JP2018169440A - 感光性樹脂組成物、感光性エレメント、プリント配線板及びプリント配線板の製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性エレメント、プリント配線板及びプリント配線板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アンダーフィルに対して優れた密着性を有し、クラックの発生を低減した永久マスクレジストを形成できる感光性樹脂組成物、それを用いた感光性エレメントを提供すること。【解決手段】本発明の感光性樹脂組成物は、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、(B)エポキシ化合物、(C)光重合開始剤及び(D)光重合性化合物を含有し、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂に含まれるカルボキシル基に対する、(B)エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の当量比が、1.2〜4.0である。【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、プリント配線板及びプリント配線板の製造方法に関する。
プリント配線板分野では、プリント配線板上に永久マスクレジストを形成することが行われている。永久マスクレジストは、プリント配線板の使用時において、導体層の腐食を防止したり、導体層間の電気絶縁性を保持したりする役割を有している。近年、永久マスクレジストは、半導体素子をプリント配線板上にはんだを介してフリップチップ実装、ワイヤボンディング実装等を行う工程においても、プリント配線板の導体層の不要な部分にはんだが付着することを防ぐ、はんだレジスト膜としての役割も有している。
従来、永久マスクレジストは、熱硬化性樹脂組成物を用いてスクリーン印刷する方法、又は、感光性樹脂組成物を用いた写真法で作製されている。例えば、FC(Flip Chip)、TAB(Tape Automated Bonding)及びCOF(Chip On Film)といった実装方式を用いたフレキシブル配線板においては、ICチップ、電子部品又はLCD(液晶ディスプレイ)パネルと接続配線パターン部分を除いて、熱硬化性樹脂ペーストをスクリーン印刷し、熱硬化して永久マスクレジストを形成している(例えば、特許文献1参照)。
また、電子部品に搭載されているBGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)等の半導体パッケージ基板においては、(1)半導体パッケージ基板上にはんだを介して半導体素子をフリップチップ実装するために、(2)半導体素子と半導体パッケージ基板とをワイヤボンディング接合するために、(3)半導体パッケージ基板をマザーボード基板上にはんだ接合するためには、その接合部分の永久マスクレジストを除去する必要がある。永久マスクレジストの像形成には、感光性樹脂組成物を塗布し乾燥した後に選択的に紫外線等の活性光線を照射して硬化させ、未照射部分のみを現像で除去して像形成する写真法が用いられている。写真法は、その作業性の良さから大量生産に適しているため、電子材料業界では感光性材料の像形成に広く用いられている。(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−198105号公報 特開平11−240930号公報
一方、従来の感光性樹脂組成物から形成される永久マスクレジストは、高温等の厳しい環境下で、アンダーフィルとの密着性が十分でなく、また、永久マスクレジストにクラックが発生してしまうことがある。
そこで、本発明の目的は、アンダーフィルに対して優れた密着性を有し、クラックの発生を低減した永久マスクレジストを形成できる感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物を用いた感光性エレメント、プリント配線板及びプリント配線板の製造方法を提供することである。
本発明の第1の態様は、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、(B)エポキシ化合物、(C)光重合開始剤及び(D)光重合性化合物を含有し、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂に含まれるカルボキシル基に対する、(B)エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の当量比が、1.2〜4.0である感光性樹脂組成物に関する。
本発明の第2の態様は、支持フィルムと、上記感光性樹脂組成物からなる感光層とを備える、感光性エレメントに関する。
本発明の第3の態様は、上記感光性樹脂組成物により形成された永久マスクレジストを具備するプリント配線板に関する。
本発明の第4の態様は、基板上に上記感光性樹脂組成物又は上記感光性エレメントを用いて感光層を形成する工程と、該感光層を露光及び現像してレジストパターンを形成する工程と、該レジストパターンを硬化して永久マスクレジストを形成する工程とを含むプリント配線板の製造方法に関する。
本発明によれば、アンダーフィルに対して優れた密着性を有し、クラックの発生を低減した永久マスクレジストを形成できる感光性樹脂組成物、それを用いた感光性エレメント、プリント配線板及びプリント配線板の製造方法を提供することができる。
本実施形態の感光性エレメントを模式的に示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。このことは、数値及び範囲についても同様であり、本発明を不当に制限するものではないと解釈すべきである。
なお、本明細書において、「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。以下で例示する材料は、特に断らない限り、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
[感光性樹脂組成物]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(以下、(A)成分と称する場合がある。)、(B)エポキシ化合物(以下、(B)成分と称する場合がある。)、(C)光重合開始剤(以下、(C)成分と称する場合がある。)及び(D)光重合性化合物(以下、(D)成分と称する場合がある。)を含有し、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂に含まれるカルボキシル基に対する、(B)エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の当量比が、1.2〜4.0である。
上記感光性樹脂組成物は、アンダーフィルに対して優れた密着性を有し、クラックの発生を低減した永久マスクレジストを形成することができる。また、上記感光性樹脂組成物は、流動性に優れ、銅基板に対する密着性に優れる永久マスクレジストを形成することができる。さらに、上記感光性樹脂組成物は、プリント配線板製造に用いられる感光性樹脂組成物に求められる解像性、電気絶縁性、はんだ耐熱性、耐熱衝撃性、耐溶剤性、耐酸性及び耐アルカリ性といった性能にも優れている。
<(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂>
(A)成分は、エポキシ樹脂とビニル基を有する有機酸との反応物を酸変性した樹脂であり、ビニル基及びカルボキシル基を含む樹脂である。(A)成分として、例えば、エポキシ樹脂とビニル基含有モノカルボン酸とを反応させて得られるエステル化物に、飽和又は不飽和多塩基酸無水物を付加した付加反応物を用いることができる。
