JP2018184520A - 自動車ロングライフクーラントシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、及び自動車ロングライフクーラントシール材 - Google Patents

自動車ロングライフクーラントシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、及び自動車ロングライフクーラントシール材 Download PDF

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Abstract

【課題】耐LLC性能と接着性と初期シール性とを向上させ、VOC含有量が抑制された、自動車LLCシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。【解決手段】(A)オルガノポリシロキサン、(B)無機質充填剤、(C)加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物、(D)R2SiO1/2単位及びSiO4/2単位を含み、R2が非置換又は置換された炭素数1〜6の1価炭化水素基であり、SiO4/2単位に対するR2SiO1/2単位のモル比が0.5〜1.5であり、かつケイ素原子に結合したヒドロキシ基を0.01〜0.1モル/100g有する、数平均分子量が4,000〜10,000である粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂、(E)シランカップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物、及び(F)硬化触媒、を含有する自動車LLCシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、自動車ロングライフクーラント(Long Life Coolant、以下、LLC)シール材として好適に用いられる自動車LLCシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に関する。本発明は、特に、耐LLC性能に優れると共に、良好な接着性と硬化性を与える、該自動車LLCシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、及び自動車ロングライフクーラントシール材に関する。
自動車のLLC周辺のシール材については、従来、コルク、有機ゴム、アスベストなどで作られたガスケット、パッキング材が使用されている。しかしこれらの従来のガスケットやパッキング材は在庫管理及び作業工程が煩雑であるという不利があり、更に、それらのシール性能には信頼性がないという欠点がある。そのため、LLCシールの用途では、液体ガスケットとして、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を利用したFormed In Place Gasket(FIPG)方式が採用されている。
近年、クーラントの性能向上に伴い、LLCには種々の添加剤が配合されるようになる。そしてFIPGには、より高い耐LLC性能が要求されている。LLCは基本的に水と混合させて使用される。そのため自動車LLCシール材は、LLCと水の混合物という、FIPGに対して攻撃性の高い薬品存在下で高温条件に耐える必要がある。
特開2002−226708(特許文献1)においては、二液混合型FIPGに疎水化処理を行った充填剤を添加することにより、耐LLC性能が向上することが報告されている。しかし、二液混合型FIPGでは混合工程が追加されることから、生産工程での管理が煩雑になるという欠点がある。また、特開2016−199687(特許文献2)においては、耐水性の高い接着性付与剤を添加することで、耐LLC性能の向上が報告される。しかし、近年、100℃、168時間の浸漬条件より厳しい条件での耐LLC性能向上が要求されている。さらに他の公知技術として、有機溶剤に溶解した三次元網状構造のオルガノポリシロキサン樹脂を組成物中に添加することで、耐LLC性能を向上できることが知られている。しかし、近年の環境保護の高まりや現場作業員の健康管理の観点から、組成物中の揮発性有機化学物質(Volatile Organic Compounds、VOC)を含む材料は好ましくない。
特開2002−226708号公報 特開2016−199687号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので自動車LLCシールとして好適に用いられる自動車LLCシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に関する。特に、本発明は、耐LLC性能に優れると共に、良好な接着性と硬化性を与え、初期シール性を向上させ、さらにVOC含有量を低減した、該自動車LLCシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、特定の分子量、SiOH(シラノール)基量を有する三次元網状構造のオルガノポリシロキサン樹脂(いわゆるシリコーンレジン)を粉体で室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に添加することで、該組成物から得られる硬化物(シリコーンゴム)の耐LLC性能が向上することを見出し、本発明を完成した。
本発明は、下記の(A)成分〜(F)成分を含有する自動車LLCシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供するものである。
〔1〕
(A)下記一般式(1)で示される23℃における粘度が2,000mPa・s以上のオルガノポリシロキサン:100質量部、
HO−(SiR O)−H (1)
(式(1)中、Rは炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、各Rは互いに同一であっても異種の基であってもよい。aは100以上の整数である。)
(B)無機質充填剤:1〜500質量部、
(C)ケイ素原子に結合した加水分解性基を分子中に3個以上有する加水分解性オルガノシラン化合物及び/又は該加水分解性オルガノシラン化合物の部分加水分解縮合物:0.1〜40質量部、
(D)R SiO1/2単位及びSiO4/2単位を含み、SiO4/2単位に対するR SiO1/2単位のモル比が0.5〜1.5であり、かつケイ素原子に結合したヒドロキシ基を0.01〜0.1モル/100g有する、数平均分子量が4,000〜10,000である粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂:3〜20質量部、
(式中、Rは独立に非置換又は置換の炭素数1〜6の1価炭化水素基を表す。)
(E)下記一般式(2)で示されるシランカップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物:0.01〜5質量部、
Si(OR3−b (2)
(式(2)中、Rは、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれるいずれか一つ以上の原子を少なくとも1個有する炭素数1〜20の一価炭化水素基である。Rと、Rとは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基である。bは0、1又は2である。)、及び
(F)硬化触媒:0.01〜20質量部
を含有する自動車ロングライフクーラントシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
〔2〕
本発明は、(D)成分の粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂が、更に、R SiO2/2単位及びRSiO3/2単位を含み、SiO4/2単位に対するR SiO2/2単位のモル比が0より多く1.0以下であり、SiO4/2単位に対するRSiO3/2単位のモル比が、0より多く1.0以下である、〔1〕に記載の自動車LLCロングライフクーラントシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を包含する。
〔3〕
