104及び異常検出部106へ、第5角度θie3の信号を出力する。第5角度θie3は、電気角度である。また、第5磁気センサ17は、角度補正部104へ、検出した磁束密度Bim3の信号を出力する。磁極数mと第5角度θie3に基づき、角度補正部104は機械角の第2角度θi3を算出する。なお、第2磁気センサ18において電気角を機械角に変換し、角度補正部104へ機械角の第2角度θi3を出力してもよい。
異常検出部106は、第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、及び第5磁気センサ17のうちいずれの磁気センサが異常であるかを検出する。具体的には、異常検出部106は、第1磁気センサ16が出力する第1電気角θie1、第2磁気センサ18が出力する第2電気角θie2、及び第5磁気センサ17が出力する第5電気角θie3から電気角の差分値を算出してもよい。そして、該差分値が予め定められた閾値を超えているか否かを判定することでいずれの磁気センサが異常であるかを検出する構成とする。
例えば、異常検出部106によって、第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、及び第5磁気センサ17に異常が検出されなかった場合、図15に示す角度補正部104は、記憶部102に記憶された式(19)、式(20)、式(23)、式(24)の連立方程式を解くことで、式(27)又は式(28)で求まる第1補正角度θisを算出する。第1基準角度θ1、第2基準角度θ2、定数Ki、半径Ri1、半径Ri2及び磁束密度Bio1及び磁束密度Bio2は、記憶部102に予め記憶されている。
異常検出部106によって第2磁気センサ18に異常が検出された場合、角度補正部104は、異常検出部106によって異常が検出されなかった第1磁気センサ16の出力と、異常検出部106によって異常が検出されなかった第5磁気センサ17の出力とに基づいて、第1補正角度θisを算出する。入力軸82a又は第1多極磁石12が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第5磁気センサ17と第1多極磁石12との間は、第2基準距離量g3離れている。この場合、第5磁気センサ17は、磁束密度Bio3を検出する。第2基準距離量g3と、磁束密度Bio3とは、下記式(43)の関係にある。
第5磁気センサ17と第1多極磁石12との距離変位Δg2は、式(44)で求めることができる。
第2基準角度θ2’は、図16に示すように、第1基準角度θ1と角度φ1’を加算した角度である。第1基準角度θ1、第2基準角度θ2’、定数Ki、半径Ri1、半径Ri2、半径Ri3及び磁束密度Bio3は、記憶部102に予め記憶されている。
上記式(44)において求めたΔg2は、変位Xi、角度Yi、及び角度θ2’を用いて、下記式(45)で表すことができる。
式(19)及び式(44)より、磁束密度Bim1の情報と、磁束密度Bim3の情報とが取得できれば、上記式(23)にΔg1を与え、上記式(45)にΔg2を与え、変数α及び変数βを求めることができる。変数α及び変数βを上記式(25)に与えると、角度Yiが求まる。変数α及び変数βを上記式(26)に与えると、変位Xiが求まる。
角度補正部104は、下記式(46)に、上記式(25)及び上記式(26)に基づいた変位Xi及び角度Yiを与え、第1補正角度θisを算出する。その結果、角度補正部104は、入力軸82a又は第1多極磁石12の基準回転軸Ax0に対しての相対的な第1の変位Xiによる誤差が補正された第1多極磁石12の第1補正角度θisを算出することができる。
これによれば、回転角度センサ10の磁気センサを冗長化させることができる。その結果、第1角度検出部100は、第2磁気センサ18が故障した場合でも、機能継続することができる。
図17に示すように、実施形態2の回転角度センサ20は、第3磁気センサ26、第4磁気センサ28、及び第6磁気センサ27を備えている。基準回転軸Ax0から検出基準位置26Pまでの半径は、Ro1である。基準回転軸Ax0から検出基準位置28Pまでの半径は、Ro2である。基準回転軸Ax0から検出基準位置27Pまでの半径は、Ro3である。図17に示すように、第3磁気センサ26、第4磁気センサ28、及び第6磁気センサ27は、検出基準位置26P、検出基準位置27P、検出基準位置28Pが第2円C2上に位置する。このため、半径Ro1、半径Ro2及び半径Ro3は、半径Rの大きさである。なお、図17に示す直線L00は、基準回転軸Ax0から第2多極磁石22の回転の基準方向へ引いた直線である。
基準回転軸Ax0と検出基準位置26Pとを結ぶ線分と、基準回転軸Ax0と検出基準位置28Pとを結ぶ線分とが成す角は、角度φ2となっている。基準回転軸Ax0と検出基準位置26Pとを結ぶ線分と、基準回転軸Ax0と検出基準位置27Pとを結ぶ線分とが成す角は、角度φ2’となっている。角度φ2’は、角度φ2とは異なる角度である。
実施形態2において、図15に示す異常検出部206は、第3磁気センサ26、第4磁気センサ28、及び第6磁気センサ27に接続されている。第6磁気センサ27は、角度補正部204及び異常検出部206へ、第4角度θoe3の信号を出力する。第4角度θoe3は、電気角度である。また、第6磁気センサ27は、角度補正部204へ、検出した磁束密度Bom3の信号を出力する。
異常検出部206は、第3磁気センサ26、第4磁気センサ28、及び第6磁気センサ27のうちいずれの磁気センサが異常であるかを検出する。具体的には、異常検出部206は、第3磁気センサ26が出力する第3電気角θoe1、第4磁気センサ28が出力する第4電気角θoe2、第6磁気センサ27が出力する第6電気角θoe3から電気角の差分値を算出してもよい。そして、該差分値が予め定められた閾値を超えているか否かを判定することでいずれの磁気センサが異常であるかを検出する構成とする。
