JP2018190493A - 非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】過充電時の安全性を維持しつつ、リチウム析出耐性の低下を抑制することのできる非水電解質二次電池、及び、非水電解質二次電池の製造方法を提供する。【解決手段】非水電解質二次電池は、電池ケース11と、電池ケース11に収容された極板群20及び非水電解液27と、極板群20を構成する正極板21及び負極板22と、正極板21に含まれる正極活物質と、正極活物質に混合されたカルシウムと、を備え、負極板22において、該負極板中の全カルシウム原子の分子量に対する該負極板中のカルシウム原子を含む窒素酸化物(CaNOx)に含まれるカルシウム原子の分子量の割合が「0.5」以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池等の非水電解質二次電池、及び、非水電解質二次電池の製造方法に関する。
非水電解質二次電池の一つであるリチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であることから、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)等の駆動用電源として用いられている。リチウムイオン二次電池は、電極芯体の両面に活物質層を設けた正極板及び負極板をセパレータを介して巻回又は積層した電極体を有するリチウムイオン二次電池であれば、正極板及び負極板の対向面積が大きくなり大電流を取り出し易いものとなる。
一方、リチウムイオン二次電池は、過充電時の安全性の確保が求められている。
特許文献1に記載のリチウムイオン二次電池は、正極と負極とがセパレータを挟んで巻回されてなる巻回電極体と、ガス発生剤を含む非水電解液と巻回電極体とが内部に設けられる電池ケースとを備える。
正極は、LiNiCoMnO系正極活物質を含んでいる。巻回電極体の軸方向端部に設けられた正極活物質におけるカルシウムの含有量は、巻回電極体の軸方向内側に設けられた正極活物質におけるカルシウムの含有量よりも多い。カルシウムの含有量が多いと正極活物質が固くなることから、巻回電極体の軸方向端部では、圧延による正極合剤層の細孔容積の減少を防止することができるので、非水電解液の保持能力を高く維持することができる。つまり、非水電解質二次電池が過充電状態になると、非水電解液の保持能力が高く維持されている巻回電極体の軸方向端部において、ガス発生反応が起こり易くなる。よって、非水電解質二次電池の安全性を高く維持することができる。
特開2015−153695号公報
ところで、カルシウムを含んでいない正極活物質であれ、カルシウムを添加することでも正極活物質の形状が維持されやすくなり、非水電解質二次電池の安全性が高く維持されていることも知られている。しかしながら、正極活物質に添加されたカルシウムはその一部が溶出して負極板に移動して金属カルシウムになることが避けがたい。すなわち、負極板に生成された金属カルシウムはリチウムイオンの集中を高めて負極板のリチウム析出耐性(金属リチウムが析出し難くなる性能)を低下させるおそれがある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、過充電時の安全性を維持しつつ、リチウム析出耐性の低下を抑制することのできる非水電解質二次電池、及び、非水電解質二次電池の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決する非水電解質二次電池は、電池ケースと、前記電池ケースに収容された電極体及び非水電解質と、前記電極体を構成する正極板及び負極板と、前記正極板に含まれる正極活物質と、前記正極活物質に混合されたカルシウムと、を備え、前記負極板において、該負極板中の全カルシウム原子の分子量に対する該負極板中のカルシウム原子を含む窒素酸化物(CaNOx)に含まれるカルシウム原子の分子量の割合が「0.5」以上である。
このような構成によれば、正極板に過充電時の安全性を維持するカルシウムが含まれている非水電解質二次電池において、負極板にカルシウムが含まれているとしても、それがLi析出耐性に影響を与えないCaNOxとして存在する確率が高められている。換言すると、Li析出耐性を低下させる金属カルシウムとして存在する確率が抑えられている。これにより、非水電解質二次電池を過充電の安全性の確保に必要なカルシウムを含有しているとともに、Li析出耐性の低下が抑えられるようになる。
好ましい構成として、前記正極活物質の質量に対して前記正極板に含まれるカルシウム原子の質量が0.2[質量%]以上である。
このような構成によれば、正極板に0.2[質量%]以上のカルシウムが添加されていてもLi析出耐性が維持されるようになる。
好ましい構成として、前記正極板には、アミンが含まれる。
このような構成によれば、正極板にアミンを含むことでCaNOxをより多く生成することができるようになる。なお、アミンとしては、メチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミンの少なくとも1つを用いることができる。これにより、正極板から負極板へ移動するカルシウムが相対的に減少するため、負極板でCaから金属カルシウムが生成されることが抑制され、Li析出耐性の低下が抑制される。
上記課題を解決する非水電解質二次電池の製造方法は、電池ケースと、前記電池ケースに収容された電極体及び非水電解質と、前記電極体を構成する正極板及び負極板と、前記正極板を構成する正極合剤と、を備え、前記正極合剤にはカルシウムが添加された正極活物質が含まれている非水電解質二次電池を製造する方法であって、前記正極合剤を生成する際、アミンを添加して撹拌することで前記正極合剤中のカルシウム原子を含む窒素酸化物(CaNOx)を増加させる撹拌工程と、前記電池ケースに前記電極体及び前記非水電解質を収容させて製造された非水電解質二次電池を充電することでCaNOxの割合を増加させる充電工程と、を備える。
