JP2018186014A - フロー電池、フロー電池システム及び発電システム - Google Patents

フロー電池、フロー電池システム及び発電システム Download PDF

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修一郎 足立
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明博 織田
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祐一 利光
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Abstract

【課題】電解液を流動させたときの圧力損失の増加が抑制されるとともに、入出力特性及びエネルギー密度に優れるフロー電池、並びにこのフロー電池を備えるフロー電池システム及び発電システムの提供。【解決手段】正極1aと、負極1bと、活物質及び活性炭を含有する電解液と、正極1a及び負極1bに供給される前記電解液を貯留する貯留部と、を備え、正極1a及び負極1bの少なくとも一方は、前記電解液の流通方向に空隙率φ1〜φ4の異なる領域を少なくとも二つ有する電極である、フロー電池。【選択図】図4C

Description

本発明は、フロー電池、フロー電池システム及び発電システムに関する。
近年、地球温暖化問題の対策として、化石燃料に替わる、再生可能な自然エネルギーの需要が高まっており、再生可能エネルギー市場は今後も堅調に成長していくと考えられる。このような背景の中、太陽光、風力等の自然力を利用する発電の課題である出力の変動への対策の一つとして、蓄電池を活用した電力貯蔵技術がクローズアップされている。その中でも電解液を流動させて活物質の酸化還元反応を生じさせることで充電と放電とを行うフロー電池は、充放電サイクル寿命が長く、用途に応じた出力・容量設計が可能なことから、特に大容量蓄電池として注目されている。
大容量蓄電池としてフロー電池が適用できる他の形態として、例えば、電力の供給側における用途及び電力の需要側における用途が挙げられる。前者は、例えば、火力発電所における発電予備力の確保及び余剰電力の貯蔵、並びに変電所における周波数制御、供給余力確保及び負荷平準化への適用が期待される。また後者については、工場等の産業施設において、電力コストの削減を目的としたピークカット若しくはタイムシフト用途、又は瞬間停電(瞬停)、停電時の無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply、UPS)又は非常用電源としての用途への適用が期待される。
フロー電池は、電池反応を行う正極と負極、正極電解液と負極電解液、正極電解液貯留部と負極電解液貯留部、送液ポンプ、配管等から構成され、正極電解液が正極と正極電解液貯留部との間を循環し、かつ、負極電解液が負極と負極電解液貯留部との間を循環することで充放電を行う。正極と負極は、通常隔膜によって隔てられており、正極電解液と負極電解液の混合が防止される。ここで、フロー電池における活物質は、価数が変化するイオンが候補になり得る。中でも安全性等の点から、バナジウム(V/V)系フロー電池等が実用化されている。
V/V系フロー電池の電極反応を以下に示す。
正極:VO2+(4価)+HO⇔VO (5価)+2H+e・・・(1)
負極:V3+(3価)+e⇔V2+(2価)・・・(2)
ここで、左から右への反応が充電反応を、右から左への反応が放電反応を表している。上記の左から右への反応が起こることで、供給された電力は正極及び負極中のVイオンの価数変化に費やされ、電解液に蓄えられる。また放電時には、逆反応によって電解液中に貯蔵した電力を取り出すことができる。
V/V系フロー電池は開発の歴史が古く、国内外で大規模な実証試験が進められている。一方で、V/V系フロー電池は原料コストの点で課題を残しており、代替材料を用いた系が期待されている。代替材料としては、セリウム/亜鉛(Ce/Zn)系、亜鉛/臭素(Zn/Br)系、亜鉛/ヨウ素(Zn/I)系、鉄/クロム(Fe/Cr)系等が知られている。
V/V系に替わるフロー電池として、例えば、特許文献1には、正極活物質としてヨウ素、塩素、臭素等のハロゲン物質を、負極活物質として亜鉛をそれぞれ用いたフロー電池が開示されている。
また、非特許文献1には、活性炭粒子が分散された電解液をフロー電池用の電解液として使用し、分散された活性炭粒子が電気二重層キャパシタ(Electric double−layer capacitor、EDLC)の原理に基づいてエネルギーを貯蔵するフローキャパシタが提案されている。非特許文献1に記載のフローキャパシタは、タンクの大きさによって貯蔵エネルギー量をコントロールできる等の、フロー電池と同様の利点を持ち合わせている。更に、貯蔵原理がEDLCに基づいているために化学的反応を伴う酸化還元反応に基づく従来のフロー電池に比べて、キャパシタ構成系の時定数(Time Constant)に依存するが、一般に格段に早い応答速度が期待できる。これは、EDLCが物理的なイオンの脱離・吸着によって電気二重層を形成してエネルギーを貯蔵できるためである。
米国特許第4109065号公報
しかしながら、特許文献1のフロー電池においては、亜鉛の析出・溶解反応の速度によって入出力(パワー)特性が制限され、瞬時の大電流応答性に欠ける電池であるという問題がある。また、非特許文献1の活性炭粒子を分散した電解液を用いたフローキャパシタでは、エネルギー貯蔵原理がEDLCのみに基づいているため、入出力特性に優れる一方、エネルギー密度が約5Wh/L〜10Wh/Lと低いという問題がある。
ところで、フロー電池には、電極反応の活性、耐酸性、反応面積等の点から、表面を活性化させたカーボンフェルト電極が用いられることがある。カーボンフェルト電極は、ポリアクリロニトリル(PAN)又はレーヨンの繊維を空気中200℃〜300℃の温度で耐炎化した後、不織布化し、約1000℃の温度で炭化する方法、原料の繊維からなる不織布を直接炭化処理する方法等を用いて製造される。
また反応面積を増加させるためにカーボンフェルト電極の比表面積を増加させることが好ましく、この場合、カーボンフェルト電極を構成する繊維の径が小さくなり、また、空隙部が微細になる。しかしながら、カーボンフェルト電極の比表面積を増加させると、電解液を流通させ、電極に電解液が供給される際の圧力損失、すなわち、単位時間単位流量あたりの流体力学上のエネルギー損失が増大する。結果として、圧力損失が大きくなると、フロー電池自身の電力でポンプを動かす場合等、送液ポンプの動力損失も含めたフロー電池全体のエネルギー効率が低下してしまう。特に、上記で挙げたV/V系以外の組成のうち、Zn/I系及びZn/Br系は、充電反応中に金属Znが負極に析出する。このとき、カーボンフェルト電極内に金属等の析出が進んだ際は、上記圧力損失が更に増大すると考えられる。
本発明の一形態は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電解液を流動させたときの圧力損失の増加が抑制されるとともに、入出力特性及びエネルギー密度に優れるフロー電池、並びにこのフロー電池を備えるフロー電池システム及び発電システムを提供することを目的とする。
前記課題を解決する手段は、以下の通りである。
<1> 正極と、負極と、活物質及び活性炭を含有する電解液と、前記正極及び前記負極に供給される前記電解液を貯留する貯留部と、を備え、前記正極及び前記負極の少なくとも一方は、前記電解液の流通方向に空隙率の異なる領域を少なくとも二つ有する電極である、フロー電池。
<2> 前記電解液が流入する側の前記電極の空隙率は、前記電解液が流出する側の前記電極の空隙率よりも高い、<1>に記載のフロー電池。
<3> 前記活性炭のBET比表面積が100m/g〜5000m/gである、<1>又は<2>に記載のフロー電池。
<4> 前記活性炭の平均二次粒子径が10nm〜300μmである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のフロー電池。
<5> 前記電極は、炭素繊維を含有する、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のフロー電池。
<6> 前記電極は、前記電解液が流出する側から前記電解液が流入する側に向かって空隙率が高くなっている、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のフロー電池。
<7> 前記電極の前記電解液が流入する側の端側の少なくとも一部から前記流通方向に向かって、長さ5.0%侵入した位置での前記電極の空隙率と、長さ95.0%侵入した位置での前記電極の空隙率との差の絶対値が1.0%〜50.0%である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のフロー電池。
<8> 前記電極の前記電解液が流入する側の端側の少なくとも一部から前記流通方向における前記電極の空隙率の分布をプロットしたグラフにおいて、最小二乗法にて近似した直線の傾きから求めた前記電極の空隙率の平均変化率の絶対値が、0.1%/cm〜3.0%/cmである、<1>〜<7>のいずれか1つに記載のフロー電池。
<9> 前記電極は、充電反応又は放電反応にて前記活物質の析出を伴う、<1>〜<8>のいずれか1つに記載のフロー電池。
<10> 析出物が金属を含有する、<9>に記載のフロー電池。
<11> 前記正極及び前記負極における前記正極と前記負極とが対向する側とは反対側に設けられ、前記正極及び前記負極と電子の授受をそれぞれ行う一対の双極板を更に備え、前記電極と電子の授受を行う前記双極板側から前記正極と前記負極とが対向する側に向かって前記電極の空隙率が高くなるか、又は、前記正極と前記負極とが対向する側から前記電極と電子の授受を行う前記双極板側に向かって前記電極の空隙率が高くなる、<1>〜<10>のいずれか1つに記載のフロー電池。
<12> 前記活物質が、ヨウ素イオン及びヨウ素分子の少なくとも一方を含有する、<1>〜<11>のいずれか1つに記載のフロー電池。
<13> 前記活物質が、亜鉛イオン及び亜鉛の少なくとも一方を含有する、<1>〜<12>のいずれか1つに記載のフロー電池。
<14> <1>〜<13>のいずれか1つに記載のフロー電池と、前記フロー電池の充放電を制御する制御部と、を備えるフロー電池システム。
<15> 発電装置と、<14>に記載のフロー電池システムと、を備える発電システム。
