JP2018192509A - 熱延棒鋼の制御冷却方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱間圧延直後の棒鋼を全長均一に制御冷却する方法の提供。
【解決手段】走行する被圧延材を圧延前又は途中又は圧延後において連続測温し、該測温値に基づいて目標温度まで加熱又は冷却し、個々の棒鋼1が制御冷却台に到着した時点において全数・全長を同一温度とする。制御冷却装置は棒鋼1から棒列4に形成する手段と、個々の棒を自転させつつ棒列4を斜行並進させる移送手段と、強制冷却用の常温流動床を内装する槽3と、棒列4の下方で棒列4と流動床との接触を開閉する多段の遮蔽板列15と、棒列4の上方で放熱を開閉する多段の保温板列6とから成り、遮蔽板15と保温板6を適宜開閉して個々の棒鋼4を全長同一条件で所定の冷却履歴に誘導する制御冷却方法。
【選択図】図1

Description

本発明は熱間圧延後の棒鋼に適用される制御冷却の方法に関するものである。
棒鋼圧延において通常圧延直後の棒鋼は切断して冷却台に送られ、並列・並進しつつ空冷される。空冷故に焼準と同様の金属組織を持ち、中庸の強度と安定した延靭性が得られている。特別の機械的性質例えば高強度・低強度・高加工性・高延性等を必要とする場合には、棒鋼に2次加工例えば焼入焼戻しや焼鈍等が施される。
線材では圧延直後の制御冷却の技術が充実していて各種の熱処理が施され、その分2次加工の工程省略がなされるが棒鋼では事例が多くない。
その理由は、
1)棒鋼では多くの場合それ自体が製品であって特別の熱処理を要しない、
2)材料として使用される場合でも通常の金属組織で特に不都合が無い、
3)棒径が大きいので金属組織の改質に必要な冷却速度が得にくい、
4)合金添加によって改質しようとするとコスト問題が生ずる、
5)必要な冷却能をもつ冷却方法があっても圧延工場の大きな生産能率(50〜150t/h)と広大な面積の冷却台に適応して並列並進する棒鋼列に適切且つ全長均一に冷却し得る方法はあることはあるが困難であること等が挙げられる。確実な熱処理、多様な熱処理が可能且つ容易になれば、需要の増加、応用の拡大は大いに期待される。
棒鋼の中で最大生産量を占める汎用鉄筋の降伏強度は約300MPaである。細径(10〜18mm)では合金添加と圧延直後の水冷の適用により800MPaとなる高強度品が製造されているが、近年太径(22〜51mm径)の高強度材が期待されている。これは本発明の目的の一つである。
棒鋼の金属組織を改質して高強度化等を図る制御冷却に関する先行事例を検討する。
1. テンプコア法: 非特許文献1
主に鉄筋用低炭素鋼を対象に仕上げ圧延直後の直進する棒鋼を強力な水冷装置により急冷して表層をMs点(マルテンサイトが発生する温度)以下に冷却して焼入れし、その後内部の自己熱により焼入れ部を焼き戻す方法であって、降伏強度は約500MPa、合金添加により600MPaが得られる。問題は、
1)棒径が大きいほど強度・延靭性が低下する、
2)表層は焼入焼戻し組織であるからHに起因する遅れ破壊に敏感である、
3)特別の冷却台を要せず走行する棒鋼を強力ジェット水流によって冷却するだけであるが、凹凸のある棒鋼に正確均等な冷却を施すことが意外に困難であること等により国内ではほとんど製造されていない。また当該方法は単機能である。
2. ミスト冷却法: 特許文献1、特許文献2
圧延後の棒鋼を棒列に形成して冷却台上で並進させるに当たり、各棒を自転させつつ斜行並進させ、他方冷却台上方に全面配置したミストスプレイ・ノズルによりスプレイ冷却を適用する。棒軸方向、接線方向共に冷却が均等になるよう工夫されている。問題は、1)冷却強化のため水量を増加すると棒鋼と機材との接触部に水が溜まり局所異常冷却が発生する、
2)上方だけからの噴射であるため実効表面積が約1/3となり、この2点から大きな冷却能が得られず、平均総括熱伝達率は高々200W/m2 K程度である。
