JP2018197719A - レーダ装置及びそのレーダ信号処理方法 - Google Patents

レーダ装置及びそのレーダ信号処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】LPI性を確保しつつ目標の速度及び距離を観測する。【解決手段】実施形態のレーダ装置は、観測時間軸をビート期間とレンジング期間に分割し、前記ビート期間で、送信信号をスイープし、さらにMcw(Mcw≧1)チップをMcwall回繰り返す信号により符号化変調した送信パルス列を送信し、目標からの反射信号をスイープしたローカル信号で受信し、そのビート周波数を観測し、前記レンジング期間で、前記送信信号をMr(Mr≧2)チップにより変調した送信パルス列を送信し、前記目標からの反射信号をスイープしたロ−カル信号で受信してビート期間に観測したビート周波数により補正することで参照信号を求め、この参照信号により受信信号をレンジ圧縮して距離を算出出力し、必要に応じて前記距離と前記ビート周波数より速度を算出出力する。【選択図】図1

Description

本実施形態は、レーダ装置及びそのレーダ信号処理方法に関する。
レーダ装置には、被探知性を低下させるLPI(Low Probability of Intercept)技術として、符号化(ランダム信号(ノイズ)を含む)による変調パルスを用い、パルス毎に参照信号を用いてレンジ圧縮する方式がある(特許文献1、非特許文献1参照)。この方式において、LPI性を高めるために、送信信号に周波数をスイープした信号を用いることが提案されている。しかしながら、送信信号の周波数をスイープさせると、目標の距離と速度によるビート周波数が発生してしまう。このビート信号成分を補正しないと、レンジ圧縮が正しく行われず、圧縮ロスが発生してしまう。これを防ぐためには、距離と速度の探索法による参照信号の補正が必要であり、処理規模が増大する問題があった。
特願2013-056796号公報
符号化レーダ、吉田、‘改訂レーダ技術’、電子情報通信学会、pp.278-280(1996) 符号コード(M系列)発生方式、M.I.Skolnik, Introduction to radar systems, pp.429-430, McGRAW-HILL(1980) BPSK、QPSK、西村、ディジタル信号処理による通信システム設計、CQ出版社、pp.222-226(2006) SS(Spread Spectrum)変調、丸林、スペクトル拡散通信とその応用、電子情報通信学会編、pp.1-18(1998) CFAR(Constant False Alarm Rate)処理、吉田、‘改訂レーダ技術’、電子情報通信学会、pp.87-89(1996)
以上述べたように、LPI性を得るために送信信号の周波数をスイープし、符号化を用いたレーダ装置では、レンジ圧縮の際に、目標の距離と速度によるビート周波数成分により圧縮ロスが生じる問題があった。
本実施形態は上記課題に鑑みなされたもので、LPI性を確保しつつ、レンジ圧縮の際の目標の距離と速度によるビート周波数成分に起因する圧縮ロスを低減することのできるレーダ装置及びそのレーダ信号処理方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本実施形態によれば、送信信号に符号化による変調パルスを用いたレーダ装置において、観測時間軸をビート期間とレンジング期間に分割する。前記ビート期間では、送信信号をスイープし、さらにMcw(Mcw≧1)チップをMcwall回繰り返す信号により符号化変調した送信パルス列を送信し、目標からの反射信号をスイープしたローカル信号で受信し、そのビート周波数を観測する。レンジング期間では、前記送信信号をMr(Mr≧2)チップにより変調した送信パルス列を送信し、前記目標からの反射信号をスイープしたロ−カル信号で受信してビート期間に観測したビート周波数により補正することで参照信号を求め、この参照信号により受信信号をレンジ圧縮して距離を算出出力し、必要に応じて前記距離と前記ビート周波数より速度を算出出力する。すなわち、本実施形態に係るレーダ装置では、ビート期間もレンジング期間も符号化変調を用いることにより、ビート周波数を算出後、参照信号をビート周波数で補正してレンジ圧縮するため、LPI性を確保しつつ、目標の距離、さらには速度を観測することが可能となる。