本発明は、(B)成分の無機質充填剤が、表面処理剤により処理された、炭酸カルシウム、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、カーボンブラック及び酸化アルミニウムから選択される少なくとも1種である〔1〕又は〔2〕に記載の自動車ロングライフクーラントシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を包含する。
〔4〕
本発明は、(E)成分のシランカップリング剤が、下記一般式(3)
Figure 2018184520

(式(3)中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基であり、cは1〜3の整数である。ただしcが3であるとき、Rは水素原子である。R10は炭素数1〜10の二価炭化水素基であり、R11は芳香環と二価鎖状脂肪族炭化水素基とを含む炭素数7〜10の二価炭化水素基である。NH基及びNH基の少なくとも一方は、R11の二価鎖状脂肪族炭化水素基を介して芳香環に結合する。)
で示される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物を含有するものである〔1〕ないし〔3〕のいずれか一つに記載の自動車ロングライフクーラントシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を包含する。
〔5〕
本発明は、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の自動車ロングライフクーラントシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含む硬化物である自動車用ロングライフクーラントシール材を包含する。
本発明の組成物は、特に、耐LLC性能に優れると共に、良好な接着性や初期シール性を有する硬化物(シリコーンゴム)を与え、VOC含有量が抑制された自動車ロングライフクーラントシール用の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物である。
以下、本発明につき更に詳細に説明する。
[(A)成分 オルガノポリシロキサン]
本発明に用いられる自動車LLCシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の(A)成分は、下記一般式(1)で示される。
HO−(SiR O)−H (1)
(式(1)中、Rは炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、Rは互いに同一であっても異種の基であってもよい。aは100以上の整数である。)
式(1)に示すように(A)成分は、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がケイ素原子に結合した水酸基(シラノール基)で封鎖されている、23℃における粘度が2,000mPa・s以上の、直鎖状のジオルガノポリシロキサンであり、本発明の組成物の主剤(ベースポリマー)として作用するものである。
上記式(1)中、Rは炭素数1〜10、特に炭素数1〜6の非置換又は置換一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。あるいはこれらの炭化水素基の水素原子が部分的に塩素、フッ素、臭素といったハロゲン原子等で置換された基、例えばトリフルオロプロピル基などが挙げられる。Rは、メチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。このRは同一の基であっても異種の基であってもよい。
式(1)中のaは100以上の整数であればよく、好ましくは100〜2,000であり、より好ましくは150〜1,000であり、特に好ましくは200〜800である。
(A)成分のオルガノポリシロキサンの23℃における粘度は2,000mPa・s以上であり、2,000〜500,000mPa・sの範囲が好ましく、3,000〜500,000mPa・sの範囲がより好ましく、5,000〜100,000mPa・sの範囲が特に好ましい。なお、本発明において、粘度は回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型等)により測定した値である。
また、本発明において、重合度(又は分子量)は、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)等を展開溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
[(B)成分 無機質充填剤]
次に、(B)成分である無機質充填剤は、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物にゴム物性を付与するための補強性充填剤や非補強性充填剤である。
本充填剤としては、表面処理された又は無処理の次の無機質充填剤を例示できる。すなわち、焼成シリカ、煙霧質シリカ等の乾式シリカ、沈降性シリカ、ゾル−ゲル法シリカ等の湿式シリカなどのシリカ系充填剤;カーボンブラック、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、等が例示される。その中でも炭酸カルシウム、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、カーボンブラック、酸化アルミニウムが好ましく、より好ましくは無機質充填剤の表面が疎水化処理された、炭酸カルシウム、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、カーボンブラック、酸化アルミニウムである。この場合、これらの無機質充填剤は、水分量が少ないことが好ましい。なお、該表面処理剤の種類、量や処理方法等について特に制限はないが、代表的には、クロロシラン、アルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物や、脂肪酸、パラフィン、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等の処理剤による公知の処理方法を適用できる。
(B)成分の無機質充填剤は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜500質量部の範囲であり、好ましくは20〜300質量部の範囲である。(B)成分の配合量が1質量部未満では、得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が十分なゴム強度を得られないため、自動車LLCシール用の使用用途に適さないという問題が生じる。一方、500質量部を超えると、カートリッジからの吐出が悪化し、並びに、保存安定性が低下するほか、得られるゴム物性の機械特性も低下してしまう。
[(C)成分 加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物]
本発明の(C)成分は架橋剤として機能し、一般に硬化剤と呼ばれる成分である。すなわち(C)成分は、得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に、密閉条件下では良好な保存安定性を付与し、開封後または非密閉状態では該室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を空気中の水分と反応させてゴム化(三次元的に架橋し硬化)させる。
次に、(C)成分の、加水分解性オルガノシラン化合物は、ケイ素原子に結合した加水分解性基を分子中に3個以上有する。さらに該加水分解性基を分子中に2個有するオルガノシラン化合物を含むものを併用してもよい。また、(C)成分の、加水分解性オルガノシラン化合物の部分加水分解縮合物は、該加水分解性オルガノシラン化合物を部分的に加水分解縮合して生成する、残存加水分解性基を分子中に3個以上有するオルガノシロキサンオリゴマーである。さらに該残存加水分解性基を分子中に2個有するオルガノシロキサンオリゴマーを併用してもよい。(C)成分は、得られる組成物において、密閉条件下では組成物に良好な保存安定性を付与させ、かつ開封後は空気中の水分と反応しゴム化させるための、一般に硬化剤(架橋剤)と呼ばれる成分である。