そのため高炭素低合金鋼のPC鋼棒のパテンティングには利用できるが鉄筋の高強度化や中炭素鋼の調質高強度鋼の製造には冷却能不足である。当該装置も単機能的である。
3. TMCP法: 非特許文献2
加工熱処理とも言われ、成分・圧延条件・冷却条件の3要因を総合的に組み合わせて結晶粒度と金属組織を改質する方法であり、高強度と高延靭性が得られる。主に厚板・薄板を対象とし走行中に強制冷却される。
上記文献には、細粒化元素(V,Nb)の添加、800℃以下の低温圧延によるオーステナイト粒の微細化、再結晶粒の成長抑止と変態組織制御のための適切な水冷の3プロセスにより3μm径以下の微細フェライト又はベイナイト又はマルテンサイトを主組織とし、厚板において500〜900MPaの高強度化が可能と示されている。
本方法の問題は、棒鋼に応用する場合、低温圧延に耐える圧延機耐力の強化と圧延後の強制冷却装置が不可欠となる。後者に関して走行する棒鋼を水冷により適切な速度冷却で冷却する方法では走行距離が過大になってスペース上実施困難となる。従って実施されていない。因みに厚板では断面積が大きいので走行速度は小さく、必要冷却時間約100秒に対してスペース上の問題は大きくないので実施されている。
4. 常温流動床冷却: 特許文献3
該文献には熱延棒鋼に対して多様な熱処理が可能な制御冷却方法が開示されている。それによると強力な冷却能を持つ常温流動床の槽内に棒鋼冷却台を設け、該冷却台は前記特許文献2に開示された自転する棒鋼を並進斜行させる構造であり、棒列と平行な多段の遮蔽板と保温板を設け、該板を適宜開閉して冷却強さと冷却時期を調節する。
焼入から徐冷まで種々の連続冷却・恒温変態が可能な多機能方法・装置である。
当該方法の問題点を検討する。先行例2(特許文献1)の方法に対しても言えることであるが、適切な鋼種で適切な冷却により所定の恒温変態を誘導して高強度PC鋼棒を製造する際、その適正条件即ち冷却線の極小点・極大点の範囲はかなり狭い。極小点が基準値よりも低下するとパーライト変態が途中で抑制され過冷組織(ベイナイト、マルテンサイト)が混入して製品に適さない。逆に極大点が基準を超えると必要強度が得られない。変態開始前から変態終了まで冷却強さを正確に調節することが必要である。
当該方法により制御冷却自体は安定したが、制御冷却前の棒鋼温度のロット内バラツキが強度と過冷組織の混入に大きく影響することが判明した。適正温度・適正冷却条件下で1400MPaの強度を得ると、近傍で30℃低い部分では初期冷却が行きすぎてマルテンサイトの混入が見られた。
通常の熱間圧延では仕上げ圧延温度や予備冷却後の温度が多少ばらついても以後は空冷であるから製品の強度・靱性にあまり影響しない。他方特定の金属組織や特定の強度・靱性に誘導する場合、圧延仕上げ温度や制御冷却開始温度は一定でなければならない。
圧延に際して材料長さ方向の温度変化について検討する。
第1の問題は、鋼片は加熱炉により加熱・均熱されて抽出されるが、図4に例示(図中A)されるように鋼片長さ方向に温度バラツキが見られる。ウォーキングハース式の加熱炉では固定床と移動床の境界で加熱不足が生じ易い。ウォーキングビーム式でもビーム接触部の加熱が遅れて不均一が生じ易い。これは不都合な現象である。
第2に、図中Aは炉出口と1番ロールの中間点において測温した結果であり、図中Bの点線は実測Aの傾向を示す。鋼片温度は後端に向かって低下している。点線CはBの点線を基に1番ロール入り口における温度の計算値であり、点線Dはさらに数パス後の温度の推定値であって該低下傾向は残存している。
該低下傾向の原因は、炉出し時刻は前後端でほぼ同時刻(数秒差)であるもののロール入り口到着時刻では大差(1本の鋼片の圧延時間1〜2分)が生じ、その結果後端に向けて圧延途中の放熱が増加し、到達時にはかなりの温度差が生ずる。
該時間差は次式で求められる。
時間差=鋼片1本当たりの圧延時間h=鋼片単重t/圧延能率t/h
