JP2018173471A - 感光性樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents

感光性樹脂組成物および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、耐熱性とパターニング性を確保しつつ、半導体素子への接着性をも両立する感光性樹脂組成物を提供することを課題とする。また、その感光性樹脂組成物の硬化物を用いた積層型半導体装置を提供することを課題とする。
【解決手段】(A)アルカリ可溶性樹脂と、(B)光酸発生剤と、(C)熱架橋剤と、(D)熱可塑性樹脂とを含み、前記(D)熱可塑性樹脂は、植物から抽出され得る化合物の変性体であり、分子内にフェノール性水酸基を有する感光性樹脂組成物を使用することで、耐熱性、パターニング性および接着性を両立できた。
【選択図】図1

Description

本発明は、感光性樹脂組成物および半導体装置に関するものである。
近年、モバイル機器の普及により、それに内蔵される半導体装置について小型化、薄型化の要請が強くなっている。そこで、複数の半導体素子を積層してなる積層型半導体装置においても、薄型化を図る必要がある。これまで、積層型半導体装置内の半導体素子と半導体素子の間には、バッファーコート材とダイアタッチフィルム材の2層が存在していた。薄型化の手段として、このバッファーコート材とダイアタッチフィルム材を、両特性を兼ね備えた感光性樹脂組成物で代替することが提案されている。この感光性樹脂組成物には耐熱性および接着性が要求され、接着性を付与する方法の一つとして、例えば熱可塑性樹脂であるアクリル樹脂を添加する方法が知られている。
しかしながら、感光性樹脂組成物に熱可塑性樹脂であるアクリル樹脂を配合すると、接着性は確保できるものの、耐熱性を犠牲にしてしまい、半導体装置の信頼性が低下してしまう。また、通常の熱可塑性樹脂は現像液への溶解性が低いため、熱可塑性樹脂を配合した感光性樹脂組成物は、充分なパターニング性が得られなくなることがある。
特開2015−25952号
従って、本発明の目的は、耐熱性とパターニング性を確保しつつ、半導体素子への接着性をも両立する感光性樹脂組成物を提供することにある。また、その感光性樹脂組成物の硬化物を用いた積層型半導体装置を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂として植物由来の化合物のフェノール変性体を適用すると、上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は下記(1)〜(8)の態様を含む。
(1)
(A)アルカリ可溶性樹脂と、
(B)光酸発生剤と、
(C)熱架橋剤と、
(D)熱可塑性樹脂と、
を含み、
前記(D)熱可塑性樹脂は、植物から抽出され得る化合物の変性体であり、分子内にフェノール性水酸基を有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
(2)
前記(D)熱可塑性樹脂は、ロジン樹脂またはテルペン樹脂の変性体である感光性樹脂組成物。
(3)
前記(D)熱可塑性樹脂は、ロジン樹脂またはテルペン樹脂とフェノール樹脂の共重合体または重縮合体である感光性樹脂組成物。
(4)
前記(D)熱可塑性樹脂の軟化点が140℃以上170℃以下である感光性樹脂組成物。
(5)
前記架橋剤(C)が、グリシジル基を有する化合物である感光性樹脂組成物。
(6)
前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、ノルボルネン系モノマーの単独重合体または共重合体である感光性樹脂組成物。
(7)
積層型半導体素子における半導体素子同士の接着に用いられる感光性樹脂組成物。
(8)
前記感光性樹脂組成物の硬化物を介して、半導体素子同士を積層してなる積層型半導体素子を備えた半導体装置。
本発明による感光性樹脂組成物は、耐熱性とパターニング性を確保しつつ半導体素子への接着性をも両立できるので、本発明の感光性樹脂組成物を用いると、信頼性に優れた積層型半導体素子やそれを用いた積層型半導体装置を得ることができる。
本発明の半導体装置の一例を示す断面図である。 図1に示す半導体装置を製造する方法を説明するための図である。 図1に示す半導体装置を製造する方法を説明するための図である。 図1に示す半導体装置を製造する方法を説明するための図である。 図1に示す半導体装置を製造する方法を説明するための図である。
以下、本発明の感光性樹脂組成物および半導体装置について、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<半導体装置>
まず、本発明の半導体装置の一例について説明する。
図1は、本発明の半導体装置の一例を示す断面図である。
図1に示す半導体装置10は、BGA(Ball Grid Array)型の半導体パッケージを有す
る一例であり、積層された複数の半導体チップ20(半導体素子)と、半導体チップ20同士を接着する接着層601と、半導体チップ20を支持するパッケージ基板30と、半導体チップ20とパッケージ基板30とを接着する接着層101と、半導体チップ20を封止するモールド部50と、パッケージ基板30の下方に設けられたハンダボール80と、を有している。以下、各部の構成について順次詳述する。
半導体チップ20は、いかなる種類の素子であってもよく、例えばNAND(Not AND)
フラッシュメモリー、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のようなメモリー素子
、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)のような集積回路
素子等が挙げられる。
半導体チップ20の構成材料としては、特に限定されないが、例えばシリコン、炭化ケイ素、化合物半導体等の単結晶材料、多結晶材料、アモルファス材料等が挙げられる。
複数の半導体チップ20は、その面内方向において互いに少しずつずれて積層されており、これによりチップ積層体200(積層型半導体素子)が構成されている。また、半導体チップ20同士の間は接着層601を介して接着されている。接着層601は、チップ積層体200の上面にも設けられている。また、接着層601は、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物で構成されている。なお、感光性樹脂組成物については後に詳述する。
図1に示すパッケージ基板30は、コア基板31と、絶縁層32と、ソルダーレジスト層33と、配線34と、導通ビア35と、を備えるビルドアップ基板である。
このうち、コア基板31は、パッケージ基板30を支持する基板であり、例えばガラスクロスに樹脂材料を充填した複合材料で構成されている。
また、絶縁層32は、配線34間や配線34と導通ビア35とを絶縁する層間絶縁層であり、例えば樹脂材料で構成されている。また、ソルダーレジスト層33は、パッケージ基板30の最表面に形成された配線を保護する表面保護層であり、例えば樹脂材料で構成されている。
また、配線34および導通ビア35は、それぞれ電気信号の伝送路であり、例えばAu、Ag、Cu、Al、Niの単体または合金といった金属材料で構成されている。
ハンダボール80は、配線34と電気的に接続されており、外部の電気回路に融着されることで、配線34を他の電気回路と接続するための電極として機能する。
複数の半導体チップ20を積層してなるチップ積層体200は、パッケージ基板30の上面に載置されている。チップ積層体200とパッケージ基板30との間は、接着層101により接着されている。
また、パッケージ基板30の配線34の一部は、パッケージ基板30の上面に露出しており、この露出部と各半導体チップ20の電極部とが、ボンディングワイヤー70により接続されている。
図1に示すモールド部50は、チップ積層体200の側面および上面を覆うとともに、パッケージ基板30の上面全体を覆うよう構成されている。これにより、外部環境からチップ積層体200を保護することができる。このようなモールド部50は、例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂等の各種樹脂材料で構成されている。
<感光性樹脂組成物>
次に、接着層601を構成する本発明の感光性樹脂組成物について説明する。
≪組成≫
感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂と、(B)光酸発生剤と、(C)熱架橋剤と、(D)熱可塑性樹脂とを含むことで、耐熱性とパターニング性を確保しつつ半導体素子への接着性をも両立でき、信頼性に優れた積層型半導体素子やそれを用いた積層型半導体装置を得ることができる。
以下、感光性樹脂組成物を構成する各材料について詳細に説明する。
<(A)アルカリ可溶性樹脂>
(A)アルカリ可溶性樹脂は、接着層601の基材となる材料である。また、感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂を含むことにより、接着層601の半導体チップ20に対する接着力(密着力)を高めることができる。そのため、接着層601により半導体チップ20同士をより強固に接着することができる。さらに、(A)アルカリ可溶性樹脂を含むことにより、塗膜601aがアルカリ現像液に対する可溶性を有するものとなるため、現像工程における環境負荷の低減を図ることができる。
(A)アルカリ可溶性樹脂としては、具体的には、例えば、環状オレフィン系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特に、環状オレフィン系樹脂であることが好ましい。環状オレフィン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂等が挙げられ、これらの中でも、ノルボルネン系樹脂であるのが好ましい。環状オレフィン系樹脂を含む感光性樹脂組成物を用いることで、半導体チップ20に対する接着力に特に優れた接着層601を得ることができる。特に、ノルボルネン系樹脂を含む感光性樹脂組成物を用いることにより、接着層601の半導体チップ20に対する接着力をさらに高めることができる。また、ノルボルネン系樹脂は、高い疎水性を有するため、ノルボルネン系樹脂を含む感光性樹脂組成物を用いることで吸水による寸法変化等を生じ難い接着層601を形成することができる。
また、(A)アルカリ可溶性樹脂が環状オレフィン系樹脂である場合、環状オレフィン系樹脂は、酸性基を有する繰り返し単位(第1の繰り返し単位)を少なくとも1つ有するものであるのが好ましい。
第1の繰り返し単位は、主骨格としての環状オレフィン(環状オレフィンモノマー)に由来する構造に、酸性基を有する置換基が結合したものである。
