JP2018183890A - 立体構造物の造形方法、および立体構造物の造形装置、並びに立体構造物の造形装置用のプログラム - Google Patents

立体構造物の造形方法、および立体構造物の造形装置、並びに立体構造物の造形装置用のプログラム Download PDF

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和浩 越智
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Abstract

【課題】立体構造物の造形精度を向上する。【解決手段】造形装置10を用いて立体構造物Tを造形する造形方法であって、立体構造物Tを造形方向で複数に区画して複数の造形層L(L1〜Ln)を設定する造形層設定工程と、キャリッジ20を、主走査方向Yに移動させつつインク組成物を吐出させる充填パス動作を、所定回数実行して造形層Lを形成する造形層形成工程と、所定回数目の充填パス動作の際に、ローラ241により未硬化の造形層Lxの平坦化を行う平坦化工程と、平坦化工程に並行して、平坦化された硬化前の造形層Lxを硬化させて造形層Lを形成する硬化工程と、を有し、所定回数目の充填パス動作の少なくとも1回前の充填パス動作は、キャリッジ20の移動方向を基準とした順送り方向にローラ241を回転させると共に、回転するローラ241の周速度Vaを、キャリッジ20の主走査方向Yの移動速度V1以上(Va≧V1)にして実行する。【選択図】図8

Description

本発明は、立体構造物の造形装置と、この造形装置を用いる立体構造物の造形方法に関する。
近年、いわゆる3Dプリンタと呼ばれる立体構造物の造形装置が種々提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2012−096427号公報
特許文献1の立体構造物の造形装置では、造形材を硬化させて形成した造形層を、高さ方向に積層することで、立体構造物を製造している。
立体構造物の造形装置は、造形材を吐出する造形材ヘッドと、吐出した造形材の高さを揃えて平坦化するためのローラと、吐出した造形材を硬化させる硬化手段と、を備えるキャリッジを有している。
このキャリッジは、立体構造物の造形台の上方で、主走査方向と、主走査方向に直交する副走査方向に移動可能に設けられている。キャリッジの造形台との対向面には、造形材ヘッドと、ローラと、硬化手段とが、主走査方向に並んで設けられている。
立体構造物の造形装置では、キャリッジを主走査方向に移動させつつ、造形材を造形材ヘッドから吐出することで、造形台または既に形成されている造形層の上に、未硬化の造形材の層を形成する。そして、形成した未硬化の造形材の層を硬化手段で硬化させることで造形層が形成される。
造形層は、キャリッジの充填パス動作により形成される。
充填パス動作では、キャリッジを主走査方向で往復移動させつつ、造形材ヘッドから造形材を吐出させる動作を複数回行って未硬化の造形材の層を形成したのち、形成した未硬化の造形材の層の厚みが所定の厚みになるようにローラで平坦化する。そして、平坦化された未硬化の造形材の層を硬化させて造形層を形成する。
ここで、造形材ヘッドの副走査方向の幅よりも大きい幅の立体構造物の場合には、充填パス動作を完了する度に、キャリッジを副走査方向に移動し、移動した先で充填パス動作を新たに実施する。このキャリッジの充填パス動作と副走査方向の移動とを繰り返すことで造形層の全体が形成される。この場合には、各充填パス動作で形成される造形層は、最終的に得られる造形層の一部である。
ローラは、未硬化の造形材の層の表面を削って、硬化後に得られる造形層の上面を平滑にするために設けられている。
未硬化の造形材の層を例えば4回の充填パス動作で形成する場合には、キャリッジは、主走査方向に2往復することになる。ローラが1つである場合は、往路あるいは復路の何れか一方で1回、形成された未硬化の造形材の層が平坦化される。
しかし、複数回の充填パス動作を行って未硬化の造形材の層を形成する場合、各充填パス動作で吐出された造形材を、常に均一な高さで調整することは難しい。
そのため、3回目の充填パス動作までに形成された硬化済みの造形材の上面と、ローラとの干渉を避けることが難しく、硬化済みの造形材の上面がローラに削られてしまうことがある。
さらに、硬化済みの造形材の上面は固化しているので摩擦が大きい。そのため、ローラが干渉した際に、硬化済みの造形材の一部が剥離することや、ローラの駆動機構に過負荷が作用して、ローラの回転が停止することがある。
かかる場合には、最終的に得られる立体構造物の造形精度が低下してしまう。
そこで、最終的に得られる立体構造物の造形精度を向上させることが求められている。
本発明は、
立体構造物の造形台と、
前記造形台の上方で主走査方向に移動可能に配置されると共に、造形材を含むインク組成物の吐出ヘッドと、吐出したインク組成物の高さを揃えて平坦化するローラと、前記吐出したインク組成物を硬化させる硬化手段とが、前記造形台との対向部で前記主走査方向に並んだキャリッジと、を有する造形装置を用いて、前記立体構造物を造形する前記立体構造物の造形方法であって、
前記立体構造物を、当該立体構造物の造形方向で複数に区画して、複数の造形層を設定する造形層設定工程と、
前記キャリッジを前記主走査方向に移動させつつ、前記吐出ヘッドから前記インク組成物を吐出させる充填パス動作を、所定回数実行して前記造形層を形成する造形層形成工程と、を有し、
前記造形層形成工程は、
前記所定回数目の前記充填パス動作において、前記キャリッジの移動方向を基準とした逆送り方向に前記ローラを回転させて、前記吐出されたインク組成物からなる硬化前の造形層の表面を、前記ローラの表面に付着させて掻き上げることで、前記硬化前の造形層の高さを均一化して平坦化する平坦化工程と、
前記平坦化工程に並行して、平坦化された前記硬化前の造形層を前記硬化手段で硬化させて前記造形層を形成する硬化工程と、を有し、
前記造形層形成工程では、
前記所定回数目の1回前の前記充填パス動作は、前記キャリッジの移動方向を基準とした順送り方向に前記ローラを回転させると共に、回転する前記ローラの周速度を、前記キャリッジの前記主走査方向の移動速度以上にして実行される構成とした。
少なくとも前記所定回数目の1回前の前記充填パス動作は、前記ローラの周速度を、前記キャリッジの移動速度を基準として5〜10%速い速度にして実行される構成とした。
前記造形層形成工程では、
前記ローラを同じ方向に回転させながら、前記所定回数の充填パス動作が実行される構成とした。
前記吐出ヘッドと前記造形台との間隔を一定に保持したままで、前記所定回数の充填パス動作を実行すること構成とした。
前記造形層形成工程では、
前記キャリッジを前記主走査方向における一方側から他方側に移動させつつ実行される充填パス動作と、前記キャリッジを前記主走査方向における他方側から一方側に移動させつつ実行される充填パス動作と、を交互に実行して、前記所定回数の前記充填パス動作が実行されるように構成されており、
前記充填パス動作が1回実行される度に、前記キャリッジと前記造形台とを、前記主走査方向に直交する副走査方向で相対的に移動させてから、新たな充填パス動作が実行される構成とした。
前記吐出ヘッドにおける前記造形台との対向面には、前記インク組成物の吐出ノズルが、前記副走査方向に所定間隔で複数並んでおり、
前記キャリッジと前記造形台との前記副走査方向での相対的な移動は、前記副走査方向における前記吐出ノズルの間隔の範囲内で実施される構成とした。
前記吐出ヘッドにおける前記造形台との対向面には、前記インク組成物の吐出ノズルが、前記副走査方向に所定間隔で複数並んでおり、
前記キャリッジと前記造形台との前記副走査方向での相対的な移動は、前記副走査方向で並んだ前記複数の吐出ノズルの全長を基準とした所定長ずつ実施される構成とした。
前記所定回数目の充填パス動作は、前記キャリッジを前記主走査方向における他方側から一方側に移動させながら実施されるように構成されており、
前記キャリッジでは、前記他方側から順番に、前記硬化手段と、前記ローラと、前記吐出ヘッドとが並んでいる構成とした。
前記立体構造物は、
当該立体構造物に対応する外形で、前記インク組成物に含まれる前記造形材から形成した内部造形領域と、
前記内部造形領域の表面を覆うと共に、着色成分を含むインク組成物の少なくともひとつで形成した着色領域と、を有している構成とした。
前記立体構造物は、
前記内部造形領域と前記着色領域との間に、白色の着色成分を含むインク組成物で形成した白色領域を有している構成とした。
前記立体構造物は、
前記白色領域と前記着色領域との間に、透明な前記インク組成物で形成した内側透明領域を有している構成とした。
前記立体構造物は、
前記着色領域の表面を覆うと共に、透明な前記インク組成物で形成した外側透明領域を有している構成とした。
本発明は、
立体構造物の造形台と、
前記造形台の上方で主走査方向に移動可能に配置されると共に、造形材を含むインク組成物の吐出ヘッドと、吐出したインク組成物の高さを揃えて平坦化するローラと、前記吐出したインク組成物を硬化させる硬化手段とが、前記造形台との対向部で前記主走査方向に並んだキャリッジと、
前記立体構造物の造形を制御する制御部と、を有する立体構造物の造形装置であって、
前記制御部は、
前記立体構造物を、当該立体構造物の造形方向で複数に区画して、複数の造形層を設定する造形層設定手段と、
前記キャリッジを前記主走査方向に移動させつつ、前記吐出ヘッドから前記インク組成物を吐出させる充填パス動作を、所定回数実行して造形層を形成する造形層形成手段と、を有し、
前記造形層形成手段は、
前記所定回数目の前記充填パス動作において、前記キャリッジの移動方向を基準とした逆送り方向に前記ローラを回転させて、吐出されたインク組成物からなる硬化前の造形層の表面を、前記ローラの表面に付着させて掻き上げることで、前記硬化前の造形層の高さを均一化して平坦化すると共に、平坦化された前記硬化前の造形層を前記硬化手段で硬化させ、
さらに、前記造形層形成手段は、
前記所定回数目の1回前の前記充填パス動作において、前記キャリッジの移動方向を基準とした順送り方向に前記ローラを回転させると共に、回転する前記ローラの周速度を、前記キャリッジの前記主走査方向の移動速度以上にする構成とした。
本発明は、
立体構造物の造形台と、
前記造形台の上方で主走査方向に移動可能に配置されると共に、造形材を含むインク組成物の吐出ヘッドと、吐出したインク組成物の高さを揃えて平坦化するローラと、前記吐出したインク組成物を硬化させる硬化手段とが、前記造形台との対向部で前記主走査方向に並んだキャリッジと、