第1の実施形態に係るレーダ装置の概略構成を示すブロック図。 第1の実施形態において、観測時間における送信パルスのタイミングと変調符号例を示すタイミング図。 第1の実施形態において、ビート期間、レンジング期間それぞれの送信信号、受信信号、相関処理結果を示すタイミング図。 第1の実施形態において、レンジ−ビートデータを得る様子を示す概念図。 第2の実施形態に係るレーダ装置の概略構成を示すブロック図。 第2の実施形態において、観測時間における送信パルスのタイミングと変調符号例を示すタイミング図。 第2の実施形態において、ビート期間、レンジング期間それぞれの送信信号、受信信号、相関処理結果を示すタイミング図。 第3の実施形態に係るレーダ装置の概略構成を示すブロック図。 第3の実施形態において、観測時間における送信パルスのタイミングと変調符号例を示すタイミング図。 第3の実施形態において、ビート期間、レンジング期間それぞれの送信信号、受信信号、相関処理結果を示すタイミング図。
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。尚、各実施形態の説明において、同一部分には同一符号を付して示し、重複する説明を省略する。
(第1の実施形態)単パルスの場合
図1乃至図4を参照して、第1の実施形態に係るレーダ装置を説明する。図1はその概略構成を示すブロック図、図2は観測時間におけるビート期間、レンジング期間それぞれの送信パルスのタイミングと各送信パルスの変調符号例を示すタイミング図、図3はビート期間、レンジング期間それぞれの相関処理後の受信信号を示すタイミング図、図4はPRI内のレンジセル毎にPRI間のFFTを行った場合のレンジ−ビートデータを得る様子を示す概念図である。
本実施形態に係るレーダ装置は、図1に示すように、複数のアンテナ素子により送受信ビームを形成するアンテナ1と、アンテナ1を通じて送信信号を送出し、目標からの反射信号を受信する送受信器2と、送受信器2で得られた受信信号から目標の距離・速度を観測する信号処理器3とを備える。
上記送受信器2は、送受信部21、周波数変換部22、AD(アナログ・ディジタル)変換部23、パルス変調部24、符号化制御部25を備える。パルス変調部24は、符号化制御部25で生成される符号化コードで送信パルス列を変調する。送受信部21は、アンテナ1の複数のアンテナ素子によって形成される送信ビームを通じて、変調された送信パルス列を目標に向けて送出し、アンテナ1の各アンテナ素子で捕捉した目標からの反射信号を合成して受信検波する。周波数変換部22は、送受信部21の受信信号をベースバンドに変換する。AD変換部23は、ベースバンドの受信信号をディジタル信号に変換して、受信データとして信号処理器3に出力する。
上記信号処理器3は、ビート期間ビート出力部31、レンジ圧縮処理部32、参照信号生成部33、CFAR処理部34、距離抽出部35を備える。
ビート期間ビート出力部31は、観測時間をビート期間とレンジング期間に分割し、送信時間においてはビート期間、レンジング期間のいずれも送信周波数をスイープし、受信時間においてはローカル信号をスイープしてビート周波数を観測する。レンジ圧縮処理部32は、ビート・レンジング観測部31の観測結果について、参照信号生成部33で生成される参照信号を用いてレンジ圧縮を行う。CFAR処理部34は、レンジ圧縮信号についてスレッショルド検出を行う。距離・速度抽出部35は、スレッショルド検出された信号の時間軸を距離軸に変換することで目標距離を抽出し(測距)、速度についてはビート周波数と距離から算出する。
上記構成において、以下に具体的な処理動作を説明する。
