JP2018172603A - 樹脂組成物及びその製造方法、プリプレグ、並びに成型体 - Google Patents
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Abstract
【課題】強化繊維基材に含浸させる際にコアシェル粒子が局在化するのを抑制することが可能な樹脂組成物及びその製造方法、プリプレグ、並びに90°曲げ強度に優れる成形体を提供する。【解決手段】エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、ビニル重合体粒子(C)とを含む樹脂組成物(R)であって、ビニル重合体粒子(C)は、アクリル樹脂からなるコア層及びシェル層を有するコアシェル粒子であり、樹脂組成物(R)中におけるビニル重合体粒子(C)の含有量が、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して2質量部以上30質量部以下であり、ビニル重合体粒子(C)の一次粒子の平均粒子径が0.5μm以上1.0μm以下であり、樹脂組成物(R)の30℃における粘度が、3.0×101Pa・s以上5.0×103Pa・s以下であり、樹脂組成物(R)中におけるビニル重合体粒子(C)の二次粒子の最大粒子径が3μm以下である。【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂組成物及びその製造方法、プリプレグ、並びに成型体に関する。
強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化複合材料は、軽量で優れた機械特性を有する。そのため、航空機、車両、船舶、建造物等の構造材料、ゴルフシャフト、釣竿、テニスラケット等のスポーツ用具に広く用いられている。
繊維強化複合材料の製造には、各種の方法が用いられる。その中でも、強化繊維基材にマトリックス樹脂組成物を含浸させたシート状、テープ状、あるいは紐状の中間基材であるプリプレグを用いる方法が広く用いられている。この方法では、プリプレグを複数枚積層させた後、加熱して硬化することにより繊維強化複合材料(以下、「成型体」と称することがある)を得る。
プリプレグに用いられるマトリックス樹脂組成物には、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が用いられるが、多くの場合、熱硬化性樹脂組成物が用いられる。
プリプレグを使用して繊維強化複合材料を製造する場合、「樹脂フロー量」がしばしば問題となる。すなわち、強化繊維基材(以下、単に「基材」と称することがある)にマトリックス樹脂組成物を十分に含浸させるべく、マトリックス樹脂組成物の粘度を低下させると、得られたプリプレグを成型する際の加熱・加圧工程に、マトリックス樹脂組成物が過度に流出してしまい、得られる成型体に外観不良が生じる場合がある。また、強化繊維が蛇行することによって物性が低下する等の悪影響を及ぼす場合がある。一方、樹脂フロー量を適正に制御するべく、マトリックス樹脂組成物の粘度を増加させると、基材への含浸性や、得られるプリプレグのドレープ性が低下する傾向がある。
このような問題に対し、特許文献1においては、マトリックス樹脂と、硬化剤と、コア層及びシェル層のいずれもがアクリル樹脂からなるコアシェル粒子とを含む樹脂組成物が提案されている。特許文献1に記載の技術によれば、強化繊維基材へのマトリックス樹脂組成物の良好な含浸性、得られるプリプレグの高いドレープ性、及び成型時の適度なフロー量の全てが得られるとされる。
しかしながら、特許文献1に記載された樹脂組成物は、そのマトリックス樹脂組成物に含まれるコアシェル粒子が凝集するため、強化繊維基材に樹脂組成物を含浸させる際に、凝集したコアシェル粒子が強化繊維基材に濾別され、表面に局在化する。このため、特許文献1の樹脂組成物を強化繊維基材に含侵させてプリプレグを調製し、このプリプレグを用いて成形体を製造した場合には、局在化したコアシェル粒子の界面に応力が集中するため、機械的特性が低下するという問題が生じる。特に、成形体の繊維と直行方向(90°方向)で行う曲げ試験においては、主として樹脂が荷重を担うため、強化繊維の表面にコアシェル粒子が局在化したプリプレグから得た成形体は、90°曲げ強度が低下しやすいという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、強化繊維基材に含浸させる際にコアシェル粒子が局在化するのを抑制することが可能な樹脂組成物及びその製造方法、該樹脂組成物が強化繊維基材に含浸されてなるプリプレグ、並びに、該プリプレグによって製造される成形体を提供することを目的とする。
本発明者等が上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、樹脂組成物中において、コアシェル粒子の二次粒子を解砕し、且つ、二次粒子の粒子径を可能な限り小径化して、二次粒子を実質的に含まない状態を実現することで、上記のような、強化繊維基材への含浸時に局在化が生じるのを抑制できることを知見した。そして、この樹脂組成物を用いて得られたプリプレグから成形体を製造することで、90°曲げ強度に優れた成形体が得られることを見出し、以下の発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の態様を有する。
[1] エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、ビニル重合体粒子(C)とを含む樹脂組成物(R)であって、前記ビニル重合体粒子(C)は、アクリル樹脂からなるコア層及びシェル層を有するコアシェル粒子であり、前記樹脂組成物(R)中における前記ビニル重合体粒子(C)の含有量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して2質量部以上30質量部以下であり、前記ビニル重合体粒子(C)の一次粒子の平均粒子径が0.5μm以上1.0μm以下であり、前記樹脂組成物(R)の30℃における粘度が、3.0×101Pa・s以上5.0×103Pa・s以下であり、前記樹脂組成物(R)中における前記ビニル重合体粒子(C)の二次粒子の最大粒子径が3μm以下である、樹脂組成物(R)。
[2] 前記ビニル重合体粒子(C)における、前記シェル層のガラス転移温度が85℃以上115℃以下であり、前記シェル層の溶解度パラメーターが20.00[(J/cm3)1/2]以上21.50[(J/cm3)1/2]以下であり、前記シェル層と前記コア層の質量比(シェル層:コア層)が、50:50〜10:90である、上記[1]に記載の樹脂組成物(R)。
[3] 前記ビニル重合体粒子(C)が、組成の異なる少なくとも2種類のビニル単量体混合物を2段階以上で乳化重合することでビニル重合体を含むエマルションを調整し、該ビニル重合体を含むエマルションを噴霧乾燥して得られる粒子である、上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物(R)。
[4] 前記組成の異なる少なくとも2以上のビニル単量体混合物が、いずれも、官能基を有することのできる(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸からなる群より選択される、少なくとも1つのビニル単量体を含む混合物である、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の樹脂組成物(R)。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の樹脂組成物(R)を製造する方法であって、30℃における粘度が1.0×102Pa・s以上1.0×104Pa・s以下であるエポキシ樹脂(A)の一部を分け取り、これに、アクリル樹脂からなるコア層及びシェル層を有したコアシェル粒子であるビニル重合体粒子(C)を混合して混合物(X)を得る工程(I)と、前記混合物(X)中に含まれる前記ビニル重合体粒子(C)の二次粒子を解砕する工程(II)と、前記混合物(X)中に、前記エポキシ樹脂(A)の残部、及び、硬化剤(B)を添加して混合する工程(III)と、を含む、樹脂組成物(R)の製造方法。
[6] 上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の樹脂組成物(R)と、強化繊維基材とからなるプリプレグ。
[7] 上記[6]に記載のプリプレグを、加熱加圧処理して硬化することにより得られる成型体。
即ち、本発明は以下の態様を有する。
[1] エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、ビニル重合体粒子(C)とを含む樹脂組成物(R)であって、前記ビニル重合体粒子(C)は、アクリル樹脂からなるコア層及びシェル層を有するコアシェル粒子であり、前記樹脂組成物(R)中における前記ビニル重合体粒子(C)の含有量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して2質量部以上30質量部以下であり、前記ビニル重合体粒子(C)の一次粒子の平均粒子径が0.5μm以上1.0μm以下であり、前記樹脂組成物(R)の30℃における粘度が、3.0×101Pa・s以上5.0×103Pa・s以下であり、前記樹脂組成物(R)中における前記ビニル重合体粒子(C)の二次粒子の最大粒子径が3μm以下である、樹脂組成物(R)。
[2] 前記ビニル重合体粒子(C)における、前記シェル層のガラス転移温度が85℃以上115℃以下であり、前記シェル層の溶解度パラメーターが20.00[(J/cm3)1/2]以上21.50[(J/cm3)1/2]以下であり、前記シェル層と前記コア層の質量比(シェル層:コア層)が、50:50〜10:90である、上記[1]に記載の樹脂組成物(R)。
[3] 前記ビニル重合体粒子(C)が、組成の異なる少なくとも2種類のビニル単量体混合物を2段階以上で乳化重合することでビニル重合体を含むエマルションを調整し、該ビニル重合体を含むエマルションを噴霧乾燥して得られる粒子である、上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物(R)。
[4] 前記組成の異なる少なくとも2以上のビニル単量体混合物が、いずれも、官能基を有することのできる(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸からなる群より選択される、少なくとも1つのビニル単量体を含む混合物である、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の樹脂組成物(R)。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の樹脂組成物(R)を製造する方法であって、30℃における粘度が1.0×102Pa・s以上1.0×104Pa・s以下であるエポキシ樹脂(A)の一部を分け取り、これに、アクリル樹脂からなるコア層及びシェル層を有したコアシェル粒子であるビニル重合体粒子(C)を混合して混合物(X)を得る工程(I)と、前記混合物(X)中に含まれる前記ビニル重合体粒子(C)の二次粒子を解砕する工程(II)と、前記混合物(X)中に、前記エポキシ樹脂(A)の残部、及び、硬化剤(B)を添加して混合する工程(III)と、を含む、樹脂組成物(R)の製造方法。
[6] 上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の樹脂組成物(R)と、強化繊維基材とからなるプリプレグ。
[7] 上記[6]に記載のプリプレグを、加熱加圧処理して硬化することにより得られる成型体。
本発明の樹脂組成物及びその製造方法によれば、コアシェル粒子からなるビニル重合体粒子(C)の二次粒子を実質的に含まない状態とすることで、強化繊維基材に含浸させてプリプレグを製造する際の含浸性が良好となり、二次粒子の局在化が生じるのを抑制できる。
また、本発明のプリプレグによれば、本発明の樹脂組成物が強化繊維基材に含浸されたものなので、径が比較的大きな二次粒子の局在化が抑制されたものとなる。
そして、本発明の成形体によれば、本発明の樹脂組成物から製造されたプリプレグから得られたものなので、優れた90°曲げ強度を有するものとなる。
また、本発明のプリプレグによれば、本発明の樹脂組成物が強化繊維基材に含浸されたものなので、径が比較的大きな二次粒子の局在化が抑制されたものとなる。
そして、本発明の成形体によれば、本発明の樹脂組成物から製造されたプリプレグから得られたものなので、優れた90°曲げ強度を有するものとなる。
以下、本発明の樹脂組成物及びその製造方法、プリプレグ、並びに成型体について詳細に説明する。
なお、「エポキシ樹脂」という用語は、一般に、熱硬化性樹脂の一つのカテゴリーの名称、あるいは分子内にエポキシ基を有する化合物という化学物質のカテゴリーの名称として用いられるが、本発明においては、後者の意味で用いられる。また、エポキシ樹脂の組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤、場合により他の添加剤を含む組成物であることを意味する。
また、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、また、「(メタ)アクリル酸」も同様である。
また、本発明において「アクリル樹脂」とは、後述するような、官能基を有することができる(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸からなる群より選ばれた単量体を重合してなる重合体を意味する。
また、本発明において「アクリル樹脂」とは、後述するような、官能基を有することができる(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸からなる群より選ばれた単量体を重合してなる重合体を意味する。
<樹脂組成物(R)>
本発明の樹脂組成物(R)は、エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、ビニル重合体粒子(C)とを含む。
本発明の樹脂組成物(R)は、エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、ビニル重合体粒子(C)とを含む。
[エポキシ樹脂(A)]
本発明におけるエポキシ樹脂(A)としては、本発明の効果を有する限り特に限定されない。例えば、グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型、及び脂環式エポキシ型等が挙げられる。これらのうち、安価で、入手が容易であり、耐水性が良く、反応性が高い点から、グリシジルエーテル型又はグリシジルアミン型を含むことが好ましい。
本発明におけるエポキシ樹脂(A)としては、本発明の効果を有する限り特に限定されない。例えば、グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型、及び脂環式エポキシ型等が挙げられる。これらのうち、安価で、入手が容易であり、耐水性が良く、反応性が高い点から、グリシジルエーテル型又はグリシジルアミン型を含むことが好ましい。
グリシジルエーテル型又はグリシジルアミン型としては、耐熱性の観点から、1つの分子内に、少なくとも2つのグリシジル基が含まれていることが好ましい。その具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ樹脂(A)としては、エポキシ樹脂(A)の硬化物(以下、「樹脂硬化物」ということもある)の耐熱性及び靱性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
また、エポキシ樹脂(A)は、1種単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
