JP2018180990A - 揺動切削を行う工作機械の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】制御装置20の揺動要否通知部27は、ワークWにおける加工終了点付近の所定の範囲内に位置指令の値が達していない時には揺動指令の作成許可を揺動指令作成部23に通知し、前記所定の範囲内に位置指令の値が達した時には揺動指令の作成禁止を揺動指令作成部23に通知する。制御部26は、学習制御器30と学習判定部31を備える。学習判定部31は、揺動指令作成部23に揺動指令の作成許可と作成禁止のどちらが通知されているかを判定し、揺動指令の作成許可の通知時には学習制御をオンにすることを行い、揺動指令の作成禁止の通知時には揺動指令をゼロにすることと学習制御をオフにすることを行う。
【選択図】図6
Description
このような欠点を避けるために、加工送り方向に切削工具とワークとを相対的に揺動させることにより切屑を細断する揺動切削が知られている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3等参照)。
上記の揺動切削に関しては、切削工具が加工送り方向におけるワーク上の所定の加工停止位置に近づくにつれて切削工具の揺動の振幅を減少させることにより、切削工具がその所定の加工停止位置を超えて切削する不具合を回避する技術が提案されている(例えば特許文献4参照)。以降、上記のような不具合をオーバーシュートと呼ぶ。
前記ワークおよび前記工具の相対的な回転速度ならびに前記工具および前記ワークの相対的な送り速度に基づいて、前記少なくとも一つの送り軸の位置指令を作成する位置指令作成部と、
前記位置指令により前記少なくとも一つの送り軸を制御する送り軸制御部と、
を備え、
前記送り軸制御部は、前記回転速度および前記位置指令に基づいて、前記回転速度に対して正の非整数倍の揺動周波数になるように且つ前記工具が前記ワークを断続切削するように、前記少なくとも一つの送り軸の揺動指令を作成する揺動指令作成部を具備し、かつ、前記位置指令と前記少なくとも一つの送り軸の実位置との差である位置偏差に前記揺動指令を加算して得られる合成指令に基づいて、前記少なくとも一つの送り軸を制御するように構成され、
前記制御装置は、前記ワークにおける加工終了点付近の所定の範囲内に前記位置指令の値が達していない時には前記揺動指令の作成許可を前記揺動指令作成部に通知し、前記所定の範囲内に前記位置指令の値が達した時には前記揺動指令の作成禁止を前記揺動指令作成部に通知する揺動要否通知部をさらに備え、
前記送り軸制御部は、
前記揺動指令から求める揺動位相と前記合成指令とに基づいて、前記合成指令の補正量を求めて前記合成指令に加算する学習制御を行う学習制御器と、
前記揺動指令作成部に前記揺動指令の作成許可と作成禁止のどちらが通知されているかを判定し、該判定において、前記揺動指令の作成許可の通知時には前記学習制御をオンにすることを行い、前記揺動指令の作成禁止の通知時には前記揺動指令をゼロにすることと前記学習制御をオフにすることを行う判定部と、
をさらに具備する、制御装置でありうる。
上記の制御部26は、揺動指令から求まる揺動位相と上記の合成指令とに基づいて、前記の合成指令の補正量を求めて上記の合成指令に加算する学習制御を行う機能を備える。この機能は、後述する学習制御器30(図6参照)に相当する。
なお、送り軸M2の必要トルクも、切削負荷を除けばイナーシャと指令の角加速度とより推定できるが、トルクを検出するための検出器G2が備えられていても良い。さらに多数の送り軸と送り軸毎の制御部とにより工具11を送る構成であってもよい。
例えば、揺動指令は、次式のように表される。
揺動指令=(K×F/2)×cos(2π×S/60×I×t)−(K×F/2) ・・・式(1)