(A)成分としては、例えば、エポキシ樹脂として、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂(a1)(以下、エポキシ樹脂(a1)と称する場合がある。)を用いて得られる酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A1)(以下、(A1)成分と称する場合がある。)、エポキシ樹脂(a1)以外のエポキシ樹脂(a2)(以下、エポキシ樹脂(a2)と称する場合がある。)を用いて得られる酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A2)(以下、(A2)成分と称する場合がある。)等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(エポキシ樹脂(a1))
エポキシ樹脂(a1)としては、例えば、下記一般式(I)又は(II)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂が挙げられ、一般式(II)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂が好ましい。
Figure 2018169440
式(I)中、R11は水素原子又はメチル基を示し、複数のR11は同一でも異なっていてもよい。Y及びYはそれぞれ独立に水素原子又はグリシジル基を示すが、Y及びYの少なくとも一方はグリシジル基である。
解像性を向上させる観点から、R11は、水素原子であることが好ましく、Y及びYは、グリシジル基であることが好ましい。
エポキシ樹脂(a1)中の一般式(I)で表される構造単位数は、1以上であり、10〜100、15〜80又は15〜70であってもよい。構造単位数が上記範囲内であると、アンダーフィルとの密着性、耐熱性及び電気絶縁性を向上し易くなる。ここで、構造単位の構造単位数は、単一の分子においては整数値を示し、複数種の分子の集合体においては平均値である有理数を示す。以下、構造単位の構造単位数については同様である。
Figure 2018169440
式(II)中、R12は水素原子又はメチル基を示し、複数のR12は同一でも異なっていてもよい。Y及びYはそれぞれ独立に水素原子又はグリシジル基を示すが、Y及びYの少なくとも一方はグリシジル基である。
解像性を向上させる観点から、R12は、水素原子であることが好ましく、Y及びYは、グリシジル基であることが好ましい。
エポキシ樹脂(a1)中の一般式(II)で表される構造単位数は、1以上であり、10〜100、15〜80又は15〜70であってもよい。構造単位数が上記範囲内であると、アンダーフィルとの密着性、耐熱性及び電気絶縁性を向上し易くなる。
一般式(II)において、R12が水素原子であり、Y及びYがグリシジル基であるエポキシ樹脂は、EXA−7376シリーズ(DIC(株)製、商品名)として、また、R12がメチル基であり、Y及びYがグリシジル基であるエポキシ樹脂は、EPON SU8シリーズ(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名)として商業的に入手可能である。
(エポキシ樹脂(a2))
エポキシ樹脂(a2)は、エポキシ樹脂(a1)とは異なるエポキシ樹脂であれば特に制限はないが、アンダーフィルとの密着性を向上させる観点から、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びトリフェノールメタン型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(III)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂が挙げられる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(IV)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂が挙げられる。トリフェノールメタン型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(V)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂(a2)は、一般式(III)で表される構造単位を有するノボラック型エポキシ樹脂及び一般式(IV)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。一般式(IV)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂は、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂(a2)としては、下記一般式(III)で表される構造単位を有するノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。このような構造単位を有するノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(III’)で表されるノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。
Figure 2018169440
式(III)及び(III’)中、R13は水素原子又はメチル基を示し、Yは水素原子又はグリシジル基を示すが、Yの少なくとも一つはグリシジル基である。式(III’)中、nは1以上の数であり、複数のR13及びYは、同一でも異なっていてもよい。
解像性を向上させる観点から、R13は、水素原子であることが好ましい。一般式(III’)中、水素原子であるYとグリシジル基であるYとのモル比が、解像性を向上させる観点から、0/100〜30/70又は0/100〜10/90であってもよい。このモル比からも分かるように、Yの少なくとも一つはグリシジル基である。
は1以上であるが、10〜200、30〜150又は30〜100であってもよい。nが上記範囲内であると、アンダーフィルとの密着性、耐熱性及び電気絶縁性が向上し易くなる。
一般式(III’)で表されるノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらのノボラック型エポキシ樹脂は、例えば、公知の方法でフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させることにより得ることができる。
一般式(III’)で表されるフェノールノボラック型エポキシ樹脂又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、YDCN−701、YDCN−702、YDCN−703、YDCN−704、YDCN−704L、YDPN−638、YDPN−602(以上、新日鐵化学(株)製、商品名)、DEN−431、DEN−439(以上、ダウケミカル(株)製、商品名)、EOCN−120、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027、BREN(以上、日本化薬(株)製、商品名)、EPN−1138、EPN−1235、EPN−1299(以上、BASF社製、商品名)、N−730、N−770、N−865、N−665、N−673、VH−4150、VH−4240(以上、DIC(株)製、商品名)等が商業的に入手可能である。
エポキシ樹脂(a2)として、下記一般式(IV)で表される構造単位を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましく挙げられる。このような構造単位を有するエポキシ樹脂としては、例えば、一般式(IV’)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が挙げられる。
Figure 2018169440
