JP2018197387A - 摺動部材、及び、摺動部材の製造方法 - Google Patents

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Kazuya Ishii
一也 石井
雅也 木本
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Abstract

【課題】摺動性及び耐摩耗性に優れる摺動部材を提供する。【解決手段】本実施形態による摺動部材1は、摺動基材2と、摺動基材2の表面上に形成されている純銅めっき層3と、純銅めっき層3の上に形成されている複合銅めっき層4とを備える。複合銅めっき層4は、銅とグラファイト6とを含有する複数の塊状部5を備える。複合銅めっき層4のビッカース硬さは、120以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、摺動部材、及び、摺動部材の製造方法に関する。
摺動部材は、他の部材と擦れながら滑る部分(摺動部分)を有する部材の総称である。摺動部材はたとえば、列車及びレール、エンジンシリンダ及びピストン、ドリル加工における被加工材及び工具、及び、ねじ継手等である。摺動部材は、他の部材と繰り返し擦れ合う。したがって、摺動部材には、繰り返しの摺動を受けても摩耗を生じない性質、すなわち高い摺動性が求められる。
摺動部材の摺動性を高めるために、摺動部材表面上にめっき層が形成される。めっき層はたとえば、銅めっき層である。銅めっき層により摺動部材の摺動性を高めることができる。しかしながら、銅めっき層のみでは、焼付きが生じる場合がある。そのため、摺動部材の摺動性のさらなる改善が求められている。
従来の方法によると、銅めっき層の硬度を高めることで摺動部材の摺動性を高めることができる。銅めっき層の硬度を高めるためにたとえば、合金めっきが提案されている。合金めっきは、銅よりも硬度が高い金属元素を銅と共析させることで、銅めっき層の硬度を高める技術である。
銅めっき層の硬度を高める他の技術として、複合めっきが提案されている。複合めっきは、めっき液中に硬質粒子を含有させて、めっき層中に硬質粒子を取り込ませる。これにより、銅めっき層の硬度を高める技術である。硬質粒子としてはたとえば、炭化珪素(SiC)、アルミナ(Al23)及びダイヤモンドが用いられている。
めっき層により摺動部材の摺動性及び耐摩耗性を高める技術が、特開昭59−029119号公報(特許文献1)に記載されている。
特許文献1では、摺動面を有する機械部品の表面に、硬質複合めっき層を形成し、硬質複合めっき層の表面に軟質金属めっき層又は軟質金属複合めっき層を形成させる。硬質複合めっき層は、硬質微粒子を共析物質とし硬質金属をマトリックスとする。これにより、軸受け用部品などの摺動部を有する機械部品の機械加工性の改良、初期なじみ性の向上に加えて耐摩耗性、耐熱性、耐疲労性、潤滑性が向上する、と特許文献1に記載されている。
特開昭59−029119号公報
しかしながら、上述の特許文献に開示された技術を用いても、摺動部材の摺動性が低い場合がある。
本発明の目的は、摺動性及び耐摩耗性に優れる摺動部材を提供することである。
本実施形態による摺動部材は、摺動基材と、摺動基材の表面上に形成されている純銅めっき層と、純銅めっき層の上に形成されている複合銅めっき層とを備える。複合銅めっき層は、銅とグラファイトとを含有する複数の塊状部を備える。複合銅めっき層のビッカース硬さは、120以下である。
本実施形態による摺動部材の製造方法は、準備工程と、電気めっき工程とを備える。準備工程では、銅イオン及びグラファイトを含有するめっき液と摺動基材とを準備する。電気めっき工程では、めっき液に摺動基材を浸漬し、めっき液の流速:0.5m/s以上及び電流密度:3A/dm2以上で電気めっきを実施し、摺動基材の表面上に上記のめっき層を形成する。
