JP2018192714A - 防湿処理製品の製造方法 - Google Patents

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悟志 奥田
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弘文 藤井
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Daisuke Hirayama
大介 平山
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Abstract

【課題】防湿層を形成する被処理面に凹凸を有する被処理品を用いながらも部分的に厚みの薄い防湿層が形成されることを抑制し得る防湿処理製品の製造方法を提供し、ひいては、防湿性能に優れた防湿処理製品を提供すること。【解決手段】防湿皮膜を備えた熱可塑性フィルムの一面側の空間部と他面側の空間部との間に圧力差を生じさせ、加熱されて軟化された状態の防湿皮膜を前記圧力差を利用して被処理面に接着させることでプリント回路板などの凹凸を有する被処理品にも優れた防湿性能を与える。【選択図】 図5

Description

本発明は、被処理品の表面にポリマー組成物で防湿層を形成する防湿処理製品の製造方法に関し、より詳しくは、熱可塑性を有するポリマー組成物を用いて防湿層を形成する防湿処理製品の製造方法に関する。
従来、プリント配線板にチップ部品などの電子部品を搭載したプリント回路板が各種の電子機器に用いられている。
電子機器に対する小型化の要求を満足させるべく前記プリント回路板には、高密度実装が求められている。
そのため、プリント配線板は、配線ピッチが狭ピッチなものとなっている。
このような狭ピッチのプリント配線板を用いたプリント回路板では、はんだブリッジなどによるショートが生じるおそれがある。
このようなショートは、はんだブリッジを原因とする場合だけでなく水分によっても生じ得る。
例えば、電子機器内に入り込んだ水蒸気によってプリント回路板の表面に結露が生じたりすると、水滴が極めて小さなものであっても回路ショートの原因となる。
このような水分による回路ショートの対策として、ポリマー組成物でプリント回路板をオーバーコートして防湿処理を施すことが行われている。
従来の防湿処理は、ポリマー組成物でプリント回路板の表面に防湿層を形成するような方法で実施されている。
なお、プリント回路板だけでなく、ポリマー組成物で被処理品の表面に防湿層を形成させた防湿処理製品は、各種の用途において用いられている。
防湿処理製品での防湿層の形成には、下記特許文献1、2に記載されているように液状のコート剤が用いられており、防湿層は、被処理品の被処理面に前記コート剤を塗布してウェット塗膜を形成させた後に、塗膜を乾燥させて防湿皮膜を形成させるような方法によって作製されている。
特開2011−089061号公報 特開2013−234256号公報
プリント回路板の電子部品が搭載されている面を被処理面とする場合、液状のコート剤で防湿層を形成しようとすると厚みが比較的均一な防湿層を形成することが難しい。
具体的には、複数本のリードフレームが一定間隔で並んでいるような表面実装部品(SMD)が搭載されているプリント回路板に液状のコート剤で防湿層を形成しようとした場合、リードフレームの上部では薄い塗膜しか形成されず、リードフレーム間に液溜りが出来易くなる。
また、リードフレームのエッジ部などにおいては、特に薄い塗膜しか形成されないおそれがある。
さらに、DIP(Dual Inline Package)のようなスルホール挿入型の電子部品(THD)を搭載したプリント回路板のはんだ面では、リードの先端部が突出した状態になっており、このようなはんだ面を被処理面とするとリード先端部の塗膜厚みが他に比べて薄くなり易い。
上記のようなことから、防湿処理を施す被処理品がプリント回路板であるような場合には、従来の方法では防湿層を一定以上の厚みとすることが難しく、部分的に防湿層の厚みが薄くなってしまったり、場合によっては防湿層に途切れを生じさせてしまったりするおそれがある。
上記のような防湿層の厚みの確保が難しいという問題は、製造する防湿処理製品が防湿層付きのプリント回路板である場合のみならず被処理面に凹凸を有する被処理品を用いて防湿処理製品を作製する場合に広く共通するものである。
そして、本発明は上記のような問題を解決することを課題としており、防湿層を形成する被処理面に凹凸を有する被処理品を用いながらも部分的に厚みの薄い防湿層が形成されることを抑制し得る防湿処理製品の製造方法を提供し、ひいては、防湿性能に優れた防湿処理製品を提供することを課題としている。
