JP2018181736A - リチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体とその製造方法、リチウムイオン二次電池用正極活物質とその製造、及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体とその製造方法、リチウムイオン二次電池用正極活物質とその製造、及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池用正極活物質への微粒子の含有を、簡単に抑制できるリチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法等を提供すること。【解決手段】正極活物質の前駆体を、所定の雰囲気中で混合し、かつ、前記雰囲気の気流を使って、前記前駆体中の微粒子の少なくとも一部を除去すること、を含む、リチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法などによる。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体とその製造方法、リチウムイオン二次電池用正極活物質とその製造、及びリチウムイオン二次電池に関するものである。
現在、リチウムイオン二次電池は軽量でエネルギー密度が高いことから、携帯電話、ノート型パソコン、その他IT機器などの小型電池に幅広く使用されてきており、IT機器の発展、普及に伴い、現在もその需要が世界的な規模で伸びている。さらに、これらの小型電池に加えて、産業用の大型電池として、ハイブリッド自動車用、電力貯蔵用など、さらに多方面にその需要の拡大が期待されている。
このような需要環境の中で、車載用・産業用の大型電池が本格的に普及するための課題として、リチウムイオン二次電池の正極に用いる正極活物質には高い安全性、高寿命、高出力、低価格が要求されている。
リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、主として、LiCoO、Li(Ni、Mn、Co)O、Li(Ni、Co、Al)Oなどの層状岩塩型化合物からなるリチウム金属複合酸化物が用いられている。
リチウム金属複合酸化物は、例えば、以下のように、マンガンやニッケル等の遷移金属元素を含む複合水酸化物を前駆体として製造することができる。
まず、マンガン塩やニッケル塩などの水溶液と、アルカリ溶液とを反応させて、マンガンやニッケル等の遷移金属元素の共沈した複合水酸化物を含むスラリーを得る。続いて、この複合水酸化物を含んだスラリーから、複合水酸化物を固液分離し、得られた複合水酸化物を充分に乾燥させて複合水酸化物の前駆体を得る。
次いで、得られた複合水酸化物と、リチウム化合物と混合し、得られた混合物を焼成・アニール等の加熱処理をして、リチウム金属複合酸化物を得ることができる。得られたリチウム金属複合酸化物は、例えば、粒度調整等が行われ、正極活物質として用いられる。
ここで、正極活物質の粒度分布や粒子形状は、リチウムイオン二次電池の性能に直結する重要な要素である。一般に用いられている正極活物質の粒子径は、概ね平均粒径D50が5μm以上15μm以下程度である。これらの正極活物質中、粒子径が1μm以下の微細な粒子(微粒子)が含まれることがある。細かいサイズの微粒子が多く含まれる場合、作製した電池の電池性能に悪影響が及ぶことがある。この理由としては、二次電池内において、正極活物質の微粒子には、比較的大きな粒径を有する粒子よりも、充放電の際に電流が集中するため、副反応が起こりやすく、正極活物質の劣化が早く進むことが考えられる。
そこで、分級操作あるいは篩別操作により、正極活物質中の微粒子を取り除くことがいくつか提案されている。
例えば、特許文献1では、少なくともニッケル塩とリチウム塩とを所定量混合して原料混合物とし、該原料混合物を焼成してLiNiOを合成するに際して、焼成合成物を粉砕し、分級して微粉部を除去することにより、過剰Li含有部分を除去することを特徴とするLiNiO系層状複合酸化物の製造方法が記載されている。
また、特許文献2では、遷移金属元素を含有する前駆体、リチウム化合物及び反応促進剤を高速撹拌型混合機にて混合して混合物を得る混合工程と、得られた混合物を焼成して焼成物を得る焼成工程と、得られた焼成物を篩別処理する篩別工程と、を含むリチウム二次電池正極活物質の製造方法が記載されている。
特開2000−072446号公報 特開2013−232319号公報 特開平10−0265225号公報
しかしながら、上記特許文献1、2のように、正極活物質を分級あるいは篩別する場合、用いられる前駆体には微粒子が多く含まれた状態で、リチウム化合物と混ぜ合わせて焼成するため、リチウム化合物が、前駆体の微粒子と先に反応し、比較的大きな前駆体の粒子とチウム化合物との反応が進みにくくなる。その結果、全体としての焼成反応が進みにくくなり、得られる正極活物質は粒子の大きさによって結晶物性などが異なるものとなってしまい、電池特性に悪影響を及ぼすことがある。