このような方法によれば、過充電の安全性を確保できるカルシウムが含まれている非水電解質二次電池において、カルシウムがCaNOxとなる割合が増加するので、負極板において、Li析出耐性に悪影響を与える金属カルシウムの割合が抑えられる。よって、過充電の安全性を確保するとともに、Li析出耐性の低下を抑制することができるようになる。
好ましい方法として、前記充電工程では、前記非水電解質二次電池における3C以上の電流で前記充電を行う。
このような方法によれば、充電工程で、充電電流を従来の2〜3倍以上である3C以上にすることで負極板におけるCaNOxの割合が高められる。
好ましい方法として、前記撹拌工程では、前記正極合剤を加熱する加熱処理、及び、前記正極合剤を加圧する加圧処理の少なくとも一方の処理を併せて行う。
このような方法によれば、加熱処理及び加圧処理の少なくとも一方の処理とともに正極合剤が撹拌されるため正極合剤中においてCaNOxが生成される割合が高められる。
好ましい方法として、前記加熱処理は、前記正極合剤を45℃以上、かつ、60℃以下にする処理であり、前記加圧処理は、前記正極合剤を1気圧から上昇させて加圧する処理である。
このような方法によれば、撹拌工程において、CaNOxが生成される割合が適切に高められる。
本発明によれば、過充電時の安全性を維持しつつ、リチウム析出耐性の低下を抑制することができる。
非水電解質二次電池を具体化したリチウムイオン二次電池の一実施形態について、その内部の正面構造を示す正面図。 同実施形態における極板群の断面構造を模式的に示す模式図。 同実施形態における正極板中のカルシウムの量とLi析出耐性との関係を示すグラフ。 同実施形態における極板群の製造に関する条件を示すグラフ。 同実施形態におけるリチウムイオン二次電池の製造工程の手順を示すフローチャート。 同実施形態における製造条件とLi析出耐性との関係を示すグラフ。 同実施形態における充電工程について説明する図。
図1〜図7に従って、非水電解質二次電池の一例であるリチウムイオン二次電池を具体化した二次電池10の一実施形態について説明する。本実施形態の二次電池10は、バスバーで複数が接続されることにより組電池を構成する。組電池は、電気自動車もしくはハイブリッド自動車に搭載され、電動モータ等に電力を供給する。二次電池10は、外形が直方体形状の密閉式電池である。
図1に示すように、二次電池10は、上側に開口部を有する直方体形状の電池ケース11と、電池ケース11を封止する蓋体12と、電池ケース11の内部に収容される電極体としての極板群20と、電池ケース11内に注入された非水電解質としての非水電解液27とを備える。電池ケース11及び蓋体12はアルミニウム合金等の金属で構成されている。二次電池10は、電池ケース11に蓋体12を取り付けることで密閉された電槽が構成される。また二次電池10は、蓋体12に、電力の充放電に用いられる2つの外部端子13を備えている。
極板群20は、正極板21と負極板22とそれらの間に配置されたセパレータ23とが扁平に巻回されて形成されている。極板群20は、巻回される方向(巻回方向)の両端26で折り返されることにより多重に積層されている。極板群20は、巻回方向に直交する方向(巻き軸方向)の一端側に正極板21がはみ出た正極部21Aと、同直交する方向の他端側に負極板22がはみ出た負極部22Aとを有する。正極部21A及び負極部22Aはそれぞれその一部が圧縮されるとともに、それら正極部21A及び負極部22Aのうちの圧縮された部分にはそれぞれ外部端子13に接続される電極端子14が溶接されている。
セパレータ23は、正極板21及び負極板22の間に非水電解液27を保持するためのポリプロピレン製等の不織布である。また、セパレータ23としては、多孔性ポリエチレン膜、多孔性ポリオレフィン膜、及び多孔性ポリ塩化ビニル膜等の多孔性ポリマー膜、又は、リチウムイオンもしくはイオン導電性ポリマー電解質膜を、単独、又は組み合わせて使用することもできる。
非水電解液27は、非水溶媒に支持塩が含有された組成物である。ここで、非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択された一種または二種以上の材料を用いることができる。また、支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等から選択される一種または二種以上のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。
(正極板)
図2を参照して、極板群20の構成について説明する。
まず、正極について詳述する。正極板21は、正極基材211の表面に正極合剤212が塗布されている。正極板21の基材は、従来の二次電池の構成要素と同様の構成要素を用いることができる。例えば、基材の材料として、導電性の良好な金属からなる導電性材料が好ましく用いられる。例えば、導電性材料としては、アルミニウムを含む材料、アルミニウム合金を含む材料を用いることができる。
正極合剤212は正極活物質を有する。正極活物質は、遷移金属元素(すなわち、Ni、Co及びMnの少なくとも1種)の他に、付加的に、1種または複数種の元素を含有し得る。付加的な元素としては、周期表の1族(ナトリウム等のアルカリ金属)、2族(マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属)、4族(チタン、ジルコニウム等の遷移金属)、6族(クロム、タングステン等の遷移金属)、8族(鉄等の遷移金属)に属するいずれかの元素を含むことができる。また、付加的な元素としては、周期表の13族(半金属元素であるホウ素、もしくはアルミニウムのような金属)、及び17族(フッ素のようなハロゲン)に属するいずれかの元素を含むことができる。好ましくは、正極活物質は、「LiNiCoMnO系正極活物質」である。「LiNiCoMnO系正極活物質」は、LiとNiとCoとMnとを含む複合酸化物を意味し、Li、Ni、Co、及びMnとは異なる金属元素を更に含んでもよい。