式(IV)及び(IV’)中、R14は水素原子又はメチル基を示し、複数存在するR14は同一でも異なっていてもよく、Yは水素原子又はグリシジル基を示す。式(IV’)中、nは1以上の数を示し、nが2以上の場合、複数のYは同一でも異なっていてもよく、少なくとも一つのYはグリシジル基である。
解像性を向上させる観点から、R14は水素原子であることが好ましく、Yはグリシジル基であることが好ましい。
は1以上を示すが、10〜100、10〜80又は15〜60であってもよい。nが上記範囲内であると、アンダーフィルとの密着性、耐熱性及び電気絶縁性が向上し易くなる。
一般式(IV)中のYがグリシジル基であるビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂は、例えば、一般式(IV)中のYが水素原子であるビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂の水酸基(−OY)とエピクロルヒドリンとを反応させることにより得ることができる。
水酸基とエピクロルヒドリンとの反応を促進するためには、反応温度50〜120℃でアルカリ金属水酸化物存在下、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶剤中で反応を行うことが好ましい。反応温度が上記範囲内であると、反応が遅くなりすぎることがなく、副反応を抑制することができる。
一般式(IV’)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、エピコート807、815、825、827、828、834、1001、1004、1007及び1009(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名)、DER−330、DER−301、DER−361(以上、ダウケミカル(株)製、商品名)、YD−8125、YDF−170、YDF−170、YDF−175S、YDF−2001、YDF−2004、YDF−8170(以上、新日鐵化学(株)製、商品名)等が商業的に入手可能である。
エポキシ樹脂(a2)としては、下記の一般式(V)で表される構造単位を有するトリフェノールメタン型エポキシ樹脂が好ましく挙げられる。このような構造単位を有するトリフェノールメタン型エポキシ樹脂としては、例えば、一般式(V’)で表されるトリフェノールメタン型エポキシ樹脂が挙げられる。
Figure 2018169440
式(V)及び(V’)中、Yは水素原子又はグリシジル基を示し、複数のYは同一でも異なっていてもよく、少なくとも一つのYはグリシジル基である。式(V’)中、nは1以上の数を示す。
解像性を向上させる観点から、Yにおける水素原子であるYとグリシジル基であるYとのモル比が、0/100〜30/70であってもよい。このモル比からも分かるように、Yの少なくとも一つはグリシジル基である。
は1以上であるが、10〜100、15〜80又は15〜70であってもよい。nが上記範囲内であると、アンダーフィルとの密着性、耐熱性及び電気絶縁性が向上し易くなる。
一般式(V’)で表されるトリフェノールメタン型エポキシ樹脂としては、例えば、FAE−2500、EPPN−501H、EPPN−502H(以上、日本化薬(株)製、商品名)等が商業的に入手可能である。
(A1)成分及び(A2)成分は、解像性を向上させる観点から、エポキシ樹脂(a1)及びエポキシ樹脂(a2)(以下、まとめて「(a)成分」と称する場合がある。)と、ビニル基含有モノカルボン酸(b)(以下、(b)成分と称する場合がある。)とを反応させて得られるエステル化物(A1’)及び(A2’)(以下、まとめて「(A’)成分」と称する場合がある。)に、飽和又は不飽和多塩基酸無水物(c)(以下、(c)成分と称する場合がある。)を付加した付加反応物であることが好ましい。
(ビニル基含有モノカルボン酸(b))
(b)成分としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等のアクリル酸誘導体、水酸基含有アクリレートと二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物、ビニル基含有モノグリシジルエーテル又はビニル基含有モノグリシジルエステルと二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物が挙げられる。
半エステル化合物は、例えば、水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル又はビニル基含有モノグリシジルエステルと二塩基酸無水物とを等モル比で反応させることで得られる。(b)成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル及びビニル基含有モノグリシジルエステルとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスルトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートが挙げられる。
二塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸及び無水イタコン酸が挙げられる。
上記(a)成分と(b)成分との反応において、(a)成分のエポキシ基1当量に対して、(b)成分が0.6〜1.05当量となる比率で反応させることが好ましく、0.8〜1.0当量となる比率で反応させることがより好ましい。このような比率で反応させることで、光重合性が向上する、すなわち光感度が大きくなるので、解像性が向上する。
(a)成分及び(b)成分は、有機溶剤に溶かして反応させることができる。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤が挙げられる。
(a)成分と(b)成分との反応を促進させるために触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド及びトリフェニルホスフィンが挙げられる。
(a)成分と(b)成分との反応を促進する観点から、触媒の使用量は、(a)成分と(b)成分との合計100質量部に対して、0.01〜10質量部、0.05〜2質量部又は0.1〜1質量部であってもよい。
反応中の重合を防止する目的で、重合禁止剤を使用することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、組成物の貯蔵安定性を向上させる観点から、(a)成分と(b)成分との合計100質量部に対して、0.01〜1質量部、0.02〜0.8質量部又は0.04〜0.5質量部であってもよい。
(a)成分と(b)成分との反応温度は、生産性の観点から、60〜150℃、80〜120℃又は90〜110℃であってもよい。
(a)成分と(b)成分とを反応させてなる(A’)成分は、(a)成分のエポキシ基と(b)成分のカルボキシル基との開環付加反応により形成される水酸基を有していると推察される。また、(A’)成分に、更に(c)成分を反応させることにより、(A’)成分の水酸基((a)成分中に元来存在する水酸基も含む)と(c)成分の酸無水物基とが半エステル化された、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂になっていると推察される。
(多塩基酸無水物(c))
(c)成分としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸及び無水イタコン酸が挙げられる。これらの中でも、解像性に優れたパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、好ましくはテトラヒドロ無水フタル酸である。
(A’)成分と(c)成分との反応温度は、生産性の観点から、50〜150℃、60〜120℃又は70〜100℃であってもよい。