例えば、異常検出部206によって、第3磁気センサ26、第4磁気センサ28、及び第6磁気センサ27に異常が検出されなかった場合、図15に示す角度補正部204は、記憶部102に記憶された式(33)、式(34)、及び式(37)から式(40)の連立方程式を解くことで、式(41)又は式(42)で求まる第2補正角度θosを算出する。第3基準角度θ3、第4基準角度θ4、定数Ko、半径Ro1、半径Ro2、磁束密度Bio11及び磁束密度Bio12は、記憶部102に予め記憶されている。図示は省略するが、図11に示す第1変位Xiの代わりに、基準回転軸Ax0に対しての相対的な第2変位がXoとされ、角度Yiの代わりに、第2変位Xoの方向と基準回転軸Ax0から第2多極磁石22の回転中心へ引いた直線とが成す角度がYoとされる。
異常検出部206によって第4磁気センサ28に異常が検出された場合、角度補正部204は、異常検出部206によって異常が検出されなかった第3磁気センサ26の出力と、異常検出部206によって異常が検出されなかった第6磁気センサ27の出力とに基づいて、第2補正角度θosを算出する。出力軸82b又は第2多極磁石22が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第6磁気センサ27と第2多極磁石22との間の距離量gom13が第2基準距離量g13だけ離れている。この場合、第6磁気センサ27は、磁束密度Bio13を検出する。第2基準距離量g13と、磁束密度Bio13とは、下記式(47)の関係にある。
第6磁気センサ27と第2多極磁石22との距離変位Δg12は、式(48)で求めることができる。
第4基準角度θ4’は、図17に示すように、第3基準角度θ3と角度φ2’を加算した角度である。第4基準角度θ3、第3基準角度θ4’、定数Ki、半径Ro1、半径Ro2、半径Ri011及び磁束密度Bio13は、記憶部102に予め記憶されている。
上記式(48)において求めたΔg12は、変位Xo、角度Yo、及び角度θ4’を用いて、下記式(49)で表すことができる。
式(33)及び式(48)より、磁束密度Bom1の情報と、磁束密度Bom3の情報とが取得できれば、上記式(37)にΔg11を与え、上記式(49)にΔg12を与え、変数γ及び変数δを求めることができる。変数γ及び変数δを上記式(39)に与えると、角度Yoが求まる。変数γ及び変数δを上記式(40)に与えると、変位Xoが求まる。
角度補正部204は、下記式(50)に、上記式(39)及び上記式(40)に基づいた変位Xo及び角度Yoを与え、第2補正角度θosを算出する。その結果、角度補正部204は、出力軸82b又は第2多極磁石22の基準回転軸Ax0に対しての相対的な第2の変位Xoによる誤差が補正された第2多極磁石22の第2補正角度θosを算出することができる。
これによれば、回転角度センサ20の磁気センサを冗長化させることができる。その結果、第2角度検出部200は、第4磁気センサ28が故障した場合でも、機能継続することができる。また、回転角度センサ20において、第3磁気センサ26、第4磁気センサ28、及び第6磁気センサ27のうち1つが故障した場合でも、電動パワーステアリング装置80は、運転者の操舵をアシストすることができる。
(実施形態2の変形例1)
図18は、実施形態2の変形例1に係る入力軸の回転角度を出力する回転角度センサを模式的に示す平面図である。実施形態2の変形例1に係る回転角度センサ10において、基準回転軸Ax0に対する第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、及び第5磁気センサ17の位置が、上述した実施形態2とは異なる。なお、上述した実施形態2で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図18に示すように、第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、及び第5磁気センサ17は、検出基準位置16P、検出基準位置17P、検出基準位置18Pが直線PL1上に等間隔に並ぶように、基板14に配置されている。検出基準位置16Pと、検出基準位置17Pとの間は、距離W1であり、検出基準位置17Pと、検出基準位置18Pとの間は、距離W1である。基準回転軸Ax0から検出基準位置16Pまでの半径は、Ri1である。基準回転軸Ax0から検出基準位置18Pまでの半径は、Ri2である。基準回転軸Ax0から検出基準位置17Pまでの半径は、Ri3である。
図18に示す回転角度センサ10において、検出基準位置16Pと検出基準位置18Pとが基準回転軸Ax0と検出基準位置17Pとを結ぶ線に対して、線対称の位置にある。直線PL1と、基準回転軸Ax0と検出基準位置17Pとを結ぶ線とがなす角は直角である。このため、半径Ri1と半径Ri2とは大きさが同じであり、半径Ri1と半径Ri3とは大きさが異なる。
図19は、実施形態2の変形例1に係るトルクセンサの入力軸が変位した場合の回転角度センサを模式的に示す平面図である。図19に示す回転軸Ax1は、例えば、車両101の振動等により、入力軸82aの位置が変位した場合の入力軸82aの回転軸である。
第1変位Xiが生じており、異常検出部106によって第2磁気センサ18に異常が検出された場合、角度補正部104は、異常検出部106によって異常が検出されなかった第1磁気センサ16の出力と、異常検出部106によって異常が検出されなかった第5磁気センサ17の出力とに基づいて、第1補正角度θisを算出する。ここで、記憶部102には、第1基準角度θ1、第2基準角度θ2、第2基準角度θ2’、半径Ri1、半径Ri2、及び半径Ri3が予め記憶されている。