例えば、正極活物質は、一般式Li(1+s)NiCoMnで表され、層状構造を有する六方晶系リチウム含有複合酸化物からなる。なお、上記一般式において「−0.05≦s≦0.20」、「x+y+z+v=1」、「0.3≦x≦0.7」、「0.1≦y≦0.4」、「0.1≦z≦0.4」、「0.0002≦v≦0.02」、Mは、Na、Mg、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWの少なくとも1種の元素を表す。
ところで、正極活物質は、カルシウム(Ca)が混合されることで過充電耐性が向上されることが知られている。過充電耐性が向上する理由の一因として、Caが混合されることで構造が強化されて正極活物質の構造体の崩壊が抑制されることが考えられている。
そこで、本実施形態では、正極合剤212はさらに、Caを含んでいる。例えば、正極合剤212は、正極活物質に硫酸カルシウム(CaSO)や塩化カルシウム(CaCl)が添加されて、正極活物質と混合されることで正極合剤212に含まれる。
図3のグラフL3は、正極板21に含まれるCaの量である「正極カルシウム量」と、過充電耐性との関係を示す。グラフL3は、正極カルシウム量の増加に応じて、極板群20の過充電耐性が向上することを示している。よって、極板群20の過充電耐性を向上させるためには正極板21に含まれるCaの量を増加させることが望ましい。なお、Caは正極活物質の構造体に組み込まれることで過充電耐性を向上させるが、その一部が正極活物質の構造体に組み込まれなかったり、同構造体から離脱したりして、充電時に負極に移動することが避けられない。また、「正極カルシウム量」は、正極板21の正極合剤212の質量に対して、正極板21に含まれているカルシウム原子の総質量に基づく[質量%]である。すなわちカルシウム原子の総質量には、Ca単体や、窒素酸化物(CaNOx)等の化合物を構成するカルシウム原子等が含まれている。
また、正極合剤212は導電材を含んでいてもよい。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒鉛(グラファイト)を用いることができる。
正極板21は、例えば、正極活物質と、Caと、導電材と、アミンと、溶媒と、結着剤(バインダー)とを混練し、混練後の正極合剤212を正極基材211に塗布して乾燥することで作製される。ここで、溶媒としては、例えばNMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶液を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いることができる。また、正極基材211として、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金からなる薄膜を用いることができる。
アミンとしては、メチルアミン(CHNH)等の第一級アミン、ジメチルアミン((CHNH)等の第二級アミン、及び、トリメチルアミン((CHN)等の第三級アミンの少なくとも1つを用いることができる。本実施形態では、第一級〜第三級アミンのいずれであるかに係わらず、アミンが正極活物質の全質量に対して0.02質量%以上、かつ、0.1質量%以下含まれている。
(負極板)
次に負極板22は、負極基材221の表面に負極合剤222が塗布されている。本実施形態では、負極基材221の表面が負極の表面を構成する。
負極合剤222は、負極活物質を有する。負極活物質は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、例えば、黒鉛(グラファイト)等からなる粉末状の炭素材料を用いることができる。そして、負極板22は、正極板21と同様に、負極活物質と、溶媒と、バインダーとを混練し、混練後の負極合剤222を負極基材221に塗布して乾燥することで作製される。本実施形態では、バインダーはナトリウム塩を有するカルボキシメチルセルロース(CMC)を含んでいる。ここで、負極基材221として、例えば銅やニッケルあるいはそれらの合金からなる薄膜を用いることができる。
図4の表L4の実施例1は、本実施形態の二次電池10の一例について示す。図4には、正極板21におけるCaの量と、負極板22におけるカルシウム原子を含む窒素酸化物(以下、CaNOx)の量との関係が示されている。具体的には負極板22における「CaNOxの割合」(=「CaNOx中のCa」/「全Ca」)の検出結果が示されている。なお、「CaNOx」中の「x」は任意の整数であり、例えば、1又は2の整数であることが好ましい。本実施形態では、「CaNOxの割合」は、負極板22において、負極板中の全カルシウム原子の分子量に対する同負極板中の全CaNOxに含まれるカルシウム原子の分子量の割合のことである。この検出は、X線光電子分光法で行う。X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)は、試料表面にX線を照射し、放出された光電子のエネルギーを測定することで、試料表面の構成元素とその電子状態を分析する方法である。XPSは、「JIS K 0167:2011」規格に準ずる方法により行う。
(作用)
本実施形態の二次電池10は、正極板21に過充電耐性を向上させるためのCaを含んでいる。一方で、正極板21に含まれるCaが多ければ、正極板21にて正極活物質の構造体に組み込まれなかったり、正極活物質から離脱するCaが増加したりするとともに、充電時に正極板21から負極板22に移動するCaの量も増加する。Caは、負極板22に移動すると金属カルシウムとして析出して負極板22におけるLi析出耐性を低下させるため、二次電池10として過充電耐性が低下するおそれがある。そこで本実施形態では、正極板21から負極板22に移動するCaの量を抑制することで、負極板22に金属カルシウムが析出することを抑制するようにする。これにより、二次電池10のLi析出耐性を維持させるようにする。
