本発明の第1〜第3実施形態に係る走行振動抑制装置は、作業機械の一態様としてのホイールローダに適用される。まず、ホイールローダの概略構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の各実施形態に係る走行振動抑制装置が適用されるホイールローダ1の一構成例を示す外観図である。
ホイールローダ1は、前部車体1F及び後部車体1Bを有する車体と、前部車体1F(車体)に連結された作業機2と、を備えている。ホイールローダ1は、車体が中心付近で中折れすることにより操舵するアーティキュレート式の車両であり、前部車体1F及び後部車体1Bは、センタジョイント10によって左右方向に回動自在に互いに連結されている。
前部車体1Fは、左右一対の前輪11Fと、荷役作業等を行うための作業機2と、を備えている。後部車体1Bは、左右一対の後輪11Bと、オペレータが搭乗する運転室12と、エンジンや冷却器等を内部に収容する機械室13と、車体が傾倒しないようにバランスを保つためのカウンタウェイト14と、を備えている。なお、図1では、左右一対の前輪11F及び左右一対の後輪11Bのうち、左側の前輪11F及び左側の後輪11Bを図示している。
作業機2は、上下方向に回動可能なリフトアーム21と、伸縮することによりリフトアーム21を駆動させる一対のリフトアームシリンダ22と、リフトアーム21の先端部に取り付けられたバケット23と、伸縮することによりバケット23を上下方向に回動させるバケットシリンダ24と、リフトアーム21に回動可能に連結され、バケット23とバケットシリンダ24とのリンク機構を構成するベルクランク25と、一対のリフトアームシリンダ22やバケットシリンダ24へ圧油を導く複数の配管(不図示)と、を有している。
リフトアーム21は、一対のリフトアームシリンダ22のそれぞれのロッド22Aが伸びることにより上方向に回動し、それぞれのロッド22Aが縮むことにより下方向に回動する。なお、図1では、一対のリフトアームシリンダ22のうち左側のリフトアームシリンダ22を破線で示している。
バケット23は、バケットシリンダ24のロッド24Aが伸びることにより上方向に回動し、ロッド24Aが縮むことにより下方向に回動する。バケット23は、例えば、農畜産業や林業等の作業時に用いられるフォーク等のアタッチメントに変更することが可能である。これにより、ホイールローダ1は、作業内容に適したアタッチメントを用いて、様々な荷役作業を行うことができる。
リフトアームシリンダ22及びバケットシリンダ24はそれぞれ、メインポンプ41(例えば図2参照)から供給される圧油によって、作業機2を駆動する油圧アクチュエータの一態様である。
ホイールローダ1は、路面の凹凸が大きい悪路を走行することが多いため、走行時に車体が振動し、車体を介して作業機2も振動し、これらの油圧アクチュエータに圧力変動が生じてしまう。これにより、さらに作業機2に振動が発生して、ホイールローダ1に係る振動が増幅してしまうおそれがある。
このような状況下では、例えばバケット23に荷を積んだ状態でホイールローダ1が走行する場合(荷を運搬する運搬状態)には、荷こぼれ等の問題につながる。また、運転室12に搭乗しているオペレータは乗り心地が悪く、振動に伴って操作レバー等を誤操作してしまう可能性もある。そこで、走行振動抑制装置によって油圧アクチュエータ内の圧力が制御されている。以下では、リフトアームシリンダ22に係る走行振動抑制装置について、実施形態ごとに説明する。
<第1実施形態>
次に、本発明の第1実施形態に係る走行振動抑制装置31について、図2〜8を参照して説明する。
(走行振動抑制装置31の構成及び動作)
まず、走行振動抑制装置31の構成について、図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係る走行振動抑制装置31の油圧回路図である。
走行振動抑制装置31は、可変容量型の油圧ポンプであるメインポンプ41と、作動油を貯留するタンク42と、メインポンプ41から供給される圧油が流出入するボトム室22B及びロッド室22Cを含み、当該圧油によってリフトアーム21を駆動する一対のリフトアームシリンダ22と、リフトアームシリンダ22及びバケットシリンダ24に係る圧油の流れ(流量及び方向)を制御するための方向制御弁43と、メインポンプ41と一対のリフトアームシリンダ22のそれぞれのボトム室22Bとを連通させる流路を開閉する第1電磁開閉弁51と、一対のリフトアームシリンダ22のそれぞれのロッド室22Cとタンク42とを連通させる流路を開閉する第2電磁開閉弁52と、一対のリフトアームシリンダ22のそれぞれのボトム室22Bとロッド室22Cとを連通させる流路を開閉する第3電磁開閉弁53と、第3電磁開閉弁53とタンク42との間に設けられたチェック弁54と、を有している。
また、走行振動抑制装置31は、リフトアームシリンダ22内の圧力を検出する圧力センサ55と、前部車体1F(車体)に対するリフトアーム21の角度を検出するリフトアーム角度センサ56と、圧力センサ55からの信号及びリフトアーム角度センサ56からの信号に基づき、メインポンプ41、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、及び第3電磁開閉弁53を制御するためのコントローラ50と、コントローラ50を起動させるON信号又はコントローラ50を停止させるOFF信号を入力するためのスイッチとしてのライドコントロールスイッチ57と、を有している。
メインポンプ41は、エンジン(不図示)により駆動される斜板式のポンプであり、リフトアーム21及びバケット23を操作する場合には方向制御弁43を介して一対のリフトアームシリンダ22及びバケットシリンダ24にそれぞれ圧油を供給する。また、走行振動を抑制したい場合には、メインポンプ41は、第1電磁開閉弁51を介して一対のリフトアームシリンダ22のそれぞれのボトム室22Bに圧油を供給する。このとき、コントローラ50からのポンプ指令信号に基づいて、メインポンプ41の傾転角α(押し除け容積)が変化し、メインポンプ41の吐出量が調整される。
一対のリフトアームシリンダ22はそれぞれ、片ロッド形複動シリンダである。ボトム室22Bは、シリンダチューブのボトム側に形成される圧力室であり、ロッド室22Cは、ピストンのロッド22A側に形成される圧力室である。圧油がボトム室22Bに供給されるとボトム室22B側の圧力が上がり(ロッド室22C側の圧力が下がり)、ロッド22Aが伸びる方向に駆動する。反対に、圧油がロッド室22Cに供給されるとロッド室22C側の圧力が上がり(ボトム室22B側の圧力が下がり)、ロッド22Aが縮む方向に駆動する。
方向制御弁43は、オペレータによって操作される操作レバー(不図示)の操作量に応じて、リフトアームシリンダ22のロッド22A、及びバケットシリンダ24のロッド24Aが伸びる方向又は縮む方向に動作するように、メインポンプ41から吐出した圧油の流れを制御する。
第1電磁開閉弁51は、メインポンプ41と一対のリフトアームシリンダ22のボトム室22Bとの間に設けられており、コントローラ50にライドコントロールスイッチ57からのON信号が入力されている状態において、リフトアームシリンダ22のロッド22Aの振動を抑制するように、コントローラ50からの第1弁指令信号に基づいて開閉し、メインポンプ41からボトム室22Bへ流入する圧油の流れを制御する。