図2において、(a)はビート符号化、レンジング符号化において送信信号の中心周波数がスイープされる様子を示し、(b)は上記送受信器2で生成される送信パルス列のタイミング例を示し、(c)は送信パルス列の変調符号例(図では拡散符号)を示している。ここでは、パルス列の観測時間をTとして、ビート期間とレンジング期間に分割し、ビート期間で目標速度を算出し、レンジング期間で目標速度を用いて圧縮のための参照信号を補正して測距する。なお、図2では、送信パルス列の一例として単パルスの場合を示しているが、複数パルスまたは連続波(CW)等でもよい。
単パルスの場合は、パルス単位で符号変調を行う。まず、ビート期間では、ビート周波数を観測する必要がある。そこで、図2(a)に示すように、送信信号の中心周波数をスイープした送信スイープ信号から単パルスを生成し、Mcw(Mcw≧1)チップの符号を用いて、Mcw×Mall(Mall>1)個の単パルスをMcwチップずつ同一の符号で変調してMcwall回繰り返す。高パルス繰り返し周波数(HPRF:High Pulse Repetition Frequency)を用いる場合のレンジング期間では、Mrng(Mrng>1)チップの符号を用いて、Mrng個の単パルスを符号変調する。
符号化の方式としては、スペクトラム拡散(SS:Spread Spectrum)変調(非特許文献4)が考えられる。具体的には、例えばM系列コード(非特許文献2)があるが、他のコードでもよい。この符号化の中には、±1内の小数を含むランダム信号(ノイズ)も含まれるものとする。ランダム信号とは、位相をランダムにすることであり、例えば周波数を変えて変調(周波数ホッピング)する方式も含まれる。
ビート期間において、受信時間では、送信信号のスイープと同様に、ローカル信号をスイープすることによってビート周波数を観測する。参照信号の符号列を用いて、次式に示すように、信号位相を変化させることで送信信号列を生成する。定式化すると次式となる。
Figure 2018197719
上記はBPSK(Binary Phase shift Keying、非特許文献3)の場合であるが、他の位相変調方式でもよい。
送受信器2において、送信スイープ信号から送信パルス列を生成し、この送信パルス列を符号コードでパルス変調し、このパルス変調された送信パルス列をアンテナ1により空間に送出し、目標からの反射波を受信する。送受信器2では、ローカル信号も送信信号と同様にスイープして、アンテナ1で受けた反射波の受信信号をスイープされたローカル信号と混合受信することでビート周波数成分の受信信号を得る。この受信信号は周波数変換され、ディジタル信号に変換される。この受信信号の様子を図3に示す。受信パルス毎の受信信号列はビート周波数で表現すると次式で与えられる。
Figure 2018197719
また、ビート周波数は、目標の距離と速度により、次式で与えられる。
Figure 2018197719
上記受信信号列は、前述したようにMcwチップの信号がMcwall回繰り返したパルス列である。このMcwチップの信号を抽出するために、ビート期間において相関処理を行う。相関処理のための参照信号は、次式で与えられる。
Figure 2018197719
参照信号については、受信信号長と合わせるために、ゼロ埋めを行う。
Figure 2018197719
これより、参照信号の周波数軸信号は次式となる。
Figure 2018197719
一方、受信信号列をFFT処理して、時間軸の受信信号を周波数軸に変換する。
Figure 2018197719
相関処理は、周波数軸において、受信信号と参照信号の乗算を逆FFT処理して、次式となる。
Figure 2018197719
Figure 2018197719
この相関処理後の受信信号は、図3に示すように、Mcwチップ毎に積分した結果に相当し、McwチップによるPRI(単パルス単位のパルス繰り返し周期のMcw倍)周期で、Mcwall個のピークが現れる。このMall個の信号をFFT処理すれば、ビート周波数の信号を検出することができる。このため、図4(a)に示すように、PRI内のレンジセル(Pセル)毎に、PRI間(slow-time軸)のFFT処理を行い、図4(b)に示すPRIのようにレンジ−ビートデータを得る。この目標信号をCFAR(非特許文献5)等より抽出して、さらに速度を算出する。目標が複数の場合、複数目標の速度を得ることができる。