前記立体構造物の造形を制御する制御用コンピュータと、を有する立体構造物の造形装置用のプログラムであって、
前記制御用コンピュータを、
前記立体構造物を、当該立体構造物の造形方向で複数に区画して、複数の造形層を設定する造形層設定手段、
前記キャリッジを前記主走査方向に移動させつつ、前記吐出ヘッドから前記インク組成物を吐出させる充填パス動作を、所定回数実行して造形層を形成する造形層形成手段、として機能させると共に、
前記造形層形成手段が、
前記所定回数目の前記充填パス動作において、前記キャリッジの移動方向を基準とした逆送り方向に前記ローラを回転させて、吐出されたインク組成物からなる硬化前の造形層の表面を、前記ローラの表面に付着させて掻き上げることで、前記硬化前の造形層の高さを均一化して平坦化すると共に、平坦化された前記硬化前の造形層を前記硬化手段で硬化させ、
さらに、
前記所定回数目の1回前の前記充填パス動作において、前記キャリッジの移動方向を基準とした順送り方向に前記ローラを回転させると共に、回転する前記ローラの周速度を、前記キャリッジの前記主走査方向の移動速度以上にする構成とした。
本発明によれば、最終的に得られる立体構造物の造形精度を向上する。
立体構造物の造形装置の構成を説明する図である。 立体構造物の造形装置で作成される立体構造物の一例を示す斜視図である。 立体構造物の造形装置で作成される立体構造物の断面図である。 立体構造物の造形装置で立体構造物を作成する際に使用される3次元データを説明する図である。 立体構造物を高さ方向で複数の造形層に区画した場合における造形層のスライスデータを説明する図である。 スライスデータに基づく造形層の形成を説明する図である。 小ピッチパス方式で充填パス動作を行う場合を説明する図である。 小ピッチパス方式で充填パス動作を行う場合を説明する図である。 従来例にかかる方法で造形層を形成する場合を説明する図である。 立体構造物の造形装置における立体構造物の造形過程を説明するフローチャートである。 立体構造物の造形装置における立体構造物の造形過程を説明するフローチャートである。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、立体構造物Tの造形装置10の構成を説明する図であり、(a)は、造形装置10の概略構成図であり、(b)は、造形装置10のキャリッジ20を、造形台11側の下方から見た平面図である。
なお、以下の説明では、造形装置10のキャリッジ20を、主走査方向Yと、主走査方向Yに直交する副走査方向Xに相対的に移動させて、立体構造物Tを作成する場合を例に挙げて、造形装置10の各部の構成と、立体構造物Tの作成過程などを説明する。
図1の(a)に示すように、造形装置10は、立体構造物Tの造形台11と、造形台11の上方で主走査方向Yに移動可能に配置されたキャリッジ20と、造形装置10を制御する制御装置30と、を有している。
造形台11は、鉛直線VLに直交して略水平に配置された板状部材であり、上面視において略矩形形状を成す造形台11は、造形される立体構造物Tを載置可能な所定面積で形成されている。
この造形台11の上面11aは、造形される立体構造物Tの載置面であり、鉛直線VLに直交する平坦面となっている。
造形台11の一側には、鉛直線VL方向に延びる連結アーム12が接続されており、この連結アーム12の上部に設けた連結部13は、鉛直線VLに沿って配置されたガイドレール14に連結されている。
この状態において、連結部13は、ガイドレール14の長手方向に沿って移動可能に設けられており、連結部13の内部に設けた駆動機構(図示せず)が、制御装置30からの指令に基づいて動作すると、連結部13に連結アーム12を介して接続された造形台11が、鉛直線VLに沿う上下方向に、移動するようになっている。
造形台11の上方には、主走査方向Yに沿って配置されたガイドレール15が設けられており、このガイドレール15では、インク組成物を吐出する複数のインクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23と、吐出されたインク組成物の層の高さを揃えて平坦化するローラユニット24と、平坦化されたインク組成物の層に紫外線を照射して、インク組成物に含まれる紫外線硬化型の樹脂を硬化させる紫外線照射ユニット25(硬化手段)と、を有するキャリッジ20が、主走査方向Yに移動可能に設けられている。
キャリッジ20は、ガイドレール15との連結部16に図示しない駆動機構を有しており、この駆動機構が制御装置30からの指令に基づいて動作することで、キャリッジ20が、ガイドレール14に沿って、主走査方向Yに移動するようになっている。
図1の(b)に示すように、造形台11に対向するキャリッジ20の下面20aには、インク組成物を吐出する複数のインクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23と、ローラユニット24と、硬化用の紫外線照射ユニット25とが、主走査方向Yに並んで設けられている。
インクヘッド21は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のインク組成物をそれぞれ吐出する着色用ヘッド21Y、21M、21C、21Kと、W(ホワイト)のインク組成物を吐出する白色用ヘッド21Wと、着色成分を含まない透明なインク組成物を吐出するクリア用ヘッド21Tと、を有している。
クリア用ヘッド21Tと、着色用ヘッド21Y、21M、21C、21Kでは、インク組成物の吐出ノズル211が、主走査方向Yに直交する副走査方向Xに所定間隔Waで並んでおり、白色用ヘッド21Wでも、インク組成物の吐出ノズル212が、副走査方向Xに所定間隔Wbで複数設けられている。
なお、WaとWbの値は造形物に求める着色画像の解像度(Wa)と形状の解像度(Wb)で決まる。
図1の(b)では視覚的に重要度が高い着色画像の解像度を高解像度とし、Wb>Waで示した。
着色用ヘッド21Y、21M、21C、21Kから吐出されるインク組成物は、着色顔料などの着色成分と、紫外線硬化型の樹脂などの成分と、溶媒成分と、各種の添加剤と、を含む着色されたインク組成物である。
白色用ヘッド21Wから吐出されるインク組成物は、白色顔料などの着色成分と、紫外線硬化型の樹脂などの成分と、溶媒成分と、各種の添加剤と、を含む白色のインク組成物である。
クリア用ヘッド21Tから吐出されるインク組成物は、紫外線硬化型の樹脂などの成分と、溶媒成分と、各種の添加剤と、を含む透明なインク組成物である。
造形材用ヘッド22は、立体構造物Tの中心領域を造形するインク組成物(以下、造形材組成物とも標記する)を吐出するものであり、この造形材用ヘッド22(以下、インクヘッド22とも標記する)では、造形材組成物の吐出ノズル221が、副走査方向Xに所定間隔Wbで並んでいる。
造形材用ヘッド22から吐出されるインク組成物は、紫外線硬化型の樹脂などのバインダ成分と、バインダ成分を分散させた状態で保持する溶媒成分と、各種の添加剤と、を含むインク組成物である。
なお、造形材用ヘッド22はサポート材用ヘッド以外の他のヘッドで兼用しても良く、複数のヘッドの組合せでも良い。
サポート材用ヘッド23は、サポート領域23を造形するインク組成物(以下、サポート材組成物とも標記する)を吐出するものである。サポート領域とは、立体構造物Tの外周を囲んで支持する領域である。
このサポート材用ヘッド23(以下、インクヘッド23とも標記する)では、サポート材組成物の吐出ノズル231が、副走査方向Xに所定間隔Wbで並んでいる。
サポート材用ヘッド23から吐出されるインク組成物は、例えば紫外線硬化型の樹脂であって、硬化後に水に溶解可能な樹脂からなる成分と、溶媒成分と、各種の添加剤と、を含むインク組成物である。
実施の形態のキャリッジ20では、主走査方向Yにおける一方側から順番に、サポート材用ヘッド23と、造形材用ヘッド22と、白色用ヘッド21Wと、着色用ヘッド21Yと、着色用ヘッド21Mと、着色用ヘッド21Cと、着色用ヘッド21Kと、クリア用ヘッド21Tとが、主走査方向Yに沿って並んでいる。
これらヘッド23、22、21W、21Y、21M、21C、21K、21Tの各々は、それぞれ、副走査方向Xに沿う向きで設けられていると共に、副走査方向Xに同じ幅W1を有している。
紫外線照射ユニット25は、着色用ヘッド21Y、21M、21C、21K、白色用ヘッド21W、クリア用ヘッド21T、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23から吐出されたインク組成物に紫外線を照射するものである。
紫外線照射ユニット25は、インク組成物に含まれる紫外線硬化型の樹脂を硬化させるために設けられており、紫外線の光源としてはメタルハライドランプや紫外線LEDが用いられる。
紫外線照射ユニット25は、前記したインクヘッド21などの副走査方向Xの幅W1より広い幅W2で設けられている。
ローラユニット24は、紫外線照射ユニット25とサポート材用ヘッド23との間に設けられている。ローラユニット24は、副走査方向Xに沿う向きで配置された金属製のローラ241と、ローラ241の外周に付着したインク組成物を掻き取るブレード242と、ブレード242で掻き取られたインク組成物を収容するインク収容部243と、を有している。
ローラ241は、副走査方向Xに対して平行な軸線X1(図1の(a)参照)回りに回転可能に設けられており、このローラ241の造形台11側の外周は、キャリッジ20の下面20aよりも造形台11側に、所定高さha突出した位置に配置されている。
ローラ241には、図示しない駆動機構が付設されており、制御装置30からの指令に基づいて駆動機構が動作すると、ローラ241が軸線X1回りに回転するようになっている。
なお、回転の立ち上がりを早くするために造形装置の稼動時は常に回転させ、特別なオン・オフ制御は行わない。
回転するローラ241は、硬化前のインク組成物(後記する未硬化の造形層Lx)の表面側のインク組成物を、表面に付着させて巻き上げて、未硬化の造形層Lxの表面を平坦化するために設けられている。なお、未硬化の造形層Lxの表面の平坦化は後述する。
ここで、造形装置10で作成される立体構造物Tについて説明する。
