本実施の形態に係る照明システムは、複数の照明器具と、1以上の通信アダプタと、照明コントローラと、操作端末とを備える。照明システムを建物の造営材等に設置する施工作業では、施工作業の後半において、複数の照明器具と通信アダプタとをペアリングする作業が行われる。
例えば、通信アダプタまたは照明器具が不具合を有すると、通常はその不具合が解消するまで通信アダプタと照明器具とのペアリングを行うことができない。その場合、施工作業の工期が長期化するという問題がある。
本実施の形態では、ペアリングの全てを中止するのでなく、不具合を有する通信アダプタまたは照明器具に対応して仮の識別情報を発行して、照明システム内で仮の設定を行い、不具合を有しない新たな通信アダプタまたは照明器具が取り付けられた時に、仮の識別情報を正規の識別情報に置き換えてペアリングを行う。この方法によれば、通信アダプタまたは照明器具が不具合を有する場合であっても、ペアリング作業の一部を進めることができ、施工作業の工期が長期化することを抑制することができる。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1および2では、通信アダプタが不具合を有する場合について説明し、実施の形態3では照明器具が不具合を有する場合について説明する。
以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
(実施の形態1)
[1−1.照明システムの概略構成]
図1は、実施の形態1に係る照明システム100であって、照明システム100が備える照明器具、照明コントローラ30、通信アダプタおよび操作端末20を示す概略図である。図2は、照明器具、照明コントローラ30、通信アダプタおよび操作端末の配置の一例を示す図である。
照明システム100は、複数の照明器具10a、10b、10c、10d、10eと、照明コントローラ30と、照明コントローラ30に接続されている複数の通信アダプタ40a、40b、40c、40d、40eと、操作端末20とを備える。図2では5台の照明器具10a〜10eが示されているが、この図は一例であり、実際は建物の天井90などに100台以上の照明器具が設置されることがある。また、図2では5台の通信アダプタ40a〜40eが示されているが、この図は一例であり、実際は1台または6台以上の通信アダプタが設置されることがある。以下、複数の照明器具10a〜10eを総称して照明器具10と呼ぶ場合があり、複数の通信アダプタ40a〜40eを総称して通信アダプタ40と呼ぶ場合がある。
まず、図1および図2を参照しながら、照明システム100を構成する複数の照明器具10、照明コントローラ30、複数の通信アダプタ40および操作端末20の通信系統について説明する。
照明器具10a、10b、10cと照明コントローラ30とは、通信アダプタ40aを介して無線r11で通信可能となっている。照明器具10d、10eと照明コントローラ30とは、通信アダプタ40bを介して無線r12で通信可能となっている。無線r11およびr12による通信方式としては、920MHz帯または2.4GHz帯の周波数を利用した特定小電力無線、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または、WiFi(登録商標)などの方式が用いられる。なお、各照明器具10と、各照明器具10に対応する各通信アダプタ40とが有線ネットワークを形成し、互いに通信可能であってもよい。
各照明器具10と、操作端末20とは、赤外線通信i1により通信可能となっている。具体的には、操作端末20は、指向性を有する無線通信の一例である赤外線通信i1を用いて照明器具10のそれぞれに信号を送信する。各照明器具10は、操作端末20からの赤外線信号を個別に受信することができるように、例えば、5mほど間隔をあけて天井90に設置されている。例えば、照明器具10aの近くに操作端末20を位置させ、照明器具10aに向けて赤外線信号を送ることで、対象とする照明器具10aのみに情報を伝達することができる。
各通信アダプタ40と、操作端末20とは、赤外線通信i2により通信可能となっている。具体的には、操作端末20は、赤外線通信i2を用いて通信アダプタ40のそれぞれに信号を送信する。各通信アダプタ40は、操作端末20からの赤外線信号を個別に受信することができるように、例えば、10m以上の間隔をあけて天井90に設置されている。例えば、通信アダプタ40aの近くに操作端末20を位置させ、通信アダプタ40aに向けて赤外線信号を送ることで、対象とする通信アダプタ40aのみに情報を伝達することができる。
照明コントローラ30と操作端末20とは、無線r2によって通信可能となっている。無線r2による通信方式としては、無線r11と同様の方式が用いられる。なお、操作端末20と照明コントローラ30は、USBなどの接続端子により有線で通信できるようになっていてもよい。