本実施形態による摺動部材は、摺動性及び耐摩耗性に優れる。
図1は、本実施形態による摺動部材の断面図である。 図2Aは、本実施形態において用いる、めっき液を流動させることが可能な電気めっき装置(フローセル)の側面図である。 図2Bは、本実施形態において用いる、めっき液を流動させることが可能な電気めっき装置(フローセル)の上面図である。
本発明者らは、高い摺動性及び耐摩耗性を有する摺動部材のめっき層について種々検討を行った。その結果、以下の知見を得た。
(1)上述のとおり、従来、めっき層の硬度を高めれば摺動部材の摺動性を高めることができると考えられている。銅の硬度及びグラファイトの硬度は、従来要求されているめっき層の硬度(たとえばHVで400程度)よりも低い。しかしながら、本発明者らは、銅及びグラファイトを含有するめっき層を摺動基材の表面上に形成すれば、摺動部材の摺動性及び耐摩耗性を高めることができることを見出した。銅及びグラファイトを含有するめっき層は、摺動基材に対して、銅イオン及びグラファイトを含有するめっき液を用いてめっきを実施することで得られる。本実施形態によれば、高面圧下でも、高い摺動性及び耐摩耗性が得られる。この理由は次のとおりと考えられる。
グラファイト(黒鉛)は、炭素原子が六角形の格子状に結合しているシート(グラフェン)が積層した物質である。グラフェンの層間の結合力は弱いため、グラフェン同士はその層間から剥離しやすい。この場合、摺動部材の摺動性は低い。しかしながら、めっき層が銅及びグラファイトを含有すれば、めっき層の硬度が低くなる。そのため、銅及びグラファイトを含有しためっき層は、使用中に、摺動により押し伸ばされる。このとき、めっき層に含有されているグラファイトが摺動方向に均される。これを繰り返すことにより、めっき層は、複合銅めっき層中の銅とグラファイトとが積層した形態、つまり重畳した形態(以下、重畳形態という)に変化する。この重畳形態において、グラファイトは、摺動方向に滑る。これにより、摩擦係数が低減する。この重畳形態においてさらに、銅がバインダの役割を果たし、グラファイトが剥離しにくくなる。そのため、摺動基材(鉄)同士の接触が抑制される。その結果、摺動部材の摺動性及び耐摩耗性が向上する。
(2)また、一般的に、摺動部材のめっきの処理方法として、ポンプ類を使わずに、マグネチックスターラーを利用する方法が用いられている。このようなめっきは、たとえば、株式会社山本鍍金試験器製のスマートセル(登録商標)を使用して実施することができる。この場合、めっき工程における、めっき液の流速は低い。低流速とはたとえば、0.1m/s程度と考えられる。
一方、本発明者らは、ポンプを用いてめっき液を流動させることが可能なめっき装置(以下、「フローセル」という)を用いて、摺動部材の電気めっきを実施する方法に想到した。フローセルを用いて、めっき液を流動させながら電気めっきを実施すれば、形状が複雑、かつ、大型の摺動部材に対して、電気めっきを実施することが可能である。フローセルを用いれば、電気めっき工程において、めっき液の流速を高めることができる。
摺動基材に対して、フローセルと、上記の銅イオン及びグラファイトを含有するめっき液を用いて電気めっきを実施したところ、本発明者らは、摺動基材上に、純銅めっき層と、銅及びグラファイトを含有する複数の塊状部を含む複合銅めっき層とが形成されることを発見した。一方、上記の一般的なマグネチックスターラーを利用する方法では、複合銅めっき層のみしか確認されておらず、この場合の複合銅めっき層のビッカース硬度は120を大きく超える。本発明者らは、フローセルを用いて形成された純銅めっき層と複合銅めっき層との2層が存在することにより、低い硬度のめっき層を有しつつ、摺動部材の摺動性及び耐摩耗性を高めることができることを見出した。この理由は定かではないが、以下のとおりと考えられる。