図2は、造形装置10で作成される立体構造物Tの一例を示す斜視図であり、図3は、造形装置10で立体構造物Tを作成する際に形成される造形物MTの断面図であって、図2における面Aで立体構造物Tを切断したときの断面を、サポート材領域55と共に示した図に相当する。
図3に示すように、立体構造物Tは、内部造形領域50の外側を、内部白色領域51と、内部クリア領域52と、着色領域53と、外部クリア領域54とが、この順番で覆うことで形成される。立体構造物Tを作成する際に造形装置10で形成される造形物MTでは、立体構造物Tの下側を覆うようにサポート材領域55が設けられている。
内部造形領域50は、立体構造物Tの中心領域であり、インク組成物(造形材組成物)の硬化により、立体構造物Tの形状に対応した外形で中実に形成されている。
なお、内部造形領域50は、中空に形成されていても良い。
内部白色領域51は、ホワイト(W)のインク組成物の硬化により形成される領域であり、内部造形領域50の表面を全面に亘って覆っている。
実施の形態では、この内部白色領域51の表面側に、内部クリア領域52と着色領域53とが位置しており、内部白色領域51は、最終的に作成される立体構造物Tの表面から入射した光を反射して、減法混色法による着色領域53の色の視認性を向上させるために設けられている。
なお、内部白色領域51は、内部造形領域50と一体でホワイト(W)のインクで形成しても良い。反射性能としては、可視光領域のスペクトルを均一に反射することが好ましく、また、反射率は高いほど好ましい。
内部クリア領域52は、クリア(T)のインク組成物の硬化により形成される領域であり、内部白色領域51の表面を全面に亘って覆っている。
この内部クリア領域52は、内部白色領域51と着色領域53との混色を防ぐために設けられている。
なお、着色領域が十分に厚い場合は混色の問題は少ない。この場合には、内部クリア領域52を省略しても良い。
着色領域53は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)などの着色されたインク組成物の硬化により形成される領域である。着色領域53は、内部クリア領域52の外側を全面に亘って覆っており、立体構造物Tの表面に対して垂直な方向に一定の厚さで形成されている。
この着色領域53には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)などの着色されたインク組成物が、実現したい色に応じて決まる所定の割合で含まれており、立体構造物Tの表面には、この着色領域が呈する色が現れている。
なお、着色領域53に存在するインク組成物は、上記したY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)などのインク組成物に限定されるものではない。
クリア(T)のインク組成物や、ホワイト(W)のインク組成物が含まれていても良い。R(レッド)のインク組成物や、G(グリーン)のインク組成物や、B(ブルー)のインク組成物が含まれていても良い。さらに、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の淡色のインク組成物が含まれていても良い。
外部クリア領域54は、クリア(T)のインク組成物の硬化により形成される領域であり、着色領域53の表面を全面に亘って覆って、着色領域が物理的な傷や自然光に含まれる紫外線に起因する退色から保護している。
この外部クリア領域54は、着色領域53の表面を保護するために設けられている。
なお、着色領域53が十分に厚い場合は、外部クリア領域54を省略しても良い。
サポート材領域55は、インク組成物(サポート材組成物)の硬化により形成される領域である。このサポート材領域55は、後記する造形層Lを高さ方向に重ねて立体構造物Tを形成する際に、立体構造物Tなる領域のうち、造形台11側の下方に支持する部材が存在しない領域を支持するために設けられている。
なお、立体構造物Tの表面状態がサポート材領域55の有無で異なる場合は、立体構造物Tの上方にもサポート材領域55を形成し、表面状態を均一化しても良い。
以下、造形装置10による立体構造物Tの造形過程を説明する。
はじめに、立体構造物Tを作成する際のデータ(3次元データ、スライスデータ)を説明する。
図4は、造形装置10で立体構造物Tを作成する際の3次元データであって、図3に示す断面に対応するデータである。
図5は、立体構造物Tを高さ方向でN個の造形層Lに区画した場合におけるa番目の造形層Laのスライスデータを説明するX−Y面の図である。
図6は、スライスデータに基づく造形層Laの形成を説明する図である。
図2および図3に示すように、造形装置10では、立体構造物Tを、高さ方向に所定間隔でスライス(区画)して、N個の造形層L(L1〜Ln:nは任意の整数)を設定し、造形台11側(下側)に位置する造形層L1から造形層Lnまで順番に形成することで、立体構造物Tを作成する。
各造形層Lは、キャリッジ20の充填パス動作により形成される。
充填パス動作では、キャリッジ20を主走査方向Yで往復移動させつつ、紫外線硬化型の樹脂を含むインク組成物(造形材)をヘッドから吐出させる動作(充填パス動作)を複数回行って未硬化の造形材の層(未硬化の造形層Lx)を形成する。
そして、形成した未硬化の造形層Lxに紫外線を照射して硬化させることで造形層Lを形成する。
ここで、ヘッドは、前記したインクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)や、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23である。
なお、ヘッドの副走査方向Xの幅よりも大きい幅の立体構造物Tを造形する場合には、所定回数の充填パス動作を完了する度に、キャリッジ20と造形台11とを副走査方向Xで相対的に移動させ、所定回数の充填パス動作を新たに実施する。
このキャリッジ20の所定回数の充填パス動作と副走査方向Xの移動とを繰り返すことで造形層Lの全体が形成される。この場合には、所定回数の充填パス動作の各々で形成される造形層は、最終的に得られる造形層の一部である。
なお、未硬化の造形層Lxの形成は、立体構造物Tの3次元データ(3Dデータ)から、各造形層L(L1〜Ln)を規定するスライスデータを生成し、生成したスライスデータに基づいて、インクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)からのインク組成物の吐出や、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23からのインク組成物の吐出を制御することで行われる。
例えば、立体構造物Tにおける各領域(内部造形領域50、内部白色領域51、内部クリア領域52、着色領域53、外部クリア領域54)の分布を示す3次元データ(立体構造物Tの3次元データ)が、図4に示すような内容を示している場合、この3次元テータを立体構造物Tの造形方向(高さ方向)でN個に区画して、各造形層Lのスライスデータを作成すると、例えばa個目の造形層Laのスライスデータは、図5に示すような内容となる。
この図5に示すスライスデータは、立体構造物Tの断面(造形層La)における各領域(内部造形領域50、内部白色領域51、内部クリア領域52、着色領域53、外部クリア領域54)の分布と、外部クリア領域54の外周を囲むサポート材領域55の分布を示す2次元データであり、この2次元データにより、各インク組成物を吐出する平面上の位置と、吐出量とが特定できるようになっている。
この中で、特に着色領域53については立体構造物Tの表面に対して垂直な方向に一定の厚さで形成されており、1つの造形層Lの着色領域53の面積の中で、表面の着色データに基づいて、誤差拡散法やFMスクリーン法により着色されたインク組成物を配置して着色する。
実施の形態では、図6に示すように、造形装置10の制御装置30が、各造形層Lを作成する際に、キャリッジ20を主走査方向Yに移動させながら、スライスデータに基づいて、キャリッジ20のインクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23)からのインク組成物の吐出を制御する充填パス動作を実施する。
この充填パス動作において、例えばキャリッジ20を主走査方向Yに2往復させることで、各領域(内部造形領域50、内部白色領域51、内部クリア領域52、着色領域53、外部クリア領域54、サポート材領域55)が、スライスデータで規定された分布で存在する造形層Lが形成されるようになっている。
図6の場合には、キャリッジ20を主走査方向Yに2往復させる充填パス動作を行うと、キャリッジ20のインクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23)の幅に対応する幅で、造形層Lの一部が形成される(図6の(a)参照)。
そのため、図6の場合には、2往復の充填パス動作を完了したのちに、キャリッジ20と造形台11とを副走査方向Xで相対的に移動させたのち、2往復の充填パス動作を新たに実施することで、造形層Lの残りの一部が形成されて、造形層Lが全体的に形成される(図6の(b)参照)。
なお、造形層Lの一部を完成させるのに必要な充填パス動作の回数は、図1の(b)におけるノズルの間隔Wa、Wbと立体構造物Tに要求する解像度とで決まる。例えば、Wa、Wbが解像度のピッチの4倍である場合は4回の充填パス動作が必要である。
このような充填パス動作は、平面に隙間無くインク組成物の吐出を行うように制御することであり、2次元のインクジェットプリンターで公知の技術である。
また、造形層Lの全体を完成させるのに必要なパス動作の回数は、図1の(b)におけるノズルの並び長(幅W1)と造形層LのX方向(副走査方向)の寸法に応じて決まる値となる。
以下、4回の充填パス動作を2回行って、造形層Lを形成する場合を例に挙げて説明する。
図7は、小ピッチパス方式で充填パス動作を行う場合におけるキャリッジ20の副走査方向Xへの移動と、未硬化の造形層Lxの形成を説明する図である。
図8は、小ピッチパス方式で充填パス動作を行う場合におけるキャリッジ20の主走査方向Yへの移動と、未硬化の造形層Lxの形成を説明する図である。
なお、図7では、吐出されたインク組成物の並びを模式的に示しており、図8では、吐出されたインク組成物の並びを実情に即して示している。
すなわち、図7では、インク組成物の理想的(原則的)な並びを示しており、図8では、インク組成物の実際の並びを示している。