環状オレフィンに由来する構造としては、シクロヘキセン、シクロオクテン等の単環体、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、トリシクロペンタジエン、ジヒドロトリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン、ジヒドロテトラシクロペンタジエン等の多環体などに由来する構造が挙げられ、これらの中でも特に、ノルボルネンに由来する構造であるのが好ましい。ノルボルネンに由来する構造であることで、接着層601の半導体チップ20に対する接着力をより高めることができる。また、ノルボルネンに由来する構造を有する(A)アルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物は、耐熱性に優れ、また、硬化後の柔軟性にも優れているため好ましい。
酸性基を有する置換基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、−C(OH)−(CF、−N(H)−S(O)−CF等を有する置換基が挙げられ、これらの中でも特に、カルボキシル基、−C(OH)−(CFのいずれかを有する置換基であるのが好ましい。環状オレフィン系樹脂が、このような酸性基を有する置換基を含むことにより、感光性樹脂組成物のアルカリ現像液に対する可溶性を高めることができる。そのため、半導体装置の製造において、現像後の感光性樹脂組成物の溶け残りを低減することができ、現像時のパターンニング性をより高めることができる。
このようなことから、第1の繰り返し単位は、特に、下記式(1)および下記式(2)からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。このような構造の第1の繰り返し単位を含むことにより、接着層601の半導体チップ20に対する接着性をより高
くすることができる。また、感光性樹脂組成物のアルカリ現像液に対する可溶性をより高くすることができる。
上記式(1)および上記式(2)において、x、yは、それぞれ、0以上10以下の整数であるのが好ましく、1以上5以下の整数であることがより好ましい。これにより、半導体チップ20同士をより強固に接着することができる接着層601を得ることができる。
環状オレフィン系樹脂は、少なくとも1種の第1の繰り返し単位を有するものであればよいが、異なる2種以上の第1の繰り返し単位を有するものであるのが好ましく、上記式(1)および上記式(2)の双方の第1の繰り返し単位を有するものであるのがより好ましい。これにより、接着層601の半導体チップ20に対する接着性をさらに高くすることができるとともに、感光性樹脂組成物のアルカリ現像液に対する可溶性をさらに高くすることができる。
環状オレフィン系樹脂中における第1の繰り返し単位の含有率は、感光性樹脂組成物のアルカリ現像液に対する溶解性を考慮して最適値を決定することができるが、例えば、10〜80mol%であるのが好ましく、20〜70mol%であるのがより好ましい。第1の繰り返し単位の含有率が前記下限値未満であると、アルカリ現像液に対する可溶性を十分に発現させることが困難になる場合がある。第1の繰り返し単位の含有率が前記上限値を超えると、第1の繰り返し単位の種類によっては、環状オレフィン系樹脂のうちの第1の繰り返し単位以外の構成が備える特性が埋没してしまうおそれがある。
環状オレフィン系樹脂中における酸性基は、ポリマー1gあたり0.001〜0.01モルであるのが好ましい。0.0015〜0.006モルであるのがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物のアルカリ現像液に対する可溶性を特に高めることができる。
さらに、環状オレフィン系樹脂は、前述した第1の繰り返し単位とは異なる第2の繰り返し単位を有するものであるのが好ましい。
第2の繰り返し単位は、主骨格としての環状オレフィンに由来する構造に、前記第1の繰り返し単位が有する置換基とは異なる置換基が結合したものである。
第2の繰り返し単位の主骨格としては、前述した第1の繰り返し単位で挙げたものを用いることができ、これらの中でも特に、耐熱性や、硬化後の柔軟性等の観点から、ノルボル
ネンに由来する構造であるのが好ましい。また、第1および第2の繰り返し単位の主骨格は、それぞれ互いに異なるものであってもよいが、同じものであるのが好ましい。特に、第1および第2の繰り返し単位の主骨格は、ともにノルボルネンに由来する構造であることが好ましい。これにより、接着層601の半導体チップ20に対する接着力をより高めることができるとともに、接着層601の弾性率を適度に下げることができる。そのため、接着層601によって、半導体チップ20同士をより強固に接着することができるとともに、接着層601の柔軟性を適度に高めることで半導体チップ20同士の接合界面に発生する応力集中を緩和することができる。
第2の繰り返し単位が有する置換基としては、炭素数2〜30であるのが好ましく、炭素数が4〜15の直鎖状の置換基であるのがさらに好ましい。炭素数が前記範囲内のものであると、感光性樹脂組成物の硬化後の弾性率を下げ、接着層601の柔軟性を高めることができる。そのため、接着層601によって、半導体チップ20同士の接合界面での応力集中に伴う半導体チップ20や接着層601に生じるクラックや、半導体チップ20と接着層601との剥離をさらに抑制することができる。また、外部からの衝撃による半導体チップ20や接着層601の破損等の発生を抑制することができる。
また、第2の繰り返し単位は、環状構造、分岐状構造等であってもよいが、直鎖状構造であるのが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の硬化後の弾性率をより下げることができ、接着層601の柔軟性をより高めることができる。
炭素数が2〜30の直鎖状の置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルエーテル構造を有する基などが挙げられ、これらの中でも特に、アルキルエーテル構造を有する基であるのが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物は、硬化後の柔軟性により優れたものとなる。
アルキルエーテル構造を有する基としては、特に、下記式(3)で表される基であるのが好ましい。これにより、接着層601の柔軟性をより高めることができる。
上記式(3)において、zは、1以上10以下の整数であるのが好ましく、2以上6以下の整数であることがより好ましい。これにより、接着層601の柔軟性をさらに好適なものとすることができる。
このようなことから、第2の繰り返し単位は、特に、下記式(4)であるのが好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂が、前述した第1の繰り返し単位に加え、下記式(4)に示す第2の繰り返し単位を有することにより、第1の繰り返し単位によるアルカリ現像液に対する溶解性を十分に高めることができるという機能と、第2の繰り返し単位による感光性樹脂組成物の硬化後の弾性率を適度なものとする機能との両立を好適に図ることができる。
特に、上記式(4)において、zは、1以上10以下の整数であるのが好ましく、2以上5以下の整数であることがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の硬化後の弾性率をより好適なものとすることができる。
また、環状オレフィン系樹脂が第2の繰り返し単位を含む場合、環状オレフィン系樹脂中における第2の繰り返し単位の含有率は、例えば、20〜60mol%であるのが好ましく、25〜50mol%であるのがより好ましい。第2の繰り返し単位の含有率が前記下限値未満であると、第2の繰り返し単位の種類によっては、感光性樹脂組成物の硬化後の弾性率を所望の値に調整することが困難な場合がある。また、第2の繰り返し単位の含有率が前記上限値を超えると、第2の繰り返し単位の種類によっては、環状オレフィン系樹脂のうちの第2の繰り返し単位以外の構成が備える特性が埋没してしまうおそれがある。
以上のようなことから、環状オレフィン系樹脂としては、以下の式(5)で表されるものが好適である。感光性樹脂組成物は、式(5)で示す環状オレフィン系樹脂を含むことにより、接着層601に必要な機械的強度を備えつつ、より適度な柔軟性(応力緩和性)を有するものとなる。さらに、アルカリ現像液に対する特に優れた溶解性を発揮し、加えて、半導体チップ20に対する接着力に特に優れた接着層601を得ることができる。
上記式(5)においてl、m、nは、1以上の整数である。なお、前述したように、xは、0以上10以下の整数であるのが好ましく、yは、0以上10以下の整数であるのが好ましく、zは、1以上10以下の整数であるのが好ましい。
式(5)において、第1の繰り返し単位の重合度に対する、第2の繰り返し単位の重合度(すなわち、(l+m)/n)としては、0.3〜2.0であるのが好ましく、0.4〜1.5であるのがより好ましい。これにより、半導体チップ20同士の接合界面に発生する応力集中を特に緩和することができるとともに、半導体チップ20同士をより強固に接着することができる接着層601を得ることができる。
また、環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は5,000〜500,000であるのが好ましく、7,000〜200,000であるのがより好ましく、8,000〜100,000であるのがさらに好ましい。これにより、半導体チップ20に対する接着力に特に優れた接着層601を得ることができる。
なお、環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ASTMDS3536−91に準拠して、標準とする環状オレフィン系樹脂を用いて、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
また、環状オレフィン系樹脂は、そのガラス転移温度が100〜250℃のものが好ましい。このようなガラス転移温度の環状オレフィン系樹脂を用いることにより、感光性樹脂組成物の耐熱性がより高くなり、高温下での半導体装置10の信頼性をより高めることができる。
なお、環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度は、例えば示差走査熱量測定法により、常温から昇温速度5℃/分で昇温させたとき、発熱反応が生じる温度として求めることができる。
また、(A)アルカリ可溶性樹脂として、フェノール樹脂を加えてもよい。このとき、フェノール樹脂としてはフェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノールアラルキル、ビフェニルアラルキル型であるのが好ましい。
<(B)光酸発生剤>
(B)光酸発生剤は、エネルギー線照射による露光時の光反応で酸を生成し、アルカリ現像液に対する溶解性を増加させる機能を有する。これにより、半導体装置の製造において、感光性樹脂組成物(塗膜601a)のうちの露光された部分である露光部において、現像後に溶け残りが生じることをより低減することができる。このため、現像時のパターンニング性を向上させることができる。また、感光性樹脂組成物は、(B)光酸発生剤を含むことにより、半導体装置の製造において、エネルギー線照射によって後述する(C)エポキシ化合物による(A)アルカリ可溶性樹脂を架橋させる反応を促進することができる。
