JP2018163816A - 蛍光体素子および照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蛍光体板に対して励起光を入射させて蛍光を発生させるタイプの照明装置において、出射する白色光の色ムラを抑制する。【解決手段】蛍光体素子は、蛍光体板、前記蛍光体板に対して接合されている第一の放熱基板および前記蛍光体板に対して接合されている第二の放熱基板を備える。蛍光体板が、励起光の入射面、入射面に対向する出射面、第一の放熱基板に対向する第一の端面、第二の放熱基板に対向する第二の端面および一対の側面を備える。蛍光体板に入射する励起光を蛍光に変換し、蛍光および励起光を出射面から出射させる。入射面と出射面との間隔Lphが0.1mm以上、1.0mm以下であり、第一の端面と第二の端面との間隔Tphが2.5mm以上、5.0mm以下であり、一対の側面の間隔Wphが2.5mm以上、5.0mm以下である。【選択図】 図1
Description
本発明は、蛍光体素子および蛍光を発光する照明装置に関するものである。
最近、レーザー光源を用いた自動車用ヘッドライトの研究が盛んに行われており、その内の一つに、青色レーザーあるいは紫外レーザーと蛍光体を組み合わせた白色光源がある。レーザー光を集光することにより、励起光の光密度を高めることができる上に、複数のレーザー光を蛍光体上に重ねて集光することで、励起光の光強度も高めることができる。これによって、発光面積を変えずに光束と輝度とを同時に大きくすることができる。このため、半導体レーザーと蛍光体とを組み合わせた白色光源が、LEDに替わる光源として注目されている。例えば、自動車用ヘッドライトに使用する蛍光体ガラスは、日本電気硝子株式会社の蛍光体ガラス「ルミファス」や国立研究開発法人物質・材料研究機構と株式会社タムラ製作所、株式会社光波のYAG単結晶蛍光体が考えられている。
特許文献1によると、YAGを単結晶化することにより、温度が上昇しても変換効率が劣化せず高効率の蛍光特性を示し、ハイパワー分野での応用が可能となった。この材料は、450nm青色励起光によって補色である黄色光を発することによって白色光を得ることができ、プロジェクタやヘッドライトへ適用するための開発が進められている。
照明用蛍光体については、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Y3Al5O12:YAG)にCeをドープしたCe :YAG単結晶蛍光体も開発されている。従来、Ce :YAG蛍光体は、焼結合成したり、ガラスに分散させるなどして実現されてきたが、励起光のパワー密度が上がると放熱が困難になり、効率が低下するという問題があった。
Ceをドープした単結晶YAGは、結晶自体の発熱があっても変換効率が劣化しないという特性を有しており、ヘッドライトやプロジェクタなどの光源用として利用が期待されている。
特許文献2、3、4には、反射型蛍光体素子を用いた照明装置が開示されている。これは、蛍光体層のうち励起光が入射する入射面と反対側の表面に金属膜を形成し、金属膜と放熱基板(支持基板)とを接合したものである。蛍光体層の材質としては、ガラス中に蛍光体を分散しているものや、蛍光体多結晶、単結晶を例示している。
特許文献5には、反射型蛍光体素子を用いた照明装置が開示されている。これは、蛍光体層のうち励起光が入射する入射面と反対側の表面に誘電体多層膜を形成し、誘電体多層膜と放熱基板(支持基板)とを接合したものである。誘電体多層膜は、励起光を透過すると共に、蛍光体層が発する蛍光を反射するものである。この誘電体多層膜は、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層されて構成されている。
また、特許文献6、7には、蛍光体を放熱基板に対して接合した蛍光体板が記載されている。
従来の照明用の蛍光体素子では、放熱性の高い材質からなる放熱基板を蛍光体板に対して接合一体化することによって、蛍光体板内に発生する熱を可能な限り放熱しようとするものである。