上記課題を解決するための防湿処理製品の製造方法に係る本発明は、熱可塑性を有するポリマー組成物で被処理品の表面に防湿層を形成して防湿処理製品を作製する防湿処理製品の製造方法であって、前記防湿層を形成する被処理面に凹凸を有する被処理品を用い、前記ポリマー組成物で形成された防湿皮膜が熱可塑性を有するセパレータフィルムに積層された積層構造を有する熱可塑性フィルムか、又は、前記防湿皮膜による単層構造を有する熱可塑性フィルムかの何れかの熱可塑性フィルムを用意する工程、及び、前記熱可塑性フィルムで空間を区分けし、該熱可塑性フィルムを介して隣り合う第1空間部と第2空間部とを形成する区分工程を実施し、前記熱可塑性フィルムを加熱して軟化させる加熱工程を前記区分工程の前又は前記区分工程の後に実施し、前記区分工程と前記加熱工程との後には、前記第1空間部の気圧を前記第2空間部よりも低圧にして前記熱可塑性フィルムに対して前記第2空間部から前記第1空間部に向けて圧力を加える加圧工程を更に実施し、前記区分工程では、第1空間部側の表面が前記防湿皮膜となるように前記熱可塑性フィルムを配置し、且つ、前記被処理面が前記防湿皮膜と対向するように前記被処理品を前記第1空間部に配置し、前記加圧工程では、前記加熱工程によって軟化された前記熱可塑性フィルムを前記圧力を利用して前記被処理面に接着させ、該熱可塑性フィルムを構成する前記防湿皮膜によって前記防湿層を形成する、防湿処理製品の製造方法である。
本発明によればポリマー組成物によって予め防湿皮膜が形成され、一部又は全体が該防湿皮膜で構成された熱可塑性フィルムが予め形成される。
また、本発明によれば加熱状態となって軟化された前記熱可塑性フィルムを被処理面に接着させることで防湿層が形成される。
しかも、被処理面への接着に際しては、熱可塑性フィルムを介して隣り合う2つの空間部の圧力差を利用するため、被処理面の凹凸形状に優れた追従性を熱可塑性フィルムに発揮させ得る。
そのため、本発明において形成される防湿層には、液状のコーティング剤を用いる場合に比べて厚みが極端に薄い部分が形成され難くなる。
即ち、本発明によれば、防湿層を形成する被処理面に凹凸を有する被処理品を用いながらも部分的に厚みの薄い防湿層が形成されてしまうことを抑制し得る。
防湿処理を施す被処理品であるプリント回路板の(a)平面図、及び、(b)側面図。 プリント回路板に防湿層を形成するための装置に係る概略図。 図2に示した装置でプリント回路板に防湿層を形成する方法(区分工程)を示した概略図。 図2に示した装置でプリント回路板に防湿層を形成する方法を示した概略図。 図2に示した装置でプリント回路板に防湿層を形成する方法(加圧工程)を示した概略図。
本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態での防湿処理製品の製造方法は、熱可塑性を有するポリマー組成物で被処理品の表面に防湿層を形成して防湿処理製品を作製する防湿処理製品の製造方法である。
また、本実施形態での防湿処理製品の製造方法は、前記防湿層を形成する被処理面に凹凸を有する被処理品を用い、前記ポリマー組成物で形成された防湿皮膜が熱可塑性を有するセパレータフィルムに積層された積層構造を有する熱可塑性フィルムか、又は、前記防湿皮膜による単層構造を有する熱可塑性フィルムかの何れかの熱可塑性フィルムを用意する工程、及び、前記熱可塑性フィルムで空間を区分けし、該熱可塑性フィルムを介して隣り合う第1空間部と第2空間部とを形成する区分工程を実施し、前記熱可塑性フィルムを加熱して軟化させる加熱工程を前記区分工程の前又は前記区分工程の後に実施し、前記区分工程と前記加熱工程との後には、前記第1空間部の気圧を前記第2空間部よりも低圧にして前記熱可塑性フィルムに対して前記第2空間部から前記第1空間部に向けて圧力を加える加圧工程を更に実施し、前記区分工程では、第1空間部側の表面が前記防湿皮膜となるように前記熱可塑性フィルムを配置し、且つ、前記被処理面が前記防湿皮膜と対向するように前記被処理品を前記第1空間部に配置し、前記加圧工程では、前記加熱工程によって軟化された前記熱可塑性フィルムを前記圧力を利用して前記被処理面に接着させ、該熱可塑性フィルムを構成する前記防湿皮膜によって前記防湿層を形成する、防湿処理製品の製造方法である。
以下においては、前記被処理品がプリント回路板で、作製される防湿処理製品が表面に防湿層を有するプリント回路板(以下、「防湿層付きプリント回路板」ともいう)である場合を例にして本発明の実施の形態について説明する。
図に示すように本実施形態で被処理品として用いるプリント回路板1は、チップ抵抗やチップコンデンサなどの電子部品が搭載された部品面1aと、該部品面1aの反対面であって電子部品が搭載されておらず、はんだ付けのみが行われているはんだ面1bとを有する。
プリント回路板1は、エッチングされた金属箔で形成された配線を有するプリント配線板10と、該プリント配線板10の両表面に施されたソルダーレジスト層11と、ソルダーレジスト層11が設けられていないランドなどにはんだ付けされた電子部品(表面実装部品SMD、及び、スルホール挿入型部品THD)とを備えている。
本実施形態のプリント回路板1は、電子機器のコネクタに挿入されるべく平面視における輪郭線の一部が外向きに突出するように形成されたコネクタ部1cを有している。
本実施形態のプリント回路板1は、電子機器の筐体などに螺子止めし得るように平面視における4隅に貫通孔H1〜H4を有している。
本実施形態においては、前記部品面1a及びはんだ面1bの両方に防湿層を形成して防湿層付きプリント回路板を作製する。
即ち、本実施形態においては、前記部品面1a及びはんだ面1bが防湿処理の施される被処理面となっている。
前記部品面1aには、表面実装部品SMDとスルホール挿入型部品THDとが混載されている。