照明システム100では、これらの通信系統を用いて、照明器具10と通信アダプタ40とのペアリングが行われる。
[1−2.照明システムの各構成]
次に、照明システム100を構成する複数の照明器具10、操作端末20、照明コントローラ30および複数の通信アダプタ40について説明する。なお、複数の照明器具のうち照明器具10aを代表例に挙げて説明する場合があり、複数の通信アダプタ40のうち通信アダプタ40aを代表例に挙げて説明する場合がある。
図3Aは、照明コントローラ30および通信アダプタ40aの制御構成を示すブロック図である。図3Bは、照明器具10aの制御構成を示すブロック図である。図3Cは、操作端末20の制御構成を示すブロック図である。図4は、操作端末20を示す概略図である。
図3Bに示されるように、照明器具10aは、制御部15と、制御部15に接続されている記憶部16、光源17、通信部11および赤外線通信部12とを備えている。照明器具10aは、例えば、LEDライトである。
通信部11は、例えばアンテナおよび無線モジュールなどであり、通信アダプタ40aを介して照明コントローラ30と通信する。
光源17は、例えば、白色光、赤色光、緑色光または青色光を発する複数の発光ダイオードを含んでいる。
赤外線通信部12は、例えば、赤外線センサであり、操作端末20から赤外線通信i1で送信された情報を受信する。本実施の形態では、照明器具10aには、ペアリング相手である通信アダプタ40aの識別情報が送信される。ただし、通信アダプタ40aが不具合を有する場合は、正規の識別情報とは異なる仮の識別情報が送信される。
記憶部16は、RAM(Random Access Memory)およびROM(read only memory)などによって構成されている。記憶部16には、照明器具10のMACアドレス(Media Access Control address)またはUDID(Unique Device IDentifier)などの識別情報が保存されている。また、記憶部16には、操作端末20から送信された通信アダプタ40aの識別情報が書き込まれる。ただし、通信アダプタ40aが不具合を有する場合は、記憶部16には、仮の識別情報が書き込まれる。また、ペアリング終了時には、記憶部16に、複数の通信アダプタ40のうちのどの通信アダプタ40と優先的にペアリングを行うかを示すペアリングテーブルが保存される(図17B参照)。
制御部15は、CPU(central processing unit)などによって構成されている。制御部15は、光源17を調光制御および/または調色制御する。また、制御部15は、通信アダプタ40aとペアリングを行う際、記憶部16から自身の識別情報を読み出し、通信部11を介して、自身の識別情報を通信アダプタ40aに送信する。
図3Aに示されるように、照明コントローラ30は、制御部35と、制御部35に接続されている記憶部36および通信部31とを備えている。照明コントローラ30は、各照明器具10の点灯制御を行う管理サーバである。
通信部31は、前述したように、操作端末20と無線r2で通信する。
記憶部36はRAMおよびROMなどによって構成されている。記憶部36には、アドレステーブルが保存される。ペアリング終了時のアドレステーブルには、通信アダプタ40の番号、正規の識別情報(例えばMACアドレス)および仮の識別情報などが含まれている(図17A参照)。
制御部35は、CPUによって構成されている。制御部35は、ペアリング終了時のアドレステーブルに基づいて各照明器具10の点灯を制御する。
図3Aに示されるように、通信アダプタ40aは、照明コントローラ30の制御部35に接続され、かつ、照明コントローラ30の外部に配置されている。通信アダプタ40aは、制御部45と、制御部45に接続されている記憶部46、通信部41、赤外線通信部42およびランプ47とを備えている。
通信部41は、例えばアンテナおよび無線モジュールであり、照明コントローラ30と照明器具10aとを無線r11で接続する。
ランプ47は、通信アダプタ40aが正常か否かを報知するためのパイロットランプである。例えば、通信アダプタ40aと照明コントローラ30との通信が成立しなかった場合、ランプ47が点滅する。
記憶部46は、RAMおよびROMなどによって構成されている。記憶部46には、通信アダプタ40のMACアドレスまたはUDIDなどの識別情報が保存されている。制御部45は、CPUなどによって構成されている。
赤外線通信部42は、例えば、赤外線センサであり、操作端末20から赤外線通信i2で送信された情報または指令を受信する。通信アダプタ40aは、操作端末20から、通信アダプタ40aの識別情報を回答するように指令を受けると、自身の識別情報を操作端末20に送信する。
