JP2018176279A - 溶湯攪拌装置及びそれを備えた連続鋳造装置システム - Google Patents

溶湯攪拌装置及びそれを備えた連続鋳造装置システム Download PDF

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Abstract

【課題】連続鋳造において、品質の優れた製品を生産性よく提供する。【解決手段】溶解炉からの溶湯を、磁石からの磁力線と直流電流との交叉によるローレンツ力により攪拌駆動して、溶湯の品質を改善しながらモールドに送り、あるいは前記ローレンツ力によりモールド中の固化直前の溶湯を攪拌駆動してモールド中での固化直前の溶湯の温度の均一化を図り、これにより最終的に高品質の製品を得ると共に、前記磁石を冷却して前記磁石の性能の維持を図る手段をも備える。【選択図】図2

Description

本発明は溶湯攪拌装置及びそれを備えた連続鋳造装置システムに関する。
従来、導電性(伝導性)を有する金属の溶湯、即ち、非鉄金属(例えば、Al,Cu,Zn又はSi、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの合金、あるいはMg合金等)の溶湯又は非鉄金属以外の金属の溶湯を連続鋳造して製品(丸棒状のインゴット等)を得ることが行われている。
この連続鋳造においては、例えば、溶湯を溶解炉から樋により導き、モールド(鋳型)に流し込むことが一般的に採用されていた。
しかしながら、本発明者だけは、従来の製造方法に対し、独自に、以下のような見解を持っている。
即ち、まず、溶湯がモールドに入る際に、溶湯が空気中を落下しながら空気を巻き込んでしまう。このため、製品の品質が低下するのが避けられない。
さらに、モールドから得られる製品が大型の場合(特に横断面積が大きい場合)は、製品の周辺部分と中央部分とで、溶湯の冷却速度が大きく異なる。つまり、製品の周辺部分では溶湯が急速に冷却されるのに対し、中央部分では溶湯はそれよりもゆっくりと冷却される。これにより、製品の周辺部分と中央部分における金属の結晶組織が大きく異なるものとなる。これにより、製品の機械的な特性が大幅に損なわれるのが避けられない。
従来、本発明者以外の当業者は特には製品の品質や生産効率について大きな不満や問題点は持っていなかった。そのため本発明者以外の当業者は、製品の品質や生産効率の点から製造装置や製造方法について工夫改良を行わねばならないという問題意識を持ち合わせていなかった。しかしながら、上述のように、当業者のうちでも本発明者だけは、前記のような本発明者に独自の問題意識(課題)を持っていた。つまり、本発明者は、技術者として、今よりも、より優れた製品をより高い効率のもとに提供しなければならないという課題を持っていた。
本発明の実施形態の溶湯攪拌装置は、
導電性金属の溶湯をモールドに流入させて製品を連続的に成形する連続鋳造装置における前記モールドに流入させる溶湯又は前記モールド中の溶湯を攪拌するための溶湯攪拌装置であって、
溶湯中に浸漬させる上方が開放した筒状のケースと、前記ケースに収納されるパイプと、を備え、
前記ケースは外筒と前記外筒に収納される内筒とを有し、前記外筒と前記内筒との間には冷却用の空気を流通させる隙間が形成されており、前記内筒には前記内筒の内部と前記隙間とを連通する通気孔が穿けられて、前記内筒から前記通気孔を介して前記隙間にいたる冷却空気路が構成されており、
前記内筒の内部には、前記パイプが被挿された状態の磁場装置が収納され、前記磁場装置は、前記磁場装置からの磁力線が前記内筒及び前記外筒を貫通して溶湯に至り、又は、溶湯中を走る磁力線が前記内筒及び前記外筒を貫通して前記磁場装置に至る、強度に磁化されており、
さらに、前記内筒及び前記外筒を貫通し、一端が前記内筒内に露呈し、他端が前記外筒外に露呈して溶湯と接することが可能な、第1の電極を有し、前記第1の電極の前記一端は前記パイプ内を走る引出線体に電気的に導通状態に接続され、
さらに、前記外筒に取り付けられた第2の電極を備え、前記第2の電極の前記外筒への取り付け位置は、前記第2の電極と前記第1の電極との間に溶湯を介して流れる電流が前記磁力線と交叉して溶湯を縦軸の回りに回転駆動するローレンツ力を発生させる位置に設定してある、
ものとして構成される。
本発明の実施形態の溶湯攪拌装置は、
導電性金属の溶湯をモールドに流入させて製品を連続的に成形する連続鋳造装置における前記モールドに流入させる溶湯又は前記モールド中の溶湯を攪拌するための溶湯攪拌装置であって、
溶湯中に浸漬させる上方が開放した筒状のケースと、前記ケースに収納されるパイプと、を備え、前記パイプの下端と前記ケースの底面の内側との間に連通用の連通隙間を形成し、この連通隙間を介して前記パイプの内部と前記ケースの内部とが連通して冷却空気路が形成されており、
前記内筒の内部には、前記パイプが被挿された状態の磁場装置が収納され、前記磁場装置は、前記磁場装置からの磁力線が前記ケースを貫通して溶湯に至り、又は、溶湯中を走る磁力線が前記ケースを貫通して前記磁場装置に至る、強度に磁化されており、
さらに、前記ケースを貫通し、一端が前記ケースに露呈し、他端が前記ケース外に露呈して溶湯と接することが可能な、第1の電極を有し、前記第1の電極の前記一端は前記パイプ内を走る引出線体に電気的に導通状態に接続され、
さらに、前記ケースに取り付けられた第2の電極を備え、前記第2の電極の前記ケースへの取り付け位置は、前記第2の電極と前記第1の電極との間に溶湯を介して流れる電流が前記磁力線と交叉して溶湯を縦軸の回りに回転駆動するローレンツ力を発生させる位置に設定してある、
ものとして構成される。
本発明の実施形態の連続鋳造装置システムは、
上記のいずれかの溶湯攪拌装置と、溶解炉から溶湯を導く樋と、前記樋の底面に溶湯流入口が連通した状態に取り付けられたモールドと、を備え、前記溶湯攪拌装置はその下端側が前記樋における溶湯導出路内に挿入された状態に組み込まれている
ものとして構成される。
本発明の第1の実施形態としての連続鋳造装置の全体構成を示す一部縦断面説明図。 図1の装置における溶湯攪拌装置を縦断した縦断説明図。 図2の実施形態に対応する第7の実施形態の連続鋳造装置の全体構成を示す一部縦断面説明図。 図2Aの実施形態における電流の流路を示す説明図。 図1の装置における溶湯攪拌装置の動作を説明する動作説明図。 本発明の第2の実施形態としての連続鋳造装置の全体構成を示す一部縦断面説明図。 図4の装置における溶湯攪拌装置の動作を説明する動作説明図。 本発明の第3の実施形態としての連続鋳造装置の全体構成を示す一部縦断面説明図。 図6の装置における溶湯攪拌装置の動作を説明する動作説明図。 図1、図2の装置における溶湯攪拌装置の磁場装置の縦断説明図。 図1、図2の装置における溶湯攪拌装置の磁場装置の平面説明図。 図1、図2の装置における溶湯攪拌装置の磁場装置の変形例の縦断説明図。 図1、図2の装置における溶湯攪拌装置の磁場装置の変形例の平面説明図。 図4、図5の装置における溶湯攪拌装置の磁場装置の縦断説明図。 図4、図5の装置における溶湯攪拌装置の磁場装置の平面説明図。 図6、図7の装置における溶湯攪拌装置の磁場装置の縦断説明図。 図6、図7の装置における溶湯攪拌装置の磁場装置の平面説明図。 図6、図7の装置における溶湯攪拌装置の磁場装置の底面説明図。 本発明の第4の実施形態としての連続鋳造装置の全体構成を示す一部縦断面説明図。 図12の装置における溶湯攪拌装置を縦断した縦断説明図。 図12の実施形態に対応する第8の実施形態における連続鋳造装置の全体構成を示す一部縦断面説明図。 