JP2018165626A - 表面異物検出装置およびそれを用いた表面異物検出方法 - Google Patents

表面異物検出装置およびそれを用いた表面異物検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】連続的または間欠的に測定位置に供給される測定対象品を高精度で測定可能な検査測定装置の異物による誤測定を防止可能な、表面異物検出装置およびそれを用いた表面異物検出方法を提供する。【解決手段】異物検出装置20は、測定対象物14を挟んで配設した測定光投光部40と測定光受光部42を有する外形測定装置48に付設される。測定光投光部と測定光受光部を結ぶ線に対して斜めの位置であって、測定対象物よりも測定光投光部と測定光受光部のいずれか一方の側に、パターン投影部30、34とパターン撮像部32、36を配設する。パターン投影部が測定対象物に投影光を投影して測定対象物の表面に形成したパターンを、パターン撮像部が撮像する。【選択図】 図1

Description

本発明は、被測定物の表面に付着した異物を検出する表面異物検出装置および表面異物検出方法に係り、特に連続した被測定物または間欠的に同一形状の被測定物が検出位置に供給される場合に好適な、表面異物検出装置およびそれを用いた表面異物検出方法に関する。
各種の量産部品や延伸された線材等の外形形状の測定や検査を、容易にかつ効率的に自動で実施することが生産部門で望まれている。そのため、例えば外形形状を非接触で測定可能な光学式の測定方法も用いられている。このように被測定物を光学的に外形測定する例が、特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載の形状測定器では、測定対象物を高精度で測定可能なように、筐体内に投光部および受光部を設けている。そして、投光部は発光ダイオード、拡散板、円形の開口部を有する絞り、投光レンズ及び投光ミラーを含み、受光部は第1のレンズ、受光ミラー、円形の開口部を有する絞り、第2のレンズ及びCCDを含んでいる。投光部と受光部の間にステージにより測定台が配置され、測定台の支持面は受光部の第1のレンズの光軸に対して垂直になっている。
特許第4132308号公報
上記従来の光学式の検査器または測定器を用いた外形測定では、撮像手段により撮像された画像を、画像処理装置を用いて画像処理して高精度な測定を可能にしている。しかしながら、測定対象物の表面に水分のような異物が付着している可能性については十分には考慮されていなかった。一般に、製造現場での測定においては、測定対象物の外周部に微小な水滴等が残っている場合がある。水滴等が付着した状態で撮像すると実際の大きさよりも大きく判断することになり、測定誤差を生じて測定精度が低下するとともに、無用な規格外品を生み出す元となる。このような不具合を防止するためには、測定対象物の外形測定前に測定対象物の外周を綿密に洗浄又はふき取る必要があり、加工ラインに近いあるいは加工ライン内に測定部を設けることが困難となる。その結果、連続加工等を行う場合には、測定工程のみ他場所で実施する必要があった。
特許文献1に記載の形状測定器では、発光ダイオードを光源に用いて光源と受光部における場所的、時間的な照明強度の安定化を図っている。そのため、測定対象物を通過した照射光には場所や時間経過による検出強度の劣化が無く、高精度な測定が可能になることが示されている。
しかしながら、この公報に記載の形状測定器でも、測定対象物自体が計測の誤差要因を含むことについては、何ら考慮されていない。上述したように、大量生産品や連続生産品においては、時々刻々に部品の各部の形状を自動かつ高精度に検出して次工程へ回す必要がある。この公報に記載の計測器は確かに高精度な測定が可能と思われるが、測定のためには測定場所への移動や加工ラインへの戻し等、準備に要する工程等も多大になる恐れがある。
本発明は上記従来の発明の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は連続的または間欠的に測定位置に供給される測定対象品を高精度で測定する外形測定装置や形状測定装置などのような検査測定装置が、異物により誤測定するのを防止可能な、表面異物検出装置およびそれを用いた表面異物検出方法を提供することにある。本発明の他の目的は上記目的に加え、表面異物の検査または測定位置を、加工ラインの近くまたは加工ラインの中に置けることを可能にする表面異物検出装置およびそれを用いた表面異物検出方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明の態様は、測定対象物を挟んで配設した測定光投光部と測定光受光部を有する測定装置に付設される異物検出装置において、前記測定光投光部と前記測定光受光部を結ぶ線に対して斜めの位置であって、前記測定対象物よりも前記測定光投光部および前記測定光受光部のいずれか一方の側に、パターン投影部とパターン撮像部を配設し、前記パターン投影部が前記測定対象物に投影して前記測定対象物表面に形成されたパターンを前記パターン撮像部が撮像することにある。