式(1)において、Kは揺動振幅倍率、FはワークWの一回転当たりの工具11の移動量、すなわち毎回転送り量[mm/rev]、SはワークWの中心軸線まわりの回転速度[min-1],or [rpm]、Iは揺動周波数倍率、である。ここで、前述の揺動周波数は式(1)におけるS/60×I の項に相当し、前述の揺動振幅は式(1)におけるK×F/2 の項に相当する。但し、揺動振幅倍率Kは1以上の数とし、揺動周波数倍率Iはゼロより大きい非整数とする(例えば0.5、0.8、1.2、1.5、1.9、2.3、又は2.5、…等の正の非整数)。揺動振幅倍率Kおよび揺動周波数倍率Iは定数である(図5の例では、Iは1.5である)。
揺動周波数倍率Iを整数としない理由は、ワークWの中心軸線まわりの回転数と全く同じになる揺動周波数の場合には、前述した重なり箇所B1、B2、B3、B4等を発生させることができず、揺動切削による切屑の細断効果が得られなくなるからである。
さらに、式(1)で表されるような揺動指令とすることで、図5の曲線A1から分かるように、工具11の加工開始点(横軸の0°の位置)で工具11の送り方向に初めから大きな揺動指令が出ないようにしている。
なお、揺動揺動周波数と揺動振幅とを定める際に調整される各パラメータ(式(1)におけるK、I)の初期値は、工作機械10の稼働前に加工条件記憶部29に記憶されているものとする。ワークWの回転速度(S)は、加工条件記憶部29に加工条件として事前に記憶されている。毎回転送り量Fは、その回転速度(S)と位置指令作成部22が作成した位置指令とから求められる。
その結果、工具11の実位置は、指令値の曲線A1、A2、A3等に次第に近づくようになり、最終的には指令値の曲線A1、A2、A3等に一致する。この場合には、指令値の曲線A1、A2、A3等は前述の重なり箇所B1、B2、B3、B4等を有することとなるので、断続切削が確実に起こり、細断化された切屑を確実に形成することができる。
具体的には、トルクの低減手法と同様、後述するように切屑の長さを調整する(長くする)ことで、揺動指令の揺動周波数を低く抑えることができ、学習帯域に収めることができる。もちろん、加工条件の変更が可能であるなら、主軸M0の回転速度(すなわちワークWの回転速度)を低減しても良い。
図6に示された制御装置20は、加工条件記憶部29と位置指令作成部22と制御部26(送り軸制御部)と揺動要否通知部27とを備える。加工条件記憶部29と位置指令作成部22と揺動要否通知部27は、制御装置20に接続されたNC装置等の上位コンピュータ(不図示)に備えられていても良い。
制御部26は、揺動指令作成部23、加算部24、減算部25、学習制御器30、学習判定部31、位置速度制御部34、および通知部36を備える。さらに、揺動指令作成部23は、上述した式(1)を用いて揺動指令を計算する揺動指令計算部23aを含む。工具11を加工送り方向に移動させる送り軸M1には、送り軸M1の回転位置を検出するエンコーダ32が搭載されている。
減算部25は、位置指令作成部22から送信された位置指令と送り軸M1のエンコーダ32から出力される位置フィードバック値(位置FB)との差である位置偏差を算出して、加算部24に送信する。
加算部24は、減算部25から出力された位置偏差に揺動指令を加算する。このとき、位置偏差と揺動指令とは上記の所定の時間間隔で同期して加算部24に入力されて足し合わせられる。加算部24は、位置偏差に揺動指令を加算して得られた合成指令(位置指令値)を位置速度制御部34に対して送信する。
図7は、図6に示される学習制御器30の構成例を示すブロック図である。
前述の所定の時間間隔で加算部24から出力される合成指令が学習制御器30に入力される。学習制御器30には合成指令が入力されているが、合成指令は、位置指令と位置フィードバック値との差分を含むものであるため、一般的に学習制御器へ入力する位置偏差と同じである。学習制御器30では、ある位相毎に揺動1周期分(学習1周期分)のデータをメモリ30bに記憶している。各位相は、揺動指令の揺動周波数から求まる周期を回転角度での周期に換算し、その回転角度での周期を所定の分割数で分割して求めたもの(揺動位相と呼ぶ。)としている。学習制御器30は、揺動指令から求める揺動位相と入力された合成指令(偏差)とから、メモリ30bに記憶されている各位相における偏差を求めて、メモリ30bに記憶されている各位相のデータと加算する。このような一連の処理によって、各位相における積算偏差を繰り返し求めることができる。
