JP2018159936A - 光拡散フィルムおよび光拡散フィルムの製造方法 - Google Patents

光拡散フィルムおよび光拡散フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光拡散入射角度領域を効果的に拡大できるとともに、光拡散入射角度領域内で入射光の入射角度を変化させた場合であっても、光拡散特性の変化を効果的に抑制することができる単一層からなる光拡散フィルムおよびその製造方法を提供する。【解決手段】フィルム内部に、屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の領域を備えた第1の内部構造20および第2の内部構造30を、フィルム膜厚方向に沿って下方から順次に有する単一層の光拡散層50を有する光拡散フィルム10等であって、第1の内部構造20における屈折率が相対的に高い領域12が、フィルム膜厚方向に沿った中間点において屈曲部14を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、光拡散フィルムおよび光拡散フィルムの製造方法に関する。
特に、光拡散入射角度領域を効果的に拡大できるとともに、光拡散入射角度領域内で入射光の入射角度を変化させた場合であっても、光拡散特性の変化を効果的に抑制することができる単一層からなる光拡散フィルムおよび光拡散フィルムの製造方法に関する。
従来、例えば、液晶表示装置等が属する光学技術分野において、特定の方向からの入射光については特定の方向へ拡散させ、それ以外の方向からの入射光についてはそのまま直進透過させることができる光拡散フィルムが使用されている。
このような光拡散フィルムとしては、様々な態様が知られているが、特に、フィルム内において、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に配置してなるルーバー構造を有する光拡散フィルムが広く使用されている。
また、別のタイプの光拡散フィルムとしては、フィルム内において、屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立させてなるカラム構造を有する光拡散フィルムも広く使用されている。
しかしながら、フィルム内において、単一の傾斜角を持ったルーバー構造やカラム構造を有するだけでは、十分な光拡散入射角度領域を得ることができないという問題が見られた。
そこで、光拡散フィルム用組成物に活性エネルギー線を照射して内部構造を形成する際の条件を調節して、内部構造の膜厚方向における全体を湾曲させたり、内部構造に屈曲部を設けたりして、光拡散入射角度領域を拡大させる技術が提案されている(例えば、特許文献1〜2)。
なお、「光拡散入射角度領域」とは、光拡散フィルムに対し、点光源からの入射光の入射角度を変化させた場合に、拡散光を出光することができる入射角度の範囲を意味する。
すなわち、特許文献1には、それぞれ分子内に重合性炭素−炭素結合を有し、かつ互いに屈折率が異なる少なくとも2種の化合物を含有する膜状組成物(光拡散フィルム用組成物)に、波長313nmにおける透過率が0〜60%である干渉フィルターを介して紫外線を照射し、該組成物を硬化させる光制御膜(光拡散フィルム)の製造方法が開示されている。
また、図21(a)〜(b)に示すように、上述した方法によって製造される光制御膜207として、光学顕微鏡によって観察される光制御膜207の断面における最小傾斜角度αaと、最大傾斜角度αbの差(αa−αb)が10°以上である光制御膜207が開示されている。
また、特許文献2には、図22に示すように、1層の異方性拡散層307の内部に低屈折率領域(341、342、343)と高屈折率領域306を少なくとも有し、該1層の異方性拡散層307の表面では該低屈折率領域(341、343)と該高屈折率領域306が交互に並んでおり、該1層の異方性拡散層307の断面では低屈折率領域(341、342、343)および高屈折率領域306が厚さ方向に屈曲して延存した構造を有しており、1層の異方性拡散層307の上部371に第1の拡散中心軸を有し、1層の異方性拡散層の中部372に第2の拡散中心軸を有し、法線方向に対する該第1の拡散中心軸の傾きと該第2の拡散中心軸の傾きが異なることを特徴とする異方性光学フィルム(光拡散フィルム)353が開示されている。
また、屈曲した内部構造を形成する方法として、光硬化性組成物層(光拡散フィルム用組成物からなる層)の厚み方向に温度分布を与えながら紫外線を照射する方法が開示されている。
さらに、特許文献2には、図22に示すように、1層の異方性拡散層307の下部373に第3の拡散中心軸を有する態様、つまり、内部構造が屈曲部を2つ有する態様も開示されている。
他方、光拡散フィルム用組成物に対して、2段階に分けて活性エネルギー線を照射することにより、フィルム膜厚方向に沿って下方から順次に2つの内部構造を形成し、光拡散入射角度領域を拡大させる技術が提案されている(例えば、特許文献3〜4)。
すなわち、特許文献3には、図23(a)〜(b)に示すように、入射光を異方性拡散させるための第1の構造領域410と、入射光を等方性拡散させるための第2の構造領域420とを有する光拡散フィルム430であって、第1の構造領域410が、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面方向に沿って交互に平行配置してなるルーバー構造領域であり、第2の構造領域が、媒体物中に当該媒体物とは屈折率が異なる複数の柱状物を林立させてなるカラム構造領域であることを特徴とする光拡散フィルム430が開示されている。
また、特許文献4には、図24(a)〜(b)に示すように、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に平行配置してなる第1のルーバー構造領域520および第2のルーバー構造領域530を、フィルム膜厚方向に沿って下方から順次に有する異方性光拡散フィルム540であって、第1のルーバー構造領域520の上端部の位置と、第2のルーバー構造領域530の下端部の位置とが膜厚方向において重なり合う重複ルーバー構造領域を有することを特徴とする異方性光拡散フィルム540が開示されている。
特開2006−323379号公報(特許請求の範囲) 特開2013−195672号公報(特許請求の範囲) 特開2012−141593号公報(特許請求の範囲) WO2013/108540号公報(請求の範囲)
しかしながら、特許文献1に記載の光拡散フィルムは、湾曲の制御における自由度が低く、光拡散入射角度領域を十分に拡大することが困難になるという問題が見られた。
また、湾曲の制御における安定性も低く、内部構造を所望の角度で安定的に湾曲させることが困難になるという問題が見られた。
さらに、内部構造を湾曲させるにあたり、光拡散フィルム用組成物に対して紫外線を照射する際に、非常に高価なバンドパスフィルター等の干渉フィルターを用いなければならず、経済的に不利であるという問題も見られた。
また、特許文献2に記載の光拡散フィルムも、屈曲部の制御における自由度が低く、光拡散入射角度領域を十分に拡大することが困難になるという問題が見られた。
また、特許文献2においては、光拡散フィルム用組成物に温度分布を与えながら紫外線を照射することで屈曲部を形成していることから、屈曲部の制御における安定性が極めて低く、内部構造を所望の角度で安定的に屈曲させることが困難になるという問題が見られた。
一方、特許文献3〜4に記載の光拡散フィルムは、2つの内部構造を別個に形成する構成であることから、それぞれの内部構造の傾斜角の制御における自由度が高く、光拡散入射角度領域をある程度拡大することができる。
しかしながら、光拡散入射角度領域を所定以上に拡大した場合、入射光の入射角度によっては、1つ目の内部構造により拡散された光を2つ目の内部構造によってほとんど拡散できなかったり、1つ目の内部構造によってほとんど拡散できなかった光を2つ目の内部構造によって拡散させるだけになったりしていると推測される現象が生じる場合がある。
このため、光拡散入射角度領域内で入射光の入射角度を変化させているにもかかわらず、光拡散特性が変化する場合がある。
この問題への対応として、1つ目の内部構造による光拡散入射角度領域と、2つ目の内部構造による光拡散入射角度領域の重複する領域を増やす態様が挙げられる。しかしながら、その場合、内部構造の傾斜角の自由度や2つの内部構造によるフィルム全体としての光拡散入射角度領域を狭めることになってしまう。
そこで、本発明者らは、以上のような事情に鑑み、鋭意努力したところ、フィルム内に、第1の内部構造および第2の内部構造を形成するとともに、少なくとも第1の内部構造を構成する屈折率が相対的に高い領域に屈曲部を設けることにより、光拡散入射角度領域を効果的に拡大できるとともに、光拡散入射角度領域内で入射光の入射角度を変化させた場合であっても、光拡散特性の変化を効果的に抑制することができることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、光拡散入射角度領域を効果的に拡大できるとともに、光拡散入射角度領域内で入射光の入射角度を変化させた場合であっても、光拡散特性の変化を効果的に抑制することができる単一層からなる光拡散フィルムおよびその製造方法を提供することにある。
本発明によれば、フィルム内部に、屈折率が相対的に低い領域(以下、「低屈折率領域」と称する場合がある。)の中に屈折率が相対的に高い複数の領域(以下、「高屈折率領域」と称する場合がある。)を備えた第1の内部構造および第2の内部構造を、フィルム膜厚方向に沿って下方から順次に有する単一層の光拡散層を有する光拡散フィルムであって、第1の内部構造における屈折率が相対的に高い領域が、フィルム膜厚方向に沿った中間点において屈曲部を有していることを特徴とする光拡散フィルムが提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、本発明の光拡散フィルムであれば、フィルム内に、第1の内部構造および第2の内部構造を有するとともに、少なくとも第1の内部構造を構成する屈折率が相対的に高い領域に屈曲部を設けてあることから、第1の内部構造に由来する2つの光拡散入射角度領域と、第2の内部構造に由来する少なくとも1つの光拡散入射角度領域を安定的に得ることができる。
したがって、合計3つの光拡散入射角度領域を適当な範囲でずらしつつ重ね合わせることで、フィルム全体としての光拡散入射角度領域を効果的に拡大することができる。
また、入射光を3段階にわたって徐々に拡散させることができるため、2段階の拡散で拡散させた場合と比較して、フィルム全体としての光拡散入射角度領域を同じだけ拡大した場合であっても、入射光の入射角度の変化に伴う光拡散特性の変化を効果的に抑制することができる。
また、単一層であることから、複数の光拡散フィルムを積層させた場合と比較して、貼合工程を減らすことができ、経済的に有利であるばかりか、表示画像におけるボケの発生や層間剥離の発生についても効果的に抑制することができる。
なお、「単一層」とは、複数の光拡散フィルムが積層されていないことを意味する。
また、「中間点」とは、両端に対する中心点のみでなく、両端の中間における任意の1点を意味する。
また、本発明の光拡散フィルムを構成するにあたり、第1の内部構造の上端部の位置と、第2の内部構造の下端部の位置とが膜厚方向において重なり合う重複内部構造を有することが好ましい。
このように構成することにより、それぞれの内部構造間に内部構造未形成部分が存在する場合と比較して、散乱光の発生を効果的に抑制して、拡散光の強度の均一性を向上させることができる。
また、本発明の光拡散フィルムを構成するにあたり、重複内部構造が、第1の内部構造および第2の内部構造にそれぞれ由来した屈折率が相対的に高い領域のいずれか一方の先端が、もう一方の内部構造に由来した屈折率が相対的に高い領域の先端近傍に対して接触してなる重複内部構造であるか、または、第1の内部構造および第2の内部構造にそれぞれ由来した屈折率が相対的に高い領域同士が、非接触の状態で重複してなる重複内部構造であることが好ましい。
このように構成することにより、限られたフィルム膜厚内に効率的に内部構造を配置することができるとともに、散乱光の発生をより効果的に抑制して、拡散光の強度の均一性を向上させることができる。
また、本発明の光拡散フィルムを構成するにあたり、重複内部構造の厚さを1〜40μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、重複内部構造内における散乱光の発生をさらに効果的に抑制して、拡散光の強度の均一性を向上させることができる。
また、本発明の光拡散フィルムを構成するにあたり、重複内部構造において、第1の内部構造および第2の内部構造にそれぞれ由来した屈折率が相対的に高い領域の傾斜角の差の絶対値を、1°以上の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、光拡散入射角度領域を、より効果的に拡大することができる。
また、本発明の光拡散フィルムを構成するにあたり、第1の内部構造のうち、屈曲部よりも上方部分における屈折率が相対的に高い領域のフィルム面の法線に対する傾斜角θaを0〜30°の範囲内の値とするとともに、屈曲部よりも下方部分における屈折率が相対的に高い領域のフィルム面の法線に対する傾斜角θbを1〜60°の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、光拡散入射角度領域をさらに効果的に拡大することができる。
なお、「屈曲部よりも上方部分」とは、屈曲部を基準として、光拡散フィルムを製造する際に活性エネルギー線が照射される側の部分を意味し、「屈曲部よりも下方部分」とは、屈曲部を基準として、その反対側の部分を意味する。