必要に応じて、(a)成分として、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を併用してもよく、スチレン−無水マレイン酸共重合体のヒドロキシエチル(メタ)アクリレート変性物等のスチレン−マレイン酸系樹脂を併用してもよい。
(A’)成分と(c)成分との反応において、例えば、(A’)成分中の水酸基1当量に対して、(c)成分を0.1〜1.0当量反応させることで、(A)成分の酸価を調整することができる。
(A)成分の酸価は、30〜150mgKOH/g、40〜120mgKOH/g又は50〜100mgKOH/gであってもよい。酸価が30mgKOH/g以上であると感光性樹脂組成物の希アルカリ溶液への溶解性に優れ、150mgKOH/g以下であると永久マスクレジストの電気特性が向上する。
(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、3000〜30000、4000〜25000又は5000〜18000であってもよい。上記範囲内であると、解像性に優れるレジストを形成でき、アンダーフィルとの密着性、耐熱性及び電気絶縁性をより向上できる。ここで、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定され、標準ポリスチレン換算した値である。Mwは、例えば、下記のGPC条件で測定し、標準ポリスチレンの検量線を使用して換算した値をMwとすることができる。検量線の作成は、標準ポリスチレンとして5サンプルセット(「PStQuick MP−H」及び「PStQuick B」、東ソー(株)製)を用いることができる。
(GPC条件)
GPC装置:高速GPC装置「HCL−8320GPC」、
検出器 :示差屈折計又はUV、東ソー(株)製
カラム :カラムTSKgel SuperMultipore HZ−H(カラム長さ:15cm、カラム内径:4.6mm)、東ソー(株)製
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
測定温度 :40℃
流量 :0.35mL/分
試料濃度 :10mg/THF5mL
注入量 :20μL
(A)成分の含有量は、永久マスクレジストの耐熱性、電気特性及び耐薬品性を向上させる観点から、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、20〜80質量%、30〜70質量%又は30〜50質量%であってもよい。本明細書において、「固形分」とは、感光性樹脂組成物に含まれる水、希釈剤等の揮発する物質を除いた不揮発分のことであり、該樹脂組成物を乾燥させた際に蒸発又は揮発せずに残る成分を示し、25℃付近の室温で液状、水飴状又はワックス状の成分も含む。
(A)成分として、(A1)成分と(A2)成分とを組み合わせて用いる場合、(A)成分中の(A1)成分と(A2)成分との合計含有量は、はんだ耐熱性を向上させる観点から、80〜100質量%、90〜100質量%、95〜100質量%又は100質量%であってもよい。また、(A1)成分又は(A2)成分を単独で用いる場合も、上記範囲から適宜選択することができる。
(A)成分として、(A1)成分と(A2)成分とを組み合わせて用いる場合、その質量比(A1/A2)は、はんだ耐熱性を向上させる観点から、20/80〜90/10、20/80〜80/20又は30/70〜70/30であってもよい。
<(B)エポキシ化合物>
(B)成分であるエポキシ化合物としては、2以上エポキシ基を有する化合物を用いることができ、(A)成分に含まれるカルボキシ基と、熱又は紫外線で硬化するエポキシ化合物が挙げられる。(B)成分を用いることで、耐熱性、密着性及び耐薬品性に優れる永久マスクレジストを形成することができる。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂及びビキシレノール型エポキシ樹脂が挙げられる。
アンダーフィルとの密着性が向上する観点から、(A)成分に含まれるカルボキシル基に対する、(B)成分に含まれるエポキシ基の当量比は、1.2〜4.0であるが、1.3〜3.8が好ましく、1.5〜3.5がより好ましい。すなわち、感光性樹脂組成物中の(B)成分の含有量は、(A)成分に含まれるカルボキシル基1当量に対して(B)成分に含まれるエポキシ基が1.2〜4.0当量となるが、1.3〜3.8当量となることが好ましく、1.5〜3.5当量となることがより好ましい。
<(C)光重合開始剤>
(C)成分である光重合開始剤としては、(D)成分である光重合性化合物を重合させることができれば、特に限定されない。(C)成分としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チオキサントン骨格を有する化合物及びチタノセン系光重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、はんだ耐熱性を向上させる観点から、アルキルフェノン系光重合開始剤又はアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤が好ましい。(C)成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルキルフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン及び4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノンが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−ペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネイト、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、(2,5−ジヒドロキシフェニル)ジフェニルホスフィンオキサイド、(p−ヒドロキシフェニル)ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキサイド、及びトリス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサイド及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドが挙げられる。
(C)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.2〜15質量%、0.4〜5質量%又は0.6〜1質量%であってもよい。(C)成分の含有量が、0.2質量%以上であると露光部が現像中に溶出し難くなり、15質量%以下であると耐熱性の低下を抑制し易くなる。
<(D)光重合性化合物>
(D)成分である光重合性化合物は、光重合性を示す官能基を有する化合物であれば特に限定されない。光重合性を示す官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロパギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基が挙げられる。反応性の観点から、(D)成分は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むことが好ましい。
(D)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又はこれらのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート化合物;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート及びメラミン(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの(D)成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(D)成分の含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、0.1〜5質量%、0.1〜3質量%又は0.5〜2質量%であってもよい。2質量%以上であると、露光部が現像中に溶出することを抑制することができ、50質量%以下であると耐熱性の低下を抑制することができる。