フローセルを用いて、めっき液を流動させながら電気めっきを実施すれば、まず純銅めっき層が、摺動基材表面上に形成される。この純銅めっき層を基盤として、純銅めっき層の上に、銅とグラファイトとを含有する複数の塊状部を含む複合銅めっき層が形成される。純銅めっきが形成されない場合、複合銅めっき層は、摺動基材表面上に形成されにくいものと考えられる。複合銅めっき層はポーラス(多孔質)であるため、柔らかい。このため、複合銅めっき層のビッカース硬さは120以下となる。これにより、上述のとおり、使用中に銅とグラファイトとが重畳した形態となり、摩擦係数が低減する。その結果、高い摺動性及び耐摩耗性が得られる。
以上の知見に基づいて完成した実施形態による摺動部材は、摺動基材と、摺動基材の表面上に形成されている純銅めっき層と、純銅めっき層の上に形成されている複合銅めっき層とを備える。複合銅めっき層は、銅とグラファイトとを含有する複数の塊状部を備える。複合銅めっき層のビッカース硬さは、120以下である。
本実施形態による摺動部材は、低い硬度のめっき層を有しつつ、高面圧下でも、高い摺動性及び耐摩耗性を得ることができる。
本実施形態による摺動部材の製造方法は、準備工程と、電気めっき工程とを備える。準備工程では、銅イオン及びグラファイトを含有するめっき液と摺動基材とを準備する。めっき工程では、めっき液に摺動基材を浸漬し、めっき液の流速:0.5m/s以上及び電流密度:3A/dm2以上で電気めっきを実施し、摺動基材の表面上に上記のめっき層を形成する。
電流密度の好ましい下限は、4A/dm2である。この場合、めっき液の流速が高い場合でも、安定して、複合銅めっき層のビッカース硬さを120以下とできる。その結果、摺動部材の摺動性に加えて、耐磨耗性がさらに高まる。
上記製造方法では、めっき液に銅イオン及びグラファイトを含有させる。このめっき液を用いて製造されためっき層には、銅及びグラファイトが含有される。めっき層はポンプを用いてめっき液を流動させることが可能な電気めっき装置、すなわちフローセルを用いて形成される。フローセルを用いれば、摺動基材の表面上に、純銅めっき層と、銅とグラファイトとを含有する複数の塊状部を含む複合銅めっき層とが形成される。そのため、上述のとおり、使用中の銅とグラファイトとが重畳した形態となり、摩擦係数が低減する。その結果、高い摺動性及び耐摩耗性が得られる。
以下、図面を参照して本実施形態を詳細に説明する。
[摺動部材1]
図1は、本実施形態による摺動部材1の断面図である。摺動部材1は、摺動基材2と、純銅めっき層3と、複合銅めっき層4とを備える。純銅めっき層3は、摺動基材2の表面上に形成される。複合銅めっき層4は、純銅めっき層3の上に形成される。
[摺動基材2]
摺動基材2は、摺動部材1として利用され、めっき可能な材料であれば特に限定されない。摺動基材2はたとえば、上述の列車及びレール、エンジンシリンダ及びピストン、ドリル加工における被加工材及び工具、及び、ねじ継手等である。摺動基材2の組成は、特に限定されない。摺動基材2はたとえば、炭素鋼、ステンレス鋼及び合金鋼等である。
[純銅めっき層3]
純銅めっき層3は、摺動基材2の表面上に形成される。純銅めっき層3と、後述の複合銅めっき層4とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた1000倍での観察により、SEM画像(反射電子像)から特定できる。図1を参照して、純銅めっき層3は、シート状の薄膜であり、複合銅めっき層4よりも平坦な表面を有する。純銅めっき層3は、複合銅めっき層4よりも低い空孔率を有する。