一方、微細な正極活物質粒子が生成する理由の一つとして、例えば、前駆体水酸化物の晶析工程において、マンガンやニッケル等の遷移金属元素からなる複合水酸化物の原料を得るためにマンガン塩やニッケル塩などの水溶液とアルカリ溶液とを反応させる際に生成する結晶核が十分に成長せずに1μm以下の微粒子として残存することが挙げられる。正極活物質の粒度分布や粒子形状は、前駆体の粒度分布や粒子形状に大きく左右されるため、正極活物質への合成工程を経ても、焼成後の粒子径がそれほどは変らずに微細な正極活物質粒子となってしまうことが考えられる。
そこで、晶析工程における分級操作により、前駆体である複合水酸化物粒子の粒度分布を調整することが提案されている。例えば、特許文献3では、主に金属酸化物の結晶成長を促進する部分と分級機能を有する部分から構成され、金属酸化物の結晶成長を促進する部分の一部には清澄域が設けられ、清澄域から分級機能を有する部分へ清澄液を供給するための循環路が設けられた反応晶析装置が記載されている。特許文献1によれば、この反応晶析装置により、未成長粒子の混在を防ぐことができ十分に成長した粒子のみを得ることができるとしている。
しかしながら、上記特許文献3に記載の装置及び、上記特許文献1〜2に記載の方法は、微粒子の含有量が低減された正極活物質を得ることができるため、電池特性の向上に有効であるものの、分級工程あるいは篩別工程に必要な設備装置の追加や工程数の追加が必要であり、また、これによりコストの上昇や、生産効率の低下が生じることがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、リチウムイオン二次電池用正極活物質への微粒子の含有を、簡単かつ低コストで、効率よく抑制できる製造方法を提供するものである。また、本発明は、微粒子の含有量が少なく、粒子全体において、より均一に高い結晶性を有する正極活物質であって、二次電池の正極として用いた際、電池特性が改善された正極活物質を提供するものである。
本発明の第1の態様によれば、正極活物質の前駆体を、所定の雰囲気中で混合し、かつ、前記雰囲気の気流を使って、前記前駆体中の微粒子の少なくとも一部を除去すること、を含む、リチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法が提供される。
また、上記製造方法において、前駆体は、リチウムを除く金属複合水酸化物、及び、金属複合酸化物のうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。また、前駆体は、晶析反応により得られる水酸化物、及び、前記水酸化物を酸化して得られる酸化物、のうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。また、前駆体の混合は、バッチ式混合装置に所定量の前駆体を供給した後、ロット混合することにより行うことが好ましい。また、バッチ式混合装置は、ナウターミキサーであることが好ましい。また、除去する微粒子は、粒径0.1μm以下の微粒子を含むことが好ましい。また、微粒子を除去する前の前駆体は、粒径0.1μm以下の微粒子の体積割合が、前駆体全体に対して、0.5%を超え、微粒子を除去した後の前駆体は、粒径0.1μm以下の微粒子の体積割合が、前駆体全体に対して、0.5%以下であることが好ましい。また、除去した微粒子を回収し、回収した前記微粒子を使って、前駆体を得ることを含むことが好ましい。
本発明の第2の態様によれば、上記前駆体と、リチウム化合物とを混合してリチウム混合物を得ることと、リチウム混合物を焼成しリチウム金属複合酸化物を得ることと、を含む、リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法が提供される。
本発明の第3の態様によれば、以下の特性を満たすリチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体が提供される。
(a)前駆体中、0.1μm以下の微粒子の体積割合が、前駆体全体に対して、0.5%以下である。
本発明の第4の態様によれば、以下の特性を満たすリチウムイオン二次電池用正極活物質が提供される。
(a)前記正極活物質中、0.1μm以下の粒子の体積割合が、前記正極活物質全体に対して、0.5%以下である。
(b)X線回折パターンのリートベルト解析法により算出される3aサイトのリチウム席占有率が98%以上である。
本発明の第5の態様によれば、上記リチウムイオン二次電池用正極活物質を用いた正極と、負極と、セパレータとを備えるリチウムイオン二次電池が提供される。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法は、微粒子が少なく、粒子全体において、均一で高い結晶性を有する正極活物質を、簡便、かつ、低コストで、生産性高く製造することができる。また、本発明の正極活物質は、微粒子が少なく、粒子全体において、均一で高い結晶性を有する。この正極活物質を用いて作製したリチウムイオン二次電池は、微細な粒子部分で起こりやすい充放電反応による劣化が少なく、良好な電池特性を維持することが可能となる。