次に、レンジング期間の信号を用いて、相関処理を実行するための基準参照信号を生成する。ビート期間と同様に、ローカル信号はスイープして受信する。基準参照信号としては、ビート期間で出力した目標ビート周波数を用いる。
Figure 2018197719
設定した基準参照信号の符号長はMrngである。この符号長(Mrng)をレンジング期間にするために、ゼロ埋めしたものを参照信号とし、これによってレンジ圧縮処理(相関処理)を実行可能とする。
Figure 2018197719
この参照信号と入力信号との相関を算出するために、参照信号をFFT処理する。
Figure 2018197719
一方、レンジング期間の受信信号列は次式で表すことができる。
Figure 2018197719
受信信号をFFT処理して、時間軸の受信信号を周波数軸に変換する。
Figure 2018197719
レンジ圧縮処理(相関処理)は周波数軸の乗算を逆FFT処理して、次式となる。
Figure 2018197719
Figure 2018197719
(16)式により、各目標(m=1〜M)の時間軸の信号を得ることができる。
この様子を図3に示す。目標距離は、srng(t,m)をCFAR等によりスレショルド検出して、距離抽出において時間軸を距離軸に変換すれば算出することができる。速度については、ビート期間のビート周波数と距離の関係より算出する。
Figure 2018197719
したがって、速度は次式で算出できる。
Figure 2018197719
以上のように、第1の実施形態では、符号化またはランダム信号(ノイズ)による変調パルスを用いたレーダ装置において、観測時間軸をビート期間、レンジング期間に分割する。ビート期間では、送信スイープ信号から送信パルス列を生成し、その送信パルス列をMcw(Mcw≧1)チップをMcwall繰り返す信号により変調した送信信号を送信し、目標からの反射波を、送信信号と同様にスイープしたローカル信号で受信してビート周波数を観測する。一方、レンジング期間では、Mrチップにより変調した信号を送信し、目標からの反射波を周波数一定のロ−カル信号により受信した信号について、ビート周波数により補正した参照信号によってレンジ圧縮して目標の距離を算出し、必要に応じて距離とビート周波数より速度を算出する。すなわち、ビート期間もレンジング期間も符号化を用いることにより、ビート周波数を算出後、参照信号をビート周波数で補正してレンジ圧縮するため、LPI性を確保しつつ、測速及び測距ができる。
ここで、第1の実施形態では、ビート期間、レンジング期間の送信パルス列に対して、チップ長1の符号化またはランダム信号による変調を用いた単パルスを用いる。すなわち、符号化した単パルスの信号を用いて、ビート期間もレンジング期間も符号化を実施することにより、ビート周波数を算出後、参照信号をビート周波数で補正してレンジ圧縮するため、LPI性を確保しつつ、測速及び測距を行うことができる。
(第2の実施形態)混合パルスの場合
図5乃至図7を参照して、第2の実施形態に係るレーダ装置を説明する。図5はその概略構成を示すブロック図、図6は観測時間における送信パルスのタイミングと変調符号例を示すタイミング図、図7はビート期間、レンジング期間それぞれの送信信号、受信信号、相関処理結果を示すタイミング図である。
第1の実施形態では、観測時間をビート期間とレンジング期間に分けて、ビート期間で目標ビート周波数を算出し、レンジング期間において、目標ビート周波数により補正した参照信号を用いてレンジ圧縮して目標距離を出力する手法について、単パルスを用いる場合を例に説明した。この場合、レンジング期間も比較的繰り返し周期(PRF)の高い送信信号になるため、遠距離においても送信ブラインドによる目標非検知が発生する場合がある。この対策のため、本実施形態では、単パルスと長パルスの混合パルスを用いる場合について説明する。
本実施形態のレーダ装置は、図5に示すように、送受信器2において、パルス変調部24aと符号化制御部25aを備える。パルス変調部24aは単パルスと長パルスを選択的に生成し、符号化制御部25aはパルス変調部24aに対して所定のコードで単パルス、長パルスを変調出力するように制御する。