純銅めっき層3は、主として銅からなる。「主として」とは、純銅めっき層3が、95at%超の銅を含有することを意味する(以下、「at%」とは、原子%を意味する)。純銅めっき層3の残部は、不純物である。純銅めっき層3は、不純物として5at%以下のグラファイトを含有してもよい。ここで、純銅めっき層3の不純物は、銅以外の物質で、純銅めっき層3の製造中に純銅めっき層3に含有され、本発明の効果に影響を与えない範囲の含有量で含まれる物質を含む。たとえば、後述する分散剤も、不純物として純銅めっき層3中に取り込まれる場合がある。
[純銅めっき層3における銅の含有量]
純銅めっき層3における銅の含有量は次の方法で測定できる。はじめに、純銅めっき層3を形成した摺動部材1のサンプルを準備する。サンプルの表面に対して垂直な断面を現出し、上記のとおりSEM画像から純銅めっき層3を特定する。純銅めっき層3に対して、電子線マイクロアナライザー(FE−EPMA、日本電子製/JXA−8530F)を用いて元素分析を行う。測定倍率1000〜5000倍で、加速電圧:15〜30kVで電子ビームを照射し、C−kα線及びCu−kα線の各X線強度を測定する。各元素のX線強度を基に、銅の含有量(at%)を算出する。純銅めっき層3断面の任意の3箇所を測定し、銅について平均含有量を求める。銅の平均含有量を、純銅めっき層3中の銅の含有量と定義する。
[複合銅めっき層4]
複合銅めっき層4は、純銅めっき層3を基盤として、純銅めっき層3の上に形成される。複合銅めっき層4は、銅とグラファイト6とを含有する複数の塊状部5を含む。言い換えれば、グラファイト6は、複合銅めっき層4中に分散して存在する。したがって、複合銅めっき層4は、純銅めっき層3よりもポーラスである。
複合銅めっき層4は、銅及びグラファイト6を含有する。複合銅めっき層4の残部は、不純物である。ここで、複合銅めっき層4の不純物は、銅及びグラファイト以外の物質で、複合銅めっき層4の製造中に複合銅めっき層4に含有され、本発明の効果に影響を与えない範囲の含有量で含まれる物質を含む。たとえば、後述する分散剤も、不純物として複合銅めっき層4中に取り込まれる場合がある。
[複合銅めっき層4のビッカース硬さ]
複合銅めっき層4は、銅とグラファイト6とを含有する複数の塊状部5を含むため、複合銅めっき層4のビッカース硬さは120以下である。複合銅めっき層4のビッカース硬さは次の方法で測定できる。はじめに、複合銅めっき層4を形成した摺動部材1のサンプルを準備する。サンプルの表面に対して垂直な断面を現出し、上記のとおりSEM画像から複合銅めっき層4を特定する。複合銅めっき層4に対して、試験力0.005kgf=0.05Nで、JIS Z2244(2009)に準拠した方法でビッカース硬さ(HV0.005)を測定する。ビッカース硬さの測定には、微小硬度計(Fischer scope HM2000、フィッシャー・インストルメンツ製)を用いる。
[グラファイト]
グラファイト(黒鉛)は、炭素原子が六角形の格子状に結合しているシート(グラフェン)が積層した物質である。グラファイトは、カーボン(C)を含有し、残部は不純物からなる。グラフェンの層間の結合力は弱いため、グラフェン同士はその層間から剥離しやすい。しかしながら、複合銅めっき層4が銅及びグラファイトを含有しているため、銅がバインダの役割を果たし、グラファイトが剥離しにくくなる。そのため、摺動基材2(鉄)同士の接触が抑制される。その結果、摺動部材1の摺動性及び耐摩耗性が向上する。
めっき液の成分として、グラファイト粒子を用いる。グラファイト粒子の粒径は、1nm〜30μmのものが好ましい。めっき液中での分散性やめっき膜厚とのバランスを考慮すると、グラファイト粒子のさらに好ましい粒径は、20nm〜9μmである。
[複合銅めっき層4におけるグラファイトの含有量]
複合銅めっき層4におけるグラファイトの含有量は特に限定されない。しかしながら、グラファイトの含有量が、10at%以上であれば、上記の効果が得られる。複合銅めっき層4におけるグラファイトの含有量の下限は、さらに好ましくは20at%であり、さらに好ましくは30at%である。一方、グラファイトの含有量が70at%以下であれば、正常な複合銅めっき層4が形成されやすい。
