JP2018172031A - 車両用ブレーキシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 電動ブレーキを備えた車両用ブレーキシステムであって、低コストで信頼性の高い車両用ブレーキシステムを提供する。【解決手段】 車両用ブレーキシステム1は、モータ80,81を少なくとも1つ備える電動ブレーキ16a〜16dと、相互に接続された複数のコントローラを備える制御装置(10,11)と、を備える。複数のコントローラは、少なくともマスタコントローラ30と、サブコントローラまたはスレーブコントローラとを含む。マスタコントローラ30は、ドライバ61,63を制御可能なドライバ制御部301と、電動ブレーキ16a〜16dの制動力を演算する制動力演算部と、を含む。第1の制御装置10は、マスタコントローラ30を備える。第2の制御装置11は、サブコントローラまたはスレーブコントローラを備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、電動ブレーキを備えた信頼性の高い車両用ブレーキシステムに関する。
多数の制御装置と多数のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)を搭載した電動ブレーキシステムが提案されている(特許文献1)。このシステムでは、中央制御装置と各車輪用の制御装置とを備え、各車輪用の制御装置に主制御用と監視用とで同じマイコンを2つ搭載しているため、システム全体のコストが高くなる傾向がある。
特開2001−138882号公報
本発明は、電動ブレーキを備えた車両用ブレーキシステムであって、低コストで信頼性の高い車両用ブレーキシステムを提供することを目的とする。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例に係る車両用ブレーキシステムは、
摩擦パッドをロータ側に押圧するための電動アクチュエータを少なくとも1つ備える電動ブレーキと、前記電動アクチュエータを駆動するドライバと、相互に接続された複数のコントローラを備える制御装置と、を備える車両用ブレーキシステムにおいて、
前記複数のコントローラは、少なくともマスタコントローラと、サブコントローラまたはスレーブコントローラとを含み、
前記マスタコントローラは、前記ドライバを制御するドライバ制御部と、前記電動ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、車両の挙動を制御する挙動制御部と、を含み、
前記サブコントローラは、前記ドライバを制御するドライバ制御部と、前記電動ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、を含み、
前記スレーブコントローラは、前記マスタコントローラ及び前記サブコントローラの少なくとも1つのコントローラの制動力演算結果に基づいて前記ドライバを制御するドライバ制御部を含み、
前記制御装置は、前記マスタコントローラを備える第1の制御装置と、前記サブコントローラまたは前記スレーブコントローラを備える第2の制御装置と、を含むことを特徴とする。
本適用例に係る車両用ブレーキシステムによれば、2つの制御装置によって別々の制御を行うことで当該システムにおける冗長化を達成することができる。また、本適用例に係る車両用ブレーキシステムによれば、比較的高価なマスタコントローラを複数搭載しないことにより低コスト化を実現できる。
[適用例2]
上記適用例に係る車両用ブレーキシステムにおいて、
前記第1の制御装置は、さらに前記サブコントローラ及び前記スレーブコントローラを備えることができる。
本適用例に係る車両用ブレーキシステムによれば、第1の制御装置におけるマスタコントローラの処理負担を軽減することができる。また、本適用例に係る車両用ブレーキシステムによれば、第1の制御装置の冗長化を達成することができる。さらに、本適用例に係る車両用ブレーキシステムによれば、マスタコントローラとサブコントローラとを状況に応じて使い分けることができる。
[適用例3]
上記適用例に係る車両用ブレーキシステムにおいて、
前記制御装置は、複数の前記第2の制御装置を含むことができる。
本適用例に係る車両用ブレーキシステムによれば、それぞれの第2の制御装置に応じた制御をすることができる。
[適用例4]
上記適用例に係る車両用ブレーキシステムにおいて、
前記車両は、4輪車であり、
前記複数の前記第2の制御装置は、
少なくとも一方の前輪の前記電動ブレーキに用いる前記サブコントローラまたは前記スレーブコントローラを備える、前輪用の前記第2の制御装置と、
