JP2018161938A - 作業車 - Google Patents
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Description
この構造のものにおいてエンジンボンネット内には、エンジンの排気口からDPFに至る排気マニホールド部分などで、特に高温の領域が存在している。このような高温領域に対しては、エンジン冷却用のファンによる送風が行われているので、通常の場合には、エンジンボンネット内に舞う刈草や塵埃が高温領域に堆積する虞は少ない。
しかしながら、その高温領域よりも送風方向での上流側には、エアクリーナのホースやリザーブタンクなどが錯綜した状態で配置される傾向があるため、ボンネット前部の防塵網の目詰まり等、何らかの状況でファンの風が弱まると、高温域に刈草や塵埃などが堆積する虞があり、この点で改善の余地がある。
したがって、冷却ファンからの冷却風の一部を高温領域に向けて積極的に導く冷却風案内路が備えられることになるので、エンジンボンネット内に錯綜する部材の影響を受ける虞の少ない状態で、冷却ファンからの冷却風を風速低減の虞が少ない状態で高温領域に向けて送風し易い。これにより、エンジンボンネット内で舞う刈草や塵埃の、高温領域での堆積を効果的に抑制し得る利点がある。
しかも、この冷却風案内路は、導風ガイドを高温領域の上手側に存在するボンネット内部材と対向配置したことで、高温領域の上手側に存在するボンネット内部材も冷却風案内路の構成要素として有効利用している。これにより、冷却風案内路を構造簡単に構成し易い。
そして、導風ガイドの製造に際しては、案内方向の異なる第一ガイド板と第二ガイド板とを組み合わせることで、比較的構造簡単に構成し易いものである。
尚、本実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、次のように記載している。つまり、本発明を適用した乗用草刈機(作業車の一例)の作業走行時における前進側の進行方向(図1,2における矢印F参照)が「前」、後進側への進行方向(図1,2における矢印B参照)が「後」、その前後方向での前向き姿勢を基準としての右側に相当する方向(図2における矢印R参照)が「右」、同様に左側に相当する方向(図2における矢印L参照)が「左」である。
図1及び図2に作業車の一例としての乗用草刈機が示されている。図1は、乗用草刈機の一例である、ゼロターンモーアとも称される芝刈機の側面図であり、図2は平面図である。
芝刈機は、左右一対の前輪11を有する前輪ユニットと、回転駆動される左右一対の後輪12を有する後輪ユニット(図示せず)とによって対地支持された走行機体1を備えている。走行機体1は、ベース部材として機体フレーム10を有しており、前輪11と後輪12との間で、モーアユニット6がリンク機構14を介して機体フレーム10から吊り下げられている。このモーアユニット6は、後方側から刈草を排出するリヤディスチャージ式に構成された周知の構造のものである。
運転座席50は機体フレーム10の中央領域の上方に配置されており、トランスミッション16は運転座席50の下方に配置され、後輪ユニットの後車軸はトランスミッション16の後部から機体横断方向に延びている。運転部5の後部には、エンジンボンネット20内にディーゼルエンジン3(以下、単にエンジンと略称する)を内装する原動部2が設けられている。
運転部5の後側で原動部2の前部にはロプス装置13が設けられている。ロプス装置13は、下端側が機体フレーム10に固定された左右一対の支柱13aと、その左右の支柱13aの上端に連なる横架部材13bとを有した門形に形成されている。
原動部2は、次のように構成されている。
原動部2は、エンジンボンネット20を備え、このエンジンボンネット20で覆われたエンジンルーム内に、エンジン3が配設されている。そしてエンジン3とともに、エンジン周辺機器として、ラジエータ31、冷却ファン33、エアクリーナ32、排出ガス浄化装置35がエンジンルーム内に配設されている。
エンジンルーム内では、前後方向での中央部にエンジン3が配置され、エンジンルームの最前部にラジエータ31が配置されている。そして、そのラジエータ31とエンジン3のエンジンボディ30の前面との間に冷却ファン33が配置されている。エアクリーナ32はエンジンボディ30の上方に配置され、排出ガス浄化装置35はエンジンボディ30の後方側上部に配置されている。
