JP2018186136A - 熱電変換材料、およびその製造方法、並びに熱電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱電変換材料としてシリコンを用いるにあたり、熱電変換効率を高めた熱電変換材料、および該熱電変換材料を含む熱電変換素子を提供する。また、上記熱電変換材料を製造する方法を提供する。【解決手段】Siを含有する熱電変換材料であって、ドーパントをドープしたMg2Siを含み、且つナノ組織を有する熱電変換材料。【選択図】図5

Description

本発明は、Siを含有する熱電変換材料、該熱電変換材料を含む熱電変換素子、および熱電変換材料の製造方法に関する。
エネルギーの有効活用に関する研究開発が近年盛んに行われており、熱を電気エネルギーに変換する発電技術が注目されている。例えば、自動車のエンジンで発生したエネルギーのうち、動力として取り出せるエネルギーは全体の約30%程度であり、残りの約70%は、熱として廃棄されている。そのため、廃熱を電気エネルギーに変換し、動力として有効利用することが検討されている。
上記発電技術では、ゼーベック効果を利用した熱電変換材料を含む熱電変換素子が用いられる。熱電変換素子は、通常、p型およびn型の熱電変換材料、および電極から構成され、熱電変換素子を熱源に近接させると、熱電変換素子内に温度差が生じ、ゼーベック効果によって熱が電気エネルギーに変換される。こうした熱電変換素子を有する電子装置は、特許文献1に開示されている。
熱電変換素子の熱電変換効率は熱電変換材料の熱電性能に大きく依存するため、熱電変換材料の熱電性能の改善が求められる。熱電変換材料の熱電性能は、一般に、下記式(1)で表される無次元性能指数ZTで評価される。下記式(1)中、Sはゼーベック係数、σは電気伝導率、Tは絶対温度、κは熱伝導率をそれぞれ示している。なお、分子の「S2σ」は出力因子と呼ばれ、熱電変換材料の発電能力を直接決定する因子である。
ZT=S2σT/κ ・・・(1)
上記無次元性能指数ZTが大きいほど、熱電変換材料の熱電性能が高く、熱電変換素子の熱電変換効率が向上する。そのため、上記無次元性能指数ZTを増大させるには、ゼーベック係数Sを大きく、電気伝導率σを大きく、熱伝導率κを小さくすればよい。
熱電変換材料としては、ビスマステルルライド(Bi2Te3)や鉛テルル(PbTe)が知られている。ビスマステルルライドや鉛テルルの無次元性能指数ZTは、室温で0.8程度であり、熱電性能は良好である。しかし、ビスマス、テルル、鉛は、いずれも人体に有毒で、また埋蔵量が少なく、加工性の観点からデバイス化は困難である。
そこで熱電変換材料として、近年ではシリコンが注目されている。シリコンは、人体に対する害が少なく、埋蔵量が多く、加工性の観点からデバイス化が容易である。シリコンを用いた熱電変換材料としては、特許文献2に、母材料である半導体シリコン化合物と、前記母材料中に分散する分散材料であるSiからなる粒子と、を有し、前記分散材料の量が、前記母材料のキャリア数を変調可能な量以下に制御された熱電変換材料が記載されている。
特開2011−40585号公報 特開2015−225951号公報
シリコンの無次元性能指数ZTは、室温では0.02程度、最大でも1100K(827℃)において0.2程度であり、上述したビスマステルルライドや鉛テルルの無次元性能指数ZTと比べると小さく、熱電性能が著しく低いという問題がある。
ところで、上記無次元性能指数ZTは、概ね、μ/κlatに比例する。ここでμはキャリアの移動度、κlatは格子振動に起因する熱伝導率をそれぞれ示している。κlatは、電気伝導に起因する熱伝導率κelと共に、測定される熱伝導率κとκ=κel+κlatの関係がある。従って、上記無次元性能指数ZTを増大させるには、キャリア移動度μを大きく、格子振動に起因する熱伝導率κlatを小さくすればよいと考えられる。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、熱電変換材料としてシリコンを用いるにあたり、熱電変換効率を高めた熱電変換材料、および該熱電変換材料を含む熱電変換素子を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記熱電変換材料を製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る熱電変換材料とは、Siを含有する熱電変換材料であって、ドーパントをドープしたMg2Siを含み、且つナノ組織を有する点に要旨を有する。