そしてこの態様において、複数のスリットが形成された遮蔽パターンまたは格子状の遮蔽パターンが形成されているマスクを前記パターン投影部が含んでもよく、前記パターン投影部が前記測定対象物に投影するパターンは、レーザ光を走査して形成されてもよい。また、前記パターン投影部から投影され前記パターン撮像部が撮像した前記測定対象物の撮像光画像におけるパターンが基準となるパターンより予め定めた量以上歪んでいれば異物が付着していると判断する制御手段を設けるのが好ましい。さらに、前記パターン投影部と前記パターン撮像部は複数個配置されており、パターン投影部と対応するパターン撮像部は、前記測定光投光部と前記測定光受光部を結ぶ線を含む前記測定対象物の軸線に直交する面を挟んで、互いに反対側に配設されていてもよい。
上記目的を達成する本発明の他の態様は、測定光を測定対象物に照射し、前記測定対象物で遮蔽されて形成された影の大きさから前記測定対象物の外径を測定する際に、前記測定対象物の外表面に付着した異物を検出する異物検出方法において、前記測定対象物にパターンが形成された投影光を斜めに投影し、この投影光を前記測定対象物に投影して前記測定対象物の表面に形成されたパターンを撮像した撮像画面を予め準備した基準画面と比較し、撮像した前記パターンが所定大きさ以上歪んでいたら異物が付着していると制御手段が判断することにある。
そしてこの態様において、前記測定対象物が、外形が円形である連続する線材または間欠的に測定部に供給される外形が円形の軸部材であることが望ましい。
本発明によれば、被測定物の外形を測定可能な測定装置に、測定対象物の測定断面に対して平行や垂直になる位置とは異なる位置からパターン付きの光を投射し、測定対象物の影を受光するようにしたので、連続的または間欠的に測定位置に供給される測定対象品の測定時に、非接触かつ自動で測定に影響する異物を受光パターンのゆがみから検出できる。したがって、信頼性の高い測定データを得ることができる。また測定対象物の表面に水滴等の異物が付着していても、付着した異物が測定に影響するものでない場合には、測定データをそのまま使用することが可能になるので測定の実用性が高まり、水滴等が付着する可能性のある加工ラインの近くまたは加工ラインの中に異物検出装置を配置することが可能になる。
本発明に係る異物検出装置の一実施例の図であり、図1(a)は異物検出装置を含む装置の模式図、同図(b)は斜視図である。 図1(b)に示した異物検出装置における投影光及び撮像光の関係を説明する図であり、同図(a)は上面図、同図(b)は正面図である。 図1に示した異物検出装置のパターン投影部に備えられた遮光パターンの例を示す図である。 図1に示した異物検出装置のパターン投影部からの投影光と影の関係を説明する図である。 パターン撮像部の受光画像における異物の検出を説明する図である。 図1に示した異物検出装置の平行光投光部からの平行光と平行光受光部の受光の関係(同図(a))およびパターン投影部からの投影光とパターン撮像部の受光の関係(同図(b))を説明する図である。 異物判断基準を説明する図である。 パターン撮像部の受光画像における異物の検出を説明する図である。 本発明に係る異物検出装置の異物検出処理工程を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る異物検出装置のいくつかの実施例を、図面を用いて説明する。なお以下の説明では測定対象物として連続供給される線材を例に取り説明しているが、測定対象物は線材に限るものではなく、例えばベルトコンベアで運ばれる軸部材や、間欠的に測定部に供給される外形が円形の軸部材等であってもよい。その場合、測定部をベルトコンベアの近傍に設けハンドリング装置や回転テーブル等を用いて測定部へ測定対象物を移載し、測定部のコレットチャック等で軸部材の両センタを保持するようにすれば、線材の場合と同様の測定及び異物検出が可能になる。