また、本発明の光拡散フィルムを構成するにあたり、第1の内部構造のうち、屈曲部よりも上方部分における屈折率が相対的に高い領域の長さLaを15〜475μmの範囲内の値とするとともに、屈曲部よりも下方部分における屈折率が相対的に高い領域の長さLbを15〜475μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、光拡散入射角度領域をより一段と効果的に拡大しつつ、入射光の入射角度の変化に伴う光拡散特性の変化を効果的に抑制することができる。
また、本発明の光拡散フィルムを構成するにあたり、第1の内部構造が、屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物をフィルム膜厚方向に林立させてなるカラム構造、または、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に交互に配置してなるルーバー構造であることが好ましい。
このように構成することにより、所定の屈折率差を有する明確な第1の内部構造を形成することができるとともに、屈折率が相対的に高い領域に対して、明確に屈曲部を設けることができる。
また、本発明の光拡散フィルムを構成するにあたり、第2の内部構造が、屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物をフィルム膜厚方向に林立させてなるカラム構造、または、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に交互に配置してなるルーバー構造であることが好ましい。
このように構成することにより、所定の屈折率差を有する明確な第2の内部構造を形成することができる。
また、本発明の別の態様は、上述した光拡散フィルムの製造方法であって、下記工程(a)〜(d)を含むことを特徴とする光拡散フィルムの製造方法である。
(a)屈折率が異なる少なくとも2つの重合性化合物と、光重合開始剤と、紫外線吸収剤と、を含む光拡散フィルム用組成物であって、紫外線吸収剤の含有量を、屈折率が異なる少なくとも2つの重合性化合物の合計量(100重量部)に対して、2重量部未満の値(但し、0重量部を除く。)とする光拡散フィルム用組成物を準備する工程
(b)光拡散フィルム用組成物を工程シートに対して塗布し、塗布層を形成する工程
(c)塗布層に対して第1の活性エネルギー線照射を行い、塗布層の下方部分に第1の内部構造を形成するとともに、塗布層の上方部分に内部構造未形成領域を残す工程
(d)塗布層に対して第2の活性エネルギー線照射を行い、内部構造未形成領域に第2の内部構造を形成する工程
すなわち、本発明の光拡散フィルムの製造方法であれば、光拡散フィルム用組成物が所定量の紫外線吸収剤を含んでいることから、第1の活性エネルギー線照射により、第1の内部構造を構成する屈折率が相対的に高い領域に対して安定的に屈曲部を設けることができる。
また、所定の光拡散フィルム用組成物からなる塗布層に対し、第1および第2の活性エネルギー線照射を行うことから、各活性エネルギー線照射における照射角度を適宜調節することにより、第1および第2の内部構造における屈折率が相対的に高い領域の傾斜角の組み合わせを容易に調節することができる。
また、単一層の中に第1および第2の内部構造を形成することから、得られた光拡散フィルムにおける層間剥離の発生を根本的に抑制することができる。
また、本発明の光拡散フィルムの製造方法を実施するにあたり、第1の活性エネルギー線照射を、酸素存在雰囲気下において実施するとともに、第2の活性エネルギー線照射を、非酸素雰囲気下において実施することが好ましい。
このように実施することにより、塗布層の下方部分に効率的に第1の内部構造を形成しつつ、酸素阻害の影響を利用して、塗布層の上方部分に安定的に内部構造未形成領域を残すことができる。
一方、内部構造未形成領域において、酸素阻害の影響を抑制して効率的に第2の内部構造を形成することができる。
図1(a)〜(b)は、本発明の光拡散フィルムの構成を説明するために供する図である。 図2は、本発明の光拡散フィルムの光拡散特性を説明するために供する図である。 図3は、従来の光拡散フィルムの光拡散特性を説明するために供する図である。 図4(a)〜(b)は、本発明の光拡散フィルムの態様を説明するために供する図である。 図5(a)〜(b)は、重複内部構造の態様を説明するために供する図である。 図6(a)〜(c)は、本発明の光拡散フィルムの製造方法を説明するために供する図である。 図7は、活性エネルギー線の照射角を説明するために供する図である。 図8(a)〜(b)は、実施例1の光拡散フィルムにおける断面の模式図と写真である。 図9(a)〜(b)は、光拡散特性を測定する際の光拡散フィルムに対する入射角θ2を説明するために供する図である。 図10(a)〜(g)は、実施例1の光拡散フィルムにおける光拡散特性を説明するために供する図である。 図11(a)〜(b)は、実施例2の光拡散フィルムにおける断面の模式図と写真である。 図12(a)〜(g)は、実施例2の光拡散フィルムにおける光拡散特性を説明するために供する図である。 図13(a)〜(b)は、実施例3の光拡散フィルムにおける断面の模式図と写真である。 図14(a)〜(g)は、実施例3の光拡散フィルムにおける光拡散特性を説明するために供する図である。 図15(a)〜(b)は、比較例1の光拡散フィルムにおける断面の模式図と写真である。 図16(a)〜(g)は、比較例1の光拡散フィルムにおける光拡散特性を説明するために供する図である。 図17(a)〜(b)は、比較例2の光拡散フィルムにおける断面の模式図と写真である。 図18(a)〜(g)は、比較例2の光拡散フィルムにおける光拡散特性を説明するために供する図である。 図19(a)〜(b)は、比較例3の光拡散フィルムにおける断面の模式図と写真である。 図20(a)〜(g)は、比較例3の光拡散フィルムにおける光拡散特性を説明するために供する図である。 図21(a)〜(b)は、従来の光拡散フィルムを説明するために供する図である。 図22は、従来の光拡散フィルムを説明するために供する別の図である。 図23(a)〜(b)は、従来の光拡散フィルムを説明するために供するさらに別の図である。 図24(a)〜(b)は、従来の光拡散フィルムを説明するために供するさらに別の図である。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、フィルム内部に、屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の領域を備えた第1の内部構造および第2の内部構造を、フィルム膜厚方向に沿って下方から順次に有する単一層の光拡散層を有する光拡散フィルムであって、第1の内部構造における屈折率が相対的に高い領域が、フィルム膜厚方向に沿った中間点において屈曲部を有していることを特徴とする光拡散フィルムである。
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
1.基本的構成
最初に、図1(a)〜(b)を用いて、本発明の光拡散フィルム10の基本的構成について、第1の内部構造20および第2の内部構造30が共にカラム構造(20a、30a)である場合を例に挙げて、具体的に説明する。
ここで、図1(a)には、光拡散フィルム10の全体を示す斜視図が示してあり、図1(b)には、図1(a)の光拡散フィルム10の断面図が示してある。
但し、図1(b)は、第1および第2の内部構造(20、30)が共にカラム構造(20a、30a)である場合に限らず、例えばルーバー構造等のその他の内部構造である場合も包含する包括的な図として用いる。
かかる図1(a)〜(b)に示すように、光拡散フィルム10は、屈折率が相対的に低い領域11の中に、屈折率が相対的に高い複数の領域(12、12´)としての柱状物(12a、12a´)を備えた第1のカラム構造20aおよび第2のカラム構造30aを、フィルム膜厚方向に沿って下方から順次に有する単一層の光拡散層50を有するフィルム10である。
また、第1のカラム構造20aにおける柱状物12aが、フィルム膜厚方向に沿った中間点において屈曲部14を有することを特徴とする。
2.光拡散特性
次いで、図2を用いて、本発明の光拡散フィルム10の光拡散特性について、第1の内部構造20および第2の内部構造30が共にカラム構造(20a、30a)である場合を例に挙げて、具体的に説明する。
ここで、図2には、光拡散フィルム10の斜視図が示してある。
かかる図2に示すように、光拡散フィルム10は、フィルム内に、第1のカラム構造20aおよび第2のカラム構造30aを有するとともに、第1のカラム構造20aを構成する柱状物に屈曲部14を設けてある。
したがって、図2に示すように、それぞれの第1のカラム構造20aおよび第2のカラム構造30aに起因した3つの光拡散入射角度領域を適当な範囲でずらしつつ重ね合わせることで、フィルム全体としての光拡散入射角度領域を効果的に拡大することができる。
ここで、カラム構造では、これを構成する柱状物の傾斜角度と略平行な入射角度の入射光を、損失することなく効率的に拡散させることができる。これは、このような入射角度は光拡散入射角度領域に含まれるためである。
しかしながら、柱状物の傾斜角度と完全に一致する入射角度の入射光に関しては、十分に拡散させずに透過させてしまう場合がある。
これに対し、本発明の光拡散フィルム10であれば、この問題を有効に解決することができる。
例えば、矢印Aで示す入射光のように、入射角度が第2のカラム構造30aの柱状物の傾斜角度と完全に平行な入射光は、第2のカラム構造30aにより十分に拡散されない傾向がある。しかし、図2に示す光拡散フィルム10であれば、屈曲部14を有する柱状物により構成される第1のカラム構造20aにより、徐々に2段階に分けて拡散させることから、最終的には十分なレベルで拡散させることができる。
また、例えば、矢印Bで示す入射光のように、入射角度が第2のカラム構造30aの柱状物の傾斜角度と大きく異なる入射光は、第2のカラム構造30aの柱状物の側面により三日月状に拡散するだけで、第2のカラム構造30aの段階では拡散が不十分になる傾向がある。しかし、図2に示す光拡散フィルム10であれば、屈曲部14を有する柱状物により構成される第1のカラム構造20aにより、最終的には十分なレベルで拡散させることができる。
したがって、本発明の光拡散フィルムであれば、フィルム全体としての光拡散入射角度領域を効果的に拡大しつつ、入射光の入射角度の変化に伴う光拡散特性の変化を効果的に抑制することができる。
一方、図3に示すように入射光を2段階で拡散させた場合であっても、フィルム全体としての光拡散入射角度領域を拡大させることはできる。
しかしながら、本発明の光拡散フィルム10と同程度まで光拡散入射角度領域を広げようとした場合、第1のカラム構造20の柱状物と第2のカラム構造30の柱状物の傾斜角度を大きく異ならせなければならない場合がある。この場合、入射光の入射角度の変化に伴う光拡散特性の変化を効果的に抑制することが困難となり得る。
例えば、図3に示す光拡散フィルム10´において、矢印Aで示す入射光のように、入射角度が第2のカラム構造30の柱状物の傾斜角度と完全に平行な入射光は、第2のカラム構造30により十分に拡散されない場合がある。そして、そのような不十分な拡散光が、第1のカラム構造20の柱状物の傾斜角度とは大きく異なる入射角度で第1のカラム構造に侵入すると、当該拡散光を、第1のカラム構造20の柱状物内に効率よく導くことができず、最終的に十分なレベルで拡散させることができない場合がある。
また、例えば、矢印Bで示す入射光のように、入射角度が第2のカラム構造30の柱状物の傾斜角度と大きく異なる入射光は、第2のカラム構造30の柱状物の側面により三日月状に拡散するだけで、拡散が不十分になる傾向がある。そして、図3に示す光拡散フィルム10´の場合、第1のカラム構造20が屈曲部を有さない柱状物により構成されていることから、第2のカラム構造30により不十分に拡散された光を、第1のカラム構造20の柱状物内に効率よく導くことができず、最終的に十分なレベルで拡散させることができない場合がある。
さらに、このような光拡散特性の改善するために第1、第2のカラム構造の傾斜角を近づけると、光拡散入射角度領域を狭くしてしまうことになる。
したがって、従来の2段階で拡散させるタイプの光拡散フィルムの場合、フィルム全体としての入射角度領域を効果的に拡大することはできるものの、入射光の入射角度の変化に伴う光拡散特性の変化を抑制することが困難になる場合がある。
なお、入射光が第2のカラム構造側から入射した場合を例に挙げて説明したが、入射光が第1のカラム構造側から入射した場合であっても同様である。
また、3段階での拡散を例に挙げて説明したが、4段階以上の拡散であってもよい。
なお、本発明の光拡散フィルムについて、第1および第2の内部構造が共にカラム構造である場合を例に挙げて説明したが、第1および第2の内部構造は特に制限されるものではない。
具体的には、図4(a)に示すような、第1および第2の内部構造が共にルーバー構造(20b、30b)である態様や、図4(b)に示すような、第1の内部構造がルーバー構造20bであって、第2の内部構造がカラム構造30aである態様、あるいは、第1の内部構造がカラム構造20aであって、第2の内部構造がルーバー構造30bである態様等が挙げられる。
なお、カラム構造は、入射光を等方性光拡散(拡散光の平面形状が略円形となる光拡散)させるのに対し、ルーバー構造は、入射光を異方性光拡散(拡散光の平面形状が線状となる光拡散)させるという違いがある。
また、カラム構造やルーバー構造による光拡散は、それぞれの構造における柱状物や板状領域等の屈折率が相対的に高い領域に入射した光が、屈折率が相対的に低い領域との界面で反射を繰り返しながらフィルムを通り抜けることにより生じるものであると考えられている。
3.第1の内部構造