前記ドーパントは、Bi、Sb、As、P、およびAlから選ばれる少なくとも1種が好ましい。前記熱電変換材料は、変調ドープされていることが好ましい。前記熱電変換材料に含まれるSiとMgの合計量を100原子%としたとき、Si量は、40〜70原子%が好ましい。前記熱電変換材料の質量を100%としたとき、MgOの含有量は10質量%以下(0質量%を含む)が好ましい。前記ナノ組織は、共晶状組織を有することが好ましい。前記熱電変換材料は、n型熱電変換材料として好適に用いることができる。
本発明には、上記熱電変換材料を含む熱電変換素子も包含される。上記熱電変換素子は、200〜500℃の温度域で好適に用いられる。
上記熱電変換材料は、Si、Mg、およびドーパントを含む溶融金属を、メルトスピニング法で鋳造することによって好適に製造できる。
本発明によれば、Siを含有する熱電変換材料に、ドーパントをドープしたMg2Siを含有させているため、キャリア移動度μを大きくすることができる。また、熱電変換材料の組織をナノ組織とすることによって、格子振動に起因する熱伝導率κlatを小さくすることができる。こうした結果、熱電変換材料の無次元性能指数ZTを増大できるため、熱電変換素子の熱電変換効率を高めることができる。
図1は、変調ドープを説明するための模式図である。 図2は、ナノ組織の一例を示す写真である。 図3は、メルトスピニング法を説明するための模式図である。 図4は、本発明で得られた熱電変換材料の外観を撮影した写真である。 図5は、本発明で得られた熱電変換材料の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。 図6は、温度と出力因子との関係を示すグラフである。
本発明者らは、Siを含有する熱電変換材料を用いた熱電変換素子について、熱電変換効率を高めるために、鋭意検討を重ねた。その結果、熱電変換素子の素材として、ドーパントをドープしたMg2Siを含み、且つナノ組織を有するSi含有熱電変換材料を用いれば、熱電変換素子の熱電変換効率を高められることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明について詳細に説明する。
(熱電変換材料)
本発明の熱電変換材料は、Siを含有するSi系熱電変換材料である。熱電変換材料としてSiを用いることにより、人体に対する害を低減できる。またSiは埋蔵量が多いため入手が容易である。また加工性の観点からSiを用いるとデバイス化が容易である。
本発明の熱電変換材料は、ドーパントをドープしたMg2Siを含有するものである。ドーパントをドープしたMg2Siを含むことにより、熱電変換材料に変調ドープを施すことができる。
変調ドープとは、特定のバンド構造の組み合わせとなり、ドーパントの含有量やドーパントの種類が異なる2種類の材料を接触させることで、電子供給相と電子走行相とを空間的に分離し、電子供給相から電子走行相へ電子を供給する現象を意味する。変調ドープについて、図1を用いてより詳細に説明する。ドーパント1をドープしたMg2Siと、Siが接触すると、ドーパント1をドープしたMg2Siは電子供給相X、Siは電子走行相Yとなる。電子供給相Xから染み出した電子2は、電子走行相Yへ供給され、電子走行相Y中を散乱されることなく移動する。その結果、熱電変換材料のキャリア移動度μが大きくなり、上記無次元性能指数ZTを増大させることができる。
上記ドーパント1は、SiよりもMg2Siに固溶しやすい金属原子であれば、その種類は特に限定されない。ドーパントをドーピングし、電子の散乱源となるイオン化された不純物原子を、電子供給相X中に留まらせつつ、電子のみを電子走行相Yへ染み出させることにより、電子が電子走行相Y中を負荷なく移動する。そのため熱電変換材料のキャリア移動度μを高めることができる。
上記ドーパント1としては、例えば、Bi、Sb、As、P、およびAlから選ばれる少なくとも1種を用いることができ、好ましくはBiである。
上記ドーパント1の量は、上記熱電変換材料の原子を100%としたとき、例えば、0.01〜3.0原子%が好ましい。上記ドーパント1の量は、より好ましくは0.05原子%以上、更に好ましくは0.1原子%以上であり、より好ましくは1原子%以下、更に好ましくは0.5原子%以下である。