第2電磁開閉弁52は、一対のリフトアームシリンダ22のロッド室22Cとタンク42との間に設けられており、コントローラ50にライドコントロールスイッチ57からのON信号が入力されている状態において、リフトアームシリンダ22のロッド22Aの振動を抑制するように、コントローラ50からの第2弁指令信号に基づいて開閉し、ロッド室22Cからタンク42へ流出する圧油の流れを制御する。
第3電磁開閉弁53は、一対のリフトアームシリンダ22のボトム室22Bとロッド室22Cとの間に設けられており、コントローラ50にライドコントロールスイッチ57からのON信号が入力されている状態において、リフトアームシリンダ22のロッド22Aの振動を抑制するように、コントローラ50からの第3弁指令信号に基づいて開閉し、ボトム室22Bから排出されてロッド室22Cへ流入する圧油の流れを制御する。
チェック弁54は、一対のリフトアームシリンダ22のロッド室22Cとタンク42との間に設けられており、第3電磁開閉弁53が開弁した状態において、リフトアームシリンダ22のボトム室22Bから排出された圧油の一部をタンク42に流出させる役割を果たしている。これは、ボトム室22Bの断面積がロッド室22Cの断面積よりも大きいため、ボトム室22Bから排出された圧油の全てをロッド室22Cに流入させることができないからである。
圧力センサ55は、一方(図2に示す左側)のリフトアームシリンダ22のボトム室22Bにかかる圧力を検出する。本実施形態では、圧力センサ55は、図2に示す左側のリフトアームシリンダ22に取り付けられているが、必ずしも左側のリフトアームシリンダ22である必要はなく、右側のリフトアームシリンダ22に取り付けられていてもよい。
なお、一対のリフトアームシリンダ22ではそれぞれ、圧力が同じであるため、圧力センサ55は一対のリフトアームシリンダ22のうちのいずれか一方に取り付ければよい。また、圧力センサ55で検出する圧力は、必ずしもボトム室22Bにかかる圧力である必要はなく、ロッド室22Cにかかる圧力を検出してもよい。
リフトアーム角度センサ56は、前部車体1F(車体)の基準位置に対するリフトアーム21の角度を検出する。これにより、前部車体1Fの基準位置に対するリフトアーム21の先端の高さ(上下方向の位置)を検出することができる。すなわち、リフトアーム角度センサ56は、作業機2の車体に対する姿勢を示す姿勢パラメータを検出する姿勢パラメータセンサの一態様である。なお、本実施形態では、姿勢パラメータセンサとしてリフトアーム角度センサ56を用いたが、他の検出手段に係るセンサを用いてもよい。
次に、走行振動抑制装置31の動作について、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、リフトアームシリンダ22においてロッド22Aが縮む方向に圧力がかかっている場合の走行振動抑制装置31の動作を説明する図である。図4は、リフトアームシリンダ22においてロッド22Aが伸びる方向に圧力がかかっている場合の走行振動抑制装置31の動作を説明する図である。なお、図3及び図4において、圧油が流れる主なラインを太線で示している。
車体の走行時において走行振動を抑制したい場合、オペレータがライドコントロールスイッチ57をONに操作し、これによりコントローラ50が起動する。このとき、コントローラ50は、ライドコントロールスイッチ57からのON信号の入力を受け付けた時、圧力センサ55から取得した初期圧力値P0に基づいて圧力目標値Ptrgを設定すると共に(Ptrg=P0)、リフトアーム角度センサ56から取得した初期リフトアーム角度(初期姿勢パラメータ値)A0に基づいてリフトアーム角度目標値(姿勢パラメータ目標値)Atrgを設定する(Atrg=A0)。
コントローラ50は、圧力目標値Ptrgと初期圧力値P0とは別に圧力センサ55から取得した圧力センサ値Piとの大小関係を比較すると共に、リフトアーム角度目標値Atrgと初期リフトアーム角度A0とは別にリフトアーム角度センサ56から取得したリフトアーム角度センサ値Ai(姿勢パラメータセンサ値)との大小関係を比較し、その比較結果に基づいて、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、及び第3電磁開閉弁53のそれぞれに対して弁指令信号を出力し、かつメインポンプ41に対してポンプ指令信号を出力する。なお、コントローラ50の具体的な機能構成及び処理内容については、後述する。
そして、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、及び第3電磁開閉弁53のそれぞれが、コントローラ50から出力される弁指令信号に基づいて駆動すると共に、メインポンプ41が、コントローラ50から出力されるポンプ指令信号に基づいて駆動して、リフトアームシリンダ22に係る圧油の流れが制御される。
具体的には、図3において白抜き矢印で示すように、走行振動により一対のリフトアームシリンダ22それぞれのロッド22Aが縮む方向に動作してしまった場合、ボトム室22Bの圧力が上がり、リフトアームシリンダ22内において圧力変動が起きる。
このとき、初期圧力値P0よりも後に圧力センサ55で検出される圧力センサ値Piは圧力目標値Ptrgよりも大きくなり(Pi>Ptrg)、初期リフトアーム角度A0よりも後であって、当該初期リフトアーム角度A0とは別にリフトアーム角度センサ56で検出されるリフトアーム角度センサ値Aiは、リフトアーム角度目標値Atrgよりも小さくなる(Ai<Atrg)。
なお、ここで、「リフトアーム角度」とは、一対のリフトアームシリンダ22それぞれのロッド22Aが最も縮んだ状態のリフトアーム21を基準としたときの角度とする。したがって、ロッド22Aが伸びて、リフトアーム21が当該基準状態よりも上方に位置すればするほど、リフトアーム角度は大きくなっていく。
この場合、コントローラ50から出力された第1弁指令信号に基づき第1電磁開閉弁51は閉方向に、第2弁指令信号に基づき第2電磁開閉弁52は閉方向に、第3弁指令信号に基づき第3電磁開閉弁53は開方向に、それぞれ駆動する。また、メインポンプ41は、コントローラ50から出力されたポンプ指令信号に基づき、傾転角αが0になるように駆動する。
これにより、リフトアームシリンダ22のボトム室22Bとロッド室22Cとが連通し、ロッド22Aの先端部(上部)に取り付けられたバケット23の荷重、及びバケット23内の積荷の荷重によって、ボトム室22B内の圧油が第3電磁開閉弁53を介してロッド室22C内に流入する。よって、ボトム室22Bの圧力が下がるため、リフトアームシリンダ22内の圧力変動が抑制され、リフトアーム21の姿勢も初期姿勢に戻る。
ここで、リフトアームシリンダ22内の圧油を、ボトム室22Bから排出させて第3電磁開閉弁53を介してロッド室22Cに流入させる流路を第1流路P1とする。この第1流路P1は、ボトム室22Bと第3電磁開閉弁53とを接続する流路P11と、第3電磁開閉弁53とロッド室22Cとを接続する流路P12と、によって構成される流路である。
なお、本実施形態では、図3に示すように、前述したチェック弁54を設けることによって、リフトアームシリンダ22のボトム室22Bから排出された圧油のうちの余剰流量分をタンク42に逃がしている。
他方、図4において白抜き矢印で示すように、走行振動により一対のリフトアームシリンダ22それぞれのロッド22Aが伸びる方向に動作してしまった場合、ロッド室22Cの圧力が上がり、リフトアームシリンダ22内において圧力変動が起きる。
このとき、初期圧力値P0よりも後に圧力センサ55で検出される圧力センサ値Piは圧力目標値Ptrgよりも小さくなり(Pi<Ptrg)、初期リフトアーム角度A0よりも後であって、当該初期リフトアーム角度A0とは別にリフトアーム角度センサ56で検出されるリフトアーム角度センサ値Aiは、リフトアーム角度目標値Atrgよりも大きくなる(Ai>Atrg)。