図7に示すように、キャリッジ20の造形台11との対向面には、インク組成物の吐出ノズル211が、主走査方向Yに直交する副走査方向Xに所定間隔Waで並んでいる。
吐出ノズル211から吐出されたインク組成物の大きさ(幅)は、吐出ノズル211の間隔Waよりも小さい。そのため、立体構造物Tを作製する際に、吐出されたインク組成物を、造形台11の上面11aや既に形成されている造形層Lの上面に、隙間無く着弾させる必要がある。
そのため、造形層Lを形成する際には、始めに、ガイドレール15における一方側(図1の(a)における左側)から他方側(図1の(a)における右側)に、キャリッジ20を移動させながらインク組成物を吐出する充填パス動作(1回目の充填パス動作)を行う。
これにより、各吐出ノズル211から吐出されたインク組成物は、図7の(a)、図8の(a)、(e)に示すような並びとなる。
次に、インク組成物の着弾位置をオフセットさせるために、キャリッジ20と造形台11とを副走査方向Xで相対的に移動させたのち、前のパス動作とは反対方向(ガイドレール15における他方側から一方側)にキャリッジ20を移動させながらインク組成物を吐出する充填パス動作(2回目の充填パス動作)を行う。
これにより、各吐出ノズル211から吐出されたインク組成物は、図7の(b)、図8の(b)、(f)に示すような並びとなる。
ここで、着弾したインク組成物は、当該インク組成物の表面張力に応じて、裾野が広がった形状となるので、1回目の充填パス動作で着弾したインク組成物と、2回目の充填パス動作で着弾したインク組成物とは、互いの裾野が接触した状態となる(図8の(f)参照)。
そのため、2回目の充填パス動作で着弾したインク組成物は、1回目の充填パス動作で着弾したインク組成物よりも、高さが若干高くなる傾向がある(図8の(f)参照)。
そして、3回目のパス動作を行うと、3回目の充填パス動作で着弾したインク組成物が、1回目の充填パス動作で着弾したインク組成物と、2回目の充填パス動作で着弾したインク組成物の上に重なるように着弾する結果、2回目の充填パス動作で着弾したインク組成物よりも高さが高くなる傾向がある(図8の(g)参照)。
さらに、4回目のパス動作を行うと、4回目の充填パス動作で着弾したインク組成物が、4回目の充填パス動作で着弾したインク組成物よりも高さが高くなる傾向がある(図8の(h)参照)。
したがって、図6の場合のように、4回の充填パス動作を2回行って造形層Lを形成する場合、充填パス動作が行われる度に、直前までの充填パス動作で吐出されたインク組成物に少なくとも一部が重なって吐出される為に造形台11の上面11aに形成される造形層Lxの厚みが、充填パス動作を重ねる毎に厚くなってゆく。
4回目の充填パス動作を経て形成された造形層Lの高さが不均一であると、造形層Lを積層して形成する立体構造物Tの造形精度が低下する。
そのため、4回目の充填パス動作を経て形成された未硬化の造形層Lxの表面をローラ241で削って所定の高さで均一化して、最終的に得られる造形層Lの高さを揃える必要がある。
実施の形態では、4回目の充填パス動作を経て形成された未硬化の造形層Lxの表面をローラ241で削って、未硬化の造形層Lxの高さを揃えている。
ここで、未硬化の造形層Lxの高さで均一化するためには、最終の充填パス動作(4回目の充填パス動作)の際に、未硬化の造形層Lxとローラ241とが干渉するように造形台11の高さ位置を設定する必要がある。
そのため、最終の充填パス動作の際に制御装置30は、造形台11を、当該造形台11の上面11aと、キャリッジ20の下面20aとのに間隔h1(図8の(a)参照)をあけた高さ位置に配置して、未硬化の造形層Lxとローラ241とが干渉するようにしている。
ここで、インクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23)から吐出されたインク組成物により、造形台11の上面11aに形成される造形層Lxの上面は、インクヘッドの全ての吐出ノズル211、212、221、231の個々のノズル間の吐出量のバラツキ(一般に±10%程度)に起因して、不均一な凹凸面となっている。
そのため、不均一な凹凸面の起伏の程度によっては、4回目の充填パス動作の前に実施されるパス動作の際に、キャリッジ20の下面20aから突出するローラ241が、吐出されたインク組成物からなる層(未硬化の造形層や硬化した造形層、以下、造形途中の造形層とも標記する)に干渉する可能性がある。
かかる場合、ローラ241が回転していない場合には、造形途中の造形層の表面をローラ241が引き摺られて移動することになる。
そうすると、内部白色領域51と内部クリア領域52と着色領域53と外部クリア領域54との各境界部に位置するインク組成物が、ローラ241に引き摺られて隣接する他の領域まで移動することがある。
また、ローラ241が回転している場合には、ローラ241の回転方向によっては、内部白色領域51と内部クリア領域52と着色領域53と外部クリア領域54との各境界部に位置するインク組成物が、不必要に削られることや混ざり合うことがある。
このような事態が生じると、各領域の境界が曖昧になって、最終的に形成される造形層Lの造形精度が低下してしまう。その結果、最終的に得られた立体構造物Tにおいて、表面に現れる色の色味が変わってしまうことや、表面に現れる図形(模様)の境界が曖昧になって、図形の精度が低下してしまうことがある。
そのため、従来例にかかる造形方法の場合、充填パス動作の際に、造形台11をキャリッジ20から離れる下方に移動させて、最終の充填パス動作の前の充填パス動作において、ローラ241と造形途中の造形層とが干渉しないようにしている。
例えば、図9に示すように、4回の充填パス動作で造形層Lxを形成する場合に、2回目或いは3回目の充填パス動作において、造形台11をキャリッジ20から離れる下方に移動させて、造形台11の上面11aと、キャリッジ20の下面20aとの間隔h2を、4回目の充填パス動作の場合の間隔h1よりも広くしている。
そして、3回目の充填パス動作を終了して、4回目の充填パス動作を開始する前に、造形台11をキャリッジ20側の上方に移動させて、造形台11の上面11aと、キャリッジ20の下面20aとの間隔を、4回目の充填パス動作の場合の間隔h1に戻している。
そのため、従来例にかかる造形方法の場合、1つの造形層Lを形成する過程で、少なくとも1回の造形台11の上下動があるので、1つの立体構造物を作成する間に、造形台11を頻繁に上下動させる必要がある。
ここで、立体構造物Tの造形精度を向上させるためには、キャリッジ20の下面20aと、吐出されたインク組成物が着弾する面(造形台11の上面11aや、既に形成されている造形層Lの上面)との間隔を厳密に制御する必要がある。
しかし、造形台11を昇降させると、駆動機構に起因する誤差(例えば、バックラッシュによる誤差など)が生じるため、造形台11を予定された位置に常に正確に配置することが難しい。
そのため、間隔を厳密に制御することが難しく、このことが、立体構造物Tの造形精度に好ましくない影響を与えてしまう可能性がある。
これに対して実施の形態では、図8に示すように、少なくとも3回目の充填パス動作において、ローラ241を、キャリッジ20の移動方向を基準とした順送り方向、すなわち、キャリッジ20の右方向への移動に対して右回転に回転させている(図8の(c)参照)。
さらに、キャリッジ20の右方向への移動速度とローラ241の外周面の周速度を等しいか、ローラ241の外周面の周速度を僅かに速く設定している。
具体的には、キャリッジ20の右・左方向への移動速度が500mm/sec.であれば、ローラ214の外周面の周速度を移動速度よりも10%増しとし、例えば550mm/sec.とする。この時、ローラ241の直径が20mmであれば、回転速度は8回転/sec.(480rpm)に設定する。キャリッジ20の移動速度とローラ241の周速度の差は大き過ぎるとローラ241の回転負荷が増すので5%〜10%増しが良い。
これにより、3回目の充填パス動作においてローラ241が、造形途中の造形層Lxに接触しても、ローラ241が停止している場合のように、ローラ241が、造形途中の造形層Lxの表面を引き摺られて移動しないようになっている。結果として、前述の不均一な凹凸面の凸部を抑えて凹凸の起伏を小さくすることができる。
ここで、4回目の充填パス動作では、ローラ241を、キャリッジ20の移動方向を基準とした逆送り方向(図7の(d)において時計回り方向)に回転しており、回転するローラ241で未硬化の造形層Lxを掻き上げており、造形層Lxの凹凸を持つ上面が、ローラ241により削られて平坦化されるようにしている。
ここで、キャリッジ20の移動方向を基準とした逆送り方向とは、図7の(d)に示すように、ローラ241が接触した未硬化の造形層Lxを、キャリッジ20の移動方向と同じ側(図中、左側)に掻き上げることができる方向(図7の(d)において時計回り方向)である。
このように、実施の形態では、3回目の充填パス動作におけるローラ241の回転方向を、キャリッジ20の移動方向を基準とした順送り方向としており、4回目の充填のパス動作におけるローラ241の回転方向(キャリッジ20の移動方向を基準とした順送り方向)と逆の方向に回転させていることになる。そして、造形台11を昇降させることなく、4回の充填パス動作を実施している。
すなわち、ローラ241単体としての回転方向は、3回目の充填パス動作も4回目の充填パス動作も同じ方向で、時計回り方向に回転していることになる。結果として図9の従来例のような造形台11の上下動が無いので、立体構造物Tの造形精度が良いものになる。
なお、実施の形態では、4回目の充填パス動作と、3回目の充填パス動作におけるローラ241の回転方向について言及したが、ローラ241は、1回目と2回目の充填パス動作の間、回転させていても、停止させていても良い。
シーケンスを複雑にしないためには、ローラ241は特別な制御をせずに、常に一定速度で、図8における時計回り方向に回転していれば良い。
以下、図10のフローチャートを参照して、立体構造物Tの作成過程を説明する。
図10は、造形装置10における立体構造物Tの造形過程を説明するフローチャートである。
制御装置30では、立体構造物Tの3次元(3D)データが入力されたのちに(ステップS101、Yes)、立体構造物Tのスライス数N(造形層Lの数)と、各造形層Lの作成時に実施される1層形成するのに必要なパス動作の回数(パス数M)と、各パス動作で実行される充填パス動作の回数(充填パス数Q)と、が設定されると(ステップS102、Yes)、ステップS103において制御装置30が、立体構造物Tの新たな作成を開始するために、造形回数カウンタCT1の値をリセットする。
