JP2018181035A - 走行支援装置、走行支援方法およびそのためのデータ構造 - Google Patents
走行支援装置、走行支援方法およびそのためのデータ構造 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】車両種別毎に走行レーンの幅内のどこを走行するかを走行推奨度として出力する走行支援装置、走行支援方法およびそのためのデータ構造を提供する。【解決手段】プローブ車両からの走行情報を蓄積して、走行レーンの情報を含む道路ネットワーク情報に対応付けて、車両の走行特性に対応する走行ラインを走行推奨度管理データベースに蓄積する。車両からの問い合わせを受けると、問い合わせに含まれる車両の走行特性と走行しようとする道路ネットワーク上の道路とに対応して、走行推奨度データベースに記憶された走行推奨範囲と走行推奨度を読み出す。この走行推奨範囲と走行推奨度により、走行を支援する。走行推奨範囲を受け取った車両は、この範囲で走行ラインを定め走行する。【選択図】図12
Description
本発明は、処理装置、処理方法及び/またはそのためのデータ構造の技術に関する。
近年、車両などの移動体に対するナビゲーションの技術が進み、最近では、単に目的地までの経路を案内するだけでなく、道路の合流や分岐、あるいは車線規制などに応じて、適切と思われる走行レーンを案内するものや、実際に車両を走行させるシステムなどが提案されている(例えば特許文献1)。また運転者の走行データを予め蓄積し、自動走行時に運転者の好みに応じた走行ラインで、車両を走らせ、運転者の感じる違和感を小さくする技術も提案されている(特許文献2参照)。
本発明は、車両に対する適切な走行支援を行なう走行支援装置、走行支援方法およびそのためのデータ構造を提供することを課題とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
本発明の1つの態様として、車両からの問い合わせに応じて、推奨する走行ラインに関する情報を提供する走行支援装置が提供される。この走行支援装置は、道路の所定の地点における車両の走行特性に対応する走行ラインを、走行レーンの幅方向に設定された走行推奨範囲に対応付けた推奨度として記憶している走行推奨度記憶部と、前記車両からの問い合わせに含まれる前記車両の走行特性と走行する前記道路の地点とに従って、前記走行推奨度記憶部に記憶された前記走行推奨範囲に対応付けた前記推奨度を出力することで、前記車両の走行を支援する出力部とを備える。この走行支援装置によれば、道路の所定の地点における車両の走行特性に対応する走行ラインを、走行レーンの幅方向に設定された走行推奨範囲に対応付けた推奨度として記憶しているので、走行レーンの中でどの走行ラインを採るかについての自由度が高く、様々な条件に応じた走行ラインを柔軟に設定でき、車両の走行を支援することができる。
本発明の他の態様として、車両からの問い合わせに応じて、推奨する走行ラインに関する情報を提供する走行支援方法や、車両からの問い合わせに対して出力される走行推奨範囲を表わすデータ構造の発明が提供される。
本発明は、これらの態様の他、車両と走行支援装置からなる走行支援システムとして、あるいは上記走行支援装置からの推奨走行ラインの提供を受けて走行する車両として、実施することも可能である。この他、走行支援装置に必要な情報を収集するプローブ車両としての実施など、種々の態様で実施可能である。また、以下の実施形態の説明において、必須の事項として説明した以外の構成要素は、なくても良く、必要に応じて、適宜他の構成要素と組合わせることも可能である。実施に際しては、いずれの部分をハードウェアによって実現し、いずれの部分をソフトウェアによって実現するかは、任意である。全てをハードウェアによって実現しても差し支えない。
<第1実施形態>
第1実施形態である走行支援装置について説明する。図1Aは、走行支援装置90の概略構成図である。この走行支援装置90は、プローブ車両21からの走行に関する多様な情報を取得して走行支援の準備を行なう走行管理サーバ30と、走行支援を必要とする車両51,61,71が走行する上で必要とする支援を走行推奨度管理サーバ30と連携して実現する運転支援サーバ40とを備える。本実施形態では、以下に説明するように、プローブ車両21を用いて走行に関する情報を集め、ここから後述する走行推奨範囲や走行推奨度などで表現した推奨走行ラインを求めているが、推奨走行ラインは、プローブ車両21によって収集した情報によらず、シミュレーションや運転技術が高いと評価されたドライバの感性によって設定するものとしてもよい。
第1実施形態である走行支援装置について説明する。図1Aは、走行支援装置90の概略構成図である。この走行支援装置90は、プローブ車両21からの走行に関する多様な情報を取得して走行支援の準備を行なう走行管理サーバ30と、走行支援を必要とする車両51,61,71が走行する上で必要とする支援を走行推奨度管理サーバ30と連携して実現する運転支援サーバ40とを備える。本実施形態では、以下に説明するように、プローブ車両21を用いて走行に関する情報を集め、ここから後述する走行推奨範囲や走行推奨度などで表現した推奨走行ラインを求めているが、推奨走行ラインは、プローブ車両21によって収集した情報によらず、シミュレーションや運転技術が高いと評価されたドライバの感性によって設定するものとしてもよい。
プローブ車両21は、一般車両と同様に、運転者の運転により走行するが、一般車両と比べると、以下のセンサやデータ入力装置を備える点、およびネットワーク(NT)25を介して走行推奨度管理サーバ30と通信する機能とを有する点で相違している。プローブ車両21は、図1Bに示したように、通常の車両に搭載されたエンジンやブレーキなどの諸装置(図示省略)の他に、車両の位置を特定するGPS装置22,センサ群23,記憶装置であるメモリ24,走行路の探索や案内を行なうナビゲーション装置26,通信機能を有しプローブ車両としての制御を行なう制御装置27などを備える。
プローブ車両21は、制御装置27の制御の下で、走行中は、以下のデータを、ネットワーク25を介して、走行推奨度管理サーバ30に出力する。
・車両の位置(絶対座標による)
・車両の走行特性
ここで、車両位置は、所定の時間間隔で出力されるので、これを繋いで車両の走行ライン(走行軌跡)を求める基礎となる。他方、車両の走行特性は、車両の挙動に影響を与えるパラメータの総称であり、大きくは、
(a)車幅など車両自体に依存する固定的なパラメータ、
(b)車速など車両の運転状況に依存する動的なパラメータ
(c)道路の曲率(曲率半径でも可)、制限速度など道路の形態に依存する固定的なパラメータ、
(d)路面の濡れなど道路の状況に依存する動的なパラメータ
(e)その他のパラメータ
に分類される。こうしたパラメータは、
・予め入力済みのデータとして、あるいは
・センサ群23が直接的に検知したまたは間接的に取得したデータとして、
プローブ車両21から受け取ることができる。入力済みのデータやセンサ群23によるデータなどは、一旦メモリ24に蓄えられ、その後所定のタイミングで、走行推奨度管理サーバ30に出力される。センサ群23からのデータとして、直接的に検知したものや間接的に取得したものがあるとしたのは、センサの出力を直接扱うものでもよいが、他のセンサや機器のデータを流用しているものでも差し支えないからである。また、データの一部は、音声認識や画面入力などを用いて、制御装置27に、運転者が入力する。以下、これらのセンサ群23やデータの入力を行なう装置について、またはプローブ車両が取り扱うデータについて説明する。車両の走行に関する以下のデータを総称して、走行情報とも呼ぶ。
・車両の位置(絶対座標による)
・車両の走行特性
ここで、車両位置は、所定の時間間隔で出力されるので、これを繋いで車両の走行ライン(走行軌跡)を求める基礎となる。他方、車両の走行特性は、車両の挙動に影響を与えるパラメータの総称であり、大きくは、
(a)車幅など車両自体に依存する固定的なパラメータ、
(b)車速など車両の運転状況に依存する動的なパラメータ
(c)道路の曲率(曲率半径でも可)、制限速度など道路の形態に依存する固定的なパラメータ、
(d)路面の濡れなど道路の状況に依存する動的なパラメータ
(e)その他のパラメータ
に分類される。こうしたパラメータは、
・予め入力済みのデータとして、あるいは
・センサ群23が直接的に検知したまたは間接的に取得したデータとして、
プローブ車両21から受け取ることができる。入力済みのデータやセンサ群23によるデータなどは、一旦メモリ24に蓄えられ、その後所定のタイミングで、走行推奨度管理サーバ30に出力される。センサ群23からのデータとして、直接的に検知したものや間接的に取得したものがあるとしたのは、センサの出力を直接扱うものでもよいが、他のセンサや機器のデータを流用しているものでも差し支えないからである。また、データの一部は、音声認識や画面入力などを用いて、制御装置27に、運転者が入力する。以下、これらのセンサ群23やデータの入力を行なう装置について、またはプローブ車両が取り扱うデータについて説明する。車両の走行に関する以下のデータを総称して、走行情報とも呼ぶ。