しかし、本発明者が検討を進めるうちに、次の問題が明らかになってきた。すなわち、蛍光強度を高くするためには、励起光の光強度を高くする必要があるが、この場合、出射する蛍光に色ムラが生ずることが判明してきた。色ムラが生ずると出射光の品質が低下するために色ムラを防止することが必要であるが、励起光強度を上げるのにつれて色ムラは顕著となる傾向があり、解決が困難であった。
本発明の課題は、蛍光体板に対して励起光を入射させて蛍光を発生させるタイプの照明装置において、出射する白色光の色ムラを抑制することである。
本発明は、蛍光体板、前記蛍光体板に対して接合されている第一の放熱基板および前記蛍光体板に対して接合されている第二の放熱基板を備えている蛍光体素子であって、
前記蛍光体板が、励起光の入射面、前記入射面に対向する出射面、前記第一の放熱基板に対向する第一の端面、前記第二の放熱基板に対向する第二の端面および一対の側面を備えており、前記蛍光体板に入射する前記励起光を蛍光に変換し、前記蛍光および前記励起光を前記出射面から出射させ、前記入射面と前記出射面との間隔Lphが0.1mm以上、1.0mm以下であり、前記第一の端面と前記第二の端面との間隔Tphが2.5mm以上、5.0mm以下であり、前記一対の側面の間隔Wphが2.5mm以上、5.0mm以下であることを特徴とする。
前記蛍光体板が、励起光の入射面、前記入射面に対向する出射面、前記第一の放熱基板に対向する第一の端面、前記第二の放熱基板に対向する第二の端面および一対の側面を備えており、前記蛍光体板に入射する前記励起光を蛍光に変換し、前記蛍光および前記励起光を前記出射面から出射させ、前記入射面と前記出射面との間隔Lphが0.1mm以上、1.0mm以下であり、前記第一の端面と前記第二の端面との間隔Tphが2.5mm以上、5.0mm以下であり、前記一対の側面の間隔Wphが2.5mm以上、5.0mm以下であることを特徴とする。
また、本発明は、レーザー光を発振する光源および前記蛍光体素子を備える照明装置であることを特徴とする。
本発明者は、蛍光体板に対して放熱基板を接合し、蛍光体板に対して励起光を入射させることで白色光を出射させることを試みていたが、出射光の色ムラを抑制することが困難であった。そこで、色ムラの原因を検討したところ、蛍光体板内の温度分布が大きい傾向が観察された。そこで、蛍光体板内の温度のムラによって、各部分での蛍光変換効率にバラツキが生じ、これが出力光の波長分布の偏差となって現れるものと考えられた。
このため、本発明者は、蛍光体板の入射面および出射面と異なる第一の端面と第二の端面の方向に各放熱基板を配置して接合するとともに、蛍光および励起光を出射面から出射させる形態において、入射面と出射面との間隔Lphを0.1mm以上、1.0mm以下とし、第一の端面と第二の端面との間隔Tphおよび一対の側面の間隔Wphをそれぞれ2.5mm以上、5.0mm以下とした。このように蛍光体板および放熱基板を設計することによって、蛍光体板から出射する白色光の色ムラが顕著に抑制されることを見いだし、本発明に到達した。
図1は、本発明の実施形態に係る蛍光体素子1Aを模式的に示す斜
視図である。
蛍光体素子1Aは、蛍光体板2と第一の放熱基板3Aおよび第二の放熱基板3Bとを接合し、一体化したものである。
視図である。
蛍光体素子1Aは、蛍光体板2と第一の放熱基板3Aおよび第二の放熱基板3Bとを接合し、一体化したものである。
蛍光体板2は、励起光Aの入射面2a、入射面2aに対向する出射面2b、一対の相対向する側面2c、2d、第一の端面2eおよびこれと対向する第二の端面2fを有する。そして、第一の端面2eに対して第一の接合層4Aを介して第一の放熱基板3Aが接合されており、第二の端面2fに対して第二の接合層4Bを介して第一の放熱基板3Bが接合されている。
各放熱基板3A、3Bは、それぞれ、六個の表面3a、3b、3c、3d、3eおよび3fを備える。入射面2aから矢印Aのように励起光を入射させると、励起光の一部が蛍光に変換され、蛍光と残りの励起光とが矢印Bのように第一の対向面2bから出射する。