(B)光酸発生剤としては、具体的には、例えばオニウム塩、ハロゲン化有機化合物、キノンジアジド化合物、α,α−ビス(スルホニル)ジアゾメタン系化合物、α−カルボニル−α−スルホニル−ジアゾメタン系化合物、スルホン化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にキノンジアジド化合物を有するものであるのが好ましい。キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ベンゾキノンジアジドあるいは1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物等を挙げることができる。より具体的には、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸あるいは1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とフェノール化合物とのエステル化合物を含むことが好ましい。これらは、エネルギー線照射(特に、放射線照射)による露光時の光反応でカルボキシル基を生成するため、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性をより増加させることができる。このため、感光性樹脂組成物は、特に小さい露光量でもアルカリ現像液に対するより高い溶解性を発揮することができる。その結果、現像時のパターンニング性をより向上させることができる。
(B)光酸発生剤の含有量は、特に限定されないが、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であるのが好ましく、5〜30質量部であるのがより好ましい。(B)光酸発生剤の含有量が前記下限値未満であると、(B)光酸発生剤の種類等によっては、感光性樹脂組成物の露光、現像特性が低下する可能性がある。また、(B)光酸発生剤の含有量が前記上限値を超えても、それ以上の効果の増大は見込めず、(B)光酸発生剤の種類によっては、感光性樹脂組成物中における(B)光酸発生剤以外の材料が備える特性が埋没してしまうおそれがある。
<(C)熱架橋剤>
(C)熱架橋剤は、(A)アルカリ可溶性樹脂(特に、環状オレフィン系樹脂)を架橋す
る機能を有する。
(C)熱架橋剤としては、具体的には、例えば、アミン化合物、エポキシ化合物、メチロール化合物、オキセタン化合物といったものが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも特にエポキシ化合物が好ましい。また、分子中に芳香環を含む芳香族エポキシ化合物や、分子中に芳香環を含まない脂肪族エポキシ化合物のいずれであってもよいが、脂肪族エポキシ化合物であるのがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物中の(A)アルカリ可溶性樹脂の架橋密度を適度に下げることができ、接着層601の柔軟性を適度に高めることができる。
また、(C)熱架橋剤は、分枝状構造または直鎖状構造であるのが好ましく、分枝状構造であるのがより好ましい。感光性樹脂組成物が分枝状構造をなす(C)熱架橋剤を含むことで、感光性樹脂組成物中の(A)アルカリ可溶性樹脂の架橋密度を適度に下げることができ、接着層601の柔軟性を適度に高めることができる。これにより、接着層601は、必要な機械的強度を備えつつ、半導体チップ20同士の接合界面に発生する応力集中を緩和する応力緩和性により優れたものとなる。
また、(C)熱架橋剤は、分子内に2つ以上のグリシジル基を含有する化合物であるのが好ましく、分子内に3つ以上9つ以下のグリシジル基を含有する化合物であるのがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物中の(A)アルカリ可溶性樹脂の架橋密度を適度に下げることができ、必要な機械的強度を備えつつ応力緩和性により優れた接着層601を得ることができる。
このような(C)熱架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、EXA−830CRP、EXA−830VLP、EXA−835LV、EXA−850CRP(DIC株式会社製)、YD−8125G、YDF−8170G、ZX−1059、ZX−1542(
新日鉄住金化学株式会社製)、YL980、YL7410、YX7700、YED216D(三菱化学株式会社製)、EP−3300S、EP−3950L、EP−4000L、EP−4010L、EP−4088L(株式会社ADEKA製)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特に、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルであるのが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物中の(A)アルカリ可溶性樹脂の架橋反応を促進することができ、応力緩和性により優れた接着層601をより容易かつより確実に得ることができる。
(C)熱架橋剤の含有量は、特に限定されないが、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜100質量部であるのが好ましく、5〜50質量部であるのがより好ましい。(C)熱架橋剤の含有量が前記下限値未満であると、(C)熱架橋剤の種類等によっては、接着層601の応力緩和性が低下する可能性がある。一方、(C)熱架橋剤の含有量が前記上限値を超えると、感光性樹脂組成物の粘度が必要以上に高くなりすぎる場合がある。
<(D)熱可塑性樹脂>
本発明の(D)熱可塑性樹脂は、植物から抽出され得る化合物を含有する。植物から抽出され得る化合物とは、自然界に生息する植物中に存在する「やに状樹脂」のことであり、樹皮より分泌される樹液が揮発成分を失った後の不揮発性成分である。その一形態として、樹脂酸と呼ばれるカルボン酸とそのエステル体が存在し、樹脂酸はピマル酸やロジン酸
等が属する脂肪族(脂環式)カルボン酸系樹脂と、安息香酸やケイ皮酸などが属する芳香族カルボン酸系樹脂に分類される。また、別の形態として、蝋(ろう、ワックス)および油脂が存在し、アルコール、グリコール、グリセロール、エリトリトール等のアルコール性水酸基含有物質が長鎖脂肪酸とエステル結合したものが存在する。さらに、別の形態として、イソプレンを基本単位としたテルペン樹脂も含まれ、リモネンやファルネソール等のテルペン類や、それらにカルボニル基やヒドロキシル基等の官能基が結合したテルペノイドが存在する。テルペン樹脂の構造は多種多様で、環構造または複環構造を有するものも多数存在する。これらの植物から抽出され得る化合物は、分子内に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合(以下、オレフィン部とも言う)を有しており、このオレフィン部を反
応活性点として他の化合物と反応させることで、容易に一部または全部を変性させることができる。また、既に変性された化合物を製品として入手することもできる。本発明において、植物から抽出され得る化合物は、直接植物から抽出されたものに限定されず、人工的に合成されたものも含まれる。
本発明において、植物から抽出され得る化合物としては、上記のような種々の化合物が用いられるが、好ましい形態としてはロジン樹脂が挙げられ、ロジン樹脂とはロジン酸(アビエチン酸)を主成分とする樹脂である。また、もう一つの好ましい形態としてはテルペン樹脂が挙げられ、テルペン樹脂は2分子以上のイソプレンを基本単位とするテルペン類であれば限定されないが、例えば2分子のイソプレンから構成されるリモネンを主成分とする樹脂である。先述したように、本発明におけるロジン酸(アビエチン酸)またはリモネンを主成分とする樹脂は、直接植物から抽出したものでもよいし、石油化学的に公知の手法で人工的に合成されたものでもよい。ロジン樹脂およびテルペン樹脂は適度な粘着性を有しているので、感光性接着剤組成物に適度な接着性を付与する効果を奏する。
また、本発明の(D)熱可塑性樹脂は、分子内にフェノール性水酸基を有するものである。フェノール性水酸基を有する(D)熱可塑性樹脂を含むことにより、例えば、塗膜601aを備えたウエハー201を露光および現像によりパターニングする際に、塗膜601aがウエハー201から剥離することを抑制することができる。このように塗膜601aとウエハー201との密着力を高めることによって、最終的に、信頼性の高いチップ積層体200を得ることができる。さらに、フェノール性水酸基を有する(D)熱可塑性樹脂を含むことにより、例えば、塗膜601aを備えたウエハー201を露光および現像によりパターニングする際に、露光部における樹脂組成物のアルカリ溶解性が向上し、パターニング性が向上する。
ここで、本発明の(D)熱可塑性樹脂に含まれるフェノール性水酸基は、(D)熱可塑性樹脂中に含まれていれば特に限定されないが、好ましい形態としては、植物から抽出され得る化合物中に含まれるオレフィン部の一部または全部を、これと反応性を示すフェノール水酸基含有化合物で変性させたものであることが好ましい。フェノール水酸基含有化合物としては、一般的なフェノール樹脂が用いられ、例えばノボラック系フェノール樹脂、ポリヒドロキシスチレン系フェノール樹脂等が用いられる。植物から抽出され得る天然化合物とフェノール樹脂を共重合または重縮合させ、変性することで、(D)熱可塑性樹脂にパターニング性に加えて耐熱性も付与され、感光性樹脂組成物の加熱処理後における開口部の溶融耐性を高めることができる。
本発明における(D)熱可塑性樹脂として、例えば、ロジン樹脂、重合ロジン樹脂、重合ロジンエステル系樹脂、ロジンフェノール系樹脂、安定化ロジンエステル系樹脂、不均化ロジンエステル系樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール系樹脂等が挙げられるが、これらの中でも、ロジンフェノール系樹脂またはテルペンフェノール系樹脂がより好ましい。これにより、ロジンフェノール系樹脂またはテルペンフェノール系樹脂は、ロジン樹脂またはテルペン樹脂の粘着性により塗膜201aとウエハー201の密着性が向上する。
また、ロジンフェノール系樹脂またはテルペンフェノール系樹脂は、フェノール樹脂のアルカリ溶解性によるパターニング性も向上する。さらに、ロジンフェノール系樹脂またはテルペンフェノール系樹脂は熱架橋剤との架橋にも関与し、耐熱性が向上したことにより感光性樹脂組成物の加熱処理後における開口部の溶融耐性も向上する。
ここで、(D)熱可塑性樹脂の軟化点に関しては特に制限はないが、140℃以上170℃以下のものが特に好ましい。軟化点がこの範囲にあることで、感光性樹脂組成物の耐熱性と柔軟性が適度に最適化され、より良好なパターニング性を発現することができる。軟化点が低すぎると、加熱処理後における開口部の溶融耐性が不足しがちとなってしまい、軟化点が高すぎると、塗膜201aとウエハー201の密着性が不足しがちとなってしまう。
