JP2018167260A - イオン交換体の保存方法、生理活性物質の精製装置及び生理活性物質の精製方法 - Google Patents

イオン交換体の保存方法、生理活性物質の精製装置及び生理活性物質の精製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】人体への害が低く、イオン交換体からの保存液の洗浄除去が容易で、イオン交換体の性能の低下を抑制することができる、イオン交換体の保存方法を提供する。【解決手段】強酸性基を有するイオン交換体を、30mmol/L〜300mmol/Lの塩を含む保存液で保存する、イオン交換体の保存方法。弱酸性基を有するイオン交換体を、10mmol/L〜300mmol/Lの塩を含む保存液で保存する、イオン交換体の保存方法。塩基性基を有するイオン交換体を、10mmol/L〜300mmol/Lの塩を含む保存液で保存する、イオン交換体の保存方法。【選択図】なし

Description

本発明は、イオン交換体の保存方法、生理活性物質の精製装置及び生理活性物質の精製方法に関する。
生理活性物質、特に、タンパク質、ペプチド、核酸等の生体由来物質に基づく生物医薬品の製造には、実プロセススケールでこれらの分子を製造し、精製することが必要とされる。特に、生理活性物質の代表例であるモノクローナル抗体(mAb)の需要の高まりは、高い発現レベルを伴う細胞培養技術の開発を促進し、結果として、より効率的な精製プロセスについての需要が高まった。それに伴い、精密分離が可能な分離媒体をパッキングしたカラムを含む大型のクロマトグラフィーシステムを利用することが必須となっている。
生理活性物質のクロマトグラフィー分離プロセスは、滅菌条件下で行われる。そのためには、潜在的に有害なコンタミネーション物質が、使用前の分離剤に含まれていないことが極めて重要である。細菌及びその他の微生物によるコンタミネーションは、多数の生物工学的用途及び生物医学的用途において、しばしば直面する問題である。
加えて、分離剤には高度な分離性能と安定性が求められる。一般に、生理活性物質は、多くの場合タンパク質であり、細胞培養によって製造されるが、これらは細胞内に産生される又は周囲の媒体中に分泌される。使用する細胞系は生物であるから、糖質、アミノ酸、増殖因子等を含む複合増殖培地で育てなければならない。細胞に与えた化合物の混合物及び他の細胞成分から所望のタンパク質を十分な純度で分離することは、極めて高度な技術を要するが、通常、種々の分離剤が組み合わせて用いられ、そのうちの1種としてイオン交換分離を行うイオン交換体が用いられる。
生理活性物質のクロマトグラフィー分離プロセスに用いられる分離剤には、高度な衛生品質と分離性能が求められる。そのため、一般的な分離剤と比べて、生理活性物質のクロマトグラフィー用の分離剤は、価格が高くなる傾向にある。すべてのプロセス技術と同じく、生理活性物質の生産プロセス開発においても、生産コストを低く抑えることが重要な課題となっている。その課題を解決するためには、分離剤を衛生的かつ安定的に長期間保管する技術が求められている。
このような分離剤として、例えば、特許文献1には、不純物の非特異吸着が抑制され、かつ、長期保管による動的結合容量の低下を抑制された保存安定性に優れるアフィニティークロマトグラフィー用担体が開示されている。このアフィニティークロマトグラフィー用担体の保存方法として、2mol/LのNaClを含むpH7.5の20mmol/Lのリン酸ナトリウム緩衝液を用いることが開示されている。
国際公開2015/199196号パンフレット
しかしながら、特許文献1に開示される保存方法は、アフィニティークロマトグラフィー用担体には適用できるが、イオン交換体において必ずしも好適な保存方法ではない。
また、イオン交換体の保存方法として、アルコール類等を用いる方法が考えられるが、微生物の混入と増殖を抑制する静菌効果は得られる。しかしながら、本発明者らの検討により、20℃以上の温度条件でイオン交換体を保存することで、イオン交換体の安定性がしばしば損なわれることが明らかとなった。これは、高温下に置かれることでイオン交換体に導入されたイオン交換基が不安定化し、イオン交換体を含む保存液のpH低下、イオン交換基の脱離、イオン交換体の多孔性担体の分解が起こるためであると推察される。
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、人体への害が低く、イオン交換体からの保存液の洗浄除去が容易で、イオン交換体の性能の低下を抑制することができる、イオン交換体の保存方法を提供することにある。
従前、イオン交換体は、低温環境下(通常1℃〜8℃)で保存することが要求されていた。しかしながら、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、人体への害が低く、イオン交換体からの保存液の洗浄除去が容易で、低温環境下での保存を必ずしも必要とせず、イオン交換体の性能の安定性を長期間にわたり付与することができるイオン交換体の保存方法を見出した。