図3Cに示されるように、操作端末20は、制御部25と、制御部25に接続されている記憶部26、赤外線通信部22、タッチパネル23および通信部21とを備えている。操作端末20は、例えば、タブレット端末やスマートフォンである。本実施の形態における操作端末20は、照明器具10と通信アダプタ40とのペアリングを行うための設定器として用いられる。
通信部21は、アンテナおよび無線モジュールなどにより構成されている。通信部21は、無線r2を用いて照明コントローラ30と通信可能になっている。
赤外線通信部22は、例えば、赤外線LEDなどの発信器であり、赤外線通信i1を用いて各照明器具10に対応する通信アダプタ40の識別情報を送信する。また、赤外線通信部22は、赤外線通信i2を用いて各通信アダプタ40に、各通信アダプタ40の識別情報を回答するように指令を出す。
記憶部26は、RAMおよびROMなどにより構成されている。記憶部26には、建物内に配置されている各照明器具10、各通信アダプタ40のレイアウト情報が記憶されている。また、記憶部26にはアドレステーブルが保存される。ペアリング終了時のアドレステーブルには、通信アダプタ40の番号、正規の識別情報および仮の識別情報などが含まれている(図17A参照)。このアドレステーブルは、照明コントローラ30と操作端末20とで共有される。
制御部25は、CPUによって構成されている。制御部25は、記憶部26、赤外線通信部22、タッチパネル23および通信部21の作動を制御する。
タッチパネル23は、建物内における各照明器具10および各通信アダプタ40の配置を表示する。また、タッチパネル23は、ペアリングを行う際に必要な操作の受け付けを行う。ユーザがタッチパネル23を操作することで、ペアリングを行うための各種操作が入力される。
[1−3.照明システムのペアリング方法]
図5〜図17Bを参照して、照明システム100のペアリング方法について具体的に説明する。図5は、照明システム100のペアリング方法を示すフローチャートである。
はじめに、照明システム100の施工業者によって、照明器具10、通信アダプタ40および照明コントローラ30が所定の位置に取り付けられ、配線された状態となっている。この状態において、本実施の形態におけるペアリングが行われる。
まず、照明システム100において、照明コントローラ30に予め決められた数の通信アダプタ40が接続されているか否かを判断する(S11)。具体的には、照明コントローラ30と通信アダプタ40との通信を試みることで、照明コントローラ30に予め決められた数の通信アダプタ40が接続されているか否かを確認する。通信アダプタ40が接続されているか否かは、例えば、通信アダプタ40が故障しており、実質的に通信アダプタ40が接続されていない場合が含まれる。また、施工時に結線されていなかったり、通信アダプタ40の数が足りなくて接続されていない場合も含まれる。
操作端末20のタッチパネル23上では、図6の(a)に示されるように、1台の照明コントローラ30と5台の通信アダプタ40の接続状態が表示される。図6の(b)では、5台のうち3台の通信アダプタの接続は確認できているが、残り2台の通信アダプタ40の接続は確認できていないことが示されている。
なお、ステップS11において、予め決められた数の通信アダプタ40が接続されている場合は(S11のYes)、通常どおり、各通信アダプタ40と各照明器具10とがペアリングされ(S18)、ペアリング作業を終える。本実施の形態では、通信アダプタ40が不具合を有しており、予め決められた数の通信アダプタ40が接続されていないと判断され(S11のNo)、以下に示すステップに移行する。
まず、上記のように照明コントローラ30に接続されておらず、不具合を有する通信アダプタ40を特定する(S12)。通信アダプタ40が不具合を有すると、通信アダプタ40のランプ47が点滅する。施工業者は、図7に示されるように、施工現場にて不具合を有する通信アダプタ40を目視で確認する。本実施の形態では、5台の通信アダプタ40のうち通信アダプタ40aおよび40dが接続されておらず、不具合を有している。以下、照明コントローラ30に接続されていない通信アダプタ40a、40dを、不具合を有する通信アダプタ40a、40dと呼び、照明コントローラ30に接続されている通信アダプタ40b、40c、40eを正常な通信アダプタ40b、40c、40eと呼んで説明する。
タッチパネル23上では、図8の(a)に示されるように、不具合を有する通信アダプタ40がタッチパネル23にてタッチされることで選択される。本実施の形態では、通信アダプタ40a、40dに対応する番号1、4が選択される。すると、図8の(b)に示されるように、選択された番号が反転表示され、不具合を有する通信アダプタ40a、40dが特定される。