メモリ30bに記憶された上記の積算偏差は、動特性補償要素30cにより制御対象の位相遅れが補償され、制御部26の制御周期毎の時間に応じた補正量となる。この補正量が、位置速度制御部34に入力される直前の合成指令に対して、補正量として加算される。位置速度制御部34は、その補正量が加算された後の合成指令に基づいて速度指令Vcを生成して出力する。
以上のように、学習制御器30では、各位相における積算偏差を繰り返し求め、動特性補償要素30cにより制御対象の遅れが補償された補正量を合成指令に加算することで、一定の周期で工具11を揺動させるような周期的な動作を何度も繰返しているうちに、学習制御器30へ入力される合成指令(偏差)をゼロに収束させることができる。要するに、工具11を揺動指令どおりに揺動させられるということである。
したがって、たとえ、工具11の駆動機構部におけるバックラッシの存在や低剛性の駆動機構部のためにサーボの応答性を向上させるのは困難であっても、より高精度な揺動切削が可能となり、切屑を確実に細断化することができる。なお、上述した学習制御の実施例では、1揺動周期を学習の周期とし、そのような1揺動周期毎の合成指令に対する補正量を求める学習を実施したが、本発明では、1揺動周期以外の所定数の揺動周期を学習の周期としてもよい。
このようなワークWに関するオーバーシュートの不具合は、前述のように揺動切削に学習制御を適用していても起こりうる。学習制御は、繰返しの揺動パターンの1学習周期前における補正量を指令値に適用する制御だからである。つまり、合成指令として、工具11が加工終了点を超えないような位置指令値を前述の制御装置20の制御部26(図6)に出力したとしても、その位置指令値に対して、1学習周期前の揺動パターンにおける補正量が適用されてしまうので、オーバーシュートを防止できないことが起こりうる。
具体的には、加工中のワークWおよび工具11の動作に関する情報(例えばワークWの回転速度や、工具11の位置、軌跡、および速度、ワークW上の加工終了点、等)を含む加工プログラムが加工条件記憶部29に記憶されている。この加工条件記憶部29は、制御装置20に接続された上位コンピュータ(不図示)に有ってもよい。
図6に示される揺動要否通知部27は、ワークWにおける加工終了点付近の所定の範囲内に前述した位置指令の値が達していない時には揺動指令の作成許可を揺動指令作成部23に通知し、その一方で、上記の所定の範囲内に位置指令の値が達した時には揺動指令の作成禁止を揺動指令作成部23に通知する。
または、学習制御器30は、学習判定部31から学習制御オフの指令を受けると、第一スイッチ30dおよび第二スイッチ30eを同時にオフにするように構成されていてもよい。この構成によると、学習制御器30をオフにしても、メモリ30b内に記憶された学習1周期分の積算偏差を維持することができる。勿論、上記した学習制御をオフにする方法および構成は一例であって、本発明はこれに限定されない。
その一方で、図8Aの例では、図6に示される制御装置20の制御部26に学習判定部31が備えられていないので、学習制御は実施される。つまり、前述のように時刻t3から時刻t5の間、曲線Qを形成している周期的な波線の振幅が周期的に減少していても、学習1周期前の合成指令に対して求めた補正量を使って現時点の合成指令を補正する制御が続けられる。この結果、図8Aから分かるように、時刻t3以降、実位置の曲線Rは、揺動指令が加算された後の位置指令の曲線Qと一致しなくなる。より具体的には、時刻t3から時刻t5へと時間が経過するにつれて、実位置の曲線Rを形成している波線の振幅が、曲線Qを形成している波線の振幅よりも大きくなり、実位置の曲線Rは加工送り方向に加工終了点を超えてしまっている。いわゆるオーバーシュートが発生している。