本実施形態の前駆体の製造方法を示すフローチャートである。 本実施形態の正極活物質の製造方法を示すフローチャートである。 本実施形態の混合装置の一例を示す図である。 従来の混合装置の一例を示す図である。 電池評価に使用した2032型コイン型電池の概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態の一例について、図面を参照しながら説明する。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向とする。また、X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれについて、適宜、矢印の先の側を+側(例、+X側)と称し、その反対側を−側(例、−X側)と称する。
なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。
1.リチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法
図1(A)、(B)は、本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法(以下、単に「前駆体の製造方法」ともいう。)の一例を示す図である。以下、本明細書において、微粒子を除去する前の前駆体を「第1前駆体」といい、ステップS10により、微粒子を除去した後の前駆体を「第2前駆体」という。
図1(A)に示すように、本実施形態の前駆体の製造方法は、第1前駆体を、所定の雰囲気中で混合し、かつ、雰囲気の気流を使って、第1前駆体中の微粒子の少なくとも一部を除去して第2前駆体を得ること(ステップS10)を含む。そして、後述するように、得られた第2前駆体を、後述するように、リチウム化合物と混合し、焼成することにより、正極活物質を得ることができる(図2参照)。
ところで、正極活物質に含まれる微粒子を低減する方法は、上述したように、いくつか提案されているが、後述する実施例に示されるように、焼成後のリチウム金属複合酸化物(正極活物質)から微粒子を除去する場合、後述する実施例にも示されるように、以下のようなデメリットが生じることがある。
(1)焼成工程において、リチウム化合物は、粒径の小さい前駆体と優先的に反応する傾向があるため、比較的大きな粒径を有する前駆体がリチウム化合物と反応を開始するタイミングが遅れ、全体としての焼成反応が進みにくくなることがある。
(2)また、前駆体の粒子径によりリチウム化合物との反応性の違いに起因して、得られた正極活物質は、粒度毎にリチウム/遷移金属のモル比が異なることがあり、焼成時に狙ったリチウム/遷移金属のモル比と異なったリチウム/遷移金属のモル比を有することがある。
一方、本実施形態の前駆体の製造方法では、リチウム化合物と混合する前の複合水酸化物(前駆体)から微粒子を除去する。前駆体から微粒子を除去する場合、得られる正極活物質において、粒度によるリチウム/遷移金属のモル比の偏りが抑制され、粒子全体において、より均一で結晶性の高い正極活物質を得ることができる。
さらに、本発明者らは、正極活物質の前駆体のロット混合工程で排出される雰囲気気流中に、微細な粒子(微粒子)が多く含まれ、それを前駆体化合物から除去することによって、微粒子の含有量が少ない前駆体化合物を、簡便、かつ、低コストで、生産性高く得られることを見出して、本発明を完成させた。以下、本実施形態の前駆体の製造方法の各工程について詳細を説明する。
[第1前駆体の混合:ステップS10]
まず、第1前駆体を所定の雰囲気中で混合し、かつ、雰囲気の気流を使って、前駆体中の微粒子の少なくとも一部を除去する(ステップS10)。
(第1前駆体)
第1前駆体は、特に限定されず、公知の前駆体を用いることができる。第1前駆体としては、例えば、ニッケル、コバルト、マンガンなどの遷移金属を含む複合金属化合物を用いることができる。第1前駆体としては、遷移金属の複合水酸化物が広く用いられているが、本実施形態の製造方法では、これに限定されず、例えば、遷移金属の複合炭酸塩、複合酸化物などを用いてもよい。
また、本実施形態の製造方法では、これらを焼成等の熱処理をして得た複合酸化物を前駆体化合物として用いてもよい。これらの中でも、第1前駆体は、晶析反応により得られる遷移金属複合水酸化物(以下、単に「複合水酸化物」ともいう。)、及び、この複合水酸化物を酸化して得られる酸化物、のうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。
以下、第1前駆体として、複合水酸化物を用いる場合について説明する。第1前駆体として用いられる複合水酸化物は、特に限定されず、公知の方法を用いて製造することができる。複合水酸化物は、例えば、図1(B)等に示されるように、晶析反応により製造することができる(ステップS11)。以下に、本実施形態の正極活物質の製造方法において、第1前駆体として複合水酸化物を用いた場合の好適な一例を示す。
(晶析反応:ステップS11)