図1は、本発明に係る異物検出装置20が付設された外形測定装置48を示す図であり、図1(a)は、測定対象物14が連続する線材の場合を示す模式図であり、図1(b)は外形測定装置48と異物検出装置20を模式的に示す斜視図である。図1(a)において、連続する線材14は繰出しリール10に巻回されており、図示しない駆動装置により繰出しリール10が回動されると、線材14は外形測定装置48が配置された測定部へ繰り出される。測定部での測定が終了すると線材14は巻取りリール12に図示しない駆動装置を駆動して巻回される。この図1(a)では、線材14の軸心は水平方向(z方向)に整列しており、線材14は−z方向に繰り出し及び巻取りされる。一方、詳細を後述する外形測定装置48はx方向に軸線が合わせられている。これらx、z方向に互いに直交する方向としてy方向が設定されており、y方向は鉛直上向き方向が正方向になっている。
図1(b)に示すように、外形測定装置48は、平行光を発生し投光する平行光投光部(測定光投光部とも称する)40と、この平行光投光部40から投光された平行光45(図2参照)を受光するために線材14を挟んで配設された平行光受光部(測定光受光部とも称する)42を有している。ここで測定光投光部40は、平行光を発生し投光する構成が好ましく、測定光受光部42は、平行光を受光する構成が好ましいが、いずれも平行光でなくても例えば、レーザ光を投光し、レーザ光でスキャンして受光する構成であっても本発明の効果を奏することができる。よって、本発明の測定光投光部、測定光受光部は、平行光以外も含めるものとする。平行光投光部40が投光する平行光の向きは線材14の軸線に直交する方向である。したがって、平行光投光部40の投光面の中心と平行光受光部42の受光面の中心を結ぶ線は、線材14に直交し、これがx方向である。
ところで、平行光を使用して測定対象物の外形を測定する場合、一般的にはCCDなどの撮像素子を使用する。ここで、測定対象物の表面に異物が付着しているか否かは異物が付着していない他の部分と比較することによってしか実現できないが、撮像素子にラインセンサのような細い1次元センサを用いると、他の部分の情報を得ることができないので、異物検出が困難である。一方、CCDなどの広い範囲の情報を得ることができる撮像素子を用いると、特定個所に異物が付着しているのを検出できるが、外形測定用に平行光を使用しているために撮像素子の検出範囲が限られ、この範囲より広い範囲に対しては異物検出ができない。このような事情で、外形測定の撮像素子にかかわらず使用することが可能な、異物検出装置を測定装置に付設している。
外形測定装置48に付設される異物検出装置20は、本実施例では第1、第2のパターン投影部30、34と第1、第2のパターン撮像部32、36の2組を有するが、一組だけであってもよい。第1のパターン投影部30と第1のパターン撮像部32が対応し、第2のパターン投影部34と第2のパターン撮像部36が対応する。
図2に異物検出装置20と外形測定装置48の上面図(図2(a))及び正面図(図2(b))を示す。図1(b)も参照しながら、異物検出装置20の具体的な配置を説明する。線材14は、水平に配置されており、これに直交して平行光45が平行光投光部40から投光される。平行光投光部40からの平行光45は、線材14で光路を遮られ、線材の背面側に影60を形成する。外形測定装置48は、この影60の大きさを平行光受光部42で受光し、図示しない制御装置で画像処理して精密に影60の大きさ、すなわち線材14の外径を測定する。
平行光45が照射された線材14の照射部分14bの上面に投影光53が照射されるように、x方向には線材14よりも平行光投光部40側に、y方向には平行光投光部40よりも上側に、z方向には平行光投光部40から離して、斜めに第1のパターン投影部30が配設される。第1のパターン投影部30からの投影光53が線材14の上面に投影されたパターンを撮像するため、第1のパターン撮像部32が、線材14に対して斜め上方であって、第1のパターン投影部30と同じ側に配設される。そして第1のパターン投影部30と同様にy方向には線材14よりも上方に、z方向には平行光投光部40を挟んで反対側に配置されている。これにより、第1のパターン投影部30と線材14と第1のパターン撮像部32はV字配置を形成し、線材14の上面側の状態を観察できるようになっている。