なお、エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量(g/eq.)としては、100〜500が好ましく、150〜400がより好ましい。エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が上記範囲内であれば、硬化性を損なうことなく、耐熱性の高い硬化物が得られやすい。
また、エポキシ樹脂(A)の質量平均分子量としては、後述するビニル重合体粒子(C)を、本発明の樹脂組成物(R)中で容易に溶解させること、又は膨潤させることの観点から、さらには樹脂組成物(R)の粘度調整がより容易になる観点から、比較的低分子量のものを多く含有していることが好ましい。
具体的には、質量平均分子量が100以上480以下であるエポキシ樹脂(a1)を、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、30重量部以上90重量部以下含有することが好ましく、35重量部以上80重量部以下含有することがより好ましい。
エポキシ樹脂(a1)の含有量を、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、30重量部以上とすることにより、ドレープ性が良好なプリプレグが得られやすくなる。また、前記樹脂組成物(R)を含むプリプレグをプレス成型する際の樹脂フロー量を、適正な範囲に制御しやすくなる。さらに、プリプレグ作成時に、本発明の樹脂組成物(R)を強化繊維基材に容易に含浸させやすい。また、エポキシ樹脂(a1)の含有量を、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、90重量部以下とすることにより、プリプレグのタックが強くなり過ぎず、さらにプリプレグの形状を保ちやすくなる。
エポキシ樹脂(a1)の含有量を、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、30重量部以上とすることにより、ドレープ性が良好なプリプレグが得られやすくなる。また、前記樹脂組成物(R)を含むプリプレグをプレス成型する際の樹脂フロー量を、適正な範囲に制御しやすくなる。さらに、プリプレグ作成時に、本発明の樹脂組成物(R)を強化繊維基材に容易に含浸させやすい。また、エポキシ樹脂(a1)の含有量を、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、90重量部以下とすることにより、プリプレグのタックが強くなり過ぎず、さらにプリプレグの形状を保ちやすくなる。
また、エポキシ樹脂(a1)の質量平均分子量が100以上であれば、樹脂そのものが揮発しにくく、取り扱いがより容易となる。また、粘度が低くなりすぎず、プリプレグを調製する際に、このプリプレグの形状保持がより容易となる。
また、エポキシ樹脂(a1)の質量平均分子量が480以下であれば、ビニル重合体粒子(C)を容易に溶解又は膨潤させやすく、プレス成型時のフロー抑制効果がより良好となる。
エポキシ樹脂(a1)の質量平均分子量としては、150以上480以下であることがより好ましい。
また、エポキシ樹脂(a1)の質量平均分子量が480以下であれば、ビニル重合体粒子(C)を容易に溶解又は膨潤させやすく、プレス成型時のフロー抑制効果がより良好となる。
エポキシ樹脂(a1)の質量平均分子量としては、150以上480以下であることがより好ましい。
このようなエポキシ樹脂(a1)としては、複数のエポキシ樹脂の混合物であってもよく、市販品であってもよい。
一般に市販されているエポキシ樹脂製品は、重合度等の異なる複数のエポキシ樹脂の混合物である。そのため、市販のエポキシ樹脂製品に記載されている「分子量」は、前記混合物に含まれる個々の化合物の分子量の平均値である。これに対し、本発明におけるエポキシ樹脂(a1)の「質量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン換算によって算出された値である。したがって、エポキシ樹脂(a1)として、前述の市販品を用いる場合は、エポキシ樹脂製品に含まれる個々の化合物をGPCにて分画、分取し、ポリスチレン換算によって質量平均分子量を算出する。
一般に市販されているエポキシ樹脂製品は、重合度等の異なる複数のエポキシ樹脂の混合物である。そのため、市販のエポキシ樹脂製品に記載されている「分子量」は、前記混合物に含まれる個々の化合物の分子量の平均値である。これに対し、本発明におけるエポキシ樹脂(a1)の「質量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン換算によって算出された値である。したがって、エポキシ樹脂(a1)として、前述の市販品を用いる場合は、エポキシ樹脂製品に含まれる個々の化合物をGPCにて分画、分取し、ポリスチレン換算によって質量平均分子量を算出する。
エポキシ樹脂(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述のエポキシ樹脂(a1)以外のエポキシ樹脂を含有していても良い。その場合、エポキシ樹脂(a1)以外のエポキシ樹脂の含有量(以下、「その他のエポキシ樹脂」ということもある)は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、70質量部以下が好ましく、50〜20質量部がより好ましい。エポキシ樹脂(A)中において、その他のエポキシ樹脂の含有量が上記範囲内であれば、後述するような、ビニル重合体粒子(C)が樹脂組成物(R)中で溶解しやすい、又は膨潤しやすい、という効果が得られやすくなる。
エポキシ樹脂(A)の質量平均分子量としては、150〜1500が好ましく、200〜1200がより好ましい。エポキシ樹脂(A)の質量平均分子量が上記範囲内であれば、耐熱性の高い硬化物が得られやすい。なお、前記質量平均分子量は、前述のエポキシ樹脂(a1)と同様の方法にて算出した値である。
樹脂組成物(R)中のエポキシ樹脂(A)の含有量としては、樹脂組成物(R)100質量部に対して、60〜90質量部が好ましく、65〜85質量部がより好ましい。エポキシ樹脂(A)の含有量が上記範囲内であれば、耐熱性の高い硬化物が得られやすく、また、機械物性が高い硬化物が得られやすい。
本発明の1つの態様において、エポキシ樹脂(A)の30℃での粘度は、1.0×102Pa・s以上1.0×104Pa・sであることが好ましく、1.5×102Pa・s以上5.0×103Pa・s以下であることがより好ましい。エポキシ樹脂(A)の30℃での粘度が上記範囲内であれば、強化繊維束への含浸性が向上する効果が得られやすい。
[硬化剤(B)]
本発明における硬化剤(B)としては、エポキシ樹脂(A)を硬化させ得るものであれば、本発明の効果を有する限り特に限定されない。例えば、アミン型、酸無水物型(カルボン酸無水物等)、フェノール型(フェノールノボラック樹脂等)、メルカプタン型、ルイス酸アミン錯体型、オニウム塩型等が挙げられる。これらの中でも、貯蔵安定性が良く、硬化性により優れている点から、アミン型、又はルイス酸アミン錯体型の硬化剤が好ましい。これら硬化剤は、1種を単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明における硬化剤(B)としては、エポキシ樹脂(A)を硬化させ得るものであれば、本発明の効果を有する限り特に限定されない。例えば、アミン型、酸無水物型(カルボン酸無水物等)、フェノール型(フェノールノボラック樹脂等)、メルカプタン型、ルイス酸アミン錯体型、オニウム塩型等が挙げられる。これらの中でも、貯蔵安定性が良く、硬化性により優れている点から、アミン型、又はルイス酸アミン錯体型の硬化剤が好ましい。これら硬化剤は、1種を単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
アミン型の硬化剤としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン、脂肪族アミン、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、及びこれらの異性体又は変成体等が挙げられる。これらの中でも、ジシアンジアミド、又はイミダゾール誘導体が好ましい。ジシアンジアミドであれば、保存安定性により優れるプリプレグが得られやすい。イミダゾール誘導体であれば、成型体の耐熱性がより良好となる。
ルイス酸アミン錯体型の硬化剤としては、ハロゲン化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。具体的には、例えば、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素・モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・トリエタノールアミン錯体等の三フッ化ホウ素アミン錯体、三塩化ホウ素・オクチルアミン錯体等の三塩化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。これらのルイス酸アミン錯体型の硬化剤の中でも、特に、エポキシ樹脂(A)に対する溶解性により優れ、樹脂組成物(R)とした時のポットライフがより良好であり、かつ硬化性により優れる点から、三塩化ホウ素アミン錯体が好ましい。
硬化剤(B)の硬化活性をより高める観点から、硬化剤(B)は、硬化助剤を含んでいてもよい。例えば、硬化剤(B)としてジシアンジアミドを用いる場合、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエン(TBDMU)等の尿素誘導体を、硬化助剤として含むことが好ましい。これらの中でもジシアンジアミドとDCMU、又はTBDMUの組み合わせが特に好ましい。
硬化剤(B)が硬化助剤を含む場合、その含有量は、エポキシ樹脂(A)に対して、1〜15質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。硬化助剤の含有量が上記範囲内であれば、硬化物が機械物性を損なうことがなく、反応性を制御できるという効果が得られやすい。
硬化剤(B)が硬化助剤を含む場合、その含有量は、エポキシ樹脂(A)に対して、1〜15質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。硬化助剤の含有量が上記範囲内であれば、硬化物が機械物性を損なうことがなく、反応性を制御できるという効果が得られやすい。
また、樹脂組成物(R)中の硬化剤(B)の含有量は、エポキシ樹脂(A)に対して、3〜25質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。硬化助剤の含有量が上記範囲内であれば、硬化物が高い機械物性を発揮し、高い反応性を得られるという効果が得られやすい。
[ビニル重合体粒子(C)]
本発明におけるビニル重合体粒子(C)は、ラジカル重合可能なビニル単量体を乳化重合して得られるビニル重合体を含むエマルションを、噴霧乾燥して得られる微粒子を意味する。
本発明におけるビニル重合体粒子(C)は、ラジカル重合可能なビニル単量体を乳化重合して得られるビニル重合体を含むエマルションを、噴霧乾燥して得られる微粒子を意味する。
ラジカル重合可能なビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル−メタクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート等の(水酸基以外の)官能基含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸ビニロキシ酢酸、アリロキシ酢酸、2−(メタ)アクリロイルプロパン酸、3−(メタ)アクリロイルブタン酸、4−ビニル安息香酸等のカルボキシル基含有ビニル単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド;モノメチルイタコネート、モノエチルイタコネート、モノプロピルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジプロピルイタコネート、ジブチルイタコネート等のイタコン酸エステル;モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノプロピルフマレート、モノブチルフマレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジプロピルフマレート、ジブチルフマレート等のフマル酸エステル;モノメチルマレート、モノエチルマレート、モノプロピルマレート、モノブチルマレート、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジプロピルマレート、ジブチルマレート等のマレイン酸エステル;及びビニルピリジン、ビニルアルコール、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、1−ビニルイミダゾール等のその他のビニル単量体、等が挙げられる。これらの単量体は、1種単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
これらの単量体の中でも、ラジカル重合がより容易であり、且つ乳化重合がより容易であることから、官能基を有することのできる(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリル酸が好ましい。ここで「官能基を有することのできる(メタ)アクリレート」とは、上述の(メタ)アクリレート、水酸基含有アクリレート、及び(水酸基以外の)官能基含有(メタ)アクリレートの総称である。
ビニル重合体粒子(C)は、上述したビニル単量体に、必要に応じて重合開始剤、乳化剤、分散安定剤、連鎖移動剤等を加えて重合させることにより製造することができる。なお、重合開始剤、乳化剤、分散安定剤及び連鎖移動剤等は、公知の材料から選択することが出来る。これらの材料には、例えば、国際公開第2010/090246号パンフレット等に記載の材料を使用することができる。
上記の重合方法としては、真球状粒子を得やすいこと、及び粒子モルフォロジーを制御しやすいことから、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、膨潤重合法、ミニエマルション重合法、分散重合法、及び微細懸濁重合法が好ましい。この中でも、分散性により優れるビニル重合体粒子が得られることから、ソープフリー乳化重合法がより好ましい。またビニル重合体粒子の粒子モルフォロジーを制御するための、工業的に実用性の高い手法としては、例えば、異なる組成のビニル単量体混合物を多段階で、逐次的に滴下重合する方法が挙げられる。
つまりビニル重合体粒子(C)としては、組成の異なる少なくとも2種類以上のビニル単量体混合物を2段階以上で乳化重合し、得られたビニル重合体を含むエマルションを噴霧乾燥して得られる粒子(以下、「多段階重合粒子」ということがある)であることが好ましい。この場合、組成の異なる少なくとも2種類のビニル単量体混合物は、いずれも、官能基を有することができる(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸からなる群より選択される、少なくとも1つのビニル単量体を含む混合物であることが好ましい。
このようにして製造されたビニル重合体粒子(C)は、コア層とシェル層とを有するコアシェル粒子であることが好ましい。即ち、ビニル重合体粒子(C)としては、コア層及びシェル層のいずれもがアクリル樹脂からなるコアシェル粒子であることが好ましい。なお、ビニル重合体粒子(C)がコアシェル構造を有しているかどうかの判定方法としては、例えば、(1)重合過程でサンプリングされるビニル重合体粒子の粒子径が確実に成長していること、(2)重合過程でサンプリングされるビニル重合体粒子の最低造膜温度(MFT)や各種溶剤への溶解度が変化していること、の2点を同時に満足していることを確認する方法等が挙げられる。また、透過型電子顕微鏡(TEM)により、ビニル重合体粒子(C)の切断面を観察して、同心円状の構造の有無を確認する方法、又は凍結破断されたビニル重合体粒子(C)の切断面を走査型電子顕微鏡(クライオSEM)で観察して、同心円状の構造の有無を確認する方法等が挙げられる。