図20は、実施形態2の変形例1に係る出力軸の回転角度を出力する回転角度センサを模式的に示す平面図である。図21は、実施形態2の変形例1に係るトルクセンサの出力軸が変位した場合の回転角度センサを模式的に示す平面図である。図20に示すように、実施形態2の変形例1の回転角度センサ20は、第3磁気センサ26、第4磁気センサ28、及び第6磁気センサ27を備えている。図20に示すように、第3磁気センサ26、第4磁気センサ28、及び第6磁気センサ27は、検出基準位置26P、検出基準位置27P、検出基準位置28Pが直線PL2上に等間隔に並ぶように、基板24に配置されている。検出基準位置26Pと、検出基準位置27Pとの間は、距離W1であり、検出基準位置27Pと、検出基準位置28Pとの間は、距離W1である。基準回転軸Ax0から検出基準位置26Pまでの半径は、Ro1である。基準回転軸Ax0から検出基準位置28Pまでの半径は、Ro2である。基準回転軸Ax0から検出基準位置27Pまでの半径は、Ro3である。半径Ro1と半径Ro2とは大きさが同じであり、半径Ro1と半径Ro3とは大きさが異なる。図21に示す回転軸Ax1は、例えば、車両101の振動等により、出力軸82bの位置が変位した場合の出力軸82bの回転軸である。図21に示すように、基準回転軸Ax0に対しての相対的な第2変位がXoとされ、角度Yiの代わりに、第2変位Xoの方向と基準回転軸Ax0から第2多極磁石22の回転中心へ引いた直線とが成す角度がYoとされる。
第2変位Xoが生じており、異常検出部206によって第4磁気センサ28に異常が検出された場合、角度補正部204は、異常検出部206によって異常が検出されなかった第3磁気センサ26の出力と、異常検出部206によって異常が検出されなかった第6磁気センサ27の出力とに基づいて、第2補正角度θosを算出する。ここで、記憶部102には、第3基準角度θ3、第4基準角度θ4、第4基準角度θ4’、半径Ro1、半径Ro2、及び半径Ro3が予め記憶されている。
この構造により、半径Ri1が半径Ri3と異なるが、実施形態2の変形例1の回転角度センサ10は、第1補正角度θisを算出することができる。同様に、半径Ro1が半径Ro3と異なるが、実施形態2の変形例1の回転角度センサ20は、第2補正角度θosを算出することができる。
第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、及び第5磁気センサ17は、入力軸82aの軸方向にみて、直線PL1上に等間隔に並ぶ。これにより、基板14の形状の自由度が向上する。例えば、実施形態2のように、第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、及び第5磁気センサ17は、基準回転軸Ax0から等距離である必要はないので、基板14に曲線状の切り欠きを設ける必要はない。基板14を矩形とすることで、基板14の製造効率が向上する。また、基準回転軸Ax0と第1磁気センサ16の検出基準位置16Pの位置及び直線PL1と、基準回転軸Ax0と検出基準位置16Pとを結ぶ線とがなす角を規定するだけで、第1多極磁石12に対する、回転角度センサ10の組付け精度が向上する。
第3磁気センサ26、第4磁気センサ28、及び第6磁気センサ27は、出力軸82bの軸方向にみて、直線PL2上に等間隔に並ぶ。これにより、基板24の形状の自由度が向上する。例えば、実施形態2のように、第3磁気センサ26、第4磁気センサ28、及び第6磁気センサ27は、基準回転軸Ax0から等距離である必要はないので、基板24に曲線状の切り欠きを設ける必要はない。基板24を矩形とすることで、基板24の製造効率が向上する。また、基準回転軸Ax0と第3磁気センサ26の検出基準位置26Pの位置及び直線PL2と、基準回転軸Ax0と検出基準位置26Pとを結ぶ線とがなす角を規定するだけで、第2多極磁石22に対する、回転角度センサ20の組付け精度が向上する。
(実施形態2の変形例2)
図22は、実施形態2の変形例2に係る回転角度センサを模式的に示す平面図である。図22に示すように、直線PL1と、基準回転軸Ax0と検出基準位置17Pとを結ぶ線とがなす角は直角でなくてもよい。また、回転角度センサ20は、回転角度センサ10の構成と同様の構造をとることができる。
この構造により、半径Ri1が半径Ri2と異なるが、実施形態2の変形例2の回転角度センサ10は、式(13)、式(14)、及び式(15)の連立方程式を解くことで第1補正角度θisを算出することができる。同様に、半径Ro1が半径Ro2と異なるが、実施形態2の変形例2の回転角度センサ20は、式(17)、式(18)、及び式(19)の連立方程式を解くことで第2補正角度θosを算出することができる。
(実施形態2の変形例3)
図23は、実施形態2の変形例3に係る回転角度センサを模式的に示す平面図である。
図23に示すように、第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、及び第5磁気センサ17は、入力軸82aの軸方向にみて、直線PL1上に並ぶ。そして、検出基準位置16Pと、検出基準位置17Pとの間は、距離W1であり、検出基準位置17Pと、検出基準位置18Pとの間は、距離W2である。距離W2は、距離W1よりも大きい。このため、第1磁気センサ16と第2磁気センサ18との距離は、第2磁気センサ18と第5磁気センサ17との距離とは異なる。この構造によれば、半径Ri1、半径Ri2及び半径Ri3が、それぞれ異なる大きさである。また、回転角度センサ20は、回転角度センサ10の構成と同様の構造をとることができる。
以上説明したように、半径Ri1が半径Ri2と異なるが、実施形態2の変形例3の回転角度センサ10は、式(13)、式(14)、及び式(15)の連立方程式を解くことで第1補正角度θisを算出することができる。同様に、半径Ro1が半径Ro2と異なるが、実施形態2の変形例3の回転角度センサ20は、式(17)、式(18)、及び式(19)の連立方程式を解くことで第2補正角度θosを算出することができる。
