JP2018171740A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】初期状態において、カートリッジからタンクへ迅速にインクを供給することができるインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】複合機10の制御部130は、インクカートリッジ30からインクが貯留されていないタンク103の貯留室121へインクを供給する初期導入において、貯留室121から流通したインクを貯留するダンパ室44の連通状態を切り替える切替機構62を、ダンパ室44が大気と連通された開放状態とする(S20)。【選択図】図14

Description

本発明は、カートリッジからインクが供給されるタンクを備えるインクジェット記録装置に関する。
インクを貯留可能なタンク及びタンクからインクが供給される記録ヘッドを有する装置本体と、装置本体に着脱可能であり、貯留されたインクをタンクへ供給可能なカートリッジと、を備えるインクジェット記録装置が知られている。
このようなインクジェット記録装置においては、未使用時の初期状態の際に、タンクにインクが貯留されていない。よって、初期状態のインクジェット記録装置を最初に使用する際には、カートリッジを装着して、カートリッジからタンクへインクを供給する必要がある。
例えば、特許文献1に開示されたインクジェット記録装置では、大気開放されたカートリッジが装置本体に装着された状態で、タンクのバルブを開状態としてタンクを大気開放することにより、水頭差を利用してカートリッジからタンクへインクを供給する。
特開2009−6618号公報
通常、インクジェット記録装置では、初期状態のインクジェット記録装置を最初に使用する際に、記録ヘッドのノズルからインクを空吐出する処理を実行する。空吐出の際に、ノズルから空気が吐出されないように、空吐出の実行開始までの間にタンクに十分な量のインクが貯留されている必要がある。
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット記録装置において、カートリッジからタンクへの水頭差を利用してのインク供給に時間がかかると、空吐出の実行開始タイミングが遅くなってしまい、インクジェット記録装置が印刷可能な状態となるまでに時間がかかってしまう。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、初期状態において、カートリッジからタンクへ迅速にインクを供給することができるインクジェット記録装置を提供することにある。
(1) 本発明に係るインクジェット記録装置は、インクが貯留される空間及び当該空間を大気に連通可能な第1大気流路を有するカートリッジから供給されたインクを貯留する貯留室、上記貯留室からインクが流出する流出口、及び上記貯留室を大気に連通させる第2大気流路を有するタンクと、上記流出口と連通されたダンパ室、及び上記貯留室から供給されて上記ダンパ室に貯留されたインクをノズルから吐出する記録ヘッドを有する記録部と、上記ダンパ室内の流体を吸引可能なポンプと、上記ダンパ室の状態を、上記ダンパ室が大気と連通された開放状態、上記ダンパ室が上記ポンプと連通されており上記ダンパ室内の流体の上記ポンプによる吸引が可能な吸引状態、及び上記ダンパ室の大気及び上記ポンプとの連通が遮断された遮断状態に切替可能な第1切替機構と、上記第1切替機構の状態切替を制御し、上記ポンプの駆動を制御する制御部と、を備える。上記制御部は、上記カートリッジからインクが貯留されていない上記タンクの上記貯留室へインクを供給する初期導入において、上記第1切替機構を上記開放状態とする開放処理を実行する。
上記構成によれば、カートリッジから貯留室へインクを供給する初期導入において、第1切替機構が開放状態とされる。これにより、貯留室は、第2大気流路だけでなく、流出口及びダンパ室を通じても大気開放された状態となる。その結果、カートリッジからタンクの貯留室へ迅速にインクを供給することができる。
(2) 本発明に係るインクジェット記録装置は、上記カートリッジが装着可能であり、装着された上記カートリッジから上記タンクの上記貯留室にインクが供給される装着部と、上記装着部に上記カートリッジが装着された状態で上記制御部に信号を出力する第1出力部と、を備える。上記制御部は、上記信号が入力されたことを条件として上記開放処理を実行する。
上記構成によれば、カートリッジが装着されてカートリッジからタンクの貯留室へのインクの流出が始まるタイミングで、第1切替機構が開放状態とされる。これにより、カートリッジからタンクの貯留室へ迅速にインクを供給することができる。
(3) 上記ポンプは、一端が上記ダンパ室と連通可能であり、他端が大気と連通されたチューブと、上記チューブの配設方向に沿って移動可能であり、且つ上記チューブを押圧する第1位置及び上記チューブに対する押圧量が当該第1位置のときよりも小さい第2位置に移動可能な押圧部材と、を備える。上記第1位置の上記押圧部材を上記配設方向に沿って移動させることによって吸引を実行するものである。上記第1切替機構は、上記押圧部材を上記第1位置に移動させることにより上記ダンパ室を上記吸引状態にし、上記押圧部材を上記第2位置に移動させることにより上記ダンパ室を上記開放状態にするものである。
第1切替機構の機能を実現するためには、例えばダンパ室を大気開放させるための流路と、ダンパ室をポンプに繋げるための流路との2つの流路を設けることが考えられる。上記構成によれば、ポンプの押圧部材が第1位置及び第2位置に移動することによって、ダンパ室の状態を開放状態と吸引状態とに切り替えることができる。これにより、第1切替機構が備える流路を1つ減らすことができる。つまり、第1切替機構の構成を単純化することができる。
(4) 本発明に係るインクジェット記録装置は、上記第2大気流路の状態を、大気と連通された第1状態、及び大気との連通が遮断された第2状態に切替可能な第2切替機構を備える。上記制御部は、上記第2切替機構の状態切替を制御するものであり、上記開放処理の実行時に上記第2切替機構を上記第1状態とする。
上記構成によれば、開放処理の実行時に第2切替機構が第1状態とされる。これにより、貯留室は、流出口及びダンパ室を通じて大気開放されるとともに、第2大気流路を通じても大気開放された状態となる。その結果、カートリッジからタンクの貯留室へ迅速にインクを供給することができる。
(5) 上記制御部は、上記開放処理の実行後であって上記初期導入の開始から所定時間が経過したことを条件として、上記第1切替機構を上記遮断状態とする遮断処理を実行する。上記所定時間は、上記初期導入の開始から、上記貯留室に貯留されたインクの液面が上記流出口以上の高さになるまでの時間である。
貯留室に貯留されたインクの液面が流出口以上の高さになると、流出口がインクで閉塞される。そのため、第1切替機構を開放状態にしておいても、貯留室は、流出口及びダンパ室を通じて大気開放されない状態となる。つまり、第1切替機構を開放状態にしておくメリットは少なくなる。一方、第1切替機構を開放状態にしておくと、ダンパ室から外部へのインク漏れなどの問題が生じるおそれがある。そこで、上記構成では、貯留室に貯留されたインクの液面が流出口以上の高さになると、第1切替機構を遮断状態とする。これにより、メリットが少ない状態でのダンパ室の開放を遮断しつつ、上記問題の発生を防止することができる。
(6) 本発明に係るインクジェット記録装置は、上記貯留室に配置されており、上記貯留室に貯留されたインクの液面が上下方向において上記流出口よりも上方の所定位置になったことを条件として状態変化する被検知部と、上記被検知部の状態に応じた信号を上記制御部に出力する第2出力部と、を備える。上記制御部は、上記開放処理の実行後であって上記初期導入の開始から所定時間が経過したことを条件として、上記第1切替機構を遮断状態とする遮断処理を実行する。上記所定時間は、上記初期導入の開始から、上記貯留室に貯留されたインクの液面が上記流出口以上の高さであり且つ上記所定位置より下方の高さとなるまでの時間である。上記制御部は、上記被検知部が上記状態変化した旨の信号が上記第2出力部より入力されたことを条件として、上記第2切替機構を上記第2状態とし且つ上記第1切替機構を上記吸引状態として、上記ポンプを駆動することによって、上記貯留室に貯留されたインクを上記ダンパ室へ向けて吸引する吸引処理を実行する。
上記構成によれば、遮断処理の実行後に、吸引処理が実行される。これにより、吸引処理の実行開始時には、第1切替機構が遮断状態とされているため、第1切替機構を開放状態から遮断処理とする制御を行うことなくインクの吸引を開始できる。つまり、吸引処理を迅速に実行開始することができる。
(7) 上記第2大気流路の流路抵抗は、上記第1大気流路の流路抵抗よりも大きい。
上記構成によれば、第2大気流路の流路抵抗が大きいため、カートリッジからタンクの貯留室への水頭差によるインクの供給に時間がかかる。しかし、上記の構成及び処理によってタンクの貯留室へのインクの供給に係る時間を短縮することができる。
(8) 本発明に係るインクジェット記録装置は、インクが貯留される空間及び当該空間を大気に連通可能な第1大気流路を有するカートリッジから供給されたインクを貯留する貯留室、上記貯留室からインクが流出する流出口、及び上記貯留室を大気に連通させる第2大気流路を有するタンクと、上記流出口と連通されたダンパ室、及び上記貯留室から供給されて上記ダンパ室に貯留されたインクをノズルから吐出する記録ヘッドを有する記録部と、上記ノズルを覆う被覆位置及び上記ノズルを覆わない開放位置に移動可能なキャップと、上記キャップの移動を制御する制御部と、を備える。上記制御部は、上記記録部内にインクが無い状態で、上記カートリッジからインクが貯留されていない上記タンクの上記貯留室へインクを供給する初期導入において、上記キャップを上記開放位置に移動させる。
上記構成によれば、カートリッジからタンクの貯留室へインクを供給する初期導入において、キャップが開放位置に移動される。これにより、貯留室は、第2大気流路だけでなく、流出口、ダンパ室、及びノズルを通じても大気開放された状態となる。その結果、カートリッジからタンクの貯留室へ迅速にインクを供給することができる。
本発明によれば、初期状態において、カートリッジからタンクの貯留室へ迅速にインクを供給することができる。
図1は、複合機10の外観斜視図であって、(A)はカバー87が閉塞位置である状態、(B)はカバー87が開放位置である状態を示す。 図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。 図3は、キャリッジ22及びプラテン26の配置を示す平面図である。 図4は、装着部110の開口112側の外観斜視図である。 図5は、装着部110のタンク103側の外観斜視図である。 図6は、装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態の縦断面図である。 図7は、インクカートリッジ30の前方斜視図である。 図8は、制御部130の構成を示すブロック図である。 図9は、インクカートリッジ30と装着部110と記録部24と切替機構62とを模式的に示す縦断面図である。 図10は、切替機構62の模式図であって、(A)は排気ポート162とポンプポート163とが連通している状態を示し、(B)はノズル吸引ポート153とポンプポート163とが連通している状態を示し、(C)は排気ポート162及びノズル吸引ポート153の何れもがポンプポート163と連通していない状態を示す。 図11は、メンテナンス機構60の断面図であって、(A)はキャップ146、166がアンキャップ位置に位置する状態、(B)はキャップ146、166がキャップ位置に位置する状態を示す。 図12は、ローラ53が第1位置のときのポンプ150の模式図であって、(A)は平面図を示し、(B)は図12(A)から回転体52が除かれた図を示し、(C)は図12(A)のC−C断面を示す。 図13は、ローラ53が第2位置のときのポンプ150の模式図であって、(A)は平面図を示し、(B)は図13(A)から回転体52が除かれた図を示し、(C)は図13(A)のC−C断面を示す。 図14は、初期導入の制御を説明するためのフローチャートである。 図15は、変形例1における切替機構62の模式図であって、(A)は排気ポート162とポンプポート163とが連通している状態を示し、(B)はノズル吸引ポート153とポンプポート163とが連通している状態を示し、(C)は排気ポート162及び大気ポート167と吸引ポート154とが連通している状態を示し、(D)は、排気ポート162及び大気ポート167と吸引ポート154とが連通していない状態を示す。 図16は、切替機構61の模式図であって、(A)はタンクポート141と大気ポート142とが連通している状態を示し、(B)はタンクポート141と大気ポート142とが連通していない状態を示す。 図17は、変形例2における初期導入の制御を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、複合機10が使用可能に水平面に設置された姿勢(図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の開口13が設けられている面を前面として前後方向8が定義され、複合機10を前面から見て左右方向9が定義される。本実施形態では、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。前後方向8及び左右方向9は、直交している。