可動ボンネット22は、側面を形成する左右一対の側板22aと上面を形成する天板22bと前面を形成する前板22cとからなり、後面は開口されている。前板22cの全体にわたって吸気用開口部23が形成され、その吸気用開口部23に防塵網24が装着されている。この吸気用開口部23が可動ボンネット22の閉鎖状態で、ラジエータ31の冷却面に向き合う位置にある。したがって、冷却ファン33は、可動ボンネット22の前面からラジエータ31の冷却面を介して冷却風を吸い込むことができる。
冷却ファン33の前方にはラジエータ31が配置されている。ラジエータ31は、その冷却面を冷却ファン33の回転軌跡面に対向させて、直立姿勢で、つまり鉛直方向に延びるように設けられている。ラジエータ31と冷却ファン33との間にはファンシュラウドを兼ねる機能を有した隔壁部材34が設けられている。図5に示されているように、隔壁部材34の左右の側部はエンジンボンネット20の側板22aの近くまで延びており、エンジンルームをエンジン側空間とラジエータ側空間とに区分けするように機能している。
この排出ガス浄化装置35は、エンジン3から排出された排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集する、DPFと呼ばれるフィルタを内蔵している。排出ガス浄化装置35は、エンジン3の排気流路36に介装されている。排気流路36は、排出ガスを機体外に放出する放出口39aを形成する終端排気管39と、エンジン3の排気マニホールド30bと排出ガス浄化装置35の流入口とを接続する上流排気管37と、排出ガス浄化装置35の流出口に終端排気管39を接続する中間排気管38とを備えて、その管路内空間によって構成されている。
また、エンジンボディ30の前壁に衝突してエンジンボディ30の左右両側に流れた冷却風が、エンジンボディ30の左右両側面に沿って後方側へ流れ、エンジン3を冷却しながら、中間排気管38と終端排気管39に接触して、排出ガス浄化装置35から排出される排気を冷却する。
エンジンボンネット20内には、エンジン3からの放熱温度、及び排出ガス浄化装置35からの放熱温度が高い領域であるところの、高温領域H1に向けて、冷却ファン33からの冷却風のうちの一部を案内するための冷却風案内路4が設けられている。
この冷却風案内路4、及び冷却風案内路4を構成する要素としての導風ガイド40について説明する。
また、高温領域H1とは、エンジンボディ30の上部、エンジン3の排気マニホールド30b、排気マニホールド30bと排出ガス浄化装置35の流入口とを接続する上流排気管37、及び排出ガス浄化装置35自体、等が集中的に配置されている高温領域を示している。
第一ガイド板41は、前端部にラジエータ31の取り付け枠体を兼ねる隔壁部材34の後面側に当接する前連結片部41aを備え、後端部に第二ガイド板42との後連結片部41bを備えた板状体で構成されている。この第一ガイド板41の前連結片部41aは、前連結片部41aに備えたボルト孔41cを介して、図示しない連結ボルトを用いてラジエータ31の背部で隔壁部材34に連結される。第一ガイド板41の後連結片部41bは、第二ガイド板42の後述する右連結部42aに対して図示しない連結ボルトにより、連結されている。
第二ガイド板42は、前端側の右側端部に前記第一ガイド板41と連結される右連結部42aが備えられ、左側端部に、ラジエータ31の左側部とエンジンボンネット20の左側面とをつなぐ隔壁部材34に対する左連結部42bが形成されている。この第二ガイド板42の左連結部42bにもボルト孔42cが形成されていて、図示しない連結ボルトにより、前記隔壁部材34に連結されている。
そして、この後側ガイド面44では、後側ガイド面44の案内面部分と、第二ガイド板42よりも上流側における隔壁部材34による案内面部分とが、平面視で角度θ1を有した状態に、つまり下流側ほど狭くなる後ろ窄まり状に形成されている。
また、第一ガイド板41の前側ガイド面43のうち、その前側ガイド面43の前後方向での中間位置より前方側の下部は、中間位置よりも後方側に比べて大きく抉られた状態に切り欠かれて、左右方向での通気が可能な状態に構成されている。
そして、図5に示すように第二ガイド板42は、縦板状の横側ガイド面46による案内面と、この横側ガイド面46に対向する位置のエンジンの左側面とが、平面視で角度θ2を有した状態に、つまり下流側ほど狭くなる後ろ窄まり状に形成されている。
そして、第二ガイド板42における上側ガイド面45の上下方向高さ位置は、冷却ファン33の回転円の上端と、これとほぼ同高さ位置にある排出ガス浄化装置35の上端縁とを結ぶ仮想線分L1と側面視で交差する高さ位置に設けられている。