少なくとも一方の後輪の前記電動ブレーキに用いる前記サブコントローラまたは前記スレーブコントローラを備える、後輪用の前記第2の制御装置と、
を含むことができる。
本適用例に係る車両用ブレーキシステムによれば、第2の制御装置ごとに前後別々の車輪に応じた電動ブレーキの制御をすることができる。
[適用例5]
上記適用例に係る車両用ブレーキシステムにおいて、
前記複数の前記第2の制御装置は、
少なくとも2つの前記前輪用の前記第2の制御装置と、
1つの前記後輪用の前記第2の制御装置と、
で構成することができる。
本適用例に係る車両用ブレーキシステムによれば、第2の制御装置ごとに前後の車輪に応じた電動ブレーキの制御をすることができると共に、左右の前輪に応じた電動ブレーキの制御ができ、かつ、当該システムの冗長化を達成することができる。
[適用例6]
上記適用例に係る車両用ブレーキシステムにおいて、
前記複数の前記第2の制御装置は、
少なくとも2つの前記前輪用の前記第2の制御装置と、
少なくとも2つの前記後輪用の前記第2の制御装置と、
で構成することができる。
本適用例に係る車両用ブレーキシステムによれば、第2の制御装置ごとに各車輪を個別に制御をすることができ、当該システムの冗長化を達成し、システムの信頼性を向上させることができる。
本実施形態に係る車両用ブレーキシステムを示す全体構成図である。 本実施形態に係る車両用ブレーキシステムのマスタコントローラ、第1、第2サブコントローラ及び第1スレーブコントローラを示すブロック図である。 変形例1に係る車両用ブレーキシステムを示す全体構成図である。 変形例1に係る車両用ブレーキシステムのマスタコントローラ、第1、第3サブコントローラ及び第2スレーブコントローラを示すブロック図である。 変形例2に係る車両用ブレーキシステムを示す全体構成図である。 変形例2に係る車両用ブレーキシステムのマスタコントローラ、第1、第3サブコントローラ及び第3、第4スレーブコントローラを示すブロック図である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。この説明に用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
本実施形態に係る車両用ブレーキシステムは、摩擦パッドをロータ側に押圧するための電動アクチュエータを少なくとも1つ備える電動ブレーキと、前記電動アクチュエータを駆動するドライバと、相互に接続された複数のコントローラを備える制御装置と、を備える車両用ブレーキシステムにおいて、前記複数のコントローラは、少なくともマスタコントローラと、サブコントローラまたはスレーブコントローラとを含み、前記マスタコントローラは、前記ドライバを制御するドライバ制御部と、前記電動ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、車両の挙動を制御する挙動制御部と、を含み、前記サブコントローラは、前記ドライバを制御するドライバ制御部と、前記電動ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、を含み、前記スレーブコントローラは、前記マスタコントローラ及び前記サブコントローラの少なくとも1つのコントローラの制動力演算結果に基づいて前記ドライバを制御するドライバ制御部を含み、前記制御装置は、前記マスタコントローラを備える第1の制御装置と、前記サブコントローラまたは前記スレーブコントローラを備える第2の制御装置と、を含むことを特徴とする。
1.車両用ブレーキシステム
図1及び図2を用いて本実施形態に係る車両用ブレーキシステム1について詳細に説明する。図1は本実施形態に係る車両用ブレーキシステム1を示す全体構成図であり、図2は本実施形態に係る車両用ブレーキシステム1のマスタコントローラ30、第1、第2サブコントローラ40,41及び第1スレーブコントローラ50を示すブロック図である。
図1に示すように、車両用ブレーキシステム1は、図示しない摩擦パッドを図示しないロータ側に押圧するための電動アクチュエータであるモータ80〜85を少なくとも1つ備える電動ブレーキ16a〜16dと、モータ80〜85を駆動するドライバ60〜65と、相互に接続された複数のコントローラを備える制御装置(10,11)と、を備える。複数のコントローラは、少なくともマスタコントローラ30と、サブコントローラ(40、41)または第1スレーブコントローラ50とを含む。図1の車両用ブレーキシステム1では、マスタコントローラ30と、第1サブコントローラ40と、第2サブコントローラ41と、第1スレーブコントローラ50と、を含む例について示す。図示しないロータは、4輪車である車両VBの各車輪Wa〜Wdに設けられて車輪Wa〜Wdと一体に回転する。なお、車両VBは4輪車に限られない。また、1つの電動ブレーキに対して複数のモータを備えていてもよいし、1つの車輪に複数の電動ブレーキを備えていてもよい。