まず、原料となるニッケル塩、コバルト塩、マンガン塩のうち少なくとも一つを含む遷移金属塩の水溶液と、アルカリ溶液とを反応させ、共晶析させることで、遷移金属を含む複合水酸化物を得る。得られる複合水酸化物は、反応溶液中にスラリーの状態で存在する。
次いで、複合水酸化物を含む反応溶液(スラリー)を、フィルタープレス等の固液分離装置に導入して、液体分と複合水酸化物(固体分)とを分離して、水分を含有した複合水酸化物ケーキを取り出す。複合水酸化物に含まれる不純物成分を除去するために、洗浄が併せて行われることもある。
次いで、複合水酸化物ケーキを、乾燥装置に導入し加熱して、水分の少なくとも一部を除去して、乾燥させて、第1前駆体を得る。乾燥装置としては、流動乾燥機、パドルドライヤ、気流乾燥機などが用いられる。
第1前駆体の粒度分布は、特に限定されないが、例えば、粒子径0.1μm以下の粒子(微粒子)の体積割合が、第1前駆体全体に対して、0.5%を超えてもよく、1%を超えてもよい。後述するように、本実施形態の製造方法は、このような微粒子を比較的多く含む前駆体に対して、好適に用いることができる。
次いで、得られた第1前駆体は、所定の雰囲気で混合される。第1前駆体を混合することにより、第1前駆体中の品質のバラツキが全体的に均一化された状態とすることができる。また、正極活物質のリチウム/遷移金属比を制御する方法として、第一前駆体の各遷移金属元素の含有量を組成分析しそれに対してリチウム化合物の配合量を決める手法が一般的だが、第1前駆体を混合し全体を均一化すると、組成分析の際のサンプリング誤差を小さくし、正極活物質のリチウム/遷移金属比を目的の値に制御することが容易になる。この混合は、公知の粉体混合装置等を用いて行うことができ、例えば、ナウターミキサー、Vブレンダー、気流混合装置などの混合装置を用いることができる。中でも、混合及び微粒子の除去をより簡便に効率よく行うことができるという観点から、バッチ式混合装置を用いることが好ましく、ナウターミキサーを用いることがより好ましい。
(混合装置)
図3は、本実施形態の製造方法において、好適に用いることのできる混合装置の一例を示す図である。図4は、前駆体を混合する従来公知の混合装置の一例を示す図である。以下、図3、図4を適宜参照して、本工程について説明する。
図3の混合装置100は、内部に物体を収容可能な本体部1と、攪拌用モーター2と、本体部1の内部に配置された回転攪拌子3と、ガス供給部4と、ガスを排気する排気口5と、を備える。ガス供給部4は、本体部1内部に雰囲気ガスを供給し、供給された雰囲気ガスは、排気口5から排気される。混合装置100は、例えば、ナウターミキサーである。
回転攪拌子3(例えば、スクリュー)は、攪拌用モーター2により、回転して、本体部1内部に収容された物体を攪拌する。混合装置100は、所定量の第1前駆体A(例えば、乾燥後の複合水酸化物)を、本体部1に投入した後、回転攪拌子3を回転させることにより、第1前駆体Aを攪拌混合する。例えば、混合装置100は、第1前駆体のロット混合に用いることができる。第1前駆体Aは、ロット混合することにより、ロット内の品質のバラツキを均一化することができる。
ガス供給部4は、ガス導入口4aから雰囲気ガスを本体部1に投入する。雰囲気ガスの種類は、特に限定されない。例えば、雰囲気ガスは、空気、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを用いることができる。製造された第1前駆体Aの変性を防ぐという観点から、不活性なガスを用いることが好ましく、窒素ガス、アルゴンガス、脱炭酸した空気などが特に好ましい。また、製造した第1前駆体Aが特に変性するものでなければ、コスト及び操作の容易性の観点から、空気を用いることが好ましい。
通常、混合操作に必要な回転軸を持つ混合装置(混合機構)においては、シールガスを吹き込みながら混合が行われる。シールガスは、例えば、回転攪拌子3と本体部1とのシール部分に混合する対象物(粉体)が侵入するのを防ぐなどのために用いられる。本実施形態に用いられる雰囲気ガスは、例えば、このようなシールガスと兼用されて用いられることができる。
排気口5は、本体部1内部に供給された雰囲気ガスを排出する。雰囲気ガスは、その気流により、微粒子aを本体部1内部より除去する。本実施形態の製造方法は、微粒子aを排気口5から排出する、又は、後述するように微粒子回収部6により回収する、ことにより、従来の混合操作にかかる時間内に、前駆体の混合と微粒子の除去とを同時に行うことが可能となる。
また、本実施形態の製造方法に用いられる混合装置100は、図3に示すように、雰囲気ガスの流路上に設けられた微粒子回収部6を備えてもよい。微粒子回収部6は、例えば、排気口5を通過する雰囲気ガスの流路に設けられる。また、微粒子回収部6の雰囲気ガス流出側には、微粒子を捕集可能な(微粒子の通過を遮断可能な)微粒子捕集用フィルターなどを設けてもよい。これにより、第1前駆体Aを本体部1で混合する際、ガス供給部4から圧縮空気などの雰囲気ガスを導入しつつ、排気口5から排気することにより、排気中に一定の比率で含まれる微粒子aを微粒子回収部6により回収することができる。回収した微粒子aは、後述するように、前駆体を製造する原料として再利用することができる。