第二ガイド板42における横側ガイド面46は、その下端縁が、側面視での高温領域H1の下部に位置する排気マニホールド30bよりも下方にまで延出されている。
上記実施形態では、導風ガイド40として、冷却風を水平方向で誘導する第一ガイド板41と、上下方向で誘導する第二ガイド板42との組み合わせで構成した構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
例えば、第一ガイド板41と第二ガイド板42とが一体に構成されたものであっても良いし、誘導方向が水平方向と上下方向との組み合わせであるものに限らず、水平方向と水平方向、あるいは上下方向と上下方向の組み合わせなど、適宜の方向に誘導するものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記実施形態では、導風ガイド40が第一ガイド板41と第二ガイド板42との組み合わせで構成されたものを例示したが、これに限らず、第一ガイド板41のみ、又は第二ガイド板42のみで構成されたものであってもよい。また、これらの第一ガイド板41と第二ガイド板42のみならず、さらに別のガイド板を付加した構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記実施形態では、エンジンボンネット20内における一箇所の高温領域H1に対して、冷却ファン33からの冷却風を誘導する構造のものを例示したが、この構造に限らず、エンジンボンネット20内の複数箇所の高温領域H1に対して、冷却ファン33からの冷却風を誘導する構造のものであっても良い。この場合、高温領域H1としては、エンジンボディ30の上部、エンジン3の排気マニホールド30b、排気マニホールド30bと排出ガス浄化装置35の流入口とを接続する上流排気管37、及び排出ガス浄化装置35自体、に限らず、その他の高温領域であってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記実施形態では、導風ガイド40として用いた第一ガイド板41と第二ガイド板42とが、ともに冷却風案内路4を後ろ窄まり状とするように形成されたものを例示したが、この構造に限定されるものではない。
例えば、第一ガイド板41と第二ガイド板42のうちの、何れか一方のみが冷却風案内路4を後ろ窄まり状とするように形成する、もしくは、両方ともが冷却風案内路4を後ろ窄まり状とする形状ではないものを用いても良い。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
4 冷却風案内路
20 エンジンボンネット
33 冷却ファン
35 排ガス浄化装置
40 導風ガイド
41 第一ガイド板
42 第二ガイド板
H1 高温領域
Claims (4)
- ディーゼルエンジンと、
前記ディーゼルエンジンの前方に配置された冷却ファンと、
前記ディーゼルエンジンから排出された排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集するフィルタを備えた排出ガス浄化装置と、が機体後部のエンジンボンネット内に備えられ、
前記冷却ファンの前方で前記エンジンボンネットの前面に防塵網が設けられ、
前記エンジンボンネット内に、前記ディーゼルエンジン及び前記排出ガス浄化装置からの放熱温度が高い高温領域に向けて、前記冷却ファンからの冷却風のうちの一部を案内する冷却風案内路が設けられ、
前記冷却風案内路が、前記冷却ファンからの冷却風の送風方向を案内する導風ガイドと、前記高温領域が存在する箇所よりも冷却風の送風方向における上手側に存在するボンネット内部材と、の対向間隔によって形成されている作業車。 - 前記冷却風案内路は、前記導風ガイドと前記ボンネット内部材との対向間隔が送風方向の下手側ほど狭められて、後ろ窄まり状に形成されている請求項1記載の作業車。
- 前記導風ガイドは、前記冷却ファンからの冷却風を、水平方向で誘導する第一ガイド板と上下方向で誘導する第二ガイド板を備えたものである請求項1又は2記載の作業車。
- 前記エンジンボンネットは後ろ支点で揺動開閉可能に設けられ、
前記第二ガイド板は、前記冷却風案内路の上部に位置する上側ガイド面を備え、かつ前記上側ガイド面が後ろ下がり形状に形成されている請求項3記載の作業車。
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