なお、本発明の樹脂組成物(R)中に含まれるビニル重合体粒子(C)を、上記のような多段階重合粒子として得た場合、組成の異なる少なくとも2種類のビニル単量体混合物がどのようにどのように重合しているのか、詳細に特定することは困難である。即ち、本発明の樹脂組成物(R)には、その構造又は特性によって直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的ではないという事情(不可能・非実際的事情)が存在する。
ビニル重合体粒子(C)は、本発明の樹脂組成物(R)中において、常温(10℃以上30℃以下)では粒子として存在するが、高温(60℃超)では、樹脂組成物(R)、具体的にはエポキシ樹脂(A)に溶解するか、あるいはエポキシ樹脂(A)により膨潤している。
つまり、ビニル重合体粒子(C)は、常温、すなわち比較的低温の樹脂組成物(R)中には粒子状で存在するため、これを含む樹脂組成物(R)の粘度は比較的低く保たれる。そのため、本発明の樹脂組成物(R)は、強化繊維基材に対する高い含浸性を有し、また、得られるプリプレグは良好なドレープ性を有するものとなる。一方、ビニル重合体粒子(C)は、高温条件下では樹脂組成物(R)中のエポキシ樹脂(A)に溶解するか、又はエポキシ樹脂(A)により膨潤しているため、樹脂組成物(R)が用いられたプリプレグを使用してプレス成型を行うと、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)との反応より速く、ビニル重合体粒子(C)が溶解、又は膨潤して樹脂組成物(R)が増粘する。その結果、樹脂フロー量を低減しやすくなる。
ビニル重合体粒子(C)は、本発明の樹脂組成物(R)の調製時や、前記樹脂組成物(R)を用いたプリプレグ製造時等の作業温度では、エポキシ樹脂(A)に溶解、又はエポキシ樹脂(A)により膨潤はせず、プリプレグの成型時における昇温過程で、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)との反応よりも速くエポキシ樹脂(A)に溶解するか、あるいはエポキシ樹脂(A)により膨潤するものが好ましい。
具体的には、エポキシ樹脂(A)に対する溶解開始温度、又はエポキシ樹脂(A)による膨潤開始温度が、60℃以上140℃以下であるビニル重合体粒子(C)が好ましい。また、前述の溶解開始温度、又は膨潤開始温度が、80℃以上120℃以下であることがより好ましい。
さらに、ビニル重合体粒子(C)としては、増粘開始温度が70℃以上90℃以下であるものが好ましい。
さらに、ビニル重合体粒子(C)としては、増粘開始温度が70℃以上90℃以下であるものが好ましい。
ビニル重合体粒子(C)の溶解速度、又は膨潤速度は、樹脂フロー量が適正な領域にあり、成型体の外観がより良好となる範囲のものを、適宜選択できる。
ビニル重合体粒子(C)として、前述した多段階重合粒子やコアシェル粒子を用いることにより、上述した条件を満たすことがより容易になる。特に、上述した「組成の異なる少なくとも2種類のビニル単量体混合物」として、官能基を有することができる(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸からなる群より選択される、少なくとも1つのビニル単量体を含む混合物を用いて得られる多段階重合粒子や、コア層及びシェル層のいずれもがアクリル樹脂であるコアシェル粒子が好ましい。
なお、多段階重合粒子、又はコアシェル粒子は、エポキシ樹脂(A)の質量平均分子量が小さいほど、溶解又は膨潤しやすくなる。
なお、多段階重合粒子、又はコアシェル粒子は、エポキシ樹脂(A)の質量平均分子量が小さいほど、溶解又は膨潤しやすくなる。
後述する本発明のプリプレグ(本発明の樹脂組成物(R)を強化繊維基材に含浸させて得られるプリプレグ)のプレス成型時のフロー抑制効果を十分に発揮させるためには、エポキシ樹脂(A)の硬化反応温度より低温で、多段階重合粒子やコアシェル粒子のエポキシ樹脂(A)への溶解、又はエポキシ樹脂(A)による膨潤が起きることが好ましい。これら粒子のエポキシ樹脂(A)への溶解又は膨潤のしやすさは、多段階重合粒子の最外の乳化重合体層(以下「(i)層」ということもる)、又はコアシェル粒子のシェル層を構成する樹脂のガラス転移温度(以下、「Tg」と称することがある)、溶解度パラメーター(以下、「SP値」と称することがある)、あるいは、コア層とシェル層(又は、多段階重合粒子の最外の乳化重合体層と、それ以外の乳化重合体層(以下「(ii)層」と称することがある))の質量比の影響を受ける。(i)層、又はシェル層のTgが高いほうが、エポキシ樹脂(A)に溶解、又は膨潤しにくい。また、エポキシ樹脂(A)のSP値は、一般に、アクリル樹脂からなるビニル重合体粒子のSP値より低いため、(i)層、又はシェル層のSP値が高いほうが、エポキシ樹脂(A)に溶解、又は膨潤しにくい。さらに、コア層とシェル層の質量比は、シェル層の比率が高いほうが、エポキシ樹脂(A)に溶解、又は膨潤しにくい。また(i)層と(ii)層の質量比は、(i)層の比率が高い方が、エポキシ樹脂(A)に溶解、又は膨潤しにくい。これらを種々鑑みて所望の成型温度にあったビニル重合体粒子(C)を選定する必要がある。
例えば、本発明の樹脂組成物(R)から得られるプリプレグを140℃でプレス成型する場合、シェル層のTgが85℃以上115℃以下であり、シェル層のSP値が20.00[(J/cm3)1/2]以上21.50[(J/cm3)1/2]以下であり、シェル層とコア層の質量比(シェル層:コア層)が、50:50〜10:90であるコアシェル粒子からなるビニル重合体粒子(C)を選択すればよい。また、シェル層のSP値の好ましい範囲は、20.10[(J/cm3)1/2]以上21.3[(J/cm3)1/2]以下であり、さらに好ましい範囲としては、20.20[(J/cm3)1/2]以上21.0[(J/cm3)1/2]以下である。
あるいは、(i)層のTgが85℃以上115℃以下であり、(i)層の溶解度パラメーター(SP値)が20.00[(J/cm3)1/2]以上21.50[(J/cm3)1/2]以下であり、(i)層と(ii)層の質量比((i)層:(ii)層)が、50:50〜10:90である多段階重合粒子からなるビニル重合体粒子(C)等を選択すればよい。
あるいは、(i)層のTgが85℃以上115℃以下であり、(i)層の溶解度パラメーター(SP値)が20.00[(J/cm3)1/2]以上21.50[(J/cm3)1/2]以下であり、(i)層と(ii)層の質量比((i)層:(ii)層)が、50:50〜10:90である多段階重合粒子からなるビニル重合体粒子(C)等を選択すればよい。
ここでSP値は、国際公開第2013/077293号パンフレットに記載のように、重合体を構成する単量体単位のSP値(SP(Ui))を下記数式(1)に代入して求めることができる。SP(Ui)は、Polymer Engineering and Science,Vol.14,147(1974)に記載されているFedorsの方法にて求めることができる。
但し、上記数式(1)中、Mjは単量体単位j成分のモル分率を表し、ΣMj=1である。
本発明のビニル重合体粒子(C)の一次粒子の平均粒子径は0.5μm以上1.0μm以下であり、0.6μm以上0.9μm以下であることがより好ましく、0.6μm以上0.8μm以下であることがさらに好ましい。ここで、「平均粒子径」とは、ビニル重合体粒子(C)のエマルションをイオン交換水で希釈し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用い、エマルション粒子径として体積平均一次粒子径を意味する。
一次粒子の平均粒子径を0.5μm以上とすることにより、二次凝集したビニル重合体粒子(C)を容易に解砕し、一次粒子として樹脂組成物(R)中に分散することができる。また、ビニル重合体粒子(C)の表面積が大きくなりすぎず、反応遅延等が起こりにくい。
また、一次粒子の平均粒子径を1.0μm以下とすることにより、強化繊維基材にビニル重合体粒子(C)が濾別されることなく含浸し、基材表面に局在化することがなく、得られる成型体の機械物性の低下を防ぐことが出来る。これにより、本発明の樹脂組成物(R)が用いられたプリプレグを成形して得られる成型体は、90°曲げ強度に優れるものとなる。
一次粒子の平均粒子径を0.5μm以上とすることにより、二次凝集したビニル重合体粒子(C)を容易に解砕し、一次粒子として樹脂組成物(R)中に分散することができる。また、ビニル重合体粒子(C)の表面積が大きくなりすぎず、反応遅延等が起こりにくい。
また、一次粒子の平均粒子径を1.0μm以下とすることにより、強化繊維基材にビニル重合体粒子(C)が濾別されることなく含浸し、基材表面に局在化することがなく、得られる成型体の機械物性の低下を防ぐことが出来る。これにより、本発明の樹脂組成物(R)が用いられたプリプレグを成形して得られる成型体は、90°曲げ強度に優れるものとなる。
一次粒子の平均粒子径が0.5μm以上1.0μm以下のビニル重合体粒子(C)は、一般に、一次粒子同士が二次凝集することで二次粒子を構成する。このような二次粒子の直径はおおよそ30μmから100μmであるため、樹脂組成物(R)中に均一に分散させても、二次粒子のまま残っている。そのため、このような二次粒子を含む樹脂組成物を強化繊維基材に含侵させると、二次粒子が濾別されて、基材表面に局在化してしまう。
そこで、本発明においては、このような二次粒子を解砕することで、一次粒子に戻すか、あるいは、二次粒子の最大粒子径を3μm以下に抑制する。
そこで、本発明においては、このような二次粒子を解砕することで、一次粒子に戻すか、あるいは、二次粒子の最大粒子径を3μm以下に抑制する。
ここで、二次粒子を含むビニル重合体粒子を単独で解砕すると、解砕中に粒子が粉末状となって飛散してしまい、回収率が低下する。そのため、樹脂等の液状物とビニル重合体粒子(C)とを混合した後、二次粒子を解砕することが好ましい。この方法であれば、効率よく一次粒子を回収することができる。
ビニル重合体粒子(C)と混合させる樹脂としては、上述したエポキシ樹脂(A)が好ましい。解砕処理のためにビニル重合体粒子(C)とエポキシ樹脂(A)とを混合する場合、ビニル重合体粒子(C)100質量部に対して、エポキシ樹脂(A)を100〜800質量部で加えて混合した混合物とすることが好ましい。
ビニル重合体粒子(C)と混合させる樹脂としては、上述したエポキシ樹脂(A)が好ましい。解砕処理のためにビニル重合体粒子(C)とエポキシ樹脂(A)とを混合する場合、ビニル重合体粒子(C)100質量部に対して、エポキシ樹脂(A)を100〜800質量部で加えて混合した混合物とすることが好ましい。
ビニル重合体粒子(C)の二次粒子の解砕方法としては、公知の方法によって行うことができ、例えば、らいかい機、アトライタ、プラネタリーミキサー、ディゾルバー、三本ロール、ニーダー、万能攪拌機、ホモジナイザー、ホモディスペンサー、ボールミル及びビーズミルを用いて行うことができる。これらのうち、容易に二次粒子を解砕できる点から、高いシェアをかける方法を適用することが好ましい。このような、高いシェアをかける方法としては、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、ニーダー及びホモジナイザー等がある。これらの中で、装置が簡易であること、量産性が容易である等の点から、三本ロールミルを使用する方法が最も好ましい。三本ロールミルを使用する場合には、三本のロール速度を変えて、シェアがより高くかかる方法で解砕処理を行うことが好ましい。
三本ロールミルで二次粒子を解砕する場合、シェアがよりかかる観点から、ビニル重合体粒子(C)に分散させるエポキシ樹脂(A)の30℃における粘度は、前述した通り、1.0×102Pa・s以上1.0×104Pa・s以下であることが好ましく、2.0×102Pa・s以上5.0×103Pa・sがより好ましく、3.0×102Pa・s以上3.0×103Pa・sがさらに好ましい。エポキシ樹脂(A)の30℃における粘度が1.0×102Pa・s以上であれば、シェアが強くかかり二次粒子を解砕しやすい。エポキシ樹脂(A)の30℃における粘度が1.0×104Pa・s以下であれば、シェア熱によるビニル重合体粒子(C)の膨潤が生じることなく、二次粒子を解砕することができる。
上述の方法によってビニル重合体粒子(C)中に含まれる二次粒子を解砕することにより、本発明の樹脂組成物(R)中には、実質的に二次粒子が含まれない状態となる。ここで、「実質的に二次粒子を含まない」とは、樹脂組成物(R)中のビニル重合体粒子(C)の二次粒子の最大粒子径が、3μm以下であることを意味する。また、樹脂組成物(R)中のビニル重合体粒子(C)の二次粒子は、完全に一次粒子に解砕されていることがより好ましい。なお、樹脂組成物(R)中のビニル重合体粒子(C)の二次粒子の最大粒子径は、例えば、樹脂組成物(R)の硬化樹脂板の破断面を、SEM(日本電子(株)製、製品名:「JSM−6300」)を用いて、倍率200倍で観察した場合の二次粒子の直径を意味する。このように、200倍で二次粒子を観察した場合は、通常、直径が3μm以下の二次粒子は粒子として確認することができない。即ち、本発明におけるビニル重合体粒子(C)の二次粒子の最大粒子径は、SEMを用いて200倍で粒子を観察した際、観察面に粒子が認識できない状況のことを指す。
なお、本明細書における「二次粒子の直径」とは、二次粒子が真球状の場合は、その円周状の1点から円の中心点を通って反対側の円周まで引いた線分の長さのことを意味する。また、粒子が真球状以外の形状の場合は、円の中心点を通る線分のうち、最も長い線分の長さのことを指す。
また、SEM観察用の硬化樹脂板は、解砕したビニル重合体粒子(C)とエポキシ樹脂(A)の混合物に、室温で硬化できる硬化剤を加え、スペーサーで厚みを制御して厚さ2mmとすることで作製することができる。
本発明においては、ビニル重合体粒子(C)として、一次粒子の平均粒子径が0.5μm以上1.0μm以下であるコアシェル粒子を選択し、かつ、樹脂組成物(R)中のビニル重合体粒子(C)の二次粒子の最大粒子径が3μm以下となるように解砕処理することで、プリプレグを製造する際、強化繊維基材にビニル重合体粒子(C)が濾別されることなく含浸し、基材表面に局在化することがない。これにより、上記のプリプレグを用いて、90°曲げ強度に優れる成型体を製造することが可能になる。
以上の説明によって、当業者はビニル重合体粒子(C)を容易に得ることができる。つまり、当業者は、以上の説明に基づき、また、国際公開第2010/090246号パンフレット及び国際公開第2013/077293号パンフレットも参考にすることで、体積平均一次粒子径、Tg及びSP値等を調整し、瞬間最大増粘値や増粘開始温度が前述の範囲内にあるビニル重合体粒子(C)を容易に得ることができる。
樹脂組成物(R)中のビニル重合体粒子(C)の含有量は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して2質量部以上30質量部以下であり、また、3重量部以上20重量部以下が好ましく、5重量部以上15重量部以下がより好ましい。
樹脂組成物(R)中のビニル重合体粒子(C)の含有量が2質量部以上であれば、プレス成型時の樹脂フロー量の抑制効果を十分に発揮できる。また、上記の含有量が30質量部以下であれば、樹脂組成物(R)が用いられたプリプレグから製造するプレス成型体の機械物性の低下が抑制され、90°曲げ強度に優れる成型体が得られる。