詳述すると、本実施形態の二次電池10は、正極板21にアミンを添加した。
アミンは、正極板21の過充電耐性に寄与していないCaであって、正極活物質の構造体に組み込まれなかったり、正極活物質から離脱したCaに作用して、Caの窒素酸化物(CaNOx)の生成を促進する。よって正極板21では、正極板21のCaの一部から窒素酸化物(CaNOx)が生成されるようになる。なお、正極板21に存在するCaやCaNOxの一部は、二次電池10が充電される際、正極板21から負極板22に移動する。
正極板21は、CaNOxが生成されて増えることに反比例してCaの量が減少する。よって、正極板21にCaNOxが生成されることに応じて、負極板22に移動するCaは減少して、該負極板22に析出する金属カルシウムの量も減少するようになる。なお、CaNOxは導電性を有さないため正極板21においても、負極板22においてもリチウムイオンの移動に影響を及ぼさず、CaNOxが多く生成されたとして二次電池10のLi析出耐性は好適に維持される。
負極板22は、正極板21から移動してきたCaNOxがイオンの状態で存在するとともに、同じく移動してきたCaが金属カルシウムとなって析出する。CaやCaNOxは、充電の際、とりわけ、製造直後の二次電池10を充電する際、正極板21から負極板22にイオンの状態で移動する。
負極板22のCaNOxは、充電時のリチウムイオンの移動に対して何らの影響も及ぼさない。一方、負極板22に析出した金属カルシウムは、導電性を有していることから、充電時のリチウムイオンの移動においてリチウムイオンの集中等の影響を及ぼすおそれがある。例えば、正極の方向に突出した金属カルシウムにはリチウムイオンが集中しやすくなり、リチウムイオンが集中するとリチウムが析出しやすくなる。また、リチウムイオンの析出は、当該部分へのさらなるリチウムイオンの析出を招来するおそれがある。
つまり、負極板22は、金属カルシウムが析出することで、金属リチウムが析出し難くなる性能、いわゆるリチウム析出耐性(Li析出耐性)が低下するようになる。通常、Li析出耐性が高ければ、短時間に多くのリチウムイオンの移動が可能、すなわち大電流の充放電が可能になって電池性能が高い。逆に、Li析出耐性が低ければ、短時間に移動させることのできるリチウムイオンが少なく、すなわち小さい電流での充放電しかできなくなる。つまり、許容値を超えた電流での充電はリチウムを析出させるおそれが高いため、充電電流が小さく抑えられて電池性能が低くなる。さらに、負極板22は、リチウムの析出がリチウムイオンの移動してくる正極板21の方向に成長するため、正極板21との電気的な距離が短くなったり、リチウムを介して正極板21に短絡したりする等、電池内での絶縁性低下や微小短絡が生じて、さらなる電池性能の低下が生じるおそれもある。これらのことから、本実施形態では、金属カルシウムの析出を抑制するようにし、金属カルシウムの析出に起因するリチウムの析出耐性の低下を抑制させるようにした。
(二次電池の製造方法)
図5〜図7を参照して、二次電池10の製造工程にかかる手順について説明する。
図5に示すように、二次電池10の製造工程は、撹拌工程としての正極合剤混練工程(ステップS10)と、正極合剤塗工工程(ステップS11)と、極板群製造工程(ステップS12)と、電池組み立て工程(ステップS13)と、充電工程としての電池活性化工程(ステップS14)とを備える。
正極合剤混練工程(ステップS10)は、Caを含む正極活物質とアミンとを混合することで、アミンが添加されたCaを含む正極活物質を基材への塗布可能なスラリーとして正極合剤を作成する。本実施形態では、Caを含む正極活物質とアミンとの混合剤を密閉容器のなかで加熱するとともに撹拌する。これにより、正極活物質とCaとアミンとの混合剤には、撹拌の作用と、加熱の作用と、加圧の作用とが加わり、正極活物質とCaとアミンとの混合において、正極活物質の構造体に組み込まれなかったCaについて、これをCaNOxにさせる反応を促進させることができる(例えば、実施例1)。なお、従来、脱泡のために真空の環境下、すなわち減圧下で撹拌することにより正極合剤を生成していることが知られている(例えば、参考例1)。
図6を参照して、正極合剤混練工程では、製造条件1として、撹拌温度、撹拌圧力の範囲が設定され、この製造条件1に基づいて正極活物質のスラリーが生成される。例えば、正極合剤混練工程では、製造条件1の撹拌温度に設定された加熱処理が行われるとともに、製造条件1の撹拌圧力に設定された加圧処理が行われる。
図5を参照して、正極合剤塗工工程(ステップS11)では、正極活物質のスラリーをダイ塗工方式等によって正極基材211に塗布することで正極板21が製造される。
極板群製造工程(ステップS12)は、積層体である極板群20を製造する工程である。極板群製造工程では、正極板21と負極板22とがそれらの間にセパレータ23を介在されるように巻回方向に巻回されることで極板群20が生成される。例えば、巻回前の積層体は、正極板21、セパレータ23、負極板22、セパレータ23の順に積層されているとともに、正極板21と負極板22との重なりが巻き軸方向に多少ずらされている。よって巻き軸方向の一端に正極部21Aがはみ出し、他端に負極部22Aがはみ出した極板群20が製造される。
電池組み立て工程(ステップS13)では、極板群20が開口から電池ケース11に挿入される。電池ケース11は、極板群20が挿入された後、その開口に蓋体12が溶接されることで極板群20を内部に収容する。その後、電槽内が乾燥されてから、電槽内に非水電解液27が注入され、蓋体12に開口している非水電解液27の注入口が封止されて電池ケース11が密閉される。これにより、二次電池10が製造される。
