本発明は、携帯機器を利用して複数の利用者の在宅状況を自動的に検知し、この在宅状況を示すデータを集中管理して、事業者等に提供可能にする在宅検知システムに関する。
特許文献1には、利用者が何の操作も行うことなく自動的に在宅/不在の状況を特定の利用者へ通知する在宅状況通知システムが開示されている。この在宅状況通知システムは、ルータ機能と無線LANアクセスポイント機能を併せ有するルータと、ルータにネットワーク接続される通知先端末とを備えている。ルータは、子機端末がルータに帰属した際、あるいは、子機端末の帰属がルータから解除された際、在宅状況通知メールを生成して通知先端末に送信する制御手段を備えている。
近年、インターネット通販の普及により、宅配業者が配達する荷物量が飛躍的に増加している。そして、受取人が留守のために必要となる再配達が、宅配業者の配達業務効率を下げる大きな要因となっている。本発明は、IT技術を利用して、この問題を解決しようとするものである。
本発明は、携帯機器を利用して複数の利用者の在宅状況を自動的に検知し、この在宅状況を示すデータを集中管理して、宅配業者等の事業者に提供可能にする、在宅検知システムを提供することを目的とする。
本発明では、在宅検知システムは、在宅履歴サーバーと、複数の利用者が自己の携帯機器にインストールして用い、前記在宅履歴サーバーとインターネットを介して通信可能な在宅検知アプリと、を備える。前記在宅検知アプリは、当該利用者が家にいるか否かを示す在宅/不在情報を、当該携帯機器がインターネット接続に用いている無線LANの情報、および、当該携帯機器のGPS機能によって取得されるGPS情報のうち少なくともいずれかを用いて、検知し、検知した在宅/不在情報を、インターネットを経由して、前記在宅履歴サーバーに送信し、前記在宅履歴サーバーは、前記在宅検知アプリから送信された在宅/不在情報を、前記複数の利用者別に、日時データとともに、在宅履歴データベースに保存する。
本発明によると、在宅検知システムにおいて、在宅検知アプリは、利用者の在宅/不在情報を、無線LAN情報およびGPS情報のうち少なくともいずれかを用いて、検知し、検知した在宅/不在情報を、在宅履歴サーバーに送信する。在宅履歴サーバーは、在宅検知アプリから送信された在宅/不在情報を、利用者別に、日時データとともに、在宅履歴データベースに保存する。これにより、例えば宅配業者は、在宅履歴データベースに保存されたデータを参照することによって、荷物の受取人の在宅/不在を確認することができる。したがって、配達業務効率の向上が可能となる。また、利用者の方からみると、自分の在宅/不在の検知のために何の操作を行う必要もなく、在宅検知アプリを起動させるだけで済むので、煩わしさは生じない。また、この在宅検知システムを構築するために、特許文献1のように、ルータに在宅状況検知のための制御手段を設ける必要もない。さらに、在宅履歴データベースに日時データとともに蓄積された在宅/不在情報から、例えば、受取人の在宅時間を予測することも可能になる。
また、本発明の在宅検知システムにおいて、前記在宅検知アプリは、検知した在宅/不在情報を、取得した無線LAN情報およびGPS情報とともに、前記在宅履歴サーバーに送信し、前記在宅履歴サーバーは、前記在宅検知アプリから送信された在宅/不在情報を、送信された無線LAN情報およびGPS情報とともに、前記在宅履歴データベースに保存する、としてもよい。
これにより、在宅履歴データベースに、利用者の在宅/不在情報とともに、在宅/不在が検知されたときの無線LAN情報およびGPS情報が保存される。このため、在宅履歴データベースの情報を基にして、例えば、利用者がモバイルルータを利用している、利用者が引っ越した、無線LANに障害が生じている、といった事象を推測することが可能になる。
さらに、前記在宅検知アプリは、前記携帯機器のジャイロセンサを利用して、前記携帯機器の動きの有無を示す移動フラグを取得し、取得した移動フラグを、在宅/不在情報、無線LAN情報およびGPS情報とともに、前記在宅履歴サーバーに送信し、前記在宅履歴サーバーは、前記在宅検知アプリから送信された移動フラグを、在宅/不在情報、無線LAN情報およびGPS情報とともに、前記在宅履歴データベースに保存する、としてもよい。
これにより、在宅履歴データベースに、利用者の在宅/不在情報、無線LAN情報およびGPS情報とともに、携帯機器の動きの有無を示す移動フラグが保存される。このため、在宅履歴データベースの情報を基にして、例えば、利用者が携帯機器を家に残して外出している、といった事象を推測することが可能になる。
また、本発明の在宅検知システムにおいて、前記在宅検知アプリは、利用者が、操作入力により、居留守を設定できる機能を有しており、操作入力によって居留守が設定されたとき、在宅/不在情報として、居留守を、前記在宅履歴サーバーに送信し、前記在宅履歴サーバーは、前記在宅履歴データベースに、在宅/不在情報として、在宅、不在、居留守の3種類を保存する、としてもよい。
この態様によると、利用者は、在宅しているが訪問を受けたくないとき、居留守を設定することができる。
また、本発明の在宅検知システムは、前記在宅履歴データベースに保存されたデータを利用する事業者が、情報機器にインストールして用いる在宅検知クライアントをさらに備え、前記在宅検知クライアントは、対象者の在宅/不在について、前記在宅履歴サーバーに問合せを行い、前記在宅履歴サーバーは、前記在宅検知クライアントから前記問合せを受けたとき、前記在宅履歴データベースを検索して、前記対象者の最新の在宅/不在情報を取得し、取得した在宅/不在情報を、前記在宅検知クライアントに返す、としてもよい。
これにより、在宅検知クライアントは、対象者の在宅/不在の情報を、在宅履歴サーバーから受けることができる。
そして、前記在宅検知クライアントは、対象者とその同居者の在宅/不在について、前記在宅履歴サーバーに問合せを行い、前記在宅履歴サーバーは、前記在宅検知アプリの利用者の情報が登録されたユーザーデータベースを備え、前記在宅検知クライアントから前記問合せを受けたとき、前記在宅履歴データベースを検索して、前記対象者の最新の在宅/不在情報を取得し、取得した在宅/不在情報が在宅であるときは、この在宅/不在情報を前記在宅検知クライアントに返す一方、取得した在宅/不在情報が不在であるときは、前記ユーザーデータベースを検索して、前記対象者の同居者を特定し、前記在宅履歴データベースを検索して、特定した前記同居者の最新の在宅/不在情報を取得し、取得した在宅/不在情報を、前記在宅検知クライアントに返す、としてもよい。
これにより、在宅検知クライアントは、対象者が不在であっても、その同居者の在宅/不在の情報を、在宅履歴サーバーから受けることができる。
あるいは、前記在宅検知クライアントは、対象者の在宅率について、前記在宅履歴サーバーに問合せを行い、前記在宅履歴サーバーは、前記在宅検知クライアントから前記問合せを受けたとき、前記在宅履歴データベースから、前記対象者の所定期間における在宅/不在情報を取得し、取得した在宅/不在情報から、前記対象者の在宅率を演算し、演算した在宅率を、前記在宅検知クライアントに返す、としてもよい。
この態様によると、在宅検知クライアントは、対象者の在宅率を、在宅履歴サーバーから受けることができる。
本発明によると、携帯機器を利用して複数の利用者の在宅状況を自動的に検知し、この在宅状況を示すデータを集中管理して、宅配業者等の事業者に提供可能にする、在宅検知システムを実現することができる。
実施形態に係る在宅検知システムの全体構成を示す図
在宅検知アプリの動作フローの例
在宅検知アプリのメニュー画面の一例
図2の動作フローにおける初期登録処理および在宅検知登録処理のフロー
ユーザーデータベースに格納されたデータのイメージ図
図2の動作フローにおける在宅検知処理のフロー
図6のフローにおける在宅判定処理の詳細フロー
在宅履歴データベースに格納されたデータのイメージ図
図6のフローにおけるフィードバック処理の詳細フロー
在宅検知クライアントのメニュー画面の一例
在宅検知クライアントの動作フローの例
在宅検知クライアントから問合せを受けた場合における、在宅履歴サーバーの動作フローの例
問合せ結果を示す画面の一例
在宅検知クライアントから問合せを受けた場合における、在宅履歴サーバーの動作フローの例
問合せ結果を示す画面の一例
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は実施形態に係る在宅検知システムの全体構成を示す図である。本在宅検知システムは、携帯機器を利用して、個人の在宅状況を検知し利用するシステムである。図1に示すように、本実施形態に係る在宅検知システムは、在宅検知アプリ(アプリケーション)1と、在宅履歴サーバー10と、在宅検知クライアント21とを備えている。