図12、図13の装置における溶湯攪拌装置の動作を説明する動作説明図。 本発明の第5の実施形態としての連続鋳造装置に使用する溶湯攪拌装置の構成及び動作を説明する構造動作説明図。 本発明の第6の実施形態としての連続鋳造装置に使用する溶湯攪拌装置の構成及び動作を説明する構造動作説明図。 図1の溶湯攪拌装置を取り外した状態と、溶湯攪拌装置をそのまま用いる状態と、を切り替えて得た連続する1本の試作品の部分縦断説明図。 図17の試作品の一部を示す縦断説明図。 図17の試作品の異なる一部を示す縦断説明図。 図17の試作品のさらに異なる一部を示す縦断説明図。 図18の試作品の一部の製造過程を示す縦断説明図。 図19の試作品の一部の製造過程を示す縦断説明図。 図20の試作品の一部の製造過程を示す縦断説明図。 さらに異なる実験を説明図するための試作品の製造過程を示す縦断説明図。 図24の製造過程における溶湯(液体)、半凝固層部分、試作品(固体)の温度分布を示す温度分布説明図。 図24に対応する試作品から取り出す試料(第1試験片)の位置関係を示す縦断説明図。 取り出した各試料(第1試験片)からさらに取り出した試料(第2試験片)の各試料(第1試験片)における位置関係を示す縦断説明図。 取り出した試料(第2試験片)の亜鉛濃度を示すグラフ。
図1は本発明の第1の実施形態としての連続鋳造装置の全体構成を示し、丸棒状のインゴットを製品Pとして得る場合を示している。この図1から分かるように、この装置は、Al,Cu,Zn又はこれらのうちの少なくとも2つの合金、あるいはMg合金等の伝導体(導電体)の非鉄金属あるいはその他の金属の溶解炉(図示せず)からの溶湯Mを、樋2を介してモールド1に流入させて、最終的に製品Pを得るように構成したものである。本発明の第1の実施形態においては、最終的に得られる製品Pの品質を向上すべく、溶湯攪拌装置3を備える。つまり、樋2の終端部分における溶湯M中に溶湯攪拌装置3を所定の手段で浸漬した状態に保持している。この溶湯攪拌装置3により、追って詳しく説明するように、ローレンツ力により、図1(第1の実施形態)から分かるように、溶湯Mを溶湯攪拌装置3の回りに回転駆動させながら、モールド1中に送り込むようにしている。これとの関連発明で他の実施形態について簡単に説明すれば、溶湯攪拌装置により、図4(第2の実施形態)ではモールド1中の溶湯Mを、図6(第3実施形態)では樋2中とモールド1中の両方の溶湯Mを、ローレンツ力により、回転駆動させながらモールド1に送り込み、品質の改善された製品Pを得るように構成している。
以下に本発明の第1の実施形態についてより詳しく説明する。
図1において、溶解炉(図示せず)からの溶湯Mを樋2によりモールド1に導いている。つまり、樋2の先端(終端)にモールド1が連通状態に取り付けられている。より詳しくは、樋2の底面にモールド1の溶湯流入口が連通した状態に取り付けられており、溶湯攪拌装置1はその下端側が樋2における溶湯導出路内に挿入された状態に組み込まれている。
溶湯Mは樋2からモールド1に至り、そこで冷却されていわゆる固相状態の製品Pが品質が改善されたものとして得られる。この製品Pの上方にはまだ冷え切っていないいわゆる液相状態の溶湯Mが存在している。つまり、図1から分かるように、モールド1中においては、上部が液相状態の溶湯M、下部が固相状態の製品Pとなっており、これらは下に凸の放物面状の界面Iを作って互いに接している。
前記樋2中に、溶湯攪拌装置3が、所望の手段により浮かした状態に、保持されている。溶湯攪拌装置1は樋2及びモールド1に対して図1中上下に位置調節可能にされている。よって、図1では溶湯攪拌装置3の下端が少しモールド1中に入り込んだ状態となっているが溶湯攪拌装置3をその全てが樋2中だけに存するように保持すること等もできる。この溶湯攪拌装置3の縦断説明図が図2に示され、その拡大図が動作説明図として図3に示される。
特に図3から分かるように、溶湯攪拌装置3は、二重構造で上方が開放したほぼ筒状のケース6と、このケース6に収納される永久磁石18を有する磁場装置7と、ケース6に付設される一対の電極(第1の電極24、第2の電極25)を有する電極部8とを有する。前記溶湯攪拌装置3は、溶湯Mの高温性に着目し圧縮空気により空冷可能な空冷構造を有するものとして構成されている。この空冷により、例えば、磁場装置7の永久磁石18はその能力を維持発揮可能とされている。
より詳しくは、特に図3において、前記ケース6は、共に耐火材で、上方が開放した筒状のものとして作られた外筒11と内筒12を有する。外筒11と内筒12の間には、冷却用の圧縮空気を流すための隙間14を形成している。さらに、この冷却用の空気を通すため、内筒12の底部には同心円上に複数の通気孔12aを穿設して、内筒12の内部と前記隙間14とを連通させている。これにより、内筒12Cから前記通気孔12aを介して前記隙間14、さらには大気にいたる冷却空気路が構成されることになる。つまり、図3から分かるように、冷却用の圧縮空気は、矢印AR1に示すように、内筒12の内部に上方から流入し、底部に達し、前記通気孔12aから前記隙間14の底部に至り、その隙間14を上昇し、やがて大気中に放出される。この間に圧縮空気は、流路内で熱交換を行い、磁場装置7等を冷却する。前記外筒11におけるフランジ部分により、溶湯攪拌装置3は所望の外部の固定装置に固定可能とされている。また、この溶湯攪拌装置3は、樋2及びモールド1中への浸漬の深さを適宜調節可能とされている。これにより、現場において、用いる溶湯Mの物性等に応じて前記浸漬深さを調節して、より適切に溶湯Mを攪拌可能とすることができる。
この磁場装置7は、図3から分かるように、ステンレス製のパイプ16が被挿された状態で、内筒12内に収納されている。磁場装置7の詳細は図8a、図8bに示される。つまり、磁場装置7は一体構成の筒状の永久磁石18として構成され、中心軸部分に前記パイプ16を貫通させるための貫通孔18aを有する。永久磁石18は、中心側がS極に、外周側がN極に磁化されている。(磁化の方向は前記とは逆であってもよいのは当然である。この場合には必要に応じて後述する外部電源盤27により電流を流す方向を変えることもできる。)これにより、図3からわかるように、この磁場装置7からは磁力線MLが放射状に出て、樋2中の溶湯M中を走ることとなる。なお、磁場装置7の構成は図8a、図8bのものに限るものではなく、図3に示すように磁力線MLが出るものであれば良い。例えば、図9a、図9bにその一例が示される。これらの図における永久磁石18は上下に長い棒状の複数の永久磁石片19を有する。各永久磁石片19の磁化の態様は図9a、図9bに示される。それらの各永久磁石片19を平面的に見て同心円状に並べたものとして磁場装置7が構成される。前述のように、前記磁場装置7は、図3からわかるように、前記パイプ16が被挿された状体で前記内筒12内に収納される。これにより、前記磁場装置7は、放射状に磁力線MLを出し、この磁力線MLは樋2内の溶湯Mに至りその中を走る。前記圧縮空気は前記内筒12内を流れるときに、磁場装置7等を冷却しながら前記通気孔12aに至る。
図3から分かるように、前記ステンレス製の前記パイプ16の内部には、引き出し線体として機能する、銅等の導電性材製の案内杆22が収納されている。この案内杆22の下端にはタングステン又はグラファイト等で構成された第1の電極24が電気的に導通した状態に取り付けられている。この第1の電極24は、前記内筒12及び前記外筒11を液密状態(少なくとも溶湯密状態)に貫通し、その先端(下端)を外部に露呈し、樋2中の溶湯Mに接触可能とされている。