本発明の光拡散フィルムにおける第1の内部構造は、屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の領域を備えた構造であれば特に限定されるものではないが、屈折率が相対的に高い領域が、フィルム膜厚方向に沿った中間点において屈曲部を有することを特徴とする。
以下、屈曲カラム構造および屈曲ルーバー構造を例に挙げて説明する。
(1)屈曲カラム構造
図1(a)に示すように、第1の内部構造が、屈折率が相対的に低い領域11の中に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物12aをフィルム膜厚方向に林立させてなるカラム構造20aであって、柱状物12aが、フィルム膜厚方向に沿った中間点において屈曲部14を有する屈曲カラム構造20aであることが好ましい。
この理由は、このような屈曲カラム構造であれば、所定の屈折率差を有する明確な第1の内部構造を形成することができるとともに、屈折率が相対的に高い領域に対して、明確に屈曲部を設けることができるためである。
以下、屈曲カラム構造について具体的に説明する。
(1)−1 屈折率
屈曲カラム構造において、屈折率が相対的に高い柱状物の屈折率と、屈折率が相対的に低い領域の屈折率との差を0.01以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率の差が0.01未満の値となると、入射光が屈曲カラム構造内で全反射する角度域が狭くなることから、入射角度依存性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、かかる屈折率の差を0.05以上の値とすることがより好ましく、0.1以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる屈折率の差は大きい程好ましいが、屈曲カラム構造を形成可能な材料を選定する観点から、0.3程度が上限であると考えられる。
なお、「入射角度依存性」とは、入射光が拡散される入射光の入射角度領域と、入射光が拡散されない入射光の入射角度領域との区別が明確にできる特性を意味する。
(1)−2 最大径および間隔
また、図1(a)に示すような屈曲カラム構造20aにおいて、柱状物12aの断面における最大径および柱状物12aの間の間隔を、それぞれ0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる最大径および間隔が0.1μm未満の値となると、入射光の入射角度に関わらず、光拡散特性を示すことが困難になる場合があるためである。一方、かかる最大径および間隔が15μmを超えた値となると、屈曲カラム構造内を直進する光が増加し、光拡散の均一性が低下する場合があるためである。
したがって、屈曲カラム構造において、かかる最大径および間隔を0.5μm以上の値とすることがより好ましく、1μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、屈曲カラム構造において、かかる最大径および間隔を10μm以下の値とすることがより好ましく、5μm以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、柱状物の断面形状については、特に限定されるものではないが、例えば、円、楕円、多角形、異形等とすることが好ましい。
また、柱状物の断面とは、フィルム表面と平行な面によって切断された断面を意味する。
また、柱状物の最大径や長さ等は、光学デジタル顕微鏡にて観察することにより算出することができる。
(1)−3 厚さ
また、図1(a)に示すような屈曲カラム構造20aの厚さ(膜厚方向における長さ)、すなわち、図1(b)における長さL1を30〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる長さL1が30μm未満の値となると、屈曲カラム構造内を直進してしまう入射光が増加し、十分な入射角度依存性および光拡散入射角度領域を得ることが困難になる場合があるためである。一方、かかる長さL1が500μmを超えた値となると、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射して屈曲カラム構造を形成する際に、初期に形成されたカラム構造によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望の屈曲カラム構造を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、屈曲カラム構造の長さL1を50μm以上の値とすることがより好ましく、70μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、屈曲カラム構造の長さL1を325μm以下の値とすることがより好ましく、200μm以下の値とすることがさらに好ましい。
また、図1(a)に示すような屈曲カラム構造20aのうち、屈曲部14よりも上方部分(屈曲部を基準として、光拡散フィルムを製造する際に活性エネルギー線が照射される側の部分)における柱状物12aの膜厚方向における長さ、すなわち、図1(b)における長さLaを15〜475μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる長さLaが15μm未満の値となると、上方部分のカラム構造に由来する拡散が弱くなり過ぎ、光拡散入射角度領域を効果的に拡大することが困難になる場合があるためである。なお、光拡散フィルム用組成物における紫外線吸収剤の含有量が多い程、かかる長さは短くなる傾向がある。したがって、逆に言えば、かかる長さが過度に短いということは、紫外線吸収剤の含有量が非常に多いことになり、その場合、光拡散フィルム用組成物を光硬化させる際に、フィルムの収縮シワが発生する可能性が高くなり、制御が困難になる。
一方、かかる長さLaが475μmを超えた値となると、紫外線吸収剤の含有量が非常に少ないことになり、その場合、下方部分のカラム構造が十分に形成されず、光拡散入射角度領域を効果的に拡大することが困難になる可能性がある。
したがって、屈曲カラム構造のうち、屈曲部よりも上方部分における柱状物の長さLaを25μm以上の値とすることがより好ましく、30μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、屈曲カラム構造のうち、屈曲部よりも上方部分における柱状物の長さLaを300μm以下の値とすることがより好ましく、150μm以下の値とすることがさらに好ましい。
また、図1(a)に示すような屈曲カラム構造20aのうち、屈曲部14よりも下方部分(屈曲部を基準として、上述した上方部分の反対側の部分)における柱状物12aの膜厚方向における長さ、すなわち、図1(b)における長さLbを15〜475μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる長さLbが15μm未満の値となると、下方部分のカラム構造に由来する拡散が弱くなり過ぎ、光拡散入射角度領域を効果的に拡大することが困難になる場合があるためである。一方、かかる長さLbが475μmを超えた値となると、下方部分のカラム構造に由来する拡散は十分に得られるが、光拡散フィルムの膜厚が過度に厚くなってディスプレイ用途としての適用が困難になる場合があるためである。
したがって、屈曲カラム構造のうち、屈曲部よりも下方部分における柱状物の長さLbを25μm以上の値とすることがより好ましく、30μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、屈曲カラム構造のうち、屈曲部よりも下方部分における柱状物の長さLbを300μm以下の値とすることがより好ましく、150μm以下の値とすることがさらに好ましい。
(1)−4 傾斜角
また、図1(a)に示すような屈曲カラム構造20aにおいて、図1(b)に示すように屈折率が相対的に高い領域12(以下、高屈折領域と称する場合がある)としての柱状物12aが膜厚方向に対して一定の傾斜角にて平行配置してなることが好ましい。
この理由は、柱状物の傾斜角を一定とすることにより、屈曲カラム構造内において入射光をより安定的に反射させて、屈曲カラム構造に由来した入射角度依存性をさらに向上させることができるためである。
より具体的には、図1(b)に示すように、第1の内部構造20としての屈曲カラム構造20aのうち、屈曲部14よりも上方部分における高屈折領域12としての柱状物12aのフィルム面の法線に対する傾斜角θaを0〜30°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる傾斜角θaが30°を超えた値となると、それに伴い活性エネルギー線の入射角度の絶対値も大きくなることから、空気と塗布層との界面における活性エネルギー線の反射の割合が増加してしまい、屈曲カラム構造を形成するにあたり、より高照度の活性エネルギー線を照射する必要が生じるためである。一方、活性エネルギー線が真に0°で入射した場合、屈曲を生じさせる因子が得られなくなる可能性があり、結果的に屈曲が生じない可能性がある。
したがって、かかる傾斜角θaを0.5°以上の値とすることがより好ましく、1°以上の値とすることがさらに好ましい。
また、かかる傾斜角θaを25°以下の値とすることがより好ましく、20°以下の値とすることがさらに好ましい。
また、図1(b)に示すように、第1の内部構造20としての屈曲カラム構造20aのうち、屈曲部14よりも下方部分における柱状物12aのフィルム面の法線に対する傾斜角θbを1〜60°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる傾斜角θbが1°未満の値となると、屈曲部よりも上方部分における柱状物との相乗効果を考慮しても、光拡散入射角度領域を拡大する効果を十分に得ることが困難になる場合があるためである。一方、かかる傾斜角θbが60°を超えた値となると、それに伴い活性エネルギー線の入射角度の絶対値も大きくなることから、空気と塗布層との界面における活性エネルギー線の反射の割合が増加してしまい、屈曲カラム構造を形成するにあたり、より高照度の活性エネルギー線を照射する必要が生じるためである。また、屈曲部よりも上方部分における柱状物との相乗効果を考慮すれば、敢えてこれ以上の傾斜角とせずとも、光拡散入射角度領域を十分に拡大することができるためである。
したがって、かかる傾斜角θbを3°以上の値とすることがより好ましく、5°以上の値とすることがさらに好ましい。
また、かかる傾斜角θbを55°以下の値とすることがより好ましく、50°以下の値とすることがさらに好ましい。
さらに、θb−θaの絶対値を1°以上の値とすることが好ましく、3°以上の値とすることがより好ましく、5°以上の値とすることがさらに好ましい。
また、θb−θaの絶対値を30°以下の値とすることが好ましく、25°以下の値とすることがより好ましく、20°以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、θaおよびθbはフィルム面に垂直な面であって、1本の柱状物全体を軸線に沿って2つに切断する面によってフィルムを切断した場合の断面において測定されるフィルム表面に対する法線の角度を0°とした場合の柱状物の傾斜角(°)を意味する。
より具体的には、図1(b)に示す通り、θaは、フィルム面の法線と、屈曲部よりも上方部分における柱状物の最上部での軸線との為す角度のうち狭い側の角度を意味する。
また、θbは、フィルム面の法線と、屈曲部よりも下方部分における柱状物の最上部での軸線との為す角度のうち狭い側の角度を意味する。
(2)屈曲ルーバー構造
また、図4(a)〜(b)に示すように、第1の内部構造が、屈折率が異なる複数の板状領域(11、12b)をフィルム面に沿った任意の一方向に交互に配置してなるルーバー構造20bであって、板状領域(11、12b)が、フィルム膜厚方向に沿った中間点において屈曲部14を有する屈曲ルーバー構造20bであることが好ましい。
この理由は、このような屈曲ルーバー構造であれば、所定の屈折率差を有する明確な第1の内部構造を形成することができるとともに、屈折率が相対的に高い領域に対して、明確に屈曲部を設けることができるためである。
以下、屈曲ルーバー構造について具体的に説明する。
(2)−1 屈折率
屈曲ルーバー構造における屈折率が相対的に高い板状領域の屈折率と、屈折率が相対的に低い板状領域の屈折率との関係は、上述した屈曲カラム構造における屈折率が相対的に高い柱状物の屈折率と、屈折率が相対的に低い領域の屈折率との関係と同様にすることが好ましい。
(2)−2 幅
また、図4(a)〜(b)に示すような屈曲ルーバー構造20bにおいて、屈折率が異なる高屈折率板状領域12bおよび低屈折率板状領域11の幅は、上述した屈曲カラム構造における柱状物の断面における最大径および柱状物間の間隔と同様にすることが好ましい。
(2)−3 厚さ
また、図4(a)〜(b)に示すような屈曲ルーバー構造20bの厚さ(膜厚方向における長さ)は、上述した屈曲カラム構造の厚さと同様にすることが好ましい。
(2)−4 傾斜角
また、図4(a)〜(b)に示すような屈曲ルーバー構造20bにおいて、屈折率が異なる板状領域(11、12b)の傾斜角は、上述した屈曲カラム構造における柱状物の傾斜角と同様にすることが好ましい。
なお、板状領域の傾斜角はフィルム面に沿った任意の一方向に延びる板状領域に対して垂直な面でフィルムを切断した場合の断面において測定されるフィルム表面に対する法線の角度を0°とした場合の板状領域の傾斜角(°)を意味する。
4.第2の内部構造
本発明の光拡散フィルムにおける第2の内部構造は、基本的に上述した第1の内部構造の構成と同様であるため、具体的な内容については重複を避けて、省略する。
但し、上述した第1の内部構造とは異なり、図1(a)および図4(a)〜(b)に示すように、屈折率が相対的に高い領域が、フィルム膜厚方向に沿った中間点において屈曲部を有さないことが好ましい。