1−1.電動ブレーキ
前輪左側(FL)の車輪Waに設けられる電動ブレーキ16aは、ブレーキキャリパ5aと、ブレーキキャリパ5aに減速機4aを介して固定されたモータ80,81と、モータ80,81によって図示しない摩擦パッドに加えられる荷重を検出する荷重センサ6aと、を備える。モータ80は、自身のステータに対する回転軸の相対位置を検出する回転角センサ90を備える。モータ81は、モータ80と同軸であるため回転角センサは不要である。荷重センサ6aの検出信号は、第1サブコントローラ40に入力され、回転角センサ90の検出信号は、ドライバ60,61に入力される。
前輪右側(FR)の車輪Wbに設けられる電動ブレーキ16bは、ブレーキキャリパ5bと、ブレーキキャリパ5bに減速機4bを介して固定されたモータ82,83と、モータ82,83によって図示しない摩擦パッドに加えられる荷重を検出する荷重センサ6bと、を備える。モータ82は、自身のステータに対する回転軸の相対位置を検出する回転角センサ92を備える。モータ83は、モータ82と同軸であるため回転角センサは不要である。荷重センサ6bの検出信号は、第1スレーブコントローラ50に入力され、回転角センサ92の検出信号は、ドライバ62,63に入力される。
後輪左側(RL)の車輪Wcに設けられる電動ブレーキ16cは、ブレーキキャリパ5cと、ブレーキキャリパ5cに減速機4cを介して固定されたモータ84と、モータ84によって図示しない摩擦パッドに加えられる荷重を検出する荷重センサ6cと、を備える。モータ84は、自身のステータに対する回転軸の相対位置を検出する回転角センサ94を備える。荷重センサ6cの検出信号は、第2サブコントローラ41に入力され、回転角センサ94の検出信号は、ドライバ64に入力される。
後輪右側(RR)の車輪Wdに設けられる電動ブレーキ16dは、ブレーキキャリパ5dと、ブレーキキャリパ5dに減速機4dを介して固定されたモータ85と、モータ85によって図示しない摩擦パッドに加えられる荷重を検出する荷重センサ6dと、を備える。モータ85は、自身のステータに対する回転軸の相対位置を検出する回転角センサ95を備える。荷重センサ6dの検出信号は、第2サブコントローラ41に入力され、回転角センサ95の検出信号は、ドライバ65に入力される。
ブレーキキャリパ5a〜5dは、略C字型に形成されて図示しないロータを跨いで反対側へ延びる爪部が一体的に設けられている。
減速機4a〜4dは、ブレーキキャリパ5a〜5dに固定されて、モータ80〜85の回転によって発生したトルクをブレーキキャリパ5a〜5dに内蔵された図示しない直動機構に伝える。
直動機構は、電動ブレーキにおいて公知の機構を採用することができる。直動機構は、モータ80〜85の回転を減速機4a〜4dを介して摩擦パッドの直線運動に変換する。直動機構は、摩擦パッドをロータに押し付けて車輪Wa〜Wdの回転を抑制する。
モータ80〜85は、公知の電動モータを採用することができ、例えばブラシレスDCモータである。モータ80〜85の駆動により、減速機4a〜4d及び直動機構を介して摩擦パッドを移動させる。電動アクチュエータとしてモータを採用した例について説明するが、これに限らず、他の公知のアクチュエータを採用してもよい。
1−2.入力装置
車両用ブレーキシステム1は、入力装置であるブレーキペダル2と、ブレーキペダル2に接続されたストロークシミュレータ3と、を含む。ブレーキペダル2は、運転者のブレ
ーキペダル2の操作量を検出する第2ストロークセンサ21及び第3ストロークセンサ22を備える。ストロークシミュレータ3は、ブレーキペダル2の操作量を検出する第1ストロークセンサ20を備える。
各ストロークセンサ20〜22は、ブレーキペダル2の操作量の一種である踏込ストローク及び/または踏力に対応した電気的な検出信号を互いに独立して発生させる。第1ストロークセンサ20は後述するマスタコントローラ30へ検出信号を送信し、第2ストロークセンサ21は後述する第1サブコントローラ40へ検出信号を送信し、第3ストロークセンサ22は後述する第2サブコントローラ41へ検出信号を送信する。