(1)一般の車両でも搭載しているが、その検出値を外部に出力できるもの:
・車速センサ
・ハンドルの操舵角度センサ
・制動力センサ(ブレーキペダルの踏込量センサで代用)
・外気温センサ
・時刻検出器(リアルタイムクロック)
・走行距離検出器
・車速センサ
・ハンドルの操舵角度センサ
・制動力センサ(ブレーキペダルの踏込量センサで代用)
・外気温センサ
・時刻検出器(リアルタイムクロック)
・走行距離検出器
(2)上記(1)に含まれない車両に関する付加的なデータを出力するもの:
・燃料残量検出器(燃料メータから取得)
・バッテリ残量検出器(バッテリの残量計から取得)
・走行開始からの経過時間検出器(リアルタイムクロックから抽出)
・冷却液温度センサ(冷却液温度計から取得)
・潤滑油の粘度検出器(潤滑油の温度から推定)
・燃料残量検出器(燃料メータから取得)
・バッテリ残量検出器(バッテリの残量計から取得)
・走行開始からの経過時間検出器(リアルタイムクロックから抽出)
・冷却液温度センサ(冷却液温度計から取得)
・潤滑油の粘度検出器(潤滑油の温度から推定)
(3)プローブ車両として特に搭載しているセンサ・検出器:
・加速度センサ(加速度および減速度を検出)
・車両と路面との摩擦係数センサ(スキッドコントローラによる計算値を流用)
・縦揺れ検出センサ(縦方向の加速度を検出)
・騒音計(車室内のノイズレベルを検出)
・季節センサ(リアルタイムクロックの出力から抽出)
・照度センサ(車両外部の明るさを検出)
・天候センサ(晴れ、雨、雪などを検出)
・湿度センサ
・風向および風速センサ
・降雨量および降雪量センサ
・車重センサ(積載を含めた車両重量をサスペンションのばねの圧縮量から検出)
これらのセンサは、一部のプローブ車両21に搭載するものとしてもよい。その場合、加速度と車重以外は、センサを有する他のプローブ車両21で近くに存在する車両からのデータを取得して、そのデータで代用してもよい。また、季節や天候、湿度、風向・風速、降雨量・降雪量などは、プローブ車両21が走行している場所のデータをネットワーク25上の気象情報を扱うサイト(例えば、WeatherUnderground)などから取得してもよい。車両と路面との摩擦係数は、車輪のスリップを検知して制動力を制御するスキッドコントローラによるスリップの計算値を利用すれば、数値化できるが、この他、直接タイヤに加速度センサを含む各種センサを設け、「CAIS(Contact Area Information Sensing)」に基づく路面状態判別技術を用いて、検出してもよい。
・加速度センサ(加速度および減速度を検出)
・車両と路面との摩擦係数センサ(スキッドコントローラによる計算値を流用)
・縦揺れ検出センサ(縦方向の加速度を検出)
・騒音計(車室内のノイズレベルを検出)
・季節センサ(リアルタイムクロックの出力から抽出)
・照度センサ(車両外部の明るさを検出)
・天候センサ(晴れ、雨、雪などを検出)
・湿度センサ
・風向および風速センサ
・降雨量および降雪量センサ
・車重センサ(積載を含めた車両重量をサスペンションのばねの圧縮量から検出)
これらのセンサは、一部のプローブ車両21に搭載するものとしてもよい。その場合、加速度と車重以外は、センサを有する他のプローブ車両21で近くに存在する車両からのデータを取得して、そのデータで代用してもよい。また、季節や天候、湿度、風向・風速、降雨量・降雪量などは、プローブ車両21が走行している場所のデータをネットワーク25上の気象情報を扱うサイト(例えば、WeatherUnderground)などから取得してもよい。車両と路面との摩擦係数は、車輪のスリップを検知して制動力を制御するスキッドコントローラによるスリップの計算値を利用すれば、数値化できるが、この他、直接タイヤに加速度センサを含む各種センサを設け、「CAIS(Contact Area Information Sensing)」に基づく路面状態判別技術を用いて、検出してもよい。
上述した(1)〜(3)のセンサや検出器により取得されるデータは、車両の走行に関する情報である車両走行特性や車両自体の情報である車両情報、あるいは車両の走行環境に関する情報である走行環境情報である。1つのセンサが、2つの情報に関連する場合があっても差し支えない。他方、以下の(4)〜(8)は、直接センサで検出することが困難なデータなので、情報の内容別にまとめ、説明する。
(4)車両の走行に一時的に影響を与える道路状況情報:
・制限速度(VICS(登録商標)から取得またはカラメによる標識の撮像画像から認識)
・渋滞の度合い(VICSから取得する)
・落下物の有無(VICSから取得またはカメラによる撮像画像から認識)
・道路工事の情報(VICSから取得またはカメラによる撮像画像から認識)
・車線規制の有無(VICSから取得またはカメラによる撮像画像から認識)
これらのデータは、車両がVICSから取得する代わりに、走行推奨度管理サーバ30がネットワーク25を介して、こうした情報を提供する特定のサイトから取得し、プローブ車両21からのデータと共に保存するようにしてもよい。なお、監視用のドローンを飛行させ、あるいは高層ビル等にカメラを設置し、上空から撮像した映像を解析して、上記の情報を取得することも可能である。
・制限速度(VICS(登録商標)から取得またはカラメによる標識の撮像画像から認識)
・渋滞の度合い(VICSから取得する)
・落下物の有無(VICSから取得またはカメラによる撮像画像から認識)
・道路工事の情報(VICSから取得またはカメラによる撮像画像から認識)
・車線規制の有無(VICSから取得またはカメラによる撮像画像から認識)
これらのデータは、車両がVICSから取得する代わりに、走行推奨度管理サーバ30がネットワーク25を介して、こうした情報を提供する特定のサイトから取得し、プローブ車両21からのデータと共に保存するようにしてもよい。なお、監視用のドローンを飛行させ、あるいは高層ビル等にカメラを設置し、上空から撮像した映像を解析して、上記の情報を取得することも可能である。
(5)路面の状況に関するデータ(路面情報):
・路面の平坦度
・路面の走行方向や道幅方向勾配
・道路のカーブ形状(曲率などを含む)
・路面の乾湿の程度
これらのデータは、車両からは検出することが困難なので、予め道路の路面データとして実測したデータを基に走行推奨度管理サーバ30の地図データベースに保存しておき、プローブ車両21から、走行に関する種々のデータが送信されたときに、そのデータの場所に基づいて地図データベースから必要なデータを読み出して付加するものとすればよい。
・路面の平坦度
・路面の走行方向や道幅方向勾配
・道路のカーブ形状(曲率などを含む)
・路面の乾湿の程度
これらのデータは、車両からは検出することが困難なので、予め道路の路面データとして実測したデータを基に走行推奨度管理サーバ30の地図データベースに保存しておき、プローブ車両21から、走行に関する種々のデータが送信されたときに、そのデータの場所に基づいて地図データベースから必要なデータを読み出して付加するものとすればよい。
(6)車両に関して予め登録しておくデータ:
・車種
・型式(ターボ搭載などの走行性能に影響を与える装備が判定できるデータ)
・車高
・車幅
・安全装備の有無(アンチスキッド、自動ブレーキなどの装備が判定できるデータ)
・装着しているタイヤの種別(スタッドレス、スパイクタイヤなど)
・車種
・型式(ターボ搭載などの走行性能に影響を与える装備が判定できるデータ)
・車高
・車幅
・安全装備の有無(アンチスキッド、自動ブレーキなどの装備が判定できるデータ)
・装着しているタイヤの種別(スタッドレス、スパイクタイヤなど)
(7)運転者に関して、必要があれば予め登録しておく付加的なデータ:
・性別
・年齢
・配偶者および家族の有無
・運転歴(免許証取得からの年数、または実運転年数)
・累積走行距離(運転するプローブ車両での累積走行距離、または生涯累積走行距離)
・視力(裸眼視力、矯正視力、動体視力、深視力等のうちの少なくとも1つ)
・気質(自動車運転の適正を判断する心理テストなどの結果を利用する)
上記(5)の運転者に関するデータはプローブ車両21を運転する運転者について予め登録しておく。この運転者に関するデータは、なくてもよい。
・性別
・年齢
・配偶者および家族の有無
・運転歴(免許証取得からの年数、または実運転年数)
・累積走行距離(運転するプローブ車両での累積走行距離、または生涯累積走行距離)
・視力(裸眼視力、矯正視力、動体視力、深視力等のうちの少なくとも1つ)