(C)成分の加水分解性オルガノシラン化合物やその部分加水分解縮合物が有する加水分解性基としては、その全炭素原子数が1〜10である。(C)成分に存在する加水分解性基としては、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アシロキシ基、アルケノキシ基、ケトオキシム基、アミノキシ基、及びアミド基が挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基;アセトキシ基、オクタノイルオキシ基等のアシロキシ基;ビニロキシ基、イソプロペノキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケノキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、メチルイソブチルケトオキシム基等のケトオキシム基;ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基;N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基等のアミド基が挙げられる。
上記加水分解性基以外の、すなわち、加水分解性オルガノシラン化合物やその部分加水分解縮合物に存在するケイ素原子の加水分解性基が結合しない部位に結合する有機基としては、置換または非置換の、炭素原子数は1〜18、好ましくは炭素原子数1〜10の一価炭化水素基が挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;が挙げられる。また、これらの炭化水素基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子またはシアノ基で置換したものでもよい。例えば、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。中でも、有機基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、フェニル基が好ましい。
(C)成分のシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン;メチルトリス(ジメチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、エチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン等のケトオキシムシラン;メチルトリ(メトキシメトキシ)シラン、エチルトリ(メトキシメトキシ)シラン、ビニルトリ(メトキシメトキシ)シラン、フェニルトリ(メトキシメトキシ)シラン、メチルトリ(エトキシメトキシ)シラン、エチルトリ(エトキシメトキシ)シラン、ビニルトリ(エトキシメトキシ)シラン、フェニルトリ(エトキシメトキシ)シラン、テトラ(メトキシメトキシ)シラン、テトラ(エトキシメトキシ)シラン等のアルコキシアルコキシシラン;メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン等のアミノキシシラン;メチルトリス(N−メチルアセトアミド)シラン、メチルトリス(N−ブチルアセトアミド)シラン、メチルトリス(N−シクロヘキシルアセトアミド)シラン等のアミドシラン;メチルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラン等のアルケノキシシラン;メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のアセトキシシランが挙げられる。
(C)成分のシラン化合物の部分加水分解縮合物、すなわちシロキサンとしては、上記シラン化合物の部分加水分解縮合物が挙げられる。該シロキサンの数平均分子量は特に制限されるものでないが、100〜2,000であり、150〜2,000が好ましい。また、上記の加水分解性オルガノシラン化合物が2個〜100個、好ましくは2〜20個重合したオリゴマーであるのが好ましい。該シロキサンは、異なる重合度を有する複数種のオリゴマーの混合物であってもよい。
(C)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の効果を妨げない範囲で、一分子中に加水分解性基を2個有するシラン化合物及び/またはシロキサンを併用してもよい。
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜40質量部であり、好ましくは1〜20質量部である。(C)成分の配合量が上記下限値の0.1質量部未満では、硬化性や保存性の低下を招くおそれがある。また、上記上限値の40質量部を超えると、価格的に不利になるばかりか、硬化物の伸びが低下したり、耐久性の悪化を招いたりするおそれがある。特に、(B)成分中の加水分解性基の個数が(A)成分中の水酸基の個数を上回るような量とすることが好ましい。
[(D)成分 粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂]
次に、(D)成分はR SiO1/2単位及びSiO4/2単位を含み、SiO4/2単位に対するR SiO1/2単位のモル比が0.5〜1.5であり、かつケイ素原子に結合したヒドロキシ基(シラノール基)を0.01〜0.1モル/100g有する、数平均分子量が4,000〜10,000である、粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂(式中、Rは独立に非置換又は置換の炭素数1〜6の1価炭化水素基を表す。)である。(D)成分において粉体とは、固体かつ、平均粒径1〜200μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜50μm、更に好ましくは5〜25μm程度の微粉末をいう。(D)成分の微粉末の平均粒径は、例えば、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積重量平均径:D50(又はメジアン径)等として測定することができる。(D)成分は本発明の組成物に良好な耐LLC性能を付与する。
前記Rは、炭素数1〜6の非置換又は置換の1価炭化水素基を示し、Rとしては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、n−ヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基が挙げられ、またこれらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子等で置換したクロロメチル基等が挙げられる。これらRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基が好ましく、メチル基、フェニル基が特に好ましい。
(D)成分の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂の、SiO4/2単位に対するR SiO1/2単位のモル比は0.5〜1.5の範囲であり、好ましくは0.6〜1.3の範囲であり、特に好ましくは0.7〜1.2の範囲である。SiO4/2単位に対するR SiO1/2単位のモル比が0.5より小さいと、得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の耐LLC性能が不十分となり、1.5を超えると該組成物の保存安定性が不十分となる。
(D)成分の三次元網状構造のオルガノポリシロキサン樹脂としてはR SiO2/2単位とSiO4/2単位を含み、さらにR SiO2/2単位とRSiO3/2単位とを含んでもよい。R、Rは独立に非置換又は置換の炭素数1〜6の1価炭化水素基を表す。その場合、SiO4/2単位に対するR SiO2/2単位のモル比は、0より多く1.0以下であり、0より多く0.8以下が好ましい。またSiO4/2単位に対するRSiO3/2単位のモル比は、0より多く1.0以下であり、0より多く0.8以下であることが好ましい。