前記第1の電極24と対をなす、グラファイト等により例えばリング状に構成された第2の電極25が前記外筒11の外周面に着脱可能挿入された状態に取り付けられている。これにより、溶湯攪拌装置3を前記樋2の溶湯M中に浸漬した状態にあっては、図3に示すように、第2の電極25から第1の電極24へ溶湯Mを介して電流iが流れる。これにより、前記磁場装置7からの磁力線MLと、第1の電極24と第2の電極25との間を流れる電流iと、が交叉してローレンツ力を発生させる。これにより、図1に示すように、樋2中の溶湯Mが回転駆動される。なお、前記第2の電極25は必要に応じて、例えば損耗時等には、別のものと交換可能である。
樋2中の溶湯Mは回転駆動つまり攪拌されることにより以下のような利点が得られる。
先ず、内部に存在する不純物が溶湯M中を上昇して表面部分に集まり、表面部分以外の溶湯Mつまりモールド1中に流れ込む溶湯Mの品質向上が行われる。これにより、モールド1で得られる製品Pの品質の向上が図られる。
また、溶湯Mは樋2中で攪拌されることにより、回転しながらモールド1中に流れ込むことになる。これにより、溶湯Mはモールド1内でも回転することとなる。つまり溶湯Mはモールド1内においても間接的に回転駆動されることになる。このモールド1内での回転により、溶湯Mは、内部部分と外部部分との温度の平均化がなされた状態で固化していく。これにより、前記のように溶湯M中の不純物が除去されていることと相俟って、製品Pはより品質の優れたものとして得られる。このような品質改善のメカニズムは、以下に説明する他の実施形態や変形例においても全て当てはまる。
図1に戻って説明するに、前記第1の電極24と第2の電極25は外部電源盤27に接続され、所望の直流電流が供給可能とされている。外部電源盤27により供給電流量は加減調節可能にされており、極性も切り替え可能とされている。極性の切り替えにより、樋2、モールド1中での溶湯Mの回転方向を逆とすることができる。このような制御は、現場において溶湯Mの攪拌状態を見ながら行うこともでき、これにより、用いる溶湯Mの特性毎に個別に制御して、用いる溶湯Mの特性に左右されず、より高品質の製品Pを得ることができる。しかもこのような制御は、外部電源盤27での簡単な操作で可能であり、現場での有用性は極めて高い。
前記モールド1の内部には、例えば図1から分かるように、冷却水を循環させる循環路1aが形成されている。この循環路1aのうちの前記製品Pに対向する複数の箇所を外部に貫通する冷却水口1bとしている。これらの冷却水口1bから放出される冷却水により冷却されながら製品Pが製造されることになる。而して、前述のように、モールド1中においても溶湯Mは回転駆動されるので、温度の均一化を図って、より高品質の製品Pを得ることができる。なお、前記界面Iの形状が図1に示されるように下に凸の放物面状になるのは、溶湯Mの外部部分と内部部分との冷却速度が異なることに起因する。製品Pが大型化つまり横断面の差し渡しが大きくなるに従って界面Iの放物面の頂点近傍のカーブがより急峻なものとなる。また、製品Pの引き抜き速度が上がるほど、同じく、前記がより急峻なものとなる。これにより、外部部分と内部部分との冷却速度の差がより大きくなる。これにより、製品Pの内部的な品質にばらつきが生じるのが避けられない。しかしながら、前述のように、モールド1内でも溶湯Mを攪拌して温度の均一化を図っていることから、樋2中で不純物の除去も行われていることと相俟って、より高品質の製品を得ることができる。
以上の説明で本発明の第1の実施形態の動作は理解できると思うが、以下にも簡単に説明する。
図1の外部電源盤27から、図3に示すように、一対の電極(第1の電極24、第2の電極25)間に電流iを流す。この電流iは磁力線MLと交叉してローレンツ力fを発生させる。このローレンツ力fにより樋2中の溶湯M(及びモールド1中の少しの溶湯M)が図1に示すように回転駆動される。これにより溶湯Mは回転しながらモールド1中に流入し、モールド1中でも回転しながら、冷却水口1bからの冷却水で冷却されて固化し、製品Pとなる。ここで、外部電源盤27からの電流量を加減することにより、樋2中及びモールド1中での溶湯Mの回転速度を加減することができる。つまり、溶解炉(図示せず)から流れてくる溶湯Mの品質、性質、成分等はいつも同じではないが、用いる溶湯Mの品質、性質等に応じて、前記電流量を加減して、溶湯Mの物性に拘わらず、より適切な品質の製品Pを得ることができる。また、前記電流iの流れる向きを小刻みに変えることにより、溶湯Mの樋2中での回転方向を極短時間で変えて、いわゆる振動状態とすることもでき、これにより不純物の除去をより促進することもできる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本発明の第2の実施形態は、特に図4から分かるように、溶湯攪拌装置3Aに搭載した永久磁石18A(図5参照)により、樋2内の溶湯Mではなく、モールド1内の固化前の溶湯Mを回転駆動するようにしたものである。モールド1内の溶湯Mを攪拌しても、前記本発明の第1の実施形態での説明からも分かるように、本発明の第1の実施形態の場合とほぼ同様の作用効果を得ることができるのは明らかである。
以下には本発明の第1の実施形態と異なる点を主体的に説明する。図4の本発明の第2の実施形態に搭載された溶湯攪拌装置3Aは、図5に、縦断拡大動作説明図が示される。この図5に示された溶湯攪拌装置3Aが、図3に示す溶湯攪拌装置3と異なる点は、両方の図の比較から容易に分かるように、磁力線MLの出る方向だけであり、その他の構成はほぼ同じである。つまり、図5の磁場装置7Aの永久磁石18Aは、図中下方に磁力線MLを出している。この磁場装置7Aの詳細は図10a、図10bに示される。図10aは縦断面図、図10bは平面図である。これらの図から分かるように、外形は図8a、図8bとほぼ同様であるが、磁化の態様が異なり、円筒状体の上部がS極に、下部がN極に磁化されている。
図5から分かるように、磁場装置7Aからの磁力線MLと、一対の電極(第1の電極24、第2の電極25)間に流れる電流iと、は磁場装置7Aの外筒11の底面の外側で交叉する。これにより生じるローレンツ力fにより、モールド1内の溶湯Mは、図4に示すように回転駆動される。
前に述べたように、この本発明の第2の実施形態において、上記した以外の構成及び動作は、本発明の第1の実施形態のものとほぼ同じであるので詳しい説明は省略する。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
本発明の第3の実施形態は、特に図6から分かるように、溶湯攪拌装置3Bに搭載した永久磁石18B1,18B2(図7参照)により、樋2内の溶湯Mと、モールド1内の固化前の溶湯Mと、の両方の溶湯Mを共に直接的に回転駆動するものである。樋2中の溶湯Mとモールド1内の溶湯Mとを共に直接的に攪拌するものであるため、前記本発明の第1の実施形態及本発明の第2の実施形態の場合とほぼ同様の又はそれ以上の作用効果を得ることができるのは明らかである。