・気質(自動車運転の適正を判断する心理テストなどの結果を利用する)
上記(5)の運転者に関するデータはプローブ車両21を運転する運転者について予め登録しておく。この運転者に関するデータは、なくてもよい。
付加的なデータとしては、以下のものが想定可能である。
(8)運転者の運転時のデータであって、必要があれば随時取得するデータ:
以下のデータ、例えば血圧などは、ヘルスチェック装置を用い、リアルタイムで取得できる。
・脈拍
・血圧
・睡眠時間(自己申告)
・疲労度(自己申告または血中尿酸値で測定)
・アドレナリン分泌量(心拍数および瞳孔の開度から推定)
(8)運転者の運転時のデータであって、必要があれば随時取得するデータ:
以下のデータ、例えば血圧などは、ヘルスチェック装置を用い、リアルタイムで取得できる。
・脈拍
・血圧
・睡眠時間(自己申告)
・疲労度(自己申告または血中尿酸値で測定)
・アドレナリン分泌量(心拍数および瞳孔の開度から推定)
プローブ車両21は、これらのデータを、その一部は予め入力しておき、他の多くはリアルタイムで取得し、所定時間毎に、GPS装置22を用いて取得した位置関係の情報(座標)と共に、暗号化した状態で保存している。その上で、所定のタイミングで、走行推奨度管理サーバ30に出力する。このタイミングとしては、所定時間毎としてもよいし、所定走行距離毎としてもよい。あるいは、ネットワーク25との接続が安定に可能となる地点(例えば車庫やガソリンスタンドなど)に到達したとき、としてもよい。更に、一週間などある程度の長さに亘ってデータを蓄積し、まとめて出力してもよい。
走行推奨度管理サーバ30は、図1Aに示したように、ネットワーク25を介してプローブ車両21から受け取ったデータを集約する情報集約プロセッサ31、受け取った情報を一旦保存する走行情報データベース(データベースは図面等において「DB」と略記することがある)32,受け取った情報から推奨走行ラインを抽出しこれを特定の形態で記憶する走行推奨度管理データベース36、運転支援サーバ40からの問合せを受付け回答を出力する出力部としての問合せ処理プロセッサ35を備える。情報集約プロセッサ31は、個人情報保護の観点から暗号化して送られてくるデータを復号した上で、走行支援のために集約している。
走行推奨度管理データベース36は、走行推奨度記憶部に相当し、各種の情報を記憶する。また、この走行推奨度管理データベース36には、プローブ車両21や車両51等が走行する道路の情報を、道路ネットワーク情報として、記憶している。この道路ネットワーク情報は、運転支援サーバ40が備える地図データベース43と同様のものである。走行推奨度管理サーバ30の処理の詳細については、走行推奨度管理データベース36が記憶しているデータの内容やその構造と共に、後で詳しく説明する。問合せ処理プロセッサ35は、運転支援サーバ40と共に、出力部に相当し、車両の走行を実質的に支援する。
運転支援サーバ40は、地図データベース43を備え、走行支援を受けようとする各車両51,61,71等からの支援の要請を受けて、種々のデータを提供するサーバである。図示するように、各車両51,61,71等は、それぞれ車両ナビゲーション装置(以下、「車両ナビ」と略称する)52,62,72等を備える。これらの車載の車両ナビ52,62,72等も地図データを有しているが、全ての車両が最新の地図データベースを有しているとは限らないので、本実施形態では、運転支援サーバ40が最新の地図データベース43を備え、必要に応じて、不足する地図データを車両51,61,71等での処理に提供する。
本実施形態の走行支援装置90は、運転の支援として、車両51,61,71等が走行すべき走行ラインを、各車両51,61,71等に、特定の形態で出力する。この走行ラインとは、どの道路を通るかとか、どの走行レーン(車線)を走行すべきかといった論理ネットワーク上の経路やレーンネットワーク上の経路ではなく、それらの経路に沿って走行する車両が、現実の道路の上で辿る走行軌跡に対応するものである。本実施形態の走行支援装置90では、車両51等が走行すべき走行ラインを、1本の線として提供するのではなく、走行レーンの幅方向に自由度を有する形態、つまり幅方向に推奨の度合いが異なるという形態で提供する。走行支援のために提供されるこうした走行推奨度の形態については、後で詳しく説明する。
走行支援装置90による走行支援について説明する前に、走行支援装置90等が記憶している道路データの構造について簡単に説明する。図2は、道路の構成を示す論理ネットワークについて説明する説明図である。図2は、経路探索などのために、実際の道路を論理的なつながりとして表わした論理ネットワークを模式的に示す。図示するように、この論理ネットワークは、実際の道路などの分岐や合流、交差点などに応じて、道路のつながりを、符号A,B,Cなどで示したリンクと、このリンクを接続するノードとからなるネットワーク構造により表現したものである。各リンクA,B,Cなどには、その端部のノードに、他のリンクとの接続情報が記録されているので、これを辿ることにより、経路探索などを行なうことができる。
他方、図3は、図2に示した道路に存在する走行レーンのレベルでの接続を表わしたものである。図3に示したように、2つのレーンがあれば、走行車線と追越車線のそれぞれについて、リンクが形成される。この例では、走行車線は、走行レーンリンク001−002−003−004−005・・・として表わされている。他方、追越車線は、走行レーンリンク011−012−013−014−015・・・として表わされており、右側への分岐があるため、走行レーン011は、分岐用車線に沿って、走行レーンリンク011−021−022−023−024・・・にも接続されている。走行支援装置90では、この走行レーンのレベルで、車両に対して走行を案内し、支援する。具体的には、例えば図3で表わされた道路を走行し、右側へ分岐して走行すべき経路を案内しているのであれば、走行レーンリンク011の手前で、追越車線に車線変更するに案内し、あるいは自動車線変更機能を利用して車線変更するように指示し、走行レーンリンク011に差し掛かれば、走行レーンリンク021−022・・に進むように案内し、あるいは自動車線変更機能を利用して分岐用車線に進むように指示する。
次に、プローブ車両21が走行することにより収集した走行情報を集約する処理について説明する。図4は、プローブ車両走行情報集約処理を示すフローチャートである。この処理は、走行推奨度管理サーバ30の情報集約プロセッサ31が実行する処理であり、プローブ車両21の1つが走行情報を送信しようとして、送信のリクエストを起こすことによって起動される。情報集約プロセッサ31は、この処理を開始すると、まず走行情報を送信しようとしたプローブ車両21からのデータを受信する処理を行なう(ステップS100)。
この実施形態では、プローブ車両21は、車庫に戻るかガソリンスタンドなど、通信が可能な場所に到達したときに、走行情報の送信をリクエストするので、プローブ車両21は、かなりまとまった量の走行情報をメモリ24に保存しており、これら全てを情報集約プロセッサ31は受信する。受信した走行情報は、暗号化されているので、これを復号化した上で、走行情報データベース32に一旦記録する。もとより、モバイルデータ通信などを利用して常にネットワーク25に接続した状態とし、プローブ車両21が走行するとき、リアルタイムで走行情報を走行推奨度管理サーバ30に送信するものとしてもよい。
走行情報の一例を図5に示した。図5に示したデータは、プローブ車両21から受信したデータであり、そのデータが取得された日付と時間、走行軌跡、車両走行情報、走行環境情報、路面情報、車両情報、道路状況情報、その他の情報を含んでいる。このうちの一部、例えば天候や風速・風向、交通量などは、走行推奨度管理サーバ30側で、外部のサイトから取得し付加することも可能である。また、路面情報の一部、例えば道路の曲率半径や勾配などは、車両が走行した位置が分っているので、地図データベースから取得して付加することも可能である。走行軌跡は、プローブ車両21が辿った走行位置を、位置を測定したタイミングにおける座標値の集合として表わしたものである。走行位置は、離散的なデータとして、GPS装置22から取得されたものなので、走行軌跡は、実際には位置座標の点列である。その意味で、これを軌跡点列とも呼ぶ。点列を構成する位置座標は、GPS装置22から、所定時間間隔毎に取得してもよいし、所定走行距離毎に取得するものとしてもよい。あるいは、所定時間間隔毎に取得するものとし、その時間間隔を、車速に応じて、2段階、あるいは更に多段階に切換えるものとしてもよい。