図5は上記同様20番ロール通過後の13mm径線材の長さ方向実測温度変化を示す。鋼片に存在した温度不均一は減少しているものの残存している。しかし後端への低下傾向は消滅している。不均一の減少と後端低下傾向の消滅は圧延パスの増加に伴う放熱の累積に対して加工発熱の増加(温度低下と歪み速度増加の双方による変形抵抗の増加に起因)・累積により均熱化が進むためである。
以上から、1)鋼片の不均一加熱、2)鋼片後端への温度低下は、それぞれ線材圧延(20〜30パス)では圧延過程での均熱作用により軽減され大きな問題とはならないが、棒鋼圧延(10パス前後)ではパス数が少なく該作用は不足して不均一加熱や後端低温傾向が残存し制御冷却の適用に際して制御精度が低下し品質に悪影響を及ぼす。
公開特許公報昭61−26730 公開特許公報平1−234527 特許第4106412号
日本鉄鋼協会、鉄鋼技術の流れ4:制御圧延・制御冷却、P.151 新日本製鐵(株)監修、NIPPON STEEL MONTHRY 2007,6,p.7~8
大量生産の棒鋼ミルにおいて、通常の圧延空冷材よりも優れた金属組織や優れた機械的性質を持つ棒鋼製品を得ようとする場合、熱延後冷却台上で並列並進する棒鋼に対して制御冷却が適用される。
1本の鋼片から圧延され切断され順次冷却台に送給された個々の棒鋼は到着した時点で全数・全長同一温度でないと正確な制御冷却を施すことができない。
しかるに鋼片は加熱炉において均熱を旨とするものの、炉の構造上の弱点に起因し、また作業能率・省エネルギー等を勘案する結果、多少の不均一加熱を放置することが常態になっている。
その上、直列式圧延ラインおいて鋼片の前後端の炉出し時刻はほぼ同時(数秒差)であるが圧延機到達時刻、冷却台到達時刻には前後で大差(1本の鋼片の圧延時間で1〜2分差)が生じ、その結果後端に向けて圧延途中の放熱が増加し、到達時にはかなりの温度差が生ずる。
該2種の不均一性は圧延パス数の増加に伴う均熱作用によって軽減され線材では問題とされないが棒鋼では明白に残存し、それが制御冷却の初期条件を乱している。
本願発明は、1本の鋼片から圧延された棒鋼を、並列・並進して制御冷却を受ける冷却台に到達した時点において、全数・全長とも同一温度とする方法を提供し、制御冷却の制御精度を向上させることを解決すべき課題とする。
上記課題の解決のため、先行例4に見られた問題を検討し該先行例を改良する以下の発明をなした。
第1発明は、棒鋼の制御冷却において走行する被圧延材を圧延前又は圧延途中又は圧延後に連続測温し、目標温度との差異に対応して測温部位の下流側に設けられた誘導加熱装置により該被圧延材を適宜加熱し、圧延後切断して棒鋼とし、該棒鋼が後制御冷却装置に順次到達した時点で個々の棒鋼の温度を全数・全長均一とすることを特徴とする制御冷却方法である。
第2発明は、棒鋼の制御冷却において走行する被圧延材を圧延前又は圧延途中又は圧延後に連続測温し、目標温度との差異に対応して測温部位の下流側に設けられた水冷装置により該被圧延材を適宜冷却し、圧延後切断して棒鋼とし、該棒鋼が制御冷却装置に順次到達した時点で個々の棒鋼の温度を全数・全長均一とすることを特徴とする制御冷却方法である。
第3発明は、制御冷却装置が主に、1)常温流動床を内装する槽と、2)棒列を積載し個々の棒鋼を棒軸回りに自転させつつ該棒列を斜行並進させて該槽内を横断する棒列移送手段と、3)該棒列下に設けられ棒鋼と流動床との接触を遮断する棒列と平行多段の遮蔽板と、4)該棒列上に設けられ棒鋼を保温する棒列と平行多段の保温板とから成り、該遮蔽板と該保温板を適宜開閉して棒鋼全長を同一冷却条件で所定の温度履歴に誘導することを特徴とする第1発明又は第2発明に記載した制御冷却方法である。
ここで述語の定義として、『適宜加熱し』、『適宜冷却し』の適宜とは、一定温度に調整する加熱又は冷却するだけではなく場合により以後に発生する前後端の温度差も含めて調整することを含める。