(D)熱可塑性樹脂の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、0.1〜30質量部であるのが好ましく、0.2〜20質量部であるのがより好ましい。(D)熱可塑性樹脂の含有量が前記下限値未満であると、アルカリ現像処理によってパターニングをした際に塗膜201aとウエハー201の間で剥離が生じてしまう可能性がある。(D)熱可塑性樹脂の含有量が前記上限値を超えても、それ以上の効果の増大は見込めず、(D)熱可塑性樹脂の種類によっては、接着層601とチップ20との接着性を著しく悪化させてしまうおそれがある。
以上のように、感光性樹脂組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂と、(B)光酸発生剤と、(C)熱架橋剤と、(D)熱可塑性樹脂とを含むことにより、半導体装置の製造において、例えば、ウエハー201上に塗布された塗膜601aをパターニングする際や、接着層601を介して半導体チップ20同士を圧着させた際に、塗膜601aとウエハー201および接着層601と半導体チップ20との剥離が生じにくくなる。このため、信頼性の高いチップ積層体200を得ることができる。また、接着層601は、1層構造であるにもかかわらず、十分な接着性に加え、応力緩和性を備えている。このため、半導体チップ20同士の間に、接着性に優れた層と、応力緩和性に優れた層との2層を設ける必要がなく、よって、チップ積層体200の全体の厚さが著しく厚くなるのを避けることができる。その結果、低背で、かつ、接着性および応力緩和性に優れた信頼性の高い半導体装置10を得ることができる。このような半導体装置10は、例えばモバイル機器のように内容積が極めて小さく、かつ、持ち運びながら使用される電子機器において特に有用なものとなる。すなわち、電子機器の小型化、薄型化、軽量化に寄与するとともに、電子機器を落としたり振り回したりした場合でも、半導体装置10の機能が損なわれ難いという点で有用である。
また、本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、フェノール化合物、レベリング剤、難燃剤、可塑剤、硬化促進剤および酸化防止剤等がさらに含まれていてもよい。
フェノール化合物としては、4−エチルレソルシノール、2−プロピルレソルシノール、4−ブチルレソルシノール、4−ヘキシルレソルシノール、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジヒドロキシジフェニルジスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノール、4,4’−(2−エチルヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−エチリデンビスフェノール、2,2’−エチレンジオキシジフェノール、3,3’−エチレンジオキシジフェノール、1,5−ビス(o−ヒドロキシフェノキシ)−3−オキサペンタン、ジフェノイック酸、Bis−Z(本州化学工業株式会社製)、Ph−RS−Z(本州化学工業株式会社製
)、4−(1,1−ジメチルプロピル)フェノール、4−シクロヘキシルフェノール、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、4’−ヒドロキシブチロフェノン、4’−ヒドロキシバレロフェノン、4’−ヒドロキシヘキサノフェノン、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、3−ヒドロキシ安息香酸メチル、3−ヒドロキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、4−ヒドロキシ安息香酸ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸イソブチル、4−ヒドロキシ安息香酸ヘキシル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、BisP−DED(本州化学工業株式会社製)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
このようなフェノール化合物を含むことにより、アルカリ現像液および有機溶剤に対する溶解性をより高めることができる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびチオエーテル系酸化防止剤が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤とアミン系酸化防止剤とを組み合わせて用いることが好ましい。
このような酸化防止剤を含むことにより、感光性樹脂組成物の硬化の際の酸化、およびその後のプロセス等における感光性樹脂組成物(塗膜601a)の酸化を抑えることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、ステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル−6−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1.3.5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−ト
リス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4−8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−ビス〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−メチルー6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチルー6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−(1−メチルシクロヘキシル)−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチルー6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス(2−(3−t−ブチルー4−ヒドロキシー5−メチルフェニルプロピオニロキシ)1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、4,4'−
チオビス(3−メチルー6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(3,5−ジーt−ブチルー4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、4,4’−チオビス(6−t−ブチルー2−メチルフェノール)、2,5−ジーt−ブチルヒドロキノン、2,5−ジーt−アミルヒドロキノン、2−t−ブチルー6−(3−t−ブチルー2−ヒドロキシー5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジメチルー6−(1−メチルシクロヘキシル、スチレネイティッドフェノール、2,4−ビス((オクチルチオ)メチル)−5−メチルフェノール、などが挙げられる。これらの中でも、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤が好ましい。
アミン系酸化防止剤としては、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、
4,4’−ジメトキシジフェニルアミン、4−イソポロキシジフェニルアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ジ(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等が挙げられ、これらの中でも、4,4’−ジメトキシジフェニルアミン、4−イソポロキシジフェニルアミン、4,4’−ジ(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系化合物が好ましい。
リン系酸化防止剤としては、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、テトラキス(2,4−ジーt−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ビス−(2,6−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ミックスドモノandジ−ノニルフェニルホスファイト)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシカルボニルエチル−フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−オクタデシルオキシカルボニルエチル−フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。これらの中では、ホスファイトおよびホスフェートが好ましい。
チオエーテル系酸化防止剤としては、ジラウリル-3,3’−チオジプロピオネート、ビ
ス(2−メチル−4−(3−n−ドデシル)チオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル)チオプロピオネートなどが挙げられる。
感光性樹脂組成物が酸化防止剤を含む場合、酸化防止剤の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、0.1〜50質量部であるのが好ましく、0.5〜30質量部であるのがより好ましい。
≪物性≫
次に、感光性樹脂組成物の物性(接着層601の物性)について詳細に説明する。
感光性樹脂組成物の硬化物、すなわち接着層601の弾性率は、25℃において2.0〜3.5GPaであるのが好ましい。また、感光性樹脂組成物の硬化前の状態の弾性率は、25℃において、硬化物の25℃における弾性率の70〜120%であるのが好ましい。また、エッチング処理およびアッシング処理に供された硬化前の状態における感光性樹脂組成物の半導体チップ20に対する接着力は、25℃において20.0〜200.0Nであるのが好ましい。
このような感光性樹脂組成物は硬化前の状態における弾性率が硬化後の弾性率に対して所定の範囲内に収まっていることにより、例えば硬化前の感光性樹脂組成物が著しく変形したり、流れ出したりするおそれが小さくなる。このため、半導体チップ20を積層する際の位置合わせの精度を高めることができる。さらに、硬化前後での弾性率の変化量が比較的小さいことから、感光に伴う収縮量も小さくすることができ、硬化収縮に伴って半導体チップ20との界面に発生する応力を低減することができる。かかる観点からも、チップ積層体200の信頼性向上に寄与する。