より詳しくは、図6の溶湯攪拌装置3Bは、図7にその縦断拡大動作説明図が示される。この図7に示された溶湯攪拌装置3B(第3の実施形態)は、図3に示す溶湯攪拌装置3(第1の実施形態)及び図5に示す溶湯攪拌装置3B(第2の実施形態)の両方の機能を併せ持つものとして構成されている。その具体的な構成は、図7から分かるように、磁場装置7Bは、共に円筒状の第1の永久磁石18B1と第2の永久磁石18B2を非磁性材のスペーサ30を介して上下に積み重ねた状態に一体に固定されたものとして構成されており、それらの詳細は図11a(縦断説明図)、図11b(上面図)、図11c(底面図)に示される。図11a、図11bから分かるように、第1の永久磁石18B1は、図9a、図9bに示すものと同様に、複数の永久磁石片19から構成され、内側がS極に、外側がN極とされている。また、図11a、図11cから分かるように、第2の永久磁石18B2は、図10a、図10bに示すものと同様に、上側がN極、下側がS極に磁化されている。これらの第1の永久磁石18B1と第2の永久磁石18B2とがスペーサ30を挟んで一体に構成されている。
図7から分かるように、磁場装置7Bの永久磁石18B1からの磁力線MLと、一対の電極(第1の電極24、第2の電極25)間に流れる電流iと、は外筒11の側面の外側で交叉する。また、磁場装置7Bの第2の永久磁石18B2からの磁力線MLと、一対の電極(第1の電極24、第2の電極25)間に流れる電流iと、は磁場装置7Aの外筒11の側面の外側で交叉する。これにより生じる2種類のローレンツ力fにより、図6に示すように、樋2中では磁場装置7Bの外周面の外側で、及び、モールド1中では底面の外側で、それぞれ回転駆動される。
この本発明の第3の実施形態において、上記した以外の構成及び動作は、本発明の第1及び2の実施形態のものとほぼ同じであるので詳しい説明は省略する。
以上に説明した本発明の第1乃至3の実施形態では、ケース6を外筒11と内筒12の二重構造とすると共に両者の間に隙間14を作り、ここに冷却用の圧縮空気を流通させるようにしていた。しかしながら、外筒11と内筒12とを隙間無く密着状態に重ね合わせてケース6の強度を高めることもできる。この場合には、冷却用の空気の流路は別に確保される。この技術思想を具現した本発明の第4乃至6の実施形態は、図12乃至図16に示される。これらの実施形態では、冷却用の圧縮空気をパイプ16Cから送り込むようにしている。
次に、まず、本発明の第4の実施形態について説明する。
本発明の第4の実施形態は、図12乃至図14に示される。特に図14から分かるように、この実施形態は、溶湯攪拌装置3Cに搭載した永久磁石18Cによりモールド1内の固化前の溶湯Mを回転駆動するものである。この本発明の第4の実施形態では、図8a、図8bに示すと同等の永久磁石を用いている。この図14(本発明の第4の実施形態)の溶湯攪拌装置3Cが、図3(本発明の第1の実施形態)の溶湯攪拌装置3と異なる点は、ケース6Cを外筒11Cと内筒12Cを隙間無く重合することにより構成した点と、冷却用の圧縮空気をやや太めに構成したパイプ16Cから送り込むようにした点にある。この内筒12Cは断熱部材により断熱筒として機能するものとして構成することもできる。このパイプ16Cの下端と内筒12Cの底面との間には連通用の連通隙間が形成されている。これにより、この連通隙間を介して前記パイプの内部と前記ケースの内部とが連通して冷却空気路が形成されており、この連通隙間を介して前記パイプの内部と前記内筒の内部とが連通して冷却空気路が形成されることになる。これにより、パイプ16Cに送り込まれた圧縮空気は、矢印AR2に示すように、パイプ16Cの下端からパイプ16Cと内筒12Cの間の隙間14Cに至り、反転上昇して外部に放出される。永久磁石18C等はこの反転上昇する圧縮空気によって冷却される。
この第4の実施形態におけるその他の構成及び動作は前述の実施形態と同様であるため詳しい説明は省略する。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
この本発明の第5の実施形態は、図4の本発明の第2の実施形態と同様に、モールド1内の溶湯Mを直接駆動しようとするものである。図15に要部としての溶湯攪拌装置3Dを示す。この本発明の第4の実施形態では、図10aに示すのと同等の永久磁石18Dによる磁場装置7Dを用いている。その他の構成及び動作は図14及び図5のものとほぼ同等であるため詳しい説明は省略する。
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
この本発明の第6の実施形態は、図6の本発明の第3の実施形態と同様に、樋2内の溶湯M及びモールド1内の溶湯Mを直接駆動しようとするものである。図16に要部としての溶湯攪拌装置3Eを示す。この本発明の第6の実施形態では、図11aに示すのと同等の第1の永久磁石18E1、第2の永久磁石18E2による磁場装置7Eを用いている。その他の構成は図14及び図7のものとほぼ同等であるため詳しい説明は省略する。
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
この本発明の第7の実施形態は、図2Aに示され、ケース6Dにおける外筒11Dを、通電により発熱して溶湯の温度に近い数百度等になる、導電性材料で構成している。また、この導電性材料の電気抵抗は、用いる溶湯Mのそれよりも大きいものを用いている。この導電性材料としては、グラファイト等の各種の材料を用いることができ、耐火性を有し、用いる溶湯に強い材質のものであれば良い。
また、電極部8Dのうちの上部の第2の電極25Dは、図2の第2の電極25よりも上方に設けて、実際の使用時に溶湯Mに接触しないようにしている。
その他の構成は、実質的に、図2の実施形態と同様である。
この本発明の第7の実施形態においては、上記のように、外筒11Dを通電により自己発熱可能としている。その自己発熱により、例えば数百度になることを可能である。これにより、実際の使用に先立ち通電により高温状態としておけば、実際の使用に当たって直ぐに溶湯中に沈めて使用が可能で、時間の無駄を可及的に少なくすることができる。つまり、この実施形態によれば、溶湯攪拌装置3Dを溶湯中に沈めて実際に稼働させるのに、数時間待つ必要はなくなる。
図2Bは、前記溶湯攪拌装置3Dにおける電流のパスを示す説明図である。この図2Bの矢印ARDから分かるように、外部電源盤27のプラスの端子27aからの電流は、第2の電極25Dからグラファイト等の外筒11Dを通り、次いで相対的に電気抵抗の低い溶湯Mを流れ、第1の電極24に達し、外部電源盤27のマイナスの端子27bに戻る。
図13Aは、本発明の第8の実施形態を示す。
この本発明の第8の実施形態は、図13に示す装置と比較すれば、溶湯攪拌装置3Eの電極部8Eの第2の電極25Eを、図2Bの実施形態と同様に、上方に設け、ケース6Eにおける外筒11Eをグラファイト等の導電性材料で構成した例を示す。その他は、図2Bの例とほぼ同様であるため詳しい説明は省略する。
以上に説明した各実施形態によれば以下のような利点が得られる。
(1)溶湯を直接攪拌するようにしたので攪拌効率が極めて高い。
(2)大型のインゴットにも効率良く対応できる。
(3)大型のインゴットの場合には複数の溶湯攪拌装置を組み込めば良い。
(4)モールド中のインゴットの前記界面までの深さは製品の引き抜き速度、サイズ等によって異なる。この場合、溶湯攪拌装置の樋、モールド中への浸漬深さを調節して、より適切に溶湯を攪拌できる。
(5)溶湯攪拌装置はコンパクトに構成することができ、これによりその設置に当たっては大きな場所を必要としない。
(6)これにより、既存のモールド装置等への適用が容易である。
(7)製品(インゴット)の結晶組織の微細化ができる。
(8)製品(インゴット)の結晶組織の均一化ができる。
(9)製品の生産速度を上げることができる。例えば、10−30%くらいの増産が可能である。
(10)溶湯を内部的に攪拌するようにしたので溶湯の酸化を防いで製品の品質を向上させることができる。