『個々の棒鋼の温度を全数・全長均一とする』の均一とは当該部位における目標温度±15℃を許容することとする。
[常温流動床]の常温とは、100℃以下とする。
本発明の棒鋼の制御冷却方法による第1の効果は、棒鋼圧延では圧延直後長さ方向に温度変動が残って制御冷却のバラツキを増幅するが、本発明ではライン上の適切な部位において測温し、該測定値に基づいて適切な加熱又は冷却を施すので、棒鋼が制御冷却装置に到着した時点において個々の棒鋼の全数・全長が同一温度に調整され、制御冷却の処理が正確になり製品品質の安定、性能の向上が得られる。
第2の効果は、該制御冷却方法の冷却能(W/m2 )の最大は常温流動床を適用するので空冷の5倍以上、最小は保温機能を持つので空冷の半分以下が得られ、開閉可能な平行多段冷却と組み合わせて広範な調整範囲を持ち、所望の熱履歴に誘導することができる。
第3に通常の大量生産棒鋼ミルに付設することは困難ではなく、各種棒鋼に低コストで種々の熱処理を附加することができる。
本発明を実施する棒鋼制御冷却装置の平面配置図である。 棒列を自転・斜行・並進させる機構の補足説明図(側面図)である。 流動床槽の要部を説明する図(側面図)で、遮蔽板を旋回させて棒鋼と流動床との接触を開閉し、保温板を開閉して保温と空冷とを切り換える。 棒鋼圧延における鋼片・棒鋼の表面温度の長さ方向変化を示す。Aは加熱炉と1番ロールの中間部における鋼片表面温度の実測値、BはAの傾向、CはBから計算した1番ロール手前温度、DはAとCから概算した仕上げ圧延後(8番ロール)における温度変化、Eは加熱する場合の目標温度、Fは冷却する場合の目標上限温度を示す。 線材圧延における13mm径線材(20番ロール)の表面温度の長さ方向変化を示す。不均一加熱が残存するが後端低下傾向は解消している。
図1、図2に従って装置と作業方法を説明する。長さ方向に不均一な温度分布を持つ鋼片は圧延され、仕上げ圧延機aを通過して棒鋼1となり、測温センサーbにより連続測温され、誘導加熱装置cを通過しつつ測温値に従って所定温度になるよう『適宜』誘導加熱され、切断機dにより所定長さに切断され、加速してローラーガンク2上を直進し、通常の冷却台に相当する流動床槽3の横に到着する。該棒鋼1は順次直交方向への移送手段例えばけり出しレバー0により積載手段例えば傾斜レール8上で停止する。
次いで後述の流動床槽を横断する搬送手段により一定間隔の平行棒列4が形成される。 当該部位の両端部にも測温センサーeが設けられ、到着した時点において全数・全長が同一温度(目標温度±15℃以下)となるよう加熱量が調節され、且つ確認される。
ここで『適宜』としたことは、3種の変動要因に対処することである。
1) 加熱された鋼片自体に温度不均一が存在する。
2) 仕上げ圧延通過時には後端に向かって温度低下傾向が発現している。
3) 切断後、冷却台に到達した棒鋼は前端に向かって新たに温度低下傾向が生ずる。
第3要因について補足する。
誘導加熱直後から冷却台到着時までの時間は棒鋼の前端と後端とでは異なる。前端は1本の圧延時間分だけ長くなり、その分空冷が増加し加熱温度からの低下する。
前後端の時間差=棒鋼単重(kg/本)/圧延能率(kg/h)
棒鋼径、切断長、圧延能率から上記時間差・温度差が無視できない場合は、切断信号に対応して加熱量を微調整しなければならない。
加熱量に関しては必要最小、即ち該測定温度の変動幅の上限に設定することが省エネルギー上望ましいく、且つ設備の必要加熱能力も小さくてよい。
温度一定化の手段として誘導加熱と特定した理由は、即時に且つ高精度に制御し易いからである。
一定温度に誘導する他の方法として加熱とは逆に冷却が適用される。この場合目標温度は変動幅の下限以下とする。棒径が大きいので冷却能の大きい水冷が不可欠であるがバラツキに難点がある。市販の円筒型ノズルの多段配置では精度不足であろう。冷却装置の設計と管理には特別の考慮を要する。例えば高圧密閉とする、冷却帯長を迅速調節する、水圧変動を抑制する、弁の開閉衝撃を防止する等々。
