JP2018162494A - めっき鋼線の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

めっき鋼線の製造方法およびその製造装置 Download PDF

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鴨志田 真一
Shinichi Kamoshita
真一 鴨志田
忠昭 三尾野
Tadaaki Miono
忠昭 三尾野
服部 保徳
Yasunori Hattori
保徳 服部
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Abstract

【課題】溶融金属浴に配設されている浸漬ロールの前後で鋼線の張力を適切に制御し、安定して連続的に鋼線をめっきすることができるめっき鋼線の製造方法の提供。【解決手段】送出機構2から鋼線1を送り出し、送出機構2から送り出された鋼線1を張力測定装置3に通過させ、浸漬ロール6を介して鋼線1を溶融金属浴5に浸漬させた後、溶融金属浴5からめっき鋼線7を引き上げ、引き上げられためっき鋼線7をダンサーロール機構9に通過させ、引取機構10で引き取る際に、めっき鋼線7の通線時にダンサーロール機構9に配設されたダンサーロール9bが上昇するときの鋼線1の張力を張力測定装置3で測定し、測定された張力が規定値以上である場合には送出機構2からの鋼線1の送出速度を上昇させ、測定された張力が検出されない場合には送出機構2からの鋼線1の送出速度および引取機構によるめっき鋼線7の引取速度を低下させる。【選択図】図1

Description

本発明は、めっき鋼線の製造方法およびその製造装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、自動車のワイヤーハーネスなどに好適に使用することができるめっき鋼線の製造方法およびその製造装置に関する。本発明のめっき鋼線の製造方法およびその製造装置は、例えば、直径が0.5mm以下の細鋼線を数百m/minの通線速度で溶融金属浴に通線させることにより、めっき鋼線を製造するときなどに好適に使用することができる。
アルミニウムめっき層にみられる組織的不均一性、偏析などを除去し、ケイ素に富んだ粒子が細かく分散した微細化組織のアルミニウムめっき層を形成させることにより、めっき層の耐食性が改善された溶融アルミニウムめっき鉄線を製造する方法として、2〜10質量%のケイ素と、残部が実質的にアルミニウムを含んでいるめっき浴を用いてめっき線を製造する方法において、当該めっき浴から引き出した直後からめっき被覆物が凝固するまでの間に40℃/sec以上の冷却速度を維持することができる冷却装置を通過させることにより、当該冷却速度に制御しながら急冷し、めっき層内部のめっき組織を微細化させる溶融アルミニウムめっき鉄線の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、金属メッキ線材における金属メッキ膜の膜厚を薄くすることができる金属メッキ線材の製造方法として、連続して通線される線材を溶融金属浴に浸漬した後、その線材を溶融金属浴から引き上げ、線材の外周に金属メッキ膜を形成する金属メッキ線材の製造方法において、前記溶融金属浴から引き上げる際に絞りダイスを通して引き上げ、線材の外周に付着した余剰の溶融金属を払拭して線材の外周に金属メッキ薄膜を形成することを特徴とする金属メッキ線材の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
前記溶融アルミニウムめっき鉄線の製造方法および前記金属メッキ線材の製造方法により、直径が0.5mm以下である細線を数百m/minの通線速度で浴温が約700℃であるめっき浴に通過させた場合、めっき浴による加熱により鋼線の機械的強度が低下するため、通線されている鋼線の張力に変化が生じたときに鋼線が破断することがある。また、めっき浴に配設されている浸漬ロールの上流側の鋼線の通線速度が高く、下流側の鋼線の通線速度が低い場合には、鋼線が当該浸漬ロールから離脱するため、めっき作業を余儀なく中断し、煩雑な鋼線の浸漬ロールへの通線作業を行わなければならなくなることがある。
したがって、近年、めっき浴に配設されている浸漬ロールの前後で鋼線の張力を適切に制御し、安定して連続的に鋼線をめっきすることができるめっき鋼線の製造方法およびその製造装置の開発が望まれている。
特開昭55−113868号公報 特開2000−282205号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされてものであり、溶融金属浴に配設されている浸漬ロールの前後で鋼線の張力を適切に制御し、安定して連続的に鋼線をめっきすることができるめっき鋼線の製造方法およびその製造装置を提供することを課題とする。
本発明は、
(1) 鋼線を連続して通線させて溶融金属浴に浸漬させた後、当該鋼線を溶融金属浴から引き上げて当該鋼線をめっきするめっき鋼線の製造方法であって、