ところで、従来の製造方法では、図4に示すように、混合装置200は、第1前駆体Aを混合する工程で生じる微粒子aは、排気口5付近に設けられた微粒子捕集用フィルター7で捕集され、その後、再び、本体部1に戻されていた。一方、本実施形態の製造方法は、雰囲気ガスの気流を用いて、微粒子aを排気口5から排出する、又は、微粒子回収部6により回収する、ことにより、簡便、かつ、低コストで、生産性高く、第1前駆体Aから微粒子aを除去することを可能とする。
なお、微粒子aとは、第1前駆体中、例えば、粒子径が1μm以下の粒子をいう。微粒子回収部6で回収する微粒子aの大きさは、特に限定されず、回転攪拌子3の回転速度や、雰囲気ガスの導入条件を適宜調整することにより、所望の粒子径を有する微粒子aを回収することができる。また、微粒子aの除去効率は、本体部1における混合時間を適宜調整することにより、制御することができる。また、混合装置100を用いる場合、混合工程時間を延ばすことなく、微粒子aの除去を行うことができる。
また、混合装置100は、本体部1に接続され本体部1に物体を投入可能な粉末投入口8と、本体部1の下部に設けられ、本体部1の内部の物体の取り出しに用いられる粉末取出弁9と、を備えてもよい。第1前駆体Aは、投入口8から、本体部1内部に投入され、混合及び微粒子を除去される。微粒子が除去された第2前駆体Bは、取出弁9から、回収される。また、第2前駆体Bは、一定量ずつ回収され、保管されることができる。
(第2前駆体)
上記の方法により得られた第2前駆体Bは、粒子径0.1μm以下の粒子の体積割合が、第2前駆体B全体に対して、0.5%以下であることが好ましい。第2前駆体Bに含まれる微粒子の割合を小さくした場合、後述するリチウム化合物と前駆体とを混ぜ合わせて焼成する工程(ステップS30)において、比較的大きな粒子径を有する前駆体が、リチウム化合物と反応開始するタイミングを遅延させることなく、粒子全体としての焼成反応を、均一にかつ早く進ませることができる。
また、第1前駆体Aから取り除かれた微粒子aは、粒子径0.1μm以下の微粒子を含むことが好ましい。このようにして微粒子を取り除いた複合水酸化物を前駆体として、さらにリチウム化合物を混合した後で焼成炉にて焼成合成させることで、最終的に微粒子の割合の少ない正極活物質を作製することが可能である。
(微粒子の再利用:ステップS12)
第1前駆体Aから取り除かれた微粒子aは、図1(B)に示すように、第1前駆体の原料として再利用することができる。微粒子aは、例えば、硫酸、硝酸などの酸で再溶解した後、遷移金属塩の水溶液に混合して用いることができる。
一方、従来公知の方法で正極活物質から微粒子を取り除いた場合、リチウムと反応した後の微粒子では、前駆体の原料溶液として用いる際に、リチウムを含んだ原料溶液となるため、晶析工程(ステップS11)にそのままで使用するのが難しい。
2.正極活物質の製造方法
図2に示すように、本実施形態の正極活物質の製造方法は、微粒子を除去した第2前駆体と、リチウム化合物とを混合してリチウム混合物を得ること(ステップS20)と、リチウム混合物を焼成しリチウム金属複合酸化物を得ること(ステップS30)と、を含む。本実施形態の正極活物質の製造方法は、上記の微粒子を除去した第2前駆体を用いることにより、微粒子の含有量が少ない正極活物質(リチウム金属複合酸化物)を製造することができる。正極材粒子に微粒子が少ない場合、充放電時の電極反応に付随して発生する余計な副反応が抑えられ、結果として電極の劣化が起こりにくくなり、良好な電池性能を維持することができる。以下、各工程について、詳細を説明する。
[第2前駆体とリチウム化合物との混合:ステップS20]
まず、第2前駆体と、リチウム化合物とを混合してリチウム混合物を得る。上記の方法により得られた第2前駆体Bは、成分分析を行った後、目的とするリチウム/遷移金属のモル比になるように計算された量のリチウム化合物と混合することができる。
リチウム化合物としては、特に限定されず、公知のリチウム化合物を用いることができ、例えば、水酸化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、又はこれらの混合物が用いることができる。
リチウム混合物は焼成前に十分混合しておくことが好ましい。混合が十分でない場合には個々の粒子間でLi/Me比がばらつき、十分な電池特性が得られない等の問題が生じる可能性がある。混合には、一般的な混合装置を使用することができ、例えば、シェイカーミキサ、レーディゲミキサ、ジュリアミキサ、Vブレンダー、ナウターミキサーなどを用いることができる。またこの混合は、前駆体の形骸が破壊されない程度で、十分に混合されればよい。
[焼成:ステップS30]
次いで、得られたリチウム混合物は、焼成炉で焼成され、リチウム金属複合酸化物を得ることができる(ステップS30)。焼成条件は、特に限定されず、用いた第2前駆体及びリチウム化合物の組成に応じて、適宜、調整することができる。得られたリチウム金属複合酸化物は、そのまま正極活物質として用いることができる。
[解砕工程:ステップS40]