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10(インクジェット記録装置の一例)は、概ね直方体形状である。複合機10は、インクジェット記録方式で用紙12(図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を下部に有している。プリンタ部11は、前面14Aに開口13が形成された筐体14を有している。
図2に示されるように、筐体14の内部には、給送ローラ23と、給送トレイ15と、排出トレイ16と、搬送ローラ対25と、記録部24と、排出ローラ対27と、プラテン26と、カートリッジケース101(図1(B)参照)と、が配置されている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。なお、図1に示される状態が、複合機10の使用姿勢である。
[給送トレイ15、排出トレイ16、給送ローラ23]
図1に示されるように、給送トレイ15は、開口13を通じて前後方向8に沿ってユーザによって複合機10に対して挿抜される。開口13は、筐体14の前面14Aにおける左右方向9の中央部に位置する。図2に示されるように、給送トレイ15は、積層された複数の用紙12を支持可能である。
排出トレイ16は、給送トレイ15の上方に配置されている。排出トレイ16は、排出ローラ対27によって排出された用紙12を支持する。
給送ローラ23は、給送トレイ15に支持された用紙12を搬送路17へ給送する。給送ローラ23は、給送用モータ172(図8参照)によって駆動される。
[搬送路17]
図2に示されるように、搬送路17は、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって形成される空間を指す。搬送路17は、給送トレイ15の後端部から後方に延びる経路である。搬送路17は、プリンタ部11の後部において上方に延びつつ前方にUターンし、記録部24とプラテン26との間の空間を経て排出トレイ16に至る経路である。搬送ローラ対25及び排出ローラ対27の間における搬送路17は、左右方向9における複合機10の概ね中央部に設けられており、且つ前後方向8に延びている。搬送路17内における用紙12の搬送向きは、図2において一点鎖線の矢印で示されている。
[搬送ローラ対25]
図2に示されるように、搬送ローラ対25は、搬送路17に配置されている。搬送ローラ対25は、互いに対向する搬送ローラ25A及びピンチローラ25Bを有する。搬送ローラ25Aは、搬送用モータ171(図8参照)によって駆動される。ピンチローラ25Bは、搬送ローラ25Aの回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送用モータ171の正転によって正回転する搬送ローラ25A及びピンチローラ25Bに挟持されて搬送向き(前向き)に搬送される。
[排出ローラ対27]
図2に示されるように、排出ローラ対27は、搬送路17における搬送ローラ対25より搬送向きの下流に配置されている。排出ローラ対27は、互いに対向する排出ローラ27A及び拍車27Bを有する。排出ローラ27Aは、搬送用モータ171(図8参照)によって駆動される。拍車27Bは、排出ローラ27Aの回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送用モータ171の正転によって正回転する排出ローラ27A及び拍車27Bに挟持されて搬送向き(前向き)に搬送される。
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、搬送路17における搬送ローラ対25及び排出ローラ対27の間に配置されている。記録部24は、搬送路17を挟んでプラテン26と上下方向7に対向配置されている。記録部24は搬送路17の上方に位置し、プラテン26は搬送路17の下方に位置している。記録部24は、キャリッジ22と、記録ヘッド21とを備えている。
図3に示されるように、キャリッジ22は、前後方向8に離間する位置において各々が左右方向9に延設されたガイドレール82、83に支持されている。ガイドレール82、83は、プリンタ部11のフレーム(不図示)に支持されている。キャリッジ22は、ガイドレール83に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、キャリッジ駆動用モータ173(図8参照)によって駆動される。ベルト機構に連結されたキャリッジ22は、キャリッジ駆動用モータ173の駆動によって左右方向9に沿って往復移動する。キャリッジ22の移動領域は、図3の一点鎖線で示されるように、搬送路17より右方及び左方にまで及ぶ。
キャリッジ22からは、インクチューブ20とフレキシブルフラットケーブル84とが延出されている。
インクチューブ20は、カートリッジケース101(図1(B)参照)と記録ヘッド21とを接続するものである。インクチューブ20は、カートリッジケース101に装着された各インクカートリッジ30(カートリッジの一例)に貯留されたインクを記録ヘッド21に供給する。各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通する4本のインクチューブ20が、各インクカートリッジ30に対応して設けられており、これらが束ねられた状態でキャリッジ22と接続されている。
フレキシブルフラットケーブル84は、制御部130(図8参照)と記録ヘッド21とを電気的に接続するものである。フレキシブルフラットケーブル84は、制御部130から出力される制御信号を記録ヘッド21に伝達する。
図2に示されるように、キャリッジ22は、記録ヘッド21を搭載している。図9に示されるように、キャリッジ22は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留するダンパ室44を備えている。ダンパ室44は、各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)について設けられている。つまり、本実施形態において、キャリッジ22は、4つのダンパ室44を備えている。記録ヘッド21は、ダンパ室44に貯留されたインクを複数のノズル29から吐出する。具体的には、制御部130が、複数のノズル29に対応して設けられた複数の圧電素子45(図8参照)に選択的に駆動電圧を印加する。これにより、ノズル29から選択的にインクが吐出される。
なお、図9では、ダンパ室44は1つだけ描かれており、残りの3つのダンパ室44は省略されている。そして、以下において、特に記載のない限り、ダンパ室44は1つであるとして説明がされる。
記録部24は、制御部130によって制御される。キャリッジ22が左右方向9へ移動しているときに、記録ヘッド21は、ノズル29からインク滴をプラテン26に支持されている用紙12へ向けて吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。また、これにより、各インクカートリッジ30に貯留されたインクが消費される。
[プラテン26]
図2に示されるように、プラテン26は、搬送路17における搬送ローラ対25及び排出ローラ対27の間に配置されている。プラテン26は、搬送路17を挟んで記録部24と上下方向7に対向配置されている。プラテン26は、搬送ローラ対25によって搬送される用紙12を下方から支持する。
[カバー87]
図1に示されるように、筐体14の前面14Aの右部に、開口85が形成されている。開口85の後方には、カートリッジケース101を収容可能な収容空間86が形成されている。筐体14には、カバー87が、開口85を覆うようにして取り付けられている。カバー87は、開口85を閉塞する閉塞位置(図1(A)に示される位置)と、開口85を開放する開放位置(図1(B)に示される位置)との間を、左右方向9に延びる回動軸線87A(回動中心)周りに回動可能である。
[カートリッジケース101]
図4及び図5に示されるように、カートリッジケース101は、カートリッジケース101の内部空間の天部を確定している天面と、底部を確定している底面と、天部と底部とをつないでいる後面と、後面と前後方向8に対向する位置に設けられた開口112とを有する箱形状である。開口112は、ユーザが複合機10を使用するときに対面する面である筐体14の前面14Aに露出し得る。
筐体14の開口85及びカートリッジケース101の開口112を通じて、インクカートリッジ30がカートリッジケース101へ挿抜される。インクカートリッジ30は、カートリッジケース101の底面に設けられたガイド溝109に、インクカートリッジ30の下端部が挿入されることによって、図4において前後方向8へ案内される。カートリッジケース101には、内部空間を上下方向7に長い4つの空間に仕切り分ける3つのプレート104が設けられている。プレート104によって仕切り分けられた各空間それぞれにインクカートリッジ30が収容される。
カートリッジケース101における各インクカートリッジ30が収容される部分によって、装着部110が構成される。本実施形態において、装着部110は、各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)について設けられている。つまり、本実施形態において、カートリッジケース101は、ブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ30が装着される装着部110Bと、マゼンタのインクが貯留されたインクカートリッジ30が装着される装着部110Mと、シアンのインクが貯留されたインクカートリッジ30が装着される装着部110Cと、イエローのインクが貯留されたインクカートリッジ30が装着される装着部110Yとで構成される。
図9に示されるように、装着部110は、接続部107と、複数の接点106と、ロッド125と、装着センサ113(第1出力部の一例)と、ロックシャフト145と、タンク103とを備えている。複数の接点106について、1つのインクカートリッジ30に対応して4つの接点106が設けられ、4つのインクカートリッジ30に対して16個の接点106が設けられる。
なお、図9では、装着部110は1つだけ描かれており、残りの3つの装着部110は省略されている。そして、以下において、特に記載のない限り、装着部110は1つであるとして説明がされる。
4つの装着部110は、装着部110Bが、他の3つの装着部110M、110C、110Yよりも大きなインクカートリッジ30を装着可能である点を除いて、他の3つの装着部110M、110C、110Yと同構成である。よって、以下の説明では、1つの装着部110の構成のみが説明され、他の3つの装着部110の構成についての説明は省略される。