一方、第2のパターン投影部34および第2のパターン撮像部36は、第1のパターン撮像部32および第1のパターン投影部30の下側に斜めに配置されている。より具体的には、第2のパターン投影部34は第1のパターン撮像部32のほぼ真下に配置されており、線材14の平行光照射部分14bの下面側を斜めに照射するように線材14よりも低い位置に配置されている。なおこの図2では煩雑さを避けるために第2のパターン投影部34からの投影光53の図示を省略しているが、第1のパターン投影部30同様に投影光53が線材14に投影されている。第2のパターン撮像部36は第1のパターン投影部30のほぼ真下にあり、線材14よりも下方に配置されている。この第2のパターン投影部34と第2のパターン撮像部36と線材14もV字配置を形成しており、第2のパターン投影部34からの投影光により線材14の下側外表面に形成される投影パターンを撮像できるようになっている。
第1、第2のパターン投影部30、34の投影側には、詳細を後述するパターン形成のためのマスク38が取り付けられている。また、第1、第2のパターン投影部30、34の投影光を制御するため、および第1、第2のパターン撮像部32、36が撮像した画像を処理し後述する異物の判定をするために、制御手段70が設けられている。異物検出装置20を構成する第1、第2のパターン投影部30、34及び第1、第2のパターン撮像部32、36と制御手段70の間は、信号ケーブル121〜124で接続されている。制御手段70には外形測定装置48との通信のために信号ケーブル110が接続されている。
図3に、第1、第2のパターン投影部30、34に取り付けるマスクの例を示す。図3(a)は、複数のスリット382が形成されたマスク(遮光部)38の例であり、スリット382間には投影光53を遮蔽する遮蔽部381が形成されている。スリット382の間隔や幅は、測定対象である線材14の表面に投影光53を投影した場合に、スリット382を通り抜けた投影光53が形成する縞の間隔に応じて決定される。すなわち、線材14の表面でのスリット間隔が検出しようとする異物の最小大きさの1/2以下であるようにする。例えば検出可能な異物の最小値を10μmとするのであれば、線材14の表面に投影される縞の間隔が5μmになるように設定される。なお、この図3(a)では遮蔽部381の幅がスリット382より広くなっているが、遮蔽部381とスリット382の幅の比は、使用目的等に応じて自由に設定できる。
図3(b)は、格子パターンのマスク(遮光部)38bの例である。複数の直交する遮蔽格子383間に透過部384が形成されている。この格子パターンのマスク38bの場合も、その格子のピッチや幅は検出しようとする異物の大きさに依存する。つまり、スリット382の場合と同様に、検出可能な異物の大きさの半分以下の格子間ピッチで線材14の外表面に投影されるようにするのがよい。
図4に、第1、第2のパターン投影部30、34の配置の幾何学的関係を示す。図4では、第1のパターン投影部30を例に取説明するが、第2のパターン投影部34の場合も同様である。第1のパターン投影部30が測定対象である線材14に対して、角度θを持って斜めに取り付けられている。したがって、第1のパターン投影部30から投影される投影光53は、半径rの線材14の左側では、上面側の点Pまで線材14に照射するが、それよりも左側では線材14に照射することなく通り抜ける。一方線材14の右側では最大半径位置のrまで線材14に投影光53が照射されるので、投影光53による線材14の上面側のパターン投影範囲ReはRe=r+r・sinθで表される。ここで0°<θ<90°である。θが90°に近づくと投影光53は外形測定用の平行光45に直交する方向に近づく。この場合最高位置Pを含む背面側のパターン投影範囲は広くなるが、高さ方向の変化を検出しにくくなり、異物によるスリット382や遮蔽格子383のゆがみが減少し、異物の検出が困難になる。一方、θが0°に近づくと平行光45に近づく。この場合、線材14の最高位置Pを含む背面側のパターン投影範囲Reが減少し、背面側に高さが最高位置Pを超える異物があっても検出されなくなる恐れが生じる。したがって線材の背面側の領域も確保できるθ=45°を中心として、±30°程度の範囲にθを設定するのが好ましい。
この理由を、図5、6を用いて説明する。図5は、測定対象物である外形が円形である線材14に付着する異物93〜96のパターンを示す。また、図6は平行光投光部40と第1のパターン投影部30により影60、61および表面縞が発生する様子を説明する図である。
外形測定装置48は、線材14により平行光45が遮られて形成される影60の大きさで、線材14の外径φDを決定する。したがって、もし水滴のような異物93が図5(a)に示すように、線材14の上下方向最高位置Pを含む部分にあると、異物93により、影60が高さ方向に増大して、線材14の真の外径φDcより大きな見かけの外径φDvを線材14の外径とする。