複合銅めっき層4におけるグラファイトの含有量は次の方法で測定する。はじめに、複合銅めっき層4を形成した摺動部材1のサンプルを準備する。サンプルの複合銅めっき層4表面に対して、電子線マイクロアナライザー(FE−EPMA、日本電子製/JXA−8530F)を用いて元素分析を行う。測定倍率1000〜5000倍で、加速電圧:15〜30kVで電子ビームを照射し、C−kα線及びCu−kα線の各X線強度を測定する。各元素のX線強度を基に、銅及びグラファイトの含有量(at%)を算出する。複合銅めっき層4表面の任意の3箇所を測定し、銅及びグラファイトそれぞれについて平均含有量を求める。グラファイトの平均含有量を、グラファイトの含有量と定義する。
[製造方法]
摺動部材1の製造方法は、準備工程と、電気めっき工程とを備える。
[準備工程]
準備工程では、銅イオン及びグラファイトを含有するめっき液と摺動基材2とを準備する。
[めっき液]
めっき液は、銅イオン、グラファイト及び溶媒を含有する。溶媒は水であることが好ましい。
めっき液は銅イオンを含有する。銅イオン及びアニオンの塩(たとえば硫酸銅)をめっき液に溶かすことによって、めっき液中に銅イオンを含有させる。アニオンはたとえば、硫酸イオン、塩化物イオン及びピロリン酸イオンからなる群から選択される1種又は2種以上である。めっき液中における銅イオンの含有量の下限は銅換算で、好ましくは12.7g/L、より好ましくは31.7g/Lである。めっき液中における銅イオンの含有量の上限は銅換算で、好ましくは126g/L、より好ましくは51g/Lである。
めっき液はさらに、グラファイトを含有する。本実施形態の製造方法では、粉状のグラファイト粒子を用いることが好ましい。グラファイト粒子の粒径は特に限定されない。グラファイト粒子の粒径はたとえば、1nm〜30μmである。めっき液中での分散性やめっき膜厚とのバランスを考慮すると、グラファイト粒子のさらに好ましい粒径は、20nm〜9μmである。グラファイト粒子の粒径は、めっき液中に分散でき、グラファイト6が複合銅めっき層4中に取り込まれる範囲で適宜設定できる。
めっき液中におけるグラファイトの含有量が5g/L以上であれば、複合銅めっき層4中に安定的にグラファイトを取り込ませることができる。このため、複合銅めっき層4は高い耐摩擦特性を得ることができる。一方、めっき液中におけるグラファイトの含有量が20g/L以下であれば、めっき槽内でのグラファイトの沈殿を抑制できる。したがって、めっき液中におけるグラファイトの含有量は好ましくは、5〜20g/Lである。めっき液中におけるグラファイトの含有量の下限は、より好ましくは8g/L、さらに好ましくは10g/Lである。めっき液中におけるグラファイトの含有量の上限は、より好ましくは15g/L、さらに好ましくは11g/Lである。
[分散剤]
好ましくは、めっき液はさらに分散剤を含有する。分散剤は、めっき液中においてグラファイトの分散性を向上させる。分散剤は、ポリアクリル酸及び塩化1ブチル‐1‐メチルピロリジニウムからなる群から選択される1種又は2種である。
ポリアクリル酸は、アクリル酸の重合体である。ポリアクリル酸又はポリアクリル酸の塩(たとえば、ポリアクリル酸ナトリウム)をめっき液に溶解することによって、めっき液にポリアクリル酸を含有させる。ポリアクリル酸は、低分子量のものが好ましい。これにより、グラファイトの分散性をさらに高めることができる。ポリアクリル酸の分子量の上限は、重量平均分子量で、好ましくは10000、より好ましくは2000、さらに好ましくは1800である。ポリアクリル酸の分子量の下限は特に限定されない。ポリアクリル酸の分子量の下限はたとえば、重量平均分子量で、1000である。