図2の蛍光体素子1Bは、図1の蛍光体素子1Aと同様のものである。ただし、蛍光体素子1Bにおいては、第一の放熱基板3Aの端面3eが、蛍光体板2の第一の端面2eに対して、複数層の接合層4Cおよび4Aを介して接合されている。また、第二の放熱基板3Bの端面3eが、蛍光体板2の第二の端面2fに対して、複数層の接合層4Bおよび4Dを介して接合されている。
図3の蛍光体素子1Cは、図1の蛍光体素子1Aと同様のものである。ただし、蛍光体素子1Cにおいては、第一の放熱基板3Aの表面3e上に反射膜5Aが形成されており、放熱基板3Aが、蛍光体板2の第一の端面2eに対して、反射膜5Aおよび接合層4Aを介して接合されている。また、第二の放熱基板3Bの表面3e上に反射膜5Bが形成されており、放熱基板3Bが、蛍光体板2の第二の端面2fに対して、反射膜5Bおよび接合層4Bを介して接合されている。
このように蛍光体板と各放熱基板との間に反射膜5A、5Bを介在させることによって、蛍光体板から放熱基板のほうへと散乱する励起光および蛍光を蛍光体板内へと反射させることができるので、蛍光強度を一層向上させることができる。更に、各反射膜5A、5Bと蛍光体板2との間にそれぞれ接合層ないし低屈折率層を設けることによって、蛍光体と接合層の屈折率差による全反射を利用することができ、反射膜での反射する光成分を少なくすることができることから反射膜による反射で光が吸収されることを抑制することができる。
図4の蛍光体素子1Dは、図3の蛍光体素子1Cと同様のものである。ただし、蛍光体素子1Dにおいては、第一の放熱基板3Aの表面3e上にバッファ層21を介して反射膜5Aが形成されており、放熱基板3Aが、蛍光体板2の第一の端面2eに対して、バッファ層21、反射膜5Aおよび接合層4Aを介して接合されている。また、第二の放熱基板3Bの表面3e上にバッファ層21を介して反射膜5Bが形成されており、放熱基板3Bが、蛍光体板2の第二の端面2fに対して、バッファ層21、反射膜5Bおよび接合層4Bを介して接合されている。
この場合、接合層4Aと4Bは、低屈折率層を兼ねている。
この場合、接合層4Aと4Bは、低屈折率層を兼ねている。
図5の蛍光体素子1Eは、図1の蛍光体素子1Aと同様のものである。ただし、蛍光体素子1Eにおいては、第一の放熱基板3Aの表面3eから順に、接合層22、バッファ層23、反射膜5A、低屈折率層24が設けられており、低屈折率層24が蛍光体板の端面2eに接している。また、第二の放熱基板3Bの表面3eから順に、接合層22、バッファ層23、反射膜5B、低屈折率層24が設けられており、低屈折率層24が蛍光体板の端面2fに接している。
上記の各例においては、蛍光体板と各放熱基板との間に接合層を設けたが、蛍光体板と各放熱基板とを接合層を介さずに直接接合することも可能である。
本発明においては、蛍光体板の入射面と出射面との間隔Lphを0.1mm以上、1.0mm以下とする。Lphが0.1mmより小さいと蛍光体と放熱基板との接合面積が小さくなり、放熱特性が悪くなることから、出射光の色ムラが生じやすいので、0.1mm以上とするが、0.2mm以上が更に好ましい。また、Lphが1.0mmより大きいと、やはり出射光に色ムラが生じやすいので、1.0mm以下とするが、0.8mm以下が更に好ましい。
本発明においては、蛍光体板の第一の端面と第二の端面との間隔Tph、一対の側面の間隔Wphを2.5mm以上、5.0mm以下とする。これらが2.5mm未満であったり、5.0mmを超えると、放熱基板への放熱特性が悪くなり、蛍光体の温度が上昇し、かつ温度分布をもつことから出射光に色ムラが生じやすいので、2.5〜5.0mmとするが、3.0〜4.5mmとすることが更に好ましい。
放熱基板の熱伝導率(25℃)は、20W/m・K以上とすることが好ましく、30W/m・K以上とすることが更に好ましく、100W/m・K以上とすることが最も好ましい。また、放熱基板の熱伝導率の上限は特にないが、実際的な入手の観点からは、350W/m・K以下とすることができる。