[接続部107]
図4に示されるように、接続部107は、インクニードル102と、ガイド部105とを備えている。
インクニードル102は、管状の樹脂からなり、カートリッジケース101の後面の下部に位置している。インクニードル102は、カートリッジケース101の後面において、装着部110に装着されたインクカートリッジ30のインク供給部34に対応する位置に配置されている(図6参照)。インクニードル102は、カートリッジケース101の後面から前方へ突出している。
ガイド部105は、インクニードル102の周囲に配置されており、円筒形状である。ガイド部105は、カートリッジケース101の後面から前方へ突出し、その突出端(前端)が開放されている。インクニードル102は、ガイド部105の中心に配置されている。ガイド部105は、インクカートリッジのインク供給部34が内方に進入する形状である。
接続部107は、インクカートリッジ30が装着部110に装着されていない状態において、インクカートリッジ30のインク供給部34と非接続である。一方、インクカートリッジ30が装着部110へ挿入される過程において、つまりインクカートリッジ30が装着位置(図6に示される位置)へ移動する過程において、インクカートリッジ30のインク供給部34がガイド部105に進入する。さらにインクカートリッジ30が装着部110の奥へ向けて挿入されると、インクニードル102が、インク供給部34に形成されたインク供給口71に挿入される。これにより、接続部107とインク供給部34とは接続される。そして、インクカートリッジ30の内部に形成された貯留室33に貯留されたインクは、インク供給部34の内部に形成されたインクバルブ室35及びインクニードル102の内部空間を通じてタンク103に流出される。なお、インクニードル102の先端は、平坦であってもよく、尖っていてもよい。
図6に示されるように、インクニードル102の内部空間117には、バルブ114及びコイルバネ115が収容されている。バルブ114は、前後方向8に沿って移動することにより、インクニードル102の先端部に形成された開口116を開閉する。つまり、バルブ114は、インクニードル102の内部空間117を開閉する。コイルバネ115はバルブ114を前方へ付勢している。したがって、外力が付与されていない状態(インクカートリッジ30が装着部110に装着されていない状態)において、バルブ114は開口116を閉じている。また、外力が付与されていない状態において、コイルバネ115に付勢されたバルブ114の前端部は、開口116よりも前方へ突出している。接続部107とインク供給部34とが接続される過程において、バルブ114が開口116を開く。バルブ114が開口116を開く動作については、後述される。
[接点106]
図6に示されるように、カートリッジケース101の天面には4つの接点106が設けられている。4つの接点106は、天面からカートリッジケース101の内部空間へ向けて下方に突出している。各図には詳細に示されていないが、4つの接点106は、左右方向9に離れて配置されている。4つの接点106の配置は、インクカートリッジ30の4つの電極65の配置に対応している。各接点106は、導電性及び弾性を有する部材で構成されており、上方へ弾性的に変形可能である。なお、接点106の個数及び電極65の個数は任意である。
各接点106は、電気回路を介して制御部130(図8参照)に電気的に接続されている。接点106と対応する電極65とが係合して電気的に導通されることによって、電圧Vcが電極65に印加されたり、電極65がアースされたり、電極65に電力が供給されたりする。接点106と対応する電極65との電気的に導通により、インクカートリッジ30のICに格納されたデータにアクセス可能となる。電気回路からの出力は制御部130に入力される。
[ロッド125]
図6に示されるように、カートリッジケース101の後面におけるインクニードル102より上方に、ロッド125が形成されている。ロッド125は、カートリッジケース101の後面から前方へ突出している。ロッド125は、円筒形状である。ロッド125は、インクカートリッジ30が装着部110に装着された状態において、つまりインクカートリッジ30が装着位置に位置する状態において、インクカートリッジ30の大気連通口96へ挿入される。
[装着センサ113]
図6に示されるように、カートリッジケース101の天面には、装着センサ113が配置されている。装着センサ113は、インクカートリッジ30が装着部110に装着されているか否かを検知するものである。装着センサ113は、ロッド125よりも前方且つ接点106よりも後方に位置している。本実施形態において、装着センサ113は、発光部及び受光部を備える。発光部は、受光部よりも右方または左方に、受光部と間隔を空けて設けられている。装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30の遮光板67は、発光部及び受光部の間に配置される。換言すれば、発光部及び受光部は、装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30の遮光板67を挟んで対向配置されている。
装着センサ113は、発光部から左右方向9に沿って照射された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる検知信号を出力する。例えば、装着センサ113は、発光部から出力された光が受光部で受光できない(すなわち、受光強度が所定の強度未満である)ことを条件として、ローレベル信号を制御部130(図8参照)へ出力する。本実施形態では、インクカートリッジ30が装着部110に装着されている状態において遮光板67が発光部及び受光部の間に配置されるため、装着センサ113はローレベル信号を制御部130へ出力する。一方、装着センサ113は、発光部から出力された光が受光部で受光できた(すなわち、受光強度が所定の強度以上である)ことを条件として、ハイレベル信号を制御部130へ出力する。本実施形態では、インクカートリッジ30が装着部110に装着されていない状態において発光部及び受光部の間には何も配置されていないため、装着センサ113はハイレベル信号を制御部130へ出力する。
[ロックシャフト145]
図6に示されるように、ロックシャフト145が、カートリッジケース101の天面付近且つ開口112付近において、カートリッジケース101の左右方向9に延出されている。ロックシャフト145は、左右方向9に沿って延びる棒状の部材である。ロックシャフト145は、例えば、金属の円柱である。ロックシャフト145の左右方向9の両端は、カートリッジケース101の左右方向9の両端を確定している壁に固定されている。ロックシャフト145は、4つのインクカートリッジ30が収納可能な4つの空間に渡って左右方向9に延びている。
ロックシャフト145は、装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着位置に保持するためのものである。インクカートリッジ30は、装着部110に装着された状態で、ロックシャフト145に係合される。これにより、ロックシャフト145は、インクカートリッジ30のコイルバネ78,98がインクカートリッジ30を前方へ押す力に抗してインクカートリッジ30を装着部110内に保持する。
[タンク103]
図5及び図6に示されるように、カートリッジケース101の後方にはタンク103が設けられている。タンク103は、内部に貯留室121を有する箱形状である。
貯留室121は、前方において連通口186を通じてインクニードル102の内部空間と連通している。これにより、当該貯留室121が設けられた装着部110に装着されたインクカートリッジ30から流出したインクが、インクニードル102を通じて当該貯留室121に貯留される。つまり、装着部110に装着されたインクカートリッジ30から貯留室121にインクが供給される。
貯留室121は、連通口128(流出口の一例)を介して、インク流路126と連通している。連通口128は、貯留室121の下部を区画する側壁129に形成されている。連通口128は連通口186よりも下方に位置している。また、連通口128は、キャリッジ22のダンパ室44よりも下方に位置している。
インク流路126は貯留室121から上方へ延びてインク流出ポート127(図5参照)と連続している。インク流出ポート127には、インクチューブ20が接続されている。これにより、図9に示されるように、貯留室121に貯留されたインクが、連通口128から流出して、インク流路126及びインクチューブ20を通じてキャリッジ22のダンパ室44へ供給される。つまり、連通口128は、インク流路126及びインクチューブ20を通じてダンパ室44と連通されている。
図6に示されるように、貯留室121は、タンク103の上部に設けられた大気連通ポート124と連通している。貯留室121と大気連通ポート124とは、貯留室121の上部の前端を区画する前壁121Bに形成された貫通孔119から大気流路120(第2大気流路の一例)を通じて連通している。貫通孔119は半透膜118によって封止されている。大気連通ポート124は、外部へ開口している。これにより、貯留室121は、大気開放されている。
なお、図5においては、タンク103の背面を構成するフィルムが省略されているが、貯留室121及びインク流路126のそれぞれの背面はフィルムによって封止されて構成されている。
[回動部材190]
図6に示されるように、回動部材190が、タンク103の貯留室121内に配置されている。回動部材190は、貯留室121内に配置された支持部材(不図示)によって、矢印58、59の向きに回動可能に支持されている。なお、回動部材190は、支持部材以外に支持されていてもよい。例えば、回動部材190は、貯留室121を区画するカートリッジケース101の壁によって支持されていてもよい。
回動部材190は、フロート191と、軸192と、アーム193と、被検知部194とを備えている。フロート191は、回動部材190の下部に位置する。フロート191は、貯留室121に貯留されたインクよりも比重が小さい材料によって形成されている。軸192は、フロート191の右面及び左面から左右方向9に沿って突出している。軸192は、支持部材に形成された孔に挿入されている。これにより、回動部材190は、軸192を中心として回動可能に支持部材によって支持される。
アーム193は、フロート191から略上方へ突出している。被検知部194は、アーム193の突出先端部に形成されている。被検知部194は、上下方向7及び前後方向8に延びた板状に構成されている。被検知部194は、後述する液面センサ195(第2出力部の一例)の発光部から出力された光を遮光する材料によって形成されている。
貯留室121に貯留されたインクの液面が上下方向7において位置P1(所定位置の一例)より上方の位置であるとき、回動部材50は、フロート191に働く浮力によって、矢印58の向きに回動する。これにより、回動部材50は、図6に実線で示される検知位置に位置する。本実施形態において、位置P1は、インクニードル102の軸中心(換言すると連通口186の中心)と同じ高さであるが、当該高さ以外であってもよい。
一方、貯留室121に貯留されたインクが消費されることでインクの液面が下がり、上下方向7において位置P1以下の位置となると、回動部材50は、液面に追随して矢印59の向きに回動する。これにより、回動部材50は、図6に破線で示される非検知位置に位置する。つまり、回動部材50は、貯留室121に貯留されたインクの液面が上下方向7において位置P1になったことを条件として状態変化する。
[液面センサ195]