塩化1ブチル‐1‐メチルピロリジニウム(BMP)は、化学式C920ClNで表され、第四級アンモニウムイオンに分類される五員環(N+を含む複素環)化合物を含むイオン液体である。電池やキャパシタへの応用が検討されているが、本実施形態では、グラファイトの分散剤として用いる。
めっき液における分散剤の含有量は特に限定されない。分散剤はめっき液に少量含有されれば、グラファイトの分散性が向上する。めっき液における分散剤の含有量はたとえば、1×10-6〜1×10-4mol/Lである。めっき液が、ポリアクリル酸及び塩化1‐ブチル‐1‐メチルピロリジニウムの両方を含有する場合、それぞれの含有量が1×10-6〜1×10-4mol/Lであることが好ましい。ポリアクリル酸の含有量(mol/L)とは、重量平均分子量に対するモル濃度をいう。
めっき液の金属成分は、カチオンとしては銅(銅イオン)のみである。めっき液の金属成分は、アニオンとしては、硫酸イオン、塩化物イオン、ピロリン酸イオンなど、一般に利用されている水溶性浴であればいずれでも良い。
めっき液は、必要に応じて、電導度塩、アノード溶解促進剤、錯化剤、pH緩衝剤、界面活性剤、還元剤、安定剤及びその他の添加剤からなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。
摺動基材2に対して周知の前処理を行うことで摺動基材2を準備する。前処理はたとえば、脱脂である。脱脂により、摺動基材2の表面に付着している油及び油性の汚れ等を除去する。脱脂はたとえば、溶剤脱脂、アルカリ脱脂及び電解脱脂である。前処理としてさらに、酸洗を実施してもよい。酸洗により、摺動基材2表面の錆及び加工時に生じた酸化被膜等を除去できる。
[電気めっき工程]
電気めっき工程では、めっき液に摺動基材2を浸漬し、めっき液の流速:0.5m/s以上及び電流密度:3A/dm2以上で電気めっきを実施し、純銅めっき層3及び複合銅めっき層4を形成する。純銅めっき層3は摺動基材2の表面上に形成される。複合銅めっき層4は純銅めっき層3の上に形成される。
初めに、電気めっき装置と摺動基材2とを準備する。電気めっき装置は、ポンプを用いてめっき液を流動させることが可能な電気めっき装置である、フローセルを用いる。フローセルの側面図及び上面図を、図2A及び図2Bに示す。図2A及び図2Bにおいて、めっき槽50内のめっき液53は、ポンプ54によって流速を付与される。陰極板51及び陽極板52は、図示されていないパルス電源に接続されている。なお、図2A及び図2Bにおける右向き矢印及び左向き矢印は、めっき液53の流れの方向を表している。図2A及び図2Bにおける符号以外の数字は、各部位のサイズ(mm)を示す。陰極板51として、摺動基材2を用いる。
めっき液53の流速は、0.5〜1.5m/sである。めっき液53の流速が0.5m/s以上であれば、複合銅めっき層4において、塊状部5にグラファイト6が十分に含有される。そのため、摺動部材1の摺動性及び耐磨耗性が高まる。めっき液53の流速が1.5m/s以下であれば、正常な複合銅めっき層4が形成されやすい。めっき液53の流速の好ましい上限は、1.0m/sである。
電流密度は、3〜20A/dm2である。電流密度が3A/dm2以上であれば、複合銅めっき層4において、銅及びグラファイト6を含有する塊状部5が形成される。そのため、摺動部材1の摺動性が高まる。電流密度が20A/dm2以下であれば、めっきコゲが生じにくく、正常な複合銅めっき層4が形成されやすい。電流密度の好ましい下限は、4A/dm2である。この場合、めっき液53の流速が高い場合でも、安定して、複合銅めっき層4のビッカース硬さを120以下とできる。その結果、摺動部材1の摺動性に加えて、耐磨耗性がさらに高まる。電流密度の好ましい上限は、10A/dm2である。