また、焼成により、得られたリチウム金属複合酸化物は、一部焼結が起きていることがある。このような場合には、粉砕装置あるいは分級装置などで目的とする粒度へ粒度調整を行う工程(ステップS40)を備えてもよい。これにより、得られる正極活物質の平均粒径や粒度分布を好適な範囲に調整することができる。
3.正極活物質
本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質(以下、「正極活物質」ともいう。)は、以下の特性を有することが好ましい。
(a)前記正極活物質中、0.1μm以下の粒子の体積割合が、前記正極活物質全体に対して、0.5%以下である。
(b)X線回折パターンのリートベルト解析法により算出される3aサイトのリチウム席占有率が98%以上である。
上記特性を有する正極活物質は、上述した本実施形態の正極活物質の製造方法により容易に製造することができる。本実施形態の正極活物質は、上述したような微粒子の含有量の少ない第2前駆体を用いて製造されるため、より均一にリチウム化合物と反応することができ、粒子全体で結晶性の高い正極活物質を得ることができる。
以下、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例の電池特性評価は、以下の装置及び方法を用いた測定結果により評価した。
[組成分析]
得られたサンプルを硝酸で溶解した後、ICP発光分光分析装置(株式会社島津製作所製、ICPS−8100)で測定した。
[平均粒径D50及び粒度分布の測定]
レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)により行なった。
[リチウム席占有率]
得られた正極活物質のX線回折パターンのリートベルト解析から、3aサイトのリチウム席占有率を求めた。
[評価用二次電池の作製]
電池特性の評価は、図5に示す2032型コイン電池BA(以下、「コイン型電池BA」ともいう。)を使用した。コイン型電池BAは、ケースと、このケース内に収容された電極とから構成されている。ケースは、中空かつ一端が開口された正極缶PCと、この正極缶PCの開口部に配置される負極缶NCとを有しており、負極缶NCを正極缶PCの開口部に配置すると、負極缶NCと正極缶PCとの間に電極を収容する空間が形成されるように構成されている。電極は、正極PE、セパレータSEおよび負極NEとからなり、この順で並ぶように積層されており、正極PEが正極缶PCの内面に接触し、負極NEが負極缶NCの内面に接触するようにケースに収容されている。なお、ケースはガスケットGAを備えており、このガスケットGAによって、正極缶PCと負極缶NCとの間が非接触の状態を維持するように相対的な移動が固定されている。また、ガスケットGAは、正極缶PCと負極缶NCとの隙間を密封してケース内と外部との間を気密液密に遮断する機能も有している。
以下、コイン型電池BAの製作方法について説明する。正極合剤ペーストを塗布後乾燥して得られた正極電極シートを、円形ポンチを用いて14mmφの円形電極に打ち抜き、正極PEを得た。負極NEとしてはリチウム金属を14mmφの円形電極に打ち抜いたものを用い、電解液として、1MのLiClOを支持塩とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合溶液(富山薬品工業製)を用い、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス中で、コイン電池BAを作製した。
[充放電容量の測定]
コイン電池BAを24時間程度放置し、開路電圧OCV(open circuit voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.5mA/cmとしてカットオフ電圧4.3Vまで充電して充電容量とし、1時間の休止後カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量を放電容量として測定した。放電容量の測定は上記サイクルを100回繰り返して行い、初回の放電容量に対する100回目の放電容量の比率を容量維持率として求めた。
[実施例1]
前駆体としてのニッケル、コバルト、マンガン複合水酸化物の作製は以下のように行った。硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸マンガンをニッケル:コバルト:マンガンの各モル濃度(mol/l)が0.7mol/lとなるように調製した遷移金属塩水溶液を原料とした。反応槽中の反応始液(約2mol/l硫酸ナトリウム水溶液)を攪拌しつつ、上記の遷移金属塩水溶液、40%苛性ソーダ水溶液、25%アンモニア水溶液を同時に滴下し加えて複合水酸化物を共晶析させた。この反応を連続的に行い、複合水酸化物をオーバーフロー口から回収した。得られた複合水酸化物スラリーをフィルタープレスに導入して、固液分離して水分を除去した。脱イオン水による通水洗浄を2回行った後、圧搾して重量水分率が15%程度のケーキ状態でフィルタープレスより回収し、このケーキ状態の複合水酸化物を定置乾燥機で乾燥した。