この場合、コントローラ50から出力された第1弁指令信号に基づき第1電磁開閉弁51は開方向に、第2弁指令信号に基づき第2電磁開閉弁52は開方向に、第3弁指令信号に基づき第3電磁開閉弁53は閉方向に、それぞれ駆動する。また、メインポンプ41は、コントローラ50から出力されたポンプ指令信号に基づき、傾転角αが0を除く所定の角度になるように駆動する。
これにより、メインポンプ41から吐出した圧油が第1電磁開閉弁51を介してリフトアームシリンダ22のボトム室22Bに流入し、ロッド室22Cから排出された圧油が第2電磁開閉弁52を介してタンク42に流出する。よって、ロッド室22Cの圧力は下がるため、リフトアームシリンダ22内の圧力変動が抑制され、リフトアーム21の姿勢も初期姿勢に戻る。
ここで、メインポンプ41から吐出する圧油を、第1電磁開閉弁51を介してボトム室22Bに流入させ、かつロッド室22Cから排出されて第2電磁開閉弁52を介してタンク42に流出させる流路を第2流路P2とする。この第2流路P2は、メインポンプ41と第1電磁開閉弁51とを接続する流路P21と、第1電磁開閉弁51とボトム室22Bとを接続する流路P22と、ロッド室22Cと第2電磁開閉弁52とを接続する流路P23と、第2電磁開閉弁52とタンク42とを接続する流路P24と、から構成される流路である。
このように、ホイールローダ1の走行に伴って走行振動が発生した場合において、リフトアームシリンダ22のボトム室22B内に圧力変動を起こす力を打ち消すような方向に力が働くように積極的に、リフトアームシリンダ22のボトム室22Bとロッド室22Cとの間における圧油の量を調整することによって、すなわちボトム室22Bにかかる圧力とロッド室22Cにかかる圧力とを調整することによって、走行振動を能動的に抑制することができる。
なお、初期圧力値P0よりも後であって、当該初期圧力値P0とは別に圧力センサ55で検出される圧力センサ値Piが圧力目標値Ptrgと同じであり(Pi=Ptrg)、かつ初期リフトアーム角度A0よりも後であって、当該初期リフトアーム角度A0とは別にリフトアーム角度センサ56で検出されるリフトアーム角度センサ値Aiもリフトアーム角度目標値Atrgと同じである場合(Ai=Atrg)や、オペレータがライドコントロールスイッチ57をONからOFFに操作した場合には、走行振動抑制装置31による走行振動の抑制を特に必要としない。
この場合、コントローラ50は、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、及び第3電磁開閉弁53のそれぞれを閉弁させる弁指令信号、及びメインポンプ41の傾転角αを0にさせるポンプ指令信号をそれぞれ出力する。これにより、第1流路P1及び第2流路P2に圧油が流れなくなる。すなわち、走行振動抑制装置31では、ボトム室22B及びロッド室22Cに対して圧油を流出入させないための第3流路が形成され、走行振動抑制装置31はOFF状態となっている。なお、図2では、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、及び第3電磁開閉弁53が全て閉弁しており、この状態が第3流路に相当する。
次に、走行振動抑制装置31のハードウェアの構成について、図5を参照して説明する。
図5は、本実施形態に係る走行振動抑制装置31のハードウェア構成図である。
図5に示すように、コントローラ50は、CPU61、RAM62、ROM63、HDD64、入力I/F65、出力I/F66、及びバス67を含む。そして、CPU61、RAM62、ROM63、HDD64、入力I/F65、及び出力I/F66がバス67を介して互いに接続されて構成される。さらに、ライドコントロールスイッチ57、リフトアーム角度センサ56、及び圧力センサ55が、入力I/F65に接続され、メインポンプ41、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、及び第3電磁開閉弁53が、出力I/F66に接続されている。
このようなハードウェア構成において、ROM63やHDD64若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納された走行振動抑制プログラム(ソフトウェア)をCPU61が読み出してRAM62上に展開し、展開された走行振動抑制プログラムを実行することにより、走行振動抑制プログラムとハードウェアとが協働して、走行振動抑制装置31の機能を実現する。
なお、本実施形態では、走行振動抑制装置31の構成をソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより説明したが、これに限らず、ホイールローダ1側で実行される走行振動抑制プログラムの機能を実現する集積回路を用いて構成してもよい。
(コントローラ50の機能構成)
次に、コントローラ50の機能構成について、図6及び図7を参照して説明する。
図6は、本実施形態に係るコントローラ50が有する機能を示す機能ブロック図である。図7は、本実施形態に係るコントローラ50から出力される各指令信号の内容を示す図である。
コントローラ50は、センサ値取得部501と、目標値設定部502と、目標値記憶部503と、指令変数演算部504を含む流路決定部505と、指令信号出力部506と、指令信号情報記憶部507と、を含む。
センサ値取得部501は、圧力センサ55からの信号に基づいて圧力センサ値Piを取得すると共に、リフトアーム角度センサ56からの信号に基づいてリフトアーム角度センサ値Aiを取得する。
目標値設定部502は、ライドコントロールスイッチ57からのON信号の入力を受け付けた時、圧力センサ55から取得した初期圧力値P0に基づいて圧力目標値Ptrgを設定すると共に(Ptrg=P0)、リフトアーム角度センサ56から取得した初期リフトアーム角度A0に基づいてリフトアーム角度目標値Atrgを設定する(Atrg=A0)。目標値記憶部503は、目標値設定部502において設定された圧力目標値Ptrg及びリフトアーム角度目標値Atrgを記憶する。
流路決定部505は、指令変数演算部504において演算された第1指令変数Vc1に基づいて、一対のリフトアームシリンダ22に圧油が流入する流路又は一対のリフトアームシリンダ22から圧油が流出する流路である、第1流路P1(図3参照)、第2流路P2(図4参照)、又は第3流路(図2参照)のいずれかの流路を形成するかを決定する。
ここで、「第1指令変数Vc1」とは、初期圧力値P0とは別に圧力センサ55から取得した圧力センサ値Piの圧力目標値Ptrgに対する乖離量、及び初期リフトアーム角度A0とは別にリフトアーム角度センサ56から取得したリフトアーム角度センサ値Aiのリフトアーム角度目標値Atrgに対する乖離量を示す値である。
具体的には、流路決定部505は、第1指令変数Vc1が0よりも大きい場合(正の値の場合)には(Vc1>0)、形成する流路を第1流路P1に決定し、第1指令変数Vc1が0よりも小さい場合(負の値の場合)には(Vc1<0)、形成する流路を第2流路P2に決定し、第1指令変数Vc1が0の場合には(Vc1=0)、形成する流路を第3流路に、すなわち走行振動抑制装置31をOFF状態にすることを決定する。