めっき液53の流速は、ポンプ流量(L/min)を流速(m/s)に換算して求める。具体的には、ポンプ流量はホース出側の1minあたりの流量を計量器で測定する。めっき液53の流速は、このポンプ流量を電極間(陰極と陽極との極間:0.02m)と電極高さ(0.05m)からの断面積(0.001m2)で除して、1sあたりに換算して求める。
電気めっき装置はたとえば、めっき槽50、撹拌装置、ろ過装置、温度調節器、陽極板52及び水洗装置を備える。続いて、めっき槽50内に上記めっき液53を入れ、摺動基材2及び陽極板52を浸漬する。さらに、摺動基材2及び陽極板52に通電することで、摺動基材2の表面上に純銅めっき層3を形成し、さらに、純銅めっき層3の上に、複合銅めっき層4を形成する。めっき槽50内の温度、電流密度、pH及び流速等の条件は、適宜設定できる。電気めっき工程完了後の摺動部材1を、必要に応じて水洗及び乾燥する。水洗及び乾燥の方法は特に限定されない。
以上の工程により、本実施形態の摺動部材1を製造できる。本実施形態による摺動部材1の製造方法はさらに、グラファイト酸化工程を備えることが好ましい。
[グラファイト酸化工程]
グラファイト酸化工程では、めっき液53に含有させるためのグラファイトを酸化処理する。酸化処理は、硝酸を用いて行う。酸化処理の方法は特に限定されない。酸化処理の方法はたとえば、グラファイトを硝酸水溶液中に添加し、撹拌する。硝酸及びグラファイトの混合液を60℃に加温し撹拌する。一定時間反応させた後、室温に冷却してグラファイトを吸引濾過する。得られたグラファイトを蒸留水で洗浄し、乾燥及び粉砕する。これにより、酸化処理したグラファイトを製造できる。
グラファイトを酸化処理することによって、グラファイトの末端の水酸基(ROH)がイオン化する(RO-)。これにより、グラファイトがより親水性になる。そのため、めっき液53中におけるグラファイトの分散性が向上する。さらに、酸化処理されたグラファイトの末端はアニオンであるため、カチオンである銅イオンと相互作用しやすくなる。その結果、グラファイトの複合銅めっき層4中への取り込み量が増加する。複合銅めっき層4中におけるグラファイトの含有量が増加すれば、摺動部材1の摺動性及び耐摩耗性がさらに高まる。
[準備工程]
以下の材料を準備した。
試験基材:炭素鋼の平板(幅70mm、長さ120mm、厚さ0.8mm、めっき面積:70mm×50mm)
めっき液53:
・硫酸銅五水和物 200g/L
・硫酸 50g/L
・グラファイト(TIMCAL社製 TIMREX(商標名) KS6 粒子径D90) 10g/L
・ポリアクリル酸(Aldrich社製) 2×10-5mol/L、分子量1800
・塩化1ブチル‐1‐メチルピロリジニウム(MERCK社製) 2×10-5mol/L
表1に示す試験番号1〜試験番号6のめっき液を用いて、摺動部材を製造した。
[電気めっき工程]
図2A及び図2Bに示すフローセルを用いて、電気めっきを実施して、摺動基材2の表面上に純銅めっき層3及び複合銅めっき層4を形成した。めっき槽50の容量は2500mLであった。電気めっきの条件は以下のとおりであった。
・めっき陽極 銅板
・めっき液の流速 0.3〜0.9m/s
・電流密度 3〜10A/dm2
・めっき浴温度 室温(25℃)
摺動基材2の表面から垂直な断面の試験片を採取した。試験片の断面を、SEMを用いて、1000倍で観察した。SEM画像から、純銅めっき層3及び複合銅めっき層4を特定した。
上述の方法で、純銅めっき層3中の銅含有量及び複合銅めっき層4中のグラファイト含有量を測定した。純銅めっき層3中の銅含有量を表1に示す。複合銅めっき層4中のグラファイト含有量は、試験番号1〜試験番号5で10質量%超であった。試験番号6は、めっき液53中にグラファイトを含有しなかったため、複合銅めっき層4が存在しなかった。
[ビッカース硬さ試験]