プローブ車両21からのデータを受け取った後、情報集約プロセッサ31は、走行ライン設定地点を特定する処理を行なう(ステップS110)。運転を支援する場合、走行ラインとして、どの地点の何を支援するかを設定する必要がある。このため、走行ラインの設定を行なう地点もしくは区域などは予め定められている。例えば、図3などに示した分岐や合流、あるいは交差点、踏切などは、走行支援の対象となる地点であるとして登録されている。また、分岐や合流等がない場合でも、道路がカーブしたり折れ曲がったりしている箇所などでは、走行ラインをどのようにするかは、燃費や快適さに影響を与える。こうした箇所も走行ラインの設定を行なう地点として設定しておくことができる。もとより、単純に所定距離毎に、走行ラインの設定を行なうものとし、その距離の範囲に分岐などが納まらない場合には、前後の範囲をまとめて走行ラインの設定地点することも差し支えない。
そこで、ステップS110では、走行ラインの設定地点の1つが、プローブ車両21から受け取ったデータに含まれているかを判断し、含まれていれば、その地点を特定するのである。その後、プローブ車両21から受け取ったその地点のデータを解析する処理を行なう(ステップS120)。なお、図示は省略したが、こうした解析に伴って、あるいは解析の前に、解析する範囲内で、プローブ車両21からのデータに含まれるノイズを除去する処理を行なってもよい。こうしたノイズとしては、例えば以下のものを考えることができる。
・意図的に車線変更を行なっている際の走行情報:
意図的に車線変更であるか否かは、ウインカやハンドルの角度等で判断できる。
・取得した軌跡点列が不十分なもの:
GPS装置22が位置情報を確定する上で用いた衛星の数が所定個数以下の場合や、軌跡点列を構成する座標数が走行時間に対して不足している場合などは、軌跡点列が不十分と判断する。
・交通渋滞、工事や落下物などにより、通常の走行が可能な状況になかった場合の走行情報:
渋滞情報や工事情報などから判断する。
・意図的に車線変更を行なっている際の走行情報:
意図的に車線変更であるか否かは、ウインカやハンドルの角度等で判断できる。
・取得した軌跡点列が不十分なもの:
GPS装置22が位置情報を確定する上で用いた衛星の数が所定個数以下の場合や、軌跡点列を構成する座標数が走行時間に対して不足している場合などは、軌跡点列が不十分と判断する。
・交通渋滞、工事や落下物などにより、通常の走行が可能な状況になかった場合の走行情報:
渋滞情報や工事情報などから判断する。
ステップS120の処理により走行情報を解析した結果得られた走行推奨度分布は、本実施形態では、車両種別毎の情報として、走行推奨度管理データベース36に保存される。こうした走行推奨度分布の情報は、車両種別毎に限らず、様々な観点から導き得る。本実施形態では、走行支援の際に、車両種別毎に走行推奨度分布を提供するために、このような形態で走行情報をとりまとめたが、他の形態で走行情報から走行推奨度分布をまとめても良い。走行推奨度分布には、走行レーンのレーン幅方向のどの範囲に走行ラインが存在し得るかという走行推奨範囲と、その走行推奨範囲における走行ラインの推奨度とが含まれる。以下に、走行推奨度分布を作成するいくつかのグルーピングの例を示すが、(A)〜(D)は例示であり、目的に応じてこれらのグループのうちの1つについてのみ走行推奨度分布を作成してもよいし、複数のグループについてそれぞれ作成してもよい。またこれら以外の観点で走行推奨度分布を作成してもよい。また、各グループでの走行推奨度分布の内容も、更に細かく分けてもよいし、2種類程度に限定してもよい。いずれにせよ、走行推奨度分布は、走行推奨範囲とその範囲内の推奨度として表わされる。
(A)車輌種別毎のグルーピング:
車両には、セダン、ワンボックス、SUV、スポーツカーなど、大まかな区分け(以下、セグメントという)が存在する。これらのセグメント毎に、運転者が走行する走行レーン内の走行ラインの分布が異なる場合がある。このため、こうした車両セグメント毎に、走行推奨度分布を作成してもよい。なお、車種としては、更に細かく分け、例えば排気量や車重などに基づき、車両を独自に分類してグルーピングし、それぞれに走行推奨度分布を作成するものとしてもよい。更に、車両メーカーが独自に付与した車名により分類し、これを車種としてグルーピングしてもよい。また、ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車などの種別によりグルーピングしてもよい。
車両には、セダン、ワンボックス、SUV、スポーツカーなど、大まかな区分け(以下、セグメントという)が存在する。これらのセグメント毎に、運転者が走行する走行レーン内の走行ラインの分布が異なる場合がある。このため、こうした車両セグメント毎に、走行推奨度分布を作成してもよい。なお、車種としては、更に細かく分け、例えば排気量や車重などに基づき、車両を独自に分類してグルーピングし、それぞれに走行推奨度分布を作成するものとしてもよい。更に、車両メーカーが独自に付与した車名により分類し、これを車種としてグルーピングしてもよい。また、ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車などの種別によりグルーピングしてもよい。
(B)車線毎のグルーピング:
走行車線と追越車線、あるいは登坂車線など、車線が異なれば同じ道路であっても車両が採るべき走行ラインの推奨部分布は異なる場合がある。そこで、車線毎にグルーピングし、走行推奨度分布を作成してもよい。
走行車線と追越車線、あるいは登坂車線など、車線が異なれば同じ道路であっても車両が採るべき走行ラインの推奨部分布は異なる場合がある。そこで、車線毎にグルーピングし、走行推奨度分布を作成してもよい。
(C)要因別(天候、路面状態など)のグルーピング:
図5に示した多数の要因と走行推奨度分布との相関関係を、多変量解析などにより解析し、走行軌跡の違いに影響を与える要因が特定されれば、その要因毎に、走行推奨度分布を作成してもよい。
図5に示した多数の要因と走行推奨度分布との相関関係を、多変量解析などにより解析し、走行軌跡の違いに影響を与える要因が特定されれば、その要因毎に、走行推奨度分布を作成してもよい。
(D)運転上の優先度毎のグルーピング:
車両を走行させる運転者は、運転上の優先度をもって運転していることが多い。例えば、目的地に早く着くことを目的とする速度優先の運転をする運転者もいれば、燃費をできるだけ抑えて運転したいとする運転者もいる。あるいは、乗り心地、つまり快適さを優先する運転者もいる。これらの優先する目的を異にする運転者が採用する走行ラインの分布は、異なると想定される。こうした優先度は、運転者自身に設定させるものとしてもよいし、以下に例示する情報を用いて求められる評価関数を用意し、この評価関数から判定し、走行推奨度分布を作成を行なうものとしてもよい。
車両を走行させる運転者は、運転上の優先度をもって運転していることが多い。例えば、目的地に早く着くことを目的とする速度優先の運転をする運転者もいれば、燃費をできるだけ抑えて運転したいとする運転者もいる。あるいは、乗り心地、つまり快適さを優先する運転者もいる。これらの優先する目的を異にする運転者が採用する走行ラインの分布は、異なると想定される。こうした優先度は、運転者自身に設定させるものとしてもよいし、以下に例示する情報を用いて求められる評価関数を用意し、この評価関数から判定し、走行推奨度分布を作成を行なうものとしてもよい。
運転の目的を評価する評価関数としては、以下のものを想定できる。
・速度優先であることを検出する評価関数
関数のパラメータ・・車速、制動力、加速度等
・燃費優先であることを検出する評価関数
関数のパラメータ・・アクセル操作量、ブレーキ操作量、タイヤの空気圧、エアコンの使用状況、バッテリの残存容量等
・快適さ優先であることを検出する評価関数
関数のパラメータ・・ハンドル角、加速度、縦揺れ、ノイズ
・速度優先であることを検出する評価関数
関数のパラメータ・・車速、制動力、加速度等
・燃費優先であることを検出する評価関数
関数のパラメータ・・アクセル操作量、ブレーキ操作量、タイヤの空気圧、エアコンの使用状況、バッテリの残存容量等
・快適さ優先であることを検出する評価関数
関数のパラメータ・・ハンドル角、加速度、縦揺れ、ノイズ
(D)を例として、プローブ車両21が走行した走行ラインの違いを、図6に例示した。図6は、ステップS110で走行ラインを設定する地点を選択した状態で、その地点を通る論理ネットワークと、レーンネットワークと、特定のプローブ車両21が走行した走行ラインの種別(ここではR1〜R3を表示)と、その道路属性とを例示する。道路属性は、走行ラインが分岐か合流か、あるいは交差点か、直進か、またカーブかなど、道路の形状の類型を示し、分岐の場合はその分岐方向が左から右か、など道路形状の類型毎に更にその内容を示すものである。図6に示した例示では、第1行のデータは、図2に示した論理ネットワークではリンクAからCに走行するラインであることを示し、図3に示したレーンネットワークではレーンリンク011→021→022→023と走行するラインであることを示している。また、その場合の走行ラインの種別がR1であること、道路属性が左から右への分岐であることを示している。