図6及び図8に示される液面センサ195は、被検知部194を備えた回動部材190の状態変化を検知するものである。本実施形態において、液面センサ195は、発光部及び受光部を備える。発光部及び受光部は、左右方向9に間隔を空けて、タンク103の貯留室121を挟むように配置されている。発光部は、貯留室121の右方または左方の一方に配置されており、受光部は、貯留室121の右方または左方の他方に配置されている。発光部から出力される光の光路は、左右方向9に一致する。発光部と受光部との間には、検知位置の回動部材190の被検知部194が位置する。なお、貯留室121を区画する壁は、少なくとも発光部から受光部へ向かう光が通る部分において透光性を有する部材で構成されている。
液面センサ195は、発光部から出力された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる検知信号を出力する。例えば、液面センサ195は、発光部から出力された光が受光部で受光できない(すなわち、受光強度が所定の強度未満である)ことを条件として、ローレベル信号(「信号レベルが閾値レベル未満の信号」を指す。)を制御部130(図8参照)へ出力する。一方、液面センサ195は、発光部から出力された光が受光部で受光できた(すなわち、受光強度が所定の強度以上である)ことを条件として、ハイレベル信号(「信号レベルが閾値レベル以上の信号」を指す。)を制御部130へ出力する。
検知位置の被検知部194は、発光と受光部との間に位置する。よって、タンク103の貯留室121に貯留されたインクの液面が上下方向7において位置P1より上方の位置であるとき、発光部から出力された光が受光部で受光できないため、液面センサ195は、ローレベル信号を制御部130へ出力する。一方、非検知位置の被検知部194は、発光部と受光部との間から退避した位置にある。よって、貯留室121に貯留されたインクの液面が上下方向7において位置P1以下の位置であるとき、発光部から出力された光が受光部で受光できるため、液面センサ195は、ハイレベル信号を制御部130へ出力する。以上より、被検知部194は、被検知部194の状態に応じた信号を制御部130に出力する。
[メンテナンス機構60]
複合機10は、図9及び図11に示されるメンテナンス機構60を備える。メンテナンス機構60は、図3に示されるように、搬送ローラ対25及び排出ローラ対27によって搬送される用紙12の通過する範囲(以下、「通過領域」と表記する。)から右方に外れた位置に配置される。なお、通過領域とは、記録ヘッド21とプラテン26上の用紙12とが対面し得る領域である。
図11に示されるように、メンテナンス機構60は、キャップ146、166と、リフトアップ機構148と、当接レバー149と、ポンプ150(図9参照)とを備えている。メンテナンス機構60は、ノズル29内のインクや空気、及びノズル面に付着した異物(以下、これらを総称して「インク等」と表記する。)を吸引するパージ動作と、記録ヘッド21からキャップ146に空吐出されたインク等を吸引する空吸引動作とを実行する。メンテナンス機構60によって吸引除去されたインク等は、廃液タンク152(図9参照)に貯留される。
キャップ146、166は、ゴムにより構成されている。キャップ146、166は、通過領域の右方に位置するキャリッジ22に対面して設けられている。
キャップ146、166は、記録ヘッド21と密着するキャップ位置(図11(B)及び図9に示される位置、被覆位置の一例)と、キャップ位置よりも下方の位置であって記録ヘッド21から離間するアンキャップ位置(図11(A)に示される位置、開放位置の一例)との間を移動可能に構成されている。
キャップ146は、キャップ位置のときに、ノズル面(「記録ヘッド21のノズル29が形成された面」を指す。)を覆う。キャップ146は、アンキャップ位置のときに、ノズル面から離間する。キャップ146は、チューブ158を介して切替機構62(第1切替機構の一例)のノズル吸引ポート153に接続される。
キャップ166は、キャップ位置のときに開口184を覆う。キャップ166は、アンキャップ位置のときに開口184を下方へ開放する。キャップ166は、切替機構62の排気ユニット165のチューブ147を介して切替機構62の排気ポート162に接続される。
リフトアップ機構148は、図11に示されるように、リンク160を備える。キャリッジ22の移動に連動してリンク160が回動することで、図11(A)の位置と図11(B)の位置との間でホルダ161を移動させる。ホルダ161は、キャップ146、166と、鉛直上方へ突出された当接レバー149とを保持している。当接レバー149は、キャリッジ22の移動範囲まで延出されている。
右方に移動するキャリッジ22は、当接レバー149を押圧して右方に移動させる。当接レバー149を保持するホルダ161は、当接レバー149の右方への移動に連動して上昇し、キャップ146、166をキャップ位置に移動させる。一方、左方に移動したキャリッジ22は、当接レバー149から離間する。キャリッジ22に離間された当接レバー149は、左方に移動する。そして、ホルダ161は、当接レバー149の左方への移動に連動して下降し、キャップ146、166をアンキャップ位置に移動させる。
[ポンプ150]
図9に示されるポンプ150は、例えば、ロータリ式のチューブポンプである。ポンプ150は、ポンプ駆動用モータ176(図8参照)の駆動によって、吸引ポート154から排出ポート156へ向かう流体(インク或いは空気等)の流れを形成する。つまり、ポンプ150は、吸引ポート154から吸引した流体を排出ポート156から排出する。吸引ポート154から延出されたチューブ157の先端には、切替機構62のポンプポート163が接続されている。排出ポート156から延出されたチューブ159の先端は、大気開放されている。チューブ159の先端の下方には、廃液タンク152が配置されている。排出ポート156から排出された流体は、チューブ159を介して廃液タンク152へ流出する。
図12に示されるように、ポンプ150は、内部空間を有する筐体51と、筐体51の内部空間に配置された回転体52と、回転体52に移動可能に支持されたローラ53(押圧部材の一例)と、筐体51の内部空間に配置されたポンプチューブ54(チューブの一例)とを備えている。
回転体52は、ポンプ駆動用モータ176の駆動によって、筐体51内を回転可能である。回転体52は、円形の上板52Aと、円形の下板52Bと、上板52Aの中心部及び下板52Bの中心部を繋ぐ接続板52Cとを備えている。
ローラ53は、回転体52によって支持されている。詳細には、上板52A及び下板52Bに、溝52Dが形成されている。溝52Dは、概ね上板52A及び下板52Bの周方向に沿って延びている。ローラ53の上端部と下端部とは、溝52Dに挿通されている。これにより、ローラ53は、溝52Dに沿って移動可能である。図12(A)に示されるように、上板52A及び下板52Bの中心から溝52Dの一端部までの径方向の距離r1は、当該中心から溝52Dの他端部までの径方向の距離r2よりも長い。
ポンプチューブ54は、筐体51の内壁面とローラ53との間に、上板52A及び下板52Bの周方向に沿って配設されている。ポンプチューブ54の一端は、吸引ポート154を介してチューブ158と連通している。チューブ158は、切替機構62を介してダンパ室44と連通可能である。つまり、ポンプチューブ54の一端は、ダンパ室44と連通可能である。ポンプチューブ54の他端は、排出ポート156を介してチューブ159と繋がっている。つまり、ポンプチューブ54の他端は、大気と連通されている。
図12(A)に示されるように、回転体52が、ポンプ駆動用モータ176から正転または逆転の一方(本実施形態では正転)の駆動力を付与されて、矢印55の向きに回転すると、ローラ53は溝52Dに対して相対移動して溝52Dの一端部と当接する。このとき、ローラ53は、ポンプチューブ54を径方向の外方へ押圧する(図12(B)、(C)参照)。このときのローラ53の位置が第1位置の一例である。以後、ローラ53は、回転する回転体52と一体に回動する。これにより、ローラ53は、上板52A及び下板52Bの周方向に沿って、つまりポンプチューブ54の配設方向に沿って移動する。これにより、図12(B)、(C)に示されるように、ポンプチューブ54が回動するローラ53に押圧される。その結果、ポンプチューブ54内の流体が吸引ポート154側から排出ポート156側へ押し出される。つまり、吸引ポート154側から排出ポート156側への吸引が実行される。
図13(A)に示されるように、回転体52が、ポンプ駆動用モータ176から正転または逆転の他方(本実施形態では逆転)の駆動力を付与されて、矢印56の向きに回転すると、ローラ53は溝52Dに対して相対移動して溝52Dの他端部と当接する。このとき、ローラ53は、ポンプチューブ54から径方向の内方へ離間している。つまり、ローラ53は、ポンプチューブ54を押圧していない(図13(B)、(C)参照)。このときのローラ53の位置が第2位置の一例である。つまり、第2位置のローラ53のポンプチューブ54に対する押圧量は、第1位置のローラ53のポンプチューブ54に対する押圧量よりも小さい。これにより、吸引ポート154と排出ポート156とが連通された状態となる。
[切替機構62]
図9に示されるように、複合機10は、切替機構62を備えている。切替機構62は、ダンパ室44と吸引ポート154との連通状態を切り替えるものである。
切替機構62は、図10に示されるように、円筒状のシリンダ138と、シリンダ138の内部に配置された円柱形状の回転体139とを備えている。
シリンダ138には、ノズル吸引ポート153と排気ポート162とポンプポート163とが形成されている。シリンダ138と回転体139との間には、空間164が形成されている。空間164は、ポンプポート163と連通している。
図9に示されるように、ノズル吸引ポート153は、チューブ158を介してキャップ146と連通している。排気ポート162は、排気ユニット165のチューブ147を介してキャップ166と連通している。ポンプポート163は、チューブ157を介してポンプ150の吸引ポート154と連通している。
また、切替機構62は、排気ユニット165を備えている。排気ユニット165は、流路181と、チューブ147と、バルブ182と、コイルバネ183と、排気シャフト185と、カム機構187とを備えている。
流路181は、ダンパ室44から排気ユニット165へ延出している。流路181の先端には、開口184が形成されている。開口184は、記録部24の外部と連通している。開口184は、キャップ位置のキャップ166によって覆われる。
チューブ147の一端は、キャップ166に接続されている。キャップ166がキャップ位置のとき、チューブ147は、キャップ166を介して開口184と連通している。チューブ147の他端は、排気ポート162と接続されて排気ポート162と連通している。
バルブ182は、流路181に配置されており、開口184を閉じる閉位置(図9に示される位置)と、閉位置より上方であって開口184を開く開位置とに上下方向に沿って移動する。
コイルバネ183は、流路181に配置されており、バルブ182を閉位置へ向けて付勢している。
排気シャフト185は、バルブ182の下方に配置されている。排気シャフト185はキャップ166を貫通している。排気シャフト185とキャップ166との間の隙間は、ゴムなどによって閉塞されている。これにより、排気シャフト185とキャップ166とは、当該隙間を生じさせることなく、互いに相対的に上下動するように構成されている。
なお、以上の説明では、流路181、バルブ182、コイルバネ183、及び排気シャフト185は、1つずつであるとして説明された。しかし、図示されていないものの、本実施形態では、流路181、バルブ182、コイルバネ183、及び排気シャフト185は、それぞれ4つ設けられている。
カム機構187は、移動することによって、排気シャフト185CLを昇降させて、バルブ182による開口184の開閉を切り替えるものである。カム機構187は、カムフォロア188と、回転カム(不図示)とを備えている。