この理由は、第2の内部構造は、活性エネルギー線を低照度にて照射して形成されるものであり、その厚さの上限が制限されることから、上下に十分な長さを有する屈曲内部構造を形成することが困難になるためと推測される。
また、第2の内部構造が形成される内部構造未形成領域の組成は、第1の内部構造が既に形成されていることに起因して、初期の光拡散フィルム用組成物の組成とは異なっており、このため、第2の内部構造内では組成が上下に分離する傾向がある。
したがって、第2の内部構造では、かかる組成の分離により屈曲が生じにくい傾向があると推測される。
さらに、第1の内部構造が先に形成されることにより、紫外線吸収剤が第1の内部構造において消費されてしまい、第2の内部構造を屈曲させるために必要な紫外線吸収剤が内部構造未形成領域内に残されていないという理由も推測される。
また、図1(a)および図4(a)〜(b)に示すような第2の内部構造(30a、30b)の厚さ(膜厚方向における長さ)、すなわち、図1(b)におけるL2を10〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、第2の内部構造は、光拡散において第1の内部構造の補助的な役割を果たす部分であるためである。
したがって、第2の内部構造の長さL2を20μm以上の値とすることがより好ましく、40μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、第2の内部構造の長さL2を150μm以下の値とすることがより好ましく、100μm以下の値とすることがさらに好ましい。
また、傾斜角θaと同様の理由から、図1(b)に示す第2の内部構造30における屈折率が相対的に高い領域12´の傾斜角θcを0〜30°の範囲内の値とすることが好ましい。
したがって、かかる傾斜角θcを25°以下の値とすることがより好ましく、20°以下の値とすることがさらに好ましい。
また、傾斜角θa、θb、θcは、同じ側に傾斜しつつ(傾斜角0°も含む)、この順番に傾斜角が徐々に大きくなることが好ましい。
この理由は、傾斜角が徐々に変化することにより各々の内部構造に由来する光拡散入射角度領域が重なり合い、入射光の入射角度の変化に伴う光拡散特性の変化をより効果的に抑制することができるためである。
5.重複内部構造
また、図1(b)に示すように、本発明の光拡散フィルム10は、第1の内部構造20の上端部の位置と、第2の内部構造30の下端部の位置とが膜厚方向において重なり合う重複内部構造40を有することが好ましい。
この理由は、重複内部構造を有することにより、それぞれの内部構造間に内部構造未形成部分が存在する場合と比較して、散乱光の発生を効果的に抑制して、拡散光の強度の均一性を向上させることができるためである。
以下、重複内部構造について具体的に説明する。
(1)態様
重複内部構造は、第1の内部構造の上端部の位置と、第2の内部構造の下端部の位置とが膜厚方向において重なり合って形成されていれば、特に限定されるものではない。
より具体的には、図5(a)に示すように、第1の内部構造20および第2の内部構造30にそれぞれ由来した屈折率が相対的に高い領域(12、12´)のいずれか一方の先端が、もう一方の内部構造(30、20)に由来した屈折率が相対的に高い領域(12´、12)の先端近傍に対して接触してなる重複カラム構造40であることが好ましい。
あるいは、図5(b)に示すように、第1の内部構造20および第2の内部構造30にそれぞれ由来した屈折率が相対的に高い領域(12、12´)同士が、非接触の状態で重複してなる重複内部構造40であることも好ましい。
(2)傾斜角の差
また、図1(b)に示す第1の内部構造20および第2の内部構造30にそれぞれ由来した屈折率が相対的に高い領域(12、12´)の傾斜角(θa、θc)の差の絶対値を、1°以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる傾斜角の差の絶対値を1°以上の値とすることにより、光拡散入射角度領域を、より効果的に拡大することができるためである。一方、かかる傾斜角の差の絶対値が過度に大きな値となると、得られる光拡散フィルムの各内部構造に起因する光拡散入射角度領域が完全に独立してしまい、フィルム全体としての光拡散入射角度領域を効率的に拡大するには至らない場合がある。
したがって、かかる傾斜角の差の絶対値を2°以上の値とすることがより好ましく、5°以上の値とすることがさらに好ましい。
また、かかる傾斜角の差の絶対値を30°以下の値とすることが好ましく、20°以下の値とすることがより好ましい。
(3)厚さ
また、図1(b)に示す重複内部構造の厚さ(膜厚方向における長さ)L3を1〜40μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる長さL3が1μm未満の値となると、それぞれの内部構造の連結部分において、散乱光が発生しやすくなり、拡散光の強度の均一性をより安定的に保持することが困難になる場合があるためである。一方、かかる長さL3が40μmを超えた値となると、拡散光の取り出し効率が低下する場合があるためである。つまり、重複内部構造の長さが長すぎる場合、当該領域で後方散乱等が生じ、拡散光の取り出し効率の低下を招くことが予想される。
したがって、重複内部構造の長さL3を3μm以上の値とすることがより好ましく、5μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、重複内部構造の長さL3を35μm以下の値とすることがより好ましく、30μm以下の値とすることがさらに好ましい。
6.総膜厚
また、本発明の光拡散フィルムの総膜厚を60〜700μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、光拡散フィルムの総膜厚が60μm未満の値となると、内部構造を直進する入射光が増加し、光拡散を示すことが困難になる場合があるためである。一方、光拡散フィルムの総膜厚が700μmを超えた値となると、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射して内部構造を形成する際に、初期に形成された内部構造によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望の内部構造を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、光拡散フィルムの総膜厚を80μm以上の値とすることがより好ましく、100μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、光拡散フィルムの総膜厚を450μm以下の値とすることがより好ましく、250μm以下の値とすることがさらに好ましい。
7.粘着剤層
また、本発明の光拡散フィルムは、その片面または両面に、他の材料と積層するための粘着剤層を備えてもよい。
かかる粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限されるものではなく、従来公知のアクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ゴム系等の粘着剤を使用することができる。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態の光拡散フィルムの製造方法であって、下記工程(a)〜(d)を含むことを特徴とする光拡散フィルムの製造方法である。
(a)屈折率が異なる少なくとも2つの重合性化合物と、光重合開始剤と、紫外線吸収剤と、を含む光拡散フィルム用組成物であって、紫外線吸収剤の含有量を、屈折率が異なる少なくとも2つの重合性化合物の合計量(100重量部)に対して、2重量部未満の値(但し、0重量部を除く。)とする光拡散フィルム用組成物を準備する工程
(b)光拡散フィルム用組成物を工程シートに対して塗布し、塗布層を形成する工程
(c)塗布層に対して第1の活性エネルギー線照射を行い、塗布層の下方部分に第1の内部構造を形成するとともに、塗布層の上方部分に内部構造未形成領域を残す工程
(d)塗布層に対して第2の活性エネルギー線照射を行い、内部構造未形成領域に第2の内部構造を形成する工程
以下、本発明の第2の実施形態を、第1の実施形態と異なる点を中心に、図面を参照しつつ、具体的に説明する。
1.工程(a):光拡散フィルム用組成物の準備工程
工程(a)は、所定の光拡散フィルム用組成物を準備する工程である。
より具体的には、屈折率が異なる2つの重合性化合物等を40〜80℃の高温条件下にて撹拌して、均一な混合液とすることが好ましい。
また、所望の粘度となるように、必要に応じて希釈溶剤をさらに加えることにより、光拡散フィルム用組成物の溶液を得ることが好ましい。
以下、工程(a)について、より具体的に説明する。
(1)(A)高屈折率重合性化合物
(1)−1 屈折率
屈折率が異なる2つの重合性化合物のうち、屈折率が高い方の重合性化合物(以下、(A)成分と称する場合がある。)の屈折率を1.5〜1.65の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(A)成分の屈折率が1.5未満の値となると、屈折率が低い方の重合性化合物(以下、(B)成分と称する場合がある。)の屈折率との差が小さくなり過ぎて、有効な光拡散角度領域を得ることが困難になる場合があるためである。一方、(A)成分の屈折率が1.65を超えた値となると、(B)成分の屈折率との差は大きくなるものの、(B)成分との見かけ上の相溶状態さえも形成困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分の屈折率を、1.55以上の値とすることがより好ましく、1.56以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(A)成分の屈折率を、1.6以下の値とすることがより好ましく、1.59以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、上述した(A)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(A)成分の屈折率を意味する。
また、屈折率は、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
なお、「光拡散角度領域」とは、光拡散フィルムに対して、入射光が最も拡散される角度に点光源を固定し、この状態で得られる拡散光の拡散角度範囲を意味する。
また、「光拡散角度領域」の幅は、「光拡散入射角度領域」の幅とほぼ一致することが知られている。
(1)−2 種類
また、(A)成分の種類は、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラシル、(メタ)アクリル酸ベンジルフェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸ナフチルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸アントラシルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸ベンジルフェニルオキシアルキル等、もしくは、これらの一部がハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロゲン化アルキル等によって置換されたもの等を挙げることができる。
また、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の両方を意味する。
また、(A)成分として、ビフェニル環を含有する化合物を含むことがより好ましく、特に、下記一般式(1)で表されるビフェニル化合物を含むことがさらに好ましい。
(一般式(1)中、R1〜R10は、それぞれ独立しており、R1〜R10の少なくとも1つは、下記一般式(2)で表される置換基であり、残りは、水素原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基およびハロゲン原子のいずれかの置換基である。)
(一般式(2)中、R11は、水素原子またはメチル基であり、炭素数nは1〜4の整数であり、繰り返し数mは1〜10の整数である。)
この理由は、(A)成分として、特定の構造を有するビフェニル化合物を含むことにより、(A)成分および(B)成分の重合速度に所定の差を生じさせ、(A)成分と、(B)成分との相溶性を所定の範囲にまで低下させて、両成分同士の共重合性を低下させることができると推定されるためである。
また、(A)成分に由来した高屈折率領域の屈折率を高くして、(B)成分に由来した低屈折率領域の屈折率との差を、所定以上の値に、より容易に調節することができる。
(1)−3 含有量
また、光拡散フィルム用組成物における(A)成分の含有量を、後述する(B)成分100重量部に対して、25〜400重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(A)成分の含有量が25重量部未満の値となると、(B)成分に対する(A)成分の存在割合が少なくなって、(A)成分に由来した高屈折率領域の幅が、(B)成分に由来した低屈折率領域の幅と比較して過度に小さくなり、良好な入射角度依存性を有する所定の内部構造を得ることが困難になる場合があるためである。一方、(A)成分の含有量が400重量部を超えた値となると、(B)成分に対する(A)成分の存在割合が多くなって、(A)成分に由来した高屈折率領域の幅が、(B)成分に由来した低屈折率領域の幅と比較して過度に大きくなり、逆に良好な入射角度依存性を有する所定の内部構造を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分の含有量を、(B)成分100重量部に対して、40重量部以上の値とすることがより好ましく、50重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(A)成分の含有量を、(B)成分100重量部に対して、300重量部以下の値とすることがより好ましく、200重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