また、図5(b)に示すように、異物94が線材14の上下方向最低位置Pよりも背面側であってもP位置よりも下方まで延びていると、外形測定装置48が平行光45の影60から判断する線材14の外径は、異物94により真の外径φDcではなく見かけの外径φDvとなり、その差分だけ誤差が生じる。
一方、図5(c)や図5(d)に示すように、異物95、96が測定対象である線材14の前面側または背面側に付着していても、それらが線材14の最高位置Pと最低位置P範囲内にある場合には、平行光45による測定には影響を及ぼさず、真の外径φDcが測定される。したがってこれらの異物95、96は、本外形測定装置48では無視され、異物検出装置20はこれらの異物を検出する必要がなくなる。
図6(a)に、平行光投光部40から平行光45を線材14に投光し、第1、第2のパターン投影部30、34からの投影をしない場合に形成される、平行光受光部42の受光画面65と第1のパターン撮像部32が撮像した画面の例を示す。線材14の表面には何ら異物が付着していない状態である。平行光45だけが線材14に投光されているので、線材14の背面側には線材14の外径φD幅だけの影60が連続的に形成される。そして、平行光受光部42の受光画面65には、高さφDに対応した帯が影61として形成される。この受光画面65の影61の外側には、線材14に遮られなかった平行光45が表示される。
このとき、第1のパターン撮像部32では、平行光45により線材14の背面側に形成された影60が暗部として、線材14の前側に照射された平行光45が明部として撮像画面80上に線材14の最高位置Pに対応する位置を境に形成される。図示しないが同様に、第2のパターン撮像部36では、最低位置Pを境にして明部と暗部に分かれた撮像画像が形成される。
図6(b)に、第1のパターン投影部30から測定対象である線材14に投影光53を投影したときに、線材14の表面に形成されるパターンを第1のパターン撮像部32で撮像した撮像画面80の例を示す。この例では、パターン投影部30は水平位置から約30°斜め上方に配設されており、使用するマスク38は、図3(a)に示したようなスリットのパターンを有している。円筒面に直線状のスリットを投影するので、形成される遮蔽体の影パターン82とスリット透過光84は、2次曲線(楕円曲線)の縞模様となっている。このように測定対象に投影されて形成されるパターンを直線、すなわち真上から投射しないようにすることにより、測定対象物の半径方向の歪が見やすくなる。
また、パターン投影部30を傾けたことにより、図4により説明したように、線材14の異物観察面が、水平方向から投射する場合には最高位置のPまでであったのに対し、背面側のPまで背面側(平行光受光部側)に延びる。点Pを超えた背面側は影61の部分となり、線材14への異物検出には寄与しない。この時、パターン投影部30から投影される縞状の投影光53b自体は、線材に投影されると背面側に影61を形成するが、線材に触れなかった投影光はそのまま背面側に進む投影光53bを形成する。したがって、この投影光53bが平行光45を用いた測定の障害となる場合には、測定対象物14の外形測定と異物検出を、時間を変えて行うようにすればよい。
次に、測定対象物である線材14の表面に異物が付着した例を図7により説明する。図7は、図6(b)と同様に第1のパターン投影部30を上方に傾けて配置して、スリットパターンを線材14に投影した場合を示している。線材14の最高位置P近傍に微小な水滴が異物として付着している。第1のパターン撮像部32が撮像した撮像画面80には、図6(b)と同様にスリットによるパターンが線材14に投影されて撮像されている。この時、パターン投影部30から投影される縞状の投影光53b自体は、線材に投影されると背面側に影62を形成することは、図6と同様である。
図中の上から3番目の遮蔽体の影パターン82が、最高位置P1に対応する位置付近で上方にわずかに膨らんでいる。これは水滴のような異物の屈折率や厚さに起因して影パターン82が歪められた、異物による歪み86である。これにより異物の有無を検出できる。この歪みの検出のために、予め異物が付着していない測定対象物にパターンを投影して形成された測定対象物の外表面の撮像画像を準備する。そして撮像された異物が付着していると思われる撮像画面80との間で差分をとる画像処理をする。これにより有意な差があれば、異物が付着していると判断する。