また、放熱基板の寸法Ws、Lsは、製造プロセスから蛍光体基板のWph、Lphと同じ値とすることができる。しかし、Tsについては、放熱性の観点から独自に設計することができ、500μm以上が好ましいが、1.0mm以上が一層好ましい。しかし、小型化という観点から3.0mm以下とすることが好ましい。
以下、本発明の蛍光体素子の各構成要素について更に述べる。
蛍光体層を構成する蛍光体は、励起光を蛍光に変換できるものであれば限定されないが、蛍光体ガラス、蛍光体単結晶または蛍光体多結晶であってよい。
蛍光体層を構成する蛍光体は、励起光を蛍光に変換できるものであれば限定されないが、蛍光体ガラス、蛍光体単結晶または蛍光体多結晶であってよい。
蛍光体ガラスは、ベースとなるガラス中に希土類元素イオンを分散したものである。
ベースとなるガラスとしては、シリカ、酸化ホウ素、酸化カルシウム、酸化ランタン、酸化バリウム、酸化亜鉛、酸化リン、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、塩化バリウムを含む酸化ガラスが例示できる。
ベースとなるガラスとしては、シリカ、酸化ホウ素、酸化カルシウム、酸化ランタン、酸化バリウム、酸化亜鉛、酸化リン、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、塩化バリウムを含む酸化ガラスが例示できる。
蛍光体ガラス中に分散される希土類元素イオンとしては、Tb、Eu、Ce、Nd、が好ましいが、La、Pr、Sc、Sm、Er、Tm、Dy、Gd、Luであってもよい。
蛍光体単結晶としては、Y3Al5O12、Ba5Si11Al7N25、Tb3Al5O12が好ましい。Y3Al5O12のY(イットリウム)の一部がLuに置換されていてもよい。また、蛍光体単結晶中にドープするドープ成分としては、希土類イオンが好ましく、Tb、Eu、Ce、Ndが特に好ましいが、La、Pr、Sc、Sm、Er、Tm、Dy、Gd、Luであってもよい。
また、蛍光体多結晶としては、TAG(テルビウム・アルミニウム・ガーネット)系、サイアロン系、BOS(バリウム・オルソシリケート)系、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)が例示できる。YAGのY(イットリウム)の一部がLuに置換されていてもよい。
蛍光体多結晶中にドープするドープ成分としては、希土類イオンが好ましく、Tb、Eu、Ce、Ndが特に好ましいが、La、Pr、Sc、Sm、Er、Tm、Dy、Gd、Luであってもよい。
放熱基板の熱伝導率(25℃)は20W/m・K以上とする。この観点からは、放熱基板の材質としては、酸化アルミニウム、サファイア、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化ホウ素、シリコン、炭化珪素、グラファイトを例示できる。
蛍光体板と放熱基板とは、直接接合することができるが、接合層を介して接合することもできる。この場合、接合層は蛍光体板と放熱基板の双方に接合層を形成して直接接合することができる。また、蛍光体板と放熱基板との間には反射膜を介在させることもできる。接合層の膜条件は、蛍光体、あるいは放熱基板や反射膜に成膜して膜はがれが起きないこと、直接接合できること、長期信頼性を確保できることである。このため接合層は同じ材料であっても、異なる材料であってもよく、複数層設けられていてよい。
直接接合は、一般的に金属/共有結合と拡散結合に分別されるが、高真空中での表面活性化処理を行う金属/共有結合を対象とする。
表面活性化接合について述べる。高平坦な基板にアルゴンイオンを照射することにより表面の不純物原子を除去し、ダングリングボンドを出す。この状態は非常に活性化した表面状態であり、接合する相手と常温にて結合し、異種材料を接合することができる。また、接合界面がアモルファス層となる場合がある。
これに対して、原子間拡散接合法は、Tiなどの金属層を例えば支持基板に成膜した後に接合するものである。表面活性化接合と同じように、常温から400℃以下の低温で接合が可能であるが、結晶化した金属酸化物が残留し、アモルファス層は生じない。