<(E)顔料>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(E)成分として顔料を更に含有してもよい。(E)成分としては、配線を隠蔽する等の際に所望の色を発色する着色剤を用いることができる。(E)成分としては、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の公知の着色剤が挙げられる。
(E)成分の含有量は、配線をより隠蔽させる観点から、感光性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、2〜30質量%、3〜20質量%又は3〜10質量%であってもよい。
<(F)無機フィラー>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、永久マスクレジストの密着性、硬度等の特性を向上させる目的で、(F)成分として無機フィラーを更に含有してもよい。(F)成分としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア)、タルク、水酸化アルミニウム)、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、チタン酸マグネシウム及びカーボンが挙げられる。(F)成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(F)成分は、耐熱性を向上できる観点から、シリカを含んでもよく、はんだ耐熱性、耐クラック性(耐熱衝撃性)及び耐PCT試験後のアンダーフィル材と永久マスクレジストとの接着強度を向上できる観点から、硫酸バリウムを含んでもよく、シリカと硫酸バリウムとを組み合わせて含んでもよい。また、(F)成分は、凝集防止効果を向上できる観点から、アルミナ又は有機シラン系化合物で表面処理された無機フィラーを含んでもよい。
(F)成分の平均粒径は、0.1〜20μm、0.1〜10μm、0.1〜5μm又は0.1〜1μmであってもよい。平均粒径が20μm以下であると、永久マスクレジストの絶縁信頼性の低下をより抑制することができる。
(F)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、10〜80質量%、15〜70質量%又は20〜50質量%であってもよい。上記範囲内であると、感光性樹脂組成物の解像性を向上すると共に、永久マスクレジストの強度、耐熱性、絶縁信頼性及び耐熱衝撃性をより向上させることができる。
(F)成分としてシリカを用いる場合のシリカの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、5〜60質量%、15〜55質量%又は15〜50質量%であってもよい。また、(F)成分として硫酸バリウムを用いる場合の、硫酸バリウムの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、5〜30質量%、5〜25質量%又は5〜20質量%であってもよい。上記範囲内であると、はんだ耐熱性及び耐PCT試験後のアンダーフィル材と硬化膜の接着強度をより向上させることができる。
<(G)硬化剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(G)成分として硬化剤を更に含有してもよい。(G)成分としては、それ自体が熱、紫外線等で硬化する化合物、又は、本実施形態の感光性樹脂組成物中の光硬化性成分である(A)成分のカルボキシ基又は水酸基と、熱、紫外線等で硬化する化合物が挙げられる。硬化剤を用いることで、永久マスクレジストの耐熱性、密着性、耐薬品性等を向上させることができる。
(G)成分としては、例えば、メラミン化合物、オキサゾリン化合物等の熱硬化性化合物が挙げられる。メラミン化合物としては、例えば、トリアミノトリアジン、ヘキサメトキシメラミン及びヘキサブトキシ化メラミンが挙げられる。(G)成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(G)成分を用いる場合、その含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、2〜40質量%、3〜30質量%又は5〜20質量%であってもよい。上記範囲内にすることにより、良好な現像性を維持しつつ、形成される永久マスクレジストの耐熱性をより向上することができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物には、永久マスクレジストの耐熱性、密着性、耐薬品性等の特性を更に向上させる目的で、(D)成分の硬化を促進するための硬化促進剤を併用してもよい。
硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン;これらの有機酸塩又はエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体が挙げられる。硬化促進剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、信頼性向上の観点から、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.01〜20質量%又は0.1〜10質量%であってもよい。
<(H)エラストマー>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(H)成分としてエラストマーを更に含有することができる。(H)成分は、特に、本実施形態の感光性樹脂組成物を半導体パッケージ基板に用いる場合に好適に使用することができる。感光性樹脂組成物に(H)成分を添加することにより、(A)成分の硬化収縮による樹脂内部の歪み(内部応力)に起因する可とう性及び接着強度の低下を抑えることができる。すなわち、感光性樹脂組成物により形成される永久マスクレジストの可とう性及び接着強度を向上させることができる。
(H)成分としては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。熱可塑性エラストマーは、耐熱性及び強度に寄与するハードセグメント成分と、柔軟性及び強靭性に寄与するソフトセグメント成分から構成されている。(H)成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ウレタン系エラストマーとしては、低分子(短鎖)ジオール及びジイソシアネートからなるハードセグメントと、高分子(長鎖)ジオール及びジイソシアネートからなるソフトセグメントと構成される化合物を用いることができる。低分子ジオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及びビスフェノールAが挙げられる。高分子ジオールとして、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン−1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)及びポリ(1,6−ヘキシレン−ネオペンチレンアジペート)が挙げられる。
低分子ジオールの数平均分子量(Mn)は、48〜500が好ましい。高分子ジオールのMnは、500〜10000が好ましい。ウレタンエラストマーとして、PANDEX T−2185、T−2983N(DIC(株)製)、ミラクトランE790(日本ミラクトラン(株)製)等が商業的に入手可能である。