次に、不具合を有する通信アダプタ40a、40dの仮の識別情報を生成する(S13)。上記のように通信アダプタ40a、40dが不具合を有する場合は、照明システム100としては、通信アダプタ40a、40dの識別情報が不明である。そこで、不具合を有する通信アダプタ40a、40dに対応する仮の識別情報を生成する。仮の識別情報とは、例えば、不具合を有する通信アダプタ40a、40dについて、ペアリングを行うために一時的に設定する仮のアドレスである。
タッチパネル23上では、図8の(b)に示されるように、不具合を有する通信アダプタ40a、40dに対応する仮のアドレスを発行して、ペアリング作業を続行するか否かが表示される。タッチパネル23の「仮のアドレス発行」キーが押下されると、不具合を有する通信アダプタ40a、40dに対応する仮の識別情報が生成される。仮の識別番号は、例えば、「11−11−11−11−11−11」という同じ数字からなる(図11参照)。仮の識別情報は、照明コントローラ30にて生成され、記憶部36に記憶される。生成された仮の識別情報は、操作端末20と照明コントローラ30とが相互通信することで、操作端末20の記憶部26に記憶される。なお、仮の識別情報は、操作端末20にて生成されてもよい。操作端末20に記憶された仮の識別情報は、タッチパネル23に表示可能である。
次に、正常な通信アダプタ40b、40c、40eの識別情報を取得する(S14)。取得する識別情報は、例えば、通信アダプタ40b、40c、40eのMACアドレスである。識別情報の取得は、図9に示されるように、操作端末20から各通信アダプタ40b、40c、40eに送る赤外線信号をきっかけとして実行される。例えば、操作端末20から通信アダプタ40bに対して、通信アダプタ40bの識別情報を回答させるための指令が送られ、その指令を受けた通信アダプタ40bは、自身の識別情報を操作端末20に送信する。送信ルートとしては、例えば、照明コントローラ30を介して操作端末20に識別情報が送信されてもよいし、通信アダプタ40bと操作端末20とで共有する無線通信が確立されていれば、その無線通信を用いて上記識別情報が送信されてもよい。
タッチパネル23上では、図10の(a)に示されるように、操作端末20を通信アダプタ40bの方に向けて、送信ボタンを押す指示が表示される。例えば、通信対象である通信アダプタ40bが、四角の太枠で囲まれて表示される。タッチパネル23の「送信」キーが押下されると、上記の赤外線信号が送信される。操作端末20が通信アダプタ40bの識別情報を取得すると、タッチパネル23上では、図10の(b)に示されるように、識別情報を問題なく取得したことが表示される。例えば、設定完了した通信アダプタ40bが、丸の太枠で囲まれて表示される。取得した識別情報は、記憶部26に記憶され、タッチパネル23に表示可能である。この識別情報の取得、記憶および表示は、通信アダプタ40c、40eについても同様に行われる。
次に、取得した識別情報および生成した仮の識別情報を操作端末20に記憶する(S15)。すでに、ステップS13において不具合を有する通信アダプタ40a、40dに対応する仮の識別情報が生成され、また、ステップS14において正常な通信アダプタ40b、40c、40eの識別情報が取得されているので、図11に示されるようなアドレステーブルが作成される。このアドレステーブルは、ステップS13およびステップS14が実行されることで、照明コントローラ30および操作端末20の両方に保存される。操作端末20に保存されたアドレステーブルは、タッチパネル23に表示可能である。なお、不具合を有する通信アダプタ40a、40dに対応する識別情報は、仮アドレスの状態となっている。
次に、操作端末20を用いて各照明器具10に、取得した識別情報または生成した仮の識別情報を記憶する(S16)。例えば、正常な通信アダプタ40bに対応する照明器具10d、10eには、ステップS14にて取得した正規の識別情報が記憶される。不具合を有する通信アダプタ40aに対応する照明器具10a、10b、10cには、ステップS13にて生成された仮の識別情報が記憶される。
具体的には、図12に示されるように、操作端末20を各照明器具10に向け、赤外線通信i1で、それぞれに対応する識別情報を送信する。これにより、各照明器具10に対応する識別情報を記憶する。タッチパネル23上では、図13の(a)に示されるように、操作端末20を各照明器具10の方に向けて送信ボタンを押す指示が表示される。例えば、通信対象である番号1の照明器具10(図13の(a)参照)が、四角の太枠で囲まれて表示される。タッチパネル23の「送信」キーが押下されると、操作端末20から照明器具10に対して赤外線信号が送られ、各照明器具10に対応する識別情報が書き込まれる。