上記熱電変換材料は、SiとMgの合計量を100原子%としたとき、Si量は、40〜70原子%が好ましい。Si量をこの範囲に調整することにより、ナノ組織を形成しやすい。その結果、熱電変換材料内にキャリアを分布させることができるため、格子振動に起因する熱伝導率κlatが小さくなり、上記無次元性能指数ZTを増大させることができる。上記Si量は、より好ましくは45原子%以上、更に好ましくは50原子%以上であり、より好ましくは60原子%以下、更に好ましくは55原子%以下である。
上記熱電変換材料は、その質量を100%としたとき、MgOの含有量は10質量%以下(0質量%を含む)が好ましい。Mgは易酸化性元素であるため、容易にMgOを形成するが、熱電変換材料内にMgOが含まれると、上記無次元性能指数ZTが低下する傾向がある。従って上記MgO量は、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。上記熱電変換材料は、MgOを含有しないことがより好ましい。
Siを含有する熱電変換材料に、ドーパントをドープしたMg2Siを含有させることにより、キャリア移動度μを大きくでき、無次元性能指数ZTを増大できるが、本発明では、上記熱電変換材料がナノ組織を有する必要がある。ナノ組織を有することにより、熱電変換材料内に電子供給相を分散させることができる。また、電子供給相から染み出した電子の移動可能距離は、通常、10nm程度であるため、ナノ組織として電子供給相と電子走行相を分散させることにより、電子の移動を促進できる。また、ナノ組織を有することにより、材料の熱伝導率を小さくすることができるため、温度差を大きくでき、熱電変換素子の熱電変換効率を高めることができる。
上記ナノ組織とは、ナノメートルサイズの構造(ナノ構造)を有する組織を意味し、例えば、走査型電子顕微鏡で、熱電変換材料の断面を、倍率30000倍で観察したときに、図2の(a)に示すように、白色で示されるSiと、灰色または黒色で示されるMg2Siが、層状に隣接する形態が、ランダムに配列している組織や、図2の(b)に示すように、白色で示されるナノメートルサイズの粒状のSi単結晶と、灰色または黒色で示されるナノメートルサイズの粒状のMg2Siが分散している組織が挙げられる。
上記図2の(a)に示した組織の場合は、Mg2Siの平均層間隔は、例えば、1〜50nm程度が好ましく、より好ましくは1〜40nmであり、更に好ましくは1〜30nmである。
上記熱電変換材料は、ナノ組織を少なくとも一部有していればよく、組織全体に対して、好ましくは50面積%以上、より好ましくは80面積%以上、最も好ましくは100面積%である。
上記ナノ組織は、共晶状組織を有することが好ましい。共晶状組織とは、溶融合金から同時に2種の固相が析出した組織である。なお、本発明における上記共晶状組織は、組成が共晶組成から外れる亜共晶組織および過共晶組織を含む意味である。
上記ナノ組織は、共晶状組織を少なくとも一部有していることが好ましく、組織全体に対して、より好ましくは50面積%以上、更に好ましくは80面積%以上、最も好ましくは100面積%である。
上記熱電変換材料は、熱電変換素子を構成する際に、n型の熱電変換材料として好適に用いることができる。n型の熱電変換材料は、電子をキャリアに持ち、負のゼーベック係数を示す材料である。
(熱電変換素子)
本発明には、上記熱電変換材料を含む熱電変換素子も含まれる。
上記熱電変換素子は、通常、n型の熱電変換材料、p型の熱電変換材料、および電極から構成される。
上記n型の熱電変換材料としては、上述した本発明に係る熱電変換材料を好適に用いることができる。
上記p型の熱電変換材料は、ホールを電荷キャリアに持ち、正のゼーベック係数を示す材料であり、公知の熱電変換材料を用いることができる。
電極としては、例えば、銅、銀、金、白金、アルミニウム、モリブデンなどを用いることができる。
上記熱電変換素子は、特に、中温域で高い出力因子を示すため、例えば、自動車から放出される排熱や工場から放出される排熱を電気エネルギーに効率良く変換できる。上記中温域とは、例えば、200〜500℃の温度域を意味する。
(熱電変換材料の製造方法)
次に、本発明に係る熱電変換材料を製造できる方法について説明する。