図6は、プローブ車両21が走行した走行ラインを走行種別ごとにまとめたものである。走行種別R1〜R3は、例えばグルーピングが(A)車種としてセグメント毎のグルーピングであれば、R1はセダンの車両の走行ラインを示し、R2はSUVの車両の走行ラインを示す、といった種別になり、グルーピングが(D)運転上の優先度毎のグルーピングであれば、R1は、速度優先の場合の走行ラインを示し、R2は、快適さ優先の場合の走行ラインを示し、R3は、燃費優先の走行ラインを示す、といった種別となる。ステップS120の処理により車両種別毎に走行ラインの種別を判定した段階では、データはまだ1つのプローブ車両21の走行種別に過ぎない。
こうした走行種別の一例を、図7に示した。この例では、(D)でのグルーピングで判断した走行種別R1〜R3の走行ラインラインR1-n1 、R2-n1 、R3-n1 を示している。ステップS120の解析では、1つのプローブ車両21のデータから求めた1つの走行種別が求められるに過ぎない。そこで、次に、走行推奨度管理データベース36に記憶されたデータベースの再構成を行なう(ステップS130)。この走行推奨度管理データベース36におけるデータベースの再構成は、ステップS120で判定した車両種別毎の走行ラインを走行種別毎に束ねて走行推奨度分布とし、これを、車両情報、車両走行情報、走行環境情報、路面情報などに関連付けて、既存のデータを再構成する処理である。多数のプローブ車両21からのデータが走行情報データベース32に集められ、これを解析し、走行種別を判定することにより、1つの地点(分岐等)において、同じグルーピングで同じ走行種別と判断された走行ラインのデータが複数集められ、走行推奨度管理データベース36に走行推奨度のデータとして記録される。
図8は、推奨走行ライン管理データベース36内のデータ構造を例示する説明図である。図8では、関連するデータをひとまとまりにして示したが、推奨走行ライン管理データベース36の内部では、データは、ポインタ等により関連付けられていれば良い。図8の例では、推奨走行ラインの種別R1の場合の走行ラインを示すID、推奨走行ラインを示す座標点列、その時点の速度などのデータが集められている。このようにして、複数のプローブ車両21から所定期間に亘って走行ラインが集められると、1つの車両種別の1つの走行種別について、走行ラインが複数集められることになる。1つの走行種別について、道路幅の中で、どの位置をとった車両が多いかを調べれば、推奨部分布として把握することができる。この推奨部分布で、走行推奨度管理データベース36のデータベースを再構成するのである。結果的に各地点毎に、あるグルーピングにおいて選択された走行ラインが車両種別毎に蓄積され、走行推奨度分布として扱うことが可能となる。
上記の処理(ステップS110〜S130)を行なった後、全地点について処理が終ったかを判断し(ステップS140)、終っていなければ、ステップS110に戻り、走行ラインの設定を行なう地点(範囲)を特定する処理から、上記の処理を繰り返す。プローブ車両21から受信したデータに含まれる地点が全て尽くされた場合には、ステップS140での判断は「YES」となり、「NEXT」に抜けて、本処理を終了する。
図4を用いて説明したプローブ車両走行情報集約処理が繰り返し行なわれることで、多数のプローブ車両21からの情報が走行情報データベース32に集められ、解析されて、走行推奨度管理データベース36に、車両の走行を支援するに十分な走行推奨度分布のデータが蓄積される。そうなれば、走行支援装置90は、車両51,61,71等の車両からの問合せを受けて、その運転を支援することが可能となる。
車両種別毎に集められた走行ラインのデータから作られた走行推奨度分布の一例を図9に示した。図9は3種類の車両51,61,71について、走行レーン内の走行推奨度の分布を例示するものである。横軸は走行レーン内の位置を示し、縦軸は、走行推奨度を示す。走行推奨度とは、結局、走行レーンの内部を所定の幅に分割し、その分割された範囲を走行した車両の数をヒストグラムとして計測したものである。実際のデータは、ヒストグラムとして持ってもよいが、正規分布に近い形態に近似して記憶してもよい。後者の場合、中心位置と3σの情報さえ持てばよいので、データ量を圧縮できる。
図9に示した例では、スポーツカータイプの車両51の車種の場合、走行レーン内で推奨される範囲は狭い。また1ボックスタイプの車両61の車種では走行レーン内で推奨される範囲は、車両51の車種よりは広く、セダンタイプの車両71の車種よりは狭い。このように、本実施形態では、ある地点での走行ラインについて、車両車別(セグメント)毎に、走行レーン内での走行ラインの走行推奨範囲と推奨度とが、走行推奨度管理データベース36に記憶されている。
図9は、車両種別毎の走行推奨度の相違を表わしていたが、同じ車両車別であっても、道路の形状などによっては走行レーン内の走行推奨度の分布は異なる。例えば図10に示したように、道路のカーブ(曲率半径)が小さい箇所の走行推奨度の分布(図示、実線GB6)は、曲率半径の大きい箇所(例えば直線に近い箇所)の走行推奨度の分布(図示、実線GA6)より、走行レーン内の推奨範囲が広い。つまり走行レーン内の自由度が高い。これは、曲率半径の小さい道路を走る場合ほど、ハンドル操作などにより車両が取り得る位置のバリエーションが大きいためと考えられる。運転者によるカーブの走行のバリエーションは、例えば、アウト・イン・アウトで走行する場合でも、カーブのどの当りにクリッピングポイントを置くかで、走行ラインは相当に異なる。このため、直線的な部分より、曲率半径の小さい(曲率の大きい)部分ほど、走行レーン内で推奨される走行範囲は広くなる。
上記の準備、つまり走行推奨度管理データベース36内に走行推奨度の分布が十分に蓄積された上で行なわれる走行支援装置90による走行支援の処理を、図11、図12を用いて説明する。図11は、実施形態の走行支援装置90の処理を、走行推奨度の提示を受ける利用車両の処理と、走行推奨度管理サーバ30の処理との組合せにより示すフローチャートであり、図12は、走行推奨度管理サーバ30における走行推奨度の提示の処理を例示するフローチャートである。
走行支援の処理は、車両51等の側での処理を起点として行なわれる。図11の左側の処理は車両51等の車両ナビ52が実行する処理を示す。また図11の右側は、走行推奨度管理サーバ30の問合せ処理プロセッサ35が実行する処理を示す。まず、車両51等において、運転者が走行支援を受けるべく、車両ナビ52等は、自車の出発地と目的地とを受け付ける(ステップS200)。具体的には、車両ナビ52等は、運転者が、出発地と目的地を入力する処理を受け付ける。出発地は、車両ナビ52等に含まれる図示しないGPS装置により取得された自車の位置を用いてもよい。
続いて、車両ナビ52等は、車両ナビ52を用いて、出発地から目的地までの経路探索を行なう(ステップS210)。こうした経路探索の手法は周知のものなので、経路探索の詳しい手法についての説明は省略するが、車両ナビ52等内に備える地図データベース等を参照することで、出発地から目的地までの経路を探索する。なお、このとき、車両ナビ52等は、運転支援サーバ40に備えられた最新の地図データベース43を参照することも必要に応じて行なう。
車両ナビ52等は、地図データベースを参照して経路探索を行なった結果、論理ネットワーク(論理NWと略記することがある)上での経路を取得する(ステップS220)。車両ナビ52は、経路探索の結果を受けて、走行支援を開始する(ステップS500)。経路探索の結果を受けて行なう支援は、音声ガイドのような経路に沿った運転の案内だけではなく、走行支援または自動運転を含む。走行支援とは、例えば特定の走行ラインを採ることを運転者に案内し、フロントガラスを用いて採るべき走行ラインを運転者に向けて表示し、運転者のハンドル操作による車両の走行ラインが、表示した走行ラインから外れたときに、音声や表示などで、修正すべき方向を指示するといった手法が考えられる。また車両の制御装置を介して直接エンジンの出力やハンドルの操舵角などを制御し、車両を自動運転するものとしてもよい。自動運転も、広義の走行支援に含まれる。
走行支援(ステップS500)を開始した後、車両51等の車両ナビ52等は、運転支援サーバ40を介して、走行推奨範囲を問合わせる処理を行なう(ステップS230)。ここで、走行推奨範囲とは、推奨範囲とその範囲内での走行推奨度とを含む。車両ナビ52は、車両51等が走行している論理ネットワーク上の位置を把握しているので、この位置に応じて、分岐や合流などの道路の属性を知り、現在の車両51等にとって適切な走行推奨範囲を問合せるのである。問合せに際しては、車両ナビ52等は、車種や車重などの車両情報、車両が走行している速度や加速度、路面の状況、天候、車線規制の有無など、多様な情報を出力する。出力する情報は、プローブ車両21から取得した情報の全部に対応する情報とすることもできるし、その一部に対応する情報とすることもできる。