指令信号出力部506は、指令信号情報記憶部507からの情報に基づいて、流路決定部505において決定された流路を構成するために、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、第3電磁開閉弁53のそれぞれを開閉させる弁指令信号、及び決定された流路に応じた押し除け容積となるようにメインポンプ41を作動させるためのポンプ指令信号を出力する。
図7に示すように、指令信号情報記憶部507では、第1流路P1、第2流路P2、及び第3流路のそれぞれの流路の種類と、各流路を形成する際における第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、及び第3電磁開閉弁53に対する弁指令信号、及びメインポンプ41に対するポンプ指令信号とが対応付けて規定され、記憶されている。なお、第3流路を形成するための弁指令信号及びポンプ指令信号は、ライドコントロールスイッチ57がOFFの状態、及び後述する第3実施形態において無効化する場合の信号と同じであり、第3流路を形成するための弁指令信号及びポンプ指令信号を総称して「OFF指令信号」という場合がある。
具体的には、流路決定部505において第1流路P1に決定された場合、指令信号出力部506は、指令信号情報記憶部507からの情報に基づいて、第1電磁開閉弁51及び第2電磁開閉弁52のそれぞれを閉弁させ、かつ第3電磁開閉弁53を開弁させる弁指令信号を出力すると共に、メインポンプ41の傾転角αを0にする(α=0)ポンプ指令信号を出力する。
また、流路決定部505において第2流路P2に決定された場合、指令信号出力部506は、指令信号情報記憶部507からの情報に基づいて、第1電磁開閉弁51及び第2電磁開閉弁52のそれぞれを開弁させ、かつ第3電磁開閉弁53を閉弁させる弁指令信号を出力すると共に、メインポンプ41の傾転角αを第1指令変数Vc1の比例値にする(α∝Vc1)、すなわちメインポンプ41の押し除け容積をボトム室22Bに流入させる圧油量に応じた押し除け容積とするポンプ指令信号を出力する。
そして、流路決定部505において第3流路(走行振動抑制装置31のOFF状態)に決定された場合、指令信号出力部506は、指令信号情報記憶部507からの情報に基づいて、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、及び第3電磁開閉弁53のそれぞれを閉弁させる弁指令信号を出力すると共に、メインポンプ41の傾転角αを0にする(α=0)ポンプ指令信号を出力する(OFF指令信号の出力)。
本実施形態では、メインポンプ41は斜板式の可変容量型油圧ポンプを用いているため、メインポンプ41の押し除け容積は斜板の傾転角αに対応しているが、メインポンプ41は必ずしも斜板式である必要はなく、例えば斜軸式の可変容量型油圧ポンプを用いてもよい。また、「傾転角αが0」とは、メインポンプ41の停止時の押し除け容積に相当する。
このように、第1指令変数Vc1の0に対する大小関係にしたがって、指令信号出力部506からの弁指令信号に基づいて、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、及び第3電磁開閉弁53がそれぞれ、流路決定部505において決定された流路を構成し、かつ指令信号出力部506からのポンプ指令信号に基づいて、メインポンプ41が、流路決定部505において決定された流路に応じた押し除け容積となるように作動することにより、初期圧力値P0とは別に圧力センサ55から取得した圧力センサ値Piが圧力目標値Ptrgに近づくと共に、初期リフトアーム角度A0とは別にリフトアーム角度センサ56から取得したリフトアーム角度センサ値Aiがリフトアーム角度目標値Atrgに近づくように制御される。
(コントローラ50における処理)
次に、コントローラ50内で実行される具体的な処理について、図8を参照して説明する。
図8は、本実施形態に係るコントローラ50で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
まず、コントローラ50は、ライドコントロールスイッチ57からのON信号の入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS701)。ステップS701において、ライドコントロールスイッチ57からON信号の入力がない場合(ステップS701/NO)、すなわちライドコントロールスイッチ57がOFFの場合には、走行振動抑制装置31は作動する必要がないため、ライドコントロールスイッチ57がONに操作されるまで、すなわちライドコントロールスイッチ57からのON信号の入力を受け付けるまでステップS701を繰り返す。
ステップS701において、ライドコントロールスイッチ57からのON信号の入力を受け付けた場合(ステップ701/YES)には、コントローラ50は、ライドコントロールスイッチ57からのON信号に基づいて初期設定(i←0)をし(ステップS702)、センサ値取得部501は、圧力センサ55で検出される圧力センサ値Pi、及びリフトアーム角度センサ56で検出されるリフトアーム角度センサ値Aiを取得する(ステップS703)。
目標値設定部502は、ステップS703において取得された圧力センサ値Pi(i=0)を圧力目標値Ptrgに設定すると共に(Ptrg=P0)、リフトアーム角度センサ値Ai(i=0)をリフトアーム角度目標値Atrgに設定する(Atrg=A0)(ステップS704)。
次に、ライドコントロールスイッチ57からのON信号が入力されたままであれば(ステップS705/YES)、iをインクリメントして(ステップS706)、再度、センサ値取得部501は、圧力センサ値Pi及びリフトアーム角度センサ値Aiを取得する(ステップS707)。
指令変数演算部504は、ステップ704において設定した圧力目標値Ptrg及びリフトアーム角度目標値Atrg、ならびにステップS707において取得した圧力センサ値Pi及びリフトアーム角度センサ値Aiに基づいて、次の式(1)を用いて第1指令変数Vc1を演算する(ステップS708)。
[数1]
Vc1=m1∫(Ai−Atrg)di+n1(Pi−Ptrg)・・・(1)
この式(1)は、いわゆるPI制御を示している。式(1)に示すように、第1指令変数Vc1は、初期リフトアーム角度A0(リフトアーム角度目標値Atrg)よりも後であって、当該初期リフトアーム角度A0とは別にリフトアーム角度センサ56から取得したリフトアーム角度センサ値Aiとリフトアーム角度目標値Atrgとの差分の積分値に、初期圧力値P0(圧力目標値Ptrg)よりも後であって、当該初期圧力値P0とは別に圧力センサ55から取得した圧力センサ値Piと圧力目標値Ptrgとの差分を加えたものである。
このように、式(1)では、リフトアーム21の角度に係る項において、リフトアーム角度センサ値Aiからリフトアーム角度目標値Atrgを引いた差分(Ai−Atrg)を時間で積分して、時間による影響を低減している。これにより、リフトアーム21の平均的な角度の値がリフトアーム角度目標値Atrgから大きく乖離しているような場合であっても、リフトアーム角度目標値Atrgに近づけやすくなる。したがって、車体の走行時における走行振動に伴ってリフトアーム21が徐々に落下してしまう現象を抑制することができ、バケット23を所定の位置に維持することが可能となる。なお、式(1)におけるm1及びn1は、それぞれ定数である。
次に、流路決定部505は、ステップS708において演算された第1指令変数Vc1が0よりも大きいかどうか、すなわち第1指令変数Vc1が正の値かどうかを判定する(ステップS709)。