在宅検知アプリ1は、スマートフォンやタブレット等の携帯機器2にインストールされて利用され、携帯機器2の持ち主である人の在宅/不在(当該人が家にいるか否か)を自動的に検知するソフトウェアである。人の在宅/不在は、後述するとおり、携帯機器2がインターネット接続に用いている無線LAN(Local Area Network)3の情報や、携帯機器2のGPS(Global positioning system)機能によって取得される位置情報(GPS情報)を用いて、検知される。検知した在宅/不在情報は、インターネット5を経由して、在宅履歴サーバー10に送信される。
在宅履歴サーバー10は、在宅検知アプリ1から送信された在宅/不在情報を、利用者別に管理する。ユーザーデータベース(DB)11は、在宅検知アプリ1の各利用者の情報、具体的には例えば、氏名、生年月日等の個人データ、利用する無線LAN3の情報、在宅時におけるGPS情報、などを管理する。在宅履歴データベース12は、在宅検知アプリ1の各利用者について、在宅/不在情報の履歴を管理する。
在宅検知クライアント21は、例えば宅配業者等の事業者が、自己が所有するPC等の情報機器22にインストールして利用するソフトウェアである。在宅検知クライアント21は、インターネット5を介して在宅履歴サーバー10に問合せして、在宅履歴データベース12に保存された情報を、様々な形態で利用することができる。例えば、荷物の受取人が在宅か不在かを問い合わせたり、ある時間帯における在宅率を問い合わせたりすることができる。
<在宅検知アプリの動作>
図2は在宅検知アプリ1の動作フローである。まず、在宅検知アプリ1を起動したとき、初期登録がなされているか否かが判断され(S1)、初期登録がなされていないとき(S1でNo)は、初期登録処理S2を実行する。初期登録処理S2の詳細については後述する。初期登録がなされているとき(S1でYes)、あるいは初期登録処理S2が完了したとき、携帯機器2に、メニュー画面が表示される(S3)。また、メニュー画面に対して操作がなされるまでの間(S5)、在宅検知処理S4が実行され、在宅検知アプリ1の利用者の在宅/不在情報が検知される。在宅検知処理S4の詳細については後述する。
図3はメニュー画面の一例である。図3(a)は利用者が在宅時の画面例、図3(b)は利用者が不在時の画面例である。図3のメニュー画面では、在宅検知登録ボタンB11と、居留守設定ボタンB12とが表示されている。利用者が在宅検知登録ボタンB11を押すと(S6でYes)、在宅検知登録処理S7が実行される。また、利用者が居留守設定ボタンB12を押すと(S8でYes)、居留守設定処理S9が実行される。在宅検知登録処理S7および居留守設定処理S9の詳細については後述する。なお、居留守設定ボタンB12の表示は、押すたびに、「(現状:在宅)」と「(現状:不在)」とが切り替わる。また、図3(b)に示すように、利用者が不在時の場合は、居留守設定ボタンB12が無効になる。
(初期登録処理および在宅検知登録処理)
図4は初期登録処理S2および在宅検知登録処理S7のフローである。図4に示すように、まず、アプリIDが付与されているか否かが判断される(S11)。初期登録処理S2では、アプリIDはまだ付与されていないので(S11でNo)、在宅履歴サーバー10にアクセスしてアプリIDを取得する(S12)。その後、ステップS13に進む。一方、在宅検知登録処理S7では、アプリIDはすでに付与されているので(S11でYes)、ステップS13に進む。
ステップS13では、在宅検知アプリ1の利用者の自宅における無線LANの情報を取得する。ここでは、無線LAN情報として、携帯機器2が検出している電波強度が強いSSID/BSSIDのリストを取得するものとする。BSSIDとSSIDをセットにする理由は、無線LAN中継機を使用している場合、同じSSIDでBSSIDが異なる子組み合わせが存在するためである。また、携帯機器2のGPS機能を利用して、GPS情報を取得する(S14)。ここでは、GPS情報として、位置を示す緯度・経度を取得するものとする。
その後、利用者が、携帯機器2に表示された個人情報登録画面から、自己の個人データを入力する(S15)。入力する個人データとしては、例えば、氏名、ハンドル名、パスワード、生年月日、住所などがある。あるいは、訪問許可時間などを入力できるようにしてもよい。なお、必須データの入力が抜けていたり、データに誤りがあったりしたような場合には(S16でYes)、画面にエラー表示がなされる(S17)。
そして、取得された無線LAN情報およびGPS情報と、画面入力された個人データは、在宅検知アプリ1の内部に保持されるとともに、在宅履歴サーバー10に送信される(S18)。在宅履歴サーバー10は、在宅検知アプリ1から送信された、無線LAN情報、GPS情報および個人データを、ユーザーデータベース11に保存し管理する。
図5はユーザーデータベース11に格納されたデータのイメージ図である。図5では、各利用者毎に、そのアプリIDと対応付けて、無線LAN情報、GPS情報および個人データが格納されている。なお、無線LAN情報およびGPS情報のセルに記したデータは、架空のものである。また、個人データのセルは図示の便宜上、空白にしているが、実際には各利用者の個人データがそれぞれ格納される。なお、図5の例では、無線LAN情報として、SSID/BSSIDの組み合わせが3種類登録されているが、登録する無線LAN情報の個数はこれに限られるものではない。
(在宅検知処理)
図6は在宅検知処理S4のフローである。図6に示すように、まず、携帯機器2のGPS機能を利用して、GPS情報を取得する(S21)。GPS情報の取得が成功しなかったときは、GPS情報をNULLとする。また、無線LAN情報として、現在インターネット接続に用いているSSID/BSSIDを取得する(S22)。そして、取得したGPS情報と無線LAN情報から、利用者の状態変化の有無を判断する(S23)。
ここでは、GPS情報が示す利用者の位置が所定距離例えば500m以上変化した場合、あるいは、無線LAN情報として取得したSSID/BSSIDが変化している場合、状態変化があったと判断し(S23でYes)、ステップS24にすすむ。一方、GPS情報が示す利用者の位置が500m以上変化しておらず、かつ、無線LAN情報として取得したSSID/BSSIDが変化していない場合は、状態変化がなかったと判断し(S23でNo)、在宅検知処理S4を終了する。ここで、利用者の状態変化が無い場合に在宅検知処理S4を終了する理由は、在宅履歴サーバー10への在宅/不在情報の送信を省いて、在宅履歴サーバー10の処理負荷を軽減するためである。なお、利用者の状態変化が無い場合であっても、例えば、前回の在宅履歴サーバー10への在宅/不在情報の送信から所定時間例えば10分が経過しているときは、ステップS24以降の処理にすすむ、というようにしてもかまわない。
ステップS24では、携帯機器2のジャイロセンサを利用して、携帯機器2の動きの有無を示す移動フラグを取得する。この移動フラグは、携帯機器2に動きがあるときはON、携帯機器2に動きがないときはOFFとなる。そして、在宅判定処理S25を実行する。
図7は在宅判定処理S25の詳細フローである。図7に示すように、GPS情報の取得が成功しているときは(S251でYes)、取得したGPS情報を、在宅検知アプリ1に登録されているGPS情報と比較する(S252)。そして、GPS情報が示す位置の違いが所定距離例えば20m以内のときは(S252でYes)、利用者は「在宅」と判定する(S253)。一方、GPS情報の取得が成功していないとき(S251でNo)、または、GPS情報が示す位置の違いが所定距離例えば20m以内でないとき(S252でNo)は、ステップS254にすすむ。
ステップS254では、無線LAN情報が在宅検知アプリ1内部に登録されているか否かを確認する(S254)。そして、登録されているときは(S254でYes)、取得した無線LAN情報を、在宅検知アプリ1に登録された無線LAN情報と比較する(S255)。そして、無線LAN情報が一致するときは(S255でYes)、利用者は「在宅」と判定する(S253)。一方、無線LAN情報が在宅検知アプリ1内部に登録されていないとき(S254でNo)、または、無線LAN情報が一致しないとき(S255でNo)は、利用者は「不在」と判定する(S256)。
図6のフローに戻り、在宅判定処理S25において「在宅」と判定されたときは、在宅/不在情報として「在宅」が、取得したGPS情報、無線LAN情報および移動フラグとともに、在宅履歴サーバー10に送信される(S26)。また、在宅判定処理S25において「不在」と判定されたときは、在宅/不在情報として「不在」が、取得したGPS情報、無線LAN情報および移動フラグとともに、在宅履歴サーバー10に送信される(S27)。在宅履歴サーバー10は、在宅検知アプリ1から送信された、在宅/不在情報(「在宅」または「不在」)、無線LAN情報、GPS情報および移動フラグを、在宅履歴データベース12に保存し管理する。