その一方、エッチング処理およびアッシング処理に供された硬化前の状態における感光性樹脂組成物は、半導体チップ20に対して、ダイボンディングにおいて必要とされる十分な密着力を有する。このため、半導体チップ20同士を接着する接着層601は、半導体チップ20同士をより強固に固定し、チップ積層体200の信頼性向上に寄与している。
以上のような条件を満たす感光性樹脂組成物によれば、十分な接着性と応力緩和性とを両立した接着層601を実現することがより容易である。換言すれば、接着層601は、それ1層でもってバッファーコート膜の素子保護機能(バッファーコート機能)とダイボンディングフィルムの接着機能(ダイボンディング機能)とを兼ね備えていることから、信頼性を低下させることなくチップ積層体200を形成可能にするとともに、2層を用いていた従来に比べてチップ積層体200の薄型化を図ることができる。また、チップ積層体200の薄型化に伴い、モールド部50の体積を減らしたり、ボンディングワイヤー70の短縮化を図ったりすることができるため、それによる軽量化、低コスト化にも寄与する。
また、感光性樹脂組成物の硬化物の弾性率(25℃)は、より好ましくは2.2〜3.2GPaとされ、さらに好ましくは2.4〜3.0GPaとされる。なお、硬化物の弾性率が前記下限値を下回ると、感光性樹脂組成物の組成によっては、接着層601の接着力が若干低下したり、モールド部50中にフィラーが含まれている場合にはそのフィラーが接着層601を貫通して半導体チップ20に悪影響を及ぼしたりするおそれがある。一方、硬化物の弾性率が前記上限値を上回ると、感光性樹脂組成物の組成によっては、接着層601の柔軟性が低下するため、応力緩和性が低下し、例えば半導体チップ20の積層に伴って生じた残留応力や半導体チップ20と接着層601との熱膨張差に伴う熱応力の局所集中を緩和することができず、半導体チップ20にクラックを生じさせるおそれがある。
なお、硬化物の弾性率は、例えば、超微小硬度計ENT−1000(株式会社エリオニクス製)を用いて、測定温度25℃、荷重2mN、保持時間1秒とし、バーコヴィッチ圧子(三角錐、対稜角115°)を用いて、ISO14577に準拠して測定することにより
求めることができる。
また、感光性樹脂組成物の硬化物の弾性率は、マウント工程後の塗膜601aの弾性率として求めることができる。
また、感光性樹脂組成物の硬化前の状態の弾性率(25℃)は、より好ましくは硬化物の25℃における弾性率の75〜115%とされ、さらに好ましくは80〜110%とされる。なお、硬化前の状態の弾性率が前記下限値を下回る場合、粘着性が大きくなるものの、感光性樹脂組成物の被膜が変形し易くなり、例えばこの被膜を介して半導体チップ20を仮配置した際に、その位置がずれ易くなったり、あるいは感光性樹脂組成物が流れ出したりするおそれがある。一方、硬化前の状態の弾性率が前記上限値を上回る場合、粘着性が低下し、半導体チップ20を仮配置し難くなるおそれがある。
なお、硬化前の状態の弾性率も、硬化物の弾性率と同様に測定することができる。
また、感光性樹脂組成物の硬化前の状態の弾性率は、処理工程後でかつマウント工程前の塗膜601aの弾性率として求めることができる。
一方、エッチング処理およびアッシング処理に供された硬化前の状態における感光性樹脂組成物の半導体チップ20に対する接着力(25℃)は、より好ましくは30〜180Nとされ、さらに好ましくは40〜160Nとされる。なお、接着力が前記下限値を下回る場合、接着層601と半導体チップ20との界面に気泡が入り込み易くなるおそれがある。一方、接着力が前記上限値を上回る場合、接着層601と半導体チップ20との界面に気泡が入り込んでしまった場合、それが抜け難くなるおそれがある。
なお、半導体チップ20に対する接着力は、エッチング処理およびアッシング処理に供された硬化前の状態における本発明の感光性樹脂組成物を介して半導体チップ20同士を接着した後、そのチップ積層体200について、万能型ボンドテスターDage4000(デイジ・ジャパン株式会社製)を用い、半導体チップ20の横(側面)からシェアツールで半導体チップを水平方向(半導体チップ20の面内方向)に押し、半導体チップ20間の接合面が破断されたときの強度(ダイシェア強度)として求められる。
また、エッチング処理およびアッシング処理に供された硬化前の状態における感光性樹脂組成物の半導体チップ20に対する接着力は、エッチング処理およびアッシング処理を施した処理工程後でかつマウント工程前の塗膜601aの半導体チップ20に対する接着力として求めることができる。
なお、上記エッチング処理とは、例えば、半導体チップ20の表面のパッシベーション膜を除去し、ボンディングワイヤー70を接続するためのパッドを露出させる処理であり、具体的には、ガスとしてフッ素化合物ガス(CF)とアルゴンガス(Ar)と酸素ガス(O)の混合ガスを用い、出力は2500W、時間は6分、CF流量/Ar流量/O流量は200sccm/200sccm/50sccmとする条件で行うエッチング処理が挙げられる。
また、上記アッシング処理とは、例えば、エッチング処理によって発生した処理残渣等を除去し、接着層601表面やパッド表面を清浄化する処理であり、具体的には、酸素ガス(O)を用い、出力は600W、時間は12分、O流量は200sccmとする条件で行うプラズマ処理が挙げられる。
なお、このようなエッチング処理およびアッシング処理は、有機材料の劣化を促進させる
ことがあるため、エッチング耐性およびアッシング耐性が低い接着層であるが場合、半導体チップ20同士を十分に接着することができないおそれがある。これに対し、感光性樹脂組成物を用いて形成された接着層601は、十分なエッチング耐性およびアッシング耐性を有しているため、このようなエッチング処理とアッシング処理とを経た後であっても、接着力の低下が抑えられ、その結果、前述したような接着力を発現する。したがって、このような感光性樹脂組成物は、接着プロセスでの各種処理において接着性の低下を考慮しなくても済むため、製造工程の簡略化、低コスト化を容易に図ることができるという点で有用である。
また、感光性樹脂組成物の弾性率は、処理工程の前後での変化が一定の範囲内に収まっていることが好ましい。換言すれば、処理工程に対する耐性(エッチング耐性およびアッシング耐性)に影響を及ぼすと考えられる加熱工程における加熱条件は、感光性樹脂組成物の弾性率が処理工程の前後での変化が一定の範囲内に収まるように、適宜設定されることが好ましい。
具体的には、感光性樹脂組成物の加熱工程後でかつ処理工程前における弾性率(25℃)をX[GPa]とし、処理工程後における弾性率(25℃)をY[GPa]としたとき、0.7≦X/Y≦1.5なる関係を満足するのが好ましく、0.8≦X/Y≦1.3なる関係を満足するのがより好ましい。処理工程前後での弾性率の変化が前記関係を満足することで、感光性樹脂組成物で構成された塗膜601aは、パターニングされた形状を保持するのに十分な機械的特性を有するとともに、半導体チップ20同士を接着するのに十分な接着性を有するものとなる。すなわち、処理工程は、エッチング処理やアッシング処理を伴うため、塗膜601aの劣化が進み易いものの、処理工程の前後で弾性率が前記関係を満足する場合には、その塗膜601aは、パターニングされた形状を十分に保持しつつ、マウント工程においては接着層601として十分に機能する。このため、処理工程の前後における弾性率の変化が前記関係を満足するとき、そのような感光性樹脂組成物で構成された塗膜601aは、エッチングマスクとしての機能と接着層601としての機能とを両立し得るものとなる。
なお、上記の規定における処理工程は、前述した処理条件を満足するエッチング処理とアッシング処理とを行うものである。
また、感光性樹脂組成物は、その硬化前の状態において、100〜200℃の範囲での最小溶融粘度が20〜500Pa・sであるのが好ましい。このような組成物は、半導体チップ20に対する濡れ性に優れているため、接着層601にはボイド等を発生させ難いものとなる。したがって、物性のバラツキが少ない均質な接着層601を形成することができるため、接着層601を介して半導体チップ20同士を接着した際、応力の局所集中を招き難く、半導体チップ20におけるクラックの発生や、半導体チップ20と接着層601との間の剥離の発生等をさらに抑制することができる。なお、感光性樹脂組成物の硬化前の溶融粘度は、レオメーターにより測定することができる。また、感光性樹脂組成物の硬化前の状態における溶融粘度は、処理工程後でかつマウント工程前の塗膜601aの溶融粘度として求めることができる。
なお、硬化前の最小溶融粘度は、より好ましくは25〜400Pa・sとされ、さらに好ましくは30〜300Pa・sとされる。
また、感光性樹脂組成物は、その硬化前の状態にあるとき、一定の粘着性を有している一方、それに対してUV照射処理を施すことにより、その粘着性を低減させることができる。したがって、かかる感光性樹脂組成物は、UV照射処理の有無によって、その粘着性を制御し得るものであると言える。
具体的には、感光性樹脂組成物は、硬化前の状態であって、かつ前述したエッチング処理およびアッシング処理に供された後の状態は、UV剥離タイプのバックグラインドフィルム90に対して、好ましくは25℃で3.0N/25mm以上の粘着力を発揮するものである。このような感光性樹脂組成物は、エッチング処理やアッシング処理といった有機材料の劣化を促進させるような処理に供された後でも、バックグラインドフィルム90に対して十分な粘着力を発現し得るものであるため、例えば感光性樹脂組成物の塗膜601aが形成されたウエハー201にバックグラインド処理を施すとき、ウエハー201を確実に固定することができ、バックグラインド処理の精度をより高めることができる。
なお、上記粘着力は、より好ましくは3.5N/25mm以上10.0N/25mm以下とされる。
また、前記粘着力は、感光性樹脂組成物の塗膜601aに対して粘着面が接するようにUV剥離タイプのバックグラインドフィルム90(幅25mm、長さ75mm)を貼り合わせ、測定温度を25℃とし、引き剥がし速度を10.0±0.2mm/sとした上で、剥離角が180°になるようにバックグラインドフィルム90の長手方向の一端を引っ張って、感光性樹脂組成物の塗膜601aからバックグラインドフィルム90を引き剥がすとき、引き剥がしに要した荷重の平均値(180°引き剥がし粘着力、単位:N/25mm、JIS Z 0237準拠)を測定することにより求めることができる。
一方、感光性樹脂組成物は、その硬化前の状態であって、かつUV照射処理に供された後の状態は、UV剥離タイプのバックグラインドフィルム90に対して、好ましくは50℃で0.5N/25mm以下の粘着力を発揮するものである。このような感光性樹脂組成物は、UV照射処理により、バックグラインドフィルム90に対する粘着力を十分に小さくすることができるので、例えば、感光性樹脂組成物の塗膜601aにバックグラインドフィルム90を貼り付けてバックグラインド処理を施した後、感光性樹脂組成物の塗膜601aからバックグラインドフィルム90を剥がす際、塗膜601aに大きな負荷を及ぼすことなくバックグラインドフィルム90を円滑に剥がすことができる。加えて、塗膜601aと半導体チップ20との密着性を損なうことなく、バックグラインドフィルム90を剥がすことができるので、例えばダイシング処理後、個片21、22をピックアップする際に、半導体チップ20の欠け等の不具合が発生するのを防止することができる。