電池活性化工程(ステップS14)では、製造された二次電池10を所定の電気量で満充電させるとともに、所定の電気量で全放電させることで、二次電池を使用可能な状態に調整する。
図6に示すように、電池活性化工程では、製造条件2として、充電レートが設定され、この製造条件2に基づく充電等により製造された二次電池10の活性化が行われる。このとき、充電レートを所定の大きさ以上の電流にすることにより、Caを含む正極活物質とアミンとが混合された正極板21において、正極活物質に組み込まれなかったCaについて、これをCaNOxにさせる反応をさらに促進させることができる(例えば、実施例1)。なお、従来、CaNOxにさせる反応を促進しない充電レートでの充電で二次電池を活性化させる処理が知られている(例えば、参考例1)。
以上により、二次電池10の製造工程が終了する。
(二次電池のLi析出耐性)
図4の表L4に示すように、二次電池10のLi析出耐性を比較するため、参考例1、参考例2、及び実施例1の3つの二次電池10を準備した。
ここで、図4に示す、「正極カルシウム量(活性化後)」は、負極板22に移動するCaの量の多さの指標である。詳述すると、正極板21のCaは、その一部が、充電の際、負極板22へ移動する。正極板21に含まれているCaが多ければ多いほど正極板21から負極板22へ移動するCaも多くなる。換言すると、充電によって負極板22に移動するCaの量と、充電後に正極板21に含まれているCaの量との間には正の相関関係がある。
また、「正極へのアミン添加量」は、参考例2及び実施例1の正極板21に添加されたアミンの量を示す。アミンの量は、正極板21に含まれるCaの量に応じて増量されている。一方、参考例1は、正極板21にアミンを添加していない。
このような条件の下、活性化後の二次電池10について負極における「CaNOxの割合」について比較する。「CaNOxの割合」は、その値が大きいほど、Li析出耐性が高く維持されている。
参考例1では、正極板21にCaは含まれているが、アミンが含まれていない、かつ、活性化工程の電流も低い(1C〜1.5C)ため、CaNOxが生成されない。このため負極板22には「CaNOxの割合」が有意な値では存在しない(≒0)。
実施例1及び参考例2では、負極板22に「CaNOxの割合」が有意な値で存在している。大まかには、「正極カルシウム量(活性化後)」が多くなるほど、負極板22における「CaNOxの割合」が低下する。また、「正極カルシウム量(活性化後)」が同じであれば、「CaNOxの割合」が高いほど、負極板22に金属カルシウムの析出するおそれが抑制される。
例えば、実施例1の「CaNOxの割合」は、「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.13[質量%]」であり、「正極へのアミン添加量」が「0.02[質量%]」であるとき、「1(=0.3/0.3)」である。また、「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.15[質量%]」であり、「正極へのアミン添加量」が「0.03[質量%]」であるとき、「0.68(=0.27/0.4)」である。また、「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.2[質量%]」であり、「正極へのアミン添加量」が「0.05[質量%]」であるとき、「0.58(=0.29/0.5)」である。また、「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.4[質量%]」であり、「正極へのアミン添加量」が「0.1[質量%]」であるとき、「0.5(=0.3/0.6)」である。
これに対して、例えば、参考例2の「CaNOxの割合」は、「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.13[質量%]」であり、「正極へのアミン添加量」が「0.02[質量%]」であるとき、「0.8(=0.24/0.3)」。また、「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.15[質量%]」であり、「正極へのアミン添加量」が「0.03[質量%]」であるとき、「0.6(=0.24/0.4)」である。また、「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.2[質量%]」であり、「0.05[質量%]」であるとき、「0.3(=0.15/0.5)」、「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.4[質量%]」であり、「正極へのアミン添加量」が「0.1[質量%]」であるとき、「0.15(=0.09/0.6)」である。
つまり、「正極カルシウム量(活性化後)」と「正極へのアミン添加量」とが同じであるとき、実施例1の「CaNOxの割合」は、参考例2の「CaNOxの割合」よりも高くなる。具体的には、実施例1と参考例2との「CaNOxの割合」はそれぞれ、「1」と「0.8」、「0.68」と「0.6」、「0.58」と「0.3」、「0.5」と「0.15」なる。そして、実施例1は、参考例2に比べて、「CaNOxの割合」の割合が高く(図4参照)、Li析出耐性が高く維持されている(図6参照)。
(実施例1)
図6の表L6に示す条件で、実施例1に対応する二次電池10を製造した。