スルホール挿入型部品THDは、プリント配線板10を厚み方向に貫通するように設けられたスルホールTHにリードRを挿通させて部品面側に配されている。
スルホール挿入型部品THDは、前記リードRの先端部Raをはんだ面1bに突出させており、はんだ面1bに設けられたランド(図示せず)に対してはんだ付けされている。
そのため、プリント回路板1の第1の被処理面(以下「第1被処理面」ともいう)である部品面1aには、表面実装部品SMDやスルホール挿入型部品THDの部品高さに応じた凹凸が形成されているとともにプリント回路板1の第2の被処理面(以下「第2被処理面」ともいう)であるはんだ面1bにもリードRの突出高さなどに応じた凹凸が形成されている。
第1被処理面での凹凸に比べて第2被処理面での凹凸の方がプリント配線板10の表面からの突出高さが低いものの該第2被処理面での凹凸の突出高さは、後述する防湿層の厚みに比べて大きい。
本実施形態においては、防湿層を形成するための熱可塑性を有するポリマー組成物で予め防湿皮膜を形成した後で、当該防湿皮膜を第1被処理面(部品面1a)や第2被処理面(はんだ面1b)に接着させるようにして防湿層が形成される。
そのため、液状のコーティング剤を用いる場合に比べて防湿層に一定以上の厚みを付与させ易いものの単に防湿皮膜を被処理面に接着させるだけでは被処理面の凹凸に良好な追従性を示さないおそれがある。
そのため、本実施形態においては、防湿皮膜を被処理面に接着するのに特定の装置が用いられる。
本実施形態で防湿層付きプリント回路板の製造に利用され得る前記装置並びにその使用方法の一例を図2〜図5を参照しつつ説明する。
図に示す装置100は、垂直方向において対向するように対になって配された2つの型を有している。
具体的には、装置100は、下型110と、該下型の上方に配された上型120とを有している。
前記下型110は、扁平な矩形箱形状を有しており、上方に向けて開口した有底筒形形状を有している。
具体的には、前記下型110は、底壁111と、該底壁111の外周縁部から上方に延びる筒状の側壁112とを有している。
そして、前記上型120は、前記下型110と逆の形状を有している。
即ち、前記上型120は、扁平な矩形箱形状を有しており、下方に向けて開口し、天井壁121と、該天井壁121の外周縁部から下方に延びる筒状の側壁122とを有している。
前記下型110と前記上型120とは、相対的な上下方向への移動が可能となっている。
具体的には、装置100では、前記下型110が固定された状態で配されており、前記上型120が上下に移動可能な状態で備えられている。
なお、前記下型110には、前記底壁111よりも一回り小さな板状のステージ114と、下型内で前記ステージ114を上下動させるためのシリンダー115とを備えている。
該ステージ114は、板面が略水平となるように配されており、前記シリンダー115は、垂直方向に延在するように配されている。
そして、前記シリンダー115は、上端部においてステージ114を下面側から支持するように配されている。
なお、前記ステージ114は、プリント回路板1の最大厚みに該当する距離よりも移動距離が大きくなるように前記シリンダー115によって支持されており、上方に移動した際に上面が下型110の側壁112(以下「下型側壁112」ともいう)の上端よりも上方となり、下方に移動した際に上面が下型側壁112の上端よりも下方となるように前記シリンダー115によって支持されている。
前記下型110と前記上型120とは、平面視において側壁112,122の先端(下型110の側壁112の上端、及び、上型120の側壁122の下端)によって画定される形状が共通している。
さらに、前記装置100は、前記下型110と前記上型120と互いに接近させて下型側壁112の上端と上型120の側壁122(以下「上型側壁122」ともいう)の下端とを全周に亘って当接させ得るように構成されている。
即ち、前記装置100は、下型110と上型120とを合わせた閉型状態において型の内部に密閉空間を形成し得るように構成されている。
前記装置100の前記下型110には、前記密閉空間への給気と排気とを行うための給排気口113(以下「下型給排気口113」ともいう)が形成されており、前記上型120にも下型110と同様の給排気口123(以下「上型給排気口123」ともいう)が形成されている。
前記装置は、下型側壁112の上端部と上型側壁122の下端部との間にフィルムを挟み込めるようになっており、該フィルムで前記密閉空間を下型側の第1空間部A1と上型側の第2空間部A2とに区分けし得るように構成されている。
そして、前記第2空間部A2となる上型120の内部には、前記フィルムを上面側から加熱するための加熱装置が配されており、本実施形態では該加熱装置として複数の輻射加熱式ヒーター124が配されている。
前記装置100においては、前記輻射加熱式ヒーター124は、熱の輻射方向が下向きとなるように前記天井壁121の下面側に配されている。
このような装置100を使って防湿層付きプリント回路板を製造する際には、例えば、下記の(a)〜(e)のような工程が実施され得る。
(a)素材準備工程
(b)区分工程
(c)加熱工程
(d)加圧工程
(e)剥離工程
各工程の具体的な内容については、以下において詳細に説明する。