また、上述したように塗膜601aの粘着力を小さくすることにより、例えばダイシング工程において感光性樹脂組成物がダイシングブレード110に付着したり、マウント工程において感光性樹脂組成物がコレット121に付着したりするのを抑制することができる。その結果、ダイシング不良やピックアップ不良が発生するのを抑えることができる。
なお、上記粘着力は、より好ましくは0.05N/25mm以上0.40N/25mm以下とされる。
また、上記UV照射処理は、波長が365nmの光を用い、積算光量が600mJ/cmとなるように照射する処理である。
また、上記の規定において用いられるUV剥離タイプのバックグラインドフィルム90は、アクリル系樹脂製のものである。
なお、感光性樹脂組成物の塗膜のUV照射処理に供された後の状態の、バックグラインドフィルム90に対する50℃での粘着力の測定は、前述したエッチング処理およびアッシング処理に供された後の状態の、バックグラインドフィルム90に対する25℃での粘着力の測定と同様の方法で行うことができる。
<半導体装置の製造方法>
次に、半導体装置10の製造方法について説明する。
図2〜5は、それぞれ図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図2〜5の上方を「上」といい、下方を「下」という。
半導体装置10の製造方法は、感光性樹脂組成物を含む液体をウエハー(半導体基板)上に塗布する塗布工程と、得られた塗膜を露光する露光工程と、現像により塗膜をパターニングする現像工程と、塗膜を加熱する加熱工程と、加熱された塗膜が設けられたウエハーにエッチング処理およびアッシング処理を施す処理工程と、ウエハーの裏面を研削するバックグラインド工程と、ウエハーをダイシングして複数の半導体チップに個片化するダイシング工程と、半導体チップをピックアップしてパッケージ基板上にマウントした後、別の半導体チップをピックアップして先にマウントした半導体チップ上に圧着するマウント工程と、を有する。以下、各工程について順次説明する。
[1]塗布工程
まず、半導体チップ20を切り出すためのウエハー201(図2(a)参照)を用意し、その上(一方の面側)に感光性樹脂組成物を含む液体を塗布する。これにより、図2(b)に示すように、ウエハー201上に塗膜601aが形成される。なお、ウエハー201には、あらかじめ複数の半導体チップ20が含まれるように、半導体回路や電極パッド等が形成されている。すなわち、ウエハー201は、半導体製造工程のいわゆる前工程に供されたものである。したがって、ウエハー201を後述する工程にて切断し、個片化することにより、複数の半導体チップ20を切り出すことができる。
塗布方法は、特に限定されないが、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ロールコーティング法、印刷法等が挙げられる。
必要に応じて、塗布した液体(液状被膜)を加熱して乾燥させるようにしてもよい。この場合、加熱温度は、70〜160℃であるのが好ましく、80〜150℃であるのがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて適宜設定されるものの、5秒〜30分であるのが好ましく、10秒〜15分であるのがより好ましい。
感光性樹脂組成物を含む液体は、本発明の感光性樹脂組成物にこれを溶解する溶媒等を適宜添加することにより調製される。また、用いる溶媒は、後述する工程において加熱された際、揮発除去可能なものであるのが好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、酢酸エチル、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシ−3−メチルーブタノール、3−メトキシブタノール、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特に、溶解性が高く、かつ揮散により除去し易い点より、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトンおよびシクロヘキサノンのいずれかを含む溶
媒が好ましく用いられる。
[2]露光工程
次いで、ウエハー201上に形成した塗膜601aに対し、所望の領域に露光処理を施す(図2(c)参照)。これにより、露光領域の塗膜601aにおいて光反応が生じ、潜在的にパターニングが施される(潜像が形成される)。
塗膜601aの所望の領域に露光処理を施すため、図2(c)に示すように、塗膜601aに接するように設けられたマスク4を用いることができる。
露光処理に用いられる光としては、様々な波長の電磁波や粒子線等が用いられ、例えばi線のような紫外線、可視光線、レーザー、X線、電子線等が用いられる。このうち、波長200〜700μm程度の紫外線または可視光線が好ましく用いられる。また、露光処理は、例えば空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、減圧雰囲気下において行うことができる。
この露光工程では、塗膜601aに接して設けられたマスク4に代えて、塗膜601aから離して設けられたマスクを用いるようにしてもよい。なお、X線や電子線のように指向性が高いものを用いた場合には、マスクの使用を省略することができる。
露光処理における露光量は、塗膜601aの厚さや感光性樹脂組成物の感度等に応じて適宜設定されるが、一例として30〜3000mJ/cm程度であるのが好ましい。
[3]現像工程
次いで、露光処理を施した塗膜601aに対し、現像処理を施す。これにより、露光部の塗膜601aが除去され、図2(d)に示すように、所望のパターニングが施される。このような現像処理により、例えば半導体チップ20にボンディングワイヤー70を接続するためのパッドを露出させたり、後述するダイシング工程において切断しろとなるダイシングライン上の塗膜601aを除去したりすることができる。
現像処理では、露光処理を施した塗膜601aに対して現像液を接触させる。これにより、露光部の塗膜601aが現像液に溶解し、除去される。これにより、塗膜601aに開口部601bが形成される。現像液としては、例えば、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の水酸化物、テトラアンモニウムヒドロキシドのようなアルカリ現像液、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような有機系現像液等が挙げられるが、特にアルカリ現像液が好ましく用いられる。アルカリ現像液は、環境に対する負荷が小さく、残渣が発生し難いという特徴を有する。
また、現像液の供給方法としては、例えば、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が挙げられる。
なお、本実施形態では、塗膜601aがいわゆるポジ型の感光性を有しているが、塗膜601aはいわゆるネガ型の感光性を有していてもよい。
[4]加熱工程
次いで、現像処理が施された塗膜601aを加熱する(図2(e)参照)。これにより、塗膜601aを構成する感光性樹脂組成物において所定の硬化反応が生じ、塗膜601aに適度な接着性が発現する。
塗膜601aの加熱温度は、特に限定されないが、80〜170℃であるのが好ましく、
120〜160℃であるのがより好ましい。一方、加熱時間は、加熱温度に応じて適宜設定されるものの、35〜120分であるのが好ましく、40〜100分であるのがより好ましい。これにより、塗膜601aの弾性率といった機械的特性が最適化されるとともに、塗膜601aに後述する処理工程におけるエッチング処理やアッシング処理に対する十分な耐性が付与される。
また、塗膜601aは、本発明の感光性樹脂組成物により形成されており、このような塗膜601aから形成された接着層601は、有機溶剤に対して比較的高い溶解性を示すものとなる。このため、例えばウエハー201に塗膜601aを成膜した後、この塗膜601aを除去する必要が生じた場合でも、残渣(残留物)の発生を抑制しつつ、塗膜601aを効率よく溶解させ、除去することができる。これにより、ウエハー201を無駄にすることなく、改めて接着プロセスに供する(リワークする)ことができ、工程歩留まりの改善を図ることができる。
[5]処理工程
次いで、加熱された塗膜601aが設けられたウエハー201に対し、エッチング処理を施す。これにより、開口部601bを備える塗膜601aがエッチングマスクとして機能し、ウエハー201の表面(上面)のうち、開口部601bに対応する領域に対して選択的にエッチング処理が施される。その結果、ウエハー201の表面にパッシベーション膜が形成されている場合、それを除去し、ボンディングワイヤー70を接続するためのパッドを露出させることができる。
エッチング処理としては、例えば、図3(f)に示すようにプラズマを供給することによってエッチングを施すプラズマエッチング(ドライエッチング)、各種ウエットエッチングといった処理等が挙げられる。このうち、プラズマエッチング処理を行う条件は、一般的に知られた条件で行うことができるが、例えば、フッ素化合物ガス(CF、CHF)、フッ素化合物ガス(CF、CHF)と酸素ガス(O)との混合物ガス、フッ素化合物ガス(CF、CHF)とアルゴンガス(Ar)との混合物ガスを用い、出力は200〜2000W、時間は0.2〜15分、ガス流量は50〜1000sccmとすることができる。
その後、必要に応じてアッシング処理を施す。これにより、エッチング処理によって発生した処理残渣等を除去し、塗膜601a表面やパッド表面を清浄化することができる。その結果、後述する接着層601の接着力を高めたり、パッドに対するボンディングワイヤー70の接合力を高めたりすることができる。
アッシング処理としては、例えば、プラズマ処理、薬剤を用いたウェット処理等が挙げられる。このうち、プラズマ処理を行う条件は、例えば、処理ガスとして酸素ガス(O)、酸素ガス(O)とアルゴンガス(Ar)との混合物ガス等を用い、出力は200〜2000W、処理時間は0.2〜15分、ガス流量は50〜1000sccmといった条件が挙げられる。
[6]バックグラインド工程
次いで、図3(g)に示すように、塗膜601a上にバックグラインドフィルム90を貼り付ける。バックグラインドフィルム90は、バックグラインド処理の際にウエハー201を支持し、ウエハー201に欠けや割れ等の不具合が発生するのを抑制する。
次いで、ウエハー201の裏面(他方の面側)を研削する(バックグラインド処理)。これにより、図3(h)の破線部分が除去され、ウエハー201の厚さを薄くすることができる。この研削の結果、ウエハー201の厚さは、元の厚さによって異なるものの20〜