即ち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]強酸性基を有するイオン交換体を、30mmol/L〜300mmol/Lの塩濃度の保存液で保存する、イオン交換体の保存方法。
[2]弱酸性基を有するイオン交換体を、10mmol/L〜300mmol/Lの塩濃度の保存液で保存する、イオン交換体の保存方法。
[3]塩基性基を有するイオン交換体を、10mmol/L〜300mmol/Lの塩濃度の保存液で保存する、イオン交換体の保存方法。
[4]前記保存液が、アルコール類を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のイオン交換体の保存方法。
[5]前記アルコール類濃度が、10質量%〜30質量%である、[4]に記載のイオン交換体の保存方法。
[6]前記保存液が、アルコール類以外の有機溶媒を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のイオン交換体の保存方法。
[7]前記アルコール以外の有機溶媒の濃度が、1質量%〜3質量%である、[6]に記載のイオン交換体の保存方法。
[8]前記塩が、リン酸塩である、[1]〜[7]のいずれかに記載のイオン交換体の保存方法。
[9]前記塩が、酢酸塩である、[1]〜[7]のいずれかに記載のイオン交換体の保存方法。
[10]前記保存液の電気伝導度が、0.08mS/m〜2.4mS/m以下である、[1]〜[9]のいずれかに記載のイオン交換体の保存方法。
[11]前記イオン交換体が、粒子又は膜である、[1]〜[10]のいずれかに記載のイオン交換体の保存方法。
[12]前記イオン交換体が、多孔性担体を含む、[1]〜[11]のいずれかに記載のイオン交換体の保存方法。
[13]前記多孔性担体が、架橋性高分子からなる、[12]に記載のイオン交換体の保存方法。
[14]前記架橋性高分子が、(メタ)アクリル系重合体である、[13]に記載のイオン交換体の保存方法。
[15][1]〜[14]のいずれかに記載の保存方法により保存したイオン交換体を充填したカラムを接続した、生理活性物質の精製装置。
[16][1]〜[14]のいずれかに記載の保存方法により保存したイオン交換体を充填したカラムを接続し、生理活性物質の精製する、生理活性物質の精製方法。
[17]カラム接続後、生理活性物質精製前に、カラムを水洗し、使用する緩衝液で洗浄する、[16]に記載の生理活性物質の精製方法。
本発明のイオン交換体の保存方法は、人体への害が低く、低温環境下での保存を必ずしも必要とせず、イオン交換体の性能の安定性を長期間にわたり付与することができる。
実施例1・比較例1における保存中・保存後のイオン交換体のタンパク質の保持能力の変化を示す図である。
以下に本発明について詳述するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。尚、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いるものとする。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」、「メタクリル」又はその両者をいい、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」、「メタクリレート」又はその両者をいう。
(イオン交換体の保存方法)
本発明のイオン交換体の保存方法は、以下の3つの態様を有する。
第1の態様は、強酸性基を有するイオン交換体を、30mmol/L〜300mmol/Lの塩濃度の保存液で保存する、イオン交換体の保存方法である。
第2の態様は、弱酸性基を有するイオン交換体を、10mmol/L〜300mmol/Lの塩濃度の保存液で保存する、イオン交換体の保存方法である。
第3の態様は、塩基性基を有するイオン交換体を、10mmol/L〜300mmol/Lの塩濃度の保存液で保存する、イオン交換体の保存方法である。
(第1の態様)
強酸性基を有するイオン交換体は、従来の保存液、即ち、塩を含まない保存液による保存では、保存中に保存液のpHが大幅に低下し、その結果、保存後のイオン交換体の性能に影響を与えていた。
この原因として、高温条件下で発生する加水分解によって、イオン交換体からスルホン酸基等の強酸性基が脱離し、硫酸等の強酸が生成することが考えられ、その結果、保存液のpHが低下すると考えられる。このpHの低下によって、加水分解が促進し、更に多くの強酸性基が脱離し、イオン交換体の官能基として働く強酸性基が低減する結果、イオン交換体の吸着性能が低下する、即ち、官能基の脱離によりイオン交換体の吸着性能、保持性能共に低下するものと考えられる。
本発明者らの検討の結果、官能基の脱離により生成した硫酸等の強酸を中和するため、保存液中に塩を添加することが有効と考えた。保存液中に塩を添加し、生成する硫酸等の強酸を中和することにより、保存液のpHの低下を抑制し、イオン交換体の吸着性能の低下を抑制することができる。
第1の態様における強酸性基としては、例えば、硫酸基、メチル硫酸基、スルフォフェニル基、スルフォプロピル基等が挙げられる。これらの第1の態様における強酸性基の中でも、イオン交換体の吸着性能に優れることから、硫酸基が好ましい。