図8は在宅履歴データベース12に格納されたデータのイメージ図である。図8の例では、日時データとともに、在宅値、無線LAN情報、GPS情報、および、移動フラグが保存されている。在宅値は、在宅検知アプリ1から送信された在宅/不在情報に対応する値であり、ここでは、「0」が不在、「1」が在宅、「2」が居留守を意味している。図8の例では、データ「00001」〜「00003」の期間は、利用者は在宅している。この期間では、無線LAN情報は取得されており、GPS情報は変化しておらず、移動フラグはOFFまたはONである。一方、「00004」〜「00008」の期間は、利用者は不在である。この期間では、無線LAN情報は取得されておらず、GPS情報は変化しており、移動フラグはONである。すなわち、利用者は外出して移動中であると推測することができる。
図6のフローに戻り、判定結果が在宅履歴サーバー10に送信された(S26,S27)後、フィードバック処理S28が行われる。フィードバック処理S28では、在宅履歴サーバー10から、無線LAN情報およびGPS情報の最適化データを受信する。そして、受信した最適化データと在宅検知アプリ1の内部に登録された情報との間にずれがあるとき、在宅検知アプリ1の内部に登録された情報を、受信した最適化データに更新する。
図9はフィードバック処理S28の詳細フローである。図9に示すように、まず、在宅検知アプリ1は、在宅履歴サーバー10にモバイルルータ判定を問い合わせる(S281)。問合せを受けた在宅履歴サーバー10は、在宅履歴データベース12に保存された当該利用者のデータを基にして、モバイルルータ判定を行う。具体的には例えば、在宅履歴サーバー10は、在宅履歴データベース12から、当該利用者の過去24時間分のデータを読み出す。そして、無線LAN情報が同一のデータについて、GPS情報を分析し、当該利用者の位置が1箇所に集中しているか、2箇所で集中しているか、あるいは、3箇所以上に分散しているかを判定する。この場合、GPS情報が示す緯度/経度データを所定距離例えば250m単位で丸めた上で、判断するのが好ましい。そして、利用者の位置が、1箇所に集中している場合は「移動なし」、2箇所に集中している場合は「引っ越し」、3箇所以上に分散している場合は「モバイルルータ」と判定する。
在宅検知アプリ1は、在宅履歴サーバー10から判定結果を受信し、判定結果が「モバイルルータ」であるときは(S282でYes、S283でYes)、携帯機器2の画面を介して、利用者にモバイルルータであるか否かを確認させる(S284)。利用者が、モバイルルータであると回答したときは、当該モバイルルータに関する無線LAN情報の登録を削除する。また、判定結果が「引っ越し」であるときは(S282でYes、S283でNo)、携帯機器2の画面を介して利用者に、引っ越したか否かを確認する(S285)。利用者が、引っ越したと回答したときは、再度、初期登録処理S2を実行してもらう。
一方、在宅履歴サーバー10から受信した判定結果が「移動なし」であるとき(S282でNo)、または、利用者が、モバイルルータでない、あるいは、引っ越していない、と回答したときは、在宅履歴サーバー10から、GPS情報の更新情報を取得する(S286)。具体的には例えば、在宅履歴サーバー10は、無線LAN情報が同一のデータについて、GPS情報が示す緯度/経度データからその重心位置を特定し、これをGPS情報の更新情報として、在宅検知アプリ1に送信する。
次に、GPS情報によって在宅と判定され、かつ、無線LAN情報が在宅検知アプリ1内部に登録されているか否かを判断する(S287)。ステップS287でYesのときは、携帯機器2の無線LAN設定がオフになっているか否かを検知する(S288)。そして、オフになっていると検知したときは(S288でYes)、携帯機器2の画面を介して利用者に、携帯機器2の無線LAN設定がオフになっている旨を伝える(S289)。一方、ステップS289でNoのときは、在宅検知アプリ1は、在宅履歴サーバー10にルータ故障判定を問い合わせる(S28A)。問合せを受けた在宅履歴サーバー10は、在宅履歴データベース12に保存された当該利用者のデータを基にして、ルータ故障判定を行う。具体的には例えば、在宅履歴サーバー10は、在宅履歴データベース12から当該利用者の最新のデータを読み出す。そして、GPS情報が在宅を示しているにもかかわらず、無線LAN情報がNULLであるときは、「ルータ故障」と判定する。それ以外のときは、「ルータ正常」と判定する。
在宅検知アプリ1は、在宅履歴サーバー10から判定結果を受信し、判定結果が「ルータ故障」であるときは(S28BでYes)、携帯機器2の画面を介して、利用者に、例えばルータの電源が切れていないかを確認させる(S28C)。
そして、在宅検知アプリ1は、内部に登録していたGPS情報および無線LAN情報を更新するとともに、更新したGPS情報および無線LAN情報を、在宅履歴サーバー10に送信する(S28D)。
(居留守設定処理)
本在宅検知システムでは、利用者が、家に在宅していても宅配業者等の訪問を避けたい場合に対応できるように、居留守設定機能を設けている。在宅検知アプリ1は、利用者が、操作入力により、居留守を設定できる機能を有している。
図3(a)のメニュー画面において、利用者が在宅時に居留守設定ボタンB12を押し、表示を「(現状:不在)」に切り替えると、在宅検知アプリ1には在宅/不在情報として「居留守」が設定される。そして、在宅検知アプリ1から、在宅/不在情報として「居留守」が、GPS情報、無線LAN情報および移動フラグとともに、在宅履歴サーバー10に送信される。また、利用者が在宅時に居留守設定ボタンB12を押し、表示を「(現状:在宅)」に切り替えると、在宅検知アプリ1には在宅/不在情報として「在宅」が設定される。そして、在宅検知アプリ1から、在宅/不在情報として「在宅」が、GPS情報、無線LAN情報および移動フラグとともに、在宅履歴サーバー10に送信される。
図8の在宅履歴データベース12の例では、データ「00012」〜「00014」の期間は、利用者は「居留守」を設定している。この期間では、無線LAN情報は取得されており、GPS情報は変化しておらず、移動フラグはOFFまたはONである。
以上のような動作によって、在宅履歴サーバー10は、在宅履歴データベース12に、在宅検知アプリ1の各利用者について、在宅/不在の履歴を管理することができる。したがって、在宅履歴データベース12のデータを、例えば宅配業者等の事業者に提供することによって、宅配効率を向上させることができる。
<在宅検知クライアントの動作>
図10は在宅検知クライアント21のメニュー画面の一例である。図10のメニュー画面では、対象者在宅状況取得ボタンB21、同居者在宅状況取得ボタンB22、日別対象者在宅予測ボタンB23、日別同居者在宅予測ボタンB24、週間対象者在宅予測ボタンB25、および、週間同居者在宅予測ボタンB26が表示されている。利用者がボタンB21〜B26のいずれかを押すと、在宅検知クライアント21が在宅履歴サーバー10に問合せを行い、在宅履歴サーバー10は対応する処理を実行し、その結果を在宅検知クライアント21に返す。
(対象者在宅状況取得)
図11は在宅検知クライアント21の基本動作フローの例であり、対象者在宅状況取得処理を実行する場合を示す。図10のメニュー画面において、在宅検知クライアント21の利用者が対象者在宅状況取得ボタンB21を押すと、読み仮名検索画面が表示される(S31)。利用者は、この読み仮名検索画面において、在宅状況を取得したい対象者の読み仮名を入力し検索する(S32)。検索結果が対象者選択画面に表示され(S33)、在宅検知クライアント21の利用者が検索結果の中から対象者を選択すると、在宅検知クライアント21は在宅履歴サーバー10にアクセスし、対象者の在宅状況について問合せを行う。そして、在宅履歴サーバー10から対象者の在宅/不在情報を取得し、画面に表示する(S34)。
図12は在宅検知クライアント21から問合せを受けた場合における、在宅履歴サーバー10の動作フローの例である。在宅履歴サーバー10は、在宅検知クライアント21から対象者の在宅状況について問合せを受けると、在宅履歴データベース12の中から対象者の最新データを検索する(S41)。そして、対象者の最新データがあるときは(S42でYes)、その最新データに含まれた在宅値を基にして、在宅/不在情報を在宅検知クライアント21に返す。この場合、在宅値が「0」または「2」のときは、在宅/不在情報として「不在」を返し、在宅値が「1」のときは、在宅/不在情報として「在宅」を返す。すなわち、在宅検知アプリ1の利用者が居留守を設定しているときは、在宅検知クライアント21には「不在」と通知される。