複合銅めっき層4のビッカース硬さを測定した。複合銅めっき層4のビッカース硬さの測定には、微小硬度計(Fischer scope HM2000、フィッシャー・インストルメンツ製)を使用した。荷重0.05Nで、JIS Z2244(2009)に準拠した方法でビッカース硬さ(HV0.005)を測定した。測定箇所は、上記試験片の断面において、複合銅めっき層4の部分とした。試験番号6は複合銅めっき層4が存在しなかったため、純銅めっき層3のビッカース硬さを測定した。結果を表1に示す。
[摺動性試験]
バウデン試験により、摺動性を調査した。具体的には、試験番号1〜試験番号6の基材から幅20mm、長さ30mmのサンプルを1つずつ採取した。採取された各サンプルの表面の任意の3箇所において、鋼球を摺動させた。鋼球には、3/16インチ径のJIS規格のSUJ2に相当する化学組成を有したものを用いた。荷重は3kgf(ヘルツ面圧:平均1.56GPa)とした。摺動幅はサンプルの軸方向に10mm、摺動速度は4mm/sとした。摺動は無塗油、室温にて実施した。摺動中の鋼球の摩擦係数μを測定し、摩擦係数μが0.15(鉄と鋼球との摩擦係数に相当)を超えるまでの摺動回数(往復回数、つまり、10mmの範囲を1往復摺動すると「1回」とカウント)を測定した。試験には、神鋼造機(株)製のバウデン式附着滑り試験機を使用した。結果を表1に示す。
[耐摩耗性試験]
耐摩耗性試験として、摩耗速度を測定した。具体的には、上記の摺動性試験後のサンプルにおいて、めっき基準面から摩耗した膜厚(摩耗膜厚、μm)を測定した。摩耗膜厚の測定は、摺動後、レーザー顕微鏡を用いて、断面プロファイルにより実施した。めっき基準面の値は、断面プロファイルから、元のめっき面の粗さばらつきの中央値とした。摩耗速度を以下の式により求めた。
摩耗速度(μm/摺動回数)=めっき基準面からの摩耗膜厚/バウデン摺動回数
結果を表1に示す。
[評価結果]
試験番号1〜試験番号3の摺動部材1の複合銅めっき層4は、ビッカース硬さが120以下となり、優れた摺動性に加え、優れた耐摩耗性も示した。
一方、試験番号4及び試験番号5の摺動部材1の複合銅めっき層4は、グラファイトを含有した。そのため、試験番号6より優れた摺動性は示したものの、耐摩耗性は試験番号6と同程度であった。
試験番号6のめっき液53はグラファイトを含有しなかった。そのため、試験番号6の摺動部材1表面上に形成された層は、グラファイトを含有しない純銅めっき層であった。そのため、試験番号6の摺動部材1の純銅めっき層3のビッカース硬さは120を超えた。その結果、試験番号6の摺動部材1は、摺動性及び耐摩耗性が低かった。
以上、本発明の実施形態を説明した。しかしながら、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変更して実施することができる。
1 摺動部材
2 摺動基材
3 純銅めっき層
4 複合銅めっき層
5 塊状部
6 グラファイト
50 めっき槽
51 陰極板
52 陽極板
53 めっき液
54 ポンプ

Claims (2)

  1. 摺動基材と、
    前記摺動基材の表面上に形成されている純銅めっき層と、
    前記純銅めっき層の上に形成されており、銅とグラファイトとを含有する複数の塊状部を含み、ビッカース硬さが120以下である複合銅めっき層と、
    を備える、摺動部材。
  2. 請求項1に記載の摺動部材の製造方法であって、
    銅イオン及びグラファイトを含有するめっき液と摺動基材とを準備する工程と、
    前記めっき液に前記摺動基材を浸漬し、めっき液の流速:0.5m/s以上及び電流密度:3A/dm2以上で電気めっきを実施し、前記摺動基材の表面上に請求項1に記載のめっき層を形成する電気めっき工程とを備える、摺動部材の製造方法。
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