カムフォロア188は、回転カムによって左右方向にスライドされる部材であって、そのスライド位置によって排気シャフト185を上下動させる部材である。カムフォロア188の上面には、各バルブ182に対応して、上下方向の位置が連続的に変位するカム溝(不図示)が形成されている。カムフォロア188のカム溝には、排気シャフト185の下端部が係入されている。これにより、排気シャフト185は、カムフォロア188のスライド位置によって上下動する。
排気シャフト185は、上方へ移動することによってバルブ182と当接して上方へ押す。これにより、バルブ182はコイルバネ183の付勢力に抗して開位置へ移動する。
排気シャフト185は、下方へ移動することによってバルブ182から離間する。これにより、バルブ182はコイルバネ183の付勢力によって閉位置へ移動する。
回転カムは、回転体139と一体に回転する。回転カムには、回転体139の回転中心からの径が連続的に変位するカム溝が形成されている。回転カムのカム溝には、カムフォロア188の下面から突出した突起が係入されている。これにより、回転カムの回転位置によって、カムフォロア188が左右方向9にスライドされる。つまり、カムフォロア188は、回転体139の移動に連動して移動する。
回転体139が回転体駆動用モータ174(図8参照)から駆動伝達されて回転することにより、シリンダ138の下部に形成されたノズル吸引ポート153及び排気ポート162の、ポンプポート163に対する状態が変化する。また、回転体139が回転体駆動用モータ174から駆動伝達されて回転することにより、バルブ182の位置が変化する。ポートの状態変化及びバルブ182の位置変化により、ダンパ室44の吸引ポート154に対する連通状態が変化する。
回転体139が図10(A)に示される位置(回転位相)であるとき、排気ポート162が空間164を介してポンプポート163と連通することでポンプ150の吸引ポート154と連通している。また、本実施形態では、このとき、図9に示されるバルブ182が開位置に位置している。これにより、キャップ166がキャップ位置において、ダンパ室44が排気ユニット165を介して吸引ポート154と連通している。
回転体139が図10(B)に示される位置(回転位相)であるとき、ノズル吸引ポート153が空間164を介してポンプポート163と連通することでポンプ150の吸引ポート154と連通している。また、本実施形態では、このとき、図9に示されるバルブ182が閉位置に位置している。これにより、キャップ146がキャップ位置において、ダンパ室44がノズル29を介して吸引ポート154と連通している。
回転体139が図10(C)に示される位置(回転位相)であるとき、排気ポート162及びノズル吸引ポート153の何れもポンプポート163と連通しない。これにより、キャップ166がキャップ位置において、ダンパ室44は吸引ポート154と連通していない。本実施形態では、このとき、図9に示されるバルブ182が開位置に位置している。なお、ダンパ室44と吸引ポート154との連通を遮断する手段は、上記のように回転体139を図10(C)に示される位置(回転位相)とする手段に限らない。例えば、回転体139が図10(B)に示される位置(回転位相)以外に位置され、且つ図9に示されるバルブ182が閉位置に位置されることによって、ダンパ室44と吸引ポート154との連通が遮断されてもよい。
また、切替機構62は、図12に示されるポンプ150の回転体52を備えている。上述したように、回転体52には溝52Dが形成されており、この溝52Dに沿ってローラ53は第1位置及び第2位置に移動する。つまり、切替機構62は、ローラ53を第1位置及び第2位置に移動させる。
切替機構62の回転体139が図10(A)に示される位置に回転され、且つ、ポンプ駆動用モータ176から正転の駆動力が切替機構62の回転体52に付与されることによりローラ53が第1位置に位置されると(図12参照)、ダンパ室44内の流体のポンプ150による吸引が可能な吸引状態となる。吸引状態において、ポンプ駆動用モータ176から正転の駆動力が切替機構62の回転体52に付与されることによって、ダンパ室44内の流体が排気ユニット165を通じてポンプ150へ吸引される。
切替機構62の回転体139が図10(A)に示される位置に回転され、且つ、ポンプ駆動用モータ176から逆転の駆動力が切替機構62の回転体52に付与されることによりローラ53が第2位置に位置されると(図13参照)、ダンパ室44内が大気開放された開放状態となる。
切替機構62の回転体139が図10(C)に示される位置に回転されると、ダンパ室44の大気との連通及びポンプ150との連通の何れも遮断された遮断状態となる。
以上より、切替機構62は、ダンパ室44の状態を開放状態と吸引状態と遮断状態とに切替可能である。詳細には、切替機構62は、回転体139を図10(A)に示される位置に回転させ、ローラ53を第1位置に移動させることによりダンパ室44を吸引状態にし、回転体139を図10(A)に示される位置に回転させ、ローラ53を第2位置に移動させることによりダンパ室44を開放状態にし、回転体139を図10(C)に示される位置に回転させることによりダンパ室44を遮断状態にする。
[光学センサ57]
光学センサ57(図8参照)は、回転体139の位置(回転位相)を検知するものである。回転体139には、径方向の外方へ突出する複数の凸部(不図示)が形成されている。複数の凸部は、回転体139の回転に対して位相が異なる位置に配置されている。各凸部の間は、回転体139の所定の回転角度だけ離間されている。光学センサ57は、回転体139の外周と対向する位置に配置されている。光学センサ57と凸部とが対向する場合、光学センサ57からハイレベルの信号が制御部130(図8参照)出力され、対向しない場合、光学センサ57からローレベルの信号が制御部130へ出力される。なお、回転体139の位置を検知するセンサとして、光学センサ57以外の種々の公知のセンサ(例えば近接センサ)が採用可能である。
[インクカートリッジ30]
図6及び図7に示されるインクカートリッジ30はインクが貯留される容器である。図6及び図7に示されているインクカートリッジ30の姿勢は、使用姿勢である。
図6及び図7に示されるように、インクカートリッジ30は、略直方体形状の筐体31を有する。図7に示されるように、筐体31は、後壁40と、前壁41と、上壁39と、下壁42と、右側壁37と、左側壁38とで構成されている。
筐体31は、全体として、左右方向9に沿った寸法が細く、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿った寸法が、左右方向9に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。筐体31において、少なくとも前壁41が、貯留室32及び貯留室33に貯留されたインクの液面を外部から視認可能な透光性を有するものである。
筐体31は、下壁42より上方に位置しており、後壁40の下端と連続して前方へ延びるサブ下壁48を有する。本実施形態において、サブ下壁48の後端はインク供給部34の後端よりも後方に位置し、サブ下壁48の前端は、インク供給部34の後端より前方に位置する。下壁42とサブ下壁48とは段差面49によって連続している。インク供給部34は、サブ下壁48の下方、且つ下壁42の上方において、段差面49から後方へ延びている。なお、サブ下壁48の後端の位置は任意であり、例えば、インク供給部34の後端よりも前方に位置していてもよい。
上壁39の外面には、上方に突出する凸部43が設けられている。凸部43は、前後方向8に沿って延びている。凸部43において後方を向く面がロック面151である。ロック面151は、上壁39よりも上方に位置している。ロック面151は、装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態において、ロックシャフト145と前方へ向かって接触し得る面である。ロック面151がロックシャフト145と前方へ向かって接触することにより、インクカートリッジ30がコイルバネ78、98の付勢力に抗して装着部110に保持される。
凸部43におけるロック面151の後方に、傾斜面155が形成されている。インクカートリッジ30が装着部110に装着される過程において、ロックシャフト145が傾斜面155に沿って案内される。これにより、ロックシャフト145は、ロック面151と接触する位置へ導かれる。
上壁39におけるロック面151の前方に、操作部90が形成されている。インクカートリッジ30が装着部110に装着された状態において、操作部90の操作面92が下方へ押されると、インクカートリッジ30が回動することでロック面151が下方へ移動する。これにより、ロック面151がロックシャフト145よりも下方に位置する。その結果、インクカートリッジ30が装着部110から脱抜可能となる。
上壁39の外面には、上方に突出する遮光板67が形成されている。遮光板67は、前後方向8に延びている。遮光板67は、凸部43よりも後方に位置している。
遮光板67は、インクカートリッジ30が装着部110に装着された状態において、装着センサ113の発光部と受光部との間に位置する。これにより、遮光板67は、左右方向9に進行する装着センサ113の光を遮断する。より詳細には、装着センサ113の発光部から出力された光が受光部に到達するまでの間に遮光板67に当たることによって、受光部に到達する光の強度が所定の強度未満、例えば、ゼロとなる。遮光板67は、光が発光部から受光部に進むのを完全に遮断してもよいし、光を部分的に減衰させてもよいし、光の進行方向を曲げてもよいし、光を全反射させてもよい。
本実施形態では、遮光板67には切欠き66が形成されている。切欠き66は、遮光板67の上端から下方へ凹む空間であり、前後方向8に拡がっている。切欠き66が装着センサ113に位置することにより、装着センサ113の発光部から出力された光は、受光部に到達するまでに遮断されない。切欠き66の有無によって、インクカートリッジ30の種別、すなわちインクカートリッジ30が貯留するインクの種類や初期量などが判別可能となる。他方、遮光板67に切欠き66がなければ、遮光板67は、装着状態のインクカートリッジ30において、装着センサ113の発光部と対向する。
上壁39の外面であって、前後方向8における遮光板67と凸部43との間には、IC基板64が設けられている。IC基板64は、インクカートリッジ30が装着部110に装着された状態において接点106と導通する。
IC基板64には、シリコンなどで形成された基板に、IC(各図には現れていない)と、4つの電極65が搭載されたものである。4つの電極65は、左右方向9に沿って並んでいる。ICは、半導体集積回路であり、インクカートリッジ30に関する情報、例えば、ロット番号や製造年月日、インク色などの情報を示すデータが読み出し可能に格納されている。また、IC基板64は、可橈性を有するフレキシブル基板にIC及び電極が設けられて構成されてもよい。
各電極65はICと電気的に接続されている。各電極65は、それぞれが前後方向8に沿って延出されており、4つの電極65は、左右方向9に離間されて配置されている。各電極65は、IC基板64の上面に電気的にアクセス可能に露出されている。
上壁39の外面のうち後端にあるサブ上面91の前端から、段差面95が上方へ延びている。段差面95は後方を向く面である。段差面95には、貯留室32を大気に連通させる大気連通口96が形成されている。つまり、大気連通口96は、筐体31の上下方向7の寸法の中心より上方に配置されている。大気連通口96は、段差面95に形成された略円形の開口であって、装着部110のロッド125の外径より大きな内径を有している。図6に示されるように、インクカートリッジ30が装着部110に装着される過程において、ロッド125が大気連通口96に進入する。大気連通口96に進入したロッド125は、大気連通口96を封止するバルブ97をコイルバネ98の付勢力に抗して後方へ移動させる。バルブ97が後方へ移動して大気連通口96から離れることにより、貯留室32が大気開放される。なお、大気連通口96を封止する部材は、バルブ97に限定されない。例えば、段差面95から剥離可能なシールによって大気連通口96が封止されてもよい。