車両VBは、車両用ブレーキシステム1への入力装置として、車両用ブレーキシステム1以外のシステムに設けられた複数の制御装置(以下「他の制御装置1000」という)を備える。他の制御装置1000は、CAN(Controller Area Network)によって第1の制御装置10のマスタコントローラ30及び第2の制御装置11の第2サブコントローラ41に接続され、相互にブレーキ操作に関する情報を通信する。
1−3.制御装置
制御装置は、第1の制御装置10と第2の制御装置11とを含む。2つの制御装置によって別々の制御を行うことで車両用ブレーキシステム1の冗長化を達成することができる。第1の制御装置10は、第2の制御装置11とは独立して車両VBの所定位置に配置される。第1の制御装置10及び第2の制御装置11は、電子制御ユニット(ECU)である。第1の制御装置10及び第2の制御装置11のそれぞれは、合成樹脂製の筐体に収容される。したがって、第1の制御装置10と第2の制御装置11という2つの制御装置によって、冗長化されている。なお、制御装置を2つ用いた例について説明するが、車両VBにおける配置及び冗長性を考慮して制御装置を3つ以上としてもよい。
第1の制御装置10と第2の制御装置11との間はCANによって接続され、通信が行われる。CANの通信においては、一方向および双方向の情報の送信が行われる。なお、ECU間の通信は、CANに限定されない。
第1の制御装置10及び第2の制御装置11は、互いに独立した3つのバッテリ100,101,102と電気的に接続される。バッテリ100,101,102は、第1の制御装置10及び第2の制御装置11が備える電子部品に電力を供給する。車両用ブレーキシステム1のバッテリ100,101,102は、車両VBの所定の位置に配置される。
第1の制御装置10は、1つのマスタコントローラ30を備え、第2の制御装置11は、サブコントローラ(第2サブコントローラ41)またはスレーブコントローラを備える。第1の制御装置10及び第2の制御装置11によれば、比較的高価なマスタコントローラ30を複数搭載しないことにより低コスト化を実現できる。
第1の制御装置10は、さらに第1サブコントローラ40及び第1スレーブコントローラ50を備える。第1の制御装置10がマスタコントローラ30及び第1サブコントローラ40を搭載することにより、第1の制御装置10の冗長化と信頼性が向上する。また、安価な第1スレーブコントローラ50を用いることで低コスト化を実現できる。また、第1の制御装置10が第1サブコントローラ40及び第1スレーブコントローラ50を備えることにより、第1の制御装置10におけるマスタコントローラ30の処理負担を軽減することができる。さらに、第1の制御装置10は、マスタコントローラ30と第1サブコントローラ40とを状況に応じて使い分けることができる。なお、第1スレーブコントローラ50の代わりにサブコントローラを設けることも可能である。
マスタコントローラ30、第1、第2サブコントローラ40,41及び第1スレーブコントローラ50はそれぞれ、マイクロコンピュータである。
第1の制御装置10は、マスタコントローラ30、第1サブコントローラ40及び第1スレーブコントローラ50を備える。複数のコントローラを使用することによる冗長化を達成しながらも、比較的高価なマスタコントローラを複数搭載しないので低コスト化を実現できる。マスタコントローラ30は、挙動制御部303(挙動制御部303については後述する)を設けるために高い性能が必要となり、第1、第2サブコントローラ40,41に比べて比較的高価なコントローラとなる。
図1及び図2に示すように、マスタコントローラ30は、ドライバ61,63を制御するドライバ制御部301と、電動ブレーキ16a〜16dの制動力を演算する制動力演算部302と、車両VBの挙動を制御する挙動制御部303と、を含む。
第1サブコントローラ40は、ドライバ60を制御するドライバ制御部400と、電動ブレーキ16a〜16dの制動力を演算する制動力演算部402と、を含む。第2サブコントローラ41は、ドライバ64,65を制御するドライバ制御部410と、電動ブレーキ16a〜16dの制動力を演算する制動力演算部412と、を含む。第1、第2サブコントローラ40,41は、挙動制御部を備えない分、マスタコントローラ30より安価なマイクロコンピュータを採用できるため、低コスト化に貢献する。
第1スレーブコントローラ50は、制動力演算部を有しておらず、マスタコントローラ30及び第1、第2サブコントローラ40,41の少なくとも1つのコントローラの制動力演算結果に基づいてドライバ62を制御するドライバ制御部500を含む。第1スレーブコントローラ50は、制動力演算部を有していないため、第1、第2サブコントローラ40,41に比べて比較的安価なマイクロコンピュータを採用することができる。