<16> 前記発電装置は、再生可能エネルギーを用いて発電する、<15>に記載の発電システム。
本発明の一形態によれば、電解液を流動させたときの圧力損失の増加が抑制されるとともに、入出力特性及びエネルギー密度に優れるフロー電池、並びにこのフロー電池を備えるフロー電池システム及び発電システムを提供することができる。
本開示のフロー電池の部材構成の一例を示す模式図である。 本開示のフロー電池の模式図である。 セルスタック構成を有するフロー電池の模式図である。 電極の構造及び空隙率の異なる電極の組み合わせを示す模式図である。 電極の構造及び空隙率の異なる電極の組み合わせを示す模式図である。 電極の構造及び空隙率の異なる電極の組み合わせを示す模式図である。 電極の構造及び空隙率の異なる電極の組み合わせを示す模式図である。 電極の構造及び空隙率の異なる電極の組み合わせを示す模式図である。 電極の構造及び空隙率の異なる電極の組み合わせを示す模式図である。 電極の構造及び空隙率の異なる電極の組み合わせを示す模式図である。 電極の構造及び空隙率の異なる電極の組み合わせを示す模式図である。 電解液流通方向における電極の空隙率の分布を示す図である。 電解液流通方向における電極の空隙率の分布を示す図である。 電解液流通方向における電極の空隙率の分布を示す図である。 電解液流通方向における電極の空隙率の分布を示す図である。 電解液流通方向における電極の空隙率の分布を示す図である。 電解液流通方向における電極の空隙率の分布を示す図である。 電極厚さ方向における電極の空隙率の分布を示す図である。 電極厚さ方向における電極の空隙率の分布を示す図である。 電極厚さ方向における電極の空隙率の分布を示す図である。 電極厚さ方向における電極の空隙率の分布を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合、原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語は、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において電解液中の各成分の含有率は、電解液中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、電解液中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
また、本開示において、「含有率」とは、特に記載がなければ、各電解液の全量を100質量%としたときの、各成分の質量%を表す。
本開示において、「固体」とは、フロー電池に使用される正極及び負極の少なくとも一方にて電気化学反応により析出するものを指し、具体的には金属の固体及び非金属の固体が挙げられる。非金属の固体としては、後述するヨウ素分子(I)等の分子性固体、ポリマー状、プラスチック状等の有機分子性固体を挙げることができる。また、非金属の固体としては、錯体等の複合体であってもよい。
本開示において、「空隙率勾配」とは、ある方向において電極に空隙率の異なる領域が少なくとも二つ存在していることを指し、ある方向において電極の少なくとも一部に空隙率の傾斜がある構成に限定されない。また、ある方向において少なくとも一部の領域に空隙率勾配が設けられ、残りの領域に空隙率勾配が設けられていなくてもよい。
本開示において、「電解液が流入する側の電極の空隙率」とは、電極の電解液が流入する側の端側から前記流通方向に向かって、長さ5.0%侵入するまでの領域の少なくとも一部の空隙率を指す。
本開示において、「電解液が流出する側の電極の空隙率」とは、電極の電解液が流入する側の端面から前記流通方向に向かって、長さ50%侵入した面を基準に、「電解液が流出する側の電極の空隙率」を求めた領域と面対称となる領域の空隙率を指す。
本開示において、「厚さ方向」とは、正極においては、対極である負極と対向する側から反対側の方向(フロー電池が双極板を備える場合、正極と電子の授受を行う双極板側の方向)を指し、負極においては、対極である正極と対向する側から反対側の方向(フロー電池が双極板を備える場合、負極と電子の授受を行う双極板側の方向)を指す。
本開示において、「正極と負極とが対向する側の電極の空隙率」とは、電極の対極と対向する側の端面から電極の厚さ方向に向かって、長さ5.0%侵入するまでの領域の少なくとも一部の空隙率を指す。
本開示において、「双極板側の電極の空隙率」とは、電極の対極と対向する側の端面から電極の厚さ方向に向かって、長さ50%侵入した面を基準に、「正極と負極とが対向する側の電極の空隙率」を求めた領域と面対称となる領域の空隙率を指す。
〔フロー電池〕
本開示のフロー電池は、正極と、負極と、活物質及び活性炭を含有する電解液と、前記正極及び前記負極に供給される前記電解液を貯留する貯留部と、を備え、前記正極及び前記負極の少なくとも一方は、前記電解液の流通方向に空隙率の異なる領域を少なくとも二つ有する電極である。なお、以下では、「空隙率の異なる領域を少なくとも二つ有する電極」を「空隙率勾配が設けられた電極」とも称する。
本開示のフロー電池は、正極及び負極の少なくとも一方にて電解液の流通方向に空隙率勾配が設けられている。これにより、特に、空隙率勾配が設けられた電極にて充放電反応により金属等の析出反応を伴う場合でも、電解液を流動させたときに圧力損失の増加が抑制され、また、送液ポンプの動力損失も抑制される。更に、本開示のフロー電池は、高入出力特性と高エネルギー密度というフローキャパシタとフロー電池の特徴を併せ持つ。
(正極及び負極)
本開示のフロー電池は、正極及び負極をそれぞれ備える。正極及び負極の少なくとも一方は、電解液の流通方向に空隙率勾配が設けられた電極である。なお、後述するように電解液に活物質とともに活性炭が含有されていればよく、例えば、電解液に含有される活性炭は、正極及び負極の少なくとも一方に含有される活性炭の少なくとも一部が電解液中に流出し、電解液中に分散したものであってもよい。以下では、正極及び負極の少なくとも一方に活性炭が含有される構成についても説明する。
ここで、フロー電池が電解液の流通方向に空隙率勾配が設けられた電極を備えることにより、電解液を流動させたときの圧力損失の増加が抑制される理由としては、例えば、以下のように考えられる。
流体がある空間を流れる場合、流体が接触する材料との摩擦に起因する抵抗を受ける。これが圧力損失が発生する基本的な原因である。層流における圧力損失はいわゆるハーゲン・ポアズイユ(Hagen−Poiseuille)の式で求めることができる。
電池反応の基本構成反応である、正極と負極の電気化学反応の反応速度と圧力損失には明確な関係がある。圧力損失が変化する場合、それを評価する電解液が流れる空間において、流速が変化することを意味する。電気化学反応の速度と反応場の流速の関係は、高流速場の方が低流速場よりも反応速度が速い。高流速場は低流速場に比べて電極界面の物質移動層厚が薄くなり、活物質の供給速度であるフラックス(モル/(cm・秒))が大きくなるためである。したがって、反応場の電位を一定に制御した場合、電解液が流入する側の反応速度は圧力損失が発生している電解液が流出する側よりも速くなる。定電流制御の場合、すなわち反応場の反応速度を外部制御で一定にする場合、電解液が流入する側と電解液が流出する側で、圧力損失に伴い電池反応の反応過電圧の違いに変化が生じる。すなわち、電解液の流速の速い場所である、電解液が流入する側の電気化学反応の過電圧の上昇速度が、電解液が流出する側の電気化学反応の過電圧の上昇速度に比べて低く抑えられる。このように圧力損失と電池の反応の特性は密接な関係を持つ。
上述した圧力損失は、流体の粘度が高い場合に増大する傾向である。また、活性炭が電解液中に分散している場合も、上記の圧力損失に伴うフロー電池の反応への影響はより顕在化すると考えられる。これは、例えば、活性炭が、カーボンフェルト等の高密度電極内に流入する際、入口側でより多くの活性炭が電極内に捕らえられ、場合によっては電極の空隙部が目詰まりすることが考えられる。
本開示のフロー電池では、電解液の流通方向に電極が空隙率勾配を有することにより、活性炭の少なくとも一部が電解液中に分散している場合でも、上述した圧力損失の増加が抑制され、電池の特性を長期間維持することができる。
また、本開示のフロー電池において、電解液の流通方向に電極が空隙率勾配を有する構成は、正極及び負極の少なくとも一方で、充電反応又は放電反応に応じ金属等の析出を伴う場合にも有効である。この理由は、例えば、以下のようにして考えられる。
電池反応に金属等の析出反応が伴う場合、上記の圧力損失に伴う電池の反応への影響はより顕在化する。例えば、負極で金属等の析出が充電反応により生じる場合、圧力損失がより増幅される。この理由は、電解液が流入する側で反応速度が速いため、析出した金属等によって、電解液が流入する側の流路面積が充電時間とともに小さくなることにある。流路面積が充電時間とともに小さくなると、電解液が流入する側の領域が充電反応で生成された固体に覆われてしまい、電解液が流れなくなるおそれがある。電解液が流れなくなると、もはやフロー電池ではなくなり、電池機能は停止してしまう。
例えば、亜鉛が負極上に充電反応において析出する場合、まず反応速度が速い電解液が流入する側に亜鉛が析出することにより、電解液が流入する側から流路面積が低下し、圧力損失が増加して送液ポンプの動力損失が増加し、また、電解液が流れにくくなる。これらを抑制するため、例えば、上流側である電解液が流入する側の電極の空隙率を、下流側である電解液が流出する側の電極の空隙率よりも高くすることが好ましい。これにより、金属等の析出による、電極の閉塞化を好適に抑制し、かつ圧力損失の増加も好適に抑制できる傾向にある。なお、電極の空隙率は、後述のように重量測定により求めることができる。
正極及び負極の少なくとも一方は、電解液が流出する側から電解液が流入する側に向かって空隙率が高くなることが好ましい。このとき、電解液が流出する側から電解液が流入する側に向かって、段階的又は非連続的に電極の空隙率が高くなってもよく、連続的に電極の空隙率が高くなってもよい。すなわち、電極の空隙率は、電解液が流出する側から電解液が流入する側に向かって増加していく傾向が見られることが好ましい。
正極及び負極はともに空隙率勾配が設けられた電極であり、電解液が流入する側の電極の空隙率は、電解液が流出する側の電極の空隙率よりも高くてもよい。このとき、空隙率勾配の度合いは、正極と負極で同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、電解液に活性炭が含有される構成となることで、高出力特性を得ることができ、かつ短期間充放電が可能となる理由は、例えば、以下のように考えられる。