(実施形態3)
図24は、実施形態3に係るトルクセンサの機能ブロックを示す模式図である。図25は、実施形態3に係るトルクセンサが操舵トルクを算出する手順を示すフローチャートである。図26は、実施形態3に係る第1磁気センサの距離に応じた第1相関値を説明するための説明図である。図27は、実施形態3に係る第2磁気センサの距離に応じた第2相関値を説明するための説明図である。図28は、実施形態3に係る第1磁気センサ又は第2磁気センサの出力特性を説明するための説明図である。なお、上述した実施形態1及び実施形態3で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図24に示すように、実施形態3に係る第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、第3磁気センサ26、及び第4磁気センサ28は、第1距離相関値Pim1、第2距離相関値Pim2、第3距離相関値Pom1、及び第4距離相関値Pom2を出力する。
図25に示すように、角度補正部104は、第1角度θie1、第2角度θie2、第1距離相関値Pim1、及び第2距離相関値Pim2を取得する(ステップST111)。
ここで、図26に示すように、sin電圧波K1sinθie1と、cos電圧波K2cosθie1とが第1磁気センサ16の内部において検出される。sin電圧波K1sinθie1と、cos電圧波K2cosθie1とに基づいて、第1磁気センサ16は、第1角度θie1の電気角が出力できる。また、図27に示すように、sin電圧波K1sinθie2と、cos電圧波K2cosθie2とが第2磁気センサ18において検出される。sin電圧波K1sinθie2と、cos電圧波K2cosθie2とに基づいて、第2磁気センサ18は、第2角度θie2の電気角が出力できる。実施形態3においては、第1磁気センサ16及び第2磁気センサ18は、ホール素子である。このため、図28に示すように、磁束密度の変化に対して、変化率が飽和する飽和点Cに達する前の比例領域Qにおいて、第1磁気センサ16及び第2磁気センサ18が用いられていれば、ホール出力電圧と磁束密度とは比例関係にある。
第1距離相関値Pim1は、sin電圧波K1sinθie1と、cos電圧波K2cosθie1とによる電圧振幅の強度と定義すると、下記式(51)で表すことができる。なお、定数K1は、0以外の所定の定数である。また、定数K2は、0以外の所定の定数である。定数K1は、定数K2と同じでもよく、異なっていてもよい。
同様に、第2距離相関値Pim2は、sin電圧波K1sinθie2と、cos電圧波K2cosθie2とによる電圧振幅の強度と定義すると、下記式(52)で表すことができる。
図5に示すように、入力軸82a又は第1多極磁石12が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第1磁気センサ16と第1多極磁石12との間は、第1基準距離量g1離れている。sinθio1及びcosθio1は、第1磁気センサ16と第1多極磁石12との間の距離量gim1が第1基準距離量g1の場合において、第1磁気センサ16が検出した電気角の関数である。この場合の第1距離相関値Pim1を、第1距離相関値Pio1とすると、第1距離相関値Pio1は、下記式(53)の関係にある。
同様に、入力軸82a又は第1多極磁石12が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第2磁気センサ18と第1多極磁石12との間は、第2基準距離量g2離れている。sinθio2及びcosθio2は、第2磁気センサ18と第1多極磁石12との間の距離量gim2が第2基準距離量g2の場合において、第2磁気センサ18が検出した電気角の関数である。この場合の第2距離相関値Pim2を、第2距離相関値Pio2とすると、第2距離相関値Pio2は、下記式(54)の関係にある。
第1距離相関値Pio1は、第1基準距離量g1の二乗に反比例するので、下記式(55)の関係にある。なお、定数Kiは、0以外の所定の定数である。
同様に、第2距離相関値Pio2と、第2基準距離量g2とは、下記式(56)の関係にある。
上記式(55)は、下記式(57)とすることができる。
上記式(56)は、下記式(58)とすることができる。
図9に示すように、入力軸82a又は第1多極磁石12の回転軸が基準回転軸Ax0から回転軸Ax1に変位した場合において、第1磁気センサ16が検出する第1距離相関値Pio1が第1距離相関値Pim1に変化する。このため、距離量gim1は、下記式(59)になる。
図9に示すように、入力軸82a又は第1多極磁石12の回転軸が基準回転軸Ax0から回転軸Ax1に変位した場合、第2磁気センサ18において、第2距離相関値Pio2が第2距離相関値Pim2に変化する。このため、距離量gim2は、下記式(60)になる。
第1磁気センサ16と第1多極磁石12との距離変位Δg1は、上記式(57)及び式(59)に基づいて、式(61)で求めることができる。
第2磁気センサ18と第1多極磁石12との距離変位Δg2は、上記式(58)及び式(60)に基づいて、式(62)で求めることができる。
ここで、上述した変位Xiと、角度Yiとで、変数α及び変数βを上記式(21)及び上記式(22)で定義する。
また、上述したΔg1は、変位Xi、角度Yi、及び角度θ1を用いて、上記式(23)で表すことができる。
同様に、上述したΔg2は、変位Xi、角度Yi、及び角度θ2を用いて、上記式(24)で表すことができる。