鋼線を送り出すための送出機構から鋼線を送り出し、当該送出機構から送り出された鋼線を当該鋼線の張力を測定するための張力測定装置に通過させ、当該張力測定装置を通過した鋼線にめっきを施すための溶融金属浴に浸漬ロールを介して当該鋼線を浸漬させた後、当該溶融金属浴からめっき鋼線を引き上げ、引き上げられためっき鋼線の張力を調整するためのダンサーロール機構に当該めっき鋼線を通過させ、当該ダンサーロール機構を通過しためっき鋼線を引き取るための引取機構で当該めっき鋼線を引き取る際に、
めっき鋼線の通線時にダンサーロール機構に配設されたダンサーロールが上昇するときの鋼線の張力を前記張力測定装置で測定し、測定された張力が規定値以上である場合には送出機構からの鋼線の送出速度を上昇させ、測定された張力が検出されない場合には送出機構からの鋼線の送出速度および引取機構によるめっき鋼線の引取速度を低下させることを特徴とするめっき鋼線の製造方法、
(2) 浸漬ロールとして回転不自在に固定され、少なくとも鋼線と接触する部分が鋼線に沿って円弧状を有する浸漬ロールを用いる前記(1)に記載のめっき鋼線の製造方法、(3) 溶融金属浴としてアルミニウムを含有する溶融アルミニウム浴を用いる前記(1)または(2)に記載のめっき鋼線の製造方法、
(4) 鋼線を連続して通線させて溶融金属浴に浸漬させた後、当該鋼線を溶融金属浴から引き上げて鋼線をめっきする際に用いられるめっき鋼線の製造装置であって、鋼線を送り出すための送出機構、当該送出機構から送り出された鋼線の張力を測定するための張力測定装置、当該張力測定装置を通過した鋼線にめっきを施すための溶融金属浴、当該溶融金属浴に鋼線を浸漬させるための浸漬ロール、当該浸漬ロールを通過し、当該溶融金属浴から引き上げられためっき鋼線の張力を調整するためのダンサーロール機構、および当該ダンサーロール機構を通過しためっき鋼線を引き取るための引取機構を有することを特徴とするめっき鋼線の製造装置、
(5) 浸漬ロールが回転不自在に固定され、当該浸漬ロールの少なくとも鋼線と接触する部分が鋼線に沿って円弧状を有する前記(4)に記載のめっき鋼線の製造装置、および
(6) 溶融金属浴がアルミニウムを含有する溶融アルミニウム浴である前記(4)または(5)に記載のめっき鋼線の製造装置
に関する。
本発明によれば、溶融金属浴に配設されている浸漬ロールの前後で鋼線の張力を適切に制御し、安定して連続的に鋼線をめっきすることができるという優れた効果が奏される。
本発明のめっき鋼線の製造装置の一実施態様を示す概略説明図である。 本発明のめっき鋼線の製造装置の他の一実施態様を示す概略説明図である。
本発明のめっき鋼線の製造方法では、鋼線を連続して通線させて溶融金属浴に浸漬させた後、当該鋼線を溶融金属浴から引き上げて当該鋼線をめっきする際に、鋼線を送り出すための送出機構から鋼線を送り出し、当該送出機構から送り出された鋼線を当該鋼線の張力を測定するための張力測定装置に通過させ、当該張力測定装置を通過した鋼線にめっきを施すための溶融金属浴に浸漬ロールを介して当該鋼線を浸漬させた後、当該溶融金属浴からめっき鋼線を引き上げ、引き上げられためっき鋼線の張力を調整するためのダンサーロール機構を通過させ、当該ダンサーロール機構に当該めっき鋼線を通過しためっき鋼線を引き取るための引取機構で当該めっき鋼線を引き取る。前記操作を行なう際には、めっき鋼線の通線時にダンサーロール機構に配設されたダンサーロールが上昇するときの鋼線の張力を前記張力測定装置で測定し、測定された張力が規定値以上である場合には送出機構からの鋼線の送出速度を上昇させ、測定された張力が検出されない場合には送出機構からの鋼線の送出速度および引取機構によるめっき鋼線の引取速度を低下させる。
本発明のめっき鋼線を製造する際には、鋼線を送り出すための送出機構、当該送出機構から送り出された鋼線の張力を測定するための張力測定装置、当該張力測定装置を通過した鋼線にめっきを施すための溶融金属浴、当該溶融金属浴に鋼線を浸漬させるための浸漬ロール、当該浸漬ロールを通過し、当該溶融金属浴から引き上げられためっき鋼線の張力を調整するためのダンサーロール機構、および当該ダンサーロール機構を通過しためっき鋼線を引き取るための引取機構を有するめっき鋼線の製造装置を用いることができる。
以下に、本発明のめっき鋼線の製造方法およびその製造装置を図面に基づいて説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施態様のみに限定されるものではない。
図1は、本発明のめっき鋼線の製造装置の一実施態様を示す概略説明図である。図1に示されるめっき鋼線の製造装置は、鋼線1を送り出すための送出機構2、送出機構2から送り出された鋼線1の張力を測定するための張力測定装置3、張力測定装置3を通過した鋼線1にめっきを施すための溶融金属浴5、溶融金属浴5に鋼線1を浸漬させるための浸漬ロール6がこれらの順に配設されている。