(a)素材準備工程
当該素材準備工程では、被処理品となる前記プリント回路板1と、該プリント回路板1の部品面1aに形成する防湿層に対応した防湿皮膜と、前記プリント回路板1のはんだ面1bに形成する防湿層に対応した防湿皮膜とをそれぞれ準備する。
前記防湿皮膜は、熱可塑性を有するポリマー組成物を用いて形成する。
当該素材準備工程では、前記ポリマー組成物で形成された防湿皮膜が熱可塑性を有するセパレータフィルムに積層された積層構造を有する熱可塑性フィルムか、又は、前記防湿皮膜による単層構造を有する熱可塑性フィルムかの何れかの熱可塑性フィルムを用意する。
本実施形態では、図2に示すように、前記熱可塑性フィルムFとして、前記セパレータフィルムF1と前記防湿皮膜F2との積層構造を有し、且つ、前記防湿皮膜F2には、前記防湿層の形成箇所に対応したパターンが形成されているものを用意する。
そして、後段において詳述するが、本実施形態の前記区分工程では、上記のようにパターン形成された前記防湿皮膜と前記被処理面との位置合わせを実施する。
前記防湿皮膜は、ポリマー組成物を含む液状のコーティング剤を調製し、該コーティング剤を前記セパレータフィルムに塗布してウェット状態の塗膜を形成した後に、該塗膜を乾燥させることによって形成させることができる。
本実施形態においては、プリント回路板1の前記コネクタ部1cや、螺子止用の貫通孔H1,H2,H3,H4の形成箇所には防湿層を形成する必要性がないことから、例えば、一旦、セパレータフィルムの全面に防湿皮膜を形成した後に、防湿層の形成が必要な領域の形状に応じて刃が折り曲げられてなるトムソン刃で防湿皮膜に切込み入れ、当該切込みの内側を残して外側部分をセパレータフィルムから剥離して前記防湿皮膜にパターンを形成してもよい。
また、該防湿皮膜は、例えば、スクリーン印刷などの方法によってセパレータフィルムへのコーティング剤の塗工を部分的なものとし、最終的に必要となるパターンをウェット塗膜の時点でセパレータフィルム上に形成させてもよい。
前記防湿皮膜を形成するための前記ポリマー組成物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニル芳香族ブロックとオレフィンブロックとを有するブロックコポリマーを含むものなどが好適である。
前記ポリマー組成物には、硫黄系のガスに対するガスバリア性を防湿層に発揮させるべく、スチレン系オリゴマーをさらに含有させてもよい。
前記ブロックコポリマーのビニル芳香族ブロックとなる構成単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどのビニル芳香族化合物が挙げられる。
これらの構成単位は、1種単独で前記ビニル芳香族ブロックを構成しても、または2種以上でビニル芳香族ブロックを構成してもよい。
前記ブロックコポリマーは、上記例示以外のビニル芳香族化合物によってビニル芳香族ブロックを構成させてもよく、上記例示のビニル芳香族化合物と上記例示以外のビニル芳香族化合物とでビニル芳香族ブロックが構成されていてもよい。
前記オレフィンブロックとなる構成単位としては、例えば、イソプレン、ブタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。
前記ブロックコポリマーの具体的な例としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)、スチレン−イソブチレン−スチレン(SIBS)等のA−B−A型ブロックコポリマー;スチレン−ブタジエン(SB)、スチレン−イソプレン(SI)、スチレン−エチレン−ブチレン(SEB)、スチレン−エチレン−プロピレン(SEP)、スチレン−イソブチレン(SIB)等のA−B型ブロックコポリマー;スチレン−エチレン−ブチレン−オレフィン結晶(SEBC)等のA−B−C型のスチレン−オレフィン結晶系ブロックコポリマー等が挙げられる。
また、これらの水素添加品なども前記ブロックコポリマーとして用いられ得る。
前記ブロックコポリマーとしては、例えば、上記構成単位が100を超える数量で重合されており、質量平均分子量の値が数万〜数十万程度となるものを採用することができる。
前記スチレン系オリゴマーの構成単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレンが挙げられる。
前記スチレン系オリゴマーは、例えば、これらの内のいずれか一つで構成されているもの、これらの内の複数で構成されているもの、上記例示の構成単位と共重合可能なビニル化合物をさらに構成単位として含むものなどとすることができる。
このスチレン系オリゴマーは、通常、上記構成単位が100以下の数量で重合されており、質量平均分子量の値が1万以下(数百〜数千)程度となるものを採用することができる。
このスチレン系オリゴマーとしては、α−メチルスチレンの単独重合体、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましい。
前記ポリマー組成物における前記スチレン系オリゴマーの含有量は、ガスバリア性に優れた防湿層の形成に有利であることから、前記ブロックコポリマーの含有量を100質量部とした場合に、50質量部以上200質量部以下であることが好ましい。