一方、対象者の最新データがないときは(S42でNo)、エラーを在宅検知クライアント21に返す(S44)。例えば、対象者の最新データの時刻が所定時間例えば20分以上前であるとき、エラーを在宅検知クライアント21に返すようにしてもよい。これは、在宅検知アプリ1から在宅/不在情報が所定時間以上送信されていない場合には、携帯機器2の障害等の可能性があるためである。
また、対象者の最新データが、通常状態ではない可能性がある所定の条件を満たす場合には、在宅/不在情報とともに、通常状態ではない可能性がある旨を示す添付データを、在宅検知クライアント21に返すようにしてもよい。例えば、在宅値が「1」であり、ユーザーデータベース11では無線LAN情報が登録されているにもかかわらず、対象者の最新データの無線LAN情報が「NULL」であるときは、添付データとして「無線LAN障害の可能性あり」を返す。また、在宅値が「1」であるのに、対象者の最新データのGPS情報が、ユーザーデータベース11に登録されたGPS情報から所定距離例えば500m以上離れているときは、添付データとして「モバイルルータの可能性あり」を返す。あるいは、在宅値が「1」であるのに、移動フラグが所定時間例えば60分以上OFFであるときは、添付データとして「携帯機器忘れの可能性あり」を返す。
図13は問合せ結果を示す画面の一例である。図13の画面では、対象者である「XXXXXXX」さんは、「17:40」の時点で「在宅」である旨が示されている。ここでの「17:40」は、在宅履歴データベース12から検索された対象者の最新データの時刻に対応している。また、添付データとして「携帯忘れの可能性あり」を受信したので、その旨のメッセージが画面に表示されている。
(同居者在宅状況取得)
同居者在宅状況取得処理では、在宅検知クライアント21の動作フローは図11と同様である。すなわち、図10のメニュー画面において、在宅検知クライアント21の利用者が同居者在宅状況取得ボタンB22を押すと、読み仮名検索画面が表示される(S31)。利用者は、この読み仮名検索画面において、在宅状況を取得したい対象者の読み仮名を入力し検索する(S32)。検索結果が対象者選択画面に表示され(S33)、在宅検知クライアント21の利用者が検索結果の中から対象者を選択すると、在宅検知クライアント21は在宅履歴サーバー10にアクセスし、対象者の在宅情報について問合せを行う(S34)。
ただし、同居者在宅状況取得処理では、在宅履歴サーバー10は、対象者が不在の場合には、その同居者についても在宅状況を確認する。そして、在宅検知クライアント21は、在宅履歴サーバー10から対象者とその同居者の在宅/不在情報を取得し、画面に表示する。
図14は在宅検知クライアント21から問合せを受けた場合における、在宅履歴サーバー10の動作フローの例である。在宅履歴サーバー10は、在宅検知クライアント21から対象者の在宅状況について問合せを受けると、まず、ユーザーデータベース11において対象者の登録情報を確認する(S51)。そして、ユーザーデータベース11から、対象者の同居者を検索する(S52)。ここでは、対象者と同じ住所を登録している人、および、対象者と同じ無線LAN情報を登録している人を、同居者として認定する。なお、同居者は、1人の場合もあるし、複数人の場合もあり得る。
そして、在宅履歴データベース12から対象者の最新データを検索する(S53)。そして、対象者の最新データがあり、その在宅値が「1」のときは(S54でYes)、在宅/不在情報として「在宅」を返す(S55)。一方、対象者の最新データがないときや、対象者の最新データの在宅値が「0」または「2」のときは(S54でNo)、同居者の在宅状況を検索する。すなわち、在宅履歴データベース12から、同居者の最新データを検索する(S56)。そして、同居者の最新データがあり、その在宅値が「1」のときは(S57でYes)、在宅/不在情報として「在宅」を返す(S55)。一方、同居者の最新データがないときや、同居者の最新データの在宅値が「0」または「2」のときは(S57でNo)、在宅/不在情報として「不在」を返す(S58)。なお、同居者が複数人ある場合は、最新データがあり、その在宅値が「1」である同居者が1人でもいるとき、在宅/不在情報として「在宅」を返すものとする。
(在宅率取得)
在宅履歴サーバー10は、在宅履歴データベース12のデータを基にして、在宅検知アプリ1の各利用者について、時間帯別や曜日別等の在宅率を演算することができる。この在宅率によって、対象者の在宅予測を行うことができる。
例えば、1日を15分単位で96(=24×60/15)区間に区切り、各区間における在宅率を、在宅履歴データベース12の各データから求めるものとする。例えば、『10時23分不在』というデータについて、その前のデータが『10時14分在宅』であるとき、10時〜10時15分の区間に1分間の「在宅」を加え、次の10時15分〜30分の区間に8分間の「在宅」を加える。このような処理を、在宅履歴データベース12の各データについて行うことによって、各区間における在宅率が求められる。
在宅検知クライアント21では、日別対象者在宅予測ボタンB23を押すと、対象者について、1日のうち指定した時刻の範囲における在宅率を取得することができる。また、日別同居者在宅予測ボタンB24を押すと、対象者および同居者について、1日のうち指定した時刻の範囲における在宅率を取得することができる。週間対象者在宅予測ボタンB25を押すと、対象者について、曜日別の在宅率を取得することができる。また、週間同居者在宅予測ボタンB26を押すと、対象者および同居者について、曜日別の在宅率を取得することができる。
ここでは、日別対象者在宅予測を例にとって説明する。図10のメニュー画面において、日別対象者在宅予測ボタンB23を押し、対象者を指定し、時間帯として例えば8:00〜20:00までを指定する。在宅検知クライアント21は、在宅履歴サーバー10に、指定した時間範囲における対象者の在宅率を問い合わせる。在宅履歴サーバー10は、対象者について、例えば直近1週間のデータから、8:00〜20:00における各時間帯の在宅率を演算し、在宅検知クライアント21に返す。
図15は問合せ結果を示す画面の一例である。図15の画面では、対象者である「XXXXXXX」について、8:00〜20:00における1時間毎の在宅率が示されている。これと同様に、曜日別の在宅率を取得することもできる。また、対象者と同居者を含めた在宅率を取得することもできる。この場合は例えば、各時間帯において、対象者および同居者の在宅率のうち、その最大値を在宅率とすればよい。
以上のように本実施形態によると、在宅検知システムにおいて、在宅検知アプリ1は、利用者の在宅/不在情報を、無線LAN情報およびGPS情報のうち少なくともいずれかを用いて、検知し、検知した在宅/不在情報を、在宅履歴サーバー10に送信する。在宅履歴サーバー10は、在宅検知アプリ1から送信された在宅/不在情報を、利用者別に、日時データとともに、在宅履歴データベース12に保存する。これにより、例えば宅配業者は、在宅履歴データベース12に保存されたデータを参照することによって、荷物の受取人の在宅/不在を確認することができる。したがって、配達業務効率の向上が可能となる。また、利用者の方からみると、自分の在宅/不在の検知のために何の操作を行う必要もなく、在宅検知アプリ1を起動させるだけで済むので、煩わしさは生じない。
また、在宅履歴データベース12に、利用者の在宅/不在情報とともに、在宅/不在が検知されたときの無線LAN情報およびGPS情報が保存される。このため、在宅履歴データベース12の情報を基にして、例えば、利用者がモバイルルータを利用している、利用者が引っ越した、無線LANに障害が生じている、といった事象を推測することが可能になる。また、在宅履歴データベース12に、利用者の在宅/不在情報、無線LAN情報およびGPS情報とともに、携帯機器2の動きの有無を示す移動フラグが保存される。このため、在宅履歴データベース12の情報を基にして、例えば、利用者が携帯機器2を家に残して外出している、といった事象を推測することが可能になる。
また、在宅検知アプリ1は、利用者が、操作入力により、居留守を設定できる機能を有しており、在宅履歴サーバー10は、在宅履歴データベース12に、在宅/不在情報として、在宅、不在、居留守の3種類を保存する。このため、在宅検知アプリ1の利用者は、例えば在宅しているが宅配業者の訪問を受けたくないとき等に、居留守を設定することができる。
また、在宅検知クライアント21は、対象者の在宅/不在情報を、在宅履歴サーバー10から受けることができる。あるいは、在宅検知クライアント21は、対象者が不在であっても、その同居者の在宅/不在情報を、在宅履歴サーバー10から受けることができる。さらには、在宅検知クライアント21は、対象者の在宅率を、在宅履歴サーバー10から受けることができる。
1 在宅検知アプリ
2 携帯機器
3 無線LAN
5 インターネット
10 在宅履歴サーバー
11 ユーザーデータベース