本発明に用いられる鋼線1を構成する鋼材としては、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ステンレス鋼は、クロム(Cr)を10質量%以上含有する合金鋼である。ステンレス鋼としては、例えば、JIS G4309に規定されているオーステナイト系の鋼材、フェライト系の鋼材、マルテンサイト系の鋼材などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ステンレス鋼の具体例としては、SUS301、SUS304などの一般にオーステナイト相が準安定であるとされるステンレス鋼;SUS305、SUS310、SUS316などの安定オーステナイト系ステンレス鋼;SUS405、SUS410L、SUS429、SUS430、SUS434、SUS436、SUS444、SUS447などのフェライト系ステンレス鋼;SUS403、SUS410、SUS416、SUS420、SUS431、SUS440などのマルテンサイト系ステンレス鋼などをはじめ、SUS200番台に分類されるクロム−ニッケル−マンガン系のステンレス鋼などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。)
炭素鋼は、炭素(C)を0.02質量%以上含有する鋼材である。炭素鋼としては、例えば、JIS G3506の硬鋼線材の規格に規定されている鋼材、JIS G3505の軟鋼線材の規格に規定されている鋼材などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素鋼の具体例としては、硬鋼、軟鋼などが挙げられるが、本発明は、かかる例示にのみ限定されるものではない。
前記鋼材のなかでは、鋼線1の引張強度に優れていることから、ステンレス鋼および炭素鋼が好ましい。
鋼線1の直径は、特に限定されず、めっき鋼線7の用途に応じて適宜調整することが好ましい。例えば、めっき鋼線7を自動車のワイヤーハーネスなどの用途に用いる場合には、鋼線1の直径は、通常、0.05〜0.5mm程度であることが好ましい。
鋼線1は、鋼線1を溶融金属浴5に浸漬させる前に、脱脂されていてもよい。鋼線1の脱脂は、例えば、鋼線1をアルカリ脱脂液に浸漬した後、水洗して鋼線1に付着しているアルカリ分を中和し、再び水洗することによって脱脂を行なう方法、鋼線1をアルカリ脱脂液に浸漬した状態で鋼線1に通電することによって電解脱脂を行なう方法などによって行なうことができる。なお、前記アルカリ脱脂液には、脱脂力を向上させる観点から、界面活性剤を含有させてもよい。
また、鋼線1には、平滑なめっき被膜を効率よく形成させる観点から、鋼線1を溶融金属浴5に浸漬させる前に、鋼線1の表面にプレめっき処理が施されていてもよい。プレめっき処理を構成する金属としては、例えば、亜鉛、ニッケル、クロム、これらの合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、当該プレめっき処理により鋼線1の表面に形成されためっき被膜は、1層のみで形成されていてもよく、同一または異なる金属からなる複数のめっき被膜であってもよい。
鋼線1は、例えば、鋼線供給装置(図示せず)から供給することができる。鋼線供給装置から供給された鋼線1は、送出機構2に通線される。
送出機構2は、溶融金属浴5に送出される鋼線1の通線速度を制御する機構である。送出機構2としては、例えば、図1に示される送出ロール2a,2bなどが挙げられるが、本発明は、当該実施態様のみに限定されるものではない。送出ロール2a,2bを用いる場合には、鋼線1は、送出ロール2a,2b間に挟持されており、後述するダンサーロール9bの位置が一定の範囲内に収まるように送出ロール2a,2bの回転速度を制御することにより、鋼線1の送出速度を制御することができる。送出ロール2aおよび送出ロール2bとして、例えば、金属製キャプスタンと樹脂ロールを用いることができる。図1に示される送出機構2では、送出ロール2a,2bが用いられているが、送出ロール2aのみが用いられていてもよい。
張力測定装置3は、送出機構2の下流側に配設されており、送出機構2から送り出された鋼線1の張力を測定するための装置である。なお、本発明において、上流側とは、鋼線1またはめっき鋼線7の通線方向に対して上流の方向にあることを意味し、下流側とは、鋼線1またはめっき鋼線7の通線方向に対して下流の方向にあることを意味する。
図1においては、張力測定装置3は、送出機構2と通線プーリー4との間に設けられているが、通線プーリー4の下流側に設けられていてもよい。張力測定装置3では、送出機構2と浸漬ロール6との間の鋼線1の張力を測定することができる。張力測定装置3は、商業的に容易に入手することができるものであり、その例として、(株)イマダ製、デジタルテンションメーター(ZEDシリーズ、TS1/FS1シリーズなど)、日本電産シンポ(株)製、テンションメーター(DTMXシリーズ、PLS−K−Bシリーズなど)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
図1に示される実施態様においては、張力測定装置3を通過した鋼線1は、張力測定装置3の下流側に配設されている通線プーリー4を介して矢印A方向に通線され、溶融金属浴5に浸漬される。図1に通線プーリー4が記載されているが、通線プーリー4を設けることは任意であり、必要により設けることができる。
溶融金属浴5は、加熱によって金属を溶融させた金属の溶融物である。溶融金属浴5の代表例としては、アルミニウムを含有する溶融アルミニウム浴などが挙げられる。