(2)低屈折率重合性化合物
(2)−1 屈折率
(B)成分、すなわち屈折率が異なる2つの重合性化合物のうち、屈折率が低い方の重合性化合物の屈折率を1.4〜1.5の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B)成分の屈折率が1.4未満の値となると、(A)成分の屈折率との差は大きくなるものの、(A)成分との相溶性が極端に悪化し、所定の内部構造を形成することが困難になる場合があるためである。一方、(B)成分の屈折率が1.5を超えた値となると、(A)成分の屈折率との差が小さくなり過ぎて、所望の入射角度依存性を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、(B)成分の屈折率を、1.45以上の値とすることがより好ましく、1.46以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(B)成分の屈折率を、1.49以下の値とすることがより好ましく、1.48以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、上述した(B)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(B)成分の屈折率を意味する。
また、屈折率は、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
また、上述した(A)成分の屈折率と、(B)成分の屈折率との差を、0.01以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率の差が0.01未満の値となると、入射光が所定の内部構造内で全反射する角度域が狭くなることから、光拡散角度領域が過度に狭くなる場合があるためである。一方、かかる屈折率の差が過度に大きな値となると、(A)成分と(B)成分の相溶性が悪化しすぎて、所定の内部構造を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分の屈折率と、(B)成分の屈折率との差を、0.05以上の値とすることがより好ましく、0.1以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(A)成分の屈折率と、(B)成分の屈折率との差を、0.5以下の値とすることがより好ましく、0.2以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、ここでいう(A)成分および(B)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(A)成分および(B)成分の屈折率を意味する。
(2)−2 種類
また、(B)成分の種類は、特に限定されないが、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリロイル基含有シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられるが、特に、ウレタン(メタ)アクリレートとすることが好ましい。
この理由は、ウレタン(メタ)アクリレートであれば、(A)成分に由来した高屈折率領域の屈折率と、(B)成分に由来した低屈折率領域の屈折率との差を、より容易に調節できるばかりか、(B)成分に由来した低屈折率領域の屈折率のばらつきを効果的に抑制し、所定の内部構造を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味する。
(3)光重合開始剤
また、本発明の第2の実施形態における光拡散フィルム用組成物においては、所望により、(C)成分として、光重合開始剤を含有させることが好ましい。
この理由は、光重合開始剤を含有させることにより、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射した際に、効率的に所定の内部構造を形成することができるためである。
ここで、光重合開始剤とは、紫外線等の活性エネルギー線の照射により、ラジカル種を発生させる化合物をいう。
かかる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン]等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、光重合開始剤を含有させる場合の含有量としては、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対し、0.2〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜15重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)紫外線吸収剤
(4)−1 種類
また、本発明の第2の実施形態における光拡散フィルム用組成物は、(D)成分として、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
この理由は、(D)成分として、紫外線吸収剤を含むことにより、活性エネルギー線を照射した際に、所定波長の活性エネルギー線を、所定の範囲で選択的に吸収することができるためである。
その結果、光拡散フィルム用組成物の硬化を阻害することなく、フィルム内に形成される第1の内部構造に屈曲を生じさせることができるためである。
ここで、現時点では、紫外線吸収剤が、フィルム内に形成される第1の内部構造に屈曲を生じさせる具体的な機構について、十分には解明されていない。
但し、以下のような機構であると推測される。
すなわち、紫外線吸収剤の添加量が少ない程、屈曲する角度が小さくなり、光拡散角度領域が狭くなる傾向が確認されている。
また、高圧水銀ランプの主波長である365nmの波長により近い箇所にピークを持つ紫外線吸収剤程、少ない添加量で屈曲が生じることが確認されている。
したがって、紫外線吸収剤により、高圧水銀ランプから発せられる紫外線の波長が制御される程、すなわち、高圧水銀ランプから発せられる紫外線における各波長の強度比が変化する程、塗布層における膜厚方向下方への重合進行が遅くなり、ある程度重合が進行した深さで重合の進行方向が変化しているものと推測される。
なお、重合の進行方向を変化させる因子としては、(A)成分と(B)成分における屈折率差が考えられるが、かかる屈折率差では計算上、実際に確認されている程の屈曲は生じないことになる。
また、(D)成分が、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤およびヒドロキシベンゾエート系紫外線吸収剤からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
この理由は、これらの紫外線吸収剤であれば、第1の内部構造に、より明確に屈曲を生じさせることができることから、得られる光拡散フィルムにおける光拡散入射角度領域を、より効果的に拡大することができるためである。
すなわち、高圧水銀ランプの主波長である365nmの波長により近い箇所にピークを持つこれらの紫外線吸収剤であれば、少ない添加量で屈曲を生じさせることが確認されているためである。
(4)−2 吸収波長
また、(D)成分が、波長330〜380nmの光に対して吸収ピークを有することが好ましい。
この理由は、(D)成分の吸収ピークが、当該範囲にあれば、高圧水銀ランプの主波長である365nmのエネルギーを効率的に吸収して、得られる光拡散フィルムに対して、効率的に屈曲を有する第1の内部構造を形成することができるためである。
一方、吸収ピークが330nm未満の値となる紫外線吸収剤は、365nmの吸収が非常に小さいものが多い。そのため、このような紫外線吸収剤を使用しても、得られる光拡散フィルムにおいて十分な屈曲を有する第1の内部構造を形成できない場合がある。
他方、吸収ピークが380nmを超える紫外線吸収剤は、確かに365nmの吸収も有することが多い。しかし、このような紫外線吸収剤は、紫外線領域全体に吸収を有することが多い上、365nmでの吸収を稼ぐためには添加量を増やす必要もある。その結果、吸収ピークが380nmを超える紫外線吸収剤を使用した場合、光拡散フィルムの硬化自体が阻害される場合がある。
したがって、(D)成分における吸収ピークを、波長335〜375nmの範囲内の値とすることがより好ましく、波長340〜370nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)−3 含有量
また、光拡散フィルム用組成物における(D)成分の含有量を、(A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して、2重量部未満の値(但し、0重量部を除く。)とすることが好ましい。
この理由は、(D)成分の含有量をかかる範囲内の値とすることにより、光拡散フィルム用組成物の硬化を阻害することなく、フィルム内に形成される第1の内部構造に屈曲を生じさせることができ、これにより、得られる光拡散フィルムにおける光拡散入射角度領域を効果的に拡大することができるためである。
すなわち、(D)成分の含有量が2重量部以上の値となると、光拡散フィルム用組成物の硬化が阻害されて、フィルム表面に収縮シワが生じたり、全く硬化しなくなったりする場合があるためである。一方、(D)成分の含有量が過度に少なくなると、フィルム内に形成される第1の内部構造に対し、十分な屈曲を生じさせることが困難になり、得られる光拡散フィルムにおける光拡散入射角度領域を効果的に拡大することが困難になる場合があるためである。
したがって、(D)成分の含有量を、(A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して、0.01重量部以上の値とすることがより好ましく、0.02重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(D)成分の含有量を、(A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して、1.5重量部以下の値とすることがより好ましく、1重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
(5)他の添加剤
また、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜、他の添加剤を添加することができる。
他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、重合促進剤、重合禁止剤、赤外線吸収剤、可塑剤、希釈溶剤、およびレベリング剤等が挙げられる。
なお、他の添加剤の含有量は、一般に、(A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して、0.01〜5重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
2.工程(b):塗布工程
工程(b)は、図6(a)に示すように、準備した光拡散フィルム用組成物を、工程シート2に対して塗布して塗布層1を形成する工程である。
工程シートとしては、プラスチックフィルム、紙のいずれも使用することができる。
このうち、プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルム、トリアセチルセルロースフィルム等のセルロース系フィルム、およびポリイミド系フィルム等が挙げられる。
また、紙としては、例えば、グラシン紙、コート紙、およびラミネート紙等が挙げられる。
また、後述する工程を考慮すると、工程シート2としては、熱や活性エネルギー線に対する寸法安定性に優れたフィルムであることが好ましい。
このようなフィルムとしては、上述したもののうち、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルムおよびポリイミド系フィルムが好ましく挙げられる。
また、工程シートに対しては、光硬化後に、得られた光拡散フィルムを工程シートから剥離し易くするために、工程シートにおける光拡散フィルム用組成物の塗布面側に、剥離層を設けることが好ましい。
かかる剥離層は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、アルキッド系剥離剤、オレフィン系剥離剤等、従来公知の剥離剤を用いて形成することができる。
なお、工程シートの厚さは、通常、25〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、工程シート上に光拡散フィルム用組成物を塗布する方法としては、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、およびグラビアコート法等、従来公知の方法により行うことができる。
なお、このとき、塗布層の厚さを、10〜700μmの範囲内の値とすることが好ましい。
3.工程(c):第1の活性エネルギー線照射工程
工程(c)は、図6(b)〜(c)に示すように、塗布層1に対して第1の活性エネルギー線照射を行い、塗布層1の下方部分に第1の内部構造20を形成するとともに、塗布層1の上方部分に内部構造未形成領域20´を残す工程である。
以下、第1の活性エネルギー線照射工程について、屈曲カラム構造を形成する場合と、屈曲ルーバー構造を形成する場合とに分けて説明する。