、Rは、炭素数1〜6の非置換又は置換の1価炭化水素基を示し、R、Rとしては、いずれも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、n−ヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基が挙げられ、またはこれらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子等で置換したクロロメチル基等が挙げられる。これらR、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、特に好ましくは、メチル基、フェニル基が特に好ましい。
また、(D)成分の粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂(いわゆる粉体状シリコーンレジン)に含まれるケイ素原子に結合したヒドロキシ基、すなわちシラノール基が0.01〜0.1モル/100g存在し、好ましくは0.02〜0.09モル/100g、より好ましくは0.03〜0.08モル/100g存在する。シラノール基が0.1モル/100gより多く存在すると、得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の保存安定性が悪化し、シラノール基が0.01モル/100gより少ないと該組成物に十分な耐LLC性能を与えられない場合がある。
(D)成分の粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂としては、数平均分子量が4,000〜10,000であり、好ましくは5,000〜8,000である。(D)成分の数平均分子量や数平均重合度は、通常、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)等を展開溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均分子量や数平均重合度として求めることができる。
本発明では、上記の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂を粉末にして用いる。(D)成分の粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂は、1個の加水分解性基を有する1官能性トリオルガノシランを、4個の加水分解性基で置換された4官能性シランと共に、有機溶媒中で共加水分解して縮合させることによって得られる三次元網状オルガノポリシロキサン樹脂が、有機溶媒中に溶解した溶液である三次元網状オルガノポリシロキサン樹脂溶液、あるいは三次元網状オルガノポリシロキサン樹脂が有機溶媒中で膨潤又は分散した三次元網状オルガノポリシロキサン樹脂懸濁液から、有機溶媒を除去するとともに微粉末化し、粉体(固体として微粉末化)にしたものである。
ここで、共加水分解反応に用いられる有機溶媒は、(D)成分である三次元網状オルガノポリシロキサン樹脂を溶解させることが必要である。典型的な有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、シクロヘキサンやエチルシクロヘキサン、イソパラフィン等の炭化水素系溶媒が挙げられる。
また、粉体化する手法としてはミルによる物理破砕法、スプレードライ法、超音波破砕法などが挙げられるが、これらに限ったものではない。
(D)成分の配合量としては、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して好ましくは3〜20質量部であり、さらに好ましくは5〜15質量部である。配合量が3質量部未満の場合、得られる組成物に十分な耐LLC性能を与えられない。20質量部を超える場合は、価格面で不利になるばかりか、組成物の保存安定性が悪化する恐れがある。また本発明の(D)成分は、粉末として添加される。これにより本発明は、(D)成分を上記の範囲内の添加量をトルエン等の有機溶媒中に完全に溶解させた状態で添加する場合と比較して良好な耐LLC性能を発揮し、かつ環境保護の観点からも好ましい室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供できる。
[(E)成分 シランカップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物]
(E)成分は、下記一般式(2)で示されるシランカップリング剤(即ち、官能性基含有一価炭化水素基を有する加水分解性オルガノシラン化合物)及び/又はその部分加水分解縮合物であり、本組成物に良好な接着性を発現させるための必須成分である。
Si(OR3−b (2)
(式(2)中、Rは、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれるいずれか一つ以上の原子を少なくとも1個有する炭素数は1〜20の一価炭化水素基である。R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、bは0、1又は2である。)
上記式(2)中、Rは窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる原子を含むイソシアネート基以外の官能性基(例えば、非置換又は置換アミノ基、非置換又は置換イミノ基、アミド基、ウレイド基、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基等)を少なくとも1個有する炭素数1〜20の一価炭化水素基であり、具体的には、β−(2,3−エポキシシクロヘキシル)エチル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基、γ−アクリロキシプロピル基、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル基、γ−アミノプロピル基、N−フェニル−γ−アミノプロピル基、γ−ウレイドプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−イソシアネートプロピル基等の窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる原子の少なくとも1つを含む炭素数3〜20、特に炭素数8〜14の一価炭化水素基が挙げられる。
また、式(2)中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の非置換又は置換一価炭化水素基である。その構造は、上述した式(1)のRと同様に説明できる。R、Rとしては特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
(E)成分のシランカップリング剤の具体例としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれるいずれか一つ以上の原子を少なくとも1個有する炭素数1〜20の一価炭化水素基を1つ含み、ケイ素原子に結合したオルガノオキシ基を1〜3個含む加水分解性シラン化合物であれば、いずれのものも使用可能であるが、その中でも下記一般式(3)で示される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物を使用すると、接着性及び耐薬品性が更に向上する。
Figure 2018184520
(式(3)中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基であり、cは1〜3の整数である。ただしcが3であるとき、Rには水素原子が結合する。該炭化水素基の炭素数は1〜8が好ましく、cは、2又は3が好ましい。R10は炭素数1〜10の二価炭化水素基であり、R11は芳香環と二価鎖状脂肪族炭化水素基とを含む炭素数7〜10の二価炭化水素基である。NH基(イミノ基)及びNH基(アミノ基)の少なくとも一方は、R11の二価鎖状脂肪族炭化水素基を介して芳香環に結合する。上記式(3)で示される本発明の(E)成分については、詳しくは特開平5−105689号公報に記載されものを使用できる。
上記式(3)中、R、Rの炭素数1〜10、特に炭素数1〜8の非置換一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などが挙げられ、Rとしては、メチル基又はエチル基が好ましく、Rとしては、メチル基が好ましい。なお、Rは水素原子である場合がある。