次に、正常な通信アダプタ40と、それに対応する照明器具10とをペアリングする(S17)。本実施の形態では、不具合を有する通信アダプタ40aよりも先に、正常な通信アダプタ40bと各照明器具10d、10eとをペアリングする。タッチパネル23上では、図13の(b)に示されるように、ペアリングが正常に設定できたことが表示される。例えば、設定完了した番号1の照明器具10が、丸の太枠で囲まれて表示される。通信アダプタ40bとのペアリングが成立した照明器具10d、10eは、明るさが低下する。明るさが低下することで、ユーザが、通信アダプタ40bと照明器具10d、10eとでペアリングが成立していることを視認することができる。
なお、実際のペアリングは終了していないが、照明器具10aの記憶部16には、図14に示されるように、通信アダプタ40のペアリング優先順位が記憶される。この時点で、照明器具10aのペアリング先は、通信アダプタ40aに対応する仮の識別情報が第1優先として記載されている。
これらのステップS11〜S17によって、正常な通信アダプタ40と照明器具10とのペアリングを一旦終える。
次に、不具合を有する通信アダプタ40とは異なる新たな通信アダプタ40を入荷し、新たな通信アダプタ40に交換する(S21)。具体的には、図15に示されるように、不具合を有する通信アダプタ40a、40dの代わりに、それぞれに対応させて新たな通信アダプタ40a、40dを設置する。新たな通信アダプタ40a、40dは、不具合を有していない。
次に、交換した新たな通信アダプタ40a、40dの識別情報を取得する(S22)。新たな通信アダプタ40a、40dを照明コントローラ30に接続することによって、照明コントローラ30は、新たな通信アダプタ40a、40dを認識し、各通信アダプタ40a、40dから正規の識別情報を取得する。取得した正規の識別情報は、タッチパネル23に表示可能である。
次に、新たな通信アダプタ40の識別情報と仮の識別情報とを関連付けた状態で照明器具10に入力する(S23)。例えば、ステップS22で取得した新たな通信アダプタ40aの識別情報と、ステップS13で生成した仮の識別情報とを関連付けた状態で照明器具10aに入力する。この入力によって、照明器具10aに記憶されていた仮の識別情報は、新たな通信アダプタ40aが有する正規の識別情報に書き換えられる。これらの識別情報の書き換えは、例えば、照明コントローラ30から新たな通信アダプタ40aを介して、照明器具10a、10b、10cに対して同時に書き換えられる。新たな通信アダプタ40の識別情報と仮の識別情報とが関連付けられた状態で照明器具10に入力されるので、このような同時の書き換えが可能となっている。
タッチパネル23上では、図16に示されるように、照明コントローラ30にて新しい通信アダプタ40が認識されることで、通信アダプタ40のアドレスを更新するか否かが表示される。タッチパネル23の「アドレス更新」キーが押下されると、上記に示すように仮の識別情報が正規の識別情報に書き換えられる。
次に、新たな通信アダプタ40と照明器具10とをペアリングする(S24)。本実施の形態では、新たな通信アダプタ40aと各照明器具10a、10b、10cとをそれぞれペアリングする。通信アダプタ40aとのペアリングが成立した照明器具10a、10b、10cは、明るさが低下する。明るさが低下することで、ユーザが、通信アダプタ40aと照明器具10a、10b、10cとでペアリングが成立していることを視認することができる。
操作端末20および照明コントローラ30には、図17Aに示されるアドレステーブルが記憶される。例えば、通信アダプタ40aについては、仮の識別情報と正規の識別情報とが関連付けられた状態で、仮の識別情報が正規の識別情報に書き換えられる。
また、照明器具10aの記憶部16には、図17Bに示されるペアリングテーブルが記憶される。例えば、ペアリング優先順位の中に記入されていた仮の識別情報が正規の識別情報に書き換えられる。
ペアリング終了後のアドレステーブルおよびペアリングテーブルは、タッチパネル23に表示可能である。
以上のステップにより、照明器具10と通信アダプタ40とのペアリングが全て終了する。本実施の形態では、通信アダプタ40が不具合を有する場合であっても、ペアリング作業の一部を進めることができ、施工作業の工期が長期化することを抑制することができる。
[1−4.効果等]