図6に示されるように、筐体31の内部に、貯留室32、貯留室33、インクバルブ室35、及び大気バルブ室36が形成されている。貯留室32、貯留室33、インクバルブ室35は、インクを貯留する。貯留室32、貯留室33、インクバルブ室35は、空間の一例である。大気バルブ室36には、大気が流通する。大気バルブ室36は、第1大気流路の一例である。貯留室32と貯留室33とは、不図示の貫通孔によって連通している。貯留室32と大気バルブ室36とは、貫通孔46によって連通している。貯留室33とインクバルブ室35とは、貯留室33の下端に形成された貫通孔99によって連通している。
大気バルブ室36には、バルブ97及びコイルバネ98が収容されている。大気バルブ室36は、段差面95に形成された大気連通口96によって外部と連通している。バルブ97は、大気連通口96を封止する閉位置と、大気連通口96から離れた開位置に移動可能である。コイルバネ98は、前後方向8に沿って伸縮可能に配置されており、バルブ97を大気連通口96へ当接する方向、すなわち後方へ付勢している。コイルバネ98のバネ定数は、インク供給部34のコイルバネ78のバネ定数よりも小さい。
大気バルブ室36を区画する壁93には貫通孔94が形成されている。貫通孔94は、半透膜80によって封止されている。
本実施形態において、インクカートリッジ30の貯留室33を大気開放している流路(大気バルブ室36)の流路抵抗は、タンク103の貯留室121を大気開放している流路(大気流路120)の流路抵抗よりも小さい。
例えば、流路抵抗は、流路の断面積が大きくすることで小さくされる。また、例えば、流路抵抗は、流路の長さを長くすることで大きくされる。また、例えば、流路抵抗は、半透膜の種類を変えることで大きくまたは小さくされる。また、例えば、流路抵抗は、流路に配置される半透膜の数を多くすることで大きくされる。
なお、インクカートリッジ30の貯留室33を大気開放している流路(大気バルブ室36)の流路抵抗は、タンク103の貯留室121を大気開放している流路(大気流路120)の流路抵抗と同じであってもよいし、当該流路抵抗より大きくてもよい。
インク供給部34は、段差面49から後方へ突出している。インク供給部34は、円筒形状の外形をなしている。インク供給部34の内部空間が、インクバルブ室35である。インク供給部34の後端は、インク供給口71によってインクカートリッジ30の外部に開口している。インク供給部34の後端には、シール部材76が設けられている。インク供給部34の前端は、上述したように、貫通孔99によって貯留室33の下端と連通している。つまり、インク供給部34は、貯留室33の下端と連通している。
インクバルブ室35には、バルブ77及びコイルバネ78が収容されている。バルブ77は、前後方向8に沿って移動することにより、シール部材76の中央に貫通されたインク供給口71を開閉する。コイルバネ78はバルブ77を後方へ付勢している。したがって、外力が付与されていない状態において、バルブ77は、シール部材76のインク供給口71を閉じている。
シール部材76は、中央に貫通孔が形成された円盤形状の部材である。シール部材76は、例えば、ゴムやエラストマのような弾性材料から形成されている。シール部材76の中央が前後方向8に貫通されて筒状の内周面が形成され、その内周面によりインク供給口71が形成されている。インク供給口71の内径は、インクニードル102の外径より若干小さい。
バルブ77がインク供給口71を閉じており、且つバルブ114がインクニードル102の開口116を閉じている状態において、インクカートリッジ30が装着部110に装着されると、インク供給口71にインクニードル102が進入する。つまり、接続部107とインク供給部34とが接続される。このとき、インクニードル102の外周面は、シール部材76を弾性変形しつつ、インク供給口71を画定する内周面に液密に接触する。インクニードル102の先端がシール部材76を通過してインクバルブ室35へ進入すると、バルブ77に当接する。さらにインクカートリッジ30が装着部110へ挿入されることにより、インクニードル102がバルブ77をコイルバネ78の付勢力に抗して後方へ移動させる。これにより、インク供給口71が開かれる。
また、インクニードル102の先端がバルブ77に当接する一方で、バルブ77は前方からバルブ114と当接してこれを押す。すると、バルブ114は、コイルバネ115の付勢力に抗して後方へ移動する。これにより、開口116が開かれる。その結果、貯留室32、33、及びインクバルブ室35に貯留されているインクが、インクニードル102の内部空間117を通じて、タンク103の貯留室121へ流通することが可能となる。ここで、貯留室32、33、及びインクバルブ室35と、貯留室121とは、いずれも大気に開放されている。よって、インクカートリッジ30の貯留室32、貯留室33、及びインクバルブ室35に貯留されたインクは、インク供給部34を通じて水頭差によって、タンク103の貯留室121へ供給される。
[制御部130]
以下、図8が参照されて、制御部130の概略構成が説明される。制御部130が後述するフローチャートにしたがった制御を行うことによって、本発明が実現される。制御部130は、複合機10の全体動作を制御するものである。制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、ASIC135、及びこれらを相互に接続する内部バス137を備えている。
ROM132には、CPU131が記録制御を含む各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
ASIC135には、搬送用モータ171、給送用モータ172、及びキャリッジ駆動用モータ173が接続されている。また、ASIC135には、回転体139を回転させるための回転体駆動用モータ174が接続されている。また、ASICには、ポンプ150を駆動させるためのポンプ駆動用モータ176が接続されている。ASIC135には、各モータを制御する駆動回路が組み込まれている。CPU131から所定のモータに応じた駆動回路に各モータを回転させるための駆動信号が入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力される。これにより、対応するモータが回転する。つまり、制御部130は、各モータ171、172、173、174、176を制御する。すなわち、制御部130は、回転体駆動用モータ174を制御することで、切替機構62の状態切替を制御する。また、制御部130は、ポンプ駆動用モータ176を制御することで、ポンプ150の駆動を制御する。また、制御部130は、キャリッジ駆動用モータ173を制御することでキャリッジ22を移動させる。ここで、上述したように移動するキャリッジ22が当接レバー149と接離することによって、キャップ146、166がキャップ位置及びアンキャップ位置に移動する。つまり、制御部130は、キャリッジ駆動用モータ173を制御することで、キャップ146の移動を制御する。
また、ASIC135には、装着センサ113から出力される信号が入力される。制御部130は、装着センサ113から入力された信号がローレベルの場合、インクカートリッジ30が装着部110へ装着されていると判断する。一方、制御部130は、装着センサ113から入力された信号がハイレベルの場合、インクカートリッジ30が装着部110へ装着されていないと判断する。
また、ASIC135には、液面センサ195から出力される信号が入力される。制御部130は、液面センサ195から入力された信号がローレベルの場合、タンク103の貯留室121に貯留されたインクの液面が位置P1より上方に位置すると判断する。一方、制御部130は、液面センサ195から入力された信号がハイレベルの場合、タンク103の貯留室121に貯留されたインクの液面が上下方向7において位置P1以下に位置すると判断する。
また、ASIC135には、光学センサ57から出力される信号が入力される。制御部130は、光学センサ57の出力(ハイレベル/ローレベル)の周期によって、回転体139の位置(回転位相)を把握する。
また、ASIC135には、圧電素子45が接続されている。圧電素子45は、不図示のドライブ回路を介して制御部130により給電されることで動作する。制御部130は、圧電素子45への給電を制御し、複数のノズル29から選択的にインク滴を吐出させる。
[初期導入の制御]
以下、図14のフローチャートが参照されつつ、初期導入の制御が説明される。ここで、初期導入とは、インクカートリッジ30を装着部110に装着して、インクカートリッジ30からインクが貯留されていないタンク103の貯留室121へインクを供給する処理である。なお、以下では、タンク103が1つであるとして説明されるが、タンク103Bの数は1つに限らない。例えば、本実施形態では、上述したように、タンク103が4つである。
なお、初期導入の開始前(初期状態)において、装着部110にはインクカートリッジ30が装着されていない。よって、装着センサ113から制御部130へハイレベルの信号が出力されている。また、初期状態において、貯留室121にはインクが貯留されていないため、被検知部194は被検知位置に位置しており、液面センサ195から制御部130へハイレベルの信号が出力されている。また、初期状態において、キャップ146、166はキャップ位置に位置している。
制御部130は、装着センサ113から入力される信号を参照する(S10)。そして、インクカートリッジ30が装着部110に装着されることで、装着センサ113から入力される信号がハイレベルからローレベルに変わると(S10:Yes)、つまり装着センサ113からローレベルの信号が入力されると、制御部130は、回転体駆動用モータ174を制御して回転体139を図10(A)に示される位置(回転位相)に回転させる。また、制御部130は、ポンプ駆動用モータ176を逆転させてローラ53を第2位置(図13参照)に位置させる。つまり、制御部130は、切替機構62を開放状態とする(S20)。なお、ポンプ駆動用モータ176は、ローラ53を第2位置に位置された状態で停止される。
これにより、貯留室121は、連通口128、インクチューブ20、ダンパ室44、切替機構62、及びポンプ150を介して大気開放される。また、貯留室121は、大気連通ポート124を通じて大気開放されている。また、インクカートリッジ30は、装着部110に装着された状態で大気連通口96を通じて大気開放されている。よって、ステップS10においてインクカートリッジ30が装着部110に装着されると、インクカートリッジ30から貯留室121へ、水頭差によってインクの供給が開始される。
ステップS20の処理は、開放処理の一例である。
制御部130は、初期導入の開始から所定時間が経過すると(S30:Yes)、回転体駆動用モータ174を制御して回転体139を図10(C)に示される位置(回転位相)に回転させる。つまり、制御部130は、切替機構62を遮断状態とする(S40)。
ここで、初期導入の開始は、インクカートリッジ30から貯留室121への水頭差によるインクの供給の開始である。制御部130は、装着センサ113から入力される信号がハイレベルからローレベルに変わったタイミングを、初期導入の開始のタイミングとする。そして、制御部130は、当該タイミングで制御部130が備えるタイマのカウントをスタートさせる。
また、所定時間は、初期導入の開始から、貯留室121に貯留されたインクの液面が連通口128以上の高さ(換言すると、図6に示される位置P2以上の高さ)となるまでの時間である。例えば、所定時間は、インクカートリッジ30の貯留室33の容積、タンク103の貯留室121の容積、貯留室33を大気開放している流路(大気バルブ室36)の流路抵抗、貯留室121を大気開放している流路(大気流路120)の流路抵抗などから算出される。また、例えば、所定時間は、実際にインクカートリッジ30を装着部110に装着して、インクカートリッジ30から貯留室121へのインクの供給を実行する実験によって求められてもよい。