ドライバ60〜65は、モータ80〜85の駆動を制御する。具体的には、ドライバ60はモータ80の駆動を制御し、ドライバ61はモータ81の駆動を制御し、ドライバ62はモータ82の駆動を制御し、ドライバ63はモータ83の駆動を制御し、ドライバ64はモータ84の駆動を制御し、ドライバ65はモータ85の駆動を制御する。ドライバ60〜65は、モータ80〜85を例えば正弦波駆動方式によって制御する。また、ドライバ60〜65は、正弦波駆動方式に限らず、例えば矩形波の電流で制御してもよい。
ドライバ60〜65は、ドライバ制御部301,400,410,500の指令に応じた電力をモータ80〜85に供給する電源回路及びインバータを備える。
制動力演算部302,402,412は、ブレーキペダル2の操作量に応じた各ストロークセンサ20〜22の検出信号に基づいて制動力(要求値)を算出する。また、制動力演算部302,402,412は、他の制御装置1000からの信号に基づいて制動力(要求値)を算出することができる。
ドライバ制御部301,400,410,500は、制動力演算部302,402,412が算出した制動力(要求値)と、荷重センサ6a〜6dの検出信号とに基づいてドライバ60〜65を制御する。ドライバ60〜65は、ドライバ制御部301,400,410,500からの指令に従ってモータ80〜85に駆動用の正弦波電流を供給する。モータ80〜85に供給された電流は、電流センサ70〜75によって検出される。
挙動制御部303は、車両VBの挙動を制御するための信号をドライバ制御部301,
400,410,500に出力する。通常のブレーキペダル2の操作に応じた単純な制動以外の挙動であり、例えば、車輪のロックを防ぐ制御であるABS(Antilock Brake System)、車輪Wa〜Wdの空転を抑制する制御であるTCS(Traction Control System)、車両VBの横滑りを抑制する制御である挙動安定化制御である。
マスタコントローラ30及び第1、第2サブコントローラ40,41は、他のコントローラの制動力演算結果を比較して制動力を決定する判定部304,404,414を含む。マスタコントローラ30及び第1、第2サブコントローラ40,41が判定部304,404,414を有することにより、制動力演算結果に応じてコントローラ(30,40,41)を使い分けることにより、車両用ブレーキシステム1の冗長化を実現できる。
判定部304,404,414は、他のコントローラの制動力演算結果を比較して制動力を決定する。他のコントローラとは、判定部304にとっては第1サブコントローラ40及び第2サブコントローラ41であり、判定部404にとってはマスタコントローラ30及び第2サブコントローラ41であり、判定部414にとってはマスタコントローラ30及び第1サブコントローラ40である。例えば、判定部304,404,414は、マスタコントローラ30の制動力演算部302における演算結果と、第1サブコントローラ40の制動力演算部402における演算結果と、第2サブコントローラ41の制動力演算部412における演算結果とを比較し、多数決によっていずれの演算結果を制動力として採用するかを判定する。例えば、制動力演算部402の演算結果だけが他の演算結果と異なれば、制動力演算部302及び制動力演算部412の演算結果に基づいてマスタコントローラ30がドライバ61及びドライバ63を制御する。すなわち、判定部304,404,414により、車両用ブレーキシステム1を冗長化させている。
本実施形態に係る車両用ブレーキシステム1によれば、第1の制御装置10と第2の制御装置11とで前後輪を個別に制御することができ、制御性の向上を図ることができる。
2.変形例1
図3及び図4を用いて変形例1に係る車両用ブレーキシステム1aについて説明する。図3は、変形例1に係る車両用ブレーキシステム1aを示す全体構成図であり、図4は変形例1に係る車両用ブレーキシステム1aのマスタコントローラ30、第1、第3サブコントローラ40,42及び第2スレーブコントローラ52を示すブロック図である。以下の説明において、図1及び図2の車両用ブレーキシステム1と同じ構成については図3及び図4でも同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
図3及び図4に示すように、車両用ブレーキシステム1aにおいて、制御装置は、1つの第1の制御装置10aと複数例えば3つの第2の制御装置11a〜11cとを含む。車両用ブレーキシステム1aが複数の第2の制御装置11a〜11cを含むことで、それぞれの第2の制御装置11a〜11cに応じた制御をすることができ、制御の自由度が向上する。第1の制御装置10a及び第2の制御装置11a〜11cは、電子制御ユニット(ECU)である。