一般的なフロー電池では、電極表面と電解液の界面での電気化学反応によって電子の授受を行い、電気エネルギーの蓄積と放出を行う。このとき、上記反応が継続的に進むためには、電解液中のイオンが拡散等によって連続して移動し続ける必要がある。例えば、電極表面と電解液の界面で、Fe3++e→Fe2+の反応が生じている場合、Fe3+イオンは連続して電極表面に供給され続けることが好ましく、また生成したFe2+イオンは電極表面から連続して取り去られ続けることが好ましい。従って、電解液の流動が充分でないと充放電反応の速度が低下するおそれがあり、例えば、瞬停対策装置、バックアップ電源、エネルギー回生等の用途への適用が困難になる可能性がある。
また、電気化学反応を伴う従来のフロー電池では、所望の電流値で充放電を行う際に、電極に対して過電圧が印加されることがあり、これが電極等の部材を劣化させ、電池としての寿命を低下させる可能性がある。
このとき、電極、電解液等が活性炭を含有することで、活性炭をキャパシタ材料として機能させることができる。この場合、電解液中のイオン分子が活性炭に吸着されることで電荷を貯めることができるため、電気化学反応を伴った従来のフロー電池に比べて短時間充電が可能になる。また内部抵抗が低いため、大電流での充放電が可能になる。更に、電極、電解液等が活性炭を含有することで、活性炭表面におけるイオンの物理的な吸着及び脱着のみでエネルギーの蓄積、放出等が行われるため、過充電、過放電等による構成材料の劣化を抑えることができる傾向にある。
電極、電解液等が活性炭を含有する他の利点としては、活性炭中からのイオンの湧き出し効果が挙げられる。すなわち、充放電反応中にフロー電池における電解液中のイオン濃度が少なくなってくると、一度活性炭表面に吸着したイオンが電解液内に湧き出すことがある。これにより、電解液中イオン濃度が低下することによる濃度過電圧を低くすることができる傾向にある。
活性炭は、化学的又は物理的な処理(賦活処理)を施した炭素を主な成分とする多孔質の物質である。本開示のフロー電池に用いる活性炭は特に制限されず、例えば、電気二重層キャパシタの電極材料として一般的に使用される活性炭を使用してもよい。
活性炭の製造方法は、特に制限されない。例えば、物理的な処理によって活性炭を得る方法としては、木、竹、椰子殻、胡桃殻、石炭、石油由来の炭素材料等に対し、水蒸気雰囲気下で、800℃〜2000℃の温度で熱処理する工程(賦活処理)を含む方法が挙げられる。これにより、炭化した前記炭素材料が多孔質化し、活性炭となり、物質の活性炭表面への吸着効率を高めることができる。
活性炭のBET比表面積は、イオンの吸着性能(キャパシタ特性)及び製造法の点から、100m/g〜5000m/gであることが好ましく、200m/g〜4500m/gであることが好ましく、300m/g〜4000m/gであることが更に好ましい。
活性炭のBET比表面積は、例えば、JIS Z 8830:2013に準じて窒素吸着能から測定することができる。評価装置としては、例えば、QUANTACHROME社:AUTOSORB−1(商品名)を用いることができる。試料表面及び構造中に吸着している水分がガス吸着能に影響を及ぼすと考えられることから、BET比表面積の測定を行う際には、まず加熱による水分除去の前処理を行うことが好ましい。
前処理では、0.05gの測定試料を投入した測定用セルを、真空ポンプで10Pa以下に減圧した後、110℃で加熱し、3時間以上保持した後、減圧した状態を保ったまま常温(25℃)まで自然冷却する。この前処理を行った後、評価温度を77Kとし、評価圧力範囲を相対圧(飽和蒸気圧に対する平衡圧力)にて1未満として測定する。
フロー電池にて用いる活性炭が粒子状である場合、その平均粒子径(平均二次粒子径)は特に制限されないが、電極への付与性等の点から、10nm〜300μmであることが好ましく、1μm〜100μmであることがより好ましい。なお、平均粒子径は、レーザー回折法で測定することができる。
正極及び負極としては、従来公知の二次電池に用いられるものを用いることができる。具体的には、アルミニウム、銅、亜鉛等の金属、炭素(グラファイト)などが挙げられる。また、InSnO、SnO、ZnO、In等の導電材、フッ素ドープ酸化錫(SnO:F)、アンチモンドープ酸化錫(SnO:Sb)、錫ドープ酸化インジウム(In:Sn)、Alドープ酸化亜鉛(ZnO:Al)、Gaドープ酸化亜鉛(ZnO:Ga)等の不純物がドープされた導電材等の単層又は複層を、ガラス又は高分子上に形成させたものが挙げられる。また、正極及び負極の形状としては、板状、メッシュ状等が挙げられる。
正極及び負極の少なくとも一方、好ましくは、空隙率勾配が設けられた電極は、活物質との電子の授受としての反応場、すなわち電極面積を増やす点から、炭素繊維を含有することが好ましい。
正極及び負極の少なくとも一方、好ましくは、空隙率勾配が設けられた電極が、炭素繊維を含有する場合、取り扱い、加工性、製造性及び表面積の点から、炭素繊維からなる多孔質体であることが好ましい。具体的には、炭素繊維からなる多孔質体としては、カーボンフェルト、カーボンクロス及びカーボンペーパーが挙げられる。中でも、充放電中の反応活性及び表面積の点から、カーボンフェルトを用いることが好ましい。
炭素繊維の原料繊維としては、炭化可能なものが挙げられ、具体的にはセルロース系、アクリル系、レーヨン系、フェノール系、芳香族ポリアミド系、ピッチ系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維等が挙げられる。
カーボンフェルトの製造法としては、焼成前の原料繊維を積層してシート状に広げることでウェブとし、次いで、繊維間をニードルパンチ法、サーマルボンド法、ステッチボンド法等の公知の方法で適度に結合させて、フェルト状に仕上げ、最後に熱処理を行う方法が挙げられる。
熱処理の条件としては、特に制限されず、例えば、原料繊維からなるフェルト材を、不活性ガス中で800℃〜2000℃の温度で熱処理する工程(炭化処理)を含む。また、必要に応じて、炭化処理の前に100℃〜500℃の温度で熱処理する工程(耐炎化)及び炭化処理の後に2000℃〜3000℃の温度で熱処理する工程(黒鉛化処理)を含んでいてもよい。黒鉛化処理を行うことで、炭化した原料繊維が更に黒鉛化し、グラファイトとしての結晶構造が規則正しくなり、また炭素繊維表面の余分な官能基が除去されるため、導電率等の電極物性が向上する傾向にある。
熱処理の他の条件としては、例えば、原料繊維からなるフェルト材を、水蒸気雰囲気下で、800℃〜2000℃の温度で熱処理する工程(賦活処理)を含む。これにより、炭化した原料繊維が多孔質化し、活性炭素繊維となり、活物質の繊維表面への吸着効率を高めることができる傾向にある。
なお、カーボンクロス及びカーボンペーパーにおいても、原料繊維を公知の手法でクロス状又はペーパー状に仕上げた後に、熱処理を行うことで、好適に製造することができる。
炭素繊維の繊維径は、カーボンフェルトとしての物性、製造法、電解液活物質との電子授受反応の効率等の点から、1.0μm〜30.0μmであることが好ましく、1.5μm〜25.0μmであることがより好ましく、2.0μm〜20.0μmであることが更に好ましい。
フロー電池では、正極及び負極は、炭素繊維からなる多孔質体と、活性炭とを組み合わせたものであることが好ましく、カーボンフェルトと、活性炭とを組み合わせたものであることがより好ましい。なお、正極及び負極は、炭素繊維からなる多孔質体に活性炭を含有させたものであってもよい。これにより、フロー電池としてのエネルギー密度を高く保ったまま、EDLCの性能をより効果的に併せ持つことができる。その結果、より効果的に出力密度を高めることができ、短時間充放電が達成でき、更に構成材料の劣化を抑えることができる。
正極及び負極の少なくとも一方に活性炭が含有される場合、活性炭の含有率は、特に制限されない。例えば、正極全体又は負極全体を100質量%としたときの活性炭の含有率は、1.0質量%〜98.0質量%であることが好ましく、3.0質量%〜95.0質量%であることがより好ましく、5.0質量%〜90.0質量%であることが更に好ましい。
活性炭の含有率を1.0質量%以上とすることで、フロー電池にEDLCの性能を効果的に付与することができ、高出力かつ短時間充放電が可能になる。また活性炭の含有率を98.0質量%以下とすることで、正極及び負極の導電率を低く保つことができ、例えば、電極の厚さ方向に流れる電流のオーミック損を低減することができる。
活性炭を含有する正極及び負極の製造方法は制限されない。活性炭の電解液への分散性、正極内及び負極内の流動性等の点から、正極表面及び負極表面から活性炭を圧迫して正極及び負極に含浸させる方法等が挙げられる。
正極及び負極は、図2及び図3に示したように、フロー電池に搭載(充填)された状態では、厚さ方向に圧縮された状態であることが好ましい。これにより、正極及び負極を構成する素材(カーボンフェルトの場合は、炭素繊維)と双極板との導電性が向上し、セル抵抗を低減できる傾向にある。
正極及び負極を圧縮して用いる場合の圧縮前後の厚さの比率(圧縮前の厚さ/圧縮後の厚さ)は、1.1〜4.0であることが好ましく、1.2〜3.8であることがより好ましく、1.3〜3.6であることが更に好ましい。
フロー電池では、正極及び負極の少なくとも一方は電解液の流通方向に空隙率勾配が設けられた電極であり、好ましくは、電解液が流入する側の電極の空隙率は電解液が流出する側の空隙率よりも高い。電極の空隙率は、例えば、重量測定にて求めることができる。
空隙率勾配が設けられた電極に、カーボンフェルト等の、圧縮前後で空隙率が変化するような材質を用いる場合、圧縮後(フロー電池の電極として使用される状態)の電極の空隙率を算出することが好ましい。また、圧縮前後の電極の厚さから計算される圧縮率と空隙率の関係が分かっている場合は、フロー電池に搭載されておらず、圧縮されていない状態の電極の空隙率を測定、算出し、圧縮後の電極の空隙率を求めてもよい。
空隙率を重量測定から算出する場合、以下の式(3)を用いればよい。
φ=(1−V/V’)×100・・・(3)
式(3)中で、φは空隙率(%)、Vは電極の真の体積(cm)、及びV’は電極の見かけの体積(cm)である。また、電極の真の体積Vは、電極を構成する材料の質量を、その材料の密度(g/cm)で除して算出することができる。