前記ポリマー組成物には、各種の添加剤をさらに含有させてもよく、該添加剤としては、例えば、防湿被膜の接着力を向上させるためのタッキファイヤなどの粘着性付与剤や防湿被膜の柔軟性を制御するためのオイルなどが挙げられる。
前記粘着性付与剤としては、一般に利用されているテルペン系の成分を利用することができる。
また、その他の前記添加剤として、例えば、難燃剤、耐候剤、防錆剤、充填剤、改質剤、顔料などをポリマー組成物にさらに含有させてもよい。
前記ポリマー組成物とともに塗膜を形成させるための前記溶媒としては、トルエンなどの有機溶媒を採用することも可能ではあるが、水系溶媒を用いることが好ましい。
この水系溶媒としては、水のみであっても水に溶解可能なアルコールなどの有機溶媒を少量(例えば、10質量%以下の割合で)含むものであってもよい。
なお、このような水系溶媒を用いる際には、ブロックコポリマーやスチレン系オリゴマー、あるいは、これらの混合物によって形成される微小な粒子を被覆して保護コロイド化させる保護コロイド成分をさらに含有させてコーティング剤を水性エマルジョンの形態とすることが好ましい。
前記保護コロイド成分としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体;(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸系共重合体の水溶性塩;スチレン−無水マレイン酸共重合体塩、マレイン化ポリブタジエン塩、ナフタレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩などが挙げられる。
これらの保護コロイド成分は1種単独で、または2種以上を混合して用いることもできる。
これらの中でも、保護コロイド成分として、(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸系共重合体の水溶性塩及び/又はポリビニルアルコールを用いるのが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸系共重合体の水溶性塩を用いることが特に好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸系共重合体の水溶性塩を構成する単量体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルとしてアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸エステルが挙げられる。
前記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、モノメチルイタコン酸などが挙げられる。
また、前記(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸系共重合体としては、前記単量体の他に、スチレンなどがさらに共重合されているものであってもよい。
(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸系共重合体の水溶性塩の具体例としては、例えば、アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸共重合体の水溶性塩、メタクリル酸エステル−不飽和カルボン酸共重合体の水溶性塩、スチレン−アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸共重合体の水溶性塩、およびスチレン−メタクリル酸エステル−不飽和カルボン酸共重合体の水溶性塩から選ばれる1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。
前記(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸系共重合体の質量平均分子量は、3000〜50000であることが好ましい。
また、前記(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸系共重合体の酸価は50〜300mg−KOH/gであることが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸系共重合体は、カルボン酸のアルカリ金属塩またはアミン塩、又はアンモニウム塩などで水溶化され得る。
保護コロイド成分として用いられるポリビニルアルコールとしては、例えば、重合度300〜2600でケン化度が70〜92モル%の範囲のものが挙げられる(質量平均分子量としては1500〜130000の範囲となる)。
ポリビニルアルコールは、カルボキシル基、スルホン酸基、アセトアセチル基、及び、カチオン基の内の1以上の官能基を有するように変性されたものであってもよい。
前記コーティング剤として水性エマルジョンを作製する場合には、例えば、前記ブロックコポリマー100質量部に対して、水系溶媒を150質量部以上1000質量部以下の割合で含有させることができる。
また、前記保護コロイド成分は、前記ブロックコポリマー100質量部に対して、3質量部以上30質量部以下の割合で含有させ得る。