また、接合層、バッファ層の材質としては、高熱伝導率であって、熱膨張係数が蛍光体や放熱基板に近く、蒸着、スパッタ、CVD、等の成膜にて形成できる材料が好ましい。この観点から、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、炭化珪素、等が例示できる。しかし、接合層の厚みは1μm以下が好ましく、この膜厚の範囲であれば放熱の影響も少なく、接合のしやすさという観点から酸化珪素、窒化珪素、酸化タンタルも使用できる。
低屈折率層は、透明で、かつ蛍光体板よりも屈折率の低い材質からなる層である。このような層の材質としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、等が例示できる。しかし、蛍光体よりも熱伝導率が大きい方が好ましく、この観点から、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムが最も好ましい。
反射膜の材質は、蛍光体層を通過してきた蛍光を反射するものであれば特に制限されない。反射膜は、励起光を全反射する必要はなく、励起光の一部を透過させても良い。
好適な実施形態においては、反射膜が、金属膜または誘電体多層膜である。
反射膜を金属膜とした場合は、広い波長域で反射することができ、入射角度依存性も小さくすることができ、温度に対する耐久性、耐候性が優れている。一方、反射膜を誘電体多層膜とした場合には、吸収がないため、入射した光は損失なく100%反射光とすることが可能である。
反射膜を金属膜とした場合は、広い波長域で反射することができ、入射角度依存性も小さくすることができ、温度に対する耐久性、耐候性が優れている。一方、反射膜を誘電体多層膜とした場合には、吸収がないため、入射した光は損失なく100%反射光とすることが可能である。
反射膜による励起光の反射率は、80%以上とするが、95%以上であることが好ましく、また全反射してもよい。
誘電体多層膜は、高屈折材料と低屈折材料とを交互に積層した膜である。高屈折材料率としては、TiO2、Ta2O3、Ta2O3、ZnO、Si3N4、Nb2O5を例示できる。また、低屈折材料としては、SiO2、MgF2、CaF2を例示できる。
誘電体多層膜の積層数や合計厚さは、反射させるべき蛍光の波長によって適宜選択する。
また、金属膜の材質としては、以下が好ましい。
(1) Al、Ag、Auなどの単層膜
(2) Al、Ag、Auなどの多層膜
反射膜と蛍光体板との密着性、剥がれ防止、イオンマイグレーション防止のために、Cr、Ni、Ti、Ptなどからなるバッファ層を金属膜と蛍光体層の間に設けても良い。
(1) Al、Ag、Auなどの単層膜
(2) Al、Ag、Auなどの多層膜
反射膜と蛍光体板との密着性、剥がれ防止、イオンマイグレーション防止のために、Cr、Ni、Ti、Ptなどからなるバッファ層を金属膜と蛍光体層の間に設けても良い。
金属膜の厚さは、蛍光を反射できれば特に限定されないが、0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上が更に好ましい。
誘電体多層膜、金属膜の成膜方法は特に限定されないが、蒸着法、スパッタ法、CVD法が好ましい。蒸着法の場合、イオンアシストを付加して成膜することもできる。
また、蛍光体板の入射面上に更に部分透過膜を設けることができる。部分透過膜は、励起光の一部を反射し、残りを透過する膜である。具体的には、部分透過膜の励起光に対する反射率は、9%以上であり、50%以下が好ましい。こうした部分透過膜の材質としては、前記した反射膜用の金属膜や誘電体多層膜を挙げることができる。
光源としては、照明用蛍光体の励起用として高い信頼性を有するGaN材料による半導体レーザーが好適である。また、一次元状に配列したレーザーアレイ等の光源も実現可能である。スーパールミネッセンスダイオードや半導体光アンプ(SOA)であってもよい。更に、LEDを利用でき、あるいは光源からの励起光を光ファイバーを通して蛍光体素子に対して入射させることもできる。