第1の態様における保存液中の塩の濃度は、30mmol/L〜300mmol/Lであり、40mmol/L〜240mmol/Lがより好ましく、50mmol/L〜180mmol/Lが更に好ましい。第1の態様における塩の濃度が30mmol/L以上であると、イオン交換体の保存中の保存液のpHの低下を抑制することができる。また、第1の態様における塩の濃度が300mmol/L以下であると、保存液から塩が析出することを抑制することができる。
(第2の態様)
弱酸性基を有するイオン交換体は、従来の保存液、即ち、塩を含まない保存液による保存では、高温環境下での保存おいて保存中に保存液のpHが低下し、その結果、保存後のイオン交換体の性能に影響を与えていた。
この原因として、イオン交換体が、高温環境下において加水分解を受け、弱酸が生成することが考えられ、その結果、保存液のpHが低下すると考えられる。
本発明者らの検討の結果、加水分解により生成した弱酸を中和するため、保存液中に塩を添加することが有効と考えた。保存液中に塩を添加し、生成する弱酸を中和することにより、保存液のpHの低下を抑制し、イオン交換体の吸着性能の低下を抑制することができる。
第2の態様における弱酸性基としては、例えば、カルボキシメチル基、カルボキシル基等が挙げられる。これらの第2の態様における弱酸性基の中でも、イオン交換体の分離特性の多様性に優れることから、カルボキシメチル基、カルボキシル基が好ましく、カルボキシメチル基がより好ましい。
第2の態様における保存液中の塩の濃度は、10mmol/L〜300mmol/Lであり、15mmol/L〜250mmol/Lがより好ましく、25mmol/L〜150mmol/Lが更に好ましい。第2の態様における塩の濃度が10mmol/L以上であると、イオン交換体の保存中の保存液のpHの低下を抑制することができる。また、第2の態様における塩の濃度が300mmol/L以下であると、保存液から塩が析出することを抑制することができる。
(第3の態様)
塩基性基を有するイオン交換体は、従来の保存液、即ち、塩を含まない保存液による保存では、高温環境下での保存おいて保存中に保存液のpHが低下し、その結果、保存後のイオン交換体の性能に影響を与えていた。
この原因として、イオン交換体が、高温環境下において加水分解を受け、弱酸が生成することが考えられ、その結果、保存液のpHが低下すると考えられる。
本発明者らの検討の結果、加水分解により生成した弱酸を中和するため、保存液中に塩を添加することが有効と考えた。保存液中に塩を添加し、生成する弱酸を中和することにより、保存液のpHの低下を抑制し、イオン交換体の吸着性能の低下を抑制することができる。
第3の態様における塩基性基としては、例えば、4級アンモニウム基、4級アミノエチル基、ジエチルアミノエチル基等が挙げられる。これらの第3の態様における塩基性基の中でも、イオン交換体の吸着性能に優れることから、4級アンモニウム基が好ましい。
第3の態様における保存液中の塩の濃度は、10mmol/L〜300mmol/Lであり、15mmol/L〜250mmol/Lがより好ましく、25mmol/L〜150mmol/Lが更に好ましい。第3の態様における塩の濃度が10mmol/L以上であると、イオン交換体の保存中の保存液のpHの低下を抑制することができる。また、第3の態様における塩の濃度が300mmol/L以下であると、保存液から塩が析出することを抑制することができる。
以下、第1の態様、第2の態様及び第3の態様のイオン交換体の保存方法として、共通する事項を説明する。
(イオン交換体の形態)
イオン交換体の形態としては、特に限定されることはなく、例えば、分離剤に代表される粒子形状、分離膜に代表される膜状等が挙げられる。これらのイオン交換体の形態の中でも、本発明の効果が顕著であることから、粒子、膜が好ましく、本発明の効果が特に顕著であることから、粒子がより好ましい。
(多孔性担体)
イオン交換体は、吸着性能に優れることから、多孔性担体及びイオン交換基を含むことが好ましい。
多孔性担体を構成する材料としては、多孔質の担体であれば特に限定されないが、例えば、架橋性合成高分子、天然有機高分子、無機高分子等が挙げられる。これらの多孔性担体を構成する材料の中でも、本発明の効果が特に顕著であることから、架橋性合成高分子が好ましい。
架橋性合成高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール系重合体、スチレン−ジビニルベンゼン系重合体、(メタ)アクリル系重合体等が挙げられる。
天然有機高分子としては、例えば、セルロース、セファロース、アガロース、キトサン等が挙げられる。
無機高分子としては、例えば、シリカ、ガラス、セラミック等が挙げられる。
これらの多孔性担体を構成する材料の中でも、本発明の効果が特に顕著であることから、(メタ)アクリル系重合体が好ましい。
尚、本明細書において、スチレン−ジビニルベンゼン系重合体は、重合体を構成する全単量体単位100質量%中、スチレン及びジビニルベンゼン由来の構成単位が50質量%以上であることをいい、80質量%以上が好ましい。また、本明細書において、(メタ)アクリル系重合体は、重合体を構成する全単量体単位100質量%中、(メタ)アクリレート由来の構成単位が50質量%以上であることをいい、80質量%以上が好ましい。