測温部位に関して既述の例では圧延後としているが圧延前・圧延途中でもよい。要は正確な測温が得られ易い部位がよい。加熱装置又は冷却装置の設置部位に関しても測温部位の下流側であればよく制御精度に有利な部位を選ぶ。その際、測温と加熱又は冷却の時間差を制御回路のアルゴリズムに組み込まねばならない。
以後制御冷却装置について説明するが特許文献3(先行例4)に開示された制御冷却装置と実質的に同等である。
該棒列4は棒軸直交方向に押されつつ自転・斜行し、流動床槽3内を横断・通過しつつ後述の冷却装置により所定の冷却を受け、搬出される。
図2(側面図)は棒列4の形成と搬送機構の説明図である。けり出された前記傾斜レール8上の棒鋼1は並進方向(棒軸と直交)に走行する平行数条のコンベア5の下方で該コンベア5の外周に一定間隔で設けられた仕切り爪7によって一旦受け止められる。該コンベアは圧延ピッチと同期した速度で走行する。後続の棒鋼1はそれぞれ仕切り爪によって仕切られ一定間隔の棒列4を形成する。
次いで該棒列4は水平斜行に走行する平行数条のループベルト6上に移送される。
該コンベア5、該ループベルト6とも一体的に流動床槽3を横断走行する。該コンベアの走行軌跡は図面とは上下逆に該流動床槽の下方を反転させてもよい。その場合仕切り爪は該コンベアの内周に位置する。
前記ループベルト6は棒列4を積載して棒軸に対して斜めに水平走行するが搬送自体は前記仕切り爪7に拘束されているので棒に接線力とスラスト力が作用する。その結果棒軸回りの自転と水平斜行が誘発される。自転は流動床冷却において棒鋼表面における接線方向の伝熱の不均等を平準化する機能を果たす。斜行は棒鋼と搬送機構との接触による局所的な不均一冷却を分散平準化する。注意点1は、コンベアとループベルトが同一方向同一速度なら接線力、スラスト力は発生しない。注意点2は、斜行角度はループベルトの傾斜角と一致するわけではない。自転数(ベルト速度)と摩擦係数に依存する。適宜選択する。該ベルトの走行方向は前後どちらでもよい。
流動床槽3は、流動床13を形成する流動砂14と、該砂14を浮遊させる圧縮空気を噴き出す送風ノズル列9と、該流動床13を冷却する水冷壁11と、該流動床13と棒列4との接触を開閉する遮蔽板15と、棒列4を保温する保温板16等を内包する。通常の流動床冷却炉では付設される加熱装置・温度制御装置は不要である。該槽3は棒鋼を収容し得る棒軸方向の長さと冷却処理に必要な時間に対処し得る幅(直交方向長さ)と流動する砂の溢れ出しを防ぐ深さを持つ。
図3(側面図)は流動床槽3の要所を説明する図である。棒列4は流動砂が浮遊している流動床13内に浸漬される水準(図3A)を走行し、且つ流動砂が沈積している状態では砂14の上方(図3B)を走行するよう流動床と斜行ベルトの高低関係が決定される。 沈積状態では棒鋼は空冷される。具体的には、通常、流動砂は約300mm堆積する。約1気圧弱の圧力の送風により400〜450mmに膨らんだ流動状態が形成される。適切な送風量は流動状態を見て設定される。過剰に送風しても吹き抜け現象が生じて良くないことは直ちに解る。流動砂には通常と変わることなく約0.1〜0.7mm径のジルコン砂が使用される。
送風ノズルは流動床槽の底面に棒列と平行に該槽の全長に配置されノズル列9を形成する。更に該ノズル列9を幅方向に多段に並列してノズル列群を形成し、槽内全域を流動床とする。棒鋼とノズル列を平行させる理由は棒全長を同時に均等に冷却するためである。 列内で各ノズルの元圧を一定にすることも均一冷却には欠かせないが、当業者なら容易に対処し得る。冷却の調整やメンテナンスの便宜のため列毎に送風の開閉を可能としておく。ノズル列の多段の配置はきめ細かい多段の段階的冷却調整に対応するものである。