また、R10の炭素数1〜10の二価炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、2−メチルプロピレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、これらアルキレン基とアリーレン基とが結合した基などが挙げられ、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基であり、特に好ましくはプロピレン基である。
また、R11の芳香環を含む炭素数7〜10の二価炭化水素基としては、芳香環と二価鎖状脂肪族炭化水素基とが結合した基が好ましく、例えば下記の各式で示されるものが挙げられる。
−C−CH
−C−CH−CH
−C−CH−CH−CH
−CH−C
−CH−C−CH
−CH−C−CH−CH
−CH−C−CH−CH−CH
−CH−CH−C
−CH−CH−C−CH
−CH−CH−C−CH−CH
−CH−CH−CH−C
−CH−CH−CH−C−CH
これら上記の各式の中で、特に好ましくは−CH−C−CH−である。
式(3)に示すとおり、NH基とNH基とは、R11を介して結合される。R11の芳香環とNH基とは、R11の二価鎖状脂肪族炭化水素基を介して結合される。すなわち二価鎖状脂肪族炭化水素基は、芳香環のNH基結合側(式(3)において二価鎖状脂肪族炭化水素基の右側)に結合することが好ましい。ただし二価鎖状脂肪族炭化水素基がない場合、芳香環は、直接NH基と結合することも許容される。)は、二価鎖状脂肪族炭化水素基やNH基は、芳香環のオルト位、メタ位、パラ位のいずれに結合してもよい。
上記一般式(3)で示されるシラン化合物としては、下記のものが例示される。
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(E)成分のシランカップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。(E)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.01〜5質量部であり、好ましくは0.1〜3質量部である。(E)成分の配合量が0.01質量部未満では、硬化物が十分な接着性能を示さないものとなり、5質量部を超えて配合すると、硬化後のゴム強度が低下したり、硬化性が低下したりする。
[(F)成分 硬化触媒]
(F)成分は硬化触媒である。硬化触媒としては、組成物の硬化促進剤として従来から一般的に使用されている縮合触媒を使用できる。例えばジブチルスズメトキサイド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジメチルスズジメトキサイド、ジメチルスズジアセテート等の有機スズ化合物;テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、ジメトキシチタンジアセチルアセトナート等の有機チタン化合物;ヘキシルアミン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン等のアミン化合物やこれらの塩などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(F)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.01〜20質量部であり、好ましくは0.05〜5質量部であり、さらに好ましくは0.1〜2質量部である。(F)成分の配合量が上記下限値の0.01質量部未満であると、触媒効果が得られない。また、(D)成分の量が上記上限値の20質量部を超えると、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の接着性が低下したり、保存性が悪化する場合がある。
また、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、成分(A)〜(F)以外に一般に知られている添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で使用しても差し支えない。添加剤としては、チクソ性向上剤としてのポリエーテル、可塑剤としてのシリコーンオイル、イソパラフィン等が挙げられ、必要に応じて顔料、染料、蛍光増白剤等の着色剤、防かび剤、抗菌剤、海洋生物忌避剤等の生理活性添加剤を添加できる。さらに、ブリードオイルとしてのフェニルシリコーンオイル、フロロシリコーンオイル、シリコーンと非相溶の有機液体等の表面改質剤、トルエン、キシレン、溶剤揮発油、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、低沸点イソパラフィン等の溶剤も添加できる。
本発明の自動車LLCシール用オルガノポリシロキサン組成物は、室温硬化性の組成物であり、その硬化条件は本発明の作用効果を得られる限り限定されない。例えば、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を深さ2mmの型枠に流し込み、23℃、50%RHで5日間養生することによって、厚さ2mmの本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物(シリコーンゴムシート)を得ることができる。
また、本発明の自動車LLCシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、自動車LLCシール材として好適に用いられ、特に、耐LLC性能に優れると共に、良好な接着性と硬化性を与える。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、実施例及び比較例はすべて適切な混合機として、プラネタリミキサー((株)井上製作所製)を用いた。混合は、温度条件25℃で、成分が均質に混合されるまで所要時間行われた。
本発明に用いられる各成分は、所定の構造や物性を満たす複数の化合物からそれぞれ選択されうる。従って本明細書中では、同じ成分として異なる化合物が適用される態様を区別するため、各成分に枝番を付した。例えば、(B−1)と(B−2)と(B−3)とで示される化合物は、いずれも(B)成分を意味する。ただし当該枝番は、単に、使用される化合物の識別を目的とするものに過ぎない。各実施例と比較例とで用いた(A)成分ないし(F)成分を表1に示す。また、下記実施例と比較例との説明中、Meはメチル基を示す。
特に記載のない限り、粘度などの物性値は、23℃での値を示した。粘度は、回転粘度計による測定値である。
本発明の(D)成分である粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂(粉体シリコーンレジン)は、有機溶媒に溶解している三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂の溶液から有機溶媒を除去した後、析出した固体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂を破砕用ミル(商品名;ワンダークラッシャー、大阪ケミカル(株)製)を用いて10,000rpmで、10分間破砕し、本発明の(D)成分として使用した。
すべての実施例と比較例とにおいて、単に分子量、と記載される場合、数平均分子量を意味する。分子量の測定は、下記の方法で行った。テトラヒドロフランを展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析において、東ソー株式会社製のカラム:TSKgel Super H2500(1本)及びTSKgel Super HM−N(1本)、溶媒:テトラヒドロフラン、流量:0.6mL/min、検出器:RI(40℃)、カラム温度40℃、注入量50μL、サンプル濃度0.3質量%の条件にて測定した標準ポリスチレン換算での数平均分子量を示す。
(D)成分の平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザー3000AeroS)を用いて分散空気圧2barの条件下で測定した累積重量平均径:D50の値を示す。
[実施例1]