12 在宅履歴データベース
21 在宅検知クライアント
22 情報機器
本発明は、携帯機器を利用して複数の利用者の在宅状況を自動的に検知し、この在宅状況を示すデータを集中管理して、事業者等に提供可能にする在宅検知システムに関する。
特許文献1には、利用者が何の操作も行うことなく自動的に在宅/不在の状況を特定の利用者へ通知する在宅状況通知システムが開示されている。この在宅状況通知システムは、ルータ機能と無線LANアクセスポイント機能を併せ有するルータと、ルータにネットワーク接続される通知先端末とを備えている。ルータは、子機端末がルータに帰属した際、あるいは、子機端末の帰属がルータから解除された際、在宅状況通知メールを生成して通知先端末に送信する制御手段を備えている。
近年、インターネット通販の普及により、宅配業者が配達する荷物量が飛躍的に増加している。そして、受取人が留守のために必要となる再配達が、宅配業者の配達業務効率を下げる大きな要因となっている。本発明は、IT技術を利用して、この問題を解決しようとするものである。
本発明は、携帯機器を利用して複数の利用者の在宅状況を自動的に検知し、この在宅状況を示すデータを集中管理して、宅配業者等の事業者に提供可能にする、在宅検知システムを提供することを目的とする。
本発明では、在宅検知システムは、在宅履歴サーバーと、複数の利用者が自己の携帯機器にインストールして用い、前記在宅履歴サーバーとインターネットを介して通信可能な在宅検知アプリと、を備える。前記在宅検知アプリは、当該利用者が家にいるか否かを示す在宅/不在情報を、当該携帯機器がインターネット接続に用いている無線LANの情報、および、当該携帯機器のGPS機能によって取得されるGPS情報のうち少なくともいずれかを用いて、検知し、検知した在宅/不在情報を、インターネットを経由して、前記在宅履歴サーバーに送信し、前記在宅履歴サーバーは、前記在宅検知アプリから送信された在宅/不在情報を、前記複数の利用者別に、日時データとともに、在宅履歴データベースに保存する。
また、本発明の在宅検知システムは、前記在宅履歴データベースに保存されたデータを利用する事業者が、情報機器にインストールして用いる在宅検知クライアントをさらに備え、前記在宅検知クライアントは、対象者の在宅/不在について、前記在宅履歴サーバーに問合せを行い、前記在宅履歴サーバーは、前記在宅検知クライアントから前記問合せを受けたとき、前記在宅履歴データベースを検索して、前記対象者の最新の在宅/不在情報を取得し、取得した在宅/不在情報を、前記在宅検知クライアントに返す。
さらに、前記在宅検知クライアントは、対象者とその同居者の在宅/不在について、前記在宅履歴サーバーに問合せを行い、前記在宅履歴サーバーは、前記在宅検知アプリの利用者の情報が登録されたユーザーデータベースを備え、前記在宅検知クライアントから前記問合せを受けたとき、前記在宅履歴データベースを検索して、前記対象者の最新の在宅/不在情報を取得し、取得した在宅/不在情報が在宅であるときは、この在宅/不在情報を前記在宅検知クライアントに返す一方、取得した在宅/不在情報が不在であるときは、前記ユーザーデータベースを検索して、前記対象者の同居者を特定し、前記在宅履歴データベースを検索して、特定した前記同居者の最新の在宅/不在情報を取得し、取得した在宅/不在情報を、前記在宅検知クライアントに返す。
本発明によると、在宅検知システムにおいて、在宅検知アプリは、利用者の在宅/不在情報を、無線LAN情報およびGPS情報のうち少なくともいずれかを用いて、検知し、検知した在宅/不在情報を、在宅履歴サーバーに送信する。在宅履歴サーバーは、在宅検知アプリから送信された在宅/不在情報を、利用者別に、日時データとともに、在宅履歴データベースに保存する。これにより、例えば宅配業者は、在宅履歴データベースに保存されたデータを参照することによって、荷物の受取人の在宅/不在を確認することができる。したがって、配達業務効率の向上が可能となる。また、利用者の方からみると、自分の在宅/不在の検知のために何の操作を行う必要もなく、在宅検知アプリを起動させるだけで済むので、煩わしさは生じない。また、この在宅検知システムを構築するために、特許文献1のように、ルータに在宅状況検知のための制御手段を設ける必要もない。さらに、在宅履歴データベースに日時データとともに蓄積された在宅/不在情報から、例えば、受取人の在宅時間を予測することも可能になる。また、在宅検知クライアントは、対象者の在宅/不在の情報を、在宅履歴サーバーから受けることができる。さらに、在宅検知クライアントは、対象者が不在であっても、その同居者の在宅/不在の情報を、在宅履歴サーバーから受けることができる。
また、本発明の在宅検知システムにおいて、前記在宅検知アプリは、検知した在宅/不在情報を、取得した無線LAN情報およびGPS情報とともに、前記在宅履歴サーバーに送信し、前記在宅履歴サーバーは、前記在宅検知アプリから送信された在宅/不在情報を、送信された無線LAN情報およびGPS情報とともに、前記在宅履歴データベースに保存する、としてもよい。
これにより、在宅履歴データベースに、利用者の在宅/不在情報とともに、在宅/不在が検知されたときの無線LAN情報およびGPS情報が保存される。このため、在宅履歴データベースの情報を基にして、例えば、利用者がモバイルルータを利用している、利用者が引っ越した、無線LANに障害が生じている、といった事象を推測することが可能になる。
さらに、前記在宅検知アプリは、前記携帯機器のジャイロセンサを利用して、前記携帯機器の動きの有無を示す移動フラグを取得し、取得した移動フラグを、在宅/不在情報、無線LAN情報およびGPS情報とともに、前記在宅履歴サーバーに送信し、前記在宅履歴サーバーは、前記在宅検知アプリから送信された移動フラグを、在宅/不在情報、無線LAN情報およびGPS情報とともに、前記在宅履歴データベースに保存する、としてもよい。
これにより、在宅履歴データベースに、利用者の在宅/不在情報、無線LAN情報およびGPS情報とともに、携帯機器の動きの有無を示す移動フラグが保存される。このため、在宅履歴データベースの情報を基にして、例えば、利用者が携帯機器を家に残して外出している、といった事象を推測することが可能になる。
また、本発明の在宅検知システムにおいて、前記在宅検知アプリは、利用者が、操作入力により、居留守を設定できる機能を有しており、操作入力によって居留守が設定されたとき、在宅/不在情報として、居留守を、前記在宅履歴サーバーに送信し、前記在宅履歴サーバーは、前記在宅履歴データベースに、在宅/不在情報として、在宅、不在、居留守の3種類を保存する、としてもよい。
この態様によると、利用者は、在宅しているが訪問を受けたくないとき、居留守を設定することができる。
また、前記在宅検知クライアントは、対象者の在宅率について、前記在宅履歴サーバーに問合せを行い、前記在宅履歴サーバーは、前記在宅検知クライアントから前記問合せを受けたとき、前記在宅履歴データベースから、前記対象者の所定期間における在宅/不在情報を取得し、取得した在宅/不在情報から、前記対象者の在宅率を演算し、演算した在宅率を、前記在宅検知クライアントに返す、としてもよい。
この態様によると、在宅検知クライアントは、対象者の在宅率を、在宅履歴サーバーから受けることができる。
本発明によると、携帯機器を利用して複数の利用者の在宅状況を自動的に検知し、この在宅状況を示すデータを集中管理して、宅配業者等の事業者に提供可能にする、在宅検知システムを実現することができる。
実施形態に係る在宅検知システムの全体構成を示す図
在宅検知アプリの動作フローの例
在宅検知アプリのメニュー画面の一例
図2の動作フローにおける初期登録処理および在宅検知登録処理のフロー
ユーザーデータベースに格納されたデータのイメージ図
図2の動作フローにおける在宅検知処理のフロー
図6のフローにおける在宅判定処理の詳細フロー
在宅履歴データベースに格納されたデータのイメージ図
図6のフローにおけるフィードバック処理の詳細フロー
在宅検知クライアントのメニュー画面の一例
在宅検知クライアントの動作フローの例
在宅検知クライアントから問合せを受けた場合における、在宅履歴サーバーの動作フローの例
問合せ結果を示す画面の一例
在宅検知クライアントから問合せを受けた場合における、在宅履歴サーバーの動作フローの例
問合せ結果を示す画面の一例
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は実施形態に係る在宅検知システムの全体構成を示す図である。本在宅検知システムは、携帯機器を利用して、個人の在宅状況を検知し利用するシステムである。図1に示すように、本実施形態に係る在宅検知システムは、在宅検知アプリ(アプリケーション)1と、在宅履歴サーバー10と、在宅検知クライアント21とを備えている。