ポリエステル系エラストマーとしては、ジカルボン酸又はその誘導体と、ジオール化合物又はその誘導体とを重縮合して得られる化合物を用いることができる。ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香核の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸;及びシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
ジオール化合物として、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族ジオール又は脂環式ジオール、及び、下記一般式(VI)で表される二価フェノールが挙げられる。
Figure 2018169440
式(VI)中、Yは炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数4〜8のシクロアルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、スルホニル基又は単結合を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、l及びmはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、pは0又は1である。アルキレン基、シクロアルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよく、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基等で置換されていてもよい。
一般式(VI)で表される二価フェノールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン及びレゾルシンが挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエステル系エラストマーとして、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)をハードセグメント成分に、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)部分をソフトセグメント成分にしたマルチブロック共重合体を用いることができる。ハードセグメント及びソフトセグメントの種類、比率、分子量の違いによりさまざまなグレードのポリエステル系エラストマーがある。ポリエステル系エラストマーとして、ハイトレル(デュポン−東レ(株)製、「ハイトレル」は登録商標)、ペルプレン(東洋紡績(株)製、「ペルプレン」は登録商標)、エスペル(日立化成(株)製、「エスペル」は登録商標)等が商業的に入手可能である。
アクリル系エラストマーは、アクリル酸エステルに基づく構成単位を主成分として含む化合物を用いることができる。アクリル酸エステルとして、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート及びエトキシエチルアクリレート等が挙げられる。アクリル系エラストマーは、アクリル酸エステルと、アクリロニトリルとを共重合した化合物であってもよく、架橋点となる官能基を有するモノマーとを更に共重合した化合物であってもよい。官能基を有するモノマーとして、例えば、グリシジルメタクリレート及びアリルグリシジルエーテルが挙げられる。アクリル系エラストマーとして、例えば、アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−エチルアクリレート共重合体及びアクリロニトリル−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
熱可塑性エラストマー以外のエラストマーとして、ゴム変性したエポキシ樹脂を用いてもよい。ゴム変性したエポキシ樹脂は、例えば、上述のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が有するエポキシ基の一部又は全部を、両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリロニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性することによって得られる。これらのエラストマーの中で、せん断接着性の観点から、両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、水酸基を有するポリエステル系エラストマーであるエスペル(日立化成(株)製、エスペル1612、1620)が好ましい。
(H)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、2〜40質量部、4〜30質量部、10〜25質量部又は15〜22質量部であってもよい。上記範囲内とすることにより、感光層の未露光部が現像液でより溶出し易くなり、かつ、永久マスクレジストの高温領域での弾性率がより低くなる。
<その他の成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、粘度を調整するために、有機溶剤等の希釈剤を混合してもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤が挙げられる。
希釈剤を用いる場合の感光性樹脂組成物中の希釈剤の含有量は、10〜50質量%、20〜40質量%又は25〜35質量%であってもよい。上記範囲内とすることで、感光性樹脂組成物の塗布性が向上し、より高精細なパターンの形成が可能となる。
本実施形態の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、各種添加剤を更に混合してもよい。添加剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等の重合禁止剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系、フッ素系又はビニル樹脂系の消泡剤;シランカップリング剤;臭素化エポキシ化合物、酸変性臭素化エポキシ化合物、アンチモン化合物、リン系化合物のホスフェート化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等の難燃剤が挙げられる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上述した各成分をロールミル、ビーズミル等で均一に混合することにより調製することができる。
[感光性エレメント]
本実施形態の感光性エレメントは、支持フィルムと、本実施形態の感光性樹脂組成物からなる感光層とを備える。図1は、本実施形態の感光性エレメントを模式的に示す断面図である。図1に示されるように、感光性エレメント1は、支持フィルム10と、支持フィルム10上に形成された感光層20とを備えている。また、感光層20上には、感光層20を被覆する保護フィルム30を更に備えていてもよい。
本実施形態の感光性エレメント1は、例えば、本実施形態の感光性樹脂組成物を、リバースロールコート、グラビアロールコート、コンマコート、カーテンコート等の公知の方法で支持フィルム10上に塗布した後、塗膜を乾燥して感光層20を形成することで作製することができる。
支持フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。支持フィルムの厚さは、例えば、5〜100μmである。感光層の厚さは、10〜50μm、15〜40μm又は20〜30μmであってもよい。
塗膜の乾燥は、熱風乾燥、遠赤外線又は近赤外線を用いた乾燥を用いることができ、乾燥温度としては、60〜120℃、70〜110℃又は80〜100℃であってもよい。また、乾燥時間としては、1〜60分、2〜30分又は5〜20分であってもよい。