半導体レーザーと蛍光体から白色光を発生する方法は、特には限定されないが、以下の方法が考えられる。
青色レーザーと蛍光体により黄色の蛍光を発生し、白色光を得る方法
青色レーザーと蛍光体により赤色と緑色の蛍光を発生し白色光を得る方法
また青色レーザーや紫外レーザーから蛍光体により赤色、青色、緑色の蛍光を発生し白色光を得る方法
青色レーザーや紫外レーザーから蛍光体により青色と黄色の蛍光を発生し白色光を得る方法
青色レーザーと蛍光体により黄色の蛍光を発生し、白色光を得る方法
青色レーザーと蛍光体により赤色と緑色の蛍光を発生し白色光を得る方法
また青色レーザーや紫外レーザーから蛍光体により赤色、青色、緑色の蛍光を発生し白色光を得る方法
青色レーザーや紫外レーザーから蛍光体により青色と黄色の蛍光を発生し白色光を得る方法
(実施例1〜4および比較例1〜3)
図2および表1に示すような各蛍光体素子を作製した。
具体的には、窒化アルミニウムからなる基板上にスパッタリング法にて、Al2O3からなる接合層4Cを0.2μm成膜した。次に、CeをドープしたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)多結晶からなる蛍光体板上に、Al2O3からなる接合層4A、4Bを厚さ0.5μm成膜した。さらに、両者をAl2O3層同士でイオンガンによる常温直接接合にて貼り合わせを行い、複合基板を得た。
図2および表1に示すような各蛍光体素子を作製した。
具体的には、窒化アルミニウムからなる基板上にスパッタリング法にて、Al2O3からなる接合層4Cを0.2μm成膜した。次に、CeをドープしたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)多結晶からなる蛍光体板上に、Al2O3からなる接合層4A、4Bを厚さ0.5μm成膜した。さらに、両者をAl2O3層同士でイオンガンによる常温直接接合にて貼り合わせを行い、複合基板を得た。
その後、別の窒化アルミニウム基板上にスパッタリング法にて、Al2O3からなる接合層4Dを0.2μm成膜した。また上の複合基板の蛍光体板面上にAl2O3からなる接合層4Bを0.5μm成膜して、両者をAl2O3層同士でイオンガンによる常温直接接合にて貼り合わせを行い、3層構造の複合を得た。
次いで、3層構造に接合した複合基板をスライサーにて、表1に示す所望の寸法に切断し、各例のサンプルを作製した。
チップ化した蛍光体素子のサンプルに、出力3WのGaN系青色レーザー光源を光学的に結合し、モジュールを作製した。蛍光体に照射するスポットサイズは半径1mmとし、このときパワー密度は0.95W/mm2であった。各例の評価を表1に示す。ただし、各項目は以下のようにして測定した。
(輝度)
輝度測定は全光束測定方法を用い、labshere社製10インチ積分球(DAS−2100)を用いて測定した。
輝度測定は全光束測定方法を用い、labshere社製10インチ積分球(DAS−2100)を用いて測定した。
(色ムラ)
出射した光を輝度分布測定装置を用いて色度図で評価を行った。そして、色度図において、中央値x:0.3447±0.005、y:0.3553±0.005の範囲にある場合は「色ムラなし」とし、この範囲外の場合には「色ムラあり」とした。
また、実施例3における温度分布の計算値を図8(a)、(b)に示す。
出射した光を輝度分布測定装置を用いて色度図で評価を行った。そして、色度図において、中央値x:0.3447±0.005、y:0.3553±0.005の範囲にある場合は「色ムラなし」とし、この範囲外の場合には「色ムラあり」とした。
また、実施例3における温度分布の計算値を図8(a)、(b)に示す。
実施例1〜4によれば、出射光の色ムラが生じなかった。蛍光体のどの場所においても300℃以下となっていたので、蛍光体の熱劣化しきい値以下となり、蛍光の内部量子効率の低下がなく、色ムラが無くなったものと考えられる。