本発明の熱電変換材料は、ナノ組織を有する必要がある。しかし、熱電変換材料の原料を常法に従って鋳造してもナノ組織は生成しないことが分かった。そこで、本発明者らが検討したところ、鋳造時の冷却速度を大きくすれば、ナノ組織が生成することが分かった。そして、鋳造時の冷却速度を大きくするには、例えば、Si、Mg、およびドーパントを含む溶融金属を、メルトスピニング法で鋳造する方法が好適であることが判明した。メルトスピニング法とは、回転する冷却ロールに溶融金属を吹き付け、急冷、凝固させて鋳造する方法である。メルトスピニング法による鋳造装置の概略図を図3に示す。
まず、容器KにSi、Mg、およびドーパントを装入し、容器Kに設けられた誘導コイルIで溶融させる。矢印方向に回転する冷却ロールBに対して、圧力をPとして矢印方向にノズルから溶融金属Aを噴射し、溶融金属Aと冷却ロールBと接触させる。溶融金属Aは急冷、凝固し、帯状(リボン状)の材料Cが得られる。溶融金属Aを、急冷、凝固させることによって、熱電変換材料の組織をSiとMg2Siを含むナノ組織とすることができる。
また、上記容器Kに装入するSiとMgの比率を調整することによって、溶融金属Aの組成を制御でき、熱電変換材料の組織を調整できる。SiとMgの合計量を100原子%としたとき、例えば、Si量を40〜70原子%に制御すれば、共晶状組織とすることができる。
上記冷却ロールBの回転数は装置に応じて設定され、一律に規定できないが、例えば、2000〜8000回転/分程度が好ましい。回転数が大きすぎると、凝固した金属が飛散し、収率が低下する傾向がある。回転数は、より好ましくは2000〜7000回転/分であり、更に好ましくは2000〜6000回転/分である。
上記冷却ロールBの表面の素材は、冷却効果を高めるために、導電率が高い材料で構成されていることが好ましい。高導電材料としては、例えば、銅、白金、金、アルミニウム、鉄、鋼が挙げられ、銅が好ましい。
上記容器K内の溶融金属Aを噴射するときの圧力Pも特に限定されないが、例えば、0.005〜0.05MPa程度が好ましく、より好ましくは0.01〜0.03MPa、更に好ましくは0.02MPaである。
上記容器Kに設けられた溶融金属Aの吹き出し口のノズル径は0.3〜0.8mmが好ましく、より好ましくは0.4〜0.7mm、更に好ましくは0.6mmである。
上記ノズルの先端と冷却ロールBとの距離は0.1〜0.3mmが好ましく、より好ましくは0.15〜0.25mm、更に好ましくは0.2mmである。
本発明では、熱電変換材料の組織や回収率などを考慮し、上記容器Kから噴射する溶融金属Aの量、上記容器Kから溶融金属Aを噴射するときの流速などを調整することが好ましい。
メルトスピニング法で鋳造して得られた帯状の熱電変換材料をバルク状に成形すれば、例えば、n型の熱電変換材料として用いることができる。
帯状の熱電変換材料をバルク状に成形する方法は特に限定されず、例えば、放電プラズマ焼結法が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限を受けるものではなく、前記および後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
SiとMgの合計量を100原子%としたとき、Si量が52.9原子%、Mg量が47.1原子%となるようにSi、Mg、およびドーパントを仕込み、Si、Mg、およびドーパントを含む溶融金属を、メルトスピニング法で鋳造し、熱電変換材料を製造した。具体的には、上記熱電変換材料の原子を100%としたとき、図3に示した容器Kに、Mgを47原子%、Siを52.7原子%、ドーパントとしてBiを0.3原子%装入し、誘電コイルIにて溶融させた。冷却ロールBの回転数を2000回転/分とし、容器K内の溶融金属Aを噴射するときの圧力Pを0.02MPaとして容器Kから冷却ロールBの表面へ溶融金属Aを吹き付けた。
冷却ロールBの表面の素材は銅であり、容器Kに設けられた溶融金属Aの吹き出し口のノズル径は0.6mm、ノズルの先端と冷却ロールBとの距離は0.2mmとした。
得られた熱電変換材料の外観を撮影した写真を図4に示す。
得られた熱電変換材料は、図4から明らかなように帯状(リボン状)であった。帯状の熱電変換材料の平均長さは50mm、平均厚みは6μmであった。
次に、得られた帯状の熱電変換材料の断面を走査型電子顕微鏡で、倍率20000倍または30000倍で撮影した。撮影した写真を図5に示す。
図5の(a)と(b)は、倍率20000倍で撮影した写真、(c)と(d)は、倍率30000倍で撮影した写真をそれぞれ示している。