在宅検知アプリ1は、スマートフォンやタブレット等の携帯機器2にインストールされて利用され、携帯機器2の持ち主である人の在宅/不在(当該人が家にいるか否か)を自動的に検知するソフトウェアである。人の在宅/不在は、後述するとおり、携帯機器2がインターネット接続に用いている無線LAN(Local Area Network)3の情報や、携帯機器2のGPS(Global positioning system)機能によって取得される位置情報(GPS情報)を用いて、検知される。検知した在宅/不在情報は、インターネット5を経由して、在宅履歴サーバー10に送信される。
在宅履歴サーバー10は、在宅検知アプリ1から送信された在宅/不在情報を、利用者別に管理する。ユーザーデータベース(DB)11は、在宅検知アプリ1の各利用者の情報、具体的には例えば、氏名、生年月日等の個人データ、利用する無線LAN3の情報、在宅時におけるGPS情報、などを管理する。在宅履歴データベース12は、在宅検知アプリ1の各利用者について、在宅/不在情報の履歴を管理する。
在宅検知クライアント21は、例えば宅配業者等の事業者が、自己が所有するPC等の情報機器22にインストールして利用するソフトウェアである。在宅検知クライアント21は、インターネット5を介して在宅履歴サーバー10に問合せして、在宅履歴データベース12に保存された情報を、様々な形態で利用することができる。例えば、荷物の受取人が在宅か不在かを問い合わせたり、ある時間帯における在宅率を問い合わせたりすることができる。
<在宅検知アプリの動作>
図2は在宅検知アプリ1の動作フローである。まず、在宅検知アプリ1を起動したとき、初期登録がなされているか否かが判断され(S1)、初期登録がなされていないとき(S1でNo)は、初期登録処理S2を実行する。初期登録処理S2の詳細については後述する。初期登録がなされているとき(S1でYes)、あるいは初期登録処理S2が完了したとき、携帯機器2に、メニュー画面が表示される(S3)。また、メニュー画面に対して操作がなされるまでの間(S5)、在宅検知処理S4が実行され、在宅検知アプリ1の利用者の在宅/不在情報が検知される。在宅検知処理S4の詳細については後述する。
図3はメニュー画面の一例である。図3(a)は利用者が在宅時の画面例、図3(b)は利用者が不在時の画面例である。図3のメニュー画面では、在宅検知登録ボタンB11と、居留守設定ボタンB12とが表示されている。利用者が在宅検知登録ボタンB11を押すと(S6でYes)、在宅検知登録処理S7が実行される。また、利用者が居留守設定ボタンB12を押すと(S8でYes)、居留守設定処理S9が実行される。在宅検知登録処理S7および居留守設定処理S9の詳細については後述する。なお、居留守設定ボタンB12の表示は、押すたびに、「(現状:在宅)」と「(現状:不在)」とが切り替わる。また、図3(b)に示すように、利用者が不在時の場合は、居留守設定ボタンB12が無効になる。
(初期登録処理および在宅検知登録処理)
図4は初期登録処理S2および在宅検知登録処理S7のフローである。図4に示すように、まず、アプリIDが付与されているか否かが判断される(S11)。初期登録処理S2では、アプリIDはまだ付与されていないので(S11でNo)、在宅履歴サーバー10にアクセスしてアプリIDを取得する(S12)。その後、ステップS13に進む。一方、在宅検知登録処理S7では、アプリIDはすでに付与されているので(S11でYes)、ステップS13に進む。
ステップS13では、在宅検知アプリ1の利用者の自宅における無線LANの情報を取得する。ここでは、無線LAN情報として、携帯機器2が検出している電波強度が強いSSID/BSSIDのリストを取得するものとする。BSSIDとSSIDをセットにする理由は、無線LAN中継機を使用している場合、同じSSIDでBSSIDが異なる子組み合わせが存在するためである。また、携帯機器2のGPS機能を利用して、GPS情報を取得する(S14)。ここでは、GPS情報として、位置を示す緯度・経度を取得するものとする。
その後、利用者が、携帯機器2に表示された個人情報登録画面から、自己の個人データを入力する(S15)。入力する個人データとしては、例えば、氏名、ハンドル名、パスワード、生年月日、住所などがある。あるいは、訪問許可時間などを入力できるようにしてもよい。なお、必須データの入力が抜けていたり、データに誤りがあったりしたような場合には(S16でYes)、画面にエラー表示がなされる(S17)。
そして、取得された無線LAN情報およびGPS情報と、画面入力された個人データは、在宅検知アプリ1の内部に保持されるとともに、在宅履歴サーバー10に送信される(S18)。在宅履歴サーバー10は、在宅検知アプリ1から送信された、無線LAN情報、GPS情報および個人データを、ユーザーデータベース11に保存し管理する。
図5はユーザーデータベース11に格納されたデータのイメージ図である。図5では、各利用者毎に、そのアプリIDと対応付けて、無線LAN情報、GPS情報および個人データが格納されている。なお、無線LAN情報およびGPS情報のセルに記したデータは、架空のものである。また、個人データのセルは図示の便宜上、空白にしているが、実際には各利用者の個人データがそれぞれ格納される。なお、図5の例では、無線LAN情報として、SSID/BSSIDの組み合わせが3種類登録されているが、登録する無線LAN情報の個数はこれに限られるものではない。
(在宅検知処理)
図6は在宅検知処理S4のフローである。図6に示すように、まず、携帯機器2のGPS機能を利用して、GPS情報を取得する(S21)。GPS情報の取得が成功しなかったときは、GPS情報をNULLとする。また、無線LAN情報として、現在インターネット接続に用いているSSID/BSSIDを取得する(S22)。そして、取得したGPS情報と無線LAN情報から、利用者の状態変化の有無を判断する(S23)。
ここでは、GPS情報が示す利用者の位置が所定距離例えば500m以上変化した場合、あるいは、無線LAN情報として取得したSSID/BSSIDが変化している場合、状態変化があったと判断し(S23でYes)、ステップS24にすすむ。一方、GPS情報が示す利用者の位置が500m以上変化しておらず、かつ、無線LAN情報として取得したSSID/BSSIDが変化していない場合は、状態変化がなかったと判断し(S23でNo)、在宅検知処理S4を終了する。ここで、利用者の状態変化が無い場合に在宅検知処理S4を終了する理由は、在宅履歴サーバー10への在宅/不在情報の送信を省いて、在宅履歴サーバー10の処理負荷を軽減するためである。なお、利用者の状態変化が無い場合であっても、例えば、前回の在宅履歴サーバー10への在宅/不在情報の送信から所定時間例えば10分が経過しているときは、ステップS24以降の処理にすすむ、というようにしてもかまわない。
ステップS24では、携帯機器2のジャイロセンサを利用して、携帯機器2の動きの有無を示す移動フラグを取得する。この移動フラグは、携帯機器2に動きがあるときはON、携帯機器2に動きがないときはOFFとなる。そして、在宅判定処理S25を実行する。
図7は在宅判定処理S25の詳細フローである。図7に示すように、GPS情報の取得が成功しているときは(S251でYes)、取得したGPS情報を、在宅検知アプリ1に登録されているGPS情報と比較する(S252)。そして、GPS情報が示す位置の違いが所定距離例えば20m以内のときは(S252でYes)、利用者は「在宅」と判定する(S253)。一方、GPS情報の取得が成功していないとき(S251でNo)、または、GPS情報が示す位置の違いが所定距離例えば20m以内でないとき(S252でNo)は、ステップS254にすすむ。
ステップS254では、無線LAN情報が在宅検知アプリ1内部に登録されているか否かを確認する(S254)。そして、登録されているときは(S254でYes)、取得した無線LAN情報を、在宅検知アプリ1に登録された無線LAN情報と比較する(S255)。そして、無線LAN情報が一致するときは(S255でYes)、利用者は「在宅」と判定する(S253)。一方、無線LAN情報が在宅検知アプリ1内部に登録されていないとき(S254でNo)、または、無線LAN情報が一致しないとき(S255でNo)は、利用者は「不在」と判定する(S256)。
図6のフローに戻り、在宅判定処理S25において「在宅」と判定されたときは、在宅/不在情報として「在宅」が、取得したGPS情報、無線LAN情報および移動フラグとともに、在宅履歴サーバー10に送信される(S26)。また、在宅判定処理S25において「不在」と判定されたときは、在宅/不在情報として「不在」が、取得したGPS情報、無線LAN情報および移動フラグとともに、在宅履歴サーバー10に送信される(S27)。在宅履歴サーバー10は、在宅検知アプリ1から送信された、在宅/不在情報(「在宅」または「不在」)、無線LAN情報、GPS情報および移動フラグを、在宅履歴データベース12に保存し管理する。