樹脂組成物(R)中のビニル重合体粒子(C)の含有量が2質量部以上であれば、プレス成型時の樹脂フロー量の抑制効果を十分に発揮できる。また、上記の含有量が30質量部以下であれば、樹脂組成物(R)が用いられたプリプレグから製造するプレス成型体の機械物性の低下が抑制され、90°曲げ強度に優れる成型体が得られる。
[任意成分]
本発明の樹脂組成物(R)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述以外の任意の成分を含有していても良い。上記の任意成分としては、例えば、熱可塑性エラストマー、ビニル重合体粒子(C)以外のエラストマー微粒子やコアシェル型エラストマー微粒子、希釈剤、シリカ等の無機粒子、カーボンナノチューブ等の炭素質成分、リン化合物等の難燃剤、脱泡剤等が挙げられる。これらは、1種単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明の樹脂組成物(R)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述以外の任意の成分を含有していても良い。上記の任意成分としては、例えば、熱可塑性エラストマー、ビニル重合体粒子(C)以外のエラストマー微粒子やコアシェル型エラストマー微粒子、希釈剤、シリカ等の無機粒子、カーボンナノチューブ等の炭素質成分、リン化合物等の難燃剤、脱泡剤等が挙げられる。これらは、1種単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
[樹脂組成物(R)の粘度]
本発明の樹脂組成物(R)は、30℃における粘度が3.0×101Pa・s以上1.0×104Pa・s以下であり、4.0×101Pa・s以上5.0×103Pa・s以下がより好ましく、5.0×101Pa・s以上3.0×103Pa・s以下がさらに好ましい。
樹脂組成物(R)の30℃における粘度が3.0×101Pa・s以上であれば、形態保持性の良いプリプレグが得られる。また、ビニル重合体粒子(C)の膨潤によって粘度が上昇しても、成型等の作業が容易に行えるプリプレグが得られる。また、上記の粘度が1.0×104Pa・s以下であれば、後述するように、プリプレグを作製する際に樹脂組成物(R)が強化繊維基材に含浸しやすく、過度な加熱を必要としないため好ましい。また、得られるプリプレグのドレープ性が損なわれないため好ましい。
なお、本発明の樹脂組成物(R)の「30℃における粘度」とは、レオメーター装置を用いて、2℃/min昇温の条件で測定した30℃の粘度を指す。さらに、上記の粘度は、樹脂組成物(R)を調製した後、室温に冷ました後すぐに測定するか、すぐに測定しない場合には−20℃の冷凍庫に保管して2週間以内に測定された粘度である。
本発明の樹脂組成物(R)は、30℃における粘度が3.0×101Pa・s以上1.0×104Pa・s以下であり、4.0×101Pa・s以上5.0×103Pa・s以下がより好ましく、5.0×101Pa・s以上3.0×103Pa・s以下がさらに好ましい。
樹脂組成物(R)の30℃における粘度が3.0×101Pa・s以上であれば、形態保持性の良いプリプレグが得られる。また、ビニル重合体粒子(C)の膨潤によって粘度が上昇しても、成型等の作業が容易に行えるプリプレグが得られる。また、上記の粘度が1.0×104Pa・s以下であれば、後述するように、プリプレグを作製する際に樹脂組成物(R)が強化繊維基材に含浸しやすく、過度な加熱を必要としないため好ましい。また、得られるプリプレグのドレープ性が損なわれないため好ましい。
なお、本発明の樹脂組成物(R)の「30℃における粘度」とは、レオメーター装置を用いて、2℃/min昇温の条件で測定した30℃の粘度を指す。さらに、上記の粘度は、樹脂組成物(R)を調製した後、室温に冷ました後すぐに測定するか、すぐに測定しない場合には−20℃の冷凍庫に保管して2週間以内に測定された粘度である。
<樹脂組成物(R)の製造方法>
本発明の樹脂組成物(R)は、各成分が混練され、均一に分散、又は溶解する限り、従来から用いられる一般的な方法にて製造することができる。
本発明の樹脂組成物(R)は、各成分が混練され、均一に分散、又は溶解する限り、従来から用いられる一般的な方法にて製造することができる。
例えば、樹脂組成物(R)を構成する各成分を同時に混合して調製する方法であってもよく、あるいは、上述のように、必要に応じて予めエポキシ樹脂(A)に、硬化剤(B)やビニル重合体粒子(C)、その他添加物を適宜分散させたマスターバッチを調製し、このマスターバッチ中に残りの成分を混合する方法で調製してもよい。特に、ビニル重合体粒子(C)をエポキシ樹脂(A)に均一に分散させるために、ビニル重合体粒子(C)をエポキシ樹脂(A)に高濃度で分散させたマスターバッチを作成し、その後、マスターバッチ中に残りの成分を追加する方法が好ましい。なお、マスターバッチにおけるビニル重合体粒子(C)とエポキシ樹脂(A)との配合比率(質量比率・ビニル重合体粒子(C):エポキシ樹脂(A))は、5:5〜5:40が好ましい。
即ち、本発明の樹脂組成物(R)の製造方法は、以下の工程(I)〜(III)を含む方法とすることができる。
工程(I):30℃における粘度が1.0×102Pa・s以上1.0×104Pa・s以下であるエポキシ樹脂(A)の一部を分け取り、これに、アクリル樹脂からなるコア層及びシェル層を有したコアシェル粒子であるビニル重合体粒子(C)を混合して混合物(X)を得る。
工程(II):混合物(X)中に含まれる前記ビニル重合体粒子(C)の二次粒子を解砕する。
工程(III):混合物(X)中に、エポキシ樹脂(A)の残部、及び、硬化剤(B)を添加して混合する。
工程(I):30℃における粘度が1.0×102Pa・s以上1.0×104Pa・s以下であるエポキシ樹脂(A)の一部を分け取り、これに、アクリル樹脂からなるコア層及びシェル層を有したコアシェル粒子であるビニル重合体粒子(C)を混合して混合物(X)を得る。
工程(II):混合物(X)中に含まれる前記ビニル重合体粒子(C)の二次粒子を解砕する。
工程(III):混合物(X)中に、エポキシ樹脂(A)の残部、及び、硬化剤(B)を添加して混合する。
上記の工程(III)において、混合物(X)に添加する硬化剤(B)は、エポキシ樹脂(A)の一部に硬化剤(B)を混合して得られる混合物(H)(硬化剤マスターバッチ(H))であることが好ましい。
また、混練による剪断発熱等で、樹脂組成物(R)の温度が上昇するような場合には、混練速度を調整するか、又は混練釜を水冷する等、混練中に樹脂組成物(R)の温度が上昇しない工夫をすることが好ましい。即ち、本発明の樹脂組成物(R)の製造方法において、前記工程(I)又は工程(III)における混合時の温度としては、15〜80℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。
本発明において用いられる混練装置としては、例えば、らいかい機、アトライタ、プラネタリミキサー、ディゾルバー、三本ロール、ニーダー、万能攪拌機、ホモジナイザー、ホモディスペンサー、ボールミル及びビーズミル等が挙げられる。また、これらの混錬装置は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
<プリプレグ>
本発明のプリプレグは、前述した本発明の樹脂組成物(R)と強化繊維基材とから構成される。プリプレグ中の強化繊維基材の体積含有率は、通常30体積%以上80体積%以下であり、好ましくは40体積%以上70体積%以下である。体積含有率を上記下限値以上とすることにより、成型体の機械物性が高くなりやすく、90°曲げ強度に優れる成型体が得られやすい。また、上記上限値以下とすることにより、プリプレグ作成時に樹脂組成物(R)を強化繊維基材に含浸させやすくなるため好ましい。
本発明のプリプレグは、前述した本発明の樹脂組成物(R)と強化繊維基材とから構成される。プリプレグ中の強化繊維基材の体積含有率は、通常30体積%以上80体積%以下であり、好ましくは40体積%以上70体積%以下である。体積含有率を上記下限値以上とすることにより、成型体の機械物性が高くなりやすく、90°曲げ強度に優れる成型体が得られやすい。また、上記上限値以下とすることにより、プリプレグ作成時に樹脂組成物(R)を強化繊維基材に含浸させやすくなるため好ましい。
本発明のプリプレグは、上述した本発明の樹脂組成物(R)を含有するため、成型時の樹脂フロー量の制御が容易となる。なかでも、面圧8MPa、金型温度140℃、成型時間5分のプレス成型により、平板プレス成型体を作製したときの樹脂フロー量が、4.5質量%以下である場合がより好ましい。具体的には、本発明のプリプレグが一方向プリプレグであり、以下の方法で測定した樹脂フロー量が4.5質量%以下であることが好ましい。
まず、繊維含有量が240g/m2以上290g/m2以下で、樹脂含有率が28.0重量%以上32.0重量%以下であるプリプレグを、298mm(繊維と並行方向)×298mm(繊維と直行方向)の寸法にカットした後、繊維方向をそろえて5ply積層したプリプレグ積層体とし、その質量をM0とする。そして、プリプレグ積層体にかかる面圧を8MPaとし、金型温度140℃、成型時間5分の条件でプレス成型後、バリを除いた平板プレス成型体の質量をM1とした際に、以下の数式(2)によって算出される値、即ち樹脂フロー量(質量%)が4.5質量%以下である場合が好ましい。
樹脂フロー率(質量%)=[(M0−M1)/M0]×100 ・・・(2)
樹脂フロー率(質量%)=[(M0−M1)/M0]×100 ・・・(2)
樹脂フロー量を4.5質量%以下とすることにより、表面に凹凸のない滑らかな成型体が得られやすい。また、フローした樹脂の除去に大きな労力を要しにくいため、生産性の観点から好ましい。
また樹脂フロー量の下限は、1.0質量%以上であることが好ましい。樹脂フロー量の下限を1.0質量%以上とすることにより、樹脂組成物(R)を金型内の隅々まで容易に充填することができる。即ち、プリプレグの樹脂フロー量を1.0質量%以上4.5質量%以下とすることにより、成型過程におけるプリプレグ中の樹脂組成物(R)と強化繊維基材の流動を抑制しやすくなるため、より容易に、優れた外観を持つ成型体を得ることが可能となる
(強化繊維基材)
本発明のプリプレグにおける強化繊維基材は、得られる成型体の使用目的に応じて、様々なものが使用できる。強化繊維基材の具体例としては、例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、タングステンカーバイド繊維、ガラス繊維等からなるものが挙げられる。これらは、1種単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。なかでも、比強度、比弾性率に優れる点で、炭素繊維や黒鉛繊維が好適である。
また、炭素繊維や黒鉛繊維としては、引張伸度1.5%以上の高強度炭素繊維が、得られる成型体の強度を発現しやすいため好ましい。
本発明のプリプレグにおける強化繊維基材は、得られる成型体の使用目的に応じて、様々なものが使用できる。強化繊維基材の具体例としては、例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、タングステンカーバイド繊維、ガラス繊維等からなるものが挙げられる。これらは、1種単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。なかでも、比強度、比弾性率に優れる点で、炭素繊維や黒鉛繊維が好適である。
また、炭素繊維や黒鉛繊維としては、引張伸度1.5%以上の高強度炭素繊維が、得られる成型体の強度を発現しやすいため好ましい。
本発明に用いる強化繊維基材の形態は、例えば、連続繊維を一方向に引き揃えた形態、連続繊維を経緯にして織物とした形態、トウを一方向に引き揃え横糸補助糸で保持した形態、複数枚の一方向の強化繊維のシートを異なる方向に重ねて補助糸で留めてマルチアキシャルワープニットとした形態、又は不織布等が挙げられる。これらのなかでも、プリプレグの製造のしやすさの観点から、連続繊維を一方向に引き揃えた形態、連続繊維を経緯にして織物とした形態、トウを一方向に引き揃え横糸補助糸で保持した形態、又は複数枚の一方向の強化繊維のシートを異なる方向に重ねて補助糸で留めてマルチアキシャルワープニットとした形態が好ましい。また、得られる成型体の強度発現の点では、連続繊維を一方向に引き揃えた形態がさらに好ましい。
強化繊維基材の目付けは、得られる成型体の使用目的に応じて自由に設定できるが、50g/m2以上2000g/m2以下が実用的に好ましい範囲である。なお、樹脂組成物(R)の含浸が良好なプリプレグを得るためには、強化繊維基材の目付けは50g/m2以上600g/m2以下であることがより好ましく、50g/m2以上300g/m2以下であることがさらに好ましい。
(プリプレグの製造方法)
本発明に係るプリプレグは、公知の方法で製造することができる。例えば、離型紙等の工程剥離材の表面に所定量の本発明の樹脂組成物(R)を塗工し、その表面に強化繊維基材を供給した後、押圧ロールを通過させる等の手段により強化繊維基材に樹脂組成物(R)を含浸させる方法、あるいは強化繊維基材に所定量の樹脂組成物(R)を直接塗工した後、必要に応じて前記強化繊維基材を工程剥離材で挟み、押圧ロールを通過させる等の手段により、強化繊維基材に樹脂組成物(R)を含浸させる方法等によって製造できる。
本発明に係るプリプレグは、公知の方法で製造することができる。例えば、離型紙等の工程剥離材の表面に所定量の本発明の樹脂組成物(R)を塗工し、その表面に強化繊維基材を供給した後、押圧ロールを通過させる等の手段により強化繊維基材に樹脂組成物(R)を含浸させる方法、あるいは強化繊維基材に所定量の樹脂組成物(R)を直接塗工した後、必要に応じて前記強化繊維基材を工程剥離材で挟み、押圧ロールを通過させる等の手段により、強化繊維基材に樹脂組成物(R)を含浸させる方法等によって製造できる。
(プリプレグ積層体)
一般にプリプレグをプレス成型する場合は、複数枚のプリプレグを積層してなるプリプレグ積層体を用いる。プリプレグの積層枚数は、作製するプリプレグ積層体を硬化させた成形体の用途に合わせて適宜設定することができる。
一般にプリプレグをプレス成型する場合は、複数枚のプリプレグを積層してなるプリプレグ積層体を用いる。プリプレグの積層枚数は、作製するプリプレグ積層体を硬化させた成形体の用途に合わせて適宜設定することができる。
<成型体>
本発明に係る成型体は、上述した本発明のプリプレグ又はプリプレグ積層体をプレス成型(加熱加圧処理)することにより得られる。
本発明に係る成型体は、上述した本発明のプリプレグ又はプリプレグ積層体をプレス成型(加熱加圧処理)することにより得られる。
(成型体の製造方法)
プリプレグのプレス成型に用いられる金型は、特に制限されず、本発明のプリプレグを高温高圧下で硬化させることのできる金型であればよく、金型を閉じた時に該金型の内部を気密に保つことのできる構造を有するものを用いることが好ましい。なお、本明細書で説明する「気密」とは、金型を満たすのに十分な量の成型材料を金型内に入れ、加圧した際に、成型材料を構成する樹脂組成物が金型から実質的に漏れ出さない状態のことをいう。
プリプレグのプレス成型に用いられる金型は、特に制限されず、本発明のプリプレグを高温高圧下で硬化させることのできる金型であればよく、金型を閉じた時に該金型の内部を気密に保つことのできる構造を有するものを用いることが好ましい。なお、本明細書で説明する「気密」とは、金型を満たすのに十分な量の成型材料を金型内に入れ、加圧した際に、成型材料を構成する樹脂組成物が金型から実質的に漏れ出さない状態のことをいう。
内部を気密に保つことのできる金型としては、金型を締めた時に上型・下型(雄型・雌型)が接触する部分にシアエッジ構造やゴムシール構造を採用した金型等が挙げられる。また、金型の内部を気密に保つことのできるものであれば、公知のいかなる構造を採用した金型であってもよい。
ここで、成型体をプレス成型する際の温度は、100〜200℃が好ましく、120〜180℃がより好ましい。また、プレス成型時の圧力は、1.0〜15.0MPaが好ましく、2.0〜10.0MPaがより好ましい。このような条件で本発明のプリプレグを加熱、加圧することにより、本発明の90°曲げ強度に優れる成型体が得られやすくなる。