前記コーティング剤の調製には、ホモジナイザー等の攪拌装置を用いることができる。
コーティング剤でセパレータフィルム上に塗膜を形成させるには、該塗膜を全面に施す場合は、スプレーコート、ナイフコート、リバースコート、刷毛塗りなどの一般的な塗工方法を採用することができる。
前記塗膜を部分的なものとする場合(塗膜時点でパターンを形成する場合)は、例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷などの塗工方法を採用することができる。
該塗工方法で形成された塗膜を乾燥して防湿皮膜を形成させる方法としては、一般的な加熱乾燥炉を用いることができる。
前記セパレータフィルムは、前記コーティング剤のハジキ等を考慮して、表面にマット加工が施されていてもよい。
また、前記セパレータフィルムは、後段における防湿皮膜からの剥離性を考慮して、表面に離型処理が施されていてもよい。
前記防湿皮膜は、セパレータフィルムとは別の基材フィルム状に形成させた後にセパレータフィルムに転写してもよい。
このように転写法によってセパレータフィルムと防湿皮膜との積層構造を形成する場合、防湿皮膜には、厚みの均一性と、セパレータフィルムからの良好な剥離性とを容易に付与することができる。
前記セパレータフィルムには、熱可塑性を有する樹脂フィルムを採用することができる。
前記セパレータフィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂;GPPS(スチレン単独重合体)、HIPS(スチレン−ブタジエン共重合体)などのスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;アクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリイミド樹脂などが挙げられる。
前記セパレータフィルムを構成する樹脂は、例えば、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーであってもよい。
前記セパレータフィルムは、例えば、5μm以上500μm以下の厚みを有するものとすることができる。
前記防湿皮膜の厚みは、特に限定されるものではないが、通常、1μm以上250μm以下とされる。
前記防湿皮膜の厚みは、5μm以上100μm以下であることが好ましい。
セパレータフィルム、防湿皮膜、及び、防湿層の厚みは、通常、これらの単位面積当たりの容積を求め、該容積を前記面積で除して求められる。
この素材準備工程で用意する熱可塑性フィルムは、前記防湿皮膜が前記セパレータフィルムに積層された積層構造を有し、且つ、前記下型110と前記上型120との間に挟み込むことが可能な大きさを有するものであれば、下型110の上部開口よりも僅かに大きな枚葉体であっても、前記開口よりも広幅な帯状の連続体であってもよい。
前記熱可塑性フィルムは、表面が防湿皮膜で構成されていれば、前記セパレータフィルムと前記防湿皮膜との2層構造である必要性はなく、防湿皮膜とセパレータフィルムとの間に中間層が介装されるなどして3層以上の積層構造が備えられたものであってもよい。
(b)区分工程
当該区分工程では、前記下型110と前記上型120との間に前記熱可塑性フィルムFを挟み込み、これらを閉じた際に内部に形成される密閉空間を前記熱可塑性フィルムで区分けする。
即ち、区分工程では、図3に示すように、該熱可塑性フィルムFを介して隣り合う第1空間部A1と第2空間部A2とを型内に形成する。
本実施形態の区分工程では、第1空間部側の表面が前記防湿皮膜F2となるように前記熱可塑性フィルムFを配置し、且つ、前記部品面1aが前記防湿皮膜F2と対向するように前記プリント回路板1を前記第1空間部A1に配置する。
より詳しくは、本実施形態の前記区分工程では、まず、上型120を上方に位置させて下型110との間に十分な距離を確保し、プリント回路板1を下型内に収容させる。
前記プリント回路板1は、前記ステージ114の上に載置して下型内に収容させる。
前記プリント回路板1は、部品面1aが上側となるように前記ステージ114の上に載置する。
このとき前記ステージ114は、水平方向に下型110を見た際に下型側壁112の上端よりも上側にプリント回路板1がはみ出ることが無いように位置を低げた状態にする。
その後、下型110の上部開口を塞ぐように熱可塑性フィルムFをセットする。
このとき防湿皮膜F2が下側となるように熱可塑性フィルムFをセットして防湿皮膜F2と前記部品面1aとを対向させる。
さらに、このとき部品面1aにおいて防湿層の形成が必要となる領域と防湿皮膜F2の形成された領域とが一致するように熱可塑性フィルムFを下型110に対して位置合わせする。
この位置合わせがされた状態で上型120を下降させ、上型120と下型110との間に熱可塑性フィルムFを挟み込む。
本実施形態の区分工程では、必要であれば、上型側壁122の下端部が接する位置にスペーサーを配置し、上型と熱可塑性フィルムFとが直接的に接触しないようにしてもよい。
前記区分工程では、同様に下型側壁112の上端部と熱可塑性フィルムFとの間にもスペーサーを配置してもよい。
このようにスペーサーを用いる場合、該スペーサーとしては、薄いゴム板やPTFE板などのような弾性変形性を有する材質のものが好適である。