(メタ)アクリル系重合体は、架橋構造を形成するため、架橋性(メタ)アクリレート由来の構成単位を含むことが好ましい。
架橋性(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラヒドロキシブタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの架橋性(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの架橋性(メタ)アクリレートの中でも、架橋反応性に優れることから、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましく、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリル系重合体は、イオン交換基、後述する合成高分子鎖、後述する親水性高分子鎖を導入するために、官能基を有する(メタ)アクリレート由来の構成単位を含むことが好ましい。
官能基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、4,5−エポキシブチル(メタ)アクリレート、9,10−エポキシステアリル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの官能基を有する(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの官能基を有する(メタ)アクリレートの中でも、イオン交換基、後述する合成高分子鎖、後述する親水性高分子鎖の導入が容易であることから、エポキシ基含有(メタ)アクリレートが好ましく、グリシジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリル系重合体は、その性能を損なわない範囲において、必要に応じて、架橋性(メタ)アクリレート、官能基を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート由来の構成単位を含んでもよい。
架橋性(メタ)アクリレート、官能基を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粒子を多孔質にする方法は、例えば、粒子を形成する際の重合時に、多孔化剤を添加する方法が挙げられる。
多孔性担体にイオン交換基を導入する方法としては、例えば、多孔性担体の原料の単量体としてイオン交換基を有する単量体を用いる方法、多孔性担体が有する特定の官能基を基にイオン交換基を導入する方法等が挙げられる。
イオン交換基としては、前述した強酸性基、前述した弱酸性基、前述した塩基性基が挙げられる。これらのイオン交換基は、多孔性担体に直接結合していてもよく、スペーサーを介して結合していてもよい。
(イオン交換体の他の態様)
イオン交換体は、親水性が向上することから、一級水酸基を有する合成高分子鎖を有していることが好ましい。
また、イオン交換体は、反応性基を親水化処理することが好ましい。具体的には、エポキシ基を開環、親水性高分子鎖を共有結合で結合等の処理である。親水化処理を施されているイオン交換体は、加水分解を受けにくく、本発明のイオン交換体の保存方法を適用した場合に、本発明の効果が特に顕著に奏する。
(イオン交換体の物性)
イオン交換体の細孔容積は、0.4mL/g〜1.5mL/gが好ましく、0.7mL/g〜1.2mL/gがより好ましい。イオン交換体の細孔容積0.4mL/g以上であると、吸着対象物質の拡散性に優れ、吸着容量に優れる。また、イオン交換体の細孔容積が1.5mL/g以下であると、イオン交換体の強度に優れる。
尚、本明細書において、イオン交換体の細孔容積は、水銀圧入法により測定したものとする。具体的には、イオン交換体に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901−1を準用する。
イオン交換体の比表面積は、30m/g〜200m/gが好ましく、70m/g以上100m/gがより好ましい。イオン交換体の比表面積が30m/g以上であると、イオン交換基の固定に必要な細孔内の表面積が十分存在し、イオン交換基が十分固定化でき、吸着量に優れる。また、イオン交換体の比表面積が200m/g以下であると、細孔の内部へ吸着対象物質が行き渡るまでに時間がかからず、動的吸着容量に優れる。
尚、本明細書において、イオン交換体の比表面積は、水銀圧入法により測定したものとする。具体的には、イオン交換体に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901−1を準用する。
イオン交換体の体積平均粒子径は、1μm〜1000μmが好ましく、5μm〜700μmがより好ましく、10μm〜500μmが更に好ましい。イオン交換体の体積平均粒子径が1μm以上であると、イオン交換体をカラムに充填して通液したときの圧力損失を抑制し、通液速度を高めることができ、分離処理の生産性に優れる。また、イオン交換体の体積平均粒子径が1000μm以下であると、カラム効率に優れ、吸着量や分離性能に優れる。