ノズル列9の上方であり且つ棒列4の下方空間に遮蔽板15がノズル列と同数配置され列を形成する。該遮蔽板15は棒軸方向に一定幅を持つ。該遮蔽板は棒軸と平行に配置され流動砂と棒鋼との接触を開閉する。開閉は該板15の幅中心を通る棒軸方向軸を回転軸にして90度旋回して行う。該中心軸はノズル列の垂直上方に位置するのが望ましい。遮蔽により棒鋼と流動床の接触が断たれ流動床冷却から空冷に変わる(図3Aから図3Bへ)。
該遮蔽板15を個々に適宜、開閉を設定することにより自在の冷却線図が得られる可能性が生ずる。そのために必要な、
第1条件は基本的に強力な冷却能を保有することであり、
第2条件は間欠冷却と間欠幅(遮蔽板の幅)の細分化である。
間欠幅は仕切り爪間隔程度に小さくすれば十分である。具体的には50〜150mmである。尚板幅はノズル列幅とは同一でなく1/2倍程度にしてもよい。当然密接配置は必要である。
流動床の冷却能は流動床温度が低いほど大きくなるので本発明では約100℃以下を目安にした。その結果前記第1条件は容易に解決される。上記温度に誘導するため流動床槽内に水冷壁11がノズル列と平行に配置される。該壁11は槽3の底面より垂直に立ち上げ、流動する砂と接触させて砂を冷却する。棒と流動床間の熱伝達率は流動床と水冷壁間のそれとほぼ等しい。従って槽内において棒軸直交方向の単位長さ当たりに存在する棒鋼の表面積と水冷壁の表面積が同じであれば、流動床温度は両者の中間点で均衡する。即ち棒鋼温度が800℃であれば流動床は約400℃になる。水冷壁の表面積を棒鋼のそれの10倍以上とすると温度差は10対1以下に分配され流動床温度は100℃以下になる。実質常温と見なせるので便宜的にこれを常温流動床と呼称した。
空冷よりも冷却を弱めることを可能とするため、棒列4の上方にノズル列9と対面した開閉可能な保温板16を設け、送風停止の状態において該保温板を閉鎖して保温(図3C)とすることができる。配置の方法は前記遮蔽板15と同様である。即ち該流動床槽は並進方向に多段平行に配置されたノズル列の送風と遮蔽板と保温板のそれぞれを開閉することにより3種の冷却能を保有し、切替えが可能となる。前二者の閉状態は共に空冷を誘導するが、砂の堆積量の偏り等の平準化のため適宜使い分ける。
各状態の冷却能(32mm径の場合)は以下である。流動床温度が周辺温度に相当する。
冷却能Q=熱伝達率α×(棒鋼温度θ−周辺温度θs)
α(W/m2K) θs(℃) Q(W/m2
状態A: α1 ≒600 θs1 ≒100 Q1 ≒420000
状態B: α2 ≒110 θs2 ≒100 Q2 ≒ 77000
状態C: α3 ≒ 50 θs3 ≒300 Q3 ≒ 25000
但し棒鋼温度θを800℃とする。
熱伝達率αの値は棒径が増加すると低下する。一方異形棒鋼ではフィンの効果が作用して約10%増加する。
制御冷却においては、目的とする熱処理に対応して又圧延条件とも対応して冷却のタイミングと冷却強さを適切に設定しなければならない。本発明では以下の調節方法を採る。即ち、ノズル列の送風の開閉、遮蔽板と保温板の開閉を操作して、上流側から順次上記3状態のどれかに設定する。例えば焼入自己焼戻し、パテンティングの場合は定性的には以下となる。
焼入自己熱焼戻し: AAAAAAAAAAACCCCCCCCCCC
パテンティング: AAAAABBABABBCCCCCCCCCC
加熱又は冷却時の目標温度の許容値を±15℃以下と特定した理由は、通常の熱延では±20℃のバラツキがよく見られること、熱処理の内容によっては±10℃以下が不可欠となること、通常強度のパテンティングやテンプコアでは±15℃のバラツキなら許容限度に近いからである。
図4Aは加熱炉と1番ロールの中間で測定した鋼片長さ方向の温度分布の例である。かなり不均一であること、後端に向かって低下傾向(図中B)があることが解る。Cは1番ロール入り口における低下傾向の計算値である。DはAとCから概算した仕上げ圧延後(8番ロール)における温度変化である。Eは加熱する場合の目標温度、Fは冷却する場合の目標上限温度を示す。