スペーサーは、側壁112,122の形状に対応するように矩形枠状に加工されたものを用いることができる。
前記区分工程は、2枚の矩形枠状のスペーサーの間に予め熱可塑性フィルムFを挟み込んで積層体を構成させておき、当該積層体を下型110と上型120との間に挟み込むようにして実施してもよい。
(c)加熱工程
該加熱工程では、熱可塑性フィルムFを加熱して軟化させる。
具体的には、下型110と上型120との間に挟み込まれた熱可塑性フィルムFを前記輻射加熱式ヒーター124によって加熱する。
熱可塑性フィルムFの加熱温度は、当該熱可塑性フィルムFを構成する樹脂の種類などにもよって適宜決定され得る。
例えば、熱可塑性フィルムFに最も多く含まれている樹脂が非晶性樹脂で、該非晶性樹脂のガラス転移温度(JIS K7121−1987:DSC法での中間点ガラス転移温度)をTg(℃)とした場合、前記加熱温度は0.9×Tg(℃)〜1.5×Tg(℃)の範囲内とされることが好ましく、1.0×Tg(℃)〜1.4×Tg(℃)の範囲内とされることがより好ましい。
また、熱可塑性フィルムFに最も多く含まれている樹脂が結晶性樹脂で、該結晶性樹脂の融点(JIS K7121−1987:DSC法での融解ピーク温度)をTm(℃)とした場合、前記加熱温度は0.9×Tm(℃)〜1.2×Tm(℃)の範囲内とされることが好ましい。
このような加熱工程での軟化の挙動を比較的マイルドなものにする上において、前記セパレータフィルムは、2種類以上の樹脂を含んでいることが好ましい。
該加熱工程では、下型給排気口113を通じて第1空間部の空気を排出するとともに上型給排気口123を通じて第2空間部A2の空気を排出して第1空間部A1及び第2空間部A2の両方を減圧状態にして熱可塑性フィルムFを加熱することが好ましい。
このことにより防湿皮膜F2に残留溶媒などの揮発性成分が含まれているような場合において、当該加熱工程で防湿皮膜F2から揮発性成分をより確実に除去することができる。
加熱工程での第1空間部A1と第2空間部A2との気圧は、例えば、0.5kPa以下とすることができる。
第1空間部A1と第2空間部A2との気圧は、0.3kPa以下であることが好ましく、0.2kPa以下であることがより好ましい。
本実施形態では、加熱工程を区分工程後に実施しているが、要すれば、加熱工程を区分工程前に実施してもよい。
即ち、前記区分工程は、予め十分に加熱された熱可塑性フィルムFを下型110と上型120との間に挟み込む形で実施してもよい。
(d)加圧工程
当該加圧工程は、前記区分工程及び前記加熱工程の後に実施する。
該加圧工程では、前記第1空間部A1の気圧を前記第2空間部A2の気圧よりも低圧にして前記熱可塑性フィルムFに対して前記第2空間部A2から前記第1空間部A1に向けた圧力を加える。
該加圧工程では、前記加熱工程によって軟化された前記熱可塑性フィルムFを前記圧力を利用してプリント回路板1の部品面1aに接着させ、該熱可塑性フィルムFを構成する前記防湿皮膜F2によって部品面上に防湿層を形成する。
即ち、加圧工程では、防湿皮膜F2が部品面1aに熱接着される。
このとき、軟化された熱可塑性フィルムFには、第2空間部側から比較的均等に圧力が加えられることになるため、局所的に強い圧力が加わって防湿層の厚みが極端に薄い箇所が出来てしまうことが抑制される。
厚みが薄くても防湿層が形成されていれば水滴の接触による回路ショートの防止を図ることができるが、水蒸気やその他のガスに対するガスバリア性を勘案すると防湿層には極端に厚みが薄い箇所が形成されていないことが好ましい。
本実施形態においては、前記のように防湿層の一部の厚みが極端に薄くなることをが抑制されるため水滴の接触による回路ショートがより確実に防止可能であるばかりでなく、水蒸気の侵入による防湿層とプリント回路板との間での結露やイオンマイグレーションなどのトラブルをも回避し得る。
前記のような効果をより確実に発揮させるべく、例えば、防湿皮膜F2に伸長が加わり易く、防湿層の厚みが薄くなりやすい部分を予め肉厚に形成しておいてもよい。
例えば、電子部品の周縁部などにおいては、加圧工程で防湿皮膜F2が伸長され易いため、該周縁部における防湿皮膜F2の厚みを電子部品の中央部などに比べて厚くした熱可塑性フィルムFを前記素材準備工程で作製しておいてもよい。
前記加圧工程は、図5に示すように、例えば、前記第1空間部A1の減圧状態を維持しつつ前記第2空間部A2の減圧状態を解除し、上型給排気口123を通じて第2空間部A2に改めて空気を供給することによって実施することができる。
前記加圧工程では、前記第1空間部を大気圧未満の減圧状態にし、且つ、第2空間部A2に過剰に空気を供給して前記第2空間部を大気圧を超える加圧状態にすることが好ましい。
このことによって部品面1aに対して防湿皮膜F2をより強固に接着させることができ、しかも、防湿層と部品面1aとの間に隙間が形成されてしまうことをより確実に防ぐことができる。
このときの第2空間部A2の気圧は、1.1気圧以上の加圧状態とすることが好ましく、1.2気圧以上の加圧状態とすることがより好ましく、1.5気圧以上の加圧状態とすることがさらに好ましい。
第2空間部A2の気圧は、通常、5気圧以下とされる。