100μm程度にまで薄くされる。
この研削には、例えばバックグラインディングホイールと呼ばれる装置が用いられる。
なお、本発明の感光性樹脂組成物により得られた塗膜601aは、半導体チップ20との間で十分な接着力を発現する接着層601を切り出すことができる。それに加えて、本発明の感光性樹脂組成物により得られた塗膜601aは、バックグラインドフィルム90に対しても十分な接着力を発現する。したがって、塗膜601a上にバックグラインドフィルム90を貼り付けることにより、バックグラインドフィルム90は、塗膜601aおよびウエハー201を確実に支持することができ、上述したバックグラインド処理を高精度に行うことができる。このため、厚さのバラツキが小さく、積層したときに傾き等が発生し難い半導体チップ20を実現することができる。
また、本実施形態の場合、バックグラインド工程に供されるウエハー201に対して塗膜601aを成膜し、その状態でバックグラインド処理を行っている。前述したように、塗膜601aは、半導体チップ20同士を確実に接着し得る機械的特性を備えている。したがって、塗膜601aは、ウエハー201とバックグラインドフィルム90との間に介在するだけでなく、ウエハー201を機械的に支持する機能も併せ持つ。しかも、塗膜601aは、液相状態でウエハー201に成膜された後、硬化されてなるものであるため、ウエハー201との密着性が良好である。よって、塗膜601aが成膜された状態でウエハー201にバックグラインド処理を施すことにより、より均一な処理が可能になる。
[7]ダイシング工程
次いで、ウエハー201にダイシング処理を施す。これにより、ウエハー201が複数の半導体チップ20に切り分けられ、個片化される。
ダイシング処理の際には、ウエハー201をダイシング・ダイアタッチフィルムあるいはダイシングフィルムに貼り付けた状態で行う。このダイシング・ダイアタッチフィルムあるいはダイシングフィルムは、ダイシング処理の際にウエハー201を固定するものである。
図3(i1)および図3(i2)は、それぞれバックグラインド工程において研削されたウエハー201の裏面側にダイシングフィルム100aを貼り付けた例を示す図である。なお、図3(i1)は、チップ積層体200の最下層(パッケージ基板30に最も近い層)に用いられる半導体チップ20を切り出すためのウエハー201等を図示したものであり、一方、図3(i2)は、チップ積層体200の最下層以外に用いられる半導体チップ20を切り出すためのウエハー201等を図示したものである。
図3(i1)では、ウエハー201の裏面にダイシングフィルム100aとダイアタッチフィルム100bとの積層体であるダイシング・ダイアタッチフィルム100が貼り付けられており、一方、図3(i2)では、ウエハー201の裏面にダイシングフィルム100aが貼り付けられている。
次いで、図4(j1)および図4(j2)に示すように、塗膜601aからバックグラインドフィルム90を剥がす。
次いで、塗膜601aが設けられたウエハー201に対してダイシング処理を施す。ダイシング処理では、図4(k1)および図4(k2)に示すように、ダイシングブレード110がダイシングフィルム100aに達するように行う。その結果、塗膜601a、ウエハー201およびダイアタッチフィルム100bが個片化され、図4(k1)に示すように、接着層601、半導体チップ20(第1半導体素子)および接着層101が積層して
なる個片21が切り出される。同様に、塗膜601aおよびウエハー201が個片化され、図4(k2)に示すように、接着層601および半導体チップ20(第2半導体素子)が積層してなる個片22が切り出される。
なお、本実施形態では、複数の半導体チップ20を含むように構成されているウエハー201にダイシング処理を施して複数の半導体チップ20を切り出す場合について説明しているが、このような場合に限定されるものではなく、例えば、あらかじめ個片化されている複数の半導体チップ20を用いてもよい。あらかじめ個片化されている複数の半導体チップ20を用いる場合、ダイシング工程を省略することができる。また、ウエハー201や半導体チップ20が当初から薄い場合には、バックグラインド工程を省略することができる。
また、バックグラインド工程とダイシング工程の工程順序は、上述した順序に限定されず、反対であってもよい。すなわち、ウエハー201にダイシング処理を施した後、バックグラインド処理を施すようにしてもよい。
[8]マウント工程
図4(L1)および図4(L2)は、それぞれ切り出された個片21および個片22をボンディング装置120のコレット121でピックアップする例を示す図である。
まず、個片21をボンディング装置120のコレット121でピックアップし、パッケージ基板30上に圧着(マウント)する。この際、半導体チップ20の裏面とパッケージ基板30との間は、図5(a)に示すように接着層101を介して接着される。なお、この接着層101は、ダイアタッチフィルム100bの個片以外に、例えば本発明の感光性樹脂組成物の硬化物で構成されたものであってもよい。
続いて、先にマウントした個片21上に、個片22を圧着する。これにより、図5(b)に示すように、接着層601を介して2枚の半導体チップ20を積層することができる。その後、この工程を繰り返すことにより、図5(c)に示すように、多数の半導体チップ20を積層してなるチップ積層体200が得られる。このとき、半導体チップ20の位置を相互にずらしながら積層することで、ボンディングワイヤー70を接続する領域(塗膜601aの開口部601bに対応する領域)を確保することができる。
また、半導体チップ20をマウントする際には、接着層601を加熱しながら行うようにする。これにより、接着層601に十分な接着力が発現し、半導体チップ20同士を強固に接着することができる。この場合の加熱温度は、30〜150℃程度であるのが好ましい。また、マウント時の圧着荷重は0.1〜100N程度、圧着時間は0.1〜10秒程度であるのが好ましい。
その後、各半導体チップ20の電極部とパッケージ基板30の配線34の露出部との間を、図5(d)に示すように、ボンディングワイヤー70により接続する。
そして、チップ積層体200を覆うようにモールド部50を成形することによって、図1に示す半導体装置10が得られる。
モールド部50の成形には、例えばトランスファー成形機を用い、封止材料を成形型内に注入することにより行うことができる。その場合、成形型の温度を130〜250℃程度、注入圧力を3〜10MPa程度、注入後の保持時間を10秒〜10分程度であるのが好ましい。
離型後、必要に応じて成形体を加熱することにより、モールド部50および接着層601を最終硬化させることができる。その場合の加熱温度は130〜250℃程度であるのが好ましく、加熱時間は10分〜10時間程度であるのが好ましい。
以上、本発明について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、感光性樹脂組成物には任意の成分が添加されていてもよい。また、半導体装置には任意の構造体が付加されていてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
[1](A)アルカリ可溶性樹脂A−1(環状オレフィン系樹脂A−1)の合成
複数のガラス機器を用意し、これらを60℃、0.1トル(Torr)下で18時間乾燥した。その後、全てのガラス機器をグローボックス内に備え付けた。
次に、1つのガラス機器(ガラス機器X)にトルエン(992g)、ジメトキシエタン(116g)、1,1−ビストリフルオロメチル−2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−イル)エチルアルコール(以下、HFANB)(148g、0.54mol)、エチル 3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)プロパネート(以下、EPEsNB)(20.7g、0.107mol)、5−((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(以下、NBTON)(61.9g、0.274mol)を仕込んだ。その後、これら仕込んだモノマーを45℃で加熱しながら30分間窒素を流すことによりパージを行った。
また、別のガラス機器(ガラス機器Y)で、EPEsNB(14.2g、0.073mol)とNBTON(46.7g、0.159mol)とを混合し、窒素パージした。完全に窒素パージが終わった後、60.5mlのトルエンに溶解させたビス(トルエン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル(5.82g、0.012mol)をガラス機器Y内に投入した。同時に、前述したガラス機器X内で混ぜ合わせたモノマーを重合のために一定のレベルに保つような速度で、3時間かけて、ガラス機器Y内に添加し、反応溶液を得た。
次に、反応溶液を約1Lのメタノール/THF(=4モル/5モル)溶液に溶解させることにより、未反応モノマーを取り除いた後、60℃で4時間、水酸化ナトリウム/酢酸ナトリウム(=4.8モル/1モル)の水酸化ナトリウム溶液によってエステルを加水分解した。その後、メタノール(405g)、THF(87g)、酢酸(67g)、ギ酸(67g)、脱イオン水(21g)を加えて、50℃、15分間攪拌した。攪拌を止めると溶液は水層と有機層に分離するため、上の層の水層を取り除き、有機層を60℃、15分間、メタノール/脱イオン水(=390g/2376g)溶液で3回洗浄した。そして、得られたポリマーを溶媒中に希釈し、溶媒置換した。このようにして、式(5)で示すポリマー(環状オレフィン系樹脂A−1)を得た。
環状オレフィン系樹脂A−1の収率は93.1%であった。環状オレフィン系樹脂A−1の重量平均分子量(Mw)は85,900であった。環状オレフィン系樹脂A−1の分子量分散(PD)は2.52であった。
また、環状オレフィン系樹脂A−1の組成は、H−NMRにおいて、HFANBが45.0モル%、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−イル)プロピオン酸(以下、EPENB)が15.0モル%、NBTONが40.0モル%であった。

(式(6)中、l:m:n=45:15:40である。)
[2]感光性樹脂組成物の作製
前記[1]にて得られた(A)アルカリ可溶性樹脂としての環状オレフィン系樹脂A−1(27.0質量部)と、(B)光酸発生剤としての光酸発生剤B−1(4.0質量部)と、(C)熱架橋剤としての熱架橋剤C−1(5.0質量部)と、(D)熱可塑性樹脂D−1(0.5質量部)と、溶解助剤としてフェノール化合物E−1(3.0質量部)と、酸化防止剤F−1(2質量部)と、溶媒(溶剤)としてのプロピレングリコールモノメチルエーテル(54質量部)とを混合し、均一な感光性樹脂組成物を得た。
この実施例1の感光性樹脂組成物で用いた材料を以下に示す。
〈光酸発生剤B−1〉