ステップS709において第1指令変数Vc1が0よりも大きい場合(Vc1>0)、すなわち第1指令変数Vc1が正の値の場合(ステップS709/YES)には、流路決定部505は、流路を第1流路P1に決定する。
そして、指令信号出力部506は、第1電磁開閉弁51及び第2電磁開閉弁52を閉弁に、かつ第3電磁開閉弁53を開弁にするように、第1電磁開閉弁51に対して第1弁指令信号を、第2電磁開閉弁52に対して第2弁指令信号を、第3電磁開閉弁53に対して第3弁指令信号を、それぞれ出力すると共に、メインポンプ41の傾転角αが0(α=0)となるように、メインポンプ41に対してポンプ指令信号を出力する(ステップS710)。
ステップS709において第1指令変数Vc1が0以下である場合(Vc1≦0)、すなわち第1指令変数Vc1が正の値ではない場合(ステップS709/NO)には、流路決定部505は、第1指令変数Vc1が0よりも小さいかどうか、すなわち第1指令変数Vc1が負の値かどうかを判定する(ステップS711)。
ステップS711において第1指令変数Vc1が0よりも小さい場合(Vc1<0)、すなわち第1指令変数Vc1が負の値の場合(ステップS711/YES)には、流路決定部505は、形成する流路を第2流路P2に決定する。
そして、指令信号出力部506は、第1電磁開閉弁51及び第2電磁開閉弁52を開弁に、かつ第3電磁開閉弁53を閉弁にするように、第1電磁開閉弁51に対して第1弁指令信号を、第2電磁開閉弁52に対して第2弁指令信号を、第3電磁開閉弁53に対して第3弁指令信号を、それぞれ出力すると共に、メインポンプ41の傾転角αが次の式(2)で演算される値となるように、メインポンプ41に対してポンプ指令信号を出力する(ステップS712)。
[数2]
α=k1×|Vc1|・・・(2)
式(2)におけるk1は定数である。このように、指令信号出力部506が、傾転角αが第1指令変数Vc1に比例するように、メインポンプ41に対して指令信号を出力することにより、初期圧力値P0よりも後であって、当該初期圧力値P0とは別に圧力センサ55で検出される圧力センサ値Piと圧力目標値Ptrgとの差が大きいほどメインポンプ41から多量の圧油を吐出させることができる。そのため、初期圧力値P0とは別に圧力センサ55で検出される圧力センサ値Piが圧力目標値Ptrgと大きく乖離しているような場合であっても、圧力目標値Ptrgに近づけやすくなる。
ステップS711において第1指令変数Vc1が0よりも小さくない場合、すなわち第1指令変数Vc1が0(Vc1=0)の場合(ステップS711/NO)には、流路決定部505は、第3流路を形成することを決定する。これに応じて、指令信号出力部506は、指令信号情報記憶部507に記憶されているOFF指令信号を読み出し、OFF指令信号を出力する(ステップS713)。
コントローラ50は、指令信号出力部506がステップS710、ステップS712、及びステップS713のそれぞれにおいて弁指令信号及びポンプ指令信号を出力した後、ステップS705に戻り、ライドコントロールスイッチ57がONからOFF(ステップS705/NO)になるまで繰り返す。
そして、ライドコントロールスイッチ57がONからOFFになった場合、すなわちライドコントロールスイッチ57からOFF信号が入力された場合(ステップS705/NO)には、指令信号出力部506は、指令信号情報記憶部507に記憶されているOFF指令信号を読み出し、OFF指令信号を出力して(ステップS714)、処理が終了する。
このように、ホイールローダ1に走行振動が発生している場合に、コントローラ50が、リフトアームシリンダ22のボトム室22Bの圧力(圧力センサ値Pi)を圧力目標値Ptrgに近づけると共に、リフトアーム21の角度(リフトアーム角度センサ値Ai)をリフトアーム角度目標値Atrgに近づけるように能動的に制御するため、従来のようにアキュムレータを用いてボトム室22Bの圧力変動を受動的に吸収させた場合と比較して、走行振動の抑制効果を向上させることができる。これにより、バケット23の荷こぼれの問題も生じにくくなる。
また、走行振動の抑制にアキュムレータを用いた場合には、振動抑制の効果がアキュムレータの容量に制約を受けるため、より高い振動抑制効果を得ようとするとアキュムレータが大型化してしまうといった問題があるが、このような問題も解消することができる。
さらに、走行振動の抑制にアキュムレータを用いた場合には、リフトアームシリンダ22内の圧力が抜けてしまい、バケット23が所定の高さよりも下がってきてしまうといった問題があったが、本実施形態では、コントローラ50によって第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、第3電磁開閉弁53、及びメインポンプ41のそれぞれを制御しているため、リフトアームシリンダ22内の圧力が抜けることなく走行振動を抑制することができ、バケット23を所定の高さ(姿勢)に維持することが可能となる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る走行振動抑制装置32について、図9〜図11を参照して説明する。なお、図9〜図11において、第1実施形態に係る走行振動抑制装置31について説明したものと共通する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。以下、第3実施形態についても同様とする。
図9は、第2実施形態に係る走行振動抑制装置32の油圧回路図である。図10は、第2実施形態に係るコントローラ50Aが有する機能を示す機能ブロック図である。図11は、第2実施形態に係るコントローラ50Aで実行される処理の流れを示すフローチャートである。
本実施形態に係る走行振動抑制装置32は、図9に示すように、第1実施形態に係る走行振動抑制装置31における圧力センサ55の代わりに、ホイールローダ1の加速度を検出する加速度センサ58を有している。ここで、「車体の加速度」とは、車体のピッチ角に係る加速度である。
したがって、走行振動抑制装置32では、コントローラ50Aは、加速度センサ58からの信号及びリフトアーム角度センサ56からの信号に基づき、メインポンプ41、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、及び第3電磁開閉弁53のそれぞれの制御を行う。これ以外の走行振動抑制装置32における構成及び動作は、第1実施形態に係る走行振動抑制装置31と同様である。
よって、第1実施形態に係る走行振動抑制装置31の説明において、「圧力センサ55」を「加速度センサ58」に、「初期圧力値P0」を「初期加速度値F0」に、「圧力目標値Ptrg」を「加速度目標値Ftrg」に、「圧力センサ値Pi」を「加速度センサ値Fi」に、それぞれ読み替えると、本実施形態に係る走行振動抑制装置32の説明となる。
図11に示すように、ステップS701において、ライドコントロールスイッチ57からON信号が入力された場合(ステップ701/YES)には、コントローラ50は、ライドコントロールスイッチ57からのON信号に基づいて初期設定(i←0)をし(ステップS702)、センサ値取得部501Aは、加速度センサ58で検出される加速度センサ値Fi、及びリフトアーム角度センサ56で検出されるリフトアーム角度センサ値Aiを取得する(ステップS703A)。
目標値設定部502Aは、ステップS703Aにおいて取得された加速度センサ値Fi(i=0)を加速度目標値Ftrgに設定すると共に(Ftrg=F0)、リフトアーム角度センサ値Ai(i=0)をリフトアーム角度目標値Atrgに設定する(Atrg=A0)(ステップS704A)。