本実施形態の感光性エレメント1は、感光層20の支持フィルム10と接する面とは反対側の面に保護フィルム30を積層することもできる。保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムを用いてもよい。保護フィルムは、支持フィルムと同様のフィルムであっても、異なるフィルムであってよい。
[プリント配線板]
本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の感光性樹脂組成物により形成された永久マスクレジストを具備する。本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の感光性樹脂組成物より形成される永久マスクレジストを具備するため、アンダーフィルに対して優れた密着性を有し、クラックの発生を低減したレジストパターンが形成さている。
本実施形態のプリント配線板の製造方法は、基板上に、本実施形態の感光性樹脂組成物、又は、本実施形態の感光性エレメントを用いて感光層を形成する工程と、該感光層を露光及び現像してレジストパターンを形成する工程と、該レジストパターンを硬化して永久マスクレジストを形成する工程と含む。プリント配線板は、例えば、以下のようにして作製することができる。
まず、銅張り積層板等の金属張積層基板を準備し、該基板上に、感光層を形成する。感光性樹脂組成物を用いる場合、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、静電塗装法等の方法で、基板上に感光性樹脂組成物を塗布して形成された塗膜を60〜110℃で乾燥させて、感光層を設けてもよい。塗膜の厚さは、10〜200μm、15〜150μm、20〜100μm又は23〜50μmであってもよい。感光性エレメントを用いる場合、ラミネーターを用いて感光性エレメントの感光層を基板上に熱ラミネートすることにより、感光層を設けてもよい。
次に、感光層にネガフィルムを直接接触(又は支持フィルム等の透明なフィルムを介して非接触)させて、活性光を照射した後、未露光部を希アルカリ水溶液で溶解除去(現像)してレジストパターンを形成する。活性光としては、電子線、紫外線、X線等が挙げられ、好ましくは紫外線である。光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ等を使用することができる。露光量は、10〜2000mJ/cm、100〜1500mJ/cm又は300〜1000mJ/cmであってもよい。
次に、感光層の露光部分を後露光(紫外線露光)及び後加熱の少なくとも一方の処理によって十分硬化させて永久マスクレジストを形成する。後露光の露光量は、100〜5000mJ/cm、500〜2000mJ/cm又は700〜1500J/cmであってもよい。後加熱の加熱温度は、100〜200℃、120〜180℃又は135〜165℃であってもよい。後加熱の加熱時間は、5分〜12時間、10分〜6時間又は30分〜2時間であってもよい。その後、エッチングにて、配線を形成し、プリント配線板が作製される。永久マスクレジストの厚さは、10〜50μm、15〜40μm又は20〜30μmであってもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本実施態様の目的及び利点をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
撹拌機、還流冷却器及び温度計を備えたフラスコに、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂(EXA−7376、DIC(株)製、一般式(II)中、Y及びYがグリシジル基、R12が水素原子である構造を有するビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:186)350質量部、アクリル酸70質量部、メチルハイドロキノン0.5質量部及びカルビトールアセテート120質量部を仕込み、90℃で加熱攪拌して混合物を完全に溶解した。次に、得られた溶液を60℃に冷却し、トリフェニルホスフィン2質量部を加え、100℃に加熱して、溶液の酸価が1mgKOH/g以下になるまで反応させた。反応後の溶液に、テトラヒドロ無水フタル酸(THPAC)98質量部とカルビトールアセテート85質量部とを加え、80℃で6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、固形分が73質量%である(A1)成分としてのTHPAC変性ビスフェノールFノボラック型エポキシアクリレート(エポキシアクリレート(1))を得た。
(合成例2)
撹拌機、還流冷却器及び温度計を備えたフラスコに、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(一般式(IV)中、Yが水素原子、R14が水素原子である構造を有するビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:526)1052質量部、アクリル酸144質量部、メチルハイドロキノン1質量部、カルビトールアセテート850質量部及びソルベントナフサ100質量部を仕込み、70℃で加熱撹拌して混合物を溶解した。次に、溶液を50℃に冷却し、トリフェニルホスフィン2質量部及びソルベントナフサ75質量部を加え、100℃に加熱して、溶液の酸価が1mgKOH/g以下になるまで反応させた。次に、反応後の溶液に、THPAC745質量部、カルビトールアセテート75質量部及びソルベントナフサ75質量部を加え、80℃で6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、固形分酸価80mgKOH/g、固形分が62質量%である(A2)成分としてのTHPAC変性ビスフェノールF型エポキシアクリレート(エポキシアクリレート(2))を得た。
(実施例1〜6、比較例1〜2)
表1に示す配合組成に従って各成分を配合し、3本ロールミルで混練し感光性樹脂組成物を調製した。固形分濃度が70質量%になるようにカルビトールアセテートを加えて、感光性樹脂組成物を得た。表1には、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準とした場合における(A)、(C)〜(F)成分の固形分の質量部を示す。表1中の(B)成分の数値は、(A)成分に含まれるカルボキシル基に対する(B)成分に含まれるエポキシ基の当量比である。
Figure 2018169440
表1中の各材料の詳細は以下の通りである。
・エポキシアクリレート(1):合成例1で得られた酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂
・エポキシアクリレート(2):合成例2で得られた酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂
・YX4000X:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、商品名)
・イルガキュア907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン(BASF社製、商品名)
・イルガキュア819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(BASF社製、商品名)
・DETX−S:2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製、商品名)
・DPHA:ジペンタエリストールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、商品名)
・フタロシアニン系顔料:C.I.Pigment Blue 15(山陽色素(株)製、商品名)
・B34:硫酸バリウム粒子(堺化学工業(株)製、商品名、平均粒径:0.3μm)
・SFP20M:シリカ粒子(デンカ(株)製、商品名、平均粒径:0.3μm)