また、正極及び負極の少なくとも一方は、厚さ方向に空隙率勾配が設けられていてもよく、好ましくは、後述するように双極板を備える場合、電子の授受を行う双極板側から対極と対向する側に向かって空隙率が高くなっていてもよい。これにより、特に、空隙率勾配が設けられた電極にて充放電反応により金属等の析出反応を伴う場合でも、電解液を流動させたときに圧力損失の増加が抑制される傾向にあり、また、送液ポンプの動力損失も抑制される傾向にある。
フロー電池では、充放電反応にて活物質の金属等の析出を伴う場合、電池反応が活発に起こる対極(counter electrode)側で、金属等が多く析出される傾向がある。これは、原理的に対極により近い位置がオーミック損の絶対値が小さく、電気化学反応場として、電位的に有利な位置にあるためである。例えば、負極において空隙率が均一、あるいは、対極である正極側において空隙率が小さく、充放電反応にて活物質の金属等の析出を伴う場合、正極により近い側にて金属等の析出が生じやすく、空隙部が閉塞されやすくなる。その結果、正極により近い側にて、電解液の流通が阻害されて圧力損失が増加するとともに、電解液を介してのイオン伝導性が損なわれ、電池反応が進行しにくくなる。その結果、送液ポンプの動力損失が増加し、かつ電流密度、放電容量等の出力が低下する。
一方、本開示のフロー電池では、正極及び負極の少なくとも一方において、対極と対向する側の電極の空隙率は、電極と電子の授受を行う双極板側の電極の空隙率よりも高くなっていることが好ましい。これにより、電気化学反応が生じやすい対極により近い側において金属等の析出が生じにくくなっており、空隙部が閉塞されにくくなっている。その結果、対極により近い側にて、電解液の流通が阻害されて圧力損失が増加することが抑制され、電気化学反応が進行しにくくなることも抑制される。その結果、送液ポンプの動力損失の増加も抑制されるとともに、電流密度、放電容量等の出力の低下が抑制され、高電流密度かつ高出力のフロー電池を長時間維持することができる。
また、本開示のフロー電池では、正極及び負極の少なくとも一方において、電極と電子の授受を行う双極板側の電極の空隙率は、対極と対向する側の電極の空隙率よりも高くなっていてもよい。これにより、フロー電池は、ハイレート放電及び高出力設計に対応することができる。双極板側で空隙率を高くすることにより、電解液を流通したときに、双極板側の流速が増大する。これによって、対極と対向する側の電極内への活物質の供給速度が増大し、結果としてフロー電池の高出力化を達成できる傾向にある。
以上により、正極及び負極の少なくとも一方は、双極板側から対極と対向する側に向かう方向又は対極と対向する側から双極板側に向かう方向に、空隙率が高くなることが好ましい。このとき、空隙率は、段階的又は非連続的な分布であってもよく、連続的な分布であってもよい。
<空隙率勾配が設けられた電極の例1>
以下、本開示にて用いる空隙率勾配が設けられた電極の例1を図4A及び図4Bに示す。図4Aでは、空隙率φの電極と空隙率φの電極を組み合わせることで、空隙率勾配が設けられた電極1がそれぞれ形成されている。図4Aでは、φ>φの関係を満たし、電解液が流入する側の空隙率(φ)が、電解液が流出する側の空隙率(φ)よりも高くなっている。
図4Bでは、空隙率φの電極と、空隙率φの電極と、空隙率φの電極を組み合わせることで、空隙率勾配が設けられた電極1がそれぞれ形成されている。図4Bでは、φ>φ>φの関係を満たし、電解液が流出する側(φ)から電解液が流入する側(φ)に向かって電極の空隙率が高くなっている。
電極に空隙率勾配を持たせる方法として、例えば、以下の3つの方法が挙げられる。1つ目は、圧縮前の空隙率が異なる部材を、空隙率が高い順に、電解液が流入する側から電解液が流出する側に配置し、これらを圧縮して空隙率勾配が設けられた電極とする方法である。このとき、圧縮後(フロー電池の電極として使用される状態)の電極の空隙率の順位も、圧縮前と同じ順序になる。
2つ目は、同一の空隙率を有し、かつ圧縮前の厚さがそれぞれ異なる部材を、厚さが小さい順に、電解液が流入する側から電解液が流出する側に配置し、各部材が同じ厚さになるまで圧縮する方法である。このとき、電解液が流入する側から電解液が流出する側に向かって圧縮の程度が大きくなるため、電解液が流出する側から電解液が流入する側に向かって電極の空隙率が高くなる。
また、このとき、台形状で空隙率が一定の部材を準備し、電極の厚さ方向における幅(厚さ)が電解液の流通方向において同じになるまで圧縮してもよい。これにより、電解液が流出する側から電解液が流入する側に向かって空隙率が高く、連続的に一定の空隙率勾配が設けられた電極を形成することができる。
3つ目は、特に炭素繊維からなる多孔体を用いる場合に、カーボンフェルト等の構造を製造する際、電極材料の空隙率に差を持たせる方法である。すなわち、ウェブの積層方法、ニードルパンチ法に条件等を選定することで、同一の電極部材の中で、空隙率を、連続的又は非連続的に変化させることができる。
電極の電解液が流入する側の端側の少なくとも一部から流通方向に向かって、長さ5.0%侵入した位置での電極の空隙率と、長さ95.0%侵入した位置での電極の空隙率との差(長さ5.0%侵入した位置での電極の空隙率−長さ95.0%侵入した位置での電極の空隙率)の絶対値が1.0%〜50.0%であることが好ましく、1.5%〜45.0%であることがより好ましく、2.0%〜40.0%であることが更に好ましい。前述の空隙率の差が1.0%以上であることにより、電極内で金属等の析出反応を伴う場合でも電解液の圧力損失を効果的に抑制することができる傾向にある。また、前述の空隙率の差が50.0%以下であることにより、電極内での活物質の反応の均一性が高まり、充放電反応の活性が向上する傾向にある。
また、電極の電解液が流入する側の端側の少なくとも一部から流通方向における電極の空隙率の分布をプロットしたグラフにおいて、最小二乗法にて近似した直線の傾きから求めた電極の空隙率の平均変化率の絶対値が、0.1%/cm〜3.0%/cmであることが好ましく、0.15%/cm〜2.8%/cmであることがより好ましく、0.2%/cm〜2.75%/cmであることが更に好ましい。前述の平均変化率の絶対値0.1%/cm以上であることにより、電極内で金属等の析出反応を伴う場合でも電解液の圧力損失を効果的に抑制することができる傾向にある。また、前述の平均変化率の絶対値が3.0%/cm以下であることにより、電極内での活物質の反応の均一性が高まり、充放電反応の活性が向上する傾向にある。
例えば、空隙率の平均変化率の絶対値は、以下のようにして算出する。まず、図5A〜図5Fに示すように、横軸に電解液の流通方向の座標(電極の電解液が流入する側の端部からの距離)を、縦軸に電極の空隙率をとり、グラフにプロットする。次いで、最小二乗法による線形近似を行い、近似式を求める。電解液が流出する側から電解液が流入する側に向かって電極の空隙率が高くなる場合、近似式の傾きはマイナスであるため、その近似式中の傾きにマイナス1(−1)を乗じた絶対値を空隙率の平均変化率とすることができる。図5A及び図5Bには、空隙率が異なる2種類の電極をグラフの横軸に示す割合(長さ)で配置した場合の計算結果が示されている。また、図5C〜図5Fには、空隙率が異なる3種類の電極をグラフの横軸に示す割合(長さ)で配置した場合の計算結果が示されている。例えば、図5Aでは、空隙率が98.0%と95.0%の2種類の電極を配置していることを示しており、図5Fでは、空隙率が95.0%と90.0%と70.0%の3種類の電極を、配置していることを示している。
<空隙率勾配が設けられた電極の例2>
以下、本開示にて用いる空隙率勾配が設けられた電極の例2を図4C〜図4Hに示す。図4Cでは、空隙率φ〜空隙率φの4つの電極を組み合わせることで、空隙率勾配が設けられた正極1a及び負極1bがそれぞれ形成されている。図4Cでは、φ>φ>φ>φの関係を満たし、電解液が流入する側の空隙率(φ及びφ)が、電解液が流出する側の空隙率(φ及びφ)よりも高くなっている。
また、図4Dでは、空隙率φ〜空隙率φの6つの電極を組み合わせることで、空隙率勾配が設けられた正極1a及び負極1bがそれぞれ形成されている。図4Dでは、φ>φ>φ>φ>φ>φの関係を満たし、電解液が流入する側から電解液が流出する側に向かって空隙率が小さくなっている。
また、図4E〜図4Hに示すように、正極及び負極の少なくとも一方にて、電解液が流入する側から電解液が流出する側に向かって空隙率勾配が形成されていない領域が存在し、かつ厚み方向にて空隙率勾配が形成されていてよい。
なお、正極及び負極の少なくとも一方にて、厚み方向にて空隙率勾配が形成されていない領域が存在し、かつ電解液が流入する側から電解液が流出する側に向かって空隙率勾配が形成されていてもよい。
電極に空隙率勾配を持たせる方法として、例えば、以下の2つの方法が挙げられる。1つ目は、図4C〜図4Hに示すように、圧縮前の空隙率が異なる部材を、空隙率が図に示す順になるように配置し、これらを圧縮して空隙率勾配が設けられた電極とする方法である。このとき、圧縮後(フロー電池の電極として使用される状態)の電極の空隙率の順位も、圧縮前と同じ順序になる。
2つ目は、特に炭素繊維からなる多孔体を用いる場合に、カーボンフェルト等の構造を製造する際、電極材料の空隙率に差を持たせる方法である。すなわち、ウェブの積層方法、ニードルパンチ法に条件等を選定することで、同一の電極部材の中で、空隙率を、連続的又は非連続的に変化させることができる。
電極の正極と負極とが対向する側の端側の少なくとも一部から厚さ方向に向かって、長さ5.0%侵入した位置での電極の空隙率と、長さ95.0%侵入した位置での電極の空隙率との差の絶対値が1.0%〜50.0%であることが好ましく、1.5%〜45.0%であることがより好ましく、2.0%〜40.0%であることが更に好ましい。
なお、圧力損失増加を抑制する点から、前述の長さ5.0%侵入した位置での電極の空隙率と、前述の長さ95.0%侵入した位置での電極の空隙率との差(長さ5.0%侵入した位置での電極の空隙率−長さ95.0%侵入した位置での電極の空隙率)が1.0%〜50.0%であることが好ましく、1.5%〜45.0%であることがより好ましく、2.0%〜40.0%であることが更に好ましい。
また、高出力化の点から、前述の長さ5.0%侵入した位置での電極の空隙率と、前述の長さ95.0%侵入した位置での電極の空隙率との差(長さ5.0%侵入した位置での電極の空隙率−長さ95.0%侵入した位置での電極の空隙率)が−50.0%〜−1.0%であることが好ましく、−45.0%〜−1.5%であることがより好ましく、−40.0%〜−2.0%であることが更に好ましい。