(1)屈曲カラム構造を形成する場合
第1の内部構造として屈曲カラム構造を形成する場合は、図6(b)に示すように、工程シートの上に形成された塗布層1に対し、照射光として、光線の平行度が高い平行光60を照射する。
ここで、平行光とは、発せられる光の方向が、いずれの方向から見た場合であっても、広がりを持たない実質的に平行な光を意味する。
具体的には、照射光の平行度を10°以下の値とすることが好ましい。
この理由は、照射光の平行度をかかる範囲内の値とすることにより、複数の柱状物が膜厚方向に対して一定の傾斜角にて林立してなる屈曲カラム構造を、効率的、かつ、安定的に形成することができるためである。
したがって、照射光の平行度を5°以下の値とすることがより好ましく、2°以下の値とすることがさらに好ましい。
また、照射光の照射角としては、図7に示すように、塗布層1の表面に対する法線の角度を0°とした場合の照射角θ1を、通常、−80〜80°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、照射角が−80〜80°の範囲外の値となると、塗布層1の表面での反射等の影響が大きくなって、十分な屈曲カラム構造を形成することが困難になる場合があるためである。
なお、図7における矢印Bは、塗布層の移動方向を示す。
また、照射光としては、紫外線を用いることが好ましい。
この理由は、電子線の場合、重合速度が非常に速いため、重合過程で(A)成分と(B)成分が十分に相分離できず、屈曲カラム構造を形成することが困難になる場合があるためである。一方、可視光等と比較した場合、紫外線の方が、その照射により硬化する紫外線硬化樹脂や、使用可能な光重合開始剤のバリエーションが豊富であることから、(A)成分および(B)成分の選択の幅を広げることができるためである。
また、第1の活性エネルギー線の照射条件としては、塗布層表面におけるピーク照度を0.1〜3mW/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるピーク照度が0.1mW/cm2未満の値となると、内部構造未形成領域を十分に確保することができるものの、屈曲カラム構造を明確に形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかるピーク照度が3mW/cm2を超えた値となると、内部構造未形成領域が存在しても、当該領域における硬化反応が進行し過ぎているものと推定され、後述する第2の活性エネルギー線照射工程において、第2の内部構造を十分に形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、第1の活性エネルギー線照射における塗布層表面のピーク照度を0.3mW/cm2以上の値とすることがより好ましく、0.5mW/cm2以上の値とすることがさらに好ましい。
また、第1の活性エネルギー線照射における塗布層表面のピーク照度を2mW/cm2以下の値とすることがより好ましく、1.5mW/cm2以下の値とすることがさらに好ましい。
また、第1の活性エネルギー線照射における塗布層表面における積算光量を5〜100mJ/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる積算光量が5mJ/cm2未満の値となると、屈曲カラム構造を上方から下方に向けて十分に伸長させることが困難になったり、第2の内部構造を形成する際に屈曲カラム構造が変形したりする場合があるためである。一方、かかる積算光量が100mJ/cm2を超えた値となると、内部構造未形成領域の硬化が進み過ぎて、後述する第2の活性エネルギー線照射工程において、第2の内部構造を十分に形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、第1の活性エネルギー線照射における塗布層表面における積算光量を7mJ/cm2以上の値とすることがより好ましく、10mJ/cm2以上の値とすることがさらに好ましい。
また、第1の活性エネルギー線照射における塗布層表面における積算光量を50mJ/cm2以下の値とすることがより好ましく、30mJ/m2以下の値とすることがさらに好ましい。
また、量産性を維持しつつ、安定的に屈曲カラム構造を形成する観点から、第1の活性エネルギー線照射をする際に、工程シート上に形成された塗布層を、0.1〜10m/分の範囲内の速度にて移動させることが好ましい。
特に、0.2m/分以上の速度にて移動させることがより好ましく、また、3m/分以下の速度にて移動させることがより好ましい。
また、第1の活性エネルギー線照射工程は、効率的に内部構造未形成領域を残す観点から、酸素存在雰囲気下(好ましくは、空気雰囲気下)にて実施することが好ましい。
この理由は、酸素存在雰囲気下において第1の活性エネルギー線照射を行うことにより、塗布層の下方部分に効率的に屈曲カラム構造を形成しつつ、酸素阻害の影響を利用して、塗布層の上方部分に安定的に内部構造未形成領域を残すことができるためである。
すなわち、仮に第1の活性エネルギー線照射を、酸素存在雰囲気下ではなく、酸素が存在しない非酸素雰囲気下にて行った場合、フィルムの上部には内部構造未形成領域が残らず、フィルムのほぼ際表面まで連続的に屈曲カラム構造が形成される場合があるためである。
なお、「酸素存在雰囲気下」とは、塗布層の上面が空気等の酸素を含む基体と直接接触している条件下を意味し、その中でも「空気雰囲気下」とは、塗布層の上面が空気と直接接触している条件下を意味する。
したがって、塗布層の上面にフィルムをラミネートしたり、あるいは、窒素パージを行ったりといった特定の手段を実施することなく、塗布層の上面をそのまま空気に露出させた状態で第1の活性エネルギー線照射を行うことが、「空気雰囲気下」での第1の活性エネルギー線照射に該当する。
(2)屈曲ルーバー構造を形成する場合
第1の内部構造として屈曲ルーバー構造を形成する場合は、図6(c)に示すように、工程シートの上に形成された塗布層1に対し、一方向から見た場合には実質的に平行光であり、他の方向から見た場合には非平行なランダム光に見える光を照射する。
このような光は、例えば、線状光源125を用いることにより照射することができ、この場合、線状光源125の軸方向から見た場合には実質的に平行光であり、他の方向から見た場合には非平行なランダム光70´に見えることになる。
なお、その他の照射条件については、上述した「屈曲カラム構造を形成する場合」に準じるため、省略する。
4.工程(d):第2の活性エネルギー線照射工程
工程(d)は、塗布層に対して、さらに第2の活性エネルギー線照射を行い、内部構造未形成領域に第2の内部構造を形成する工程である。
かかる第2の活性エネルギー線照射工程は、基本的に第1の活性エネルギー線照射工程と同様にして行うことができる。
したがって、第2の活性エネルギー線照射工程において、第2の内部構造としてカラム構造を形成する場合には、図6(b)に示すように平行光を照射し、第2の内部構造としてルーバー構造を形成する場合には、図6(c)に示すように一方向から見た場合には実質的に平行光であり、他の方向から見た場合には非平行なランダム光に見える光を照射すればよい。
また、第2の活性エネルギー線の照射条件としては、塗布層表面におけるピーク照度を0.1〜20mW/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるピーク照度が0.1mW/cm2未満の値となると、第2の内部構造を明確に形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかる照度が20mW/cm2を超えた値となると、硬化速度が速くなり過ぎるものと推定され、第2の内部構造を有効に形成できない場合があるためである。
したがって、第2の活性エネルギー線照射における塗布層表面のピーク照度を0.3mW/cm2以上の値とすることがより好ましく、0.5mW/cm2以上の値とすることがさらに好ましい。
また、第2の活性エネルギー線照射における塗布層表面のピーク照度を10mW/cm2以下の値とすることがより好ましく、5mW/cm2以下の値とすることがさらに好ましい。
また、第2の活性エネルギー線照射における塗布層表面における積算光量を5〜300mJ/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる積算光量が5mJ/cm2未満の値となると、第2の内部構造を、上方から下方に向けて十分に伸長させることが困難になる場合があるためである。一方、かかる積算光量が300mJ/cm2を超えた値となると、得られるフィルムに着色が生じる場合があるためである。
したがって、第2の活性エネルギー線照射における塗布層表面における積算光量を10mJ/cm2以上の値とすることがより好ましく、20mJ/cm2以上の値とすることがさらに好ましい。
また、第2の活性エネルギー線照射における塗布層表面における積算光量を200mJ/cm2以下の値とすることがより好ましく、150mJ/cm2以下の値とすることがさらに好ましい。
また、第2の活性エネルギー線照射を、非酸素雰囲気下において実施することが好ましい。
この理由は、非酸素雰囲気下において第2の活性エネルギー線照射を行うことにより、第1の活性エネルギー線照射によって得られた内部構造未形成領域に、酸素阻害の影響を抑制して効率的に第2の内部構造を形成することができるためである。
すなわち、仮に第2の活性エネルギー線照射を、非酸素雰囲気下ではなく、酸素雰囲気下にて行った場合、高照度で照射すれば、表面近傍の非常に浅い位置に第2の内部構造を形成することができるかもしれないが、光拡散に必要な屈折率差を得ることができない場合があるためである。また、低照度で照射した場合には、酸素阻害の影響を受け、内部構造未形成領域に第2の内部構造を形成することができない場合があるためである。
なお、「非酸素雰囲気下」とは、塗布層の上面が酸素雰囲気、または酸素が含まれる雰囲気と直接接触していない条件下を意味する。
したがって、例えば、塗布層の上面にフィルムをラミネートしたり、あるいは、空気を窒素ガスで置換して、窒素パージを行ったりした状態で第2の活性エネルギー線照射を行うことが、「非酸素雰囲気下」での第2の活性エネルギー線照射に該当する。
以上のように、本発明においては、第1の活性エネルギー線照射と、第2の活性エネルギー線照射とによって、それぞれ第1の内部構造および第2の内部構造を形成することから、各内部構造における屈折率が相対的に高い領域の傾斜角の組み合わせを容易に調節することができる。
すなわち、それぞれの活性エネルギー線照射における照射角を適宜調節するのみで、容易に各内部構造における屈折率が相対的に高い領域の傾斜角の組み合わせを調節することが可能になる。
以下、実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
1.低屈折率重合性化合物(B)成分の合成
容器内に、重量平均分子量9,200のポリプロピレングリコール(PPG)1モルに対して、イソホロンジイソシアナート(IPDI)2モル、および2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)2モルを収容した後、常法に従って反応させ、重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレートを得た。
なお、ポリプロピレングリコールおよびポリエーテルウレタンメタクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、下記条件に沿って測定したポリスチレン換算値である。
・GPC測定装置:東ソー(株)製、HLC−8020
・GPCカラム :東ソー(株)製(以下、通過順に記載)
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒 :テトラヒドロフラン
・測定温度 :40℃
2.光拡散フィルム用組成物の調製
次いで、得られた(B)成分としての重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレート100重量部に対し、(A)成分としての前記式(3)で表される分子量268のo−フェニルフェノキシエトキシエチルアクリレート(新中村化学(株)製、NKエステル A−LEN−10)150重量部と、(C)成分としての2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン20重量部((A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して8重量部)と、(D)成分としてのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASF(株)製、TINUVIN 384−2)0.5重量部((A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して0.2重量部)とを添加した後、80℃の条件下にて加熱混合を行い、光拡散フィルム用組成物を得た。
なお、(A)成分および(B)成分の屈折率は、アッベ屈折率(アタゴ(株)製、アッベ屈折計DR−M2、Na光源、波長589nm)を用いてJIS K0062に順じて測定したところ、それぞれ1.58および1.46であった。
3.塗布工程
次いで、得られた光拡散フィルム用組成物を、工程シートとしてのフィルム状の透明ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称する。)に対して塗布し、膜厚198μmの塗布層を形成した。
4.第1の紫外線照射
次いで、中心光線平行度を±3°以内に制御した紫外線スポット平行光源(ジャテック(株)製)を用い、平行度が2°以下の平行光を、図7に示す照射角θ1がほぼ20°となるように塗布層に照射した。