異物が検出されれば、外形測定装置48による平行光45を用いた測定対象物14の外形測定値が誤差を含むので、異物検出装置20の制御手段70は、信号ケーブル110を介して外形測定装置48に測定が終了していれば無効であることを通知する。測定前であれば、外形測定装置48はこの通知に従い、測定対象物14の他の場所を測定するか、作業者を呼び出すか、不良品として排除するか等の措置をとる。これにより、測定位置に連続供給される測定対象品や間欠的にではあるが大量に供給される部品の測定を自動で効率よくかつ高精度に実施できる。
図8に、マスク38に形成する遮光パターンの違いによるパターン撮像部32、36が撮像した撮像画面80、80bの違いを示す。図8(a)は、図3(a)に対応するマスク38の遮光パターンであり、図8(b)は図3(b)に対応するマスク38の遮光パターンである。上述したように、スリット上のパターンだけが形成されている場合には、図8(a)に示すように測定対象物14の軸方向に複数の楕円曲線がマスクの影パターン82として形成される。そして異物91が、影パターン82間にある細長い異物で、隣り合う影パターン82間に収まる程度の幅しか有していないと、パターン撮像部32、36が撮像する撮像画面80上では何らの変化が認められない。
一方、マスク38の影パターンが格子状であれば、図8(b)に示すように、測定対象物14の軸線に直交する方向に近い楕円曲線の影パターン82a(図8(a)と同じもの)と測定対象物14の軸線に平行に延びる直線に近似した影パターン82bが測定対象物14の表面に投影される。したがって、異物91が細長くて、楕円曲線型の影パターン82aでは検出されていなくとも、直線状の影パターン82bでは異物91を確実に検出することが可能になる。
なお、この図8(b)では一方が楕円曲線の影パターンで他方が直線に近似した影パターンを有する場合を示しているが、パターン投影部30、34が測定対象物14の軸線に対して、直交する方向ではなく斜めに配置されているのであれば、影パターン82a、82bはともに測定対象物の曲率に応じて曲がりの程度が変化する楕円曲線となり、直交する方向に近づけば直線に近づく。本発明ではパターン投影部30、34を測定対象物14に対して斜めに配設しているので、影パターン82a、82bの歪みをより検出しやすくなっている。
図9に、上記異物検出装置20を用いた異物検出処理の一例のフローチャートを示す。初めに、平行光投光部40から測定対象物14に平行光45を投光する(ステップS910)。これにより、測定対象物14のエッジ部分、すなわち最高位置Pと最低位置Pを検出する。次に、第1のパターン投影部30を用いて縞模様のパターンを測定対象物14の上側表面に斜めから投影する(ステップS920)。この場合、縞模様のパターンを、マスク38を用いるかレーザ照射光を走査して形成する。第1のパターン撮像部32が撮像した測定対象物14の上側表面の撮像画像80を予め準備した基準画像と比較して、測定対象物14の上側に異物が付着しているか否かを制御手段70が判断する。
次に同様に、第2のパターン投影部34を用いて縞模様のパターンを測定対象物14の下側表面に斜めから投影する(ステップS930)。縞模様のパターンは、マスク38を用いて若しくはレーザ照射光を走査して、形成する。第2のパターン撮像部36が撮像した測定対象物14の下側表面の撮像画面80を予め準備した基準画像と比較して、測定対象物の下側に異物が付着しているか否かを制御手段70が判断する。第1、第2のパターン投影部32、36が撮像した撮像画面80からは異物が検出されていないと制御手段70が判断したら、平行光45を測定対象物に投光する(ステップS940)。外形測定装置48の制御装置は、平行光受光部42の受光画像から測定対象物14の外形を画像処理して求める(ステップ940)。
以上説明したように本発明の実施例によれば、測定対象物の斜め方向から、スリット状のパターンや格子状のパターンを測定対象物の表面に投影して表面に形成されるパターンを撮像しているので、測定対象物表面の水滴等の異物の付着を容易に検出できる。したがって、外形円形状の測定対象物を自動で計測する際に、測定に影響する異物の付着の判定を容易に実行でき、作業効率が向上する。