なお、本発明のプリプレグを加熱加圧処理して硬化することで得られる成型体は、成形後の樹脂組成物がどのような状態で存在するのか等について、詳細に特定することは困難である。即ち、本発明の成形体には、その構造又は特性によって直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的ではないという事情(不可能・非実際的事情)が存在する。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
<使用原料>
本実施例において、樹脂組成物(R)及びプリプレグの調製に用いた原料は、以下のとおりである。
本実施例において、樹脂組成物(R)及びプリプレグの調製に用いた原料は、以下のとおりである。
[エポキシ樹脂(A)]
(A−1):「jER828」(製品名、三菱化学(株)製、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量:エポキシ当量189g/eq.、質量平均分子量:370)。
(A−2):「jER1002」(製品名、三菱化学(株)製、ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(エポキシ当量:650g/eq.、質量平均分子量:3200)。
(A−3):「変性エポキシ樹脂」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189g/eq、三菱化学(株)製、商品名:jER828)と、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化工業(株)製、商品名:セイカキュアーS)とをjER828/4,4’−ジアミノジフェニルスルホン=100/9の質量比で室温にて混合した後、150℃にて混合加熱して得た反応物。エポキシ樹脂と分子内に少なくとも一つの硫黄原子を有するアミン化合物との反応生成物を主成分とする混合物。エポキシ当量266g/eq.、質量平均分子量:2380)。
(A−4):「N775」(製品名:DIC(株)製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂)(エポキシ当量:189g/eq.、質量平均分子量:480))。
(A−5):「jER604」(製品名:三菱化学(株)製、アミノフェノールメタン型エポキシ樹脂(エポキシ当量:120g/eq.、質量平均分子量:480))。
(A−1):「jER828」(製品名、三菱化学(株)製、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量:エポキシ当量189g/eq.、質量平均分子量:370)。
(A−2):「jER1002」(製品名、三菱化学(株)製、ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(エポキシ当量:650g/eq.、質量平均分子量:3200)。
(A−3):「変性エポキシ樹脂」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189g/eq、三菱化学(株)製、商品名:jER828)と、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化工業(株)製、商品名:セイカキュアーS)とをjER828/4,4’−ジアミノジフェニルスルホン=100/9の質量比で室温にて混合した後、150℃にて混合加熱して得た反応物。エポキシ樹脂と分子内に少なくとも一つの硫黄原子を有するアミン化合物との反応生成物を主成分とする混合物。エポキシ当量266g/eq.、質量平均分子量:2380)。
(A−4):「N775」(製品名:DIC(株)製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂)(エポキシ当量:189g/eq.、質量平均分子量:480))。
(A−5):「jER604」(製品名:三菱化学(株)製、アミノフェノールメタン型エポキシ樹脂(エポキシ当量:120g/eq.、質量平均分子量:480))。
[硬化剤(B)]
(B−1):「Dicyanex(登録商標) 1400F」(製品名:AirProducts(株)製、ジシアンジアミド)。
(B−2):「2MZA−PW」(製品名、四国化成工業(株)製、2、4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン)。
(B−3):「オミキュア24」(製品名、ピイ・ティ・アイ・ジャパン社製、1,1‘−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビス(3,3−ジメチルウレア)。
(B−4):「jERキュア(登録商標) U」(製品名:三菱化学(株)製、(脂肪族ポリアミン))。
(B−1):「Dicyanex(登録商標) 1400F」(製品名:AirProducts(株)製、ジシアンジアミド)。
(B−2):「2MZA−PW」(製品名、四国化成工業(株)製、2、4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン)。
(B−3):「オミキュア24」(製品名、ピイ・ティ・アイ・ジャパン社製、1,1‘−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビス(3,3−ジメチルウレア)。
(B−4):「jERキュア(登録商標) U」(製品名:三菱化学(株)製、(脂肪族ポリアミン))。
[ビニル重合体粒子(C)]
(C−1):後述する製造例1で調製されたビニル重合体粒子(一次粒子の平均粒子径:0.7μm)。
(C−2):後述する製造例2で調製されたビニル重合体粒子(一次粒子の平均粒子径:0.7μm)。
(C−3):後述する製造例3で調製されたビニル重合体粒子(一次粒子の平均粒子径:0.7μm)。
(C’−1):「MP1000」(製品名、綜研化学(株)製、アクリル系コアシェル型微粒)(一次粒子の平均粒子径:0.3μm)。
(C−1):後述する製造例1で調製されたビニル重合体粒子(一次粒子の平均粒子径:0.7μm)。
(C−2):後述する製造例2で調製されたビニル重合体粒子(一次粒子の平均粒子径:0.7μm)。
(C−3):後述する製造例3で調製されたビニル重合体粒子(一次粒子の平均粒子径:0.7μm)。
(C’−1):「MP1000」(製品名、綜研化学(株)製、アクリル系コアシェル型微粒)(一次粒子の平均粒子径:0.3μm)。
以下、ビニル重合体粒子(C−1)〜(C−3)の製造に用いた原料を示す。
・MMA:三菱レイヨン(株)製、メチルメタクリレート。
・MAA:三菱レイヨン(株)製、メタクリル酸。
・n−BMA:三菱レイヨン(株)製、n−ブチルメタクリレート。
・t−BMA:三菱レイヨン(株)製、t−ブチルメタクリレート。
・2−HEMA:三菱レイヨン(株)製、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル。
・GMA:三菱レイヨン(株)製、グリシジルメタクリレート。
・過硫酸カリウム:シグマアルドリッチジャパン(株)製 試薬特級。
・「ぺレックスOT−P」:製品名、花王(株)製、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム。
・「ぺレックスSS−L」:製品名、花王(株)製、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム。
・AIBN:大塚化学(株)製、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル。
・「エマルゲン106」:製品名、花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル。
・MMA:三菱レイヨン(株)製、メチルメタクリレート。
・MAA:三菱レイヨン(株)製、メタクリル酸。
・n−BMA:三菱レイヨン(株)製、n−ブチルメタクリレート。
・t−BMA:三菱レイヨン(株)製、t−ブチルメタクリレート。
・2−HEMA:三菱レイヨン(株)製、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル。
・GMA:三菱レイヨン(株)製、グリシジルメタクリレート。
・過硫酸カリウム:シグマアルドリッチジャパン(株)製 試薬特級。
・「ぺレックスOT−P」:製品名、花王(株)製、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム。
・「ぺレックスSS−L」:製品名、花王(株)製、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム。
・AIBN:大塚化学(株)製、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル。
・「エマルゲン106」:製品名、花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル。
[強化繊維基材]
・炭素繊維束:「TRW4050L」(製品名、三菱レイヨン(株)製)(引張強度4.1GPa、引張弾性率240GPa、フィラメント数50000本、目付3.75g/m)。
・炭素繊維束:「TRW4050L」(製品名、三菱レイヨン(株)製)(引張強度4.1GPa、引張弾性率240GPa、フィラメント数50000本、目付3.75g/m)。
<製造例1:ビニル重合体粒子(C−1)の調製>
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した2リットルの4つ口フラスコに、イオン交換水584gを入れ、30分間窒素ガスを充分に通気し、イオン交換水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、MMA26.1g、n−BMA19.9g、開始剤として過硫酸カリウム0.4g、及びイオン交換水19.6g(ビニル単量体混合物(c1−1))を添加し、1時間重合を行った。
これに、MMA205.5g、n−BMA194.5g、ぺレックスOT−P3.6g、及びイオン交換水200gを予め混合したもの(ビニル単量体混合物(c1−2))を、滴下によって投入した。
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した2リットルの4つ口フラスコに、イオン交換水584gを入れ、30分間窒素ガスを充分に通気し、イオン交換水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、MMA26.1g、n−BMA19.9g、開始剤として過硫酸カリウム0.4g、及びイオン交換水19.6g(ビニル単量体混合物(c1−1))を添加し、1時間重合を行った。
これに、MMA205.5g、n−BMA194.5g、ぺレックスOT−P3.6g、及びイオン交換水200gを予め混合したもの(ビニル単量体混合物(c1−2))を、滴下によって投入した。
その後、ビニル単量体混合物(c1−1)とビニル単量体混合物(c1−2)の重合による発熱が見られなくなった後、1時間保持し、予め混合しておいたビニル単量体混合物(c1−3)(MMA382.7g、MAA17.3g、ぺレックスOT−P4.0g、エマルゲン106 4.0g、及びイオン交換水200gを混合したもの)を投入した。投入後、80℃にて1時間攪拌を継続して、ビニル重合体粒子分散液(CL1)を得た。
そして、上記のビニル重合体粒子分散液(CL1)を、L−8型スプレードライヤー(大河原化工機(株)製)を用いて噴霧乾燥し(入口温度/出口温度=150/65℃、ディスク回転数25000rpm)、ビニル重合体粒子(C−1)を得た。得られたビニル重合体粒子(C−1)の一次粒子径の平均粒子径は0.7μmであった。
なお、ビニル重合体粒子(C−1)において、シェル層(最外の乳化重合体層(i))はビニル単量体混合物(c1−3)の重合により形成された層である。また、ビニル単量体混合物(c1−1)及びビニル単量体混合物(c1−2)が各々重合してなる部分は、コア層(その他の乳化重合体層(ii))に相当する。ビニル重合体粒子(C−1)におけるシェル層とコア層の質量比(シェル層:コア層((i)層:(ii)層))は50:50であった。また、シェル層のTgは109.1℃、SP値は20.58[(J/cm3)1/2]であった。
なお、ビニル重合体粒子(C−1)において、シェル層(最外の乳化重合体層(i))はビニル単量体混合物(c1−3)の重合により形成された層である。また、ビニル単量体混合物(c1−1)及びビニル単量体混合物(c1−2)が各々重合してなる部分は、コア層(その他の乳化重合体層(ii))に相当する。ビニル重合体粒子(C−1)におけるシェル層とコア層の質量比(シェル層:コア層((i)層:(ii)層))は50:50であった。また、シェル層のTgは109.1℃、SP値は20.58[(J/cm3)1/2]であった。
<製造例2:ビニル重合体粒子(C−2)の調製>
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した2リットルの4つ口フラスコに、イオン交換水544gを入れ、30分間窒素ガスを充分に通気し、イオン交換水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点でMMA26.1g、n−BMA19.9g、開始剤として過硫酸カリウム0.4g及びイオン交換水16.0g(ビニル単量体混合物(c2−1)を添加し、1時間重合を行った。
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した2リットルの4つ口フラスコに、イオン交換水544gを入れ、30分間窒素ガスを充分に通気し、イオン交換水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点でMMA26.1g、n−BMA19.9g、開始剤として過硫酸カリウム0.4g及びイオン交換水16.0g(ビニル単量体混合物(c2−1)を添加し、1時間重合を行った。
ここに、MMA334.1g、t−BMA316.1g、2−HEMA21.7g、ぺレックスOT−P6.1g、及びイオン交換水251.2gを予め混合したもの(ビニル単量体混合物(c2−2))を、滴下によって投入した。
その後、ビニル単量体混合物(c2−1)とビニル単量体混合物(c2−2)の重合による発熱が見られなくなった後、1時間保持し、予め混合しておいた単量体混合物(c2−3)(MMA77.0g、2−HEMA3.0g、ぺレックスOT−P0.8g、及びイオン交換水28gを混合したもの)を投入した。投入後、80℃にて1時間攪拌を継続して、ビニル重合体粒子分散液(CL2)を得た。
そして、ビニル重合体粒子分散液(CL2)をL−8型スプレードライヤー(大河原化工機(株)製)を用いて噴霧乾燥し(入口温度/出口温度=150/65℃、ディスク回転数25000rpm)、ビニル重合体粒子(C−2)を得た。得られたビニル重合体粒子(C−2)の一次粒子の平均粒子径は0.7μmであった。
なお、ビニル重合体粒子(C−2)において、シェル層(最外の乳化重合体層(i))はビニル単量体混合物(c2−3)の重合により形成された層である。また、ビニル単量体混合物(c2−1)及びビニル単量体混合物(c2−2)が各々重合してなる部分は、コア層(その他の乳化重合体層(ii))に相当する。ビニル重合体粒子(C−2)におけるシェル層とコア層の質量比(シェル層:コア層((i)層:(ii)層))は、10:90であった。シェル層のTgは102℃、SP値は20.53[(J/cm3)1/2]であった。