第1の制御装置10aは、マスタコントローラ30を備える。第1の制御装置10aは、第2の制御装置11a〜11cとは独立した合成樹脂製の筐体に収容され、車両VBの所定位置(例えばブレーキペダル2の近く)に配置される。第1の制御装置10a及び第2の制御装置11a〜11cとの間はCANによって接続され、通信が行われる。第1の制御装置10a及び第2の制御装置11a,11bは、互いに独立した3つのバッテリ100,101,102と電気的に接続され、第2の制御装置11cは、バッテリ101,102と電気的に接続される。バッテリ100,101,102は、第1の制御装置10
a及び第2の制御装置11a〜11cが備える電子部品に電力を供給する。
変形例1に係る車両用ブレーキシステム1aでは、図1における前輪右側(FR)の制動を実行する第1スレーブコントローラ50の代わりに第3サブコントローラ42が配置され、図1における後輪(RL,RR)の制動を実行する第2サブコントローラ41の代わりに第2スレーブコントローラ52が配置される。
また、複数の第2の制御装置(11a〜11c)は、車輪Wa,Wb(前輪)用の第2の制御装置11a,11bと、車輪Wc,Wd(後輪)用の第2の制御装置11cと、を含む。車輪Wa,Wb(前輪)用の第2の制御装置11a,11bは、少なくとも一方の車輪Wa,Wb(前輪)の電動ブレーキ16a,16bに用いるサブコントローラ(40,42)またはスレーブコントローラを備える。車輪Wc,Wd(後輪)用の第2の制御装置11cは、少なくとも一方の車輪Wc,Wd(後輪)の電動ブレーキ16c,16dに用いるサブコントローラまたはスレーブコントローラ(52)を備える。第2の制御装置11a〜11cごとに前後別々の車輪Wa〜Wdに応じた電動ブレーキ16a〜16dの制御をすることができる。
変形例1では、複数(3つ)の第2の制御装置(11a〜11c)として、第1サブコントローラ40を備える第2の制御装置11aと、第3サブコントローラ42を備える第2の制御装置11bと、第2スレーブコントローラ52を備える第2の制御装置11cと、を含む。第2の制御装置11a〜11cごとに車輪Wa,Wb(前輪)と車輪Wc,Wd(後輪)とに応じて別々の電動ブレーキ16a〜16dの制御をすることができると共に、左右の車輪Wa,Wb(前輪)に応じて別々の電動ブレーキ16a〜16dの制御ができ、かつ、車両用ブレーキシステム1aの冗長化を達成することができる。
また、第2の制御装置11aは、第1サブコントローラ40とドライバ60,61と電流センサ70,71とを備える。第2の制御装置11bは、第3サブコントローラ42とドライバ62,63と電流センサ72,73とを備える。第2の制御装置11cは、第2スレーブコントローラ52とドライバ64,65及び電流センサ74,75を備える。第3サブコントローラ42及び第2スレーブコントローラ52は、マイクロコンピュータである。第3サブコントローラ42は、第1サブコントローラ40と同様の構成であるドライバ制御部420、制動力演算部422及び判定部424を備え、電動ブレーキ16bを制御する。ドライバ制御部420がドライバ62を制御する。第2スレーブコントローラ52は、ドライバ64,65を制御するドライバ制御部520を備える。
制動力演算部302,402,422は、ブレーキペダル2の操作量に応じた各ストロークセンサ20〜22の検出信号に基づいて制動力(要求値)を算出する。また、制動力演算部302,402,422は、他の制御部1000からの信号に基づいて制動力(要求値)を算出することができる。
ドライバ制御部301,400,420,520は、制動力演算部302,402,422が算出した制動力(要求値)と、荷重センサ6a〜6dの検出信号とに基づいてドライバ60〜65を制御する。ドライバ60〜65は、ドライバ制御部301,400,420,520からの指令に従ってモータ80〜85に駆動用の正弦波電流を供給する。
判定部304,404,424は、マスタコントローラ30の制動力演算部302における演算結果と、第1サブコントローラ40の制動力演算部402における演算結果と、第3サブコントローラ42の制動力演算部422における演算結果とを比較し、多数決によっていずれの演算結果を制動力として採用するかを判定する。
マスタコントローラ30と第1、第3サブコントローラ40,42及び第2スレーブコントローラ52とを別々の制御装置(第1の制御装置10a、第2の制御装置11a〜11c)に搭載することにより、車両用ブレーキシステム1aの冗長化が達成できる。