以下においては、溶融金属浴5として、アルミニウムを含有する溶融アルミニウム浴を用いた場合の一実施態様について説明するが、本発明は、かかる実施態様のみに限定されるものではない。
溶融アルミニウム浴には、アルミニウムのみが用いられていてもよく、必要により、本発明の目的を阻害しない範囲内で他の元素が含有されていてもよい。前記他の元素としては、例えば、ニッケル、クロム、亜鉛、ケイ素、銅、鉄などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの他の元素をアルミニウムに含有させた場合には、めっき被膜の機械的強度を高めることができ、ひいてはめっき鋼線7の引張強度を高めることができる。前記他の元素のなかでは、鋼線の種類にもよるが、鋼線に含まれている鉄とめっき被膜に含まれているアルミニウムとの間で脆性を有する鉄−アルミニウム合金層の生成を抑制し、めっき被膜の機械的強度を高めるとともに、溶融金属浴5の融点を低下させることにより、鋼線1を効率よくめっきさせる観点から、ケイ素が好ましい。
溶融アルミニウム浴の浴温は、表面にアルミニウム塊がほとんど付着しないめっき鋼線7を得る観点から、溶融アルミニウム浴の融点よりも20℃以上高い温度に調整することが好ましい。溶融アルミニウム浴の浴温の上限値は、熱効率を高める観点から、好ましくは800℃以下、より好ましくは780℃以下、さらに好ましくは750℃以下である。
溶融アルミニウム浴に鋼線1を浸漬させる時間(めっき時間)は、鋼線1の表面上に形成されるめっき被膜の厚さが所定の厚さとなるように調整される。溶融アルミニウム浴に鋼線1を浸漬させる時間(めっき時間)は、要求されるめっき被膜の厚さ、溶融アルミニウム浴の浴温などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、1〜3秒間程度である。
前記では溶融金属浴5としてアルミニウムを含有する溶融アルミニウム浴を用いた場合の実施態様について説明したが、溶融金属浴5に用いられる主要金属は、アルミニウム以外の金属であってもよい。
図1に示されるように、溶融金属浴5には、浸漬ロール6が配設されている。浸漬ロール6は、鋼線1を溶融金属浴5に浸漬させるためのロールである。
浸漬ロール6には、耐熱性に優れていることから、一般にセラミック製のロール本体および回転軸を有する回転ロールが用いられる。しかし、鋼線1が0.05〜0.5mm程度の直径を有する細線である場合、浴温が700℃以上である溶融金属浴5に鋼線1を浸漬させ、鋼線1を通線させることによって浸漬ロール6が回転したとき、鋼線1に用いられている金属の種類にもよるが、鋼線1の通線によって浸漬ロール6が回転するときに発生する鋼線1の張力により、鋼線1が破断するおそれがある。そこで、当該張力を低減させるために、浸漬ロール6の直径を小さくすることが考えられる。しかし、浸漬ロール6の直径を小さくした場合、鋼線1の通線速度が例えば100m/min以上であるとき、浸漬ロール6の回転数の増大によって回転軸の軸受の摩耗量が増加するため、浸漬ロール6の寿命が短くなる。
したがって、浸漬ロール6は、耐熱性の観点から、セラミック、超硬合金などからなる浸漬ロールであることが好ましく、鋼線1の破断を抑制する観点から、溶融金属浴5のなかで回転不自在に固定され、少なくとも鋼線1と接触する部分が鋼線1に沿って円弧状である浸漬ロールであることが好ましく、さらに鋼線1を振動させずに円滑に通線させるためのガイド溝(図示せず)が浸漬ロール6の鋼線1が通線される面に設けられていることがより好ましい。浸漬ロール6は、通常、溶融金属浴5の浴槽5aに例えば治具(図示せず)などによって固定することができる。浸漬ロール6が少なくとも鋼線1と接触する部分に鋼線1に沿って円弧状を有する場合、当該円弧の半径は、特に限定されないが、通常、100〜500mm程度であることが好ましい。
鋼線1を溶融金属浴5に浸漬することにより、鋼線1は、溶融金属浴5の金属によってめっきされ、得られためっき鋼線7は、図1の矢印B方向に溶融金属浴5から引き上げられる。めっき鋼線7の表面には、溶融金属浴5の金属からなるめっき被膜(図示せず)が形成されている。
溶融金属浴5から引き上げられためっき鋼線7は、めっき鋼線7の張力を調整するためのダンサーロール機構9を通過する。ダンサーロール機構9を通過しためっき鋼線7は、めっき鋼線7を引き取るための引取機構10で引き取られる。
図1に示されるめっき鋼線の製造装置には、通線プーリー8a〜8cが用いられているが、当該通線プーリー8a〜8cを設けることは任意であり、必要により、通線プーリー8a〜8cを設けることができる。
本発明においては、浸漬ロール6の下流にダンサーロール機構9が配設されている点に本発明の特徴の1つがある。
一般に、鋼線1を浸漬ロール6と接触させて通線させた場合には、鋼線1と浸漬ロール6との間で摩擦力が発生する。この摩擦力は、浸漬ロール6の上流側の鋼線1の張力(バックテンション)、鋼線1の直径、鋼線1の材質などによって変動し、さらに鋼線1の通線速度の変化などによって鋼線1が1秒間以下の短周期で振動することがある。このような状況でめっき鋼線7を直接的に引取機構10で引き取った場合には、鋼線1が溶融金属浴5中で破断するおそれがある。