式(61)及び式(62)より、第1距離相関値Pim1の情報と、第2距離相関値Pim2の情報とが取得できれば、上記式(23)にΔg1を与え、上記式(24)にΔg2を与え、変数α及び変数βを求めることができる。変数α及び変数βを上記式(25)に与えると、角度Yiが求まる。
そして、変数α及び変数βを上記式(26)に与えると、変位Xiが求まる。
角度補正部104は、上述した式(9)及び式(11)に基づいた下記式(27)に、求められた変位Xi及び角度Yiを与え、第1補正角度θisを算出する。あるいは、角度補正部104は、上述した式(10)及び式(12)に基づいた下記式(28)に、求められた変位Xi及び角度Yiを与え、第1補正角度θisを算出する。その結果、図25に示すように、角度補正部104は、入力軸82a又は第1多極磁石12の基準回転軸Ax0に対しての相対的な第1の変位Xiによる誤差が補正された第1多極磁石12の第1補正角度θisを算出することができる(ステップST112)。
実施形態3において、第1距離相関値Pim1は、第1磁気センサ16が検出した電気角に基づいて求められ、かつ第1磁気センサ16と第1多極磁石12との間の距離量gim1に反比例する。また、第2距離相関値Pim2は、第2磁気センサ18が検出した電気角に基づいて求められ、かつ第2磁気センサ18と第1多極磁石12との間の距離量gim2に反比例する。
角度補正部104は、第1角度θie1、第2角度θie2、第1距離相関値Pim1、及び第2距離相関値Pim2に基づいて、第1補正角度θisを算出する。第1補正角度θisは、上述した誤差角度Z1及び誤差角度Z2の少なくとも1つによる角度誤差が補正された第1多極磁石12又は入力軸82aの回転角度である。より具体的には、第1補正角度θisは、上記式(61)に示す第1磁気センサ16と第1多極磁石12との距離変位Δg1と、上記式(62)に示す第2磁気センサ18と第1多極磁石12との距離変位Δg2とがそれぞれ0となるように算出されている。
これによれば、第1磁気センサ16が検出した電気角度と、第2磁気センサ18が検出した電気角度に基づいて演算し、第1多極磁石12の第1補正角度θisの検出精度を高めることができる。
図25に示すように、図24に示す角度補正部204は、第3角度θoe1、第4角度θoe2、第3距離相関値Pom1、及び第4距離相関値Pom2を取得する(ステップST121)。なお、第3角度θoe1、第4角度θoe2、第3距離相関値Pom1、及び第4距離相関値Pom2は、上述した第1角度θie1、第2角度θie2、第1距離相関値Pim1、及び第2距離相関値Pim2に対応し、第1角度θie1、第2角度θie2、第1距離相関値Pim1、及び第2距離相関値Pim2と同様に算出できるので説明を省略する。
次に、角度補正部204は、第3角度θoe1、第4角度θoe2、第3距離相関値Pom1、及び第4距離相関値Pom2に基づいて、第2補正角度θosを算出する(ステップST122)。なお、角度補正部204が第2補正角度θosを算出する方法は、角度補正部104が第1補正角度θisを算出する方法と同様であるので詳細な説明を省略する。以降の処理も、実施形態1と同じであるので、詳細な説明を省略する。
実施形態3において、第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、第3磁気センサ26又は第4磁気センサ28は、磁束の向きの変化を検出できるセンサであればよい。第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、第3磁気センサ26及び第4磁気センサ28は、例えば、スピンバルブセンサでもよい。スピンバルブセンサは、反強磁性層等で磁化の向きが固定された強磁性体のピン層と、強磁性体のフリー層とで非磁性層を挟んだ素子で、磁束の向きの変化を検出できるセンサである。スピンバルブセンサには、GMR(Giant Magneto Resistance)センサ、TMR(Tunnel Magneto Resistance)センサがある。
また、第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、第3磁気センサ26又は第4磁気センサ28は、磁束の向きを検出可能なリニアホールICでもよい。磁束の向きを検出可能なリニアホールICとは、例えば、リニアホールICの実装面に垂直な第1方向の磁束を検出可能な第1ホール素子及び第2ホール素子と、軟磁性体と、を備える。そして、軟磁性体は、リニアホールICが配置された位置を貫通する磁束を曲げる。具体的には、軟磁性体は、該磁束のうち、第1方向と直交する第2方向の磁束が第1ホール素子を貫通するように、該第2方向の磁束を第1方向に収束させる。これによれば、第1ホール素子のホール電圧は、第2方向の磁束の磁束密度に比例する。さらに、軟磁性体は、第1方向及び第2方向と直交する第3方向の磁束が第2ホール素子を貫通するように、該第3方向の磁束を第1方向に収束させる。これにより、第2ホール素子のホール電圧は、第3方向の磁束の磁束密度に比例する。このような構成により、該リニアホールICは、第1ホール素子及び第2ホール素子がそれぞれ出力するホール電圧の比に基づいて、リニアホールICが配置された位置を貫通する磁束の向きを検出することができる。
(実施形態3の変形例)