この結果、図9Aに示されるように、学習制御オフ時(すなわち、位置指令の値Paに対応する時刻ta)以降、位置指令に対する揺動指令の加算が無く、学習制御も実施されないので、揺動指令が加算された後の位置指令の曲線Q’は位置指令の曲線Pと一致するようになる。それに伴い、実位置の曲線R’も位置指令の曲線Pに倣うように、曲線R’を形成している周期的な波線の振幅が急速に減少する。上記の所定の閾値(距離SLまたは時間ST)を適切に設定することにより、図9Aおよび図9Bに示されるように、実位置の曲線Rは加工送り方向に加工終了点を超えないようになる。いわゆるオーバーシュートの発生を抑制することができる。
まず、ステップS21において、制御装置20は、揺動切削開始の指令の有無を判断する。揺動切削開始の指令が有る場合は揺動切削が開始されるが、その指令が無ければワークWの加工が終了する。
揺動切削を開始すると、図6に示された位置指令作成部22は、加工条件記憶部29内の加工プログラムに記述された加工条件、例えばワークWの回転速度や工具11の送り速度に基づいて送り軸M1の位置指令を作成し、制御部26に送信する。続いて、揺動要否通知部27は、送り軸M1の位置指令を取得する(ステップS22)。このとき、揺動要否通知部27は、位置指令により動作された送り軸M1の実位置をエンコーダ32から取得してもよい。
次のステップS27において、加算部24は、位置指令作成部22からの位置指令と送り軸M1の実位置(位置FB)との差である位置偏差に上記の揺動指令を加算して合成指令を生成する。
次のステップS28において、学習制御器30は、上記の揺動指令から求める揺動位相と上記の合成指令とに基づいて、合成指令の補正量を求めて上記の合成指令に加算する学習制御を実行する。
例えば、図3や図4Bに示されたようにテーパ加工を実施する場合、制御部26は、各々の送り軸M1、M2に対して備えられている。この場合、送り軸M1、M2毎の制御部26は、図6に示されるように、揺動指令作成部23、加算部24、減算部25、学習制御器30、学習判定部31、位置速度制御部34、および通知部36を備える。また、図6に示されるように、送り軸M1の制御部26の学習判定部31には通知部36が設けられており、学習判定部31は、通知部36を通じて、学習判定部31の判定結果を他の送り軸M2の制御部26(図3参照)における学習判定部31に通知するようになされている。
このような通知機能により、揺動切削を協働して行う複数の送り軸のうちの一つの送り軸の制御部26について、揺動指令作成部23に対する揺動指令の作成禁止の通知に従って学習判定部31が学習制御をオフにする時に、他の全ての送り軸の制御部26についても、揺動指令をゼロにすることと学習制御をオフにすることを行うことができる。
すなわち、複数の送り軸ごとに制御部26を備える場合、送り軸ごとの制御部26の学習判定部31は、学習制御をオフにする自己決定と、他の制御部26の学習判定部31から通知された学習制御をオフにする決定との少なくとも一方により、揺動指令をゼロにすることと学習制御をオフにすることを行うのが好ましい。
本開示の第一態様は、ワーク(W)の外周面または内周面を工具(11)により切削加工する工作機械(10)の制御装置(20)において、前記ワーク(W)および前記工具(11)を前記ワーク(W)の中心軸線まわりに相対的に回転させる主軸(M0)と、前記ワーク(W)の前記外周面の母線または前記内周面の母線に沿って前記工具(11)および前記ワーク(W)を相対的に送る少なくとも一つの送り軸(M1;M2)とを備えた前記工作機械(10)を制御する制御装置であって、
前記ワーク(W)および前記工具(11)の相対的な回転速度ならびに前記工具(11)および前記ワーク(W)の相対的な送り速度に基づいて、前記少なくとも一つの送り軸(M1;M2)の位置指令を作成する位置指令作成部(22)と、
前記位置指令により前記少なくとも一つの送り軸を制御する送り軸制御部(26)と、