すなわち、正極合剤混練工程では、正極基材211への塗布可能なスラリーとして作成する。製造条件1として、撹拌温度を「45℃〜60℃」とするとともに、撹拌圧力を1気圧から上昇するようにした。撹拌温度を「45℃〜60℃」として密閉容器で撹拌することで、分散媒等の蒸発によって容器内の圧力が上昇する。すなわち、1気圧以上の圧力下で撹拌されるようにしている。なお、撹拌温度は、「45℃」以上、かつ、「60℃」以下であることが好ましく、「50℃」以上、かつ、「60℃」以下であることがより好ましい。また、撹拌圧力は、1気圧より高くなることが好ましく、1.5気圧以上になることがより好ましい。
また、図7のグラフL7に示すように、電池活性化工程での製造条件2として、充電レートを「3C」以上とした。実施例1の二次電池10は、小さい電流L71で充電を行った後、大きい電流、ここでは「3C」以上の電流L72で満充電になるまで充電を行う。二次電池10が満充電された後、電流L73で放電を行う。ここで、「C」は電池容量に対応する電流で1時間充電することを示す。
図7に示すように、経過時間t71から経過時間t72の間での充電する電流L71は電流L72よりも小さい。具体的には、電流L71は電流L72の1/3以下である。また、経過時間t71から経過時間t72までの期間は、特に限定されないが、例えば、30秒から10分までの間であることが好ましい。
経過時間t73から経過時間t74までの間の充電する電流L72は「3C」である。また、経過時間t73から経過時間t74までの期間は1時間程度である。その後、経過時間t74から経過時間t75までの間、電流L73で放電する。従来、活性化工程において「2.5C」以上の電流で充電することは、二次電池に不要な負荷を与え、デメリットしかないことから避けられていた。そこで、負荷の低減を考えて最大の充電電流を「1.5C」に制限していた。
しかし本発明者らは、活性化工程において「3C」以上の電流で充電することで、正極板21に含まれるCaのCaNOへの変化が促進されて、正極板21から負極板22へ移動するCaに対してCaNOxの割合が増加することを見出した。そこで、活性化工程で充電に用いる所定の電流を従来よりも大きい「3C」の電流とした。そして、図4に示す「CaNOxの割合」を有し、図6に示すLi析出耐性を有する、実施例1に対応する二次電池10を得た。
すなわち、図6に示すように、実施例1の二次電池10は、「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.13[質量%]」、「0.15[質量%]」、「0.2[質量%]」、「0.4[質量%]」のいずれであっても、定格電流での充電に対するLi析出耐性が良好に維持される。すなわち、負極板22にリチウムが析出することが抑制された。
(参考例1)
図6の表L6に示す条件で、参考例1に対応する二次電池10を製造した。
すなわち、正極合剤混練工程では、正極活物質にCaを混合する一方でアミンを混合せず、Caは添加されているもののアミンが添加されていない正極活物質を、正極基材211への塗布可能なスラリーとして作成する。また、正極合剤混練工程での製造条件1として、撹拌温度を「30℃以上45℃未満」とするとともに、撹拌圧力を「1気圧」とした。また、電池活性化工程での製造条件2として、充電レートを「1C〜1.5C」とした。
そして、参考例1の二次電池10についてLi析出耐性を測定した。参考例1の二次電池10は、「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.13[質量%]」である場合、定格電流での充電に対するLi析出耐性が良好であった。一方、「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.15[質量%]」、「0.2[質量%]」又は「0.4[質量%]」である場合、定格電流での充電に対するLi析出耐性が不良であった。
(参考例2)
図6の表L6に示す条件で、参考例2に対応する二次電池10を製造した。
すなわち、正極合剤混練工程では、正極活物質とCaとアミンとを混合させ、Caとアミンとが添加された正極活物質を、正極基材211への塗布可能なスラリーとして作成する。また、正極合剤混練工程での製造条件1を参考例1と同じ条件とした。具体的には、撹拌温度を「30℃以上45℃未満」とするとともに、撹拌圧力を「1気圧」とした。また、電池活性化工程での製造条件2を参考例1と同じ条件とした。具体的には、充電レートを「1C〜1.5C」とした。
そして、参考例2の二次電池10についてLi析出耐性を測定した。参考例2の二次電池10は、「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.13[質量%]」及び「0.15[質量%]」である場合、定格電流での充電に対するLi析出耐性が良好であった。一方、「正極カルシウム量(活性化後)」が、「0.2[質量%]」、「0.4[質量%]」のいずれかである場合、定格電流での充電に対するLi析出耐性が不良であった。
(作用効果)
図6に示すように、「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.13[質量%]」のように少なければ、参考例1,2及び実施例1のいずれであっても、Li析出耐性が良好であるが、Caの添加量が少ないことから過充電耐性が低い(図3参照)。
「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.15[質量%]」になると、参考例1のLi析出耐性が不良となるが、参考例2及び実施例1はいずれもLi析出耐性が良好に維持される。参考例1でLi析出耐性が不良となるのは、添加されたCaの増量によって過充電耐性は向上されたが、正極板21のCaが負極板22に移動して析出することが一因にあると考えられる。なお、参考例2でLi析出耐性が良好に維持されるのは、正極板21に添加されたアミンが正極板21のCaの一部をCaNOxに変化させるため、金属カルシウムを析出させるCaが負極板22に移動する割合が減少するからである。なお、このとき、参考例2の負極板22の「CaNOxの割合」は「0.6」であり、理論上、又は、経験上、Li析出耐性が良好に維持されている。