これに対して、本発明においては、浸漬ロール6の下流側にダンサーロール機構9が用いられていることから、めっき鋼線7の破断を防止することができるとともに、めっき鋼線7の張力を安定化させることができる。
ダンサーロール機構9は、回転軸(図示せず)が回転自在に設けられているが、その位置が上下左右方向に移動せずに固定されている上ロール9aおよび回転軸が回転自在に設けられ、その位置が上下方向に移動可能なダンサーロール9bを有する。
図1に示されるダンサーロール機構9では、プーリー2〜6枚を重ね合わせたものが上ロール9aとして用いられており、プーリー1〜5枚を重ね合わせたものがダンサーロール9bとして用いられている。ダンサーロール9bを構成するプーリーの枚数は、上ロール9aを構成するプーリーよりも1枚少ない。ダンサーロール機構9において、例えば、プーリー4枚を重ね合わせたものを上ロール9aとして用い、プーリー3枚を重ね合わせたものをダンサーロール9bとして用いた場合、めっき鋼線7は、上ロール9a、ダンサーロール9b、上ロール9a、ダンサーロール9b、上ロール9a、ダンサーロール9b、上ロール9aの順に通線され、引取機構10に送られる。
また、ダンサーロール機構9として、図1に示される複数枚のプーリーを重ね合わせたものを上ロール9aとして用い、複数枚のプーリーを重ね合わせたものをダンサーロール9bとして用いること以外に、上ロール9aとして1枚のプーリーを用い、ダンサーロール9bとして1枚のプーリーを用い、例えば、図2に示されるように、めっき鋼線7が通線される順序に従って上ロール9aとダンサーロール9bとが交互に組み合わされたものであってもよい。この場合、上ロール9aの数は、特に限定されず、例えば、2〜6枚程度とすることができる。また、ダンサーロール9bの数は、特に限定されず、例えば、1〜5枚程度とすることができる。なお、ダンサーロール9bの数は、上ロール9aよりも1枚少ない数である。
ダンサーロール機構9の実施態様のなかでは、ダンサーロール9bの上下動を小さくするとともに、ダンサーロール9bの上下動によるめっき鋼線7の張力変動を緩和する観点から、プーリーを3〜4枚重ね合わせたものを上ロール9aとし、プーリー2〜3枚を重ね合わせたものをダンサーロール9bとして用いられたダンサーロール機構を有する図1に示されるダンサーロール機構9が好ましい。
上ロール9aおよびダンサーロール9bの大きさおよび質量は、鋼線1の直径、通線速度、溶融金属浴5の浴温などの諸条件によって異なるので一概には決定することができないことから、当該条件に応じて適宜決定することが好ましい。上ロール9aとしては、例えば、直径が50〜300mm程度であるプーリーなどが挙げられ、当該プーリーの質量は、特に限定がなく、任意である。また、ダンサーロール9bとしては、例えば、直径が50〜300mm程度であるプーリーなどが挙げられる。ダンサーロール9bは、鋼線1およびめっき鋼線7に張力を付与するものであり、その質量は、鋼線1およびめっき鋼線7に付与する張力などによって異なるので一概には決定することができないが、例えば、鋼線1の直径が0.05〜0.5mm程度であり、通線速度が100〜1000m/minであり、溶融金属浴5がアルミニウムを含有する溶融アルミニウム浴である場合には、1〜5kg程度であることが好ましい。ダンサーロール9bが有する質量により、鋼線1に張力を付与することができる。また、ダンサーロール機構9によって鋼線1に付与される張力は、特に限定されないが、通常、好ましくは1〜10N、より好ましくは3〜8Nである。
ダンサーロール9bの回転軸と、上ロール9aの回転軸(図示せず)との距離は、特に限定されないが、通常、400〜800mm程度である。ダンサーロール9bは、定位置から上方に200mmまでの範囲および下方に200mmまでの範囲で上下方向に移動するように設定される。
ダンサーロール機構9の下流側には、ダンサーロール機構9を通過しためっき鋼線7を引き取るための引取機構10が配設されている。
図1に示される引取機構10は、一対の引取ロール10a,10bを有し、引取ロール10aと引取ロール10bとの間にめっき鋼線7を通過させ、引取ロール10aおよび/または引取ロール10bを回転させることにより、めっき鋼線7を引き取ることができる。引取ロール10aおよび引取ロール10bのうちの少なくとも一方には、引取ロール10a,10bを回転駆動させるための駆動装置(図示せず)が配設されている。駆動装置としては、例えば、モータなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
引取機構10は、めっき鋼線7が引取機構10で摺動することを防止するために、いわゆるノンスリップ型引取機構であることが好ましい。また、めっき鋼線7のめっき被膜の付着量を一定にするために、めっき鋼線7を定速で通線させる必要があることから、引取ロール10a,10bのめっき鋼線7との接触面は、めっき鋼線7が摺動しがたい接触面であることが好ましい。このようにめっき鋼線7が摺動しがたい接触面を有する引取ロール10a,10bとしては、例えば、キャプスタンロールとピンチロールとの組み合せ、一対のキャプスタンロール、キャプスタンロールにめっき鋼線7同士が接触しないように当該めっき鋼線7を巻回した構成を有するものものなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