前記第1空間部A1と前記第2空間部A2との間に圧力差を生じさせる前には、図4に示すように前記シリンダー115を駆動してステージ114を上方に移動させ、部品面1aを熱可塑性フィルムFに当接させることが好ましい。
即ち、前記加圧工程の前には、事前に部品面1aを熱可塑性フィルムFに接触させる当接工程を実施することが好ましい。
該当接工程は、部品面1aで熱可塑性フィルムFを第1空間部側から押圧し、熱可塑性フィルムFを第2空間部A2に向けて膨化させることが好ましい。
このことによって部品面1aに対して防湿皮膜F2をより強固に接着させることができ、防湿層と部品面1aとの間に隙間が形成されてしまうことをより確実に防ぐことができる。
(e)剥離工程
該剥離工程では、セパレータフィルムF1と防湿皮膜F2との間で熱可塑性フィルムFを界面剥離し、防湿皮膜F2のみをプリント回路板1の部品面1aに残存させる。
このことによりに防湿皮膜F2で出来た防湿層が部品面1aの上に備えられる。
前記加圧工程と当該剥離工程との間には、前記熱可塑性フィルムFを冷却する冷却工程を実施してもよい。
該冷却工程では、熱可塑性フィルムFを常温に近い温度(例えば、50℃以下)にまで冷却することが好ましい。
本実施形態での熱可塑性フィルムは、防湿皮膜から剥離可能なセパレータフィルムと、防湿皮膜との積層構造を有し、且つ、前記防湿皮膜には前記防湿層の形成箇所に対応したパターンが形成されているが、要すれば、熱可塑性フィルムは、防湿皮膜による単層構造を有するものであってもよい。
熱可塑性フィルムが防湿皮膜による単層構造を有するものである場合、熱可塑性フィルムを作製する作業は、パターン形成された防湿皮膜とセパレータフィルムとの積層構造を有するものを作製する場合に比べて簡略化させ得る。
一方で、熱可塑性フィルムが防湿皮膜による単層構造を有するものである場合、前記加圧工程において、部品面1aの全面に防湿皮膜が接着されてしまうため、該剥離工程では、コネクタ部1cや、螺子止用の貫通孔H1,H2,H3,H4の形成箇所に設けられた防湿層を除去する作業が必要になる。
そのため、剥離工程が簡略化できる点においては、積層構造を有する熱可塑性フィルムを用いる方が有利となる。
前記はんだ面1bにおける防湿層の形成方法は、これまで説明した部品面1aでの方法と実質的に同じであるためここでは説明を繰り返さない。
なお、部品面1aの防湿層とはんだ面1bの防湿層とは、材質や厚みなどが共通している必要はなく、互いに異なっていてもよい。
また、要すれば、部品面1aとはんだ面1bとの何れか一方においては、従来どおり液状のコーティング剤を使って防湿層を形成させてもよい。
本実施形態においては、被処理品としてプリント回路板を例示しているが本発明は、防湿層を形成させる被処理品をプリント回路板に限定するものではない。
さらに、本発明は、上記例示に何等限定されることなく、各種の変更を適宜加えることができるものである。
1:プリント回路板、A1:第1空間部、A2:第2空間部、F:熱可塑性フィルム、F1:セパレータフィルム、F2:防湿皮膜

Claims (4)

  1. 熱可塑性を有するポリマー組成物で被処理品の表面に防湿層を形成して防湿処理製品を作製する防湿処理製品の製造方法であって、
    前記防湿層を形成する被処理面に凹凸を有する被処理品を用い、
    前記ポリマー組成物で形成された防湿皮膜が熱可塑性を有するセパレータフィルムに積層された積層構造を有する熱可塑性フィルムか、又は、前記防湿皮膜による単層構造を有する熱可塑性フィルムかの何れかの熱可塑性フィルムを用意する工程、及び、
    前記熱可塑性フィルムで空間を区分けし、該熱可塑性フィルムを介して隣り合う第1空間部と第2空間部とを形成する区分工程を実施し、
    前記熱可塑性フィルムを加熱して軟化させる加熱工程を前記区分工程の前又は前記区分工程の後に実施し、
    前記区分工程と前記加熱工程との後には、前記第1空間部の気圧を前記第2空間部よりも低圧にして前記熱可塑性フィルムに対して前記第2空間部から前記第1空間部に向けて圧力を加える加圧工程を更に実施し、
    前記区分工程では、第1空間部側の表面が前記防湿皮膜となるように前記熱可塑性フィルムを配置し、且つ、前記被処理面が前記防湿皮膜と対向するように前記被処理品を前記第1空間部に配置し、
    前記加圧工程では、前記加熱工程によって軟化された前記熱可塑性フィルムを前記圧力を利用して前記被処理面に接着させ、該熱可塑性フィルムを構成する前記防湿皮膜によって前記防湿層を形成する、防湿処理製品の製造方法。
  2. 前記加圧工程では、前記第1空間部を大気圧未満の減圧状態にし、且つ、前記第2空間部を大気圧を超える加圧状態にして前記接着を実施する請求項1記載の防湿処理製品の製造方法。
  3. 前記被処理品がプリント回路板である請求項1又は2記載の防湿処理製品の製造方法。
  4. 前記熱可塑性フィルムは、前記セパレータフィルムと前記防湿皮膜との積層構造を有し、且つ、前記防湿皮膜には、前記防湿層の形成箇所に対応したパターンが形成されており、
    前記区分工程では、前記防湿皮膜と前記被処理面との位置合わせを更に実施する請求項1乃至3の何れか1項に記載の防湿処理製品の製造方法。
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