切替機構62が遮断状態とされることにより、連通口128、インクチューブ20、ダンパ室44、切替機構62、及びポンプ150を介しての貯留室121と大気との連通は、遮断される。
しかし、貯留室121は、大気連通ポートを通じての大気開放を維持されている。また、インクカートリッジ30は、装着部110に装着された状態で大気連通口96を通じての大気開放されている。よって、切替機構62が遮断状態とされても、インクカートリッジ30から貯留室121への水頭差によるインクの供給は継続される。
ステップS40の処理は、遮断処理の一例である。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、インクカートリッジ30から貯留室121へインクを供給する初期導入において、切替機構62が開放状態とされる(S20)。これにより、貯留室121は、大気流路120だけでなく、連通口128及びダンパ室44を通じても大気開放された状態となる。その結果、インクカートリッジ30からタンク103の貯留室121へ迅速にインクを供給することができる。
また、本実施形態によれば、インクカートリッジ30が装着部110に装着されてインクカートリッジ30からタンク103の貯留室121へのインクの流出が始まるタイミングで(S10:Yes)、切替機構62が開放状態とされる(S20)。これにより、インクカートリッジ30からタンク103の貯留室121へ迅速にインクを供給することができる。
また、切替機構62の機能を実現するためには、例えばダンパ室44を大気開放させるための流路と、ダンパ室44をポンプ150に繋げるための流路との2つの流路を設けることが考えられる。本実施形態によれば、ポンプ150のローラ53が第1位置及び第2位置に移動することによって、ダンパ室44の状態を開放状態と吸引状態とに切り替えることができる。これにより、切替機構62が備える流路を1つ減らすことができる。つまり、切替機構62の構成を単純化することができる。
また、貯留室121に貯留されたインクの液面が連通口128以上の高さになると、連通口128がインクで閉塞される。そのため、切替機構62を開放状態にしておいても、貯留室121は、連通口128及びダンパ室44を通じて大気開放されない状態となる。つまり、切替機構62を開放状態にしておくメリットは少なくなる。一方、切替機構62を開放状態にしておくと、ダンパ室44から外部へのインク漏れなどの問題が生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、貯留室121に貯留されたインクの液面が連通口128以上の高さになると(S30)、切替機構62を遮断状態とする(S40)。これにより、メリットが少ない状態でのダンパ室44の開放を遮断しつつ、上記問題の発生を防止することができる。
また、本実施形態によれば、大気流路120の流路抵抗が大きいため、インクカートリッジ30からタンク103の貯留室121への水頭差によるインクの供給に時間がかかる。しかし、上記の構成及び処理によってタンク103の貯留室121へのインクの供給に係る時間を短縮することができる。
[変形例1]
上記実施形態では、ポンプ150は、移動可能なローラ53を備えていた。そして、ローラ53が第1位置に位置するときに、貯留室121やダンパ室44のインクを吸引することが可能であり、ローラ53が第2位置に位置するとき、貯留室121やダンパ室44をポンプ150を通じて大気開放することが可能であった。しかし、貯留室121やダンパ室44の大気開放が、ポンプ150を通じずに行われてもよい。
例えば、図15に示されるように、切替機構62のシリンダ138が、ノズル吸引ポート153と排気ポート162とポンプポート163とに加えて、大気と連通した大気ポート167を備えていてもよい。また、切替機構62のシリンダ138と回転体139との間に、それぞれがポンプポート163と連通した2つの空間164A、164Bが形成されていてもよい。
回転体139が図15(A)に示される位置(回転位相)であるとき、図10(A)と同様に、排気ポート162が吸引ポート154と連通している。
回転体139が図15(B)に示される位置(回転位相)であるとき、図10(B)と同様に、ノズル吸引ポート153が吸引ポート154と連通している。
回転体139が図15(C)に示される位置(回転位相)であるとき、排気ポート162及び大気ポート167が吸引ポート154と連通している。つまり、貯留室121及びダンパ室44が大気ポート167を通じて大気開放されている。
回転体139が図15(D)に示される位置(回転位相)であるとき、排気ポート162及び大気ポート167の双方が吸引ポート154と連通していない。つまり、貯留室121及びダンパ室44の大気及びポンプとの連通が遮断されている。
変形例1の構成では、切替機構62の回転体139が図15(A)に示される位置(回転位相)に回転され、且つ、ポンプ駆動用モータ176が正転されると吸引状態となる。また、変形例1の構成では、切替機構62の回転体139が図15(C)に示される位置(回転位相)に回転されると開放状態となる。また、変形例1の構成では、切替機構62の回転体139が図15(D)に示される位置(回転位相)に回転されると遮断状態となる。
変形例1における初期導入では、図14に示されるステップS20において、制御部130は、回転体駆動用モータ174を制御して回転体139を図15(C)に示される位置(回転位相)に回転させる。また、変形例1における初期導入では、図14に示されるステップS40において、制御部130は、回転体駆動用モータ174を制御して回転体139を図15(D)に示される位置(回転位相)に回転させる。
[変形例2]
上記実施形態では、貯留室121は大気開放されていた。しかし、貯留室121の大気開放の有無は切替可能であってもよい。貯留室121の大気開放の有無を切り替えるために、複合機10は、例えば、図16に示す切替機構61(第2切替機構の一例)を備えている。切替機構61は、大気流路120の状態を、大気と連通された第1状態、及び大気との連通が遮断された第2状態に切替可能に構成されている。
切替機構61は、図16に示されるように、円筒状のシリンダ168と、シリンダ168の内部に配置された回転体169とを備えている。
シリンダ168には、タンクポート141と大気ポート142とが形成されている。タンク103のタンクポート141(図5、図6、及び図9参照)は、チューブ(不図示)を通じて大気連通ポート124と連通している。大気ポート142は、大気と連通している。シリンダ168と回転体169との間には、空間143が形成されている。空間143は、大気ポート142と連通している。
回転体169は、シリンダ168の内部において、制御部130に制御されたモータ(不図示)から駆動伝達されて回転する。シリンダ168の内部において回転体169が回転することにより、タンクポート141と大気ポート142との連通の有無が変化する。つまり、制御部130は、切替機構61の状態切替を制御する。図16(A)に示される状態のとき、タンクポート141と大気ポート142とが連通している。このとき、貯留室121は、大気開放されている。つまり、図16(A)に示される状態が第1状態である。図16(B)に示される状態のとき、タンクポート141と大気ポート142とは連通していない。このとき、貯留室121は、大気開放されていない。つまり、図16(B)に示される状態が第2状態である。
以下、図17のフローチャートが参照されつつ、変形例2の初期導入における上記実施形態の初期導入(図14)と異なる点について説明される。
ステップS20において、制御部130は、切替機構62を開放状態とすると共に、回転体169を図16(A)に示される位置(回転位相)に回転させて切替機構61を第1状態とする。つまり、制御部130は、開放処理の実行時に切替機構61を第1状態とする。
切替機構62が開放状態とされることにより、貯留室121は、上記実施形態と同様に、連通口128、インクチューブ20、ダンパ室44、切替機構62、及びポンプ150を介して大気開放される。また、切替機構61が第1状態とされることにより、貯留室121は、大気連通ポート124を通じて大気開放される。また、インクカートリッジ30は、装着部110に装着された状態で大気連通口96を通じて大気開放されている。よって、上記実施形態と同様に、インクカートリッジ30から貯留室121へ、水頭差によってインクの供給が開始される。
変形例2における初期導入では、上記実施形態と同様に、貯留室121に貯留されたインクの液面が位置P2の高さとなると、制御部130は、切替機構62を遮断状態とする(S40)。ここで、切替機構61が第1状態であるため、貯留室121は大気連通ポート124を通じての大気開放を維持されている。よって、インクカートリッジ30から貯留室121への水頭差によるインクの供給は継続される。
ステップS40の後、貯留室121にインクが供給されることによって、インクの液面が上昇して位置P1よりも上方となると、回動部材50は非検知位置から検知位置へ回動する。つまり、回動部材50の被検知部194は状態変化する。これにより、液面センサ195から出力される信号がハイレベルからローレベルに変わる。制御部130は、液面センサ195から入力される信号がハイレベルからローレベルに変わると(S50:Yes)、切替機構62を吸引状態とすると共に、回転体169を図16(B)に示される位置(回転位相)に回転させて切替機構61を第2状態とする(S60)。これにより、貯留室121と大気との連通が遮断された状態となる。
次に、制御部130は、ポンプ駆動用モータ176を所定時間正転させる(S70)。これにより、ポンプ150と連通したキャリッジ22のダンパ室44、タンク103の貯留室121、及び装着部110に装着されたインクカートリッジ30内の流体がポンプ150へ向けて吸引される。その結果、貯留室121に貯留されたインクは、連通口128からインクチューブ20を介してダンパ室44へ流通される。ポンプ150の所定時間の駆動が停止すると、ポンプ150の駆動によるインクの流通が停止する。
なお、所定時間は、例えば、当該所定時間のポンプ150の駆動によって、ダンパ室44内及びインクチューブ20内がステップS70の処理前に貯留室121に貯留されていたインクで満たされるような時間に設定される。
ステップS60、S70の処理は、吸引処理の一例である。
その後、制御部130は、パージ処理を実行する(S80)。つまり、制御部130は、回転体139を図10(B)に示される位置に回転させて、ポンプ駆動用モータ176を正転させる。これにより、ダンパ室44内のインクが記録ヘッド21のノズル29から空吐出されて、ポンプ150を介して廃液タンク152へ排出される。
なお、切替機構61の回転体169は、切替機構62の回転体139と同様に回転体駆動用モータ174によって回転されてもよい。また、切替機構61のシリンダ168及び回転体169は、それぞれ切替機構61のシリンダ138及び回転体139と一体に構成されていてもよい。この場合、上述した初期導入が適切に行われるように、切替機構61、62の構成(例えばシリンダに形成される各ポートの位置)が決定される。
変形例2によれば、開放処理の実行時に第2切替機構が第1状態とされる(S20)。これにより、貯留室121は、連通口128及びダンパ室44を通じて大気開放されるとともに、大気流路120を通じても大気開放された状態となる。その結果、インクカートリッジ30からタンク103の貯留室121へ迅速にインクを供給することができる。
また、変形例2によれば、遮断処理(S40)の実行後に、吸引処理が実行される(S60、S70)。これにより、吸引処理の実行開始時には、切替機構62が遮断状態とされているため、切替機構62を開放状態から遮断処理とする制御を行うことなくインクの吸引を開始できる。つまり、吸引処理を迅速に実行開始することができる。
[変形例3]