上述のように、本発明の実施形態の連続鋳造装置には各種の利点が得られる。その利点のうち製品の生産速度(生産性)の向上についてさらに説明すれば以下の通りである。
一般に、連続鋳造において、製品の生産性は、製品の引き抜き速度に依存する。引き抜き速度を上げれば生産性は向上する。しかしながら、引き抜き速度をある速度以上に上げると、製品の内部に縦に延びる1又は複数のクラックが発生してしまう。このクラックの存在は、例えば冷却後の製品を切断して製品の内部を観察することにより確認することができる。
このように、従来は、生産性を上げようとしても、引き抜き速度を上げることに限界があり、そのため生産性の向上を十分に図れなかった。
しかるに、本発明の実施形態の連続鋳造装置によれば、前記従来の連続鋳造装置における速度以上に引き抜き速度を上げても、内部にクラックの存在しない良質の製品を得ることができる。これは先に述べた説明からも理解できると思うが、本発明者は以下に説明する実験を行い実際に試作品を製造して、このことを確認した。
また、製品の品質の良否を判断する基準として、結晶組織の微細化の程度がある。つまり、高品質の製品とは、結晶組織がより微細化されている製品といえる。結晶組織を微細化するには、溶湯を急冷すれば良い。つまり、逆に、急速に冷却しないと、結晶組織は微細化されない。
連続鋳造の過程においては、モールドの上方部分には、溶湯の冷却により既に固化した固相部分SP(図21等SP1参照)と、これから固化する液相部分LP(図21等LP1参照)と、が界面を作って上下に隣り合って存在する。さらに、両者の界面部分には、固相と液相の中間的な性質の半凝固層部分(マッシーゾーン:Mushy Zone)MZ(図21等MZ1参照)が現れる。この半凝固層部分MZは、液相から固相へ遷移する過程の遷移層である。
本発明者は、冷却が急速に行われる場合にはこの半凝固層部分MZが薄いものとして現れ、緩やかに行われる場合は厚いものとして現れる、ことを数多くの製品を製造し、その製品を切断して観察することにより独自に知得していた。よって、逆に、この半凝固層部分MZが薄い時には固相部分SPにおける結晶組織の品質は微細で良質であり、厚い時には固相部分SPにおける結晶組織の品質は粗く悪質である、と言える。つまり、半凝固層部分MZの厚さを見れば、製品の内部の結晶組織が細かい良質のものか、粗い非良質のものか、が分かる、と言える。
しかるに、本発明の実施形態の連続鋳造装置によれば、従来の連続鋳造装置での速度以上に引き抜き速度を上げても、前記半凝固相部分MZが厚くなることはない。それは、本発明の実施形態の連続鋳造装置によれば、従来の連続鋳造装置では行われていなかったと共にそもそも不可能であった、溶湯を攪拌状態としてモールドに供給すると共にさらにこれによりモールド内で固まる直前の溶湯が攪拌されるようになったからである。つまり、本発明の実施形態の連続鋳造装置によれば、生産効率を上げても、良質の製品を得ることができる。これは、本発明者の行った以下の実験により、確かめられた。
(実験1)
実験の概要
前記液相部分LPと前記半凝固層部分MZはこの後完全に固化しやがて固相部分SPのみとなる。本発明者が行った実験では、視覚的に確認可能なるように、最終的に得られる試作品TPにおいて、本来は消失してしまう、製造の過程でのみ現れる前記液相部分LP及び半凝固層部分MZが、表れるようにした。つまり、試作品TPは当然全て固体(固相)として得れるが、製造過程のある瞬間で見ると、試作品TPは、かつて液相部分LPだった第1の固体部分SP(MZ)、かつて半凝固層部分MZだった第2の固体部分SP(MZ)、かつても固体だった第3の固体部分SP(SP)の3つの固体部分からなる。本実験では、これらの3つの固体部分を、試作品TPにおいて視覚的に把握できるようにして、試作品TPの品質を容易に判定することができるようにした。
つまり、一般には、出来上がった製品は全てが固相部分SPとなり、前記液相部分LPや半凝固層部分MZは消失し、液相部分LPと半凝固層部分MZは視覚的に確認することはできない。しかしながら、本実験では、製造の過程のある瞬間に特殊な処理を施して、出来上がった全体が固体としての製品(試作品)において、前記ある瞬間に、図18のように、かつて液相部分LPで有った部分、かつて半凝固層部分MZで有った部分、かつて固相部分SPで有った部分が視覚的に識別できるようにした。
実験の詳細
(1)上記した本発明の連続鋳造装置の効果である生産性の向上を確認するために本発明者が行った、試作品(アルミニウムの円柱状インゴット(丸形インゴット))の製造実験について説明する。この製造実験においては、本発明の実施形態の連続鋳造装置と、本発明の実施形態の連続鋳造装置から溶湯攪拌装置3を取り外したもの(改良前の連続鋳造装置)と、を用いた。
つまり、本発明者は、図1の本発明の実施形態の連続鋳造装置を用いて試作品TPを製造するに当たり、図1の溶湯攪拌装置3を取り外した状態(改良前の連続鋳造装置)と、溶湯攪拌装置3をそのまま用いる状態(本発明の実施形態の連続鋳造装置)と、を切り替えて、図17に示す連続する1本の試作品TPを製造した。図17においては、理解を容易とするため試作品TPの一部を破断(切断)して示している。つまり、試作品TPの内部は、製造後に縦断することにより観察可能である。なお、図1の溶湯攪拌装置3に代えて、図4、図6、図12、図15及び図16の本発明の実施形態の連続鋳造装置を用いても、図17と同様の試作品TPを得ることができるのは明らかである。
図17に示す試作品TPにおいて、第1の試作品部100は前記改良前の連続鋳造装置により製造した部分であり、第2の試作品部200は本発明の実施形態の連続鋳造装置で製造した部分である。さらに、前記第1の試作品部100は、矢印AR方向に、遅い引き抜き速度(鋳造速度)で引き抜いて得た遅い低速引抜部分50Aと、それよりも速い引き抜き速度(鋳造速度)で引き抜いて得た第1の高速引抜部分50Bと、を備える。これに対し、第2の試作品部200は、前記第1の高速引抜部分50Bと同じ引き抜き速度(鋳造速度)で引き抜いて得た第2の高速引抜部分60Bを有する。
後述もするが、前記第1の高速引抜部分50Bと前記第2の高速引抜部分60Bとの比較から明らかなように、改良前の連続鋳造装置によって得た第1の高速引抜部分50BにはクラックCが存在しているが、本発明の連続鋳造装置によって得た第2の高速引抜部分60Bにはクラックの存在は認められなかった。つまり、本発明者が行った実験により、本発明の連続鋳造装置によれば、引き抜き速度(鋳造速度)を高速としても、内部にクラックの無い鋳造品を得ることができるのが確認できた。つまり、連続鋳造において生産性を向上させることができた。
(2)以下に、上記製造実験の詳細について説明する。実験として、第1の試作品部100における前記低速引抜部分50Aを得るための実験Aと、前記第1の高速引抜部分50Bを得るための実験Bと、第2の試作品部200における前記第2の高速引抜部分60Bを得るための実験Cと、の3つの実験を行った。
前記実験A、実験B、実験Cによってそれぞれ得られたのが前記低速引抜部分50A、第1の高速引抜部分50B、第2の高速引抜部分60Bである。これらの低速引抜部分50A、第1の高速引抜部分50B、第2の高速引抜部分60Bはそれぞれ図18、図19、図20に拡大して示される。なお、図18、図19、図20はそれぞれ試作品(固体)TPの一部の断面図ではあるが、これらの図18、図19、図20から、連続鋳造装置による製造の過程における各ある瞬間のモールド1の内部の様子は、図21、図22、図23に、固体、半凝固層部分、液体の3つの相が併存するものとして把握される。それは、試作品(製品)TPは、製造の過程におけるある瞬間をそのまま表すものとして得られるからである。よって、以下では、図21、図22、図23を製品の製造過程におけるある瞬間のモールド内部の様子を示す説明図として用いて説明する。