乾燥された複合水酸化物は、図3に示すような混合装置100に、導入部(粉末投入口)8を通して投入した。混合装置100には内容物を混合するためのスクリュー(回転攪拌子)3が設置されており、また装置下部に設けられたエアーブロー用エアー入口(ガス導入口)4aを通って圧縮空気が吹き込まれる。スクリューを回転させて複合水酸化物の混合を行う。混合中吹き込まれている圧縮空気は排気口5を通って装置外へ排出されるが、排出される空気に混ざって、舞い上がった複合水酸化物の微粉が上部排気口5から排出される。その中に一定の比率で粒径が1μm以下の微粒子が含まれるように撹拌子の回転速度や圧縮空気の噴射状態を調整することで、粒子径で0.1μm以下の微粒子の比率を体積比で1%以下に抑えた複合水酸化物を得た。ロット混合が終了した複合水酸化物は、粉末取出弁9より取り出した。得られた複合水酸化物の0.1μm以下の粒子の含有割合は0.4%であった。
得られた複合水酸化物と水酸化リチウムをLi/M比が1.05となるように看量、混合した。混合物を950℃で5時間焼成し、リチウム金属複合酸化物を作製した。得られたリチウム金属複合酸化物は前駆体水酸化物の粒度分布が引き継がれて、同様に平均粒径0.1μm以下の微粒子の比率は体積比率で0.4%であった。
得られたリチウム遷移金属複合酸化物33.00gと、第一の導電助剤として平均粒径D50が0.7μmのアセチレンブラック0.35gをそれぞれ秤量し、ジルコニアビーズ(3mmφ)45gと共にポリプロピレン製の専用混合容器に入れ、自転・公転ミキサー:あわとり錬太郎ARE−310(株式会社シンキー製)を用いて1500rpmで15秒間×2回混合した。篩別によりジルコニアビーズを取り除いた後、得られた混合物粉末に、第二の導電助剤として第一の導電助剤と同じ平均粒径D50が0.7μmのアセチレンブラックを1.10g、結着剤としてクレハ製PVDF溶液KF#1120(PVDF12wt%/NMP88wt%)を15.11g、及び粘度調整用溶媒NMPを11.0g加え、再度、あわとり錬太郎を用いて回転数1500rpmで5分間混練し、正極合剤ペーストを得た。
長さ380mm、幅230mmのガラス製塗工プレート上にエタノールを吹きかけ、長さ180mm、幅120mm、厚さ20μmのアルミニウム集電体を載置し、これをゴム製スキージで押さえつけて固定した。このアルミニウム集電体上の端部の塗工開始点に適量の正極合剤ペーストを乗せ、ベイカー式アプリケーター(幅150mm、クリアランス設定250μm)をスライドさせることによりペースト塊を集電体上に押し拡げ、略矩形の塗工膜を形成した。このようにして得た塗工膜を塗工プレート及び集電体ごと真空乾燥機:VOS−451SD(東京理化機器製)に入れ、60℃の大気雰囲気中で10分間かけて仮乾燥させた。その後、乾燥機内を1Paに減圧し、残留溶媒分を完全に除去するため120℃の減圧雰囲気で8時間かけて乾燥処理を行い、正極電極シートを得た。この正極電極シートを用いて、電池特性の評価を行った。結果を表1に示す。
また、混合装置100に微粒子回収部6(ガス流路の下流にフィルター7を設置)を取り付けて、微粒子をフィルター7にて一時的に捕集した後、混合装置100から回収した。回収された微粒子は、再溶解処理を経て、ニッケルコバルトマンガンの複合溶液として再利用することが出来た。
[比較例1]
実施例1と同様にして第1前駆体複合水酸化物の作製を行った。実施例1と異なる点として、用いた混合装置200は、図4に示すように、排気口5に、排気と共に舞い上がった粉を通さず、混合機内に戻すような構造の折り返し型フィルター(微粒子捕集用フィルター)7を装着してある。この場合には、混合装置200の中で舞い上がった微粒子は混合装置から外に除外されることなく全量が混合機内部に戻され、最終的に取り出した前駆体粒子の中に全て含まれた。回収された複合水酸化物は実施例1に比べて多量の1μm以下部分を含んでいた。得られた複合水酸化物の0.1μm以下の粒子の含有割合は1.3%であった。
得られた複合水酸化物を前駆体として、実施例1と同様にリチウム金属複合酸化物を作製した。得られたリチウム金属複合酸化物は前駆体水酸化物の粒度分布が引き継がれて、平均粒径0.1μm以下の微粒子の比率は体積比率で1.2%であった。その後、実施例1と同様の充放電評価を行った。測定結果を含めて表1に示す。
[比較例2]
比較例1と同様の条件でリチウム金属複合酸化物を作製した。作製したリチウム金属複合酸化物を、図3に示す混合装置100に入れて、実施例1で複合水酸化物(第1前駆体)に対して行ったのと同じ操作を行い、リチウム金属複合酸化物に含まれる微粒子を取り除いた。得られたリチウム金属複合酸化物は微粉部分が除去されて、平均粒径0.1μm以下の微粒子の比率は体積比率で0.4%であった。その後、実施例1と同様の充放電評価を行った。測定結果を含めて表1に示す。
Figure 2018181736
[評価結果]