尚、本明細書において、イオン交換体の体積平均粒子径は、光学顕微鏡を用いて任意の100個のイオン交換体の粒子径を測定し、その分布から体積メジアン径を算出するものとする。
(保存液)
保存液中に含まれる塩としては、例えば、リン酸、塩酸、炭酸等の無機酸の塩;酢酸、クエン酸、2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、N−(2−アセトアミド)イミノジ酢酸(ADA)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPSO)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、2−ヒドロキシ−N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)等の有機酸の塩等が挙げられる。これらの塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの塩の中でも、無機酸の塩、有機酸の塩が好ましく、塩自体の腐食が少なく、揮発性が低いことから、無機酸の塩が好ましい。
これらの無機酸の塩の中でも、低濃度の緩衝液で安定化させることができ、中性付近で安定的に保存することができ、臭気が少ないことから、リン酸塩、炭酸塩が好ましく、リン酸塩がより好ましい。
これらの有機酸の塩の中でも、緩衝液のコストを抑制することができ、廃液処理の負荷が小さく、高濃度の緩衝液で安定化させることができることから、酢酸塩、クエン酸塩が好ましく、酢酸塩がより好ましい。
保存液は、細菌や黴の増殖を抑制することができることから、防腐剤を含むことが好ましい。
防腐剤は、生理活性物質の精製等でイオン交換体を用いる前に、水や緩衝液での洗浄等で容易に除去されるものが好ましい。
防腐剤としては、例えば、アルコール類、アルコール類以外の有機溶媒、水溶性有機化合物等が挙げられる。これらの防腐剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの防腐剤の中でも、細菌や黴の増殖を抑制することができることから、アルコール類、アルコール類以外の有機溶媒、水溶性有機化合物が好ましく、アルコール類、アルコール類以外の有機溶媒がより好ましく、アルコール類以外の有機溶媒が更に好ましい。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。これらのアルコール類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのアルコール類の中でも、イオン交換体の使用前の洗浄性に優れることから、メタノール、エタノールが好ましく、エタノールがより好ましい。
防腐剤としてアルコール類を用いる場合のアルコール類の濃度は、保存液100質量%中、10質量%〜30質量%が好ましく、15質量%〜25質量%がより好ましい。アルコール類の濃度が10質量%以上であると、細菌や黴の増殖を抑制することができる。また、アルコール類の濃度が30質量%以下であると、引火点が低く安全性に優れる。
アルコール類以外の有機溶媒としては、ベンジルアルコール、フェノキシイソプロパノール等が挙げられる。これらのアルコール類以外の有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのアルコール類以外の有機溶媒の中でも、イオン交換体の使用前の洗浄性に優れることから、ベンジルアルコール、フェノキシイソプロパノールが好ましく、ベンジルアルコールがより好ましい。
防腐剤としてアルコール類以外の有機溶媒を用いる場合のアルコール類以外の有機溶媒の濃度は、保存液100質量%中、1質量%〜3質量%が好ましく、1.5質量%〜2.5質量%がより好ましい。アルコール類以外の有機溶媒の濃度が1質量%以上であると、細菌や黴の増殖を抑制することができる。また、アルコール類以外の有機溶媒の濃度が3質量%以下であると、イオン交換体の使用前の洗浄性に優れる。
水溶性有機化合物としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチルイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン、N−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ジシクロヘキシルアミン、ビス(アミノプロピル)ドデシルアミン等が挙げられる。これらの水溶性有機化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(電気伝導度)
保存液の電気伝導度は、0.08mS/m〜2.4mS/mが好ましく、0.10mS/m〜2.0mS/mがより好ましい。保存液の電気伝導度が0.08mS/m以上であると、イオン交換体の性能安定性に優れる。また、保存液の電気伝導度が2.4mS/m以下であると、塩の析出を抑制することができる。
本明細書において、保存液の電気伝導度は、pHメーター及び低電気伝導率用セルを用いて測定するものとする。