図29は、実施形態3の変形例に係る第1磁気センサを説明するための説明図である。図30は、実施形態3の変形例に係る第1磁気センサ又は第2磁気センサの出力特性を説明するための説明図である。なお、上述した実施形態1、実施形態2、及び実施形態3で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態3の変形例に係る第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、第3磁気センサ26又は第4磁気センサ28は、異方性磁気抵抗効果(AMR:Anisotropic Magneto Resistive)センサ(以下、AMRセンサという。)である。第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、第3磁気センサ26及び第4磁気センサ28は、磁束の向きの変化を検出できる。以下、第1磁気センサ16について説明するが、第2磁気センサ18、第3磁気センサ26又は第4磁気センサ28については、第1磁気センサ16と同様であるので、詳細な説明を省略する。
図29に示すように、第1磁気センサ16は、基準の磁界方向FHに対して、強磁性体に電流が流れる方向が交差するように配置している。図6に示すように、第1多極磁石12が回転すると、第1磁気センサ16の検出基準位置16Pに対して、磁力線12mの向きが変化する。このため、第1多極磁石12が回転すると、磁界の向きが変わり、強磁性体に電流が流れる方向との角度φHに応じて、図30に示す抵抗変化率ΔRが変化する。そこで、第1磁気センサ16は、磁界強度に対して、磁気抵抗変化率ΔRが直線的に変化する領域Q1、Q2で動作するように、ホイーストンブリッジ回路などで、内部回路が設定されている。これにより、第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、第3磁気センサ26又は第4磁気センサ28は、AMRセンサであっても、第1距離相関値Pim1、第2距離相関値Pim2、第3距離相関値Pom1、及び第2距離相関値Pom2を電圧振幅の関数として、出力できる。実施形態3の変形例においても、実施形態3と同様の作用効果を奏することができる。
(実施形態4)
図31は、実施形態4に係るトルクセンサの機能ブロックを示す模式図である。図32は、実施形態4に係るトルクセンサが操舵トルクを算出する手順を示すフローチャートである。図33は、実施形態4に係る第1磁気センサの距離に応じた第1相関値を説明するための説明図である。なお、上述した実施形態1、実施形態2、及び実施形態3で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図31に示すように、実施形態4に係る第1磁気センサ16、第2磁気センサ18、第3磁気センサ26、及び第4磁気センサ28は、第1距離相関値Gpim1、第2距離相関値Gpim2、第3距離相関値Gpom1、及び第4距離相関値Gpom2を出力する。
図32に示すように、角度補正部104は、第1角度θie1、第2角度θie2、第1距離相関値Gpim1、及び第2距離相関値Gpim2を取得する(ステップST2111)。
ここで、図33に示すように、磁束密度は、距離量の二乗に反比例する。図33において、部分的に、磁束密度の関数である第1距離相関値Gpim1又は第2距離相関値Gpim2が距離の量と比例関係と見做せる領域Q3がある。なお、実施形態4においては、第1磁気センサ16及び第2磁気センサ18は、ホール素子である。
第1距離相関値Gpim1は、下記式(63)で表すことができる。なお、定数kjは、所定の定数である。また、定数knは、所定の定数である。
同様に、第2距離相関値Gpim2は、下記式(64)で表すことができる。
図5に示すように、入力軸82a又は第1多極磁石12が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第1磁気センサ16と第1多極磁石12との間の距離量gim1が第1基準距離量g1だけ離れている。この場合の第1距離相関値Gpim1を、第1距離相関値Gpio1とすると、第1距離相関値Gpio1は、下記式(65)の関係にある。
同様に、入力軸82a又は第1多極磁石12が基準回転軸Ax0で誤差なく回転している場合において、第2磁気センサ18と第1多極磁石12との間の距離量gim1が第2基準距離量g2だけ離れている。この場合の第2距離相関値Gpim2を、第2距離相関値Gpio2とすると、第2距離相関値Gpio2は、下記式(66)の関係にある。
第1磁気センサ16と第1多極磁石12との距離変位Δg1は、上記式(63)及び式(65)に基づいて、式(67)で求めることができる。
第2磁気センサ18と第1多極磁石12との距離変位Δg2は、上記式(64)及び式(66)に基づいて、式(68)で求めることができる。
ここで、上述した変位Xiと、角度Yiとで、変数α及び変数βを上記式(21)及び上記式(22)で定義する。
また、上述したΔg1は、変位Xi、角度Yi、及び角度θ1を用いて、上記式(23)で表すことができる。そして、Δg1は、上記式(21)及び上記式(22)に基づいて、変数α、変数β、及び角度θ1を用いて表すこともできる。
同様に、上述したΔg2は、変位Xi、角度Yi、及び角度θ2を用いて、上記式(24)で表すことができる。そして、Δg2は、上記式(21)及び上記式(22)に基づいて、変数α、変数β、及び角度θ2を用いて表すこともできる。
式(63)及び式(64)より、第1距離相関値Gpim1の情報と、第2距離相関値Gpim2の情報とが取得できれば、上記式(23)にΔg1を与え、上記式(24)にΔg2を与え、変数α及び変数βを求めることができる。変数α及び変数βを上記式(25)に与えると、角度Yiが求まる。
そして、変数α及び変数βを上記式(26)に与えると、変位Xiが求まる。
角度補正部104は、上述した式(9)及び式(11)に基づいた下記式(27)に、求められた変位Xi及び角度Yiを与え、第1補正角度θisを算出する。あるいは、角度補正部104は、上述した式(10)及び式(12)に基づいた下記式(28)に、求められた変位Xi及び角度Yiを与え、第1補正角度θisを算出する。その結果、角度補正部104は、入力軸82a又は第1多極磁石12の基準回転軸Ax0に対しての相対的な第1の変位Xiによる誤差が補正された第1多極磁石12の第1補正角度θisを算出することができる(ステップST212)。