また、第2の制御装置11cに第2スレーブコントローラ52を搭載することにより、車両用ブレーキシステム1a全体を簡素化して低コスト化を実現できる。すなわち、第1、第3サブコントローラ40,42と比べて比較的安価な第2スレーブコントローラ52を採用することにより、高価なサブコントローラを削減できる。
このように、複数の第2の制御装置11a〜11cは、車輪Wa,Wb(前輪)用として少なくとも2つの第2の制御装置11a,11bと、車輪Wc,Wd(後輪)用として1つの第2の制御装置11cと、で構成される。第2の制御装置11a〜11cごとに前後の車輪Wa〜Wdに応じて別々の電動ブレーキ16a〜16dの制御をすることができると共に、左右の車輪Wa,Wb(前輪)に応じて別々の電動ブレーキ16a,16bの制御ができ、かつ、車両用ブレーキシステム1aの冗長化を達成することができる。第2の制御装置11a〜11cの他に、例えば、車輪Wa,Wb(前輪)用にさらに第2の制御装置を含んでもよいし、車輪Wc,Wd(後輪)用にさらに第2の制御装置を含んでもよい。
例えば、第2の制御装置11aは、車輪Waの近くに配置され、第2の制御装置11bは、車輪Wbの近くに配置され、第2の制御装置11cは、車両VBの後側に配置される。ドライバ60〜65とモータ80〜85との距離が短いとその間の配線が短くなり、応答性能が向上する。第2の制御装置11a〜11cは独立した合成樹脂製の筐体に収容される。
3.変形例2
図5及び図6を用いて変形例2に係る車両用ブレーキシステム1bについて説明する。図5は、変形例2に係る車両用ブレーキシステム1bを示す全体構成図であり、図6は変形例2に係る車両用ブレーキシステム1bのマスタコントローラ30、第1、第3サブコントローラ40,42、第3、第4スレーブコントローラ53,54を示すブロック図である。以下の説明において、図3及び図4の車両用ブレーキシステム1aと同じ構成については図5及び図6でも同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
図5及び図6に示すように、車両用ブレーキシステム1bにおいて、制御装置は、1つの第1の制御装置10aと複数の第2の制御装置11a,11b,11d,11eとを含む。それぞれの第2の制御装置11a,11b,11d,11eに応じた制御をすることができ、制御の自由度が向上する。
第1の制御装置10aは、マスタコントローラ30を備える。
変形例2に係る車両用ブレーキシステム1bでは、図3及び図4における第2の制御装置11cの代わりに2つの第2の制御装置11d,11eが配置され、第2スレーブコントローラ52の代わりに第2の制御装置11dには第3スレーブコントローラ53が配置され、第2の制御装置11eには第4スレーブコントローラ54が配置される。
変形例2に係る車両用ブレーキシステム1bは、車輪Wa,Wb(前輪)用の第2の制御装置として少なくとも2つの第2の制御装置11a,11bと、車輪Wc,Wd(後輪)用の第2の制御装置として少なくとも2つの第2の制御装置11d,11eと、を含む。第2の制御装置11a,11b,11d,11eごとに各車輪Wa〜Wdに対して別々の制御をすることができ、車両用ブレーキシステム1bの冗長化を達成し、車両用ブレー
キシステム1bの信頼性を向上させることができる。
第2の制御装置11dは、第3スレーブコントローラ53とドライバ64と電流センサ74とを備え、第2の制御装置11eは、第4スレーブコントローラ54とドライバ65と電流センサ75とを備える。第3スレーブコントローラ53及び第4スレーブコントローラ54は、マイクロコンピュータである。第3スレーブコントローラ53は、ドライバ64を制御するドライバ制御部530を備え、ドライバ制御部530が電動ブレーキ16cを制御する。第4スレーブコントローラ54は、ドライバ65を制御するドライバ制御部540を備え、ドライバ制御部540が電動ブレーキ16dを制御する。
ドライバ制御部301,400,420,530,540は、制動力演算部302,402,422が算出した制動力(要求値)と、荷重センサ6a〜6dの検出信号とに基づいてドライバ60〜65を制御する。ドライバ60〜65は、ドライバ制御部301,400,420,530,540からの指令に従ってモータ80〜85に駆動用の正弦波電流を供給する。なお、ドライバ制御部530,540のそれぞれは、対角に配置されたサブコントローラが備える制動力演算部が算出した制動力に基づいてドライバ64,65を制御してもよい。