また、電極の正極と負極とが対向する側の端側の少なくとも一部から厚さ方向における前記電極の空隙率の分布をプロットしたグラフにおいて、最小二乗法にて近似した直線の傾きから求めた電極の空隙率の平均変化率の絶対値が、0.5%/mm〜8.0%/mmであることが好ましく、0.75%/mm〜7.0%/mmであることがより好ましく、1.0%/mm〜6.0%/mmであることが更に好ましい。前述の平均変化率の絶対値が0.5%/mm以上であることにより、電極内で金属等の析出反応を伴う場合でも電解液の圧力損失を効果的に抑制することができる傾向にある。また、前述の平均変化率の絶対値が8.0%/mm以下であることにより、電極内での活物質の反応の均一性が高まり、充放電反応の活性が向上する傾向にある。
なお、圧力損失増加を抑制する点から、前述の平均変化率が、−8.0%/mm〜−0.5%/mmであることが好ましく、−7.0%/mm〜−0.75%/mmであることがより好ましく、−6.0%/mm〜−1.0%/mmであることが更に好ましい。
また、高出力化の点から、前述の平均変化率が、0.5%/mm〜8.0%/mmであることが好ましく、0.75%/mm〜7.0%/mmであることがより好ましく、1.0%/mm〜6.0%/mmであることが更に好ましい。
例えば、空隙率の平均変化率の絶対値は、以下のようにして算出する。まず、図5G〜図5Jに示すように、横軸に電極の厚さ方向の座標(隔膜側の端部からの距離)を、縦軸に電極の空隙率をとり、グラフにプロットする。次いで、最小二乗法による線形近似を行い、近似式を求める。双極板側から対極と対向する側に向かって電極の空隙率が高くなる場合、近似式の傾きはマイナスであるため、その近似式中の傾きにマイナス1(−1)を乗じた値を空隙率の平均変化率の絶対値とすることができる。例えば、図5Gには、空隙率が91.2%と85.3%の2種類の電極を、グラフの横軸に示す割合(長さ)で配置した場合の計算結果が示されている。図5Hには、空隙率が95.6%と85.3%の2種類の電極、図5Iには、空隙率が93.3%と89.0%と87.2%の3種類の電極、図5Jには、空隙率が91.5%と90.4%と89.3%の3種類の電極を、それぞれグラフの横軸に示す割合(長さ)で配置した場合の計算結果が示されている。
なお、電極の空隙率の他に、電極の粗密を規定する指標としてかさ密度が挙げられる。かさ密度は、空隙部を含めた単位体積での密度と定義される。
圧縮後(フロー電池の電極として使用される状態)における電極のかさ密度は、特に制限されず、例えば、0.04g/cm〜0.50g/cmであることが好ましく、0.045g/cm〜0.45g/cmであることがより好ましく、0.05g/cm〜0.40g/cmであることが更に好ましい。電極のかさ密度が0.04g/cm以上であることにより、電解液の圧力損失を抑制できる傾向にあり、例えば、フロー電池に装着した場合の圧縮応力が向上し、セル抵抗を低減することができる傾向にある。また、電極のかさ密度が0.50g/cm以下であることにより、電解液の圧力損失を効果的に低減できる傾向にある。
正極の表面積及び負極の表面積はそれぞれ独立に、1m/g〜100m/gであることが好ましく、2m/g〜80m/gであることがより好ましく、3m/g〜60m/gであることが更に好ましい。正極の表面積又は負極の表面積が1m/g以上であることで、充放電反応中の反応活性を向上させることができる傾向にある。また正極の表面積又は負極の表面積が100m/g以下であることで、圧力損失を効果的に抑制することができる傾向にある。正極の表面積及び負極の表面積の測定には、通常のBET法等を用いることができる。
(隔膜)
フロー電池は、正極と負極との間に隔膜を更に備えていてもよい。隔膜としては、フロー電池の使用条件に耐えうる膜であれば特に制限されない。隔膜としては、例えば、イオンを伝導可能なイオン伝導性高分子膜、イオン伝導性固体電解質膜、ポリオレフィン多孔質膜、セルロース多孔質膜等が挙げられる。
イオン伝導性高分子膜としては、例えば、カチオン交換膜及びアニオン交換膜が挙げられ、より具体的には、Selemion APS(登録商標)(AGC社)、Nafion(登録商標)(DuPont社)及びネオセプタ(登録商標)(アストム社)が挙げられる。
(電解液)
フロー電池は、活物質及び活性炭を含有する電解液を備える。電解液としては、正極活物質、負極活物質及び活性炭を含有する一液系の電解液であってもよく、正極活物質及び活性炭を含有する正極電解液及び負極活物質及び活性炭を含有する負極電解液であってもよい。
また、電解液は、活物質及び活性炭を分散又は溶解する液状媒体を含有していてもよい。
なお、電解液に含有される活性炭は、正極及び負極の少なくとも一方に含有される活性炭の少なくとも一部が電解液中に流出したものであってもよい。電解液中の活性炭としては、前述の正極及び負極の少なくとも一方に含有される活性炭と好ましい構成が同様であるため、その説明を省略する。
正極活物質及び負極活物質を含有する電解液を用いる場合、この電解液が正極及び負極が配置された電極室に供給され、正極側に正極活物質が集まり、かつ負極側に負極活物質が集まるように、正極及び負極を配置することが好ましい。なお、正極活物質及び負極活物質を含有する一液系の電解液において、正極活物質及び負極活物質としては、それぞれ正極電解液に含有される正極活物質及び負極電解液に含有される負極活物質を用いればよい。
正極活物質を含有する正極電解液及び負極活物質を含有する負極電解液を電解液として用いる場合、正極電解液が正極に供給され、負極電解液が負極に供給される。また、正極電解液が正極の一端側から他端側に向かって供給され、負極電解液が負極の一端側から他端側に向かって供給されることが好ましい。平板状、棒状等の正極及び負極が鉛直方向に沿って配置されており、正極電解液が正極の一端側から他端側に鉛直方向(例えば、鉛直上方向)に沿って供給され、負極電解液が負極の一端側から他端側に鉛直方向(例えば、鉛直上方向)に沿って供給されることがより好ましい。
電解液中の活物質は、価数が変化するイオンを含有することが好ましく、公知のものを用いることができる。
電解液中の活物質は、具体的に、以下の一般式(4)の反応式又は一般式(5)の反応式を満たす酸化体/還元体(以降、酸化還元対と呼ぶことがある)を含有していてもよい。
n++xe⇔A(n−x)+・・・(4)
n−+xe⇔A(n+x)−・・・(5)
なお、一般式(4)においては、n及びxは整数であり、かつn≧xであり、一般式(5)においては、n及びxは正の整数である。
一般式(4)又は一般式(5)を満たす酸化還元対としては、Fe3+/Fe2+、Cr3+/Cr2+、Ga3+/Ga2+、Ti3+/Ti2+、Co3+/Co2+、Cu2+/Cu、V3+/V2+、V5+/V4+、Ce4+/Ce3+、Cl/Cl3−、Br/Br3−、Zn2+/Zn、Pb2+/Pb、Fe2+/Fe、Cr2+/Cr、Ga2+/Ga、Ti2+/Ti、Mn2+/Mn、Mg2+/Mg、Mg/Mg、Ag/Ag、Cd2+/Cd、Co2+/Co、Cu2+/Cu、Cu/Cu、Hg2+/Hg、等が挙げられる。
一般式(4)又は一般式(5)を満たす酸化還元対以外の酸化還元対としては、I /I、S 2−/S 2−等が挙げられる。
また、本開示のフロー電池は、正極及び負極の少なくとも一方であり、かつ前述の空隙率勾配が設けられた電極は、充電反応又は放電反応にて活物質の析出を伴うことが好ましい。また、析出物は金属を含有することがより好ましい。充電反応又は放電反応にて電解液中の活物質が析出することにより、例えば、隔膜を通じた正極側から負極側へのイオンの移動が抑制されてイオン伝導抵抗の上昇が抑制され、高電流密度かつ高出力なフロー電池とすることができる傾向にある。しかし、通常のフロー電池では、電解液を流動させた場合に、充電反応中又は放電反応中に析出した金属等の固体によって電極の空隙部が閉塞し、この部分での反応性が低下することで、内部抵抗が増大し、圧力損失が増加する可能性がある。一方、本開示のフロー電池では、活物質の析出を伴う電極にて厚さ方向に空隙率勾配が形成されているため、電解液を流動させた場合に、圧力損失の増加が抑制される傾向にある。
充電反応時に負極にて金属等の析出を伴うような酸化還元対としては、例えば、Zn2+/Zn、Pb2+/Pb、Fe2+/Fe、Cr2+/Cr、Ga2+/Ga、Ti2+/Ti、Mn2+/Mn、Mg2+/Mg、Mg/Mg、Ag/Ag、Cd2+/Cd、Co2+/Co、Cu2+/Cu、Cu/Cu、Hg2+/Hg、等が挙げられる。したがって、本開示のフロー電池において、これらの酸化還元対を負極活物質として含有する電解液を用いてもよく、これらの酸化還元対を負極活物質として含有する負極電解液を用いてもよい。
なお、これらの酸化還元対を正極活物質として含有する正極電解液と、これらの酸化還元対を負極活物質として含有する負極電解液とを用いてもよい。このとき、負極の標準酸化還元電位が正極の標準酸化還元電位よりも低くなるように、正極活物質と負極活物質の組み合わせを選択すればよい。
上記析出物は、金属を含有することが好ましく、金属であることがより好ましい。また、その金属の体積抵抗率が1.0×10−5Ωcm以下であることが好ましい。上記析出物が金属であり、かつその金属の体積抵抗率が1.0×10−5Ωcm以下であることにより、電極上に析出した金属等が、充放電中の新たな集電体となり、充放電中の電子の授受反応効率の低下を抑制することができる傾向にある。
電解液は、活物質として亜鉛イオン(Zn2+)及び亜鉛(Zn)の少なくとも一方を含有することが好ましく、更に液状媒体として水を含む水溶液系であることがより好ましい。電解液を水溶液系とすることで、電解液を低粘度化でき、特に電解液を流動させる場合に、フロー電池を高出力化できる傾向にある。また、活物質として亜鉛イオン及び亜鉛の少なくとも一方を含有することで、安全性に優れ、環境負荷が小さく、また高エネルギー密度のフロー電池が実現できる。亜鉛イオンは、亜鉛を含む化合物由来であってもよい。また、亜鉛を含む化合物としては、ヨウ化亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、テレフタル酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、セレン化亜鉛、二燐酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、水酸化炭酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、フッ化亜鉛、クエン酸亜鉛等が挙げられる。中でも、塩化亜鉛及び硫酸亜鉛が好ましい。