図8は在宅履歴データベース12に格納されたデータのイメージ図である。図8の例では、日時データとともに、在宅値、無線LAN情報、GPS情報、および、移動フラグが保存されている。在宅値は、在宅検知アプリ1から送信された在宅/不在情報に対応する値であり、ここでは、「0」が不在、「1」が在宅、「2」が居留守を意味している。図8の例では、データ「00001」〜「00003」の期間は、利用者は在宅している。この期間では、無線LAN情報は取得されており、GPS情報は変化しておらず、移動フラグはOFFまたはONである。一方、「00004」〜「00008」の期間は、利用者は不在である。この期間では、無線LAN情報は取得されておらず、GPS情報は変化しており、移動フラグはONである。すなわち、利用者は外出して移動中であると推測することができる。
図6のフローに戻り、判定結果が在宅履歴サーバー10に送信された(S26,S27)後、フィードバック処理S28が行われる。フィードバック処理S28では、在宅履歴サーバー10から、無線LAN情報およびGPS情報の最適化データを受信する。そして、受信した最適化データと在宅検知アプリ1の内部に登録された情報との間にずれがあるとき、在宅検知アプリ1の内部に登録された情報を、受信した最適化データに更新する。
図9はフィードバック処理S28の詳細フローである。図9に示すように、まず、在宅検知アプリ1は、在宅履歴サーバー10にモバイルルータ判定を問い合わせる(S281)。問合せを受けた在宅履歴サーバー10は、在宅履歴データベース12に保存された当該利用者のデータを基にして、モバイルルータ判定を行う。具体的には例えば、在宅履歴サーバー10は、在宅履歴データベース12から、当該利用者の過去24時間分のデータを読み出す。そして、無線LAN情報が同一のデータについて、GPS情報を分析し、当該利用者の位置が1箇所に集中しているか、2箇所で集中しているか、あるいは、3箇所以上に分散しているかを判定する。この場合、GPS情報が示す緯度/経度データを所定距離例えば250m単位で丸めた上で、判断するのが好ましい。そして、利用者の位置が、1箇所に集中している場合は「移動なし」、2箇所に集中している場合は「引っ越し」、3箇所以上に分散している場合は「モバイルルータ」と判定する。
在宅検知アプリ1は、在宅履歴サーバー10から判定結果を受信し、判定結果が「モバイルルータ」であるときは(S282でYes、S283でYes)、携帯機器2の画面を介して、利用者にモバイルルータであるか否かを確認させる(S284)。利用者が、モバイルルータであると回答したときは、当該モバイルルータに関する無線LAN情報の登録を削除する。また、判定結果が「引っ越し」であるときは(S282でYes、S283でNo)、携帯機器2の画面を介して利用者に、引っ越したか否かを確認する(S285)。利用者が、引っ越したと回答したときは、再度、初期登録処理S2を実行してもらう。
一方、在宅履歴サーバー10から受信した判定結果が「移動なし」であるとき(S282でNo)、または、利用者が、モバイルルータでない、あるいは、引っ越していない、と回答したときは、在宅履歴サーバー10から、GPS情報の更新情報を取得する(S286)。具体的には例えば、在宅履歴サーバー10は、無線LAN情報が同一のデータについて、GPS情報が示す緯度/経度データからその重心位置を特定し、これをGPS情報の更新情報として、在宅検知アプリ1に送信する。
次に、GPS情報によって在宅と判定され、かつ、無線LAN情報が在宅検知アプリ1内部に登録されているか否かを判断する(S287)。ステップS287でYesのときは、携帯機器2の無線LAN設定がオフになっているか否かを検知する(S288)。そして、オフになっていると検知したときは(S288でYes)、携帯機器2の画面を介して利用者に、携帯機器2の無線LAN設定がオフになっている旨を伝える(S289)。一方、ステップS289でNoのときは、在宅検知アプリ1は、在宅履歴サーバー10にルータ故障判定を問い合わせる(S28A)。問合せを受けた在宅履歴サーバー10は、在宅履歴データベース12に保存された当該利用者のデータを基にして、ルータ故障判定を行う。具体的には例えば、在宅履歴サーバー10は、在宅履歴データベース12から当該利用者の最新のデータを読み出す。そして、GPS情報が在宅を示しているにもかかわらず、無線LAN情報がNULLであるときは、「ルータ故障」と判定する。それ以外のときは、「ルータ正常」と判定する。
在宅検知アプリ1は、在宅履歴サーバー10から判定結果を受信し、判定結果が「ルータ故障」であるときは(S28BでYes)、携帯機器2の画面を介して、利用者に、例えばルータの電源が切れていないかを確認させる(S28C)。
そして、在宅検知アプリ1は、内部に登録していたGPS情報および無線LAN情報を更新するとともに、更新したGPS情報および無線LAN情報を、在宅履歴サーバー10に送信する(S28D)。
(居留守設定処理)
本在宅検知システムでは、利用者が、家に在宅していても宅配業者等の訪問を避けたい場合に対応できるように、居留守設定機能を設けている。在宅検知アプリ1は、利用者が、操作入力により、居留守を設定できる機能を有している。
図3(a)のメニュー画面において、利用者が在宅時に居留守設定ボタンB12を押し、表示を「(現状:不在)」に切り替えると、在宅検知アプリ1には在宅/不在情報として「居留守」が設定される。そして、在宅検知アプリ1から、在宅/不在情報として「居留守」が、GPS情報、無線LAN情報および移動フラグとともに、在宅履歴サーバー10に送信される。また、利用者が在宅時に居留守設定ボタンB12を押し、表示を「(現状:在宅)」に切り替えると、在宅検知アプリ1には在宅/不在情報として「在宅」が設定される。そして、在宅検知アプリ1から、在宅/不在情報として「在宅」が、GPS情報、無線LAN情報および移動フラグとともに、在宅履歴サーバー10に送信される。
図8の在宅履歴データベース12の例では、データ「00012」〜「00014」の期間は、利用者は「居留守」を設定している。この期間では、無線LAN情報は取得されており、GPS情報は変化しておらず、移動フラグはOFFまたはONである。
以上のような動作によって、在宅履歴サーバー10は、在宅履歴データベース12に、在宅検知アプリ1の各利用者について、在宅/不在の履歴を管理することができる。したがって、在宅履歴データベース12のデータを、例えば宅配業者等の事業者に提供することによって、宅配効率を向上させることができる。
<在宅検知クライアントの動作>
図10は在宅検知クライアント21のメニュー画面の一例である。図10のメニュー画面では、対象者在宅状況取得ボタンB21、同居者在宅状況取得ボタンB22、日別対象者在宅予測ボタンB23、日別同居者在宅予測ボタンB24、週間対象者在宅予測ボタンB25、および、週間同居者在宅予測ボタンB26が表示されている。利用者がボタンB21〜B26のいずれかを押すと、在宅検知クライアント21が在宅履歴サーバー10に問合せを行い、在宅履歴サーバー10は対応する処理を実行し、その結果を在宅検知クライアント21に返す。
(対象者在宅状況取得)
図11は在宅検知クライアント21の基本動作フローの例であり、対象者在宅状況取得処理を実行する場合を示す。図10のメニュー画面において、在宅検知クライアント21の利用者が対象者在宅状況取得ボタンB21を押すと、読み仮名検索画面が表示される(S31)。利用者は、この読み仮名検索画面において、在宅状況を取得したい対象者の読み仮名を入力し検索する(S32)。検索結果が対象者選択画面に表示され(S33)、在宅検知クライアント21の利用者が検索結果の中から対象者を選択すると、在宅検知クライアント21は在宅履歴サーバー10にアクセスし、対象者の在宅状況について問合せを行う。そして、在宅履歴サーバー10から対象者の在宅/不在情報を取得し、画面に表示する(S34)。
図12は在宅検知クライアント21から問合せを受けた場合における、在宅履歴サーバー10の動作フローの例である。在宅履歴サーバー10は、在宅検知クライアント21から対象者の在宅状況について問合せを受けると、在宅履歴データベース12の中から対象者の最新データを検索する(S41)。そして、対象者の最新データがあるときは(S42でYes)、その最新データに含まれた在宅値を基にして、在宅/不在情報を在宅検知クライアント21に返す。この場合、在宅値が「0」または「2」のときは、在宅/不在情報として「不在」を返し、在宅値が「1」のときは、在宅/不在情報として「在宅」を返す。すなわち、在宅検知アプリ1の利用者が居留守を設定しているときは、在宅検知クライアント21には「不在」と通知される。