・メラミン化合物:微粉砕メラミン(日産化学工業(株)製、商品名)
感光性樹脂組成物を用いて、下記に示す条件で各評価を行った。結果を表2に示す。
[試験片の作製]
実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を、厚さ0.6mmの銅張積層基板(MCL−E−67、日立化成(株)製)に、乾燥後の厚さが35μmになるようにスクリーン印刷法で塗布した後、80℃で20分間熱風循環式乾燥機を用いて乾燥させた。次に、所定のパターンを有するネガマスクを塗膜に密着させ、紫外線露光装置を用いて600mJ/cmの露光量で露光した。その後、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、1.765×10Paの圧力でスプレー現像し、未露光部を溶解現像した。次に、紫外線露光装置を用いて1000mJ/cmの露光量で露光し、150℃で1時間加熱して、永久マスクレジストを有する試験片を作製した。
[解像性]
上記試験片の開口ビア部を1000倍の金属顕微鏡により観察した。解像性を以下の基準で、判断した。
A:ビアが開口しており、ビア底部にレジスト残渣が生じなかった。
B:ビアが開口しているが、ビア底部にレジスト残渣が生じていた。
C:ビアが開口しなかった。
[アンダーフィル密着性]
上記試験片の永久マスクレジスト上に、直径3.0mmの円形であるモールドアンダーフィル(CEL−C−3730(日立化成(株))製)を接着後、試験片に対して平行方向にモールドアンダーフィルを引っかき、モールドアンダーフィル剥離後の試験片面の様子を観察した。以下の基準で、判断した。
A:アンダーフィルとレジストとが高強度で密着したことにより、剥離部分にレジストがなくなり、試験片材料の銅箔面が析出した。
B:アンダーフィルとレジストとの密着性に優れるものの、剥離部分にレジストが一部残った。
C:アンダーフィルとレジストとの密着不良により、剥離部分にレジストが完全に残った。
[はんだ耐熱性]
上記試験片に水溶性フラックスを塗布し、265℃のはんだ槽に10秒間浸漬した。これを1サイクルとして、6サイクル繰り返した後、永久マスクレジストの外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:永久マスクレジスト30cm×30cm内に、外観変化はなかった。
B:永久マスクレジスト30cm×30cm内に、塗膜のウキ又はフクレが1個〜5個発生した。
C:永久マスクレジスト30cm×30cm内に、塗膜のウキ又はフクレが6個以上発生した。
[耐溶剤性]
上記試験片をイソプロピルアルコールに室温(25℃、以下同様)で30分間浸漬し、永久マスクレジストの外観に異常がないかを確認後、セロハンテープにより剥離試験を行った。
A:永久マスクレジストの外観に異常がなく、剥離が生じなかった。
B:永久マスクレジストの外観にほんの僅かな変化が生じた。
C:永久マスクレジストの外観に異常があるか、又は、剥離が生じた。
[耐酸性]
上記試験片を10質量%塩酸水溶液に室温で30分間浸漬し、永久マスクレジストの外観に異常がないかを確認後、セロハンテープにより剥離試験を行った。
A:永久マスクレジスト外観に異常がなく、剥離が生じなかった。
B:永久マスクレジスト外観にほんの僅かな変化が生じた。
C:永久マスクレジスト外観に異常があるか、又は、剥離が生じた。
[耐アルカリ性]
上記試験片を5質量%水酸化ナトリウム水溶液に室温で30分間浸漬し、永久マスクレジストの外観に異常がないかを確認後、セロハンテープにより剥離試験を行った。
A:永久マスクレジスト外観に異常がなく、剥離が生じなかった。
B:永久マスクレジスト外観にほんの僅かな変化が生じた。
C:永久マスクレジスト外観に異常がある、又は、剥離が生じた。
[絶縁性(電気絶縁性)]
銅張積層基板の代わりに、くし型電極(ライン/スペース=10μm/10μm)が形成されたビスマレイミドトリアジン基板を用いた以外は、上記[試験片の作製]に記載の方法と同じく試験片を形成し、これを135℃、85%、5V条件下に晒した。その後、マイグレーションの発生の程度を、100倍の金属顕微鏡により観察し、次の基準で評価した。
A:200時間を超えても永久マスクレジストにマイグレーションが発生しないまま、抵抗値が10−6Ω以下に低下することがなかった。
B:100時間以上200時間未満、永久マスクレジストにマイグレーションが発生しないまま、抵抗値が10−6Ω以下に低下することがなかった。
C:100時間未満に、永久マスクレジストにマイグレーションが発生し、抵抗値が10−6Ω以下に低下した。
Figure 2018169440
表2より、実施例1〜6の感光性樹脂組成物は、アンダーフィル密着性及び耐クラック性に優れることが確認できる。
(実施例7〜12、比較例3〜4)
表1に示す配合割合で調製した実施例1〜6、比較例1〜2の各感光性樹脂組成物をメチルエチルケトンにて希釈し、PETフィルム上に塗布して90℃で10分乾燥し、厚さ25μmの感光性樹脂組成物からなる感光層を形成した。さらにその上に保護フィルムを貼り合わせて、実施例7〜12、比較例3及び4の感光性エレメントを作製した。
[感光性エレメント評価]
上記感光性エレメントから保護フィルムを剥がし、ベタの銅箔基板に、感光性エレメントの感光層を熱ラミネートし、次いで、上記[試験片の作製]に記載の方法と同じく露光して、永久マスクレジストを有する試験片を作製した。
得られた試験片を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2018169440
表3より、実施例7〜12の感光性エレメントは、アンダーフィル密着性及び耐クラック性に優れることが確認できる。
1…感光性エレメント、10…支持フィルム、20…感光層、30…保護フィルム。

Claims (8)

  1. (A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、(B)エポキシ化合物、(C)光重合開始剤及び(D)光重合性化合物を含有し、
    前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂に含まれるカルボキシル基に対する、前記(B)エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の当量比が、1.2〜4.0である、感光性樹脂組成物。
  2. 前記(C)光重合開始剤が、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. (E)顔料を更に含有する、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. (F)無機フィラーを更に含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 支持フィルムと、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光層とを備える、感光性エレメント。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物により形成された永久マスクレジストを具備する、プリント配線板。
  7. 前記永久マスクレジストの厚さが、10〜50μmである、請求項6に記載のプリント配線板。
  8. 基板上に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物又は請求項5に記載の感光性エレメントを用いて感光層を形成する工程と、
    前記感光層を露光及び現像してレジストパターンを形成する工程と、
    前記レジストパターンを硬化して永久マスクレジストを形成する工程と、
    を含む、プリント配線板の製造方法。
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