本実施の形態に係る照明システム100のペアリング方法は、複数の照明器具10と、複数の照明器具10と通信する1以上の通信アダプタ40と、通信アダプタ40を介して複数の照明器具10の点灯を制御する照明コントローラ30と、複数の照明器具10および照明コントローラ30と通信する操作端末20とを備える照明システム100において、照明器具10と通信アダプタ40とのペアリングを行う、照明システム100のペアリング方法であって、照明コントローラ30に予め決められた数の通信アダプタ40が接続されておらず、接続されていない通信アダプタ40の識別情報が不明である場合に、操作端末20に、当該識別情報の代わりに仮の識別情報を記憶する工程と、仮の識別情報が記憶された操作端末20を用いて、接続されていない通信アダプタ40に対応する照明器具10に、仮の識別情報を記憶する工程と、照明器具10に仮の識別情報が記憶された後、照明コントローラ30に、接続されていない通信アダプタ40と異なる新たな通信アダプタ40が接続された場合に、新たな通信アダプタ40の識別情報を取得する工程と、新たな通信アダプタ40の識別情報と仮の識別情報とを関連付けた状態で照明器具10に入力し、当該照明器具10と新たな通信アダプタ40とをペアリングする工程とを含む。
これによれば、通信アダプタ40が不具合を有する場合であっても、ペアリング作業の一部を進めることができ、施工作業の工期が長期化することを抑制することができる。
また、操作端末20に仮の識別情報を記憶する工程の前に、照明コントローラ30と通信アダプタ40との通信を試みることで、照明コントローラ30に予め決められた数の通信アダプタ40が接続されているか否かを確認する確認工程を含んでいてもよい。
このように、照明コントローラ30と通信アダプタ40との通信を試みることで、照明コントローラ30に通信アダプタ40が接続されているか否かを容易に確認することができる。
また、確認工程と、操作端末20に仮の識別情報を記憶する工程との間に、仮の識別情報を照明コントローラ30または操作端末20にて生成する工程を含んでいてもよい。
このように、仮の識別情報を生成することで、通信アダプタ40が不具合を有する場合であっても、ペアリング作業の一部を進めることができ、施工作業の工期が長期化することを抑制することができる。
また、操作端末20に仮の識別情報を記憶する工程において、記憶した仮の識別情報を操作端末20のタッチパネル23に表示し、新たな通信アダプタ40の識別情報を取得する工程において、仮の識別情報に代えてまたは仮の識別情報に対応させて、取得した識別情報をタッチパネル23に表示してもよい。
これによれば、ユーザが、仮の識別情報が付与されている通信アダプタ40を目で確認し、また、正規の識別情報が付与されている新たな通信アダプタ40を目で確認することができるので、ペアリングの作業性を向上することができる。
また、操作端末20に仮の識別情報を記憶する工程において、接続されていない通信アダプタ40が複数ある場合に、複数の通信アダプタ40のそれぞれに対応して、複数の異なる仮の識別情報を操作端末20に記憶してもよい。
このように、複数の仮の識別情報を生成することで、複数の通信アダプタ40が不具合を有する場合であっても、ペアリング作業の一部を進めることができ、施工作業の工期が長期化することを抑制することができる。
本実施の形態に係る照明コントローラ30は、通信アダプタ40を介して複数の照明器具10の点灯を制御する照明コントローラ30であって、通信アダプタ40が不具合を有する場合に、不具合を有する通信アダプタ40に対応する仮の識別情報を記憶し、不具合を有する通信アダプタ40が、不具合を有する通信アダプタ40と異なる新たな通信アダプタ40に取り替えられた場合に、新たな通信アダプタ40から識別情報を取得し、記憶している仮の識別情報を、新たな通信アダプタ40の識別情報に置き換える。
この照明コントローラ30によれば、通信アダプタ40が不具合を有する場合であっても、ペアリング作業の一部を進めることができ、施工作業の工期が長期化することを抑制することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2は、通信アダプタ40などの機材の不具合でなく、施工業者が初期対応事項によって問題を解決する形態である。図18は、実施の形態2において不具合時の初期対応事項を示す図である。
まず、実施の形態1と同様に、照明コントローラ30に予め決められた数の通信アダプタ40が接続されているか否かを判断する(S11)。具体的には、照明コントローラ30と通信アダプタ40との通信を試みることで、照明コントローラ30に予め決められた数の通信アダプタ40が接続されているか否かを確認する。
そして、予め決められた数の通信アダプタ40が接続されていないと判断された場合に(S11のNo)、以下に示すステップが実行される。