(2)−1 先ず、図17に示す第1の試作品部100(50A、50B)を製造する実験A、Bについて説明する。試作品TPにおける低速引抜部分50A及び第1の高速引抜部分50Bの詳細は図18及び図19に示される。
図1の連続鋳造装置から溶湯攪拌装置3を取り除いた改良前の連続鋳造装置で引き抜きを行って製品(鋳造品)としての試作品部100を製造するに当たり、当初は引き抜き速度(鋳造速度)を低速とし、その後は高速に切り替えた。つまり、当初の低速の引き抜きによって、図17の低速引抜部分50Aが得られ、その後高速に切り替えることによって、第1の高速引抜部分50Bが得られた。
前記低速の引き抜き時における条件1(実験A)及び前記高速の引き抜き時における条件2(実験B)は下記の通りとした。また、製造過程のそれぞれのある瞬間を示す図21及び図22に示されるように、これらの条件1及び条件2の場合において現れるサンプ深さ(液相部分LPの最大深さ)d1,d2、半凝固層部分(Mushy Zone)MZの厚さt1,t2は、試作品TPを示す図18、図19から、下記の通りであったことが分かる。
(実験A)(条件1及び結果)
・ 材料:アルミニウム
・ 添加物:亜鉛
・ 丸形インゴットの直径Φ=355mm
・ 引き抜き速度(鋳造速度)v1=75mm/min
・ サンプ深さ(液相部分LPの最大深さ)(図21)d1=171.5mm
・ 半凝固層部分(Mushy Zone)の厚さ(図21)t1=4mm
つまり、改良前の連続鋳造装置により、上記条件1で低速での引き抜きを行った。条件1での引き抜きが行われているある瞬間において、液相部分LP1に亜鉛を添加した。添加された亜鉛は液相部分LP1のアルミニウム中に瞬時に拡散し、合金を作り、造影剤的な役目を担った。前記添加後ある所定の時間だけ前記上記条件1で引き抜きを行った。この実験Aにより、図17及び図18の低速引抜部分50Aが得られた。この低速引抜部分50Aが得られるメカニズムについては追って説明する。
前記条件1での実験Aにおけるモールド1の内部の状態は、図21から以下の通りであることが分かる。即ち、ある瞬間のモールド1中の製品の最上部(頂部)の縦断面を見ると図21に示されるようになる。図21中、下側には既に固化した固相部分SP1、上側にはこれから固化する液相部分LP1が現れる。さらに、前記2つの相の界面部分には、半凝固相部分(Mushy Zone)MZ1が現れる。図21に示すように、サンプ深さ(液相部分LP1の最大深さ)d1=171.5mm、半凝固相部分(Mushy Zone)MZ1の厚さt1=4mmとなる。この図21からわかるように、引き抜き速度(鋳造速度)が低速の場合には、液相部分LP1にはクラック(空洞)の発生は見られない。これに伴い、最終的に、図17に示す試作品TPから分かるように、クラックのない前記低速引抜部分50Aが形成される。
(実験B)(条件2及び結果)
・ 材料:アルミニウム
・ 添加物:亜鉛
・ 丸形インゴットの直径Φ=355mm
・ 引き抜き速度(鋳造速度)v2=109mm/min
・ サンプ深さ(液相部分LPの最大深さ)(図22)d2=282.2mm
・ 半凝固層部分(Mushy Zone)の厚さ(図22)t2=5.5mm
改良前の連続鋳造装置により行った前記条件1での引き抜きに続いて、同じく前記改良前前の連続鋳造装置により上記条件2でそれまでよりも高速で引き抜きを行った。前記と同様に、この条件2での引き抜きが行われているある瞬間において、液相部分LP2に亜鉛を添加した。前記と同様に、添加された亜鉛は液相部分LP2のアルミニウム中に高速で拡散し、合金を作り、造影剤的な役目を担う。この実験Bにより、図17及び図22の第1の高速引抜部分50Bが得られる。この第1の高速引抜部分50Bが得られるメカニズムについては追って説明する。
前記条件2での実験Bにおいて、モールド1の最上部(頂部)の縦断面は図22に示されるようになる。図22中、下側には既に固化した固相部分SP2、上側にはこれから固化する液相部分LP2が現れる。さらに、前記2つの相の界面部分には、半凝固相部分(Mushy Zone)MZ2が現れる。図22に示すように、サンプ深さ(液相部分LPの最大深さ)d2=282.2mm、半凝固層部分(Mushy Zone)MZ2の厚さt2=5.5mmとなる。この図22からわかるように、引き抜き速度(鋳造速度)が高速の場合には、液相部分LP2にクラック(空洞)の発生が見られる。これに伴い、図17に示すクラックを含む前記第1の高速引抜部分50Bが形成される。
(2)−2 次に、図17の第2の試作品部200を製造する実験Cについて説明する。
図1の本発明の連続鋳造装置で引き抜きを行って製品(鋳造品)としての試作品200を製造するに当たっての引き抜き速度(鋳造速度)は、前記第1の試作品部100における第1の高速引抜部分50Bの製造の際と同じ高速引き抜き速度(鋳造速度)とした。これにより、図17の前記第2の高速引抜部分60Bが得られた。
前記高速引き抜き時における条件3(実験C)は下記の通りとした。また、この条件3の場合において現れるサンプ深さ(液相部分LPの最大深さ)d3、半凝固層部分(Mushy Zone)の厚さt3は下記の通りであった。
(実験C)(条件3及び結果)
・ 材料:アルミニウム
・ 添加物:亜鉛
・ 丸形インゴットの直径Φ=355mm
・ 引き抜き速度(鋳造速度)v3=102mm/min
・ サンプ深さ(液相部分LPの最大深さ)(図23)d3=276.2mm
・ 半凝固層部分(Mushy Zone)の厚さ(図23)t3=4mm
本発明の連続鋳造装置により前記条件3での引き抜きを行った。この条件3での引き抜きが行われているある瞬間において、前記と同様に、液相部分LP3に亜鉛を添加した。前記と同様に、添加された亜鉛は液相部分LPのアルミニウム中に高速で拡散し、ある種の合金を作り、造影剤的な役目を担った。この実験Cにより、図17及び図20の第2の高速引抜部分60Aが得られた。この第2の高速引抜部分50Bが得られるメカニズムについては追って説明する。
前記条件3での実験Cの過程は図23に示される。図23中、下側には既に固化した固相部分SP3、上側にはこれから固化する液相部分LP3が現れた。さらに、前記2つの相の界面部分には、半凝固相部分(Mushy Zone)MZ3が現れた。図23に示すように、サンプ深さ(液相部分LP3の最大深さ)d3=276.2mm、半凝固相部分(Mushy Zone)MZ3の厚さt3=4mmとなった。且つ、図23からわかるように、引き抜き速度(鋳造速度)を高速としたにも拘わらず、液相部分LP3にはクラック(空洞)の発生は見られなかった。つまり、この条件3で製品を製造した場合には、クラックの発生していない前記条件1の場合に比して、サンプ深さは増大するものの、半凝固相部分(Mushy Zone)MZ3の厚さはほとんど増加しなかった。半凝固相部分(Mushy Zone)MZ3が厚くならないことから、本発明の装置により高速での引抜鋳造を行っても、材料における熱の移動を高速化して、結晶組織の均一化及び微細化、並びに、製品の機械的強度を維持したまま、生産性の向上を図ることが予想できる。而して、実際に、図20に示すように、クラックのない前記低速引抜部分60Aを形成することができた。