電解液は、活物質としてヨウ素イオン及びヨウ素分子の少なくとも一方を含有することが好ましく、更に液状媒体として水を含む水溶液系であることがより好ましい。電解液を水溶液系とすることで、電解液を低粘度化でき、特に電解液を流動させる場合に、フロー電池を高出力化できる傾向にある。また、活物質としてヨウ素イオン及びヨウ素分子の少なくとも一方を含有することで、安全性に優れ、環境負荷が小さく、また高エネルギー密度のフロー電池が実現できる。ヨウ素イオン及びヨウ素分子の少なくとも一方は、液状媒体に分散又は溶解された状態で使用されることが好ましい。
ヨウ素イオンとしては、I、I 、I 等が挙げられる。そのため、電解液が活物質としてヨウ素イオン及びヨウ素分子の少なくとも一方を含有する場合、例えば、I、I 、I 及びIの少なくとも1種を含有していればよい。
また、電解液は、ヨウ素化合物を含有していてもよく、ヨウ素化合物としては、CuI、ZnI、NaI、KI、HI、LiI、NHI、BaI、CaI、MgI、SrI、CI、AgI、NI、テトラアルキルアンモニウムヨージド、ピリジニウムヨージド、ピロリジニウムヨージド、スルフォニウムヨージド等が挙げられる。
ヨウ素イオンは、電解液中に溶解していることが好ましく、液状媒体として水を用いる場合、ヨウ素化合物としては、NaI、KI及びNHIの少なくともいずれかであることが好ましい。NaI、KI及びNHIは水への溶解度が高いため、NaI、KI及びNHIの少なくともいずれかを用いることで、フロー電池のエネルギー密度をより向上させることが可能である。
電解液が、正極活物質としてヨウ素イオン及びヨウ素分子の少なくとも一方を含有する場合は、充放電反応における主な酸化還元対はI/I であり、以下の式(6)の反応式が起こる。
3I⇔I +2e・・・(6)
この式(6)の反応では、ヨウ素分子の析出は生じず、フロー電池において高電流密度及び高出力な特性を実現できる。
電解液が、正極活物質としてヨウ素イオン及びヨウ素分子の少なくとも一方を含有する場合は、式(6)の反応以外に、充放電条件等によっては、以下の式(7)のような反応を伴うことがある。
2I⇔I+2e・・・(7)
この式(7)の反応では、充電中にIイオンが酸化されてIを生成することを意味している。Iが生成する場合、Iが固体として電極表面に析出し、圧力損失を増加させる可能性がある。このため、正極活物質としてヨウ素イオン及びヨウ素分子の少なくとも一方を用いる場合、圧力損失の増加を抑制する点から、電解液の流通方向において、正極に空隙率勾配が設けられていることが好ましく、電解液の流出側よりも電解液の流入側にて正極の空隙率を高くすることがより好ましい。
電解液において、ヨウ素化合物及びヨウ素分子の合計の含有率は、1質量%〜80質量%であることが好ましく、3質量%〜70質量%であることがより好ましく、5質量%〜50質量%であることが更に好ましい。ヨウ素化合物及びヨウ素分子の合計の含有率を1質量%以上とすることで、高容量で実用に適したフロー電池が得られる傾向にある。また、ヨウ素化合物及びヨウ素分子の合計の含有率を80質量%以下とすることで、液状媒体中での溶解性又は分散性が良好なものとなる傾向にある。なお、ヨウ素化合物及びヨウ素分子の含有率とは、電解液中におけるヨウ素化合物由来のイオン及びヨウ素分子の合計の含有率を表し、電解液中におけるヨウ素化合物由来のイオン(例えば、I、I 、I 及びこれらの対イオン)及びヨウ素分子(I)の合計の含有率を表す。
また、電解液は、正極活物質として、ヨウ素分子及びヨウ素イオン以外の酸化還元物質を含有していてもよい。ヨウ素分子及びヨウ素イオン以外の酸化還元物質としては、I/I及びI/I 系との混成電位を形成してI/I及びI/I 系の正極電位の低下が顕在化しないものが好ましい。
ヨウ素分子及びヨウ素イオン以外の酸化還元物質としては、クロム、バナジウム、亜鉛、キノン化合物、コバルト酸リチウム、マンガン酸ナトリウム、ニッケル酸リチウム、コバルト−ニッケル−マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム等が挙げられる。
電解液としては、正極活物質としてヨウ素分子及びヨウ素イオンの少なくとも一方を含有する正極電解液と、負極活物質として金属等の析出を伴うような酸化還元対を含有する負極電解液との組み合わせが好ましく、正極活物質としてヨウ素分子及びヨウ素イオンの少なくとも一方を含有する正極電解液と、負極活物質として亜鉛及び亜鉛イオンの少なくとも一方を含有する負極電解液との組み合わせがより好ましい。更に、必要に応じて正極電解液は、正極活物質としてヨウ素分子及びヨウ素イオン以外の前述の酸化還元物質を含有していてもよく、また、必要に応じて負極電解液は、負極活物質として前述の酸化還元対以外の酸化還元物質を含有していてもよい。
正極電解液中の正極活物質の含有率は特に制限はなく、充放電反応の活性の点から、例えば、0.1質量%〜80.0質量%であることが好ましく、0.5質量%〜75.0質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜70.0質量%であることが更に好ましい。
負極電解液中の負極活物質の含有率は特に制限はなく、充放電反応の活性の点から、例えば、0.1質量%〜80.0質量%であることが好ましく、0.5質量%〜75.0質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜70.0質量%であることが更に好ましい。
<液状媒体>
電解液は、少なくとも一種の活物質、及び活性炭が液状媒体に溶解又は分散されたものであることが好ましい。液状媒体とは、室温(25℃)において液体の状態の媒体をいう。
液状媒体としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル等のエーテル系溶剤;プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリエチレングリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル系溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル系溶剤;α−テルピネン、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、ターピネオール、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン系溶剤;水などが挙げられる。液状媒体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、液状媒体としては、水が好ましい。液状媒体として水を用いることで電解液を低粘度化でき、フロー電池を高出力化できる傾向にある。
<ポリマー>
電解液、好ましくは正極電解液がヨウ素分子及びヨウ素イオンの少なくとも一方を含有する場合、ヨウ素イオンと錯体を形成するポリマーを含有していてもよい。電解液がヨウ素イオンと錯体を形成するポリマーを含有することで、ヨウ素イオンの酸化還元反応中に生じる可能性のあるヨウ素分子の析出が抑制され、フロー電池を高出力化できる傾向にある。ヨウ素イオンと錯体を形成するポリマーとしては、ナイロン6、ポリテトラヒドロフラン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ−4−ビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリアクリルアミド、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。これらのポリマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<ヨウ素分子に対する良溶媒>
また、電解液、好ましくは正極電解液がヨウ素分子及びヨウ素イオンの少なくとも一方を含有する場合、水以外にヨウ素分子に対する良溶媒を含むことが好ましい。電解液がヨウ素分子に対する良溶媒を含むことにより、充電反応の際に正極に形成される皮膜が薄膜化され、皮膜による充放電反応の阻害が抑えられる傾向にある。ヨウ素分子に対する良溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のアミド、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ニコチン酸メチル等のエステル、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド、エタノール、エチレングリコール等のアルコール、ジエチルエーテル等のエーテル、ニコチンアミド、シアノピリジン等のピリジン誘導体などが挙げられる。ハロゲン分子に対する良溶媒としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(双極板)
フロー電池は、対極と対向する側とは反対側に設けられ、正極及び負極と電子の授受をそれぞれ行う一対の双極板を備えていることが好ましい。双極板としては、例えば、カーボン材料系及び金属材料系が挙げられ、コスト及び電解液に対する耐食性の点から、カーボン材料系を用いることが好ましい。また、双極板としては、黒鉛粉、バインダー等を混練した複合材にプレス、射出等の成形を施して得られる板状の双極板が好ましい。なお、後述の図2のように正極及び負極を1つずつ備える単セル構造の場合、双極板は無くてもよく、集電板が電解液と接触することによる集電板の腐食を抑制する点から双極板を備えていてもよい。
(参照電極)
フロー電池は、正極の電位を計測するための正極用参照電極を備えていてもよく、負極の電位を測定するための負極用参照電極を備えていてもよい。なお、フロー電池では、正極用参照電極及び負極用参照電極は必須の構成ではなく、必要に応じて正極用参照電極及び負極用参照電極を用い、フロー電池における正極の電位及び負極の電位を測定してもよい。
正極用参照電極及び負極用参照電極は標準水素電極電位(standard hydrogen electrode potential)に対する電位に換算可能で、安定した電気化学電位を示せるものであればよい。電気化学電位基準となる参照電極は、電気化学の基本事項として教科書等に示されている(例えば、“Allen J.Bard and Larry R.Faulkner 、「ELECTROCHEMICAL METHODS」p.3、(1980)、John Wiley & Sons, Inc.”)。参照電極としては、Ag/AgCl参照電極、飽和カロメル電極(saturated calomel electrode)等が挙げられ、Ag/AgCl参照電極が好ましい。