操作端末20のタッチパネル23では、図18の(a)に示されるように、異常モードを特定するための画面が表示される。異常モードとしては、「未施工」、「ランプ不点灯」、「ランプ赤点灯」の3つのモードが表示される。この中から、通信アダプタ40の現在の状態が選択されると、図18の(b)〜(d)に示されるように、それぞれの初期対応事項が表示される。
「未施工」状態への対処としては、図18の(b)に示されるように、通信アダプタ40の施工を行うことを指示する画面が表示される。「ランプ不点灯」状態への対処としては、図18の(c)に示されるように、電源線が正しく施工されているか確認することを指示する画面が表示される。「ランプ赤点灯」状態への対処としては、図18の(d)に示されるように、電源線、通信線が正しく施工されているか確認することを指示する画面が表示される。そして、施工業者にてこれらの問題が解決されると、タッチパネル23上にて初期対応事項が対応済みであることが入力され、初期対応事項が終了する。
実施の形態2では、照明コントローラ30に予め決められた数の通信アダプタ40が接続されているか否かを確認する確認工程において、照明コントローラ30と通信アダプタ40との通信が成立しない場合に、通信アダプタ40を照明コントローラ30に接続するための初期対応事項を操作端末20のタッチパネル23に表示し、操作端末20に初期対応事項が対応済みであることが入力された場合に、上記確認工程を終了する。
これによれば、施工業者で解決可能な不具合であることを、施工業者が知り、自身で解決することができる。そのため、施工作業の工期が長期化することを抑制することができる。
(実施の形態3)
実施の形態3は、照明器具10が不具合を有する場合に、照明システム100においてペアリングを行う形態である。本実施の形態では、複数の照明器具10のうち、照明器具10eが不具合を有する照明器具であるとして説明する。
図19は、実施の形態3における照明システム100のペアリング方法を示すフローチャートである。なお、図19では、不具合を有する照明器具10eに関係するステップが示されている。
まず、不具合を有する照明器具10の仮の識別情報を生成する(S31)。上記のように照明器具10eが不具合を有する場合は、照明システム100としては、照明器具10の識別情報が不明である。そこで、不具合を有する照明器具10eに対応する仮の識別情報を生成する。仮の識別情報とは、例えば、不具合を有する照明器具10について、ペアリングを行うために一時的に設定する仮のアドレスである。
タッチパネル23上では、図20に示されるように、不具合を有する照明器具10eに対応する仮のアドレスを発行するか否かが表示される。タッチパネル23の「仮のアドレス発行」キーが押下されると、照明器具10eに対応する仮の識別情報が生成される。仮の識別番号は、例えば、「55−55−55−55−55−55」という同じ数字からなる(図21の(a)参照)。仮の識別情報は、照明コントローラ30にて生成され、記憶部36に記憶される。生成された仮の識別情報は、操作端末20と照明コントローラ30とが相互通信することで、操作端末20の記憶部26に記憶される。なお、仮の識別情報は、操作端末20にて生成されてもよい。
次に、不具合を有する照明器具10に対応する通信アダプタ40に、仮の識別情報を記憶する(S32)。具体的には、操作端末20を用いて、不具合を有する照明器具10eに対応する通信アダプタ40bに、ステップS31にて生成された仮の識別情報を記憶する。
例えば、操作端末20を通信アダプタ40bに向け、赤外線通信i2で仮の識別情報を送信することで、通信アダプタ40bに仮の識別情報を記憶する。
次に、不具合を有する照明器具10と異なる新たな照明器具10を入荷し、新たな照明器具10に交換する。そして、交換した新たな照明器具10の識別情報を取得する(S33)。新たな照明器具10eを通信アダプタ40aを介して照明コントローラ30に接続することによって、照明コントローラ30は、新たな照明器具10eを認識し、照明器具10eから正規の識別情報を取得する。
次に、新たな照明器具10の識別情報と仮の識別情報とを関連付けた状態で通信アダプタ40に入力する(S34)。例えば、ステップS33で取得した新たな照明器具10eの識別情報と、ステップS31で生成した仮の識別情報とを関連付けた状態で通信アダプタ40bに入力する。この入力によって、通信アダプタ40bに記憶されていた仮の識別情報は、新たな照明器具10eが有する正規の識別情報に書き換えられる。これらの識別情報の書き換えは、例えば、以下に示すいずれかの方法にて行われる。