以上に説明したところから分かるように、先に段落〔0046〕の(9)で説明したように、本発明の連続鋳造装置によれば、改良前の連続鋳造装置に比して、約30%程度、製品の引抜速度を上げることができた。
さらに本発明の趣旨、概要、及び、更なる実験について、以下に説明する。
一般に、丸棒状又は角柱状等の各種インゴッドの金属製品は、原材料の金属を溶解し、成分調整した後、所定の形状に凝固する工程を経て得られる。この時、最終製品の品質、例えば、機械的特性、結晶組織の均一化、微細化等は、凝固時のサンプ(連続鋳造中の製品の頂部における未凝固状態の液体部分)内の状態により決まってしまう。
溶融金属の凝固は、熱の移動により起こるが、固体中の熱伝導は液体のそれの2倍であることから、容器あるいは連続鋳造のモールド内の溶湯は外周部から中心に向かって凝固が進行する。連続鋳造の場合には、例えば図1から分かるように、製品の頂部部分において液体と固体が共存した状態で凝固が進行する。
製品の品質を向上させる重要なポイントは、例えば図1においての液体部分及び半凝固層部分をできる限り減少させることであるが、液体と固体の熱伝導率が違うことから、そのような目的を達成することは非常に難しい。
そこで、本発明者は、液体の熱伝導率が固体の熱伝導率がよりも低いことに着目し、金属の溶湯に磁場と電流を印加して攪拌することにより、引き抜き速度(鋳造速度)を上げてサンプが深くなった場合でも、クラックが生じないようにしたものである。
さて、本発明により、特に冷却速度を向上させて品質向上を図る場合を、本発明を各種インゴッド(ラウンドインゴッド(丸棒状のインゴッド)又は角柱状のインゴッド等)の連続鋳造に適用した場合について説明する。
連続鋳造工程においては、例えば図1から分かるように、下に凸の円錐柱状(縦断面では下に凸の放物線状)のサンプが常時現れる。
さて、熱の移動はニュートンの冷却の法則で説明できる。
つまり、移動する熱量Q、時間t、表面積S、高温側温度TH、低温側温度TL、温度係数αとすれば、
−dQ/dt=α・S(TH−TL)
となる。
つまり、熱の移動は、高温側温度THと低温側温度TLとの差に比例する温度勾配が大きいほど、スムーズに行われる。
ところで、熱の移動は、攪拌することにより増加するが、攪拌の有無における温度差の違いについて考える。
図24は、一般的な連続鋳造におけるモールド内部の、溶湯(液体)が製品(固体)に変わる一過程におけるある時点での縦断説明図を示す。
この図24の細長い円CIRで囲まれた部分の熱の状態を図25に示す。温度を示す実線SLは攪拌しない連続鋳造の場合のものであり、破線BLは本発明の攪拌する場合のものである。繰り返して言えば、実線SLは溶湯を攪拌しない場合の温度分布を示し、破線BLは溶湯を攪拌した場合の温度分布を示す。だだし、実線SLの後述の点bよりも外側(図中右側)は、攪拌有りと無しの2つの場合に共通の温度分布を示す。また、攪拌しない場合は、半凝固層部分MZは半凝固層部分MZ1(厚さL1)となり、攪拌した場合はそれよりも厚さの薄い半凝固層部分MZ2(厚さL2=L1−L11)となる。また、図25にも示すが、後述のように、半凝固層部分MZ1の内側の点aと外側の点bとの温度差はΔTn、半凝固層部分MZ2の内側表面の点cと外側表面の点bとの温度差はΔTmとなる。
つまり、攪拌しない場合は、実線SLから分かるように、中心線CLの部分が最も高い温度TH1を示し、外周に向かうにつれ徐々に低下し、液体部分LPと半凝固層部分MZ1との境界線上の点aの温度まで低下する。半凝固層部分MZの内部では、液体部分LPよりも冷却速度は速く、半凝固層部分MZ1と固体部分SPとの境界線上の点bの温度まで低下する。固体部分SPでは急激に温度が低下し、図25においては温度TLに達する。
一方、攪拌を行った場合は、破線BLから分かるように、液体(溶湯)内部の温度分布はほとんど均一となるため、中心線CLから半凝固層部分MZ2の内側に至るまでは温度勾配はほとんど生じない。つまり、この場合は、中心線CL部分の温度も、先の温度TH1よりも低い温度TH2となる。而して、攪拌により、前述のように、半凝固層部分MZ2の厚さL2は、厚さT1よりも厚さT11だけ薄くなる。この温度TH2は半凝固層部分MZ2の内側の点cまで続く。半凝固層部分MZ2内においては、温度は、点cから前記点bまで低下する。この後は前記無攪拌の場合と同様に温度TLとなる。
ここで半凝固層部分MZを見てみると、厚さは、攪拌無しの場合は厚さL1となり、攪拌有りの場合は厚さL2(=L1−L11)となる。つまり、厚さL1>L2となる。また、半凝固層部分MZの内側表面と外側表面の温度差は、攪拌無しの場合は温度差ΔTnであり、攪拌有りの場合は温度差ΔTmとなる。故に、攪拌無しの場合と有りの場合の温度勾配を比較すると、ΔTn/L1<ΔTm/L2 となる。これをニュートンの冷却の法則と照らし合わせると、冷却有りの場合が圧倒的に冷却速度が速いことが分かる。
各種インゴット(丸棒状、角柱状等)の品質を考えた場合、液体部分LPの温度分布は均一であることが望ましく、且つ、冷却は一気に高速で行うのが望ましい。
つまり、本発明では、連続鋳造時に現れる、製品の頂部の液相部分LPを、自然冷却により冷却するのではなく、強制的に攪拌することにより、液相部分LPの中心部分と周辺部分の温度差を極力なくした状態とし、半凝固層部分MZを厚さの薄いものとして、冷却するようにしている。これにより、本発明によれば、結晶の均一化及び微細化、且つ、機械的特性の向上等を図りつつ、つまり製品の高品質化を図りつつ、大幅に生産性の向上を図ることができるのが分かった。
さらに、連続鋳造の試作品TPとして円柱状インゴットを得るに当たり、前記サンプにケミカルトレーサとして亜鉛(Zn)を投入した。固化後にその試作品を縦割りにしたものが図26に示される。図中、前記Znを投入した時に、液体だった部分がSP(LP)、半凝固層部分だった部分がSP(MZ)、固体だった部分がSPである。
この試作品TPから、図26に位置を示す部位から、A−Eの5本の第1試験片(円柱)をくり抜いた。つまり、試作品TPから、図26の紙面に垂直方向に5本の第1試験片A−Eをくり抜いた。さらに、図27から分かるように、第1試験片A−Eのそれぞれに5つの測定点(測定点MP1乃至測定点MP5)を定め、それらの測定点から紙面に垂直にさらに5つの第2試験片をくり抜いた。つまり、第1試験片Aから5つの第2試験片A1−A5を、第1試験片Bからも5つの第2試験片B1−B5を得た。同様に、第1試験片C、D、Eからそれぞれ5つの第2試験片C1−C5,D1−D5,E1−D5を得た。これにより都合25個の第2試験片を得た。
なお、図27の各第1試験片A−Eにおいて、第2試験片A1−A5、B1−B5、・・・の並ぶ中心線CA,CB,・・・の向きは、図26に示される。つまり、図26からわかるように、各中心線CA,CB,・・・はかつて半凝固層部分MZだった部分SP(MZ)の厚さ方向に沿った向きとしてある。
前記都合25個の第2試験片A1−A5、B1−B5、・・・における、前記ケミカルトレーサとしての亜鉛の濃度を測定し、濃度CA1−CA5、CB1−CB5、・・・、CE1−CE5を得た。さらに、第1試験片A−Eにおける前記測定点MP1乃至測定点MP5における亜鉛の濃度の平均値a1,a2,・・a5を下記の式から求めた。
a1=(CA1+CB1+CC1+CD1+CE1)/5
a2=(CA2+CB2+CC2+CD2+CE2)/5


a5=(CA5+CB5+CC5+CD5+CE5)/5