一方、比較例1、2では、出射光に色ムラが発生していた。これは、蛍光体の温度が熱劣化が起こるしきい値以上となり、かつ温度分布ができていることによって、各部分の量子効率が変化し、特に高温部分で量子効率が劣化するために、色温度の分布が面内で大きくなったためと考えられる。
比較例3においても色ムラが発生した。蛍光体の温度は低いため、量子効率の局所的な劣化は生じないはずであるが、しかし、蛍光体板の面積が大きくなるために,励起光と蛍光の散乱具合が異なる結果、面内の色温度の分布が大きくなったものと考えられる。
(比較例4)
図6に示すような蛍光体素子10を作製した。
具体的には、厚みが1mmの窒化アルミニウムからなる基板上にスパッタリンク法にてAl2O3からなる接合層を0.2μm成膜した。次に、CeをドープしたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)多結晶蛍光体からなる基板上に、Al2O3からなる接合層を厚さ0.5μm成膜した。さらに、両者をAl2O3層同士でイオンガンによる常温直接接合にて貼り合わせを行った。
図6に示すような蛍光体素子10を作製した。
具体的には、厚みが1mmの窒化アルミニウムからなる基板上にスパッタリンク法にてAl2O3からなる接合層を0.2μm成膜した。次に、CeをドープしたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)多結晶蛍光体からなる基板上に、Al2O3からなる接合層を厚さ0.5μm成膜した。さらに、両者をAl2O3層同士でイオンガンによる常温直接接合にて貼り合わせを行った。
その後、蛍光体板12を300μmの厚みまで薄板研磨を行った。薄板研磨は、グラインダー研削、ラップを行い、最後にCMP研磨を行った。最後に、ダイシングにて所望の寸法にチップ切断を行った。
得られた素子10においては、蛍光体板12の主面12bと窒化アルミニウムからなる放熱基板13の主面13aとが接合されている。12c、12dは側面である。ここで、蛍光体板12の入射面12aから矢印Aのように励起光を入射させ、放熱基板13の出射面13bから矢印Bのように蛍光および励起光を出射させる。なお、各部分の寸法は図6および表2に示す。
また、比較例4における温度分布の計算値を図9(a)、(b)に示す。
この場合、励起光のスポットサイズが半径1mm、パワー密度0.95W/mm2において、蛍光体のサイズをWphを3mm、Tphを3mmとしても、蛍光体板の温度は300℃以上となり、蛍光体の熱劣化が起こるしきい値以上の温度となり、かつ温度分布をもつことから色温度の面内分布により色ムラが発生したものと考えられる。
この場合、励起光のスポットサイズが半径1mm、パワー密度0.95W/mm2において、蛍光体のサイズをWphを3mm、Tphを3mmとしても、蛍光体板の温度は300℃以上となり、蛍光体の熱劣化が起こるしきい値以上の温度となり、かつ温度分布をもつことから色温度の面内分布により色ムラが発生したものと考えられる。
(比較例5)
図7に示すような蛍光体素子20を作製した。
ただし、図7の蛍光体素子20は、蛍光体板2と放熱基板3とを接合し、一体化したものである。
図7に示すような蛍光体素子20を作製した。
ただし、図7の蛍光体素子20は、蛍光体板2と放熱基板3とを接合し、一体化したものである。
蛍光体板2は、励起光Aの入射面2a、入射面2aに対向する出射面2b、一対の相対向する側面2c、2d、接合面2eおよびこれと対向する対向向2fを有する。そして、接合面2eに対して接合層5、6を介して放熱基板3が接合されている。
放熱基板3は、六個の表面3a、3b、3c、3d、3eおよび3fを備える。蛍光体板2の接合面2eを放熱基板3の表面3eに対して接合する。入射面2aから矢印Aのように励起光を入射させると、励起光の一部が蛍光に変換され、蛍光と残りの励起光とが第一の対向面2bから出射する。
本例では、図7に示す各部分の寸法を表3に示す。また、接合層6の材質はAl2O3とし、その厚さは0.2μmとした。接合層5の材質はAl2O3とし、その厚さは0.5μmとした。放熱基板3の材質は窒化アルミニウムとし、蛍光体板2の材質は、CeをドープしたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)多結晶蛍光体とした。