この問合せは、運転支援サーバ40を介して、走行推奨度管理サーバ30に対して行なわれる。走行推奨度管理サーバ30は、車両51等の車両ナビ52等からのこの問合わせを受信し(ステップS300)、走行推奨範囲を決定する処理を行ない(ステップS400)、走行推奨範囲を回答する(ステップS320)。車両51等の車両ナビ52等は、この回答を受信し(ステップS240)、走行推奨度管理サーバ30から受け取った走行推奨範囲を走行支援に利用する(ステップS510)。走行推奨範囲を走行支援に利用する手法としては、種々の態様がある。例えば、問い合せを行なった車両51等は、自車の種別と一致する走行推奨範囲を受け取っているので、これを利用して、自車の走行ラインが走行推奨範囲に入るように運転を支援、または自動運転する。このとき、走行推奨範囲のうち、走行推奨度の高い方に向けて徐々に車両の位置(走行レーンの幅内の位置)を調整してもよいし、その地点において車両51等が最初に位置したレーンの幅内の位置と走行推奨度が同程度の位置をキープする走行ラインで走行するものとしてもよい。こうした走行推奨範囲の問い合せと走行支援とを行ないつつ、車両51等が目的地に到着したかを判断し(ステップS260)、目的地に到着していなければ、ステップS230に戻って、上述したステップS230からS260の処理を繰り返す。車両51等が目的地に到着すれば、ステップS260の判断は「YES」となり、車両ナビ52等は、「END」に抜けて、本処理を終了する。上記の例では、走行支援の処理自体は、車両51等で行なっているが、走行推奨度管理サーバ30が回答を出力するとき、回答に付けた走行推奨範囲や走行推奨度により走行支援(案内や自動運転など)を行なうように指示するコマンドを添付し、走行推奨度管理サーバ30の指示の元で、車両51等の走行支援を実施するようにしてもよい。
従って、車両ナビ52等は、走行推奨範囲として適切なもの(走行レーン幅内の走行推奨範囲と走行推奨度)を、走行推奨度管理サーバ30から受け取ることができれば、車両51等は、その走行推奨範囲内で一定の自由度を持って走行されるので、運転者は、(A)から(D)に例示したようなグルーピング内で自ら所望した、あるいは車種などから選択される走行推奨範囲内で、車両の運転を実現できる。そこで、次に、走行推奨度管理サーバ30が実行する走行推奨度決定処理(図11、ステップS400)について、図12を用いて説明する。
図12は、走行推奨度管理サーバ30が実行する走行推奨範囲決定処理を例示するフローチャートである。問合せを受けて、走行推奨度管理サーバ30がこの処理を開始すると、走行推奨度管理サーバ30は、まず問合せを受けた地点における走行情報を、走行推奨度管理データベース36から抽出する処理を行なう(ステップS410)。その上で、次に、問合せを受けた地点の走行推奨範囲のデータが走行推奨度管理データベース36にあるか否かの判断を行なう(ステップS420)。
多数のプローブ車両21がその道路を走行していれば、走行推奨範囲のデータが走行推奨度管理データベース36に蓄積されているが、プローブ車両21が走行したことのない地点や、走行したことがあっても走行推奨度の分布を求めるほどのデータが蓄積されていない地点に関して問合せを受けることも有り得る。そこで、走行推奨度管理データベース36に走行推奨範囲のデータがないと判断した場合には、類似形状の地点を探索する処理を行なう(ステップS430)。走行ラインのデータの元になったデータには、図5に示したように、路面情報が含まれており、曲率半径や道路横断方向の勾配などの情報を併せて登録されている。従って、探索したデータの中に、路面情報が近似し、かつ分岐や合流など、問合せを受けた道路属性が一致する地点があるかを判断する(ステップS440)。
上記の処理により、問合せを受けた地点の走行推奨範囲のデータがある場合(ステップS420:「YES」)と、類似の地点の走行推奨範囲のデータがある場合(ステップS440:「YES」)には、共にステップS450に移行し、その地点の走行推奨範囲を走行推奨度管理データベース36に問合せ、結果を走行推奨範囲として取得する。
こうして走行推奨度管理データベース36から受け取った走行推奨範囲には、走行レーンの幅内での推奨走行範囲と、その範囲での走行推奨度が含まれているから、問い合せをした車両51等の車両種別に合わせて、走行推奨範囲を選択し設定する(ステップS460)。車両種別に関して、同一の車種の走行推奨範囲のデータがなければ、同じセグメントの車の走行推奨範囲を選択する。
他方、問合せてきた地点についての走行推奨範囲のデータが走行推奨度管理データベース36になく、かつ類似の地点も見いだせなかった場合には、デフォルトの走行推奨範囲を設定する(ステップS470)。デフォルトの走行推奨範囲とは、走行レーンの幅方向に90%程度の範囲を走行推奨範囲とし、この範囲の中央が走行推奨度のピークとなるような走行推奨範囲である。もとより、こうしたデフォルトの走行推奨範囲は、他の手法で決定してもよい。例えば、分岐などの地点において、車両が走行レーン内で走行を開始する初期位置を与える関数を用意し、この関数を用いて求めた初期位置を、走行推奨度のピークとするような形で、走行推奨度の分布を定めてもよい。こうすれば、分岐等の地点に差し掛かった時の位置を走行推奨度が最も高い位置とした走行ラインを実現し得る。なお、類似の地点が見い出されなかった場合には、「走行推奨範囲なし」と決定するものとしてもよい。上記の処理を行なった上で、「NEXT」に抜けて、走行推奨度決定処理を終了する。
以上説明した本実施形態の走行支援装置90によれば、プローブ車両21が収集した走行ラインに関するデータを集約し、これを車両種別毎にまとめて予め用意しているので、実際に走行している車両51等から走行時に問合せを受けると、問合せた車両の種別に合致した走行推奨範囲を走行推奨度管理データベース36から素早く抽出することができ、これを問合せた車両51等に回答できる。走行推奨範囲の回答を受けた車両51等は、回答を受けた走行推奨範囲を用いて、走行を支援する。従って、初めて走行する道路であっても、適切な走行ラインで走行できる。あるいは既に走行したことがある道路であっても、より適切な走行ラインで走行することが可能である。運転者にとって、路面の状態が変わったり、運転する車両の車種や重量などが異なったりしても、それぞれの条件に応じた適切な走行推奨範囲を得てその中で走行できる。こうした走行の支援は、走行推奨範囲における自動運転であってもよいし、運転者による車両の運転が走行推奨範囲から逸脱することを警告し、あるいは運転者による車両の運転を走行推奨範囲内と誘導するような支援であってもよい。後者の場合、フロントガラスを用いた仮想的な走行推奨範囲の虚像表示を行なうことも有効である。
また本実施形態では、車両種別の走行推奨範囲によって走行支援を行なうだけでなく、走行推奨範囲を道路の曲率半径や、あるいは例えば燃費優先といった運転上の優先度などを、単独で、あるいは組合せて決定できる。例えば、○○という車種の車両でかつ燃費優先という条件で、特定の分岐を走行する場合の走行推奨範囲を取得して、走行を支援することも可能である。
以下、各グルーピングを採用した場合の効果について簡単に説明する。
(A)車種毎のグルーピングに基づいて走行推奨範囲を取得する場合:
この場合には、車種毎に望ましい走行推奨範囲の提供を受けて走行を支援できる。セダン、ワンボックス、SUV、スポーツカーなどでは、通常、望ましい走行推奨範囲は異なるが、本実施形態によれば、実際の走行したプローブ車両21による走行ラインのデータに基づいて、車種に応じた走行推奨範囲の提供を受けることができ、車種に応じた適切な走行支援を実現できる。走行支援は、走行推奨範囲を示すことにより行なわれるので、例えばスポーツカーのように運転性能に優れた車種では、狭い走行推奨範囲を得て、その範囲内で、最もスポーツカーらしい運転を楽しむ、といった走行支援が可能である。
(A)車種毎のグルーピングに基づいて走行推奨範囲を取得する場合:
この場合には、車種毎に望ましい走行推奨範囲の提供を受けて走行を支援できる。セダン、ワンボックス、SUV、スポーツカーなどでは、通常、望ましい走行推奨範囲は異なるが、本実施形態によれば、実際の走行したプローブ車両21による走行ラインのデータに基づいて、車種に応じた走行推奨範囲の提供を受けることができ、車種に応じた適切な走行支援を実現できる。走行支援は、走行推奨範囲を示すことにより行なわれるので、例えばスポーツカーのように運転性能に優れた車種では、狭い走行推奨範囲を得て、その範囲内で、最もスポーツカーらしい運転を楽しむ、といった走行支援が可能である。
(B)車線毎のグルーピングに基づいて走行推奨範囲を取得する場合:
走行車線と追越車線、あるいは登坂車線など、車両が走行している車線が異なっている場合でも、走行している車線に応じた適切な走行推奨範囲を、実際に走行したプローブ車両21によって取得されたデータに基づいて決定でき、走行車線に応じた適切な走行支援を実現できる。
走行車線と追越車線、あるいは登坂車線など、車両が走行している車線が異なっている場合でも、走行している車線に応じた適切な走行推奨範囲を、実際に走行したプローブ車両21によって取得されたデータに基づいて決定でき、走行車線に応じた適切な走行支援を実現できる。
(C)要因別(天候、路面状態など)のグルーピングに基づいて走行推奨範囲を取得する場合:
実際に走行したプローブ車両21が取得したデータから、走行ラインに影響を与える要因を予め特定し、走行推奨度管理データベース36にデータを登録する際に付与した要因に基づいて、走行推奨範囲を決定できる。従って、例えば天候などの違いを考慮した走行推奨範囲に従った走行支援を実現できる。
実際に走行したプローブ車両21が取得したデータから、走行ラインに影響を与える要因を予め特定し、走行推奨度管理データベース36にデータを登録する際に付与した要因に基づいて、走行推奨範囲を決定できる。従って、例えば天候などの違いを考慮した走行推奨範囲に従った走行支援を実現できる。
(D)運転上の優先度毎のグルーピングに基づいて走行推奨範囲を取得する場合:
車両を走行させる運転者が考慮している運転上の優先度に従った走行推奨範囲の提供を受けることができる。こうした運転上の優先度としては、例えば、目的地に早く着くことを目的とする速度優先や、燃費をできるだけ抑えて運転したいとする燃費優先や、乗り心地、つまり快適さ優先などが有り得る。この優先度に応じて走行推奨範囲を提供する場合には、運転者の考慮する優先度に基づく走行推奨範囲に従った走行支援を実現できる。
車両を走行させる運転者が考慮している運転上の優先度に従った走行推奨範囲の提供を受けることができる。こうした運転上の優先度としては、例えば、目的地に早く着くことを目的とする速度優先や、燃費をできるだけ抑えて運転したいとする燃費優先や、乗り心地、つまり快適さ優先などが有り得る。この優先度に応じて走行推奨範囲を提供する場合には、運転者の考慮する優先度に基づく走行推奨範囲に従った走行支援を実現できる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態の走行支援装置90について説明する。この走行支援装置90は。第1実施形態の走行支援装置90と同じハードウェア構成備え、第1実施例において図11左欄に示した車両51等における処理のみが異なる。この処理を図13に示した。図13に示した車両側の処理は、第1実施形態とは、ステップS500の後に、特定の状況かを判断するステップS225が置かれ、このステップS225の判断が「YES」の場合に実行するステップS510,S520が設けられている点で、異なる。
本発明の第2実施形態の走行支援装置90について説明する。この走行支援装置90は。第1実施形態の走行支援装置90と同じハードウェア構成備え、第1実施例において図11左欄に示した車両51等における処理のみが異なる。この処理を図13に示した。図13に示した車両側の処理は、第1実施形態とは、ステップS500の後に、特定の状況かを判断するステップS225が置かれ、このステップS225の判断が「YES」の場合に実行するステップS510,S520が設けられている点で、異なる。
ステップS225の判断は、特定の状況か否かというものであり、例えば特定の路面状態か否かの判断がなされる。こうした特定の路面状況として、例えば積雪後の路面のように、走行した車両の轍によって、特定の場所の積雪が溶けて、いわゆる跨ぎ路になっている場合を想定することができる。こうした場合、走行推奨範囲の問合せ(ステップS230)は行なわず、走行レーン中央の取得(ステップS510)と、取得した走行レーン中央を車両の走行ラインに設定する処理(ステップS520)とを行なう。走行レーンの中央の取得は、地図から取得してもよいし、車載のテレビカメラで撮像した映像から取得してもよい。
こうすることで、路面が特定の状況にある場合には、走行推奨範囲の問合せを行なわず、レーン中央を走行ラインとして走行する走行支援が行なわれる。この結果、跨ぎ路のように、走行推奨範囲の回答を受けて走行レーンの設定を行なうと車両運転上の安全性を十分には確保できない場合には、走行レーンの中央を走行するように走行ラインの設定がなされる。このため、特定状況下での走行をより適切に支援することができる。
上記第2実施形態では、特定の状況の場合には、走行レーンの中央が安全性が高いと判断して走行レーンの設定を行なったが、他の走行レーンの設定を行なうことも可能である。例えば、救急車両が接近しているために、路肩に寄るべき場合や、工事などで、走行レーン半分が舗装道路でなくなっているような場合、などが有り得る。こうした条件が成立しているかを、車載のカメラからの映像などで判断し、緊急時や特定の路面状態であると判断した場合には、走行推奨範囲の問い合せを行なわず、カメラで認識した状況に合わせて、走行ラインを設定すればよい。走行ラインは、走行推奨範囲と走行推奨度から決定してもよい。また、こうした場合に、車両は、問い合せを行なっても受け取った走行推奨範囲のデータを用いない、という対応を採ることも可能である。
<他の実施形態>
本発明は、上記第1実施形態以外の形態でも実施可能である。例えば、図14に示すように、走行車線についての走行推奨範囲のデータと追越車線についての走行推奨範囲とを別々に持たず、道路幅全体に対して1つの走行推奨範囲として持つことも可能である。また、走行推奨度管理サーバ30において、走行推奨度管理データベース36に登録するデータを作成する装置を別に構成し、走行推奨度管理サーバ30には、プローブ車両21からの情報を集約した結果だけを持つようにしてもよい。この場合、プローブ車両21の走行に伴って集積される走行に関するデータは、いわゆるビッグデータとして大規模に集約し、本実施形態の走行支援に必要な部分だけ、走行推奨度管理データベース36に記録して運用する形態としてもよい。
本発明は、上記第1実施形態以外の形態でも実施可能である。例えば、図14に示すように、走行車線についての走行推奨範囲のデータと追越車線についての走行推奨範囲とを別々に持たず、道路幅全体に対して1つの走行推奨範囲として持つことも可能である。また、走行推奨度管理サーバ30において、走行推奨度管理データベース36に登録するデータを作成する装置を別に構成し、走行推奨度管理サーバ30には、プローブ車両21からの情報を集約した結果だけを持つようにしてもよい。この場合、プローブ車両21の走行に伴って集積される走行に関するデータは、いわゆるビッグデータとして大規模に集約し、本実施形態の走行支援に必要な部分だけ、走行推奨度管理データベース36に記録して運用する形態としてもよい。
また、この走行推奨度管理データベース36を直接車両51等に搭載し、車両ナビ52等により直接アクセスする構成としてもよい。こうすれば、通信や運転支援サーバ40等を介する必要がない。走行推奨度管理データベース36内のデータは、通信を利用して適宜更新するようにすればよい。
プローブ車両21からの情報は、直接プローブ車両21からネットワーク25を介して走行推奨度管理サーバ30に送信する以外の方法で集約してもよい。例えば、ドローンや高層ビルに取り付けたカメラにより、分岐地点などを走行する車両の映像を記録し、これを解析する構成としてもよい。画像解析によって、車両の走行速度や、路面が雨で濡れているか等の情報を得ることができるから、こうした画像解析により得られたデータから、車種別の走行ラインや要因別の走行ラインを取得する構成とすればよい。この場合には、多数のプローブ車両を走行させる必要なく、現在走行している車両の映像を解析することで、走行推奨範囲をデータベースに登録するために必要なデータを収集できる。
図12に示した走行推奨範囲決定処理において、一致する地点のデータがない場合、類似の地点のデータを検索したが、同様に、走行推奨範囲決定処理において、一致する車種のデータがなければ、類似する車種のデータを検索して、これを利用するものとしてもよい。このとき、不一致の部分を解析し、データを補間して走行推奨範囲を決定してもよい。例えば、問合せた車両の車種と比べて、車重の軽い車種のデータと車重の重い車種のデータがあった場合、その中間的な走行推奨範囲を決定してもよい。