参照電極としてAg/AgCl参照電極を用いる場合、例えば、RE−1CP飽和KCl銀塩化銀参照電極(BAS社)を用いてもよい。
また、正極用参照電極及び負極用参照電極としてAg/AgCl参照電極以外の参照電極を用い、測定した電位をAg/AgCl参照電極の電位に換算してもよい。
(貯留部)
フロー電池は、活物質及び活性炭を含有する電解液を貯留する貯留部を備え、好ましくは、正極活物質及び活性炭を含有する正極電解液を貯留する正極電解液貯留部及び負極活物質及び活性炭を含有する負極電解液を貯留する負極電解液貯留部を備える。貯留部、正極電解液貯留部及び負極電解液貯留部としては、例えば、電解液貯留タンクが挙げられる。
(送液部)
フロー電池は、正極及び負極と貯留部との間で電解液を循環させる送液部、好ましくは、正極と正極電解液貯留部との間で正極電解液を循環させ、負極と負極電解液貯留部との間で負極電解液を循環させる送液部を備える。貯留部に貯留された電解液が送液部を通じて正極及び負極が配置されたセル室に供給され、好ましくは、正極電解液貯留部に貯留された正極電解液が送液部を通じて正極が配置された正極室に供給され、負極電解液貯留部に貯留された負極電解液が送液部を通じて負極が配置された負極室に供給される。
フロー電池では、送液部は例えば、セル室と貯留部との間で電解液を循環させる循環経路及び送液ポンプを備えていてもよく、好ましくは、正極室と正極電解液貯留部との間で正極電解液を循環させ、かつ負極室と負極電解液貯留部との間で負極電解液を循環させる循環経路及び送液ポンプを備えていてもよい。
セル室と貯留部との間で循環させる電解液の量、正極室と正極電解液貯留部との間で循環させる正極電解液の量及び負極室と負極電解液貯留部との間で循環させる負極電解液の量は、それぞれ送液ポンプを用いて適宜調整すればよく、例えば、電池スケールに応じて適宜設定することができる。
(電解液の圧力損失)
フロー電池において、電解液の圧力損失は、公知の方法によって測定することができる。具体的には、圧力センサを用い、正極及び負極における電解液の流入側の圧力と流出側の圧力を計測し、その差分を算出する方法等が挙げられる。
圧力センサとしては、純水、薬液を含む液体、気体等の流体の圧力を計測可能なものであればよい。
(フロー電池の充放電特性)
フロー電池の充放電特性としては、電池容量の他に、電流効率(Current Efficiency:CE)、電圧効率(Voltage Efficiency:VE)及び電力効率(Energy Efficiency:EE)が挙げられる。
電流効率CEは、放電で得られた電気量と充電に要した電気量の割合である。電圧効率VEは、放電時平均電圧と充電時平均電圧の割合である。また電力効率EEは、放電した電力量と充電した電力量の割合である。
図1は、本実施形態のフロー電池の部材の構成の一例を示す模式図である。正極1aと負極1bは、隔膜2によって隔てられている。充放電反応時は、各電極と双極板5の間で電子の授受が行われる。双極板5は、双極板フレーム6として用いられることがある。双極板フレーム6は、各電極と同程度の面積の双極板5が露出した状態で、外周部をシール材3等で囲われた構造を有している。更に双極板5は、集電板9と接触しており、充放電を行う際の外部端子に接続される。また各電極の外周部には、シール材3及び分液板4が配置され、分液板4にはスリット(溝、図示せず)が形成されており、電解液(図示せず)を各電極内に流通させることができる。
具体的には、正極電解液極室入口8aから注入された正極電解液は、正極の分液板4に到達し、スリットを経由して正極1a内に流通する。ここで、図1における正極電解液の流通方向は下方から上方である。ついで、正極1aの上端から正極の分液板4に形成されたスリットを通じ、正極のシール材3、隔膜2、負極のシール材3、負極の分液板4及び負極の双極板フレーム6の端部に形成された正極電解液流通経路(マニホールドと呼ぶことがある)を通じ、正極電解液極室出口8bから流出する。
また、負極電解液極室入口8cから注入された負極電解液は、負極の分液板4に到達し、スリットを経由して負極1b内に流通する。ここで、図1における負極電解液の流通方向は下方から上方である。ついで、負極1bの上端から負極の分液板4に形成されたスリットを通じ、負極のシール材3、隔膜2、正極のシール材3、正極の分液板4及び正極の双極板フレーム6の端部に形成された負極電解液流通経路(マニホールドと呼ぶことがある)を通じ、負極電解液極室出口8dから流出する。
図2は、フロー電池の模式図である。すなわち、正極電解液極室出口8bから流出した正極電解液10aは、配管(循環経路)13を通り、正極電解液貯留部11aに貯留される。また、負極電解液極室出口8dから流出した負極電解液10bは、配管(循環経路)13を通り、負極電解液貯留部11bに貯留される。このようにして、充放電反応中には、正極電解液10a及び負極電解液10bが、送液ポンプ12を作動させることで、それぞれ正極1a及び負極1b内に流通し、正極電解液貯留部11a及び負極電解液貯留部11bに再び戻ってくるサイクルを繰り返す。充放電を行う際の電気的な制御は、電源14及び外部負荷15を用いて行われる。
図3は、図2で示した正極及び負極の各部材の組み合わせ(セルとも呼ぶ)を、電気的に直列に接続し、スタック構造にした状態のフロー電池の模式図である。セルの数を増やし、スタック構造にすることで、フロー電池の出力電圧を増加させることができる。ここで、隣り合うセルの正極1a及び負極1bは、双極板5を介して電気的に接続されており、充放電時の電子の授受が可能になる。また正極電解液10a及び負極電解液10bは、直列に配置された各電極に並列に流通できるよう、配管(循環経路)13の構造を変更したこと以外は、図2と同様である。なお、スタック構造にした状態のフロー電池において、正極と負極とが対向する側とは、正極と負極との間に双極板が設けられていない側を指し、図3では、正極1aと負極1bとの間に隔膜2が存在する側を指す。
[フロー電池システム]
本開示のフロー電池システムは、前述の本開示のフロー電池と、フロー電池の充放電を制御する制御部と、を備える。本開示のフロー電池システムは、フロー電池がフロー電池であるフロー電池システムであってもよく、制御部は、フロー電池の充放電を制御する構成であってもよい。
(制御部)
フロー電池システムは、フロー電池の充放電を制御する制御部を備える。例えば、制御部は、フロー電池システムにおける充電電圧、正極及び負極の充電電位等を制御する構成であってもよい。
なお、充電電圧は負極と正極との間の電位差を示すものであり、充電電位は基準となる一定の電位を持つ基準電極(参照電極)に対する電位差を示すものである。
[発電システム]
本開示の発電システムは、発電装置と、前述の本開示のフロー電池システムと、を備える。本開示の発電システムは、フロー電池システムと発電装置とを組み合わせることで、電力変動を平準化及び安定化したり、電力の需給を安定化したりすることができる。
発電システムは、発電装置を備える。発電装置としては、特に制限されず、再生可能エネルギーを用いて発電する発電装置、水力発電装置、火力発電装置、原子力発電装置等が挙げられ、中でも再生可能エネルギーを用いて発電する発電装置が好ましい。
再生可能エネルギーを用いた発電装置は、気象条件等によって発電量が大きく変動するが、フロー電池システムと組み合わせることで変動する発電電力を平準化して電力系統に平準化した電力を供給することができる。
再生可能エネルギーとしては、風力、太陽光、波力、潮力、流水、潮汐、地熱等が挙げられるが、風力又は太陽光が好ましい。
風力、太陽光等の再生可能エネルギーを用いて発電した発電電力は、高電圧の電力系統に供給する場合がある。通常、風力発電及び太陽光発電は、風向、風力、天気等の気象によって影響を受けるため、発電電力は一定とならず、大きく変動する傾向にある。一定ではない発電電力を高電圧の電力系統にそのまま供給すると、電力系統の不安定化を助長するため好ましくない。本実施形態の発電システムは、例えば、フロー電池システムの充放電波形を発電電力波形に重畳させることで、目標とする電力変動レベルまで発電電力波形を平準化させることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(a)正極及び負極の作製
正極及び負極の作製のため、表1中のNo.1及びNo.3のカーボンフェルト電極を用いた。まず、水蒸気賦活炭粒子(クラレ社、YP−80F、BET比表面積は2100m/g)を20.0質量%、及び分散媒としてのイソブタノール(和光純薬工業社)を80.0質量%混ぜ合わせ、自動乳鉢混練装置を用いて混合して、活性炭ペーストを10.0g調製した。
次に、No.1及びNo.3のそれぞれのカーボンフェルト電極を、厚さ方向に垂直な面が150mm×100mmの大きさになるように切断した。切断したカーボンフェルトの重量はNo.1の電極が2.7g、No.3の電極が5.4gであった。これらに、上記で得られた活性炭ペースト10.0gをそれぞれに含浸させた。その後、100℃に加熱したオーブンに10分間入れ、水を蒸散により取り除いた。なお、カーボンフェルトと活性炭粒子の合計を100.0質量%としたときの活性炭粒子の含有率は、No.1の電極が42.6質量%、No.3の電極が27.0質量%と算出される。
活性炭粒子を含有させた2種類の電極を、図4Aに示すように、電極の長さ方向(電解液入り口から出口に向かう方向)に、均等に配置した。なお、フロー電池に正極及び負極を装着する際は、正極及び負極の厚さが2.5mmになるように圧縮した。また、正極及び負極の、厚さ方向に垂直な面を、150mm×100mmの大きさとした。これにより、厚さ方向に同様の空隙率勾配が設けられた正極及び負極を作製した。詳細は表2に示すとおりである。
従って、圧縮後のNo.1の電極及びNo.3の電極の空隙率は、カーボンフェルトの密度及びグラファイトの密度(2.26g/cm)を用いて、それぞれ96.8%及び93.6%である。図4Aに示すように、電解液の入口に近い側からNo.1(空隙率φ)及びNo.3(空隙率φ)の電極を、この順に配置した。またこのような配置をした場合の電極の空隙率の平均変化率の絶対値は0.32%/cmであった。
(b)電解液の調製