を備え、
前記送り軸制御装置(26)は、前記回転速度および前記位置指令に基づいて、前記回転速度に対して正の非整数倍の揺動周波数になるように且つ前記工具(11)が前記ワーク(W)を断続切削するように、前記少なくとも一つの送り軸(M1;M2)の揺動指令を作成する揺動指令作成部(23)を具備し、かつ、前記位置指令と前記少なくとも一つの送り軸(M1;M2)の実位置との差である位置偏差に前記揺動指令を加算して得られる合成指令に基づいて、前記少なくとも一つの送り軸(M1;M2)を制御するように構成され、
前記制御装置(20)は、前記制御装置(20)に予め記憶された前記ワーク(W)における加工終了点から所定の範囲内に前記位置指令の値が達していない時には前記揺動指令の作成許可を前記揺動指令作成部(23)に通知し、前記所定の範囲内に前記位置指令の値が達した時には前記揺動指令の作成禁止を前記揺動指令作成部(23)に通知する揺動要否通知部(27)をさらに備え
前記送り軸制御部(26)は、
前記揺動指令から求める揺動位相と前記合成指令とに基づいて、前記合成指令の補正量を求めて前記合成指令に加算する学習制御を行う学習制御器(30)と、
前記揺動指令作成部(23)に前記揺動指令の作成許可と作成禁止のどちらが通知されているかを判定し、該判定において、前記揺動指令の作成許可の通知時には前記学習制御をオンにすることを行い、前記揺動指令の作成禁止の通知時には前記揺動指令をゼロにすることと前記学習制御をオフにすることを行う判定部(31)と、をさらに具備する、制御装置(20)でありうる。
本開示の第二態様は、上記第一態様の制御装置(20)であって、
前記揺動要否通知部(27)は、前記位置指令の値と前記制御装置(29)に予め記憶された前記加工終了点との間の距離または時間を計算し、前記距離または前記時間が所定の閾値以下であるか否かの判定により、前記加工終了点付近の前記所定の範囲内に前記位置指令の値が達しているか否かを判定する機能を有する、制御装置(20)でありうる。
上記第一態様および第二態様によれば、加工終了点に近づくにつれて揺動振幅を減少させる揺動切削に対して学習制御を適用したとしても、加工終了点付近の所定の範囲内に位置指令の値が達した時に学習制御をオフにするので、オーバーシュートの発生を抑制することができる。
本開示の第三態様は、上記第一態様または第二態様の制御装置(20)であって、
前記判定部(31)において前記学習制御をオフにするタイミングは、前記揺動指令がゼロとなるタイミングである、制御装置(20)でありうる。
上記第三態様によれば、揺動指令が加算された後の位置指令により工具を移動させている途中で、極瞬間的に位置指令のみによる工具の移動に大きく切替わることを防ぐことができるので、モータに急激な負荷を与えないで済む。
本開示の第四態様は、上記第一態様から第三態様のいずれかの制御装置(20)であって、
前記送り軸制御部(26)は、複数の前記送り軸(M1;M2)の各々に対して備えられており、各前記送り軸制御部(26)の前記判定部(31)は、前記学習制御をオフにする決定を行った時に該決定を全ての前記送り軸制御部(26)の前記判定部(31)に通知するようになされ、
各前記送り軸制御部(26)の前記判定部(31)は、前記学習制御をオフにする自己決定と、他の前記送り軸制御部(26)の前記判定部(31)から通知された前記学習制御をオフにする決定との少なくとも一方により、前記揺動指令をゼロにすることと前記学習制御をオフにすることを行う、制御装置(20)でありうる。
上記第四態様によれば、テーパ加工のように複数の送り軸を使って揺動切削を行う場合であっても、上記第一態様と同様のオーバーシュート抑制効果が得られる。
本開示の第五態様は、上記第一態様から第四態様のいずれかの制御装置(20)であって、前記揺動指令作成部(23)は、余弦波の基準軸線に対して揺動振幅がオフセット値として減じられた前記揺動指令を作成する、制御装置(20)でありうる。