保存液の電気伝導度は、塩の濃度、防腐剤の濃度等を設定することにより調整することができる。
(保存条件)
本発明のイオン交換体の保存方法における保存温度は、1℃〜80℃が好ましく、3℃〜40℃がより好ましい。保存温度が2℃以上であると、イオン交換体を輸送・保管する際の温度条件に幅を持たせることができ、イオン交換体の取り扱い性に優れる。また、保存温度が80℃以下であると、イオン交換体の保存安定性に優れる。
(保存期間)
本発明のイオン交換体の保存方法における保存期間は、10日〜3年が好ましく、30日〜1年がより好ましい。保存期間が10日以上であると、イオン交換体を用いて製造する生理活性物質の生産性に優れる。また、保存期間が3年以下であると、イオン交換体の性能の低下を抑制することができる。保存期間の開始日は、製造したイオン交換体を保存液に入れた日とする。保存期間の終了日は、生理活性物質の精製に使用するためにイオン交換体を水又は緩衝液で洗浄した日とする。
(用途)
本発明のイオン交換体の保存方法を用いると、1℃〜80℃での保存環境において、保存液のpH変動幅を、長期間抑制することができる。また、本発明のイオン交換体の保存方法を用いると、イオン交換体への吸着質の吸着容量の低下幅を、長期間10%以下に抑制することができる。
吸着質としては、例えば、モノクローナル抗体等のタンパク質類、ペプチド類、核酸化合物類、金属イオン類、糖類等が挙げられる。これらの吸着質の中でも、本発明の効果が特に顕著であることから、タンパク質類が好ましく、モノクローナル抗体がより好ましい。
本発明のイオン交換体の保存方法は、例えば、実験設備や製造設備でのイオン交換体の保管、長距離輸送時のイオン交換体の保管、カラム内での保管等に好適に用いることができ、長距離輸送時のイオン交換体の保管に特に好適に用いることができる。
本発明のイオン交換体の保存方法により保存したイオン交換体を充填したカラムを接続することで、生理活性物質の精製装置や生理活性物質の精製方法に好適である。
イオン交換体をカラムに充填して保存する場合、生理活性物質の精製時に保存したカラムをそのまま接続することができる。その場合、カラムを使用する前、即ち、生理活性物質の精製前に、水洗し、使用する緩衝液で洗浄すればよい。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(イオン交換体)
イオン交換体(1−1):強酸性陽イオン交換分離剤「ChromSpeed S103」(商品名、カタログ番号:6−103−01、三菱ケミカル株式会社製)
イオン交換体(1−2):強酸性陽イオン交換分離剤「Capto S」(商品名、GEヘルスケア社製)
イオン交換体(2−1):弱酸性陽イオン交換分離剤「ChromSpeed CM103」(商品名、カタログ番号:6−303−00、三菱ケミカル株式会社製)
イオン交換体(3−1):強塩基性陰イオン交換分離剤「ChromSpeed Q103」(商品名、カタログ番号:6−203−00、三菱ケミカル株式会社製)
イオン交換体(3−2):強塩基性陰イオン交換分離剤「Capto Q」(商品名、GEヘルスケア社製)
イオン交換体(3−3):弱塩基性陰イオン交換分離剤「ChromSpeed DA103」(商品名、カタログ番号:6−403−00、三菱ケミカル株式会社製)
(保存液のpHの測定方法)
実施例・比較例の保存液を入れた容器を手で振盪後、pH電極(機種名「LAQUAF42」、株式会社堀場製作所製)を浸け、緩やかに振りながら、pHを測定した。
(イオン交換容量の測定方法)
実施例・比較例のイオン交換体を水洗し、水洗したイオン交換体を、メンブレンフィルター(商品名「親水性デュラポアSVLP04700」、メルクミリポア製、5μm)を用いて吸引濾過により水分が落ちなくなるまで5分以上濾過し、付着水分を除いたイオン交換体の質量を秤量した。このイオン交換体を水に分散させ、自動滴定装置(機種名「COM−1700」、平沼産業株式会社製)を用いて、0.1mol/L−HClで中和滴定することにより、HClの消費量(amL)を求めた。下記式により、イオン交換容量(meq/g)を算出した。fは、0.1mol/L−HClの力価(meq)を示す。wは、湿潤状態のイオン交換体の質量(g)を示す。水分含有量は、湿潤状態のイオン交換体100gあたりの水分含有量(g)を示す。
イオン交換容量=(a×0.1×f)/(w×(1−水分含有量/100))
(平衡吸着容量(SBC)の測定方法)
イオン交換体量50μLスケールで平衡吸着容量(以下、「SBC」と略す場合がある。)測定を行った。手順を、以下の<1>〜<4>に示す。
<1>スラリーの調整
(1)実施例・比較例の保存液を入れた容器を手で振盪後、イオン交換体量約4mLを取り水洗する。
(2)イオン交換体を水切りし、アルカリ水洗(イオン交換体5mLあたり0.5N水酸化ナトリウム水溶液約50mLを加え、20℃で30分間振盪)し、水洗した。
(3)イオン交換体を5mL容メスシリンダーに移し、約3mL目標でタップし、24時間静置させる。
(4)イオン交換体量3mLを100mL容メスシリンダーに移し、20体積%エタノール水溶液で液量を60mLとし、スラリー濃度5体積%とする。