引取機構10を稼働させると、当該引取機構10を稼働に伴い、鋼線1は、矢印A方向に通線され、溶融金属浴5から引き挙げられためっき鋼線7は、矢印B方向に通線され、引き続いて矢印C方向に通線される。引取機構10を通過しためっき鋼線7は、例えば、鋼線巻取り装置(図示せず)で回収することができる。
前記めっき鋼線7の製造装置を用いることにより、溶融金属浴5に配設されている浸漬ロール6の前後で鋼線1の張力を適切に制御し、安定して連続的に鋼線1をめっきすることができる。
本発明のめっき鋼線の製造方法においては、鋼線1を連続して通線させて溶融金属浴5の浴槽5a内の溶融金属浴5に浸漬させた後、鋼線1を溶融金属浴5から引き上げて鋼線1をめっきすることにより、めっき鋼線7が得られる。
より具体的には、鋼線1を送り出すための送出機構2から鋼線1を送り出し、送出機構2から送り出された鋼線1を鋼線1の張力を測定するための張力測定装置3に通過させ、張力測定装置3を通過した鋼線1にめっきを施すための溶融金属浴5に浸漬ロール6を介して鋼線1を浸漬させた後、溶融金属浴5からめっき鋼線7を引き上げ、引き上げられためっき鋼線7をめっき鋼線7の張力を調整するためのダンサーロール機構9を通過させ、ダンサーロール機構9を通過しためっき鋼線7を引き取るための引取機構10でめっき鋼線7を引き取る。
鋼線1の通線速度は、主に送出機構2によって制御されるが、めっき鋼線7の通線速度は、主に引取機構10によって制御される。
鋼線1およびめっき鋼線7の通線速度を調整することにより、めっき鋼線7の表面に存在するめっき被膜の平均厚さを調整することができることから、当該めっき被膜の平均厚さに応じて鋼線1およびめっき鋼線7の通線速度を適宜調整することが好ましい。なお、鋼線1およびめっき鋼線7の通線速度は、めっき鋼線7を効率よく製造する観点から、それぞれ、100m/min以上であることが好ましく、溶融金属浴5の浴面に形成された酸化膜が飛散することを抑制し、表面に酸化膜が付着しがたいめっき鋼線7を効率よく製造する観点から、それぞれ、好ましくは1000m/min以下、より好ましくは800m/min以下である。
送出機構2では、めっき鋼線7の通線速度の変化に追従するように鋼線1を送出する必要がある。めっき鋼線7の通線速度の変化に追従させるための鋼線1の送出は、ダンサーロール機構9に配設されているダンサーロール9bの位置が所定範囲内に収まるように送出機構2により、めっき鋼線7の通線速度を調整することによって行なうことができる。
ダンサーロール9bが上昇するのは、めっき鋼線7の引き取り速度に対して鋼線1の送出速度が相対的に遅い場合である。ダンサーロール9bが上昇し、設定された上限位置を超える場合には、送出機構2からの鋼線1の送出速度を増大させることにより、ダンサーロール9bを降下させることができる。
ダンサーロール9bが降下するのは、めっき鋼線7の引き取り速度に対して鋼線1の送出速度が相対的に速い場合である。ダンサーロール9bが降下し、設定された下限位置を下回る場合には、送出機構2からの鋼線1の送出速度を低下させることにより、ダンサーロール9bを上昇させることができる。
ダンサーロール9bの位置を検出する方法としては、例えば、赤外線などによって非接触でダンサーロール9bの位置を検出する位置検出器をダンサーロール9bの稼働領域に配設し、位置検出器11が検出した電気信号を速度制御装置12に伝達し、当該電気信号を受信した速度制御装置12が送出機構2に配設されている駆動手段(図示せず)を制御する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
張力測定装置3によって張力が検出されないことは、鋼線1と浸漬ロール6との摩擦が増大し、ダンサーロール9bによる張力によって浸漬ロール6からめっき鋼線7を引き取ることができず、浸漬ロール6を通過するめっき鋼線7の通線速度が低下していることを示している。この状態が続いた場合には、浸漬ロール6の上流側で鋼線1の弛みが生じ、やがて鋼線1が通線プーリー8a,8b,8cや浸漬ロール6から脱線するようになるとともに、浸漬ロール6の下流側でめっき鋼線7の引き取り速度が高くなりすぎることから、ダンサーロール9bが上昇し、やがてダンサーロール9bの最高位置に到達し、それ以上はダンサーロール9bが上昇することができないため、めっき鋼線7が破断するようになる。めっき鋼線7の破断を防止するためには、めっき鋼線7の張力が張力測定装置3によって検出されない場合には、送出機構2からの鋼線1の送出速度および引取機構10によるめっき鋼線7の引き取り速度を低下させる。
なお、前記張力の規定値は、鋼線1の種類およびその直径、通線速度、溶融金属浴5の浴温などによって異なるので一概には決定することができないが、めっき鋼線7を製造しているときのめっき鋼線7の破断強度よりも小さい値である。前記張力の規定値は、めっき鋼線7の破断を防止する観点から、めっき鋼線7の破断時の張力の90%以下の張力であることが好ましく、めっき鋼線7の破断時の張力の80%以下の張力であることがより好ましく、めっき鋼線7の破断時の張力の70%以下の張力であることがさらに好ましい。