光酸発生剤B−1として、下記式(6)で表される化合物を用意した。
〈熱架橋剤C−1〉
熱架橋剤C−1として、下記式(8)で表される化合物を用意した。
〈熱可塑性樹脂D−1〉
熱可塑性樹脂D−1として、テルペンフェノール樹脂(YSポリスターT160:ヤスハラケミカル株式会社、軟化点:160℃±5℃)を用意した。
〈フェノール化合物〉
フェノール化合物として、下記式(9)で表される化合物(2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン)を用意した。
〈酸化防止剤〉
酸化防止剤として、下記式(10)で表される化合物(4,4’−ジ(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン)を用意した。
(実施例2〜8、比較例1〜2)
感光性樹脂組成物を構成する材料を表1に示すものに変更し、その各材料を表1に示す含有量とした以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得た。
なお、各実施例および比較例の感光性樹脂組成物で用いた材料を以下に示す。
〈アルカリ可溶性樹脂A−2(フェノール樹脂A−2)〉
攪拌装置、温度計、熱交換器を備えた3Lの4口フラスコに、m−クレゾールとp−クレゾールとを、モル比(m−クレゾール:p−クレゾール)=4:6の割合で混合したフェノール類1000部に対し、37%ホルマリン水溶液470部、シュウ酸5部を仕込み、還流下で4時間反応を行なった。この後、内温170℃まで常圧下で脱水し、さらに9.3×103Paの減圧下で200℃まで脱水・脱モノマーを行い、重量平均分子量62
00の下記式(11)で表されるフェノール樹脂A−2を得た。
〈熱可塑性樹脂D−2〉
熱可塑性樹脂D−2として、ロジンフェノール樹脂(ハリフェノールP660:ハリマ化成株式会社、軟化点:145℃±5℃)を用意した。
〈熱可塑性樹脂D−3〉
熱可塑性樹脂D−3として、テルペンフェノール樹脂(YSポリスターT30:ヤスハラケミカル株式会社、軟化点:30℃±5℃)を用意した。
〈熱可塑性樹脂D−4〉
熱可塑性樹脂D−4として、ロジンフェノール樹脂(ハリフェノールS420:ハリマ化成株式会社、軟化点:179℃±5℃)を用意した。
〈熱可塑性樹脂D−5〉
熱可塑性樹脂D−5として、水添テルペンフェノール樹脂(YSポリスターU115:ヤ
スハラケミカル株式会社、軟化点:115℃±5℃)を用意した。これは、テルペンフェノール樹脂を水素化し、フェノール性水酸基をアルコール性水酸基としたものである。
[3]評価用テストピースの作製
まず、感光性接着剤組成物をシリコン製の半導体チップ上に塗布し、120℃、5分間のプリベークを行った。これにより、塗膜を得た。次いで、得られた塗膜に対し、150℃、40分間の加熱処理を行った。次いで、加熱処理を施した塗膜に対し、エッチング処理およびアッシング処理を順次施した。エッチング処理は、フッ素化合物ガス(CF)とアルゴンガス(Ar)と酸素ガス(O)の混合ガスを用い、出力は2500W、時間は6分、CF流量/Ar流量/O流量は200sccm/200sccm/50sccmで行い、アッシング処理は、OとArの混合ガスを用い、出力は600W、時間は12分、O流量は200sccmで行った。次いで、塗膜を介して別の半導体チップあるいはガラスチップを重ね、温度150℃で加熱しつつ、5秒間、荷重10Nで圧着した。このようにして、2つの半導体チップあるいは半導体チップとガラスチップが接着層を介して接着された評価用テストピースを作製した。
[4]感光性接着剤組成物および評価用テストピースの評価
[4.1]現像時下地密着性の評価
まず、各実施例および各比較例で使用した感光性接着剤組成物をシリコン製の半導体チップ上に塗布し、120℃、5分間のプリベークを行った。これにより、厚さ10μmの塗膜を得た。次いで、得られた塗膜に対し、幅100μmのライン・アンド・スペースパターンのマスクを介して、露光処理を施した。なお、この露光処理は、波長が365nmで光強度が5mW/cmである光を、塗膜ごとに時間を変えながら空気中で照射することにより行った。次いで、露光処理を施した塗膜に対し、アルカリ現像液(2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)で、23℃、40秒現像した後、純水で20秒リンスした。現像後の塗膜(接着層)の100μmの開口部を光学顕微鏡にて観察し、パターン剥がれの程度を下記評価基準に基づいて行った。
<評価基準>
◎ :パターン剥がれ無し。
〇 :パターン剥がれが30%未満。
△ :パターン剥がれが30%以上50%未満。
× :パターン剥がれが50%以上。
[4.2]パターニング性の評価
まず、各実施例および各比較例で使用した感光性接着剤組成物をシリコン製の半導体チップ上に塗布し、120℃、5分間のプリベークを行った。これにより、厚さ10μmの塗膜を得た。次いで、得られた塗膜に対し、幅100μmのライン・アンド・スペースパターンのマスクを介して、露光処理を施した。なお、この露光処理は、波長が365nmで光強度が5mW/cmである光を、塗膜ごとに時間を変えながら空気中で照射することにより行った。次いで、露光処理を施した塗膜に対し、アルカリ現像液(2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)で、23℃、40秒現像した後、純水で20秒リンスした。現像後の塗膜(接着層)の100μmの開口部を光学顕微鏡にて観察し、以下のようにして定義される未露光部の残膜率が90%以上であって、かつ、露光部の残膜率が0%となるときの最小の露光量(単位:mJ/cm)を求め、下記の評価基準に基づき、パターニング性の評価を行なった
残膜率=100×未露光部の現像後の膜厚/プリベーク後の膜厚
<評価基準>
◎ :最小露光量が300mJ/cm未満。
〇 :最小露光量が300mJ/cm以上450mJ/cm未満。
△ :最小露光量が450mJ/cm以上600mJ/cm未満。
× :最小露光量が600mJ/cm以上。
[4.3]接着性の評価
得られた半導体チップとガラスチップが接着された評価用テストピースについて、光学顕微鏡を用いて、ガラスチップの上面からボイドを観察し、ボイドの占有率を算出し以下の評価基準に基づいて評価した。
ボイドの占有率=100×ボイドの面積/ガラスチップの面積
<評価基準>
◎ :接着性が非常に高い。(ボイドの占有率が20%未満)
〇 :接着性が高い。(ボイドの占有率が20%以上50%未満)
△ :接着性が低い。(ボイドの占有率が50%以上70%未満)
× :接着性が非常に低い。(ボイドの占有率が70%以上)
[4.4]溶融耐性の評価
まず、各実施例および比較例で使用した感光性接着剤組成物を、シリコン製の半導体チップ上に塗布し、120℃、5分間のプリベークを行った。これにより、厚さ10μmの塗膜を得た。次いで、得られた塗膜に対し、幅100μmのライン・アンド・スペースパターンのマスクを介して、露光処理を施した。なお、この露光処理は、波長が365nmで光強度が5mW/cmである光を、塗膜ごとに時間を変えながら空気中で照射することにより行った。次いで、露光処理を施した塗膜に対し、現像処理を施した。次いで、現像処理を施した塗膜に対し、150℃、40分間の加熱処理を行った。次いで、加熱処理後の塗膜(接着層)の100μmの開口部の断面図を走査型電子顕微鏡にて観察し、溶融耐性の程度を下記評価基準に基づき行った。
<評価基準>
◎ :溶融耐性が非常に高い。(テーパー角が80度以上90度未満)
〇 :溶融耐性が高い。(テーパー角が70度以上80度未満)
△ :溶融耐性が低い。(テーパー角が60度以上70度未満)
× :溶融耐性が非常に低い。(テーパー角が60度未満)
表1から明らかなように、各実施例の感光性樹脂組成物および評価用テストピースでは、ウエハーと塗膜との間に十分な密着力があることが認められた。また、各実施例で用いた塗膜は、現像後の露光部の残膜率が0%になる最小露光量も小さく、パターニング性が良好であった。さらに、各実施例の評価用テストピースは、塗膜(接着層)と半導体チップとの接着性も良好であり、溶融耐性も高いことが認められた。すなわち、感光性樹脂組成物に(D)熱可塑性樹脂としてロジンフェノール樹脂あるいはテルペンフェノール樹脂を
含む(フェノール性水酸基をもつ)ものは、耐熱性とパターニング性を確保しつつ、接着性も良好であることがわかる。一方、感光性樹脂組成物に(D)熱可塑性樹脂として水添
テルペンフェノール樹脂を含む(フェノール性水酸基をもたない)ものは、耐熱性、パターニング性および接着性を両立することができなかった。
4 マスク
10 半導体装置
20 半導体チップ
21 個片
22 個片
30 パッケージ基板
31 コア基板
32 絶縁層
33 ソルダーレジスト層
34 配線
35 導通ビア
50 モールド部
70 ボンディングワイヤー
80 ハンダボール
90 バックグラインドフィルム
100 ダイシング・ダイアタッチフィルム
100a ダイシングフィルム
100b ダイアタッチフィルム
101 接着層
110 ダイシングブレード
120 ボンディング装置
121 コレット
200 チップ積層体
201 ウエハー
601 接着層
601a 塗膜
601b 開口部

Claims (8)

  1. (A)アルカリ可溶性樹脂と、
    (B)光酸発生剤と、
    (C)熱架橋剤と、
    (D)熱可塑性樹脂と、
    を含み、
    前記(D)熱可塑性樹脂は、植物から抽出され得る化合物の変性体であり、分子内にフェノール性水酸基を有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. 前記(D)熱可塑性樹脂は、ロジン樹脂またはテルペン樹脂の変性体である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(D)熱可塑性樹脂は、ロジン樹脂またはテルペン樹脂とフェノール樹脂の共重合体または重縮合体である請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(D)熱可塑性樹脂の軟化点が140℃以上170℃以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記架橋剤(C)が、グリシジル基を有する化合物である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、ノルボルネン系モノマーの単独重合体または共重合体である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 積層型半導体素子における半導体素子同士の接着に用いられる請求項1乃至6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物を介して、半導体素子が積層された積層型半導体素子を備える半導体装置。
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