(5)100mL容メスシリンダーからイオン交換体のスラリー液をプラスチック製の容器に回収する。
<2>吸着液(γ−グロブリン)の調製
(1)γ−グロブリンを目的の緩衝液に溶解し、2.5mg/mL溶液とする。イオン交換体(1−1)の緩衝液は、20mmol/L酢酸緩衝液(pH4.7)、イオン交換体(2−1)の緩衝液は、20mmol/Lクエン酸緩衝液(pH5.5)、イオン交換体(3−1)及びイオン交換体(3−3)の緩衝液は、20mmol/Lトリス塩酸緩衝液(pH9.0)とする。
<3>SBC測定
(1)スピンカラムを準備する。複数処理が可能な減圧吸引装置にスピンカラムを必要数準備し、弱く減圧にして吸引できる状態にする。
(2)5体積%のスラリーを約20mLのプラスチック製カップに採取し、ペンシルミキサーで均一に撹拌する。
(3)撹拌中のスラリーから1mLをマイクロピペットで取り、スピンカラムに入れる。
(4)水約0.5mLで3回又は4回吸引洗浄する。
(5)スピンカラム中のイオン交換体を、そのまま減圧吸引し乾燥する。
(6)スピンカラム中のイオン交換体を、15mL容チューブに入れる。スピンカラムに付着したイオン交換体は、スピンカラムを指で弾いてチューブに入れる。
(7)2.5mg/mLの吸着液(γ−グロブリン)5mLを、マイクロピペットに取る。
(8)その約4.5mLをチューブに加える。残り約0.5mLをスピンカラムに入れ、吸引吐出を繰り返して、スピンカラムに付着したイオン交換体を回収し、チューブに加える。
(9)25℃の恒温振盪器に入れた小型回転培養機に、15mL容チューブを設置する。
(10)2.5時間以上振盪する。
(11)15mL容チューブ内の上澄み液約2mLをディスポシリンジに取り、シリンジフィルタでろ過する。最初の約0.5mLは廃棄し、残りを吸光度測定溶液とする。2.5mg/mLの吸着液(γ−グロブリン)も同様にろ過する。
(12)微量吸光度計を用いて280nmの吸光度を測定する。
<4>計算
測定結果から、以下の式により、SBCを算出した。下記式において、12.5は添加したγ−グロブリンの絶対量(mg)、2.5は添加したγ−グロブリンの濃度(mg/mL)、5は添加したγ−グロブリン吸着液の量(mL)、0.05はイオン交換体の量(mL)を示す。
SBC(IgG mg/mL−R)=12.5−(2.5×(吸着液の吸光度/標準溶液の吸光度)×5)/0.05
(イオン交換体のタンパク質の保持能力の評価方法)
実施例・比較例のイオン交換体を用い、チトクロームC及びリゾチームを含む溶液を試料として、以下の試験方法で分離試験を行った。リゾチームの保持時間により、分離剤のタンパク質保持性能を評価した。
カラム:内径7mm、長さ26mmのステンレス製カラム
イオン交換体のカラムへの充填方法:湿式法
溶離液A:20mmol/Lリン酸ナトリウム水溶液(pH7)
溶離液B:20mmol/Lリン酸ナトリウム及び1mol/L塩化ナトリウム水溶液(pH7)
グラジエント:溶離液A/溶離液B=100/0(体積%)でカラムを満たした状態で試料を負荷し、40分間で溶離液A/溶離液B=33.3/66.7(体積%)まで溶離液Bの濃度を徐々に上げて、15分間保持
カラム温度:25℃
流速:0.7ml/分
検出:280nm
試料:チトクロームC、リゾチーム 各2.5mg/mL
注入量:20μL
[実施例1]
イオン交換体(1−1)を、100mmol/Lのリン酸ナトリウム水溶液(pH7)98質量%及びベンジルアルコール2質量%の保存液に入れ、60℃で210日保存した。
保存前・保存中・保存後の各種評価結果を、表2、表3、表4、図1に示す。
尚、表2は、保存前・保存中・保存後の保存液のpHの変化を示す表である。表3は、保存前・保存中・保存後のイオン交換体のイオン交換容量の変化を示す表である。表4は、保存前・保存中・保存後のイオン交換体の平衡吸着容量の変化を示す表である。図1は、保存中・保存後のイオン交換体のタンパク質の保持能力の変化を示す図である。
[実施例2〜12]
イオン交換体の種類、塩の種類、塩の濃度、水溶液のpHを変更した以外は、実施例1と同様に操作を行った。
保存前・保存中・保存後の各種評価結果を、表2、表4に示す。
[比較例1〜6]
イオン交換体の種類、塩の種類、塩の濃度、水溶液のpHを変更した以外は、実施例1と同様に操作を行った。
保存前・保存中・保存後の各種評価結果を、表2、表3、表4、図1に示す。
尚、比較例5は、7日後にはイオン交換体が固結し、以降測定できなかった。
Figure 2018167260
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表2からも分かるように、本発明のイオン交換体の保存方法とした実施例は、pHの変化が小さかった。特に、塩の濃度を100mmol/Lとした実施例は、pHの変化が極めて小さく、顕著に優れた。一方、本発明のイオン交換体の保存方法の塩の濃度を下限値未満とした比較例は、保存液のpHの変化が大きかった。