第2の制御装置11dは、車輪Wcの近くに配置され、第2の制御装置11eは、車輪Wdの近くに配置される。ドライバ64,65とモータ84,85との距離が短いとその間の配線が短くなり、応答性能が向上する。第2の制御装置11d,11eは独立した合成樹脂製の筐体に収容される。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1,1a,1b…車両用ブレーキシステム、2…ブレーキペダル、3…ストロークシミュレータ、4a〜4d…減速機、5a〜5d…ブレーキキャリパ、6a〜6d…荷重センサ、10,10a…第1の制御装置、11,11a〜11e…第2の制御装置、16a〜16d…電動ブレーキ、20…第1ストロークセンサ、21…第2ストロークセンサ、22…第3ストロークセンサ、30…マスタコントローラ、301…ドライバ制御部、302…制動力演算部、303…挙動制御部、304…判定部、40…第1サブコントローラ、400…ドライバ制御部、402…制動力演算部、404…判定部、41…第2サブコントローラ、410…ドライバ制御部、412…制動力演算部、414…判定部、42…第3サブコントローラ、420…ドライバ制御部、422…制動力演算部、424…判定部、50…第1スレーブコントローラ、500…ドライバ制御部、52…第2スレーブコントローラ、520…ドライバ制御部、53…第3スレーブコントローラ、530…ドライバ制御部、54…第4スレーブコントローラ、540…ドライバ制御部、60〜65…ドライバ、70〜75…電流センサ、80〜85…モータ、90,92,94,95…回転角センサ、100〜102…バッテリ、1000…他の制御装置、VB…車両、Wa〜Wd…車輪

Claims (6)

  1. 摩擦パッドをロータ側に押圧するための電動アクチュエータを少なくとも1つ備える電動ブレーキと、前記電動アクチュエータを駆動するドライバと、相互に接続された複数のコントローラを備える制御装置と、を備える車両用ブレーキシステムにおいて、
    前記複数のコントローラは、少なくともマスタコントローラと、サブコントローラまたはスレーブコントローラとを含み、
    前記マスタコントローラは、前記ドライバを制御するドライバ制御部と、前記電動ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、車両の挙動を制御する挙動制御部と、を含み、
    前記サブコントローラは、前記ドライバを制御するドライバ制御部と、前記電動ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、を含み、
    前記スレーブコントローラは、前記マスタコントローラ及び前記サブコントローラの少なくとも1つのコントローラの制動力演算結果に基づいて前記ドライバを制御するドライバ制御部を含み、
    前記制御装置は、前記マスタコントローラを備える第1の制御装置と、前記サブコントローラまたは前記スレーブコントローラを備える第2の制御装置と、を含むことを特徴とする、車両用ブレーキシステム。
  2. 請求項1において、
    前記第1の制御装置は、さらに前記サブコントローラ及び前記スレーブコントローラを備えることを特徴とする、車両用ブレーキシステム。
  3. 請求項1において、
    前記制御装置は、複数の前記第2の制御装置を含むことを特徴とする、車両用ブレーキシステム。
  4. 請求項3において、
    前記車両は、4輪車であり、
    前記複数の前記第2の制御装置は、
    少なくとも一方の前輪の前記電動ブレーキに用いる前記サブコントローラまたは前記スレーブコントローラを備える、前輪用の前記第2の制御装置と、
    少なくとも一方の後輪の前記電動ブレーキに用いる前記サブコントローラまたは前記スレーブコントローラを備える、後輪用の前記第2の制御装置と、
    を含むことを特徴とする、車両用ブレーキシステム。
  5. 請求項4において、
    前記複数の前記第2の制御装置は、
    少なくとも2つの前記前輪用の前記第2の制御装置と、
    1つの前記後輪用の前記第2の制御装置と、
    で構成することを特徴とする、車両用ブレーキシステム。
  6. 請求項4において、
    前記複数の前記第2の制御装置は、
    少なくとも2つの前記前輪用の前記第2の制御装置と、
    少なくとも2つの前記後輪用の前記第2の制御装置と、
    で構成することを特徴とする、車両用ブレーキシステム。
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