(A−1)23℃における粘度が5,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、(B−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートS−20、丸尾カルシウム(株)製)40質量部と、(B−2)表面が脂肪酸にて処理されたコロイド質炭酸カルシウム(商品名;カーレックス300、丸尾カルシウム(株)製)60質量部、(B−3)粉状カーボンブラック(デンカブラック粉状、デンカ(株)製)10質量部を加えて混合した後、(C−1)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン7質量部を加え、減圧下で混合した。
次に、(A−1)と(B−1)と(B−2)と(B−3)と(C−1)との混合物に、(D−1)MeSiO1/2単位、及びSiO4/2単位から成り、分子量が約6,400で、かつ、シラノール基含有量が0.07mol/100gであり、粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂(平均粒径;6.5μm)を10質量部加え、減圧下で混合した。さらに、(E−1)キシリレンジアミンと3−クロロプロピルトリメトキシシランの脱塩酸反応により得られた化合物(商品名;CF−73、信越化学工業(株)製)1質量部と、(F−1)ジオクチルスズジバーサテート0.1質量部とを加え、減圧下で完全に混合し、組成物1を得た。
[実施例2]
(A−1)23℃における粘度が5,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、(B−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートS−20、丸尾カルシウム(株)製)100質量部と、(B−3)粉状カーボンブラック(デンカブラック粉状、デンカ(株)製)10質量部を加えて混合した後、(C−2)ビニルトリイソプロペノキシシラン6質量部を加え、減圧下で混合した。
次に、(A−1)と(B−1)と(B−3)と(C−2)との混合物に、(D−2)MeSiO1/2単位、及びSiO4/2単位から成り、分子量が約5,500で、かつ、シラノール基含有量が0.03mol/100gであり、粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂(平均粒径;7.1μm)を10質量部加え減圧下で混合した。さらに、(E−1)キシリレンジアミンと3−クロロプロピルトリメトキシシランの脱塩酸反応により得られた化合物(商品名;CF−73、信越化学工業(株)製)1質量部と、(F−2)テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン0.6質量部とを加え、減圧下で完全に混合し、組成物2を得た。
[実施例3]
(A−1)23℃における粘度が5,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、(C−3)ビニルトリメトキシシラン7質量部、(F−2)テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン0.6質量部を加え混合し、(B−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートS−20、丸尾カルシウム(株)製)40質量部と、(B−2)表面が脂肪酸にて処理されたコロイド質炭酸カルシウム(商品名;カーレックス300、丸尾カルシウム(株)製)60質量部、(B−3)粉状カーボンブラック(デンカブラック粉状、デンカ(株)製)10質量部を加えて減圧下で混合した。
次に、(A−1)と(C−3)と(F−2)と(B−1)と(B−2)と(B−3)との混合物に、(D−1)MeSiO1/2単位、及びSiO4/2単位から成り、分子量が約6,400で、かつ、シラノール基含有量が0.07mol/100gであり、粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂(平均粒径;6.5μm)を10質量部加え減圧下で混合した。さらに、(E−1)キシリレンジアミンと3−クロロプロピルトリメトキシシランの脱塩酸反応により得られた化合物(商品名;CF−73、信越化学工業(株)製)1質量部を加え、減圧下で完全に混合し、組成物3を得た。
[実施例4]
(A−1)23℃における粘度が5,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、(B−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートS−20、丸尾カルシウム(株)製)100質量部と、(B−3)粉状カーボンブラック(デンカブラック粉状、デンカ(株)製)10質量部を加えて混合した後、(C−2)ビニルトリイソプロペノキシシラン6質量部を加え、減圧下で混合した。
次に、(A−1)と(B−1)と(B−3)と(C−2)との混合物に、(D−3)MeSiO1/2単位、及びSiO4/2単位から成り、分子量が約7,500で、かつ、シラノール基含有量が0.06mol/100gである粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂(平均粒径;5.9μm)を10質量部加え、減圧下で混合した。さらに、(E−1)キシリレンジアミンと3−クロロプロピルトリメトキシシランの脱塩酸反応により得られた化合物(商品名;CF−73、信越化学工業(株)製)1質量部と、(E−2)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名;KBM−903、信越化学工業(株)製)0.5質量部、(F−2)テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン0.6質量部とを加え、減圧下で完全に混合し、組成物4を得た。
[比較例1]
(A−1)23℃における粘度が5,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、(B−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートS−20、丸尾カルシウム(株)製)40質量部と、(B−2)表面が脂肪酸にて処理されたコロイド質炭酸カルシウム(商品名;カーレックス300、丸尾カルシウム(株)製)60質量部、(B−3)粉状カーボンブラック(デンカブラック粉状、デンカ(株)製)10質量部を加えて混合した後、(C−1)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン7質量部を加え、減圧下で混合した。
次に、(A−1)と(B−1)と(B−2)と(B−3)と(C−1)との混合物に、(E−1)キシリレンジアミンと3−クロロプロピルトリメトキシシランの脱塩酸反応により得られた化合物(商品名;CF−73、信越化学工業(株)製)1質量部と、(F−1)ジオクチルスズジバーサテート0.1質量部とを加え、減圧下で完全に混合し、組成物5を得た。
[比較例2]
(A−1)23℃における粘度が5,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、(B−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートS−20、丸尾カルシウム(株)製)100質量部と、(B−3)粉状カーボンブラック(デンカブラック粉状、デンカ(株)製)10質量部を加えて混合した後、(C−2)ビニルトリイソプロペノキシシラン6質量部を加え、減圧下で混合した。
次に、(A−1)と(B−1)と(B−3)と(C−2)との混合物に、(D−4)MeSiO1/2単位、及びSiO4/2単位から成り、分子量が約1,500で、かつ、シラノール基含有量が0.16mol/100gであり、粉体状の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂(平均粒径;6.6μm)を10質量部加え減圧下で混合した。さらに、(E−1)キシリレンジアミンと3−クロロプロピルトリメトキシシランの脱塩酸反応により得られた化合物(商品名;CF−73、信越化学工業(株)製)1質量部と、(F−2)テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン0.6質量部とを加え、減圧下で完全に混合し、組成物6を得た。
[比較例3]