実施形態4において、第1距離相関値Gpim1は、第1磁気センサ16が検出した磁束密度に基づいて求められ、かつ第1磁気センサ16と第1多極磁石12との間の距離量gim1に比例する。また、第2距離相関値Gpim2は、第2磁気センサ18が検出した磁束密度に基づいて求められ、かつ第2磁気センサ18と第1多極磁石12との間の距離量gim2に比例する。
角度補正部104は、第1角度θie1、第2角度θie2、第1距離相関値Gpim1、及び第2距離相関値Gpim2に基づいて、第1補正角度θisを算出する。第1補正角度θisは、上述した誤差角度Z1及び誤差角度Z2の少なくとも1つによる角度誤差が補正された第1多極磁石12又は入力軸82aの回転角度である。より具体的には、第1補正角度θisは、上記式(67)に示す第1磁気センサ16と第1多極磁石12との距離変位Δg1と、上記式(68)に示す第2磁気センサ18と第1多極磁石12との距離変位Δg2とがそれぞれ0となるように算出されている。
これによれば、第1磁気センサ16が検出した磁束密度と、第2磁気センサ18が検出した磁束密度に基づいて演算し、第1多極磁石12の第1補正角度θisの検出精度を高めることができる。
図32に示すように、図31に示す角度補正部204は、第3角度θoe1、第4角度θoe2、第3距離相関値Gpom1、及び第4距離相関値Gpom2を取得する(ステップST221)。なお、第3角度θoe1、第4角度θoe2、第3距離相関値Gpom1、及び第4距離相関値Gpom2は、上述した第1角度θie1、第2角度θie2、第1距離相関値Gpim1、及び第2距離相関値Gpim2に対応し、第1角度θie1、第2角度θie2、第1距離相関値Gpim1、及び第2距離相関値Gpim2と同様に算出できるので説明を省略する。
次に、角度補正部204は、第3角度θoe1、第4角度θoe2、第3距離相関値Gpom1、及び第4距離相関値Gpom2に基づいて、第2補正角度θosを算出する(ステップST222)。なお、角度補正部204が第2補正角度θosを算出する方法は、角度補正部104が第1補正角度θisを算出する方法と同様であるので詳細な説明を省略する。以降の処理も、実施形態1と同じであるので、詳細な説明を省略する。
(実施形態4の変形例)
図34は、実施形態4の変形例に係る第1磁気センサの距離に応じた第1相関値を説明するための説明図である。なお、上述した実施形態1、実施形態2、実施形態3、及び実施形態4で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態3において説明したように、図34に示す電圧振幅の強度は、距離量の二乗に反比例する。図34において、部分的に、電圧振幅の強度の関数である第1距離相関値Gpim1又は第2距離相関値Gpim2が距離の量と比例関係と見做せる領域Q3がある。なお、実施形態4の変形例においては、第1磁気センサ16及び第2磁気センサ18は、ホール素子又はAMRセンサである。
実施形態4の変形例に係る第1距離相関値Gpim1は、実施形態3又は実施形態3の変形例の第1距離相関値Pim1と同様に求める。実施形態4の変形例に係る第2距離相関値Gpim2は、実施形態3又は実施形態3の変形例の第2距離相関値Pim2と同様に求める。
実施形態4の変形例に係る第1距離相関値Gpim1、及び第2距離相関値Gpim2が求まれば、実施形態4と同様に処理することができる。
実施形態4の変形例において、第1距離相関値Gpim1は、第1磁気センサ16が検出した電気角度に基づいて求められ、かつ第1磁気センサ16と第1多極磁石12との間の距離量gim1に比例する。また、第2距離相関値Gpim2は、第2磁気センサ18が検出した電気角度に基づいて求められ、かつ第2磁気センサ18と第1多極磁石12との間の距離量gim2に比例する。
角度補正部104は、第1角度θie1、第2角度θie2、第1距離相関値Gpim1、及び第2距離相関値Gpim2に基づいて、第1補正角度θisを算出する。第1補正角度θisは、上述した誤差角度Z1及び誤差角度Z2の少なくとも1つによる角度誤差が補正された第1多極磁石12又は入力軸82aの回転角度である。より具体的には、第1補正角度θisは、上記式(67)に示す第1磁気センサ16と第1多極磁石12との距離変位Δg1と、上記式(68)に示す第2磁気センサ18と第1多極磁石12との距離変位Δg2とがそれぞれ0となるように算出されている。
これによれば、第1磁気センサ16が検出した電気角度と、第2磁気センサ18が検出した電気角度に基づいて演算し、第1多極磁石12の第1補正角度θisの検出精度を高めることができる。
(実施形態5)
図35は、実施形態5に係るトルクセンサを模式的に示す斜視図である。図36は、実施形態5に係るアングル磁気センサと磁石との位置関係を説明するための平面図である。図37は、実施形態5に係るトルクセンサの機能ブロックを示す模式図である。図35から図37に示すように、実施形態5に係るトルクセンサ400aは、第1ギヤ30a、第2ギヤ32a、磁石34a、及びアングル磁気センサ36aを備え、相対角度検出部300に代えて相対角度検出部300aを備える点で、上述したトルクセンサ400とは異なる。なお、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図35に示すように、第1ギヤ30aは、入力軸82aに取り付けられている。第1ギヤ30aは、入力軸82aと同期して回転する。図36に示すように、第2ギヤ32aは、回転軸Ax2を回転軸として回転可能に固定されている。第2ギヤ32aは、例えば、車体に固定されている。第2ギヤ32aは、第1ギヤ30aと噛み合うように配置されている。第2ギヤ32aは、第1ギヤ30aと連動して回転する。第2ギヤ32aに対する第1ギヤ30aのギヤ比は、例えば、3である。つまり、第1ギヤ30aが1回転した場合に、第2ギヤ32aは、3回転する。