また、図5の(a)と(c)は、上記熱電変換材料のうち、溶融金属Aと冷却ロールBが接触した側の断面を撮影した写真、(b)と(d)は、上記熱電変換材料のうち、溶融金属Aと冷却ロールBが接触しなかった側の断面を撮影した写真をそれぞれ示している。
図5において、明るく、白色に写っている部分はSiであり、暗く、灰色または黒色に写っている部分はMg2Siを示している。
図5から明らかなように、上記熱電変換材料のうち、溶融金属Aと冷却ロールBが接触した側も、溶融金属Aと冷却ロールBが接触しなかった側も、組織は、ナノメートルサイズの構造を有するナノ組織であった。
図5の(a)および(c)から明らかなように、上記熱電変換材料のうち、溶融金属Aと冷却ロールBが接触した側の組織は、Siが島となっており、その周辺にMg2SiとSiからなる共晶状組織が存在していた。
図5の(b)および(d)から明らかなように、上記熱電変換材料のうち、溶融金属Aと冷却ロールBが接触しなかった側の組織は、ナノメートルサイズの粒状のMg2SiとSiが分散した組織であった。
次に、得られた帯状の熱電変換材料の結晶構造をX線回折法で測定した。その結果、1質量%以下に相当するMgOが検出された。
次に、得られた帯状の熱電変換材料について、アドバンス理工株式会社製の熱電特性評価装置「ZEM−3」を用い、室温から500℃まで加熱し、所定の温度における熱電率(ゼーベック係数S)と電気伝導率σを測定した。試験片数は6個とした。測定したゼーベック係数Sの平均値と電気熱伝導率σの平均値に基づいて、出力因子S2σの値を算出した。測定温度と出力因子S2σとの関係を図6に示す。なお、帯状の試験片を用いて出力因子S2σを測定した結果と、バルク状の試験片を用いて出力因子S2σを測定した結果は、絶対値は異なるものの、温度依存性においてはほぼ同じ結果を示し、相関があることを別途確認している。
また、図6には、参考データとして、ドーパントとしてBiをドープしたMg2Si、ドーパントとしてPをドープしたSiについて、出力因子S2σを同様に算出した結果を示す。図6において、ドーパントとしてBiをドープしたMg2Siの結果は点線で、ドーパントとしてPをドープしたSiの結果は一点鎖線で示した。
図6から明らかなように、本発明に係る熱電変換材料の出力因子S2σは、おおよそ200〜500℃の温度域において、BiをドープしたMg2SiやPをドープしたSiの出力因子S2σよりも大きくなることが分かる。即ち、本発明に係る熱電変換材料の熱電変換効率は、特に200〜500℃の温度域で良好になることが分かる。
A 溶融金属
B 冷却ロール
C 帯状の材料
I 誘導コイル
K 容器
P 圧力

Claims (10)

  1. Siを含有する熱電変換材料であって、
    ドーパントをドープしたMg2Siを含み、且つ
    ナノ組織を有することを特徴とする熱電変換材料。
  2. 前記ドーパントは、Bi、Sb、As、P、およびAlから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の熱電変換材料。
  3. 前記熱電変換材料は、変調ドープされている請求項1または2に記載の熱電変換材料。
  4. SiとMgの合計量を100原子%としたとき、Si量は、40〜70原子%である請求項1〜3のいずれかに記載の熱電変換材料。
  5. 前記熱電変換材料の質量を100%としたとき、MgOの含有量が10質量%以下(0質量%を含む)である請求項1〜4のいずれかに記載の熱電変換材料。
  6. 前記ナノ組織は、共晶状組織を有する請求項1〜5のいずれかに記載の熱電変換材料。
  7. n型熱電変換材料である請求項1〜6のいずれかに記載の熱電変換材料。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の熱電変換材料を含む熱電変換素子。
  9. 200〜500℃の温度域で用いられる請求項8に記載の熱電変換素子。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の熱電変換材料を製造する方法であって、
    Si、Mg、およびドーパントを含む溶融金属を、メルトスピニング法で鋳造することを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
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