「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.2[質量%]」になると、さらに参考例2のLi析出耐性も不良となるが、実施例1はLi析出耐性が良好に維持される。参考例2でLi析出耐性が不良となるのは、参考例1と同様に、添加されたCaの増量によって過充電耐性は向上されたが、正極板21のCaが負極板22に移動して析出することが一因にあると考えられる。また、参考例2の正極板21にはアミンが添加されているが、負極板22の「CaNOxの割合」が「0.3」であり、上述の「0.6」の半分程度まで低下しており、理論上、又は、経験上、Li析出耐性が良好に維持されてはいない。一方、実施例1は、添加されたCaの増量によって過充電耐性が向上されるとともに、Li析出耐性が良好に維持されている。これは、実施例1の正極板21に添加されたアミンは、製造条件1及び2によって正極板21のCaのCaNOxへの変換を促進させる。このため、負極板22の「CaNOxの割合」が「0.58」と、「0.6」に近い値に維持されることからLi析出耐性が良好に維持される。
「正極カルシウム量(活性化後)」が「0.4[質量%]」になると、参考例1及び参考例2はLi析出耐性が不良であるが、実施例1はLi析出耐性が良好に維持される。実施例1は、添加されたCaの増量によってより過充電耐性が向上されるとともに、Li析出耐性が良好に維持される。実施例1の正極板21は、アミンが添加されたこと、及び、正極合剤混練工程での製造条件1,2、及び、電池活性化工程での大電流「3C」での充電によって正極板21のCaのCaNOxへの変換が促進される。このため、負極板22の「CaNOxの割合」が「0.5」と、「0.6」に近い値に維持されることからLi析出耐性が良好に維持される。
以上説明したように、本実施形態のリチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池の製造方法によれば、以下に記載するような効果が得られるようになる。
(1)正極板21に過充電時の安全性を維持するCaが含まれている二次電池10において、負極板22にCaが含まれているとしても、それがLi析出耐性に影響を与えないCaNOxとして存在する確率が高められている。換言すると、Li析出耐性を低下させる金属カルシウムとして存在する確率が抑えられている。よって、過充電の安全性の確保に必要なCaを含有しているとともに、Li析出耐性の低下が抑えられる。
(2)正極板21に0.2[質量%]以上のCaが添加されていてもLi析出耐性が維持されるようになる。
(3)正極板21にアミンを含むことでCaNOxをより多く生成することができるようになる。なお、アミンとしては、メチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミンの少なくとも1つを用いることができる。また、正極板21から負極板22へ移動するCaが相対的に減少するため、負極板22でCaから金属カルシウムが生成されることが抑制され、Li析出耐性の低下が抑制される。
(4)過充電の安全性を確保できるCaが含まれている二次電池10において、CaがCaNOxになる割合が増加するので、負極板22において、Li析出耐性に悪影響を与える金属カルシウムの割合が抑えられる。よって、過充電の安全性を確保するとともに、Li析出耐性の低下を抑制することができるようになる。
(5)正極合剤混練工程で加熱処理及び加圧処理とともに正極合剤が撹拌されるため正極合剤中においてCaNOxが生成される割合が高められる。
(6)加熱処理では正極合剤を45℃以上、かつ、60℃以下にし、加圧処理では、正極合剤を1気圧から上昇させて加圧することでCaNOxが生成される割合が適切に高められる。
(7)電池活性化工程で、「3C」以上の電流で充電することにより負極板22におけるCaNOxの割合が高められる。
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態は以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、XPSで負極板22におけるCaNOxの割合を検出する場合について例示したが、CaNOxの割合は、XAFS(X線吸収微細構造)等のその他の検出器や検出方法で検出されてもよい。
・上記実施形態では、極板群20が正極板と負極板とが間にセパレータを挟んで巻回されている場合について例示したが、これに限らず、扁平形状になるのであれば、複数の正極板と複数の負極板とがセパレータを挟んで積層されているものでもよい。
・上記実施形態では、正極合剤混練工程では、正極合剤を「45℃」以上、かつ、「60℃」以下の温度に加熱する場合について例示した。しかしこれに限らず、CaのCaNOxへの変化を促進させることができるのであれば、加熱温度は「45℃」より低くてもよいし、逆に「60℃」より高くてもよい。
・上記実施形態では、正極合剤混練工程では、正極合剤を1気圧から上昇させて加圧する場合に対例示した。しかしこれに限らず、CaNOxとする反応を促進させることができるのであれば、1気圧よりも高い所定の圧力まで加圧してから正極合剤を混練してもよいし、その加圧した所定の圧力からさらに圧力を上昇させるようにしてもよい。また、逆に、その加圧した所定の圧力から圧力を1気圧未満にならない範囲で低下させてもよい。
・上記実施形態では、正極合剤混練工程では、加熱処理及び加圧処理の両方とも行われる場合について例示した。しかしこれに限らず、正極合剤混練工程では、加熱処理及び加圧処理の一方のみが行われてもよい。一方の処理だけであっても正極合剤中においてCaのCaNOxへの変化が促進されるようになる。