表3からも分かるように、本発明のイオン交換体の保存方法とした実施例1は、イオン交換体のイオン交換容量の変化が0.0042と小さく、イオン交換体の吸着性能に優れた。一方、本発明のイオン交換体の保存方法の塩の濃度を下限値未満とした比較例1は、イオン交換体のイオン交換容量の変化が0.0554と大きく、イオン交換体の吸着性能に劣った。また、表2・表3からも分かるように、イオン交換体のイオン交換容量の変化は、保存液のpHの変化と追随する結果であり、保存液のpHの変化を抑制することが重要であることも分かる。
表4からも分かるように、pHの変化によるSBCの吸着変動は確認されなかった。イオン交換基の脱離が、分子量が大きなγ−グロブリンの吸着量には影響しなかったと考えられる。
図1は、実施例1・比較例1における保存中・保存後のイオン交換体のタンパク質の保持能力の変化を示す図であり、(A)が比較例1における保存開始から210日後のイオン交換体のタンパク質の保持能力、(B)が実施例1における保存開始から210日後のイオン交換体のタンパク質の保持能力、(C)が実施例1における保存開始から32日後のイオン交換体のタンパク質の保持能力を示す図である。
図1からも分かるように、実施例においては、タンパク質の溶離保持が低下しておらず、タンパク質の保持能力が低下していなかったことが分かる。一方、比較例においては、タンパク質の溶離保持が低下しており、pHの低下やイオン交換容量の低下に追随し、タンパク質の保持能力が低下していたことが分かる。イオン交換基の減少により、塩グラジエントに対するタンパク質の保持能力が低下したと考えられる。
本発明のイオン交換体の保存方法を用いると、1℃〜80℃での保存環境において、保存液のpH変動幅を、長期間抑制することができる。また、本発明のイオン交換体の保存方法を用いると、イオン交換体への吸着質の吸着容量の低下幅を、長期間10%以下に抑制することができる。
本発明のイオン交換体の保存方法は、例えば、実験設備や製造設備でのイオン交換体の保管、長距離輸送時のイオン交換体の保管、カラム内での保管等に好適に用いることができ、長距離輸送時のイオン交換体の保管に特に好適に用いることができる。

Claims (17)

  1. 強酸性基を有するイオン交換体を、30mmol/L〜300mmol/Lの塩濃度の保存液で保存する、イオン交換体の保存方法。
  2. 弱酸性基を有するイオン交換体を、10mmol/L〜300mmol/Lの塩濃度の保存液で保存する、イオン交換体の保存方法。
  3. 塩基性基を有するイオン交換体を、10mmol/L〜300mmol/Lの塩濃度の保存液で保存する、イオン交換体の保存方法。
  4. 前記保存液が、アルコール類を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン交換体の保存方法。
  5. 前記アルコール類濃度が、10質量%〜30質量%である、請求項4に記載のイオン交換体の保存方法。
  6. 前記保存液が、アルコール類以外の有機溶媒を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン交換体の保存方法。
  7. 前記アルコール以外の有機溶媒の濃度が、1質量%〜3質量%である、請求項6に記載のイオン交換体の保存方法。
  8. 前記塩が、リン酸塩である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のイオン交換体の保存方法。
  9. 前記塩が、酢酸塩である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のイオン交換体の保存方法。
  10. 前記保存液の電気伝導度が、0.08mS/m〜2.4mS/m以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のイオン交換体の保存方法。
  11. 前記イオン交換体が、粒子又は膜である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のイオン交換体の保存方法。
  12. 前記イオン交換体が、多孔性担体を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のイオン交換体の保存方法。
  13. 前記多孔性担体が、架橋性合成高分子からなる、請求項12に記載のイオン交換体の保存方法。
  14. 前記架橋性合成高分子が、(メタ)アクリル系重合体である、請求項13に記載のイオン交換体の保存方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の保存方法により保存したイオン交換体を充填したカラムを接続した、生理活性物質の精製装置。
  16. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の保存方法により保存したイオン交換体を充填したカラムを接続し、生理活性物質の精製する、生理活性物質の精製方法。
  17. カラム接続後、生理活性物質精製前に、カラムを水洗し、使用する緩衝液で洗浄する、請求項16に記載の生理活性物質の精製方法。
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