送出機構2からの鋼線1の送出速度の上昇は、例えば、送出機構2に配設されている送出ロール2aおよび送出ロール2bのうちの少なくとも一方に送出ロール2a,2bを回転駆動させるための駆動装置(図示せず)を配設し、当該駆動装置を稼働させることによって行なうことができる。駆動装置としては、例えば、モータなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
また、張力測定装置3によって張力が検出されないことは、当該張力が0であることを意味する。張力測定装置3によって測定された張力が検出されない場合は、浸漬ロール6における鋼線1の通過速度が鋼線1の送出速度よりも低い場合である。このとき、鋼線1と浸漬ロール6との摩擦が増大するため、ダンサーロール9bによるめっき鋼線7の張力だけでは当該めっき鋼線7を介して送出機構2から送出される鋼線1を十分に引き取ることができない状態にある。
張力測定装置3によって鋼線1の張力が検出されない場合には、送出機構2からの鋼線1の通線速度を低下させることにより、鋼線1のたるみを防止し、鋼線1が通線プーリー4や浸漬ロール6から脱線することを防止することができる。送出機構2からの鋼線1の通線速度の低下は、張力測定装置3で測定される鋼線1の張力が検出されるまで行なうことが好ましい。送出機構2からの鋼線1の通線速度を大きく低下させた場合には、鋼線1の張力が高くなり過ぎ、鋼線1が溶融金属浴5中で破断するおそれがあるが、鋼線1が破断するときの張力は、鋼線1の種類およびその直径、溶融金属浴5の浴温などによって異なるので一概には決定することができない。したがって、送出機構2からの鋼線1の通線速度の低下は、鋼線1の張力がめっき鋼線7の破断時の張力の0〜10%の張力となるまで行なうことが好ましく、めっき鋼線7の破断時の張力の0.3〜5%の張力となるまで行なうことがより好ましく、めっき鋼線7の破断時の張力の1〜3%の張力となるまで行なうことがさらに好ましい。
前記で得られためっき鋼線7は、例えば、巻取装置(図示せず)などで回収することができる。
めっき鋼線7の表面に存在しているめっき被膜の平均厚さは、撚り線加工、かしめ加工などの際に素地の鋼線1が外部に露出することを抑制するとともに、単位直径あたりの機械的強度を高める観点から、5〜10μm程度であることが好ましい。
また、めっき鋼線7の表面に存在しているめっき被膜の薄肉部の最小厚さは、撚り線加工、かしめ加工などの際に素地の鋼線1が外部に露出することを抑制するとともに、単位直径あたりの機械的強度を高める観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上である。
前記で得られためっき鋼線7には、必要により、所望の直径を有するようにするために、ダイスなどを用いて伸線加工を施してもよい。
以上説明したように、本発明のめっき鋼線の製造方法によれば、めっき鋼線7の通線時にダンサーロール機構9に配設されているダンサーロール9bが上昇するときの鋼線1の張力を張力測定装置3で測定し、測定された張力が規定値以上である場合には送出機構2からの鋼線1の送出速度を上昇させ、測定された張力が検出されない場合には送出機構2からの鋼線1の送出速度および引取機構10によるめっき鋼線7の引取速度を低下させるという操作が採られているので、溶融金属浴5に配設されている浸漬ロール6の前後で鋼線1の張力を適切に制御し、安定して連続的に鋼線1をめっきすることができる。なお、張力測定装置3で測定された張力が検出されない場合、送出機構2からの鋼線1の送出速度と引取機構10によるめっき鋼線7の引取速度とを同調させて送出速度および引取速度を低下させることが好ましい。
本発明のめっき鋼線の製造方法によって得られためっき鋼線は、例えば、自動車のワイヤーハーネスなどに好適に使用することができる。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
図1に示される実施態様と同様のめっき鋼線の製造装置を用いた。送出機構2として金属製キャプスタンと樹脂ロールとからなり、鋼線1を挟み込む構造を有する一対の送出ロール2a,2bを用い、引取機構10として、金属製キャプスタンと樹脂ロールとからなり、鋼線1を挟み込む構造を有する一対の引き取りロール10a,10bを用いた。浸漬ロール6には、セラミック(サイアロン)製で半径200mm、厚さ30mmの半円形で外周部に通線のための溝を有し、回転しない構造を有するものを用いた。ダンサーロール機構9において、上ロール9aに直径が220mmのプーリーを4枚重ねしたものを用い、ダンサーロール9bに直径が220mmのプーリーを3枚重ねしたものを用い、鋼線1が3往復するように設定した。ダンサーロールの質量は約3kgであることから、鋼線1に負荷される張力は約5Nであった。
前記構成にて、鋼線1として直径0.2mmの硬鋼線(C:0.37質量%)を用い、溶融金属浴5として溶融アルミニウム浴を用い、浴温を700℃に調整した。