その他の実施形態として、プローブ車両21の運転者の個別情報として、性別、年齢、配偶者および家族の有無、運転歴、累積走行距離、視力、気質のうちの少なくとも一つを取得して、これと関連付けて、推奨走行ラインのデータを走行推奨度管理データベース36に蓄積して走行推奨範囲とし、車両51等からの走行ラインの問合せに対して、車両51等を運転する運転者の個別情報に基づいて、走行推奨範囲を出力して、走行支援を行なうものとしてもよい。性別や年齢により、運転時に採用する走行推奨範囲が異なる傾向にあるため、こうすれば、運転者の満足度の高い走行支援を実現できる。他の情報、例えば、プローブ車両21の運転時の運転者の身体情報として、脈拍、血圧、睡眠時間、疲労度、アドレナリン分泌量のうちの少なくとも一つを用いる場合や、プローブ車両21の走行情報に付加する付加情報として、燃料残量、バッテリ残量、走行開始からの経過時間、冷却液温度、潤滑油の粘度のうちの少なくとも一つを用いる場合も同様である。
上記実施形態では、走行推奨度管理データベース36に走行推奨度の分布を持つことで走行推奨範囲を決定しているが、緊急時などには、走行推奨度管理データベース36に蓄積されている走行推奨範囲の外まで範囲を拡げて、走行推奨範囲を決定するようにしてもよい。プローブ車両21からデータには、緊急時に走行した走行範囲のデータが含まれている可能性は低いので、こうした走行推奨範囲の拡張は、予め走行レーンの幅一杯、あるいは更にその外側のゼブラゾーンまで拡張するとしたプログラムを用意することにより実現可能である。緊急車両の接近をサイレンなどから検知したり、図示しないミリ波レーダやカメラによる映像などは衝突コースに入っている他の車両を検出したしたときには、走行推奨範囲として、こうした通常の走行推奨範囲より広い範囲まで拡げて、走行支援を受けるようにしてもよい。
走行特性として種々のものが想定できるが、例えば車両が走行する道路の制限速度を走行特性の1つとし、道路ネットワーク上において第1の制限速度の道路を走行する場合の走行推奨範囲を、第1の制限速度より低い第2の制限速度の道路を走行する場合の走行推奨範囲より広くしてもよい。こうすれば、制限速度の高い道路では、低い道路より走行レーンの内での走行推奨範囲が狭くなり、より安全性の高い走行ラインを設定することができる。
上記の実施形態では、いずれも走行推奨範囲の中央部における推奨度が、中央部よりも周辺側の周辺部の推奨度より高いものとしたが、分岐などの道路形状によっては、必ずしもこうした正規分布に近い分布にならない場合もありえる。走行推奨範囲と推奨度とを、プローブ車両21からの走行情報に基づいて設定する場合は、収集した走行情報に基づいて決定すればよく、正規分布で近似してもよいが、近似せず、そのまま利用しても差し支えない。
走行推奨範囲を用いた走行支援は、車両のためではなく、例えば路面の偏った消耗を回避するという目的で利用してもよい。自動走行などを行なう車両が増えると、そうした車両は、走行レーンの同じ位置を走行しやすい可能性がある。その場合、道路の同じ場所を多数の車両が通過することになり、路面の特定の場所の消耗が激しくなる可能性がある。これに対して、走行推奨範囲を、通過する車両の数が偏らないようにするのに利用すれば、路面の消耗を平均化することができる。
特許文献1及び特許文献2の手法で推奨され実現される走行ラインは、車両の運転環境を考慮しない平均的なものであった。同じ合流や分岐であっても、路面の状態、例えば乾いているか濡れているか、等の違いにより、望ましい走行ラインは異なる場合がある。また運転者には、好みがあり、平均的な走行ラインが望ましいとは言えない場合もあった。上記で説明した実施形態では、これらの課題を解決するものである。
また、以上の実施形態の全部又は一部に記載された態様は、適切に車両に対する走行支援を行う走行支援装置、走行支援方法およびそのためのデータ構造の提供、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の提供その他の機能向上又は適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の形態で実施できることは勿論である。例えば、車両としては4輪の車両に限らず、二輪車やトラックなどの6輪以上の車両にも適用できることは勿論である。二輪車の場合は、走行ラインを誤ると転倒の危険性があるため、安全な走行ラインによる走行支援の意義は大きい。また、本発明は、走行支援方法としても実施可能である。また、推奨走行ラインの情報を走行推奨度管理データベース36に記憶する際にデータ構造としても実施できる。
21…プローブ車両
22…GPS装置
23…センサ群
24…メモリ
25…ネットワーク
26…ナビゲーション装置
27…制御装置
30…走行管理サーバ
31…情報集約プロセッサ
32…走行情報データベース
35…処理プロセッサ
36…推奨走行ライン管理データベース
40…運転支援サーバ
43…地図データベース
51,61,71…車両
52,62,72…車両ナビ
90…走行支援装置
22…GPS装置
23…センサ群
24…メモリ
25…ネットワーク
26…ナビゲーション装置
27…制御装置
30…走行管理サーバ
31…情報集約プロセッサ
32…走行情報データベース
35…処理プロセッサ
36…推奨走行ライン管理データベース
40…運転支援サーバ
43…地図データベース
51,61,71…車両
52,62,72…車両ナビ
90…走行支援装置
Claims (10)
- 車両からの問い合わせに応じて、推奨する走行ラインに関する情報を提供する走行支援装置であって、
道路の所定の地点における車両の走行特性に対応する走行ラインを、走行レーンの幅方向に設定された走行推奨範囲に対応付けた推奨度として記憶している走行推奨度記憶部と、
前記車両からの問い合わせに含まれる前記車両の走行特性と走行する前記道路の地点とに従って、前記走行推奨度記憶部に記憶された前記走行推奨範囲に対応付けた前記推奨度を出力することで、前記車両の走行を支援する出力部と
を備えた走行支援装置。 - 請求項1記載の走行支援装置であって、
前記走行特性は、車両の車幅を含み、
前記出力部が出力する第1の車幅の車両に対する前記走行推奨範囲は、前記第1の車幅より小さい第2の車幅の車両に対する走行推奨範囲より狭い
走行支援装置。 - 請求項1または請求項2記載の走行支援装置であって、
前記走行特性は、車両の車種を含み、
前記出力部が出力する前記走行推奨範囲は、車両種別に応じて出力される
走行支援装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の走行支援装置であって、
前記走行特性は、前記走行レーンの曲率半径を含み、
前記道路ネットワーク上において第1の曲率半径の道路を走行する場合の前記走行推奨範囲は、前記第1の曲率半径より大きい第2の曲率半径の道路を走行する場合の走行推奨範囲より広い
走行支援装置。 - 前記第2の曲率半径の道路は直線道路である請求項4記載の走行支援装置。
- 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の走行支援装置であって、
前記走行特性は、前記車両が走行する道路の制限速度を含み、
前記道路ネットワーク上において第1の制限速度の道路を走行する場合の前記走行推奨範囲は、前記第1の制限速度より低い第2の制限速度の道路を走行する場合の走行推奨範囲より広い
走行支援装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の走行支援装置であって、
前記走行推奨範囲における走行ラインの前記推奨度は、前記走行推奨範囲の中央部における推奨度が、前記中央部よりも周辺側の周辺部の推奨度より高い
走行支援装置。 - 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の走行支援装置であって、
走行推奨度記憶部は、前記走行特性の少なくとも一部を検出しながら走行する他の車両の走行に伴って収集された複数の走行ラインから、前記道路の所定の地点における前記車両の走行特性に対応する走行ラインを抽出し、前記走行ラインを、前記走行レーンの幅方向に設定された走行推奨範囲に対応付けた推奨度として記憶する
走行支援装置。 - 車両からの問い合わせに応じて、推奨する走行ラインに関する情報を提供する走行支援方法であって、
道路の所定の地点における車両の走行特性に対応する走行ラインを、走行レーンの幅方向に設定された走行推奨範囲に対応付けた推奨度として記憶し、
前記車両からの問い合わせに含まれる前記車両の走行特性と走行する前記道路の地点とに従って、前記記憶された前記走行推奨範囲に対応付けた前記推奨度を出力し、
前記出力された前記走行推奨範囲における前記推奨度に基づいて、前記車両の走行を支援する
走行支援方法。 - 車両からの問い合わせに対して出力される走行推奨範囲を表わすデータ構造であって、
道路の所定の地点における車両の走行特性に対応する走行ラインを、走行レーンの幅方向に設定された走行推奨範囲に対応付けた推奨度として車両の種別毎に記憶したデータ構造。
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