ここで、造形回数カウンタCT1は、造形した造形層Lの数をカウントするカウンタであり、例えば、カウンタの値が「3」である場合には、3つめの造形層の作成が完了していることを意味している。また、パス数Mは造形層Lの副走査方向Xの寸法を全て形成するのに必要なパスの数(Q回一組の充填パス動作を実行する回数)である。
続く、ステップS104において制御装置30は、3Dデータをスライス数Nに応じて区画したスライスデータを作成する。これにより、1つの3Dデータから、N個のスライスデータが作成されることになる。
ステップS105において制御装置30は、これから形成する造形層Lnのスライスデータの読み込みを実施する。
実施の形態では、造形回数カウンタCT1の値を参照することで、これから形成する造形層Lが、n個の造形層Lnのうちのどの造形層であるのかを特定できるようになっているので、特定した造形層に対応するスライスデータを、ステップS104で作成された複数のスライスデータの中から取得することになる。
例えば、造形回数カウンタCTの値が「0(=ゼロ)」である場合には、一つ目の造形層Lの作成が完了していないことになるので、一番下に位置する一つ目の造形層L1のスライスデータが取得されることになる。
ステップS106において制御装置30は、実施したパス動作の回数をカウントするカウンタ(パス回数カウンタCT2)の値をリセットする。
そして、ステップS107において制御装置30は、ステップS105で読み込んだスライスデータに基づいて、造形層L1を形成するためのパス動作を開始する。
たとえば、充填パス数Qが「4」であり、パス数Mが「10」である場合には、4回の充填パス動作を10回行って、造形層L1が一部ずつ形成される。
以下、充填パス数Qが「4」である場合の充填パス動作を具体的に説明する。
図11に示すように、充填パス動作を開始すると、ステップS201において制御装置30は、前記したステップS102において設定された充填パス数Q(各パス動作で実行される充填パス動作の回数)の読み込みを実施する。
ステップS202において制御装置30は、実施された充填パス動作の回数を示すカウンタ(充填パス回数カウンタCT3)をリセットする。
ステップS203において、制御装置30は、キャリッジ20を主走査方向Yに移動させながら、インクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23からのインク組成物の吐出を制御する充填パス動作を実施する(図8参照)。
なお、インク組成物の吐出は、ステップS105で読み込まれたスライスデータに基づいて制御される。
この際に、制御装置30は、ローラ241の外周面の周速度Vaが、キャリッジ20の図中右方向への移動速度V1以上(Va≧V1)、好ましくは、周速度Vaが、移動速度V1の5〜10%増しの速度となるように、ローラ241の回転速度と、キャリッジ20の移動速度を制御する。また、紫外線照射ユニット25は、光源を連続して点灯した状態にする。
キャリッジ20の充填パス動作が終了すると、ステップS204において制御装置30は、充填パス回数カウンタCT3の値を「1」インクリメントする。
ステップS205において制御装置30は、充填パス回数カウンタCT3の値が、前記したステップS102で設定された充填パス数Qと一致するか否かを確認し、一致しない場合には(ステップS205、No)、ステップS206の処理に移行する。充填パス動作の回数が、規定の回数に達していないので、充填パス動作を新たに実施するためである。
ステップS206において制御装置30は、次の充填パス動作を実施するために、キャリッジ20と造形台11とを、吐出ノズル211の間隔Waを基準とした所定幅の分だけ、副走査方向Xで相対的に移動させる。
例えば、キャリッジ20の移動を小ピッチパス方式で行う場合には、終了した充填パス動作が、1回目または3回目であるときには、吐出ノズル211の間隔Waの1/2幅分だけ移動させる(図7の(a)から図7の(b)、図7の(c)から図7の(d)参照)。また、例えば、終了した充填パス動作が、2回目であるときには、吐出ノズル211の間隔Waの1/4幅分だけ移動させる(図7の(b)から図7の(c)参照)。
なお、キャリッジ20の移動をマルチパス方式で行うようにしても良い。
この場合には、充填パス動作が終了する度に、キャリッジ20を吐出ノズル211の全長Wc(図1参照)の1/4幅分ずつ副走査方向Xに移動させて、次の充填パス動作を実施する。
キャリッジ20の移動を、小ピッチパス方式とマルチパス方式の何れにて行う場合にも、キャリッジ20は、副走査方向Xに移動した先で、新たに充填パス動作を実施することになる(ステップS203)
よって、充填パス動作の実施回数(充填パス回数カウンタCT3の値)が、充填パス数Qに達するまでの間、キャリッジ20の副走査方向Xの移動を伴いながら、ステップS203からステップS206の処理が繰り返されて、充填パス動作が4回実施されることになる。
そして、充填パス回数カウンタCT3の値が、前記したステップS102で設定された充填パス数Qと一致した時点で(ステップS205、No)、充填パス動作の処理を終了する。
ここで、この充填パス動作が繰り返されている間、制御装置30は、ローラ241の外周面の周速度Vaを、キャリッジ20の移動速度V1以上(Va≧V1)に保持すると共に、ローラ241の回転方向を保持したままとする。さらに、紫外線照射ユニット25は、光源を灯した状態のままにする。
ここで、充填パス動作が行われる度に、インク組成物は、直前までの充填パス動作で吐出されたインク組成物に少なくとも一部が重なって吐出される。そのため、新たに形成される未硬化の造形層Lxの厚みが、充填パス動作を重ねる毎に厚くなってゆく。
例えば、キャリッジ20の移動を小ピッチパス方式で行っている場合には、図8の(e)〜(h)に示すように、造形途中の造形層Lxは、副走査方向Xで高さがランダムに上下に変化する状態となる。
なお、キャリッジ20の移動をマルチパス方式で行っている場合も同様であり、造形途中の造形層Lxは、副走査方向Xで高さが変化した状態となる。
そのため、最終の充填パス動作(4回目の充填パス動作)の1回前の充填パス動作(3回目の充填パス動作)において、それまでに形成された造形層Lxに、ローラ241と干渉する高さの領域が生じる場合がある。
実施の形態では、最終の充填パス動作(4回目の充填パス動作)の1回前の充填パス動作(3回目の充填パス動作)において、ローラ241の回転方向が、造形途中の造形層Lxを、キャリッジ20の移動方向とは反対方向(図8の(c)における左方向)に送り出す方向(順送り方向)となるように設定されている。
そのため、3回目の充填パス動作の途中でローラ241が、造形途中の造形層Lxが接触しても、ローラ241が造形途中の造形層Lxの表面を引き摺られないようになっている。
この際に、ローラ241の外周面の周速度Vaが、キャリッジ20の図中右方向への移動速度V1以上(Va≧V1)、好ましくは、周速度Vaが、移動速度V1の5%〜10%増しの速度となるように、ローラ241の周速度Vaと、キャリッジ20の移動速度V1が制御されている。
そのため、ローラ241が接触した造形途中の造形層Lxの表面が、ローラ241により押し込まれて、表面の凹凸の起伏が小さくなるようになっている。
そして、最終の充填パス動作(4回目の充填パス動作)では、1回前の充填パス動作(3回目の充填パス動作)で吐出されたインク組成物により、造形途中の造形層Lxの高さが、ローラ241と接触する高さまで到達するようになっている。
そして、最終の充填パス動作(4回目の充填パス動作)におけるローラ241の回転方向は、造形途中であって未硬化の造形層Lxを表面に付着させて巻き上げる方向(逆送り方向)になっている。そのため、未硬化の造形層Lxにおけるローラ241と接触した領域が掻き上げられて、ローラ241の通過した領域は、主走査方向Yに沿う平坦面となる(図7の(e)参照)。
そして、キャリッジ20の移動に伴って、平坦化された後の未硬化の造形層Lxに、紫外線照射ユニット25から紫外線が照射されて、平坦化された造形層Lxが得られることになる。
所定回数の充填パス動作の終了は、ひとつのパス動作(図10、ステップS107)の終了に相当する。
そうすると、図10に示すように、ステップS108において制御装置30は、パス回数カウンタCT2の値を「1」インクリメントする。
そして、ステップS109において制御装置30は、パス回数カウンタCT2の値が、前記したステップS102で設定されたパス数Mと一致するか否かを確認し、一致しない場合には(ステップS109、No)、ステップS107の処理に移行する。
例えば、設定されたパス数Mの値が「10」であり、現時点におけるパス回数カウンタCT2の値が「5」である場合には、現時点において5回目のパス動作が終了したことになる。
この場合には、ステップ109の判定が否定されて、ステップS107の処理に移行することになる。
これにより、移行後のステップS107において制御装置30は、新たなパス動作を実施することになる。
例えば、図6の場合のように、2回のパス動作により造形層Laを形成する場合であって、現時点におけるパス回数カウンタCT2の値が「1」である場合には、ステップS107において2回目のパス動作が行われることになる。この場合には、スライスデータに基づいてインク組成物を吐出させる充填パス動作が所定回数実施されて、新たな造形層の一部が造形されることになる(図7の(f)〜(j)参照)。
すなわち、パス回数カウンタCT2の値が、ステップS102で設定されたパス数Mになるまでの間、ステップS107のパス動作が繰り返し実行されて、インク組成物が積層されることになる。
これにより、最終的に、積層されたインク組成物からなる造形層Lが形成されることになる。
よって、ステップS102で設定されたパス数Mが「2」である場合には、合計2回のパス動作が行われて、造形層La(図6の(b)参照)が形成されることになる。
図10のフローチャートに戻って、1層形成に必要な最終パス動作が終了すると、ステップS109の判定が肯定されて(ステップS109、Yes)、ステップS110の処理に移行する。
このステップS110では、制御装置30が、造形回数カウンタCT1の値を「1」インクリメントする。ひとつの造形層Lの形成が完了したことになるからである。