次に、ライドコントロールスイッチ57からのON信号が入力されたままであれば(ステップS705/YES)、iをインクリメントして(ステップS706)、再度、センサ値取得部501Aは、加速度センサ値Fi及びリフトアーム角度センサ値Aiを取得する(ステップS707A)。
指令変数演算部504Aは、ステップS704Aにおいて設定した加速度目標値Ftrg及びリフトアーム角度目標値Atrg、ならびにステップS707Aにおいて取得した加速度センサ値Fi及びリフトアーム角度センサ値Aiに基づいて、次の式(3)を用いて第2指令変数Vc2を演算する(ステップS708A)。なお、次の式(3)におけるm2及びn2は、それぞれ定数である。
[数3]
Vc2=m2∫(Ai−Atrg)di+n2(F−Ftrg)・・・(3)
ここで、本実施形態に係る「第2指令変数Vc2」とは、初期加速度値F0とは別に加速度センサ58から取得した加速度センサ値Fiの加速度目標値Ftrgに対する乖離量、及び初期リフトアーム角度A0とは別にリフトアーム角度センサ56から取得したリフトアーム角度センサ値Aiのリフトアーム角度目標値Atrgに対する乖離量を示す値である。
流路決定部505Aは、ステップS708Aにおいて演算された第2指令変数Vc2が0よりも大きいかどうか、すなわち第2指令変数Vc2が正の値かどうかを判定する(ステップS709A)。
ステップS709Aにおいて第2指令変数Vc2が0よりも大きい場合(Vc2>0)、すなわち第2指令変数Vc2が正の値の場合(ステップS709A/YES)には、第1実施形態と同様にステップS710に進む。
ステップS709Aにおいて第2指令変数Vc2が0以下である場合(Vc2≦0)、すなわち第2指令変数Vc2が正の値ではない場合(ステップS709A/NO)には、流路決定部505Aは、第2指令変数Vc2が0よりも小さいかどうか、すなわち第2指令変数Vc2が負の値かどうかを判定する(ステップS711A)。
ステップS711Aにおいて第2指令変数Vc2が0よりも小さい場合(Vc2<0)、すなわち第2指令変数Vc2が負の値の場合(ステップS711A/YES)には、流路決定部505Aは、流路を第2流路P2に決定する。
そして、指令信号出力部506は、第1電磁開閉弁51及び第2電磁開閉弁52を開弁に、かつ第3電磁開閉弁53を閉弁にするように、第1電磁開閉弁51に対して第1弁指令信号を、第2電磁開閉弁52に対して第2弁指令信号を、第3電磁開閉弁53に対して第3弁指令信号を、それぞれ出力すると共に、メインポンプ41の傾転角αが次の式(4)で演算される値となるように、メインポンプ41に対してポンプ指令信号を出力する(ステップS712A)。なお、次の式(4)におけるk2は定数である。
[数4]
α=k2×|Vc2|・・・(4)
ステップS711Aにおいて第2指令変数Vc2が0よりも小さくない場合、すなわち第2指令変数Vc2が0(Vc2=0)の場合(ステップS711/NO)には、第1実施形態と同様にステップS713に進む。
このように、本実施形態では、加速度センサ58によりホイールローダ1の車体の加速度を検出して、第2指令変数Vc2の演算に加速度センサ値Fi及び加速度目標値Ftrgを用いることによって、車体自体の振動を直接的に抑制しやすくなり、路面の凹凸等に起因する走行振動によって悪化する乗り心地を改善することができる。これに伴い、走行振動によるオペレータの操作レバーの誤操作等も防止することが可能となる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る走行振動抑制装置について、図12〜図16を参照して説明する。
図12は、第3実施形態に係る走行振動抑制装置33の油圧回路図である。図13は、第3実施形態に係る走行振動抑制装置33が適用されたホイールローダ1の状態遷移図である。図14は、第3実施形態に係るコントローラ50Bが有する機能を示す機能ブロック図である。
図12に示すように、本実施形態に係る走行振動抑制装置33では、ホイールローダ1の車速を検出する車速センサ59と、作業機2の基端部に対する先端部の姿勢を示す姿勢パラメータを検出する姿勢パラメータセンサとしてのバケット角度センサ60と、をさらに備えている。そして、ライドコントロールスイッチ57は、「mode1」、「mode2」、及び「OFF」の3つに切り替わる。
また、コントローラ50Bは、ホイールローダ1の動作状態を判定する機能を有しており、ホイールローダ1の動作状態ごとにコントローラ50B内で実行される処理の内容が異なっている。
なお、「mode1」の処理は、第1実施形態に係るコントローラ50と同様に、コントローラ50Bが第1指令変数Vc1を演算し、第1指令変数Vc1に基づいて、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、第3電磁開閉弁53、及びメインポンプ41のそれぞれの制御を行う処理である。
「mode2」の処理は、第2実施形態に係るコントローラ50Aと同様に、コントローラ50Bが第2指令変数Vc2を演算し、第2指令変数Vc2に基づいて、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、第3電磁開閉弁53、及びメインポンプ41のそれぞれの制御を行う処理である。
ホイールローダ1は、図13に示すように、作業場所で掘削等した荷をバケット23に積んだ状態で道路を走行して荷を放土場まで運搬する運搬状態C1と、バケット23に積まれた荷を放土場に放土する放土状態(荷を下ろす荷下ろし状態)C2と、バケット23内に荷を積んでいない状態で作業場所まで走行する走行状態C3と、作業場所で掘削等の作業をする作業状態C4と、を遷移する。
本実施形態に係るコントローラ50Bは、「mode1」処理の場合には、ホイールローダ1が運搬状態C1であるときに走行振動を抑制するように、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、第3電磁開閉弁53、及びメインポンプ41を制御し、「mode2」処理の場合には、ホイールローダ1が運搬状態C1又は走行状態C3であるときに走行振動を抑制するように、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、第3電磁開閉弁53、及びメインポンプ41を制御する。
コントローラ50Bは、図14に示すように、第1実施形態に係るコントローラ50及び第2実施形態に係るコントローラ50Aと異なり、閾値記憶部510と、状態判定部508と、無効化判定部509と、をさらに有している。
センサ値取得部501Bは、車速センサ59からの信号に基づいて車速センサ値Vを、リフトアーム角度センサ56からの信号に基づいてリフトアーム角度センサ値Aiを、バケット角度センサ60からの信号に基づいてバケット角度センサ値Bを、圧力センサ55からの信号に基づいて圧力センサ値Piを、加速度センサ58からの信号に基づいて加速度センサ値Fiを、それぞれ取得する。
閾値記憶部510は、ホイールローダ1の車速に関する閾値を記憶する車速閾値記憶部と、作業機2の姿勢に関する閾値を記憶する姿勢閾値記憶部と、を含んで構成されている。
ホイールローダ1の車速に関する閾値には、ホイールローダ1が道路を走行中であるか否かを判定するための第1車速閾値Vth1と、ホイールローダ1が停止中であるか否かを判定するための第2車速閾値Vth2と、が含まれる。