・上記実施形態では、経過時間t73から経過時間t74までの期間は1時間程度である場合について例示した。しかしこれに限らず、経過時間t73から経過時間t74までの期間が1時間未満であってもよい。例えば、1分以上、20分以下であってもよい。これは、3C以上の充電が開始された初期の期間で特に、CaNOxの移動が優勢となるからである。
・上記実施形態では、電池活性化工程では「3C」以上の電流で充電する場合について例示したが、これに限らず、CaのCaNOxへの変化を促進させるのであれば充電電流が「3C」未満であってもよい。
・上記実施形態では、正極合剤混練工程での加熱処理、同工程での加圧処理、及び、電池活性化工程での大電流による充電が行われる場合について例示した。しかしこれに限らず、正極合剤混練工程での加熱処理、同工程での加圧処理、及び、電池活性化工程での大電流による充電の少なくとも1つのみが行われてもよい。例えば、正極合剤混練工程、及び電池活性化工程のうちのいずれか1つのみが行われてもよい。いずれの工程の処理であってもそれぞれの工程でCaのCaNOxへの変化が促進されることから、少なくとも1の工程が行われることでLi析出耐性の維持が図られるようになる。
・上記実施形態では、アミンがメチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミンのいずれかである場合について例示した。しかしこれに限らず、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミンの少なくとも2つ以上から構成されていてもよい。
・上記実施形態では、正極板に0.4[質量%]以下のCaが添加されていてもLi析出耐性が維持される場合について例示した。しかしこれに限らず、使用範囲における充電電流においてLi析出耐性が維持されるのであれば0.4[質量%]以上のCaが添加されているときLi析出耐性が維持されると判断してもよい。逆に、添加されているCaが0.4[質量%]未満の所定の値でないとLi析出耐性が維持されないと判断してもよい。これにより、二次電池10の用途や充放電流に応じてCaの添加量とLi析出耐性とを設定することができる。
・上記実施形態では、負極板22における「CaNOxの割合」が「0.5」であればLi析出耐性が良好である場合について例示した。しかしこれに限らず、二次電池を使用する条件下での充電においてLi析出耐性が維持されるのであれば、「CaNOxの割合」が「0.5」より小さくてもよい。また、逆に「0.5」より大きくないとLi析出耐性が維持されないものとしてもよい。
・上記実施形態では、二次電池10はリチウムイオン二次電池である場合について例示した。しかしこれに限らず、二次電池は、非水電解質からなる電解液を用いる電池であればよい。
・上記実施形態では、二次電池10は自動車の電源として用いられる場合について例示した。しかしこれに限らず、二次電池は、電源として用いられるものであれば、各種の移動体や固定体等自動車以外の電源として用いられてもよい。
10…二次電池、11…電池ケース、12…蓋体、13…外部端子、14…電極端子、20…極板群、21…正極板、21A…正極部、22…負極板、22A…負極部、23…セパレータ、26…端、27…非水電解液、211…正極基材、212…正極合剤、221…負極基材、222…負極合剤。

Claims (7)

  1. 電池ケースと、
    前記電池ケースに収容された電極体及び非水電解質と、
    前記電極体を構成する正極板及び負極板と、
    前記正極板に含まれる正極活物質と、
    前記正極活物質に混合されたカルシウムと、を備え、
    前記負極板において、該負極板中の全カルシウム原子の分子量に対する該負極板中のカルシウム原子を含む窒素酸化物(CaNOx)に含まれるカルシウム原子の分子量の割合が「0.5」以上である
    非水電解質二次電池。
  2. 前記正極活物質の質量に対して前記正極板に含まれるカルシウム原子の質量が0.2[質量%]以上である
    請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記正極板には、アミンが含まれる
    請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 電池ケースと、前記電池ケースに収容された電極体及び非水電解質と、前記電極体を構成する正極板及び負極板と、前記正極板を構成する正極合剤と、を備え、前記正極合剤にはカルシウムが添加された正極活物質が含まれている非水電解質二次電池を製造する方法であって、
    前記正極合剤を生成する際、アミンを添加して撹拌することで前記正極合剤中のカルシウム原子を含む窒素酸化物(CaNOx)を増加させる撹拌工程と、
    前記電池ケースに前記電極体及び前記非水電解質を収容させて製造された非水電解質二次電池を充電することでCaNOxの割合を増加させる充電工程と、を備える
    非水電解質二次電池の製造方法。
  5. 前記充電工程では、前記非水電解質二次電池における3C以上の電流で前記充電を行う
    請求項4に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  6. 前記撹拌工程では、前記正極合剤を加熱する加熱処理、及び、前記正極合剤を加圧する加圧処理の少なくとも一方の処理を併せて行う
    請求項4又は5に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  7. 前記加熱処理は、前記正極合剤を45℃以上、かつ、60℃以下にする処理であり、
    前記加圧処理は、前記正極合剤を1気圧から上昇させて加圧する処理である
    請求項6に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
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