測温値を基準にして加熱する場合は目標温度Eを目指して加熱量が設定され、冷却の場合はFを目指して水冷装置を調節する。
本発明の装置の設計例を表1に示す。表中に棒鋼前後端の温度差が示される。この程度なら無視しても良いが、精密制御を目指すには切断信号を介した出力修正を加える。
表から公称22,32,51mm径の棒鋼を実生産規模で制御冷却する設備の全体構成が明らかになり、多少複雑な機構が加わるが極めてコンパクトであって実施困難でないことが読みとれる。
Figure 2018192509
本発明の棒鋼の制御冷却方法を適用する装置は小スペースであるから既存の棒鋼ミルの冷却台近傍に付設することは容易である。
a:仕上圧延機 b:測温センサー c:誘導加熱装置 d:切断機 e:測温センサー 0:けり出しレバー 1:棒鋼 2:ローラーガンク 3:流動床槽
4:棒列 5:コンベア 6:ループベルト 7:仕切り爪 8:傾斜レール
9:ノズル列 11:水冷壁1 3:流動床 14:砂 15:遮蔽板 16:保温板
第1発明は、棒鋼の制御冷却において走行する被圧延材を圧延前又は圧延途中又は圧延後に連続測温し、目標温度との差異に対応して測温部位の下流側に設けられた誘導加熱装置により該被圧延材を適宜加熱し、圧延後切断して棒鋼とし、該棒鋼が後制御冷却装置に順次到達した時点で個々の棒鋼の温度を全数・全長均一とすることを特徴とする制御冷却方法である。
ここで『適宜』としたことは、3種の変動要因に対処することである。
1) 加熱された鋼片自体に温度不均一が存在する。
2) 仕上げ圧延通過時には後端に向かって温度低下傾向が発現している。
3) 切断後、冷却台に到達した棒鋼は前端に向かって新たに温度低下傾向が生ずる。
第3要因について補足する。
誘導加熱直後から冷却台到着時までの時間は棒鋼の前端と後端とでは異なる。前端は1本の圧延時間分だけ長くなり、その分空冷が増加し加熱温度から低下する。
前後端の時間差=棒鋼単重(kg/本)/圧延能率(kg/h)
棒鋼径、切断長、圧延能率から上記時間差・温度差が無視できない場合は、切断信号に対応して加熱量を微調整しなければならない。
加熱量に関しては必要最小、即ち該測定温度の変動幅の上限に設定することが省エネルギー上望ましく、且つ設備の必要加熱能力も小さくてよい。
温度一定化の手段として誘導加熱と特定した理由は、即時に且つ高精度に制御し易いからである。

Claims (3)

  1. 棒鋼の制御冷却において走行する被圧延材を圧延前又は圧延途中又は圧延後に連続測温し、目標温度との差異に対応して測温部位の下流側に設けられた誘導加熱装置により該被圧延材を適宜加熱し、圧延後切断して棒鋼とし、該棒鋼が後制御冷却装置に順次到達した時点で個々の棒鋼の温度を全数・全長均一とすることを特徴とする制御冷却方法。
  2. 棒鋼の制御冷却において走行する被圧延材を圧延前又は圧延途中又は圧延後に連続測温し、目標温度との差異に対応して測温部位の下流側に設けられた水冷装置により該被圧延材を適宜冷却し、圧延後切断して棒鋼とし、該棒鋼が制御冷却装置に順次到達した時点で個々の棒鋼の温度を全数・全長均一とすることを特徴とする制御冷却方法。
  3. 制御冷却装置が主に、1)常温流動床を内装する槽と、2)棒列を積載し個々の棒鋼を棒軸回りに自転させつつ該棒列を斜行並進させて該槽内を横断する棒列移送手段と、3)該棒列下に設けられ棒鋼と流動床との接触を遮断する棒列と平行多段の遮蔽板と、4)該棒列上に設けられ棒鋼を保温する棒列と平行多段の保温板とから成り、該遮蔽板と該保温板を適宜開閉して棒鋼全長を同一冷却条件で所定の温度履歴に誘導することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した制御冷却方法。
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