1つめの方法としては、まず、操作端末20と照明器具10とが赤外線通信i1することで、操作端末20が、照明器具10の識別情報を取得し、取得した識別情報を照明コントローラ30へ送信する。そして、この識別情報を、照明コントローラ30が通信アダプタ40に送信する。2つめの方法としては、操作端末20と照明器具10とが赤外線通信i1することで、操作端末20から照明器具10にペアリング先の通信アダプタ40の識別情報を通知する。次に、照明器具10が通信アダプタ40に対して識別情報の書き換え指示を行い、通信アダプタ40が自身の識別情報を書き換える。そして、通信アダプタ40が照明コントローラ30に対して識別情報の書き換え終了を通知する。
なお、上記では、1台の照明器具10eに対応する通信アダプタ40bにおいて識別情報を書き換える例について説明したが、不具合を有する照明器具10が複数台ある場合は、複数台の照明器具10に対応する通信アダプタ40において、識別情報が同時に書き換えられる。新たな照明器具10の識別情報と仮の識別情報とが関連付けられた状態で通信アダプタ40に入力されるので、このような同時の書き換えが可能である。
次に、新たな照明器具10と通信アダプタ40とをペアリングする(S35)。本実施の形態では、新たな照明器具10eと通信アダプタ40bとをペアリングする。通信アダプタ40bとのペアリングが成立した照明器具10eは、明るさが低下する。
操作端末20および照明コントローラ30には、図21の(b)に示される照明器具10のアドレステーブルが記憶される。例えば、照明器具10eについては、仮の識別情報が、新たな照明器具10eの識別情報に書き換えられている。
以上のステップにより、不具合を有する照明器具10と通信アダプタ40とのペアリングが終了する。本実施の形態では、照明器具10が不具合を有する場合であっても、ペアリング作業の一部を進めることができ、施工作業の工期が長期化することを抑制することができる。
実施の形態3に係る照明システム100のペアリング方法は、複数の照明器具10と、複数の照明器具10と通信する1以上の通信アダプタ40と、通信アダプタ40を介して複数の照明器具10の点灯を制御する照明コントローラ30と、複数の照明器具10および照明コントローラ30と通信する操作端末20とを備える照明システム100において、照明器具10と通信アダプタ40とのペアリングを行う、照明システム100のペアリング方法であって、照明器具10が不具合を有し照明器具10の識別情報が不明である場合に、操作端末20に、上記識別情報の代わりに仮の識別情報を記憶する工程と、不具合を有する照明器具10に対応する通信アダプタ40に、仮の識別情報を記憶する工程と、通信アダプタ40に仮の識別情報が記憶された後、不具合を有する照明器具10に代えて新たな照明器具10が取り付けられた場合に、新たな照明器具10の識別情報を取得する工程と、新たな照明器具10の識別情報と仮の識別情報とを関連付けた状態で通信アダプタ40に入力し、新たな照明器具10と通信アダプタ40とをペアリングする工程とを含む。
これによれば、照明器具10が不具合を有する場合であっても、ペアリング作業の一部を進めることができ、施工作業の工期が長期化することを抑制することができる。
実施の形態3に係る照明コントローラ30は、通信アダプタ40を介して複数の照明器具10の点灯を制御する照明コントローラ30であって、照明器具10が不具合を有する場合に、不具合を有する照明器具10に対応する仮の識別情報を記憶し、不具合を有する照明器具10が、不具合を有する照明器具10と異なる新たな照明器具10に取り替えられた場合に、新たな照明器具10から識別情報を取得し、記憶している仮の識別情報を、新たな照明器具10の識別情報に置き換える。
この照明コントローラ30によれば、照明器具10が不具合を有する場合であっても、ペアリング作業の一部を進めることができ、施工作業の工期が長期化することを抑制することができる。
(その他の形態)
以上、照明システム100のペアリング方法等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
例えば、実施の形態1では、不具合を有する通信アダプタ40として2台の通信アダプタ40を例示したが、不具合を有する通信アダプタ40は1台であってもよい。また、不具合を有する通信アダプタ40は全台であってもよい。すなわち、本実施の形態は、仮の識別情報を用いてペアリング作業の一部を進め、新たな通信アダプタ40を接続した場合に、仮の識別情報と新たな通信アダプタ40の識別情報とを関連付けた状態で、照明器具10に入力するような態様であればよい。
また、実施の形態1では、操作端末20から赤外線通信i1、i2を発信している例を示したが、それに限られない。例えば、赤外線通信i1、i2の代わりに、レーザ光またはNFC(Near Field Communication)など1対1で対応をとることが可能な無線を用いて、照明器具10または通信アダプタ40に対して個別に信号を送信してもよい。