実施例1では、正極活物質に微粒子(例えば、0.1μm以下)が少なく、この正極活物質を用いた電池評価において良好な電池性能を示した。これは、微粒子の含有量が少ないことにより、充放電時の電極反応に付随して発生する余計な副反応を抑えられ、電極の劣化が起こりにくくなっているためと考えられる。また、実施例1の正極活物質は、結晶中のLi占有席が高く、良好な結晶性を有することが示された。
比較例1では、得られた正極活物質のLi席占有率が低かった。これは、得られた前駆体複合水酸化物に微粒子がそのまま含まれていたことによって、均一な合成反応が進みにくいためと考えられる。また、得られた正極活物質の100サイクル後の放電容量維持率が低かった。これは、充放電時に微粒子に充放電の負荷が集中し、正極活物質の劣化が進んだためと考えられる。
比較例2では、得られた正極活物質のLi席占有率は低く、また、リチウム金属複合酸化物から微粉部分除去したので目的としたLi/M比からずれが生じ、放電容量の低い正極活物質となった。これは、焼成工程においては前駆体複合水酸化物に微粒子がそのまま含まれていたことによって、均一な合成反応が進みにかったためと考えられる。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
100…混合装置(本実施形態)
200…混合装置(従来技術)
1…本体部
2…攪拌用モーター
3…回転攪拌子
4…ガス供給部
4a…ガス導入口
5…排気口
6…微粒子回収部
7…微粒子捕集用フィルター
8…粉末投入口
9…粉末取出弁
A…第1前駆体
B…第2前駆体
a…微粒子

Claims (13)

  1. 正極活物質の前駆体を、所定の雰囲気中で混合し、かつ、前記雰囲気の気流を使って、前記前駆体中の微粒子の少なくとも一部を除去すること、
    を含む、リチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法。
  2. 前記前駆体は、リチウムを除く金属複合水酸化物、及び、金属複合酸化物のうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法。
  3. 前記前駆体は、晶析反応により得られる金属複合水酸化物、及び、前記金属複合水酸化物を酸化して得られる酸化物、のうちの少なくとも一方を含む、請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法。
  4. 前記前駆体の混合は、バッチ式混合装置に所定量の前記前駆体を供給した後、ロット混合することにより行う、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法。
  5. 前記バッチ式混合装置は、ナウターミキサーである、請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法。
  6. 前記除去する微粒子は、粒径0.1μm以下の微粒子を含む、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法。
  7. 前記微粒子を除去した後の前駆体は、粒径0.1μm以下の微粒子の体積割合が、前駆体全体に対して、0.5%以下である、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法。
  8. 前記除去した前記微粒子を回収し、前記回収した前記微粒子を使って、前記前駆体を得ることを含む、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体の製造方法。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の製造方法により得られた前駆体と、リチウム化合物とを混合してリチウム混合物を得ることと、
    前記リチウム混合物を焼成しリチウム金属複合酸化物を得ることと、
    を含む、リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  10. 以下の特性を満たすリチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体。
    (a)前記前駆体中、0.1μm以下の微粒子の体積割合が、前駆体全体に対して、0.5%以下である。
  11. 金属複合水酸化物、及び、金属複合酸化物のうちの少なくとも一方を含む、請求項10に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体。
  12. 以下の特性を満たすリチウムイオン二次電池用正極活物質。
    (a)前記正極活物質中、0.1μm以下の粒子の体積割合が、前記正極活物質全体に対して、0.5%以下である。
    (b)X線回折パターンのリートベルト解析法により算出される3aサイトのリチウム席占有率が98%以上である。
  13. 請求項12に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質を用いて作製したリチウムイオン二次電池。
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