上記実施例では異物の検出のために上下に2組の異物検出用パターン投影部とパターン撮像部を設けているが、測定対象物を反転するまたは異物検出装置を反転することを可能にすれば、1組だけでも可能である。さらに3組以上設けてよいことは言うまでもない。また上記実施例では測定対象物の外表面に形成される影パターンを、マスクにより形成しているが、上述したとおりレーザ光を走査して同様の影パターンを形成することも可能である。この場合、測定対象物に応じてレーザ光の焦点の大きさや周期を変えることができ、より測定対象物に応じた異物の検出が可能になる。さらに上記実施例によれば、外形測定に用いる撮像素子にかかわらず異物検出装置を使用することが可能であり、またパターン投影部、パターン撮像部の位置を変化させることで異物判定範囲を任意に定めることができる。
なお上記実施例では、導線や光ファイバ等の線材やハードディスクのスピンドル等の精密部品クランクシャフト等の自動車部品に含まれる軸部材の外形円形形状の測定対象物に対する外径測定時の異物検出について記載しているが、測定時に測定対象物を基準姿勢で保持することが可能であれば、測定対象物が外形円形でなくとも外形を測定可能である。
10…繰出しリール、12…巻取りリール、14…線材(測定対象物)、20…異物検出装置、30…(第1の)パターン投影部、32…(第1の)パターン撮像部、34…(第2の)パターン投影部、36…(第2の)パターン撮像部、38、38b…遮光部(マスク)、40…平行光投光部、42…平行光受光部、45…平行光、48…外形測定装置、53…投影光、53a…(前側)投影光、53b…(後ろ側)投影光、60…(平行光による)影、61、62…(投影光による)影、65…(平行光受光部の)受光画面、70…制御手段、80、80b…(パターン撮像部の)撮像画面、82、82a、82b…遮蔽体の影パターン、84…スリット透過光、86…(異物による)歪み、90、91、93〜96…異物、110、121〜124…信号ケーブル、381…遮蔽部、382…スリット、383…遮蔽格子、384…透過部、P…(投光面の上側)端部、P…(投光面の下側)端部、P…(投影光の上側)端部、Dc…真の直径、Dv…見かけの直径、Rc…パターン投影範囲、θ…傾き角

Claims (7)

  1. 測定対象物を挟んで配設した測定光投光部と測定光受光部とを有する測定装置に付設される異物検出装置において、
    前記測定光投光部と前記測定光受光部とを結ぶ線に対して斜めの位置であって、前記測定対象物よりも前記測定光投光部および前記測定光受光部のいずれか一方の側に、パターン投影部とパターン撮像部を配設し、前記パターン投影部が前記測定対象物に投影して前記測定対象物表面に形成されたパターンを前記パターン撮像部が撮像することを特徴とする異物検出装置。
  2. 複数のスリットが形成された遮蔽パターンまたは格子状の遮蔽パターンが形成されているマスクを前記パターン投影部が含むことを特徴とする請求項1に記載の異物検出装置。
  3. 前記パターン投影部が前記測定対象物に投影するパターンは、レーザ光を走査して形成されることを特徴とする請求項1に記載の異物検出装置。
  4. 前記パターン投影部から投影され前記パターン撮像部が撮像した前記測定対象物の撮像光画像におけるパターンが基準となるパターンより予め定めた量以上歪んでいれば異物が付着していると判断するよう制御する制御手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の異物検出装置。
  5. 前記パターン投影部と前記パターン撮像部は複数個配置されており、パターン投影部と対応するパターン撮像部は、前記測定光投光部と前記測定光受光部とを結ぶ線を含む前記測定対象物の軸線に直交する面を挟んで、互いに反対側に配設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の異物検出装置。
  6. 測定光を測定対象物に照射し、前記測定対象物で遮蔽されて形成された影の大きさから前記測定対象物の外径を測定する際に、前記測定対象物の外表面に付着した異物を検出する異物検出方法において、
    前記測定対象物にパターンが形成された投影光を斜めから投影し、この投影光を前記測定対象物に投影して前記測定対象物の表面に形成されたパターンを撮像した撮像画面を予め準備した基準画面と比較し、撮像した前記パターンが所定大きさ以上歪んでいたら異物が付着していると制御手段が判断することを特徴とする異物検出方法。
  7. 前記測定対象物が、外形が円形である連続する線材または間欠的に測定部に供給される外形が円形の軸部材であることを特徴とする請求項6に記載の異物検出方法。
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