(A−1)23℃における粘度が5,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、(B−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートS−20、丸尾カルシウム(株)製)100質量部と、(B−3)粉状カーボンブラック(デンカブラック粉状、デンカ(株)製)10質量部を加えて混合した後、(C−2)ビニルトリイソプロペノキシシラン6質量部を加え、減圧下で混合した。
次に、(A−1)と(B−1)と(B−3)と(C−2)との混合物に、(D−5)MeSiO1/2単位、及びSiO4/2単位から成り、分子量が約13,500で、かつ、シラノール基含有量が0.01mol/100gであり、粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂(平均粒径;7.4μm)を10質量部加え減圧下で混合し、(E−1)キシリレンジアミンと3−クロロプロピルトリメトキシシランの脱塩酸反応により得られた化合物(商品名;CF−73、信越化学工業(株)製)1質量部と、(F−2)テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン0.6質量部とを加え、減圧下で完全に混合し、組成物7を得た。
[比較例4]
(A−1)23℃における粘度が5,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、(B−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートS−20、丸尾カルシウム(株)製)40質量部と、(B−2)表面が脂肪酸にて処理されたコロイド質炭酸カルシウム(商品名;カーレックス300、丸尾カルシウム(株)製)60質量部、(B−3)粉状カーボンブラック(デンカブラック粉状、デンカ(株)製)10質量部を加えて混合した後、(C−1)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン7質量部を加え、減圧下で混合した。
次に、(A−1)と(B−1)と(B−2)と(B−3)と(C−1)との混合物に、(D−1)MeSiO1/2単位、及びSiO4/2単位から成り、分子量が約6,400で、かつ、シラノール基含有量が0.07mol/100gであり、粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂(平均粒径;6.5μm)を10質量部加え減圧下で混合し、(E−1)キシリレンジアミンと3−クロロプロピルトリメトキシシランの脱塩酸反応により得られた化合物(商品名;CF−73、信越化学工業(株)製)1質量部と、(F−1)ジオクチルスズジバーサテート0.005質量部とを加え、減圧下で完全に混合し、組成物8を得た。
[比較例5]
(A−1)23℃における粘度が5,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、(B−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートS−20、丸尾カルシウム(株)製)100質量部と、(B−3)粉状カーボンブラック(デンカブラック粉状、デンカ(株)製)10質量部を加えて混合した後、(C−2)ビニルトリイソプロペノキシシラン6質量部を加え、減圧下で混合した。
次に、(A−1)と(B−1)と(B−3)と(C−2)との混合物に、MeSiO1/2単位、及びSiO4/2単位から成り、分子量が約5,500で、かつ、シラノール基含有量が0.03mol/100gである三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂がトルエン中に完全に溶解した60質量%トルエン溶液を16.5質量部(該溶液中の非粉体状三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂量;10質量部)加え減圧下で混合した。上記溶液は、三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂を完全に溶解させたのち添加した。(E−1)キシリレンジアミンと3−クロロプロピルトリメトキシシランの脱塩酸反応により得られた化合物(商品名;CF−73、信越化学工業(株)製)1質量部と、(F−2)テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン0.6質量部とを加え、減圧下で完全に混合し、組成物9を得た。
[試験方法]
上記実施例1〜4と、比較例1〜5で調製された組成物1〜9(自動車LLCシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物)を、それぞれ深さ2mmの型枠に流し込み、23℃、50%RHで7日間養生して2mm厚のゴムシート(室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物含有硬化物)を得た。
JIS A 5758に規定される方法に準じてタックフリータイム(指触乾燥時間)を測定し、JIS K 6249に準じて2mm厚シートのゴム物性(硬さ、切断時伸び、引張り強度)を測定した。
硬化速度試験は、内径が10mmのガラスシャーレに組成物1〜9をそれぞれ充填し、23℃、50%RHで1日静置後に空気に触れた部分から硬化して厚さを測定して行った。
初期シール性の試験は、耐圧試験により行った。試験装置には、JIS K 6820に規定されている耐圧試験用フランジ圧力容器に類似する圧力容器を用いた。該圧力容器は、内径58mm、外径80mm、高さ10mmの上側フランジと加圧口とを有する上側容器と、上側フランジと同寸法の下側フランジを有する下側容器とからなり、下側フランジのシール面のインナー側縁部には、幅3mm、深さ3mmの環状の切り欠きが円周に沿って設けられている。この下側容器の下側フランジのシール面をトルエンにより洗浄した。その後、上記組成物1〜9を、下側容器の下側フランジのシール面が十分に満たされるだけの塗布量で塗布し、下側フランジのシール面中央部にビード状に塗布した。塗布後直ちに、圧力容器の上側容器を、上側フランジと下側フランジのシール面とが当接するように、下側容器に載せ、20.50mmの鉄製スペーサーを設置して4本の締め付けボルトを組み付けた。当該スペーサーにより上側と下側とのシール面間は0.5mmの間隔が生じているが、耐圧試験をより過酷にする、いわゆる促進試験である。いずれも23℃、50%RHで30分間静置して、組成物1〜9を硬化させた後、上側容器の加圧口から気体を挿入し、組成物1〜9の硬化物(シール剤)が耐えうる気体圧をシール強度とし、100kPa以上のものを合格と判定した。
また、これらの組成物より、幅25mm、長さ100mmのアルミニウム及び自動車電装部品用樹脂として有力視されているナイロン66(PA66)(商品名;ザイデル80G33HS1L、デュポン(株)製)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)(商品名;ジュラネックス3300、ポリプラスチックス(株)製)を試験片として、それぞれ同材の試験片同士を、組成物1〜9を用いて、各試験片の接着面積2.5mm、接着厚さ1mmで接着したせん断接着試験体1〜27を作製した。試験体1〜9の試験片はアルミニウムであり、試験体10〜18の試験片はPA66であり、試験体19〜27の試験片はPBTである。試験体1〜27を、いずれも23℃、50%RHで4日間養生した。これらの試験体を用いてアルミニウム及び各樹脂に対するせん断接着力と凝集破壊率をJIS K 6249に規定する方法に準じて測定し、凝集破壊率を比較した。
また、耐LLC性能を確認するため、得られた組成物1〜9の硬化物のシリコーンゴムシート及びせん断接着試験体1〜27とをロングライフクーラントの水道水50%溶液[商品名:トヨタスーパーロングライフクーラント]に浸漬し、耐圧容器を用いて、120℃にて240時間経過させ、シートと試験体との硬化物を劣化させて、その後製造初期と同様の試験を行うことで、せん断接着力と凝集破壊率を測定し、耐LLC性能の確認試験を行った。
Figure 2018184520

これらの結果を以下の表2に示す。
Figure 2018184520