そして、ステップS111において制御装置30が、造形回数カウンタCT1の値が、ステップS102で設定したスライス数Nに達したか否かを確認し、造形回数カウンタCT1の値とスライス数Nとが同じでない場合には(ステップS111、No)、ステップS112の処理に移行することになる。
ステップS112において制御装置30は、次の造形層Lの作成のために、造形台11の高さを所定高さ分だけ下降させたのち、ステップS105の処理にリターンする
これにより、移行後のステップS105において制御装置30は、新たな造形層の形成のために、新たに形成する造形層のスライスデータが取得されることになる。
例えば、現時点における造形回数カウンタCT1の値が「1」である場合には、現時点が、一つ目の造形層Lの作成が完了した時点ということになるので、一番下から二つ目の造形層L2のスライスデータが取得されることになる。
これにより、造形回数カウンタCT1の値が、ステップS102で設定されたスライス数Nになるまでの間、ステップS105からステップS111までの処理が繰り返し実行されて、造形層Lが順番に形成されて積層されることになる。
そして、造形回数カウンタCT1の値が、ステップS102で設定されたスライス数Nに達した時点で、ステップS111の判定が肯定されて(ステップS111、Yes)、制御装置30は、立体構造物Tの造形処理を終了することになる。
これにより、最終的に、積層された造形層Lからなる立体構造物Tを含む造形物MTが形成されることになる。例えば、ステップS102で設定されたスライス数Nが「50」である場合には、造形層Lが50層積み重ねられた立体構造物Tを含む造形物MTが作成されることになる。
以上の通り、実施の形態では、
(1)立体構造物Tの造形台11と、
造形台11の上方で主走査方向Yに移動可能に配置されると共に、造形材を含むインク組成物(造形材)を吐出するインクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23と、吐出したインク組成物の高さを揃えて平坦化するローラ241と、平坦化されたインク組成物に紫外線を照射して硬化させる紫外線照射ユニット25(硬化手段)とが、造形台11に対向する下面20a(対向部)で主走査方向Yに並んだキャリッジ20と、を有する造形装置10を用いて、立体構造物Tを造形する造形方法であって、
立体構造物Tを、当該立体構造物Tの造形方向で複数に区画して、複数の造形層L(L1〜Ln:nは任意の整数)を設定する造形層設定工程と、
キャリッジ20を主走査方向Yに移動させつつ、インクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23からインク組成物を吐出させる充填パス動作を、所定回数(例えば、4回)実行して造形層Lxを形成する造形層形成工程と、を有し、
造形層形成工程は、
所定回数目の充填パス動作において、キャリッジ20の移動方向を基準とした逆送り方向にローラ241を回転させて、吐出されたインク組成物からなる硬化前の造形層Lxの表面を、ローラ241の表面に付着させて掻き上げることで、硬化前の造形層Lxの高さを均一化して平坦化する平坦化工程と、
平坦化工程に並行して、平坦化された硬化前の造形層Lxを、紫外線照射ユニット25から照射した紫外線で硬化させて造形層Lを形成する硬化工程と、を有し、
造形層形成工程では、
所定回数目の充填パス動作の少なくとも1回前の充填パス動作は、キャリッジ20の移動方向を基準とした順送り方向にローラ241を回転させると共に、回転するローラ241の周速度Vaを、キャリッジ20の主走査方向Yの移動速度V1以上(Va≧V1)にして実行する構成とした。
ローラ241が、キャリッジ20の移動方向を基準とした順送り方向(インク組成物を、キャリッジ20の移動方向とは反対方向に押し出す方向)に回転すると、この方向のローラ241の回転は、当該ローラ241に接触した造形途中の造形層Lxを構成するインク組成物を、造形途中の造形層Lxの内部に押し込む方向の押圧力を、接触したインク組成物に作用させる。
よって、上記のように構成すると、最終パス動作の1回前の充填パス動作の際に、造形途中の造形層Lxの表面の凹凸に起因して、ローラ241が造形途中の造形層Lxと干渉しても、干渉した領域のインク組成物が、ローラ241により引き摺られることや、ローラ241により掻き上げられることがない。
これにより、ローラ241が、1回前のパス動作でのキャリッジ20の移動方向を基準とした順送り方向に回転していると、ローラ241が回転していない場合やローラ241が逆送り方向に回転している場合よりも、造形途中の造形層Lxが荒れ難くなるので、造形層Lの造形精度の低下を抑制できる。
特に、回転するローラ241の周速度Vaを、キャリッジ20の主走査方向Yの移動速度V1以上(Va≧V1)となるようにしたので、ローラ241と接触したインク組成物が、ローラ241により引き摺られることを防止しつつ、ローラ241とインク組成物との接触時間を短くできる。
これにより、ローラ241が接触したインク組成物に、ローラ241からの押圧力が作用する時間を短くすることができ、インク組成物が、接触したローラ241により、造形途中の造形層Lx内に押し込まれる程度が少なくなる。
これにより、造形途中の造形層Lxのローラ241による変形が抑制されるので、作成される造形層Lの造形精度の低下を抑制できる。
(2)少なくとも所定回数目の1回前の充填パス動作は、ローラの周速度Vaを、キャリッジの移動速度V1を基準として5〜10%速い速度にして実行される構成とした。
このように構成すると、ローラ241と接触したインク組成物が、ローラ241により引き摺られることをより確実に防止しつつ、ローラ241とインク組成物との接触時間を短くできる。
これにより、造形途中の造形層Lxが荒れ難くなるので、造形層Lの造形精度の低下を抑制できる。
ここで、ローラ241の周速度Vaの上限(設定上の最大速度)は、ローラ241が接触したインク組成物が、ローラ241の回転(周速度)によって、キャリッジ20の移動方向における下流側に掻き上げられることが無い周速度の最大値である。
よって、周速度の最大値は、未硬化造形層Lxを形成するために吐出されたインク組成物の粘度(流動性)に応じて、適宜決まるものである。
(3)造形層形成工程では、
ローラ241を同じ方向に回転させながら、所定回数の充填パス動作が実行される構成とした。
このように構成すると、立体構造物Tの造形時に、ローラ241を連続して同じ方向に回転させるだけで良く、ローラ241の回転/停止の頻繁な繰り返しが必要ない。
そのため、ローラ241の回転/停止の頻繁な繰り返しによるローラ241の駆動源(例えば、モータ)への負荷を低減できる。
(4)インクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23と、造形台11との間隔を一定に保持したままで、所定回数の充填パス動作を実行する構成とした。
前記したように、少なくとも所定回数目の1回前の充填パス動作の際に、ローラ241を、キャリッジ20の移動方向を基準としたインク組成物の順送り方向に回転させることで、ローラ241が造形途中の造形層Lxと干渉しても、作成される造形層Lの造形精度の低下を抑制できる。
よって、従来の造形方法(図9参照)の場合のように、造形台11を、充填パス動作の途中で上下動させる必要が無い。
造形台11を昇降させると、駆動機構に起因する誤差(例えば、バックラッシュによる誤差など)が生じるため、造形台11を予定された位置に常に正確に配置することが難しく、インクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23と、造形台11との間隔を厳密に制御することが難しくなる。
このことは、立体構造物Tの造形精度に好ましくない影響を与えてしまう可能性があるが、上記のように構成することで、造形台11を上下動させる必要が無いので、かかる事態の発生を好適に防止できる。
(5)造形層形成工程では、
キャリッジ20を主走査方向Yにおける一方側から他方側に移動させつつ実行される充填パス動作と、キャリッジ20を主走査方向Yにおける他方側から一方側に移動させつつ実行される充填パス動作と、を交互に実行して、所定回数の充填パス動作が実行されるように構成されており、
充填パス動作が1回実行される度に、キャリッジ20と造形台11とを、主走査方向Yに直交する副走査方向Xで相対的に移動させてから、新たな充填パス動作が実行される構成とした。
このように構成すると、インクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23から吐出されたインク組成物を、造形台11の上面11aや既に形成されている造形層Lxの上面に、隙間無く着弾させることができる。よって、造形層Lを隙間を生じさせることなく適切に形成できる。
(6)インクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23における造形台11との対向面には、インク組成物の吐出ノズル211、212、221、231が、副走査方向Xに所定間隔Wa、Wbで複数並んでおり、
キャリッジ20と造形台11との副走査方向Xでの相対的な移動は、副走査方向Xにおける吐出ノズル211の間隔Waの範囲内で実施される小ピッチパス方式で行う構成とした。
所定回数(例えば4回の)の充填パス動作を行って造形層Lを形成する場合、充填パス動作が行われる度に、直前までの充填パス動作で吐出されたインク組成物に、新たに吐出されたインク組成物の少なくとも一部が重なって吐出される。
そのため、造形途中の造形層Lxの厚みが、充填パス動作を重ねる毎に厚くなってゆく。
そして、造形途中の造形層Lxとローラ241とが干渉すると、造形途中の造形層Lxの表面が荒れて、最終的に形成される造形層Lの造形精度が低下する。
上記のように構成して、所定回数目の充填パス動作の少なくとも1回前の充填パス動作は、キャリッジ20の移動方向を基準とした順送り方向にローラ241を回転させることで、ローラ241が造形途中の造形層Lxと干渉しても、干渉した領域のインク組成物が、ローラ241により引き摺られることや、ローラ241により掻き上げられることがない。
よって、造形途中の造形層Lxの表面が荒れて、最終的に形成される造形層Lの造形精度が低下する事態の発生を好適に抑制できる。
さらに、ローラ241が接触した造形途中の造形層Lxの表面が、ローラ241により押し込まれて、表面の凹凸の起伏が小さくなる。