なお、ビニル重合体粒子(C−2)において、シェル層(最外の乳化重合体層(i))はビニル単量体混合物(c2−3)の重合により形成された層である。また、ビニル単量体混合物(c2−1)及びビニル単量体混合物(c2−2)が各々重合してなる部分は、コア層(その他の乳化重合体層(ii))に相当する。ビニル重合体粒子(C−2)におけるシェル層とコア層の質量比(シェル層:コア層((i)層:(ii)層))は、10:90であった。シェル層のTgは102℃、SP値は20.53[(J/cm3)1/2]であった。
<製造例3:ビニル重合体粒子(C−3)の調製>
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した2リットルの4つ口フラスコに、イオン交換水544gを入れ、30分間窒素ガスを充分に通気し、イオン交換水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点でMMA26.1g、n−BMA19.9g、開始剤として過硫酸カリウム0.16g及びイオン交換水20.0g(ビニル単量体混合物(c3−1))を添加し、1時間重合を行った。
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した2リットルの4つ口フラスコに、イオン交換水544gを入れ、30分間窒素ガスを充分に通気し、イオン交換水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点でMMA26.1g、n−BMA19.9g、開始剤として過硫酸カリウム0.16g及びイオン交換水20.0g(ビニル単量体混合物(c3−1))を添加し、1時間重合を行った。
ここに、MMA317.4g、n−BMA242.6g、GMA4.0g、ぺレックスOT−P4.0g、エマルゲン106を1.6g、AIBN0.24g及びイオン交換水280.0gを予め混合したもの(ビニル単量体混合物(c3−2))と、開始剤として過硫酸カリウム1.6g及びイオン交換水40.0gを添加したものを、滴下によって投入した。
その後、ビニル単量体混合物(c3−1)とビニル単量体混合物(c3−2)の重合による発熱が見られなくなった後、1時間保持し、予め混合しておいたビニル単量体混合物(c3−3)(MMA219.1g、MAA20.9g、OTG0.9g、ぺレックスOT−P2.4g、エマルゲン106を2.4g、及びイオン交換水120gを混合したもの)を投入した。投入後、80℃にて1時間攪拌を継続して重合を行った。
その後、ビニル単量体混合物(c3−1)及びビニル単量体混合物(c3−2)と、ビニル単量体混合物(c3−3)の重合による発熱が見られなくなった後、ビニル単量体混合物(c3−4)(MAA3.1g、イオン交換水62.5g)を投入した。投入後、80℃にて1時間攪拌を継続して、ビニル重合体粒子分散液(CL3)を得た。
そして、ビニル重合体粒子分散液(CL3)をL−8型スプレードライヤー(大河原化工機(株)製)を用いて噴霧乾燥し(入口温度/出口温度=150/65℃、ディスク回転数25000rpm)、ビニル重合体粒子(C−3)を得た。得られたビニル重合体粒子(C−3)の一次粒子の平均粒子径は0.7μmであった。
なお、ビニル重合体粒子(C−3)において、シェル層(最外の乳化重合体層(i))はビニル単量体混合物(c3−3)及びビニル単量体混合物(c3−4)の重合により形成された層である。また、ビニル単量体混合物(c3−1)及びビニル単量体混合物(c3−2)が各々重合してなる部分はコア層(その他の乳化重合体層(ii))に相当する。ビニル重合体粒子(C−3)におけるシェル層とコア層の質量比(シェル層:コア層((i)層:(ii)層))は、30:70であった。シェル層のTgは114.4℃、SP値は20.92[(J/cm3)1/2]であった。
なお、ビニル重合体粒子(C−3)において、シェル層(最外の乳化重合体層(i))はビニル単量体混合物(c3−3)及びビニル単量体混合物(c3−4)の重合により形成された層である。また、ビニル単量体混合物(c3−1)及びビニル単量体混合物(c3−2)が各々重合してなる部分はコア層(その他の乳化重合体層(ii))に相当する。ビニル重合体粒子(C−3)におけるシェル層とコア層の質量比(シェル層:コア層((i)層:(ii)層))は、30:70であった。シェル層のTgは114.4℃、SP値は20.92[(J/cm3)1/2]であった。
<製造例4:硬化剤マスターバッチ(H−1)の調製>
硬化剤(B−1)(Dicyanex 1400F)、硬化剤(B−2)(オミキュア24)、及び硬化剤(B−3)(2MZA−PW)と、エポキシ樹脂(A−1)(jER828)を、質量比で6:6:2:15の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これ、を三本ロールミルにてさらに細かく混合して、硬化剤マスターバッチ(H−1)を得た。
硬化剤(B−1)(Dicyanex 1400F)、硬化剤(B−2)(オミキュア24)、及び硬化剤(B−3)(2MZA−PW)と、エポキシ樹脂(A−1)(jER828)を、質量比で6:6:2:15の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これ、を三本ロールミルにてさらに細かく混合して、硬化剤マスターバッチ(H−1)を得た。
<製造例5:硬化剤マスターバッチ(H−2)の調製>
硬化剤(B−1)(Dicyanex 1400F)、硬化剤(B−2)(オミキュア24)、及び硬化剤(B−3)(2MZA−PW)と、エポキシ樹脂(A−1)(jER828)を、質量比で6:4:2:15の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これを、三本ロールミルにてさらに細かく混合して、硬化剤マスターバッチ(H−2)を得た。
硬化剤(B−1)(Dicyanex 1400F)、硬化剤(B−2)(オミキュア24)、及び硬化剤(B−3)(2MZA−PW)と、エポキシ樹脂(A−1)(jER828)を、質量比で6:4:2:15の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これを、三本ロールミルにてさらに細かく混合して、硬化剤マスターバッチ(H−2)を得た。
下記表1に、硬化剤マスターバッチ(H−1)及び(H−2)の組成を示す。
<製造例6:ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−1)の調製>
エポキシ樹脂(A−4)(N775)及びエポキシ樹脂(A−1)(jER828)と、ビニル重合体粒子(C−1)とを、質量比で5:10:10の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これを、三本ロールミルにてさらに細かく混合した後、ビニル重合体粒子の解砕処理を行って、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−1)を得た。
エポキシ樹脂(A−4)(N775)及びエポキシ樹脂(A−1)(jER828)と、ビニル重合体粒子(C−1)とを、質量比で5:10:10の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これを、三本ロールミルにてさらに細かく混合した後、ビニル重合体粒子の解砕処理を行って、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−1)を得た。
<製造例7:ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−2)の調製>
エポキシ樹脂(A−1)と、ビニル重合体粒子(C−1)とを、質量比で15:10の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これを、三本ロールミルにてさらに細かく混合した後、ビニル重合体粒子の解砕処理を行って、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−2)を得た。
エポキシ樹脂(A−1)と、ビニル重合体粒子(C−1)とを、質量比で15:10の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これを、三本ロールミルにてさらに細かく混合した後、ビニル重合体粒子の解砕処理を行って、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−2)を得た。
<製造例8:ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−3)の調製>
エポキシ樹脂(A−4)及びエポキシ樹脂(A−1)と、ビニル重合体粒子(C−2)とを、質量比で5:10:10の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これを、三本ロールミルにてさらに細かく混合した後、ビニル重合体粒子の解砕処理を行って、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−3)を得た。
エポキシ樹脂(A−4)及びエポキシ樹脂(A−1)と、ビニル重合体粒子(C−2)とを、質量比で5:10:10の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これを、三本ロールミルにてさらに細かく混合した後、ビニル重合体粒子の解砕処理を行って、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−3)を得た。
<製造例9:ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−4)の調製>
エポキシ樹脂(A−4)及びエポキシ樹脂(A−1)と、ビニル重合体粒子(C−3)とを、質量比で5:10:10の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これを、三本ロールミルにてさらに細かく混合した後、ビニル重合体粒子の解砕処理を行って、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−4)を得た。
エポキシ樹脂(A−4)及びエポキシ樹脂(A−1)と、ビニル重合体粒子(C−3)とを、質量比で5:10:10の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これを、三本ロールミルにてさらに細かく混合した後、ビニル重合体粒子の解砕処理を行って、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−4)を得た。
<製造例10:ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−5)の調製>
エポキシ樹脂(A−2)(jER1002)及びエポキシ樹脂(A−1)と、ビニル重合体粒子(C−1)とを、質量比で5:10:10の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これを、三本ロールミルにてさらに細かく混合した後、ビニル重合体粒子の解砕処理を行って、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−5)を得た。
エポキシ樹脂(A−2)(jER1002)及びエポキシ樹脂(A−1)と、ビニル重合体粒子(C−1)とを、質量比で5:10:10の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これを、三本ロールミルにてさらに細かく混合した後、ビニル重合体粒子の解砕処理を行って、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−5)を得た。
<製造例11:ビニル重合体粒子マスターバッチ(X’−1)の調製>
エポキシ樹脂(A−4)及びエポキシ樹脂(A−1)と、ビニル重合体粒子(C’−1)とを、質量比で5:10:10の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これを、三本ロールミルにてさらに細かく混合した後、ビニル重合体粒子の解砕処理を行って、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X’−1)を得た。
エポキシ樹脂(A−4)及びエポキシ樹脂(A−1)と、ビニル重合体粒子(C’−1)とを、質量比で5:10:10の割合となるように容器に計量し、攪拌・混合した。これを、三本ロールミルにてさらに細かく混合した後、ビニル重合体粒子の解砕処理を行って、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X’−1)を得た。
下記表2に、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−1)〜(X−5)及び(X’−1)の組成の一覧を示す。
<測定・評価方法>
[ビニル重合体粒子(C)の一次粒子の平均粒子径]
ビニル重合体粒子(C)のエマルションをイオン交換水で希釈し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、製品名:LA−910W)を用い、エマルション粒子径として体積平均一次粒子径を測定した。
[ビニル重合体粒子(C)の一次粒子の平均粒子径]
ビニル重合体粒子(C)のエマルションをイオン交換水で希釈し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、製品名:LA−910W)を用い、エマルション粒子径として体積平均一次粒子径を測定した。
[ビニル重合体粒子(C)のシェル層及びコア層のTgの求め方]
Tgは以下のFOXの式(以下、数式(3))から求められる値とする。具体的には重合体が単独重合体の場合は、高分子学会編「高分子データハンドブック」に記載されている標準的な分析値を採用し、n種類の単量体の共重合体である場合は、各単量体のTgから算出した。下記表3中に代表的な単独重合体のTgの文献値を示した。なお、下記表3中の略号は、上述のビニル重合体粒子(C)の使用原料で説明したものと同じである。
Tgは以下のFOXの式(以下、数式(3))から求められる値とする。具体的には重合体が単独重合体の場合は、高分子学会編「高分子データハンドブック」に記載されている標準的な分析値を採用し、n種類の単量体の共重合体である場合は、各単量体のTgから算出した。下記表3中に代表的な単独重合体のTgの文献値を示した。なお、下記表3中の略号は、上述のビニル重合体粒子(C)の使用原料で説明したものと同じである。
[ビニル重合体粒子(C)のシェル層及びコア層のSP値の求め方]
SP値は、シェル層及びコア層を構成するポリマーにおける繰り返し単位の、単量体のSP値(SP(Ui))を上記の数式(1)に代入して求めた。SP(Ui)はPolymer Engineering and Science,Vol.14,147(1974)に記載されているFedorsの方法にて求めた。なお、上記の表3中に、代表的な単量体のSP値(SP(Ui))を示した(但し、GMAのSP値については特開2000−1633号公報に記載の値を採用した)。
SP値は、シェル層及びコア層を構成するポリマーにおける繰り返し単位の、単量体のSP値(SP(Ui))を上記の数式(1)に代入して求めた。SP(Ui)はPolymer Engineering and Science,Vol.14,147(1974)に記載されているFedorsの方法にて求めた。なお、上記の表3中に、代表的な単量体のSP値(SP(Ui))を示した(但し、GMAのSP値については特開2000−1633号公報に記載の値を採用した)。
[樹脂組成物(R)の粘度測定]
各実施例及び比較例にて得られた樹脂組成物(R)の30℃における粘度及び最低粘度を、以下の測定条件で測定した。