その際のピーク照度は1.18mW/cm2、積算光量は24.1mJ/cm2、ランプ高さは240mmとし、塗布層の移動速度は0.2m/分とした。
5.第2の紫外線照射
次いで、第1の紫外線照射工程を経た後、塗布層の露出面側を厚さ38μmの紫外線透過性を有する剥離フィルム(リンテック(株)製、SP−PET382050)によりラミネートして、非酸素雰囲気下の状態とした。
次いで、第1の紫外線照射工程と同様に、平行度が2°以下の平行光を、図7に示す照射角θ1がほぼ0°となるように、第1の紫外線照射工程と同じ側から剥離フィルム越しに塗布層に照射し、膜厚198μmの光拡散フィルムを得た。
その際のピーク照度は1.26mW/cm2、積算光量は22.4mJ/cm2、ランプ高さは240mmとし、塗布層の移動速度は0.2m/分とした。
なお、上述したピーク照度および積算光量は、受光器を取り付けたUV METER(アイグラフィックス(株)製、アイ紫外線積算照度計UVPF−A1)を塗布層の位置に設置して測定した。
また、光拡散フィルムの膜厚は、定圧厚さ測定器(宝製作所(株)製、テクロック PG−02J)を用いて測定した。
また、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に平行かつフィルム面と直交する面で切断した断面の模式図を図8(a)に示し、その断面写真を図8(b)に示す。
また、図8(a)に示すように、第1のカラム構造の長さはL1142.2μmであり、かかる第1のカラム構造のうち、屈曲部よりも上方部分の長さLaは41.0μmであり、その傾斜角θaは15°であった。
また、第1のカラム構造のうち、屈曲部よりも下方部分の長さLbは101.2μmであり、傾斜角θbは32°であった。
また、θb−θaの絶対値は17°であった。
また、第2のカラム構造の長さL2は71.8μmであり、傾斜角θcは0°であった。
さらに、第2のカラム構造に由来した柱状物の先端が、第1のカラム構造に由来した柱状物の先端近傍に対して接触してなる重複カラム構造(重複内部構造)が存在し、その長さL3は16μmであった。
また、重複内部構造におけるθa−θcの絶対値は15°であった。
なお、光拡散フィルムの切断は剃刀を用いて行い、断面の写真の撮影はデジタルマイクロスコープ(キーエンス(株)製、VHX−2000)を用いて反射観察により行った。
また、図8(a)の模式図では、内部構造における高屈折率領域を実線で示す(以下、同じ)。
6.光拡散特性の評価
得られた光拡散フィルムの光拡散特性を評価した。
すなわち、PETと剥離フィルムにより挟まれた状態で得られた光拡散フィルムの剥離フィルム表面に粘着剤層を設け、厚さ1.1mmのソーダガラスに対して貼合し、評価用試験片とした。
次いで、コノスコープ(autronic−MELCHERS GmbH社製)を用いて、図9に示すように、試験片のガラス側、つまり第2の内部構造側より、光拡散フィルムに対して、入射角θ2(°)を0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°に変えながら光を入射した。得られたコノスコープ画像を図10(a)〜(g)に示す。
かかる結果より、入射光の入射角度θ2を0〜60°まで変化させた場合であっても、入射光が拡散していることから、少なくとも0〜60°を含む広い光拡散入射角度領域を有することが分かる。
また、入射角度によって拡散光の形状や強度分布に変化はあるものの、拡散が不十分であることを示す極端に幅の細い三日月状の拡散や、半径が極端に小さい円形状の拡散は生じていないため、光拡散特性の変化を効果的に抑制できていることが分かる。
[実施例2]
実施例2では、光拡散フィルム用組成物を調製する際に、(D)成分としての紫外線吸収剤の種類を、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤の混合品であるBASF(株)製、TINUVIN 477に変えるとともに、その添加量を(A)成分および(B)成分の合計100重量部に対して0.1重量部とし、さらに、光拡散フィルムの膜厚を194μmとしたほかは、実施例1と同様に光拡散フィルムを製造した。得られた結果を、図11(a)〜(b)に示す。
なお、図11(a)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に平行かつフィルム面と直交する面で切断した断面の模式図であり、図11(b)は、その断面写真である。
また、図11(a)に示すように、第1のカラム構造の長さL1は144.7μmであり、かかる第1のカラム構造のうち、屈曲部よりも上方部分の長さLaは43.5μmであり、傾斜角θaは15°であった。
また、第1のカラム構造のうち、屈曲部よりも下方部分の長さLbは101.2μmであり、傾斜角θbは37°であった。
また、θb−θaの絶対値は22°であった。
また、第2のカラム構造の長さL2は72μmであり、傾斜角θcは0°であった、
さらに、第2のカラム構造に由来した柱状物の先端が、第1のカラム構造に由来した柱状物の先端近傍に対して接触してなる重複カラム構造(重複内部構造)が存在し、その長さL3は22.7μmであった。
また、重複内部構造におけるθa−θcの絶対値は15°であった。
また、得られた光拡散フィルムの光拡散特性を、実施例1と同様にして評価した。得られたコノスコープ画像を図12(a)〜(g)に示す。
かかる結果より、入射光の入射角度θ2を0〜60°まで変化させた場合であっても、入射光が拡散していることから、少なくとも0〜60°を含む広い光拡散入射角度領域を有することが分かる。
また、入射角度によって拡散光の形状や強度分布に変化はあるものの、拡散が不十分であることを示す極端に幅の細い三日月状の拡散や、半径の小さな円形状の拡散は生じていないため、光拡散特性の変化を効果的に抑制できていることが分かる。
[実施例3]
実施例3では、光拡散フィルム用組成物を調製する際に、(D)成分としての紫外線吸収剤の種類を、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤の混合品であるBASF(株)製、TINUVIN 477に変えるとともに、その添加量を(A)成分および(B)成分の合計100重量部に対して0.1重量部とし、さらに、光拡散フィルムの膜厚を190μmとした。
また、第1の紫外線照射として、図6(c)に示すように、線状光源125を用いて、線状光源125の軸方向から見た場合には実質的に平行光であり、他の方向から見た場合には非平行なランダム光70´に見える光を、図7に示す照射角θ1がほぼ20°となるように塗布層1に対して照射した。
その際のピーク照度は21.95mW/m2、積算光量は24.65mJ/m2、ランプ高さは500mmとし、塗布層の移動速度は0.2m/分とした。
また、第1の紫外線照射工程を経た後、塗布層の露出面側を厚さ38μmの紫外線透過性を有する剥離フィルム(リンテック(株)製、SP−PET382050)によりラミネートして、非酸素雰囲気下の状態とした。
次いで、第2の紫外線照射として、第1の紫外線照射と同様に、線状光源を用いて図7に示す照射角θ1がほぼ0°となるように塗布層に対して照射した。
その際のピーク照度は1.24mW/m2、積算光量は44.35mJ/m2、ランプ高さは500mmとし、塗布層の移動速度は0.2m/分とした。
それ以外は、実施例1と同様に光拡散フィルムを製造した。得られた結果を、図13(a)〜(b)に示す。
なお、図13(a)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に平行かるフィルム面と直交する面で切断した断面の模式図であり、図13(b)は、その断面写真である。
また、図13(a)に示すように、第1のルーバー構造の長さL1は148μmであり、かかる第1のルーバー構造のうち、屈曲部よりも上方部分の長さLaは51.2μmであり、傾斜角θaは11°であった。
また、第1のルーバー構造のうち、屈曲部よりも下方部分の長さLbは96.8μmであり、傾斜角θbは24°であった。
また、θb−θaの絶対値は13°であった。
また、第2のルーバー構造の長さL2は62.4μmであり、傾斜角θcは0°であった。
さらに、第2のルーバー構造に由来した高屈折率板状領域の先端が、第1のルーバー構造に由来した高屈折率板状領域の先端近傍に対して接触してなる重複ルーバー構造(重複内部構造)が存在し、その長さL3は20.4μmであった。
また、重複内部構造におけるθa−θcの絶対値は11°であった。
また、得られた光拡散フィルムの光拡散特性を、図9(b)に示すように第1の内部構造側から入射光を入射させたほかは、実施例1と同様にして評価した。得られたコノスコープ画像を図14(a)〜(g)に示す。
かかる結果より、入射光の入射角度θ2を0〜40°まで変化させた場合であっても、入射光が拡散していることから、少なくとも0〜40°を含む広い光拡散入射角度領域を有することが分かる。
また、入射角度によって拡散光の形状や強度分布に変化はあるものの、拡散が不十分で入射光がほぼ透過してしまうことを示す点状の拡散は生じていないため、光拡散特性の変化を効果的に抑制できていることが分かる。
[比較例1]
比較例1では、光拡散フィルム用組成物を調製する際に、(D)成分としての紫外線吸収剤を添加せず、さらに、光拡散フィルムの膜厚を198μmとしたほかは、実施例1と同様に光拡散フィルムを製造した。得られた結果を、図15(a)〜(b)に示す。
なお、図15(a)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に平行かつフィルム面と直交する面で切断した断面の模式図であり、図15(b)は、その断面写真である。
また、図15(a)に示すように、第1のカラム構造の長さL1は143μmであり、傾斜角θaは19°であった。なお、かかる第1のカラム構造を構成する柱状物は屈曲部を有していなかった。
また、第2のカラム構造の長さL2は69.8μmであり、傾斜角θcは0°であった。
さらに、第2のカラム構造に由来した柱状物の先端が、第1のカラム構造に由来した柱状物の先端近傍に対して接触してなる重複カラム構造(重複内部構造)が存在し、その長さL3は14.8μmであった。
また、重複内部構造におけるθa−θcの絶対値は19°であった。
また、得られた光拡散フィルムの光拡散特性を、実施例1と同様にして評価した。得られたコノスコープ画像を図16(a)〜(g)に示す。
かかる結果より、入射光の入射角度θ2を0〜60°まで変化させた場合であっても、入射光が拡散していることから、少なくとも0〜60°を含む広い光拡散入射角度領域を有することが分かる。
但し、入射角度によって拡散光の形状や強度分布が著しく変化しており、例えば、θ2が50°、60°のときには幅の細い三日月状もしくはリング状の拡散が生じたり、θ2が20°、30°のときには半径が小さい円形状の拡散が生じたりしている。
したがって、入射角度の変化に伴う光拡散特性の変化を効果的に抑制できないことが分かる。
[比較例2]
比較例2では、光拡散フィルム用組成物を調製する際に、(D)成分としての紫外線吸収剤を添加せず、第1の紫外線照射における図7に示す照射角θ1をほぼ40°とし、ピーク照度を1.26mW/cm2、積算光量を31.7mJ/cm2としたほかは、実施例1と同様に光拡散フィルムを製造した。得られた結果を、図17(a)〜(b)に示す。
なお、図17(a)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に平行かつフィルム面と直交する面で切断した断面の模式図であり、図17(b)は、その断面写真である。
また、図17(a)に示すように、第1のカラム構造の長さL1は145.6μmであり、傾斜角θaは31°であった。なお、かかる第1のカラム構造を構成する柱状物は屈曲部を有していなかった。
また、第2のカラム構造の長さL2は67.6μmであり、傾斜角θcは0°であった。
さらに、第2のカラム構造に由来した柱状物の先端が、第1のカラム構造に由来した柱状物の先端近傍に対して接触してなる重複カラム構造(重複内部構造)が存在し、その長さL3は15.2μmであった。
また、重複内部構造におけるθa−θcの絶対値は31°であった。
また、得られた光拡散フィルムの光拡散特性を、実施例1と同様にして評価した。得られたコノスコープ画像を図18(a)〜(g)に示す。
かかる結果より、入射光の入射角度θ2を0〜60°まで変化させた場合であっても、入射光が拡散していることから、少なくとも0〜60°を含む広い光拡散入射角度領域を有することが分かる。
但し、入射角度によって拡散光の形状や強度分布が著しく変化しており、例えば、θ2が30°、40°、50°のときには半径が小さい円形状の拡散が生じている。
したがって、入射角度の変化に伴う光拡散特性の変化を効果的に抑制できないことが分かる。
[比較例3]
比較例3では、光拡散フィルム用組成物を調製する際に、(D)成分としての紫外線吸収剤を添加せず、さらに、光拡散フィルムの膜厚を196μmとしたほかは、実施例3と同様に光拡散フィルムを製造した。得られた結果を、図19(a)〜(b)に示す。
なお、図19(a)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に平行かつフィルム面と直交する面で切断した断面の模式図であり、図19(b)は、その断面写真である。
また、図19(a)に示すように、第1のルーバー構造の長さL1は143.6μmであり、傾斜角θaは19°であった。なお、かかる第1のルーバー構造を構成する高屈折率板状領域は屈曲部を有していなかった。
また、第2のルーバー構造の長さL2は81.2μmであり、傾斜角θcは0°であった。
さらに、第2のルーバー構造に由来した高屈折率板状領域の先端が、第1のルーバー構造に由来した高屈折率板状領域の先端近傍に対して接触してなる重複ルーバー構造(重複内部構造)が存在し、その長さL3は28.8μmであった。