正極電解液には、6.0mol/Lのヨウ化ナトリウム(NaI)(和光純薬工業社)を含有する水溶液を調製した。また、負極電解液には、2.0mol/Lの塩化亜鉛(ZnCl)(和光純薬工業社)と、pH調整剤として2.5mol/Lの塩化アンモニウム(NHCl)(和光純薬工業社)を含有する水溶液を調製した。
(c)フロー電池の作製
上記で作製した正極及び負極と電解液の他に、隔膜として陽イオン交換膜「ナフィオン117」を、双極板として高導電性黒鉛微粉からなるバイポーラプレート(昭和電工社)を、シール材としてエチレンプロピレンゴムシートを、集電板としてニッケル(Ni)めっきを施した銅(Cu)板を、また塩ビ製タンクと配管と循環ポンプ(イワキポンプ社)とを用い、図1及び図2に示すような単セル型のフロー電池を作製した。なお、上述したように、装着された正極及び負極の厚さが2.5mmになるように、集電板に挟まれた部分の部材を適宜圧縮した。このとき、圧縮充填された電極間の境界には、隙間及び段差がないことを確認した。
(d)フロー電池特性の評価
作製したフロー電池の、各電解液の流入側及び流出側の配管部に圧力センサ(HPS−24−F、サーパス工業社)と取り付けた。次いで、正極電解液貯留部及び負極電解液貯留部に上記で準備した正極電解液及び負極電解液をそれぞれ0.50Lずつ貯留し、循環ポンプを用いて、正極電解液及び負極電解液の流量がそれぞれ毎分0.20Lとなるように、循環ポンプの出力を調節しながら、正極及び負極に、正極電解液及び負極電解液をそれぞれ流通させた。
その後、正極電解液及び負極電解液の流量が一定になったことを確認した後、電流密度50mA/cmで充放電実験を実施した。具体的には、電流密度を一定にし、セル電圧が1.5Vになるまで充電し、その後、同じ電流密度でカットオフ電圧0.7Vになるまで放電し、電池の電気容量(Ah)を求めた。
更に、充電開始時及び終了時の圧力損失を、正極電解液及び負極電解液のそれぞれについて測定した。
また、容量維持率については、1サイクル目の放電容量(Ah)と100サイクル目の放電容量(Ah)を測定し、以下の式を用いて算出した。
容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
なお、フロー電池の特性を評価する際は、温度を25℃に保った。
<実施例2>
実施例1において使用した電極を、表1及び表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、フロー電池を作製し、特性を評価した。
すなわち、正極及び負極の作製のため、表1中のNo.2及びNo.5のカーボンフェルト電極を用いた。その後、実施例1と同様にして、活性炭ペーストを作製し、各カーボンフェルト電極に活性炭粒子を含有させた。各カーボンフェルト電極における、活性炭粒子の含有率は、No.2の電極が37.2質量%、No.5の電極が19.8質量%であった。図4Aに示すように、電解液の入口に近い側からNo.2(空隙率φ)及びNo.5(空隙率φ)の電極を、この順に配置した。また、このような配置をした場合の、空隙率の平均変化率の絶対値は0.55%/cmであった。
<実施例3>
実施例1において使用した電極を、表1及び表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、フロー電池を作製し、特性を評価した。
すなわち、正極及び負極の作製のため、表1中のNo.1〜No.4のカーボンフェルト電極を用いた。その後、実施例1と同様にして、活性炭ペーストを作製し、各カーボンフェルト電極に活性炭粒子を含有させた。各カーボンフェルト電極における、活性炭粒子の含有率は、No.1の電極が59.7質量%、No.2の電極が54.2質量%、No.3の電極が42.6質量%、No.4の電極が37.2質量%と算出される。図4Cに示すように、電解液入口側でかつ隔膜に近い側にNo.1の電極(空隙率φ)を、電解液入口側でかつNo.1の電極に隣接する位置にNo.2の電極(空隙率φ)を、電解液流出側でかつ隔膜に近い側にNo.3の電極(空隙率φ)を、電解液流出側でかつNo.3の電極に隣接する位置にNo.4の電極(空隙率φ)を、それぞれ配置した。また、このような配置をした場合の、電極の各方向における空隙率の平均変化率の絶対値は、No.1電極及びNo.3電極の電解液流通方向で0.63%/cm、No.2電極及びNo.4電極の電解液流通方向で0.79%/cm、No.1電極及びNo.2電極の電極厚さ方向で0.94%/mm、No.3電極及びNo.4電極の電極厚さ方向で1.87%/mmであった。
<比較例1>
実施例1において、活性炭粒子を含有させていないカーボンフェルト電極(No.1及びNo.3)を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、フロー電池を作製し、特性を評価した。
<比較例2>
実施例1において、活性炭粒子を含有させていないカーボンフェルト電極1種類(No.3)(SGL社、品名「GFD4.6EA」、製品厚さ4.6mm及び密度0.09g/cm)のみを用い、正極及び負極に空隙率勾配を設けないこと、並びに正極及び負極に活性炭粒子を含有させていないこと以外は、実施例1と同様にして、フロー電池を作製し、特性を評価した。
表3に、作製した各フロー電池における、充放電前後の圧力損失の測定結果、放電容量及び100サイクル後の容量維持率を示す。実施例1〜実施例3及び比較例1のいずれにおいても、電解液の流通方向にて電極に空隙率勾配が設けられることで、充電後の圧力損失は低く抑えられることが分かった。一方、電極に空隙率勾配が設けられていない比較例2では、充電後の圧力損失が増大していた。
表3における容量維持率に着目すると、各実施例で作製したフロー電池は、100サイクル後でも高い容量維持率を示すことが確認された。これに対し、比較例1における容量維持率は大きく低下した。これは、活性炭粒子が電解液中に分散するような構成を有さないために、フロー電池がキャパシタ効果を持たず、高い電流密度での充放電に対応できなかったためと考えられる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
1…電極、1a…正極、1b…負極、2…隔膜、3…シール材、4…分液板、5…双極板、6…双極板フレーム、7…極室、8a…正極電解液極室入口、8b…正極電解液極室出口、8c…負極電解液極室入口、8d…負極電解液極室出口、9…集電板、10a…正極電解液、10b…負極電解液、11a…正極電解液貯留部、11b…負極電解液貯留部、12…送液ポンプ、13…配管(循環経路)、14…電源、15…外部負荷

Claims (16)

  1. 正極と、負極と、活物質及び活性炭を含有する電解液と、前記正極及び前記負極に供給される前記電解液を貯留する貯留部と、を備え、
    前記正極及び前記負極の少なくとも一方は、前記電解液の流通方向に空隙率の異なる領域を少なくとも二つ有する電極である、フロー電池。
  2. 前記電解液が流入する側の前記電極の空隙率は、前記電解液が流出する側の前記電極の空隙率よりも高い、請求項1に記載のフロー電池。
  3. 前記活性炭のBET比表面積が100m/g〜5000m/gである、請求項1又は請求項2に記載のフロー電池。
  4. 前記活性炭の平均二次粒子径が10nm〜300μmである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のフロー電池。
  5. 前記電極は、炭素繊維を含有する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のフロー電池。
  6. 前記電極は、前記電解液が流出する側から前記電解液が流入する側に向かって空隙率が高くなっている、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のフロー電池。
  7. 前記電極の前記電解液が流入する側の端側の少なくとも一部から前記流通方向に向かって、長さ5.0%侵入した位置での前記電極の空隙率と、長さ95.0%侵入した位置での前記電極の空隙率との差の絶対値が1.0%〜50.0%である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のフロー電池。
  8. 前記電極の前記電解液が流入する側の端側の少なくとも一部から前記流通方向における前記電極の空隙率の分布をプロットしたグラフにおいて、最小二乗法にて近似した直線の傾きから求めた前記電極の空隙率の平均変化率の絶対値が、0.1%/cm〜3.0%/cmである、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のフロー電池。
  9. 前記電極は、充電反応又は放電反応にて前記活物質の析出を伴う、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のフロー電池。
  10. 析出物が金属を含有する、請求項9に記載のフロー電池。
  11. 前記正極及び前記負極における前記正極と前記負極とが対向する側とは反対側に設けられ、前記正極及び前記負極と電子の授受をそれぞれ行う一対の双極板を更に備え、
    前記電極と電子の授受を行う前記双極板側から前記正極と前記負極とが対向する側に向かって前記電極の空隙率が高くなるか、又は、前記正極と前記負極とが対向する側から前記電極と電子の授受を行う前記双極板側に向かって前記電極の空隙率が高くなる、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のフロー電池。
  12. 前記活物質が、ヨウ素イオン及びヨウ素分子の少なくとも一方を含有する、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のフロー電池。
  13. 前記活物質が、亜鉛イオン及び亜鉛の少なくとも一方を含有する、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のフロー電池。
  14. 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載のフロー電池と、
    前記フロー電池の充放電を制御する制御部と、
    を備えるフロー電池システム。
  15. 発電装置と、
    請求項14に記載のフロー電池システムと、を備える発電システム。
  16. 前記発電装置は、再生可能エネルギーを用いて発電する、請求項15に記載の発電システム。
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