図35及び図36に示すように、磁石34aは、円柱形状の永久磁石である。磁石34aは、磁石34aの径方向に着磁されている。磁石34aは、第2ギヤ32aの内側に配置されている。磁石34aは、回転軸Ax2を回転軸として第2ギヤ32aと同期して回転する。磁石34aには、必要な磁束密度に応じて、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石等が用いられる。なお、磁石34aの着磁パターンは、アングル磁気センサ36aが磁石34aの回転を検出できるパターンであればよい。
図37に示すように、相対角度検出部300aは、第1角度検出部100に代えてθan演算部38a及び第1角度検出部100aを備える点で、相対角度検出部300と異なる。図35及び図36に示すように、アングル磁気センサ36aは、回転軸Ax2上に配置されている。アングル磁気センサ36aは、磁石34aの上面に対向して配置されている。アングル磁気センサ36aは、例えば、車体に固定されている。図37に示すように、アングル磁気センサ36aは、磁石34aが1回転する毎に、1周期の正弦波信号sinθan及び1周期の余弦波信号cosθanをθan演算部38aに出力する。アングル磁気センサ36aは、例えば、スピンバルブセンサである。スピンバルブセンサは、反強磁性層等で磁化の向きが固定された強磁性体のピン層と、強磁性体のフリー層とで非磁性層を挟んだ素子で、磁束の向きの変化を検出できるセンサである。スピンバルブセンサには、GMR(Giant Magneto Resistance)センサ、TMR(Tunnel Magneto Resistance)センサがある。なお、アングル磁気センサ36aは、磁石34aの回転を検出可能なセンサであればよい。アングル磁気センサ36aは、例えば、AMRセンサ、及びホールセンサでもよい。
図37に示すように、θan演算部38aは、アングル磁気センサ検出角度θanを、記憶部102に記憶された下記式(69)によって算出する。θan演算部38aは、算出したアングル磁気センサ検出角度θanを第1角度検出部100aに出力する。
第1角度検出部100aは、入力軸側の角度補正部104に代えて入力軸側の角度補正部104aを備える点で第1角度検出部100と異なる。角度補正部104aは、第1角度θie1とアングル磁気センサ検出角度θanとに基づいて、入力軸82aの回転数を算出すること以外は、角度補正部104と同様である。
図38は、実施形態5に係る第1角度及びアングル磁気センサ検出角度と第1多極磁石の磁極との関係を示す説明図である。図38の横軸に示す入力軸機械角は、入力軸82aの機械角(回転角度)を示す。図38の上段に示す電気角は、第1角度θie1を示す。図38の下段に示す電気角は、アングル磁気センサ検出角度θanを示す。なお。図38は、便宜上第1多極磁石12の磁極数mを8として記載している。図38を参照して、第1多極磁石12の磁極数mが8である場合に、角度補正部104aが入力軸82aの回転数である回転数Nを算出する方法の一例について説明する。磁石34aは、第2ギヤ32aに対する第1ギヤ30aのギヤ比が3であることから、入力軸82aが360度回転した場合に1080度回転する。アングル磁気センサ36aは、磁石34aが360度回転した場合に1周期の信号を出力する。したがって、図38に示すように、アングル磁気センサ検出角度θanは、入力軸82aの機械角で120度の周期を有する。第1角度θie1は、第1磁気センサ16の対向位置にある磁極が1磁極対分変化する毎に1周期の信号を出力する。したがって、図38に示すように、第1角度θie1は、入力軸82aの機械角で90度の周期を有する。以上より、アングル磁気センサ検出角度θanと第1角度θie1とは、入力軸82aの機械角で、360度毎に位相(電気角)が一致する。すなわち、アングル磁気センサ検出角度θanと第1角度θie1とは、入力軸82aが1回転する毎に位相が一致する。角度補正部104aは、アングル磁気センサ検出角度θanと第1角度θie1との位相が一致した場合に、第1多極磁石12の回転方向に応じて記憶部102に記憶された回転数Nに1を加算、又は減算する。これによれば、第1角度検出部100aは、入力軸82aが1回転を超えて回転した場合でも、角度補正部104aが入力軸82aの回転数をカウント(多回転検知)することができる。
なお、実施形態5に係るトルクセンサ400aは、アングル磁気センサ検出角度θanと、第1角度θie1及び第2角度θie2のうちいずれか1つとのバーニア演算により、第1多極磁石12の回転角度を算出してもよい。この場合、アングル磁気センサ検出角度θanの周期と、第1角度θie1の周期及び第2角度θie2の周期とが異なる値となるように、適宜磁極数m及び第1ギヤ30aに対する第2ギヤ32aのギヤ比を選択すればよい。第1ギヤ30aに対する第2ギヤ32aのギヤ比は、例えば、2を磁極数mで除した値と異なっていればよい。これによれば、アングル磁気センサ検出角度θanの周期と第1角度θie1の周期及び第2角度θie2の周期とを異なった値にすることができる。その結果、バーニア演算により、第1多極磁石12の回転角度を検出することができる。また、アングル磁気センサ検出角度θanと、第1角度θie1及び第2角度θie2のうちいずれか1つとのバーニア演算により、第1多極磁石12の多回転の絶対角を算出してもよい。多回転の絶対角で算出するとは、入力軸82a(第1多極磁石12)の360度以下の回転角度、又は入力軸82a(第1多極磁石12)の360度を超える回転角度を絶対角で算出することである。