図8の場合には、ローラ241よりも先に、紫外線照射ユニット4が、造形途中の造形層Lxの上方を通過するので、ローラ241は、硬化した造形層の表面の凹凸の起伏を小さくする。
そのため、4回目の充填パス動作を経て形成された未硬化の造形層Lの表面を、ローラ241で削る際に、すでに硬化した領域とローラ241とが干渉することを好適に防止でき、4回目の充填パス動作を経て最終的に形成される造形層Lの高さを均一にできる。
造形層Lの高さが不均一であると、造形層Lを積層して形成する立体構造物Tの造形精度が低下するが、かかる事態の発生を好適に防止できる。
(7)キャリッジ20と造形台11との副走査方向Xでの相対的な移動は、副走査方向Xで並んだ複数の吐出ノズル211の全長Wcを基準とした所定長(例えば、1/4長)ずつ実施されるマルチパス方式で行う構成とした。
マルチパス方式の場合にも、造形途中の造形層Lxの厚みが、充填パス動作を重ねる毎に厚くなってゆく。
上記のように構成することで、造形層Lを積層して形成する立体構造物Tの造形精度が低下する事態の発生を好適に防止できる。
所定回数目の充填パス動作は、キャリッジを主走査方向Yにおける他方側から一方側に移動させながら実施されるように構成されており、
キャリッジ20では、他方側から順番に、紫外線照射ユニット25(硬化手段)と、ローラ241と、吐出ヘッド(インクヘッド21(21T、21K、21C、21M、21Y、21W)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23)とが並んでいる構成とした。
このように構成すると、主走査方向Yにおける吐出ヘッドの両側に、紫外線照射ユニット25(硬化手段)とローラ241を設けることなく、造形層Lを、高さを揃えて造形精度良く形成できる。
なお、インクヘッド21(21T、21K、21C、21M、21Y、21W)の並びは、実施の形態に示した態様に限定されるものではない。
(9)立体構造物Tは、当該立体構造物Tに対応する外形で、インク組成物に含まれる紫外線硬化型の樹脂(造形材)から形成した内部造形領域50と、内部造形領域50の表面を覆うと共に、着色成分を含むインク組成物の少なくともひとつで形成した着色領域53と、を有している構成とした。
上記したように、少なくとも最終の充填パス動作の1回前の充填パス動作の際に、ローラ241を、キャリッジ20の移動方向を基準とした順送り方向に回転させているので、ローラ241が造形途中の造形層Lxと干渉しても、内部造形領域50と着色領域53との境界のインク組成物が、ローラ241に不必要に削られることや混ざり合うことを好適に防止できる。
よって、領域の境界が曖昧になって、未硬化の造形層Lxの硬化で形成される造形層Lの造形精度が低下する結果、最終的に得られた立体構造物Tにおいて、表面に現れる色の色味が変わってしまうことや、表面に現れる図形(模様)の境界が曖昧になって、図形の精度が低下してしまうことを好適に防止できる。
(10)立体構造物Tは、
内部造形領域50と着色領域53との間に、白色の着色成分を含むインク組成物で形成した内部白色領域51を有すると共に、
内部白色領域51と着色領域53との間に、透明なインク組成物で形成した内部クリア領域52と、
着色領域53の表面を覆うと共に、透明なインク組成物で形成した外部クリア領域54を有している構成とした。
このように構成すると、各領域(内部造形領域50、内部白色領域51、内部クリア領域52、着色領域53、外部クリア領域54)の境界のインク組成物が、ローラ241に不必要に削られることや混ざり合うことを好適に防止できるので、最終的に得られた立体構造物Tにおいて、表面に現れる色の色味が変わってしまうことや、表面に現れる図形(模様)の境界が曖昧になって、図形の精度が低下してしまうことを好適に防止できる。
なお、本願発明は、立体構造物Tの造形装置10としても実現可能である。
すなわち、
(9)立体構造物Tの造形台11と、
造形台11の上方で主走査方向Yに移動可能に配置されると共に、造形材を含むインク組成物(造形材)を吐出するインクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23と、吐出したインク組成物の高さを揃えて平坦化するローラ241と、平坦化されたインク組成物に紫外線を照射して硬化させる紫外線照射ユニット25(硬化手段)とが、造形台11に対向する下面20a(対向部)で主走査方向Yに並んだキャリッジ20と、
立体構造物Tの造形を制御する制御装置30(制御部)と、を有する立体構造物の造形装置10であって、
制御装置30が、
立体構造物Tを、当該立体構造物Tの造形方向で複数に区画して、複数の造形層L(L1〜Ln:nは任意の整数)を設定する造形層設定手段と、
キャリッジ20を主走査方向Yに移動させつつ、インクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23からインク組成物を吐出させる充填パス動作を、所定回数(例えば、4回)実行して造形層Lxを形成する造形層形成手段と、を有し、
造形層形成手段は、
所定回数目の充填パス動作の際に、キャリッジ20の移動方向を基準とした逆送り方向にローラ241を回転させて、吐出されたインク組成物からなる硬化前の造形層Lxの表面を、ローラ241の表面に付着させて掻き上げることで、硬化前の造形層Lxの高さを均一化して平坦化すると共に、平坦化された硬化前の造形層Lxを、紫外線照射ユニット25から照射した紫外線で硬化させて造形層Lを形成し、
さらに、造形層形成手段は、
所定回数目の充填パス動作の少なくとも1回前の充填パス動作を、キャリッジ20の移動方向を基準とした順送り方向にローラ241を回転させると共に、回転するローラ241の周速度Vaを、キャリッジ20の主走査方向Yの移動速度V1以上(Va≧V1)にして実行する構成の立体構造物の造形装置10。
さらに、本願発明は、立体構造物Tの造形装置10用のプログラムとしても実現可能である。
すなわち、
(10)立体構造物Tの造形台11と、
造形台11の上方で主走査方向Yに移動可能に配置されると共に、造形材を含むインク組成物(造形材)を吐出するインクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23と、吐出したインク組成物の高さを揃えて平坦化するローラ241と、平坦化されたインク組成物に紫外線を照射して硬化させる紫外線照射ユニット25(硬化手段)とが、造形台11に対向する下面20a(対向部)で主走査方向Yに並んだキャリッジ20と、
立体構造物Tの造形を制御する制御装置30(制御用コンピュータ)と、を有する立体構造物の造形装置10用のプログラムであって、
制御装置30を
立体構造物Tを、当該立体構造物Tの造形方向で複数に区画して、複数の造形層L(L1〜Ln:nは任意の整数)を設定する造形層設定手段、
キャリッジ20を主走査方向Yに移動させつつ、インクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23からインク組成物を吐出させる充填パス動作を、所定回数(例えば、4回)実行して造形層Lxを形成する造形層形成手段、として機能させると共に、
造形層形成手段が、
所定回数目の充填パス動作の際に、キャリッジ20の移動方向を基準とした逆送り方向にローラ241を回転させて、吐出されたインク組成物からなる硬化前の造形層Lxの表面を、ローラ241の表面に付着させて掻き上げることで、硬化前の造形層Lxの高さを均一化して平坦化すると共に、平坦化された硬化前の造形層Lxを、紫外線照射ユニット25から照射した紫外線で硬化させて造形層Lを形成し、
さらに、造形層形成手段が、
所定回数目の充填パス動作の少なくとも1回前の充填パス動作を、キャリッジ20の移動方向を基準とした順送り方向にローラ241を回転させると共に、回転するローラ241の周速度Vaを、キャリッジ20の主走査方向Yの移動速度V1以上(Va≧V1)にして実行する構成の立体構造物の造形装置用のプログラム。
[変形例]
前記した実施の形態では、インク組成物に含まれるバインダ成分を構成する樹脂として、紫外線硬化型の樹脂の場合を例示したが、紫外線硬化型の樹脂の代わりに、熱硬化型の樹脂を採用しても良い。
この場合には、インク組成物に含まれる紫外線硬化型の樹脂を硬化させるために用いていた紫外線照射ユニット25(硬化手段)を、熱硬化型の樹脂を硬化させることができる熱量を、インク組成物に作用させることができる熱源ユニットに代えることで、前記した造形層Lを適切に形成することができる。
前記した実施の形態では、キャリッジ20に設けたインクヘッドが、インクヘッド21(21Y、21M、21C、21K、21W、21T)、造形材用ヘッド22、サポート材用ヘッド23である場合を例示したが、インクヘッドの総数、および着色用ヘッドの種類も任意に決定可能である。
たとえば、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のインク組成物をそれぞれ吐出する着色用ヘッド21Y、21M、21C、21Kと、W(ホワイト)のインク組成物を吐出する白色用ヘッド21Wに加えて、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のインク組成物を混合して実現される中間色のインク組成物を吐出する着色用ヘッドを用意して、キャリッジ20に設けても良い。
前記した実施の形態では、キャリッジ20の主走査方向Yにおける他方側に、ローラユニット24と紫外線照射ユニット25(硬化手段)を、1つずつ設けた場合を例示したが、ヘッドにおけるローラユニット24と紫外線照射ユニット25(硬化手段)の数は、目的に応じて適宜増減可能である。
例えば、主走査方向Yにおける一方側と他方側に、ローラユニット24と紫外線照射ユニット25(硬化手段)を1つずつ設けて、合計2つのローラユニット24と、合計2つの紫外線照射ユニット25が、キャリッジ20に設けられている構成としても良い。
この場合には、主走査方向における一方側から他方側への充填パス動作を行うときと、他方側から位置方側への充填パス動作を行う際の何れにおいても、未硬化の造形層Lxの平坦化と硬化を行うことができるので、各造形層Lの作成時に実施される1層形成するのに必要なパス動作の回数(パス数M)と、各パス動作で実行される充填パス動作の回数(充填パス数Q)の設定の自由度が向上する。
前記した実施の形態では、1つの造形層Lを形成する際に、合計4回の充填パス動作を行って造形層Lxを形成する場合を例示したが、造形層Lxを形成する際の充填パス動作の回数は、4回に限定されるものではなく、形成する造形層Lxの厚みや、ノズル2211の間隔Wa、解像度などに応じて適宜増減可能である。