上記第五態様によれば、位置指令に対して揺動指令が加算された後の指令値に基づく工具の位置を、工具の加工送り方向の目標位置である位置指令を上限として制御することができる。
本開示の第六態様は、上記第一態様から第五態様のいずれかの制御装置(20)であって、
前記揺動指令作成部(23)は、前記回転速度に基づいて、前記ワーク(W)または前記工具(11)が一回転する毎に半周期ずつズレるように前記揺動指令の揺動周波数を作成すると共に、前記回転速度と前記位置指令とに基づいて前記揺動指令の揺動振幅を作成する、制御装置(20)でありうる。
上記第六態様によれば、揺動指令の揺動周波数がワークまたは工具が一回転する毎に半周期ずつズレるので、揺動振幅を最小にできる。その結果、断続切削を効率的に実施することができる。
本開示の第七態様は、上記第一態様から第六態様のいずれかの制御装置(20)であって、
前記揺動指令作成部(23)は、前記少なくとも一つの送り軸(M1;M2)のトルクが所定値を越えないように、前記揺動指令の揺動周波数および揺動振幅を作成する、制御装置(20)でありうる。
上記第七態様によれば、揺動指令が加算された後の位置指令に基づいて送り軸を駆動する際に、モータのトルクが飽和するのを避けられる。
本開示の第八態様は、上記第一態様から第七態様のいずれかの制御装置(20)であって、
前記揺動指令作成部(23)は、前記学習制御の制御帯域に基づいて、学習が収束するように前記揺動指令の揺動周波数および揺動振幅を作成する、制御装置でありうる。
上記第八態様によれば、さらに適切な揺動指令を求めることができる。
本開示の第九態様は、上記第一態様から第八態様のいずれかの制御装置(20)であって、
前記揺動指令作成部(23)は、前記工具(11)が前記ワーク(W)を加工することにより生じる切屑の所望長さに基づいて前記揺動指令の揺動周波数および揺動振幅を作成する、制御装置(20)でありうる。
上記第九態様によれば、短い切屑が要求される場合にはワークが傷付くのを避けられ、長い切屑が要求される場合にはトルクを抑えて工具へかかる負荷を低減することができる。
本開示の第十態様は、上記第一態様から第九態様のいずれかの制御装置(20)であって、
前記ワーク(W)は、前記中心軸線に沿った断面において前記ワークの半径方向最外方部分よりも半径方向内側に前記半径方向最外方部分に連続しないコーナー部(35a)を有する、制御装置(20)でありうる。
10 工作機械
11 工具
20 制御装置
22 位置指令作成部
23 揺動指令作成部
23a 揺動指令計算部
24 加算部
25 減算部
26 制御部
27 揺動要否通知部
29 加工条件記憶部
30 学習制御器
30a 帯域制限フィルタ
30b メモリ
30c 動特性補償要素
30d 第一スイッチ
30e 第二スイッチ
31 学習判定部
32 エンコーダ
34 位置速度制御部
35 凸部
35a コーナー部
36 通知部
M0 主軸
M1、M2 送り軸
G0、G1、G2 トルク検出器
W ワーク
Claims (10)
- ワークの外周面または内周面を工具により切削加工する工作機械において、前記ワークおよび前記工具を前記ワークの中心軸線まわりに相対的に回転させる主軸と、前記ワークの前記外周面または前記内周面の母線に沿って前記工具および前記ワークを相対的に送る少なくとも一つの送り軸とを備えた前記工作機械を制御する制御装置であって、
前記ワークおよび前記工具の相対的な回転速度ならびに前記工具および前記ワークの相対的な送り速度に基づいて、前記少なくとも一つの送り軸の位置指令を作成する位置指令作成部と、
前記位置指令により前記少なくとも一つの送り軸を制御する送り軸制御部と、
を備え、
前記送り軸制御部は、前記回転速度および前記位置指令に基づいて、前記回転速度に対して正の非整数倍の揺動周波数になるように且つ前記工具が前記ワークを断続切削するように、前記少なくとも一つの送り軸の揺動指令を作成する揺動指令作成部を具備し、かつ、前記位置指令と前記少なくとも一つの送り軸の実位置との差である位置偏差に前記揺動指令を加算して得られる合成指令に基づいて、前記少なくとも一つの送り軸を制御するように構成され、