比較例5における温度分布を図10に示す。比較例5は、励起光のスポットサイズが半径1mm以上、パワー密度0.95W/mm2以上の場合には、蛍光体の温度が300℃以上となり、温度依存して量子効率が変化するために場所に応じて色温度が面内で異なり、色ムラが発生した。
Claims (5)
- 蛍光体板、前記蛍光体板に対して接合されている第一の放熱基板および前記蛍光体板に対して接合されている第二の放熱基板を備えている蛍光体素子であって、
前記蛍光体板が、励起光の入射面、前記入射面に対向する出射面、前記第一の放熱基板に対向する第一の端面、前記第二の放熱基板に対向する第二の端面および一対の側面を備えており、前記蛍光体板に入射する前記励起光を蛍光に変換し、前記蛍光および前記励起光を前記出射面から出射させ、前記入射面と前記出射面との間隔Lphが0.1mm以上、1.0mm以下であり、前記第一の端面と前記第二の端面との間隔Tphが2.5mm以上、5.0mm以下であり、前記一対の側面の間隔Wphが2.5mm以上、5.0mm以下であることを特徴とする、蛍光体素子。 - 前記蛍光体板の前記第一の端面と前記第一の放熱基板との間に第一の接合層が設けられており、前記蛍光体板の前記第二の端面と前記第二の放熱基板との間に第二の接合層が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の蛍光体素子。
- 前記蛍光体板と前記第一の放熱基板との間に前記第一の接合層が複数層設けられており、前記蛍光体板と前記第二の放熱基板との間に前記第二の接合層が複数層設けられていることを特徴とする、請求項2記載の蛍光体素子。
- 前記蛍光体板と前記第一の放熱基板との間に第一の反射膜が設けられており、前記蛍光体板と前記第二の放熱基板との間に第二の反射膜が設けられていることを特徴とする、請求項2記載の蛍光体素子。
- レーザー光を発振する光源および請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の蛍光体素子を備えることを特徴とする、照明装置。
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JP2017060834A JP2018163816A (ja) | 2017-03-27 | 2017-03-27 | 蛍光体素子および照明装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2020138202A1 (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-02 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | グラファイト薄膜/シリコン基板積層体、及びその製造方法、高排熱型電子デバイス用基板 |
JP7472558B2 (ja) | 2020-03-12 | 2024-04-23 | セイコーエプソン株式会社 | 波長変換素子、光源装置、プロジェクター、および波長変換素子の製造方法 |
-
2017
- 2017-03-27 JP JP2017060834A patent/JP2018163816A/ja active Pending
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JPWO2020138202A1 (ja) * | 2018-12-28 | 2021-11-04 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | グラファイト薄膜/シリコン基板積層体、及びその製造方法、高排熱型電子デバイス用基板 |
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