ここで、送信処理については、図6に示すように、ビート期間は第1の実施形態と同様である。これに対して、レンジング期間では所定のパルス幅のパルスを複数分割して送信する。この場合、分割したパルスのチップ長をMrngとすると、パルス列全体のMrngのM系列の信号を生成し、それをパルス長で分割して順に変調する。このため、各パルスでは符号が異なることになる。
受信処理では、図7(a)に示すように、ビート期間のビート周波数により補正した参照信号を用いて、パルス列全体に渡る相関処理を行う。この手法は、第1の実施形態の単パルス列が、長パルス列に置き換えるのみであるので、第1の実施形態と同様の手法を適用できる。相関処理した結果は、図7(c)のようにCFARで検出した後、時間を距離に換算することで、目標距離を出力できる。速度については、第1の実施形態と同様に、ビート期間のビート周波数とレンジング期間のレンジにより算出できる。
本実施形態によれば、レンジング期間のPRI(パルス繰り返し周期)を長くするようにしているので、遠距離の送信ブラインドによる目標非検知を抑えることができる。特に、ビート期間において、チップ長1の符号化またはランダム信号による変調を用いた単パルスを用い、レンジング期間において、Mcw(Mcw≧2)の符号化またはランダム信号による変調を用いたパルスをN(N≧1)パルス送受信し、パルス列全体に渡る符号化信号によるレンジ圧縮する(混合パルス)。このように構成すれば、ビート期間において、チップ長1の符号化またはランダム信号による変調を用いた単パルスを用い、レンジング期間において、Mcw(Mcw≧2)の符号化またはランダム信号による変調を用いたパルスをN(N≧1)パルス送受信し、パルス列全体に渡る符号化信号によるレンジ圧縮することができる。
(第3の実施形態)長パルスの場合
図8乃至図10を参照して、第3の実施形態に係るレーダ装置を説明する。図8はその概略構成を示すブロック図、図9は観測時間における送信パルスのタイミングと変調符号例を示すタイミング図、図10はビート期間、レンジング期間それぞれの送信信号、受信信号、相関処理結果を示すタイミング図である。本実施形態のレーダ装置は、図8に示すように、送受信器2において、パルス変調部24bと符号化制御部25bを備える。パルス変調部24bは長パルスを生成し、符号化制御部25bはパルス変調部24bに対して所定のコードで長パルスを変調出力するように制御する。
第1及び第2の実施形態では、観測時間をビート期間とレンジング期間に分けて、ビート期間でビート周波数を算出し、レンジング期間において、目標ビート周波数により補正した参照信号を用いてレンジ圧縮して目標距離を出力し、さらにビート周波数と距離より速度を算出する手法について、第1の実施形態は単パルスの場合、第2の実施形態は単パルスと長パルスの場合を説明した。ここで、単パルスによる繰り返しの場合は、パルス間で間隙があるため、Mcwチップ間の間隔が広くなり、その分、ビート周波数範囲が狭くなる。一方、レンジング期間では、パルス幅の合算値が十分長くとれない場合は、符号長が短くなってしまい、レンジサイドローブを十分低下できない場合がある。
この対策のため、本実施形態に係るレーダ装置では、ビート期間もレンジング期間も長パルスを用いる。すなわち、ビート期間も長パルスであり、ビート周波数を観測するために、長パルスをMcwall個に分割し、各々では共通のMcwチップの拡散符号により変調する。このMcwチップの信号を抽出する手法は、第1の実施形態のビート期間と同様に、Mcwall個に分割した単位の参照信号を生成し、その参照信号を用いて、Mcwall個のピーク出力を得て、FFT処理により目標ビート周波数を算出することができる。
一方、レンジング期間では、長い1パルスを送信する。パルスの変調は、パルス列全体にわたる符号長MrngのM系列の信号を生成して変調する。受信信号は、図10に示すように、ビート期間で観測されたビート周波数により補正した参照信号を用いて、レンジング期間において、パルス列全体に渡る相関処理を行う。この相関処理結果から、目標信号を抽出してその距離を出力する。速度は、ビート期間のビート周波数とレンジング期間の観測距離を用いて算出した結果を出力する。