前記制御装置は、前記制御装置に予め記憶された前記ワークにおける加工終了点から所定の範囲内に前記位置指令の値が達していない時には前記揺動指令の作成許可を前記揺動指令作成部に通知し、前記所定の範囲内に前記位置指令の値が達した時には前記揺動指令の作成禁止を前記揺動指令作成部に通知する揺動要否通知部をさらに備え、
前記送り軸制御部は、
前記揺動指令から求める揺動位相と前記合成指令とに基づいて、前記合成指令の補正量を求めて前記合成指令に加算する学習制御を行う学習制御器と、
前記揺動指令作成部に前記揺動指令の作成許可と作成禁止のどちらが通知されているかを判定し、該判定において、前記揺動指令の作成許可の通知時には前記学習制御をオンにすることを行い、前記揺動指令の作成禁止の通知時には前記揺動指令をゼロにすることと前記学習制御をオフにすることを行う判定部と、をさらに具備する、制御装置。 - 前記揺動要否通知部は、前記位置指令の値と前記制御装置に予め記憶された前記加工終了点との間の距離または時間を計算し、前記距離または前記時間が所定の閾値以下であるか否かの判定により、前記加工終了点付近の前記所定の範囲内に前記位置指令の値が達しているか否かを判定する機能を有する、請求項1に記載の制御装置。
- 前記判定部において前記学習制御をオフにするタイミングは、前記揺動指令がゼロとなるタイミングである、請求項1または2に記載の制御装置。
- 前記送り軸制御部は、複数の前記送り軸の各々に対して備えられており、
各前記送り軸制御部の前記判定部は、前記学習制御をオフにする決定を行った時に該決定を全ての前記送り軸制御部の前記判定部に通知するようになされ、
各前記送り軸制御部の前記判定部は、前記学習制御をオフにする自己決定と、他の前記送り軸制御部の前記判定部から通知された前記学習制御をオフにする決定との少なくとも一方により、前記揺動指令をゼロにすることと前記学習制御をオフにすることを行う、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。 - 前記揺動指令作成部は、余弦波の基準軸線に対して揺動振幅がオフセット値として減じられた前記揺動指令を作成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
- 前記揺動指令作成部は、前記回転速度に基づいて、前記ワークまたは前記工具が一回転する毎に半周期ずつズレるように前記揺動指令の揺動周波数を作成すると共に、前記回転速度と前記位置指令とに基づいて前記揺動指令の揺動振幅を作成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
- 前記揺動指令作成部は、前記少なくとも一つの送り軸のトルクが所定値を越えないように、前記揺動指令の揺動周波数および揺動振幅を作成する、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
- 前記揺動指令作成部は、前記学習制御の制御帯域に基づいて、学習が収束するように前記揺動指令の揺動周波数および揺動振幅を作成する、請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置。
- 前記揺動指令作成部は、前記工具が前記ワークを加工することにより生じる切屑の所望長さに基づいて前記揺動指令の揺動周波数および揺動振幅を作成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
- 前記ワークは、前記中心軸線に沿った断面において前記ワークの半径方向最外方部分よりも半径方向内側に前記半径方向最外方部分に連続しないコーナー部を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置。
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