また、作業機2の姿勢に関する閾値には、作業機2の先端部に相当するバケット23が地面に接触しているか否かを判定するための第1姿勢閾値Athと、バケット23が荷下ろし姿勢(バケット23に積んだ荷を下ろす際の姿勢)であるか否かを判定するための第2姿勢閾値Bthと、が含まれる。本実施形態では、第1姿勢閾値Athには、車体に対するリフトアーム21の角度を用いており、第2姿勢閾値Bthには、リフトアーム21に対するバケット23の角度を用いている。
状態判定部508は、車速センサ59から取得した車速センサ値Vと第1車速閾値Vth1及び第2車速閾値Vth2との比較結果、ならびにリフトアーム角度センサ56から取得したリフトアーム角度センサ値Aiと第1姿勢閾値Ath、及びバケット角度センサ60から取得したバケット角度センサ値Bと第2姿勢閾値Bthとの比較結果に基づいて、作業状態C4であるか、放土状態C2であるか、を判定する。
ここで、ホイールローダ1における運搬状態C1、放土状態C2、走行状態C3、及び作業状態C4の4つの動作状態を判定するための判定条件は、次の通りである。
運搬状態C1との判定は、車速センサ59から取得した車速センサ値Vが、第1車速閾値Vth1以上であり(V≧Vth1)、かつリフトアーム角度センサ56から取得したリフトアーム角度センサ値Aiが少なくとも第1姿勢閾値Athよりも大きい(Ai>Ath1)ことが条件となる。
放土状態C2との判定は、車速センサ59から取得した車速センサ値Vが第2車速閾値Vth2以下であり(V≦Vth2)、バケット角度センサ60から取得したバケット角度センサ値Bが第2姿勢閾値Bth以下である(B≦Bth)ことが条件となる。すなわち、放土状態C2とは、ホイールローダ1が停止中であり、かつ作業機2の先端部であるバケット23が下方に向かって回動する荷下ろし姿勢となっている状態である。
走行状態C3との判定は、車速センサ59から取得した車速センサ値Vが第1車速閾値Vth1以上であり(V≧Vth1)、リフトアーム角度センサ56から取得したリフトアーム角度センサ値Aiが少なくとも第1姿勢閾値Athよりも大きく(Ai≧Ath1)、バケット角度センサ60から取得したバケット角度センサ値Bが第2姿勢閾値Bthよりも大きい(B>Bth)ことが条件となる。
作業状態C4との判定は、車速センサ59から取得した車速センサ値Vが第1車速閾値Vth1よりも大きく、かつ第2車速閾値Vth2よりも小さく(Vth2<V<Vth1)、リフトアーム角度センサ56から取得したリフトアーム角度センサ値Aiが第1姿勢閾値Ath以下である(Ai≦Ath1)ことが条件となる。すなわち、作業状態C4とは、第2車速閾値Vth2よりも大きく第1車速閾値Vth1未満の車速で走行しており、かつ作業機2の先端部であるバケット23が地面に接触する状態である。なお、「作業機2の先端部であるバケット23が地面に接触する状態」とは、バケット23が地面に対して完全に接触している状態のみならず、バケット23が地面よりもわずかに上がった状態も含む。
無効化判定部509は、状態判定部508が放土状態C2又は作業状態C4のいずれかにあると判定した場合に、ライドコントロールスイッチ57からの「mode1」又は「mode2」のON信号の入力を無効化する、すなわち「mode1」処理又は「mode2」処理を無効化すると判定をする。
具体的には、ライドコントロールスイッチ57から「mode1」のON信号が入力されている場合において、状態判定部508で放土状態C2、走行状態C3、又は作業状態C4のいずれかが判定されると、無効化判定部509は「mode1」を無効化すると判定をする。なお、コントローラ50Bにおいて「mode1」処理が実行されている場合には、状態判定部508は、放土状態C2及び作業状態C4だけでなく、走行状態C3においても無効化すると判定しても良い。
また、ライドコントロールスイッチ57から「mode2」のON信号が入力されている場合において、状態判定部508で放土状態C2又は作業状態C4のいずれかが判定されると、無効化判定部509は「mode2」を無効化すると判定をする。
無効化判定部509において無効化すると判定されずに「mode1」処理が継続している場合には、目標値設定部502Bは、第1実施形態と同様に、初期圧力値P0を圧力目標値Ptrgに設定すると共に(Ptrg=P0)、初期リフトアーム角度A0をリフトアーム角度目標値Atrgに設定する(Atrg=A0)。
また、無効化判定部509が無効化すると判定した後に、状態判定部508が少なくとも放土状態C2又は作業状態C4ではないと再判定した場合には、目標値設定部502Bは、状態判定部508による再判定後に圧力センサ55から取得した圧力センサ値Piに基づいて圧力目標値Ptrgを再設定すると共に、状態判定部508による再判定後にリフトアーム角度センサ56から取得したリフトアーム角度センサ値Aiに基づいてリフトアーム角度目標値Atrgを再設定する。
無効化判定部509において無効化すると判定されずに「mode2」処理が継続している場合には、目標値設定部502Bは、第2実施形態と同様に、初期加速度値F0を加速度目標値Ftrgに設定すると共に(Ftrg=F0)、初期リフトアーム角度A0をリフトアーム角度目標値Atrgに設定する(Atrg=A0)。
また、無効化判定部509が無効化すると判定した後に、状態判定部508が放土状態C2又は作業状態C4ではないと再判定した場合には、目標値設定部502Bは、状態判定部508による再判定後に加速度センサ58から取得した加速度センサ値Fiに基づいて加速度目標値Ftrgを再設定すると共に、状態判定部508による再判定後にリフトアーム角度センサ56から取得したリフトアーム角度センサ値Aiに基づいてリフトアーム角度目標値Atrgを再設定する。
流路決定部505Bに含まれる指令変数演算部504Bは、「mode1」処理の場合には第1指令変数Vc1を演算し、「mode2」処理の場合には第2指令変数Vc2を演算する。流路決定部505Bは、指令変数演算部504Bにおいて演算された第1指令変数Vc1又は第2指令変数Vc2に基づいて、第1流路P1、第2流路P2、又は第3流路のいずれかを決定する。
指令信号出力部506Bは、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、流路決定部505Bにおいて決定された流路にしたがって、第1電磁開閉弁51、第2電磁開閉弁52、及び第3電磁開閉弁53のそれぞれに対して弁指令信号を、メインポンプ41に対してポンプ指令信号を、それぞれ出力する。
次に、本実施形態に係るコントローラ50Bで実行される処理の流れについて、第1実施形態に係るコントローラ50及び第2実施形態に係るコントローラ50Aとは異なる点を中心に、図15及び図16を参照して説明する。
図15は、第3実施形態に係るコントローラ50Bで実行される「mode1」処理の流れを示すフローチャートである。図16は、第3実施形態に係るコントローラ50Bで実行される「mode2」処理の流れを示すフローチャートである。
図15に示すように、コントローラ50Bは、オペレータによりライドコントロールスイッチ57が「mode1」若しくは「mode2」のON信号、又はOFF信号のいずれかのうち、どの信号の入力を受け付けたかを判定する(ステップS801)。
ステップS801において、ライドコントロールスイッチ57からの「mode1」のON信号が入力された場合(ステップS801/mode1)には、コントローラ50Bは、ライドコントロールスイッチ57からの「mode1」のON信号に基づいて初期設定(i←0)をし(ステップS802)、センサ値取得部501Bは、圧力センサ55で検出される圧力センサ値Pi、及びリフトアーム角度センサ56で検出されるリフトアーム角度センサ値Aiを取得する(ステップS803)。