・装置:レオメーター(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製、製品名:「HAAKE MARS 40 TM−EL−H」)
測定モード:応力一定・応力値300Pa
周波数:10rad/秒
プレート径:25mm
プレートタイプ:パラレルプレート
プレートギャップ:0.5mm
測定開始時のプレート温度:30℃
昇温速度:2℃/分
各実施例及び比較例にて得られた樹脂組成物(R)の30℃における粘度及び最低粘度を、以下の測定条件で測定した。
・装置:レオメーター(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製、製品名:「HAAKE MARS 40 TM−EL−H」)
測定モード:応力一定・応力値300Pa
周波数:10rad/秒
プレート径:25mm
プレートタイプ:パラレルプレート
プレートギャップ:0.5mm
測定開始時のプレート温度:30℃
昇温速度:2℃/分
<ビニル重合体粒子(C)の解砕処理>
本実施例において、二次粒子の解砕処理について評価するにあたっては、まず、上記のビニル重合体粒子マスターバッチ(X−1)〜(X−5)及び(X’−1)に関し、三本ロール((株)井上製作所製)を以下の条件で通過させ、ビニル重合体粒子(C)の二次粒子を解砕した。
本実施例において、二次粒子の解砕処理について評価するにあたっては、まず、上記のビニル重合体粒子マスターバッチ(X−1)〜(X−5)及び(X’−1)に関し、三本ロール((株)井上製作所製)を以下の条件で通過させ、ビニル重合体粒子(C)の二次粒子を解砕した。
(三本ロール)
ロール直径 120mm
ロール速度 第一ロール(投入側) 25rpm
第二ロール 60rpm
第三ロール(吐出側)170rpm
ロール間クリアランス 8〜10μm
ロール直径 120mm
ロール速度 第一ロール(投入側) 25rpm
第二ロール 60rpm
第三ロール(吐出側)170rpm
ロール間クリアランス 8〜10μm
[ビニル重合体粒子(C)の二次粒子解砕処理の観察]
下記の手順で作成した硬化樹脂板の破断面を、SEM(日本電子(株)製、製品名:「JSM−6300」)を用いて、倍率200倍で観察した。この倍率で二次粒子が確認できた場合は、二次粒子の直径(粒子径)を測定し、二次粒子が確認できなかった場合は、全ての二次粒子が一次粒子に解砕出来ていると判断した。二次粒子の平均粒子径が3μm以下では、上記の倍率では二次粒子を確認することができない。従って、200倍で観察した際に粒子が確認できない場合、つまり、二次粒子の直径が3μm以下の場合は、解砕が出来ているか、あるいは、二次粒子が非常に小さく、実質的に存在しない状態であるものと判断した。
下記の手順で作成した硬化樹脂板の破断面を、SEM(日本電子(株)製、製品名:「JSM−6300」)を用いて、倍率200倍で観察した。この倍率で二次粒子が確認できた場合は、二次粒子の直径(粒子径)を測定し、二次粒子が確認できなかった場合は、全ての二次粒子が一次粒子に解砕出来ていると判断した。二次粒子の平均粒子径が3μm以下では、上記の倍率では二次粒子を確認することができない。従って、200倍で観察した際に粒子が確認できない場合、つまり、二次粒子の直径が3μm以下の場合は、解砕が出来ているか、あるいは、二次粒子が非常に小さく、実質的に存在しない状態であるものと判断した。
(硬化樹脂板の作成方法)
上記の方法で解砕したビニル重合体粒子マスターバッチ25質量部に、エポキシ樹脂(A−1)を65質量部と、硬化剤(B−4)を20質量部加え、厚さ2mmの樹脂板を作製した。その後、その樹脂板を、さらに15時間静置して、硬化した樹脂板を得た。
上記の方法で解砕したビニル重合体粒子マスターバッチ25質量部に、エポキシ樹脂(A−1)を65質量部と、硬化剤(B−4)を20質量部加え、厚さ2mmの樹脂板を作製した。その後、その樹脂板を、さらに15時間静置して、硬化した樹脂板を得た。
<プレス成型>
各実施例及び比較例にて得られた一方向プリプレグを、298mm(繊維と平行方向)×298mm(繊維と直交方向)の寸法にカットし、繊維方向をそろえて10ply積層してプリプレグ積層体とした。そして、プリプレグ積層体にかかる面圧を4MPa、金型温度を140℃とし、5分間のプレス成型を行い、バリを除いて平板状の成型体を得た。
各実施例及び比較例にて得られた一方向プリプレグを、298mm(繊維と平行方向)×298mm(繊維と直交方向)の寸法にカットし、繊維方向をそろえて10ply積層してプリプレグ積層体とした。そして、プリプレグ積層体にかかる面圧を4MPa、金型温度を140℃とし、5分間のプレス成型を行い、バリを除いて平板状の成型体を得た。
[90°曲げ試験]
上記で得られた成型体を、湿式ダイヤモンドカッターによって、長さ(繊維と直交方向)63mm×幅(繊維と平行方向)12.7mmの寸法に切断して試験片を作製した。この試験片について、万能試験機(Instron社製、製品名:Instron4465、解析ソフト:Bluehill)を用い、ASTM D790に準拠して、圧子R:5.0、L/D:16、クロスヘッドスピード:0.78〜0.96mm/分の条件にて3点曲げ試験を行い、90゜曲げ強度を算出した。
上記で得られた成型体を、湿式ダイヤモンドカッターによって、長さ(繊維と直交方向)63mm×幅(繊維と平行方向)12.7mmの寸法に切断して試験片を作製した。この試験片について、万能試験機(Instron社製、製品名:Instron4465、解析ソフト:Bluehill)を用い、ASTM D790に準拠して、圧子R:5.0、L/D:16、クロスヘッドスピード:0.78〜0.96mm/分の条件にて3点曲げ試験を行い、90゜曲げ強度を算出した。
<参考例1>
エポキシ樹脂(A−1)(jER828)を15質量部と、ビニル重合体粒子(C−1)を10質量部計量し、室温にて「マゼルスターKK250s」(製品名、倉敷紡績(株)製)にて攪拌、混合を行った。次いで、得られた混合物を三本ロールにかけた。さらに、エポキシ樹脂(A−1)を65質量部と、硬化剤(B−4)(jERキュア U)を20質量部加え、厚さ2mmtの樹脂板を作成した。その後、さらに15時間静置して、硬化した樹脂板を得た。
そして、硬化樹脂板の破断面のSEM観察を行い、二次粒子の有無を観察した。この結果を下記表4に示す。
エポキシ樹脂(A−1)(jER828)を15質量部と、ビニル重合体粒子(C−1)を10質量部計量し、室温にて「マゼルスターKK250s」(製品名、倉敷紡績(株)製)にて攪拌、混合を行った。次いで、得られた混合物を三本ロールにかけた。さらに、エポキシ樹脂(A−1)を65質量部と、硬化剤(B−4)(jERキュア U)を20質量部加え、厚さ2mmtの樹脂板を作成した。その後、さらに15時間静置して、硬化した樹脂板を得た。
そして、硬化樹脂板の破断面のSEM観察を行い、二次粒子の有無を観察した。この結果を下記表4に示す。
<参考例2>
エポキシ樹脂(A−1)を12質量部及びエポキシ樹脂(A−4)(N775)を3質量部と、ビニル重合体粒子(C−1)を10質量部計量し、室温にて「マゼルスターKK250s」(製品名、倉敷紡績(株)製)にて攪拌、混合を行った。次いで、得られた混合物を三本ロールにかけた。さらに、エポキシ樹脂(A−1)を65質量部と、硬化剤(B−4)を20質量部加え、厚さ2mmtの樹脂板を作成した。その後、さらに15時間静置して、硬化した樹脂板を得た。
そして、硬化樹脂板の破断面のSEM観察を行い、二次粒子の有無を観察した。この結果を下記表4に示す。
エポキシ樹脂(A−1)を12質量部及びエポキシ樹脂(A−4)(N775)を3質量部と、ビニル重合体粒子(C−1)を10質量部計量し、室温にて「マゼルスターKK250s」(製品名、倉敷紡績(株)製)にて攪拌、混合を行った。次いで、得られた混合物を三本ロールにかけた。さらに、エポキシ樹脂(A−1)を65質量部と、硬化剤(B−4)を20質量部加え、厚さ2mmtの樹脂板を作成した。その後、さらに15時間静置して、硬化した樹脂板を得た。
そして、硬化樹脂板の破断面のSEM観察を行い、二次粒子の有無を観察した。この結果を下記表4に示す。
<参考例3>
エポキシ樹脂(A−1)を10質量部及びエポキシ樹脂(A−4)を5質量部と、ビニル重合体粒子(C−1)を10質量部計量し、室温にて「マゼルスターKK250s」(製品名、倉敷紡績(株)製)にて攪拌、混合を行った。次いで、得られた混合物を三本ロールにかけた。さらに、エポキシ樹脂(A−1)を65質量部と、硬化剤(B−4)を20質量部加え、厚さ2mmtの樹脂板を作成した。その後、さらに15時間静置して、硬化した樹脂板を得た。
そして、硬化樹脂板の破断面のSEM観察を行い、二次粒子の有無を観察した。この結果を下記表4に示す。
エポキシ樹脂(A−1)を10質量部及びエポキシ樹脂(A−4)を5質量部と、ビニル重合体粒子(C−1)を10質量部計量し、室温にて「マゼルスターKK250s」(製品名、倉敷紡績(株)製)にて攪拌、混合を行った。次いで、得られた混合物を三本ロールにかけた。さらに、エポキシ樹脂(A−1)を65質量部と、硬化剤(B−4)を20質量部加え、厚さ2mmtの樹脂板を作成した。その後、さらに15時間静置して、硬化した樹脂板を得た。
そして、硬化樹脂板の破断面のSEM観察を行い、二次粒子の有無を観察した。この結果を下記表4に示す。
<参考例4>
エポキシ樹脂(A−1)を8質量部及びエポキシ樹脂(A−4)を7質量部と、ビニル重合体粒子(C−1)を10質量部計量し、室温にて「マゼルスターKK250s」(製品名、倉敷紡績(株)製)にて攪拌、混合を行った。次いで、得られた混合物を三本ロールにかけた。さらに、エポキシ樹脂(A−1)を65質量部と、硬化剤(B−4)を20質量部加え、厚さ2mmtの樹脂板を作成した。その後、さらに15時間静置して、硬化した樹脂板を得た。
そして、硬化樹脂板の破断面のSEM観察を行い、二次粒子の有無を観察した。この結果を下記表4に示す。
エポキシ樹脂(A−1)を8質量部及びエポキシ樹脂(A−4)を7質量部と、ビニル重合体粒子(C−1)を10質量部計量し、室温にて「マゼルスターKK250s」(製品名、倉敷紡績(株)製)にて攪拌、混合を行った。次いで、得られた混合物を三本ロールにかけた。さらに、エポキシ樹脂(A−1)を65質量部と、硬化剤(B−4)を20質量部加え、厚さ2mmtの樹脂板を作成した。その後、さらに15時間静置して、硬化した樹脂板を得た。
そして、硬化樹脂板の破断面のSEM観察を行い、二次粒子の有無を観察した。この結果を下記表4に示す。
<参考例5>
エポキシ樹脂(A−1)を5質量部及びエポキシ樹脂(A−4)を10質量部と、ビニル重合体粒子(C−1)を10質量部計量し、室温にて「マゼルスターKK250s」(製品名、倉敷紡績(株)製)にて攪拌、混合を行った。次いで、得られた混合物を三本ロールにかけたが、三本ロールを樹脂が通過できなかった。この結果を下記表4に示す。
エポキシ樹脂(A−1)を5質量部及びエポキシ樹脂(A−4)を10質量部と、ビニル重合体粒子(C−1)を10質量部計量し、室温にて「マゼルスターKK250s」(製品名、倉敷紡績(株)製)にて攪拌、混合を行った。次いで、得られた混合物を三本ロールにかけたが、三本ロールを樹脂が通過できなかった。この結果を下記表4に示す。
表4に示す結果より、ビニル重合体粒子(C)(コアシェル粒子)を分散させるエポキシ樹脂(A)の30℃における粘度は、1.0×102Pa・s以上1.0×104Pa・s以下であることが好ましいことがわかる。即ち、エポキシ樹脂(A)の30℃の粘度が上記範囲内であれば、ビニル重合体粒子(C)に含まれる二次粒子をより効果的に解砕処理できることがわかる。
<実施例1>
溶解釜にエポキシ樹脂(A−1)(jER828)を45質量部、エポキシ樹脂(A−3)(変性エポキシ樹脂)を5質量部と、エポキシ樹脂(A−4)(N775)を20質量部計量し、溶解釜を80℃に加熱し混合した後60℃程度まで冷却した。引き続き、この溶解釜に、先に調製した硬化剤マスターバッチ(H−1)を29質量部、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−1)を25質量部加え、60℃で攪拌し樹脂組成物1を得た。
溶解釜にエポキシ樹脂(A−1)(jER828)を45質量部、エポキシ樹脂(A−3)(変性エポキシ樹脂)を5質量部と、エポキシ樹脂(A−4)(N775)を20質量部計量し、溶解釜を80℃に加熱し混合した後60℃程度まで冷却した。引き続き、この溶解釜に、先に調製した硬化剤マスターバッチ(H−1)を29質量部、ビニル重合体粒子マスターバッチ(X−1)を25質量部加え、60℃で攪拌し樹脂組成物1を得た。
得られた樹脂組成物1の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、9.6×101Pa・sであった。
また、得られた樹脂組成物1を厚さ2mmtの樹脂板にして、140℃のオーブンで40分間硬化させて、樹脂板を得た。そして、硬化樹脂板の破断面のSEM観察を行ったところ、粒子径が3μm超の二次粒子は確認されなかったため、全て一次粒子に解砕されたか、あるいは、二次粒子が非常に小さく、実質的に存在しない状態であると判断した。
さらに、得られた樹脂組成物1を、ヒラノテクシード製マルチコーター M−500型を用い、60℃で離型紙上に塗布して、樹脂フィルムを得た。
次いで、得られた樹脂フィルムの樹脂塗布面上に炭素繊維束をドラムワインドにて巻き付け、同じフィルムで挟み込み、樹脂組成物1を含浸させることにより、一方向プリプレグ1を得た。得られたプリプレグ1について、目付けを測定したところ、繊維含有量は247g/m2であり、樹脂含有率は32.5%(質量%。以下同様)であった。
そして、得られたプリプレグ1を積層し、プレス成型を行って成型体1を得た。この成型体1の90°曲げ強度を下記表5に示す。
次いで、得られた樹脂フィルムの樹脂塗布面上に炭素繊維束をドラムワインドにて巻き付け、同じフィルムで挟み込み、樹脂組成物1を含浸させることにより、一方向プリプレグ1を得た。得られたプリプレグ1について、目付けを測定したところ、繊維含有量は247g/m2であり、樹脂含有率は32.5%(質量%。以下同様)であった。
そして、得られたプリプレグ1を積層し、プレス成型を行って成型体1を得た。この成型体1の90°曲げ強度を下記表5に示す。
<実施例2>
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物2を得た。
得られた樹脂組成物2の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、5.9×101Pa・sであった。
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物2を得た。
得られた樹脂組成物2の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、5.9×101Pa・sであった。
また、得られた樹脂組成物2と炭素繊維束を用いて、実施例1と同様にプリプレグ2を得た。得られたプリプレグ2について、目付けを測定したところ、繊維含有量は242g/m2であり、樹脂含有率は32.9%であった。
そして、得られたプリプレグ2を積層してプレス成型を行い、成型体2を得た。この成型体2の90°曲げ強度を下記表5に示す。
そして、得られたプリプレグ2を積層してプレス成型を行い、成型体2を得た。この成型体2の90°曲げ強度を下記表5に示す。
<実施例3>
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物3を得た。
得られた樹脂組成物3の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、7.6×101Pa・sであった。
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物3を得た。