一方、対象者の最新データがないときは(S42でNo)、エラーを在宅検知クライアント21に返す(S44)。例えば、対象者の最新データの時刻が所定時間例えば20分以上前であるとき、エラーを在宅検知クライアント21に返すようにしてもよい。これは、在宅検知アプリ1から在宅/不在情報が所定時間以上送信されていない場合には、携帯機器2の障害等の可能性があるためである。
また、対象者の最新データが、通常状態ではない可能性がある所定の条件を満たす場合には、在宅/不在情報とともに、通常状態ではない可能性がある旨を示す添付データを、在宅検知クライアント21に返すようにしてもよい。例えば、在宅値が「1」であり、ユーザーデータベース11では無線LAN情報が登録されているにもかかわらず、対象者の最新データの無線LAN情報が「NULL」であるときは、添付データとして「無線LAN障害の可能性あり」を返す。また、在宅値が「1」であるのに、対象者の最新データのGPS情報が、ユーザーデータベース11に登録されたGPS情報から所定距離例えば500m以上離れているときは、添付データとして「モバイルルータの可能性あり」を返す。あるいは、在宅値が「1」であるのに、移動フラグが所定時間例えば60分以上OFFであるときは、添付データとして「携帯機器忘れの可能性あり」を返す。
図13は問合せ結果を示す画面の一例である。図13の画面では、対象者である「XXXXXXX」さんは、「17:40」の時点で「在宅」である旨が示されている。ここでの「17:40」は、在宅履歴データベース12から検索された対象者の最新データの時刻に対応している。また、添付データとして「携帯忘れの可能性あり」を受信したので、その旨のメッセージが画面に表示されている。
(同居者在宅状況取得)
同居者在宅状況取得処理では、在宅検知クライアント21の動作フローは図11と同様である。すなわち、図10のメニュー画面において、在宅検知クライアント21の利用者が同居者在宅状況取得ボタンB22を押すと、読み仮名検索画面が表示される(S31)。利用者は、この読み仮名検索画面において、在宅状況を取得したい対象者の読み仮名を入力し検索する(S32)。検索結果が対象者選択画面に表示され(S33)、在宅検知クライアント21の利用者が検索結果の中から対象者を選択すると、在宅検知クライアント21は在宅履歴サーバー10にアクセスし、対象者の在宅情報について問合せを行う(S34)。
ただし、同居者在宅状況取得処理では、在宅履歴サーバー10は、対象者が不在の場合には、その同居者についても在宅状況を確認する。そして、在宅検知クライアント21は、在宅履歴サーバー10から対象者とその同居者の在宅/不在情報を取得し、画面に表示する。
図14は在宅検知クライアント21から問合せを受けた場合における、在宅履歴サーバー10の動作フローの例である。在宅履歴サーバー10は、在宅検知クライアント21から対象者の在宅状況について問合せを受けると、まず、ユーザーデータベース11において対象者の登録情報を確認する(S51)。そして、ユーザーデータベース11から、対象者の同居者を検索する(S52)。ここでは、対象者と同じ住所を登録している人、および、対象者と同じ無線LAN情報を登録している人を、同居者として認定する。なお、同居者は、1人の場合もあるし、複数人の場合もあり得る。
そして、在宅履歴データベース12から対象者の最新データを検索する(S53)。そして、対象者の最新データがあり、その在宅値が「1」のときは(S54でYes)、在宅/不在情報として「在宅」を返す(S55)。一方、対象者の最新データがないときや、対象者の最新データの在宅値が「0」または「2」のときは(S54でNo)、同居者の在宅状況を検索する。すなわち、在宅履歴データベース12から、同居者の最新データを検索する(S56)。そして、同居者の最新データがあり、その在宅値が「1」のときは(S57でYes)、在宅/不在情報として「在宅」を返す(S55)。一方、同居者の最新データがないときや、同居者の最新データの在宅値が「0」または「2」のときは(S57でNo)、在宅/不在情報として「不在」を返す(S58)。なお、同居者が複数人ある場合は、最新データがあり、その在宅値が「1」である同居者が1人でもいるとき、在宅/不在情報として「在宅」を返すものとする。
(在宅率取得)
在宅履歴サーバー10は、在宅履歴データベース12のデータを基にして、在宅検知アプリ1の各利用者について、時間帯別や曜日別等の在宅率を演算することができる。この在宅率によって、対象者の在宅予測を行うことができる。
例えば、1日を15分単位で96(=24×60/15)区間に区切り、各区間における在宅率を、在宅履歴データベース12の各データから求めるものとする。例えば、『10時23分不在』というデータについて、その前のデータが『10時14分在宅』であるとき、10時〜10時15分の区間に1分間の「在宅」を加え、次の10時15分〜30分の区間に8分間の「在宅」を加える。このような処理を、在宅履歴データベース12の各データについて行うことによって、各区間における在宅率が求められる。
在宅検知クライアント21では、日別対象者在宅予測ボタンB23を押すと、対象者について、1日のうち指定した時刻の範囲における在宅率を取得することができる。また、日別同居者在宅予測ボタンB24を押すと、対象者および同居者について、1日のうち指定した時刻の範囲における在宅率を取得することができる。週間対象者在宅予測ボタンB25を押すと、対象者について、曜日別の在宅率を取得することができる。また、週間同居者在宅予測ボタンB26を押すと、対象者および同居者について、曜日別の在宅率を取得することができる。
ここでは、日別対象者在宅予測を例にとって説明する。図10のメニュー画面において、日別対象者在宅予測ボタンB23を押し、対象者を指定し、時間帯として例えば8:00〜20:00までを指定する。在宅検知クライアント21は、在宅履歴サーバー10に、指定した時間範囲における対象者の在宅率を問い合わせる。在宅履歴サーバー10は、対象者について、例えば直近1週間のデータから、8:00〜20:00における各時間帯の在宅率を演算し、在宅検知クライアント21に返す。
図15は問合せ結果を示す画面の一例である。図15の画面では、対象者である「XXXXXXX」について、8:00〜20:00における1時間毎の在宅率が示されている。これと同様に、曜日別の在宅率を取得することもできる。また、対象者と同居者を含めた在宅率を取得することもできる。この場合は例えば、各時間帯において、対象者および同居者の在宅率のうち、その最大値を在宅率とすればよい。
以上のように本実施形態によると、在宅検知システムにおいて、在宅検知アプリ1は、利用者の在宅/不在情報を、無線LAN情報およびGPS情報のうち少なくともいずれかを用いて、検知し、検知した在宅/不在情報を、在宅履歴サーバー10に送信する。在宅履歴サーバー10は、在宅検知アプリ1から送信された在宅/不在情報を、利用者別に、日時データとともに、在宅履歴データベース12に保存する。これにより、例えば宅配業者は、在宅履歴データベース12に保存されたデータを参照することによって、荷物の受取人の在宅/不在を確認することができる。したがって、配達業務効率の向上が可能となる。また、利用者の方からみると、自分の在宅/不在の検知のために何の操作を行う必要もなく、在宅検知アプリ1を起動させるだけで済むので、煩わしさは生じない。
また、在宅履歴データベース12に、利用者の在宅/不在情報とともに、在宅/不在が検知されたときの無線LAN情報およびGPS情報が保存される。このため、在宅履歴データベース12の情報を基にして、例えば、利用者がモバイルルータを利用している、利用者が引っ越した、無線LANに障害が生じている、といった事象を推測することが可能になる。また、在宅履歴データベース12に、利用者の在宅/不在情報、無線LAN情報およびGPS情報とともに、携帯機器2の動きの有無を示す移動フラグが保存される。このため、在宅履歴データベース12の情報を基にして、例えば、利用者が携帯機器2を家に残して外出している、といった事象を推測することが可能になる。
また、在宅検知アプリ1は、利用者が、操作入力により、居留守を設定できる機能を有しており、在宅履歴サーバー10は、在宅履歴データベース12に、在宅/不在情報として、在宅、不在、居留守の3種類を保存する。このため、在宅検知アプリ1の利用者は、例えば在宅しているが宅配業者の訪問を受けたくないとき等に、居留守を設定することができる。
また、在宅検知クライアント21は、対象者の在宅/不在情報を、在宅履歴サーバー10から受けることができる。あるいは、在宅検知クライアント21は、対象者が不在であっても、その同居者の在宅/不在情報を、在宅履歴サーバー10から受けることができる。さらには、在宅検知クライアント21は、対象者の在宅率を、在宅履歴サーバー10から受けることができる。
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