上記実施形態では、初期導入のステップS20において、切替機構62を開放状態とすることで、貯留室121及びダンパ室44を、排気ユニット165を介して大気開放させていた。しかし、初期導入のステップS20の開始時点において記録部24内にインクが無い場合、ステップS20において、制御部130は、貯留室121及びダンパ室44を、記録ヘッド21のノズル29を介して大気開放させてもよい。
詳述すると、変形例3では、制御部130は、ステップS20において、キャリッジ駆動用モータ173を制御してキャリッジ22を左方へ移動させる。これにより、キャリッジ22は当接レバー149から離間し、ホルダ161は当接レバー149の左方への移動に連動して下降する。すると、キャップ146、166はキャップ位置からアンキャップ位置に移動する。つまり、ステップS20において、制御部130は、キャップ146、166をキャップ位置からアンキャップ位置に移動させる。これにより、記録ヘッド21のノズル29が大気と連通される。その結果、貯留室121は、連通口128、インクチューブ20、ダンパ室44、及び記録ヘッド21のノズル29を介して大気開放される。
なお、変形例3では、ステップS20での大気開放が記録ヘッド21のノズル29を通じて行われるため、切替機構62は、排気ユニット165を備えていなくてもよい。
変形例3によれば、インクカートリッジ30からタンク103の貯留室121へインクを供給する初期導入において、キャップ146、166がアンキャップ位置に移動される。これにより、貯留室121は、大気流路120だけでなく、連通口128、ダンパ室44、及び記録ヘッド21のノズル29を通じても大気開放された状態となる。その結果、インクカートリッジ30からタンクの貯留室121へ迅速にインクを供給することができる。
[その他の変形例]
上記実施形態のポンプ150では、ローラ53は、第1位置においてポンプチューブ54を押圧しており、第2位置においてポンプチューブ54を押圧していなかった。しかし、ローラ53は、第1位置及び第2位置のいずれの位置においてもポンプチューブ54を押圧していてもよい。但し、この場合でも、上記実施形態と同様に、第2位置のローラ53のポンプチューブ54に対する押圧量は、第1位置のローラ53のポンプチューブ54に対する押圧量よりも小さい。
上記実施形態では、ダンパ室44と排気ポート162との連通が、排気ユニット165のバルブ182の開閉によって切替可能に構成されていた。しかし、切替機構62は、バルブ182を備えていなくてもよい。この場合、ダンパ室44と排気ポート162とは流路181及びチューブ147を通じて常時連通されている。そして、ダンパ室44の大気開放の切替は、排気ポート162とポンプポート163との連通の有無を切り替えたり、排気ポート162と大気ポート167との連通の有無を切り替えたり(変形例1)することによって実行される。
切替機構62の構成は、ダンパ室44の状態を開放状態と吸引状態と遮断状態とに切替可能であれば、上記実施形態において説明したような構成に限らない。
切替機構61の構成は、大気流路120と大気との連通状態を、第1状態及び第2状態に切替可能であれば、変形例2において説明したような構成に限らない。
上記実施形態では、タンク103の貯留室121に配置された回動部材190の回動によって、貯留室121に貯留されたインクの液面が位置P1以下であるか否かが検知されていた。しかし、当該検知は、回動部材50の回動以外によって行われてもよい。
例えば、貯留室121における位置P1と同じ高さに、プリズムが配置されてもよい。そして、貯留室121に貯留されたインクの液面がプリズムよりも上方か否かによってプリズムに入射する光の進行方向が異なることに基づいて、つまりプリズムに照射した光の透過状態に基づいて、貯留室121に貯留されたインクの液面が位置P1以下であるか否かが検知されてもよい。この場合、プリズムが被検知部に相当する。また、この場合、プリズムに光を照射する光学センサが第1出力部に相当する。そして、被検知部の状態変化とは、被検知部であるプリズムに照射した光の透過状態の変化である。
また、例えば、貯留室121を区画する壁のうち、少なくとも位置P1を含む高さの部分を透光性を有する部材で形成することで透光部を構成し、貯留室121の外に光学式の透過型センサを設けてもよい。そして、貯留室121に貯留されたインクの液面が透過型センサの発光部よりも上方か否かによって、貯留室121を区画する壁の透光部に入射する光が、透光部を透過して貯留室121内に到達し、貯留室121内のインクにより減衰されることなく再び透光部を透過して受光部に到達するか、または、貯留室121内のインクにより減衰されて受光部に到達するか(減衰されて受光部に到達できないか)に基づいて、つまり貯留室121の本体の壁の透光部に入射された光の減衰状態に基づいて、貯留室121に貯留されたインクの液面が位置P1以下であるか否かが検知されてもよい。この場合、貯留室121を区画する壁に形成した透光部が被検知部に相当する。また、この場合、光学式の透過型センサが第1出力部に相当する。そして、被検知部の状態変化とは、被検知部である透光部に照射した光の減衰状態の変化である。
また、例えば、タンク103の貯留室121に2本の電極が配置されてもよい。2本の電極は基板(不図示)に実装されている。2本の電極の一方の下端は、位置P1よりも若干高い位置にある。2本の電極の他方の下端は、位置P1よりも下方に位置する。そして、2本の電極間にインクを通じて電流が流れるか否かに基づいて、貯留室121に貯留されたインクの液面が位置P1以下であるか否かが検知されてもよい。この場合、2本の電極が被検知部に相当する。また、この場合、基板に実装された上記電流を検知する部分(回路)が、第1出力部に相当する。そして、被検知部の状態変化とは、被検知部である2本の電極間の通電状態の変化である。
上記実施形態において、複合機10のプリンタ部11は、記録ヘッド21を搭載するキャリッジ22が左右方向9へ往復移動するシリアルプリンタであった。しかし、プリンタ部11は、左右方向9の全域をカバーするラインヘッドを搭載したラインプリンタであってもよい。この場合、記録部24は、ラインヘッドと、ダンパ室44とを備えている。
10・・・複合機(インクジェット記録装置)
21・・・記録ヘッド
29・・・ノズル
30・・・インクカートリッジ(カートリッジ)
32・・・貯留室(空間)
36・・・大気バルブ室(第1大気流路)
44・・・ダンパ室
62・・・切替機構(第1切替機構)
103・・・タンク
120・・・大気流路(第2大気流路)
121・・・貯留室
128・・・連通口(流出口)
130・・・制御部
150・・・ポンプ

Claims (8)

  1. インクが貯留される空間及び当該空間を大気に連通可能な第1大気流路を有するカートリッジから供給されたインクを貯留する貯留室、上記貯留室からインクが流出する流出口、及び上記貯留室を大気に連通させる第2大気流路を有するタンクと、
    上記流出口と連通されたダンパ室、及び上記貯留室から供給されて上記ダンパ室に貯留されたインクをノズルから吐出する記録ヘッドを有する記録部と、
    上記ダンパ室内の流体を吸引可能なポンプと、
    上記ダンパ室の状態を、上記ダンパ室が大気と連通された開放状態、上記ダンパ室が上記ポンプと連通されており上記ダンパ室内の流体の上記ポンプによる吸引が可能な吸引状態、及び上記ダンパ室の大気及び上記ポンプとの連通が遮断された遮断状態に切替可能な第1切替機構と、
    上記第1切替機構の状態切替を制御し、上記ポンプの駆動を制御する制御部と、を備え、
    上記制御部は、
    上記カートリッジからインクが貯留されていない上記タンクの上記貯留室へインクを供給する初期導入において、上記第1切替機構を上記開放状態とする開放処理を実行するインクジェット記録装置。
  2. 上記カートリッジが装着可能であり、装着された上記カートリッジから上記タンクの上記貯留室にインクが供給される装着部と、
    上記装着部に上記カートリッジが装着された状態で上記制御部に信号を出力する第1出力部と、を備え、
    上記制御部は、上記信号が入力されたことを条件として上記開放処理を実行する請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 上記ポンプは、
    一端が上記ダンパ室と連通可能であり、他端が大気と連通されたチューブと、
    上記チューブの配設方向に沿って移動可能であり、且つ上記チューブを押圧する第1位置及び上記チューブに対する押圧量が当該第1位置のときよりも小さい第2位置に移動可能な押圧部材と、を備え、
    上記第1位置の上記押圧部材を上記配設方向に沿って移動させることによって吸引を実行するものであり、
    上記第1切替機構は、上記押圧部材を上記第1位置に移動させることにより上記ダンパ室を上記吸引状態にし、上記押圧部材を上記第2位置に移動させることにより上記ダンパ室を上記開放状態にするものである請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 上記第2大気流路の状態を、大気と連通された第1状態、及び大気との連通が遮断された第2状態に切替可能な第2切替機構を備え、
    上記制御部は、
    上記第2切替機構の状態切替を制御するものであり、
    上記開放処理の実行時に上記第2切替機構を上記第1状態とする請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  5. 上記制御部は、上記開放処理の実行後であって上記初期導入の開始から所定時間が経過したことを条件として、上記第1切替機構を上記遮断状態とする遮断処理を実行し、
    上記所定時間は、上記初期導入の開始から、上記貯留室に貯留されたインクの液面が上記流出口以上の高さになるまでの時間である請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 上記貯留室に配置されており、上記貯留室に貯留されたインクの液面が上下方向において上記流出口よりも上方の所定位置になったことを条件として状態変化する被検知部と、
    上記被検知部の状態に応じた信号を上記制御部に出力する第2出力部と、を備え、
    上記制御部は、上記開放処理の実行後であって上記初期導入の開始から所定時間が経過したことを条件として、上記第1切替機構を遮断状態とする遮断処理を実行し、
    上記所定時間は、上記初期導入の開始から、上記貯留室に貯留されたインクの液面が上記流出口以上の高さであり且つ上記所定位置より下方の高さとなるまでの時間であり、
    上記制御部は、上記被検知部が上記状態変化した旨の信号が上記第2出力部より入力されたことを条件として、上記第2切替機構を上記第2状態とし且つ上記第1切替機構を上記吸引状態として、上記ポンプを駆動することによって、上記貯留室に貯留されたインクを上記ダンパ室へ向けて吸引する吸引処理を実行する請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  7. 上記第2大気流路の流路抵抗は、上記第1大気流路の流路抵抗よりも大きい請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  8. インクが貯留される空間及び当該空間を大気に連通可能な第1大気流路を有するカートリッジから供給されたインクを貯留する貯留室、上記貯留室からインクが流出する流出口、及び上記貯留室を大気に連通させる第2大気流路を有するタンクと、
    上記流出口と連通されたダンパ室、及び上記貯留室から供給されて上記ダンパ室に貯留されたインクをノズルから吐出する記録ヘッドを有する記録部と、
    上記ノズルを覆う被覆位置及び上記ノズルを覆わない開放位置に移動可能なキャップと、
    上記キャップの移動を制御する制御部と、を備え、
    上記制御部は、
    上記記録部内にインクが無い状態で、上記カートリッジからインクが貯留されていない上記タンクの上記貯留室へインクを供給する初期導入において、上記キャップを上記開放位置に移動させるインクジェット記録装置。
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