つまり、前記測定点MP1乃至測定点MP5の亜鉛の濃度の平均値a1,a2,・・・は上記の式から求められた。
前記亜鉛の濃度の平均値a1,a2,・・a5は図28にプロットされる。この図28から、半凝固層部分MZの厚さは約2mmであることが分かった。
このような実験を繰り返して、前記図28に対応するグラフを複数作成した。つまり、連続鋳造において引き抜き速度(鋳造速度)をいろいろ変え、その際に得た試作品TPから前記図28に対応するグラフを複数得た。これらのグラフはほとんど図28に示すものと同様のものとして得られた。つまり、本発明の実施形態により溶湯を攪拌しながら製品を得た場合には、半凝固層部分MZの厚さが厚くなることはなかった。つまり、本発明の実施形態の装置によれば製品の引き抜き速度(鋳造速度)を上げても製品の品質が低下することはなかった。
また、図26に示す切り出した試作品TPの端面SUF1よりDEP(7インチ)だけ下がった端面をCMPを行って得た観察端面SUF2をSEMにより観察した。この観察を前記引き抜き速度(鋳造速度)を種々変えて得た試作品TPについて行った。この結果、本発明の実施形態の装置により溶湯を攪拌して得た試作品TPには、引き抜き速度(鋳造速度)を上げても、結晶組織が粗くなることはないのが観察された。

Claims (14)

  1. 導電性金属の溶湯をモールドに流入させて製品を連続的に成形する連続鋳造装置における前記モールドに流入させる溶湯又は前記モールド中の溶湯を攪拌するための溶湯攪拌装置であって、
    溶湯中に浸漬させる上方が開放した筒状のケースと、前記ケースに収納されるパイプと、を備え、
    前記ケースは外筒と前記外筒に収納される内筒とを有し、前記外筒と前記内筒との間には冷却用の空気を流通させる隙間が形成されており、前記内筒には前記内筒の内部と前記隙間とを連通する通気孔が穿けられて、前記内筒から前記通気孔を介して前記隙間にいたる冷却空気路が構成されており、
    前記内筒の内部には、前記パイプが被挿された状態の磁場装置が収納され、前記磁場装置は、前記磁場装置からの磁力線が前記内筒及び前記外筒を貫通して溶湯に至り、又は、溶湯中を走る磁力線が前記内筒及び前記外筒を貫通して前記磁場装置に至る、強度に磁化されており、
    さらに、前記内筒及び前記外筒を貫通し、一端が前記内筒内に露呈し、他端が前記外筒外に露呈して溶湯と接することが可能な、第1の電極を有し、前記第1の電極の前記一端は前記パイプ内を走る引出線体に電気的に導通状態に接続され、
    さらに、前記外筒に取り付けられた第2の電極を備え、前記第2の電極の前記外筒への取り付け位置は、前記第2の電極と前記第1の電極との間に溶湯を介して流れる電流が前記磁力線と交叉して溶湯を縦軸の回りに回転駆動するローレンツ力を発生させる位置に設定してある、
    ことを特徴とする溶湯攪拌装置。
  2. 前記第1の電極は、前記内筒の底板と前記外筒の底板を貫通した状態で前記ケースに取り付けられており、前記第2の電極は前記外筒の外周面における前記磁場装置よりも高い位置に取り付けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の溶湯攪拌装置。
  3. 前記磁場装置は、横向きの線に沿って、又は、下向きの線に沿って、磁力線を出し又は受けるように磁化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶湯攪拌装置。
  4. 前記磁場装置は横向きの線に沿って及び下向きの線に沿って磁力線を出し又は受けるように磁化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶湯攪拌装置。
  5. 前記磁場装置は、横向きの線に沿って磁力線を出し又は受けるように磁化された磁石と、
    下向きの線に沿って磁力線を出し又は受けるように磁化された磁石と、を上下に積層したものとして構成されていることを特徴とする請求項4記載の溶湯攪拌装置。
  6. 前記外筒は、通電により発熱する導電性材料により構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至5に記載の溶湯攪拌装置。
  7. 導電性金属の溶湯をモールドに流入させて製品を連続的に成形する連続鋳造装置における前記モールドに流入させる溶湯又は前記モールド中の溶湯を攪拌するための溶湯攪拌装置であって、
    溶湯中に浸漬させる上方が開放した筒状のケースと、前記ケースに収納されるパイプと、を備え、前記パイプの下端と前記ケースの底面の内側との間に連通用の連通隙間を形成し、この連通隙間を介して前記パイプの内部と前記ケースの内部とが連通して冷却空気路が形成されており、
    前記ケースの内部には、前記パイプが被挿された状態の磁場装置が収納され、前記磁場装置は、前記磁場装置からの磁力線が前記ケースを貫通して溶湯に至り、又は、溶湯中を走る磁力線が前記ケースを貫通して前記磁場装置に至る、強度に磁化されており、
    さらに、前記ケースを貫通し、一端が前記ケースに露呈し、他端が前記ケース外に露呈して溶湯と接することが可能な、第1の電極を有し、前記第1の電極の前記一端は前記パイプ内を走る引出線体に電気的に導通状態に接続され、
    さらに、前記ケースに取り付けられた第2の電極を備え、前記第2の電極の前記ケースへの取り付け位置は、前記第2の電極と前記第1の電極との間に溶湯を介して流れる電流が前記磁力線と交叉して溶湯を縦軸の回りに回転駆動するローレンツ力を発生させる位置に設定してある、
    ことを特徴とする溶湯攪拌装置。
  8. 前記第1の電極は、前記ケースの底板を貫通した状態で前記ケースに取り付けられており、前記第2の電極は前記ケースの外周面における前記磁場装置よりも高い位置に取り付けられている、ことを特徴とする請求項7に記載の溶湯攪拌装置。
  9. 前記磁場装置は、横向きの線に沿って、又は、下向きの線に沿って、磁力線を出し又は受けるように磁化されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の溶湯攪拌装置。
  10. 前記磁場装置は横向きの線に沿って及び下向きの線に沿って磁力線を出し又は受けるように磁化されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の溶湯攪拌装置。
  11. 前記磁場装置は、横向きの線に沿って磁力線を出し又は受けるように磁化された磁石と、
    下向きの線に沿って磁力線を出し又は受けるように磁化された磁石と、を上下に積層したものとして構成されていることを特徴とする請求項10記載の溶湯攪拌装置。
  12. 前記ケースは、通電により発熱する導電性材料により構成された外筒を有している、ことを特徴とする請求項7乃至11に記載の溶湯攪拌装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1つに記載の溶湯攪拌装置と、溶解炉から溶湯を導く樋と、前記樋の底面に溶湯流入口が連通した状態に取り付けられたモールドと、を備え、前記溶湯攪拌装置はその下端側が前記樋における溶湯導出路内に挿入された状態に組み込まれていることを特徴とする連続鋳造装置システム。
  14. 前記溶湯攪拌装置は、前記樋に対し、前記溶湯攪拌装置の下端部分の前記樋の前記溶湯導出路への挿入量を調節可能に保持されていることを特徴とする請求項13に記載の連続鋳造装置システム。
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