目標値設定部502Bは、ステップS803において取得された圧力センサ値Pi(i=0)を圧力目標値Ptrgに設定すると共に(Ptrg=P0)、リフトアーム角度センサ値Ai(i=0)をリフトアーム角度目標値Atrgに設定する(Atrg=A0)(ステップS804)。
次に、センサ値取得部501Bは、車速センサ59で検出された車速センサ値Vを取得すると共に、ステップS803において取得したリフトアーム角度センサ値Aiを読み出す(ステップS805)。
状態判定部508は、車速センサ値V及びリフトアーム角度センサ値Aiに基づいて、ホイールローダ1が運搬状態C1であるか否かを判定する(ステップS806)。
ステップS806において運搬状態C1である場合(ステップS806/YES)には、コントローラ50Bは、第1実施形態に係るコントローラ50と同様に、ステップS706、ステップS707、ステップS708、ステップS709に進む。そして、ステップS709においてYESの場合にはステップS710に進み、ステップS709においてNOの場合にはステップS711に進む。ステップS711においてYESの場合には、ステップS712に進み、ステップS711においてNOの場合には、ステップS713に進む。
コントローラ50Bがライドコントロールスイッチ57からの新たな入力信号を受け付けていない場合、すなわち「mode1」処理が継続している場合(ステップS807/YES)には、ステップS805に戻り、ステップS807において「mode1」処理が継続していない場合(ステップS807/NO)には、ステップS801に戻る。
ここで、ステップS806において運搬状態C1でない場合(ステップS806/NO)、すなわちホイールローダ1が放土状態C2、走行状態C3、又は作業状態C4のいずれかの状態である場合には、無効化判定部509が無効化すると判定をする。
指令信号出力部506Bは、無効化判定部509からの無効化するとの情報に基づいて、指令信号情報記憶部507に記憶されているOFF指令信号を読み出し、OFF指令信号を出力する(ステップS808)。そして、指令信号出力部506BがステップS807においてOFF指令信号を出力した後、ステップS801に戻る。
このように、ライドコントロールスイッチ57から「mode1」のON信号が入力されている場合において、例えばホイールローダ1が運搬状態C1から放土状態C2になった場合等、ホイールローダ1が運搬状態C1以外の状態になったときに、コントローラ50Bが運搬状態C1以外の状態であることを判定して無効化処理を行うことにより、走行振動の抑制を行わないようにすることができる。
次に、ステップS801において、ライドコントロールスイッチ57から「mode2」のON信号が入力された場合(ステップS801/mode2)には、「mode2」処理に進む(ステップS810)。
具体的には、図16に示すように、コントローラ50Bは、ライドコントロールスイッチ57からの「mode2」のON信号に基づいて初期設定(i←0)をし(ステップS811)、センサ値取得部501Bは、加速度センサ58で検出される加速度センサ値Fi、及びリフトアーム角度センサ56で検出されるリフトアーム角度センサ値Aiを取得する(ステップS812)。
目標値設定部502Bは、ステップS812において取得された加速度センサ値Fi(i=0)を加速度目標値Ftrgに設定すると共に(Ftrg=F0)、リフトアーム角度センサ値Ai(i=0)をリフトアーム角度目標値Atrgに設定する(Atrg=A0)(ステップS813)。
次に、センサ値取得部501Bは、車速センサ59で検出された車速センサ値V、及びバケット角度センサ60で検出されたバケット角度センサ値Bをそれぞれ取得すると共に、ステップS812において取得したリフトアーム角度センサ値Aiを読み出す(ステップS814)。
状態判定部508は、車速センサ値V、バケット角度センサ値B、及びリフトアーム角度センサ値Aiに基づいて、ホイールローダ1が運搬状態C1又は走行状態C3のいずれかであるか否かを判定する(ステップS815)。
ステップS815において運搬状態C1又は走行状態C3である場合(ステップS806/YES)には、コントローラ50Bは、第2実施形態に係るコントローラ50Aと同様に、ステップS706、ステップS707A、ステップS708A、ステップS709Aに進む。そして、ステップS709AにおいてYESの場合には、ステップS710に進む。ステップS709AにおいてNOの場合には、ステップS711Aに進む。そして、ステップS711AにおいてYESの場合には、ステップS712Aに進み、ステップS711AにおいてNOの場合には、ステップS713、ステップS713に進む。
コントローラ50Bがライドコントロールスイッチ57からの新たな入力信号を受け付けていない場合、すなわち「mode2」処理が継続している場合(ステップS816/YES)には、ステップS814に戻り、コントローラ50Bがライドコントロールスイッチ57からの新たな入力信号を受け付けた場合、すなわち「mode2」処理が継続していない場合(ステップS816/NO)には、ステップS801に戻る。
ここで、ステップS815において運搬状態C1又は走行状態C3でない場合(ステップS815/NO)、すなわちホイールローダ1が放土状態C2及び作業状態C4のうちのいずれかの状態である場合には、無効化判定部509が無効化すると判定をする。
指令信号出力部506Bは、無効化判定部509からの無効化するとの情報に基づいて、指令信号情報記憶部507に記憶されているOFF指令信号を読み出し、OFF指令信号を出力する(ステップS817)。そして、指令信号出力部506BがステップS816においてOFF指令信号を出力した後、ステップS801に戻る。
このように、ライドコントロールスイッチ57から「mode2」のON信号が入力されている場合において、例えばホイールローダ1が運搬状態C1から放土状態C2になった場合や走行状態C3から作業状態C4になった場合等、ホイールローダ1が運搬状態C1又は走行状態C3以外の状態になったときに、コントローラ50Bが運搬状態C1又は走行状態C3以外の状態であることを判定して無効化処理を行うことにより、走行振動の抑制を行わないようにすることができる。
したがって、本実施形態では、ホイールローダ1が走行振動を抑制する必要のない状態であるにもかかわらず、例えばオペレータがライドコントロールスイッチ57の切替えを忘れてしまったような場合であっても、コントローラ50Bによって無効化処理が行われるため、走行振動の抑制が必要な状態においてのみ走行振動抑制装置を動作させることができ、走行振動抑制装置に係る操作性の向上が図れる。
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、本実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、本実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。またさらに、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、上記実施形態では、リフトアームシリンダ22に係る圧油を制御することにより走行振動を能動的に抑制していたが、これに限らず、他の油圧アクチュエータに適用してもよい。
上記実施形態では、走行振動抑制装置をホイールローダ1に適用していたが、必ずしもホイールローダ1である必要はなく、他の作業機械に適用してもよい。