本実施形態によれば、第2の実施形態に比べて、ビート期間の相関出力結果の間隔がパルス間の間隙のない符号長Mcwになり、単パルスの繰り返しよりも狭くなるため、間隔の逆数で決まる観測ビート周波数範囲を広くすることができる。また、レンジング期間のパルスが長いため、高い相関出力が得られ、レンジサイドロ−ブも低下させやすい。但し、パルス送信期間に受信する場合があり、送信と受信の同時処理が必要になる。このことから、本実施形態は、送信と受信が分離したマルチスタティックシステムの場合には、特に適用しやすい方式となる。
なお、本発明は上記実施形態をそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…アンテナ、2…送受信器、3…信号処理器、21…送受信部、22…周波数変換部、23…AD変換部、24,24a,24b…パルス変調部、25,25b…符号化制御部、31…ビート期間ビート出力部、32…レンジ圧縮処理部、33…参照信号生成部、34…CFAR処理部、35…距離・速度抽出部。

Claims (5)

  1. 符号化またはランダム信号によって変調したパルス列を用いるレーダ装置であって、
    観測時間軸をビート期間とレンジング期間に分割する分割手段と、
    前記ビート期間で、送信信号をスイープし、さらにMcw(Mcw≧1)チップをMcwall回繰り返す信号により符号化変調した送信パルス列を送信し、目標からの反射信号をスイープしたローカル信号で受信し、そのビート周波数を観測するビート期間処理手段と、
    前記レンジング期間で、前記送信信号をMr(Mr≧2)チップにより変調した送信パルス列を送信し、前記目標からの反射信号をスイープしたロ−カル信号で受信してビート期間に観測したビート周波数により補正することで参照信号を求め、この参照信号により受信信号をレンジ圧縮して距離を算出出力し、必要に応じて前記距離と前記ビート周波数より速度を算出出力するレンジング期間処理手段と
    を具備するレーダ装置。
  2. 前記ビート期間及び前記レンジング期間の送信パルス列に、チップ長1の符号化またはランダム信号により変調した単パルスを用いる請求項1記載のレーダ装置。
  3. 前記ビート期間では、チップ長1の符号化またはランダム信号による変調を用いた単パルスを用い、前記レンジング期間では、チップ長Mcw(Mcw≧2)の符号化またはランダム信号により変調したパルスをN(N≧1)パルス送受信し、パルス列全体に渡って符号化信号によるレンジ圧縮を行う請求項1記載のレーダ装置。
  4. 前記ビート期間では、チップ長Mcw(Mcw≧2)の符号化またはランダム信号による変調を用いたパルスをMcwall(Mcwall≧2)回繰り返したMcw×Mcwallチップ長のパルス列を送受信し、前記レンジング期間では、チップ長Mrng(Mrng≧2)のパルス列を送受信し、パルス列全体に渡る符号化信号によってレンジ圧縮を行う請求項1記載のレーダ装置。
  5. 符号化またはランダム信号によって変調したパルス列を用いるレーダ装置に用いられ、
    観測時間軸をビート期間とレンジング期間に分割し、
    前記ビート期間で、送信信号をスイープし、さらにMcw(Mcw≧1)チップをMcwall回繰り返す信号により符号化変調した送信パルス列を送信し、目標からの反射信号をスイープしたローカル信号で受信し、そのビート周波数を観測し、
    前記レンジング期間で、前記送信信号をMr(Mr≧2)チップにより変調した送信パルス列を送信し、前記目標からの反射信号をスイープしたロ−カル信号で受信してビート期間に観測したビート周波数により補正することで参照信号を求め、この参照信号により受信信号をレンジ圧縮して距離を算出出力し、必要に応じて前記距離と前記ビート周波数より速度を算出出力するレーダ装置のレーダ信号処理方法。
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