実施例1〜4では良好な耐LLC性能、接着性、初期シール性を示した。一方、比較例1〜3では耐LLC性能に乏しく、比較例4では接着性や初期シール性が悪化した。特に粉体の三次元構造網状オルガノポリシロキサン樹脂未添加の比較例1では、耐LLC性能が著しく悪化する結果となった。比較例5では三次元構造網状オルガノポリシロキサン樹脂を完全に溶解させた60%トルエン溶液を使用しているが、粉体の三次元構造網状オルガノポリシロキサン樹脂を使用した実施例1〜4の方が、耐LLC性能に優れる結果となった。また、比較例5ではVOCを組成物中に含むことから、環境保護の観点から好ましくない。耐LLC試験後のPA66、PBTせん断試験はせん断試験片自体の劣化が激しく、測定できなかった。
以上の結果より、VOC含有量が極めて少ない本発明による自動車LLCシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が有効であることがわかった。
〔4〕
本発明は、(E)成分のシランカップリング剤が、下記一般式(3)
Figure 2018184520


(式(3)中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基であり、cは1〜3の整数である。R 10は炭素数1〜10の二価炭化水素基であり、R11は芳香環と二価鎖状脂肪族炭化水素基とを含む炭素数7〜10の二価炭化水素基である。NH基及びNH基の少なくとも一方は、R11の二価鎖状脂肪族炭化水素基を介して芳香環に結合する。)
で示される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物を含有するものである〔1〕ないし〔3〕のいずれか一つに記載の自動車ロングライフクーラントシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を包含する。
上記式(2)中、Rは窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる原子を含むイソシアネート基以外の官能性基(例えば、非置換又は置換アミノ基、非置換又は置換イミノ基、アミド基、ウレイド基、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基等)を少なくとも1個有する炭素数1〜20の一価炭化水素基であり、具体的には、β−(2,3−エポキシシクロヘキシル)エチル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基、γ−アクリロキシプロピル基、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル基、γ−アミノプロピル基、N−フェニル−γ−アミノプロピル基、γ−ウレイドプロピル基、γ−メルカプトプロピル基等の窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる原子の少なくとも1つを含む炭素数3〜20、特に炭素数8〜14の一価炭化水素基が挙げられる。
(式(3)中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基であり、cは1〜3の整数である。該炭化水素基の炭素数は1〜8が好ましく、cは、2又は3が好ましい。R10は炭素数1〜10の二価炭化水素基であり、R11は芳香環と二価鎖状脂肪族炭化水素基とを含む炭素数7〜10の二価炭化水素基である。NH基(イミノ基)及びNH基(アミノ基)の少なくとも一方は、R11の二価鎖状脂肪族炭化水素基を介して芳香環に結合する。上記式(3)で示される本発明の(E)成分については、詳しくは特開平5−105689号公報に記載されものを使用できる。

Claims (5)

  1. (A)下記一般式(1)で示される23℃における粘度が2,000mPa・s以上のオルガノポリシロキサン:100質量部、
    HO−(SiR O)−H (1)
    (式(1)中、Rは炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、各Rは互いに同一であっても異種の基であってもよい。aは100以上の整数である。)
    (B)無機質充填剤:1〜500質量部、
    (C)ケイ素原子に結合した加水分解性基を分子中に3個以上有する加水分解性オルガノシラン化合物及び/又は該加水分解性オルガノシラン化合物の部分加水分解縮合物:0.1〜40質量部、
    (D)R SiO1/2単位及びSiO4/2単位を含み、SiO4/2単位に対するR SiO1/2単位のモル比が0.5〜1.5であり、かつケイ素原子に結合したヒドロキシ基を0.01〜0.1モル/100g有する、数平均分子量が4,000〜10,000である粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂:3〜20質量部、
    (式中、Rは独立に非置換又は置換の炭素数1〜6の1価炭化水素基を表す。)
    (E)下記一般式(2)で示されるシランカップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物:0.01〜5質量部、
    Si(OR3−b (2)
    (式(2)中、Rは、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれるいずれか一つ以上の原子を少なくとも1個有する炭素数1〜20の一価炭化水素基である。R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基である。bは0、1又は2である。)、及び
    (F)硬化触媒:0.01〜20質量部
    を含有する自動車ロングライフクーラントシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  2. (D)成分の粉体の三次元網状構造オルガノポリシロキサン樹脂が、更に、R SiO2/2単位及びRSiO3/2単位を含み、SiO4/2単位に対するR SiO2/2単位のモル比が0より多く1.0以下であり、SiO4/2単位に対するRSiO3/2単位のモル比が0より多く1.0以下である、請求項1に記載の自動車ロングライフクーラントシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  3. (B)成分の無機質充填剤が、表面処理剤により処理された、炭酸カルシウム、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、カーボンブラック及び酸化アルミニウムから選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の自動車ロングライフクーラントシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  4. (E)成分のシランカップリング剤が、下記一般式(3)
    Figure 2018184520

    (式(3)中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基であり、cは1〜3の整数である。ただしcが3であるとき、Rは水素原子である。R10は炭素数1〜10の二価炭化水素基であり、R11は芳香環と二価鎖状脂肪族炭化水素基とを含む炭素数7〜10の二価炭化水素基である。NH基及びNH基の少なくとも一方は、R11の二価鎖状脂肪族炭化水素基を介して芳香環に結合する。)で示される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物を含有するものである請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の自動車ロングライフクーラントシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の自動車ロングライフクーラントシール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含む硬化物である自動車ロングライフクーラントシール材。
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