硬鋼線を図1に示されるように通線した後、引取機構10に配設されている引取ロール10a,10bを徐々に回転させたところ、ダンサーロール9bが上昇した。ダンサーロール9bが上昇したとき、送出機構2に配設されている送出ロール2a,2bが回転し、硬鋼線が溶融アルミニウム浴中に順次通線され、めっき鋼線7が製造された。
硬鋼線の通線速度を0〜400m/minの範囲内となるように制御し、硬鋼線の引き取り速度を変化させた。その間、引き取り取り速度よりも送出速度のほうが低い場合には、ダンサーロール9bが上昇するので送出速度が高くなり、これとは逆に引き取り速度よりも送出速度のほうが高い場合には、ダンサーロール9bが下降することにより、送出速度が低下するので硬鋼線が引き取り量に応じて通線された。
硬鋼線を通線させている間、浸漬ロール6から引き取りロール10a,10bまでの間の硬鋼線の張力は、ダンサーロール9bによって5Nに保持され、送出ロール2a,2bから浸漬ロール6までの間の硬鋼線の張力は、5Nから浸漬ロール6の摩擦力を減じた値に近い値となった。
通線プーリー8a,8b,8cが回転しなくなったとき、および通線開始時の浸漬ロール6の温度が溶融アルミニウムめっき浴の融点よりも低くなり、硬鋼線が浸漬ロール6に固着したとき、浸漬ロール6の摩擦力が5Nを超えるが、そのとき、ダンサーロール9bが上昇し、送出ロール2a,2bの回転速度が高くなっても硬鋼線が溶融アルミニウムめっき浴中に引き込まれないため、送出ロール2a,2bから浸漬ロール6までの間の張力が0になった。このとき、張力が0となったことを張力測定装置3が検出し、速度制御装置12が送出ロール2a,2bをめっき鋼線7の破断時の張力の1〜3%の張力となるまで減速させたことから、送出速度が高くなりすぎることによる浸漬ロール6からの硬鋼線の脱線を防止することができるとともに、引取ロール10a,10bの速度を送出ロール2a,2bに同調して減速させたことから、硬鋼線の破断を防止して硬鋼線の走行を停止することができた。
当然のことながら、硬鋼線の通線速度などの諸条件は、硬鋼線が断線したり、浸漬ロール6から脱線したりしない範囲で適宜変更することができる。
本発明のめっき鋼線の製造方法およびその製造装置によって得られためっき鋼線は、例えば、自動車のワイヤーハーネスなどに好適に使用することができる。
1 鋼線
2 送出機構
2a 送出ロール
2b 送出ロール
3 張力測定装置
4 通線プーリー
5 溶融金属浴
5a 溶融金属浴の浴槽
6 浸漬ロール
7 めっき鋼線
8a 通線プーリー
8b 通線プーリー
8c 通線プーリー
9 ダンサーロール機構
9a 上ロール
9b ダンサーロール
10 引取機構
10a 引取ロール
10b 引取ロール
11 位置検出器
12 速度制御装置

Claims (6)

  1. 鋼線を連続して通線させて溶融金属浴に浸漬させた後、当該鋼線を溶融金属浴から引き上げて当該鋼線をめっきするめっき鋼線の製造方法であって、
    鋼線を送り出すための送出機構から鋼線を送り出し、当該送出機構から送り出された鋼線を当該鋼線の張力を測定するための張力測定装置に通過させ、当該張力測定装置を通過した鋼線にめっきを施すための溶融金属浴に浸漬ロールを介して当該鋼線を浸漬させた後、当該溶融金属浴からめっき鋼線を引き上げ、引き上げられためっき鋼線の張力を調整するためのダンサーロール機構に当該めっき鋼線を通過させ、当該ダンサーロール機構を通過しためっき鋼線を引き取るための引取機構で当該めっき鋼線を引き取る際に、
    めっき鋼線の通線時にダンサーロール機構に配設されたダンサーロールが上昇するときの鋼線の張力を前記張力測定装置で測定し、測定された張力が規定値以上である場合には送出機構からの鋼線の送出速度を上昇させ、測定された張力が検出されない場合には送出機構からの鋼線の送出速度および引取機構によるめっき鋼線の引取速度を低下させることを特徴とするめっき鋼線の製造方法。
  2. 浸漬ロールとして回転不自在に固定され、少なくとも鋼線と接触する部分が鋼線に沿って円弧状を有する浸漬ロールを用いる請求項1に記載のめっき鋼線の製造方法。
  3. 溶融金属浴としてアルミニウムを含有する溶融アルミニウム浴を用いる請求項1または2に記載のめっき鋼線の製造方法。
  4. 鋼線を連続して通線させて溶融金属浴に浸漬させた後、当該鋼線を溶融金属浴から引き上げて鋼線をめっきする際に用いられるめっき鋼線の製造装置であって、鋼線を送り出すための送出機構、当該送出機構から送り出された鋼線の張力を測定するための張力測定装置、当該張力測定装置を通過した鋼線にめっきを施すための溶融金属浴、当該溶融金属浴に鋼線を浸漬させるための浸漬ロール、当該浸漬ロールを通過し、当該溶融金属浴から引き上げられためっき鋼線の張力を調整するためのダンサーロール機構、および当該ダンサーロール機構を通過しためっき鋼線を引き取るための引取機構を有することを特徴とするめっき鋼線の製造装置。
  5. 浸漬ロールが回転不自在に固定され、当該浸漬ロールの少なくとも鋼線と接触する部分が鋼線に沿って円弧状を有する請求項4に記載のめっき鋼線の製造装置。
  6. 溶融金属浴がアルミニウムを含有する溶融アルミニウム浴である請求項4または5に記載のめっき鋼線の製造装置。
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