また、パス動作の回数(パス数M)や、充填パス動作の回数(充填パス数Q)も、偶数回行う態様に限定される物ではなく、奇数回行う構成としても良い。
さらに、ローラ241は、複数回の充填パス動作の間、連続して回転させていても良く、必要に応じて回転/停止させるようにしても良い。
本願発明は、上記した実施の形態の態様に限定されるものではなく、本願発明の技術的な思想の範囲内で適宜変更可能である。
1 造形台
2 インク組成物
4 合計
10 造形装置
11 造形台
11a 上面
12 連結アーム
13 連結部
14 ガイドレール
15 ガイドレール
16 連結部
20 キャリッジ
20a 下面
21 インクヘッド
21C 着色用ヘッド
21K 着色用ヘッド
21M 着色用ヘッド
21T クリア用ヘッド
21W 白色用ヘッド
21Y 着色用ヘッド
22 造形材用ヘッド(インクヘッド)
23 サポート材用ヘッド(インクヘッド)
24 ローラユニット
25 紫外線照射ユニット
30 制御装置
32 ヘッド
50 内部造形領域
51 内部白色領域
52 内部クリア領域(内側透明領域)
53 着色領域
54 外部クリア領域(外側透明領域)
55 サポート材領域
211 吐出ノズル
221 吐出ノズル
231 吐出ノズル
241 ローラ
242 ブレード
243 インク収容部
A 面
CT1 造形回数カウンタ
CT2 パス回数カウンタ
CT3 充填パス回数カウンタ
L(L1〜Ln)、La 造形層
Lx 造形途中の造形層
MT 造形物
N スライス数
T 立体構造物
X 副走査方向
Y 主走査方向

Claims (14)

  1. 立体構造物の造形台と、
    前記造形台の上方で主走査方向に移動可能に配置されると共に、造形材を含むインク組成物の吐出ヘッドと、吐出したインク組成物の高さを揃えて平坦化するローラと、前記吐出したインク組成物を硬化させる硬化手段とが、前記造形台との対向部で前記主走査方向に並んだキャリッジと、を有する造形装置を用いて、前記立体構造物を造形する前記立体構造物の造形方法であって、
    前記立体構造物を、当該立体構造物の造形方向で複数に区画して、複数の造形層を設定する造形層設定工程と、
    前記キャリッジを前記主走査方向に移動させつつ、前記吐出ヘッドから前記インク組成物を吐出させる充填パス動作を、所定回数実行して前記造形層を形成する造形層形成工程と、を有し、
    前記造形層形成工程は、
    前記所定回数目の前記充填パス動作において、前記キャリッジの移動方向を基準とした逆送り方向に前記ローラを回転させて、前記吐出されたインク組成物からなる硬化前の造形層の表面を、前記ローラの表面に付着させて掻き上げることで、前記硬化前の造形層の高さを均一化して平坦化する平坦化工程と、
    前記平坦化工程に並行して、平坦化された前記硬化前の造形層を前記硬化手段で硬化させて前記造形層を形成する硬化工程と、を有し、
    前記造形層形成工程では、
    前記所定回数目の1回前の前記充填パス動作は、前記キャリッジの移動方向を基準とした順送り方向に前記ローラを回転させると共に、回転する前記ローラの周速度を、前記キャリッジの前記主走査方向の移動速度以上にして実行されることを特徴とする立体構造物の造形方法。
  2. 少なくとも前記所定回数目の1回前の前記充填パス動作は、前記ローラの周速度を、前記キャリッジの移動速度を基準として5〜10%速い速度にして実行されることを特徴とする請求項1に記載の立体構造物の造形方法。
  3. 前記造形層形成工程では、
    前記ローラを同じ方向に回転させながら、前記所定回数の充填パス動作が実行されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の立体構造物の造形方法。
  4. 前記吐出ヘッドと前記造形台との間隔を一定に保持したままで、前記所定回数の充填パス動作を実行することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の立体構造物の造形方法。
  5. 前記造形層形成工程では、
    前記キャリッジを前記主走査方向における一方側から他方側に移動させつつ実行される充填パス動作と、前記キャリッジを前記主走査方向における他方側から一方側に移動させつつ実行される充填パス動作と、を交互に実行して、前記所定回数の前記充填パス動作が実行されるように構成されており、
    前記充填パス動作が1回実行される度に、前記キャリッジと前記造形台とを、前記主走査方向に直交する副走査方向で相対的に移動させてから、新たな充填パス動作が実行されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の立体構造物の造形方法。
  6. 前記吐出ヘッドにおける前記造形台との対向面には、前記インク組成物の吐出ノズルが、前記副走査方向に所定間隔で複数並んでおり、
    前記キャリッジと前記造形台との前記副走査方向での相対的な移動は、前記副走査方向における前記吐出ノズルの間隔の範囲内で実施されることを特徴とする請求項5に記載の立体構造物の造形方法。
  7. 前記吐出ヘッドにおける前記造形台との対向面には、前記インク組成物の吐出ノズルが、前記副走査方向に所定間隔で複数並んでおり、
    前記キャリッジと前記造形台との前記副走査方向での相対的な移動は、前記副走査方向で並んだ前記複数の吐出ノズルの全長を基準とした所定長ずつ実施されることを特徴とする請求項5に記載の立体構造物の造形方法。
  8. 前記所定回数目の充填パス動作は、前記キャリッジを前記主走査方向における他方側から一方側に移動させながら実施されるように構成されており、
    前記キャリッジでは、前記他方側から順番に、前記硬化手段と、前記ローラと、前記吐出ヘッドとが並んでいることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の立体造形物の造形方法。
  9. 前記立体構造物は、
    当該立体構造物に対応する外形で、前記インク組成物に含まれる前記造形材から形成した内部造形領域と、
    前記内部造形領域の表面を覆うと共に、着色成分を含むインク組成物の少なくともひとつで形成した着色領域と、を有していることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか一項に記載の立体構造物の造形方法。
  10. 前記立体構造物は、
    前記内部造形領域と前記着色領域との間に、白色の着色成分を含むインク組成物で形成した白色領域を有していることを特徴とする請求項9に記載の立体構造物の造形方法。
  11. 前記立体構造物は、
    前記白色領域と前記着色領域との間に、透明な前記インク組成物で形成した内側透明領域を有していることを特徴とする請求項9に記載の立体構造物の造形方法。
  12. 前記立体構造物は、
    前記着色領域の表面を覆うと共に、透明な前記インク組成物で形成した外側透明領域を有していることを特徴とする請求項9から請求項11の何れか一項に記載の立体構造物の造形方法。
  13. 立体構造物の造形台と、
    前記造形台の上方で主走査方向に移動可能に配置されると共に、造形材を含むインク組成物の吐出ヘッドと、吐出したインク組成物の高さを揃えて平坦化するローラと、前記吐出したインク組成物を硬化させる硬化手段とが、前記造形台との対向部で前記主走査方向に並んだキャリッジと、
    前記立体構造物の造形を制御する制御部と、を有する立体構造物の造形装置であって、
    前記制御部は、
    前記立体構造物を、当該立体構造物の造形方向で複数に区画して、複数の造形層を設定する造形層設定手段と、
    前記キャリッジを前記主走査方向に移動させつつ、前記吐出ヘッドから前記インク組成物を吐出させる充填パス動作を、所定回数実行して造形層を形成する造形層形成手段と、を有し、
    前記造形層形成手段は、
    前記所定回数目の前記充填パス動作において、前記キャリッジの移動方向を基準とした逆送り方向に前記ローラを回転させて、吐出されたインク組成物からなる硬化前の造形層の表面を、前記ローラの表面に付着させて掻き上げることで、前記硬化前の造形層の高さを均一化して平坦化すると共に、平坦化された前記硬化前の造形層を前記硬化手段で硬化させ、
    さらに、前記造形層形成手段は、
    前記所定回数目の1回前の前記充填パス動作において、前記キャリッジの移動方向を基準とした順送り方向に前記ローラを回転させると共に、回転する前記ローラの周速度を、前記キャリッジの前記主走査方向の移動速度以上にすることを特徴とする立体構造物の造形装置。
  14. 立体構造物の造形台と、
    前記造形台の上方で主走査方向に移動可能に配置されると共に、造形材を含むインク組成物の吐出ヘッドと、吐出したインク組成物の高さを揃えて平坦化するローラと、前記吐出したインク組成物を硬化させる硬化手段とが、前記造形台との対向部で前記主走査方向に並んだキャリッジと、
    前記立体構造物の造形を制御する制御用コンピュータと、を有する立体構造物の造形装置用のプログラムであって、
    前記制御用コンピュータを、
    前記立体構造物を、当該立体構造物の造形方向で複数に区画して、複数の造形層を設定する造形層設定手段、
    前記キャリッジを前記主走査方向に移動させつつ、前記吐出ヘッドから前記インク組成物を吐出させる充填パス動作を、所定回数実行して造形層を形成する造形層形成手段、として機能させると共に、
    前記造形層形成手段が、
    前記所定回数目の前記充填パス動作において、前記キャリッジの移動方向を基準とした逆送り方向に前記ローラを回転させて、吐出されたインク組成物からなる硬化前の造形層の表面を、前記ローラの表面に付着させて掻き上げることで、前記硬化前の造形層の高さを均一化して平坦化すると共に、平坦化された前記硬化前の造形層を前記硬化手段で硬化させ、
    さらに、
    前記所定回数目の1回前の前記充填パス動作において、前記キャリッジの移動方向を基準とした順送り方向に前記ローラを回転させると共に、回転する前記ローラの周速度を、前記キャリッジの前記主走査方向の移動速度以上にすることを特徴とする立体構造物の造形装置用のプログラム。
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