また、重複内部構造におけるθa−θcの絶対値は19°であった。
また、得られた光拡散フィルムの光拡散特性を、実施例3と同様にして評価した。得られたコノスコープ画像を図20(a)〜(g)に示す。
かかる結果より、入射光の入射角度θ2を0〜40°まで変化させた場合であっても、入射光が拡散していることから、少なくとも0〜40°を含む広い光拡散入射角度領域を有することが分かる。
但し、入射角度によって拡散光の強度分布が著しく変化しており、例えば、θ2が30°、40°のときにはフィルム正面への拡散光が見られない。
また、θ2が0°のときの拡散が著しく低下し、ほぼ透過している。
したがって、入射角度の変化に伴う光拡散特性の変化を効果的に抑制できないことが分かる。
以上、詳述したように、本発明によれば、フィルム内に、第1の内部構造および第2の内部構造を形成するとともに、少なくとも第1の内部構造を構成する屈折率が相対的に高い領域に屈曲部を設けることにより、光拡散入射角度領域を効果的に拡大できるとともに、光拡散入射角度領域内で入射光の入射角度を変化させた場合であっても、光拡散特性の変化を効果的に抑制することができる。
したがって、本発明の光拡散フィルム等は、反射型液晶表示装置における光制御膜の他、視野角制御フィルム、視野角拡大フィルム、さらにはプロジェクション用スクリーンにも適用することができ、これらの高品質化に著しく寄与することが期待される。
1:塗布層、2:工程シート、10:光拡散フィルム、11:低屈折率領域、12:第1の内部構造における高屈折率領域、12a:第1の内部構造における柱状物、12b:第1の内部構造における高屈折板状領域、12´:第2の内部構造における高屈折率領域、12a´:第2の内部構造における柱状物、12b´:第2の内部構造における高屈折板状領域、14:屈曲部、20:第1の内部構造、20a:第1の内部構造としてのカラム構造(屈曲カラム構造)、20b:第1の内部構造としてのルーバー構造(屈曲ルーバー構造)、30:第2の内部構造、30a:第2の内部構造としてのカラム構造、30b:第2の内部構造としてのルーバー構造、40:重複内部構造、50:光拡散層、60:平行光、70:点光源からの照射光、70´:線光源からの照射光、102:点光源、104:レンズ、125:線状光源
本発明によれば、フィルム内部に、屈折率が相対的に低い領域(以下、「低屈折率領域」と称する場合がある。)の中に屈折率が相対的に高い複数の領域(以下、「高屈折率領域」と称する場合がある。)を備えた第1の内部構造および第2の内部構造を、フィルム膜厚方向に沿って下方から順次に有する単一層の光拡散層を有する光拡散フィルムであって、第1および第2の内部構造が、屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物をフィルム膜厚方向に林立させてなるカラム構造、または、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に交互に配置してなるルーバー構造であり、第1の内部構造における屈折率が相対的に高い領域が、フィルム膜厚方向に沿った中間点において屈曲部を有しており、前記第1の内部構造のうち、前記屈曲部よりも上方部分における前記屈折率が相対的に高い領域のフィルム面の法線に対する傾斜角をθaとし、前記屈曲部よりも下方部分における前記屈折率が相対的に高い領域のフィルム面の法線に対する傾斜角をθbとした場合に、前記傾斜角θaを0〜30°の範囲内の値とするとともに、前記傾斜角θbを1〜60°の範囲内の値とし、前記傾斜角θaおよびθbの差の絶対値が13以上30以下であることを特徴とする光拡散フィルムが提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、本発明の光拡散フィルムであれば、フィルム内に、第1の内部構造および第2の内部構造を有するとともに、少なくとも第1の内部構造を構成する屈折率が相対的に高い領域に屈曲部を設けてあることから、第1の内部構造に由来する2つの光拡散入射角度領域と、第2の内部構造に由来する少なくとも1つの光拡散入射角度領域を安定的に得ることができる。
したがって、合計3つの光拡散入射角度領域を適当な範囲でずらしつつ重ね合わせることで、フィルム全体としての光拡散入射角度領域を効果的に拡大することができる。
また、入射光を3段階にわたって徐々に拡散させることができるため、2段階の拡散で拡散させた場合と比較して、フィルム全体としての光拡散入射角度領域を同じだけ拡大した場合であっても、入射光の入射角度の変化に伴う光拡散特性の変化を効果的に抑制することができる。
また、単一層であることから、複数の光拡散フィルムを積層させた場合と比較して、貼合工程を減らすことができ、経済的に有利であるばかりか、表示画像におけるボケの発生や層間剥離の発生についても効果的に抑制することができる。
なお、「単一層」とは、複数の光拡散フィルムが積層されていないことを意味する。
また、「中間点」とは、両端に対する中心点のみでなく、両端の中間における任意の1点を意味する。
また、本発明の光拡散フィルムを構成するにあたり、第1および第2の内部構造が、屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物をフィルム膜厚方向に林立させてなるカラム構造、または、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に交互に配置してなるルーバー構造である。
このように構成することにより、所定の屈折率差を有する明確な第1および第2の内部構造を形成することができるとともに、屈折率が相対的に高い領域に対して、明確に屈曲部を設けることができる。
また、第1の内部構造における屈折率が相対的に高い領域が、フィルム膜厚方向に沿った中間点において屈曲部を有しており、前記第1の内部構造のうち、前記屈曲部よりも上方部分における前記屈折率が相対的に高い領域のフィルム面の法線に対する傾斜角をθaとし、前記屈曲部よりも下方部分における前記屈折率が相対的に高い領域のフィルム面の法線に対する傾斜角をθbとした場合に、前記傾斜角θaを0〜30°の範囲内の値とするとともに、前記傾斜角θbを1〜60°の範囲内の値である。
このように構成することにより、光拡散入射角度領域をさらに効果的に拡大することができる。
なお、「屈曲部よりも上方部分」とは、屈曲部を基準として、光拡散フィルムを製造する際に活性エネルギー線が照射される側の部分を意味し、「屈曲部よりも下方部分」とは、屈曲部を基準として、その反対側の部分を意味する。
また、傾斜角θaおよびθbの差の絶対値が13以上30以下である。
このように構成することにより、光拡散入射角度領域を、より効果的に拡大することができる。
また、本発明の光拡散フィルムを構成するにあたり、第1の内部構造の上端部の位置と、第2の内部構造の下端部の位置とが膜厚方向において重なり合う重複内部構造を有することが好ましい。
このように構成することにより、それぞれの内部構造間に内部構造未形成部分が存在する場合と比較して、散乱光の発生を効果的に抑制して、拡散光の強度の均一性を向上させることができる。
また、本発明の光拡散フィルムを構成するにあたり、重複内部構造が、第1の内部構造および第2の内部構造にそれぞれ由来した屈折率が相対的に高い領域のいずれか一方の先端が、もう一方の内部構造に由来した屈折率が相対的に高い領域の先端近傍に対して接触してなる重複内部構造であるか、または、第1の内部構造および第2の内部構造にそれぞれ由来した屈折率が相対的に高い領域同士が、非接触の状態で重複してなる重複内部構造であることが好ましい。
このように構成することにより、限られたフィルム膜厚内に効率的に内部構造を配置することができるとともに、散乱光の発生をより効果的に抑制して、拡散光の強度の均一性を向上させることができる。
また、本発明の光拡散フィルムを構成するにあたり、重複内部構造の厚さを1〜40μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、重複内部構造内における散乱光の発生をさらに効果的に抑制して、拡散光の強度の均一性を向上させることができる。
また、本発明の光拡散フィルムを構成するにあたり、第1の内部構造のうち、屈曲部よりも上方部分における屈折率が相対的に高い領域の長さLaを15〜475μmの範囲内の値とするとともに、屈曲部よりも下方部分における屈折率が相対的に高い領域の長さLbを15〜475μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、光拡散入射角度領域をより一段と効果的に拡大しつつ、入射光の入射角度の変化に伴う光拡散特性の変化を効果的に抑制することができる。

Claims (11)

  1. フィルム内部に、屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の領域を備えた第1の内部構造および第2の内部構造を、フィルム膜厚方向に沿って下方から順次に有する単一層の光拡散層を有する光拡散フィルムであって、
    前記第1の内部構造における前記屈折率が相対的に高い領域が、フィルム膜厚方向に沿った中間点において屈曲部を有していることを特徴とする光拡散フィルム。
  2. 前記第1の内部構造の上端部の位置と、前記第2の内部構造の下端部の位置とが膜厚方向において重なり合う重複内部構造を有することを特徴とする請求項1に記載の光拡散フィルム。
  3. 前記重複内部構造が、前記第1の内部構造および第2の内部構造にそれぞれ由来した屈折率が相対的に高い領域のいずれか一方の先端が、もう一方の内部構造に由来した屈折率が相対的に高い領域の先端近傍に対して接触してなる重複内部構造であるか、または、前記第1の内部構造および第2の内部構造にそれぞれ由来した屈折率が相対的に高い領域同士が、非接触の状態で重複してなる重複内部構造であることを特徴とする請求項2に記載の光拡散フィルム。
  4. 前記重複内部構造の厚さを1〜40μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項2または3に記載の光拡散フィルム。
  5. 前記重複内部構造において、前記第1の内部構造および第2の内部構造にそれぞれ由来した前記屈折率が相対的に高い領域の傾斜角の差の絶対値を、1°以上の値とすることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の光拡散フィルム。
  6. 前記第1の内部構造のうち、前記屈曲部よりも上方部分における前記屈折率が相対的に高い領域のフィルム面の法線に対する傾斜角θaを0〜30°の範囲内の値とするとともに、前記屈曲部よりも下方部分における前記屈折率が相対的に高い領域のフィルム面の法線に対する傾斜角θbを1〜60°の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光拡散フィルム。
  7. 前記第1の内部構造のうち、前記屈曲部よりも上方部分における前記屈折率が相対的に高い領域の長さLaを15〜475μmの範囲内の値とするとともに、前記屈曲部よりも下方部分における前記屈折率が相対的に高い領域の長さLbを15〜475μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光拡散フィルム。
  8. 前記第1の内部構造が、屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物をフィルム膜厚方向に林立させてなるカラム構造、または、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に交互に配置してなるルーバー構造であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光拡散フィルム。
  9. 前記第2の内部構造が、屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物をフィルム膜厚方向に林立させてなるカラム構造、または、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に交互に配置してなるルーバー構造であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光拡散フィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の光拡散フィルムの製造方法であって、
    下記工程(a)〜(d)を含むことを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。
    (a)屈折率が異なる少なくとも2つの重合性化合物と、光重合開始剤と、紫外線吸収剤と、を含む光拡散フィルム用組成物であって、前記紫外線吸収剤の含有量を、前記屈折率が異なる少なくとも2つの重合性化合物の合計量(100重量部)に対して、2重量部未満の値(但し、0重量部を除く。)とする光拡散フィルム用組成物を準備する工程
    (b)前記光拡散フィルム用組成物を工程シートに対して塗布し、塗布層を形成する工程
    (c)前記塗布層に対して第1の活性エネルギー線照射を行い、前記塗布層の下方部分に第1の内部構造を形成するとともに、前記塗布層の上方部分に内部構造未形成領域を残す工程
    (d)前記塗布層に対して第2の活性エネルギー線照射を行い、前記内部構造未形成領域に第2の内部構造を形成する工程
  11. 前記第1の活性エネルギー線照射を、酸素存在雰囲気下において実施するとともに、前記第2の活性エネルギー線照射を、非酸素雰囲気下において実施することを特徴とする請求項10に記載の光拡散フィルムの製造方法。
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