得られた樹脂組成物3の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、7.6×101Pa・sであった。
また、得られた樹脂組成物3と炭素繊維束を用いて、実施例1と同様にプリプレグ3を得た。得られたプリプレグ3について、目付けを測定したところ、繊維含有量は247g/m2であり、樹脂含有率は31.4%であった。
そして、得られたプリプレグ3を積層してプレス成型を行い、成型体3を得た。この成型体3の90°曲げ強度を下記表5に示す。
そして、得られたプリプレグ3を積層してプレス成型を行い、成型体3を得た。この成型体3の90°曲げ強度を下記表5に示す。
<実施例4>
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物4を得た。
得られた樹脂組成物4の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、8.0×101Pa・sであった。
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物4を得た。
得られた樹脂組成物4の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、8.0×101Pa・sであった。
また、得られた樹脂組成物4と炭素繊維束を用いて、実施例1と同様にプリプレグ4を得た。得られたプリプレグ4について、目付けを測定したところ、繊維含有量は251g/m2であり、樹脂含有率は31.1%であった。
そして、プリプレグ4を積層してプレス成型を行い、成型体4を得た。この成型体4の90°曲げ強度を下記表5に示す。
そして、プリプレグ4を積層してプレス成型を行い、成型体4を得た。この成型体4の90°曲げ強度を下記表5に示す。
<実施例5>
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物5を得た。
得られた樹脂組成物5の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、9.0×101Pa・sであった。
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物5を得た。
得られた樹脂組成物5の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、9.0×101Pa・sであった。
得られた樹脂組成物5と炭素繊維束を用いて、実施例1と同様にプリプレグ5を得た。得られたプリプレグ5について、目付けを測定したところ、繊維含有量は259g/m2であり、樹脂含有率は31.0%であった。
そして、プリプレグ5を積層してプレス成型を行い、成型体5を得た。この成型体5の90°曲げ強度を下記表5に示す。
そして、プリプレグ5を積層してプレス成型を行い、成型体5を得た。この成型体5の90°曲げ強度を下記表5に示す。
<実施例6>
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物6を得た。
得られた樹脂組成物6の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、7.6×102Pa・sであった。
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物6を得た。
得られた樹脂組成物6の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、7.6×102Pa・sであった。
得られた樹脂組成物6と炭素繊維束を用いて、実施例1と同様にプリプレグ6を得た。得られたプリプレグ6について、目付けを測定したところ、繊維含有量は248g/m2であり、樹脂含有率は31.8%であった。
そして、プリプレグ6を積層してプレス成型を行い、成型体6を得た。この成型体6の90°曲げ強度を下記表5に示す。
そして、プリプレグ6を積層してプレス成型を行い、成型体6を得た。この成型体6の90°曲げ強度を下記表5に示す。
<実施例7>
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物7を得た。
得られた樹脂組成物7の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、2.2×103Pa・sであった。
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物7を得た。
得られた樹脂組成物7の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、2.2×103Pa・sであった。
得られた樹脂組成物7と炭素繊維束を用いて、実施例1と同様にプリプレグ7を得た。得られたプリプレグ7について、目付けを測定したところ、繊維含有量は251g/m2であり、樹脂含有率は32.1%であった。
そして、プリプレグ7を積層してプレス成型を行い、成型体7を得た。この成型体7の90°曲げ強度を下記表5に示す。
そして、プリプレグ7を積層してプレス成型を行い、成型体7を得た。この成型体7の90°曲げ強度を下記表5に示す。
<比較例1>
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物8を得た。
得られた樹脂組成物8の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、9.5×101Pa・sであった。
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物8を得た。
得られた樹脂組成物8の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、9.5×101Pa・sであった。
得られた樹脂組成物8と炭素繊維束を用いて、実施例1と同様にプリプレグ8を得た。得られたプリプレグ8について、目付けを測定したところ、繊維含有量は253g/m2であり、樹脂含有率は30.1%であった。
そして、プリプレグ8を積層してプレス成型を行い、成型体8を得た。この成型体8の90°曲げ強度を下記表5に示す。ここで、表4中に示したように、樹脂組成物8は、エポキシ樹脂(A)の30℃粘度が8Pa・sと低かった。そのため、樹脂組成物8中に粒子径が3μm超の二次粒子が残っており、ビニル重合体粒子が十分に解砕されていないか、あるいは、二次粒子が実質的に存在しない程度に小径化されていなかった。その結果、成型体8の曲げ強度は56MPaと低かった。
そして、プリプレグ8を積層してプレス成型を行い、成型体8を得た。この成型体8の90°曲げ強度を下記表5に示す。ここで、表4中に示したように、樹脂組成物8は、エポキシ樹脂(A)の30℃粘度が8Pa・sと低かった。そのため、樹脂組成物8中に粒子径が3μm超の二次粒子が残っており、ビニル重合体粒子が十分に解砕されていないか、あるいは、二次粒子が実質的に存在しない程度に小径化されていなかった。その結果、成型体8の曲げ強度は56MPaと低かった。
<比較例2>
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物9を得た。
得られた樹脂組成物9の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、2.2×102Pa・sであった。
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物9を得た。
得られた樹脂組成物9の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、2.2×102Pa・sであった。
得られた樹脂組成物9と炭素繊維束を用いて、実施例1と同様にプリプレグ9を得た。得られたプリプレグ9について、目付けを測定したところ、繊維含有量は250g/m2であり、樹脂含有率は30.6%であった。
そして、プリプレグ9を積層してプレス成型を行い、成型体9を得た。この成型体9の90°曲げ強度を下記表5に示す。ここで、樹脂組成物9は、組成中にビニル重合体粒子(C)を40質量部含むものである。その結果、樹脂組成物9中に二次粒子は確認されなかったものの、成型体9の90°曲げ強度は65MPaと低かった。
そして、プリプレグ9を積層してプレス成型を行い、成型体9を得た。この成型体9の90°曲げ強度を下記表5に示す。ここで、樹脂組成物9は、組成中にビニル重合体粒子(C)を40質量部含むものである。その結果、樹脂組成物9中に二次粒子は確認されなかったものの、成型体9の90°曲げ強度は65MPaと低かった。
<比較例3>
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物10を得た。
得られた樹脂組成物10の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、1.7×102Pa・sであった。
配合成分を下記表5に示す組成とした点以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物10を得た。
得られた樹脂組成物10の粘度を測定したところ、30℃における粘度は、1.7×102Pa・sであった。
得られた樹脂組成物10と炭素繊維束を用いて、実施例1と同様にプリプレグ10を得た。得られたプリプレグ10について、目付けを測定したところ、繊維含有量は252g/m2であり、樹脂含有率は30.5%であった。
そして、プリプレグ10を積層してプレス成型を行い、成型体10を得た。この成型体10の90°曲げ強度を下記表5に示す。ここで、樹脂組成物10には、一次粒子の平均粒子径が0.3μmのビニル重合体粒子が含まれる。その結果、樹脂組成物10中には二次粒子は確認されなかったものの、成型体10の90°曲げ強度は67MPaと低かった。
そして、プリプレグ10を積層してプレス成型を行い、成型体10を得た。この成型体10の90°曲げ強度を下記表5に示す。ここで、樹脂組成物10には、一次粒子の平均粒子径が0.3μmのビニル重合体粒子が含まれる。その結果、樹脂組成物10中には二次粒子は確認されなかったものの、成型体10の90°曲げ強度は67MPaと低かった。
表5に示す結果より、本発明を適用した実施例1〜7では、90°曲げ強度に優れる成型体が得られた。一方、本発明の範囲外である比較例1〜3では、得られた成型体の90°曲げ強度が、本発明のものよりも低かった。
以上説明した実施例の結果より、本発明の樹脂組成物及びその製造方法によれば、二次粒子を実質的に含まないことで、90°曲げ強度に優れる成型体を製造可能なプリプレグを提供できることが明らかとなった。また、本発明のプリプレグは、90°曲げ強度に優れる成型体を製造できることが明らかとなった。さらに、本発明の成型体は、90°曲げ強度に優れることが明らかとなった。
Claims (7)
- エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、ビニル重合体粒子(C)とを含む樹脂組成物(R)であって、
前記ビニル重合体粒子(C)は、アクリル樹脂からなるコア層及びシェル層を有するコアシェル粒子であり、
前記樹脂組成物(R)中における前記ビニル重合体粒子(C)の含有量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して2質量部以上30質量部以下であり、
前記ビニル重合体粒子(C)の一次粒子の平均粒子径が0.5μm以上1.0μm以下であり、
前記樹脂組成物(R)の30℃における粘度が、3.0×101Pa・s以上5.0×103Pa・s以下であり、
前記樹脂組成物(R)中における前記ビニル重合体粒子(C)の二次粒子の最大粒子径が3μm以下である、樹脂組成物(R)。 - 前記ビニル重合体粒子(C)における、前記シェル層のガラス転移温度が85℃以上115℃以下であり、
前記シェル層の溶解度パラメーターが20.00[(J/cm3)1/2]以上21.50[(J/cm3)1/2]以下であり、
前記シェル層と前記コア層の質量比(シェル層:コア層)が、50:50〜10:90である、請求項1に記載の樹脂組成物(R)。 - 前記ビニル重合体粒子(C)が、組成の異なる少なくとも2種類のビニル単量体混合物を2段階以上で乳化重合することでビニル重合体を含むエマルションを調整し、該ビニル重合体を含むエマルションを噴霧乾燥して得られる粒子である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物(R)。
- 前記組成の異なる少なくとも2以上のビニル単量体混合物が、いずれも、官能基を有することのできる(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸からなる群より選択される、少なくとも1つのビニル単量体を含む混合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物(R)。
- 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の樹脂組成物(R)を製造する方法であって、
30℃における粘度が1.0×102Pa・s以上1.0×104Pa・s以下であるエポキシ樹脂(A)の一部を分け取り、これに、アクリル樹脂からなるコア層及びシェル層を有したコアシェル粒子であるビニル重合体粒子(C)を混合して混合物(X)を得る工程(I)と、
前記混合物(X)中に含まれる前記ビニル重合体粒子(C)の二次粒子を解砕する工程(II)と、
前記混合物(X)中に、前記エポキシ樹脂(A)の残部、及び、硬化剤(B)を添加して混合する工程(III)と、
を含む、樹脂組成物(R)の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物(R)と、強化繊維基材とからなるプリプレグ。
- 請求項6に記載のプリプレグを、加熱加圧処理して硬化することにより得られる成型体。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017073005A JP2018172603A (ja) | 2017-03-31 | 2017-03-31 | 樹脂組成物及びその製造方法、プリプレグ、並びに成型体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019098028A1 (ja) * | 2017-11-16 | 2019-05-23 | 三菱ケミカル株式会社 | 熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、ならびに繊維強化複合材料およびその製造方法 |
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2017
- 2017-03-31 JP JP2017073005A patent/JP2018172603A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019098028A1 (ja) * | 2017-11-16 | 2019-05-23 | 三菱ケミカル株式会社 | 熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、ならびに繊維強化複合材料およびその製造方法 |
US10988589B2 (en) | 2017-11-16 | 2021-04-27 | Mitsubishi Chemical Corporation | Thermosetting resin composition, prepreg, and fiber-reinforced composite material and production method therefor |
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